JP4907756B2 - 排ガス浄化用触媒およびその製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒およびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化用触媒とその製造方法に関し、詳しくは、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を酸化除去、ならびに窒素酸化物(NOx)の還元除去を効率よく行うことができる他、圧力損失が小さくかつディーゼルパティキュレートの捕集効率が高く、そして再生率の良好な触媒について提案する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の排気ガス浄化用触媒、例えば、ディーゼルエンジンの排気ガスを浄化する触媒 (フィルタ) としては、図1(a),(b) に示すような排気ガス通路となる各セル101 を、耐熱性および熱伝導性に優れた多孔質炭化けい素焼結体にてハニカム状に形成し、かつそれらのセル101 を交互に目封じしたハニカム形フイルタ100 が用いられている。そして、このハニカム形フイルタ100 をディーゼルエンジンの排気側に接続し、このフィルタ内に堆積したPM (粒子状物質) やHC, CO等を酸化分解する形式の触媒としたものが普通である。
【0003】
このような触媒としては、例えばコージェライトなどをハニカム状に成形した耐熱性担体の濾過壁 (セル壁)102 の表面に、γ−アルミナからなる担持層を形成し、さらにその担持層にPt, Pd, Rhなどの貴金属からなる触媒活性成分を担持させたものがよく知られている。
【0004】
このような触媒に用いられる担体としては、特開平5−68892号公報では、γ−アルミナに無機質バインダを添加して混合, 粉砕して得た微粉末をスラリーとし、このスラリーをコーディエライト製ハニカム担体の壁面に均一に吹き付けて被覆する、いわゆるウォッシュコートしてアルミナ層103 を形成したものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この従来技術、即ちウォッシュコートされた前記アルミナ層103 ( ウォッシュコートアルミナ層) は、図2(a) に示すように、濾過壁102 の壁面を均一に覆う薄膜で形造られ、図2(b) に示した部分拡大図のような細孔構造を持っている。このような細孔構造における孔径は20〜500 オングストロームが主体であり、通常、50〜300m/g の比表面積を示すのが普通である。また、このようなアルミナ層103 は、表面に貴金属等の触媒活性成分を分散支持するための触媒担持層となることから、比表面積が大きくなければならないし、ある程度の厚み (50〜100
μm 程度) も必要である。
【0006】
しかしながら、ウォッシュコートしたアルミナ層103 というのは、気孔径、気孔率が小さく、通気する際の抵抗が大きいため、アルミナ層をもたない担体に比べると、著しく圧力損失が増加するという問題があった。
【0007】
さらに、ウォッシュコートしたアルミナ層103 は、単に、濾過壁102 である担体表面に万遍なくコートされているだけなので、密着性が悪く、排気ガスを浄化する際に堆積する灰分 (アッシュ) を洗浄する際に剥離するおそれがあった。また、前述したように、該ウォッシュコートアルミナ層103 は細孔構造ではあるが、孔径が20〜500 オングストロームと小さく、高温に長時間さらされると焼結が進行し、α相に相転移して表面積が小さくなるため耐熱性に劣るという問題もあった。さらには、表面積が小さいことから、アルミナ層103 上に担持した触媒活性成分 (貴金属) の粒子間距離が小さくなり、そのために焼結が進行した場合には比表面積がますます小さくなり、触媒作用そのものの低下を招くという問題があった。
【0008】
以上の説明から明らかなように、触媒の重要な特性の1つとして、活性成分の担持層表面, とくにその担体を覆うアルミナ担持層を、長時間にわたって安定状態に維持することが重要である。
そこで、本発明の目的は、担体表面に形成するアルミナ薄膜の構造を改良することにより、気孔径や気孔率が大きく、圧力損失が小さくてディーゼルパティキュレート捕集効率が大きい触媒およびそれの有利な製造方法を提案することにある。
本発明の他の目的は、触媒活性成分の担持特性 (固定化特性) に優れ、かつ耐熱性と再生特性および洗浄耐性に優れた触媒およびその製造方法を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決の手段として、本願発明は基本的に、複数のセルを多孔質炭化けい素焼結体にてハニカム状に形成し、かつそれらのセルを交互に目封じしてなる、炭化けい素セラミック担体と、その表面に触媒活性成分を分散担持してなる触媒において、その炭化けい素セラミック担体は、この担体を形造る炭化けい素粒子が、その表面にSiO 層を有し、かつ担体中に占めるそのSiO 量が0.001〜20mass%であると共に、各粒子単位毎に希土類酸化物を含有するアルミナの薄膜によって被覆されたものであり、その希土類酸化物含有アルミナ薄膜小繊維が林立した植毛構造からなる凹凸表面に前記触媒活性成分が担持された触媒を用いることが有利である。
【0010】
前記炭化けい素セラミック担体は、けい素の含有量が0.01〜10mass%であることが好ましい。
【0012】
また、本発明において、セラミック担体中の各粒子表面を覆う前記アルミナ薄膜は、セリア(CeO)やランタナ(LaO)等の希土類酸化物をその表面および/または内部に含有しており、ミクロ断面形状が、直径:2〜50nm、長さ:20〜300nmで、全長/直径の比が5〜50の形状を有する小繊維が林立した植毛構造を呈し、比表面積が50〜300m/gであること、そして、このアルミナ薄膜は、担体に対し、アルミナ量で0.1〜15mass%の割合であることが好ましい実施形態である。
【0013】
また、本発明において、担体を覆う前記希土類酸化物を含有するアルミナ薄膜は、担体に対してアルミナ量で換算して0.1 〜15mass%の割合で被覆されており、アルミナ薄膜中に含まれる希土類酸化物はそのアルミナに対して10〜80mass%の含有量であることが好ましい実施形態である。
【0014】
また、本発明において、前記希土類酸化物は、少なくともそれの一部がジルコニウムとの複合酸化物を形成しているものであることが好ましい実施形態である。
【0015】
そして、本発明において、希土類酸化物とジルコニウムとの複合酸化物の粒子径は、1〜30nmの大きさであることが好ましい実施形態である。
【0016】
次に、本発明にかかる前記触媒は、複数のセルを多孔質炭化けい素焼結体にてハニカム状に形成し、かつそれらのセルを交互に目封じしてなる、炭化けい素セラミック担体を構成する各炭化けい素粒子の表面に、下記の(a)〜(e)工程を経て希土類酸化物含有アルミナ薄膜を形成し、次いでその希土類酸化物含有アルミナ薄膜の小繊維が林立した植毛構造からなる凹凸表面に、貴金属などの触媒活性成分を担持させることによって製造することができる。
(a)溶液含浸工程:上記担体をアルミニウムおよび希土類酸化物を含有する金属化合物の溶液中に浸漬する。
(b)乾燥工程:上記担体を加熱乾燥する。
(c)仮焼成工程:上記担体を300〜500℃の温度に加熱焼成することにより、アモルファスアルミナ薄膜を形成する。
(d)熱水処理工程:上記担体を100℃の熱水中に浸漬処理したのち乾燥する。
(e)本焼成工程:500〜1000℃にて本焼成する。
【0017】
また、本発明にかかる担体の他の製造方法は、複数のセルを多孔質炭化けい素焼結体にてハニカム状に形成し、かつそれらのセルを交互に目封じしてなる、炭化けい素セラミック担体を構成する各炭化けい素粒子の表面に、下記の(a)〜(e)工程を経て希土類酸化物含有アルミナ薄膜を形成し、次いでその希土類酸化物含有アルミナ薄膜の小繊維が林立した植毛構造からなる凹凸表面に、貴金属などの触媒活性成分を担持させることによって製造することができる。
(a)予備処理工程:上記炭化けい素セラミック担体を1000℃〜1500℃の温度に加熱してけい化物の酸化膜を形成する。
(b)溶液含浸工程:上記担体をアルミニウムおよび希土類酸化物を含有する金属化合物の溶液中に浸漬する。
(c)乾燥工程:上記担体を加熱乾燥する。
(d)仮焼成工程:上記担体を300〜500℃の温度に加熱焼成することにより、アモルファスアルミナ薄膜を形成する。
(e)熱水処理工程:上記担体を100℃の熱水中に浸漬処理したのち乾燥する。
(f)本焼成工程:500〜1000℃にて本焼成する。
【0018】
なお、上記各製造方法において、炭化けい素セラミック担体の成分組成、構造、特性については、上述したとおりのものであり、また、各セラミック粒子表面を覆う希土類酸化物含有アルミナ薄膜も、上述したものと同一である。さらに、希土類酸化物は、少なくともその一部または全部がジルコニウムとの複合酸化物を形成したものであり、その粒子径は1〜30nmの大きさのものが用いられることも、上述したとおりのものである。
【0019】
上記触媒活性成分としては、Pt, Rh, Pd, Ce, Cu, V, Fe, Tu, Ag のうちから選ばれるいずれか少なくとも1種の金属, 合金, その化合物が用いられる。
【0020】
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、多孔質な炭化けい素セラミック焼結体(以下、単に「多孔質SiC焼結体」という。)にて濾過壁2を形造り、その濾過壁2の表面、とくに各SiC粒子表面のそれぞれに、触媒担持層となるアルミナ薄膜3を所定の厚みで個別に被覆し、そして、このアルミナ薄膜3上にPtやPdなどの触媒活性成分 (以下、単に「活性成分」という) を担持させたものである。
【0021】
本発明にかかる排ガス浄化用触媒に用いられる前記炭化けい素セラミック担体としては、炭化けい素粉末に、有機バインダ、潤滑剤、可塑剤および水を配合して混練し、押出し成形したのち焼結したものを用いることができる。このようにして、図1に示すような、ウォールフローハニカム型フィルタが形成される
【0022】
上記担体(フィルタ)1は、複数の貫通孔 (セル) がその軸線方向に沿って規則的に形成された断面略正方形状をなすSiC 焼結体で構成されている。前記セルは、濾過壁2 (以下、“セル壁”ともいう) によって互いに隔てられており、各セルの開口部は一方の端面側においては封止体104 により封止されており、該当するセルの他方の端面は開放され、全体としては各端面とも解放部と封止部とがそれぞれ市松模様状を呈するように配置されている。そして、該SiC 焼結体からなる担体(フィルタ)1には、断面四角形状をした多数のセル101 が形成されている。言い換えると、これらのフィルタはハニカム構造を備えている。
なお、前記セル101 の密度は200 〜350 個/平方インチである。即ち、多数あるセル101 のうち、約半数のものは上流側端面において開口し、残りのものは下流側端面において開口しており、各セル101 を隔てるセル壁2の厚さは0.4mm 前後に設定されている。
【0023】
このように、SiC 焼結体からなる担体1は、図3(a) に示すような多孔質のセル壁2によって仕切られた構造を有するものであって、その多孔質セル壁2の気孔は、水銀圧入法によって測定された気孔径の平均値が5μm 〜15μm の範囲内にあり、その気孔径を常用対数で表した場合の気孔径分布における標準偏差の値が0.20以下であるものが好適である。
セル壁2がこの程度の気孔径を有すると微細なパティキュレートの捕集にも好適である。即ち、セル壁2の平均気孔径を上記範囲内に設定することで、ディーゼルパティキュレートを確実に捕集することができる。一方、このセル壁2の気孔径の平均値が5μm 未満だと、内壁を排気ガスが通過する際の圧力損失が極端に大きくなり、エンジンの停止を引き起こしかねない。また、気孔径の平均値が15μm を超えると、微細なパティキュレートを効率よく捕集することができなくなる。
【0024】
このような担体1の製造は、例えば、原料として、10μm 程度の平均粒子径を有する炭化けい素粉末70重量部に、0.5 μm 程度の平均粒子径を有する炭化けい素粉末約30重量部、バインダーとしてのメチルセルロースをセラミック粉末100重量部に対して約6重量部、その他、有機溶媒および水からなる分散媒液をセラミック粉末100 重量部に対して約25重量部を配合したものを原料とする。次いで、この配合原料を混練したのち押し出し成形によってハニカム状に成形してから、前記セル101 の一部を市松模様状に封止する。次いで、その成形体を乾燥脱脂した後、不活性雰囲気下にて2200℃、4時間にわたって焼成をすることにより、所望のセラミック担体とする。
【0025】
本発明において最も特徴的な構成は、上記セラミック担体1を実質的に構成してなるセル壁2の表面、とくに該セル壁2を構成する各粒子の表面を希土類酸化物含有アルミナ薄膜で被覆することにある。このことをもっと正確に言うと、該セル壁2を構成しているSiC 焼結体の各粒子を対象として、それぞれの粒子表面を個別に、各種の方法によって希土類酸化物含有アルミナの薄膜にて被覆したことにある。
なお、図2(b) は、前記セル壁102 表面に一様に、ウォッシュコート法によってアルミナ層103 を被覆形成した従来技術を示したものであるが、図3(b),(c)は、本発明で用いている担体の説明図であって、セル壁2を構成する各SiC 粒子4・・・のそれぞれの表面に、希土類酸化物含有アルミナ薄膜3 (以下、この「希土類酸化物含有アルミナ薄膜」を、単に「アルミナ薄膜」と略記する) が個別に被覆された状態のものを示している。
【0026】
このように、本発明にかかる触媒において特徴的な構成である担持膜 (アルミナ薄膜) は、従来のように、単に排気ガスの濾過壁である前記セル壁2の壁面をアルミナ層103 で一様に被覆したものではない。たとえば、従来のように、壁面を一様に被覆すると、粒子間の間隙が封塞され、目封じされて通気性を阻害することになる。これに対し、本発明で用いる担体の場合、セル壁2を構成している各SiC 粒子4の表面を、個別にアルミナ薄膜3にて被覆した構造にしてある。
従って、本発明については、セル壁2自体の気孔, 即ち各粒子間に生じた間隙を完全に塞ぐようなことなく、気孔は気孔としてそのまま維持されることになるから、従来のアルミナ層103 に比べると圧力損失が著しく小さい。しかも、耐熱性にも優れ、さらにはアルミナ薄膜3が各SiC 粒子自体を個別に被覆しているので、例えば、洗浄に当たって該薄膜がセル壁から剥落するようなことがなく、耐洗浄性に優れたものになる。
そこで以下に、本発明にかかる触媒に用いられる担持膜としてのアルミナ薄膜の圧力損失特性, 耐熱性, 耐洗浄性ならびに再生特性について説明する。
【0027】
アルミナ薄膜の圧力損失特性について;
一般に、濾過壁である前記セル壁を排ガスが通過するときの圧力損失特性は、次のように考えられる。即ち、前記担体 (フィルタ) をディーゼル排気ガスが通過するときの圧力損失は、図4のように示すことができる。この場合、抵抗ΔP1、ΔP2、ΔP3はそれぞれフィルタのセル構造に依存するものであって、ディーゼルパティキュレートの堆積など時間経過によらない一定の値Δpi=(ΔP1+ΔP2+ΔP3)であり、初期圧力損失という。また、ΔP4は堆積したディーゼルパティキュレートを通過するときの抵抗であり、初期圧力損失の2〜3倍以上の値となる。
【0028】
14ミル/200個/(インチ) のセル構造をもつ担体の表面積は、8.931cm/cmであり、この担体の密度は0.675g/cmであるので、セル壁表面積は0.0013m/gとなる。一方、セル壁内の細孔表面積は、水銀ポロシメーターの測定によると0.12m/gであり、約100倍の表面積をもつ。このことは、同じ重量のアルミナをセル壁表面に被覆して薄膜を形成する場合、単にセル壁の表面を一様に覆うように被覆するよりも、このセル壁を構成している各粒子の表面を個別に被覆した方が、同じ効果を得るためのアルミナの厚みを1/100にすることができる。即ち、ウォッシュコートのような従来技術の下でアルミナ薄膜を一様に形成する場合、触媒の活性に必要な3mass%程度のアルミナを被覆するには、アルミナ層の厚みは50μmが必要である。このときの圧力損失は、セル壁内を通過する抵抗ΔP3に加え、アルミナ層を通過する抵抗が増加する。さらに、開口が小さくなりΔP1も大きくなる。そのため、アルミナコートをしていないフィルタに比較して圧力損失が著しく大きくなり、その傾向は、フィルタにパティキュレートが堆積した場合に、より一層顕著になる。この点、本発明において用いる担体のように、セル壁を構成するSiC各粒子の表面にアルミナをコートする場合、触媒の活性化に必要な3mass%程度のアルミナコート層にするには、その厚みは最大でも0.5μm程度である。このときの圧力損失の増加は、抵抗ΔP3をわずかに増加させるが、その他の圧力損失は実質的に無視できる程度であり、従来のウォッシュコートアルミナ層に比べると、圧力損失特性は飛躍的に向上する。
【0029】
このアルミナ薄膜の耐熱性について;
一般に、アルミナは高い比表面積を有し、触媒担持膜として好適である。とくに、より高温で安定に作動する耐熱性の高い触媒の開発が望まれている現在、それに伴って、アルミナ担持膜についても、より高い耐熱性が要求されている。
この点について本発明においては、アルミナの耐熱性を向上させるべく、
▲1▼各アルミナ粒子の形状を小繊維状にすると共に、▲2▼セリア等の希土類酸化物を含有させることにした。
とくに、前者▲1▼の構成を採用することにより、各アルミナ粒子間の接点を減らすことができ、焼結速度の低下を通じて粒成長を抑制し、もって比表面積を大きくすることができ、ひいては耐熱性が向上する。
即ち、本発明においては、担体の各粒子表面を覆うアルミナ薄膜は、ミクロ断面形状が各アルミナ粒子が小繊維状か林立した植毛構造を呈しており、それ故に隣接するアルミナ小繊維の互いの接触点が減少するために、著しく耐熱性が向上するのである。
【0030】
次に、▲2▼について、セリア等の添加によっても耐熱性は改善される。その理由は、アルミナを構成する結晶粒子の表面に新しく化合物を形成し、アルミナ粒子どうしの成長を妨げる効果によるものである。
【0031】
なお、本発明の場合、SiC やこのSiC のごく表層に存在するSiOから、熱処理時にSiが供給され、物質移動経路を遮断する作用を担うことからも耐熱性が向上する。発明者らの研究によれば、故意にSiC を高温で処理して酸化膜を形成させると、耐熱性がさらに向上することがわかっている。
【0032】
アルミナ薄膜の耐洗浄性について;セル壁表面に堆積したパティキュレートの主体はカーボンであり、これは、燃焼などの方法により酸化除去できる。ところが燃焼後も灰分として残る物質がある。これは、エンジンオイル中に中和剤あるいは、潤滑剤などの役割を持たすために添加してあるCa,Mg,Znなどの化合物が酸化されたり、硫酸塩になったりしたものと、あらかじめ、燃料中にCeOやCuOなどのカーボン燃焼のために混入してある触媒がパティキュレートと一緒に堆積したものとがある。これらの灰分は、車両の長時間走行に伴って堆積していき、フィルターの圧力損失を増加させていくので、高圧水などによる洗浄が必要である。このとき30kg/cm以上の圧力で洗浄すると灰分が完全に除去できる。
【0033】
この点に関し、セル壁表面にウォッシュコートによって形成した従来のアルミナ均一膜の場合、セル壁表面全体に物理吸着による厚いコート層があるため、上記洗浄時に剥離することが多い。
これに対し、本発明において用いる上記担持膜 (アルミナ薄膜) では、アルミナがSiC 担体を構成する各粒子の表面に薄く個別に被覆されており、しかも、担体を構成しているSiC からはSiが供給されて化学的にも結合していることから、粒子個々と硬く密着した状態となっている。従って、密着性が高く、それ故に洗浄に対する抵抗も高く、被膜としての耐久性が強力である。
【0034】
アルミナ薄膜の再生特性について;
本発明においては、上記アルミナ薄膜は、その中にセリア (CeO) やランタナ (LaO)の如き希土類酸化物を、AlOに対して10〜80mass%程度、好ましくは20〜40mass%程度添加して、薄膜の表面や内部にこれらの酸化物を均一分散させたものである。
アルミナ薄膜中にセリア等を添加すると (好ましくはPt等の触媒活性成分と共に添加することの方が望ましい) 、セリアのもつ酸素濃度調節作用により、排ガス中への酸素の供給を活発にして、フィルタに付着した“すす (ディーゼルパティキュレート) ”の燃焼除去効率が向上し、ひいては触媒担体の再生率が著しく向上することになる。
【0035】
即ち、セリア等の希土類酸化物は、アルミナの耐熱性を向上させるだけではなく、触媒表面での酸素濃度を調節する役割も果たす。一般に、排ガス中に存在する炭化水素や一酸化炭素は酸化反応により、またNOは、還元反応により除去されるが、排ガス組成は燃料のリッチ域とリーン域との間で絶えず変動しているため、触媒表面の作用雰囲気も激しく変動することになる。ところで、触媒に添加されるセリアは、Ce3+とCe4+の酸化還元電位が比較的小さく、下記式;
2CeO ⇔ CeO+1/2O
の反応が可逆的に進行する。即ち、排ガスがリッチ域になると上記の反応は右に進行して雰囲気中に酸素を供給するが、逆にリーン域になると左に進行して雰囲気中の余剰酸素を吸蔵する。このようにして、雰囲気中の酸素濃度を調節することにより、該セリアは、炭化水素や一酸化炭素あるいはNOを効率よく除去できる空燃比の幅を広げる作用を担う。
【0036】
図12は、セリア(CeO)を添加していないAlO薄膜(a)と、セリアを添加した場合のAlO薄膜(b)とをそれぞれ担持膜とする触媒について、それぞれの酸化速度のメカニズムを説明するものである。図に示すように、CeOが存在しない触媒(a)は、排ガス中の酸素を活性化することにより、すす(煤)を酸化させる。この反応は、流体中の酸素を活性化させなければならないために効率が悪い。一方、CeOが存在する触媒(b)については、次のような反応;
CeO⇔CeO2−x+x/2O
によって、酸素が供給される。つまり、雰囲気中に吐き出された酸素および排ガス中の酸素は、触媒(貴金属)によって活性化されてすす(カーボン)と反応し、COとなる(CeO2−xは、酸化して元のCeOに戻る)。また、CeOとすすは、直接接触するために、吐き出される酸素量は少量であっても、この煤を効率よく酸化できるのである。しかも、この場合のCeOは、触媒(貴金属)を担持することによりOSC(酸素貯蔵機能)を増大させる。というのは、触媒(貴金属)は、排ガス中の酸素を活性化し、貴金属近傍のCeO表面の酸素も活性化すため、前記OSCが増大するのである。
【0037】
また、図13,図14は、アルミナ薄膜中へのセリア等希土類酸化物の添加効果について、Pt/CeO/針状AlO触媒 (発明例) 、Pt/針状AlO(比較例)およびPt/AlO (ウォッシュコート) 触媒の再生特性に関して実験した結果を示すものである。この実験は、すす(媒) が付着したディーゼルパティキュレートフィルタ (DPF,全長=150mm)を電気炉中に収容して 650℃に加熱する一方、1100rpm, 3.9 Nmのディーゼルエンジンを接続し、その排ガス(350℃) を該フィルターに導入したときのフィルタ温度 (導入口より 145mmの位置での測温)の推移(図13)、および再生(燃焼) 速度 (上昇温度ΔTと経過時間Δtの比、図14)を調べたものである。図13に示すように、従来例(ウォッシュコートアルミナ)はOが律速となって50sec−700℃でピーク温度を迎え、そして比較例(セリアなし)でもOが律速になって、80sec−800℃でピーク温度を迎えるが、本発明例では45sec−900℃という速い速度で高いピーク温度を迎えており、すすの酸化除去効率が高く、高い再生率を示していることがわかる。このことはまた、図14の再生(燃焼)速度の差としても明白に現れている。また、図15は、再生率(再生フィルタから除去されたC量/再生前のフィルタに付着していたC量)を示すものであるが、本発明例のセリアを含有するアルミナ薄膜の場合、45%ものカーボンが除去されているのに対し、ウォッシュコートアルミナ均一膜の場合、僅か12%に止まり、本発明例(セリア含有触媒)の効果が際立っていることが明らかである。なお、DPF内に堆積したすすを除去する行為を再生と呼び、再生したすす重量と堆積したすす重量との比を百分率で表して、これを再生率と定義する。
【0038】
なお、上記希土類酸化物については、上述した例にある単独酸化物 (CeO) の他に、例えば、希土類元素とジルコニウムとの複合酸化物を用いることがより好ましい。それは、希土類酸化物中にジルコニウム酸化物を含有していることで、該希土類酸化物の粒成長の抑制を通じて酸素濃度の制御特性が向上するからであると考えられる。
【0039】
ジルコニウムとの複合酸化物の形態をとる前記希土類酸化物は、その粒子径が1〜30nm程度にすることが好ましく、より好ましくは2〜20nmの大きさが好適である。その理由は、粒子径が1nm未満の複合酸化物は製造上困難である。一方、粒子径が30nm超になると、粒子がシンタリングしやすくなり、粒子表面積が小さくなり、ひいては排気ガスとの接触面積が小さくなって、活性が弱まるという問題が残るからである。しかも、排気ガス通過時の圧力損失も大きくなるという問題も懸念される。
【0040】
アルミナ薄膜の構造について;
図5は、各SiC 粒子表面にアルミナ薄膜を被覆した担体 (本発明) の電子顕微鏡写真 (×10K)、 (×30K)と、セル壁表面にアルミナの膜を均一に被覆した担体 (従来技術) の電子顕微鏡写真 (×10K)、 (×30K)とを比較したものであるが、本発明担体の場合、各SiC 粒子表面に針状 (小繊維状) のアルミナが林立して、あたかも図3(c) に示すような植毛構造を呈していることが明らかに見てとれる。
【0041】
本発明の触媒において求められているかかるアルミナ薄膜の構造、即ち、各SiC 等の各粒子の表面を被覆することによって形成されたアルミナ薄膜の結晶構造は、γ−AlO、δ−AlO、θ−AlOの少なくとも1つが含まれ、アルミナ薄膜を構成する小繊維突起状アルミナの直径は、2〜50nmであり、長さが20〜300nm で全長/直径の比が5〜50の形状を有するものである。そして、このような構造からなる薄膜の厚みは0.5 μm 以下で、アルミナ基準のアルミナの比表面積は、50〜300m/g であることが好ましい。
ここで言うアルミナ薄膜の厚みとは、SiC 粒子表面から小繊維突起状のアルミナのSiC 粒子表面からの最遠部までの距離の平均である。なお、アルミナの直径は5〜20 nm がより望ましく、全長/直径の比は10〜30がより望ましい。
【0042】
上記小繊維突起状アルミナ薄膜の特性を上記のように限定する理由は、小繊維突起状アルミナの長さは20nmよりも小さいと必要な比表面積を確保することがむずかしくなり、一方、300 nmよりも大きいと構造的にもろくなるからである。また、直径については、これが2nmより小さいと貴金属などの触媒の大きさと同等以下となり、担持層として機能しなくなり、一方、50nmより大きくなると望ましい大きさの比表面積の確保が難しくなるからである。また、全長/直径の比については、この比が5より小さいと必要な比表面積を確保することが難しく、一方、50より大きくなると構造的にもろくなり、洗浄作業などにより小繊維状突起が折れる場合が生じるからである。
【0043】
また、アルミナ薄膜の比表面積について、上記のように限定する理由は、50m/gより小さいと小繊維突起状アルミナのシンタリングが過剰に進むため耐久性が劣る。一方、比表面積が300m/g より大きくなると小繊維突起状アルミナが微細になりすぎることを意味し、いわゆる担持層として機能しなくなるか、構造的にもろくなる。なお、好ましい比表面積は50〜200 m/gの範囲である。
【0044】
次に、上記のようなセラミック担体において、担持膜となるアルミナ薄膜の量は、アルミナ比率で0.1 〜15mass%が好ましい。この理由は、0.1 mass%より小さいと耐熱性向上効果が小さく、一方15mass%より大きいと圧力損失が増大し、フィルタ機能が低下するからである。より好ましくは1〜4mass%である。
【0045】
次に、このセラミック担体において、けい素の含有量は0.01〜10mass%とすることが好ましい。この理由は、けい素の含有量が0.01mass%より小さいとSi供給能力が不足して耐熱性向上効果が少なく、一方、けい素の含有量が10mass%より多いと、ハニカムフィルタの強度が低下するからである。このけい素の含有量は、他のけい素含有セラミックスについても同様の理由で0.01〜10mass%とすることが好ましく、より好ましくは0.01〜5mass%、さらに好ましくは0.01〜2 mass%である。
【0046】
上記のSiC 粒子の各々の表面がアルミナ薄膜にてそれぞれ個別に被覆され、あたかも担体表面がアルミナ薄膜 (担持膜) にて完全に被覆されているかの如き様相を呈する上記セラミック担体に対し、活性成分であるPt, Rh, Pd, Ce, Cu, V,
Fe, Au, Ag などを担持させて触媒とする。
これらの活性成分のアルミナ担持膜への担持には、種々の方法が考えられるが、本発明に有利に適合する方法としては、含浸法, 例えば蒸発乾固法、平衡吸着法、インシピアント・ウェットネス法あるいはスプレー法が適用できる。なかでもインシピアント・ウェットネス法が有利である。この方法は、所定量の活性成分を含む水溶液を担体に向けて少しずつ滴下し、担体表面が均一にわずかに濡れはじめた状態 (インシピアント:Incipient)となった時点で、活性成分の担体細孔中への含浸を停止させ、その後、乾燥、焼成して担持する方法である。即ち、担体表面にビュレットや注射器を用いて活性成分含有溶液を滴下することによって行う。担持量は、その溶液の濃度を調節することによって行う。
【0047】
なお、触媒活性成分として有用な上記貴金属成分は、Pt/Rh系、Pt/Rh/Pd系などの二元系,三元系合金が用いられ、これらは上述したように助触媒として作用するセリアやランタナの如き希土類酸化物とともに用いた方が有利であり、こうした触媒は被毒劣化(鉛被毒,燐被毒,硫黄被毒)が少なく、かつ熱劣化も小さいので耐久性に優れる。
【0048】
次に、本発明にかかる排ガス浄化用触媒担体の製造方法について説明する。本発明にかかる触媒の製造方法の特徴は、上記炭化けい素セラミック担体の凹凸表面に、ゾル−ゲル法によって希土類酸化物を含有するアルミナ薄膜を形成すること、特に溶液の浸漬によるセル壁を形造るSiCの各セラミック粒子各々の表面に対し、希土類酸化物含有アルミナ薄膜をそれぞれ個別に被覆し、そして仮焼成の後に、熱水処理工程を経ることにより、前記アルミナ薄膜のミクロ断面構造をセリア等が分散しているアルミナの小繊維を林立させたような植毛構造を呈するアルミナ薄膜(担持膜) に変化させ、次いで、そのアルミナ担持膜の表面に所定量の活性成分を吸着させて固定化(担持)させる点にある。以下に各工程 ((1) 担体の形成、(2)活性成分の担持) について詳しく説明する。
【0049】
(1)炭化けい素セラミック担体へのアルミナ薄膜の被覆
a.予備処理工程
この工程は、SiCセラミック粒子各々の表面に、アルミナとの化学的な結合を助成するためのSi量を提供すべく、800 〜1600℃に5〜100 時間加熱して酸化する処理である。もちろん、上記セラミック粒子の表面に十分な酸化膜があれば、この工程は省略が可能である。例えば、SiC焼結体はそもそも、0.8mass%程度のSiOを含んでいる。これらは、SiCの表面や粒界に存在しており、そのSiが供給されることが容易に推測される。さらに、耐熱性を向上させるべく、SiOを増加する意味もあり、この場合、酸化雰囲気で800〜1600℃で5〜100時間、加熱することが望ましい。これは、800℃未満だと、酸化反応が起こり難く、一方1600℃を越えると酸化反応が進みすぎて、フィルタの強度低下を招くからである。推奨条件は1000〜1500℃、5〜20hrである。それは、この条件であれば、Siを供給するのに十分なSiOを表面に形成することができ、かつ、フィルタの気孔率、気孔径を殆ど変化させないので、圧力損失特性を損なうことがないからである。
【0050】
b.溶液含浸工程
この工程は、セル壁を構成する各セラミック粒子の表面にそれぞれ、アルミニウムと希土類元素とを含有する金属化合物の溶液、たとえば、硝酸アルミニウムと硝酸セリウムとの混合水溶液などを用いてゾル−ゲル法により含浸させることにより、希土類酸化物含有アルミナ薄膜を被覆するための処理である。
【0051】
上記混合水溶液のうち、アルミニウム含有化合物の溶液については、出発金属化合物としては、金属無機化合物と金属有機化合物とがある。金属無機化合物としては、Al(NO)、AlCl、AlOCl 、AlPO、Al(SO)、AlO、Al(OH)、Alなどが用いられる。なかでも特に、Al(NO)やAlClは、アルコール、水などの溶媒に溶解しやすく扱い易いので好適である。
金属有機化合物の例としては、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレートがある。具体例としてはAl(OCH)、Al(OCH)、Al(iso-OCH)などがある。
【0052】
一方、上記混合水溶液のうち、セリウム含有化合物の溶液については、Ce(NO), CeCl, Ce(SO), CeO, Ce(OH), Ce(CO)などが用いられる。
【0053】
上記混合溶液の溶媒としては、水、アルコール、ジオール、多価アルコール、エチレングリコール、エチレンオキシド、トリエタノールアミン、キシレンなどから上記の金属化合物の溶解を考慮し少なくとも1つ以上を混合して使う。
また、溶液を作成するときの触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸を加えることもある。さらに、アルミナ薄膜の耐熱性を向上させるために、希土類酸化物の他に、Li, K,Ca, Sr, Ba, La, Pr, Nd, Si, Zrの単体および化合物を、出発原料に添加してもよい。
【0054】
本発明において、好ましい金属化合物の例としては、Al(NO)およびCe(NO)をあげることができるが、これらは比較的低温で溶媒に溶解し、原料溶液の作製が容易である。また、好ましい溶媒の例としては、1,3ブタンジオールを推奨する。推奨の第一の理由は、粘度が適当であり、ゲル状態でSiC 粒子上に適当な厚みのゲル膜をつけることが可能だからである。第2の理由は、この溶媒は、溶液中で金属アルコキシドを形成するので酸素・金属・酸素の結合からなる金属酸化物重合体、すなわち金属酸化物ゲルの前駆体を形成しやすいからである。
【0055】
かかるAl(NO)の量は、10〜50mass%であることが望ましい。10mass%未満だと触媒の活性を長時間維持するだけの表面積をもつアルミナ量を担持することができず、一方、50mass%より多いと溶解時に発熱量が多くゲル化しやすくなるからである。
また、Ce(NO)の量は1〜30mass%であることが好ましい。その理由は、1mass%未満だとすす酸化を促進することができず、30mass%より多いと焼成後CeOの粒成長が起こるからである。
一方、Al(NO)とCe(NO)との配合割合は、10:2とすることが好ましい。その理由は、Al(NO)をリッチにすることにより、焼成後のCeO粒子の分散度を向上できるからである。
【0056】
上記金属化合物の含浸溶液を作製するときの温度は、50〜130 ℃が望ましい。50℃未満だと溶質の溶解度が低いからであり、一方130 ℃より高いと反応が急激に進行しゲル化に至るため、塗布溶液として使用できないからである。撹拌時間は1〜9時間が望ましい。この理由は、前記範囲内では溶液の粘度が安定しているからである。
【0057】
上記のセリウム含有金属化合物 (Al(NO)およびCe(NO)) については、上述した例の他、ジルコニウムとの複合酸化物または固溶体を生成させるために、ジルコニウム源として、例えばZrO(NO)やZrOを用い、これらを水やエチレングリコールに溶解して混合溶液とし、その混合溶液に含浸させた後、乾燥,焼成することにより、前記複合酸化物を得るようにすることが好ましい。
【0058】
本発明において重要なことは、上記のようにして調整した金属化合物の溶液を、セル壁内の各セラミック粒子間の間隙である総ての気孔内に行き渡らせて侵入させることである。そのために、例えば、容器内に触媒担体(フィルタ)を入れて前記金属化合物溶液を満たして脱気する方法や、フィルタの一方から該溶液を流し込み、他方より脱気する方法等を採用することが好ましい。この場合、脱気する装置としては、アスピレータの他に真空ポンプ等を用いるとよい。このような装置を用いると、セル壁内の気孔中の空気を抜くことができ、ひいては各セラミック粒子の表面に上記金属化合物の溶液をまんべんなく行き渡らせることができる。
【0059】
c.乾燥工程
この工程は、NOなどの揮発成分を蒸発除去し、溶液をゲル化してセラミック粒子表面に固定すると同時に、余分の溶液を除去する処理であって、120 〜170℃×2hr程度の加熱を行う。それは、加熱温度が120 ℃よりも低いと揮発成分が蒸発し難く、一方170 ℃よりも高いとゲル化した膜厚が不均一になる。
【0060】
d.仮焼成工程
この工程は、残留成分を除去して、アモルファスのアルミナ薄膜を形成するための仮焼成の処理であり、300 〜500 ℃の温度に加熱することが望ましい。仮焼成の温度が300 ℃より低いと残留有機物を除去し難く、一方500 ℃より高いとAlOが結晶化し、その後の熱水処理により、小繊維突起状のベーマイトが形成できなくなるからである。
【0061】
e.熱水処理工程
この工程では、上述した本発明に特有のアルミナ薄膜の構造を形造るため、仮焼成した触媒担体を熱水中へ浸漬する処理を行う。このような熱水処理を行うと、その直後にアモルファスアルミナ薄膜表面の粒子が解膠作用を受けてゾル状態で溶液中に放出され、また水和によって生じたベーマイト粒子が小繊維状突起となって凝縮し、解膠に対して安定な状態をつくる。
即ち、この熱水処理により、各セラミック粒子の表面に個別に付着した希土類酸化物含有アルミナは、小繊維状 (針状粒子) となって林立し、いわゆる植毛構造を呈して粗い表面となる。それ故に高い比表面積の薄膜が形成される。一般に、アルミナの焼結は主に表面拡散で進行し、α−アルミナに相転移するときに急激に比表面積が減少する。しかし、前記アルミナ粒子にシリカが取り込まれているため、このシリカが熱処理過程においてアルミナの空孔サイトを埋め、あるいは針状粒子表面に移動して表面拡散や粒子間の焼結を抑制すると考えられる。したがって、担体の焼結初期には、針状粒子間の接触点からの焼結による粘性流動機構が支配的であるが、後期ではシリカが針状粒子間の物質移動経路を遮断するためにα−アルミナへの転移が阻害され、それ以上の焼結が進行せずに高い比表面積を維持するものと考えられる。
【0062】
上記熱水処理の温度は50〜100 ℃が望ましい。50℃より低いとアモルファスアルミナ薄膜の水和が進行せず、小繊維突起状のベーマイトを形成しないからである。一方、100 ℃より高いと水が蒸発し、工程を長時間維持しがたい。処理時間については1時間以上が望ましい。1時間より短いとアモルファスアルミナの水和が不十分になるからである。
【0063】
.本焼成工程
この工程では、水和によって生じたベマイトを膜水させてアルミナ結晶とするための処理を行う。好ましい本焼成の温度は500 〜1000℃で、5〜20hrの処理を行う。この温度が500℃より低いと結晶化が進まないからであり、一方、1000℃よりも高いと、焼結が進行しすぎて、表面積が低下する傾向にあるからである。
【0064】
(2) 活性成分の担持
a.溶液調整工程
SiCセラミック担体 (フィルタ) の表面に、図3(c) に示すような植毛構造を有する希土類酸化物含有アルミナ薄膜 (担持膜) を被覆し、そのアルミナ薄膜の凹凸状表面に対しにPtなどの活性成分を担持する。この場合、活性成分の担持量は、Pt等を含む水溶液を担体の吸水量だけ滴下して含浸させ、表面がわずかに濡れ始める状態になるようにして決定する。
例えば、SiCセラミック担体が保持する吸水量というのは、乾燥担体の吸水量測定値を22.46 mass%とし、この担体の質量が110 g、容積が0.163 l を有するものであれば、この担体は24.7 g/lの水を吸水する。
ここで、Ptの出発物質としては、例えばジニトロジアンミン白金硝酸溶液 ( [Pt(NH)(NO)]HNO、Pt濃度 4.53 mass%) を使用する。所定の量 1.7g/l のPtを担持させるためには、担体に1.7(g/l)0.163(l)=0.272 g のPtを担持すれば良いので、蒸留水によりジニトロジアンミン白金硝酸溶液 (Pt濃度 4.53 %)
を希釈する。即ち、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液 (Pt濃度 4.53 mass%) /蒸留水の重量比率X(%)は、X=0.272(Pt量g)/24.7 (含水量g)/4.53 (Pt濃度mass%) で計算され、24.8mass%となる。
【0065】
b.液含浸工程
上記のようにして調整した所定量のジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を、上記担体の両端面にピペットにて定間隔に滴下する。例えば、片面に40〜80滴づつ定間隔に滴下し、SiC担体を覆うアルミナ担持膜表面にPtを均一に分散固定化させる。
【0066】
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、排気ガス浄化用フィルタとしての用途に用いられ、ハニカムを市松模様に交互に目封じしたディーゼルパティキュレートフィルタとして利用される。このディーゼルパティキュレートフィルタ (以下、単に「DPF」と略記する) は、それ自体ではパティキュレート (浮遊粒状物質:PM)を濾過壁 (セル壁102)で捕集する機能しか持たないが、これに触媒活性成分を担持することにより、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素を酸化することができる。また、ディーゼル排ガスのような酸化雰囲気においてもNOを還元できるNO選択還元型触媒成分や吸蔵型触媒成分を担持すればNOの還元も可能である。なお、このDPF中に捕集される前記PMは、堆積とともに上記DPFの圧力損失の増加を招くため、通常は燃焼処理などにより除去して再生する必要がある。通常のディーゼル排ガス中に含まれるPMの主成分であるすす(炭素)の燃焼が開始される温度は約550〜630 ℃である。この点、触媒活性成分をDPFに担持すると、そのすすの燃焼反応パスが変わり、エネルギー障壁を低くすることができ、ひいては燃焼温度を300〜400 ℃と大幅に低下させることができ、再生に要するエネルギーを削減でき、いわゆる上述したセリアの作用とも相俟って、再生効率の高いDPFシステムを構築できるようになる。
【0067】
本発明にかかる触媒は、排気ガス浄化用フィルタとしての用途に用いられ、その1つの用途は、素通しハニカム担体の例として、ガソリンエンジン用酸化触媒、三元触媒およびディーゼルエンジン用酸化触媒であり、他の1つの用途は、ハニカムを市松模様に交互に目封じしたディーゼルパティキュレートフィルタがある。
このディーゼルパティキュレートフィルタ (以下、単に「DPF」と略記する) は、それ自体ではパティキュレート (浮遊粒状物質:PM)を濾過壁 (セル壁102)で捕集する機能しか持たないが、これに触媒活性成分を担持することにより、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素を酸化することができる。
また、ディーゼル排ガスのような酸化雰囲気においてもNOを還元できるNO選択還元型触媒成分や吸蔵型触媒成分を担持すればNOの還元も可能である。なお、このDPF中に捕集される前記PMは、堆積とともに上記DPFの圧力損失の増加を招くため、通常は燃焼処理などにより除去して再生する必要がある。通常のディーゼル排ガス中に含まれるPMの主成分であるすす (炭素) の燃焼が開始される温度は約550 〜630 ℃である。この点、触媒活性成分をDPFに担持すると、そのすすの燃焼反応パスが変わり、エネルギー障壁を低くすることができ、ひいては燃焼温度を 300〜400 ℃と大幅に低下させることができ、再生に要するエネルギーを削減でき、いわゆる上述したセリアの作用とも相俟って、再生効率の高いDPFシステムを構築できるようになる。
【0068】
以上説明したように、本発明にかかる触媒は、とくにディーゼル排ガス処理システムに応用することが好ましいと言えるが、それぞれの次のような機能が期待できる。
A.ディーゼル排ガス用酸化触媒としての機能
▲1▼ 排気ガス浄化機能・・・THC、CO酸化
▲2▼ エンジンの運転を妨げない機能・・・圧力損失
B.触媒付きディーゼルパティキュレートフィルタとしての機能
▲1▼ 排気ガス浄化機能・・・すすの燃焼温度、THC,CO酸化
▲2▼ エンジンの運転を妨げない機能・・・圧力損失
【0069】
【実施例】
アルミナ薄膜の特性試験
この特性試験は、担体表面に被覆形成したセリア含有アルミナ薄膜についての作用・効果を確認するために行ったものである。表1に示す条件の下に製造した触媒担体(本発明試験例1−1、1−2、比較例1)を、ディーゼル車の排ガス浄化装置におけるパティキュレートフィルタ(DPF)に取付けて浄化試験を行った。この試験によって該フィルタの圧力損失特性、耐熱性、洗浄特性について調査した。その調査結果を同表の中に示すと共に図6、図7に示した。
【0070】
【表1】
Figure 0004907756
【0071】
a.図6に示すように、パティキュレート(浮遊粒子状物質:PM)が蓄積する前では試験例1−1は、アルミナ薄膜がないときとほどんど同じ圧力損失特性を示し、蓄積後も比較例1に比べると、同じガスを流通させたときの圧力損失は著しく小さいことがわかった。
b.また図7に示すように、比較例1に比べると、本発明試験例1−1,1−2は、同じ温度で熱処理したときのアルミナ比表面積の低下が小さく、耐熱性に優れていることがわかった。
c.また、洗浄耐性については、表1に示すように、本発明試験例1−1,1−2は、比較例1よりも格段に優れることが判明した
【0072】
実施例
この実施例は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)に、活性成分として白金(Pt)をセラミック担体に担持させたときの諸特性について試験した結果を示すものである。実施の条件および特性については表2に示す。その結果もまた、図8、図9、図10に示した。なお、この実施例は、担体の粒子表面にアルミナ担持膜(8g/l)を有するものであり、参考例は、担体表面にいかなる担持膜もないもの、比較例は、担体表面にウォッシュコートアルミナ均一膜を形成したものである。
【0073】
【表2】
Figure 0004907756
【0074】
▲1▼ 圧力損失特性;
図8に示すように、実施例、参考例、比較例とを比較すると、本発明に適合する実施例は担持膜をもたない参考例の場合とほぼ同じ圧力損失特性を示し、比較例に比べると格段に効果が認められる。
【0075】
▲2▼ 耐熱性;
図9(a),(b) に示すように、実施例と比較例とについて、1200℃に加熱したときのアルミナ薄膜の比表面積の推移と、900 ℃に加熱したときの平衡温度の推移を比較すると、本発明に適合する実施例の効果が顕著であることがわかる。
【0076】
(3)すす燃焼特性;触媒のすすを燃焼させる性能を平衡温度試験法によって評価した。この試験方法は次のような試験である。即ち、試験装置にディーゼルエンジンを設置し、その排気管の途中に触媒(DPF)を挿入設置し、この状態で運転を開始する。すると、運転時間とともにDPFにはすすが捕集されるため圧力損失が増大する。この場合に、何らかの方法により排気温度を上昇させていくと、ある温度において、すすが堆積する速度とすすの酸化反応速度が平衡する点(平衡温度) が現れると共に、このときの圧力(平衡圧力)が測定できる。この平衡温度、平衡圧力共に低いほど優れた触媒であると言える。なお、この試験において、排気ガス温度を上昇させる方法としては、ディーゼルエンジンとDPFの間に電気ヒーターを挿入して行った。この方法では、エンジン回転数、負荷を一定にできるので、ディーゼル排ガスの組成が試験中に変化せず、平衡温度、平衡圧力が精度よく求められるという特長がある。試験条件は、ディーゼルエンジン排気量273cc、回転数1250RPM、負荷3Nmで定常運転を実施し、供試したフィルタの体積は334×150mmLで0.16Literである。
【0077】
上記試験の結果を図10に示す。図10中、触媒を担持しない担体の例を参考例とした。図よりわかるように、排気ガスの温度上昇とともにフィルタ温度は上昇していくが、500℃程度で平衡点が見られる。本発明に適合する実施例と比較例とを比較すると、平衡温度は、それぞれ420℃、440℃でわずかな優位差であったが、そのときの平衡圧力は11kPa、9.2kPaと20%近く向上している。また、850℃−20hrの酸化雰囲気中でのエージングを実施した後、同様の試験を実施したところ、本発明実施例はほとんど平衡温度、圧力が劣化しなかったのに対し、比較例では触媒を担持していないときと同じ状態にまで劣化していた。
【0078】
(4)THC,CO浄化率;この特性は、酸化触媒を評価する場合の一般的方法である。いわゆるTHC(全炭化水素) のCOと水への浄化およびCOのCOへの浄化の温度との関係を調査したものである。この特性は、低温より転換率が高くなる方が優れた触媒システムと言える。測定方法としては、エンジンとフィルタを用い、フィルタ前後のTHCおよびCOの量を排ガス分析計にて測定し、温度に対する浄化率を測定することにより行った。図11に示すように、本発明実施例は比較例に対してCO、THCのいずれの浄化温度も約30℃低下しており優れた性能を示す。これは、本発明実施例は壁内の粒子に均一に触媒が分散されているため、ウッシュコートを通過する時間に対して、壁内を通過する時間は明らかに長く、それだけPtの活性点にCO, THCが吸着する機会が増したためと考えられる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ディーゼルパティキュレートの捕集効率が大きいと共に、一方で圧力損失が小さく、かつ耐熱性に優れる他、洗浄耐性や再生特性にも優れる排ガス浄化用触媒の提供と、その有利な製造技術の確立を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な触媒担体の略線図である。
【図2】従来のウォッシュコートアルミナ層の概念図である。
【図3】本発明のアルミナ薄膜の概念図である。
【図4】圧力損失特性の説明図である。
【図5】触媒担体の粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】アルミナ薄膜の特性試験における圧力損失特性の比較説明図である。
【図7】アルミナ薄膜の特性試験における耐熱性の比較説明図である。
【図8】実施例における圧力損失特性の比較説明図である。
【図9】実施例におけアルミナ薄膜と触媒の耐熱性の比較説明図である。
【図10】実施例におけるすす燃焼特性の比較説明図である。
【図11】実施例におけるTHC、CO浄化特性の比較説明図である。
【図12】CeO添加による酸化速度向上のメカニズムを説明する模式図である。
【図13】DPFの再生特性に影響するすすの酸化特性の比較グラフである。
【図14】DPFの再生特性に影響する再生 (燃焼) 速度の比較グラフである。
【図15】DPFの再生率の比較グラフである。

Claims (12)

  1. 複数のセルを多孔質炭化けい素焼結体にてハニカム状に形成し、かつそれらのセルを交互に目封じしてなる、炭化けい素セラミック担体の表面に触媒活性成分を分散担持してなる触媒において、
    その炭化けい素セラミック担体形造る炭化けい素粒子は、その表面にSiO 層を有し、かつ担体中に占めるそのSiO 量が0.001〜20mass%であると共に、各粒子単位毎に希土類酸化物を含有するアルミナの薄膜によって被覆されたものであり、
    その希土類酸化物含有アルミナ薄膜小繊維が林立した植毛構造からなる凹凸表面に前記触媒活性成分が担持されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 前記炭化けい素セラミック担体は、けい素の含有量が0.01〜10mass%であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 炭化けい素セラミック担体中の各炭化けい素粒子表面を覆う前記希土類酸化物含有アルミナ薄膜は、ミクロ断面形状が、直径:2〜50nm、長さ:20〜300nmで、全長/直径の比が5〜50の形状を有する小繊維が林立した植毛構造からなる凹凸表面を有し、その表面の比表面積が50〜300m2/gであることを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 炭化けい素セラミック担体中の各炭化けい素粒子表面を覆う前記希土類酸化物含有アルミナ薄膜は、担体に対してアルミナ量で換算して0.1〜15mass%の割合で被覆されており、アルミナ薄膜中に含まれる希土類酸化物の量はそのアルミナに対して10〜80mass%の含有量であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記希土類酸化物は、少なくともそれの一部がジルコニウムとの複合酸化物を形成しているものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. 希土類酸化物とジルコニウムとの複合酸化物の粒子径は、1〜30nmの大きさであることを特徴とする請求項に記載の排ガス浄化用触媒。
  7. 複数のセルを多孔質炭化けい素焼結体にてハニカム状に形成し、かつそれらのセルを交互に目封じしてなる、炭化けい素セラミック担体を構成する各炭化けい素粒子の表面に、下記(a)〜(e)工程;
    (a)溶液含浸工程:上記担体をアルミニウムおよび希土類酸化物を含有する金属化合物の溶液中に浸漬する、
    (b)乾燥工程:上記担体を加熱乾燥する、
    (c)仮焼成工程:上記担体を300〜500℃の温度に加熱焼成することにより、アモルファスアルミナ薄膜を形成する、
    (d)熱水処理工程:上記担体を100℃の熱水中に浸漬処理したのち乾燥する、
    (e)本焼成工程:500〜1000℃にて本焼成する、工程を経て希土類酸化物含有アルミナ薄膜を形成し、次いでその希土類酸化物含有アルミナ薄膜の小繊維が林立した植毛構造からなる凹凸表面に、触媒活性成分を分散担持させることを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法。
  8. 複数のセルを多孔質炭化けい素焼結体にてハニカム状に形成し、かつそれらのセルを交互に目封じしてなる、炭化けい素セラミック担体を構成する各炭化けい素粒子の表面に、下記(a)〜(f)工程;
    (a)予備処理工程:上記炭化けい素セラミック担体を1000℃〜1500℃の温度に加熱してけい化物の酸化膜を形成する、
    (b)溶液含浸工程:上記担体をアルミニウムおよび希土類酸化物を含有する金属化合物の溶液中に浸漬する、
    (c)乾燥工程:上記担体を加熱乾燥する、
    (d)仮焼成工程:上記担体を300〜500℃の温度に加熱焼成することにより、アモルファスアルミナ薄膜を形成する、
    (e)熱水処理工程:上記担体を100℃の熱水中に浸漬処理したのち乾燥する、
    (f)本焼成工程:500〜1000℃にて本焼成する、工程を経て希土類酸化物含有アルミナ薄膜を形成し、次いでその希土類酸化物含有アルミナ薄膜の小繊維が林立した植毛構造からなる凹凸表面に、触媒活性成分を分散担持させることを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法。
  9. 前記炭化けい素セラミック担体は、この担体を形造る各炭化けい素粒子の表面にSiO層を有し、かつ担体中に占めるそのSiO量が0.001〜20mass%であることを特徴とする請求項7または8に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
  10. 炭化けい素セラミック担体中の各炭化けい素粒子表面を覆う前記希土類酸化物含有アルミナ薄膜は、担体に対してアルミナ量で換算して0.1〜15mass%の割合で被覆されており、アルミナ薄膜中に含まれる希土類酸化物の量はそのアルミナに対して10〜80mass%の含有量であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
  11. 前記希土類酸化物は、少なくともそれの一部がジルコニウムとの複合酸化物を形成しているものであることを特徴とする請求項10のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
  12. 希土類酸化物とジルコニウムとの複合酸化物の粒子径は、1〜30nmの大きさであることを特徴とする請求項11に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
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