本発明に係る液量検知装置は、回収した液体(廃液)を貯留するタンクと、タンク内の廃液の量を検知するフロートスイッチと、フロートスイッチ全体を上下動させるスイッチ上下駆動手段を備える。本発明は、フロートスイッチ全体の上下動時のフロートの検知位置に基づいて、フロートスイッチの動作の正常性をチェック可能な機能を備えることを要旨とする。
以下、本発明に係る液量検知装置は、液体吐出ユニットを備える液体を吐出する装置に搭載される。以下、液量検知装置、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置(液体吐出装置)の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、液体吐出装置の実施形態として、UVインクジェット装置200を例に説明する。図1は、UVインクジェット装置200を斜視方向からみた斜視外観図である。図2は、UVインクジェット装置200のY方向の中央付近におけるX-Z面断面図である。
UVインクジェット装置200は、図1及び図2に示すように、装置ベース230の上に、紫外線硬化型インク(UVインク211)を吐出する機能部品が配置されている。この機能部品の動作によって、リニアステージ203に載置されている記録媒体1に向けてUVインク211を吐出し、記録媒体1に画像等の形成をする。
以下の説明において、各機能部品の配置や動作の説明において、図1に示す三次元直交座標系を用いることがある。図1に示すように、UVインクジェット装置200は、X-Y平面と平行の底面を有する装置ベース230に対し、Z方向にある天面の上に各構成部品が配置されている。装置ベース230はZ方向である高さ方向に所定の高さを有している。このZ方向の厚みを有する装置ベース230の内部に、本発明に係る液量検知装置が搭載されている。
UVインクジェット装置200は、X方向に沿ってキャリッジ202を移動させるリニアアクチュエータ201を備える。リニアアクチュエータ201は、X方向が長手方向となる長尺の部材から構成されている。
リニアアクチュエータ201によってX方向に移動可能なキャリッジ202は、複数のインクジェットヘッド210を搭載している。インクジェットヘッド210のそれぞれは、UVインク211の吐出口であるノズルが形成されている。各ノズルは、リニアステージ203に相対するインクジェットヘッド210の面に二次元的に配列されるノズル面として形成されている。インクジェットヘッド210は、キャリッジ202によってX方向の往復動作ができるように構成されている。なおキャリッジ202にはZ方向への移動を可能にするアクチュエータも搭載されていて、Z方向にキャリッジ202を移動させることができるようになっている。
リニアステージ203は、記録媒体1を載置してY方向に移動することができるように構成されている。リニアステージ203のY方向の移動と、キャリッジ202のX方向の移動を組み合わせることで、インクジェットヘッド210が記録媒体1に対してX-Y平面に沿って二次元に走査できるように構成されている。インクジェットヘッド210の走査タイミングと記録媒体1に対するUVインク211(紫外線硬化型インク)の吐出タイミングとを制御することで、記録媒体1の上にUVインク211による画像等を形成することができる。
なお、リニアステージ203はY方向のみの平面的な移動のみではなく、Z方向を回転軸とする回動や、Y方向、X方向を回転軸とする回動もできる回動機構も備える。UVインクジェット装置200は、リニアアクチュエータ201のX方向の移動、リニアステージ203のY方向の移動、および、リニアステージ203の回動によって、様々な形状の記録媒体1に対応することができるように構成されている。リニアステージ203は、搬送部に相当する。
リニアステージ203の表面には一定間隔で細かな穴があいており,この穴に装置ベース230の内部に搭載される真空ポンプ等の真空圧発生源が接続されている。これによって、リニアステージ203の上に載置されたフィルム等の薄い記録媒体1をリニアステージ203に吸着させて固定させることができる。なお、記録媒体1は、シート状のフィルム以外にも板材(木材、金属、樹脂)のような厚みのあるものでもよい。厚みの異なる記録媒体1を用いる場合は、キャリッジ202をZ方向に移動させることで記録媒体1と、インクジェットヘッド210およびUVランプ204との間に適切な間隔を維持することができる。
UVインク211の吐出動作は、UVインクジェット装置200が備えるコントローラによって制御される。キャリッジ202の左右には記録媒体1に着弾したUVインク211を硬化させるための紫外線を照射するUVランプ204が搭載されている。UVランプ204は、紫外線照射装置に相当し、紫外線(UV光)209を記録媒体に向けて照射する。図2では、右UVランプ204RからのUV光209が照射されているイメージを表している。なお、UVランプ204が、図2に例示したような拡散光タイプの他に、集光タイプのUVランプ204等も用いることができる。UVランプ204は、目的に合わせて種々のタイプから選択すればよい。
インクジェットヘッド210が備えるサブタンクへのUVインク211の補給は、装置ベース230の内部に搭載されているメインタンクから行われる。サブタンク内のUVインク211の量が少なくなると、コントローラが装置ベース230の内部に設けられている供給ポンプを動作させて、メインタンクからサブタンクへと供給チューブを介してUVインク211を補充する。なおサブタンクは、エアー配管および電磁弁およびエアー負圧形成用ポンプによってUVインク211の吐出に適切な微少負圧になるようにコントローラによって制御されている。
サブタンクに備えられているエアー配管は、電磁弁を経由しエアー加圧用圧力源にも接続されている。加圧用圧力源は、例えばインクジェットヘッド210のノズルにゴミや気泡が存在することで、正常な吐出動作ができなくなった場合に用いられる。この場合、インクジェットヘッド210を廃液受け205の上に移動させて、加圧用圧力源を動作させることで、サブタンクを負圧から加圧に切り替えて、インクジェットヘッド210(のノズル)から強制的にUVインク211を排出させる。この強制排出によって、インクジェットヘッド210のノズルに存在するゴミや気泡を押し出すことができる。
なお、インクジェットヘッド210のノズルからインクを押し出したままだとノズル面にUVインク211が付着した状態になり、その後の吐出動作に支障が生ずることがある。そこで、強制排出動作を行った後のインクジェットヘッド210に対してノズル面を払拭する動作(ワイピング)が実行される。ワイピングは、Y方向に移動可能に設けられたワイパ208を使用してノズル面を払拭する動作である。なお、ワイパ208としては、一般的にはゴムやエラストマー等のゴム弾性を備えたものを用いる。
ノズルから押し出されたUVインク211やワイピングによって拭き取られたUVインク211は、廃液受け205を経由して、装置ベース230の内部に設けられた廃液タンク110に回収される。廃液タンク110については、本発明に係る液量検知装置の実施形態である廃液回収装置100の説明とともに、後述する。
装置ベース230の天面には、リニアアクチュエータ201の長手方向の端部近傍にキャップ206が配置されている。キャップ206は、装置ベース230の天面から所定の高さ位置に固定されている。キャップ206は、UVインクジェット装置200の使用を終了するときなど、長期間使用しない場合にノズル面の保護およびノズル面近傍のインク保護のためにインクジェットヘッド210を覆うために設けられている。
また、装置ベース230の天面には、リニアアクチュエータ201の長手方向の端部近傍であってキャップ206の近傍に空吐出受け207が配置されている。空吐出受け207は、空気に触れるなどによって劣化したUVインク211をいわゆる「空打ち」をすることで廃棄するときに、廃棄されるUVインク211を受け取る部材である。空吐出受け207を使用して、インクジェットヘッド210が画像形成を伴わない吐出動作(空吐出)をすることで、新鮮なUVインク211をインクジェットヘッド210のノズルに供給することができる。この空吐出によって、画像形成の品質を保つことができる。したがって、空吐出は、UVインクジェット装置200の使用開始時や、一定時間使用を継続したときに画像形成動作の合間でも行われる。空打ちによって吐出されたUVインク211も、後述する廃液タンク110に回収される。
なお,図1および図2は、キャリッジ202が図面右から左(X軸の負の方向)へ移動しながら記録媒体1にUVインク211を吐出して画像形成を行っている様子を例示しているものである。キャリッジ202が、UVインク211を吐出しながら図面左方向(-X方向)へ移動しているときは、UVインク211が記録媒体1に着弾後、インクジェットヘッド210よりも+X方向に搭載されている右UVランプ204Rが紫外線を照射する。これによって、記録媒体1に付着したUVインク211の効果を開始する。
なお、キャリッジ202が図面右方向(+X方向)に移動しているときは、インクジェットヘッド210よりも-X方向に搭載されている左UVランプ204LからUV光209を照射し、記録媒体1に着弾したUVインク211を硬化させる。なお、一方のUVランプ204のみではUVインク211の硬化性が悪く,紫外線の積算光量が必要な場合には、左右両方のUVランプ204からUV光209を照射すればよい。
次に、本発明に係る液量検知装置の実施形態について説明する。まず、本発明の特徴を明確にするために、比較例となる構成の例について、図を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る廃液回収装置100の内部構造の例を示す構成図であって、本発明の特徴に関係する部分を省略したものである。図3において、廃液回収装置100は、UVインクジェット装置200の装置ベース230の内部に搭載されていて、装置ベース230の底面と天面の間に所定の構造を備えている。なお、廃液回収装置100をUVインクジェット装置200とは別の筐体に搭載しても構わない。その場合、廃液受け205や空吐出受け207から、後述する廃液チューブ120を介して廃液タンク110に廃液111が移動できればよい。
したがって、本実施形態に係る廃液回収装置100は、インクジェットヘッド210における画像等の形成を伴わない液体吐出動作によって吐出されたUVインク211などを回収する。
廃液回収装置100は、装置ベース230の内部に搭載されている廃液タンク110と、廃液チューブ120と、フロートスイッチ130と、を少なくとも有する。
廃液タンク110は、装置ベース230の内部の底面230Bの上に配置されている容器であって、廃液111を一定量貯留することができる容積を有する。廃液タンク110の上部には廃液チューブ120が挿入される開口と、フロートスイッチ130を構成するフロートスイッチ用軸131が挿入される開口が形成されている。廃液タンク110は、タンク筐体に相当する。
廃液チューブ120は、空吐出受け207や廃液受け205において回収された使用されないUVインク211(廃液111)を廃液タンク110に導く管部材である。廃液チューブ120の一方の端部は空吐出受け207や廃液受け205に接続されていて、他方の端部は廃液タンク110の内部に垂下した状態で保持されるようになっている。
フロートスイッチ130は、フロートスイッチ用軸131と、フロート132と、下側ストッパー133と、上側ストッパー134と、を備えている。
フロートスイッチ用軸131は、装置ベース230の天面230Tに一方の端部が固定され、他方の端部が廃液タンク110の内部に向けて垂下した状態で固定される棒状の部材である。フロートスイッチ用軸131の内部には、例えば、所定の位置にリードスイッチが備えられている。このリードスイッチの動作状態は、廃液回収装置100が備える制御部において検知される。リードスイッチの動作状態に基づいて、廃液タンク110の内部に貯留されている廃液111の液量を検知することができるように構成されている。フロートスイッチ用軸131の下端近傍には、外周に下側ストッパー133が取り付けられている。また、下側ストッパー133から所定の高さ位置の外周には、上側ストッパー134が取り付けられている。フロートスイッチ用軸131の内部に備わっているリードスイッチは、下側ストッパー133と上側ストッパー134の間に搭載されている。
フロートスイッチ用軸131に対し、上下方向に移動可能な状態でフロート132が取り付けられている。フロート132は、廃液111に浮く素材から形成されている。フロート132は、下側ストッパー133によって移動可能範囲の下限が規制され、上側ストッパー134によって同様に上限が規制されている。すなわち、フロート132は、下側ストッパー133と上側ストッパー134との間を上下動できるようになっている。フロート132が廃液111の量に応じて下側ストッパー133側から上側ストッパー134側に浮いてくると、内部に埋め込まれている磁石がフロートスイッチ用軸131に沿って上方に移動する。この移動によって、フロート132内部の磁石が、フロートスイッチ用軸131の内部のリードスイッチを動作させることで、廃液111の液量を検知することができる。すなわち、リードスイッチが動作したときは、廃液111が満杯状態であると判定できる。
すなわち、フロートスイッチ130は、廃液タンク110の内部に貯留する廃液量が増えることによって、フロート132が上昇してリードスイッチの状態がON(もしくはOFF)に遷移する。このスイッチ状態の遷移を廃液回収装置100が備える制御部が検知し、廃液タンク110に貯留されている廃液の量が満杯であることが判定される。以後は明示しない限り、本明細書においては、フロートスイッチ130がONであるときは、廃液111の量が満杯状態であることを指すものとして実施形態の説明をする。
廃液回収装置100において、制御部は、フロートスイッチ130の状態を常時もしくは定期的に監視する。制御部は、リードスイッチがONになったときには、それをユーザに通知する等のあらかじめ定められたシーケンスに基づく処理を実行する機能を備える。廃液111が満杯になったときは、廃液タンク110の中身を捨てて、その廃液タンク110を再利用するか,新品の廃液タンク110に交換するか、のいずれかになる。廃液タンク110から廃液111が無くなくなれば、フロートスイッチ130はOFFになる。
なお図3は、廃液が非満杯状態(フロートスイッチ130が満杯を検出していない状態)を例示している。廃液111が少なくフロート132を浮かせる位置に液面が来なければ、フロート132は下側ストッパー133に接触する位置にある。なお、この下側ストッパー133によってフロートスイッチ用軸131から落下することが防がれる。図3の状態から廃液111の量が増加すると、廃液111の液面に浮遊するフロート132の位置が上昇する。
図4は、廃液111が満杯の状態(フロートスイッチ130が満杯を検出している状態)を例示している。図4に示すように、廃液111の液面が廃液タンク110の上方にまで移動してくると、これに応じてフロート132が浮上する。フロート132は、上側ストッパー134によって上方への移動が規制される。フロート132が上側ストッパー134に接触する位置にまで上昇したときは、フロート132の内部に備わっているマグネットがフロートスイッチ用軸131の内部のリードスイッチを動作させる。これによって、廃液回収装置100の制御部が廃液111の満杯を判定することができる。
ここで、廃液タンク110の内部で発生しうるフロートスイッチ130の不具合状態について説明する。図5は、フロート132とフロートスイッチ用軸131の間に、廃液111が入り込んだ状態で固着し、増粘インク112になってしまった状態を例示している。図5のような状態になると、廃液111の量が下側ストッパー133の位置よりも低いにも関わらずフロート132の位置が上側ストッパー134で止まる状態になってしまう。廃液111として廃液タンク110に流入してくるUVインク211は、半硬化状態になっていたり、インク中の揮発成分が揮発してしまい粘度が高くなっていたり、など様々な状態になっている。これがフロート132とフロートスイッチ用軸131との間に入り込むと自然に流れ落ちることなく、増粘インク112になりやすい。
UVインク211が増粘した状態でフロート132とフロートスイッチ用軸131との隙間に入り込んで増粘インク112になってしまうと、フロート132が動かなくなってしまう。このような状態になると、廃液タンク110には、廃液111を受け入れる余裕があるに関わらず、フロートスイッチ130はON状態になっている。すなわち、制御部は廃液111が満杯であると誤判定することになり、廃液タンク110の内部の廃液111の量が満杯になっているか、またはいないのか、いずれの状態であるかを正常に検知することができなくなる。
また、図6に示すように、廃液タンク110の内部に廃液111が溜まっていくうちに、廃液111の増粘がすすみ、その一部が増粘インク112として沈殿した状態になると、そこにフロート132が絡め取られることもある。増粘インク112が、フロート132が下側ストッパー133に接触する位置、または、おそれよりも上方であっても、上側ストッパー134には至らない位置にまで沈殿してくると、フロート132は増粘インク112の影響で上昇できなくなる。この場合も、廃液111の量に応じてフロート132が上昇することがなく、廃液111が満杯になってもフロートスイッチ130はOFF状態のままである。このような状態のままで、廃液111の量がさらに増えると、廃液タンク110から廃液111があふれ出るおそれがある。
以上、図3乃至図6を用いて説明したとおり、廃液回収装置100において、フロートスイッチ130のスイッチ状態が廃液111の量に応じて正常に遷移することなく、ON状態またはOFF状態のまま動作しなくなることがある。この場合、廃液111が満杯でないにも関わらず、すでに満杯であると検知されるか、または、すでに満杯であるにも関わらず、満杯状態が検知されないか、などが生ずる。いずれにしても廃液回収装置100の動作が異常な状態のまま、それを制御部が検知できない状況になる。
[第一実施形態]
上記において説明をした比較例において生ずるフロートスイッチ130を踏まえて、以下において、本発明に係る液量検知装置の実施形態としての廃液回収装置100が備える特徴的な構成および、その動作と効果について説明する。
本実施形態に係る廃液回収装置100は、図7に示すように、比較例において明示した構成(廃液タンク110と、廃液チューブ120と、フロートスイッチ130)の他に、フロートスイッチ駆動機構140を備えている。
フロートスイッチ駆動機構140は、装置ベース230の内部において、底面230Bに直立した支持部141と、支持部141に直交するように張り出した昇降部142と、昇降部142に固定されている枝部143と、を有する。支持部141は、装置ベース230の底面230Bと天面230Tとの間に設置される柱状の部材である。支持部141によって、昇降部142のZ方向の移動が支持される。昇降部142は、制御部150の動作制御に応じて、支持部141に沿って上下方向(Z方向)に移動および停止をする。昇降部142には、枝部143が設けられている。枝部143は、一方の端部が昇降部142に固定されていて、他方の端部は開放されている柱状の部材である。枝部143は昇降部142の上下動に応じて上下動をする。すなわち、昇降部142はスイッチ上下駆動部に相当する。
枝部143の下面側には、フロートスイッチ用軸131の上端が固定されている。フロートスイッチ用軸131は、枝部143から廃液タンク110の上部に設けられている開口に向かって垂下した状態で固定されている。フロートスイッチ用軸131は、フロート132に挿通される軸部材に相当する。制御部150の制御によって昇降部142が上下動をすると、フロートスイッチ用軸131も上下するように構成されている。昇降部142は、昇降動作を行うための駆動部と、昇降部142の位置を検出するためのエンコーダおよびエンコーダセンサを備える。制御部150は、エンコーダセンサの検知結果に基づいて、フロートスイッチ130の位置を把握することができる。制御部150の詳細は後述する。
また、図7に示すように、フロートスイッチ用軸131の下端部分には、ガード部材135が固定されている。ガード部材135は、フロートスイッチ用軸131の下端近傍に取り付けられている下側ストッパー133よりもさらに下方に固定されていて、フロートスイッチ用軸131の軸径よりも、X-Y方向の寸法が大きい板状の部材である。
また、図7に示すように、廃液タンク110の底面に直立する棒状の部材であって、廃液タンク110底面から所定の高さに至る長さを有するピン部材136が配置されている。ピン部材136は、昇降部142が下方の移動限界まで移動したときに、フロート132の底面を押し上げて、フロート132を上側ストッパー134の位置に移動させることができる高さ寸法を有する。
以上の構成を備える廃液回収装置100は、フロートスイッチ130を用いて廃液111の量を検知する仕組みを搭載し、フロートスイッチ130が正常に動作していることを確認できる機能を備える。
ここで、廃液回収装置100の動作を制御する制御部150の機能ブロックについて説明する。制御部150は、廃液回収装置100またはUVインクジェット装置200が備えるコントローラにおいて、制御プログラムが実行されることによって実現する機能ブロックである。なお、コントローラは、演算処理装置(CPU)、不揮発性の記憶媒体(ROM)、制御プログラムの実行領域となる記憶媒体(RAM)、制御プログラムの演算処理結果を各ハードウェアに通知する、および、各ハードウェアからの情報を受け取るインターフェース(I/F)など一般的な制御装置のハードウェア構成を備えるものであればよい。
図17は、制御部150の機能ブロック図である。制御部150は、処理タイミング判定部151、スイッチ上下動制御部152、規定回数カウント部153、スイッチ状態検知部154、フロート検出位置記録部155、検出位置判定部156、警報発信部157、を有する。
処理タイミング判定部151は、昇降部142を動作させるタイミングを判定する処理を実行する。ここで、「動作させるタイミング」とは、たとえば、UVインクジェット装置200の動作を開始したタイミングや、一定の周期に基づくタイミングなどである。また、ユーザが操作部を介して強制的に動作させるタイミングや、インクジェットヘッド210において空打ちをした回数、ワイパ208によってワイピングをした回数が所定の回数を上回ったタイミングも含む。すなわち、後述するように、廃液111の影響でフロート132の動作が正常に行われていない可能性が起きるタイミングをいう。処理タイミング判定部151は「動作をさせるタイミング」であると判定したときは、後述するスイッチ上下動制御部152に対して、昇降部142を動作させる通知を送る。
スイッチ上下動制御部152は、処理タイミング判定部151からの通知に応じて、昇降部142の上下動の実行を制御する。スイッチ上下動制御部152は、規定回数カウント部153に対して、上下動の回数をカウントさせ、上下動している間にスイッチ状態検知部154がフロートスイッチ130のスイッチ状態の遷移を検知した位置をフロート検出位置記録部155に記録させる。
規定回数カウント部153は、スイッチ上下動制御部152が、昇降部142を上下動させた回数をカウントし、当該回数が規定回数に達した場合にスイッチ上下動制御部152に対して、動さを停止させる通知を送る。また、検出位置判定部156に対して、フロート検出位置記録部155に記録されている検出位置に基づく判定を行う様に通知を送る。
スイッチ状態検知部154は、フロートスイッチ130においてスイッチ状態が遷移したか否かを検知する。スイッチ上下動制御部152にようって昇降部142が上下動を行っているときは、スイッチ状態が遷移した位置をエンコーダから読取り、フロート検出位置記録部155に通知する。
フロート検出位置記録部155は、スイッチ状態検知部154から通知されたエンコーダの読取り結果とスイッチの遷移に関する情報を記録する。
検出位置判定部156は、フロート検出位置記録部155に記録されているスイッチ状態が遷移した位置のバラツキが規定範囲内であるか否かを判定する判定部である。判定した結果を警報発信部157に通知する。
警報発信部157は、検出位置判定部156からの通知が、「規定範囲外である」ことを示すものであれば、その旨を、UVインクジェット装置200が備えるユーザインターフェースなどを介して、ユーザに報知する。これによって、フロートスイッチ130の検知結果が異常となる可能性があることをユーザに知らせることができる。なお、検出位置判定部156からの通知が、「規定範囲内である」ことを示すものであれば、フロートスイッチ130の検知結果は正常であるので、特別な報知は行わない。
上記において説明した制御部150により、本実施形態に係る廃液回収装置100はフロートスイッチ130の正常性確認、すなわち、フロートスイッチ130が正常に動作可能であるか否かの判定処理を実行することができる。以下、処理フローについて、図8を用いて説明する。
まず、廃液回収装置100の制御部150は、所定のタイミングにおいて、フロートスイッチ130の動作の正常性を確認する処理を開始する。例えば、UVインクジェット装置200が動作を開始するタイミングや、前回の正常性確認を実行してから一定期間が経過していること、などを判定条件とすればよい。
まず、今回実行している正常性動作確認処理において、当該処理の規定回数が終了しているか否かを判定する回数判定処理を実行する(S801)。正常性判定確認処理の回数があらかじめ規定されている固定値に達していなければ(S801/NO)、スイッチ上下動制御部152が昇降部142を下降させてフロートスイッチ130を下降させる(S802)。
S802において、フロートスイッチ130を下降させながら、フロートスイッチ130がON状態に遷移したか否かをスイッチ状態検知部154が判定する(S803)。フロートスイッチ130がON状態に遷移していなければ(S803/N)、昇降部142のエンコーダセンサの検出結果に基づいて、フロートスイッチ130が下限位置に至っているか否かを判定する(S804)。フロートスイッチ130が下限位置に至っている場合(S804/Y)、フロート132はピン部材136によって底面が押されて上昇し、上側ストッパー134に接触する位置に移動しているべきである。しかしながら、この場合のフロート132はスイッチ状態を遷移させる位置に至っていない。したがって、フロート132がフロートスイッチ用軸131に固着していると判定し(S805)、警報発信部157に異常を通知して、当該処理を終了する。すなわち、S805の処理において、フロートスイッチ130が正常には動作できる状態ではない、という判定が確定する。
S804において、フロートスイッチ130が下限に至っていなければ(S804/N)、昇降部142の下降動作を継続する。フロートスイッチ130が下限位置に至る前に図10に示すように、フロート132が廃液111の液面に浮かび、フロートスイッチ130がONになることもある。または、フロートスイッチが下限位置に至る前に、図9に示すように、ピン部材136によってフロート132の底面が押されてフロートスイッチ130がON状態に遷移することもある。いずれであっても、S803において、フロートスイッチ130がON状態に遷移すれば、続いて、そのときの昇降部142の位置をフロート検出位置記録部155が記録(記憶)する(S806)。
続いて、図9または図10に例示する状態から、昇降部142を昇降させる処理を実行する。図8のフローチャートに戻る。昇降部142が上昇することで、フロートスイッチ130も上昇する(S807)。フロートスイッチ130を上昇させながら、フロートスイッチがOFF状態に移行したか否かを判定する(S808)。フロートスイッチがOFF状態に遷移していなければ(S808/N)、昇降部142のエンコーダセンサの検出結果に基づいて、フロートスイッチ130が上限位置に至っているか否かを判定する(S809)。フロートスイッチ130が上限位置に至っている場合(S809/Y)、それでもフロートスイッチ130がOFF状態に遷移していないということは、フロート132がフロートスイッチ用軸131に固着していると判定する(S805)。この場合は、警報発信部157に異常を通知して、当該処理を終了する。
S809において、フロートスイッチ130が下限に至っていなければ(S809/N)、昇降部142の上昇動作を継続する。フロートスイッチ130が上限位置に至る前にフロートスイッチ130がOFFになることもある。または、フロートスイッチ130が図11に示すように、廃液111の液面が存在しえない位置に昇降部142を移動させたときに、フロートスイッチがOFFに遷移していれば(S808/Y)、この位置をフロート検出位置記録部155に記録(記憶)する(S810)。
続いて処理をS801に戻す。S806およびS810の処理を行った回数が、あらかじめ規定する固定値に達していれば(S801/Y)、S806およびS810で記録された昇降部142の位置のバラツキについて判定する処理に移行する(S811)。ここで、記録された昇降部142の位置について検出位置判定部156が規定するバラツキの規定範囲内に入っているか否かの判定を行う(S811)。規定範囲内でなければ(S811/N)、フロート132が正常時の上昇および下降とは異なる状態になっていると推定できる。したがって、この場合は、フロート132がフロートスイッチ用軸131に固着していて、正常な動作ができない状態であると判定し(S805)、警報発信部157に異常を通知して、当該処理を終了する。
S811において、記録された昇降部142の位置が、あらかじめ規定するバラツキの範囲内に入っていると判定されれば(S811/Y)、フロート132は正常に移動できる状態であると判定する(S812)。この場合、昇降部142を動作させて、フロートスイッチ130を規定の位置に移動させ(S813)、当該処理を終了する。
以上のように、本実施形態に係る廃液回収装置100は、廃液111の量を検知するフロートスイッチ130が正常に動作可能な状態であるか否かの確認をする。確認の制御フローにおいて、フロートスイッチ130の上下動を複数回行い、この移動中に生ずるフロート132の移動状態をスイッチ状態の遷移によって検知する。そして、検知結果に基づいて、フロート132の位置が正常であれば検知される位置範囲内にあるか否かを判定することで、正常性を確認する。
なお、ガード部材135には、ピン部材136が貫通できる穴が設けられているので、ピン部材136がガード部材135に遮られることはないように構成されている。
また、ガード部材135は、図12に示すように、昇降部142を昇降させることでフロートスイッチ130を上下動させるときに、廃液タンク110の底部に増粘インク112が堆積しているとしても、これを押しのける作用も発揮する。これによって、フロートスイッチ130を上下動させることで、動作の正常性を確認する処理を実行している途中で、フロート132に増粘インク112が付着することを防止している。
なお、図9および図11に示したようなフロートスイッチ130の上下動のみを実行するだけでも、フロートスイッチ130の動作の正常性を確認することができる。しかし、フロート132のフロートスイッチ用軸131への固着程度が強固ではないが、フロート132自身の浮力では正常に移動できない程度の固着状態であるときは、1回の上下動だけでは正常性の確認を誤検知する可能性もある。そこで、所定の回数を繰り返して上下動を実行し、その間にスイッチ状態が遷移した位置のバラツキを記録し、そのバラツキ度合いが規定範囲内であることをもって、フロートスイッチ130の正常を判断することで、判定結果の信頼性を高めている。
[第二実施形態]
次に、本発明に係る液量検知装置の別の実施形態について説明する。本実施形態に係る廃液回収装置100は、図13に示すように、ガード部材135にスカート部材137を備えている。スカート部材137は、ガード部材135の外周に蝶番を介して取り付けられていて、ガード部材の外周において上下方向に可動する板状の部材である。
フロートスイッチ130の正常性を確認するために昇降部142を昇降させて、フロートスイッチ130を上下動させる。このとき、廃液タンク110の底部に増粘インク112が堆積していると、フロートスイッチ130の下降によってガード部材135が下降したときに増粘インク112に埋もれることもあり得る。そうすると、増粘インク112が外周からガード部材135の上側に回り込んでしまい、フロート132とフロートスイッチ用軸131の間に入り込んでしまうことも想定される。
本実施形態に係るスカート部材137は、これを防止するものである。すなわち、フロートスイッチ130を上下動させるときに、特に下降時にガード部材135が増粘インク112を押しのけても、スカート部材137が上側に跳ね上がる形になり、ガード部材135の上側に回り込もうとする増粘インク112を防ぐことができる。
また、フロートスイッチ130を上下動させるとき、特に上昇字には、図14に示すようにスカート部材137がガード部材135の外周から垂れ下がるような状態になるので、ガード部材135の上に乗ってしまった増粘インク112を落としやすくする。なお、スカート部材137は、フロートスイッチ130の上下動において、跳ね上がる状態と垂れ下がる状態の間で動作することになるが、この動作範囲を制限する構造にし、跳ね上がり過ぎや垂れ下がり過ぎを防ぐ構造を備える方がよい。
[第三実施形態]
次に、本発明に係る液量検知装置のさらに別の実施形態について説明する。本実施形態に係る廃液回収装置100は、時間経過とともに、昇降部142の位置を変化させて、廃液タンク110における満杯の位置を変更する機能を備えるものである。
まず、時間経過に応じて満杯検知位置を変更しない場合に生じうる課題について説明する。廃液チューブ120を介して廃液タンク110の内部に垂下した廃液111が増粘インク112に変化して、この増粘インク112の上に次々と垂下していくとする。これが続くと、図15に示す様に、廃液タンク110に溜まった増粘インク112によって、廃液タンク110の内部が複数の空間に分断されてしまうことがある。
この場合、フロートスイッチ130が検知できない空間側に、廃液111が次々に流れ込んでいくとすると、その状態をフロートスイッチ130では検知することができない。したがって、フロートスイッチ130は正常であっても、検知を正常に実行できない状況になる。この場合、いずれ、廃液111が溢れる。これを防止するために、廃液回収装置100を動作させた経過時間を処理タイミング判定部151が監視し、所定の時間が経過したときは、スイッチ上下動制御部152による昇降部142を制御して下降させればよい。この場合、経過時間が長くなるほど、昇降部142の下降量を大きく設定し、フロートスイッチ130が満杯を検知する位置を自動的に変更すればよい。例えば、図18に例示したようなデータテーブルを予め制御部150が記憶しておき、この内容に応じてスイッチ上下動制御部152が昇降部142を下降させればよい。
なお、経過時間の設定の仕方、および、経過時間に対する昇降部142の下降量は、図18に示した値に限定されるものではなく、経過時間の判定の頻度もより細かくてもよい。
なお、UVインク211の種類によっては、廃液111の粘度や密度、増粘インク112へ変化に要する時間などが異なる。そこで、図18に例示した時間経過に応じた昇降部142の下降動作制御の他に、図19に例示するように、UVインク211の種類に応じて、昇降部142の下降量を規定するようにしてもよい。
また、廃液回収装置100において、処理タイミング判定部151が参照する設定値(初期値)を設定する操作部を備えて、操作部を介してユーザが満杯検知位置、昇降部142を下降させる経過時間とその下降量、インク種別による昇降部142の下降量などを任意に設定してもよい。また、操作部を介して強制的に、図8に例示した処理を実行させてもよい。
これらの制御によって、図15に例示したように、廃液タンク110の内部が増粘インク112によって分断状態になっていても、廃液111があふれる前に、フロートスイッチ130が満杯を検知することができる。すなわち、廃液回収装置100における廃液111の回収状態の検知精度を高めることができる。
なお、本実施形態に係る処理は、廃液タンク110の中身を空にしたとき、または、廃液タンク110を交換したときに、処理タイミング判定部151が経過時間をリセットすればよい。
以上説明した廃液回収装置100によれば、フロートスイッチ用軸131を含むフロートスイッチ130の全体を上下動させている最中にフロート132の動きを検知することで、フロートスイッチ130が正常に動作していることを確認できるようになる。また、フロート132の下部にガード部材135を設けることで、フロートスイッチ130全体の上下動を行うときに、増粘インク112がフロート132に付着しにくくしている。これらによって、フロートスイッチ130の動作の正常性を確実に確認できるようになる。
なお、本実施形態に係る廃液回収装置100は、UVインクジェット装置200に用いられるものである。UVインクジェット装置200は、インクジェットヘッド210を備える。インクジェットヘッド210は、いわゆる「液体吐出ヘッド」である。
本明細書において、「液体吐出ヘッド」とは、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品という。吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、紫外硬化型のインクに特に限定されないが、上記にて説明したように、廃液を回収するタンクの満杯を検知するセンサの動作を阻害する要因となり得るものを想定している。したがって、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・ss以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子および薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える液体吐出ユニット、および、液体を吐出する装置の実施形態についてあらためて説明する。まず、本発明に係る液体を吐出する装置の実施形態について図20および図21を参照しながら説明する。図20は、本実施形態に係る液体吐出装置400の要部平面説明図である。また、図21は、液体吐出装置400の要部側面説明図である。
液体吐出装置400として、シリアル型装置を例示する。当該装置は、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、1およびヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。
液体吐出ユニット440の1は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、1は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
1の外部に貯留されている液体を1に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
液体吐出装置400は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して1に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。また、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417およびタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に1の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば1のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
以上の構成を備える液体吐出装置400においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて1を駆動することにより、停止している用紙410にUVインク211を吐出して画像を形成する。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの一例について図22を参照しながら説明する。図22は、液体吐出ユニットの要部平面説明図である。
本実施形態に係る液体吐出装置400は、液体を吐出する装置である液体吐出装置400を構成している部品のうち、側板491A、491Bおよび背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、1で構成されている。なお、当該液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、および供給機構494の少なくともいずれかを、さらに取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、本発明に係る液体を吐出する装置に搭載可能な液体吐出ユニットの他の一例について図23を参照して説明する。図23は、本実施形態に係る液体吐出ユニットの正面説明図である。
当該前記液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた1と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には1と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
以上説明した本発明において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
前記「液体が付着可能もの」とは液体が一時的にでも付着可能なものを意味する。前記「液体が付着するもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、前記「液体を吐出する装置」には、特に限定しない限り、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
また、前記「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
前記「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、前記「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていてもよい。
例えば、前記液体吐出ユニットとして、図21で示した液体吐出ユニットのように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、前記液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、前記液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図22で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、前記液体吐出ユニットとして、図23で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
また、前記「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本明細書において、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。