JP7024849B1 - 衛生薄葉紙ロールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007024849000001
【課題】皺やミシン目での不用意な破断を防止可能な衛生薄葉紙ロールの製造方法
【解決手段】
原紙シートが巻き取られた原反ロールから原紙シートを繰り出し、繰り出された原紙シートにその幅方向に延在する破断用ミシン目をミシン目形成手段により原紙シートの長さ方向に沿って所定間隔毎に形成してからロール状に巻き取って巻取ロールを形成する巻取ロール形成工程を含み、巻取ロール形成工程において、原反ロールから繰り出された原紙シートを、原反ロールとミシン目形成手段との間に配される給送手段によってミシン目形成手段に向けて給送し、原紙シートの巻取速度とミシン目形成手段への原紙シートの給送速度との間の速度差を、ミシン目形成手段への原紙シートの給送速度と原反ロールからの原紙シートの繰出速度との間の速度差よりも小さくする衛生薄葉紙ロールの製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、衛生薄葉紙ロールの製造方法に関し、特には、破断用ミシン目が形成された衛生薄葉紙ロールの製造方法に関する。
衛生薄葉紙ロール、例えばトイレットロールの分野において、長尺のトイレットペーパーがロール状に巻き取られているとともに、当該トイレットペーパーをその幅方向に沿って切り離すための破断用ミシン目がトイレットペーパーの長手方向に沿って所定間隔毎に形成されているものがある(特許文献1および2)。
例えば、特許文献2には、この種のトイレットロールの製造に関し、ロール巻取機能とミシン目形成機能とを備えた製造装置に搭載された原反ロールから原紙シートを繰り出し、繰り出された原紙シートにミシン目形成部でミシン目を形成してから巻き取って巻取ロールを形成する工程が開示されている。このようにして得られた巻取ロールは、所定幅への切断等の必要に応じた後続の工程を経て、トイレットロール製品に加工される。
原反ロールから原紙シートを繰り出してから巻取ロールに巻き取るまでの巻取ロール形成工程において、原紙シートに過大な張力が生じたり、原紙シートが弛んだりすると、紙切れや紙の皺寄りの原因となる。このような不都合が生じないように、原反ロールと巻取ロールとの間で原紙シートの張り具合の調整(「ドロー調整」とも称される)が行われる。ドロー調整は、概して、原反ロールと巻取ロールとの間の速度差、すなわち原反ロールからの原紙シートの繰出速度と巻取ロールへの原紙シートの巻取速度との間の速度差の制御によって行われ、より詳細には、原反ロールと巻取ロールとの間で速度差を一定にする調整をもって行われている。
特開2012-40242号明細書 特開2019-146879号明細書
しかしながら、ミシン目形成を行うと、原紙シートは一部カットされるので、巻取工程中に原紙シートがミシン目で破断し易くなる。原紙シートがミシン目で不用意に破断しないように、原反ロールと巻取ロールとの間の速度差を小さくしてドローを弱くする調整を行うと、今度は、原紙シートに適当な張力が付与されずに原紙シートに弛みが生じ、その弛みに起因する皺が生じたりするという問題がある。特に、原紙シートに嵩高性を付与するエンボスを原紙シートにその実質的全面に亘って形成しない場合、すなわち、巻取ロールを形成する工程において原反ロールと巻取ロールとの間に原紙シートにその実質的全面に亘ってエンボス加工を施すエンボスロールが配されない場合には、原反ロールと巻取ロールとの間の速度差が原紙シートに作用する張力に直接的に影響し、そのような問題が顕著であった。
本発明は、ミシン目形成を伴う巻取ロール形成工程において、原紙シートに適当な張力を付与して、原紙シートの弛みに起因する皺およびミシン目での不用意な破断のいずれをも防止することのできる、衛生薄葉紙ロールの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者は、原紙シートが巻き取られた原反ロールから原紙シートを繰り出し、繰り出された原紙シートにその幅方向に延在する破断用ミシン目をミシン目形成手段により原紙シートの長さ方向に沿って所定間隔毎に形成してから、ロール状に巻き取って巻取ロールを形成する、巻取ロール形成工程を含む衛生薄葉紙ロールの製造方法であって、巻取ロール形成工程において、原反ロールから繰り出された原紙シートを、原反ロールとミシン目形成手段との間に配される給送手段によってミシン目形成手段に向けて給送し、原紙シートの巻取速度とミシン目形成手段への原紙シートの給送速度との間の速度差を、ミシン目形成手段への原紙シートの給送速度と原反ロールからの原紙シートの繰出速度との間の速度差よりも小さくする、衛生薄葉紙ロールの製造方法により、上記課題を解決し得ることを見出した。
具体的には、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 原紙シートが巻き取られた原反ロールから原紙シートを繰り出し、繰り出された原紙シートにその幅方向に延在する破断用ミシン目をミシン目形成手段により原紙シートの長さ方向に沿って所定間隔毎に形成してから、ロール状に巻き取って巻取ロールを形成する、巻取ロール形成工程を含む衛生薄葉紙ロールの製造方法であって、
巻取ロール形成工程において、
原反ロールから繰り出された原紙シートを、原反ロールとミシン目形成手段との間に配される給送手段によってミシン目形成手段に向けて給送し、
原紙シートの巻取速度Vwとミシン目形成手段への原紙シートの給送速度Vfとの間の速度差(式[巻取速度Vw÷給送速度Vf×100(%)]によって表される)を、ミシン目形成手段への原紙シートの給送速度Vfと原反ロールからの原紙シートの繰出速度Vuとの間の速度差(式[給送速度Vf÷繰出速度Vu×100(%)]によって表される)よりも小さくするとともに、巻取速度Vwと繰出速度Vuとの間の速度差(式[巻取速度Vw÷繰出速度Vu×100(%)]によって表される)を、101%以上110%以下とする、衛生薄葉紙ロールの製造方法。
[2] 給送手段は、原紙シートを抱き角度をもってロール外周面に沿うようにS字状に屈曲させつつ挟持搬送する一対のロールである、[1]に記載の衛生薄葉紙ロールの製造方法。
[3] 原反ロールから繰り出された原紙シートを、原反ロールと給送手段との間の複数個所に配される複数のエキスパンダーロールを介して、給送手段に送り込む、[1]または[2]に記載の衛生薄葉紙ロールの製造方法。
[4] 巻取ロール形成工程において、原反ロールと給送手段との間に配される原紙シートの張力調整用のダンサーロールの位置変化に基づいて、原反ロールからの原紙シートの繰出速度を調整して、原反ロールと給送手段との間の原紙シートに一定の張力を付与する、[1]から[3]のいずれかに記載の衛生薄葉紙ロールの製造方法。

本発明の衛生薄葉紙ロールの製造方法は、原反ロールから原紙シートを繰り出してから巻取ロールに巻き取るまでの巻取ロール形成工程において、ミシン目形成を施すミシン目形成部よりも上流に配される給送手段により、原反ロールから繰り出された原紙シートの給送を行い、給送手段の上流側と下流側とでドロー調整の条件を異ならせるものである。
これによると、原反ロールと給送手段との間に位置する原紙シートの部分に掛かる張力と、給送手段と巻取ロールとの間に位置する原紙シートの部分に掛かる張力と、を調整することができる。特には、給送手段の下流に位置するミシン目を含む原紙シートの部分に掛かる張力を、給送手段の上流に位置するミシン目を含まない原紙シートの部分に掛かる張力と比べて、低減させることができる。ドロー調整の条件は、ミシン目形成による紙質の変化等に応じて設定することができる。
したがって、本発明によれば、衛生薄葉紙ロールの製造において、ミシン目を設ける場合であっても、原紙シートに適当な張力を付与して原紙シートの弛みや紙切れを防止することができる。
本発明の実施形態により製造される衛生薄葉紙ロールの例を示す図である。 本発明の実施形態を適用可能な製造装置の例を示す模式図である。 給送手段の例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態および図面は例示の目的で記載したものであり、本発明を限定するものではない。
(第1の実施形態)
(衛生薄葉紙ロールの製造方法)
本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法は、原紙シートが巻き取られた原反ロールから原紙シートを繰り出し、繰り出された原紙シートにその幅方向に延在する破断用ミシン目をミシン目形成手段により原紙シートの長さ方向に沿って所定間隔毎に形成してから、ロール状に巻き取って巻取ロールを形成する、巻取ロール形成工程を含み、巻取ロール形成工程において、原反ロールから繰り出された原紙シートを、原反ロールとミシン目形成手段との間に配される給送手段によってミシン目形成手段に向けて給送し、原紙シートの巻取速度とミシン目形成手段への原紙シートの給送速度との間の速度差を、ミシン目形成手段への原紙シートの給送速度と原反ロールからの原紙シートの繰出速度との間の速度差よりも小さくするものである。
本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法は、1または2以上の複数の原紙シートを含む単プライまたは2プライ以上の複数プライの衛生薄葉紙ロールであって、幅方向に延在する破断用ミシン目が原紙シートの長さ方向に沿って所定間隔毎に形成された衛生薄葉紙ロールの製造に適用可能である。特には、原紙シートに嵩高性を付与するエンボスが原紙シートにその実質的全面に亘って形成されていない、いわゆるノーエンボス原紙シートを含む単プライまたは複数プライの衛生薄葉紙ロールの製造に好適である。
(衛生薄葉紙ロール)
図1に、本発明の実施形態に係る製造方法により製造される衛生薄葉紙ロールの例として、トイレットロール10を示す。図1の(a)に示されるトイレットロール10は、原紙シートに嵩高性を付与するエンボスが原紙シートにその実質的全面に亘って形成されていない、1枚の原紙シート11で構成されるいわゆる単プライのノーエンボストイレットペーパー13が、円筒状の巻芯である紙管14に、所定長だけロール状に巻き回されたものである。図1の(b)に示されるトイレットロール10は、2枚の原紙シート11、12が重ね合わされたいわゆる2プライのノーエンボストイレットペーパー13が、円筒状の巻芯である紙管14に、所定長だけロール状に巻き回されたものである。
(原紙シート)
原紙シート11,12は、繊維原料であるパルプ成分を含むスラリーを抄紙することによって得られる。
(パルプ成分)
パルプ成分としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプを挙げることができる。
木材を原料として製造される木材パルプとしては、例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプが挙げられるが、特に限定されない。
木材以外の植物・動物を原料として製造される非木材パルプとしては、コットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。
古紙(抄紙されたパルプ)を原料として製造される古紙パルプとしては、例えば、牛乳パックのような液体を充填包装するための紙パックを原料とする、いわゆるミルクカートンパルプ、新聞や雑誌等を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。
パルプ成分は上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらパルプ成分はトイレットペーパーの品質に大きく影響するので、要求品質に合わせて所定の種類および配合割合で適宜配合される。
例えば、パルプ成分として、針葉樹パルプおよび広葉樹パルプから選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。針葉樹パルプは、繊維が長く強度があり、抄造される原紙シートに強度を付与することができる。また、広葉樹パルプは、繊維が短く、しなやかであり、抄造される原紙シートに均一性、地合いのよさ、柔らかさなどを提供することができる。本発明の実施形態において、針葉樹パルプと広葉樹パルプを併用することが好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)と広葉樹クラフトパルプ(LKP)を併用することがより好ましい。
針葉樹パルプと広葉樹パルプとを併用する場合、針葉樹パルプと広葉樹パルプとの配合割合(質量比)を示すL/N比は、例えば、10/90~90/10とすることが好ましく、20/80以上とすることがより好ましく、30/70以上とすることがさらに好ましく、また、80/20以下とすることがより好ましく、70/30以下とすることがさらに好ましい。
(任意成分)
原紙シートには、要求品質および操業の安定のために、任意成分として様々な薬品が添加されていてもよい。任意成分としては、例えば、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、柔軟剤、嵩高剤、染料、香料、分散剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、歩留向上剤、サイズ剤等を挙げることができる。乾燥紙力剤としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドエピクロロヒドリン、尿素、メラミン、熱架橋性ポリアクリルアミド等を挙げることができる。柔軟剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、および両性イオン界面活性剤等を挙げることができる。上記の任意成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の実施形態に係る製造方法により製造されるトイレットロール10が複数プライの場合、互いに重ね合わされる原紙シート11,12の種類(材質、物性などの紙質)は、要求品質等に応じて、同一であってもよく異なっていてもよい。
(坪量)
原紙シートの坪量は、要求品質に合わせて、例えば、7~30g/m2とすることができる。例えば、原紙シートの坪量は、好ましくは9g/m2以上とすることができ、および好ましくは17g/m2以下とすることができる。坪量は、日本工業規格JIS P8124の規定に従って測定される。
(破断用ミシン目)
図1を参照して、トイレットペーパー13には、トイレットロール10から引き出されたトイレットペーパー13のトイレットロール10からの切り離しを容易にするために、トイレットペーパー13の幅方向に延びる連続した小穴からなる破断用ミシン目15が、トイレットペーパー13の長手方向に沿って一定の間隔で形成されている。この長手方向における一定の間隔は、トイレを使用する際に必要とされる紙量や使いやすさを考慮して、例えば100~300mmとされるが、これに限定されず、任意に設定することができる。
破断用ミシン目15は、意図していないときにトイレットペーパー13が破断しないように、また、トイレットペーパー13に剪断力を加えた際にトイレットペーパーが容易に破断するように、ミシン目の小穴の形状、寸法、トイレットペーパー13の幅方向における数や密度などの分布状況等が決定される。破断用ミシン目15は、破断の容易さの観点から、トイレットペーパー13の厚さ方向を貫通し、およびトイレットペーパー13の幅方向における両側端縁に跨るように延在させることが好ましい。
破断用ミシン目は、知られている任意のミシン目形成手段により設けることができる。
図1の(b)に示される2プライのトイレットペーパー13には、プライ剥がれを防止するために、両側縁部に長手方向に沿って原紙シート11および12を接合するための接合用エンボス部13a(11a,12a)が任意選択的に設けられている。
(本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法および適用可能な製造設備の例)
図2に、本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法に適用可能な製造設備の例を模式的に示す。図2は例示目的であって本発明を限定するものではない。
図2に示される製造設備は、原反ロールから原紙シートを繰り出すシート繰出機能と、繰り出された原紙シートを給送する給送手段と、原紙シートにミシン目を形成するミシン目形成機能と、原紙シートをロール状に巻き取るシート巻取機能と、をこの順に備える、巻取ロール形成装置である。なお、この巻取ロール形成装置では、原紙シートに嵩高性を付与するエンボスを原紙シートにその実質的全面に亘って形成する機能は設けられていない。
図2において、原反ロールスタンド20は、複数の原反ロール11R,12Rを搭載可能に構成されており、単プライの衛生薄葉紙ロールおよび複数プライの衛生薄葉紙ロールのいずれをも製造することができる。
(原反ロール)
原反ロール11R,12Rは、当技術分野において知られている製紙技術により製造することができる。例えば、原反ロール11R,12Rは、抄紙機を用いて原紙シートを形成しつつ、形成された原紙シートを巻芯に巻き取る工程によって得ることができる。抄紙機には、ツインワイヤフォーマ方式、円網フォーマ方式、サクションプレストフォーマ方式、クレセントフォーマ方式等の知られている抄紙機が用いられてもよい。原反ロール11R,12Rに巻き取られている原紙シート11L,12Lの種類(材質、物性等)は、製造工程および/または最終製品の要求品質等に応じて、同一であっても異なるものであってもよい。
原反ロール11R,12Rとして、複数の原紙シートを構成要素とする複数プライのシートがロール状に巻き取られたロール(複数プライの原反ロール)を用いてもよい。複数プライの原反ロールは、プライ機、リワインダー等のプライ機能および巻取機能を有する、知られている任意の装置を用いて、複数の原反ロールのそれぞれから繰り出された原紙シートを重ね合わせつつ巻き取ることにより形成することができる。
図2に示される製造設備において、原反ロール11Rおよび原反ロール12Rは、同様の方法により制御することができる。説明の容易のため、図2の製造設備に原反ロール11Rのみが搭載されて、単プライのトイレットロール10(図1の(a))が製造される例により、本発明の実施形態を説明する。
本例において、原反ロールスタンド20には、帯状をなす長尺の原紙シート11Lが巻き取られた原反ロール11Rが配されている。原反ロール11Rは、トイレットロール10の幅の数倍から二十数倍の幅を有する。
原反ロール11Rは、原反ロールスタンド20に対して回転可能に取り付けられており、原紙シート繰出装置(不図示)によって回転駆動されつつ原紙シート11Lを繰り出すことができる。
ここで、本発明の実施形態に係る「原紙シートの繰出速度」とは、原反ロールから原紙シートが繰り出される速度をいう。本例において、原反ロール11Rから原紙シート11Lを繰り出す速度Vuが、本実施形態に係る「原紙シートの繰出速度」に相当する。
原紙シート繰出装置としては、原紙シート11Lを所定の繰出速度Vuで繰出可能であるとともに、かかる繰出速度Vuを無段階で変更することのできる、知られている任意の装置を用いることができる。原紙シート繰出装置は、例えば、原反ロール11Rの巻芯に通されたシャフトを回転駆動可能な駆動部による回転数の制御によって、原紙シート11Lの繰出速度Vuを調整するものであってもよい。あるいはまた、原紙シート繰出装置は、原反ロール11Rの外周に当接して原反ロール11Rを回転駆動する回転駆動ベルトの回転駆動速度の制御によって、原紙シート11Lの繰出速度Vuを調整するものであってもよい。繰出速度Vuの調整のための回転数や回転駆動速度の制御は、例えば駆動部に対する供給電圧や供給電流の変更により行うことができる。
原反ロール11Rから繰り出された原紙シート11Lは、原反ロールスタンド20の下流側に配された給送手段Fを介して、ミシン目形成部27に送り込まれる。このミシン目形成部27の下流側には、さらに巻取部30が配されている。
(給送手段)
本発明の実施形態において、給送手段Fとは、送り込まれてきた長尺の原紙シート11Lを駆動力をもって送り出すことが可能に構成された手段をいう。
給送手段Fの例には、例えば、フィードロールが挙げられる。フィードロールは、原紙シート11Lとの間に滑りが生じないような構造を有する少なくとも一本の駆動ロール(送りロールとも称される)を含む構成を有する。フィードロールは、非限定的に、原紙シート11Lを2本のロールで挟み込み上下から一定の圧力で押し合ってその給送を規制するロールの形態(ピンチロールとも称される)であってもよく、また、送りロールとニップロールとを含み、ニップロールにより原紙シート11Lを送りロールに対して圧を掛けて押し付けて送りロールの駆動力により給送を行う形態であってもよく、また、この他、知られている任意の形態をとっていてもよい。
ここで、本発明の実施形態に係る「原紙シートの給送速度」とは、給送手段によって給送される原紙シートの速度をいう。本例において、給送手段Fに送り込まれた原紙シート11Lが給送手段Fから送り出される際の原紙シートの速度Vfが、本実施形態に係る「原紙シートの給送速度」に相当する。
(ミシン目形成部)
ミシン目形成部27は、端的には、送り込まれてきた原紙シートに対してミシン目を形成するミシン目形成を施すユニットである。
ミシン目形成部27は、原紙シート11Lを幅方向に横切る破断用ミシン目15を、原紙シート11Lの長手方向(MD方向)に沿って一定間隔毎に形成するようにしている。破断用ミシン目の形成には、知られている任意のミシン目形成手段を用いることができる。
本例では、ミシン目形成手段は、駆動回転される回転刃ホルダー28hであって、この回転刃ホルダーの回転軸線と平行な方向に沿って一直線状をなす刃先が不連続となった櫛歯状カッター28cが取り付けられた回転刃ホルダー28hと、この回転刃ホルダー28hと対向して固定状態に保持される固定刃ホルダー29hであって、刃先が回転刃ホルダー28hの回転軸線と平行な方向に沿って一直線状に連続する直線状カッター29cが取り付けられた固定刃ホルダー29hと、を備えている。
ミシン目形成手段は、長尺の原紙シート11Lを、これら回転刃ホルダー28hの櫛歯状カッター28cと固定刃ホルダー29hの直線状カッター29cとの間を通過させる。これにより原紙シート11Lの幅方向に沿って櫛歯状カッター28cの刃先に対応した破断用ミシン目が、原紙シート11Lの幅方向両側端縁に跨がって形成される。
より詳細には、原紙シート11Lは、固定刃ホルダー29hに取り付けられた直線状カッター29cの刃先を横切るように通過し、この原紙シート11Lの通過速度に応じた周速で回転刃ホルダー28hの櫛歯状カッター28cが回転する。櫛歯状カッター28cが直線状カッター29cを通過する際にミシン目が原紙シート11Lに形成される。櫛歯状カッター28cと直線状カッター29cとで形成されるミシン目は、原紙シート11Lの幅方向両側端縁に跨がって延在し、かつ原紙シート11Lをその幅方向に沿って切り離すための破断用ミシン目となる。
なお、本例は、単一の原紙シート11Lで構成される単プライのトイレットロール10Lを形成する例であり、単一の原紙シート11Lに対してミシン目形成を行うが、複数の原紙シート(11L、12L)で構成される複数プライのトイレットロール10Lを形成する場合は、重ね合わされた積層シートの状態の複数の原紙シート(11L、12L)に対してミシン目形成を行うことは理解されよう。この場合は、同様に、上述の給送手段Fにおける給送および下述する巻取部30による巻き取りも、重ね合わされた積層シートの状態の複数の原紙シート(11L、12L)に対して行う。
ミシン目形成部27において破断用ミシン目15が形成された原紙シート11Lは、その下流側に配された巻取部30に送出される。
(巻取部)
巻取部30は、ミシン目形成部27から送出される原紙シート11Lの先端部を、軸方向に長尺の巻芯(紙管14L)に接着剤を介して巻き付けて原紙シート11Lを紙管14Lに所定長さだけ巻き取り、その後、不図示の切断手段により原紙シート11Lの後端部を切断して、幅広の、すなわちCD方向の寸法が大きいトイレットロール10Lを形成する。この幅広トイレットロール10Lが、本実施形態に係る「巻取ロール」に相当する。
ここで、本発明の実施形態に係る「原紙シートの巻取速度」とは、原紙シートが巻取ロールの形態に巻き取られる速度をいう。本例において、原紙シート11Lが紙管14Lに巻き取られる速度Vwが、本実施形態に係る「原紙シートの巻取速度」に相当する。
原紙シート11Lの巻き取りには、原紙シート11Lを所定の巻取速度Vwで巻き取り可能であるとともに、かかる巻取速度Vwを無段階で変更することのできる、知られている任意のシート巻取装置を用いることができる。本例では、シート巻取装置は、幅広トイレットロール10Lの外周に当接して幅広トイレットロール10Lを回転駆動する回転駆動ロールの回転駆動速度の制御によって、原紙シート11Lの巻取速度Vwを調整している。しかしながら、これに限定されず、シート巻取装置は、例えば、幅広トイレットロール10Lの巻芯に通されたシャフトを回転駆動可能な駆動部による回転数の制御によって、原紙シート11Lの巻取速度Vwを調整するものであってもよい。巻取速度Vwの調整のための回転数や回転駆動速度の制御は、駆動部に対する供給電圧や供給電流の変更により行うことができる。
このようにして形成された幅広トイレットロール10L、すなわち巻取ロール10Lは、次いで、不図示の切断部により、製品スペック等に応じた所定幅に切断されて個々のトイレットロール10となる。
(ドロー調整)
図2を参照して、本実施形態による、原反ロール11Rと巻取ロール10Lとの間の速度差の制御によるドロー調整について詳述する。なお、原反ロール11Rと巻取ロール10Lとの間のドロー調整と、原反ロール12Rと巻取ロール10Lとの間のドロー調整とは、同様に行うことが可能であり、本例のドロー調整の説明は、用いられる原反ロールが2以上の複数である場合にも、同様に適用することができる。
本実施形態に係る衛生薄葉紙ロール(トイレットロール)の製造方法は、巻取ロール形成工程において、原紙シートの巻取速度Vwとミシン目形成手段への原紙シートの給送速度Vfとの間の速度差を、ミシン目形成手段への原紙シートの給送速度Vfと原反ロールからの原紙シートの繰出速度Vuとの間の速度差よりも小さくすることで、ドロー調整を行うものである。
巻取速度Vwと給送速度Vfとの間の速度差は、式Vw÷Vf×100(%)によって表すことができる。また、給送速度Vfと繰出速度Vuとの間の速度差は、式Vf÷Vu×100(%)によって表すことができる。
本実施形態では、下式(I)が成り立つような条件でドロー調整を行う。
巻取速度Vw÷給送速度Vf×100(%)<給送速度Vf÷繰出速度Vu×100(%)・・・式(I)
なお、このとき、式Vw÷Vu×100(%)によって表される巻取速度Vwと繰出速度Vuとの間の速度差は、101%以上110%以下となるようにすることが好ましい。かかる速度差が101%未満であると、原紙シート11Lに十分な張力を掛けることができず、原紙シート11Lの弛みや皺寄りに繋がるおそれがある。かかる速度差が110%を超えると、原紙シート11Lに、ミシン目での不用意な破断が生じやすくなる。
(作用効果)
本実施形態では、巻取ロール形成工程において、原紙シート11Lの巻取速度Vwとミシン目形成手段27への原紙シート11Lの給送速度Vfとの間の速度差を、当該給送速度Vfと原紙シート11Lの繰出速度Vuとの間の速度差よりも小さくすることで、ドロー調整を行う。
これによると、原反ロール11Rと給送手段Fとの間に位置する原紙シート11Lの部分に掛かる張力と、給送手段Fと巻取ロール10Lとの間に位置する原紙シート11Lの部分に掛かる張力と、を異ならせることができる。特には、給送手段Fの下流に位置する破断用ミシン目15を含む原紙シート11Lの部分に掛かる張力を、給送手段Fの上流に位置する破断用ミシン目15を含まない原紙シート11Lの部分に掛かる張力と比べて、低減させることができる。ドロー調整の条件は、ミシン目形成による紙質の変化等に応じて設定することができる。
したがって、本発明によれば、トイレットロール10の製造において、破断用ミシン目15を設ける場合であっても、原紙シート11Lに適当な張力を付与して原紙シート11Lの弛みに起因する皺や破断用ミシン目での不用意な破断を防止することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、第1の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第2の実施形態に係る衛生薄葉紙ロール(トイレットロール)の製造方法は、第1の実施形態で説明した巻取ロール形成工程において、ミシン目形成部27への原紙シートの給送手段Fとして、原紙シートを抱き角度をもってロール外周面に沿うようにS字状に屈曲させつつ挟持搬送する一対のロールを使用するものである。
図3を参照して、本実施形態に適用可能な給送手段の具体的な例として、原紙シートを抱き角度をもってロール外周面に沿うようにS字状に屈曲させつつ挟持搬送する、一対のロールの形態をとるフィードロールを説明する。
図3に示されるように、給送手段Fに送り込まれる原紙シート11Lは、まず、フィードロールの一対のロールF1,F2のうちの一方のロールF1と接しそのロール外周面に沿うように抱き角度αをもって円弧状に屈曲させられる。次いで、原紙シート11Lは、ロールF1とロールF2とによって挟持される点Pまで搬送され、今度は、他方のロールF2と接しそのロール外周面に沿うように抱き角度βをもって反対面側に突出する円弧状に屈曲させられる。次いで、原紙シート11Lは、給送手段Fから送り出され、ロールF2から離れる。このようにして、原紙シート11Lは、側方からみてS字を描くように屈曲させられつつ挟持搬送される。ロールF1による抱き角度αとロールF2による抱き角度βとは同じであっても異なっていてもよいが、いずれも0度よりも大きく、すなわち、式α>0°、β>0°を満たすものとする。
(作用効果)
給送手段Fとして、このような、原紙シート11Lを抱き角度α、βをもってロール外周面に沿うようにS字状に屈曲させつつ挟持搬送する一対のロールF1,F2を用いることにより、原反ロール11Rから繰り出された原紙シート11Lは、S字状に屈曲させられつつミシン目形成手段に向けて給送される。この構成によれば、意図的に給送手段Fの上流と下流とで張力を変更するにあたり、給送手段Fに送り込まれる原紙シート11Lに掛かる張力Tiと給送手段Fから送り出される原紙シート11Lに掛かる張力Toとの間の張力の差Δ(|Ti-To|)を吸収させることができる。この意図的な張力の変更は、テンションカットとも称される。テンションカットにより、給送手段Fの上流および下流において、原紙シート11Lに適当な張力を安定して付与することができる。その結果、原紙シート11Lの弛みに起因する皺やミシン目での不用意な破断を安定して防止することができる。抱き角度α、βが大きいと、テンションカット効果が大きく、より安定した張力付与が可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第3の実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法は、上述の実施形態で説明した巻取ロール形成工程において、原反ロール11Rから繰り出された原紙シート11Lを、原反ロール11Rと給送手段Fとの間の複数個所に配される複数のエキスパンダーロール25,26を介して、給送手段Fに送り込むものである。
エキスパンダーロールとしては、製紙技術の分野において、抄紙工程や塗工工程でシート走行時に発生するシワや縮みを除去するためのロールとして用いられているものを、本発明の実施形態に適用することができる。本発明に適用可能なエキスパンダーロールの種類に、特に制限はない。
本発明の実施形態に適用可能なエキスパンダーロールの種類には、例えば、弓形に湾曲した非回転の軸の外周に、ボールベアリングが内蔵されたスプールを介してゴム製筒体を回転自在に装着したゴムエキスパンダーロール、またはゴム製筒体をかぶせていないスチールエキスパンダーロール、全体形状が湾曲状のエキスパンダーロールであって、螺旋状溝を設けたもの、全体形状が直線状であって、回転軸と一体に回転するロールの表面に、その中央部分から左右対称に螺旋状溝を設けたウォームロール、などが挙げられる。
エキスパンダーロール25,26が湾曲したロールである場合、静止した軸を中心として湾曲したロールが回転することによって、その拡幅効果により、原紙シート11Lを中心部分から外側に向かって押し出し、皺を伸ばし縮みを取り除くことができる。これは、原紙シート11Lが普通のストレートロール(全体形状が直線状であり、溝等が形成されていないロール)と十分な抱き角度を持って接しながら流れている場合、シート11Lはそのロール軸と垂直な方向に進むという原理に基づくものである。
エキスパンダーロール25,26が、全体形状が直線状のロールである場合、回転軸と一体に回転するロールの表面に当接する原紙シート11Lは、エキスパンダーロール25,26の表面に設けられたエキスパンダーロール25,26の中央部分から左右対称に延びる螺旋状溝に沿って、拡幅されるように押し出される。これにより、原紙シート11Lの皺を伸ばし縮みを取り除くことができる。
図2を参照して、エキスパンダーロール25,26は、原反ロール11Rと給送手段Fとの間、好ましくは給送手段Fの上流側近傍に配される。特に、後述のように、原紙シート11Lが接合用エンボスロールユニット24を経て給送手段Fに送り込まれる場合においては、エキスパンダーロール25,26は、好ましくは、接合用エンボスロールユニット24の下流に配される。これにより、原紙シート11Lは複数のエキスパンダーロール25,26によりこまめに皺が取り除かれた状態で給送手段Fに送り込まれるため、給送手段Fによる皺の発生を効果的に防止することができる。
図2の例では、2つのエキスパンダーロール25,26が配されているが、複数のエキスパンダーロールの種類は、同じであっても異なっていてもよい。
図2の例では、2つのエキスパンダーロール25,26が配されているが、エキスパンダーロールの数はこれに限定されない。製造設備の規模や設置スペースによっては、3以上の複数のエキスパンダーロールが用いられてもよい。エキスパンダーロールの数が多いと、原紙シートに生じ得る皺をこまめに取り除くことができ、皺の発生を防止する効果に優れて好ましいが、製造設備の規模や設置スペースの観点からは、少ない方が好ましい。
エキスパンダーロールの数が1つである場合、原紙シートの皺伸ばし効果はあるものの、エキスパンダーロールの数が複数である場合と比べて効果が小さく、原反ロールに由来する原紙シートの皺や、搬送工程によって生じ得た皺のすべてを除去しきれないことがある。
原紙シート11Lの搬送経路に、エキスパンダーロールとは別のロール、すなわち、皺を伸ばす機能を有さないロール(例えば、案内ロール)が含まれていてもよい。
(作用効果)
本実施形態では、原反ロールから繰り出された原紙シートを、原反ロールと給送手段との間の複数個所に配される複数のエキスパンダーロールを介して、給送手段に送り込むものである。これにより、原反ロールに由来する皺や、原紙シート搬送時の張力の掛かり方によって発生し得る皺を、原紙シートが給送手段に送り込まれる前に、除去することができる。その結果、本実施形態によれば、給送手段による皺の発生が防止され、原紙シートの弛みに起因する皺やミシン目での不用意な破断を、安定して防止することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第4の実施形態に係る衛生薄葉紙ロール(トイレットロール)の製造方法は、上述の実施形態で説明した巻取ロール形成工程において、原反ロール11Rと給送手段Fとの間に配される、原紙シート11Lの張力調整用のダンサーロールDの位置変化に基づいて、原反ロール11Rからの原紙シート11Lの繰出速度Vuを調整して、原反ロール11Rと給送手段Fとの間に一定の張力を付与するものである。
図2を参照して、ダンサーロールDは、原反ロール11Rと給送手段Fとの間、好ましくは原反ロール11Rの下流側近傍に配される。ダンサーロールDは、テンションロールとも称され、原反ロール11Rから給送手段Fに向けて繰り出される原紙シート11Lに当接しこれに対して一定の張力を付与することができるように構成されている。
本発明の実施形態において、ダンサーロールDの種類に特に限定はない。ダンサーロールDは、例えば、重さを利用したウェイトダンサやバネを利用したスプリングダンサであってもよく、空気圧を利用したエアシリンダなどで加圧可能に構成されていてもよい。ダンサーロールDによって原紙シート11Lに付与する張力の大きさは、ダンサーロールDの種類に応じて、重さ、バネ、空気圧などによって制御することができる。
ダンサーロールDによって原紙シート11Lに付与する張力の大きさを設定するにあたり、原反ロールRと給送手段Fとの間の原紙シート11Lに掛かる張力は、知られている任意の張力検出器によって検出することができる。検出された原紙シートに掛かる張力の大きさに応じて、エンボスシート13Lに付与する張力を適宜設定することができる。
ダンサーロールDの位置変化に基づいて、原反ロール11Rからの原紙シート11Lの繰出速度Vuを調整する方法の例について説明する。
ダンサーロールDは、例えば、その軸受け部材(不図示)を回転半径として揺動されることや、ダンサーロールDに取り付けられた軸部材(不図示)をその軸受け部材(不図示)に設けられたガイド穴(不図示)に挿通させることで直線的に変位することで、ダンサーロールDの上流側と下流側との間の原紙シート11Lの搬送速度の変化によって原紙シート11Lの張力変動が生じないように対応している。つまり、ダンサーロールDの下流側における原紙シート11Lの搬送速度が速くなるとダンサーロールDは張り位置側(図2中、上方向)に、逆に搬送速度が遅くなるとダンサーロールDは弛み位置側(図2中、下方向)に、その変動量を補正するように上下変動(揺動/変位)する。そして、ダンサーロールDは、運転中は搬送速度の変動に対応できるように張り位置と弛み位置との間のほぼ中央に位置するように制御される。
ダンサーロールDには、ダンサーロールDの上下変動を検出するための変位検出手段(不図示)が取り付けられる。変位検出手段には、例えばダンサーロールDの上下方向の変位に相応して抵抗値が変化するポテンションメータを用いることができ、ポテンションメータの検出値はダンサーロールDを制御するダンサー制御回路(不図示)へと出力される。つまり、ダンサーロールDの上下変位量は電気信号としてダンサー制御回路へと出力される。なお、変位検出手段は、ポテンショメータに限定する必要はなく、エンコーダ等の変位検出手段が用いられてもよい。
ダンサー制御回路では、変位検出手段で検出された変位量が入力されると、その変位量に対応する速度変動量を算出する。この算出された速度変動量は、速度制御回路(不図示)へと出力される。速度制御回路には、原紙シート11Lの搬送速度が一定となるように速度指令発生回路(不図示)から速度信号が入力される。ダンサーロールDの上下変動が生じた場合、算出されたダンサー制御回路からの速度変動量の信号を入力し、ダンサーロールDが中央位置に保持されるように、原反ロール11Rの回転速度を補正する。
つまり、ダンサーロールDが張り位置側(図2中、上方向)に変動した場合は、ダンサーロールDの下流側の原紙シート11Lの搬送速度が相対的に速くなっているため、ダンサーロールDの上流側の原紙シート11Lの搬送速度がそれに対応して速くなるように、原紙シート11Lを繰り出す原反ロール11Rの回転速度を速くする。また、ダンサーロールDが弛み位置側(図2中、下方向)に変動した場合は、ダンサーロールDの下流側の原紙シート11Lの搬送速度が相対的に遅くなっているため、ダンサーロールDの上流側の原紙シート11Lの搬送速度がそれに対応して遅くなるように、原紙シート11Lを繰り出す原反ロール11Rの回転速度を遅くする。このようにして、ダンサーロールDの位置変化に基づいて、原反ロール11Rからの原紙シート11Lの繰出速度Vuを調整して、原反ロール11Rと給送手段Fとの間の原紙シート11Lに一定の張力を付与することができる。
(作用効果)
本実施形態は、巻取ロール形成工程において、原反ロール11Rと給送手段Fとの間に配される原紙シートの張力調整用のダンサーロールDの位置変化に基づいて、原反ロール11Rからの原紙シートの繰出速度Vuを調整して、原反ロール11Rと給送手段Fとの間に一定の張力を付与するものである。本実施形態によれば、給送手段Fの上流において、原紙シート11Lに適当な張力を安定して付与することができ、これにより、原紙シート11Lの弛みに起因する原紙シートの皺を安定して防止することができる。
(発明の適用)
以上、本発明に係る第1から第4の実施形態を説明したが、これらの実施形態の特徴は、矛盾が生じない限り、任意に組み合わせることができる。
以上、図2を参照しつつ、本発明の実施形態を、1つの原反ロール11Rから単プライのトイレットロール10Lを形成する方法を例にして説明した。しかしながら、本発明の実施形態は、2以上の複数の原反ロール(11R,12R)から2プライ以上の複数プライのトイレットロール10Lを形成する方法にも適用することができる。
図2に示される製造設備において、2つの原反ロール11R,12Rを用いて2プライのトイレットロール10Lを形成する場合、原反ロール11R,12Rのそれぞれから繰り出される原紙シート11L,12Lは、案内ローラ21上で互いに重ね合わされ、次いで、重ね合わされた積層シートの形態で、案内ローラ21と給送手段Fとの間に配される接合用エンボスロールユニット24に向けて搬送される。積層シートの形態の原紙シート11L,12Lは、エンボスホイール22と受けロール23との間を通過する際に、接合用エンボス部13a(11a,12a)(図1の(b)参照)が形成され、積層状態で一体的に接合される。これにより、トイレットペーパー13を構成する原紙シート11,12のプライ剥がれが防止されることとなる。
なお、上記実施形態では、2つの原反ロール11R,12Rを用いて2プライのトイレットロール10Lを形成する場合について説明したが、原反ロール11Rとして、2枚の原紙シートが積層シートの形態で巻き取られた単一の原反ロールを用い、当該原反ロールから繰り出される積層シートの形態の原紙シートがエンボスホイール22と受けロール23との間を通過するようにして2プライのトイレットロール10Lを形成するようにしてもよい。
また、2プライのトイレットロール10Lを形成する場合に、積層シートの形態の原紙シートがエンボスホイール22と受けロール23との間を通過するようにしたが、これに限らず、単一の原紙シート11Lが巻き取られた原反ロール11Rを用いて1プライのトイレットロール10Lを形成する場合にも、原反ロール11Rから繰り出される原紙シート11Lがエンボスホイール22と受けロール23との間を通過するようにしてもよい。すなわち、エンボスホイール22を受けロール23に対して接離可能に設けて両者間を開閉可能とし、2プライのトイレットロール10Lを形成する場合には、エンボスホイール22と受けロール23との間を閉じ、単一の原反ロール11Rを用いて1プライのトイレットロール10Lを形成する場合には、エンボスホイール22を受けロール23から離反させて両者間を開放するようにしてもよい。
同様にして、本発明の製造方法は、単プライ、2プライだけでなく、3プライ以上の複数プライの衛生薄葉紙が巻き取られた衛生薄葉紙ロールの製造にも適用することができる。
本発明の製造方法は、トイレットロールのみでなく、キッチンロール(ロール状のキッチンペーパー)のような、知られている任意のミシン目付き衛生薄葉紙ロールの製造にも適用することができる。
本発明の実施形態を、2プライのキッチンロールの製造に適用する場合、グルーで接着された2プライの積層エンボスシートが巻き取られたロールを複数プライの原反ロールとしてあらかじめ形成し、これを用いて本発明の製造方法を実施してもよい。
本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
D ダンサーロール(テンションロール)
F 給送手段
Vf 原紙シートの給送速度
Vu 原紙シートの繰出速度
Vw 原紙シートの巻取速度
10 トイレットロール
10L 幅広トイレットロール
11,12 原紙シート
11a,12a,13a 接合用エンボス部
11L,12L 長尺の原紙シート
11R,12R 原反ロール
13 トイレットペーパー
14 紙管(巻芯)
15 破断用ミシン目
20 原反ロールスタンド
21 案内ローラ
22 エンボスホイール
23 受けロール
24 接合用エンボスロールユニット
25,26 エキスパンダーロール
27 ミシン目形成部
30 巻取部

Claims (4)

  1. 原紙シートが巻き取られた原反ロールから前記原紙シートを繰り出し、繰り出された前記原紙シートにその幅方向に延在する破断用ミシン目をミシン目形成手段により前記原紙シートの長さ方向に沿って所定間隔毎に形成してから、ロール状に巻き取って巻取ロールを形成する、巻取ロール形成工程を含む衛生薄葉紙ロールの製造方法であって、
    前記巻取ロール形成工程において、
    前記原反ロールから繰り出された前記原紙シートを、前記原反ロールと前記ミシン目形成手段との間に配される給送手段によって前記ミシン目形成手段に向けて給送し、
    前記原紙シートの巻取速度Vwと前記ミシン目形成手段への前記原紙シートの給送速度Vfとの間の速度差(式[巻取速度Vw÷給送速度Vf×100(%)]によって表される)を、前記ミシン目形成手段への前記原紙シートの給送速度Vfと前記原反ロールからの前記原紙シートの繰出速度Vuとの間の速度差(式[給送速度Vf÷繰出速度Vu×100(%)]によって表される)よりも小さくするとともに、前記巻取速度Vwと前記繰出速度Vuとの間の速度差(式[巻取速度Vw÷繰出速度Vu×100(%)]によって表される)を、101%以上110%以下とすることを特徴とする衛生薄葉紙ロールの製造方法。
  2. 前記給送手段は、前記原紙シートを抱き角度をもってロール外周面に沿うようにS字状に屈曲させつつ挟持搬送する一対のロールであることを特徴とする請求項1に記載の衛生薄葉紙ロールの製造方法。
  3. 前記原反ロールから繰り出された前記原紙シートを、前記原反ロールと前記給送手段との間の複数個所に配される複数のエキスパンダーロールを介して、前記給送手段に送り込むことを特徴とする請求項1または2に記載の衛生薄葉紙ロールの製造方法。
  4. 前記巻取ロール形成工程において、前記原反ロールと前記給送手段との間に配される前記原紙シートの張力調整用のダンサーロールの位置変化に基づいて、前記原反ロールからの前記原紙シートの前記繰出速度を調整して、前記原反ロールと前記給送手段との間の前記原紙シートに一定の張力を付与することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の衛生薄葉紙ロールの製造方法。
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