JP7016708B2 - 鋼板処理装置及び鋼板処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、めっき鋼板等の鋼板の表面に雰囲気ガス(例えば水蒸気)を接触させることにより、鋼板に黒色化処理等の所定の処理を行う鋼板処理装置および鋼板処理方法に関する。
建築物の屋根材や外装材、家電製品、自動車などの分野では、意匠性などの観点から黒色や青色の外観を有する鋼板のニーズが高まっている。例えば、特許文献1には、溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板の鋼帯を巻いたコイルを、密閉容器内で水蒸気と接触させて、黒色化した酸化皮膜を溶融Al、Mg含有Znめっき層に形成する方法が開示されている。特許文献2には、鋼帯が巻かれたコイルを酸化雰囲気で加熱処理して、鋼帯の表面をブルーイング(青色化)する方法が開示されている。特許文献1では鋼帯の表面と水蒸気との接触をコイルの全長に亘って確保できるように、また、特許文献2では鋼帯の表面と酸化雰囲気との接触をコイルの全長に亘って確保できるように、鋼帯が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間にスペーサを配置している。
特許第6072952号公報 特開2013-241676号公報
ところで、鋼帯の表面を黒色化または青色化する処理を適切に行うためには(例えば、均一且つより早く処理するためには)、鋼帯が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間における雰囲気ガスの流れを確保する必要がある。上記の対向面どうしの隙間における雰囲気ガスの流れを確保するためには、当該隙間を大きくすることが好ましいが、必ずしもかかる隙間を大きくすることができない場合もある。そのため、上記の対向面どうしの隙間の大きさにかかわらず、対向面どうしの隙間における雰囲気ガスの流れを確保する必要がある。
そこで、本発明は、鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間における雰囲気ガスの流れを確保して、鋼板の黒色化等の処理を適切に行うことができる鋼板処理装置および鋼板処理方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の装置は、隙間をあけて溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板が巻かれてなるコイルを密閉容器内で水蒸気と接触させる水蒸気処理を行う鋼板処理装置であって、前記コイルを内部に配置可能な密閉容器と、前記密閉容器内の雰囲気ガスを前記コイルの中心孔に沿って移動させながら、前記雰囲気ガスを前記中心孔と前記コイルの外側との間で循環させるファンと、前記コイルの軸方向における一方の端部に配置され、当該一方の端部において、前記コイルの半径方向内側に向かって前記雰囲気ガスが流れる第1の整流板と、前記コイルの軸方向における他方の端部に配置され、当該他方の端部において、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第1の整流板よりも速い流速で前記雰囲気ガスが流れる第2の整流板と、を備え、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第1の整流板を流れる前記雰囲気ガスの流速と、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第2の整流板を流れる前記雰囲気ガスの流速との差により、前記溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に前記雰囲気ガスの流れが形成されることを特徴とする鋼板処理装置である。
上記(1)の構成によれば、コイルの半径方向内側に向かって第1の整流板を流れる雰囲気ガスよりも、コイルの半径方向内側に向かって第2の整流板を流れる雰囲気ガスの方が流速が速いことにより鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に雰囲気ガスの流れが形成される。したがって、鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間が小さい場合や、隙間が大きくても隙間を設けるために配置されるスペーサによって隙間における雰囲気ガスの流通が阻害されやすい場合であっても、対向面どうしの隙間に雰囲気ガスを流通させて、雰囲気ガスと鋼板との接触による鋼板への所定の処理(例えば、黒色化処理)を適切に行うことができる。これにより、例えば、対向面どうしの隙間が小さいコイルや、隙間が大きくても隙間を設けるために配置されるスペーサによって隙間における雰囲気ガスの流通が阻害されやすいコイルのいずれに対しても、共通の密閉容器を用いて鋼板への所定の処理を適切に行うことができる。
(2)上記(1)の装置において、前記第1の整流板及び前記第2の整流板は、前記コイルの前記中心孔と連通するベース孔を有するとともに前記コイルから所定間隔を隔てて配置されるベース板と、当該ベース板における前記コイル側の面に配置され、前記ベース板の周縁部から前記ベース孔に向かって延びて前記雰囲気ガスを案内するガイド部とを有することを特徴とする。上記所定間隔は、例えばガイド部の高さに相当する。
上記(2)の構成によれば、ガイド部によって、雰囲気ガスがベース板の周縁部からベース孔に向かって適切に案内されるので、案内された雰囲気ガスの流れに伴って上記対向面どうしの隙間に雰囲気ガスを流通させて、雰囲気ガスと金属帯との接触による金属帯への所定の処理をより適切に行うことができる。
(3)本発明の方法は、隙間をあけて溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板が巻かれてなるコイルを密閉容器内で水蒸気と接触させる水蒸気処理を行う鋼板処理方法であって、密閉容器内に、前記コイルと、当該コイルの軸方向両端部に、当該コイルの半径方向内側に向かって雰囲気ガスを導く整流板とを配置するコイル配置工程と、ファンを作動させることにより、前記密閉容器内の雰囲気ガスを前記コイルの中心孔に沿って移動させながら前記雰囲気ガスを前記中心孔と前記コイルの外側との間で循環させる雰囲気ガス循環工程と、を備え、前記コイル配置工程は、前記コイルの軸方向における一方の端部に、前記コイルの半径方向内側に向かって前記雰囲気ガスが流れる第1の整流板を配置する第1整流板配置工程と、前記コイルの軸方向における他方の端部に、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第1の整流板よりも速い流速で前記雰囲気ガスが流れる第2の整流板を配置する第2整流板配置工程と、を含み、前記雰囲気ガス循環工程において、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第1の整流板を流れる前記雰囲気ガスの流速と、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第2の整流板を流れる前記雰囲気ガスの流速との差により、前記溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に前記雰囲気ガスの流れを形成することを特徴とする鋼板処理方法である。
上記(4)の構成によれば、雰囲気ガス循環工程において、コイルの半径方向内側に向かって流れる雰囲気ガスの流速よりも、コイルの半径方向内側に向かって流れる雰囲気ガスの方が流速が速いことにより鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に雰囲気ガスの流れが形成される。したがって、鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間が小さい場合や、隙間が大きくても隙間を設けるために配置されるスペーサによって隙間における雰囲気ガスの流通が阻害されやすい場合であっても、対向面どうしの隙間に雰囲気ガスを流通させて、雰囲気ガスと鋼板との接触による鋼板への所定の処理(例えば、黒色化処理)を適切に行うことができる。これにより、例えば、対向面どうしの隙間が小さいコイルや、隙間が大きくても隙間を設けるために配置されるスペーサによって隙間における雰囲気ガスの流通が阻害されやすいコイルのいずれに対しても、共通の密閉容器を用いて鋼板への所定の処理を適切に行うことができる。
本願発明によれば、鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間における雰囲気ガスの流れを確保して、雰囲気ガスと鋼板との接触による鋼板の黒色化等の処理を適切に行うことができる。
黒色めっき鋼板(セミルーズ巻き)の製造装置の一例を示す模式図である。 (a)中央部の蓋が閉じられた状態のディフューザの一例を示す斜視図、(b)中央部の蓋が閉じられた状態のディフューザの一例を示す部分断面図、(c)中央部の蓋が取り外された状態のディフューザの一例を示す部分断面図である。 第1の整流板の一例を示す斜視図である。 第2の整流板の一例を示す斜視図である。 第1の整流板、めっき鋼板、第2の整流板を積み重ねた状態を示す斜視図である。 第1の整流板、めっき鋼板、第2の整流板を積み重ねた状態を示す正面図である。 第3の整流板を、上下に反転した状態の一例を示す斜視図である。 黒色めっき鋼板の製造方法の一例を示すフローチャートである。 黒色めっき鋼板(ルーズ巻き)の製造装置の一例を示す模式図である。
以下、本実施形態に係る金属帯処理装置および金属帯処理方法の一例として、AlおよびMgを含有する溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板に水蒸気処理を施すことにより、黒色めっき鋼板を製造する装置および方法について説明する。
AlおよびMgを含有する溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板は、基材鋼板と、基材鋼板の表面に形成された溶融Al、Mg含有Znめっき層とを有するものであり、以下、この明細書において単に「めっき鋼板」と称することがある。
なお、めっき鋼板の黒色化処理は、コイル状にセミルーズ巻きされためっき鋼板に対して行う場合と、コイル状にルーズ巻きされためっき鋼板に対して行う場合とがある。セミルーズ巻きとは、めっき鋼板の金属帯が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間が小さい、或いは、隙間が大きくてもスペーサを配置すること等によって隙間における雰囲気ガスの流通が十分でないと懸念される巻き方である。なお、セミルーズ巻きでは、めっき鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に主としてメッシュシート等の面状のスペーサを介設することができるが、面状のスペーサを介設した場合と同程度の雰囲気ガスの流通状態となるのであれば、面状スペーサに代えて例えばワイヤスペーサや樹脂スペーサ等の線状のスペーサを介設してもよい。一方、ルーズ巻きとは、めっき鋼板の金属帯が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間が大きい場合など、雰囲気ガスが隙間で十分に流通する巻き方である。なお、ルーズ巻きでは、対向面どうしの隙間に主としてワイヤスペーサや樹脂スペーサ等の線状のスペーサを介設することができるが、線状のスペーサを介設した場合と同程度の雰囲気ガスの流通状態となるのであれば、線状スペーサに代えて例えばメッシュシート等の面状のスペーサを介設してもよい。
また、本明細書において、「雰囲気ガス」とは、密閉容器の内部に存在するガスを意味し、大気、水蒸気などの総称である。
なお、本発明に係る金属帯処理装置および金属帯処理方法は、この例に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で変更可能である。
[黒色めっき鋼板(セミルーズ巻き)の製造装置]
(装置の構成)
先ず、セミルーズ巻きされためっき鋼板100,101の黒色化処理を行うための装置の一例について、図1を参照して説明する。図1は、黒色めっき鋼板(セミルーズ巻き)の製造装置の一例を示す模式図である。
図1に示されるように、黒色めっき鋼板(セミルーズ巻き)の製造装置は、コイルの形に巻かれた複数のめっき鋼板100、101を取り出し可能に収容できる密閉容器10と、密閉容器10の内部の雰囲気ガスを加熱する加熱装置24と、密閉容器10の内部の雰囲気ガスを撹拌しつつ循環させる循環ファン71などの撹拌部70と、循環ファン71を収容するディフューザ110と、コイル状のめっき鋼板100、101の各々の側方両端部(図1における上端部および下端部)における雰囲気ガスの流れを整流する複数の整流板90(91,92,93)とを有する。本発明の装置は、さらに、密閉容器10の内部の雰囲気ガスを排気する排気調整機構30と、密閉容器10の内部に水蒸気を導入する導入水蒸気調整機構40とを有する。
図1に示される例では、複数の整流板は、セミルーズ巻きされ二段積みされためっき鋼板100,101のうち、下段に位置するめっき鋼板100の下側に第1の整流板90(91)が配置されており、下段に位置するめっき鋼板100と上段に位置するめっき鋼板101との間に第2の整流板90(92)が配置されており、上段に位置するめっき鋼板101の上側に第3の整流板90(93)が配置されている。
本発明の装置は、さらに、密閉容器10の内部に大気を含むガスを導入するガス導入部50や、密閉容器10の内部の圧力を大気圧に戻すための大気圧開放弁(図示せず。)を有する。また、本発明の装置は、めっき鋼板100、101の表面の温度を測定する温度計測部(図示せず)や密閉容器10内の圧力を測定する圧力計測部61、雰囲気ガスの温度を計測するガス温度計測部(図示せず。)を有していてもよい。
排気調整機構30は、排気配管31と、排気配管31における流量を調節する排気弁32と、排気配管31に接続された排気ポンプ(図示しない。)とを有している。
導入水蒸気調整機構40は、水蒸気供給配管41と、水蒸気供給配管41における流量を調節する水蒸気供給弁42とを有しており、密閉容器10内に供給する水蒸気量を、水蒸気供給弁42で調整するものである。
撹拌部70は、底部フレーム8に配置された循環ファン71と、循環ファン71を回転駆動する駆動モータ72とを有している。
図1に示されるように、密閉容器10は、底部フレーム8と、当該底部フレーム8と合体可能な上部カバー9とを有している。密閉容器10は、底部フレーム8と上部カバー9とが合体して密閉されることにより構成されている。
上部カバー9は、天井面がドーム状に形成された上部カバー天井部13と、側面が円形筒状に形成された上部カバー縦壁部14とを有している。上部カバー9は、下部が開放される形状によって構成されている。
底部フレーム8には、水蒸気供給源から水蒸気を導入する水蒸気供給配管41と、密閉容器10内の雰囲気ガスなどを排出するための排気配管31、ガス導入配管51、ドレン配管35が接続されており、これらの配管に設けられた開閉弁42,32,52,36を閉じることで、密閉容器10の内部を密閉状態にできる。
ディフューザ110は、底部フレーム8の上面に配置される。ディフューザ110は、その上に、整流板90およびコイル状に巻かれためっき鋼板100、101を配置可能となっている。
図2(a)は、ディフューザ110を、中央部の蓋113が閉じられた状態で示す斜視図であり、(b)は中央部の蓋113が閉じられた状態のディフューザ110の部分断面図であり、(c)は中央部の蓋113が取り外された状態のディフューザ110の部分断面図である。
図2(a)に示されるように、ディフューザ110は、上側から下側にかけて次第に径が小さくなる円錐台状に形成されている。ディフューザ110の上面は開口している。また、ディフューザ110は、上側から下側にかけて次第に径が小さくなる側面部111を有しており、側面部111には複数の開口部114が形成されている。
また、ディフューザ110は、側面部111の上端から径方向内側に延びる複数の支持部112と、複数の支持部112の内側端部どうしを繋ぐ円環状の支持部200(図2(a)~図2(c)参照)と、円環状の支持部200に着脱可能に支持される円板状の蓋部113と、側面部111の上端から径方向内側に延びるとともに、支持部112よりも短く、側面部111の上端に片持ち状態で支持される複数の支持部115と、を有している。
円環状の支持部200の内側には開口部201(図2(b)および図2(c)参照)が形成されており、蓋部113はこの開口部201を塞ぐことができる(図2(b)参照)。蓋部113は、後述のルーズ巻きされためっき鋼板を黒色化処理する際に使用される。蓋部113は、セミルーズ巻きされためっき鋼板を黒色化処理する際には使用されない。
また、複数の支持部112どうしの間には開口部202が形成されている。支持部112および支持部115の上には、第1の整流板91(図1参照)、および、後述のルーズ巻きされためっき鋼板を設置可能となっている。
図3は、ディフューザ110の直上に配置される第1の整流板91を示す斜視図である。
第1の整流板91は、図3に示されるように、円形のベース板911と、複数のガイド部912とを有する。
ベース板911は、セミルーズ巻きされためっき鋼板の中心孔と連通する円形のベース孔910を有するとともに、めっき鋼板から所定間隔を隔てて配置される。この所定間隔は、ガイド部912の高さに相当する。
ガイド部912は、ベース板911におけるめっき鋼板側の面に配置され、ベース板911の外周からベース孔910に向かって延びている。ガイド部912は、雰囲気ガスの流れをガイドする。図3に示される例では、複数のガイド部912が、ベース孔910の外周からベース板911の外周に向かって放射状に設けられている。
第1の整流板91においては、ガイド部912がベース板911の一方の側の面にのみ設けられている。また、ベース板911にはベース孔910が形成されている。したがって、ベース板911の一方の面側で雰囲気ガスの流れを整流し、整流した雰囲気ガスをベース孔910を通じてベース板911の他方の面側に流すことができる。よって、第1の整流板91を、下段に位置するめっき鋼板とディフューザとの間に配置して、下段に位置するめっき鋼板から出た雰囲気ガスを整流してディフューザへ導くことができる。
図4は、下段に位置するめっき鋼板と上段に位置するめっき鋼板との間に配置される第2の整流板92を示す斜視図である。図5は、第1の整流板91、めっき鋼板100、および第2の整流板92を積み重ねた状態を示す斜視図である。図6は、第1の整流板91、めっき鋼板100、および第2の整流板92を積み重ねた状態を示す正面図である。
第2の整流板92は、図4に示されるように、円形のベース板921と、ベース板921におけるめっき鋼板100側の面に配置される複数のガイド部922と、ベース板921におけるめっき鋼板101側の面に配置される複数のガイド部923とを有する。
ベース板921は、セミルーズ巻きされた各めっき鋼板の中心孔と連通する円形のベース孔920を有するとともに、各めっき鋼板から所定間隔を隔てて配置される。めっき鋼板100からの所定間隔は、ガイド部922の高さに相当する(図5および図6参照)。また、めっき鋼板101からの所定間隔は、ガイド部923の高さに相当する。
ガイド部922は、ベース板921における一方のめっき鋼板側の面に配置され、ベース板921の外周からベース孔920に向かって延びている。ガイド部923は、ベース板921における他方のめっき鋼板側の面に配置され、ベース板921の外周からベース孔920に向かって延びている。ガイド部922,923は、雰囲気ガスの流れをガイドする。図4に示される例では、複数のガイド部922および複数のガイド部923が、ベース孔920の外周からベース板921の外周に向かって放射状に設けられている。
第2の整流板92においては、ガイド部922がベース板921の一方の面に設けられ、ガイド部923がベース板921の他方の面に設けられている。また、ベース板911にはベース孔920が形成されている。したがって、ベース板921の両方の面側で雰囲気ガスの流れを整流し、一方の面側で整流した雰囲気ガスを、ベース孔910を通じて他方の面側に流すことができる。よって、第2の整流板92を、上段に位置するめっき鋼板と下段に位置するめっき鋼板との間に配置して、上段に位置するめっき鋼板から出た雰囲気ガスを整流して下段に位置するめっき鋼板の中心孔103へ導くことができる。
図7は、上段に位置するめっき鋼板の直上に配置される第3の整流板93を示す斜視図である。なお、図7は、便宜上、下側に配置される面を上側に向けた状態で示している。
第3の整流板93は、図7に示されるように、円形のベース板931と、複数のガイド部932とを有する。
ベース板931は、セミルーズ巻きされためっき鋼板から所定間隔を隔てて配置される。この所定間隔は、ガイド部932の高さに相当する。
ガイド部932は、ベース板931におけるめっき鋼板側の面に配置され、ベース板931の外周からベース板931の中央に向かって延びている。ガイド部932は、雰囲気ガスの流れをガイドする。図7に示される例では、複数のガイド部932が、セミルーズ巻きされためっき鋼板の中心孔の内周に対応する位置からベース板931の外周に向かって放射状に設けられている。
第3の整流板93においては、ガイド部932がベース板931の一方の面に設けられている。また、ベース板931にはベース孔が形成されていない。したがって、ベース板931の一方の面側で雰囲気ガスの流れを整流することができる。よって、第3の整流板93を、上段に位置するめっき鋼板の上に配置して、上段に位置するめっき鋼板から出た雰囲気ガスを整流して下段に位置するめっき鋼板へ導くことができる。
[黒色めっき鋼板(セミルーズ巻き)の製造方法]
次に、コイル状にセミルーズ巻きされるとともに二段積みされためっき鋼板100,101の黒色化処理の方法の一例について、図8を参照しつつ説明する。図8は、黒色めっき鋼板(セミルーズ巻き)の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図8のフローチャートに示されるように、本実施形態における黒色めっき鋼板の製造工程は、密閉容器の内部にセミルーズ巻きされためっき鋼板を積み込む第1工程(S110)と、密閉容器の内部に積み込まれためっき鋼板を加熱する第2工程(S120)と、密閉容器の内部の雰囲気ガスを排気して、密閉容器内部の気体圧力を70kPa以下にする第3工程(S130)と、密閉容器の内部に水蒸気を導入して所定の圧力の下、めっき層を黒色化する第4工程(S140)と、第4工程(S140)の後に密閉容器の内部の圧力をいったん大気圧に戻し、その後に、密閉容器内部の気体圧力を再び70kPa以下にする第5工程(S150)と、密閉容器内部のめっき鋼板を冷却する第6工程(S160)とを、この順番で行うものである。
第1工程(S110)では、例えば、めっき鋼板を2段で配置することができる。この場合、ディフューザの上に第1の整流板を配置し、第1の整流板の上にめっき鋼板を配置し、このめっき鋼板の上に第2の整流板を配置し、第2の整流板の上にめっき鋼板を配置し、このめっき鋼板の上に第3の整流板を配置する。セミルーズ巻きされためっき鋼板を黒色化する際には、ディフューザの蓋部を使用しない。
なお、第1工程(S110)では、めっき鋼板を単層(1段)で配置してもよいし、3段以上に積層して配置してもよい。セミルーズ巻きされためっき鋼板を単層で配置する場合には、めっき鋼板の下側に第1の整流板を配置し、めっき鋼板の上側に第3の整流板を配置することができる。また、セミルーズ巻きされためっき鋼板を3段以上に積層する場合には、1段目のめっき鋼板の下側に第1の整流板を配置し、最上段のめっき鋼板の上側に第3の整流板を配置し、1段目のめっき鋼板の直上、最上段のめっき鋼板の直下、他の段のめっき鋼板どうしの間には、第2の整流板を配置することができる。
(第2工程)
第2工程(S120)では、加熱装置24を用いて密閉容器10内の雰囲気ガスを加熱し、この雰囲気ガスを密閉容器10内に設けた循環ファン71などの攪拌装置70により対流させることにより、めっき鋼板が加熱される。
第2工程(S120)におけるめっき鋼板の加熱は、めっき層の表面温度が水蒸気との接触によってめっき層が黒色化される温度(以下、「黒色処理温度」ともいう。)に達するまで行われる。
なお、密閉容器内の雰囲気ガスを加熱する際に、密閉容器10内に設けた循環ファン71などの撹拌部70で密閉容器10内の雰囲気ガスを撹拌しつつ対流させると、めっき鋼板を短時間で均一に加熱することができ効率的である。
(第3工程)
第3工程(S130)では、密閉容器10内の雰囲気ガスを、排気配管31を通じて排気し、密閉容器10内の気体の圧力を70kPa以下にする。
(第4工程)
第4工程(S140)では、密閉容器10内に水蒸気を導入してめっき鋼板のめっき層を黒色化する。
(第5工程)
第5工程(S150)では、密閉容器10の内部の圧力をいったん大気圧に戻した後に、密閉容器10の内部の雰囲気ガスを排気して、密閉容器の内部の気体圧力を70kPa以下にする。
(第6工程)
第6工程(S160)では、密閉容器10の内部に露点が常にめっき鋼板温度未満であるガスをガス導入管51から導入してめっき鋼板を冷却する。
次に、ディフューザ110および整流板90の存在によって雰囲気ガスがどのように流れるかについて図1を参照しつつ説明する。
駆動モータ72が循環ファン71を回転させると、密閉容器10の内部の雰囲気ガスは、図1において矢印にて示すように、めっき鋼板101の中心孔104およびめっき鋼板100の中心孔103内の雰囲気ガスが降下してディフューザ110内に流入し、ディフューザ110の側部から密閉容器10の内壁面に沿って上昇する。上昇した雰囲気ガスは、第1の整流板91、第2の整流板92、および第3の整流板93内に流入する。なお、第3の整流板93のベース板931にはベース孔が形成されていないので、密閉容器10の上部カバー天井部13からめっき鋼板101の中心孔104に向けて移動して中心孔104に流入する雰囲気ガスはない。
第1の整流板91内に流入した雰囲気ガスは、第1の整流板91のガイド部にガイドされながらベース孔に向かって流れ(矢印A1参照)、ベース孔を通じてディフューザ110内へ流れる。
また、第2の整流板92内に流入した雰囲気ガスは、ガイド部にガイドされながらベース孔に向かって流れ(矢印A2、A3参照)、めっき鋼板100の中心孔103に流入して下方へ流れる。
また、第3の整流板93内に流入した雰囲気ガスは、ガイド部にガイドされながらベース板の中心に向かって流れ(矢印A4参照)、めっき鋼板101の中心孔104に流入して下方へ流れる。
第1の整流板91内おける雰囲気ガスの流速と、第2の整流板92内における雰囲気ガスの流速と、第3の整流板93内における雰囲気ガスの流速とを比較すると、流速が大きいものから順に、第1の整流板91内における雰囲気ガスの流速、第2の整流板92内における雰囲気ガスの流速、第3の整流板93内おける雰囲気ガスの流速となる。これは、循環ファン71から近い程、循環ファン71による吸引力が強く作用するからである。
また、雰囲気ガスの流速が大きい程、整流板内の圧力が低くなる。したがって、第1の整流板91内おける圧力と、第2の整流板92内における圧力と、第3の整流板93内における圧力とを比較すると、圧力が低いものから順に、第1の整流板91内の圧力、第2の整流板92内の圧力、第3の整流板93内の圧力となる。
このため、第1の整流板91に沿って流れる雰囲気ガスと、第2の整流板92に沿って流れる雰囲気ガスとの間に圧力差が生じる。この圧力差により、図1において矢印A5にて示されるように、セミルーズ巻きされためっき鋼板100の巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に、第2の整流板92に沿って流れる雰囲気ガスが、いわゆるエジェクタ効果によって流入し、流入した雰囲気ガスが第1の整流板91に向かって流れる。上記対向面どうしの隙間から第1の整流板91内に流入した雰囲気ガスは、循環ファン71による吸引力を受けて、ベース孔910を通じてディフューザ110内へ流れる。
また、第2の整流板92に沿って流れる雰囲気ガスと、第3の整流板93に沿って流れる雰囲気ガスとの間に圧力差が生じる。この圧力差により、図1において矢印A6にて示されるように、セミルーズ巻きされためっき鋼板101の巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に、第3の整流板93に沿って流れる雰囲気ガスが、いわゆるエジェクタ効果によって流入し、流入した雰囲気ガスが第2の整流板92に向かって流れる。上記対向面どうしの隙間から第2の整流板92内に流入した雰囲気ガスは、循環ファン71による吸引力を受けて、ベース孔920を通じてディフューザ110内へ流れる。
したがって、本実施形態によれば、第1の整流板91、第2の整流板92、および第3の整流板93により、セミルーズ巻きされためっき鋼板100,101の各々の両端部においてその半径方向内側に向かって雰囲気ガスが導かれることに伴い、めっき鋼板100,101の各々の巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に雰囲気ガスの流れA5,A6が形成される。したがって、セミルーズ巻きされためっき鋼板100,101の各々の巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間が小さい場合や、隙間が大きくても隙間を設けるために配置されるスペーサによって隙間における雰囲気ガスの流通が阻害されやすい場合であっても、めっき鋼板100,101の各々において上記対向面どうしの隙間に雰囲気ガスを流通させて、雰囲気ガスとめっき鋼板100,101との接触による、めっき鋼板100,101の黒色化処理を適切に行うことができる。
なお、図1に示される例では、セミルーズ巻きされためっき鋼板が2段に積層して配置されているが、セミルーズ巻きされためっき鋼板が、単層(1段)で配置されてもよいし、3段以上に積層して配置されてもよい。セミルーズ巻きされためっき鋼板が単層で配置される場合には、このめっき鋼板の下側に第1の整流板91が配置され、このめっき鋼板の上側に第3の整流板93が配置されることができる。また、セミルーズ巻きされためっき鋼板を3段以上に積層する場合には、1段目のめっき鋼板の下側に第1の整流板を配置し、最上段のめっき鋼板の上側に第3の整流板を配置し、1段目のめっき鋼板の直上、最上段のめっき鋼板の直下、他の段のめっき鋼板どうしの間には、第2の整流板を配置することができる。
なお、上記実施形態では、セミルーズ巻きのめっき鋼板100,101の黒色化処理を行う場合に整流板90を使用しているが、後述するルーズ巻きのめっき鋼板の黒色化処理を行う際には、整流板90を使用しなくてもよい。
[黒色めっき鋼板(ルーズ巻き)の製造装置および製造方法]
次に、コイル状にルーズ巻きされためっき鋼板107,108の黒色化処理を行うための装置の一例について、図9を参照して説明する。図9は、黒色めっき鋼板(ルーズ巻き)の製造装置の一例を示す模式図である。なお、図1と同一の構成については、図1と同一の参照符号を付してその説明を適宜省略する。
ルーズ巻きのめっき鋼板の黒色化処理を行う場合と、セミルーズ巻きのめっき鋼板の黒色化処理を行う場合とでは、上記第1工程(めっき鋼板積込、S110)は異なるが、上記第2工程~第6工程については共通とすることができる。
図9に示される例では、ディフューザ110の構成部材として、上述の蓋部113に加え、蓋部117が使用される。蓋部117は、ディフューザ110の上にルーズ巻きされためっき鋼板107が配置された際に、ディフューザ110の上面の開口部202のうち、めっき鋼板107の外周よりも外側の部分を覆う板状の部材である。蓋部117は、取り外し可能とされる。
また、図9に示される例では、上述の整流板90は使用されない。
具体的には、ディフューザ110の蓋部113が円環状の支持部200の上に開口部201を塞ぐように配置された状態で、ディフューザ110の上にルーズ巻きされためっき鋼板107が配置される。そして、めっき鋼板107の上に、ルーズ巻きされためっき鋼板108が配置される。次に、蓋部117が、ディフューザ110の側面部の上端から径方向内側に延びる複数の支持部112,115の上に、開口部202のうちめっき鋼板107の外周よりも外側の部分を塞ぐように配置される。ルーズ巻きされためっき鋼板107,108は、巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間がめっき鋼板107,108どうしで直接連通するように配置されるとよい。
このような状態で、駆動モータ72が循環ファン71を回転させると、密閉容器10の内部の雰囲気ガスは、図9において矢印にて示すように、ディフューザ110の側部から密閉容器10の内壁面に沿って上昇する。上昇した雰囲気ガスは、上側のめっき鋼板108の上端部から、めっき鋼板108が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に流入し、この隙間を通じて流下する(矢印A7参照)。そして、めっき鋼板108の下端部から下方へ排出された雰囲気ガスは、下側のめっき鋼板107の上端部から、めっき鋼板107が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に流入し、この隙間を通じて流下する(矢印A8参照)。めっき鋼板107の下端部から排出された雰囲気ガスは、ディフューザ110における蓋部113と蓋部117との間の領域(開口部202)を通じてディフューザ110内に流入し、ディフューザ110の側面の開口部を通じてディフューザ110から排出される。
また、図9に示されるように、下側のめっき鋼板107の直径が上側のめっき鋼板108の直径よりも大きい場合には、雰囲気ガスが上側のめっき鋼板108の上端部から下側のめっき鋼板107を介してディフューザ110内に流下することに加えて、さらに、以下のような雰囲気ガスの流れが生じる。
すなわち、密閉容器10の内壁面に沿って上昇した雰囲気ガスが、下側のめっき鋼板107の上端部のうち上側のめっき鋼板108の外周よりも外側の領域から、めっき鋼板107が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に流入し、この隙間を通じて流下する。めっき鋼板107の下端部から排出された雰囲気ガスは、ディフューザ110における蓋部113と蓋部117との間の領域(開口部202)を通じてディフューザ110内に流入し、ディフューザ110の側面の開口部を通じてディフューザ110から排出される。
なお、ディフューザ110における上面中央の開口部201は、蓋部113で塞がれているため、この開口部201を通じて雰囲気ガスがディフューザ110内に流入することはない。また、ディフューザ110における下側のめっき鋼板107の外周よりも外側の開口部202は、蓋部117で塞がれているため、この開口部202を通じて雰囲気ガスがディフューザ110内に流入することはない。これにより、めっき鋼板107,108の各々において、巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間における雰囲気ガスの流通が促進される。
また、図9に示される例では、ルーズ巻きされためっき鋼板が2段に積層して配置されているが、ルーズ巻きされためっき鋼板は、単層(1段)で配置されてもよいし、3段以上に積層して配置されてもよい。めっき鋼板が3段以上に積層して配置される場合、各めっき鋼板は、巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間が、上下に隣り合うめっき鋼板どうしで直接連通するように配置されるとよい。
したがって、ルーズ巻きのめっき鋼板107,108の黒色化処理を行う場合においても、めっき鋼板107,108の各々の巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に雰囲気ガスの流れが適切に形成される。これにより、めっき鋼板107,108の黒色化処理を適切に行うことができる。
(実施例)
次に、本発明の実施例を紹介することにより、本発明の効果を明らかにする。
[黒色化試験]
図1に示される装置(複数の整流板90(90,91,92)有り)を用い、セミルーズ巻きされ2段積みされためっき鋼板100,101を黒色化する試験を行った。また、図9に示される装置(整流板なし)を用い、ルーズ巻きされ2段積みされためっき鋼板107,108を黒色化する試験を行った。そして、その試験結果を比較した。試験の条件は以下の通りである。
[セミルーズ巻きされためっき鋼板についての試験条件]
上段のめっき鋼板101としては、厚み1.0mm、帯幅(高さ)1029mm、重量12.02tonのものを用い、下段のめっき鋼板100としては、厚み1.0mm、帯幅(高さ)1045mm、重量13.49tonのものを用いた。スペーサとしては、厚み0.8mmのメッシュシートを用いた。また、上述の第2工程(S120)における加熱処理の時間は42.1時間(hr)、上述の第4工程(S140)における水蒸気処理の時間は24時間(hr)であった。
[ルーズ巻きされためっき鋼板についての試験条件]
上段のめっき鋼板108としては、厚み1.0mm、帯幅(高さ)1060mm、重量14.49tonのものを用い、下段のめっき鋼板107としては、厚み1.0mm、帯幅(高さ)1061mm、重量15.65tonのものを用いた。スペーサとしては、直径2.0mmのワイヤスペーサを用いた。また、上述の第2工程(S120)における加熱処理の時間は4.7時間(hr)、上述の第4工程(S140)における水蒸気処理の時間は18時間(hr)であった。
[試験結果]
セミルーズ巻きされためっき鋼板100,101およびルーズ巻きされためっき鋼板107,108は、いずれも、第2工程(S120)において所定の温度まで加熱することができるとともに、第4工程(S140)において所定の明度まで均一に黒色化され合格品質のものであった。すなわち、セミルーズ巻きされためっき鋼板100,101は、ルーズ巻きされためっき鋼板107,108と比べて製造に時間はかかるものの、ルーズ巻きされためっき鋼板107,108と比べて遜色なく適切に黒色化することができた。
(効果)
上記本願発明の方法および装置によれば、セミルーズ巻きされためっき鋼板(例えば、めっき鋼板100)に対して黒色化処理を行う際に、整流板90が用いられる。整流板90によって、セミルーズ巻きされためっき鋼板の軸方向(上下方向)両端部において、半径方向内側に向かって雰囲気ガスが導かれる。これに伴い、セミルーズ巻きされためっき鋼板において、巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に雰囲気ガスの流れが形成される。したがって、上記対向面どうしの隙間が小さい場合であっても、対向面どうしの隙間に雰囲気ガスを流通させて、雰囲気ガスとめっき鋼板との接触によるめっき鋼板への黒色化処理を適切に行うことができる。また、ルーズ巻きされためっき鋼板(例えば、めっき鋼板107)に対して黒色化処理を行う際に、整流板90を用いず、蓋部113,117が用いられる。蓋部113,117を用いることにより、ルーズ巻きされためっき鋼板において、巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に効率よく雰囲気ガスを流通させて、雰囲気ガスとめっき鋼板との接触によるめっき鋼板への黒色化処理を適切に行うことができる。これにより、ルーズ巻きされためっき鋼板およびセミルーズ巻きされためっき鋼板のいずれに対しても、共通の密閉容器10を用いて黒色化処理を適切に行うことができる。
また、上記実施形態では、めっき鋼板を黒色化処理する場合について説明したが、めっきを施されていない鋼板をブルーイングする場合に本発明を適用することも可能である。
本願発明の方法および装置は、ルーズ巻きされためっき鋼板およびセミルーズ巻きされためっき鋼板のいずれに対しても、共通の密閉容器10を用いてめっき鋼板への黒色化処理を適切に行うことができるので、美観性の優れた鋼板のより一層の普及に貢献することが期待される。
10 密閉容器
71 循環ファン
90 整流板
91 第1の整流板
910 第1の整流板のベース孔
911 第1の整流板のベース板
912 第1の整流板のガイド部
92 第2の整流板
920 第2の整流板のベース孔
921 第2の整流板のベース板
922,923 第2の整流板のガイド部
93 第3の整流板
931 第3の整流板のベース板
932 第3の整流板のガイド部
100,101 セミルーズ巻きされためっき鋼板
103,104 セミルーズ巻きされためっき鋼板の中心孔

Claims (3)

  1. 隙間をあけて溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板が巻かれてなるコイルを密閉容器内で水蒸気と接触させる水蒸気処理を行う鋼板処理装置であって、
    前記コイルを内部に配置可能な密閉容器と、
    前記密閉容器内の雰囲気ガスを前記コイルの中心孔に沿って移動させながら、前記雰囲気ガスを前記中心孔と前記コイルの外側との間で循環させるファンと、
    前記コイルの軸方向における一方の端部に配置され、当該一方の端部において、前記コイルの半径方向内側に向かって前記雰囲気ガスが流れる第1の整流板と、
    前記コイルの軸方向における他方の端部に配置され、当該他方の端部において、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第1の整流板よりも速い流速で前記雰囲気ガスが流れる第2の整流板と、
    を備え、
    前記コイルの半径方向内側に向かって前記第1の整流板を流れる前記雰囲気ガスの流速と、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第2の整流板を流れる前記雰囲気ガスの流速との差により、前記溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に前記雰囲気ガスの流れが形成される
    ことを特徴とする鋼板処理装置。
  2. 前記第1の整流板及び前記第2の整流板は、前記コイルの前記中心孔と連通するベース孔を有するとともに前記コイルから所定間隔を隔てて配置されるベース板と、当該ベース板における前記コイル側の面に配置され、前記ベース板の周縁部から前記ベース孔に向かって延びて前記雰囲気ガスを案内するガイド部とを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の鋼板処理装置。
  3. 隙間をあけて溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板が巻かれてなるコイルを密閉容器内で水蒸気と接触させる水蒸気処理を行う鋼板処理方法であって、
    密閉容器内に、前記コイルと、当該コイルの軸方向両端部に、当該コイルの半径方向内側に向かって雰囲気ガスを導く整流板とを配置するコイル配置工程と、
    ファンを作動させることにより、前記密閉容器内の雰囲気ガスを前記コイルの中心孔に沿って移動させながら前記雰囲気ガスを前記中心孔と前記コイルの外側との間で循環させる雰囲気ガス循環工程と、を備え、
    前記コイル配置工程は、
    前記コイルの軸方向における一方の端部に、前記コイルの半径方向内側に向かって前記雰囲気ガスが流れる第1の整流板を配置する第1整流板配置工程と、
    前記コイルの軸方向における他方の端部に、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第1の整流板よりも速い流速で前記雰囲気ガスが流れる第2の整流板を配置する第2整流板配置工程と、を含み、
    前記雰囲気ガス循環工程において、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第1の整流板を流れる前記雰囲気ガスの流速と、前記コイルの半径方向内側に向かって前記第2の整流板を流れる前記雰囲気ガスの流速との差により、前記溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板が巻かれる方向に沿って対向する対向面どうしの隙間に前記雰囲気ガスの流れを形成する
    ことを特徴とする鋼板処理方法。
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