JP7021895B2 - 異常の生じた部位の推定方法及び異常の生じた部位の推定を行わせるプログラム - Google Patents

異常の生じた部位の推定方法及び異常の生じた部位の推定を行わせるプログラム Download PDF

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Description

本発明は、ロボットにおいて、異常の生じた部位を推定する推定方法及び異常の生じた部位の推定を行わせるプログラムに関する。
従来、ロボットにおいて、経年劣化による異常を検出するために、サーボモータを流れる電流値やサーボモータの位置ずれ量を監視する技術について、特許文献1に開示されている。特許文献1には、劣化指標パラメータとしてサーボモータを流れる電流値やサーボモータの位置ずれ量が用いられ、これらの劣化指標パラメータが閾値を超えたときに装置を停止させ、警告を発することが開示されている。
国際公開第2016/103310号
特許文献1に開示された装置では、経年劣化あるいは異常が生じたことによりメンテナンスが必要になった場合にメンテナンスを行うことを促すことができる。従って、メンテナンスを行うための適切なタイミングを報知することができる。
しかしながら、異常の生じた部位については不明なままなので、どの部位をメンテナンスすべきなのかが不明である。そのため、どの部分について部品の交換などのメンテナンスを行えばよいかわからず、メンテナンスを行う部分を探すための手間がかかっていた。
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、異常の生じた部位を推定する推定方法及び異常の生じた部位の推定を行わせるプログラムを提供することを目的としている。
本発明の異常の生じた部位の推定方法は、サーボモータを用いてアームを駆動させるロボットにおける異常の生じた部位の推定方法であって、異常が生じたことを検知する異常検知工程と、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときに、どの部位で異常が生じているかを検出する部位検出工程とを備えていることを特徴とする。
上記構成の異常の生じた部位の推定方法では、部位検出工程で異常の生じている部位が検出されるので、異常の生じている部位を探索する手間を省くことができる。
また、前記ロボットが繰り返し行う動作における1サイクルごとの動作についての所定の動作で、前記サーボモータに流れる電流値あるいは前記サーボモータの位置偏差を被観察値として推移を観察し、サイクルごとの前記被観察値についての代表値を検出するサイクル被観察値検出工程と、サイクルごとに検出される前記被観察値についての代表値から日ごとの前記被観察値についての代表値を検出する日毎被観察値検出工程と、を備えていてもよい。
日ごとの被観察値についての代表値を検出するので、日ごとの被観察値についての代表値の変化に基づいた被観察値の傾向を取得することができる。
また、前記異常検知工程では、日ごとの前記被観察値についての代表値が所定の範囲から外れたときに、異常が生じたことを検知してもよい。
日ごとの被観察値についての代表値が所定の範囲から外れたときに異常が生じたことが検知されるので、日ごとの被観察値についての代表値の変化から、異常が生じたときにそのことを正確に検出することができる。
また、前記部位検出工程は、複数の種類について検出された日ごとの前記被観察値についての代表値のうちの所定の範囲から外れた値の種類と、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記被観察値についての波形と、から、異常の生じている部位を推定する推定工程を備えていてもよい。
所定の範囲から外れた値の種類と、サーボモータに流れる電流の波形と、から、異常の生じている部位を推定するので、異常の生じている部位を正確に特定することができる。
また、前記異常の生じている部位が、前記所定の範囲から外れた値の種類と、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記被観察値の波形とに応じて、テーブルに予めまとめられ、前記推定工程では、前記テーブルを参照することにより、前記異常の生じている部位が推定されてもよい。
予め作成されたテーブルに基づいてテーブルを参照することにより、異常の生じている部位が推定されるので、異常の生じている部位の推定を容易に行うことができる。
また、前記サイクル被観察値検出工程は、前記所定の動作における前記被観察値についての2乗平均値と、ピーク値とをサイクルごとに算出し、前記日毎被観察値検出工程では、前記2乗平均値の中央値を日ごとに算出する2乗平均中央値算出工程と、前記2乗平均値の標準偏差を日ごとに算出する2乗平均標準偏差算出工程と、前記ピーク値の中央値を日ごとに算出するピーク中央値算出工程と、前記ピーク値の標準偏差を日ごとに算出するピーク標準偏差算出工程とを備えていてもよい。
サイクル被観察値検出工程でサイクルごとの2乗平均値とピーク値とが算出され、日毎被観察値検出工程で日ごとの2乗平均値の中央値及び標準偏差、日ごとのピーク値の中央値及び標準偏差が算出されるので、日ごとの2乗平均値及びピーク値の値を正確に取得することができる。
また、前記異常検知工程では、前記2乗平均中央値算出工程で算出された前記2乗平均値の中央値と、前記2乗平均標準偏差算出工程で算出された前記2乗平均値の標準偏差と、前記ピーク中央値算出工程で算出された前記ピーク値の中央値と、前記ピーク標準偏差算出工程で算出された前記ピーク値の標準偏差と、のいずれかの値が所定の範囲から外れたときに、異常が生じたことが検知されてもよい。
いずれかの値が所定の範囲から外れたときに、異常が生じたことが検知されるので、異常が生じたときのタイミングをより正確に検出することができる。
また、前記推定工程は、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記被観察値の波形が、予め定められている複数のパターンのうち、どのパターンに適合するかを選択する選択工程を備えていてもよい。
予め定められている複数のパターンのうち、被観察値の波形がどのパターンに適合するかが選択されるので、パターンの選択を容易に行うことができる。
また、前記被観察値は、前記サーボモータに流れる電流値であり、前記選択工程では、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記サーボモータに流れる電流の波形が、異常が生じていないときの前記サーボモータに流れる電流の基準波形に対し、相似的に拡大し、拡大率が閾値以下であるときをパターン1とし、拡大率が閾値よりも大きいときをパターン2とし、基準波形に対して、その成分が一定以上大きな周波数が存在し、該周波数が所定の周波数範囲に収まっているときをパターン3とし、前記周波数が所定の周波数範囲に収まっていないときをパターン4とし、前記選択工程は、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記サーボモータに流れる電流の波形が、前記パターン1から前記パターン4までのうち、いずれのパターンに適合するかを選択する電流値パターン選択工程を備えていてもよい。
被観察値がサーボモータに流れる電流値のとき、選択工程では、サーボモータに流れる電流の波形が、パターン1からパターン4までのうち、いずれのパターンに適合するかが選択されるので、選択工程を容易に行うことができる。
また、前記被観察値は、前記サーボモータの位置偏差であり、前記選択工程では、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記サーボモータの位置偏差の波形が、異常が生じていないときの前記サーボモータの位置偏差の基準波形に対し、その成分が一定以上大きな周波数が存在し、該周波数が所定の周波数範囲に収まっているときをパターン5とし、前記周波数が所定の周波数範囲に収まっていないときをパターン6とし、前記選択工程は、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記サーボモータの位置偏差の波形が、前記パターン5または前記パターン6のうち、いずれのパターンに適合するかを選択する位置偏差パターン選択工程を備えていてもよい。
被観察値がサーボモータの位置偏差のとき、選択工程では、サーボモータの位置偏差の波形が、パターン5またはパターン6のうち、いずれのパターンに適合するかが選択されるので、選択工程を容易に行うことができる。
また、本発明の異常の生じた部位の推定を行わせるプログラムは、サーボモータを用いてアームを駆動させるロボットにおける異常の生じた部位の推定を行わせるプログラムであって、異常が生じたことを検知する異常検知工程と、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときに、どの部位で異常が生じているかを検出する部位検出工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
上記構成の異常の生じた部位の推定を行わせるプログラムでは、部位検出工程で異常の生じている部位が検出されるので、異常の生じている部位を探索する手間を省くことができる。
本発明によれば、異常の生じた部位を検出することができるので、部品の交換といったメンテナンス作業を行うべき部位を検出することができる。そのため、メンテナンス作業を行うべき部位を探す手間がかからずに済む。
本発明の実施形態に係る異常の生じた部位の推定方法で、異常の生じた部位の検出の行われるロボットについて模式的に示した構成図である。 図1のロボットにおける制御系統の構成について示したブロック図である。 図1のロボットについての異常の生じた部位の推定方法によって異常の生じた部位の検出の行われる際のフローについて示したフローチャートである。 図3のフローにおける異常検知工程についてさらに詳細に示したフローチャートである。 図4のフローにおいて、2乗平均値についての、中央値、標準偏差についての確認を行う際のフローについてさらに詳細に示したフローチャートである。 図4のフローにおいて、ピーク値についての、中央値、標準偏差についての確認を行う際のフローについてさらに詳細に示したフローチャートである。 図3のフローにおける部位検出工程についてさらに詳細に示したフローチャートである。 図7のフローにおいて、対象波形についてのFFT解析を行う際のフローについてさらに詳細に示したフローチャートである。 電流値の基準波形と、基準波形に対し相似的に拡大し、拡大率が110パーセントであるときの電流値の波形について示したグラフである。 電流値の基準波形と、基準波形に対し相似的に拡大し、拡大率が200パーセントであるときの電流値の波形について示したグラフである。 電流値の基準波形と、基準波形に対し発振傾向が見られたときの電流値の波形について示したグラフである。 電流値の基準波形と、基準波形に対しパルス(ヒゲ)が見られたときの電流値の波形について示したグラフである。 サーボモータに流れる電流についてのアラームあるいはワーニングが発報された項目と、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形のパターンと、に応じた、異常の生じた部位に関する予め作成されたテーブルである。 サーボモータの位置偏差の基準波形と、基準波形に対し発振傾向が見られたときの位置偏差の波形について示したグラフである。 サーボモータの位置偏差の基準波形と、基準波形に対しパルス(ヒゲ)が見られたときの位置偏差の波形について示したグラフである。 サーボモータの位置偏差についてのアラームあるいはワーニングが発報された項目と、異常が検知されたときのサーボモータの位置偏差の波形のパターンと、に応じた、異常の生じた部位に関する予め作成されたテーブルである。
以下、本発明の実施形態に係る異常の生じた部位の推定方法について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るロボットの構成図である。また、図2は、ロボット100における制御系統の構成についてのブロック図である。
本実施形態のロボット100は、制御部14を有している。制御部14は、ロボット100の動作を制御するためのものである。制御部14は、ロボット100の動作を制御するための制御基板を内部に収容している。本実施形態では、ロボット100は、多軸の産業用ロボットとして用いられている。本実施形態で用いられるロボット100は、ロボットアームを備えている。
図2に示されるように、ロボット100における制御部14は、演算部14aと、記憶部14bと、サーボ制御部14cとを含む。
制御部14は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えたロボットコントローラである。なお、制御部14は、集中制御する単独の制御部14によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御部14によって構成されていてもよい。
記憶部14bには、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部14aは、記憶部14bに記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボット100の各種動作を制御する。すなわち、演算部14aは、ロボット100の制御指令を生成し、これをサーボ制御部14cに出力する。例えば、演算部14aは、プロセッサユニットによって構成されている。
サーボ制御部14cは、演算部14aにより生成された制御指令に基づいて、ロボット100のロボットアームのそれぞれの関節に対応するサーボモータの駆動を制御するように構成されている。
また、ロボット100は、所定期間にサーボモータに流れる電流値を取得する電流値取得手段15を備えている。電流値取得手段15により、サーボモータに流れる電流値を取得することができる。
また、本実施形態では、制御装置50は、制御部14に接続されている。また、電流値取得手段15は、制御部14及び制御装置50に接続されており、制御部14と制御装置50とは、電流値取得手段15を介して接続されている。
制御装置50は、記憶部17と、演算部18とを備えている。制御装置50は、例えば、PCによって構成される。制御装置50は、電流値取得手段15が取得したサーボモータを流れる電流値に基づき、記憶部17に記憶されているデータを参照して演算部18で演算を行うことにより、ロボット100に異常が生じているか否かを検知することができる。例えば、演算部18は、プロセッサユニットによって構成されている。制御装置50における記憶部17には、後述するテーブル等が予め記憶されている。また、それと共に、制御装置50は、ロボット100における異常の生じている部位を推定して検出するための処理を行うことができる。このように、制御装置50は、電流値取得手段15によって取得された電流値に基づいて、ロボット100に異常が生じているか否かを検知すると共に、異常の生じている部位を検出することができる。
次に、本実施形態における異常の生じた部位を推定する推定方法について説明する。
ロボット100を用いて所定のサイクルについての作業を長期間に亘って繰り返し行い続けると、ロボット100に経年劣化が生じる。ロボット100に経年劣化が生じると、例えば、ロボット100を構成する各部品の間で、部品同士が摺動する際の部品の間の抵抗が大きくなる。従って、そのような場合には、同じ動作をするにしても、劣化前と比較して、サーボモータにより多くの電流を流さないと、部材が同じ量の移動をすることができない。このように、経年劣化によりロボット100を構成する部品のいずれかの部位に異常が生じたときには、サーボモータに流れる電流が、劣化が生じる前に比べて変化する。
また、経年劣化によって異常が生じた場合には、劣化が生じた部位により、電流の波形やサーボモータの位置偏差の変化が異なる。従って、ロボット100を駆動させたときのサーボモータを流れる電流やサーボモータの位置偏差の波形の変化を検出することにより、経年劣化で異常が生じた部位の推定を行うことができる。以下、異常が生じた部位の推定を行うために推移が観察される、サーボモータを流れる電流値あるいはサーボモータの位置偏差のことを、被観察値ともいうものとする。
図3に、本実施形態における異常の生じた部位を推定する推定方法についてのフローチャートを示す。
まず、異常が生じた部位の推定を行うために観察される被観察値のうち、サーボモータを流れる電流を用いて異常が生じた部位の推定を行う方法について説明する。
図3に示されるように、まずロボット100のサーボモータに流れる電流から異常が生じているか否かを検知する(S101)。S101の異常検知工程でロボット100に異常が生じていることが検知されれば(S102)、異常の生じている部位を検出する部位検出工程が行われる(S103)。本実施形態では、プログラムに基づいて、制御装置50あるいは制御部14のコンピュータが、異常検知工程及び部位検出工程を実行する。
次に、異常検知工程について説明する。図4に、異常検知工程についてのフローチャートを示す。異常検知工程では、まず、1サイクルにおける所定動作について、サーボモータに流れる電流の波形を取得する。ここでは、電流値取得手段15が、時間の経過によって変化するサーボモータに流れる電流値を取得し、結果的に、サーボモータに流れる電流の波形を取得する(S201)。
サーボモータに流れる電流の波形が取得される1サイクルにおける所定動作は、ロボット100が繰り返し行う作業の1回分のサイクルのうち、一部の工程だけでもよい。また、ロボット100が繰り返し行う作業の1回分のサイクルの全体に亘っての工程であってもよい。
1サイクルについての電流の波形が取得されると、取得された波形に基づき、その電流の波形についての2乗平均値が算出される(S202)。1サイクルの電流値についての代表値として、2乗平均値が算出されている。
本実施形態では、2乗平均値が算出される際には、1サイクルにつき、30秒間に亘ってサンプリングが行われる。このとき、2(msec)のサンプリング周期によって、サンプリングが行われる。本実施形態では、1日に200サイクルについての集計が行われる。従って、本実施形態では、1日に、200サイクルについての2乗平均値が算出される。
1サイクルの電流の波形についての2乗平均値が算出されると、1サイクルの電流値の2乗平均値についての閾値を参照し、サーボモータに流れる電流の1サイクルについての2乗平均値が、閾値を超えたか否かを検知する(S204)。2乗平均値が閾値を超えているときには、そこでアラームが発報される(S205)。2乗平均値が閾値を超えていないときには、そのままフローが進む。
次に、電流の波形から、電流の絶対値のピーク値を検出する。電流の波形におけるピーク値の検出についても、1サイクルについての電流の波形が取得され、取得された波形に基づき、その電流の波形についてのピーク値が算出される。1サイクルの電流値についての代表値として、ピーク値が算出されている。
本実施形態では、ピーク値が算出される際には、2乗平均値の算出と同様に、1サイクルにつき、30秒間に亘ってサンプリングが行われる。このとき、2(msec)のサンプリング周期によって、サンプリングが行われる。本実施形態では、1日に200サイクルについての集計が行われる。従って、本実施形態では、1日に、200サイクルについてのピーク値が算出される。
1サイクル分についてのサーボモータに流れる電流の絶対値についてのピーク値が検出されると、ピーク値と、ピーク値についての閾値とが比較される(S206)。
ピーク値が閾値を超えているときには(S207)、そこでアラームが発報される(S208)。ピーク値が閾値を超えていないときには、フローはそのまま進む。
このように、ロボットが繰り返し行う動作における1サイクルごとの動作についての所定の動作で、サーボモータに流れる電流値が検出される(サイクル被観察値検出工程)。ここでは、1サイクルごとの動作についての所定の動作で、サーボモータに流れる電流値の2乗平均値とピーク値とが算出される。つまり、本実施形態におけるサイクル被観察値検出工程では、所定の動作におけるサーボモータに流れる電流の2乗平均値と、ピーク値とが、サイクルごとに算出されている。
1サイクルにつき、1つの2乗平均値と1つのピーク値とを算出し、これらの値をサイクルごとに代表値として記憶しておく。
1サイクル分の電流についての2乗平均値及びピーク値に関して閾値との比較が行われると、装置が起動されてから一定期間が経過しているか否かが検知される。装置が起動されてから一定期間が経過していない場合には、1サイクル分の電流についての2乗平均値及びピーク値が不安定な期間内なので、仮に1サイクル分の電流についての2乗平均値及びピーク値が閾値を超えていても問題ない。そのため、フローは元に戻り、一定期間が経過するまでフローが繰り返される。
一定期間経過していれば、2乗平均値あるいはピーク値が閾値を超えアラームが発報されている場合には、経年劣化等によって異常が生じていると判断される。従って、ここでアラームが発報されているか否かが検知される(S210)。
アラームが発報されており、2乗平均値あるいはピーク値が閾値を超えている場合には、異常が生じていると推測され、フローは部位検出工程に進む。S210でアラームが発報されていない場合には、フローは、日ごとの電流に関するデータの中央値及び標準偏差についての確認へ進む。
次に、日ごとの電流に関する2乗平均値のデータの中央値及び標準偏差についての確認について説明する。
日ごとの電流に関する2乗平均値のデータの中央値及び標準偏差について確認する際のフローについてのフローチャートを図5に示す。
所定動作についての1サイクルごとのサーボモータに流れる電流値に関する2乗平均値は既に得られている。この1サイクルごとの2乗平均値のデータが1日分得られると、1日についてのデータの中央値と標準偏差とを得ることができる。そのため、1サイクルごとの2乗平均値が1日分に亘って集計され、2乗平均値についての中央値及び標準偏差が、日ごとに算出される(S301)。2乗平均値の中央値及び標準偏差が、日ごとの電流値についての代表値として算出されている。このように、サイクルごとに検出される電流値についての代表値から日ごとの電流値についての代表値が検出される(日毎被観察値検出工程)。ここでは、日ごとに、2乗平均値についての中央値及び標準偏差が算出される。
2乗平均値についての中央値及び標準偏差が、日ごとに算出されると、日ごとのこれらの値をプロットすることにより、中央値及び標準偏差についてグラフに表すことができる。そのため、そのグラフ上に、中央値及び標準偏差についてのデータの延長線を描くことにより、中央値及び標準偏差の日ごとの変化が、近似曲線を用いて予測される(S302)。これにより、電流値の2乗平均値についての日々のトレンドを読み取ることができる。
通常、経年劣化によって装置内で抵抗が大きくなるので、サーボモータに所定の指令値を入力しても、サーボモータの抵抗が大きくなっていることから、入力される電流値は大きくなっていく傾向にある。そのため、通常はサーボモータを流れる電流値は、日が経過するにつれて大きくなる傾向にある。
このときの電流値について近似曲線を作成し、中央値及び標準偏差の日ごとの変化を予測することにより、中央値及び標準偏差が、閾値を超える日を予測することができる(S303)。そのため、今から何日後に、中央値及び標準偏差が閾値を超えるのかを予測することができる。中央値及び標準偏差が閾値を超える日が、設定されている期間内に入ってくれば、閾値を超える日が近づいているので、そこでワーニングが発報される。このように、中央値及び標準偏差が、閾値を超える日が、所定の期間内に入っているのか否かが検知される(S304)。なお、閾値に達したときに、そこでワーニングが発報されることとしてもよい。
中央値及び標準偏差についての閾値を超える日が、設定されている期間内に入っている場合には、ワーニングが発報される(S305)。このように、日ごとの電流値(中央値及び標準偏差)が所定の範囲から外れたときに、経年劣化に起因する異常が生じたことを検知する。ここでは、日ごとの電流値(中央値及び標準偏差)が閾値を超える日が予め設定されている所定の期間内に入っていると検知された場合についても、日ごとの電流値が所定の範囲から外れたと判断され、経年劣化に起因する異常が生じたと判断される。中央値及び標準偏差が、閾値を超えていない場合(予め設定されている所定の期間内に入っていない場合)には、ワーニングは発砲されずにフローが進み、日ごとの電流に関する2乗平均値のデータの中央値及び標準偏差についての確認を終了する。
1日に多くの回数(本実施形態では200回)に亘って測定されたデータについて、2乗平均値の中央値及び標準偏差とすることにより、代表値としてのデータで表すことができる。従って、記憶させておくデータの数を大幅に減少させることができ、例えば、制御装置50における記憶部17の容量を少なくすることができる。
次に、日ごとの電流に関するピーク値のデータの中央値及び標準偏差についての確認について説明する。
日ごとの電流に関するピーク値のデータの中央値及び標準偏差について確認する際のフローについてのフローチャートを図6に示す。所定動作についての1サイクルごとのサーボモータに流れる電流値に関するピーク値は既に得られている。この1サイクルごとのピーク値のデータが1日分得られると、1日についてのデータの中央値と標準偏差とを得ることができる。従って、1サイクルごとのピーク値が1日分に亘って集計され、ピーク値についての中央値及び標準偏差が、日ごとに算出される(S401)。ピーク値の中央値及び標準偏差が、日ごとの電流値についての代表値として算出されている。
ピーク値についての中央値及び標準偏差が、日ごとに算出されると、その中央値及び標準偏差についてグラフに表すことができる。そのため、そのグラフ上に、中央値及び標準偏差についてのデータの延長線を描くことにより、中央値及び標準偏差の日ごとの変化が、近似曲線を用いて予測される(S402)。これにより、電流値のピーク値についての日々のトレンドを読み取ることができる。
また、近似曲線を用いて中央値及び標準偏差の日ごとの変化を予測することにより、中央値及び標準偏差が、閾値を超える日を予測することができる(S403)。そのため、今から何日後に、中央値及び標準偏差を超えるのかを予測することができる。中央値及び標準偏差が閾値を超える日が、設定されている期間内に入ってくれば、閾値を超える日が近づいているので、そこでワーニングが発報される。このように、中央値及び標準偏差が、閾値を超える日が、所定の期間内に入っているのか否かが検知される(S404)。なお、閾値に達したときに、そこでワーニングが発報されることとしてもよい。
中央値及び標準偏差についての閾値を超える日が、設定されている期間内に入っている場合には、ワーニングが発報される(S405)。このように、ピーク値についての日ごとの電流値(中央値及び標準偏差)が所定の範囲から外れたときに、経年劣化に起因する異常が生じたことを検知する。ここでは、日ごとの電流値(中央値及び標準偏差)が閾値を超える日が予め設定されている所定の期間内に入っていると検知された場合についても、日ごとの電流値が所定の範囲から外れたと判断され、経年劣化に起因する異常が生じたと判断される。中央値及び標準偏差が、閾値を超えていない場合(予め設定されている所定の期間内に入っていない場合)には、ワーニングは発砲されずにフローが進み、日ごとの電流に関するピーク値のデータの中央値及び標準偏差についての確認を終了する。
ピーク値についても同様に、1日に多くの回数(本実施形態では200回)に亘って測定されたデータについて、ピーク値の中央値及び標準偏差とすることにより、代表値としてのデータで表すことができる。従って、記憶させておくデータの数を大幅に減少させることができ、制御装置50における記憶部17の容量を少なくすることができる。
このように、本実施形態における日毎被観察値検出工程では、2乗平均値の中央値が日ごとに算出される(2乗平均中央値算出工程)。また、2乗平均値の標準偏差が日ごとに算出される(2乗平均標準偏差算出工程)。また、ピーク値の中央値が日ごとに算出される(ピーク中央値算出工程)。また、ピーク値の標準偏差が日ごとに算出される(ピーク標準偏差算出工程)。そして、算出された2乗平均値の中央値と、2乗平均値の標準偏差と、ピーク値の中央値と、ピーク値の標準偏差と、のいずれかの値が所定の範囲から外れたときに、異常が生じたと検知される。
日ごとの電流に関するピーク値のデータの中央値及び標準偏差についての確認が行われると、異常検知工程が完了する。異常検知工程でアラームあるいはワーニングが発報されていれば、異常があると判断され、部位検出工程で異常のある箇所が検出される。
次に、部位検出工程について説明する。部位検出工程では、異常検知工程で異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形がどのパターンに分類されるか検出される。
部位検出工程のフローについて、図7にフローチャートを示す。部位検出工程では、異常検知工程で異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形が、異常が発生する前の基準の波形に対し、どのように変化したかを検出する。
まず、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形が、基準の波形に対し、相似的に拡大されたものであるか否かを検知する。
まず、基準波形が拡大される(S501)。基準波形が拡大されると、拡大された基準波形と、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形とが比較される。ここでは、拡大された基準波形と取得した対象の波形との間の相関値が算出される(S502)。
拡大された基準波形と異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形との間の相関値が算出されると、相関値が基準値に対し、5パーセント以下の差に収まっているか否かが検知される(S503)。
相関値が高ければ高いほど、拡大された基準波形と、サーボモータに流れる電流の波形とが、より一致していると考えられる。相関値が予め定められている基準値に対し、5パーセント以下の差に収まっている場合には、拡大された基準波形と取得した対象の波形とが概ね一致していると判断される。従って、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形が、基準波形に対し、相似的に拡大しているものと判断される。従って、そのときの拡大率が110パーセント以下であるか否かが検知される(S504)。
異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形が、基準波形に対し相似的に拡大し、拡大率が110パーセント以下である場合には、波形が相似的に拡大し、拡大率小と推定される。従って、その場合には、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形がパターン1に分類される。このように、異常が生じたと検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形が、異常が生じていないときのサーボモータに流れる電流の基準波形に対し、相似的に拡大し、拡大率が閾値以下であるときをパターン1とする。
異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形が、基準波形に対し相似的に拡大し、拡大率が110パーセントよりも大きい場合には、波形が相似的に拡大し、拡大率大と推定される。従って、その場合には、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形がパターン2に分類される。このように、異常が生じたと検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形が、異常が生じていないときのサーボモータに流れる電流の基準波形に対し、相似的に拡大し、拡大率が閾値よりも大きいときをパターン2とする。
S503で、相関値が基準値に対し、5パーセント以下の差に収まっていない場合には、拡大された基準波形と取得した対象の波形とが一致していないと判断される。その場合には、拡大された基準波形と取得した対象の波形との間の相関値が前回よりも大きいか否かが検出される(S505)。
相関値が前回の値以下である場合には、拡大された基準波形が対象の波形に近づいていると判断され、さらに基準波形の拡大率を増加させ(S506)、さらに拡大された基準波形と取得した対象の波形との間の相関についての確認が再び繰り返される。
S505で、拡大された基準波形と取得した対象の波形との間の相関値が前回よりも大きい場合には、拡大された基準波形の拡大率を変化させてもサーボモータに流れる電流の波形に近づいておらず、基準波形とサーボモータに流れる電流の波形との間で相関が小さいと判断される。拡大率を変化させても拡大された基準波形と取得した対象の波形との間の差が大きくなりつつあるので、取得した対象の波形が基準波形に対し相似的に拡大しているわけではないと判断される。そのため、そのような場合には、対象波形についてのFFT解析が行われる(S507)。
FFT解析の行われた対象波形についての周波数ごとの分析について図8のフローチャートを用いて説明する。
対象波形についてFFT解析が行われ、波形について周波数ごとの分析が行われる(S601)。
特定の周波数帯の強度が、他の周波数帯の強度(パワースペクトル)の1.5倍以上であるか否かが検知される(S602)。特定の周波数帯の強度が他の周波数帯の強度の1.5倍以上であるか否かが検知される際には、他の周波数帯の強度に比べて1.5倍以上の強度の周波数帯が有るか否かを検知し、その周波数帯が特定の周波数帯に収まっているか否かが検知される。
他の周波数帯の強度に比べて1.5倍以上の強度の周波数帯が有り、且つ、その周波数帯が所定の周波数帯の範囲内に収まっている場合には、特定の周波数帯の強度が他の周波数帯の強度の1.5倍以上であると判断される。特定の周波数帯の強度が、他の周波数帯の強度の1.5倍以上である場合には、波形に発振傾向が見られると判断される。従って、その場合には、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形がパターン3に分類される。このように、異常が生じたと検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形をフーリエ変換し、基準波形に対して、サーボモータに流れる電流波形の成分が一定以上大きな周波数が存在し、その周波数が所定の周波数範囲に収まっているときをパターン3とする。ここでいう発振傾向が見られる波形は、一定の周波数に亘ってノイズが見られるような波形のことをいうものとする。
発振傾向の見られる波形では、通常、高周波数の領域で、通常の波形とは異なるノイズのような部分が見られる。特定の周波数は、高周波数の領域となることが多い。本実施形態では、ロボットや減速機よりも高周波数の領域で、他の周波数帯の強度に比べて1.5倍以上の強度の周波数帯が有る場合に、発振傾向が見られる波形とし、パターン3に分類されるものとする。
特定周波数帯の強度が、他の周波数帯の強度の1.5倍以上でない場合には、特定の周波数で強度が他の周波数帯の強度の1.5倍以上であるか否かが検知される(S603)。つまり、狭い範囲の周波数成分でのみ、強度が、他の周波数成分における強度の1.5倍以上である部分が存在するか否かが検知される。
S603で、狭い範囲の周波数成分でのみ、強度が他の周波数帯の強度の1.5倍以上である周波数成分がある場合には、波形に、狭い範囲の周波数成分のみ大きく突出したパルス(ヒゲ)が見られると判断される。このように、強度が他の周波数帯の強度に比べて1.5倍以上ある周波数成分があり、その周波数が特定の周波数帯の領域に収まっていない場合には、狭い範囲の周波数成分でのみ大きく突出したパルス(ヒゲ)が見られる波形であると判断される。従って、その場合には、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形がパターン4に分類される。このように、異常が生じたと検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形をフーリエ変換し、基準波形に対して、サーボモータに流れる電流波形の成分が一定以上大きな周波数が存在し、その周波数が所定の周波数範囲に収まっていないときをパターン4とする。ここでいうパルス(ヒゲ)が見られる波形は、局所的に一定のレベルから外れた部分が見られるような波形のことをいうものとする。
S603で、狭い範囲の特定の周波数成分でのみ、強度が他の周波数帯の強度の1.5倍以上である周波数成分が存在しない場合には、異常箇所を検出できないとして判断される。そのため、他の手法を用いて異常箇所を検出することになる。
なお、本実施形態では、S602で、特定周波数帯の強度が、他の周波数帯の強度(パワースペクトル)の1.5倍以上であるか否かが検知されているが、本発明はこれに限定されない。波形の全体に亘って、対象波形の特定の周波数帯の強度(パワースペクトル)が、基準波形における同一周波数帯の強度(パワースペクトル)の1.5倍以上であるか否かが検知されてもよい。
次に、異常が生じたときの、各パターンについての波形を示す。
図9に、サーボモータに流れる電流の波形が、基準波形に対し、相似的に拡大し、拡大率が110パーセントであるとき(パターン1)の波形を示す。図10に、サーボモータに流れる電流の波形が、基準波形に対し、相似的に拡大し、拡大率が200パーセントであるとき(パターン2)の波形を示す。図11に、サーボモータに流れる電流の波形に発振傾向があるとき(パターン3)の波形を示す。図12に、サーボモータに流れる電流の波形にパルス(ヒゲ)の成分が生じているとき(パターン4)の波形を示す。
異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形が、これらの4パターンのうちのいずれかにあてはまる場合には、どのパターンにあてはまるかが検出され、あてはまるパターンについて記憶される。そして、異常検知工程でアラームあるいはワーニングが発報された項目と、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形のパターンと、から異常の生じた部位が推定される。
本実施形態では、予め、異常の生じた部位に関するテーブルが作成されている。このテーブルでは、アラームあるいはワーニングが発報された項目と、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形のパターンと、に応じた、推定される異常の生じた部位が示されている。そのため、テーブルを参照することにより、アラームあるいはワーニングが発報された項目と、異常が検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形のパターンとから、異常の生じた部位を推定することができる。このように、複数の種類について検出された日ごとの電流値のうちの所定の範囲から外れた値の種類と、異常が生じたと検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形と、から、異常の生じている部位が推定される(推定工程)。本実施形態では、異常が生じたと検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形が、予め定められている複数のパターンのうち、どのパターンに適合するかが選択される(選択工程)。具体的には、異常が生じたと検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形が、パターン1からパターン4までのうち、いずれのパターンに適合するかが選択される(電流値パターン選択工程)。
予め作成されている、異常の生じた部位に関するテーブルについて図13に示す。
図13に示されるように、2乗平均値の中央値が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報されたときに、そのときのサーボモータに流れる電流の波形が相似的に拡大し、拡大率が小であるとき(パターン1)には、減速機が故障していると推測される。
また、2乗平均値の中央値が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報されたときに、そのときのサーボモータに流れる電流の波形が相似的に拡大し、拡大率が大であるとき(パターン2)には、ロボットで用いられているハーネスで異常が生じていると推測される。ここでは、特に、モータブレーキに接続される配線上(モータブレーキライン)で損耗が生じ、これによって電気的な抵抗が大きくなっていると推測される。
また、2乗平均値の中央値が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報されたときに、そのときのサーボモータに流れる電流の波形が発振傾向の見られる波形である場合(パターン3)には、主として減速機で経年劣化によってロストモーション(ガタ)が大きくなっていると推定される。
また、2乗平均値の標準偏差が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報されたときに、そのときのサーボモータに流れる電流の波形が発振傾向の見られる波形である場合(パターン3)には、減速機が故障していると推測される。
また、ピーク値の中央値が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報され、そのときのサーボモータに流れる電流の波形が相似的に拡大し、拡大率が小であるとき(パターン1)には、減速機が故障していると推測される。
また、ピーク値の中央値が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報され、そのときのサーボモータに流れる電流の波形が相似的に拡大し、拡大率が大であるとき(パターン2)には、ロボットで用いられているハーネスで異常が生じていると推測される。ここでは、特に、モータブレーキに接続されるハーネスで損耗が生じ、これによって電気的な抵抗が大きくなっていると推測される。
また、ピーク値の標準偏差が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報され、そのときのサーボモータに流れる電流の波形が発振傾向の見られる波形である場合(パターン3)には、減速機が故障していると推測される。
また、ピーク値の標準偏差が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報され、そのときのサーボモータに流れる電流の波形がパルス(ヒゲ)の見られる波形である場合(パターン4)には、3つの異常のケースが考えられる。1つ目のケースは、ロボットで用いられているハーネスで異常が生じていると推測され、特に、三相モータの電源線に接続されるハーネス(三相モータのライン)で瞬間短絡あるいは地絡が生じていると推測される。2つ目のケースは、ロボットで用いられているハーネスで異常が生じていると推測され、特に、モータブレーキに接続されるハーネス(モータブレーキのライン)で瞬間断線が生じていると推測される。3つ目のケースは、サーボモータで異常が生じていると推測される。サーボモータでは、具体的には、内部のマグネットが破損している場合が多いと考えられる。
このように、異常の生じている部位が、所定の範囲から外れた値の種類と、異常が生じたと検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形とに応じて、テーブルに予めまとめられている。そして、テーブルを参照することにより、異常の生じている部位が推定されている。
本実施形態では、所定の範囲から外れた値の種類の項目と、異常が生じたと検知されたときのサーボモータに流れる電流の波形と、に対し、関係付けられる異常の生じた部位については、経験的に関係付けられている。
このように、予め作成されていたサーボモータに流れる電流についての2乗平均値、ピーク値についての中央値と標準偏差と、異常が検出されたときのサーボモータに流れる電流の波形との関係のテーブルが参照され、異常の生じている部位についての推測が行われる。異常が生じていることが検出されたときに、予め作成されているテーブルに基づいて異常の生じている部位が推測されるので、異常の生じていると推測される部位について報知することができる。異常の生じている部位について推定し、異常の生じている部位を報知するので、報知された部位についての部品の交換等のメンテナンスを行うことによって、装置のメンテナンスを行うことができる。従って、異常の生じた部位について探索する必要がなく、探索のための手間がかからずに済む。
異常の生じた部位の探索のための手間を省くことができるので、メンテナンス等の際の装置の取り扱いを容易に行うことができる。そのため、使い勝手の良い装置を提供することができる。
また、メンテナンスのための時間を短縮することができ、メンテナンスのために作業が行うことのできない時間を短縮させることができる。従って、作業をより効率的に行うことができ、運転コストを少なく抑えることができる。
なお、上記実施形態では、サーボモータに流れる電流値について、サイクルごとに2乗平均値とピーク値について算出し、日ごとに2乗平均値及びピーク値についての中央値、標準偏差を算出している。そして、テーブルを参照し、サーボモータに流れる電流値の波形を、所定のパターンに当てはめることにより異常の生じた部位を検出している。しかしながら、上記実施形態はこれに限定されず、サーボモータの位置偏差について、サイクルごとに2乗平均値とピーク値について算出し、日ごとにサーボモータの位置偏差における2乗平均値及びピーク値についての中央値、標準偏差が算出されてもよい。また、日ごとにサーボモータの位置偏差についての2乗平均値及びピーク値についての中央値、標準偏差から異常が検出されたときに、サーボモータの位置偏差の波形について、所定のパターンから適合するパターンを選択することにより異常の生じた部位を検出してもよい。
このように、異常検知工程あるいは部位検出工程において検出されて観察される被観察値として、サーボモータの位置偏差が用いられてもよい。
ここでいう位置偏差は、位置に関する指令値と、実際のロボットの位置との間のずれのことをいうものとする。
サーボモータの位置偏差は、例えば、位置指令値から逆算されるサーボモータの角度位置とエンコーダによる実際の出力結果との間の差であってもよい。指令値としてサーボモータに位置指令が与えられず、電流指令や速度指令のみが与えられる場合には、サイクル中のロボットの位置は、データ(時間の関数としての位置データ)から逆算されるサーボモータの角度位置であってもよい。
サーボモータの位置偏差について、サイクルごとに2乗平均値とピーク値について算出し、日ごとに2乗平均値及びピーク値についての中央値、標準偏差が算出される形態について説明する。
ロボットが繰り返し行う動作における1サイクルごとの動作についての所定の動作で、サイクルごとに、サーボモータの位置偏差が検出される(サイクル位置偏差検出工程)。サイクル位置偏差検出工程では、所定の動作におけるサーボモータの位置偏差についての2乗平均値と、ピーク値とがサイクルごとに算出される。
サイクルごとに検出される位置偏差から、日ごとの位置偏差が検出される(日毎位置偏差検出工程)。日毎位置偏差検出工程では、2乗平均値の中央値が日ごとに算出され(位置偏差2乗平均中央値算出工程)、2乗平均値の標準偏差が日ごとに算出され(位置偏差2乗平均標準偏差算出工程)、ピーク値の中央値が日ごとに算出され(位置偏差ピーク中央値算出工程)、ピーク値の標準偏差が日ごとに算出される(位置偏差ピーク標準偏差算出工程)。
異常検知工程では、日ごとの位置偏差についての代表値が所定の範囲から外れたときに、異常が生じたことが検知される。異常が生じたことが検知されると、異常の生じた部位を検出する部位検出工程が行われる。
部位検出工程では、複数の種類について検出された日ごとの位置偏差のうちの所定の範囲から外れた値の種類と、異常検知工程で異常が生じたと検知されたときのサーボモータの位置偏差の波形と、から、異常の生じている部位が推定される(推定工程)。
本実施形態においても、異常の生じている部位について、所定の範囲から外れた値の種類と、異常検知工程で異常が生じたと検知されたときのサーボモータの位置偏差の波形のパターンとに応じて、テーブルに予めまとめられている。推定工程では、そのテーブルを参照することにより、異常の生じている部位が推定される。
異常が生じたときのサーボモータの位置偏差の波形について図14、15に示す。図14は、サーボモータの位置偏差の波形において、基準波形に対し、発振傾向が生じているときの波形について示したグラフである。
サーボモータの位置偏差において、図14に示される波形が見られる場合には、電流値の波形を見る場合のパターン3と同様に、波形に発振傾向があると判断される(パターン5)。
図15は、サーボモータの位置偏差の波形において、基準波形に対し、パルス(ヒゲ)が生じているときの波形について示したグラフである。
サーボモータの位置偏差において、図15に示される波形が見られる場合には、電流値の波形を見る場合のパターン4と同様に、波形にパルス(ヒゲ)が見られると判断される(パターン6)。
サーボモータの位置偏差の波形では、機構上、波形が基準波形に対し相似的に拡大することは考え難い。従って、サーボモータの位置偏差の波形が、基準波形に対し相似的に拡大するような波形になることは考えられ難く、ここではサーボモータの位置偏差の波形が基準波形に対し相似的に拡大しているか否かの判断は行われない。
サーボモータの位置偏差の波形が、発振傾向の見られる波形(パターン5)であるか、パルス(ヒゲ)の見られる波形(パターン6)であるかについては、サーボモータに流れる電流値の波形から判断する場合と同様に、サーボモータの位置偏差の波形についてFFT解析が行われる。サーボモータの位置偏差の波形についてFFT解析が行われてから、サーボモータの位置偏差の波形がどのパターンに適合するのかを検出する際には、サーボモータの電流の波形について検出の行われたS601~S603(図8)と同様に行われる。
サーボモータの位置偏差の波形についてFFT解析が行われると、特定の周波数帯の強度が、他の周波数帯の強度の1.5倍以上であるか否かが検知される。また、特定の周波数帯の強度が、他の周波数帯の強度の1.5倍以上である場合には、その周波数帯が特定の周波数帯に収まっているか否かが検知される。
他の周波数帯の強度に比べて1.5倍以上の強度の周波数帯が有り、且つ、その周波数帯が所定の周波数帯の範囲内に収まっている場合には、特定の周波数帯の強度が他の周波数帯の強度の1.5倍以上であると判断される。その場合には、波形に発振傾向が見られると判断され、異常が検知されたときのサーボモータの位置偏差の波形がパターン5に分類される。
他の周波数帯の強度の1.5倍以上である特定周波数帯が、所定の周波数帯の範囲内に収まっていない場合には、その他の特定の周波数で強度が他の周波数帯の強度の1.5倍以上であるか否かが検知される。つまり、狭い範囲の周波数成分でのみ、強度が、他の周波数成分における強度の1.5倍以上である部分が存在するか否かが検知される。
狭い範囲の周波数成分でのみ、強度が他の周波数帯の強度の1.5倍以上である周波数成分がある場合には、波形に、特定の周波数成分のみ大きく突出したパルス(ヒゲ)が見られると判断される。従って、その場合には、異常が検知されたときのサーボモータの位置偏差の波形がパターン6に分類される。
このように、異常が生じたと検知されたときのサーボモータの位置偏差の波形が、パターン5またはパターン6のうち、いずれのパターンに適合するかが選択される(位置偏差パターン選択工程)。
サーボモータの日ごとの位置偏差についての所定の範囲から外れた値の種類と、異常検知工程で異常が生じたと検知されたときのサーボモータの位置偏差の波形のパターンとに応じた、異常の生じている部位についてのテーブルを図16に示す。
図16に示されるように、サーボモータの位置偏差についての2乗平均値の中央値が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報されたときに、そのときのサーボモータの位置偏差の波形がパルス(ヒゲ)の見られる波形である場合には、ロボットで用いられているハーネスで異常が生じていると推測される。ここでは、特に、三相モータの電源線に接続されるハーネス(三相モータのライン)で損耗が生じ、これによって抵抗が大きくなっていると推測される。
また、サーボモータの位置偏差についての2乗平均値の中央値が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報されたときに、そのときのサーボモータの位置偏差の波形が発振傾向の見られる波形である場合には、ロボットで用いられているハーネスで異常が生じていると推測される。ここでは、特に、三相モータの電源線に接続されるハーネス(三相モータのライン)で瞬間断線が生じていると推測される。
また、サーボモータの位置偏差についてのピーク値の標準偏差が閾値を超え、そこでアラームもしくはワーニングが発報されたときに、そのときのサーボモータの位置偏差の波形がパルス(ヒゲ)の見られる波形である場合には、ロボットで用いられているハーネスで異常が生じていると推測される。ここでは、特に、三相モータの電源線に接続されるハーネス(三相モータのライン)で瞬間断線が生じていると推測される。
このように、サーボモータの位置偏差についての2乗平均値、ピーク値についての中央値と標準偏差と、異常が検出されたときのサーボモータの位置偏差の波形との関係のテーブルが参照されて、異常の生じている部位についての推測を行うことができる。サーボモータの位置偏差についての2乗平均値、ピーク値についての中央値と標準偏差とを検出し、位置偏差の波形に基づいて異常の生じた位置を検出する手法を用いた場合であっても、テーブルに基づいて異常の生じている部位を推測することができる。
例えば、ハーネスに断線等の異常があった場合には、サーボモータの位置偏差に影響が大きく表れ易い。そのため、ハーネスに異常が生じているかどうかの確認を行うには、サーボモータの位置偏差について2乗平均値、ピーク値についての中央値と標準偏差を算出し、これらの値から異常が生じているか否かの検知を行うと共に異常の生じたときの位置偏差の波形を用いて異常の生じている部位の検出を行う方がより適している。これにより、ハーネスに異常が生じているかどうかをより確実に検知することができる。
また、サーボモータに流れる電流値と、サーボモータの位置偏差とを複合的に用いて異常検知工程を行うと共に部位検出工程を行うこととしてもよい。複合的な検出結果から異常が生じていることを検出すると共に、部位検出工程で異常の生じた部位を検出するので、装置で経年劣化に起因する異常が生じたときに、より確実に異常が生じたことを検知することができる。
図2に示される電流取得手段15による電流値の取得については、ロボット100の演算部14aより直接電流指令値を取得する他、サーボモータに流れる電流値をセンサにて直接取得する方法もある。しかし、サーボモータとして三相モータが用いられる場合、三相モータの各相を流れる電流についての電流値が検出されたとしても、電流値が3つあり、また電流が交流電流であることから3つの電流値が時々刻々と変化するので、グラフにすることが難しい。電流値を時系列の波形としてグラフに表すには、電流値を1つの値で算出することが望ましい。
ここで、サーボモータに流れる電流値を取得する際に使用される式について説明する。
三相モータの各相を流れる電流(iu、iv、iw)を、トルクに寄与しない電流のid軸電流(id)と、トルクに寄与するトルク成分電流としてのiq軸電流(iq)との2軸に変換させる。
Figure 0007021895000001
iu、iv、iwは、平衡三相交流なので、各相の電流は、式2のように表せる。
Figure 0007021895000002
また、ステータ界磁電流ベクトルとしてのiqと、ロータ界磁成分ベクトルとしてのidとが、直交するように制御されていると仮定すると、式3の関係が満たされる(特殊な状況下でない限りモータは式3の関係が満たされるように制御されている)。
Figure 0007021895000003
式2、式3を用いて式1を計算すると、式4が導かれる。
Figure 0007021895000004
式4の関係を用いて各相電流の二乗和を計算する。
Figure 0007021895000005
式5を変形させると、式6が導かれる。
Figure 0007021895000006
式6から、iq/(2)1/2を電流指令値として用いることができる。
このように、電流値が一つの値で算出されるので、電流指令値について時系列の波形をグラフに表すことができる。これにより、サーボモータによるトルクが一定である場合には、トルク成分電流値iqが一定し、一つの電流値として容易に算出することができる。
本実施形態では、iq/(2)1/2を電流値として用いることができるので、異常検知工程で、被観察値としてサーボモータの電流値を用いる場合に、電流値についての2乗平均値と、ピーク値とをサイクルごとに算出することができる。従って、サイクルごとのサーボモータに流れる電流値についての代表値を算出することができる。また、サイクルごとに算出される電流値についての代表値から、日ごとの電流値についての代表値を算出することができる。
また、サーボモータを流れる電流値についての波形をグラフに表すことができるので、異常が生じたときに、電流値についての波形が、予め定められている複数のパターンのうち、どのパターンに適合するかを選択することができる。これにより、異常が生じた部位の推定を容易に行うことができる。
100 ロボット
50 制御装置

Claims (8)

  1. サーボモータを用いてアームを駆動させるロボットにおける異常の生じた部位の推定方法であって、
    異常が生じたことを検知する異常検知工程と、
    前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときに、どの部位で異常が生じているかを検出する部位検出工程と、
    前記ロボットが繰り返し行う動作における1サイクルごとの動作についての所定の動作で、前記サーボモータに流れる電流値あるいは前記サーボモータの位置偏差を被観察値として推移を観察し、サイクルごとの前記被観察値についての代表値を検出するサイクル被観察値検出工程と、
    サイクルごとに検出される前記被観察値についての代表値から日ごとの前記被観察値についての代表値を検出する日毎被観察値検出工程と、
    を備え
    前記異常検知工程では、日ごとの前記被観察値についての代表値が所定の範囲から外れたときに、異常が生じたことを検知し、
    前記部位検出工程は、複数の種類について検出された日ごとの前記被観察値についての代表値のうちの所定の範囲から外れた値の種類と、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記被観察値についての波形と、から、前記ロボット内において、異常の生じている部位及び異常の種類を推定する推定工程を備えていることを特徴とする異常の生じた部位の推定方法。
  2. 前記異常の生じている部位が、前記所定の範囲から外れた値の種類と、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記被観察値についての波形とに応じて、テーブルに予めまとめられ、
    前記推定工程では、前記テーブルを参照することにより、前記異常の生じている部位が推定されることを特徴とする請求項に記載の異常の生じた部位の推定方法。
  3. 前記サイクル被観察値検出工程は、前記所定の動作における前記被観察値についての2乗平均値と、ピーク値とをサイクルごとに算出し、
    前記日毎被観察値検出工程では、
    前記2乗平均値の中央値を日ごとに算出する2乗平均中央値算出工程と、
    前記2乗平均値の標準偏差を日ごとに算出する2乗平均標準偏差算出工程と、
    前記ピーク値の中央値を日ごとに算出するピーク中央値算出工程と、
    前記ピーク値の標準偏差を日ごとに算出するピーク標準偏差算出工程とを備えていることを特徴とする請求項またはに記載の異常の生じた部位の推定方法。
  4. 前記異常検知工程では、
    前記2乗平均中央値算出工程で算出された前記2乗平均値の中央値と、
    前記2乗平均標準偏差算出工程で算出された前記2乗平均値の標準偏差と、
    前記ピーク中央値算出工程で算出された前記ピーク値の中央値と、
    前記ピーク標準偏差算出工程で算出された前記ピーク値の標準偏差と、のいずれかの値が所定の範囲から外れたときに、異常が生じたことを検知することを特徴とする請求項に記載の異常の生じた部位の推定方法。
  5. 前記推定工程は、
    前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記被観察値の波形が、予め定められている複数のパターンのうち、どのパターンに適合するかを選択する選択工程を備えていることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の異常の生じた部位の推定方法。
  6. 前記被観察値は、前記サーボモータに流れる電流値であり、
    前記選択工程では、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記サーボモータに流れる電流の波形が、異常が生じていないときの前記サーボモータに流れる電流の基準波形に対し、相似的に拡大し、拡大率が閾値以下であるときをパターン1とし、
    拡大率が閾値よりも大きいときをパターン2とし、
    基準波形に対して、その成分が一定以上大きな周波数が存在し、該周波数が所定の周波数範囲に収まっているときをパターン3とし、
    前記周波数が所定の周波数範囲に収まっていないときをパターン4とし、
    前記選択工程は、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記サーボモータに流れる電流の波形が、前記パターン1から前記パターン4までのうち、いずれのパターンに適合するかを選択する電流値パターン選択工程を備えていることを特徴とする請求項に記載の異常の生じた部位の推定方法。
  7. 前記被観察値は、前記サーボモータの位置偏差であり、
    前記選択工程では、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記サーボモータの位置偏差の波形が、異常が生じていないときの前記サーボモータの位置偏差の基準波形に対し、その成分が一定以上大きな周波数が存在し、該周波数が所定の周波数範囲に収まっているときをパターン5とし、
    前記周波数が所定の周波数範囲に収まっていないときをパターン6とし、
    前記選択工程は、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記サーボモータの位置偏差の波形が、前記パターン5または前記パターン6のうち、いずれのパターンに適合するかを選択する位置偏差パターン選択工程を備えていることを特徴とする請求項に記載の異常の生じた部位の推定方法。
  8. サーボモータを用いてアームを駆動させるロボットにおける異常の生じた部位の推定を行わせるプログラムであって、
    異常が生じたことを検知する異常検知工程と、
    前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときに、どの部位で異常が生じているかを検出する部位検出工程と
    前記ロボットが繰り返し行う動作における1サイクルごとの動作についての所定の動作で、前記サーボモータに流れる電流値あるいは前記サーボモータの位置偏差を被観察値として推移を観察し、サイクルごとの前記被観察値についての代表値を検出するサイクル被観察値検出工程と、
    サイクルごとに検出される前記被観察値についての代表値から日ごとの前記被観察値についての代表値を検出する日毎被観察値検出工程と、
    をコンピュータに実行させ
    前記異常検知工程では、日ごとの前記被観察値についての代表値が所定の範囲から外れたときに、異常が生じたことを検知し、
    前記部位検出工程は、複数の種類について検出された日ごとの前記被観察値についての代表値のうちの所定の範囲から外れた値の種類と、前記異常検知工程で異常が生じたと検知されたときの前記被観察値についての波形と、から、前記ロボット内において、異常の生じている部位及び異常の種類を推定する推定工程を備えていることを特徴とする異常の生じた部位の推定を行わせるプログラム。
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