JP7023770B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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本発明は、排ガス浄化用触媒に関する。詳しくは、内燃機関から排出される排ガス中の有害成分を浄化する排ガス浄化用触媒に関する。
内燃機関から排出される排ガスには、粒子状物質(PM:Particulate Matter)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)などの有害成分が含まれる。これらの有害成分を浄化するために、内燃機関の排気系には排ガス浄化用触媒が設けられている。かかる排ガス浄化用触媒は、例えば、複数の流路(セル)を有した基材と、当該基材内部に形成された触媒層とを備えている。この排ガス浄化用触媒の触媒層には、上記した有害成分を浄化する金属触媒と、該金属触媒を担持する担体とが含まれている。
ところで、上記した内燃機関から排出される排ガスには、エンジンオイルに由来するリン成分が混入していることがある。かかるリン成分が触媒層中の金属触媒に付着すると、当該金属触媒の触媒機能が阻害されて、排ガス浄化用触媒の排ガス浄化能力が著しく低下する、所謂リン被毒が発生する虞がある。
かかるリン被毒の発生を抑制するために、従来から種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1~特許文献3には、触媒層中の金属触媒にリン成分が接触しないように、リン成分捕集用の層(リン捕集層)を触媒層上に設ける技術が開示されている。具体的には、特許文献1にはリン捕捉体を含む層で触媒層を被覆する技術が記載されており、特許文献2にはリン成分との反応性が低いアルカリ土類金属のリン酸化合物で触媒層を被覆する技術が記載されている。また、特許文献3には、金属触媒を含まない(或いは金属触媒の含有量が少ない)層を、触媒層上に設ける技術が開示されている。
また、リン被毒を抑制するための技術の他の例として、排ガス供給方向における上流側と下流側とで触媒層の組成を異ならせるという技術が提案されている。例えば、特許文献4には、リン成分が供給され易い基材の上流側には金属触媒を配置せず、下流側に主に金属触媒を配置するという技術が開示されている。また、特許文献5には、高い比表面積を有し、かつ、多くの貴金属が担持されたウォッシュコートを基材の上流側に設けることによって、当該ウォッシュコートにおいてリン成分を捕集し、下流側の触媒層にリン成分が蓄積することを防止する技術が開示されている。
特開昭61-274746号公報 特許第4161722号 特許第5504834号 特許第5619091号 特表2016-519617号
しかしながら、上記した従来の技術は、それぞれ何らかの問題を有しており、更に好適な技術の開発が望まれていた。
例えば、特許文献1~特許文献3のようにリン捕集層を触媒層上に設けると、新たに設けられたリン捕集層によってガス透過性が低下する虞がある。この場合、排ガス中の有害成分を金属触媒に効率良く接触させることが困難になるため、排ガス浄化用触媒の排ガス浄化能力が低下する虞がある。特に、多孔質の隔壁に排ガスを通過させるウォールフロー型の基材を有する排ガス浄化用触媒の場合に当該基材の隔壁の上にリン捕集層を設けると、リン捕集層にリン成分が堆積してガス透過性がさらに低下し、圧損の急激な上昇が生じるため排ガス浄化能力がさらに大きく低下する可能性がある。
一方、特許文献4のような技術の場合、使用開始から所定の期間はリン被毒の発生を好適に抑制できる。しかし、かかる排ガス浄化用触媒を継続して使用し続けると、下流側に配置された金属触媒にもリン被毒が生じ始めるため、長期間に亘って十分な排ガス浄化性能を維持することは困難であった。また、特許文献5に記載の技術においては、長期間に亘って十分な排ガス浄化能力を維持するために多量の貴金属が必要であるため、製品コストが大幅に上昇するという問題を有していた。
本発明はかかる課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、金属触媒のリン被毒を好適に抑制し、十分な排ガス浄化性能を長期間に亘って維持することができる排ガス浄化用触媒を安価に提供することである。
ここで開示される排ガス浄化用触媒は、内燃機関の排気通路に配置され、該内燃機関から排出される排ガス中の有害成分を浄化する。かかる排ガス浄化用触媒は、複数のセルが隔壁によって仕切られた基材と、基材の隔壁表面および基材の隔壁内部の少なくとも一方に形成された触媒層と、触媒層上に設けられたリン捕集層とを備えている。
そして、かかる排ガス浄化用触媒のリン捕集層は、La、Fe、Zr、Ce、Ti、Sr、Ca、Mg、Pr、Yのうち少なくとも一つを含むリン捕集成分を有しており、リン捕集層の断面の電子顕微鏡観察画像において、リン捕集層を100%としたときに、円相当径が5μmよりも大きな大細孔が45%以上を占めている。
ここで開示される排ガス浄化用触媒では、Laなどを含むリン捕集成分を有するリン捕集層が触媒層上に設けられている。これによって、排ガス中のリン成分を触媒層に到達する前に捕集して無毒化することができる。このため、金属触媒のリン被毒による排ガス浄化能力の低下を好適に抑制することができる。
そして、ここで開示される排ガス浄化用触媒のリン捕集層は、円相当径が5μmよりも大きな大細孔がリン捕集層の体積の45%以上を占めるように形成されている。かかるリン捕集層は、上記した特許文献1~特許文献3に記載されているようなリン捕集層に比べて、相対的に大きな細孔を高い割合で有しているため、顕著に高いガス透過性を有している。このため、排ガス中の有害成分を金属触媒に効率良く接触させ、高い排ガス浄化能力を発揮することができる。
また、かかる排ガス浄化用触媒のリン捕集層は、濾過層として機能するため、排ガス中のリンやPMが触媒層内部に侵入することを抑制できる。そして、かかるリン捕集層は、大きな細孔が多く形成されており、顕著に高いガス透過性を有している。このため、ここで開示される排ガス浄化用触媒を、ウォールフロー型の基材を有する排ガス浄化用触媒に適用することによって、長期間継続して使用した場合であっても、圧損の上昇を低く抑えることができる。また、圧損ヒステリシスを低減することができる。
さらに、ここで開示される排ガス浄化用触媒では、触媒層がリン捕集層に覆われているため、特許文献4の技術と異なり、長期間使用し続けた場合でも金属触媒のリン被毒を好適に抑制し、十分な排ガス浄化性能を長期間維持することができる。また、特許文献5のように多量の貴金属を使用する必要がないため、製品コストの大幅な上昇を防止することができる。
以上のように、ここで開示される排ガス浄化用触媒によれば、金属触媒のリン被毒を好適に抑制し、十分な排ガス浄化性能を長期間に亘って維持することができる排ガス浄化用触媒を安価に提供することができる。
また、ここに開示される排ガス浄化用触媒の好ましい他の一態様では、上記リン捕集層の断面の電子顕微鏡観察画像において、上記リン捕集層の空隙率が70%以上である。これにより、リン捕集層の形成に伴うガス透過性の低下をより良く抑えて排ガス中の有害成分を効率よく金属触媒に接触させることができる。さらに、ウォールフロー型の基材を用いている場合には、リンやPMなどの堆積による圧損の上昇をより良く抑制することができる。したがって、本発明の効果を高いレベルで発揮することができる。
また、ここに開示される排ガス浄化用触媒の好ましい他の一態様では、上記リン捕集層は、細孔径が1μm以上10μm未満である第1の細孔と、細孔径が0.5μm以上1μm未満である第2の細孔と、を有する多元細孔構造である。これにより、リン捕集層が多段階の細孔径(目開き)を有する構造となるため、排ガス中の有害成分を金属触媒に好適に接触させることができると共に、リン捕集層20によってリン成分を好適に捕集することができる。また、ウォールフロー型の基材を用いている場合には、触媒層へのリンの侵入を高度に抑制し、圧損ヒステリシスをより良く抑制することができる。したがって、本発明の効果を高いレベルで発揮することができる。
また、ここに開示される排ガス浄化用触媒の好ましい他の一態様では、水銀ポロシメータの細孔分布測定において、上記第1の細孔の細孔容積が、上記第2の細孔の細孔容積の4倍以上である。これにより、リン捕集層のガス透過性がより一層良好になるため、本発明の効果をさらに高いレベルで発揮することができる。
また、ここに開示される排ガス浄化用触媒の好ましい他の一態様では、上記リン捕集層の骨格部分の表面の電子顕微鏡観察画像において、表面開口率が25%以上である。これにより、リン捕集層へのリン捕集効率を高めて、金属触媒のリン被毒をより好適に抑制することができるとともに、排ガス中の有害成分を効率良く金属触媒に接触させることができる。加えて、ウォールフロー型の基材を用いている場合には、リン捕集層の形成に伴う圧損の増大を劇的に低く抑えることができる。
また、ここに開示される排ガス浄化用触媒の好ましい他の一態様では、上記リン捕集層の骨格部分の表面の電子顕微鏡観察画像において、小細孔側から累積5%に相当する細孔径Pが0.03μm以上であり、かつ、小細孔側からの累積95%に相当する細孔径P95が1.5μm以上である。これにより、リン捕集層におけるリン捕集効率と機械的強度とを高いレベルで両立させることができる。
一実施形態に係る排ガス浄化装置を模式的に示す図である。 一実施形態に係る排ガス浄化用触媒を模式的に示す斜視図である。 一実施形態に係る排ガス浄化用触媒の筒軸方向に沿った断面を模式的に示す図である。 他の一実施形態に係る排ガス浄化用触媒の筒軸方向に沿った断面を模式的に示す図である。 例1の排ガス浄化用触媒の筒軸方向に垂直な断面のSEM観察画像(倍率:200倍)である。 例2の排ガス浄化用触媒の筒軸方向に垂直な断面のSEM観察画像(倍率:200倍)である。 参考例1の排ガス浄化用触媒の筒軸方向に垂直な断面のSEM観察画像(倍率:200倍)である。 参考例2の排ガス浄化用触媒の筒軸方向に垂直な断面のSEM観察画像(倍率:200倍)である。 例1の排ガス浄化用触媒のリン捕集層の表面のSEM観察画像(倍率:2000倍)である。 参考例2の排ガス浄化用触媒のリン捕集層の表面のSEM観察画像(倍率:2000倍)である。 図5のSEM観察画像の拡大画像(倍率:1000倍)である。 図11に示されるリン捕集層の細孔に画像処理を施した後の画像である。 図11に示されるリン捕集層の細孔のうち、円相当径5μm以上の細孔に画像処理を施した後の画像である。 水銀ポロシメータによる例1および参考例2のリン捕集層の細孔分布の測定結果を示すグラフである。 例1の触媒層の骨格部分の表面SEM観察画像(倍率20000倍)である。 図15中の表面開口の部分に画像処理を施した後の画像である。 例1、参考例1および参考例2におけるリン供給量と、HCの90%浄化温度(T90)との関係を示すグラフである。 例1、参考例1および参考例2におけるデカン(C1022)の90%浄化温度(T90)の測定結果を示すグラフである。 参考例1および例3~例5におけるLa担持密度と、HCの90%浄化温度(T90)との関係を示すグラフである。 例17の排ガス浄化用触媒の筒軸方向に垂直な断面のSEM観察画像(倍率:1000倍)である。 例17の排ガス浄化用触媒のリン捕集層の表面のSEM観察画像(倍率:2000倍)である。 例18の排ガス浄化用触媒の筒軸方向に垂直な断面のSEM観察画像(倍率:1000倍)である。 例18の排ガス浄化用触媒のリン捕集層の表面のSEM観察画像(倍率:2000倍)である。 例19の排ガス浄化用触媒の筒軸方向に垂直な断面のSEM観察画像(倍率:1000倍)である。 例19の排ガス浄化用触媒のリン捕集層の表面のSEM観察画像(倍率:2000倍)である。 例20の排ガス浄化用触媒の筒軸方向に垂直な断面のSEM観察画像(倍率:1000倍)である。 例20の排ガス浄化用触媒のリン捕集層の表面のSEM観察画像(倍率:2000倍)である。
以下、図面を参照しつつ本発明の好適ないくつかの実施形態を説明する。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さなど)は、実際の寸法関係を必ずしも反映するものではない。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば排ガス浄化用触媒の自動車における配置に関するような一般的事項)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術知識とに基づいて実施することができる。
<排ガス浄化装置1>
先ず、本発明の一実施形態に係る排ガス浄化用触媒が使用される排ガス浄化装置1の構成について説明する。図1は、一実施形態に係る排ガス浄化装置1の模式図である。排ガス浄化装置1は、内燃機関2の排気系に設けられている。
内燃機関(エンジン)2には、酸素と燃料ガスとを含む混合気が供給される。内燃機関2は、この混合気を燃焼させ、燃焼エネルギーを力学的エネルギーに変換する。このときに燃焼された混合気は排ガスとなって排気系に排出される。また、かかる内燃機関2には、摩擦による焼き付きの防止などのために、リン化合物を含むエンジンオイルが供給される。このため、内燃機関2から排出される排ガスには、エンジンオイルに由来するリン成分が含まれる。
なお、図1に示す構成の内燃機関2は、自動車のガソリンエンジンを主体として構成されているが、後述の排ガス浄化装置1は、ガソリンエンジン以外のエンジン(例えばディーゼルエンジン等)にも勿論適用可能である。
排ガス浄化装置1は、排気通路(エキゾーストマニホールド3および排気管4)と、ECU5と、第1の排ガス浄化用触媒Aと、第2の排ガス浄化用触媒Bとを備えている。排ガス浄化装置1は、内燃機関2から排出される排ガスに含まれる有害成分(例えば、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO))を浄化するとともに、排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集する。
内燃機関2と排気系とを連通する排気ポート(図示せず)には、エキゾーストマニホールド3の一端が接続されている。エキゾーストマニホールド3の他の一端は、排気管4に接続されている。なお、図1中の矢印は、排ガスの流通方向を示している。ここでは、エキゾーストマニホールド3と排気管4によって排ガスの排気通路が構成されている。排気管4には、第1の排ガス浄化用触媒Aと、当該第2の排ガス浄化用触媒Bとが配置されている。第1の排ガス浄化用触媒Aは、排ガス浄化用触媒Bの上流側に設けられた排気温度上昇用触媒であり、第2の排ガス浄化用触媒Bの再生時に、第2の排ガス浄化用触媒Bに流入する排気ガスの温度を上昇させる機能を有している。
ECU5は、内燃機関2と排ガス浄化装置1の制御を行うエンジンコントロールユニットである。ECU5は、例えば、一般的な制御装置と同様に、デジタルコンピュータを備えている。ECU5は、さらに、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、制御プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、各種データを格納するメモリなどの記憶装置(記録媒体)とを備え得る。
ECU5には、入力ポート(図示せず)が設けられている。ECU5は、内燃機関2や排ガス浄化装置1の各部位に設置されているセンサ(例えば圧力センサ8)と電気的に接続されている。これにより、各々のセンサで検知した情報が上記入力ポートを介して電気信号としてECU5に伝達される。また、ECU5には出力ポート(図示せず)が設けられている。ECU5は、出力ポートを介して制御信号を送信することにより、内燃機関2や排ガス浄化装置1を制御する。
一例として、ECU5は、圧力センサ8の圧損値に基づいて、第2の排ガス浄化用触媒Bにどの程度PMが捕集されたか(PM堆積量)を推定する。ECU5は、圧損値が所定値以上になると、第2の排ガス浄化用触媒Bを所定の温度まで上昇させて、PMを燃焼・除去する。
本実施形態に係る排ガス浄化用触媒は、かかる排ガス浄化装置1の第1の排ガス浄化用触媒Aと第2の排ガス浄化用触媒Bの何れに用いてもよい。例えば、図1に示す排ガス浄化装置1では、上流側に配置された第1の排ガス浄化用触媒Aの方がリン被毒による性能低下が生じやすいため、後述するフロースルー型の基材11を有した排ガス浄化用触媒10(図3参照)は、図1中の第1の排ガス浄化用触媒Aに好ましく用いることができる。
また、図4に示すようなウォールフロー型の基材11を有した排ガス浄化用触媒10は、第2の排ガス浄化用触媒Bに好ましく用いることができる。これによって、リン被毒による性能低下をさらに好適に抑制することができるとともに、第2の排ガス浄化用触媒Bにおける圧損ヒステリシスを小さく抑えることができる。このため、圧力センサ8の圧損値に基づいてPM堆積量を精度よく推定し、第2の排ガス浄化用触媒Bの再生制御性に優れているとともに、再生処理の頻度が少なく燃費に優れた排ガス浄化装置1を提供することができる。
なお、上記した排ガス浄化装置1の構造は本発明を限定するものではない。例えば、排気温度上昇用触媒(第1の排ガス浄化用触媒A)は、排ガス浄化装置に必ずしも設けられていなくてもよい。このような排気温度上昇用触媒(第1の排ガス浄化用触媒A)が設けられていない排ガス浄化装置の場合には、第2の排ガス浄化用触媒Bに、図4に示すようなウォールフロー型の基材11を有した排ガス浄化用触媒10を好ましく用いることができる。
<排ガス浄化用触媒10>
次に、排ガス浄化用触媒10について説明する。
図2は、一実施形態に係る排ガス浄化用触媒10の斜視図である。図3は、一実施形態に係る排ガス浄化用触媒10の筒軸方向に沿った断面を模式的に示す図である。なお、図2,3では、排ガス流動方向を矢印方向で描いている。即ち、図2,3の左側が排気通路(排気管4)の上流側であり、右側が排気通路(排気管4)の下流側である。
排ガス浄化用触媒10は、上記した内燃機関2(図1参照)から排出された排ガスに含まれる有害成分(CO、HC、NO)を浄化する機能を有する。本実施形態の排ガス浄化用触媒10は、複数のセル15が隔壁16によって仕切られた基材11と、該基材11の隔壁16表面に形成された触媒層30と、触媒層30上に設けられたリン捕集層20とを備えている。以下、かかる排ガス浄化用触媒10を構成する各々の部材について説明する。
(1)基材
基材11は、排ガス浄化用触媒10の骨組みを構成するものである。基材11としては、従来この種の用途に用いられている種々の素材及び形態のものを適宜採用することができる。例えば、基材11の素材には、コージェライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素(SiC)などのセラミックや、ステンレス鋼などの合金に代表されるような高耐熱性の素材で形成されたものを好適に採用することができる。また、基材11の外形は、円筒形、楕円筒形、多角筒形などとすることができる。一例として、図2では、外形が円筒形の基材11が採用されている。また、基材11の形状は、例えば、ハニカム形状、フォーム形状、ペレット形状などとすることができ、図2の態様では、ハニカム形状の基材11が採用されている。なお、基材11の性状(例えば、基材11の容量や隔壁16の延伸方向Xの全長Lw)は特に限定されない。
そして、本実施形態においては、フロースルー型の基材11が用いられている。かかるフロースルー型の基材11は、図3に示すように、排ガス流入側と排ガス流出側の両方の端部が開口した複数のセル15と、隣接したセル15を仕切る隔壁16とを有している。各々のセル15の形状は、正方形、平行四辺形、長方形、台形などの矩形状、三角形状、その他の多角形状(例えば、六角形、八角形)、円形など種々の幾何学形状とすることができる。かかるフロースルー型の基材11を備えた排ガス浄化用触媒10では、排ガス流入側の端部からセル15内に流入した排ガスが、セル15内を通過して排ガス流出側の端部から流出する。
(2)触媒層
触媒層30は、上記したように、基材11の隔壁16の表面に設けられている。かかる触媒層30は、排ガス流入側の端部近傍から隔壁16の延伸方向Xに沿って形成されており、セル15内を通過する排ガスが隔壁16表面の触媒層30に接触することによって浄化される。
かかる触媒層30には、該触媒層30の骨格をなす担体と、当該担体に担持された金属触媒とが含まれている。金属触媒には、一般的な排ガス浄化用触媒に用いられ得る種々の材料を使用することができる。かかる金属触媒としては、例えば、排ガス中のCOおよびHCを酸化し、かつ、NOを還元する三元触媒が挙げられる。この三元触媒の具体例としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)などの白金族元素、あるいは、銀(Ag)、金(Au)などが挙げられる。これらの貴金属の少なくとも何れかを用いることによって、排ガスに含まれるCO、HC、NOの各々を効率良く浄化することができる。なかでも、酸化活性が高い白金、パラジウム、ロジウムの何れかを好ましく用いることができる。かかる金属触媒の含有量は特に制限されないが、例えば触媒層30に含まれる担体の全質量に対して、概ね0.01~8質量%、例えば0.1~5質量%程度とするとよい。
なお、上記したように、触媒層30に含まれる金属触媒は、上記した三元触媒に限定されず、例えば、所定の還元剤(尿素など)が存在する雰囲気でNOを還元するSCR触媒などを使用することもできる。かかるSCR触媒としては、ゼオライトに遷移金属(CuやFeなど)を担持させた遷移金属イオン交換ゼオライトなどを用いることができる。
また、上記した金属触媒を担持する担体には、大きな比表面積を有していると共に、高い耐久性(特に耐熱性)を有する金属酸化物が好ましく用いられる。かかる担体に用いられる金属酸化物としては、例えば、アルミナ(Al)、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)などが挙げられる。これらの金属酸化物を担体として用いることによって、当該担体に担持された金属触媒の触媒作用を適切に発揮させることができる。
また、触媒層30には、上記した金属触媒と担体以外に各種添加剤が含まれていてもよい。例えば、上記した三元触媒を金属触媒に使用する場合には、上記添加剤として、OSC材を用いることができる。かかるOSC材は、酸素を吸蔵・放出する機能を有しており、触媒層30内部における排ガス雰囲気を安定的にストイキ(理論空燃比)近傍に維持することができるため、三元触媒の触媒作用を安定して発揮させることができる。かかるOSC材としては、例えばセリア-ジルコニア複合酸化物などが挙げられる。また、触媒層30に含まれる添加剤の他の例としては、NO吸蔵能を有するNO吸着剤や安定化剤などが挙げられる。
(3)リン捕集層
図3に示すように、本実施形態に係る排ガス浄化用触媒10は、リン捕集成分を含むリン捕集層20を備えている。かかるリン捕集層20を触媒層30上に設けることによって、当該触媒層30に到達する前に排ガス中のリン成分を捕集し、当該排ガスを無毒化することができるため、金属触媒のリン被毒を好適に抑制できる。
そして、かかるリン捕集層20は、大きな細孔が高い割合で形成されているため、高いガス透過性を有している。このため、排ガス中の有害成分を金属触媒に効率良く接触させて高い排ガス浄化能力を発揮させることができる。
かかるリン捕集層20の骨格部分をなす担体には、主に金属酸化物が含まれている。かかる金属酸化物には、所定の耐熱性と強度を有する材料を好ましく用いることができ、例えば、アルミナ(Al)、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)等の耐熱性素材で形成されたものを好適に採用することができる。かかるリン捕集層20の担体の形状は、高アスペクト比を有する針状であるとよい。なお、本明細書でいう「針状」は、例えば長棒状、ワイヤ状、鱗片状などと称される形状を含む概念である。かかる針状の金属酸化物粒子の平均アスペクト比(長軸方向の長さを短軸方向の長さ(典型的には直径)で除すことによって得られる値。)は、概ね3以上、好ましくは5以上、例えば10~50程度であるとよい。また、かかる金属酸化物粒子の長軸方向の平均長さは、概ね0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、例えば1~10μmであるとよい。金属酸化物粒子の短軸方向の平均長さ(典型的には直径)は、概ね0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、例えば0.1~1μmであるとよい。
そして、リン捕集層20の担体には、上記したリン捕集成分が担持されている。かかるリン捕集成分には、La、Fe、Zr、Ce、Ti、Sr、Ca、Mg、Pr、Yのうち少なくとも一つの元素を含む化合物が用いられる。かかるLa等を含む化合物は、排ガス中のリン成分を捕集して排ガスを無毒化する。かかるリン捕集成分の具体例としては、酸化ランタン、炭酸ランタン、硫酸ランタン、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、炭酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、酸化セリウム、硫酸セリウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの酸化物、炭酸塩、硫酸塩などが挙げられる。
なお、担体に対するリン捕集成分の担持密度(wt%)は、概ね1wt%以上、好ましくは5wt%、例えば10wt%以上であるとよい。かかるリン捕集成分の担持密度が高くなるに従ってリン成分の捕集効率が向上するため、リン被毒による排ガス浄化能力の低下を好適に防止することができる。但し、リン捕集成分を好適に分散させて担持し、リン捕集成分の利用効率を高めるという観点から、リン捕集成分の担持密度は、概ね50wt%以下、好ましくは40wt%以下、例えば30wt%以下に設定することが好ましい。
また、リン捕集層20の広さ(触媒層30上における配設面積)は特に限定されない。リン捕集層20は、例えば、触媒層30の表面の全体に設けられていてもよく、一部のみに設けられていてもよい。具体的には、本実施形態に係る排ガス浄化用触媒10のようにフロースルー型の基材11を用いた場合、図3のように触媒層30の表面のほぼ全体にリン捕集層20が設けられていてもよいが、ガス流入側の端部に集中してリン捕集層20が設けられていてもよい。ガス流入側の端部に集中してリン捕集層20を設けた場合、リン被毒の影響が大きくなるガス流入側の端部において好適に排ガス中のリン成分を捕集することができるため、触媒層30における排ガス浄化能力をより好適に維持することができる。
リン捕集層20の平均厚み(隔壁16の延伸方向Xに直交する長さ)は特に限定されないが、本願発明の効果を高いレベルで発揮する観点から、概ね1~300μm、典型的には5~100μm、例えば10~50μm程度であるとよい。また、リン捕集層20の基材11の体積1Lあたりのコート量は特に制限されないが、有害成分をより効率良く金属触媒に接触させるという観点からは、概ね100g/L以下、好ましくは50g/L以下、例えば30g/L以下であるとよい。
そして、本実施形態におけるリン捕集層20では、実体的な部分、特にリン捕集層20の骨格部分をなす担体の占める割合が小さく抑えられている。言い換えれば、リン捕集層20は空隙率が高く、ガス透過性に優れた構造的特性を有する。電子顕微鏡観察に基づいて算出されるリン捕集層20の空隙率(すなわち、リン捕集層20に占める細孔の割合)Vaは、概ね60%以上、好ましくは70%以上であって、概ね90%以下、典型的には85%以下、例えば80%以下であるとよい。上記空隙率Vaを所定値以上とすることで、リン捕集層20のガス透過性がより良好になり、排ガス中の有害成分を効率よく金属触媒に接触させることができる。また、このように大きな空隙率Vaを有するリン捕集層20の場合、排ガス中のリン成分とリン捕集層20中のリン捕集成分との接触点が増加するため、より効率良くリン成分を捕集することができる。そのため、金属触媒のリン被毒を好適に防止することができる。また、上記空隙率Vaを所定値以下とすることで、リン捕集層20の機械的強度を向上することができる。空隙率Vaは、例えば後述する製造方法において、スラリー中の担体と造孔剤との混合比や、担体および/または造孔剤の大きさ(粒径)を制御することで調整することができる。
なお、リン捕集層20の空隙率Vaは、次のようにして算出することができる。
(1)先ず、リン捕集層20を含む試料片を樹脂で包埋し、リン捕集層20の断面を削りだす。
(2)次に、削りだした試料片の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、断面SEM観察画像(反射電子像、観察倍率1000倍)を得る(図11参照)。なお、観察視野は、リン捕集層20の骨格部分によって区画されている細孔が、概ね20個以上、例えば50個以上含まれるように設定し、断面SEM観察画像を得る。
(3)次に、二次元画像解析ソフト winroof(登録商標)を使用して、処理範囲をリン捕集層20に設定し、自動2値化(判別分析法)によって細孔が占める部分を抽出し、2値画像を得る(図12参照)。
(4)次に、2値画像に対して膨張・収縮処理を各2回ずつ行う。
(5)次に、円形分離計測(自動処理)によって、各細孔を円形状に分離する。
(6)そして、上記解析済みの画像内において、触媒層の面積を100%としたときの細孔の占める面積の割合(面積%)を計測し、空隙率Vaを算出する。
また、リン捕集層20では、電子顕微鏡観察に基づいて算出される大細孔の空隙率(すなわち、リン捕集層20に占める円相当径が5μmよりも大きな細孔の割合)Vbが、概ね45%以上、例えば50%以上であって、上記したVa以下であり、概ね85%以下、典型的には80%以下、好ましくは70%以下、例えば60%以下であるとよい。上記大細孔の空隙率Vbを所定値以上とすることで、リン捕集層20のガス透過性が向上するため、排ガス中の有害成分を効率よく金属触媒に接触させることができる。また、上記Vbを所定値以下とすることで、リン捕集層20の機械的強度を向上することができる。かかる大細孔の空隙率Vbは、例えば後述する製造方法において、スラリー中の担体と造孔剤との混合比や、担体および/または造孔剤の大きさ(粒径)を制御することで調整することができる。
なお、リン捕集層20の大細孔の空隙率Vbは、リン捕集層20全体の空隙率(上記(6)で算出された空隙率)Vaから円相当径が5μm以下の細孔部分を除いた画像(図13参照)を取得した後、細孔の占める面積の割合(面積%)を計測し、算出することができる。
リン捕集層20では、空隙率Vaに対する大細孔の空隙率Vbの割合(Vb/Va)が、概ね60%以上、好ましくは65%以上であって、概ね99%以下、典型的には98%以下、例えば90%以下、一例では80%以下であるとよい。これにより、本発明の効果と、機械的強度の維持とを高いレベルで両立させることができる。
また、上記したように、リン捕集層20の担体には、針状の担体が好ましく用いられる。このように針状の担体を用いる場合には、多元細孔構造を有する立体網目状のリン捕集層を形成すると好ましい。かかる多元細孔構造を有するリン捕集層20の一例として、骨格部分によって区画されている第1の細孔と、当該骨格部分の内部に形成され上記第1の細孔と連通している第2の細孔とを有した2元細孔構造のリン捕集層20が挙げられる。かかるリン捕集層20の場合、骨格部分にも排ガスを通過させてリン成分やPMを捕集させることができる。また、かかる多元細孔構造を有するリン捕集層20の場合、第1の細孔の平均細孔径が1μm以上10μm未満であり、第2の細孔の平均細孔径が0.5μm以上1μm未満であると好ましい。これによって、排ガス中の有害成分を金属触媒に好適に接触させることができると共に、リン捕集層20によってリン成分を好適に捕集することができる。
リン捕集層20は骨格部分によって区画されている第1の細孔を有し、立体網目状に構成されている。リン捕集層20の任意の断面は、骨格部分が分断されて複数の分割された部分を有し得る。この分割された部分の数(分割数)が多ければ多いほど細孔の連通性が高いと考えられる。つまり、分割数は、リン捕集層20内の細孔の連通性を示す指標となり得る。リン捕集層20の断面において、ガス透過性を向上する観点からは、単位断面積(0.01mm)あたりの分割数が、概ね20個以上、典型的には40個以上、好ましくは60個以上、より好ましくは80個以上、例えば90個以上、一例では100個以上であるとよい。機械的強度を向上する観点からは、単位断面積あたりの分割数が、概ね200個以下、好ましくは180個以下、より好ましくは160個以下、例えば150個以下であるとよい。但し、単位断面積あたりの分割数は、必ずしも200個以下である必要はなく、例えば2000個を超えていてもよい。この場合でも、好適なガス透過性を有するリン捕集層20を得ることができる。
なお、骨格部分の単位断面積あたりの分割数は、次のようにして算出することができる。
(1)先ず、リン捕集層20を含む試料片を樹脂で包埋し、リン捕集層20の断面を削りだす。
(2)次に、削りだした試料片の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、断面SEM観察画像(反射電子像、観察倍率1000倍)を得る(図11参照)。
(3)次に、二次元画像解析ソフト winroof(登録商標)を使用して、処理範囲をリン捕集層20に設定し、自動2値化(判別分析法)によって骨格部分を抽出し、2値画像を得る。
(4)次に、2値画像に対して膨張・収縮処理を各2回ずつ行った後、面積が0.9μmよりも小さい点を削除して、ノイズを除去する。
(5)そして、上記解析済みの画像内において骨格部分の分割数を読み取り、単位断面積(0.01mm)あたりに換算する。
骨格部分の平均厚みは、概ね5μm以下、典型的には4μm以下、好ましくは3.5μm以下、例えば3μm以下であるとよい。これにより、リン捕集層20が形成されているにも関わらず、高いガス透過性を発揮させることができると共に、上述したリン成分とリン捕集成分との近接化によるリン成分捕集効果を一層高いレベルで奏することができる。平均厚みの下限は特に限定されないが、機械的強度を向上する観点からは、概ね0.1μm以上、典型的には0.5μm以上、例えば1μm以上であるとよい。
なお、骨格部分の平均厚みは、上記分割数の算出と同じ手順で(1)~(4)までを実施した後、各分割部分について最も短い箇所の長さ(重心を通る最小長さ)を求め、その値を算術平均することで求められる。
リン捕集層20の表面において、骨格部分の表面開口率は、概ね20%以上、典型的には25%以上、好ましくは30%以上であって、概ね60%以下、典型的には50%以下、例えば40%以下であるとよい。これによって、排ガス中の有害成分を効率良く金属触媒に接触させることができる。但し、骨格部分の表面開口率は、60%を超えていてもよい。この場合でも、排ガス中の有害成分を効率良く金属触媒に接触させることができる。
なお、リン捕集層20の骨格部分の表面開口率は、次のようにして算出することができる。
(1)先ず、リン捕集層20を含む試料片を、基材11の延伸方向Xと試料台の表面とが平行になるように試料台の表面に固定する。
(2)次に、試料片の表面を電界放射形走査電子顕微鏡(FE-SEM)で観察し、リン捕集層20の最表面側から表面SEM観察画像(2次電子像、観察倍率20000倍)を得る(図15参照)。
(3)次に、二次元画像解析ソフト winroof(登録商標)を使用して、自動2値化(判別分析法)によって表面開口部を抽出し、2値画像を得る(図16参照)。
(4)次に、2値画像に対して収縮処理を2回と、穴埋め処理とを行った後、面積が0.001μm以下の点を削除して、ノイズを除去する。
(5)そして、上記解析済みの画像内において、リン捕集層の面積を100%としたときの表面開口部の占める面積の割合(面積%)を計測し、表面開口率を算出する。
リン捕集層20の骨格部分に形成されている第2の細孔の平均細孔径は、典型的には、第1の細孔の平均細孔径よりも小さく、例えば5μmよりも小さい。また、細孔径の小さい小細孔側から累積5%に相当する細孔径Pは、例えば0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、典型的には0.03μm以上、例えば0.035μm以上であって、概ね0.1μm以下、典型的には0.07μm以下、例えば0.05μm以下であるとよい。また、細孔径の小さい小細孔側から累積95%に相当する細孔径P95は、概ね1μm以上、典型的には1.5μm以上、例えば1.7μm以上であって、概ね5μm以下、好ましくは4μm以下、典型的には3.5μm以下、好ましくは2.5μm以下であるとよい。また、細孔径Pと細孔径P95との関係については、細孔径Pが0.03μm以上であり、かつ、細孔径P95が1.5μm以上であるとよい。これにより、リン捕集機能と機械的強度とを高いレベルで両立させることができ、本願発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
なお、第2の細孔の平均細孔径は、上記表面開口率の算出と同じ手順で(1)~(4)までを実施した後、上記解析済みの画像内において形状特徴測定を行い、円相当径を測定することで求められる。
上述の通り、リン捕集層20に形成される細孔は、触媒層30の細孔の大きさと同等か、それ以下の細孔を有する。一典型例では、水銀ポロシメータの測定で得られる微分細孔分布曲線において、リン捕集層20が、細孔径0.5~10μmの範囲に2つの細孔ピークを有している。例えば、細孔径が1μm以上10μm未満の範囲にピークAを有し、細孔径が0.5μm以上1μm未満の範囲にピークBを有し得る。この2つのピークA,Bは、それぞれ、リン捕集層20の骨格部分によって区画されている第1の細孔と、当該骨格部分の内部に形成され第1の細孔と連通している第2の細孔と、を示唆するものであり得る。
基材11の種類などによっても異なり得るが、第1の細孔に由来するピークAの細孔容積(V1)は、概ね0.03cm/g以上、好ましくは0.04cm/g以上、より好ましくは0.05cm/g以上であるとよい。これにより、リン捕集層20のガス透過性が向上するため、排ガス中の有害成分を効率良く金属触媒に接触させることができる。また、機械的強度を向上する観点からは、V1が、概ね0.1cm/g以下、例えば0.08cm/g以下であるとよい。
基材11の種類などによっても異なり得るが、第2の細孔に由来するピークBの細孔容積(V2)は、典型的にはピークAよりも小さく、なだらかなピークとなる。本発明の効果を高いレベルで発揮する観点から、概ね0.001cm/g以上、好ましくは0.002cm/g以上であるとよい。また、V1を確保する観点や機械的強度を向上する観点からは、V2が、概ね0.02cm/g以下、例えば0.015cm/g以下であるとよい。
第2の細孔の細孔容積に対する第1の細孔の細孔容積の比(V1/V2)は、概ね3以上、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、例えば6以上であるとよい。これにより、これにより、リン捕集層20のガス透過性が向上するため、排ガス中の有害成分を効率良く金属触媒に接触させることができる。上限値は特に限定されないが、機械的強度を向上する観点からは、概ね30以下、好ましくは20以下、例えば10以下であるとよい。
なお、リン捕集層20の細孔分布は、次のようにして算出することができる。先ず、リン捕集層20と触媒層30とが設けられた基材11の試料片を用意し、市販の水銀ポロシメータを用いて、圧力が1~60000psiの範囲で試料片の細孔分布を測定する。これにより、細孔径と細孔容積との関係を示す細孔分布曲線が得られる。得られた細孔分布曲線を基材のみの細孔分布曲線と比較することで、リン捕集層20に形成された細孔の状態が確認される。
また、各ピークの細孔容積は、上記得られた細孔分布曲線から求めることができる。具体的には、積算細孔容積分布曲線より、リン捕集層20を含む試料片の各ピークの積算細孔容積(cm/g)を算出し、同範囲の基材11のみの細孔容積を差し引くことで、リン捕集層20の単位質量当たりの細孔容積(cm/g)を求めることができる。
<排ガス浄化用触媒に供給された排ガスの説明>
図2に示すように、内燃機関2(図1参照)から排出された排ガスは、基材11の排ガス流入側の端部から排ガス浄化用触媒10のセル15へと流入する。セル15内に流入した排ガスは、多孔質構造のリン捕集層20を通過した後、触媒層30に接触しながら排ガス流出側の端部に向かってセル15内を通過し、排ガス浄化用触媒10の外部へ排出される。
このとき、排ガスがリン捕集層20を通過する際に、排ガス中のリン成分がリン捕集層20のリン捕集成分に捕集される。これによって、リン成分が触媒層30へ侵入することを防止できるため、触媒層30中の金属触媒のリン被毒を好適に抑制することができる。
そして、本実施形態に係るリン捕集層20は、従来のリン捕集層に比べて大きな細孔を相対的に高い割合で有している(円相当径が5μmよりも大きな大細孔が45%以上を占めている)。このようなガス透過性が高いリン捕集層20を設けることによって、排ガス中の有害成分を効率良く金属触媒に接触させることができる。このため、排ガス中の有害成分を触媒層30に効率良く接触させ、高い排ガス浄化能力を発揮することができる。
また、かかる大きな細孔を高い割合で有しているリン捕集層20では、リン成分とリン捕集成分との接触点が増加しているため、より効率良くリン成分を捕集して、金属触媒のリン被毒をより好適に防止することができる。
さらに、本実施形態に係るリン捕集層20は、第1の細孔と第2の細孔とを含む多元細孔構造(例えば2元細孔構造)を有しているため、骨格部分がリン捕集機能を有している。したがって、優れたリン捕集機能を発揮することができる。
<排ガス浄化用触媒10の製造方法>
上述のような構成の排ガス浄化用触媒10は、例えば、次の手順に基づいて作製することができる。
上述の構成の排ガス浄化用触媒10を作製するに際しては、先ず、基材11の隔壁16の表面に触媒層30を形成する。
具体的には、担体となる金属酸化物と金属触媒の供給源となる化合物とを所定の比率で混合して混合液を調製する。そして、調製した混合液を乾燥させた後に所定の温度および時間で焼成することによって、担体に金属触媒が担持された触媒層30用の複合材料を作製する。そして、かかる複合材料を所望の添加物(例えばOSC材)と共に適当な溶媒(例えばイオン交換水)に混合して触媒層形成用スラリーを調製する。
次に、触媒層形成用スラリーを基材11の隔壁16表面に付与した後、乾燥することによって触媒層30を形成する。具体的には、先ず、基材11のガス流入側の端部からセル15内に触媒層形成用スラリーを供給し、ガス流出側の端部からセル15を吸引する。これによって隔壁16表面にスラリーが付与される。この状態で基材11を乾燥することによって隔壁16の表面に触媒層30を形成することができる。
本実施形態においては、次に、触媒層30上にリン捕集層20を形成する。
具体的には、先ず、リン捕集層20の担体となる粉末材料と、リン捕集成分の供給源となる化合物とを所定の比率で混合して混合液を調製する。そして、調製した混合液を乾燥させた後に所定の温度および時間で焼成することによって、担体にリン捕集成分が担持されたリン捕集層20用の複合材料を作製する。そして、かかる複合材料と造孔剤と適当な溶媒(例えばイオン交換水)とを所定の比率で混合して、リン捕集層形成用スラリーを調製する。
次に、かかるリン捕集層形成用スラリーを基材11のセル15内に供給し、触媒層30上にリン捕集層形成用スラリーを付与する。この状態で基材11を乾燥、焼成することによって、触媒層30上にリン捕集層20が形成される。
このとき、リン捕集層形成用スラリーに含まれている造孔剤が焼成中に熱分解除去され、当該造孔剤が存在していた箇所が細孔となる。これによって、円相当径が5μmよりも大きな大細孔がリン捕集層の体積の45%以上を占める多孔質なリン捕集層20を形成することができる。
このように、上記した排ガス浄化用触媒10は、リン捕集層形成用スラリーに造孔剤を添加するのみで製造することができる。このため、本実施形態に係る排ガス浄化用触媒10は、貴金属を大量に必要とするような従来技術に比べて、大幅に安価なコストで提供することができる。
なお、上記したリン捕集層形成用スラリーの調製において、造孔剤としては焼成時に熱分解除去が可能なものであればよい。一例として、澱粉、カーボン粉末、活性炭、高分子有機材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミン樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂)などが挙げられる。造孔剤の平均粒径は、概ね2μm以上、好ましくは5μm以上、例えば5~20μm程度であるとよい。
また、リン捕集層形成用スラリーの調製において、担体の粉末と造孔剤との混合比率は、上述したリン捕集層20を実現するという観点から一つの重要なファクターとなり得る。担体粉末と造孔剤との混合比率は、例えば担体粉末の物性(例えばアスペクト比や長軸方向の長さ)などによっても異なり得るが、造孔剤の体積が担体粉末の体積の概ね3倍以上であって、概ね15倍以下、例えば10倍以下となるように調整するとよい。これにより、ガス透過性の良好なリン捕集層20をより良く実現することができる。その結果、排ガス中の有害成分を効率良く金属触媒に接触させることができ、触媒層30による有害成分(例えば高炭素数のHC)の浄化性能を高い状態で維持することができる。
上記リン捕集層形成用スラリーの調製において、スラリーの粘度もまた、上述したリン捕集層20を実現するという観点から一つの重要なファクターとなり得る。リン捕集層形成用スラリーの粘度は、測定温度:25℃、せん断速度:300~500s-1のときに、概ね30mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上であって、概ね500mPa・s以下になるように調整するとよい。上記スラリー粘度は、市販の粘度計(例えば動的粘弾性測定装置)により測定することができる。このような粘度のスラリーを用いることにより、触媒層の表面にリン捕集層20を良好に形成することができる。
かかるリン捕集層形成用スラリーの粘度の調整には、例えば、増粘剤、界面活性剤、分散剤などの各種添加剤を用いることができる。増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)等のセルロース系のポリマーが挙げられる。また、界面活性剤としては、例えば、ノニオン性(非イオン性)のものが挙げられる。
また、上記した製造工程において、各スラリーを乾燥・焼成する際の条件は特に限定されないが、例えば、80~300℃程度で1~10時間程度乾燥した後、400~1000℃程度で2~4時間程度の焼成を行うとよい。
<排ガス浄化用触媒の他の形態>
なお、ここで開示される排ガス浄化用触媒は、上記した実施形態に限定されない。例えば、上記した実施形態に係る排ガス浄化用触媒では、フロースルー型の基材が用いられているが、ウォールフロー型の基材を用いることもできる。図4はかかるウォールフロー型の基材を用いた排ガス浄化用触媒の一例を示す図である。
図4に示すように、かかるウォールフロー型の基材11は、排ガス流入側の端部が開口した入側セル12と、排ガス流出側の端部が開口した出側セル14と、入側セル12と出側セル14とを仕切る隔壁16とを有している。そして、入側セル12の排ガス流出側の端部には封止部12aが配置されて目封じされている。また、出側セル14の排ガス流入側の端部には、封止部14aが配置されて目封じされている。
かかるウォールフロー型の基材11の隔壁16は、排ガスが通過可能な多孔質構造であって、当該隔壁16の内部に触媒層30が形成される。この場合、リン捕集層20は、隔壁16内部に形成された触媒層30の表面(換言すると、隔壁16の表面)に形成される。
かかる排ガス浄化用触媒10では、内燃機関2(図1参照)から排出された排ガスが、入側セル12に供給された後、隔壁16を通過して出側セル14に排出される。このとき、排ガス中のリン成分をリン捕集層20が捕集するため、無毒化された排ガスが触媒層30に供給される。このため、触媒層30中の金属触媒にリン被毒が生じることを好適に防止できる。そして、上記した実施形態と同様に、リン捕集層20に大きな細孔が高い割合で形成されているため、高いガス透過性を発揮することができる。このため、排ガス中の有害成分を触媒層30の金属触媒に好適に接触させ、圧損の上昇による排ガス浄化能力の低下を防止することができる。
なお、図4に示すようなウォールフロー型の基材11を用いた排ガス浄化用触媒10の場合であっても、上記した実施形態と基本的に同様の細孔構造を有したリン捕集層20が形成される。但し、ウォールフロー型の基材11を用いた排ガス浄化用触媒10の場合には、有害成分をより効率良く金属触媒に接触させて排ガス浄化能力を向上させるという効果だけでなく、圧損の上昇を抑制することができるという効果も得られる。
具体的には、ウォールフロー型の基材11において、リン捕集層20の空隙率Vaを、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であって、概ね90%以下、典型的には85%以下、例えば80%以下にすることによって、排ガス中の有害成分を効率よく金属触媒に接触させることができるだけでなく、圧損ヒステリシスをより良く抑制することができるという効果も発揮させることができる。
また、ウォールフロー型の基材11を用いた場合であっても、リン捕集層20は多元細孔構造を有している方が好ましい。なお、ウォールフロー型の基材11を用いた場合には、多元細孔構造のリン捕集層20に形成される第1の細孔および第2の細孔の平均細孔径を、リン捕集層20の下層に設けられる触媒層30の細孔の平均細孔径以下とするとよく、好ましくは触媒層30の平均細孔径より小さくするとよい。
このときの好適な一態様では、平均細孔径の大小関係が、第2の細孔<第1の細孔<触媒層30の細孔、を満たしている。骨格部分に形成される第2の細孔の細孔径を相対的に小さくすることで、骨格部分の機械的強度や耐久性を向上することができる。また、上記構成によれば、リン捕集層20が多段階の細孔径(例えば2段階の細孔径)を有する構造となるため、一層優れた捕集機能を発揮することができる。その結果、触媒層30の内部の細孔にリンやPMが堆積することを抑制して、圧損ヒステリシスをより良く抑制することができる。
また、リン捕集層20の骨格部分の表面開口率についても、フロースルー型の基材を使用した場合と同様に、概ね20%以上、典型的には25%以上、好ましくは30%以上であって、概ね60%以下、典型的には50%以下、例えば40%以下に設定するとよい。これによって、排ガス中の有害成分を効率良く金属触媒に接触させることができるという効果に加えて、リン捕集層の形成に伴う圧損の増大を劇的に低く抑えることができるという効果も得られる
また、第1の細孔に由来するピークAの細孔容積(V1)についても、フロースルー型の基材の場合と同様に、概ね0.03cm/g以上、好ましくは0.04cm/g以上、より好ましくは0.05cm/g以上であるとよい。この場合も同様に、リン捕集層20の形成に伴う圧損の増大を抑えることができるという効果が得られる。
また、第2の細孔の細孔容積に対する第1の細孔の細孔容積の比(V1/V2)についても、フロースルー型の基材を用いた場合と同様に、概ね3以上、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、例えば6以上であるとよい。この場合も、有害成分の浄化効率の向上だけでなく、リン捕集層20の形成に伴う圧損の増大の抑制という効果が得られる。
また、ウォールフロー型の基材が用いられた排ガス浄化用触媒を製造する場合には、リン捕集層形成用スラリーを調製するに際して、造孔剤の体積が担体粉末の体積の概ね3倍以上であって、概ね15倍以下、例えば10倍以下となるように調整するとよい。これによって、リン捕集層20の形成による圧損の増加割合を、基材11のみの場合の概ね1.6倍以下に抑えることができる。
なお、図4に示すようなウォールフロー型の基材11を用いた排ガス浄化用触媒10では、隔壁16の延伸方向Xの(排ガス流動方向の)全長Lwを100%としたときに、リン捕集層20の長さが概ね70%以上、典型的には80%以上、好ましくは90%以上、例えば隔壁16の延伸方向Xの全長Lwと同じ長さであると好ましい。これによって、触媒層30中の金属触媒のリン被毒を好適に防止することができる。また、触媒層30の全表面積の90%以上がリン捕集層20によって覆われていると、触媒層30にリン成分やPMが侵入し難くなる。そのため、触媒層30内部にリン成分やPMが堆積することを抑制して、圧損ヒステリシスを顕著に小さく抑えることができる。なお、リン捕集層20は触媒層30の表面に連続的に設けられていてもよく、断続的に設けられていてもよい。
以下、本発明に関するいくつかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
[第1の試験]
本試験においては、フロースルー型の基材の隔壁表面に触媒層が形成され、当該触媒層上にリン捕集層が形成された排ガス浄化用触媒を作製し、かかる排ガス浄化用触媒の性能を評価した。
1.排ガス浄化用触媒の作製
(例1) 例1においては、基材として、日本碍子株式会社製のフロースルー型のハニカム基材(コージェライト製、セル数400cpsi、隔壁厚み6ミル)を準備した。
本試験では、先ず、かかる基材の隔壁の表面に、金属触媒(PtおよびPd)を含む触媒層を形成した。
具体的には、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液と硝酸パラジウム溶液とを混合した溶液中に、担体としてのAlの粉末を含浸させ、乾燥、焼成を行い、Pt/Pd担持-Al粉末を得た。
そして、得られたPt/Pd担持-Al粉末(1130g)と、針状のTiO粉末(33g)と、酢酸(150g)と、水酸化アルミニウム(37g)と、イオン交換水(3430g)とを混合し、湿式粉砕することによってスラリーを調製した。
このスラリーに、20gのクエン酸と5gのHEC(ヒドロキシエチルセルロース)を添加し増粘することによって触媒層形成用スラリーを得た。
この触媒層形成用スラリーを、基材の排ガス流入側の端部からセル内へ投入し、排ガス流出側の端部から吸引することによって、基材の隔壁表面に該隔壁の延伸方向の長さの100%の領域にわたってスラリーを付与した。これを90℃で乾燥した後、500℃で焼成することによって隔壁表面に触媒層を形成した。
次に、上述した触媒層上に、リン捕集成分(La)を含み、大きな径の細孔が高い割合で形成されたリン捕集層を形成した。
具体的には、硝酸ランタン水溶液に、針状のチタニア粉末(平均繊維径φ=0.2μm、平均繊維長L=3μm)を含浸させ、乾燥、焼成を行うことによってLa担持-TiO粉末を得た。
そして、得られたLa担持-TiO粉末(75g)と、TiO含有率が6%のTiOゾル(520g)とを混合し、湿式粉砕することによってスラリーを調製した。
このスラリーに、平均粒径が5μmのメラミン樹脂(90g)を造孔剤として添加した後、3gのCMCを添加し増粘することによってリン捕集層形成用スラリーを得た。なお、上述した造孔剤(メラミン樹脂)の添加量(90g)は、触媒体積1L当たり36gの造孔剤が含まれるように調整されたものである。
このリン捕集層形成用スラリーを、基材の排ガス流入側の端部からセル内へ投入し、排ガス流出側の端部から吸引することによって、上記した触媒層の表面に隔壁の延伸方向の長さの100%の領域にわたってスラリーを付与した。このときのスラリーの投入量は、後述する焼成によって基材容積1L当たり30gの量のリン捕集層が形成されるように調整した。
これを90℃で乾燥した後、500℃で焼成することによって、触媒層上にリン捕集層を形成した。このときの焼成の熱によってスラリー中の造孔剤が熱分解除去され、当該造孔剤が存在していた箇所に細孔が形成され、大きな径の細孔が高い割合で形成されたリン捕集層が形成された。
(例2) リン捕集層に使用する担体を、針状のチタニア粉末から針状のアルミナ粉末(平均繊維径φ=0.3μm、平均繊維長L=8μm)に変更し、La担持-Al粉末(75g)と、Al含有率が15%のAlゾル(390g)とを混合してリン捕集層形成用スラリーを調製したことを除いて、上記した例1と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
(参考例1) 参考例1では、リン捕集層を形成せず、基材の隔壁上に触媒層のみが形成された排ガス浄化用触媒を作製した。なお、基材の構造および触媒層の形成方法は、上記した例1と同じ条件に設定した。
(参考例2) リン捕集層を形成するに際して、スラリーに造孔剤(ポリメタクリル酸メチル樹脂)を添加しなかったことを除いて、上記した例1と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
2.排ガス浄化用触媒の評価
次に、上記した各例の排ガス浄化用触媒について種々の評価を行った。以下、本試験において行った評価を列記する。
(1)SEM観察
上記した各例について、リン捕集層および触媒層を含む試料片を樹脂で包埋し、リン捕集層の断面を削り出した後、筒軸方向に垂直な断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、断面SEM観察画像(反射電子像、観察倍率200倍)を得た。図5~図8は上記した各例の排ガス浄化用触媒の筒軸方向に垂直な断面のSEM観察画像(倍率:200倍)であり、図5は例1、図6は例2、図7は参考例1、図8は参考例2を示している。また、図9は例1のリン捕集層表面のSEM観察画像(倍率:2000倍)であり、図10は参考例2のリン捕集層表面のSEM観察画像(倍率:2000倍)である。
図5および図6に示すように、リン捕集層形成用スラリーに造孔剤を添加した例1および例2では、リン捕集層20が触媒層30上に形成されていることが確認できた。そして、図5、図6および図9のSEM観察画像より、例1および例2のリン捕集層20には、比較的に大きな細孔が高い割合で形成されていることが確認された。
一方、図7に示すように、参考例1の排ガス浄化用触媒では、触媒層130上にリン捕集層が形成されていなかった。また、図8に示すように、参考例2の排ガス浄化用触媒では、触媒層130上にリン捕集層120が形成されていた。しかし、図8および図10に示すように、参考例2のリン捕集層120は、例1や例2と異なり、大きな細孔が殆ど形成されていない密な層であった。
(2)空隙率の測定
次に、触媒層の断面SEM観察画像(倍率600倍)を用いて、リン捕集層全体に占める空隙全体の割合(空隙率Va)と、リン捕集層に占める大細孔(円相当径が5μmよりも大きな細孔)の空隙の割合(大細孔の空隙率Vb)とを算出した。結果を表1に示す。なお、算出方法は既に上述した通りである。
代表例として、例1に係るSEM観察・解析結果を図11~図13に示す。図11は例1の図5のSEM観察画像の拡大画像(倍率:1000倍)である。また、図12は図11に示されるリン捕集層20の細孔に画像処理を施した後の画像を示している。図13は図11に示されるリン捕集層20の細孔のうち、円相当径5μm以上の細孔に画像処理を施した後の画像を示している。
Figure 0007023770000001
表1に示すように、例1および例2では、リン捕集層について、70%以上という高い空隙率Vaが確認された。また、大細孔の空隙率Vbが触媒層全体の45%以上(例えば50%以上)を占めていた。また、例1および例2では、空隙率Vaに対する大細孔の空隙率Vbの比(Vb/Va)が、60%以上(例えば65%以上)を占めていた。一方、参考例2にもリン捕集層が形成されているが、かかるリン捕集層が密に形成されていたため、空隙率Vaおよび大細孔の空隙率Vbを測定することができなかった。
これらの解析結果より、例1および例2のリン捕集層は、参考例2に示すような一般的なリン捕集層と比較して、相対的に大きな細孔を高い割合で有していることが確認された。このような大きな細孔を高い割合で有しているリン捕集層は、高いガス透過性を有していると予想される。
(3)細孔分布の測定
次に、各例の排ガス浄化用触媒に対して、水銀ポロシメータを用いてリン捕集層の細孔分布を測定した。例1および参考例2の測定結果を図14に示す。図14に示すように、例1においては、1μm以上の細孔径を有する大きな細孔(空孔)が多く形成されている一方で、参考例2においては、1μm以上の空孔が殆ど形成されていないという結果が得られた。そして、かかる水銀ポロシメータの測定結果に基づいて、各々の例について、1μm以上10μm未満の第1の細孔の容積(空孔容積)と、0.5μm以上1μm未満の第2の細孔の容積(リン捕集層骨格細孔容積)と、を計算した。結果を表2に示す。
Figure 0007023770000002
上記の表2および図14より、例1および例2の排ガス浄化用触媒のリン捕集層は、径の異なる2種類の細孔を有した多元細孔構造を有していることが確認された。また、かかる多元細孔構造を構成する第1の細孔と第2の細孔の容積比について、例1および例2では、第1の細孔の容積が第2の細孔の容積の4倍以上であった。このような構造的特徴を有する例1および例2のリン捕集層は、優れたガス透過性を有すると共に、優れたリン捕集機能を発揮することができると推測される。
(4)分割数および骨格部分の厚みの測定
図11に示すようなリン捕集層の断面SEM観察画像(倍率1000倍)を用いて、当該リン捕集層の単位断面積あたりの分割数(個/0.01mm)と、骨格部分の平均厚み(μm)とを算出した。画像処理は、各例につきN=5で行い、得られた値を平均した。結果を表3に示す。なお、算出方法は既に上述した通りである。また、「分割数」は、リン捕集層の単位断面積(0.01mm)あたりの個数を示しており、分割数の値が大きいほどリン捕集層内の細孔が連通しているといえる。
Figure 0007023770000003
上述のように、例1および例2では、参考例2よりもリン捕集層の分割数が多く、リン捕集層内に形成されている各々の細孔が互いに連結していた。この点からも例1および例2では、高いガス透過性を有していることが確認された。
また、例1および例2では、骨格部分の平均厚みについても、参考例2よりも明確に小さい値であった。これらの結果より、例1および例2では、リン捕集層の骨格をなす担体に担持されたリン捕集成分(La)と、排ガス中のリン成分とを効率良く接触させて、リンを好適に捕集できることが確認された。
これらの結果より、例1および例2のリン捕集層は、高いガス透過性を有し、かつ、効率良く排ガス中のリン成分を捕集できることが確認できた。
(5)表面開口率および細孔径の測定
触媒層の骨格部分の表面SEM観察画像を用いて、骨格部分の表面開口率(面積%)と細孔径(μm)を算出した。結果を下記の表4に示す。なお、算出方法は既に上述した通りである。また、「細孔径P」とは小細孔側から累積5%に相当する細孔径を指し、「細孔径P95」とは小細孔側からの累積95%に相当する細孔径を指している。
また、本評価に使用した表面SEM観察画像の代表例として、例1に係るSEM観察・解析結果を図15および図16に示す。図15は、例1の触媒層の骨格部分の表面SEM観察画像(倍率20000倍)である。図16は、図15中の表面開口の部分に画像処理を施した後の画像を示している。
Figure 0007023770000004
表1に示すように、例1および例2では、骨格部分の表面開口率が30%以上であり、参考例2と比較して高い表面開口率を有していた。また、例1および例2では、小細孔側から累積5%に相当する細孔径(P)が0.03μm以上であり、かつ、小細孔側から累積95%に相当する細孔径(P95)が1.5μm以上であった。このような構造的特性からも、例1および例2のリン捕集層は、高いガス透過性を有していることが確認できた。
(6)リン被毒試験
本評価においては、例1、参考例1および参考例2の排ガス浄化用触媒に対してリン被毒処理を行った後、モデルガスを用いてリン被毒処理後の排ガス浄化能力を評価した。
本評価におけるリン被毒処理では、先ず、各例の排ガス浄化用触媒の排ガス流入側の端部をリン酸三アンモニウム水溶液(0.61wt%)に浸漬させた状態で、排ガス流出側の端部から吸引を行った。次に、90℃の温風を基材内部に供給して乾燥させた後、500℃の焼成処理を行った。
そして、リン被毒処理後の各々の排ガス浄化用触媒に、下記に示す組成のモデルガスAを供給し、排ガス浄化能力を評価した。具体的には、排ガス浄化用触媒の温度を20℃/minの昇温速度で100℃から350℃まで昇温させ、炭化水素(HC)の浄化率が90%に達した時点の温度(90%浄化温度(T90))を調べた。
なお、本評価においては、各例の排ガス浄化用触媒について、リン被毒処理前、リン被毒処理1回目、リン被毒処理2回目、リン被毒処理3回目のそれぞれの状態における90%浄化温度(T90)を測定した。結果を表5および図17に示す。
(モデルガスAの組成)
CO : 800ppm
CO : 7%
: 10%
NO : 150ppm
: 1000ppmC
O : 10%
SV : 50000h-1
Figure 0007023770000005
表5および図17に示すように、例1では、参考例1や参考例2と比較して90%浄化温度(T90)が低い、即ち、高い排ガス浄化能力を有していることが確認された。そして、かかる例1の排ガス浄化用触媒は、リン被毒処理を複数回行った場合であっても、排ガス浄化能力が大きく低下することがなく、90%浄化温度(T90)が175℃前後に維持されていた。このことから、例1のように、大きな細孔を高い割合で有するリン捕集層を触媒層上に設けた場合、触媒層中の金属触媒のリン被毒の発生を抑制し、高い排ガス浄化能力を好適に維持できることが確認できた。
(7)高炭素数HCの浄化性能
本試験においては、例1、参考例1および参考例2の排ガス浄化用触媒に対して、高炭素数HCの浄化性能を各排ガス浄化用触媒に添加して調べた。具体的には、高炭素数HCであるデカン(C1022)を含む下記のモデルガスBを供給した。そして、排ガス浄化用触媒の温度を20℃/minの昇温速度で100℃から350℃まで昇温させ、デカンの90%浄化温度(T90)を調べた。結果を表6および図18に示す。なお、使用したモデルガスBの具体的な組成は以下の通りである。
(モデルガスBの組成)
CO : 800ppm
CO : 7%
: 10%
NO : 150ppm
1022: 1000ppmC
O : 10%
SV : 50000h-1
Figure 0007023770000006
表6および図18に示すように、参考例2では、参考例1と比較して、デカンの90%浄化温度(T90)が高く、デカンの浄化能力が低下していることが確認された。これは、参考例2では、図8および図10に示すように、大きな細孔が殆ど形成されていない密なリン捕集層が形成されているため、リン捕集層におけるガス透過性が低下しており、高炭素数HCであるデカン(C1022)がリン捕集層を好適に透過することができず、触媒層中の金属触媒に接触しなかったためと解される。
一方、例1では、リン捕集層が形成されていない参考例1と同程度の90%浄化温度(T90)が測定された。このことから、大きな細孔が高い割合で形成されているリン捕集層を有する例1の排ガス浄化用触媒は、顕著に高いガス透過性を有しているため、リン捕集層が設けられているにも関わらず、デカンのような高炭素数HCを好適に浄化できることが分かった。
(8)リン捕集成分(La)の含有量の評価
本評価では、先ず、リン捕集成分(La)の担持密度が異なる点を除いて、例1と同じ手順に従って3種類の排ガス浄化用触媒(例3~例5)を作製した。そして、かかる例3~例5および参考例1の排ガス浄化用触媒に対して、リン被毒量が5.8g/Lになるように、上述と同様の手順でリン被毒処理を行った。そして、上述したモデルガスAを供給して、炭化水素(HC)の90%浄化温度(T90)を測定した。結果を表7および図19に示す。また、下記の表7には各例におけるLa担持密度も併せて記載する。
Figure 0007023770000007
表7および図19示すように、リン捕集層におけるLa担持密度が増加するに従って、HCの90%浄化温度が低下する(排ガス浄化能力が向上する)ことが確認できた。かかる結果より、少なくとも、リン捕集層におけるLa担持密度を1wt%~10wt%の範囲内に設定することによって排ガス浄化能力を向上できることが分かった。
[第2の試験]
本試験においては、基材の構造をフロースルー型からウォールフロー型に変更し、本発明の排ガス浄化用触媒において、ウォールフロー型の基材を用いた場合の性能を評価した。
1.排ガス浄化用触媒の作製
(例6) 例6においては、基材として、日本碍子株式会社製のウォールフロー型のハニカム基材(炭化ケイ素製、セル数300cpsi、隔壁厚み12ミル)を準備した。
本試験では、先ず、かかるウォールフロー型の基材の隔壁の内部に、金属触媒(PtおよびPd)を含む触媒層を形成した。
具体的には、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液と硝酸パラジウム溶液とを混合した溶液中に、担体としてγ-Alの粉末を含浸させ、乾燥、焼成を行ってPt/Pd担持-Al粉末を得た。
そして、得られたPt/Pd担持-Al粉末(1130g)と、針状のTiO粉末(33g)と、酢酸(150g)と、水酸化アルミニウム(37g)、イオン交換水(3430g)とを混合し、湿式粉砕することによってメジアン径が0.5μm程度の粉体を含むスラリーを調製した。
このスラリーに、20gのクエン酸と5gのHEC(ヒドロキシエチルセルロース)を添加し増粘することによって触媒層形成用スラリーを得た。
次に、基材の排ガス流入側の端部を、上記した触媒層形成用スラリーに浸漬し、排ガス流出側の端部から吸引した。これによって、多孔質な隔壁の内部にスラリーを付与した。これを90℃で乾燥した後、500℃で焼成することによって隔壁内部に触媒層を形成した。
次に、上記した例1と同様の組成の造孔剤を含んだリン捕集層形成用スラリーを調製し、かかるリン捕集層形成用スラリーを基材の排ガス流入側の端部から入側セル内へ投入した後、出側セルを吸引することによって、上記した触媒層の表面にスラリーを付与した。これを90℃で乾燥した後、500℃で焼成することによって触媒層の表面(隔壁の表面)にリン捕集層を形成した。
(参考例3) 造孔剤が添加されていないリン捕集層形成用スラリーを用いたことを除いて、上記した例6と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
2.排ガス浄化用触媒の評価
上記した例6および参考例3の排ガス浄化用触媒について、以下の各項目の評価を行った。以下、各々の評価について記載する。
(1)製品圧損
触媒層形成後の圧損(製品圧損)を測定した。結果を表8に示す。なお、表8中の「製品圧損」は、触媒層およびリン捕集層が形成されていない基材自体の圧損を1とした場合の比率を示している。
Figure 0007023770000008
表8に示すように、例6では、圧損が基材の1.5倍以下と低く抑えられていた。これは、例6のリン捕集層が大きな細孔を高い割合で有するというガス透過性の良い構造的特性を有するためと考えられる。一方、参考例3では圧損が基材の凡そ2.2倍と高かった。これは、触媒層上にガス透過性の低いリン捕集層を配置したことで、基材細孔に蓋をするような構造になってしまったためと考えられる。
(2)PM堆積圧損
排ガス浄化フィルタをエンジンベンチに設置してPMを堆積させ、PMが5g堆積した時点での圧損を「PM堆積圧損」として評価した。なお、圧損は吸入空気量で標準化した。結果を表9に示す。
Figure 0007023770000009
表9に示すように、例6では、PM堆積圧損が0.1kPa/(g/sec)程度と低く抑えられていた。これは、リン捕集層が濾過層として機能し、触媒層(隔壁)内へのリンやPMの侵入が抑制されたためと考えられる。
一方、参考例3ではPM堆積圧損が0.25kPa/(g/sec)を超えていた。参考例3では、触媒層上にリン捕集層が配置されているため、触媒層内部へのリンやPMの堆積による圧損の上昇は抑えられるものの、かかるリン捕集層が密であるため、元々の製品圧損が高くなり、PM堆積圧損も高くなったと考えられる。
(3)圧損ヒステリシス
排ガス浄化フィルタをエンジンベンチに設置して、使用前の(PM堆積前の)状態からPMの堆積を開始したときの初期堆積圧損と、再生処理後のPMが5g残存した状態から再度PMの堆積を開始したときの再生後堆積圧損とを測定した。そして、初期と再生後の堆積圧損値を比較し、同圧損値のときのPM堆積量の差分を圧損ヒステリシス(g/unit)とした。結果を表10に示す。
Figure 0007023770000010
表10に示すように、例6では、圧損ヒステリシスが1.5(g/unit)程度と低く抑えられていた。これは、リン捕集層が濾過層として機能したために、基材の細孔内においてPMの堆積が抑制されたためと考えられる。
また、参考例3においても、圧損ヒステリシスが1.4(g/unit)程度と低く抑えられていた。しかし、かかる参考例3では、上述の表9のようにPM堆積圧損の絶対値が高くなってしまうため、燃費が悪化することが予想された。
(4)排出PM粒子数
排ガス浄化フィルタを車両の排気経路に設置して、NEDCモードを走行したときの排出PM粒子数(個/km)を測定した。結果を表11に示す。
Figure 0007023770000011
表11に示すように、例6と参考例3とは、リン捕集層において同程度の排出PM粒子数を示した。このことから、例6の排ガス浄化用触媒は、上記のように、顕著に高いガス透過性を有し、圧損の上昇などを防止することができるにも関わらず、PM排出量を抑制し、密に形成されたリン捕集層と同程度の捕集性能を有していることが分かった。
[第3の試験]
本試験においては、リン捕集層に含まれるリン捕集成分がそれぞれ異なる複数の排ガス浄化用触媒を作製し、かかる排ガス浄化用触媒の性能を評価した。
1.排ガス浄化用触媒の作製
(例7) 例7においては、上述した第1の試験における「例1」と同じ手順に従って排ガス浄化触媒を作製した。すなわち、例7の排ガス浄化触媒は、リン捕集成分としてランタン(La)を含み、大きな径の細孔が高い割合で形成されたリン捕集層が触媒層上に形成された排ガス浄化触媒である。
(例8) 例8においては、リン捕集層に使用するリン捕集成分をランタン(La)からマグネシウム(Mg)に変更したことを除いて、上記した例7と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例9) 例9においては、リン捕集層に使用するリン捕集成分をランタン(La)からカルシウム(Ca)に変更したことを除いて、上記した例7と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例10) 例10においては、リン捕集層に使用するリン捕集成分をランタン(La)から鉄(Fe)に変更したことを除いて、上記した例7と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例11) 例11においては、リン捕集層に使用するリン捕集成分をランタン(La)からイットリウム(Y)に変更したことを除いて、上記した例7と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例12) 例12においては、リン捕集層に使用するリン捕集成分をランタン(La)からセリウム(Ce)に変更したことを除いて、上記した例7と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例13) 例13においては、リン捕集層に使用するリン捕集成分をランタン(La)からプラセオジム(Pr)に変更したことを除いて、上記した例7と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例14) 例14においては、リン捕集層に使用するリン捕集成分をランタン(La)からストロンチウム(Sr)に変更したことを除いて、上記した例7と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
(参考例4) 参考例4においては、上述した第1の試験における「参考例1」と同じ手順に従って排ガス浄化触媒を作製した。すなわち、参考例4の排ガス浄化触媒は、リン捕集層が形成されておらず、基材の隔壁上に触媒層のみが形成されている排ガス浄化用触媒である。
(参考例5) 参考例5においては、リン捕集成分が添加されていないTiOの層が触媒層の上に形成された排ガス浄化用触媒を作製した。すなわち、参考例5においては、リン捕集成分を添加しなかったことを除いて、上記した例7と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
2.排ガス浄化用触媒の評価
本試験では、上述した各々の排ガス浄化触媒に対して「リン被毒試験」を行った。例7~例11の試験結果を表12に示し、例12~例14および参考例4、5の試験結果を表13に示す。なお、「リン被毒試験」の試験条件は、上述した第1の試験の「(6)リン被毒試験」と同じ条件に設定したため、ここでは詳細な説明を省略する。
Figure 0007023770000012
Figure 0007023770000013
表12および表13に示すように、リン捕集成分を含む触媒層が形成されている例7~例14は、何れにおいても、参考例4、5より高い排ガス浄化能力を有していることが確認された。そして、これらの例7~例14の排ガス浄化用触媒は、リン被毒処理を複数回行ったとしても、排ガス浄化能力が低下し難くなっていることが確認された。このことから、リン捕集成分として、La、Fe、Zr、Ce、Ti、Sr、Ca、Mg、Pr、Yの何れを用いた場合であっても、大きな細孔を高い割合で有するリン捕集層を触媒層上に設けることによる効果を好適に発揮できることが確認できた。
[第4の試験]
本試験においては、リン捕集層の骨格部分を形成条件が異なる複数の排ガス浄化用触媒を作製し、作製後のリン捕集層の骨格部分の構造を評価した。
1.排ガス浄化用触媒の作製
(例15) 例15においては、上述した第1の試験における「例1」と同じ手順に従って排ガス浄化触媒を作製した。
すなわち、例15では、リン捕集層の骨格部分を構成する担体として針状のチタニア粉末(平均繊維径φ=0.2μm、平均繊維長L=3μm)を使用し、当該リン捕集層のバインダとしてTiO含有率が6%のTiOゾルを使用した。そして、上述の担体とバインダとを75:520の割合で混合してスラリーを調製し、当該スラリーに造孔剤(平均粒径5μmのメラミン樹脂)を36g/Lの割合で添加した後、3gのCMCを添加し増粘することによってリン捕集層形成用スラリーを得た。
次に、フロースルー型の基材を準備し、上述した例1と同様のPt/Pd担持-Al粉末と針状のTiO粉末とを含む触媒層を基材の隔壁上に形成した。そして、リン捕集層形成用スラリーを触媒層の上に付与し、乾燥・焼成することによって触媒層上にリン捕集層を形成した。このときのスラリーの量は、焼成によって基材容積1L当たり30gの量のリン捕集層が形成されるように調整した。
(例16) 例16においては、上述した第1の試験における「例2」と同じ手順に従って排ガス浄化触媒を作製した。
すなわち、例16では、リン捕集層に使用する担体を針状のアルミナ粉末(平均繊維径φ=0.3μm、平均繊維長L=8μm)に変更すると共に、リン捕集層のバインダをAl含有率が15%のAlゾルに変更した。そして、上述の担体とバインダとの混合比を75:390に変更したことを除いて、上記した例15と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例17) 例17では、造孔剤であるメラミン樹脂の平均粒子径を12μmに変更した点を除いて、例15と同じ条件の下で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例18) 例18では、造孔剤(メラミン樹脂)の添加量を54g/Lに変更した点を除いて、例15と同じ条件の下で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例19) 例19では、リン捕集層の骨格部分をなす担体として使用する針状のチタニア粉末の平均繊維径φを0.4μmに変更した点を除いて、例15と同じ条件の下で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例20) 例20では、リン捕集層の骨格部分をなす担体として、針状のチタニア粉末(平均繊維径φ=0.2μm、平均繊維長L=3μm)と、粒状のセリアジルコニア(平均粒子径:14μm)との混合物(混合比1:1)を使用した点と、リン捕集層のバインダをAl含有率が15%のAlゾルに変更した点とを除いて、例15と同じ条件の下で排ガス浄化用触媒を作製した。
(参考例6) 参考例6においては、上述した第1の試験における「参考例1」と同じ手順に従って排ガス浄化触媒を作製した。すなわち、参考例6の排ガス浄化触媒は、リン捕集層が形成されておらず、基材の隔壁上に触媒層のみが形成されている排ガス浄化用触媒である。
(参考例7) 参考例7においては、上述した第1の試験における「参考例2」と同じ手順に従って排ガス浄化触媒を作製した。すなわち、リン捕集層を形成するに際して、スラリーに造孔剤を添加しなかったことを除いて、上記した例15と同じ条件で排ガス浄化用触媒を作製した。
2.排ガス浄化用触媒の評価
上記した各々の排ガス浄化触媒に対して、「SEM観察」、「空隙率の測定」、「細孔分布の測定」、「分割数および骨格部分の厚みの測定」、「表面開口率および細孔径の測定」、「高炭素数HCの浄化性能」、「リン被毒試験」の評価試験を行い、リン捕集層の構造を調査した。なお、各試験の条件は、上述した第1の試験の「(1)SEM観察」~「(5)表面開口率および細孔径の測定」に記載されている条件と同じ条件に設定したため、ここでは詳細な説明を省略する。
上述した各々の試験のうち、「SEM観察」の結果を図20~図27に示す。また、「空隙率の測定」と「細孔分布の測定」の結果を表14に示し、「分割数および骨格部分の厚みの測定」と「表面開口率および細孔径の測定」の結果を表15に示す。
Figure 0007023770000014
Figure 0007023770000015
(1)SEM観察
例15では、第1の試験における「例1」と同様の構造を有するリン捕集層が得られた(図5、図9、図11参照)。また、例16では、第1の試験における「例2」と同様の構造を有するリン捕集層が得られた(図6参照)。そして、例17では図20および図21に示すような構造のリン捕集層が得られ、例18では図22および図23に示すような構造のリン捕集層が得られた。さらに、例19では図24および図25に示すような構造のリン捕集層が得られ、例20では図26および図27に示すような構造のリン捕集層が得られた。また、参考例6では、第1の試験における「参考例1」と同様に、リン捕集層が形成されていない排ガス浄化触媒が得られた(図7参照)。また、参考例7では、第1の試験における「参考例2」と同様の構造を有する触媒層が得られた(図8参照)。
上述した各例の排ガス浄化触媒のSEM写真を比較すると、例15~例20の何れの排ガス浄化触媒においても、大きな細孔を高い割合で有するリン捕集層が触媒層の上に形成されていることが確認された。
そして、かかるリン捕集層の詳細な構造を検討すると、平均粒子径12μmの造孔剤を使用した例17(図20および図21参照)では、かかる造孔剤の粒子径に応じた大きな細孔がリン捕集層に形成されていた。また、さらに、造孔剤の添加量を54g/Lに増やした例18(図22および図23参照)では、大きな細孔が形成される割合が例15や例16よりも増加していた。また、図24~図27に示すように、リン捕集層の骨格をなす担体を変更した例19や例20では、例15や例16よりも空隙が大きなリン捕集層が形成されていた。
(2)空隙率の測定
表14に示すように、例15~例20の排ガス浄化触媒では、リン捕集層の空隙率Vaが50%以上であった。また、かかる例15~例20におけるリン捕集層では、大細孔の空隙率Vbが触媒層全体の45%以上を占めていた。また、例15~例20では、空隙率Vaに対する大細孔の空隙率Vbの比(Vb/Va)が65%以上を占めていた。これらの解析結果より、例15~例20のリン捕集層は、参考例7に示すような一般的なリン捕集層と比較して、相対的に大きな細孔を高い割合で有していることが確認された。
(3)細孔分布の測定
上記の表14より、例15~例20の排ガス浄化用触媒のリン捕集層は、相対的に容積が大きな第1の細孔と、小さな第2の細孔とが形成されており、多元細孔構造を有していることが確認された。また、例15~例20では、第1の細孔と第2の細孔との容積比が4倍以上であった。このため、例15~例20の排ガス浄化用触媒のリン捕集層は、優れたガス透過性を有すると共に、優れたリン捕集機能を発揮することができると推測される。
(4)分割数および骨格部分の厚みの測定
表15に示すように、例15~例20の排ガス浄化用触媒は、何れも、参考例7よりもリン捕集層の分割数が多く、リン捕集層内に形成されている各々の細孔が互いに連結していた。この点からも例15~例20では、高いガス透過性を有していることが確認された。また、例15~例20では、骨格部分の平均厚みについても、参考例7よりも明確に小さい値であった。これらの結果より、例15~例20では、リン捕集層の骨格をなす担体に担持されたリン捕集成分と、排ガス中のリン成分とを効率良く接触させて、リンを好適に捕集できることが確認された。これらの結果より、例15~例20のリン捕集層は、高いガス透過性を有し、かつ、効率良く排ガス中のリン成分を捕集できることが確認できた。
(5)表面開口率および細孔径の測定
表15に示すように、例15~例20では、骨格部分の表面開口率が25%以上であった。また、例15~例20では、小細孔側から累積5%に相当する細孔径(P)が0.03μm以上であり、かつ、小細孔側から累積95%に相当する細孔径(P95)が1.5μm以上であった。このような構造的特性からも、例15~例20のリン捕集層は、高いガス透過性を有していることが確認できた。
(6)高炭素数HCの浄化性能
例15~例20では、リン捕集層が形成されていない参考例6と同程度の90%浄化温度(T90)が測定された。このことから、例15~例20の排ガス浄化用触媒は、好適なガス透過性を有しているため、リン捕集層が設けられているにも関わらず、デカンのような高炭素数HCを好適に浄化できることが確認できた。
(7)リン被毒試験
表15に示すように、例15~例20では、参考例6や参考例7よりも高い排ガス浄化能力を有している(90%浄化温度(T90)が低い)ことが確認された。このことから、例15~例20のように、大きな細孔を高い割合で有するリン捕集層を触媒層上に設けた場合、触媒層中の金属触媒のリン被毒の発生を抑制し、高い排ガス浄化能力を好適に維持できることが確認できた。
(8)まとめ
以上のように、所定の担体と造孔剤とを用いてリン捕集層を形成した例15~例20では、大きな細孔が高い割合で形成されたリン捕集層を有する排ガス浄化触媒が作製された。そして、かかる排ガス浄化触媒は、高いガス透過性を有し、かつ、効率良く排ガス中のリン成分を捕集できるため、触媒層のリン被毒を好適に抑制し、十分な排ガス浄化性能を長期間に亘って維持することができることが確認できた。
[第5の試験]
上述した第4の試験ではフロースルー型の基材を使用しているが、第5の試験においては、基材をウォールフロー型に変更し、当該ウォールフロー型の基材を用いた場合の性能を評価した。
1.排ガス浄化用触媒の作製
(例21) 例21においては、ウォールフロー型の基材を使用したことを除いて、上記第4の試験における「例17」と同じ手順に従って排ガス浄化触媒を作製した。
すなわち、例21では、リン捕集層の骨格部分を構成する担体として針状のチタニア粉末(平均繊維径φ=0.2μm、平均繊維長L=3μm)を使用し、当該リン捕集層のバインダとしてTiO含有率が6%のTiOゾルを使用した。そして、上述の担体とバインダとを75:520の割合で混合してスラリーを調製し、当該スラリーに造孔剤(平均粒径12μmのメラミン樹脂)を36g/Lの割合で添加した後、3gのCMCを添加し増粘することによってリン捕集層形成用スラリーを得た。
そして、リン捕集層形成用スラリーをウォールフロー型の基材の隔壁に付与し、乾燥・焼成することによって触媒層上にリン捕集層を形成した。このときのスラリーの量は、焼成によって基材容積1L当たり30gの量のリン捕集層が形成されるように調整した。
(例22) 例22においては、ウォールフロー型の基材を使用したことを除いて、上記第4の試験における「例18」と同じ手順に従って排ガス浄化触媒を作製した。換言すると、例22では、造孔剤(メラミン樹脂)の平均粒径を5μmとした点と、造孔剤の添加量を54g/Lに変更した点を除いて、例21と同じ条件の下で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例23) 例23においては、ウォールフロー型の基材を使用したことを除いて、上記第4の試験における「例19」と同じ手順に従って排ガス浄化触媒を作製した。換言すると、例23では、造孔剤(メラミン樹脂)の平均粒径を5μmとした点と、担体として使用する針状のチタニア粉末の平均繊維径φを0.4μmに変更した点を除いて、例21と同じ条件の下で排ガス浄化用触媒を作製した。
(例24) 例24においては、ウォールフロー型の基材を使用したことを除いて、上記第4の試験における「例20」と同じ手順に従って排ガス浄化触媒を作製した。換言すると、例24では、造孔剤(メラミン樹脂)の平均粒径を5μmとした点と、針状のチタニア粉末(平均繊維径φ=0.2μm、平均繊維長L=3μm)と粒状のセリアジルコニア(平均粒子径:14μm)との混合物(混合比1:1)をリン捕集層の骨格部分として使用した点と、リン捕集層のバインダをAlゾル(Al含有率:15%)に変更した点とを除いて、例21と同じ条件の下で排ガス浄化用触媒を作製した。
2.排ガス浄化用触媒の評価
上記した各々の排ガス浄化触媒に対して、「製品圧損」、「PM堆積圧損」、「圧損ヒステリシス」、「排出PM粒子数」の評価試験を行った。試験結果を表16に示す。
なお、各試験の条件は、上述した第2の試験の「(1)製品圧損」~「(4)排出PM粒子数」に記載されている条件と同じ条件に設定したため、ここでは詳細な説明を省略する。
Figure 0007023770000016
(1)製品圧損
表16に示すように、例21~例24では、圧損が基材の1.6倍以下と低く抑えられていた。このことから、例21~例24の排ガス浄化用触媒は、リン捕集層が大きな細孔を高い割合で有するというガス透過性の良い構造的特性を有しているため、ディーゼルエンジン用の排ガス浄化用触媒(DPF :Diesel particulate filter)として好ましく用いられることが確認できた。
(2)PM堆積圧損および圧損ヒステリシス
表16に示すように、例21~例24では、PM堆積圧損が0.1kPa/(g/sec)程度と低く抑えられていると共に、圧損ヒステリシスが1.5(g/unit)程度と低く抑えられていた。このことから、例21~例24の排ガス浄化用触媒においては、リン捕集層が濾過層として機能し、触媒層(隔壁)内へのリンやPMの侵入が抑制されていると解される。
(3)排出PM粒子数
また、例21~例24の排ガス浄化用触媒は、排出PM粒子数が5.8E+09~5.9E+09であることが確認された。このことから、例21~例24の排ガス浄化用触媒は、顕著に高いガス透過性を有し、圧損の上昇などを防止することができるにも関わらず、PM排出量を抑制し、十分にPMを捕集できることが分かった。
(4)まとめ
以上の第5の試験の結果より、所定の担体と造孔剤とを用いてリン捕集層を形成すると、ウォールフロー型の基材を使用した場合であっても、高いガス透過性を有し、かつ、効率良く排ガス中のリン成分を捕集できる排ガス浄化用触媒を作製できることが確認できた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 排ガス浄化装置
2 内燃機関
3 エキゾーストマニホールド
4 排気管
5 ECU
8 圧力センサ
10 排ガス浄化用触媒
11 基材
12 入側セル
12a、14a 封止部
14 出側セル
15 セル
16、116 隔壁
20、120 リン捕集層
30、130 触媒層
A 第1の排ガス浄化用触媒
B 第2の排ガス浄化用触媒
X 隔壁の延伸方向
Lw 隔壁の延伸方向の全長

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気通路に配置され、該内燃機関から排出される排ガス中の有害成分を浄化する排ガス浄化用触媒であって、
    複数のセルが隔壁によって仕切られた基材と、前記基材の隔壁表面および前記基材の隔壁内部の少なくとも一方に形成された触媒層と、前記触媒層上に設けられたリン捕集層と、を備え、
    前記リン捕集層は、La、Fe、Zr、Ce、Ti、Sr、Ca、Mg、Pr、Yのうち少なくとも一つを含むリン捕集成分を有しており、
    前記リン捕集層の断面の電子顕微鏡観察画像において、前記リン捕集層を100%としたときに、円相当径が5μmよりも大きな大細孔が45%以上を占めている、排ガス浄化用触媒。
  2. 前記リン捕集層の断面の電子顕微鏡観察画像において、前記リン捕集層の空隙率が70%以上である、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記リン捕集層は、細孔径が1μm以上10μm未満である第1の細孔と、細孔径が0.5μm以上1μm未満である第2の細孔と、を有する多元細孔構造である、請求項1または請求項2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 水銀ポロシメータの細孔分布測定において、前記第1の細孔の細孔容積が、前記第2の細孔の細孔容積の4倍以上である、請求項3に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記リン捕集層の骨格部分の表面の電子顕微鏡観察画像において、表面開口率が25%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. 前記リン捕集層の骨格部分の表面の電子顕微鏡観察画像において、小細孔側から累積5%に相当する細孔径Pが0.03μm以上であり、かつ、小細孔側からの累積95%に相当する細孔径P95が1.5μm以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
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