JP7022874B1 - 多結晶シリコンロッド、多結晶シリコンロッドの製造方法および多結晶シリコンの熱処理方法 - Google Patents

多結晶シリコンロッド、多結晶シリコンロッドの製造方法および多結晶シリコンの熱処理方法 Download PDF

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Abstract

多結晶シリコンロッド全体の純度を向上させることを目的とする。多結晶シリコンロッド(1)は、外側総濃度(C1)が100pptw以下であり、かつ、内側総濃度(C2)に対する外側総濃度(C1)の比率が、1.0以上2.5以下である。

Description

本発明は、多結晶シリコンロッド、多結晶シリコンロッドの製造方法および多結晶シリコンの熱処理方法に関する。
多結晶シリコンを製造する方法として、シーメンス法(Siemens法:ベルジャー法)が知られている。シーメンス法では、反応器の内部のシリコン析出用芯線(以下、「シリコン芯線」)を通電加熱した状態で、反応器の内部にクロロシラン化合物および水素を含む原料ガスを供給することにより、シリコン芯線の表面上に多結晶シリコンを析出させる。特許文献1では、シーメンス法による多結晶シリコンの析出後、熱処理することにより、多結晶シリコンの歪みを減少させる技術が開示されている。
日本国特許第3357675号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、多結晶シリコンロッドの表面温度が1030度以上の高温になるまで加熱する。そのため、多結晶シリコンロッド、特に表面近傍の部分における不純物の濃度が高くなる虞がある。言い換えれば、特に、多結晶シリコンロッドにおける表面近傍の部分の純度が低くなる。また、「純度」とは、多結晶シリコンロッドの任意の部分において、不純物の含有量が少ない度合いを指す。
本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、多結晶シリコンロッドにおける表面近傍の部分の純度を向上させることで、多結晶シリコンロッド全体の純度を向上させることを目的とする。
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドは、中心軸と平行な表面から径方向に4mmの深さまでの部分における、鉄、クロムおよびニッケルの各濃度を合計した外側総濃度が100pptw以下であり、前記表面から径方向に4mmを超えて離れた部分における前記鉄、前記クロムおよび前記ニッケルの各濃度を合計した総濃度を内側総濃度とすると、前記内側総濃度に対する前記外側総濃度の比率が1.0以上2.5以下である。
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの製造方法は、クロロシラン化合物および水素の存在下、シリコン芯線を加熱することにより、前記シリコン芯線の表面に多結晶シリコンを析出させる析出工程と、前記析出工程で析出した前記多結晶シリコンを、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスの存在下で熱処理する熱処理工程と、を含み、前記析出工程において、前記シリコン芯線を加熱するときに当該シリコン芯線に流す電流の電流値を減少させ始める時点での前記多結晶シリコンの表面温度をT1とすると、前記熱処理工程における前記多結晶シリコンの表面温度T2は、T1+30℃以上T1+100℃以下となる期間を含み、かつ1030℃未満である。
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る多結晶シリコンの熱処理方法は、多結晶シリコンを、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスの存在下、反応器における直胴部の内部で熱処理する熱処理工程を含み、前記熱処理工程において、前記反応器に流入する前記ガスである第1アニール用ガスの流量をF1とし、前記直胴部の断面積をSとすると、F1/Sの値が20Nm/hr/m以上となる期間を含む。
本発明の一態様によれば、多結晶シリコンロッド全体の純度を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンロッドの概略を示す図である。 本発明の一実施形態に係るサンプルを示す図である。 図1に示す多結晶シリコンロッドの製造方法の一例を示すフローチャートである。 図3に示す製造方法の各工程における、水素の流量等の一例を示すグラフである。 図1に示す多結晶シリコンロッドの製造に用いられる反応器の概略を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書では、部材番号以外の数値Xおよび数値Y(但し、X<Y)について、「X~Y」は、「X以上Y以下」を意味するものとする。
[多結晶シリコンロッド]
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンロッド1について説明する。図1に示すように、多結晶シリコンロッド1は、シリコン芯線10および当該シリコン芯線10の周りに析出した多結晶シリコン20で形成されている。また、多結晶シリコンロッド1は、外形が円柱状になっている。このような多結晶シリコンロッド1は、例えばシーメンス法により製造することができる。
図1に示す例では、シリコン芯線10の周りに多結晶シリコン20が析出した後、所定の長さに切断された多結晶シリコンロッド1が示されている。多結晶シリコンロッド1の直径は特に制限されず、多結晶シリコンロッド1は、例えば100mm以上の大きな直径であってもよい。
100mm以上の直径のものになると、一般的な多結晶シリコンロッドでは外側部分の不純物量が内側部分の不純物量よりも多くなり易い。しかしながら、多結晶シリコンロッド1では、外側部分の不純物量を効率よく低減することができ、最終的には、多結晶シリコンロッド1全体の純度を向上させることができる。加えて、100mm以上の直径のものになると、一般的な多結晶シリコンロッドでは内部歪み率が高くなる傾向にあり、倒壊率が高まる傾向にある。しかしながら、多結晶シリコンロッド1では、内部歪み率、ひいては倒壊率を従来よりも低くすることができる。なお、多結晶シリコンロッド1の直径の上限は、特に制限されるものではないが、200mm以下であることが好ましく、150mm以下であることが好ましい。また、多結晶シリコンロッド1の長さも特に制限されるものではないが、約150~250cmであることが好ましい。
多結晶シリコンロッド1は、中心軸AXと平行な表面21から径方向に4mmの深さまでの部分(以下、「表面21の近傍の部分」)における、鉄、クロムおよびニッケルの各濃度を合計した外側総濃度C1が、100pptw以下である。多結晶シリコンロッド1の中心軸AXは、図1に示すようにシリコン芯線10の中心軸と一致する。本明細書では、多結晶シリコンロッド1の中心軸と直交または略直交する方向を「径方向」とする。鉄、クロムおよびニッケルは、いずれも多結晶シリコンロッド1に含まれる不純物である。以下、鉄、クロムおよびニッケルをまとめて「不純物」と称する場合がある。なお、表面21の近傍の部分における純度を更に向上させる観点から、外側総濃度C1は、80pptw以下であることが好ましく、60pptw以下であることがより好ましい。
また、多結晶シリコンロッド1は、内側総濃度C2に対する外側総濃度C1の比率、すなわちC1/C2が、1.0~2.5である。内側総濃度C2は、多結晶シリコンロッド1における表面21から径方向に4mmを超えて離れた部分(以下、「中心軸AX側の部分」)の鉄、クロムおよびニッケルの各濃度を合計した値である。前記の数値範囲は、外側総濃度C1が内側総濃度C2よりも高くなる傾向があることを本発明者らが見出したことに基づき、本発明者らが鋭意検討した結果得られた知見である。
多結晶シリコンロッド1では、C1/C2を1.0~2.5にすることにより、多結晶シリコンロッド1の全体の純度を向上させることができる。なお、多結晶シリコンロッド1の全体の純度を更に向上させる観点から、C1/C2は、2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。同様の理由により、多結晶シリコンロッド1の内側総濃度C2は、60pptw以下であることが好ましく、40pptw以下であることがより好ましい。
多結晶シリコンロッド1は、径方向の内部歪み率が1.0×10-4cm-1未満である。そのため、多結晶シリコンロッド1の倒壊率を従来よりも低下させることができる。内部歪み率は、公知の定義で規定されるとともに、公知の方法で算出することができる。例えば、特許文献1の第6項第20段から第7項第10段に開示された方法で、内部歪み率を算出することができる。また、特許文献1の第7項第11段から第30段に開示された定義が、内部歪み率の定義となる。なお、リチャージ等による単結晶引き上げ用の原料として多結晶シリコンロッド1を用いる場合に、後述の反応器100に直接供給してもロッド割れを生じ難くするために、多結晶シリコンロッド1の内部歪み率は9.0×10-5cm-1以下であることが好ましい。
<多結晶シリコンロッドの外側総濃度および内側総濃度の算出方法>
次に、図1および図2を用いて、多結晶シリコンロッド1の外側総濃度および内側総濃度の算出方法について説明する。多結晶シリコンロッド1の外側総濃度C1および内側総濃度C2は、例えば以下の方法により算出することができる。
まず、多結晶シリコンロッド1から、図1に示すコアロッド30を抜き出す。具体的には、多結晶シリコンロッド1における、2つの端面211のいずれかを基準とした高さ方向の所定の位置から、中心軸AXに対して略垂直にコアロッド30を抜き出す。前記の「高さ方向の所定の位置」としては、例えば、多結晶シリコンロッド1における高さ方向の中心の位置が挙げられる。
コアロッド30は、外形が円柱状であり、シリコン芯線10の一部分11を含んでいる。抜き出し方法は公知の方法を採用することができ、例えばASTM F1723-96 “Standard Practice for Evaluation Silico
n Rods by Float-Zone Crystal Growth and Spectroscopy”に記載の方法に準じて抜き出す。
なお、本実施形態では、ASTM F1723-96に記載の方法に準じた部分は、多結晶シリコンロッド1からコアロッド30を抜き取る部分のみである。具体的には、まず、シリコン芯線10上に多結晶シリコン20を析出させて得られた多結晶シリコンロッド1にドリルで穴を開け、直径20mmの円筒(コアロッド30)を抜き出した。
コアロッド30の両方の端面31は、ともに多結晶シリコンロッド1の表面21の一部であり、当該表面21の形状に対応した曲面になっている。コアロッド30の直径は特に制限されず、任意に設定できる。本実施形態では、コアロッド30の直径は約20mmである。
次に、図2に示すように、コアロッド30の端面31側から、コアロッド30の中心軸(不図示)に対して略垂直に、最大厚さ約4mmの略円板状のロッド片を切り出す。このロッド片における切断面と反対側の面は、コアロッド30の端面31である。また、このロッド片における最大厚さは、端面31の最も凸になる頂辺から切断面までの最短距離になる。以下、この端面31を含むロッド片を「外皮ロッド片32」と称する。
更に、外皮ロッド片32を切り出した後のコアロッド30の切断面側から、上述と同様の方法で、厚さ約4mmの円板状のロッド片を3枚切り出す。以下、この3枚のロッド片を、切り出した順番の早い方から順に、「第1ロッド片33、第2ロッド片34、第3ロッド片35」と称する。また、外皮ロッド片32ならびに第1ロッド片33、第2ロッド片34および第3ロッド片35をまとめて「測定用ロッド片32~35」と称する。なお、測定用ロッド片の個数については、外皮ロッド片32を含んでいること以外に特段の限定はない。
コアロッド30を切断して測定用ロッド片32~35を作製するときに用いられる工具としては、例えばダイヤモンドカッタを挙げることができる。ダイヤモンドカッタの刃は、例えば厚さが0.7~1.2mmであり、約1.5mmの切りしろを要する。
外皮ロッド片32は、多結晶シリコンロッド1における、表面21から多結晶シリコンロッド1の径方向(コアロッド30の中心軸方向)に4mmの深さまでの部分に相当する。また、第1ロッド片33、第2ロッド片34および第3ロッド片35は、多結晶シリコンロッド1における、表面21から多結晶シリコンロッド1の径方向に4mmを超えて離れた部分に相当する。なお、外皮ロッド片32の最大厚さ、ならびに第1ロッド片33、第2ロッド片34および第3ロッド片35の各厚さは、約4mmでなくてもよい。これらの厚さは、3~10mmであればよく、4~6mmであれば好ましい。
本実施形態では、外皮ロッド片32に含まれる各不純物の濃度の総濃度が、多結晶シリコンロッド1の外側総濃度C1に該当する。ここで、外皮ロッド片32を、表面21から多結晶シリコンロッド1の径方向に約4mmの深さまでの部分(以下、「約4mmの深さまでの部分」と略記)とした根拠について、以下に詳述する。
外皮ロッド片32の形状は、外皮側部分の表面が外側に凸となるように湾曲している。そのため、外皮側部分における最も外側に突出した箇所(外皮ロッド片32の径方向の中心部分)を基準として、約4mmの深さで外皮ロッド片32を切り出す。よって、外皮ロッド片32における径方向の中心部分の厚さ(最大厚さ)が約4mmとなる。
外皮ロッド片32は、多結晶シリコンロッド1の中心軸に水平な方向に切り出すことで作製される。そのため、外皮ロッド片32の径方向の中心部分から外皮ロッド片32の周縁方向(多結晶シリコンロッド1の周方向)に向うにつれて、外皮ロッド片32の厚さは薄くなる。例えば、多結晶シリコンロッド1の直径が100mm(半径が50mm)である場合、直径が20mmのコアロッド30を取り出すと、外皮ロッド片32の端部の厚さは約3mmとなる。また、多結晶シリコンロッド1の外皮は平滑ではないことから、表面粗さ(Ra)を考慮する必要がある。通常であれば、多結晶シリコンロッド1の外皮は表面粗さ(Ra)が1mm程度ある。つまり、外皮ロッド片32には、1mm程度の厚さムラが生じていることになる。
上述のような多結晶シリコンロッド1の形状とダイヤモンドカッタの刃による切断とを考慮すると、外皮ロッド片32を約4mmの深さまでの部分とすることにより、外側総濃度C1を安定的に精度高く求めることができる。例えば、外皮ロッド片32を約2mm以下の深さまでの部分とした場合、多結晶シリコンロッド1の外皮側部分の表面が凸状面であること、および当該表面の表面粗さ(Ra)を考えると、ダイヤモンドカッタが切断時にチッピング、破損し易くなる。そのため、外皮ロッド片32を安定的に作製することができなくなる。一方、例えば、外皮ロッド片32を約6mm以上の深さまでの部分とした場合、汚染された外皮側部分の真の不純物量が希釈される形となり、品質評価には適さないこととなる。このことから、本実施形態では、外皮ロッド片32を約4mmの深さまでの部分とした。
上述のようにして測定用ロッド片32~35を作製した後、測定用ロッド片32~35のそれぞれについて不純物の濃度を測定する。以下の説明では、外皮ロッド片32に含まれる不純物の濃度を測定する方法を例に挙げて説明する。第1ロッド片33、第2ロッド片34および第3ロッド片35についても、同様の方法で濃度測定を行う。
まず、外皮ロッド片32の表面全体を、硝弗酸溶液を用いて約100μmエッチング除去することにより、コアロッド30の抜き出し時および外皮ロッド片32の切り出し時における加工汚染を抑える。次に、外皮ロッド片32を水洗洗浄して乾燥させた後、外皮ロッド片32の質量を測定する。次に、外皮ロッド片32の全量を所定量の硝弗酸溶液(例えば、硝酸200ml、弗酸200ml)に溶解させた後、溶液中に含まれる鉄、クロムおよびニッケルの各質量を公知の誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)により測定する。ICP-MSによる分析は、例えばJIS通則(JIS K 0133 2007JIS 高周波プラズマ質量分析通則)に則って行う。
次に、得られた測定結果を用いて、外皮ロッド片32に含まれる不純物の濃度を算出する。具体的には、鉄、クロムおよびニッケルの各質量を外皮ロッド片32の質量で除することにより、鉄、クロムおよびニッケルの各濃度を算出する。そして、これらの濃度を合計することにより、外皮ロッド片32の不純物の濃度を算出する。
このようにして算出された不純物の濃度は、言い換えれば、外皮ロッド片32に含まれる鉄、クロムおよびニッケルの各濃度を合計した総濃度である。つまり、外皮ロッド片32の不純物濃度が外側総濃度C1になる。この考え方に従って、本実施形態では、内側総濃度C2を、第1ロッド片33、第2ロッド片34および第3ロッド片35の不純物の濃度を平均した値とする。なお、第1ロッド片33、第2ロッド片34および第3ロッド片35の不純物の濃度が相互に略同一の値になる場合、第1ロッド片33、第2ロッド片34または第3ロッド片35のいずれかの不純物の濃度を、内側総濃度C2としてもよい。
[多結晶シリコンロッドの製造方法]
次に、図3~図5を用いて、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンロッド1の製造方法について説明する。図3および図4に示すように、多結晶シリコンロッド1の製造方法は、析出工程S1と、熱処理工程S2と、冷却工程S3と、を含む。
なお、図4に示すグラフの横軸には、析出工程S1が終了するポイントt1、言い換えれば熱処理工程S2が始まるポイントt1を基準として、その前後の操作ポイント(ポイントt2~t9)がプロットされている。横軸の単位は、析出工程S1の開始時刻からの経過時間t〔min.〕(minutes:分)である。第1~第3サンプルの製造、および比較サンプルの製造においては、原料ガスおよび第1・第2の水素ガスの各供給量、電流値を図4のグラフに示すように制御することで、各工程における多結晶シリコン20の表面温度を図4のグラフに示すように調整する。第1~第3サンプル、比較サンプル、原料ガスおよび第1・第2の水素ガスの詳細については後述する。
また、本実施形態では、析出工程S1と熱処理工程S2とを連続して行う。そのため、原料ガスの供給量を減少させ始めた時点、つまり図4のグラフにおけるポイントt1が、析出工程S1の終了時点になり、かつ熱処理工程S2の開始時点にもなる。さらに、本実施形態では、シリコン芯線10への通電を止めた時点、つまり図4のグラフにおけるポイントt9が、熱処理工程S2の終了時点になり、かつ冷却工程S3の開始時点にもなる。
<析出工程>
まず、析出工程S1では、公知の方法であるシーメンス法によって多結晶シリコン20を析出させる。シーメンス法では、通常、図5に示すような反応器100が用いられる。反応器100は、直胴部101と、当該直胴部101の上側に形成される半球面部とで構成される。そして、直胴部101の内部において、クロロシラン化合物および水素の存在下でシリコン芯線10を加熱することにより、シリコン芯線10の表面に多結晶シリコン20を析出させる。以下、クロロシラン化合物および水素を含むガスを「原料ガス」と称する。なお、直胴部101の断面積は、具体的には、図5に示すような、直胴部101を多結晶シリコンロッド1の高さ方向の中心軸AXと直交する仮想平面で切断したときの、直胴部101の内壁面(図5中の破線参照)によって取り囲まれた領域の面積Sである。
より詳細には、直胴部101の内部にシリコン芯線10を逆U字状に設置した後、反応器100の内部に原料ガスを充填する。具体的には、図5に示すバルブ51を開けて反応器100の内部に原料ガスを供給することで、反応器100の内部に原料ガスを充填する。本実施形態では、析出工程S1が終了するまでの間、反応器100の内部に流入する原料ガスの流量、言い換えれば原料ガスの供給量Fを所定量に保つ。そして、この状態でシリコン芯線10に電流を流して当該シリコン芯線10を加熱することにより、シリコン芯線10の表面に多結晶シリコン20を析出させる。反応器100の内部に供給された原料ガスおよび後述の第1・第2の水素ガス(図5中の「供給ガス」)は、所望の用途に用いられた後、図5に示すように反応器100から外部に排出される。
なお、図5に示す反応器100の構造はあくまで一例であり、反応器100の構造は特に制限されない。また、析出工程S1における反応条件も特に制限されない。反応器100として公知の様々な反応器を用いることができ、かつ、析出工程S1では公知の様々な反応条件で多結晶シリコン20を析出させることができる。
析出工程S1は、多結晶シリコン20が、シリコン芯線10の表面に所望の大きさの多結晶シリコンロッド1が得られる程度の量だけ析出した時点で終了する。そして、通常の析出条件から原料ガスの供給量Fを減らし始めた時点(ポイントt1)を析出工程S1の終了時点とした。本実施形態では、図4に示すように、多結晶シリコン20の析出が始まってから析出工程S1が終了する時点(ポイントt1)までの時間は特に制限されない。前記の時間は、原料ガスの供給量F、多結晶シリコン20の析出時の温度等に応じた、所望とする大きさの多結晶シリコンロッド1が得られるまでの時間とすればよい。通常であれば100~200hrである。後述の第1~3サンプル、および後述の比較サンプルについては、多結晶シリコンロッドの大きさがすべて同じになるように調整した。
<析出工程における好適な対応/熱処理工程前の準備について>
(析出工程における多結晶シリコンの表面温度、および電流値について)
析出工程S1の終了は、原料ガスの供給量Fを減少させた時点(ポイントt1)とする。ここで、原料ガスの供給量Fを減少させる一方でシリコン芯線10に流す電流の電流値を一定のままにしておくと、原料ガスの供給量Fを減少させるにつれてシリコン芯線10に析出した多結晶シリコン20の表面温度が上がり過ぎる虞がある。そこで、この現象を回避すべく、析出工程S1が終了する時点(ポイントt1)の前の時点であるポイントt2から、シリコン芯線10に流す電流の電流値を下げ始めておくことが好ましい。つまり、一定条件で多結晶シリコン20を析出させた後、前記の電流値を徐々に下げることにより、多結晶シリコン20の表面温度も徐々に下げるのが好ましい。
本実施形態では、前記の電流値を下げる前における多結晶シリコン20の表面温度をT1とし、以下の説明では単に表面温度T1と称する。表面温度T1は、平常時の多結晶シリコン20の析出における、当該多結晶シリコン20の表面温度に該当する。平常時の多結晶シリコン20の析出とは、原料ガスの供給量Fが一定量であり、かつ電流値も一定値である場合の多結晶シリコン20の析出を指す。
また本実施形態では、次の熱処理工程S2において、表面温度T1に対して、30~100℃の高い温度であって、かつ1030℃未満となる温度でアニール処理(熱処理)をすることが重要となる。なお、表面温度T1は特に制限されるものではなく、1000℃未満であり、かつ多結晶シリコン20の析出が可能な温度であればよい。但し、表面温度T1は、800℃以上1000℃未満であることが好ましく、多結晶シリコン20の生産性を考慮すると、900℃以上1000℃未満であることがより好ましい。
また本実施形態では、ポイントt2からシリコン芯線10に流す電流の電流値を下げ始めるが、多結晶シリコン20の表面温度もポイントt2から下がり始める。原料ガスの供給量Fを減少させる時点(ポイントt1)での多結晶シリコン20の表面温度は、特に制限されるものではない。但し、多結晶シリコン20の生産性向上、多結晶シリコン20の過度な加熱の回避という観点からは、ポイントt1における多結晶シリコン20の表面温度は、表面温度T1よりも0(T1と同じ温度)~100℃ほど低い温度であることが好ましく、表面温度T1よりも10℃~80℃ほど低い温度であることがより好ましい。
さらに、ポイントt2も特に制限されるものではない。多結晶シリコン20の生産性、品質等を考慮すると、ポイントt2は、10~120minほどポイントt1よりも前の時点であることが好ましく、20~100minほどポイントt1よりも前の時点であることがより好ましい。なお、後述の第1~3サンプル、および後述の比較サンプルでは、ポイントt2をポイントt1よりも60min前の時点とした。なお、ポイントt2を設定したのは、多結晶シリコン20の表面温度が上がり過ぎるのを抑えるためであり、多結晶シリコン20の表面温度が上がり過ぎる虞がないのであればポイントt2を設定する必要はない。
(析出工程におけるアニール用ガスの先行供給)
また、析出工程S1では、多結晶シリコン20の析出が終了する(ポイントt1)前のポイントt3から、反応器100の内部に第1アニール用ガスとなる第1の水素ガスを供給し始めることもできる。以下、第1アニール用ガスが水素ガスの場合を例に挙げて説明するが、第1アニール用ガスは、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスであればよい。
第1の水素ガスは、熱処理工程S2のアニール処理のために供給される水素の一部として使用されるものであり、原料ガスを構成する水素ガスとは別に供給される。第1の水素ガスは、図5に示すバルブ52を開けることにより、原料ガスとともに反応器100の内部に供給される。ポイントt3は、ポイントt1と同時点、またはポイントt1よりも前の時点に設定される。但し、各水素ガスの供給タイミングをとり易くして第1の水素ガスを確実に供給するためには、ポイントt3は、ポイントt1よりも前の時点に設定されるのが好ましい。また、ポイントt3は、多結晶シリコンロッド1の製造に使用される各種装置、多結晶シリコンロッド1の所望の大きさ、および析出効率等を考慮して適宜設定されればよい。通常、ポイントt3は、ポイントt1よりも5min~1hrほど前の時点で設定される。
図4のグラフでは、第1の水素ガスの供給については、徐々に供給量を増加して第1の水素ガスの到達供給量をf1にしているが、供給量0(ゼロ)から一度に到達供給量f1とすることもできる。この場合、ポイントt4は存在しない、言い換えればポイントt4はポイントt3に置き換わることになる。なお、後述の第1~3サンプルの製造、および後述の比較サンプルの製造では、ポイントt3をポイントt1よりも30min前の時点とし、20minかけてポイントt4まで徐々に第1の水素ガスの供給量を増加させた。また、ポイントt4以降の第1の水素ガスの供給量を到達供給量f1に保った。但し、第1~第3サンプルおよび比較サンプルのそれぞれについて、到達供給量f1の値を異ならせた。
また、析出工程S1では、多結晶シリコン20の析出が終了する(ポイントt1)前のポイントt5から、反応器100の内部に第2の水素ガスを供給し始めることもできる。以下、第2の水素ガスとして、水素ガスを例に説明するが、このガスは、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスであればよい。
第2の水素ガスは、熱処理工程S2のアニール処理のために供給される水素の一部として使用されるものである。第2の水素ガスは、冷却工程S3において第2アニール用ガスとして使用されることが好ましく、原料ガスを構成する水素ガスとは別に供給される。第2の水素ガスは、図5に示すバルブ53を開けることにより、原料ガスとともに反応器100の内部に供給される。
ポイントt5は、図4におけるポイントt1と同時点、またはポイントt1よりも前の時点に設定することができる。但し、各水素ガスの供給タイミングをとり易くして第2の水素ガスを確実に供給するためには、ポイントt5は、ポイントt1よりも前の時点に設定されるのが好ましい。また、ポイントt5は、多結晶シリコンロッド1の製造に使用される各種装置、多結晶シリコンロッド1の所望の大きさ、および析出効率等を考慮して適宜設定されればよい。通常、ポイントt5は、ポイントt1よりも1~30minほど前の時点で設定される。
第2の水素ガスの供給量は、第1の水素ガスの供給量よりも少ない量とすることが好ましい。そして、第2の水素ガスの供給に関する操作性をより向上させるためには、析出工程S1で供給される第2の水素ガスの供給量を、冷却工程S3で供給される第2アニール用ガスの供給量と同じにするのが好ましい。本実施形態では、図4に示すように、析出工程S1で供給される第2の水素ガスの到達供給量f2が、冷却工程S3で供給される第2アニール用ガスの流量F2と同じになっている。
この場合、熱処理工程S2では、第1の水素ガスの到達供給量f1と第2の水素ガスの到達供給量f2との合計量が、第1アニール用ガスの流量F1と等しくなる。そして、熱処理工程S2から連続して行う冷却工程S3において、第1の水素ガスの供給のみを停止することにより、冷却工程S3では第2アニール用ガスの供給量が所望量F2(=f2)となる。
図4のグラフでは、第2の水素ガスの供給については、供給量0(ゼロ)から一度に到達供給量f2まで達している。例えば、第2の水素ガスの供給量を到達供給量f2になるまで徐々に増加させることもできるが、第2の水素ガスは第1の水素ガスよりも供給量が全体的に少ないため、一度に到達供給量f2まで達するようにした方が作業効率等の面で好ましい。なお、後述の第1~3サンプルの製造、および後述の比較サンプルの製造では、ポイントt5をポイントt1よりも5min前の時点とした。また、第2の水素ガスの到達供給量f2を第2アニール用ガスの流量F2と同じにした。
<熱処理工程>
次に、図3および図4に示すように、析出工程S1が終了した後は熱処理工程S2を行う。熱処理工程S2では、析出工程S1で析出した多結晶シリコン20を、反応器100の直胴部101の内部に原料ガスとは別に供給されたアニール用ガス(第1アニール用ガス)の存在下でアニール処理する。アニール処理は、析出工程S1で析出した多結晶シリコン20を加熱することにより、多結晶シリコン20に生じた残留応力を除去する熱処理である。
本実験形態では、第1アニール用ガスの構成内容および流量が時間経過とともに変化してもよい。但し、上述の通り、熱処理工程S2で使用される第1アニール用ガスは、原料ガスに含まれる水素ガスを含まないものとする。つまり、原料ガスとは別に反応器100に供給される各アニール用ガスを合わせたものを、第1アニール用ガスとする。
熱処理工程S2は、析出工程S1で析出した多結晶シリコン20を、第1アニール用ガスの存在下で熱処理する熱処理工程である。熱処理工程S2では、多結晶シリコンの表面温度T2(以下、「表面温度T2」と略記)が、表面温度T1+30℃以上表面温度T1+100℃以下となる期間を含み、かつ1030℃未満となるように調整する。なお、以下の説明では、第1アニール用ガスとして水素ガスを使用した例を挙げるが、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスを第1アニール用ガスとして使用しても同様の結果が得られる。
熱処理工程S2では、表面温度T2を調整するために、第1アニール用ガスの供給量、シリコン芯線10に流す電流の電流値等を調整する。表面温度T2が表面温度T1+30℃以上であることから、析出工程S1で析出した多結晶シリコン20の内部歪み率を従来よりも低下させることができる。また、多結晶シリコンロッド1の倒壊率を従来よりも低下させることができ、多結晶シリコンロッド1の製造時の歩留まりを向上させることができる。さらに、表面温度T2が、表面温度T1+100℃以下となる期間を含み、かつ1030℃未満となることから、熱処理工程S2において、多結晶シリコン20の表面に不純物が取り込まれる現象を低減することができる。その結果、熱処理工程S2後の多結晶シリコン20の純度を向上させることができ、最終的には、多結晶シリコンロッド1全体の純度を向上させることができる。
後述の第1~3サンプルの製造、および後述の比較サンプルの製造では、ポイントt1の時点から多結晶シリコン20の表面温度を上昇させて、ポイントt6の時点で表面温度T2となるように調整した(図4参照)。多結晶シリコン20の表面温度がT2になれば、当該表面温度T2は必ず、表面温度T1+30℃以上表面温度T1+100℃以下となる期間を含み、かつ1030℃未満となる。しかしながら、実際には、多結晶シリコン20の表面温度がT2になる前に、当該多結晶シリコン20の表面温度は、表面温度T1+30℃以上表面温度T1+100℃以下となる期間を含み、かつ1030℃未満となる。
なお、ポイントt1からポイントt6までの時間、言い換えれば熱処理工程S2において多結晶シリコン20の表面温度がT2になるまでの時間は、特に制限されない。但し、より純度の高い高品質な多結晶シリコンロッド1を得るためには、前記の時間はなるべく短い方が好ましい。具体的には、前記の時間は1~30minであることが好ましく、1~10minであることがより好ましい。後述の第1~3サンプルの製造、および後述の比較サンプルの製造では、前記の時間を5minとした。
本実施形態では、次の冷却工程S3は、シリコン芯線10への通電を止めた時点(t9ポイント)から開始する。この場合において、表面温度T2が、表面温度T1+30℃以上表面温度T1+100℃以下となる期間を含み、かつ1030℃未満となる時間(ポイントt6からポイントt9までの時間)は、特に制限されるものではない。但し、倒壊率および純度が従来よりも高い多結晶シリコンロッド1を得るためには、前記の時間を10~180minにするのが好ましい。あるいは、20~150minにするのがより好ましく、60~120minにするのがさらに好ましい。後述の第1~3サンプルの製造、および後述の比較サンプルの製造では、前記の時間を90minとした。
熱処理工程S2において原料ガスの供給を止めるのは、図4に示すように、ポイントt7の時点である。原料ガスの供給を止める際には、例えば、クロロシラン化合物のみ供給を停止して、原料ガスを構成する水素ガスを第1アニール用ガスの一部として用いることもできる。しかしながら、高度な供給制御が必要になるとともに多結晶シリコンロッド1の品質が低下する虞がある。そのため、原料ガスの供給を止める際には、クロロシラン化合物および水素ガスの両方を減少させて、両方とも完全に止めることが好ましい。
なお、ポイントt1からポイントt7までの時間は特に制限されない。但し、原料ガスの供給を瞬時に停止すると、多結晶シリコンロッド1の外観および品質等の不良が発生する虞がある。一方、前記の時間が長すぎると、多結晶シリコン20の析出が完全には終了しない。そのため、前記の時間を1~60minにするのが好ましく、3~30minにするのがより好ましい。後述の第1~3サンプルの製造、および後述の比較サンプルの製造では、前記の時間を15minとした。
<熱処理工程における好適な処理方法;第1アニール用ガスの供給>
以下、熱処理工程S2における好適な処理方法について説明する。まず、析出工程S1の終了間際に、第1の水素ガスの供給量を到達供給量f1とし、第2の水素ガスの供給量を到達供給量f2として、これらの水素ガスを反応器100に供給しつつ、析出工程S1から連続して熱処理工程S2を開始するのが好ましい。
そして、熱処理工程S2は以下の条件を満足することが好ましい。すなわち、第1アニール用ガスの流量をF1とし、反応器100の直胴部101の断面積をS(図5参照)とすると、熱処理工程S2は、F1/Sの値が20Nm/hr/m以上となる期間を含むことが好ましい。ポイントt1からポイントt8までの時間は、第1アニール用ガスの流量F1は、到達供給量f1と到達供給量f2との合計量となる。つまり、第1アニール用ガスの流量F1は、ポイントt1からポイントt8までの時間は、第1の水素ガスの供給量と第2の水素ガスの供給量との最大合計量になる。
上述のように、F1/Sの値が20Nm/hr/m以上であることから、熱処理工程S2において、反応器100の内部の部品等から発生する不純物成分を、反応器100の外部に速やかに排出することができる。そのため、熱処理工程S2後の多結晶シリコン20の純度を向上させることができる。なお、F1/Sの値の上限値は特に制限されない。そのため、原料ガスに含まれる水素ガスが仮に反応器100の内部に残存していたとしても、悪影響を与えることはない。但し、第1アニール用ガスの使用量を削減することで熱処理工程S2の実施に要するコストを削減するためには、F1/Sの値の上限値を130Nm/hr/m未満にすることが好ましい。
なお、実際には、第1アニール用ガスを効率よく使用するため、熱処理工程S2におけるポイントt8よりも前の時点から第1の水素ガスの供給量を低減する。しかしながらこの場合においても、熱処理工程S2には、到達供給量f1と到達供給量f2との合計量が第1アニール用ガスの流量F1となる期間が存在するため、F1/S値が20Nm/hr/m以上となる期間を含むことになる。
また、F1/Sの値が20Nm/hr/m以上となる時間(ポイントt1からポイントt8までの時間)は、特に制限されない。但し、この時間が短すぎると、不純物低減効果および倒壊率抑制効果を十分に得ることができない。このことから、前記の時間を10min以上にするのが好ましく、30min以上にするのがより好ましい。一方、前記の時間の上限値は、第1アニール用ガスの効率的な使用を考慮すると120minである。
本実施形態では、図4に示すように、ポイントt8の時点から、第1の水素ガスの供給量を到達供給量f1から減少させている。ここで、ポイントt8の時点以降は反応器100の内部に供給される水素ガスの総量が減少するため、表面温度T2が上昇する虞がある。したがって、表面温度T2が、表面温度T1+30℃以上表面温度T1+100℃以下となる期間を含み、かつ1030℃未満になるように、シリコン芯線10に流す電流の電流量を調整すればよい。
後述の第1~3サンプルの製造、および後述の比較サンプルの製造では、ポイントt1からポイントt8までの時間を60minとし、第1の水素ガスの供給量を30minかけて到達供給量f1から0(ゼロ)にした。第1の水素ガスの供給量を0(ゼロ)とした時点は、熱処理工程S2の終了時点、具体的には、シリコン芯線10に流す電流の電流値を0(ゼロ)にしたポイントt9の時点である。ポイントt9は、言い換えれば冷却工程S3の開始時点である。
上述のように、熱処理工程S2において、第1アニール用ガスの流量F1を所定の数値範囲に限定することで、C1/C2の値が1.0~2.0になる多結晶シリコンロッド1を得ることができる。
本実施形態では、熱処理工程S2における第1アニール用ガスの好適な供給方法を例示したが、熱処理工程S2における処理方法はこの方法に制限されるものではない。例えば、第1の水素ガスのみを第1アニール用ガスとして使用することもできる。また例えば、原料ガスの供給を停止した後、当該原料ガスの供給手段と同じ手段で水素ガスのみを供給することにより、この水素ガスを第1アニール用ガスの一部とすることもできる。さらには、高度な供給制御が要求されるものの、熱処理工程S2の開始時点(ポイントt1)から第1アニール用ガスの供給を開始してもよい。
<冷却工程>
次に、図3および図4に示すように、熱処理工程S2が終了した後は冷却工程S3を行う。冷却工程S3では、熱処理工程S2でアニール処理された多結晶シリコン20を冷却する。本実施形態では、前記の多結晶シリコン20を自然冷却する。自然冷却とは、シリコン芯線10に電流を流すのを停止して、多結晶シリコン20を反応器100の直胴部101の内部にそのまま放置する熱処理である。
但し、反応器100の内部に滞留しているガスを除去するために、冷却工程S3においても、反応器100の内部に第2アニール用ガスを供給することが好ましい。第2アニール用ガスは、パージ処理を行うために反応器100の内部に供給されるガスである。第2アニール用ガスは、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスであればよい。以下の説明では、第2アニール用ガスが水素ガスの場合を例に挙げるが、他のガスであっても同様の効果が得られる。また、第2アニール用ガスは、原料ガスを反応器100の外部に完全に排出する役割も果たしているものと考えられる。
本実施形態では、冷却工程S3は、図4に示すように、シリコン芯線10に流す電流の電流値を0(ゼロ)にした時点、つまりポイントt9の時点から始まる。また本実施形態では、冷却工程S3は、熱処理工程S2から連続して行われ、前記の電流値が0(ゼロ)になるポイントt9の時点で第1の水素ガスの供給量も0(ゼロ)になる。但し、このタイミングはあくまで一例であり、前記の電流値が0(ゼロ)になる時点と第1の水素ガスの供給量が0(ゼロ)になる時点とが異なってもよい。なお、後述の第1~3サンプルの製造、および後述の比較サンプルの製造では、前記の電流値が0(ゼロ)になる時点と第1の水素ガスの供給量が0(ゼロ)になる時点とを同時にした。
冷却工程S3は以下の条件を満足することが好ましい。すなわち、第2アニール用ガスの流量をF2とすると、冷却工程S3は、F2/Sの値が0.4Nm/hr/m以上となる期間を含むことが好ましい。第2アニール用ガスの好適な供給方法としては、例えば図4に示すように、熱処理工程S2から引き続いて第2の水素ガスを到達供給量f2で供給するだけで、第2アニール用ガスの流量F2が一定値になるようにする方法が挙げられる。
第2アニール用ガスの特に好適な供給方法としては、例えば、第2アニール用ガスの流量F2と到達供給量f2が同量になる第2の水素ガスを、析出工程S1および熱処理工程S2でも継続して供給しておく方法が挙げられる。本実施形態では、図4に示すように、析出工程S1におけるポイントt4の時点から継続して、第2の水素ガスを到達供給量f2で供給している。この方法を採用することにより、確実かつ容易に第2アニール用ガスを反応器100の内部に供給することができる。
なお、第2アニール用ガスの流量F2の上限値は特に制限されないが、4Nm/hr/m未満にするのが好ましい。このような上限値を採用することにより、熱処理工程S2後の多結晶シリコン20が第2アニール用ガスにより急冷されることを防ぎ、冷却工程S3後の多結晶シリコン20の内部歪み率を従来よりも低下させることができる。これにより、多結晶シリコンロッド1の倒壊率を従来よりも低下させ、ひいては多結晶シリコンロッド1の製造時の歩留まりを向上させることができる。
また、冷却工程S3において、F2/Sの値が0.4Nm/hr/m以上となる期間は特に制限されず、例えば多結晶シリコンロッド1の表面温度が略常温(例えば、30℃以下)となるまでの期間である。なお、後述の第1~3サンプルの製造、および後述の比較サンプルの製造では、多結晶シリコンロッド1の表面温度が30℃となった時点で冷却工程S3を終了した。
<後処理工程>
上述のような自然冷却およびパージ処理を経て、直胴部101の内部の多結晶シリコン20が略常温まで冷却された時点で、冷却工程S3が終了する。冷却工程S3の終了後、図5に示すバルブ53を閉めて第2の水素ガスの供給を停止することで、反応器100の内部の水素ガスを窒素ガスに置換する。冷却工程S3の終了後の略常温まで冷却された多結晶シリコン20が、最終製品としての多結晶シリコンロッド1となる。
<変形例>
上述した析出工程S1、熱処理工程S2および冷却工程S3の各処理はあくまで一例であり、様々なバリエーションを採用することができる。例えば、ポイントt1~t9の各数値、第1アニール用ガスの流量F1および第2アニール用ガスの流量F2の各数値については、多結晶シリコンロッド1全体の純度向上および倒壊率の低下を達成できる範囲で任意に変更することができる。
また、熱処理工程S2における、アニール用水素ガスの構成内容および流量の時間経過に伴う変化も、多結晶シリコンロッド1全体の純度向上および倒壊率の低下を達成できる範囲であれば、ポイントt1~t9の各数値を変更することもできる。また、第1アニール用ガスの流量F1および第2アニール用ガスの流量F2を変更することもできる。さらには、多結晶シリコンロッド1を製造する上で冷却工程S3は必須の行程ではなく、当該冷却工程S3を省略することができる。
さらには、熱処理工程S2および冷却工程S3において、反応器100の内部に流入させるガスは、本実施形態のような水素ガスでなくてもよい。熱処理工程S2および冷却工程S3では、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスを反応器100の内部に流入させることができる。
[まとめ]
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドは、中心軸と平行な表面から径方向に4mmの深さまでの部分における、鉄、クロムおよびニッケルの各濃度を合計した外側総濃度が100pptw以下であり、前記表面から径方向に4mmを超えて離れた部分における前記鉄、前記クロムおよび前記ニッケルの各濃度を合計した総濃度を内側総濃度とすると、前記内側総濃度に対する前記外側総濃度の比率が1.0以上2.5以下である。
前記構成によれば、本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドは、外側総濃度が100pptw以下である。そのため、前記多結晶シリコンロッドの表面近傍の部分における不純物(鉄、クロムおよびニッケル)の濃度を従来よりも低くすることができる。言い換えれば、前記多結晶シリコンロッドにおける表面近傍の部分の純度を向上させることができる。
また、本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドは、内側総濃度に対する外側総濃度の比率が1.0以上2.5以下である。そのため、多結晶シリコンロッド全体の純度を向上させることができる。
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドは、前記径方向の内部歪み率が1.0×10-4cm-1未満であってもよい。前記構成によれば、本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの径方向の内部歪み率(以下、「内部歪み率」と略記する場合あり)が、従来の多結晶シリコンロッドの内部歪み率よりも低い。そのため、多結晶シリコンロッドの製造時の倒壊率(以下、「倒壊率」と略記)を従来よりも低下させることができる。したがって、多結晶シリコンロッド全体の純度の向上と倒壊率の低下とを両立させることができる。
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドは、直径が100mm以上であってもよい。一般的に、多結晶シリコンロッドは、直径が長いほど、言い換えれば太いほど、内部歪みが大きくなって倒壊するリスクが高まる。また、多結晶シリコンロッドが太いほど、表面近傍の部分における不純物の濃度が高くなる。その点、前記構成によれば、直径100mm以上と太い、一般的には表面近傍の部分における不純物の濃度が高く、倒壊率も高い多結晶シリコンロッドであったとしても、少なくとも多結晶シリコンロッド全体の濃度を向上させることができる。また、一般的に不純物の濃度および倒壊率が高い前記のような太い直径の多結晶シリコンロッドであったとしても、倒壊するリスクが従来よりも低い多結晶シリコンロッドを製造することができる。
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの製造方法は、クロロシラン化合物および水素の存在下、シリコン芯線を加熱することにより、前記シリコン芯線の表面に多結晶シリコンを析出させる析出工程と、前記析出工程で析出した前記多結晶シリコンを、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスの存在下で熱処理する熱処理工程と、を含み、前記析出工程において、前記シリコン芯線を加熱するときに当該シリコン芯線に流す電流の電流値を減少させ始める時点での前記多結晶シリコンの表面温度をT1とすると、前記熱処理工程における前記多結晶シリコンの表面温度T2は、T1+30℃以上T1+100℃以下となる期間を含み、かつ1030℃未満である。
前記構成によれば、熱処理工程における多結晶シリコンの表面温度T2がT1+30℃以上であることから、析出工程において析出した多結晶シリコンの内部歪み率を従来よりも低くすることができ、多結晶シリコンロッドの倒壊率を従来よりも低下させることができる。そのため、多結晶シリコンロッドの製造時の歩留まりを向上させることができる。
また、熱処理工程における多結晶シリコンの表面温度T2がT1+100℃以下かつ1030℃未満であることから、熱処理工程において、多結晶シリコンの表面に取り込まれる現象を低減することができる。そのため、熱処理工程後の多結晶シリコンの純度を向上させることができ、ひいては多結晶シリコンロッド全体の純度を向上させることができる。
裏返せば、多結晶シリコンの表面温度T2がT1+30℃より低いと、多結晶シリコンの内部歪みを除去するアニール効果が十分ではなく倒壊率が高くなり、多結晶シリコンロッドの製造時の歩留まりが低下する傾向にある。一方、多結晶シリコンの表面温度T2がT1+100℃より高く、かつ1030℃以上であると、多結晶シリコンの表面近傍における不純物の濃度が高くなり、ひいては得られる多結晶シリコンの不純物の濃度が高くなる傾向にある。
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの製造方法は、前記析出工程および前記熱処理工程が、反応器における直胴部の内部で行われ、前記熱処理工程において、前記反応器に流入する前記ガスである第1アニール用ガスの流量をF1とし、前記直胴部の断面積をSとすると、F1/Sの値が20Nm/hr/m以上となる期間を含んでもよい。
前記構成によれば、F1/Sの値が20Nm/hr/m以上であることから、熱処理工程において、反応器の内部に存在する部品等から発生する不純物成分を反応器の外部に速やかに排出することができる。そのため、熱処理工程後の多結晶シリコンの純度を向上させることができる。
なお、第1アニール用ガスとして水素ガスを使用した場合、第1アニール用ガスには、トリクロロシラン(クロロシラン化合物)とともに供給される、原料ガスの構成要素としての水素ガスは含まないものとする。また、第1アニール用ガスの流量F1の上限値は特に制限されるものではないが、第1アニール用ガスの使用量を削減する観点からは、F1/Sの値を130Nm/hr/m未満にすることが好ましい。
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの製造方法は、前記熱処理工程の後、前記多結晶シリコンを冷却する冷却工程を更に含み、前記冷却工程において、前記反応器に流入する前記ガスである第2アニール用ガスの流量をF2とすると、F2/Sの値が0.4Nm/hr/m以上となる期間を含んでもよい。
前記構成によれば、F2/Sの値が0.4Nm/hr/m以上であることから、冷却工程において、反応器の内部に存在する部品等から発生する不純物成分を反応器の外部に速やかに排出することができる。そのため、冷却工程後の多結晶シリコンの純度を向上させることができる。
なお、第2アニール用ガスの流量F2の上限値は特に制限されるものではないが、F2/Sの値を4Nm/hr/m未満にすることが好ましい。F2/Sの値を4Nm/hr/m未満にすることにより、熱処理工程後の多結晶シリコンが第2アニール用ガスによって急冷されることを防ぎ、冷却工程後の多結晶シリコンの内部歪み率を従来よりも低下させることができる。そのため、多結晶シリコンロッドの倒壊率を従来よりも低下させ、ひいては多結晶シリコンロッドの製造時の歩留まりを向上させることができる。
本発明の一態様に係る多結晶シリコンの熱処理方法は、多結晶シリコンを、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスの存在下、反応器における直胴部の内部で熱処理する熱処理工程を含み、前記熱処理工程において、前記反応器に流入する前記ガスである第1アニール用ガスの流量をF1とし、前記直胴部の断面積をSとすると、F1/Sの値が20Nm/hr/m以上となる期間を含む。
[付記事項]
本発明は上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態および変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
[実施例]
本発明の実施例について以下に説明する。なお、以下の説明では、アニール処理時の表面温度T2が、表面温度T1+30℃以上表面温度T1+100℃以下となる期間を含み、かつ1030℃未満になる条件を「第1製造条件」と称する。また、F1/Sの値が20Nm/hr/m以上、好適には130Nm/hr/m未満になる条件を「第2製造条件」と称する。さらに、F2/Sの値が0.4Nm/hr/m以上、好適には4Nm/hr/m未満になる条件を「第3製造条件」と称する。
<サンプルの製造>
まず、上述した本発明の一実施形態と同様の反応器100および他の製造設備を用いて、かつ本発明の一実施形態と同様の製造方法で、本発明の第1~第3実施例に係る多結晶シリコンロッド1を製造した。以下、本発明の第1~第3実施例に係る多結晶シリコンロッド1を「第1~第3サンプル」と略称する。
具体的には、下記の表1に示すように、析出工程S1におけるポイントt2の時点での表面温度T1については、第1~第3サンプルのいずれも970℃とした。また、熱処理工程S2におけるポイントt6の時点での表面温度T2については、第1~第3サンプルのいずれも1010℃とした。一方、熱処理工程S2におけるF1/SおよびF2/Sについては、第1~第3実施例のそれぞれで異ならせた。
具体的には、第1サンプルについては、第1製造条件のみ充足させ、第2および第3製造条件については不充足の状態で製造した。第2サンプルについては、第1および第2製造条件を充足させ、第3製造条件については不充足の状態で製造した。第3サンプルについては、第1~第3製造条件のすべてを充足させた状態で製造した。また、第1~第3サンプルおよび比較サンプルのいずれも、直径を120mmとした。
本発明の比較例に係る多結晶シリコンロッド(不図示)についても、本発明の一実施形態と同様の各工程を踏んで製造した。以下、本発明の比較例に係る多結晶シリコンロッドを「比較サンプル」と略称する。また、下記の表1に示すように、比較サンプルを製造する際、第1製造条件以外は第3サンプルと同じ条件で製造した。析出工程S1におけるポイントt2での多結晶シリコン20の表面温度T1を、第1~第3サンプルと同様に970℃とした。
Figure 0007022874000001
<サンプルの評価>
次に、第1~第3サンプルおよび比較サンプルのそれぞれについて、本発明の一実施形態と同様の方法で、外側総濃度C1、内側総濃度C2、C1/C2および内部歪み率を算出した。各算出結果は、前記の表1のようになった。なお、前記の表1において、総合評価「○」は、C1/C2および内部歪み率の両方が良好な結果であった場合を表す。また、総合評価「×」は、C1/C2および内部歪み率の少なくとも一方が不良な結果であった場合を表す。
「C1/C2が良好な結果」とは、C1/C2が1.0~2.5の数値範囲内の値をとる場合を指す。したがって、C1/C2が1.0~2.5の数値範囲外の値をとる場合は「C1/C2が不良な結果」となる。また、「内部歪み率が良好な結果」とは、内部歪み率が1.0×10-4cm-1未満になる場合を指す。したがって、内部歪み率が1.0×10-4cm-1以上になる場合は「内部歪み率が不良な結果」となる。
まず、第1~第3サンプルについては、C1/C2の数値範囲が従来の多結晶シリコンロッドと比べて良好な結果(総合評価「○」)となった。一方、比較サンプルについては、外側総濃度C1が、第1~第3サンプルの外側総濃度C1よりも大幅に高い数値範囲(400~600pptw)になったため、不良な結果(総合評価「×」)となった。次に、内側総濃度C2については、第1~第3サンプルおよび比較サンプルのすべてが同じ数値範囲になった。このことから、内側総濃度C2については、製造条件の影響を略受けないことが判明した。
一方、外側総濃度C1については、第1~第3サンプルおよび比較サンプルのそれぞれで算出結果が異なった。特に、比較サンプルの外側総濃度C1が、第1~第3サンプルの外側総濃度C1よりも大幅に高い数値範囲(400~600pptw)となった。このような結果になったのは、アニール処理時の表面温度T2の値が比較サンプルのみ1100℃であり、第1~第3サンプルのアニール処理時の表面温度T2(1010℃)よりも高くなっていることが主要因であると考えられる。
第1~第3サンプルについては、アニール処理時の表面温度T2以外の製造条件はそれぞれ異なっているにも拘らず、外側総濃度C1の数値範囲の違いは比較サンプルとの違いに比べてあまりない。このことから、アニール処理時の表面温度T2が外側総濃度C1に大きな影響を与えることが推察される。
1 多結晶シリコンロッド
10 シリコン芯線
20 多結晶シリコン
21 表面
100 反応器
101 直胴部
C1 外側総濃度
C2 内側総濃度
F1 第1アニール用ガスの流量(水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスの流量)
F2 第2アニール用ガスの流量(水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスの流量)
f1 第1の水素ガスの到達供給量
f2 第2の水素ガスの到達供給量
T1 表面温度(クロロシラン化合物および水素の量を減少させ始める時点での多結晶シリコンの表面温度)
T2 表面温度(熱処理工程における多結晶シリコンの表面温度)
S 断面積
AX 中心軸

Claims (7)

  1. 中心軸と平行な表面から径方向に4mmの深さまでの部分における、鉄、クロムおよびニッケルの各濃度を合計した外側総濃度が100pptw以下であり、
    前記表面から径方向に4mmを超えて離れた部分における前記鉄、前記クロムおよび前記ニッケルの各濃度を合計した総濃度を内側総濃度とすると、前記内側総濃度に対する前記外側総濃度の比率が1.0以上2.5以下である、多結晶シリコンロッド。
  2. 前記径方向の内部歪み率が1.0×10-4cm-1未満である、請求項1に記載の多結晶シリコンロッド。
  3. 直径が100mm以上である、請求項1または2に記載の多結晶シリコンロッド。
  4. クロロシラン化合物および水素の存在下、シリコン芯線を加熱することにより、前記シリコン芯線の表面に多結晶シリコンを析出させる析出工程と、
    前記析出工程で析出した前記多結晶シリコンを、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスの存在下で熱処理する熱処理工程と、を含み、
    前記析出工程において、前記シリコン芯線を加熱するときに当該シリコン芯線に流す電流の電流値を減少させ始める時点での前記多結晶シリコンの表面温度をT1とすると、前記熱処理工程における前記多結晶シリコンの表面温度T2は、T1+30℃以上T1+100℃以下となる期間を含み、かつ1030℃未満である、多結晶シリコンロッドの製造方法。
  5. 前記析出工程および前記熱処理工程が、反応器における直胴部の内部で行われ、
    前記熱処理工程において、前記反応器に流入する前記ガスである第1アニール用ガスの流量をF1とし、前記直胴部の断面積をSとすると、F1/Sの値が20Nm/hr/m以上となる期間を含む、請求項4に記載の多結晶シリコンロッドの製造方法。
  6. 前記熱処理工程の後、前記多結晶シリコンを冷却する冷却工程を更に含み、
    前記冷却工程において、前記反応器に流入する前記ガスである第2アニール用ガスの流量をF2とすると、F2/Sの値が0.4Nm/hr/m以上となる期間を含む、請求項5に記載の多結晶シリコンロッドの製造方法。
  7. 多結晶シリコンを、水素、アルゴンおよびヘリウムのうちの少なくとも1種以上のガスの存在下、反応器における直胴部の内部で熱処理する熱処理工程を含み、
    前記熱処理工程において、前記反応器に流入する前記ガスである第1アニール用ガスの流量をF1とし、前記直胴部の断面積をSとすると、F1/Sの値が20Nm/hr/m以上となる期間を含む、多結晶シリコンの熱処理方法。
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