JP7021920B2 - 軸受装置及び回転機械 - Google Patents
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Description
特許文献1には、インナリングとアウタリングとの間に形成された隙間に油が供給され、回転軸から付加される荷重に応じて上記隙間が変位するとき、粘性をもった非圧縮性の油が該隙間を流動することで、回転軸の振動などを減衰する効果を生じさせるスクイズフィルムダンパが開示されている。
回転軸を回転自在に支持するための軸受部と、
前記軸受部の外周側に設けられ、少なくとも一つの油膜形成隙間を挟んで互いに対向するインナリング及びアウタリング含むスクイズフィルムダンパと、
前記スクイズフィルムダンパの軸方向両端面に設けられ、前記アウタリングの軸方向両端面との間で前記油膜形成隙間に連通する油排出路を形成するサイドプレートと、
を備え、
前記油排出路は絞り部を有する。
また、油排出路はアウタリングの軸方向端面とサイドプレートとの間で形成されるので、回転軸系の動きに追従するインナリングの動きを拘束せずに絞り部を形成できる。
前記絞り部は、前記油排出路に設けられるシールリングで構成される。
上記(2)の構成によれば、絞り部がシールリングで構成されるので、回転軸系の動きに追従するインナリングの動きを拘束せずにかつ簡易な構成で絞り部を形成できる。
前記シールリングは前記サイドプレートの前記油排出路を形成する壁面に形成された凹部に収容される。
上記(3)の構成によれば、シールリングはサイドプレートに固定され、サイドプレートの動きに追従する。そのため、絞り部の絞り機能を維持できる。
前記シールリングは弾性体で構成される。
上記(4)の構成によれば、シールリングは弾性体で構成されるためロバスト性が得られ、絞り部の隙間管理が容易になる。仮に絞り部の隙間が閉塞しても油膜形成隙間の油膜圧力によって絞り部から油排出が可能になり、油膜形成隙間の油流動性を維持できる。
前記サイドプレートと前記インナリングの軸方向両端面との間に設けられた圧電素子を備え、
前記圧電素子は、前記サイドプレートを前記インナリングに対して前記インナリングの軸方向に動かすことで、前記絞り部の絞り度を調節可能に構成される。
圧電素子は電圧を印加すると変位が生じるために、サイドプレートとインナリングの軸方向両端面との間隔を調節可能である。
上記(5)の構成によれば、上記圧電素子を備えることで、絞り部の隙間調節が可能になり、ロバスト性が得られ、絞り部の隙間管理が容易になる。
前記サイドプレートは前記インナリングの軸方向両端面に固定され、
前記回転軸の振動レベルを検出可能なセンサと、
前記センサで検出した前記振動レベルを周波数解析するための周波数解析器と、
を備え、
前記周波数解析器で得られた振動周波数が前記回転軸の回転周波数の倍数以外の該振動周波数を含むとき、前記スクイズフィルムダンパの機能が異常をきたしていると判定する。
前記インナリングと前記アウタリングとの間に周方向に離散的に設けられた弾性部を備え、
前記センサが前記弾性部に設けられた歪ゲージで構成される。
上記歪ゲージで検知される歪みはインナリングの動きによって発生する。従って、この歪みの周期や振幅はインナリングの動きを反映するものである。従って、この歪みの周波数解析を行い、回転軸の回転振動周波数及びその倍数とは異なる振動周波数を含むとき、インナリングの動きが回転軸から加わる荷重に追従していないことを示している。
前記センサが前記インナリングに設けられた加速度センサで構成される。
上記(8)の構成によれば、上記加速度センサでインナリングの動きの加速度を検知することで、インナリングの動きが回転軸から加わる荷重に追従しているかどうかを判定できる。追従していないとき、絞り部のアウタリング面への噛込みなど、何等かの機能障害が起きていると推定できる。
前記油排出路を形成する前記サイドプレートの壁面が前記アウタリングの前記軸方向両端面に外側ほど徐々に接近するように形成され、
前記絞り部は前記壁面の外側先端部で形成されている。
上記(9)の構成によれば、簡単な構成で絞り部を形成できる。
前記インナリングと前記アウタリングとの間に周方向に離散的に設けられた弾性部を備える。
上記(10)の構成によれば、上記弾性部を備えることで、スクイズフィルムダンパの剛性は上記弾性部の剛性によって決定できる。従って、スクイズフィルムダンパの剛性と減衰性能とを夫々独立して設定できるため、夫々で減衰効果を増加させるための最適な設定が可能になる。
前記軸受部はティルティングパッドを含む。
上記(11)の構成によれば、ティルティングパッドを含む軸受部の外周側に上記構成のスクイズフィルムダンパを備え、これらの組合せで回転軸を支持できる。これらの組合せで回転軸を安定支持できる。また、ティルティングパッドの周囲に形成される油膜による焼付き防止効果によって回転軸を安定して回転できる。
前記軸受部は転がり軸受を含む。
上記(12)の構成によれば、転がり軸受を含む軸受部の外周側に上記構成のスクイズフィルムダンパを備え、これらの組合せで回転軸を支持できる。これによって、転がり軸受を含む軸受部による低摩擦支持とスクイズフィルムダンパの減衰効果との相乗効果によって、高速回転時においても支持側の剛性を確保しつつ回転軸系で発生する振動等の減衰効果を高めることができ、回転軸を安定支持できる。
前記回転軸と、
前記(1)~(12)の何れかの構成を有する軸受装置と、
を備える。
上記(13)の構成によれば、スクイズフィルムダンパの減衰効果を向上でき、これによって、回転軸系で発生する振動などを抑制でき、回転軸系を安定支持できる。また、油排出路はアウタリングの軸方向端面とサイドプレートとの間で形成されるので、回転軸系の動きに追従するインナリングの動きを拘束せずに絞り部を形成できる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1において、軸受装置10は、回転軸12の外周側に軸受部14を備え、軸受部14の外周側にスクイズフィルムダンパ16を備える。軸受部14は回転軸12を回転自在に支持する。スクイズフィルムダンパ16は、少なくとも一つの油膜形成隙間Sを挟んで互いに対向するインナリング18及びアウタリング20を有する。
図2,4及び5に示すように、軸受装置10(10A~10C)において、スクイズフィルムダンパ16の軸方向両端面にサイドプレート21(21a、21b、21c)が設けられ、アウタリング20の軸方向両端面との間で油膜形成隙間Sに連通する油排出路Pdを形成する。油排出路Pdは絞り部28(28a、28b、28c)を有する。
また、絞り部28(28a~28c)を備えることで、軸受部14に加わる回転軸の荷重に対する油膜形成隙間Sの油膜圧力を増加できる。油膜圧力の増加は油膜形成隙間Sが小さくなるのと等価な関係にあるため、スクイズフィルムダンパ16の減衰効果を向上できる。
さらに、油排出路Pdはアウタリング20の軸方向端面とサイドプレート21との間で形成されるので、回転軸系の動きに追従するインナリング18の動きを拘束せずに絞り部28を形成できる。
ε=e/c=1-δ0/c
ここで、e:回転軸の偏心量、δ0:回転軸の軸受からの浮上量である。
(1)式から、油膜形成隙間の面積が大きいほど油膜減衰常数Cψが大きくなり、かつ油膜減衰常数Cψは径方向隙間の大きさcの3乗に比例することがわかる。従って、回転軸12から軸受装置に付加される圧力が大きくなり、油膜形成隙間Sが狭くなると、油膜圧が増加し、油膜減衰常数Cψが増加して減衰効果が増す。
この実施形態によれば、ティルティングパッド24を含む軸受部の外周側に上記構成のスクイズフィルムダンパ16を備え、これらの組合せで回転軸12を支持できる。これによって、転がり軸受を含む軸受部による低摩擦支持とスクイズフィルムダンパ16の減衰効果との相乗効果によって、高速回転時においても支持側の剛性を確保しつつ回転軸系で発生する振動等の減衰効果を高めることができ、回転軸12を安定支持できる。
この実施形態によれば、絞り部28(28a)がシールリング30で構成されるので、回転軸系の動きに追従するインナリング18の動きを拘束せずにかつ簡易な構成で絞り部を形成できる。
この実施形態によれば、シールリング30は凹部32に収容されてサイドプレート21(21a)に固定され、該サイドプレートの動きに追従する。そのため、絞り部28(28a)の絞り機能を維持できる。
この実施形態によれば、圧電素子34を備えることで、絞り部28(28b)の隙間調節が可能になり、ロバスト性が得られ、絞り部28(28b)の隙間管理が容易になる。
この実施形態によれば、加速度センサ38(38b)でインナリング18の動きの加速度を検知することで、インナリング18の動きが回転軸12から加わる荷重に追従しているかどうかを検知する。追従していないとき、絞り部28におけるインナリング18とアウタリング20との噛込み、その他何等かの機能障害が起きていると推定できる。
図7は、弾性部22の幾つかの実施形態を示す。
図7(B)に示す弾性部22(22b)は、断面が四角形状の1個の弾性棒状材26bが空間S0に収容され、軸方向に延在する。
図7(C)に示す弾性部22(22c)は、断面が皿バネ形状(円錐台形状)の弾性体を中央が小径となるように2枚重ねにした弾性体26cが空間S0に収容される。一実施形態では、1個の棒状の弾性体26cが回転軸12の軸方向に延在する。別な実施形態では、複数の弾性体26cが軸方向に離散的に配置される。この弾性体は中空又は中実で構成されてもよい。
一実施形態では、弾性棒状材26a、26b及び弾性体26cは、例えば、弾性ゴムで製造される。
1個の部材で形成される弾性棒状材26a、26b及び弾性体26cは空間S0への収容が容易である。
図7(E)に示す弾性部22(22e)は、断面がS字形状をした弾性体26eを空間S0に収容する。一実施形態では、1個の弾性体26eを空間S0に軸方向へ延在させる。別な実施形態では、複数の弾性体26eを空間S0に軸方向に離散的に配置する。
図7(F)に示す弾性部22(22f)は、断面がジグザグ形状をした弾性体26fを空間S0に収容する。一実施形態では、1個の弾性体26fを空間S0に軸方向へ延在させる。別な実施形態では、複数の弾性体26fを空間S0に軸方向に離散的に配置する。
ここで「ジグザグ形状」とは、複数の直線状の線分が端部又は該端部以外の部位で互いに180度以外の角度で連続的に接続されている形状を言う。
なお、図2~図5に示す油膜形成隙間S及び油排出路Pdの大きさは誇張して図示されており、実際は微小な隙間を形成している。
この回転機械によれば、スクイズフィルムダンパ16の減衰効果を向上でき、これによって、回転軸系で発生する振動などを抑制でき、回転軸系を安定支持できる。また、油排出路Pdはアウタリング20の軸方向端面とサイドプレート21との間で形成されるので、回転軸系の動きに追従するインナリング18の動きを拘束せずに絞り部28を形成できる。
12 回転軸
14 軸受部
16 スクイズフィルムダンパ
18 インナリング
20 アウタリング
21(21a、21b、21c) サイドプレート
22(22a、22b、22c、22d、22e、22f) 弾性部
24 ティルティングパッド
25 ピボット
26a、26b 弾性棒状材
26c、26e,24f 弾性体
26d コイルバネ
28(28a、28b、28c) 絞り部
30 シールリング
32 凹部
34 圧電素子
36a 突出面
36b 凹み面
38(38a、38b、38c) センサ
38a 歪ゲージ
38b 加速度センサ
38c 振動センサ
40 周波数解析器
42 判定部
44 表示部
Pd 油排出路
S 油膜形成隙間
S0 空間
Claims (13)
- 回転軸を回転自在に支持するための軸受部と、
前記軸受部の外周側に設けられ、少なくとも一つの油膜形成隙間を挟んで互いに対向するインナリング及びアウタリングを含むスクイズフィルムダンパと、
前記スクイズフィルムダンパの軸方向両端面に設けられ、前記アウタリングの軸方向両端面との間で前記油膜形成隙間に連通する油排出路を形成するサイドプレートと、
を備え、
前記油排出路は絞り部を有し、
前記サイドプレートと前記インナリングの軸方向両端面との間に設けられた圧電素子を備え、
前記圧電素子は、前記サイドプレートを前記インナリングに対して前記インナリングの軸方向に動かすことで、前記絞り部の絞り度を調節可能に構成される
ことを特徴とする軸受装置。 - 前記絞り部は、前記油排出路に設けられるシールリングで構成されることを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
- 前記シールリングは前記サイドプレートの前記油排出路を形成する壁面に形成された凹部に収容されることを特徴とする請求項2に記載の軸受装置。
- 前記シールリングは弾性体で構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の軸受装置。
- 前記サイドプレートと前記インナリングの軸方向両端面との間に設けられた圧電素子を備え、
前記圧電素子は、前記サイドプレートを前記インナリングに対して前記インナリングの軸方向に動かすことで、前記絞り部の絞り度を調節可能に構成されることを特徴とする請求項3に記載の軸受装置。 - 回転軸を回転自在に支持するための軸受部と、
前記軸受部の外周側に設けられ、少なくとも一つの油膜形成隙間を挟んで互いに対向するインナリング及びアウタリング含むスクイズフィルムダンパと、
前記スクイズフィルムダンパの軸方向両端面に設けられ、前記アウタリングの軸方向両端面との間で前記油膜形成隙間に連通する油排出路を形成するサイドプレートと、
を備え、
前記油排出路は絞り部を有し、
前記サイドプレートは前記インナリングの軸方向両端面に固定され、
前記回転軸の振動レベルを検出可能なセンサと、
前記センサで検出した前記振動レベルを周波数解析するための周波数解析器と、
を備え、
前記周波数解析器で得られた振動周波数が前記回転軸の回転周波数の倍数以外の該振動周波数を含むとき、前記スクイズフィルムダンパの機能が異常をきたしていると判定することを特徴とする軸受装置。 - 前記インナリングと前記アウタリングとの間に周方向に離散的に設けられた弾性部を備え、
前記センサが前記弾性部に設けられた歪ゲージで構成されることを特徴とする請求項6に記載の軸受装置。 - 前記センサが前記インナリングに設けられた加速度センサで構成されることを特徴とする請求項6に記載の軸受装置。
- 回転軸を回転自在に支持するための軸受部と、
前記軸受部の外周側に設けられ、少なくとも一つの油膜形成隙間を挟んで互いに対向するインナリング及びアウタリング含むスクイズフィルムダンパと、
前記スクイズフィルムダンパの軸方向両端面に設けられ、前記アウタリングの軸方向両端面との間で前記油膜形成隙間に連通する油排出路を形成するサイドプレートと、
を備え、
前記油排出路は絞り部を有し、
前記油排出路を形成する前記サイドプレートの壁面が前記アウタリングの前記軸方向両端面に外側ほど徐々に接近するように形成され、
前記絞り部は前記壁面の外側先端部で形成されていることを特徴とする軸受装置。 - 前記インナリングと前記アウタリングとの間に周方向に離散的に設けられた弾性部を備えることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の軸受装置。
- 前記軸受部はティルティングパッドを含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の軸受装置。
- 回転軸を回転自在に支持するための軸受部と、
前記軸受部の外周側に設けられ、少なくとも一つの油膜形成隙間を挟んで互いに対向するインナリング及びアウタリング含むスクイズフィルムダンパと、
前記スクイズフィルムダンパの軸方向両端面に設けられ、前記アウタリングの軸方向両端面との間で前記油膜形成隙間に連通する油排出路を形成するサイドプレートと、
を備え、
前記スクイズフィルムダンパの軸方向端部において、前記油膜形成隙間が前記油排出路の内周側の端部に連通し、
前記油排出路は絞り部を有し、
前記絞り部は、前記油排出路に設けられるシールリングで構成され、
前記シールリングは前記サイドプレートの前記油排出路を形成する壁面に形成された凹部に収容され、
前記軸受部は転がり軸受を含むことを特徴とする軸受装置。 - 前記回転軸と、
請求項1乃至12の何れか一項に記載の軸受装置と、
を備えることを特徴とする回転機械。
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