JP7020754B2 - フレキシブルプリント配線板 - Google Patents
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Description
本発明者らが、補強板を貼り合わせた後に補強板を貫通する端子穴をフレキシブルプリント配線板に設ける方法について鋭意検討した結果、ポリイミドを主成分とする補強板が比較的バリや屑の発生が低いことが分かった。さらに、本発明者らは、補強板として複数のポリイミドフィルムが接着剤層を介して接着された多層構造を採用すると、補強板を貼り合わせた後にフレキシブルプリント配線板に端子穴を設けると、端子穴の内壁面が、上記導電パターン及び上記ベースフィルムの境界と、上記ベースフィルム及び上記補強板の境界とにおいて連続する特有の構成が得られ、バリや屑の発生がほとんど発生しないことを見出した。その理由は明確ではないが、本発明者らは、ポリイミドフィルム間に存在する接着剤層が緩衝材として機能し、バリや屑の発生を抑止すると共に、発生した屑の外部への放出を抑止していると推察している。
以下、本発明に係るフレキシブルプリント配線板の各実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
図1及び図2に示すフレキシブルプリント配線板1は、絶縁性を有するベースフィルム2と、ベースフィルム2の一方の面側に積層される導電パターン3と、ベースフィルム2又は導電パターン3の一方の面に積層されるカバーレイ4と、ベースフィルム2の他方の面側に積層される補強板5と、導電パターン3、ベースフィルム2及び補強板5をこの順に貫通する端子穴6とを備える。当該フレキシブルプリント配線板1は、いわゆる片面板である。
ベースフィルム2は、導電パターン3を支持する部材であって、フレキシブルプリント配線板1の強度を担保する構造材である。また、ベースフィルム2は、絶縁性及び可撓性を有する。
導電パターン3は、電気配線構造、グラウンド、シールドなどの構造を構成するものである。導電パターン3は、図2に示すように電子部品の実装や他の装置の取り付けのための端子接続部3aと、電気配線等を構成する配線部3bとを有する。
カバーレイ4は、導電パターン3を外力や水分等から保護するものである。カバーレイ4は、カバーフィルム41及び接着剤層42を有する。カバーレイ4は、この接着剤層42を介して導電パターン3のベースフィルム2と反対側の面にカバーフィルム41が積層されたものである。また、カバーレイ4は、後述する端子穴6を被覆しないように開口を設けて接着される。
補強板5は、フレキシブルプリント配線板1に他の電子部品を実装したり、フレキシブルプリント配線板1を他の装置に取り付けたりすることにより生じる荷重等によってフレキシブルプリント配線板1が破損することを防ぐための補強である。
端子穴6は、導電パターン3の端子接続部3aを貫通するように設けられ、フレキシブルプリント配線板1に対して電子部品の実装や他の装置の取付を行う際に、電気的な接続をとるために用いられる。具体的には、端子穴6は、端子接続部3a、ベースフィルム2、ベースフィルム2と補強板5とを接着する接着剤層53、及び補強板5をこの順に貫通する。
当該フレキシブルプリント配線板1は、図3に示すように導電パターン形成工程S1と、カバーレイ積層工程S2と、補強板接着工程S3と、端子穴形成工程S4とを備える製造方法により製造することができる。以下、当該フレキシブルプリント配線板1の製造方法の各工程について説明する。
導電パターン形成工程S1では、ベースフィルム2の一方の面側に、導電パターン3を形成する。具体的には、以下の手順による。
カバーレイ積層工程S2では、ベースフィルム2又は導電パターン3の一方の面にカバーレイ4を積層する。
補強板接着工程S3では、カバーレイ積層工程S2後にベースフィルム2の他方の面側に、補強板5を接着する。
端子穴形成工程S4では、補強板接着工程S3後に補強板5及びベースフィルム2を含む積層体を貫通する端子穴6を形成する。具体的には、端子接続部3a、ベースフィルム2、ベースフィルム2と補強板5とを接着する接着剤層53、及び補強板5をこの順に貫通する端子穴6を形成する。
当該フレキシブルプリント配線板1は、複数のポリイミドフィルム51が接着剤層52を介して接着された多層構造を有する補強板5を用いる。当該フレキシブルプリント配線板1は、このポリイミドフィルム51の多層構造を有する補強板5を用いることで、バリや屑の発生を効果的に抑止することができる。従って、当該フレキシブルプリント配線板1は、半田付け不良が誘発され難い。また、当該フレキシブルプリント配線板1は、端子穴6の内壁面が、導電パターン3及びベースフィルム2の境界と、ベースフィルム2及び補強板5の境界とにおいて連続するので、当該フレキシブルプリント配線板1の端子穴6は、穴加工精度が高い。
図4に示すフレキシブルプリント配線板7は、絶縁性を有するベースフィルム2と、このベースフィルム2の両面に積層される導電パターン3と、ベースフィルム2又は導電パターン3に積層されるカバーレイ4と、ベースフィルム2の両面側に積層される補強板5とを備える。また、フレキシブルプリント配線板7は、導電パターン3、ベースフィルム2及び補強板5をこの順に貫通する端子穴6とを備える。当該フレキシブルプリント配線板1は、いわゆる両面板である。
ベースフィルム2は、図1に示すベースフィルム2と同様であるので、詳細説明を省略する。
導電パターン3は、図4に示すようにベースフィルム2の両面に端子接続部3a及び配線部3bを有する。
カバーレイ4は、図4に示すようにベースフィルム2の両面に積層される。また、カバーレイ4は、導電パターン3のベースフィルム2と反対側の面にも積層されるが、後述する端子穴6を有する端子接続部3aの少なくとも端子穴6部分は被覆しないように配設される。上述のように端子接続部3aが配設される領域とベースフィルム2を挟んで対向する領域(対向領域)には、導電パターン3は配設されていないので、カバーレイ4は、この対向領域には配設されている。
補強板5は、ベースフィルム2の端子接続部3aが配設される面とは反対側の面に、端子接続部3aと対向するように配設される。上述のように端子接続部3aが配設される領域とベースフィルム2を挟んで対向する領域には、導電パターン3は配設されず、カバーレイ4によりベースフィルム2が被覆されている。このため、補強板5は、この端子接続部3aが配設される領域と対向する領域のカバーレイ4のベースフィルム2とは反対側の面に接着剤層53を介して積層される。従って、導電パターン3の端子接続部3aが設けられているベースフィルム2の面を一方の面側とすると、補強板5はベースフィルム2の他方の面側に配設されている。このため、2つの端子接続部3aが互いにベースフィルム2の異なる面に設けられている場合、これらに対応する補強板5もベースフィルム2の異なる面に設けられる(図4参照)。
端子穴6は、導電パターン3の端子接続部3aを貫通するように設けられる。具体的には、端子穴6は、導電パターン3の端子接続部3a、ベースフィルム2、カバーレイ4、カバーレイ4と補強板5とを接着する接着剤層53、及び補強板5をこの順に貫通する。
当該フレキシブルプリント配線板7は、第一実施形態と同様に導電パターン形成工程S1と、カバーレイ積層工程S2と、補強板接着工程S3と、端子穴形成工程S4とを備える製造方法により製造することができる。以下、当該フレキシブルプリント配線板7の製造方法の各工程について説明する。
導電パターン形成工程S1では、ベースフィルム2の両面に導電パターン3を形成する。具体的手順は、第一実施形態の導電パターン形成工程S1と同様にして行えるので、説明を省略する。
カバーレイ積層工程S2では、カバーレイ4をベースフィルム2の両面に積層する。具体的手順は、第一実施形態のカバーレイ積層工程S2と同様にして行えるので、説明を省略する。
補強板接着工程S3では、カバーレイ積層工程S2後に端子接続部3aが配設される領域とベースフィルム2を挟んで対向する領域に補強板5を接着する。具体的手順は、第一実施形態の補強板接着工程S3と同様にして行えるので、説明を省略する。
端子穴形成工程S4では、補強板接着工程S3後に補強板5及びベースフィルム2を含む積層体を貫通する端子穴6を形成する。具体的には、端子接続部3a、ベースフィルム2、カバーレイ4、カバーレイ4と補強板5とを接着する接着剤層53、及び補強板5をこの順に貫通する端子穴6を形成する。
ベースフィルム2の両面に導電パターン3が形成された当該フレキシブルプリント配線板7、いわゆる両面板においてもベースフィルム2の片面に導電パターン3が形成されたフレキシブルプリント配線板1(片面板)と同様の効果を奏することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
補強板として、3層のポリイミドフィルムが2層の接着剤層を介して接着された多層構造を有する補強板を準備した。3層のポリイミドフィルムの平均厚さは、ベースフィルム2に接着する側から50μm、75μm、50μmである。また、接着剤層の接着剤には、ポリアミドを主成分とする接着剤を用い、接着剤層の平均厚さは25μmとした。
補強板として、単層のガラスエポキシを用いた以外は、No.1と同様にしてNo.2のフレキシブルプリント配線板を製造した。
図3に示すフレキシブルプリント配線板の製造方法に従って、図4のようにベースフィルムの両方の面に導電パターンを有するフレキシブルプリント配線板を製造した以外は、No.1と同様にしてNo.3のフレキシブルプリント配線板を製造した。
補強板として、単層のガラスエポキシを用いた以外は、No.3と同様にしてNo.4のフレキシブルプリント配線板を製造した。
No.1からNo.4のフレキシブルプリント配線板について、形成された端子穴を顕微鏡で拡大して観察した。No.1からNo.4の端子穴の写真をそれぞれ図5から図8に示す。
2 ベースフィルム
3 導電パターン
3a 端子接続部
3b 配線部
4 カバーレイ
41 カバーフィルム
42 接着剤層
5 補強板
51 ポリイミドフィルム
52、53 接着剤層
6 端子穴
S1 導電パターン形成工程
S2 カバーレイ積層工程
S3 補強板接着工程
S4 端子穴形成工程
Claims (6)
- 絶縁性を有するベースフィルムと、
上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される導電パターンと、
上記ベースフィルムの他方の面側に積層される補強板と、
上記導電パターン、ベースフィルム及び補強板をこの順に貫通する端子穴を
を備え、
上記補強板が、複数のポリイミドフィルムが接着剤層を介して接着された多層構造を有し、
上記端子穴の内壁面が、上記導電パターン及び上記ベースフィルムの境界と、上記ベースフィルム及び上記補強板の境界とにおいて連続するフレキシブルプリント配線板。 - 上記端子穴の断面形状が、貫通方向に同一である請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
- 上記導電パターン及び上記補強板が、上記ベースフィルムの両面側に積層される請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板。
- 上記ポリイミドフィルムの平均厚さが25μm以上100μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のフレキシブルプリント配線板。
- 上記接着剤層の平均厚さが10μm以上35μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
- 上記補強板の平均厚さが150μm以上300μm以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
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