JP7023418B2 - 粗化ニッケルめっき板 - Google Patents

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Description

本発明は、最表層に、粗化ニッケル層を有する粗化ニッケルめっき板に関する。
従来、電池を構成する部材や、電子関連機器を構成する部材として、ニッケルめっき鋼板が用いられている。このようなニッケルめっき鋼板においては、他の部材と接合する場合に、密着性を向上させるという観点で、ニッケルめっき鋼板の表面構造を制御する方法が知られている。
たとえば、特許文献1では、鋼板上に、粒子密度:2~500個/μm、平均粒径:0.05~0.7μmに制御された微細構造を有するニッケルめっき層を形成してなる表面処理鋼板が開示されている。
特許第5885345号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されている表面処理鋼板では、表面処理鋼板と接合する部材、たとえば、フィルムや塗膜などの部材の種類や、接合方法によっては、他の部材との密着性が不十分である場合があり、密着性のさらなる向上が求められていた。
これに対し、他の部材との密着性を向上させるために、粗化めっきによりニッケルめっき層を形成する方法も考えられるが、本発明者等が検討を行ったところ、粗化めっきにより粗化ニッケルめっき層を形成することにより、他の部材に対する密着性を向上させることができるものの、その一方で、接合界面において、液浸透が発生してしまう場合があるという課題があることが見出された。
本発明の目的は、基材に対するめっき層の密着性、および他の部材に対する密着性に優れ、かつ、他の部材に接合した際における耐液浸透性(接合界面における液浸透の抑制、耐漏液性)に優れた粗化ニッケルめっき板を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、下記の第1の観点、第2の観点に係る粗化ニッケルめっき板によれば、基材に対するめっき層の密着性、および他の部材に対する密着性に優れ、かつ、他の部材に接合した際における耐液浸透性に優れた粗化ニッケルめっき板を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の観点によれば、金属基材の少なくとも一方の面に、最表層として、複数のニッケル突起物から形成される粗化ニッケル層を有する粗化ニッケルめっき板であって、
前記粗化ニッケル層の付着量が、1.34~45.0g/m であり、
前記粗化ニッケルめっき板について、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定を行い、前記集束イオンビーム加工観察装置により得られる撮影画像から、各高さ位置における、前記粗化ニッケル層の状態を測定した際に、
ニッケル占有率が90%である高さ位置DNi90%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_Ni50%)が、65%/μm以下であり、
高さ方向における前記粗化ニッケル層の基端位置から、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、ニッケル占有率C2.0が、15%以上であり、
前記基端位置から、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物の存在個数N2.0が、20個/136.5μm以上である粗化ニッケルめっき板が提供される。
また、本発明の第2の観点によれば、金属基材の少なくとも一方の面に、最表層として、複数のニッケル突起物から形成される粗化ニッケル層を有する粗化ニッケルめっき板であって、
前記粗化ニッケル層の付着量が、1.34~45.0g/m であり、
前記粗化ニッケルめっき板について、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定を行い、前記集束イオンビーム加工観察装置により得られる撮影画像から、各高さ位置における、前記粗化ニッケル層の状態を測定した際に、
ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi80%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、前記ニッケル突起物の断面の円相当径の平均値Rave(Ni80%_Ni50%)が、0.6μm以上であり、
高さ方向における前記粗化ニッケル層の基端位置から、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、ニッケル占有率C2.0が、15%以上であり、
前記基端位置から、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物の存在個数N2.0が、20個/136.5μm以上である粗化ニッケルめっき板が提供される。
本発明の第1の観点および第2の観点に係る粗化ニッケルめっき板において、前記金属基材が、Fe,Cu,AlおよびNiから選択される一種の純金属からなる金属板もしくは金属箔、または、Fe,Cu,AlおよびNiから選択される一種を含む合金からなる金属板もしくは金属箔であることが好ましい。
本発明の第1の観点および第2の観点に係る粗化ニッケルめっき板において、前記金属基材が、鋼板であることが好ましい。
本発明の第1の観点および第2の観点に係る粗化ニッケルめっき板において、前記金属基材の厚みが、0.01~2.0mmであることが好ましい。
本発明の第1の観点および第2の観点に係る粗化ニッケルめっき板は、前記金属基材上に、さらに下地ニッケル層を備え、前記粗化ニッケル層は、前記下地ニッケル層を介して、金属基材上に形成されることが好ましい。
前記粗化ニッケル層と前記下地ニッケル層との合計の付着量が、5.0~50.0g/mであることが好ましい。
本発明によれば、基材に対するめっき層の密着性、および他の部材に対する密着性に優れ、かつ、他の部材に接合した際における耐液浸透性に優れた粗化ニッケルめっき板を提供することができる。
図1Aは、本実施形態に係る粗化ニッケルめっき板の構成図である。 図1Bは、他の実施形態に係る粗化ニッケルめっき板の構成図である。 図2は、本実施形態に係る粗化ニッケル層12の具体的な構造を模式的に示す図である。 図3Aは、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)を用いた、粗化ニッケル層12の測定方法を説明するための図である。 図3Bは、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)を用いた、粗化ニッケル層12の測定方法を説明するための図である。 図4(A)は、実施例1における、ニッケル占有率が70%である高さ位置におけるFIB-SEM画像であり、図4(B)は、比較例1における、ニッケル占有率が70%である高さ位置におけるFIB-SEM画像である。 図5(A)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル占有率との関係を示すグラフであり、図5(B)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル突起物12aの個数との関係を示すグラフである。 図6(A)は、実施例1の粗化ニッケル層12の、観察対象視野中における、ニッケル占有率と、観察対象視野中に観察される、ニッケル突起物12aの断面の円相当径との関係を示すグラフであり、図6(B)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中に観察される、ニッケル突起物12aの断面の円相当径との関係を示すグラフである。 図7は、比較例に係る粗化ニッケル層の具体的な構造を模式的に示す図である。 図8は、本実施形態に係る粗化ニッケルめっき板の製造方法の一例を説明するための模式図(その1)である。 図9は、本実施形態に係る粗化ニッケルめっき板の製造方法の一例を説明するための模式図(その2)である。 図10は、本実施形態に係る粗化ニッケルめっき板の製造方法の一例を説明するための模式図(その3)である。 図11は、実施例、比較例における、金属基体と下地ニッケル層との境界、および下地ニッケル層と粗化ニッケル層との境界の決定方法を説明する図である。 図12(A)は、実施例1および比較例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル占有率との関係を示すグラフ(基端位置BP側を拡大したグラフ)であり、図12(B)は、実施例1および比較例1の粗化ニッケル層12の、観察対象視野中における、ニッケル占有率と、観察対象視野中に観察される、ニッケル突起物12aの断面の円相当径との関係を示すグラフ(ニッケル占有率50~80%の範囲を拡大したグラフ)である。
図1Aは、本実施形態の粗化ニッケルめっき板1の構成を示す図である。図1Aに示すように、本実施形態の粗化ニッケルめっき板1は、金属基材11上に、下地ニッケル層13を介して、最表層として粗化ニッケル層12が形成されてなる。
なお、本実施形態においては、図1Aに示すように、粗化ニッケルめっき板1として、金属基材11の両面に、下地ニッケル層13を介して、粗化ニッケル層12が形成されてなるものを例示したが、このような態様に特に限定されず、たとえば、図1Bに示す粗化ニッケルめっき板1aのように、粗化ニッケル層12が、下地ニッケル層13を介して、金属基材11の一方の面に形成された構成としてもよい。また、図1A、図1Bにおいては、下地ニッケル層13が形成されてなる態様を例示したが、下地ニッケル層13を形成せずに、金属基材11の上に、直接、粗化ニッケル層12が形成されてなる態様としてもよい。
<金属基材11>
本実施形態の粗化ニッケルめっき板1の基板となる金属基材11としては、特に限定されないが、Fe,Cu,AlおよびNiから選択される一種の純金属からなる金属板もしくは金属箔、または、Fe,Cu,AlおよびNiから選択される一種を含む合金からなる金属板もしくは金属箔などが挙げられ、具体的には、鋼板、鉄板、ステンレス鋼板、銅板、アルミニウム板、またはニッケル板(これらは、純金属、合金のいずれであってもよく、箔状であってもよい。)などが挙げられ、これらのなかでも、めっき処理の前処理が比較的簡便な前処理でもめっきを施しやすく、また、金属基材に対して密着性の高い粗化ニッケル層を良好に形成しやすいことから、鋼板または銅板が好ましく、特に、低炭素アルミキルド鋼(炭素量0.01~0.15重量%)、炭素量が0.01重量%以下(好ましくは炭素量が0.003重量%以下)の極低炭素鋼、または極低炭素鋼にTiやNbなどを添加してなる非時効性極低炭素鋼が好適に用いられる。
本実施形態においては、金属基材の熱間圧延板を酸洗して表面のスケール(酸化膜)を除去した後、冷間圧延し、次いで、圧延油を電解洗浄した鋼板、ステンレス鋼板、銅板、アルミ板、あるいはニッケル板を基板として用いることができる。また、電解洗浄後に、焼鈍または調質圧延を施したものを用いてもよい。この場合における、焼鈍は、連続焼鈍あるいは箱型焼鈍のいずれでもよく、特に限定されない。その他、電鋳法などで作製した電解箔として、銅箔、ニッケル箔、鉄箔などを金属基材として用いることもできる。また、金属基材として、鋼板を用いる場合には、他の部材に接合した際における耐液浸透性をより高めることができるという観点より、その表面について平坦化(平滑化)処理を行うことで、その表面の触針式表面粗度計での算術平均粗さRaを0.5μm以下としたものを用いることが望ましい。なお、表面が平滑すぎると粗化ニッケルめっきが形成しにくいため、算術平均粗さRaは0.05μm以上としたものを用いることが望ましい。
なお、金属基材11として、ステンレス鋼板やニッケル板など表面に不働態皮膜が形成される金属基材を用いる場合には、粗化ニッケルめっき、または、下地金属めっきを形成するめっき処理の前に、ストライクニッケルめっきを施したものを用いることが好ましい。ストライクニッケルめっきの条件としては、特に限定されないが、たとえば、下記の条件などが挙げられる。下記の条件において、ストライクニッケルめっきによるニッケルの付着量は、通常0.08~0.89g/mであるが、下地ニッケル層を形成する場合はストライクニッケルめっきによるニッケルの付着量と、下地ニッケル層を形成するためのニッケルめっきによるニッケル付着量との合計量が、下地ニッケル層のニッケル付着量として測定される。
浴組成:硫酸ニッケル六水和物100~300g/L、硫酸10~200g/L
pH:1.0以下
浴温:40~70℃
電流密度:5~100A/dm
めっき時間:3~100秒間
金属基材11の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.01~2.0mm、より好ましくは0.025~1.6mm、さらに好ましくは0.025~0.3mmである。また、金属基材11の粗度は、特に限定されないが、触針式表面粗度計での算術平均粗さRaが0.05~0.9μmであり、より好ましくは0.05~0.5μmであり、さらに好ましくは0.05~0.3μm、特に好ましくは0.08~0.2μmである。なお、算術平均粗さRaはJIS B 0601: 2013に準ずる。
<粗化ニッケル層12>
本実施形態の粗化ニッケルめっき板1の最表面に形成される粗化ニッケル層12は、複数のニッケル突起物から形成される粗化めっき層であり、粗化ニッケル層12は、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定を行った際における、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物の状態が、以下に説明する第1の態様および第2の態様のいずれかの状態にあるものである。
ここで、図2は、本実施形態に係る粗化ニッケル層12の具体的な構造を模式的に示す図である。図2においては、金属基材11上に、下地ニッケル層13を介して、粗化ニッケル層12が形成されてなる態様を例示している。図2に示すように、粗化ニッケル層12は、複数のニッケル突起物12aから構成され、凹凸形状を有する粗化層である。
そして、本実施形態においては、このような複数のニッケル突起物12aから構成される粗化ニッケル層12について、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定を行った際における、複数のニッケル突起物12aの状態が、以下に説明する第1の態様および第2の態様のいずれかの状態にあるものである。
ここで、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)は、収束イオンビーム(FIB)にて、測定対象となる粗化ニッケル層12を、所定の厚みで削ることで、所定の厚みごとに断面を露出させ、露出させた断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)による撮影を行い、得られた撮影画像(撮影画像を、「FIB-SEM画像」とする。)により、露出させた断面を観察するための装置(すなわち、三次元SEM観察法であるSlice & View法を利用した測定をするための装置)である。三次元SEM観察法であるSlice & View法を利用した測定においては、分析対象箇所としての粗化ニッケル層12の表面側より、所定の厚みで削ることで、所定の厚みごとに断面を露出させ、露出させた断面について、FIB-SEM画像を得るような態様としてもよいし、あるいは、金属基材11側から、所定の厚みで削ることで、所定の厚みごとに断面を露出させ、露出させた断面について、FIB-SEM画像を得るような態様としてもよい。
たとえば、金属基材11側から、所定の厚みごとに断面を露出させ、露出させた断面について、FIB-SEM画像を得る方法においては、まず、粗化ニッケルめっき板1について、樹脂埋めする処理を行い、研磨等により、測定対象となる断面を露出させる。次いで、分析対象箇所としての粗化ニッケル層12に対し、マーキングを行い、必要に応じて、測定試料に対して、導電化処理(たとえば、カーボン蒸着等)を行う。次いで、図3Aに示すように、金属基材11(あるいは、下地ニッケル層13)のうち、マーキングした粗化ニッケル層12よりも十分に下側の位置である一方で、粗化ニッケル層12になるべく近い位置について、エッチングを行い、エッチングにより、Slice & View法を利用した測定を行うための、観察用の空間を形成する。なお、エッチングにより形成する観察用の空間は、粗化ニッケル層12に対し、Slice & View法を利用した測定を行うのに十分な大きさを有する空間とする。そして、観察用の空間より、金属基材11(あるいは、下地ニッケル層13)側から、粗化ニッケル層12側に向かって、収束イオンビーム(FIB)にて、所定厚み、たとえば、0.1μmで削る操作、および、走査型電子顕微鏡(SEM)により、FIB-SEM画像を得る操作を繰り返し行い、所定厚みごとに、FIB-SEM画像を得る。なお、この際においては、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察は、観察用の空間から、所定角度(たとえば、52°傾いた角度)にて行う。また、この際における所定厚み(測定ピッチ)としては、0.1μmに特に限定されず、たとえば、0.08~0.18μmの間で選択することが好適である。そして、図3Bに示すように、各測定断面におけるFIB-SEM画像を得る。すなわち、図3Bに示すように、基端位置BPから高さ方向に向かって、所定のピッチ(たとえば、図3B中に破線で示すように、0.1μmのピッチ)にて、各測定断面におけるFIB-SEM画像を得る。なお、図3Bは、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)を用いた、粗化ニッケル層12の測定方法を説明するための図であって、図3AのIIIb部分を拡大して示す図である。
次いで、このような所定厚みで削る操作(Slice)と、SEMによる観察(View)とを、たとえば、0.1μmピッチで繰り返し行い、このような測定を、FIB-SEM画像中のニッケル占有率(すなわち、FIB-SEM画像に占めるニッケルの割合)が、0%となるまで行う(すなわち、FIB-SEM画像全体にわたり、ニッケルが観察されなくなる状態(粗化ニッケル層12が全て削られるような状態)となるまで行う)。ここで、本実施形態で撮影されるFIB-SEM画像の一例を図4(A)に示す。なお、図4(A)は、実施例1における、ニッケル占有率が70%である高さ位置におけるFIB-SEM画像である。また、図4(B)は、比較例1における、ニッケル占有率が70%である高さ位置におけるFIB-SEM画像である。
そして、本実施形態では、このような集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定を行うことで、各高さにおける断面のFIB-SEM画像(すなわち、たとえば、高さ0.1μmごとの断面におけるFIB-SEM画像)を得て、各高さにおける断面のFIB-SEM画像中における、ニッケル占有率、ニッケル突起物12aの個数、ニッケル突起物12aの円相当径を求める。ここで、ニッケル占有率は、観察対象視野(具体的には、136.5μm=13μm×10.5μm)中におけるニッケルの占める割合であり、ニッケル突起物12aの個数は、観察対象視野(具体的には、136.5μm)中における、ニッケル突起物12aの個数(単位は、「個/136.5μm」)である。また、ニッケル突起物12aの円相当径は、各高さ位置において、FIB-SEM画像の観察対象視野中に存在する一つ一つのニッケル突起物12aの断面について、その断面の面積を求め、その面積と同じ面積の円(真円)の直径を算出することにより求めたものである。
また、本実施形態では、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定を行うことで得られた、各高さにおける断面のFIB-SEM画像より、高さ方向における粗化ニッケル層12の基端位置BPを求める。具体的には、複数のニッケル突起物12aから構成される粗化ニッケル層12について、FIB-SEM測定を行った場合には、最も基材側の高さ位置におけるFIB-SEM画像中のニッケル占有率が100%である一方で、表面側の高さ位置になるにつれて、徐々に、FIB-SEM画像中のニッケル占有率が低下していく傾向にある。そして、本実施形態では、測定により得られたFIB-SEM画像中のニッケル占有率を、基材側から順にみていった場合に、ニッケル占有率が、初めて99%未満となる位置(すなわち、ニッケル占有率が99%未満である高さ位置であって、かつ、最も基材側に位置する高さ位置)を、粗化ニッケル層12の基端位置BPとするものであり、本実施形態では、この基端位置BPより表面側を、粗化ニッケル層12として解釈する。ここで、図5(A)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル占有率との関係を示すグラフである。
(第1の態様)
そして、本実施形態の第1の態様は、粗化ニッケル層12が、以下の(1)~(3)の条件を満たすものである。
(1)ニッケル占有率が90%である高さ位置DNi90%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_Ni50%)が、65%/μm以下
(2)基端位置BPから、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、ニッケル占有率C2.0が、15%以上
(3)基端位置BPから、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数N2.0が、20個/136.5μm以上
ここで、図5(A)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル占有率との関係を示すグラフであり、上記(1)は、図5(A)のグラフ中に示すように、ニッケル占有率が90%である高さ位置DNi90 から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_Ni50%)を規定するものであり、本実施形態では、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_Ni50%)を65%/μm以下の範囲とするものである。なお、図5(A)の実施例1においては、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_Ni50%)は、25.6%/μmである。なお、本実施形態においては、粗化ニッケル層12の下層として、下地ニッケル層13を有する構成を例示して説明しているが、粗化ニッケル層12を、金属基材11に直接形成する場合や、下地ニッケル層13以外の下地層を介して形成している場合には、ニッケル以外の金属が含まれる場合もあるが、本実施形態において、「ニッケル占有率」は、このようなニッケル以外の金属をも含む概念である(すなわち、この場合には、「ニッケル占有率」は、「金属占有率」ということができる。)。
第1の態様においては、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Cra te(Ni90%_Ni50%)は、下記式(α)にしたがって、求められるものであり、第1の態様において、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crat e(Ni90%_Ni50%)は、65%/μm以下であり、好ましくは10~65%/μm、より好ましくは15~60%/μm、さらに好ましくは15~55%、特に好ましくは26~55%である。
高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_N i50%)=|〔ニッケル占有率が90%である高さ位置DNi90%におけるニッケル占有率(%)-ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%におけるニッケル占有率(%)〕÷〔基端位置BPからの、ニッケル占有率が90%である高さ位置DNi9 0%(μm)-基端位置BPからの、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50 (μm)〕| (式α)
なお、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_Ni50%)の算出に際して、測定ピッチの関係上、ニッケル占有率が90%ちょうどである高さ位置のデータや、ニッケル占有率が50%ちょうどである高さ位置のデータが取得できない場合には、最も近い高さ位置のデータを使用し、近似処理等を行えばよい。
また、上記(2)は、図5(A)のグラフ中に示すように、基端位置BPから、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、ニッケル占有率C2.0を規定するものであり、本実施形態では、ニッケル占有率C2.0を15%以上とするものである。なお、図5(A)の実施例1においては、ニッケル占有率C2.0は48.9%である。第1の態様において、ニッケル占有率C2.0は、15%以上であり、好ましくは17%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは28%以上である。なお、ニッケル占有率C2.0の上限は、特に限定されないが、通常、80%以下である。
さらに、図5(B)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル突起物12aの個数との関係を示すグラフであり、上記(3)は、図5(B)のグラフ中に示すように、基端位置BPから、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数N2.0を規定するものであり、本実施形態では、複数のニッケル突起物12aの存在個数N2.0を20個/136.5μm以上とするものである。なお、図5(B)の実施例1においては、複数のニッケル突起物12aの存在個数N2.0は61個/136.5μmである。第1の態様において、複数のニッケル突起物12aの存在個数N2.0は、20個/136.5μm以上であり、好ましくは25個/136.5μm以上、より好ましくは30個/136.5μm以上である。なお、複数のニッケル突起物12aの存在個数N .0の上限は、特に限定されないが、通常、150個/136.5μm以下である。
他の部材との密着性を確保するためには、基材11から所定の高さ以上における、ニッケル占有率(すなわち、ニッケル突起物12aの占める割合)およびニッケル突起物12aの個数が所定範囲となる複数のニッケル突起を有するような構造が望まれる。そのため、本実施形態においては、他の部材との密着性を良好なものとするという観点より、基端位置BPから、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、ニッケル占有率C2. および複数のニッケル突起物12aの存在個数N2.0に着目するものであり、具体的には、ニッケル占有率C2.0を15%以上、かつ、複数のニッケル突起物12aの存在個数N2.0を20個/136.5μm以上とするものである。
(第2の態様)
また、本実施形態の第2の態様は、粗化ニッケル層12が、上記した(2)、(3)の条件に加えて、以下の(4)の条件を満たすものである。
(4)ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi80%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、ニッケル突起物の断面の円相当径の平均値Rave(Ni80%_Ni50%)が、0.6μm以上
図6(A)は、実施例1の粗化ニッケル層12の、観察対象視野中における、ニッケル占有率と、観察対象視野中に観察される、ニッケル突起物12aの断面の円相当径との関係を示すグラフであり、上記(4)は、図6(A)のグラフ中に示すように、ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi80%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、ニッケル突起物12aの断面の円相当径の平均値Rav e(Ni80%_Ni50%)を規定するものであり、本実施形態では、円相当径の平均値Rave(Ni80%_Ni50%)を0.6μm以上とするものである。なお、図6(A)の実施例1においては、円相当径の平均値Rave(Ni80%_Ni50%)は1.08μmである。第1の態様において、円相当径の平均値Rave(Ni80%_N i50%)は、0.6μm以上であり、好ましくは0.6~2.2μmの範囲、より好ましくは0.6~2.0μmの範囲、さらに好ましくは0.6~1.8μmの範囲、特に好ましくは0.6~1.6μmである。
本実施形態によれば、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定を行った際における、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態を、上述した第1の態様および第2の態様のいずれかの状態とすることにより、金属基材11に対する粗化ニッケル層12の密着性、および、他の部材に対する密着性を優れたものとしながら、他の部材に接合した際において、接合界面における液浸透を有効に抑制するこができ、優れた耐液浸透性を示すものである。
特に、本発明者等が、耐液浸透性の向上に着目して、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態に着目して鋭意検討を行ったところ、他の部材に接合した際において、接合界面における液浸透は、図7に示すように、複数のニッケル突起物12aの間における空間が比較的広い場合に起こりやすいことを見出したものである。そして、このような接合界面における液浸透が発生してしまうと、接合する他の部材の端部を液体に接触した状態にて使用した際に、接合した他の部材と粗化ニッケルめっき板1との界面において液体が浸透してしまうという課題(シール不良)や、たとえば、液状内容物に触れる容器などとして使用される際に、接合する他の部材に亀裂や穴が存在した場合、そこを起点として液浸透して接合する他の部材との間において剥離が発生してしまうという課題があることも見出した。これに対し、複数のニッケル突起物12aの状態を、上述した第1の態様および第2の態様のいずれかの状態とすることにより、このような接合界面における液浸透の発生を有効に抑制できることを見出したものである。
より具体的に説明すると、本実施形態においては、第1の態様として、ニッケル占有率が90%である高さ位置DNi90%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置D i50%までの間における、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値C ate(Ni90%_Ni50%)は、粗化ニッケル層12全体のうち、基材11に近い側(すなわち、複数のニッケル突起物12aの根元付近)における、複数のニッケル突起物12aの状態を規定するものである。具体的には、基材11との界面から複数のニッケル突起物12aの根元付近までの高さ領域(以下、界面付近の領域ともいう)における、複数のニッケル突起物12aの状態を、ニッケル占有率として捉えた際における、複数のニッケル突起物12aの、高さ方向における変化の態様を規定するものである。そして、このような界面付近の領域における、複数のニッケル突起物12aの、高さ方向における変化を、比較的緩やかにする(すなわち、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_Ni50%)を比較的小さくする)ことにより、粗化ニッケル層12全体のうち、基材11に近い側に、比較的広い空隙が形成されないような状態とすることができ、これにより、他の部材と接合した際に、このような広い空隙に起因する接合界面における液浸透の発生を有効に抑制でき、結果として、他の部材に接合した際における耐液浸透性に優れたものとすることができるものである。なお、基材11に近い側(すなわち、複数のニッケル突起物12aの根元付近)に比較的広い空隙が存在すると、液浸透しやすくなるメカニズムは必ずしも明らかではないが、たとえば、次のような要因が考えられる。まず、一つ目の要因としては、当該箇所に局所的にアンカー効果が小さくなり、他の部材との界面に空隙を生じやすくなり、結果的に液浸透が発生してしまう現象が考えられ、このような現象が液浸透しやすくなる要因となると考えられる。二つ目の要因としては、端部や接合の相手部材の孔・破れより接合界面に液が入り込んだ場合に、毛細管現象のように液が浸透することが考えられ、この際、複数のニッケル突起物12aの根元付近に比較的広い空隙が存在する状態、すなわち、接合界面にやや平坦な領域が存在する状態であると、液が浸透しやすくなる現象が考えられ、このような現象が液浸透しやすくなる要因となると考えられる。これに対し、第1の態様によれば、このような問題を有効に解決できるものである。
あるいは、本実施形態においては、第2の態様として、ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi80%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、ニッケル突起物12aの断面の円相当径の平均値Rave(Ni80%_N i50%)を規定するものであり、円相当径の平均値Rave(Ni80%_Ni50% も、粗化ニッケル層12全体のうち、基材11に近い側(すなわち、複数のニッケル突起物12aの根元付近)における、複数のニッケル突起物12aの状態を規定するものである。具体的には、複数のニッケル突起物12aの根元付近の円相当径(太さ)に着目し、複数のニッケル突起物12aの円相当径(太さ)を規定するものである。そして、このような複数のニッケル突起物12aの根元付近の円相当径(太さ)を、比較的大きなものとすることにより、粗化ニッケル層12全体のうち、比較的深い領域に、比較的広い空隙が形成されないような状態とすることができ、これにより、他の部材と接合した際に、このような広い空隙に起因する接合界面における液浸透の発生を有効に抑制でき、結果として、他の部材に接合した際における耐液浸透性に優れたものとすることができるものである。
また、本実施形態においては、粗化ニッケル層12について、他の部材に対する密着性や、耐液浸透性だけでなく、金属基材11に対する粗化ニッケル層12の密着性にも優れたものとするものであるが、これは次の理由による。すなわち、粗化ニッケル層12を形成することにより、他の部材に対して優れた密着性を示すことができたとしても、粗化ニッケル層12が、金属基材11から脱落し易いものである場合には、粗化ニッケル層12が脱落してしまうことにより、粗化ニッケル層12を形成することによる効果、すなわち、他の部材に対して優れた密着性を示すことができるという効果が不十分となってしまうこととなる。そのため、本発明においては、金属基材11に対する、粗化ニッケル層12の密着性にも着目し、金属基材11に対する、粗化ニッケル層12の密着性をも優れたものとするものである。
特に、金属基材11に対する、粗化ニッケル層12の密着性が不十分である場合には、本実施形態の粗化ニッケルめっき板1を製造する際に、製造ライン内に、粗化ニッケル層12の脱落に起因するめっき皮膜屑(Ni粉)が混入し、製造ラインの汚染や故障の原因となる場合があることに加え、製造ライン内に残存するめっき皮膜屑に起因する製品欠陥を引き起こす場合がある。さらには、本実施形態の粗化ニッケルめっき板1を用いて、実際に製品や部品に加工する際にも、同様に製造ラインの汚染や故障の原因となったり、最終製品への品質、機能面での不良を引き起こす可能性がある。そのため、このような観点からも、金属基材11に対する、粗化ニッケル層12の密着性に優れたものとすることが望ましいものである。
なお、本実施形態においては、粗化ニッケル層12は、上記した第1の態様および第2の態様のいずれかを満たすものであればよいが、本発明の作用効果をより一層高めることができるという観点より、上記した第1の態様および第2の態様の両方を満たすものであることが好ましい。
また、本実施形態においては、粗化ニッケル層12は、本発明の作用効果をより一層高めることができるという観点より、以下の(5)~(10)のいずれかの条件を満たすことが好ましい。
(5)複数のニッケル突起物12aの存在個数の最大値Nmaxが150個/136.5μm未満
(6)基端位置BPから、表面側に向かって0.3μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数N0.3が、45個/136.5μm以下
(7)基端位置BPから、表面側に向かって0.3μmの高さ位置における、ニッケル突起物12aの断面の円相当径R0.3が、0.6μm以上
(8)基端位置BPから、表面側に向かって、ニッケル突起物12aの断面の円相当径が漸減していく中で、円相当径が、初めて1μm以下まで減少する際における、基端位置BPからの高さ位置を、1μm以下高さ位置D1μmとした場合に、1μm以下高さ位置D1μmが、0.15μm以上
(9)ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi80%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni80%_Ni50%)が、65%/μm以下
(10)基端位置BPから、表面側に向かって0.5~1.5μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数の平均値Nave(0.5_1.5)が、20個/136.5μm以上
図5(B)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル突起物12aの個数との関係を示すグラフであり、上記(5)は、図5(B)のグラフ中に示すように、粗化ニッケル層12の高さ方向に亘って測定を行った際に、複数のニッケル突起物12aの存在個数が最大となるときの値、すなわち、複数のニッケル突起物12aの存在個数の最大値Nmaxを規定するものであり、本実施形態では、複数のニッケル突起物12aの存在個数の最大値Nmaxを150個/136.5μm未満とすることが好ましい。個数が多すぎると一つ一つの突起の太さが細くなりすぎる恐れがあるためである。なお、図5(B)の実施例1においては、複数のニッケル突起物12aの存在個数の最大値Nmaxは61個/136.5μmである。複数のニッケル突起物12aの存在個数の最大値Nmaxは、好ましくは35~150個/136.5μmであり、より好ましくは40~140個/136.5μm、さらに好ましくは40~130個/136.5μmである。
図5(B)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル突起物12aの個数との関係を示すグラフであり、上記(6)は、図5(B)のグラフ中に示すように、基端位置BPから、表面側に向かって0.3μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数N0.3を規定するものであり、本実施形態では、0.3μmの高さ位置、つまりほぼ界面に近い領域ではニッケル突起物の根元がある程度繋がっていることにより広い空隙を形成しない状態であることが好ましく、この地点での個数が多すぎる、つまり各突起が分離していると空隙が広くなる恐れがあるため、複数のニッケル突起物12aの存在個数N0.3を45個/136.5μm以下とすることが好ましい。なお、図5(B)の実施例1においては、複数のニッケル突起物12aの存在個数N0.3は10個/136.5μmである。複数のニッケル突起物12aの存在個数N0.3は、好ましくは45個/136.5μm以下であり、より好ましくは40個μm以下である。一方で下限は2個/136.5μm以上であればよい。
図6(B)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中に観察される、ニッケル突起物12aの断面の円相当径との関係を示すグラフであり、上記(7)は、図6(B)のグラフ中に示すように、基端位置BPから、表面側に向かって0.3μmの高さ位置における、ニッケル突起物12aの断面の円相当径R0.3を規定するものであり、0.3μmの高さ位置での円相当径が小さすぎるとニッケル突起物が細く空隙が広くなる恐れがあるため、本実施形態では、円相当径R0.3を0.6μm以上とすることが好ましい。なお、図6(B)の実施例1においては、円相当径R0. は1.6μmである。円相当径R0.3は、好ましくは0.6μm以上であり、より好ましくは0.7μm以上である。上限は特にないが、通常6μm以下である。
図6(B)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中に観察される、ニッケル突起物12aの断面の円相当径との関係を示すグラフであり、上記(8)は、図6(B)のグラフ中に示すように、基端位置BPから、表面側に向かって、ニッケル突起物12aの断面の円相当径が漸減していく中で、円相当径が、初めて1μm以下まで減少する際における、基端位置BPからの高さ位置を、1μm以下高さ位置D1μmとした場合に、1μm以下高さ位置D1μmを規定するものであり、本実施形態ではニッケル突起物の太い領域がより高い位置まであることが好ましく、1μm以下高さ位置D1μmを、0.15μm以上とすることが好ましい。なお、図6(B)の実施例1においては、1μm以下高さ位置D1μmは0.82μmである。1μm以下高さ位置D1μmは、好ましくは0.15μm以上であり、より好ましくは0.17μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上である。なお、1μm以下高さ位置D1μmの上限は、特に限定されないが、通常、3.0μm以下である。
図5(A)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル占有率との関係を示すグラフであり、上記(9)は、図5(A)のグラフ中に示すように、ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi80%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni80%_Ni50%)を規定するものであり、本実施形態では、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni80%_Ni50%)を65%/μm以下の範囲とすることが好ましい。なお、図5(A)の実施例1においては、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni80%_Ni50%)は、22.6%/μmである。高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni80%_Ni50%)は、65%/μm以下であり、好ましくは10~65%/μm、より好ましくは15~60%/μm、さらに好ましくは15~55%、特に好ましくは23~55%である。なお、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni80%_Ni 50%)は、下記式(β)にしたがって、求められる。
高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni80%_N i50%)=|〔ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi80%におけるニッケル占有率(%)-ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%におけるニッケル占有率(%)〕÷〔基端位置BPからの、ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi8 0%(μm)-基端位置BPからの、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50 (μm)〕| (式β)
図5(B)は、実施例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル突起物12aの個数との関係を示すグラフであり、上記(10)は、図5(B)のグラフ中に示すように、基端位置BPから、表面側に向かって0.5~1.5μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数の平均値N ve(0.5_1.5)を規定するものであり、本実施形態においては、他の部材との密着性をさらに高めるという観点から、界面から少しだけ離れた位置である、基端位置BPから、表面側に向かって0.5~1.5μmの位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数が多い方が好ましく、基端位置BPから、表面側に向かって0.5~1.5μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数の平均値Nave(0 .5_1.5)を20個/136.5μm以上とすることが好ましい。なお、図5(B)の実施例1においては、0.5~1.5μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数の平均値Nave(0.5_1.5)は35個/136.5μmである。0.5~1.5μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数の平均値Nave(0.5_1.5)は、好ましくは30個/136.5μm以上であり、より好ましくは40個μm以上である。一方で上限は特に制限されず、150個/136.5μm以下であればよいが、多すぎるとニッケル突起物が細くなる可能性があるため110個/136.5μm以下が好ましい。
なお、上記(6)0.3μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数N0.3は、接合界面における液浸透を防ぐ観点から、ほぼ界面に近い領域ではニッケル突起物の根元がある程度繋がっていることにより広い空隙を形成しない状態であることが好ましいことを示す指標であり、また、上記(3)2.0μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数N2.0は、他の部材との密着性を良好なものとするために特に有効な2.0μm以上の高さを有する突起物の本数を示す指標であり、これに対し、上記(10)0.5~1.5μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数の平均値Nave(0.5_1.5)は、界面から少しだけ離れた位置において、突起物が多い方が好ましいことを示す指標である。
上記(10)0.5~1.5μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物12aの存在個数の平均値Nave(0.5_1.5)は、0.5μmの高さ位置から、1.5μmの高さ位置までの各高さ位置のニッケル突起物12aの存在個数の総和を、ニッケル突起物12aの存在個数を得たFIB-SEM画像の合計枚数で割ることで算出することができる。なお、測定に用いるFIB-SEM画像の数は、測定ピッチに応じて決定すればよい。
本実施形態の粗化ニッケルめっき板1における、粗化ニッケル層12の付着量は、特に限定されないが、好ましくは1.34~45.0g/mであり、他の部材に対する密着性をより向上させるという観点からは、粗化ニッケル層12の付着量は、より好ましくは2.67g/m以上であり、さらに好ましくは5g/m以上であり、粗化ニッケル層12の、粗化ニッケル層12の密着性(めっき密着性)をより向上させるという観点からは、粗化ニッケル層12の付着量は、より好ましくは38.0g/m以下であり、さらに好ましくは32.0g/m以下であり、さらにより好ましくは31g/m以下である。粗化ニッケル層12の付着量は、粗化ニッケルめっき板1について蛍光X線装置を用いて総ニッケル量を測定することで求めることができる。なお、粗化ニッケル層12が、下地金属めっき層13を介して、金属基材11上に形成されている場合には、粗化ニッケルめっき板1について蛍光X線装置を用いて総ニッケル量を測定した後、この総ニッケル量から、下地金属めっき層13に相当するニッケル量の分を差し引くことで求めることができる。下地金属めっき層13に相当するニッケル量は、たとえば、粗化ニッケルめっき板1を切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することで、下地金属めっき層13の厚みを計測し、下地金属めっき層13の厚みから換算されるニッケル量を求める方法や、金属基材11上に下地金属めっき層13を形成した時点における金属基材11上のニッケル量を、蛍光X線装置を用いて測定する方法や、金属基材11に対してめっきにより下地金属めっき層13を形成する際のクーロン量から算出される電析量から求める方法などが挙げられる。
本実施形態において、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態を、上述した第1の態様および第2の態様のいずれかの状態とする方法としては、特に限定されないが、以下に説明する方法によって、粗化ニッケル層12を形成する方法などが挙げられる。
以下、粗化ニッケル層12の形成方法の一例を図8~図10に基づいて、説明する。まず、図8に示すように、金属基材11と粗化ニッケル層12との密着性をより向上させるという観点、用途に応じた耐食性を付与するという観点より、金属基材11上に、必要に応じて下地金属めっき層13を形成する。なお、この下地金属めっき層13は形成せずに、金属基材11上に、直接、粗化ニッケル層12を形成するようにしてもよい。次いで、下地金属めっき層13を形成した後、あるいは、下地金属めっき層13を形成せずに、粗化ニッケルめっきを施すことにより、図9に示すように、金属基材11上に、ニッケル粒状物121を凝集させた状態で析出させる。次いで、図10に示すように、被覆ニッケルめっきをさらに施すことにより、ニッケル粒状物121をニッケル被膜122により被覆することで、金属基材11上に、必要に応じて形成される下地金属めっき層13を介在させて、複数のニッケル突起物12aから構成された、粗化ニッケル層12を形成する。
粗化ニッケルめっきの条件としては、特に限定されないが、めっき浴として、塩化物イオン濃度、ニッケルイオンとアンモニウムイオンとの比、および50℃におけるめっき浴の電気伝導率(以下、浴電導度ともいう)が、下記の範囲に制御されたものを用いることが好ましい。すなわち、塩化物イオン濃度が、好ましくは3~90g/L、より好ましくは3~75g/L、さらに好ましくは3~50g/Lであり、ニッケルイオンとアンモニウムイオンとの比が、「ニッケルイオン/アンモニウムイオン」の重量比で、好ましくは0.05~0.75、より好ましくは0.05~0.60、さらに好ましくは0.05~0.50、さらにより好ましくは0.05~0.30であり、また、50℃における浴電導度が、好ましくは5.00~30.00S/m、より好ましくは5.00~20.00S/m、さらに好ましくは7.00~20.00S/mである。なお、塩化物イオン濃度が10g/L以上である場合には、粗化ニッケルめっきにおける付着量が少な目であっても上述した第1の態様および第2の態様のいずれかの状態を満たす状態としやすい。めっき浴として、塩化物イオン濃度、ニッケルイオンとアンモニウムイオンとの比、および浴電導度が上記範囲に制御されたものを用いることにより、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態を、上述した第1の態様および第2の態様のいずれかの状態、好ましくは第1の態様および第2の態様のいずれをも満たす状態とすることができる。なお、粗化めっきを形成するめっき浴において、浴電導度は20~70℃の範囲でほぼ変化なく、30~60℃において測定される数値は温度に依存せず安定した値を示す。
なお、めっき浴の塩化物イオン濃度、ニッケルイオンとアンモニウムイオンとの比、および浴電導度を上記範囲に調整する方法としては、特に限定されないが、たとえば、めっき浴を、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、および硫酸アンモニウムを含むものとし、これらの配合量を適宜調整する方法が挙げられる。なお、これらの配合量は、めっき浴の塩化物イオン濃度、ニッケルイオンとアンモニウムイオンとの比、および浴電導度が上記範囲となるように調整すればよく、特に限定されないが、めっき浴中の硫酸ニッケル六水和物の濃度は、好ましくは10~100g/L、より好ましくは10~70g/L、さらに好ましくは10~50g/Lである。また、塩化ニッケル六水和物の濃度は、好ましくは1~90g/L、より好ましくは1~60g/L、さらに好ましくは1~45g/Lであり、硫酸アンモニウムの濃度は、好ましくは10~130g/L、より好ましくは20~130g/L、さらに好ましくは51~130g/L、さらにより好ましくは70~130g/Lである。なお、ニッケルめっき浴へのアンモニアの添加は、硫酸アンモニウムに代えて、アンモニア水や塩化アンモニウムなどを用いて行ってもよく、めっき浴中のアンモニア濃度は、好ましくは6~35g/L、より好ましくは10~35g/L、さらに好ましくは16~35g/L、さらにより好ましくは20~35g/Lである。また、塩素イオン濃度を制御するために、塩基性の炭酸ニッケル化合物、塩酸、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムなどを用いてもよい。
また、ニッケル粒状物121を凝集させた状態で析出させるための粗化ニッケルめっきを行う際の、ニッケルめっき浴のpHは、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態を好適に制御できるという観点より、好ましくは4.0~8.0である。pHが高すぎると浴中のニッケルイオンが水和物を形成してめっき不良の原因になりやすいため、上限はより好ましくは7.5以下、さらに好ましくは7.0以下である。pHが低いと、ニッケル粒子が二次粒子を形成した状態での析出が起こり難くなり、通常の析出形態(平坦なめっき)となりやすく、そのため、粗化ニッケル層を形成しにくくなるため、pHは、より好ましくは4.5以上、さらに好ましくは4.8以上、特に好ましくは5.0以上である。なお、pHの制御は、塩化物イオン濃度、ニッケルイオンとアンモニウムイオンとの比の制御と併せて、硫酸、塩酸、アンモニア水、水酸化ナトリウム等で制御できる。
ニッケル粒状物121を凝集させた状態で析出させるための粗化ニッケルめっきを行う際の電流密度は、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態を好適に制御できるという観点より、好ましくは4~40A/dmである。電流密度が高いと析出効率が低下しやすいほか、めっき処理範囲でのめっきムラ・表面粗度制御ムラが起きやすくなるため、特に100cm以上の広い面積を確保するためには30A/dm以下がより好ましく、さらに好ましくは25A/dm以下であり、特に好ましくは20A/dm以下である。電流密度が低いと、ニッケル粒子が二次粒子を形成した状態での析出が起こり難くなり、通常の析出形態となりやすく、そのため、粗化ニッケル層を形成しにくくなるため、電流密度は、6A/dm以上であることがより好ましい。
また、粗化ニッケルめっきを行う際のニッケルめっき浴の浴温は、特に限定されないが、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態を好適に制御するという観点より、好ましくは20~70℃、より好ましくは25~60℃、さらに好ましくは30~60℃である。
本実施形態においては、ニッケル粒状物121を凝集させた状態で析出させるための粗化ニッケルめっきを行う際には、ニッケルめっき浴を撹拌しながら、めっきを行うことが好ましい。ニッケルめっき浴を撹拌することにより、ニッケル粒状物121を凝集させながら、金属基材11上に均一に析出させやすくなり、これにより、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態をより好適に制御できる。撹拌を行う方法としては、特に限定されないが、バブリング、ポンプ循環等の方法が挙げられる。バブリングの条件としては、ガスの種類は特に限定されないが、汎用性の面よりガスとして空気を用いることが好ましく、また、ガスを供給するタイミングとしては、安定的に撹拌するために連続通気が好ましい。通気量としては、撹拌が強すぎる場合には目的の粗化形状が得られにくいため、たとえば、容積2Lのめっき液に対して、1L/min以下が好ましい。ポンプ循環の条件としては、安定的に撹拌するために連続循環が好ましい。
粗化ニッケルめっきにより、ニッケル粒状物121を凝集させた状態で析出させる際の析出量としては、特に限定されないが、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態をより好適に制御するという観点より、好ましくは3.5~22.3g/mであり、より好ましくは4.4~22.3g/m、さらに好ましくは8.9~22.3g/m、さらにより好ましくは8.9~17.8である。特に平坦化した基材に本実施形態の複数のニッケル突起物を形成する場合は、他の部材との密着性をより向上させるという観点から、4.4g/m以上が好ましく、より好ましくは8.9g/m以上である。
そして、本実施形態の製造方法においては、粗化ニッケルめっきにより、ニッケル粒状物121を凝集させた状態で析出させた後、さらに被覆ニッケルめっきを施すことにより、ニッケル粒状物121をニッケル被膜122により被覆する。ニッケル粒状物121をニッケル被膜122により被覆するための被覆ニッケルめっきは、電解めっきまたは無電解めっきのいずれのめっき法で行ってもよいが、電解めっきにより形成することが好ましい。
被覆ニッケルめっきを電解めっき法により行う場合には、たとえば、ニッケルめっき浴として、硫酸ニッケル六水和物200~350g/L、塩化ニッケル六水和物20~60g/L、ほう酸10~50g/Lの浴組成のワット浴を用い、pH3.0~5.0、浴温40~70℃、電流密度5~30A/dm(好ましくは10~20A/dm)の条件でニッケルめっきを施し、その後、水洗する方法を用いることができる。
被覆ニッケルめっきにより、ニッケル粒状物121をニッケル被膜122により被覆する際における、析出量(被覆量)としては、特に限定されないが、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態をより好適に制御するという観点より、好ましくは1.7~17.8g/mであり、より好ましくは1.7~13.4g/m、さらに好ましくは1.7~10.7g/m、さらにより好ましくは1.7~8.9である。なお、下地金属めっき層13として、下地ニッケル層を形成した場合には、被覆ニッケルめっきを行った際に、ニッケル粒状物121に対する、ニッケル被膜122による被覆に加えて、その一部は、下地ニッケル層の成長(ニッケル粒状物がなく下地が露出している部分の厚膜化)にも寄与することとなる。そのため、この場合には、上記析出量は、被覆ニッケルめっきによる、ニッケル被膜122による被覆量と、被覆ニッケルめっきによる、下地ニッケル層の形成量との合計となる。
また、本実施形態においては、金属基材11と粗化ニッケル層12との密着性をより向上させるという観点より、金属基材11と粗化ニッケル層12との間に下地金属めっき層13を形成することが好ましく、下地金属めっき層13としては、ニッケルめっき層または銅めっき層が好ましく、ニッケルめっき層であることがより好ましい。特に、上述の粗化ニッケルめっきで形成されるニッケル粒状物121は、粒子状析出物が突起状に凝集析出し集合体を成して存在する状態であり、他の部材との密着性の観点から各集合体同士の間は隙間を有することが好ましく、そのため、金属基材11の全体の表面を完全に覆っていない場合や部分的に粗化ニッケル層が薄くなる場合がある。そのため、たとえば、金属基材11として鋼板を用いた場合などにおいて、鋼板の錆の発生を抑制する効果を向上させるために、下地金属めっき層13を設けることが好ましい。なお、このような耐食性向上の効果を目的とし、用途に応じた金属基材11の選定と、それに応じた下地めっき処理を施すことが好ましく、金属基材11に鋼板や銅を用いる場合は、下地金属めっき層13として、下地ニッケルめっき層や下地銅めっき層を設けることが好ましい。また、下地めっき処理に電解ニッケルめっきによるニッケル層を適用した場合は、後の被覆めっき処理との相性がよく、粗化ニッケル層12のめっき密着性をより高めることができる。なお、下地金属めっき層13がない状態で被覆ニッケルめっき処理だけでもめっき密着性の効果は得られるが、被覆ニッケルめっき処理ではニッケル粒状物121上に優先的にニッケルが析出しやすい傾向があるため、このような観点より、耐食性向上のためには下地金属めっき層13を形成する方が好ましい。なお、金属基材11が銅板である場合には、前処理に酸処理などを施すことによって粗化ニッケル層12のめっき密着性をより高めることも可能である。
下地金属めっき層13は、金属基材11上に粗化ニッケル層12を形成する前に、予め金属基材11にめっきを施すことにより形成することができる。下地金属めっき層13を、ニッケルめっき層とする場合、電解めっきまたは無電解めっきのいずれのめっき法を用いて形成してもよいが、電解めっきにより形成することが好ましい。なお、例えばプリント基板用途に用いられるような粗化銅めっきを、粗化ニッケル層の下地金属めっき層とした場合には、粗化ニッケルめっきの工程において粗化銅めっきの凸部分にニッケルが優先的に形成される結果、ニッケルを全面的に被覆できないために耐食性の低下となる可能性や、ニッケル突起物が細くなりやすいために本実施形態の態様を得られにくい可能性がある。
下地金属めっき層13を、ニッケルめっき層とする場合において、下地ニッケルめっき層を形成する方法として電解めっき法を用いる場合には、たとえば、ニッケルめっき浴として、硫酸ニッケル六水和物200~350g/L、塩化ニッケル六水和物20~60g/L、ほう酸10~50g/Lの浴組成のワット浴を用い、pH3.0~5.0、浴温40~70℃、電流密度5~30A/dm(好ましくは10~20A/dm)の条件でニッケルめっきを施し、その後、水洗する方法を用いることができる。
下地金属めっき層13を形成する場合における、本実施形態の粗化ニッケルめっき板1における、粗化ニッケル層12の付着量は、金属基材11と粗化ニッケル層12との密着性をより向上させるという観点より、好ましくは26.7g/m以下であり、より好ましくは2.6~22.3g/m、さらに好ましくは2.6~17.8g/m、特に好ましくは2.6~13.4g/mである。
また、下地金属めっき層13を形成する場合における、本実施形態の粗化ニッケルめっき板1における、粗化ニッケル層12と下地金属めっき層13との合計の付着量は、特に限定されないが、金属基材11に対する、粗化ニッケル層12の密着性、および他の部材に対する密着性をより向上させることができるという観点より、好ましくは5.0~50.00g/mであり、より好ましくは8.9~50.00g/m、さらに好ましくは13.35~45.00g/m、特に好ましくは13.35~40.00g/mである。なお、粗化ニッケル層12と下地金属めっき層13との合計の付着量は、粗化ニッケルめっき板1について蛍光X線装置を用いて総ニッケル量を測定することで求めることができる。
以上のように、本実施形態によれば、図9に示すように、粗化ニッケルめっきにより、金属基材11上に、ニッケル粒状物121を凝集させた状態で析出させ、次いで、図10に示すように、被覆ニッケルめっきをさらに施すことにより、ニッケル粒状物121をニッケル被膜122により被覆する方法を採用し、これらの形成条件を制御することにより、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態を、上述した第1の態様および第2の態様のいずれかの状態とすることができ、好ましくは、粗化ニッケル層12を構成する複数のニッケル突起物12aの状態を、上述した第1の態様および第2の態様のいずれをも満たす状態とすることができるものである。
以上のような本実施形態の粗化ニッケルめっき板1によれば、金属基材11に対する、粗化ニッケル層12の密着性が良好であるとともに、他の部材に対する密着性に優れたものであり、しかも、接合界面における液浸透が有効に抑制され、耐液浸透性に優れたものである。そのため、本実施形態の粗化ニッケルめっき板1は、他の部材と接合させて用いられる用途、たとえば、樹脂、活物質などの様々な部材との密着性が求められる各種容器、電子機器部材(基板など)、電池部材(外槽、集電体、タブリード)として好適に用いることができ、なかでも、他の部材と接合させて用いられ、かつ、接合界面における液浸透の抑制が期待される用途に特に好適に用いることができるものである。
特に、本実施形態の粗化ニッケルめっき板1は、粗化ニッケル層12の密着性、すなわち、基材11に対する密着性に優れているため、たとえばめっき板同士が重なったり接触したりしても表面の粗化ニッケル層12が剥離または脱落しにくいため、図1Aに示すように、両面の最表面に粗化ニッケル層12を有する粗化ニッケルめっき板1として好適に用いることができる。
一方で、他の部材との密着性が求められるのがめっき板の片面のみの場合、図1Bに示す粗化ニッケルめっき板1のように、片面のみに粗化ニッケル層12が形成されていればよい。粗化ニッケル層12を形成しない面は、基材11が最表面に位置することとなるが、たとええば、基材11が鋼板である場合には、未処理の鋼板のままとしてもよいし、あるいはニッケルめっきや亜鉛めっき、化成処理等、求められる特性に応じた表面処理を施してもよい。特にアルカリ溶液への耐性が求められる場合には、粗化ニッケル層12を形成しない面には通常のニッケルめっき層(たとえば、上述した下地ニッケルめっき層を形成するための条件により形成されるニッケルめっき層)を形成した粗化ニッケルめっき鋼板とすることで、基材11の両面に対し、ニッケル層による被覆がされることとなるため、好ましく適用できる。
図1Bに示すような粗化ニッケルめっき板1を製造する場合には、たとえば、粗化ニッケルめっきを施す工程において、粗化ニッケル層12を形成しない方の表面には通電せずにめっき処理を行う方法や、マスキングを行う方法によって、片面のみに粗化ニッケル層12を有する粗化ニッケルめっき鋼板を得ることができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
なお、各特性の評価方法は、以下のとおりである。
<ニッケル量>
本実施例においては下地ニッケル層、ニッケル粒状物およびニッケル被膜を形成したそれぞれの工程後において蛍光X線装置により測定することで、下地ニッケル層、粗化ニッケル層(ニッケル粒状物およびニッケル被膜)におけるニッケル量をそれぞれ求めた。具体的には、下地ニッケル層を形成した時点で一度蛍光X線装置を用いて下地ニッケル層のニッケル量を求めた。その後、ニッケル粒状物を形成した後に再度蛍光X線装置で総ニッケル量を求め、得られた総ニッケル量と下地ニッケル層のニッケル量の差分をニッケル粒状物のニッケル量とした。さらに、ニッケル被膜を形成した後に再度蛍光X線装置で総ニッケル量を求め、ニッケル被膜形成前の総ニッケル量と形成後の総ニッケル量の差分を求めることで同様にニッケル被膜のニッケル量を得た。そして、ニッケル粒状物およびニッケル被膜の合計のニッケル量を、粗化ニッケル層の付着量として求めた。
ここで、基体としてステンレス鋼板、およびニッケル板などのニッケルを含む金属を用いる場合においては、上記の蛍光X線装置による各層のニッケル量の測定が出来ない。そのため、予め鋼板等のニッケルを含まない基体を用いて、所定の下地ニッケル層のニッケル量が得られためっき条件にて、基体をステンレス鋼鈑、およびニッケル板などのニッケルを含む金属板にして電解することで、同一の付着量を得ることができる。
なお、本実施例および比較例では上記の方法でニッケル量の測定を行ったが、ニッケル量の測定はこのような方法に限定されず、以下の方法を用いてもよい。本実施例においては、一部、以下の方法も採用した。すなわち、まず、下地ニッケル層、ニッケル粒状物およびニッケル被膜を形成した粗化ニッケルめっき板について、蛍光X線装置により測定を行うことで、粗化ニッケルめっき板上に形成された層の総ニッケル量を求める。次いで、粗化ニッケルめっき板を切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することで、下地ニッケル層の厚みを計測して、下地ニッケル層の厚みから換算されるニッケル量を求め、これを下地ニッケル層のニッケル量とする。そして、総ニッケル量から、下地ニッケル層のニッケル量を差し引くことで、ニッケル粒状物およびニッケル被膜の合計のニッケル量を求め、これを粗化ニッケル層の付着量とすることができる。特に、被覆ニッケルめっきを行った際には、ニッケル粒状物121を被覆するニッケル被膜122として、粗化ニッケル層12を形成する他、その一部については、下地ニッケル層を形成することとなるところ、このような方法によれば、被覆ニッケルめっきによる下地ニッケル層の成長(厚膜化)を加味した、下地ニッケル層のニッケル量を求めることができるものである。
ここで、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した際の、金属基体と下地ニッケル層との境界、および下地ニッケル層と粗化ニッケル層との境界については、図11のようにして判定した。すなわち、図11に示すように、金属基体と下地ニッケル層との境界は、図11に示すように明確に観察できるため、図11に示す位置(下の破線位置)とし、一方、下地ニッケル層と粗化ニッケル層との境界については、図11に示すように、二次粒子によるニッケル突起物の根元のうち、最も高さが低い位置(上の破線位置)とした。なお、図11は、実施例、比較例における、金属基体と下地ニッケル層との境界、および下地ニッケル層と粗化ニッケル層との境界の決定方法を説明するための図であり、図11(A)と、図11(B)とは、同じ走査型電子顕微鏡(SEM)写真を並べて示したものであり、図11においては、図11(B)中に、各境界位置を破線で示した。
<粗化ニッケル板の集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定>
粗化ニッケルめっき板について、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)を使用して、三次元SEM観察法であるSlice & Viewにより、粗化ニッケル層12を構成する粗化ニッケル層12の状態(凹凸形状)を測定した。すなわち、粗化ニッケルめっき板について、樹脂埋めする処理を行い、研磨により、測定対象となる断面を露出させ、分析対象箇所としての粗化ニッケル層12に対し、マーキングを行った。次いで、金属基材11のうち、マーキングした粗化ニッケル層12よりも十分に下側の位置について、観察用の空間をエッチングにて形成した(図3A参照)。そして、集束イオンビーム加工観察装置(FIB付き高分解能SEM装置)を使用し、上記にて形成した観察用の空間について、金属基材11側から、粗化ニッケル層12側に向かって、FIBでの断面出し加工(Slice)とSEMによる観察(View)を細かく繰り返し、連続したSEM像を取得した後に、取得した像を再構築する事で、粗化ニッケル層12の基端位置BPから表面側に向かって、基板法線方向の立体的な構造情報を得た。なお,集束イオンビーム加工観察装置としては、FEI社製、製品名「Helios G4」を使用し、SEM測定は、加速電圧3kV、試料傾斜角52°の条件で行った。なお、測定画像自体の視野は、幅が約19.5μm、縦が約13μmであったが、傾斜角52°の条件で測定を行ったため、実際には,幅19.5μm×縦16.5μm程度の範囲を観察していることに相当することとなる。測定に際しては、スライスピッチを、0.1μm程度として、FIB加工を行い,累積で6~7μmのFIB加工を行いつつ、SEM測定を行った。
そして、測定により得られたFIB-SEM像を、基板面の法線方向からの観察画像とするために、画像の縦方向の長さを補正した後、画像の端部を除き、中央付近の幅13μm×縦10.5μmの範囲(観察対象視野)について二値化を行い、ノイズ除去して、解析用画像を得た。なお、10ピクセル以下の集合部分については、ノイズとして除去した(1ピクセルは約12.7nmであるため、たとえば3×3ピクセルの集合部分(約38nm角未満の集合部分)は,ノイズとして除去)。
そして、得られた解析用画像を画像解析することにより、各解析項目(ニッケル占有率、ニッケル突起物12aの存在個数、ニッケル突起物12aの円相当径等)の値を得た。そして、これにより、粗化ニッケル層12の基端位置BPから表面側に向かっての任意高さにおける、ニッケル占有率、ニッケル突起物12aの存在個数、ニッケル突起物12aの円相当径のデータを取得した。また、各高さ位置でのFIB-SEM像について、画像解析結果を連結する事で、上記した各解析項目の高さ方向のプロファイルを測定した。なお、基端位置BPおよび各解析項目の定義は以下の通りとした。
基端位置BP:ニッケル占有率が99%未満となった高さ位置のうち、最も基板側の高さ位置
ニッケル占有率:観察対象視野中における、ニッケル存在部分の面積比率(%)
ニッケル突起物12aの存在個数:11ピクセル以上のニッケル存在部分の集合体の数(個)
ニッケル突起物12aの円相当径:11ピクセル以上のニッケル存在部分の集合体を、同面積の真円とした場合の円直径(μm)を算出し、これを、観察対象視野中に観察された、11ピクセル以上のニッケル存在部分の集合体全てについて平均したもの(μm)
<ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)の密着性(Tピール強度)>
実施例および比較例で得られた粗化ニッケルめっき板を切断して、幅15mm、長さ50mmの寸法の試験用原板を2つ作製し、これをTピール試験片とした。そして、2つのTピール試験片について、それぞれ長さ20mmの位置で角度90°となるように折り曲げた。次いで、各Tピール試験片の粗化ニッケル層を有する面を向い合せ、幅15mm、長さ15mm、厚さ60μmのポリプロピレン樹脂フィルム(三菱ケミカル社製、商品名「モディック」/ポリプロピレン樹脂二層フィルム、評価対象となる接合面はポリプロピレン樹脂とTピール試験片の接合面、商品名「モディック」は試験を安定させるための接着剤層)を挟み込み、温度:190℃、押付時間:5秒、ヒートシール圧:2.0kgf/cmの条件でヒートシールを行い、2つのTピール試験片を、ポリプロピレン樹脂フィルムを介して接合した。ポリプロピレン樹脂フィルムを挟み込む位置はTピール試験体の長さ方向の端部であり、ポリプロピレン樹脂フィルム全体が接合面となる。このように作製したTピール試験体に対して、引張試験機(ORIENTEC製 万能材料試験機 テンシロンRTC-1350A)を用いた引張試験を行い、剥離荷重(Tピール強度)を測定した。測定条件は室温で引張速度10mm/min.とした。Tピール強度が高いほど、樹脂との密着性に優れると判断でき、8N/15mm幅以上を○とし、10N/15mm幅以上を◎とした。
<粗化ニッケル層の密着性>
まず、基準サンプルとして、粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」)を、台紙に貼り付けたものを準備し、分光測色計(製品名「CM-5」、コニカミノルタ社製)を使用して、明度L、色度a、bを測定した。なお、測定に際しては、CIE1976L色差モデルを用いた。
そして、実施例および比較例で得られた、粗化ニッケルめっき板の粗化ニッケル層が形成された面に、粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」)を、幅24mm、長さ50mmの範囲となるように貼付した後、貼付した粘着テープによる剥離試験を、JIS H 8504に記載された引きはがし試験方法の要領で行った。そして、剥離試験後の粘着テープを、上記基準サンプルと同じ台紙に貼り付け、上記と同様にして、分光測色計を使用して、明度L、色度a、bを測定した。そして、予め測定した、基準サンプルの明度L、色度a、bの測定結果、および剥離試験後の粘着テープの明度L、色度a、bの測定結果から、これらの差ΔEab(ΔEab=〔(ΔL+(Δa+(Δb1/2)を算出し、以下の基準に基づいて、粗化ニッケル層の密着性の評価を行った。なお、ΔEabが小さいほど、剥離試験において剥離する量が少なく、つまり、剥離試験後の、粗化ニッケル層の残存率が高く、基材に対する密着性に優れると判断することができる。
◎:ΔEab=1未満
○:ΔEab=1以上、10未満
×:ΔEab=10以上
<ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)と接合した際における液浸透性評価>
実施例および比較例で得られた粗化ニッケルめっき板を切断して、幅90mm、長さ140mmの寸法の液浸透性評価用試験片を作製した。そして、得られた液浸透性評価用試験片上に、幅7mm、長さ7mmの寸法のアルカリ水溶液用のマーカーシート(Macherey-nagel製、pH試験紙)を置き、幅110mm、長さ160mm、厚さ60μmのポリプロピレン樹脂フィルム(三菱ケミカル社製、商品名「モディック」/ポリプロピレン樹脂二層フィルム(商品名「モディック」側を接着剤層として接合面に使用)をこの上にのせて、アルカリ水溶液用のマーカーシートを挟んだ状態にて、温度:150℃、圧力:0.6MPa(感圧紙にて確認)、ロール通過速度:70mm/秒の条件で、ラミネートロールを用いて、全面ヒートシール後、マーカーを中心に直径30mmの円に切り抜くことで,アルカリ水溶液用のマーカーシートを密封してなる測定用サンプルを得た。そして、得られた測定用サンプルを、アルカリ水溶液としての30g/Lの日本クエーカー・ケミカル社製、フォーミュラー 618-TK-2水溶液中に、80℃、30時間の条件にて浸漬させ、浸漬後の測定用サンプル中のアルカリ水溶液用のマーカーシートの変色(測定用サンプル内部への、アルカリ水溶液の侵入による変色)を確認し、以下の基準で評価した。
○:アルカリ水溶液用のマーカーシートに変色が全くみられなかった。
△:アルカリ水溶液用のマーカーシートの角部に、2mm×2mmより小さいサイズでの変色が確認された。
×:アルカリ水溶液用のマーカーシートに、2mm×2mm以上のサイズでの変色が確認された。
《実施例1》
基体として、低炭素アルミキルド鋼の冷間圧延板(厚さ0.05mm)を焼鈍して得られた鋼板を準備し、圧延により、平坦化(平滑化)処理を行うことで、その表面の触針式表面粗度計での算術平均粗さRaが0.2μmである平坦化処理鋼板を得た。
そして、得られた圧延鋼板について、アルカリ電解脱脂、硫酸浸漬の酸洗を行った後、下記の浴組成の下地ニッケルめっき浴を用いて、下記条件にて電解めっきを行い、鋼板の両面にそれぞれ下地ニッケル層を形成した。
<下地ニッケルめっき条件>
浴組成:硫酸ニッケル六水和物250g/L、塩化ニッケル六水和物45g/L、ホウ酸30g/L
pH:4.2
浴温:60℃
電流密度:10A/dm
めっき時間:30秒間
次いで、下地ニッケル層を形成した鋼板に対して、下記の浴条件の粗化ニッケルめっき浴を用いて、下記条件にて、電解めっき(粗化ニッケルめっき)を行うことで、鋼板の両面の下地ニッケル層上に、ニッケル粒状物を析出させた。
<粗化ニッケルめっき条件>
めっき浴中の硫酸ニッケル(六水和物)濃度:10g/L
めっき浴中の塩化ニッケル(六水和物)濃度:10g/L
めっき浴の塩化物イオン濃度:3g/L
めっき浴中のニッケルイオンとアンモニウムイオンとの比:ニッケルイオン/アンモニウムイオン(重量比)=0.17
50℃におけるめっき浴の電気伝導率(以下、浴電導度ともいう):11.4S/m
pH:6
浴温:50℃
電流密度:8A/dm
めっき時間:120秒間
次いで、下地ニッケル層上に、ニッケル粒状物を析出させた鋼板に対して、下記の浴組成の被覆ニッケルめっき浴を用いて、下記条件にて電解めっき(被覆ニッケルめっき)を行うことで、下地ニッケル層上に析出させたニッケル粒状物を、ニッケル被膜により被覆させることにより、実施例1の粗化ニッケルめっき板を得た。
<被覆ニッケルめっき条件>
浴組成:硫酸ニッケル六水和物250g/L、塩化ニッケル六水和物45g/L、ホウ酸30g/L
pH:4.2
浴温:60℃
電流密度:8A/dm
めっき時間:24秒間
そして、得られた粗化ニッケルめっき板について、下地ニッケル層、ニッケル粒状物およびニッケル被膜のニッケル量、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定、粗化ニッケル層の密着性(粗化ニッケル層の密着性は、被覆ニッケルめっきを形成する前の粗化ニッケルめっき板について行った)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)の密着性、ならびに、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)と接合した際における液浸透評価の各測定、評価を行った。結果を表1に示す。
《実施例2》
粗化ニッケルめっきの条件および被覆ニッケルめっきの条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の粗化ニッケルめっき板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
《実施例3》
粗化ニッケルめっきの条件および被覆ニッケルめっきの条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の粗化ニッケルめっき板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
《実施例4》
粗化ニッケルめっきの条件および被覆ニッケルめっきの条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の粗化ニッケルめっき板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
《実施例5》
粗化ニッケルめっきの条件および被覆ニッケルめっきの条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の粗化ニッケルめっき板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
《実施例6》
粗化ニッケルめっきの条件および被覆ニッケルめっきの条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の粗化ニッケルめっき板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
《比較例1》
粗化ニッケルめっきの条件および被覆ニッケルめっきの条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の粗化ニッケルめっき板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007023418000001
Figure 0007023418000002
表1,2から確認できるように、ニッケル占有率が90%である高さ位置DNi90%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_Ni50%)が、65%/μm以下であり、ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi80%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、前記ニッケル突起物の断面の円相当径の平均値Rave(Ni80%_Ni50%)が、0.6μm以上であり、2.0μmの高さ位置における、ニッケル占有率C2.0が、15%以上であり、2.0μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物の存在個数N2.0が、20個/136.5μm以上である実施例1~6に係る粗化ニッケルめっき板は、基材に対するめっき層の密着性、および他の部材に対する密着性に優れ、かつ、他の部材に接合した際における耐液浸透性に優れたものであった。
一方、ニッケル占有率が90%である高さ位置DNi90%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_Ni50%)が、65%/μm超であり、ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi80%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、前記ニッケル突起物の断面の円相当径の平均値Rave(Ni80%_Ni50%)が、0.6μm未満である比較例1に係る粗化ニッケルめっき板は、基材に対するめっき層の密着性、および、他の部材に接合した際における耐液浸透性が十分なものではなかった。特に、比較例1は、一定程度の耐液浸透性は示しているものの、長時間使用時の耐液浸透性が不十分であるといえ、長時間に亘り耐液浸透性が要求されるような用途には適さないものであった。
図12(A)に、実施例1および比較例1の粗化ニッケル層12の基端位置BPからの位置と、観察対象視野中における、ニッケル占有率との関係を示すグラフ(基端位置BP側を拡大したグラフ)を、図12(B)に、実施例1および比較例1の粗化ニッケル層12の、観察対象視野中における、ニッケル占有率と、観察対象視野中に観察される、ニッケル突起物12aの断面の円相当径との関係を示すグラフ(ニッケル占有率50~80%の範囲を拡大したグラフ)をそれぞれ示す。
1,1a…粗化ニッケルめっき板
11…金属基材
12…粗化ニッケル層
12a…ニッケル突起物
121…ニッケル粒状物
122…ニッケル被膜
13…下地ニッケル層

Claims (7)

  1. 金属基材の少なくとも一方の面に、最表層として、複数のニッケル突起物から形成される粗化ニッケル層を有する粗化ニッケルめっき板であって、
    前記粗化ニッケル層の付着量が、1.34~45.0g/m であり、
    前記粗化ニッケルめっき板について、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定を行い、前記集束イオンビーム加工観察装置により得られる撮影画像から、各高さ位置における、前記粗化ニッケル層の状態を測定した際に、
    ニッケル占有率が90%である高さ位置DNi90%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、高さ変化に対する、ニッケル占有率の変化割合の絶対値Crate(Ni90%_Ni50%)が、65%/μm以下であり、
    高さ方向における前記粗化ニッケル層の基端位置から、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、ニッケル占有率C2.0が、15%以上であり、
    前記基端位置から、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物の存在個数N2.0が、20個/136.5μm以上である粗化ニッケルめっき板。
  2. 金属基材の少なくとも一方の面に、最表層として、複数のニッケル突起物から形成される粗化ニッケル層を有する粗化ニッケルめっき板であって、
    前記粗化ニッケル層の付着量が、1.34~45.0g/m であり、
    前記粗化ニッケルめっき板について、集束イオンビーム加工観察装置(FIB-SEM)による測定を行い、前記集束イオンビーム加工観察装置により得られる撮影画像から、各高さ位置における、前記粗化ニッケル層の状態を測定した際に、
    ニッケル占有率が80%である高さ位置DNi80%から、ニッケル占有率が50%である高さ位置DNi50%までの間における、前記ニッケル突起物の断面の円相当径の平均値Rave(Ni80%_Ni50%)が、0.6μm以上であり、
    高さ方向における前記粗化ニッケル層の基端位置から、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、ニッケル占有率C2.0が、15%以上であり、
    前記基端位置から、表面側に向かって2.0μmの高さ位置における、複数のニッケル突起物の存在個数N2.0が、20個/136.5μm以上である粗化ニッケルめっき板。
  3. 前記金属基材が、Fe,Cu,AlおよびNiから選択される一種の純金属からなる金属板もしくは金属箔、または、Fe,Cu,AlおよびNiから選択される一種を含む合金からなる金属板もしくは金属箔である請求項1または2に記載の粗化ニッケルめっき板。
  4. 前記金属基材が、鋼板である請求項1~3のいずれかに記載の粗化ニッケルめっき板。
  5. 前記金属基材の厚みが、0.01~2.0mmである請求項1~4のいずれかに記載の粗化ニッケルめっき板。
  6. 前記金属基材上に、さらに下地ニッケル層を備え、
    前記粗化ニッケル層は、前記下地ニッケル層を介して、金属基材上に形成される請求項1~5のいずれかに記載の粗化ニッケルめっき板。
  7. 前記粗化ニッケル層と前記下地ニッケル層との合計の付着量が、5.0~50.0g/mである請求項に記載の粗化ニッケルめっき板。
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