本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。尚、本発明にかかる実施の形態は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。また、以下の実施例および別例を適宜組み合わせることも可能である。
[構成の説明]
(1)全体の構成について
図1に示すように、本実施例のパチンコ機1は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51によって構成の各部を保持する構造を有している。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、ヒンジ53により、板ガラス61が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)52および後述の内枠が、外枠51に対して開閉可能に構成される。また、前枠52の板ガラス61の奥には、内枠に取り付けられた遊技盤2(図2)が配設されている。
前枠52の上部の左右両側には、スピーカ66が配設されており、これらにより遊技音が出力され、遊技の趣向性を向上させる。また、前枠52には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLEDが配設されている。
前枠52の下部には、上皿55と下皿63とが一体的に設けられている。また、下皿63の右方には発射ハンドル64が配設されており、該発射ハンドル64が遊技者により時計回りに回動操作されることによって、図示しない発射装置が作動し、上皿55から供給された遊技球を遊技盤2の遊技領域3に向かって発射する。
下皿63は、上皿55から溢れた賞球を受けるよう構成されており、球抜きレバー(図示せず)が遊技者により操作されることで、下皿63に貯まった遊技球をドル箱に移すことができる。また、上皿55の中央部には、演出ボタン67、ジョグダイヤル68、および決定スイッチ69が設けられている。
本実施例のパチンコ機1は、所謂CR機であって、プリペイドカードの読み書きなどを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が隣接されていると共に、上皿55の右側には、球貸ボタン57、精算ボタン58、および残高表示装置59が設けられている。
なお、図1の39は、前枠52および前記内枠を外枠51にロックするシリンダ錠であり、該シリンダ錠39に所定の鍵を挿入して鍵を時計回りに操作すると、内枠が開放され、反時計回りに操作すると、前枠52が開放される。
また、図2に示すように、遊技盤2には、外レール2a,2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が形成されている。遊技領域3には、その中央部にセンターケース5が装着され、センターケース5の右横には、普通図柄作動ゲート17と第二始動口12とが上下に並んで配設されている。普通図柄作動ゲート17は、遊技球を常時通過可能に設けられており、該普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過すると、普通図柄の当否抽選用の複数種類の乱数が抽出され、抽出された乱数に基づく当否判定(普通図柄抽選)が行われる。第二始動口12は、普通図柄抽選での当選により開放される普通電動役物として構成されており、普通図柄抽選での当選時のみ遊技球が入球可能となっている。
センターケース5の直下には、遊技球を常時入球可能な第一始動口11が配設されている。第一始動口11と前記第二始動口12とに遊技球が入球すると、複数種類の乱数が抽出され、保留記憶として記憶される。そして、保留記憶の消化により、特別図柄(特図とも記載)の変動表示を伴う大当り抽選が行われる。
普通電動役物として構成された第二始動口12は、普通図柄抽選での当選時に、所定の回数にわたり、所定時間の開放が行われる。具体的には、後述する時短モードでない状態(非時短モード時)であれば、一回の当選により約2.6秒の開放が二回行われる。
第二始動口12の下方には、後述する大当り遊技又は小当り遊技の際に開放される特別電動役物からなる大入賞口14が配設されている。また、第一始動口11の左方には、三個の一般入賞口20が配設され、該第一始動口11の右下方には、一個の一般入賞口20が配設されている。さらに、遊技盤2の遊技領域3には多数の遊技釘が植設されており、盤面最下部にはアウト口16が設けられている。
遊技盤2における向かって右下の領域には、複数個のLEDからなる第一特図表示装置9および第二特図表示装置10と、7セグメントの第一特図保留数表示装置18および第二特図保留数表示装置19と、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、7セグメントの普図保留数表示装置8とが設置されている。
図2に示す遊技盤2のセンターケース5には、中央に演出図柄表示装置6(全体の図示は省略)が配設され、該演出図柄表示装置6の表示画面(LCDパネル)では、演出図柄の変動表示等を行うことで大当り抽選の結果を報知する大当り演出が行われる。
こうしたセンターケース5には、演出図柄表示装置6の前方で演出作動される演出可動役物41が配設されている。この演出可動役物41は、演出表示装置42を備えたものであり(図15,16参照)、該演出表示装置42の表示画面(LCDパネル)で演出図柄が表示される。この演出表示装置42は、前記した演出図柄表示装置6に比して画面サイズが小さく、後述する特定の演出(リーチ演出や大当り演出)で演出図柄を表示するものである。以下では、前記演出図柄表示装置6と区別するために、該演出図柄表示装置6をメイン表示装置6とも言うと共に、演出可動役物41の演出表示装置42をサブ表示装置42とも言う。尚、こうした演出可動役物41は、本発明の要部にかかることから、詳細は後述する。
また、センターケース5には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージ等も設けられている。
また、図3に示すように、パチンコ機1の裏側は、遊技盤2を脱着可能に取り付ける内枠70が外枠51に収納された構成となっている。内枠70は、前枠52と同様、一方の側縁(図3に向かって右側)の上下位置が外枠51に設けられたヒンジ53に結合され、開閉可能に設置されている。内枠70には、遊技球流下通過が形成されており、上方(上流)から球タンク71、タンクレール72、及び払出ユニット73が設けられ、払出ユニット73の中に払出装置が設けられている。この構成により、遊技盤2の入賞口に遊技球が入球すると、球タンク71に貯留されている所定個数の遊技球(賞球)が払出装置から払い出され、流下通路を通り上皿55に払い出される。また、払出装置は、球貸ボタン57の操作に応じて遊技球(貸球)を払い出すよう構成されている。
また、パチンコ機1の裏側には、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置、電源基板85が配設されている。主制御装置80、演出図柄制御装置82,およびサブ統合制御装置83は、遊技盤2に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置、および電源基板85は、内枠70に設けられている。尚、図3では発射制御装置が記載されていないが、発射制御装置は、払出制御装置81の奥側(遊技盤2側)に配設されている。
また、球タンク71の右側には、外部接続端子板78が設けられており、外部接続端子板78により、遊技状態や遊技結果を示す信号がホールコンピュータ87(図4参照)へ送られる。
また、本実施例の主制御装置80には、確率設定スイッチ95と設定変更ボタン96が操作可能な位置に設けられている。これら確率設定スイッチ95と設定変更ボタン96とは、予め設定された複数の設定値のなかからいずれか一の設定値を選択してセットするためのものであり、遊技店の管理者や従業員により操作される。ここで、本実施例では、設定値1~6の六種類の設定値が予め設定されており、各設定値には、相互に異なる大当りの当選確率が含まれている(図5参照)。具体的には、設定値1の当選確率が、大当りに当選する確率が最も低く、設定値2から順に当選確率が高くなり、設定値6の当選確率が、最も高い。換言すると、設定値1の当選確率が、遊技者に最も不利であり、設定値2から順に当選確率が有利になっていき、設定値6の当選確率が、最も有利である。
こうした設定値1~6のセット方法を以下に説明する。
上記した管理者が所定の鍵を確率設定スイッチ95に挿入して所定方向(例えば、右方向)に回転させ、この回転させた状態で電源を入れることにより、上記の設定値の変更を行うことができる状態となる。この状態で、管理者が設定変更ボタン96を押圧操作することで、設定値1~6のいずれかを選択できる。詳述すると、設定変更ボタン96を押圧操作する毎に、第一特図保留数表示装置18に「1」~「6」の数値が順番に表示される。そして、所望の数値を第一特図保留数表示装置18に表示することで、当該数値に対応する設定値1~6のいずれかが選択される。こうして選択した状態で、確率設定スイッチ95に挿入した鍵を回転させて初期位置に戻す操作を行うことにより、選択した設定値が確定した状態となり、当該設定値に含まれる大当りの当選確率がセットされる。このようにして、遊技店の管理者や従業員が、パチンコ機1毎に、設定値1~6のいずれかをセットできる。そして、設定値がセットされると、セットされた設定値を示す信号が主制御装置80からサブ統合制御装置83へ送信される。サブ統合制御装置83では、受信した前記信号に示された設定値をRAMに記憶し、電源OFFまで該設定値の情報が保持される。
尚、本実施例では、確率設定スイッチ95と設定変更ボタン96との操作により、設定値を選択してセットする構成としたが、これに限定されるものでなく、他の操作手段を適用することも可能である。例えば、専用のボタンや摘まみを操作することで、設定値の選択とセットとを実行できるものであっても良い。また、本実施例では、設定値1~6を第一特図保留数表示装置18で表示したが、これに限らず、他の表示装置で表示するようにしても良い。又は、音声により設定値を報知したり、所定のLEDの点灯態様によって設定値を報知したりするようにしても良い。
(2)電気的構成について
次に、パチンコ機1の電気的構成について説明する。このパチンコ機1は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するいわゆる中継基板や電源基板等は記載されていない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。また、発射制御装置84と電源基板とにはCPU、ROM、RAMは設けられていないが、これに限るわけではなく、発射制御装置84等にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第一始動口11に入球した遊技球を検出する第一始動口SW11a、第二始動口12に入球した遊技球を検出する第二始動口SW12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動SW17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントSW14a、一般入賞口20に入球した遊技球を検出する一般入賞口SW20a等からの検出信号が入力される。
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。これにより、主制御装置80は、当該パチンコ機1全体の制御を司るよう構成されている。
また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板89を介して接続されている第一特図表示装置9、第二特図表示装置10、第一特図保留数表示装置18、第二特図保留数表示装置19、普通図柄表示装置7、普図保留数表示装置8の表示を制御する。
さらに、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普電役物ソレノイド12bを制御することで第二始動口12の開閉を制御する。
主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力されるほか、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールコンピュータ87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ90を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出SW91の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出SW91の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81は、ガラス枠開放SW76、内枠開放SW77、球切れSW93、払出SW91、および満杯SW92からの信号が入力され、満杯SW92により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合や、球切れSW93により球タンク71に遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力された場合には、払出モータ90を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。また、満杯SW92および球切れSW93も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ90の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81はCRユニット端子板94を介してCRユニット56と交信することで払出モータ90を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出SW91に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。また、CRユニット端子板94は精算表示装置88とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置88には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン57、精算を要求するための精算ボタン58が設けられている。
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠70、前枠52)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
なお、本実施例では遊技球を払出す構成であるが、入賞等に応じて発生した賞球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
発射制御装置84は、発射モータ99を制御して、遊技領域3に遊技球を発射させるものである。この発射制御装置84には、払出制御装置81以外に、発射ハンドル64からの回動量信号、タッチSW98からのタッチ信号、発射停止SW97から発射停止信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止SW97を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。
そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部は、ランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ65を制御する。
また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67、ジョグダイヤル68、および決定スイッチ69が接続されており、遊技者がこれら67~69を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄を表示させる。このように、サブ統合制御装置83、演出図柄制御装置82、および演出図柄表示装置6は、主制御装置80からのデータ及びコマンド(信号、或いは通知)に基づいて、各種演出を実行するよう構成されている。
[動作の説明]
本実施例のパチンコ機1の動作について説明する。
パチンコ機1は、常時入賞が可能な第一始動口11と、上述した普通図柄抽選での当選により一定期間にわたり開放されて、入賞が可能となる第二始動口12とが設けられており、第一,第二始動口11,12への入賞に起因して抽出された乱数によって、大当りと小当りとの当否抽選が行われる。そして、第一始動口11への入球により抽出された乱数を当否抽選する際には、第一特図表示装置9で第一特別図柄の変動表示が行われ、該第一特別図柄を停止表示することで抽選結果が報知される。同様に、第二始動口12への入球により抽出された乱数を当否抽選する際には、第二特図表示装置10で第二特別図柄の変動表示が行われ、該第二特別図柄を停止表示することで抽選結果が報知される。さらに、こうした第一特図表示装置9と第二特図表示装置10での変動表示と並行して、演出図柄表示装置(メイン表示装置)6の表示画面上で、各特別図柄に対応した特別演出図柄を変動表示させた後にこれらを停止表示させ、抽選の結果を報知する演出が行われる。
また、パチンコ機1では、第一,第二始動口11,12への入賞により抽出された乱数(数値データ)が、それぞれ最大四個まで保留記憶として記憶され、第一特図保留数表示装置18と第二特図保留数表示装置19で夫々の保留記憶の数が表示される。そして、この保留記憶が消化されることによって、上述した大当りと小当りとの当否抽選を行う。この当否抽選の結果が大当りであると、第一,第二特図表示装置9,10で大当りを示す図柄を確定表示すると共に、演出図柄表示装置(メイン表示装置)6で大当りを示す演出図柄を確定表示する。さらに、この大当りに伴って、大入賞口14を開閉する開閉ラウンドを所定数繰り返す大当り遊技が実行される。また、前記抽選結果が小当りであると、第一,第二特図表示装置9,10で小当りを示す図柄を確定表示すると共に、演出図柄表示装置6で小当りを示す演出図柄を表示する。さらに、小当りに伴って、大入賞口14を一回開閉する小当り遊技が実行される。
大当り遊技の終了後は、一定期間(所定回数の上記当否抽選が行われるまでの期間)にわたり、当否抽選での大当りの当選確率が上昇する確変モードとなり、また、これと同時に、普通図柄の抽選での当選確率が上昇すると共に、普通図柄の当選時の第二始動口12の開放時間が延長され、さらに普通図柄の変動時間が短縮される時短モードとなる。尚、普通図柄の抽選における当選確率の上昇、第二始動口12の開放時間の延長、および普通図柄の変動時間の短縮などの機能を、電チューサポート(所謂、電サポ)機能とも呼称する。
本実施例のパチンコ機1では、遊技状態が、大入賞口14を閉鎖したままの通常遊技と、該大入賞口14を開閉する大当り遊技および小当り遊技とに大別され、通常遊技状態で、前記確変モードと時短モードとが実行され得る。また、通常遊技状態では、確変モードの一定期間が終了すると、当否抽選での大当りの当選確率が該確変モードよりも低い非確変モードに移行する。同様に、時短モードが終了すると、前記の電サポ機能の無い非時短モードに移行する。尚、本実施例にあって、こうした通常遊技状態を、大当りの当選確率の高低と上記電サポ機能の有無とに関してカテゴリー分けすると、非確変モード/非時短モードの状態、非確変モード/時短モードの状態、確変モード/非時短モードの状態、および確変モード/時短モードの状態、の四種類の状態に分類される。
また、本実施例では、当否抽選での大当りの当選確率が、上述した設定値1~6によって決まる。すなわち、遊技店の管理者が、機台毎に、設定値1~6のいずれかを選択してセットすることにより、夫々の設定値1~6に予め設定された当選確率が有効となり、当該当選確率による当否抽選で大当りか否かの判定が行われる。ここで、各設定値1~6に設定された大当りの当選確率は、図5に示すように、非確変モードで、設定値1が1/300、設定値2が1/280、設定値3が1/260、設定値4が1/240、設定値5が1/220、設定値6が1/200に設定されており、確変モードで、設定値1が1/30、設定値2が1/28、設定値3が1/26、設定値4が1/24、設定値5が1/22、設定値6が1/20に設定されている。これにより、設定値6がセットされた場合に、大当りとなる確率が最も高くなり、設定値1がセットされた場合に、大当りとなる確率が最も低くなる。このように設定値1~6のいずれかをセットすることで、大当りとなる確率が変わることから、セットされた設定値によって出玉率が異なるようになっている。尚、本実施例では、大当りの当選確率を、第一始動口11と第二始動口12とのいずれに入球した場合も同じとしている。
また、本実施例では、当否抽選での小当りの当選確率が、第一始動口11への入賞に伴う第一特別図柄の変動の場合に1/285であり、第二始動口12への入賞に伴う第二特別図柄の変動の場合に1/14である。尚、本実施例にあって、小当りの当選確率は、非確変モードと確変モードとのいずれの場合も同じである。
こうした大当りの当選確率や小当りの当選確率は、本実施例に限らず、適宜設定することができる。大当りの当選確率を、第一始動口11と第二始動口12との入賞で相互に異なるように設定されていても良いし、小当り当選確率を、非確変モードと確変モードとで相互に異なるように設定されていても良い。さらには、前記大当りの当選確率と同様に、相互に異なる複数の小当りの当選確率が各設定値に夫々割り当てられた構成とすることもできる。
また、大当り遊技では、上述したように、大入賞口14を開閉する開閉ラウンドが所定回数繰り返される。本実施例では、一回の大当り遊技で16回の開閉ラウンドが行われる。そして、一回の開閉ラウンドでは、大入賞口14を開放し、所定の閉鎖条件の成立により該大入賞口14を閉鎖する。すなわち、開閉ラウンドの開放状態は、前記閉鎖条件の成立により終了する。この閉鎖条件は、大入賞口14の開放開始から所定の開放制限時間(例えば、28秒)が経過するか、又は、該開放制限時間内で大入賞口14に所定の規定入賞数(例えば、10個)を入賞したかのいずれかを満足することに、設定されている。
また、本実施例のパチンコ機1では、上述したように、第一特図表示装置9と第二特図表示装置10での特別図柄の変動に対応させて、演出図柄表示装置6の画面上で演出表示を実行する。具体的には、前記特別図柄の変動開始に伴って、演出図柄表示装置6で、該特別図柄に対応する特別演出図柄を変動表示し、その後、該特別図柄の変動停止に伴って、該特別図柄の停止態様に対応した図柄態様で該特別演出図柄を停止表示する。このように特別図柄の変動に対応して、演出図柄表示装置6で一連の演出が実行される。さらに、こうした特別図柄の変動に伴って実行される演出では、特別図柄の停止態様によって確定する大当り発生への遊技者の期待感を煽るリーチ演出(通常リーチ演出、ロングリーチ演出、又はSPリーチ演出など)が選択的に表示実行される。
次に、本実施例のパチンコ機1の動作について詳細に説明する。
(1)メインルーチンについて
先ず、主制御装置80におけるメインルーチンを、図6のフローチャートを用いて説明する。メインルーチンは、約2ms周期のタイマ割り込み処理として定期的に実行される。本実施形態では、S10~S70までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS75の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
マイコンによるハード割り込みが実行されると、正常なタイマ割り込みであるか否かが判定される(S10)。この判定で、肯定判定が得られた場合には(S10:Yes)、初期値乱数更新処理(S20)に移行する一方、否定判定が得られた場合には(S10:No)、初期設定の処理(S15)に移行する。S15の処理では、主制御装置80がCPUやI/O等の初期設定を行う。その後、初期値乱数更新の処理(S75)に移行する。
S10で肯定判定が得られた場合には、主制御装置80は、初期値乱数更新処理(S20)、大当り決定用乱数更新処理(S25)、大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)、当り決定用乱数更新処理(S35)、リーチ判定用乱数更新処理(S40)、変動パターン決定用乱数更新処理(S45)を行うことで、各種乱数(数値データ)を更新する。さらに、始動口等の入賞口への遊技球の入賞を検出する入賞確認処理(S50)と、始動口への入賞を契機として大当り抽選を行う当否判定処理(S55)と、大当り遊技や小当り遊技を実行する特別遊技処理(S60)と、遊技者の不正行為を検出する不正監視処理(S65)と、ホールコンピュータ等に各種情報を送信する各出力処理(S70)とを実行する。尚、入賞確認処理(S50)では、始動口11,12、大入賞口14、一般入賞口20に遊技球が入賞する毎に、入賞を示す信号をサブ統合制御装置83に送信する処理も行う。
また、S75では、次のタイマ割り込みが発生してメインルーチンが起動されるまで、初期値乱数の更新を繰り返し行う。
また、上記の初期値乱数更新処理(S20)の初期値乱数は、「0」~「3999」までの4000個の整数をとり、この処理の実行毎に+1されて、該整数の昇順に作成される。尚、初期値乱数が「3999」のときに、この処理が実行された場合には、「0」に戻す。
また、大当り決定用乱数更新処理(S25)の大当り決定用乱数は、前記初期値乱数と同様に、「0」~「3999」までの4000個の整数をとり、この処理の実行毎に昇順に作成される。
ここで、「0」~「3999」の中で大当りとなる整数値が、非確変モードと確変モードとで夫々設定されている。具体的には、設定値1かつ非確変モードの場合に大当りとなる13個の整数値が設定され(大当りの当選確率=1/300)、確変モードの場合に大当りとなる133個の整数値が設定されている(大当りの当選確率=1/30)。
さらに、第一特別図柄で小当りとなる14個の整数値が設定され(小当りの当選確率=1/285)、第二特別図柄で小当りとなる285個の整数値が設定されている(小当りの当選確率=1/14)。尚、こうした小当りとなる整数値は、上記した大当りとなる整数値と異なる値に設定されている。
また、大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)の乱数は、「0」~「59」までの60個の整数をとり、この処理の実行毎に昇順に作成される。また、当り決定用乱数更新処理(S35)の乱数は、「0」~「996」までの997個の整数をとり、この処理の実行毎に昇順に作成される。また、リーチ判定用乱数更新処理(S40)の乱数は、「0」~「228」までの229個の整数をとり、この処理の実行毎に昇順に作成される。また、変動パターン決定用乱数更新処理(S45)の乱数は、「0」~「1020」までの1021個の整数をとり、この処理の実行毎に昇順に作成される。
(2)始動入賞処理について
次に、第一,第二始動口11,12への入賞を検知して、該入賞に応じて保留記憶の生成等を行う始動入賞処理を、図7のフローチャートを用いて説明する。尚、始動入賞処理は、主制御装置80で実行される処理であり、上記のメインルーチンで実行される入賞確認処理(S50)からコールされるサブルーチンとして構成されている。
始動入賞処理では、図7に示すように、第一始動口スイッチ11aの検知信号に基づいて、第一始動口11への遊技球の入賞が発生したか否かを判定する(S100)。そして、肯定判定の場合には(S100:Yes)、S105に移行し、否定判定の場合には(S100:No)、S120に移行する。S105では、第一保留記憶の数が上限値(例えば、4個)に達しているか否かを判定し、肯定判定の場合には(S105:Yes)、S120に移行し、否定判定の場合には(S105:No)、S110に移行する。S110では、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、第一保留記憶として記憶すると共に、第一特図保留数表示装置18の点灯数を1増加させる。さらに、第一保留記憶の増加を示す情報を、サブ統合制御装置83へ送信する。このS110の処理後に、S120に移行する。
S120では、主制御装置80が、第二始動口スイッチ12aの検知信号に基づいて、第二始動口12への遊技球の入賞が発生したか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S120:Yes)、S125に移行し、否定判定の場合には(S120:No)、始動入賞処理を終了する。S125では、第二保留記憶の数が上限値(例えば、4個)に達しているか否かを判定し、肯定判定の場合には(S125:Yes)、始動入賞処理を終了し、否定判定の場合には(S125:No)、S130に移行する。S130では、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、第二保留記憶として記憶すると共に、第二特図保留数表示装置19の点灯数を1増加させる。さらに、第二保留記憶の増加を示す情報を、サブ統合制御装置83へ送信する。このS130の後に、始動入賞処理を終了する。
尚、始動入賞処理は、上述の処理内容に限定されず、他の処理内容とすることも可能である。例えば、第一,第二始動口11,12への遊技球の入賞が発生したか否かを判定して、入賞した場合には、上述した各乱数を抽出し、次に保留記憶の数が上限値に達しているか否かを判定して、上限値に達していない場合に、抽出した各乱数を記憶するようにしても良い。
(3)当否判定処理について
次に、上記の始動入賞確認処理で記憶された第一,第二保留記憶の大当り決定用乱数により、大当りと小当りとの抽選を行う当否判定処理について、図8~図11のフローチャートを用いて説明する。尚、当否判定処理は、メインルーチンから実行される処理である。
当否判定処理では、図8に示すように、主制御装置80が、先ず、特別電動役物の作動中(すなわち、大当り遊技または小当り遊技の実行中)であるか否かを判定する(S150)。そして、肯定判定の場合には(S150:Yes)、当否判定処理を終了し、否定判定の場合には(S150:No)、S155に移行する。S155では、第一,第二特別図柄の変動表示中か否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S155:Yes)、図10のS300に移行し、否定判定の場合には(S155:No)、S160に移行する。S160では、第一,第二特別図柄の確定表示中か否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S160:Yes)、図11のS350に移行し、否定判定の場合には(S160:No)、S165に移行する。
S165では、第二保留記憶があるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S165:Yes)、S170に移行し、否定判定の場合には(S165:No)、S175に移行する。S170では、第二保留記憶の数をデクリメントすると共に、最も古い第二保留記憶を選択し、後述するS190、S195、S205、S210、S215、S225、S230、S235、S240、及びS245等にて参照するために、当該第二保留記憶に記憶された情報(乱数値等の数値データ)を大当り判定用の所定のバッファに移動処理して、S185に移行する。
S175では、第一保留記憶があるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S175:Yes)、S180に移行し、否定判定の場合には(S175:No)、当否判定処理を終了する。S180では、第一保留記憶の数をデクリメントすると共に、最も古い第一保留記憶を選択し、上記S170と同様に、当該第一保留記憶に記憶された情報を大当り判定用の所定のバッファに移動処理して、S185に移行する。尚、本実施例の当否判定処理では、第一保留記憶よりも第二保留記憶を優先して、当否判定の対象とする。そのため、第一保留記憶は、第二保留記憶が無い場合にのみ、当否判定の対象となる。
S185では、確変モードであることを示す確変フラグが1か否かを判定し、肯定判定の場合には(S185:Yes)、S190に移行し、否定判定の場合には(S185:No)、S195に移行する。
S190では、セットされた設定値と確変モードとに対応する当否判定用テーブル(確変テーブル)を選択し、該確変テーブルに基づいて、大当り判定用のバッファに移動された大当り判定用乱数を、大当りか否か判定し、当該大当り判定用乱数に係る保留記憶を消化する。ここで、本実施例では、確変テーブルに基づいて、大当り判定用乱数が、小当りか否かも判定する。このS190の処理後に、図9のS200に移行する。
一方、S195では、セットされた設定値と非確変モードとに対応する当否判定用テーブル(通常テーブル)を選択し、該通常テーブルに基づいて、大当り判定用のバッファに移動された大当り判定用乱数を、大当りか否か判定し、当該大当り判定用乱数に係る保留記憶を消化する。ここで、本実施例では、通常テーブルに基づいて、大当り判定用乱数が、小当りか否かも判定する。このS195の処理後に、図9のS200に移行する。
図9のS200では、S190又はS195の判定結果に基づいて、大当りか否かを判定し、肯定判定の場合には(S200:Yes)、S205に移行し、否定判定の場合には(S200:No)、S220に移行する。
S205では、消化した保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき大当り図柄を決定する。そして、S210に移行する。S210では、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定し、S215に移行する。S215では、大当り遊技のラウンド数、大入賞口の開放パターン、大当り遊技に係る演出時間、及びインターバル時間等を設定し、S250に移行する。
S220では、S190又はS195の判定結果に基づいて、小当りか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S220:Yes)、S225に移行し、否定判定の場合には(S220:No)、S240に移行する。
S225では、消化した保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき小当り図柄を決定し、S230に移行する。S230では、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定し、S235に移行する。S235では、小当り遊技における大入賞口の開放パターンや小当り遊技に係る演出時間などを設定し、S250に移行する。尚、S235では、後述するS245と同様に、確変モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数を示すカウンタや、時短モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数を示すカウンタの更新も行う。
さらに、上記したS220での否定判定により実行されるS240では、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定すると共に、これに先だって、ハズレ図柄を決定する処理を行う。このS240の後に、S245に移行する。S245では、確変モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数を示すカウンタや、時短モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数を示すカウンタの更新などを行う。そして、S250に移行する。尚、本実施例では、S240でハズレ図柄を決定する処理を行うようにしたが、これに限らず、S240の前に、ハズレ図柄を決定する処理を備えた構成であっても良い。
S250では、上記したS170およびS180でデクリメントした保留記憶の数を示す保留数コマンド、特別図柄の変動時間、大当り抽選の結果、および特別図柄の停止態様等を含む変動開始コマンド等をサブ統合制御装置83に送信すると共に、特別図柄の変動を開始させ、当否判定処理を終了する。この変動開始コマンドでは、大当り抽選により消化された保留記憶が、第一始動口11への入賞により生成されたものであるか、第二始動口12への入賞により生成されたものであるかを示しても良い。
尚、サブ統合制御装置83は、こうした変動開始コマンドを受信すると、該コマンドに示された情報(保留記憶数、特別図柄の変動時間、大当り抽選結果、特別図柄の停止態様など)を所定のバッファに記憶する。そして、サブ統合制御装置83は、前記変動開始コマンドの受信に伴って、大当り抽選結果と特別図柄の変動時間とに基づいて、特別図柄の変動に対応する特別演出図柄の変動停止演出とリーチ演出等を決定し、決定した演出を演出図柄表示装置6で表示制御する。
上記した図8のS155において特別図柄の変動中と判定された場合には(S155:Yes)、図10のS300に移行し、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S300:Yes)、S305に移行し、否定判定の場合には(S300:No)、当否判定処理を終了する。S305では、特別図柄の変動表示を終了し、特別図柄の確定図柄(すなわち、上記したS205で決定した大当り図柄、S225で決定した小当り図柄、又はS240で決定したハズレ図柄)を表示させると共に、サブ統合制御装置83に、特別演出図柄の確定表示を実行させる図柄確定コマンドを送信し、本処理を終了する。
また、上記した図8のS160において確定図柄の表示中と判定された場合には(S160:Yes)、図11のS350に移行する。S350では、特別図柄の確定表示の継続時間が終了したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S350:Yes)、S355に移行し、否定判定の場合には(S350:No)には、当否判定処理を終了する。S355では、特別図柄の確定表示を終了し、S360に移行する。S360では、確定表示された特別図柄が大当りになる図柄か否かを判定し、肯定判定の場合には(S360:Yes)、S365に移行すると共に、否定判定の場合には(S360:No)、S410に移行する。S365では、確変モードであることを示す確変フラグを参照すると共に、確変フラグ=1である場合には確変フラグをクリアし(S370)、S375に移行する。S375では、時短モードであることを示す時短フラグを参照すると共に、時短フラグ=1である場合には時短フラグをクリアし(S380)、S390に移行する。その後、状態指定コマンド送信処理(S390)、条件装置作動開始処理(S395)、役物連続作動装置作動開始処理(S400)、大当り開始演出処理(S405)を順次実行することで、大当り遊技の態様を示すコマンドや、大当り遊技の開始を指示するコマンド等をサブ統合制御装置83に送信する等して大当り遊技を開始し、当否判定処理を終了する。
一方、上記のS360での否定判定により実行されるS410では、確変フラグを参照し、該フラグ=1である場合には(S410:Yes)、確変モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数(確変回数)を参照する(S415)。そして、確変回数=0である場合には(S415:Yes)、確変フラグをクリアし(S420)、S425に移行する。S425では、時短フラグを参照し、該フラグ=1である場合には(S425:Yes)、時短モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数(時短回数)を参照する(S430)。そして、時短回数=0である場合には(S430:Yes)、時短フラグをクリアし(S435)、S440に移行する。S440では、状態指定コマンド送信処理を実行し、S445に移行する。
S445では、確定表示された特別図柄が小当りになる図柄か否かを判定し、肯定判定の場合には(S445:Yes)、S450に移行し、特別電動役物作動開始処理(S450)、小当り開始演出処理(S455)を順次実行することで、小当り遊技の態様を示すコマンドや、小当り遊技の開始を指示するコマンド等をサブ統合制御装置83に送信する等して小当り遊技を開始し、当否判定処理を終了する。また、S445で否定判定の場合(S445:No)には、当否判定処理を終了する。
(4)大当り遊技処理について
次に、大当り遊技の進行を制御する大当り遊技処理について、図12~14のフローチャートを用いて説明する。尚、本処理は、上記のメインルーチンで実行される特別遊技処理(S60)からコールされるサブルーチンとして構成されている。
大当り遊技処理では、図12に示すように、主制御装置80が、先ず、役物連続作動装置の作動中(すなわち、大当り遊技の実行中)であるか否かを判定する(S500)。ここで、肯定判定の場合には(S500:Yes)、S505に移行し、否定判定の場合には(S500:No)、大当り遊技処理を終了する。
S505では、大入賞口14の開放中であるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S505:Yes)、図13のS550に移行し、否定判定の場合には(S505:No)、S510に移行する。S510では、大当り遊技における各開閉ラウンドのインターバル中であるか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S510:Yes)、図13のS570に移行し、否定判定の場合には(S510:No)、S515に移行する。S515では、大当り遊技の終了演出中であるか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S515:Yes)、図14のS600に移行し、否定判定の場合には(S515:No)、S520に移行する。
S520では、大当り遊技における開始演出時間が経過したか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S520:Yes)、S525に移行し、否定判定の場合には(S520:No)、大当り遊技処理を終了する。
S525では、大入賞口14を開放させる大入賞口開放処理を実行する。この大入賞口開放処理では、大入賞口14の開放開始と同期して、一回の開閉ラウンドにおける大入賞口14の最大開放時間として予め設定された上記の開放制限時間(例えば、28秒)の時間消化を開始する。この大入賞口開放処理の後に、大当り遊技処理を終了する。ここで、開放制限時間の時間消化は、開放制限タイマの減算処理により行う。具体的には、開放制限タイマは、開放制限時間(28秒)に相当するカウンタ値が予め設定されており、大当り遊技処理の実行毎に(タイマ割り込み処理毎に)当該カウンタ値を減算する処理を実行し、当該カウンタ値=0となった時点で開放制限時間が経過したとするものである。尚、当然ながら、開放制限時間の計測手段は、こうした開放制限タイマの減算処理に限らず、他の手段を用いることも可能である。
上記のS505の肯定判定により実行される図13のS550では、大入賞口14に入賞した遊技球の数が10個(規定入賞数)となったか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S550:Yes)、S560に移行し、否定判定の場合には(S550:No)、S555に移行する。S555では、上記した開放制限時間の時間消化により該開放制限時間が経過したか否か(すなわち、大入賞口14の開放時間が終了したか否か)を判定する。ここで、肯定判定の場合には(S555:Yes)、S560に移行し、否定判定の場合には(S555:No)、大当り遊技処理を終了する。S560では、大入賞口14を閉鎖させる大入賞口閉鎖処理を実行し、S565に移行する。この大入賞口閉鎖処理では、上記した開放制限時間(開放制限時間のカウンタ値)をリセットする。S565では、大当り遊技の各ラウンドのインターバルを設定する大当りインターバル処理を実行し、大当り遊技処理を終了する。
一方、上記のS510の肯定判定により実行されるS570では、大当り遊技のインターバル時間が経過したか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S570:Yes)、S575に移行し、否定判定の場合には(S570:No)、大当り遊技処理を終了する。S575では、最終ラウンド(16ラウンド)の終了か否かを判定し、肯定判定の場合には(S575:Yes)、S580に移行し、否定判定の場合には(S575:No)、S585に移行する。S580では、大当り遊技を終了させる際の演出を行う大当り終了演出処理を実行し、大当り遊技処理を終了する。
S585の大入賞口開放処理では、大入賞口14を開放させる処理を実行すると共に、今回の大入賞口14の開放により開始される開閉ラウンドが最終ラウンド(16ラウンド目)であるか否かを判定する処理を実行して、最終ラウンド開始の場合に、最終ラウンド開始を示すコマンドをサブ統合制御装置83に送信する。このS585の後に、大当り遊技処理を終了する。
また、上記のS515の肯定判定により実行される図14のS600では、終了演出の時間が終了したか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S600:Yes)、S605に移行して、該S605とS610とを順次実行する一方、否定判定の場合には(S600:No)、大当り遊技処理を終了する。S605とS610とでは、役物連続作動装置と条件装置とを停止させ、S615に移行する。S615では、大当り遊技後に確変モードに移行するか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S615:Yes)、確変モード中に実行可能な大当り抽選の回数(確変回数)を設定し(S620)、確変フラグをセットし(S625)、S630に移行する。S630では、大当り遊技後に時短モードに移行するか否かを判定し、肯定判定の場合には(S630:Yes)、時短モード中に実行可能な大当り抽選の回数(時短回数)を設定すると共に(S635)、時短フラグをセットし(S640)、S645に移行する。S645とS650とでは、サブ統合制御装置83に対して、大当り遊技に関する演出を終了させる大当り終了コマンドを送信する処理と、状態指定コマンド送信処理とを実行し、大当り遊技処理を終了する。
[要部の説明]
本発明の要部について説明する。
(1)構造の説明
本実施例の構成は、前述したように、演出図柄表示装置(メイン表示装置)6の表示画面の前面側で演出作動する演出可動役物41を備えた構成である。演出可動役物41は、矩形状の演出表示装置(サブ表示装置)42と該サブ表示装置42に連結された可動アーム43とから構成されており(図16参照)、役物駆動装置44により作動する。演出表示装置42は、演出図柄制御装置82を介してサブ統合制御装置83により制御される一方、役物駆動装置44は、サブ統合制御装置83により制御される(図4参照)。ここで、役物駆動装置44は、図示しないステッピングモータとラック・アンド・ピニオン機構とを備え、該ステッピングモータが前記サブ統合制御装置83により駆動制御されるものである。すなわち、本実施例では、サブ統合制御装置83が役物駆動装置44のステッピングモータを駆動制御することによって、演出可動役物41を作動させる。
演出可動役物41は、サブ表示装置42がメイン表示装置6の下方に格納される退避位置(図15(A))と、該サブ表示装置42の上部がメイン表示装置6の下部に重なる(サブ表示装置42の上部がメイン表示装置6の下部前方を遮蔽する)演出待機位置(図15(B))とに位置変換作動されると共に、該演出待機位置を起点および終点とする所定の演出動作パターンに従って、メイン表示装置6の前面側で演出作動される(図16参照)。
前記退避位置は、図15(A)に示すように、演出可動役物41のサブ表示装置42の上端部がセンターケース5の下部開口縁の直上に位置して、該上端部のみがセンターケース5の開口から露出し、該上端部を除く該サブ表示装置42の大部分が隠れた位置である。この退避位置にある演出可動役物41は、機台前方からサブ表示装置42の上端部のみが視認可能となる。一方、前記演出待機位置は、図15(B)に示すように、前記退避位置の直上位置であり、演出可動役物41のサブ表示装置42の上部がメイン表示装置6の下端部に重なって、該サブ表示装置42の大部分がセンターケース5の開口から露出する。この演出待機位置にある演出可動役物41は、機台前方からサブ表示装置42の大部分が視認可能となる。
前記演出動作パターンは、演出可動役物41を前記演出待機位置から作動開始させて該演出待機位置で作動終了させる一連の演出作動を実行させる。すなわち、演出待機位置は、演出動作パターンによる演出作動の起点および終点である。
ここで、本実施例の構成では、演出可動役物41を、サブ表示装置42がメイン表示装置6の中央部前方に重なる演出位置(図16)へ演出待機位置から昇動させ、その後に該演出待機位置へ降動させる演出作動を行う演出動作パターンが設定されている。
また、演出可動役物41のサブ表示装置42は、前記演出図柄制御装置82を介してサブ統合制御装置83により制御されて、演出図柄を表示するものである。すなわち、サブ統合制御装置83が、サブ表示装置42で演出図柄を表示するためのデータ及びコマンドを演出図柄制御装置82に送信すると、該演出図柄制御装置82が該データ及びコマンドに基づいてサブ表示装置42を制御して、該サブ表示装置42の表示画面で演出図柄を表示させる。
(2)演出可動役物41の作動について
本実施例の構成にあって、電源OFFの状態では、前記演出可動役物41を前記退避位置とする。そして、機台の電源ONの状態で、未消化の保留記憶が無く且つ特別図柄が変動しておらず且つ大当り遊技が実行されていない場合(以下、非遊技演出状態という)には、演出可動役物41を前記退避位置で保持する。すなわち、非遊技演出状態では、電源OFFの状態と同じ退避位置で演出可動役物41を保持する。この非遊技演出状態で前記始動口11,12に遊技球が入球すると(未消化の保留記憶が生ずると)、演出可動役物41を退避位置から演出待機位置へ位置変換し、次に前記非遊技演出状態となるまで該演出待機位置で停留させる。このように非遊技演出状態で未消化の保留記憶が発生してから次に非遊技演出状態となるまでを、遊技演出状態と言う。すなわち、遊技演出状態は、電源ONの状態で特別図柄の変動中または大当り遊技の実行中である。ここで、特別図柄の変動と次の該変動との合間等のように、前記特別図柄を変動しておらず且つ大当り遊技が実行されていない状況であっても、未消化の保留記憶を有していれば、遊技演出状態に含まれる。つまり、未消化の保留記憶を有している状態では、特別図柄の変動が終了してから次に未消化の保留記憶の消化により特別図柄の変動が開始されるまでの、所定時間に亘る非変動時間にあっても、後述するように遊技演出フラグ=1が維持されて前記遊技演出状態とするように構成されている。
このように非遊技演出状態では、演出可動役物41を電源OFF状態と同じ退避位置で保持し、始動口11,12への遊技球入球により未消化の保留記憶が発生すること(保留記憶数が0個から1個になること)を条件として、該演出可動役物41を退避位置から演出待機位置へ位置変換させる。そして、遊技演出状態で演出可動役物41を演出待機位置で停留させ、次に該遊技演出状態から非遊技演出状態に変換することを条件として、該演出可動役物41を演出待機位置から退避位置へ位置変換させる。
尚ここで、退避位置から演出待機位置へ位置変換される前記条件としては、非遊技演出状態で始動口11,12へ遊技球が入球すること、又は該入球に伴って特別図柄が変動開始することとしても、実質的に同じであることから、いずれを用いても良い。
また、本実施例の構成では、前記特別図柄の変動中(遊技演出状態)に実行される特殊なリーチ演出(例えば、SPリーチ演出)で、演出可動役物41を前記演出動作パターンに従って演出作動させる。すなわち、前記SPリーチ演出の実行決定を条件として、演出動作パターンによる演出可動役物41の演出作動を実行する。ここで、SPリーチ演出で実行される演出動作パターンは、該リーチ演出の開始に伴って演出可動役物41を前記演出待機位置から前記演出位置へ移動させて保持して(図16)、当該リーチ演出の終了に伴って該演出位置から演出待機位置へ戻す一連の演出作動を実行させる。そして、演出可動役物41が前記演出位置にある場合に、該演出可動役物41のサブ表示装置42ではSPリーチ演出にかかる演出図柄をサブ表示装置42で表示する。これにより、SPリーチ演出を一層盛り上げることができる。例えば、特別図柄の変動に伴ってメイン表示装置6での変動表示される三個の特別演出図柄のうち、一の特別演出図柄を前記演出可動役物41で隠し、サブ表示装置42で様々な演出図柄を表示することによって(図20参照)、大当りを期待する遊技者の感情を効果的に刺激でき、リーチ演出の興趣を一層向上できる。
さらに、大当り遊技中(前記遊技演出状態)に、演出可動役物41を前記演出動作パターンに従って演出作動させる。すなわち、大当り遊技の実行開始を条件として、演出動作パターンによる演出可動役物41の演出作動が実行される。ここで、大当り遊技中に実行される演出動作パターンは、大当り遊技の開始に伴って演出可動役物41を前記演出待機位置から前記演出位置へ移動させて保持して(図16)、当該大当り遊技の終了に伴って該演出位置から演出待機位置へ戻る一連の演出作動を実行させる。そして、演出可動役物41が前記演出位置で、大当り遊技の演出にかかる演出図柄をサブ表示装置42で表示する。これにより、大当り遊技中の演出を一層盛り上げることができる。例えば、メイン表示装置6で表示する大当り遊技中の演出表示と連動する演出を、サブ表示装置42で表示したり、大当り遊技後に確変遊技状態へ移行するか否かを予告する演出をサブ表示装置42で表示したりすることができる。
こうしたSPリーチ演出(特殊なリーチ演出)または大当り遊技の演出は、前記遊技演出状態で複数回実行される場合があることから、前記条件(SPリーチ演出の実行決定、または大当り遊技の実行開始)が成立する毎に、演出可動役物41を演出待機位置から演出位置へ移動して戻す一連の演出作動が実行される。そして、この一連の演出作動は、前述したように、演出待機位置を起点および終点とする作動である。
次に、演出可動役物41を退避位置と演出待機位置とに位置変換させる作動について説明する。
本実施例では、前記演出可動役物41を退避位置と演出待機位置とに位置変換させる待機動作パターンが複数設定されており、各待機動作パターンによって、相互に異なる作動態様で前記演出可動役物41が退避位置と演出待機位置とに位置変換される。そして、これら複数の待機動作パターンのなかから、前記設定値1~6に応じて一の待機動作パターンが選択され、選択された待機動作パターンに従って演出可動役物41を位置変換作動させるようにしている。
本実施例にあっては、図17に示すように、5種類の第一~第五待機動作パターンが設定されている。ここで、第一待機動作パターンは、演出可動役物41を、予め設定された通常作動速度で退避位置から演出待機位置へ昇動させると共に、該通常作動速度で演出待機位置から退避位置へ降動させる(通常速度作動態様)。また、第二待機動作パターンは、演出可動役物41を、前記通常作動速度に比して低速の低作動速度で退避位置から演出待機位置へ昇動させると共に、該低作動速度で演出待機位置から退避位置へ降動させる(低速作動態様)。また、第三待機動作パターンは、演出可動役物41を、前記通常作動速度に比して高速の高作動速度で退避位置から演出待機位置へ昇動させると共に、該高作動速度で演出待機位置から退避位置へ降動させる(高速作動態様)。また、第四待機動作パターンは、演出可動役物41を、退避位置から演出待機位置まで、昇動と一時停止とを繰り返す断続作動により位置変換させると共に、演出待機位置から退避位置まで、降動と一時停止とを繰り返す断続作動により位置変換させる(断続作動態様)。また、第五待機動作パターンは、演出可動役物41を、退避位置から演出待機位置まで左右に揺動させながら昇動させて位置変換させると共に、演出待機位置から退避位置まで左右に揺動させながら降動させて位置変換させる(揺動作動態様)。
尚、第一~第五待機動作パターンは、前述のように退避位置と演出待機位置とへの変換作動が異なるものの、SPリーチ演出中または大当り遊技中に前記演出位置(図16)で演出可動役物41を保持することは同じである。
そして、こうした第一~第五待機動作パターンによる演出可動役物41の作動態様によって、セットされている設定値1~6を示唆する。
具体的には、第一待機動作パターンは、設定値2~6がセットされている場合に選択可能となっており、該第一待機動作パターンにより演出可動役物41が退避位置と演出待機位置とに位置変換作動した場合には、設定値2~6のいずれかがセットされていることを示唆する。
第二待機動作パターンは、奇数の設定値1,3,5がセットされている場合に選択可能となっており、該第二待機動作パターンにより演出可動役物41が位置変換作動した場合には、奇数の設定値がセットされていることを示唆する。
第三待機動作パターンは、偶数の設定値2,4,6がセットされている場合に選択可能となっており、該第三待機動作パターンによる位置変換作動が実行された場合には、偶数の設定値がセットされていることを示唆する。
第四待機動作パターンは、設定値4~6がセットされている場合に選択可能となっており、該第四待機動作パターンによる位置変換作動が実行された場合には、設定値4~6のいずれかがセットされていることを示唆する。
第五待機動作パターンは、設定値6がセットされている場合に選択可能となっており、該第五待機動作パターンによる位置変換作動が実行された場合には、設定値6がセットされていることを示唆する。
ここで、前記第一~第五待機動作パターンは、各設定値1~6において有効とする夫々の選択確率に従って選択される。
設定値1がセットされている場合には、前記第二待機動作パターンを選択する確率が100%であり、他の待機動作パターンが選択されない。
設定値2がセットされている場合には、前記第一待機動作パターンを選択する確率が40%、前記第三待機動作パターンを選択する確率が60%である。
設定値3がセットされている場合には、前記第一待機動作パターンを選択する確率が40%、前記第二待機動作パターンを選択する確率が60%である。
設定値4がセットされている場合には、前記第一待機動作パターンを選択する確率が40%、前記第三待機動作パターンを選択する確率が40%、前記第四待機動作パターンを選択する確率が20%である。
設定値5がセットされている場合には、前記第一待機動作パターンを選択する確率が40%、前記第二待機動作パターンを選択する確率が40%、前記第四待機動作パターンを選択する確率が20%である。
設定値6がセットされている場合には、前記第一待機動作パターンを選択する確率が30%、前記第三待機動作パターンを選択する確率が40%、前記第四待機動作パターンを選択する確率が20%、前記第五待機動作パターンを選択する確率が10%である。
(3)サブ統合制御装置83による演出可動役物41の作動制御について
サブ統合制御装置83は、前記第一~第五待機動作パターンにより演出可動役物41を退避位置と演出待機位置とに位置変換させる待機作動制御処理と、SPリーチ演出と大当り演出とで演出可動役物41を演出作動させる演出作動制御処理とを実行する。
図18は、前記待機作動制御処理のフローチャートである。この待機作動制御処理は、サブ統合制御装置83で定期的(例えば、2ms周期のタイマ割り込み処理)に実行される。
待機作動制御処理は、S800で遊技演出フラグ=1か否かを判定する。肯定判定の場合には(S800:Yes)、S850へ移行し、否定判定の場合には(S800:No)、S805に移行する。ここで、遊技演出フラグは、後述するS810とS865とにより変換され、遊技演出フラグ=1が前記した遊技演出状態を示し、遊技演出フラグ=0が前記した非遊技演出状態を示す。
S805では、未消化の保留記憶が生成されたか否か(換言すると、保留記憶数が0個から1個になったか否か)を判定する。肯定判定の場合には(S805:Yes)、S810へ移行し、否定判定の場合には(S805:No)、待機作動制御処理を終了する。ここで、S805は、前記遊技演出フラグ=0の場合(非遊技演出状態)で実行される処理であり、前述した始動入賞処理により主制御装置80から受信した情報(前記第一,第二保留記憶の増加を示す情報)に基づいて判定する。
S810では、遊技演出フラグ=1とし、S815へ移行する。S815では、待機動作パターン決定処理を実行する。この待機動作パターン決定処理は、前記した第一~第五待機動作パターンのなかから、セットされている設定値1~6と前記選択確率(図17参照)とに従って、一の待機動作パターンを決定して有効とする処理である。
ここで、セットされている設定値1~6の情報は、前述したように、電源投入時に主制御装置80から送信され、サブ統合制御装置83でRAMに記憶されている。そのため、サブ統合制御装置83は、少なくとも電源が入っている状態ではRAMに記憶された設定値を随時確認できる。
S820では、待機作動処理を実行する。この待機作動処理では、前記S815で有効とした待機動作パターンに従って、前記役物駆動装置44を駆動制御することにより、演出可動役物41を退避位置から演出待機位置へ位置変換作動させる(図15参照)。
ここで、役物駆動装置44は、演出可動役物41を演出待機位置へ移動させた状態で駆動停止される。そのため、演出可動役物41は、次に役物駆動装置44が駆動されるまで、演出待機位置で停留する。
前記S800の肯定判定により移行するS850では、未消化の保留記憶があるか否かを判定する。肯定判定の場合には(S850:Yes)、待機作動制御処理を終了し、否定判定の場合には(S850:No)、S855へ移行する。
ここで、未消化の保留記憶があるか否かの判定は、前記した始動入賞処理により主制御装置80から送信された情報(第一,第二保留記憶の増加を示す情報)と前記した当否判定処理により主制御装置80から送信された変動開始コマンドに記された保留記憶数とに基づいて行われる。
S855では、特別図柄が変動中か否かを判定する。肯定判定の場合には(S855:Yes)、待機作動制御処理を終了し、否定判定の場合には(S855:No)、S860へ移行する。
ここで、特別図柄の変動中か否かの判定は、前記した当否判定処理により主制御装置80から送信された変動開始コマンドと図柄確定コマンドとに基づいて行われる。
S860では、大当り遊技中か否かを判定する。肯定判定の場合には(S860:Yes)、待機作動制御処理を終了し、否定判定の場合には(S860:No)、S865へ移行する。
ここで、大当り遊技中か否かの判定は、前記した当否判定処理により主制御装置80から送信された大当り遊技開始のコマンドと前記した大当り遊技処理により主制御装置80から送信された大当り終了コマンドとに基づいて行われる。
S865では、遊技演出フラグ=0として、S870に移行する。S870では、前記S815で有効とした一の待機動作パターンを確認する処理を行い、S875へ移行する。
S875では、退避作動処理を実行する。この退避作動処理では、前記S870で確認した待機動作パターン(S815で有効とした待機動作パターン)に従って、前記役物駆動装置44を駆動制御することにより、演出可動役物41を演出待機位置から退避位置へ位置変換作動させる。ここで、役物駆動装置44は、演出可動役物41を退避位置へ移動させた状態で駆動停止される。そのため、演出可動役物41は、次に役物駆動装置44が駆動されるまで、退避位置で保持される。
さらに、S875では、役物駆動装置44の駆動制御後に、S815で有効とした待機動作パターンを無効とする。これにより、次に遊技演出フラグ=1になった際には、新たに待機動作パターンが選択されて有効とされる。
次に、前記した演出作動制御処理を、図19のフローチャートを用いて説明する。この演出作動制御処理は、サブ統合制御装置83で定期的(例えば、2ms周期のタイマ割り込み処理)に実行される。
演出作動制御処理は、S900で遊技演出フラグ=1か否かを判定する。肯定判定の場合には(S900:Yes)、S905へ移行し、否定判定の場合には(S900:No)、演出作動制御処理を終了する。
S905では、SPリーチ演出の開始タイミングとなったか否かを判定する。肯定判定の場合には(S905:Yes)、S910へ移行し、否定判定の場合には(S905:No)、S920へ移行する。
ここで、サブ統合制御装置83は、主制御装置80から前記変動開始コマンドを受信すると、図示しない特別演出表示処理により、該変動開始コマンドに含まれる情報(SPリーチ演出の実行決定情報、特別図柄の変動時間情報など)に基づいて特別演出図柄の変動表示態様を決定し、この変動表示態様に従って、メイン表示装置(演出図柄表示装置)6で特別演出図柄の変動開始から停止に至る一連の演出を表示させる。そして、前記SPリーチ演出を実行する場合には、この特別演出図柄の変動表示態様に前記SPリーチ演出の演出態様も含まれることから、当該特別演出図柄の変動表示態様に基づいて、該SPリーチ演出の開始タイミングを確認できる。
S910では、SPリーチ演出作動処理を実行する。SPリーチ演出作動処理では、前記演出動作パターンに従って前記役物駆動装置44を駆動制御することにより、演出可動役物41を演出作動させる。これにより、前述したように、演出可動役物41を、SPリーチ演出の開始に伴って演出待機位置から演出位置へ移動させて保持し、当該SPリーチ演出の終了に伴って該演出位置から演出待機位置へ戻すという一連の演出作動が実行される。
このS910の後に、演出作動制御処理を終了する。
前記S905の否定判定により移行するS920では、大当り遊技の開始タイミングとなったか否かを判定する。肯定判定の場合には(S920:Yes)、S925へ移行し、否定判定の場合には(S920:No)、演出作動制御処理を終了する。ここで、大当り遊技の開始タイミングは、前記した当否判定処理により主制御装置80から送信された大当り遊技開始のコマンドにより確認できる。
S925では、大当り演出作動処理を実行する。大当り演出作動処理では、前記演出動作パターンに従って前記役物駆動装置44を駆動制御することにより、演出可動役物41を演出作動させる。これにより、前述したように、演出可動役物41を、大当り遊技の開始に伴って演出待機位置から演出位置へ移動させて保持し、当該大当り遊技の終了に伴って該演出位置から演出待機位置へ戻すという一連の演出作動が実行される。
このS925の後に、演出作動制御処理を終了する。
(4)演出可動役物41の作動態様について
演出可動役物41を退避位置と演出待機位置とに位置変換させる作動態様と、該演出可動役物41を演出位置へ移動させる演出作動の作動態様とについて、遊技の進行に従って説明する。
パチンコ機1の電源投入により電源ON状態となった場合には、図20(A)のように、演出可動役物41が、電源OFF時と同じ退避位置で保持される。そして、遊技者が遊技を行っていない状態は、前記非遊技演出状態(遊技演出フラグ=0)であることから、演出可動役物41が前記退避位置で保持される。尚、遊技者が遊技を行っていない状態(非遊技演出状態)では、メイン表示装置6で客待ちデモ画像109が表示される。
遊技者が発射ハンドル64の回動操作を開始することによって、遊技が開始されると、該発射ハンドル64の回動操作に伴って遊技球が発射されて、該遊技球が遊技領域3を転動流下する。このように遊技球が発射されている場合でも、遊技球が第一始動口11または第二始動口12に入球しなければ、前記非遊技演出状態であるため、図20(A)に示す前記退避位置で演出可動役物41が保持される。
前記発射ハンドル64の回動操作により発射された遊技球が、第一始動口11または第二始動口12に入球すると、前記した保留記憶が生成される(始動入賞処理)。これに伴って、非遊技演出状態から遊技演出状態へ変換され(遊技演出フラグ=1)、図20(B)に示すように演出可動役物41が前記退避位置から演出待機位置へ位置変換する。さらに、前記保留記憶が消化されて、特別図柄が変動開始されると共にメイン表示装置(演出図柄表示装置)6で特別演出図柄101a~101cが変動表示される。尚、こうした特別図柄の変動中に始動口11,12へ遊技球が入球すると、保留記憶が生成され、メイン表示装置6で未消化の保留記憶の保留数を示す保留図柄105が表示される。この保留図柄105の表示数によって、未消化の保留記憶の保留数が報知される。
ここで、当該パチンコ機1には、例えば設定値4がセットされていると、該設定値4と前記選択確率(図17参照)とにより有効とした一の待機動作パターンに従って、演出可動役物41が退避位置から演出待機位置へ位置変換作動される。第四待機動作パターンを有効とした場合には、演出可動役物41が、退避位置から演出待機位置まで、昇動と一時停止とを繰り返す断続作動態様により位置変換される。こうした演出可動役物41の断続作動態様によって、設定値4~6のいずれかがセットされていることを示唆する。
前記特別演出図柄101a~101cの変動開始後に、図20(C)に示すように、メイン表示装置6で特別演出図柄101a,101cが停止表示されてリーチとなると、リーチ演出が実行される。ここで、SPリーチ演出を実行する場合には、図20(D)に示すように、前記演出動作パターンに従って演出可動役物41を演出退避位置から演出位置へ移動させる演出作動が実行される。そして、演出可動役物41は、SPリーチ演出中に前記演出位置で保持され、サブ表示装置42では、メイン表示装置6での演出表示に連動するような演出図柄109が表示される。こうした演出可動役物41の演出作動と該演出可動役物41のサブ表示装置42での演出表示とによって、SPリーチ演出を盛り上げ、遊技の興趣を向上させる。
前記SPリーチ演出が終了すると、図21(A)に示すように、演出可動役物41が前記演出作動により演出位置から演出待機位置へ位置変換する。そして、特別演出図柄101bが、特別演出図柄101a,101cと異なる図柄で停止表示すると、ハズレが確定する。
特別図柄の停止時に未消化の保留記憶がある場合には、該特別図柄のハズレ確定に伴って、未消化の保留記憶が消化されて、図21(B)に示すように特別演出図柄101a~101cの変動表示(特別図柄の変動)が開始される。ここで、特別図柄のハズレ確定時に未消化の保留記憶がある場合には、遊技演出状態(遊技演出フラグ=1)が維持され、演出可動役物41が演出待機位置で停留される。
このように未消化の保留記憶がある場合には、特別図柄がハズレ確定する毎に保留記憶が消化されて、特別図柄の変動が繰り返し実行される。そして、特別図柄の変動中に前記SPリーチ演出が実行される場合には、演出可動役物41が演出待機位置を起点および終点とする演出作動が実行される。また、特別図柄の変動中にSPリーチ演出が実行されない場合には、前記演出作動が実行されずに、演出可動役物41が前記演出待機位置で停留する。
一方、特別図柄の停止(特別演出図柄101a~101cの停止表示)によりハズレ確定した際に未消化の保留記憶が無い場合には、遊技演出状態から非遊技演出状態へ変換され(遊技演出フラグ=0)、図21(C)~(D)に示すように、演出可動役物41が前記演出待機位置から退避位置へ位置変換する。そして、非遊技演出状態では、演出可動役物41を退避位置で保持する。尚、退避位置へ位置変換した後に所定時間経過すると、メイン表示装置6で前記客待ちデモ画像109が表示される。
ここで、演出可動役物41は、前記した遊技演出状態となった際に有効とされた第四待機動作パターンに従って、演出待機位置から退避位置まで前記断続作動態様により位置変換される。本実施例では、遊技演出状態から非遊技演出状態への変換時にも、演出可動役物41の断続作動態様によって、設定値4~6のいずれかがセットされていることを示唆する。
また、特別図柄の停止(特別演出図柄101a~101cの停止表示)により大当りが確定すると、前述した大当り遊技が開始される。この大当り遊技の開始に伴って、演出可動役物41を前記演出動作パターンに従って演出作動させる。そして、演出可動役物41は、大当り遊技中に前記演出位置で保持され、サブ表示装置42では、メイン表示装置6で表示される大当り遊技用の演出表示に連動する演出が表示される。こうした演出可動役物41の演出作動と該演出可動役物41のサブ表示装置42での演出表示とによって、大当り遊技を盛り上げ、遊技の興趣を向上させる。この後に大当り遊技が終了すると、演出可動役物41が前記演出作動により演出位置から演出待機位置へ位置変換する。
こうした大当り遊技の終了時には、通常、該大当り遊技中に発射される遊技球が始動口11,12へ入球することにより未消化の保留記憶が貯まっていることから、遊技演出状態が継続されて、演出可動役物41が演出待機位置で停留する。尚、大当り遊技終了時に未消化の保留記憶が無い場合には、遊技演出状態から非遊技演出状態に変換されて、演出可動役物41が前記演出待機位置から退避位置へ位置変換する。
また、前述したように遊技演出状態から非遊技演出状態となった後に、遊技球が第一始動口11または第二始動口12に入球した新たな保留記憶が生成されると、再び遊技演出状態となって演出可動役物41が退避位置から演出待機位置へ位置変換作動される。ここで、遊技演出状態となる際には、前述したように設定値4と選択確率とにより待機動作パターンが選択され、選択された待機動作パターンに従って演出可動役物41が位置変換作動される。すなわち、設定値がセットされた同一の機台であっても、非遊技演出状態から遊技演出状態となる毎に、セットされた設定値と選択確率により待機動作パターンが選択されることから、演出可動役物41が、異なる作動態様により退避位置と演出待機位置とに位置変換作動することがある。例えば、先の非遊技演出状態と遊技演出状態との変換時には、第四待機動作パターンにより演出可動役物41が位置変換作動したが、次の該変換時に第三待機動作パターンが選択される場合には、該第三待機動作パターンに従って演出可動役物41が位置変換作動する。このように異なる待機動作パターンにより演出可動役物41が退避位置と演出待機位置とに位置変換作動すると、遊技者は、セットされている設定値を推測し易くなる場合があり得る。
[実施例の特徴]
実施例の構成は、演出可動役物41を、非遊技演出状態で電源OFF時と同じ退避位置に保持する一方、遊技演出状態で該退避位置の上方に位置する演出待機位置に停留させて、SPリーチ演出と大当り遊技演出とで該演出待機位置を起点および終点する演出動作パターンに従って演出作動させるものである。かかる構成にあっては、演出可動役物41を、SPリーチ演出や大当り演出として行う演出作動だけでなく、非遊技演出状態と遊技演出状態とに変換される際に退避位置と演出待機位置とに位置変換作動させることから、演出可動役物41の作動機会が増える。そのため、機台全体としての演出を賑やかにすることができる。
ここで、前記SPリーチ演出や大当り遊技演出は、これらの実行される確率が比較的低いことから、遊技者の遊技中に実行されない場合があり、演出可動役物41の演出作動による興趣を該遊技者が享受できないこともあり得る。一方、第一始動口11または第二始動口12に入球する可能性は、前記したSPリーチ演出や大当り遊技演出の実行確率に比して極めて高いことから、演出可動役物41の退避位置と演出待機位置との位置変換作動を、遊技者は極めて高確率で視認できる。こうしたことから、演出可動役物41が演出作動しない状況であっても、該演出可動役物41の退避位置と演出待機位置とへの位置変換作動によって、遊技の興趣を向上できる。
また、本実施例にあっては、特別図柄の変動や大当り遊技が実行される遊技演出状態でのみ、演出可動役物41が演出待機位置にあることから、非遊技演出状態で遊技中の遊技者に、該演出可動役物41の演出待機位置への位置変換を望む感情を想起させることができ、該遊技者に一層積極的な遊技球発射を促すことができる。さらに、本実施例の構成では、前記退避位置と演出待機位置とに位置変換する演出可動役物41の作動態様によって、セットされた設定値1~6を示唆することから、前記非遊技演出状態での遊技球発射を遊技者に一層促すことができる。そして、稼動していない機台に対しても、設定値の示唆を確認するために、遊技者に取り敢えず遊技をしてみようという感情を想起させ易い。
ここで、本実施例は、退避位置が演出可動役物41の上端部のみ視認可能とする位置である一方、演出待機位置が、該退避位置よりも上方であって、演出可動役物41の大部分を視認可能な一である。すなわち、退避位置にある場合に比して、演出待機位置にある場合に演出可動役物41(サブ表示装置42)の視認性が高い。これにより、遊技者が退避位置と演出待機位置とを一目で判断できることから、前述した演出待機位置に位置変換させてみようというという該遊技者の感情を一層想起させ易い。そのため、機台の稼動率を大きく向上させることができる。
また、前述したように、前記退避位置と演出待機位置とに位置変換する演出可動役物41の作動態様によって、セットされた設定値1~6を示唆することから、SPリーチ演出や大当り遊技演出における演出作動以外でも該演出可動役物41に遊技者の注意を惹き付けることができる。このように非遊技演出状態と遊技演出状態との変換タイミングという、従来は遊技者が注目し難いタイミングで、演出可動役物41の作動態様による新たな面白さを提供できることから、遊技の興趣を一層向上できる。
また、本実施例にあっては、SPリーチ演出や大当り遊技演出での演出可動役物41の演出作動に伴って、該演出可動役物41のサブ表示装置42でメイン表示装置6と連動した演出表示を実行するようにしたから、該演出可動役物41の演出作動による演出効果を一層向上できる。
また、本実施例にあっては、遊技演出状態で演出可動役物41を停留させる演出待機位置がセンターケース5の下部に位置することから、該センターケース5の周囲の狭隘なスペースに該演出可動役物41を停留させることになり得る。しかし、非遊技演出状態では、演出可動役物41が演出待機位置よりも下方の退避位置に保持されることから、前記センターケース5の周囲の狭隘なスペースに余裕を持たせることができる。これにより、センターケース5の周囲の狭隘なスペースに設置された演出可動役物によって他の装置の作動が阻害されるといった前記従来構成の問題を軽減することができる。特に、非遊技演出状態で作動させる他の装置との位置関係を調整すれば、相互の作動を阻害するという前記問題を解決可能である。
また、本実施例にあっては、遊技演出状態で、メイン表示装置6の表示画面下部が演出待機位置の演出可動役物41により死角となるものの、非遊技演出状態ではメイン表示装置6の表示画面に演出可動役物41による死角を生じない。そのため、非遊技演出状態では、メイン表示装置6の表示画面全域で演出表示を実行でき、該演出表示によって十分な演出効果が発揮され得る。詳述すると、非遊技演出状態では、メイン表示装置6の表示画面全域を用いて前記客待ちデモ画像109等を表示できることから、該客待ちデモ画像109によって、例えば、遊技方法の説明や解説などを遊技者に判り易く表示できる。これにより、機台の稼動率向上に寄与できる。また、演出待機位置に停留する演出可動役物41と重なることでメイン表示装置6の表示画面に死角が生じることは、該メイン表示装置6の演出効果を低減させる要因となり得るものの、遊技演出状態のみに限定されることから、該死角による前記演出効果低減を抑制することができる。したがって、演出可動役物によりメイン表示装置に死角が生ずることで演出効果が低減するという前記従来構成の問題を、本実施例の構成によれば抑制することができる。
さらに、前記従来構成では、遊技者による遊技が実行されていない状態(電源OFF時も含む)であっても、演出可動役物の一部がメイン表示装置と重なっていることから、メンテナンス作業などでメイン表示装置の表示画面を清掃する際に、演出可動役物と重なる部分が清掃し難いという問題もあった。これに対して、本実施例の構成では、電源OFF時と非遊技演出状態で演出可動役物41が退避位置にあることから、メンテナンス作業時にメイン表示装置6の表示画面を清掃し易いという優れた利点もある。
また、本実施例の構成は、前述したように、電源OFF時に演出待機位置よりも下方の退避位置で演出可動役物41を保持することから、機台を遊技島に設置する作業や該遊技島から取り外す作業で何らかの要因により演出可動役物41(サブ表示装置42)が可動アーム43や役物駆動装置44から外れて落下する事故が生じたとしても、該落下による衝撃を低減できる。そのため、こうした落下によって演出可動役物41が破損する危険性を低下できるという利点もある。
また、パチンコ機の輸送中には、他の機材や落下物等との衝突によるメイン表示装置6の破損を防止するために、該メイン表示装置6を露出するセンターケース5の開口部に緩衝材を嵌め合わせることが実施されている。ここで、例えば前記従来の、電源OFF時で初期位置や待機位置に保持される演出可動役物がメイン表示装置に部分的に重なる構成では、演出可動役物により前記緩衝材を嵌め合わせ難いことから、該演出可動役物に合わせた専用の緩衝材が必要となっていた。こうした問題に対して、本実施例の構成では、演出可動役物41が演出作動の起点となる演出待機位置よりも下方の退避位置で保持されることから、センターケース5の開口部に、前記緩衝材を嵌め合わせ可能な十分なスペースを確保できる。そのため、緩衝材を容易に取り付け又は取り外し可能であると共に、演出可動役物を備えない機台と同じ緩衝材を使用可能であるという優れた利点もある。
さらに、パチンコ機の輸送中には、他の機材や落下物等との衝突により演出可動役物41(サブ表示装置42)の上部が破損することを防止するために、該演出可動役物41の上部を保護する専用の緩衝材を、演出可動役物41の上部とセンターケース5の上膨出部の下部(又はセンターケース5の開口部下縁など)との間に嵌め合わせることが実施される場合もある。ここで、前述した従来の、電源OFF時に初期位置や待機位置に保持される演出可動役物を備えた構成にあって、該演出可動役物が特定の演出時等に該初期位置や待機位置よりも下方に変位する軌道を有する場合には、構造的に演出可動役物が該初期位置等から下降可能であることから、前記輸送中の振動などにより該演出可動役物が下降してしまうと、嵌め合わされた前記緩衝材が外れてしまい、該演出可動役物に落下物等が衝突する虞があった。こうした問題に対して、本実施例の構成では、電源OFF時に、演出可動役物41が前記演出待機位置よりも下方の退避位置で保持され、該退避位置より下降しないことから、前記輸送中に緩衝材の嵌め合わせが緩くなって外れてしまうことを防止できる。すなわち、本実施例の構成によれば、前述した従来構成における緩衝材の外れという問題の発生を抑制し得るという優れた利点もある。
[特許請求の範囲との対応]
上記の実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲に記載した用語との対応を以下に示す。
パチンコ機1が、遊技機の一例に相当する。
第一特図表示装置9と第二特図表示装置10とが、特別図柄表示装置の一例に相当する。
第一始動口11または第二始動口12への入球(又は、第一,第二保留記憶の消化)が、変動開始条件の一例に相当する。
当否判定処理のS250とS305が、特別図柄制御手段の一例に相当する。
大当り遊技が、特別遊技の一例に相当する。
大当り遊技処理が、特別遊技制御手段の一例に相当する。
サブ統合制御装置83の待機作動制御処理と演出作動制御処理とが、役物作動制御手段の一例に相当する。
待機作動制御処理が、役物退避処理内容および待機作動処理内容の一例に相当する。
演出作動制御処理が、演出作動処理内容の一例に相当する。
大当り当選確率が、当選確率の一例に相当する。
確率設定スイッチ95と設定変更ボタン96が、当選確率セット手段の一例に相当する。
当否判定処理のS165~S200が、当否判定手段の一例に相当する。
第一~第五待機動作パターンが、待機動作パターンの一例に相当する。
待機作動制御処理のS815,S820,S870,S875が、設定示唆作動処理の一例に相当する。
演出可動役物41のサブ表示装置42が、演出表示装置の一例に相当する。
[実施形態の別例について]
以下に、前述した実施例の別例を説明する。
実施例は、退避位置を演出図柄表示装置(メイン表示装置)6の直下とし且つ演出待機位置を該退避位置の直上としたものであるが、これら退避位置と演出待機位置とは適宜設定変更することが可能である。例えば、退避位置をメイン表示装置6の上方とし、該退避位置の直下(演出可動役物41のサブ表示装置42の下端部が該メイン表示装置6の上部に重なる位置)を演出待機位置として設定することができる。又は、退避位置をメイン表示装置6の左方とし、該退避位置の右方位置(サブ表示装置42の右端部が該メイン表示装置6の左部に重なる位置)を演出待機位置として設定しても良い。さらに、退避位置をメイン表示装置6の右方とし、該退避位置の左方位置を演出待機位置として設定しても良い。このように、退避位置を演出可動役物41の一側部がメイン表示装置6に重なる位置とし、且つ演出待機位置を該退避位置の内方とすることができる。こうした構成とすれば、非遊技演出状態では、演出図柄表示装置6から隔離された退避位置で演出可動役物41が保持されることによって、該演出図柄表示装置6での演出表示を妨げることが無いと共に、遊技演出状態では、該退避位置よりも演出図柄表示装置6に近接した演出待機位置で停留させることによって、演出可動役物41のサブ表示装置42での演出表示と演出図柄表示装置6での演出表示とを容易に関連付けることができ、両者の演出表示による演出効果を向上できる。
また、実施例の退避位置は、演出可動役物41のサブ表示装置42の上端部がセンターケース5の開口部から露出する位置として設定したが、これに限らず、退避位置が、該サブ表示装置42の全体を隠す位置(前方から視認不能な位置)として設定しても良い。同様に、演出待機位置にあっても、サブ表示装置42の上端部がメイン表示装置6と重ならない位置としても良い。こうした退避位置や演出待機位置は、前記したメイン表示装置6の上方や左右方とした場合にも、同様に設定可能である。いずれにせよ、退避位置と演出待機位置とは、演出可動役物が該退避位置にある場合に比して、該演出待機位置にある場合に該演出可動役物(サブ表示装置)の視認性が高くなるように夫々定めることが好適である。
実施例は、退避位置と演出待機位置とをセンターケース(メイン表示装置)の周囲に設定した構成であるが、これに限らず、機台の前面側の所定位置に適宜変更して設定することもできる。例えば、退避位置を遊技領域3の右端部に設定すると共に、演出待機位置をセンターケース5の右端部(メイン表示装置6の右側で隣接する部位)に設定することが可能である。そして、この場合には、退避位置で、演出可動役物の全体を視認不能とした構成や、該演出可動役物の一部分を視認可能とした構成とすることが可能である。
このように退避位置と演出待機位置とを定める場合にあっても、前述したように、該退避位置に比して、演出待機位置で演出可動役物の視認性が高くなる構成が好適である。
実施例は、演出待機位置を起点および終点とする演出作動(演出動作パターン)を、演出可動役物41のサブ表示装置42がメイン表示装置6の中央部に重なる一の演出位置へ位置変換される作動に設定したものであるが、これに限らず、適宜変更して設定することができる。例えば、サブ表示装置42がメイン表示装置6の前方で重なる複数の演出位置へ所定順序で位置変換する作動を、演出待機位置を起点および終点とする演出作動として設定することができる。又は、前記した特定の演出位置への移動でなく、メイン表示装置6の前方で所定の道筋に沿って移動する作動を、前記演出作動として設定することもできる。
また、このような複数の演出作動(演出動作パターン)を予め設定し、いずれか一の演出作動が選択的に実行される構成とすることもできる。さらにまた、SPリーチ演出と大当り演出とで異なる演出作動を実行する構成とすることもできる。
実施例では、退避位置と演出待機位置とに位置変換させる第一~第五待機動作パターンにより演出可動役物41を作動させるようにしたが、こうした待機動作パターンは適宜変更して設定できる。例えば、演出可動役物41が上下に揺動しながら位置変換させる待機動作パターンを設定したり、退避位置と演出待機位置とを行きつ戻りつした後に位置変換させる待機動作パターンを設定したりする等できる。さらに、実施例では、五種類の待機動作パターンを設定しているが、三種類や八種類の待機動作パターンを設定した構成とすることも可能である。
また、実施例では、退避位置から演出待機位置への位置変換と演出待機位置から退避位置への位置変換とを同じ作動態様(前記第一~第五待機動作パターン)により実行する構成としたが、これに限らず、演出待機位置への位置変換と退避位置への位置変換とを異なる作動態様により実行する構成としても良い。さらには、演出待機位置への位置変換と退避位置への位置変換とが異なる作動態様と同じ作動態様とを含む構成とすることもできる。このように退避位置から演出待機位置への位置変換と該演出待機位置から退避位置への位置変換とを異なる作動態様により行う場合にあっては、位置変換を実行する都度に、いずれかの作動態様を選択決定する構成としても良い。
ここで、退避位置から演出待機位置への位置変換と該演出待機位置から退避位置への位置変換とを異なる作動態様により行う場合にあっては、一方の作動態様のみにより前記設定値1~6を示唆するようにしても良いし、両方の作動態様により該設定値1~6を示唆するようにしても良い。そして、両方の作動態様により設定値1~6を示唆する場合には、一方の作動態様が他方の作動態様に比して、より高い精度で設定値1~6を示唆するようにすることが好適である。具体的には、退避位置から演出待機位置への作動態様が、演出待機位置から退避位置への作動態様に比して、セットされている設定値1~6を精度良く示唆するようにする。この構成によれば、稼動していない機台で遊技球の発射を促す効果を一層高めることができる。
実施例は、退避位置と演出待機位置とに位置変換させる第一~第五待機動作パターンに、設定値2~6の示唆、奇数の設定値の示唆、偶数の設定値の示唆、設定値4~6の示唆、設定値6の示唆を割り当てた構成であるが、これに限らず、各待機動作パターンに割り当てる設定値の示唆は適宜変更して設定することができる。例えば、設定値1の示唆を割り当てた待機動作パターンや、設定値1~3を割り当てた待機動作パターンなどを含む構成とすることもできる。さらには、待機動作パターンと設定値とが1対1に設定された構成とすることもできる。この構成では、退避位置と演出待機位置との位置変換作動によって、遊技者が設定値を正確に知得できる。
実施例では、前述したように退避位置と演出待機位置とに位置変換させる作動態様によって設定値1~6(大当り当選確率)を示唆する構成としたが、これに限らず、例えば、該位置変換の作動態様とサブ表示装置42で表示される演出図柄との組み合わせ態様によって、該設定値を示唆する構成とすることもできる。また、退避位置と演出待機位置との位置変換作動により前記設定値を示唆しない構成とすることもできる。そして、この位置変換作動により前記設定値を示唆しない構成では、該設定値の示唆を、前記サブ表示装置42で表示される演出図柄によって行っても良いし、メイン表示装置6で表示される演出図柄によって行っても良い。
実施例は、演出可動役物41がサブ表示装置(演出表示装置)43を備えた構成であるが、これに限らず、該演出可動役物が、該サブ表示装置を備えない構成とすることもできる。そして、サブ表示装置を具備しない演出可動役物は、LEDやスピーカを備えた構成とすることもできる。さらには、演出可動役物は、サブ表示装置とLEDとスピーカとのなかの二種類または全てを備えた構成とすることもできる。また、演出可動役物が、複数のサブ表示装置を備えた構成とすることも可能である。尚当然ながら、サブ表示装置とLEDとスピーカとのいずも具備しない演出可動役物であっても良い。
実施例は、一の演出可動役物41を備えた構成であるが、これに限らず、複数の演出可動役物を備えた構成とすることできる。ここで、複数の演出可動役物を備えた構成としては、夫々の演出可動役物に、相互に異なる退避位置と演出待機位置とが設定された構成が好適である。例えば、実施例と同じメイン表示装置6の下側に退避位置と演出待機位置とを設定した第一の演出可動役物と、該メイン表示装置6の上側に退避位置と演出待機位置とを設定した第二の演出可動役物とを備えた構成とすることができる。
さらに、このように複数の演出可動役物を備えた構成では、いずれか一の演出可動役物が退避位置と演出待機位置とに位置変換する作動態様によって前記設定値1~6を示唆する構成、全ての演出可動役物による夫々の退避位置と演出待機位置とへの作動態様によって該設定値1~6を示唆する構成とのいずれとすることも可能である。又は、抽選により選択された演出可動役物による退避位置と演出待機位置とへの作動態様によって、設定値1~6を示唆する構成とすることもできる。
実施例は、演出待機位置を起点および終点とする演出可動役物41の演出作動(演出動作パターン)が、SPリーチ演出と大当り遊技演出とで実行される構成としたが、これに限らず、他のリーチ演出や小当り遊技演出などで実行される構成とすることもできる。このように演出可動役物41の演出作動させる条件(役物作動条件)は、適宜変更して設定可能である。
また、実施例では、演出可動役物41の前記演出作動中にサブ表示装置42で演出図柄を表示する構成としたが、これに限らず、サブ表示装置42で演出図柄を表示するタイミングは適宜変更して設定することができる。例えば、退避位置から演出待機位置への位置変換作動に合わせてサブ表示装置42で演出図柄を表示するようにしても良い。この構成では、前述したように、退避位置と演出待機位置とへの位置変換作動時にサブ表示装置42で表示する演出図柄により前記設定値1~6を示唆する構成が好適である。
一方、電源投入に伴って演出可動役物を退避位置から演出待機位置へ位置変換させ、電源遮断する際に該演出可動役物を演出待機位置から退避位置へ位置変換させる構成も提案される。かかる構成は、演出可動役物が電源OFF状態で退避位置に保持され、電源ON状態で演出待機位置に停留させる。そして、所定の役物作動条件(SPリーチ演出や大当り遊技の開始など)の成立に伴って、演出待機位置を起点および終点とする演出作動を実行する。この別例の構成にあっては、機台の取り付け作業や取り外し作業の際に演出可動役物が落下する事故が生じても該演出可動役物が破損する危険性を低下できるという実施例と同様の作用効果と、パチンコ機の輸送時に緩衝材を容易に取り付けることができるという実施例と同様の作用効果とを奏する。さらには、電源OFF時にメンテナンス作業によりメイン表示装置の表示画面を清掃し易いという利点もある。
尚、この別例では、電源遮断の際に演出可動役物を退避位置へ移動させるための機能として、該退避位置への移動に必要な電力を充電するバッテリーやコンデンサを備える構成によって実現できる。又は、電源遮断するためのスイッチが作動されると、演出可動役物を退避位置へ移動させた後に電源遮断する制御回路を備えた構成とすることで実現できる。
前述の実施例では、相互に異なる大当り当選確率を定めた六段階の設定値1~6を備えた構成としたが、これに限らず、設定値の段階数は適宜変更して設定可能である。すなわち、三段階の設定値1~3や十段階の設定値1~10等とすることも可能である。さらに、各設定値に定められた大当り当選確率にあっても、実施例に限らず、適宜変更して設定可能である。
前述した実施例の構成は、パチンコ機1に本発明の構成を適用したものであるが、これに限らず、スロットマシンに本発明の構成を適用することも可能である。スロットマシンに適用した構成にあっても、パチンコ機1に適用した実施例と同様の作用効果を奏し得る。