JP7014811B2 - ブルトン型チロシンキナーゼの阻害剤 - Google Patents

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Description

本出願は、広くは疾患を治療する治療薬及び組成物に関し、より具体的にはブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤に関する。
BTKは、Tecキナーゼファミリーの一種であり、かつB細胞中のシグナル伝達及び肥満細胞の活性化に関与する。いくつかの化合物がBTK阻害剤として同定されている。その例として、米国特許第7,514,444号、第8,501,724号、第8,557,803号、第8,940,725号、第8,940,893号、第9,199,997号、及び第9,371,325号、また米国出願公開第2014/0142099号、PCT出願公開WO2008/121742号、WO2013/010380号、WO2013/010868号、WO2013/010869号、WO2015/002894号、及びWO2015/048689号が開示されている。いくつかのBTK阻害剤は、自己免疫疾患及び癌などへの可能性のある治療薬として評価されている。
BTKを阻害してBTKによって媒介される疾患、障害、又は症状を治療する治療薬を開発する必要性がある。
一側面において、以下の構造を有する化合物(I)の塩及び共結晶体が提供される。
Figure 0007014811000001
いくつかの側面において、化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩が提供される。特定の側面において、塩又は共結晶体の化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩が提供される。
別の側面において、化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩、及び1種以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物が提供される。また化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩を含む製品及び単位剤形が提供される。さらに本明細書に記載の化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩、及び使用説明書(例えば、自己免疫疾患又は癌などのBTK媒介障害での使用説明書)を含むキットが提供される。
一変形態様において、化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩、あるいはそれらの(医薬組成物を含む)組成物を、それを必要とするヒトに投与することを含むヒトのBTK媒介障害を治療する方法を提供する。いくつかの態様において、BTK媒介障害は、自己免疫疾患又は癌である。
また、BTK活性の阻害に応答する自己免疫疾患や癌などの疾患の治療用薬剤の製造における、化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩、あるいはそれらの(医薬組成物を含む)組成物の使用が提供される。
化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩を製造する方法がさらに提供される。さらに、化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩を含む組成物を製造する方法が提供される。
化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩を製造する方法は、適切な酸と化合物(I)を適切な溶媒又は適切な溶媒混合物に混ぜ合わせることを含む。適切な酸として、限定はされないが、硫酸、シュウ酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、フマル酸、及びコハク酸が挙げられる。適切な溶媒として、限定はされないが、メタノール、エタノール、水、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、n-ヘプタン、アセトニトリル、アセトン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、2-プロパノール、1-プロパノール、1-ブタノール、及びそれらの任意の混合物が挙げられる。また本明細書に詳述される方法(例えば製造方法)によって得られる化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩が提供される。
本開示は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することで、理解が深まる。
図1A~1Dは、それぞれ、化合物(I)のヘミ硫酸のX線粉末回折(XRPD)パターン、示差走査熱量測定(DSC)温度曲線、熱重量分析(TGA)温度曲線、及び動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。 同上。 同上。 同上。
図2A~2Dは、それぞれ、化合物(I)のシュウ酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターン、示差走査熱量測定(DSC)温度曲線、熱重量分析(TGA)温度曲線、及び動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。 同上。 同上。 同上。
図3A~3Dは、それぞれ、化合物(I)のヘミエジシル酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターン、示差走査熱量測定(DSC)温度曲線、熱重量分析(TGA)温度曲線、及び動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。 同上。 同上。 同上。
図4A~4Dは、それぞれ、化合物(I)のエジシル酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターン、示差走査熱量測定(DSC)温度曲線、熱重量分析(TGA)温度曲線、及び動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。 同上。 同上。 同上。
図5A~5Dは、それぞれ、化合物(I)のヘミナパジシル酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターン、示差走査熱量測定(DSC)温度曲線、熱重量分析(TGA)温度曲線、及び動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。 同上。 同上。 同上。
図6A~6Dは、それぞれ、化合物(I)のフマル酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターン、示差走査熱量測定(DSC)温度曲線、熱重量分析(TGA)温度曲線、及び動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。 同上。 同上。 同上。
図7A~7Dは、それぞれ、化合物(I)のコハク酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターン、示差走査熱量測定(DSC)温度曲線、熱重量分析(TGA)温度曲線、動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。 同上。 同上。 同上。
以下の説明は、種々の態様の作製や使用が当業者に可能となるように提供される。特定の化合物、方法、技術、及び用途の説明は、単に実施例として示される。本明細書に記載の実施例に対する様々な変更は、当業者には容易に明白であり、本明細書に記載の基本的な原理は、種々の態様の趣旨及び適用範囲から逸脱することなく、その他の実施例及び用途に適用されてもよい。したがって、種々の態様は、本明細書に記載され示された実施例に限定する意図はなく、特許請求の範囲に一貫する適用範囲に従うものである。
本出願で使用する際に、以下の単語及び句は、それら単語及び句が使用される文脈で別のことを示す場合を除いて、以下に記載する意味を持つことを一般的に意図している。用語「約」は、数値又はパラメータのそれ自身を含み記述している。例えば、「約x」は、「x」それ自身を含み記述している。特定の態様において、用語「約」は、測定値に関連して使用するときに、又は数値、単位、定数、又は数値の範囲を変更するように使用するときに、±1~10%のバラツキを指している。いくつかの態様において、用語「約」は、測定値に関連して使用されるときに、又は数値、単位、定数、又は数値の範囲を変更するように使用するときに、±5%のバラツキを指している。いくつかの特定の態様において、用語「約」は、測定値に関連して使用するときに、又は数値、単位、定数、又は数値の範囲を変更するように使用するときに、±10%のバラツキを指している。用語「間」は、数値又はパラメータのそれ自身を含み記述している。例えば、「xとyの間」は、「x」と「y」のそれ自身を含み記述している。用語「及び/又は」は、一方の目的物ならびに両方の目的物を含む。例えば、「x及び/又はy」は、「x又はy」及び「x及びy」を含む。
所定式の化合物は、本開示の化合物、ならびにその化合物の塩、エステル、異性体、互変異性体、溶媒和物、同位体、水和物、(多形、偽多形、結晶又は共結晶形態を含む)形態及びプロドラッグを包含することを意図している。さらに、本開示の化合物は、1つ以上の不斉中心を保持してもよく、かつラセミ混合物、非ラセミ混合物、ジアステレオ異性体の混合物として、又は個々の鏡像異性体もしくはジアステレオ異性体として製造できる。所定式の任意の所定の化合物中に存在する立体異性体の数は、存在する不斉中心の数に依存する(nが不斉中心の数である場合に、2n個の立体異性体の存在が可能である)。(個々の鏡像異性体及びジアステレオ異性体を含む)個々の立体異性体、ならびに立体異性体のラセミ混合物及び非ラセミ混合物は、本開示の範囲内に包含され、それらの全てを、特に明記しない限り、本明細書の構造によって表示することを意図している。本開示の化合物は、分離可能な回転異性体、又はアトロプ異性体を含む。
「異性体」は、同じ分子式を持つ異なる化合物である。異性体には、立体異性体、鏡像異性体、及びジアステレオ異性体が挙げられる。「立体異性体」は、原子が空間内に配置されることだけが異なる異性体である。「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせが不可能な鏡像である一対の立体異性体である。一対の鏡像異性体の1:1混合物は「ラセミ」混合物である。用語「(±)」は、適切な場合にラセミ混合物を表示するのに使用する。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。
絶対立体化学は、カーン・インゴルド・プレローグR/Sシステムに則って特定される。化合物が純粋な鏡像異性体である場合に、各キラル炭素での立体化学は、R又はSの何れかによって特定できる。絶対配置が未知である分析対象の化合物は、それらがナトリウムD線の波長で偏光面を回転する方向(右旋性又は左旋性)に応じて(+)又は(-)と表示される。
「互変異性体」は、同じ有機分子内の原子又は官能基の移動から生じる構造異性体であり、その1つ以上の構造骨格、電子密度分布、及び化学的性質が変化することになる。当然のことであるが、本明細書に開示される化合物は、必ずしも明白に示してはいないが互変異性形態を含んでいる。一例として、プリンは以下の任意の互変異性体で表示してもよい。
Figure 0007014811000002
したがって、何れかのプリン互変異性体につき述べる際は、他の互変異性形態も含んでいる。
表示構造とその構造に与えられた名称との間に食い違いがある場合には、表示構造に基づくものとする。さらに、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば太字状、くさび状、又は破線状で表示されない場合は、その構造又はその構造の一部は、そのすべての立体異性体を包含すると解釈すべきである。
用語「溶媒和物」は、本明細書に開示する任意の式の化合物と溶媒とを組み合わせて形成される複合物を指す。用語「水和物」は、本明細書に開示する任意の式の化合物と水とを組み合わせて形成される複合物を指す。
本明細書に記載の何れの式又は構造も、非標識形態の化合物ならびに同位体による標識形態の化合物を表示することを意図している。同位体による標識化合物は、1つ以上の原子が所定の原子質量又は質量数を持つ原子によって置換されていることを除いて、本明細書に記載の式によって表示される構造を有する。本開示の化合物内に組込み可能な同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体、限定はされないが、例えばH(重水素、D)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl及び125Iが挙げられる。本開示の種々の同位体による標識化合物は、例えばH、13C及び14Cなどの放射性同位体がその内部に組込まれる化合物である。その同位体による標識化合物は、代謝研究、反応速度論研究、薬剤を含む陽電子放出型断層撮影法(PET)又は単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)などの検出技術又は画像化技術、又は基質組織分布測定に、あるいは患者の放射線治療に役立てることができる。
本開示はまた、炭素原子に結合した1~「n」個の水素が重水素で置換されている本明細書に開示される任意の式の化合物を含み、ここでnは分子中の水素の数を示す。その化合物では、代謝に対する耐性を増大させ、すなわち哺乳動物に投与された場合に、式(I)~(III)の化合物の半減期の延伸に有用となる。例えば、Fosterの「薬物代謝研究における重水素同位体の効果」(Trends Pharmacal. Sci. 5(12):524-527 (1984))を参照。その化合物は、当技術分野で周知の手段で、例えば1個以上の水素原子が重水素によって置換されている出発物質を使用して合成される。
本開示の重水素により標識又は置換された治療用化合物は、分布、代謝及び排泄(ADME)に関して、改善された薬物代謝及び薬物動態特性を有することができる。重水素などのより重い同位体での置換は、より高い代謝安定性から生じる特定の治療上の利点、例えば生体内半減期の延伸又は要求用量の低減を提供できる。18Fによる標識化合物は、PET又はSPECT研究に役立てることができる。本開示の同位体による標識化合物及びそのプロドラッグは、同位体で標識しない試薬の代わりに容易に入手可能な同位体による標識試薬を用いて、体系的に又は下記の実施例及び調製法に開示された手順を実施して通常製造可能である。さらに、より重い同位体、特に重水素(すなわちH又はD)による置換は、より高い代謝安定性から生じる特定の治療上の利点、例えば生体内半減期の延伸又は要求用量の低減又は治療指数の改善を提供できる。当然のことであるが、この文脈中の重水素は、本明細書に開示する任意の式の化合物中の置換基と見なされる。
このより重い同位体、具体的に重水素の濃度は、同位体濃縮係数によって定義できる。本開示の化合物で、特定の同位体として具体的に指定されない任意の原子は、その原子の任意の安定な同位体であることを意味する。特に明記しない限り、位置に特に「H」又は「水素」と表示される場合は、その位置はその天然存在比の同位体組成での水素を有すると理解する。したがって、本開示の化合物中に、重水素(D)として具体的に表示する任意の原子は重水素であることを意味する。
多くの場合、本開示の化合物は、アミノ基及び/又はカルボキシル基、又はそれらに類似する基の存在によって、酸塩及び/又は塩基塩を生成できる。塩基付加塩又は酸付加塩は、無機塩基及び有機塩基から調製できる。
いくつかの態様において、塩は「薬学的に許容可能な塩」である。所定の化合物の薬学的に許容可能な塩は、所定の化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、かつ生物学的又は他の観点で望ましい塩を指す。P.Heinrich Stahl及びCamille G.Wermuth (Eds.)らの医薬塩:性質、選択及び使用(国際純正・応用化学連合)、Wiley-VCHの第2改訂版(2011年5月16日)を参照。
本明細書に記載の化合物は、化学構造又は名称の形で表示できる。例として、化合物(I)は、ChemBioDraw Ultra 10.0を使用して命名されてもよく、当然なことではあるが、同一構造の化合物を識別するために他の名称を使用してもよい。他の化合物又はラジカルは、一般名称、又は系統的な名称もしくは非系統的な名称により命名されてもよい。化合物はまた、例えば化学情報検索サービス機関(CAS)及び国際純正・応用化学連合(IUPAC)を含み、化学の技術分野で一般に認識されている他の命名法及び記号を使用して命名してもよい。
化合物(I)の形態
本出願は、BTK阻害剤として適切な、BTK活性を阻害する化合物を提供する。一側面において、BTK阻害剤は、以下の構造を有する化合物(I)の塩又は形体である。
Figure 0007014811000003
化合物(I)は、6-アミノ-9-[(3R)-1-(2-ブチノイル)-3-ピロリジニル]-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オンと表示されてもよい。
他の側面において、BTK阻害剤は、化合物(I)の塩又は共結晶体である。いくつかの態様において、BTK阻害剤は、化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩である。化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、及びコハク酸塩は、塩又は共結晶体を含む任意の形体で提供されてもよい。これらの塩又は共結晶体は、例えばX線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び単結晶X線結晶構造解析などの種々の固体状態分析データによって特徴付けられてもよい。当業者は、そのような特徴付けデータを生成するのに使用できる様々な技術や方法を認識している。特に明記しない限り、本明細書で提供されるXRPDパターンは、粉末X線回折装置によって室温で生成される。
化合物(I)の結晶塩又は共結晶体は、医薬組成物中の活性成分としての使用に適する生物学的利用能及び安定性という利点を提供できる。米国特許第8,557,803号に開示される6-アミノ-9-[(3R)-1-(2-ブチノイル)-3-ピロリジニル]-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オンは、BTK阻害剤の一例である。BTK阻害剤の塩は、例えば、米国特許第9,199,997号及び第9,371,325号に開示されている。これらの引例特許のそれぞれは、その全体が参照により本明細書内に組み込まれている。化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩の塩又は共結晶体は、米国特許第9,199,997号及び第9,371,325号に開示されている塩と比較して、同等以上の高い溶解度を持つ可能性がある。いくつかの態様において、化合物(I)、本出願の化合物、本明細書に記載の化合物、本出願のBTK阻害剤、本明細書に記載のBTK阻害剤、又はそれらの変異体での塩又は共結晶体という用語は、塩又は共結晶体の化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩を指している。薬剤物質又は有効成分での結晶構造の変化は、医薬製品又は有効成分の(生物学的利用能に影響する可能性がある)溶解速度、(取り扱いの容易性、既知の効力用量を定常的に調製する能力などの)製造可能性、及び(熱安定性や有効期間などの)安定性に影響を及ぼす可能性がある。それらの変化は、錠剤及びカプセルを含む固体経口剤形などの異なる剤形又は送達形態での医薬組成物の調製又は製剤化に影響を及ぼす可能性がある。非結晶体又は非晶質体などの他の形態に比較して、結晶体は、望ましくて適切な吸湿性、粒子径制御性、溶解速度、溶解度、純度、物理的及び化学的安定性、製造性、収率、及び/又は工程制御性を提供できる。したがって、化合物(I)の結晶塩又は共結晶体は、有効薬剤の製造工程、あるいは化合物又は有効成分の製剤形態の安定性又は保存性を改善する利点、又は適切な生物学的利用能及び/又は有効薬剤としての安定性を保有する利点を提供する。
特定の酸を使用すると、種々の固体形態の化合物(I)、例えばヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、及びコハク酸塩の形態を生成できることが見い出され、この使用により、限定はされないが、生物学的利用能及び安定性を含む本明細書に記載の1種以上の望ましい特性を示すことができる。それらの形態の調製及び特性評価の工程は本明細書に記載される。例えば、XRPDパターン、DSC温度曲線、TGA温度曲線、又はDVS曲線に関連する際の「~に実質的に示される」という表現では、パターン、温度曲線、又は曲線が、必ずしも本明細書に記載されるそれらと同一でなくてもよく、当業者が検討する場合に実験誤差又はバラツキと見做す範囲内に収まることを含んでいる。
化合物(I)のヘミ硫酸塩
一側面において、結晶形態が図1Aに実質的に示されるXRPDパターンを示す化合物(I)のヘミ硫酸を提供する。化合物(I)のヘミ硫酸塩は、図1Bに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)温度曲線を示す。化合物(I)のヘミ硫酸は、図1Cに実質的に示される熱重量分析(TGA)温度曲線を示す。化合物(I)ヘミ硫酸塩は、図1Dに実質的に示される動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。
いくつかの態様において、化合物(I)のヘミ硫酸塩は、図1Aに実質的に示されるXRPDパターンのように、最大強度を有する2個以上、3個以上、4個以上、又は5個以上の2θ反射角を示すXRPDパターンを示す。当然のことであるが、相対強度は、試料調製、試料取り付け、スペクトルを得るのに使用する機器ならびに解析手順及び設定などの複数の因子に応じて増減し得る。なお、化合物(I)のヘミ硫酸塩を含め、本明細書に挙げたピークの位置は、2θ角度に±0.2°の誤差を含んでいる。
特定の態様において、化合物(I)のヘミ硫酸塩は、2θ:6.6、18.6、及び23.7°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。一態様において、化合物(I)のヘミ硫酸塩は、2θ:6.6、7.1、13.7、18.6、及び23.7°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。
特定の態様において、化合物(I)のヘミ硫酸は、約25℃から約150℃までに約0.6%の重量損失を含む熱重量分析温度曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のヘミ硫酸は、約192℃に吸熱ピークを含む示差走査熱量測定曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のヘミ硫酸塩は、約25℃で約10%から約90%RHへの変化に対し、約1.2%の水分取込みを伴う動的水蒸気吸・脱着等温線を示す。いくつかの態様において、化合物(I)のヘミ硫酸は、以下の特性のうち少なくとも一方又は両方を示す。
(a)図1Aに実質的に示されるXRPDパターン。
(b)図1Bに実質的に示されるDSC温度曲線。
化合物(I)のシュウ酸塩
一側面において、結晶形態が図2Aに実質的に示されるXRPDパターンを示す化合物(I)のシュウ酸塩を提供する。化合物(I)のシュウ酸塩は、図2Bに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)温度曲線を示す。化合物(I)のシュウ酸塩は、図2Cに実質的に示される熱重量分析(TGA)温度曲線を示す。化合物(I)のシュウ酸塩は、図2Dに実質的に示される動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。
いくつかの態様において、化合物(I)のシュウ酸塩は、図2Aに実質的に示されるXRPDパターンのように、最大強度を有する2個以上、3個以上、4個以上、又は5個以上の2θ反射角を示すXRPDパターンを示す。当然のことであるが、相対強度は、試料調製、試料取り付け、スペクトルを得るのに使用する機器ならびに解析手順及び設定などの複数の因子に応じて増減し得る。なお、化合物(I)のシュウ酸塩を含み、本明細書に挙げたピークの位置は、2θ角度に±0.2°の誤差を含んでいる。
特定の態様において、化合物(I)のシュウ酸塩は、2θ:7.2、18.2、及び23.3°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。一態様において、化合物(I)のシュウ酸塩は、2θ:7.2、13.8、18.2、20.2、及び23.3°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。
特定の態様において、化合物(I)のシュウ酸塩は、約25℃から約100℃までに約0.6%の重量損失を含む熱重量分析温度曲線を示す。一態様において、化合物(I)のシュウ酸塩のこの温度曲線は、約100℃から約200℃までに約11%の重量損失をさらに含む。特定の態様において、化合物(I)のシュウ酸塩は、約171℃に吸熱ピークを含む示差走査熱量測定曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のシュウ酸塩は、約25℃で約10%から約90%RHへの変化に対し、約0.5%の水分取込みを伴う動的水蒸気吸・脱着等温線を示す。いくつかの態様において、化合物(I)のシュウ酸塩は、以下の特性のうち少なくとも一方又は両方を示す。
(a)図2Aに実質的に示されるXRPDパターン。
(b)図2Bに実質的に示されるDSC温度曲線。
化合物(I)のヘミエジシル酸塩
一側面において、結晶形態が図3Aに実質的に示されるXRPDパターンを示す化合物(I)のヘミエジシル酸塩を提供する。化合物(I)のヘミエジシル酸塩は、図3Bに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)温度曲線を示す。化合物(I)のヘミエジシル酸塩は、図3Cに実質的に示される熱重量分析(TGA)温度曲線を示す。化合物(I)のヘミエジシル酸塩は、図3Dに実質的に示される動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。
いくつかの態様において、化合物(I)のヘミエジシル酸塩は、図3Aに実質的に示されるXRPDパターンのように、最大強度を有する2個以上、3個以上、4個以上、又は5個以上の2θ反射角を示すXRPDパターンを示す。当然のことであるが、相対強度は、試料調製、試料取り付け、スペクトルを得るのに使用する機器ならびに解析手順及び設定などの複数の因子に応じて増減し得る。なお、化合物(I)のヘミエジシル酸塩を含み、本明細書に挙げたピークの位置は、2θ角度に±0.2°の誤差を含んでいる。
特定の態様において、化合物(I)のヘミエジシル酸塩は、2θ:5.9、11.8、及び17.6°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。一態様において、化合物(I)のヘミエジシル酸塩は、2θ:5.9、11.8、17.6、21.2、及び23.6°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。
特定の態様において、化合物(I)のヘミエジシル酸塩は、約25℃から約100℃までに約3.3%の重量損失を含む熱重量分析温度曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のヘミエジシル酸塩は、約165℃に吸熱ピークを含む示差走査熱量測定曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)ヘミエジシル酸塩は、約25℃で約10%から約90%RHへの変化に対し、約3%の水分取込みを伴う動的水蒸気吸・脱着等温線を示す。いくつかの態様において、化合物(I)のヘミエジシル酸塩は、以下の特性のうち少なくとも一方又は両方を示す。
(a)図3Aに実質的に示されるXRPDパターン。
(b)図3Bに実質的に示されるDSC温度曲線。
化合物(I)のエジシル酸塩
一側面において、結晶形態が図4Aに実質的に示されるXRPDパターンを示す化合物(I)のエジシル酸塩を提供する。化合物(I)のエジシル酸塩は、図4Bに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)温度曲線を示す。化合物(I)のエジシル酸塩は、図4Cに実質的に示される熱重量分析(TGA)温度曲線を示す。化合物(I)のエジシル酸塩は、図4Dに実質的に示される動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。
いくつかの態様において、化合物(I)のエジシル酸塩は、図4Aに実質的に示されるXRPDパターンのように、最大強度を有する2個以上、3個以上、4個以上、又は5個以上の2θ反射角を示すXRPDパターンを示す。当然のことであるが、相対強度は、試料調製、試料取り付け、スペクトルを得るのに使用する機器ならびに解析手順及び設定などの複数の因子に応じて増減し得る。なお、化合物(I)のエジシル酸塩を含み、本明細書に挙げたピークの位置は、2θ角度に±0.2°の誤差を含んでいる。
特定の態様において、化合物(I)のエジシル酸塩は、2θ:5.7、16.6、及び24.2°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。一態様において、化合物(I)のエジシル酸塩は、2θ:5.7、11.1、16.6、22.2、及び24.2°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。
特定の態様において、化合物(I)のエジシル酸塩は、約25℃から約100℃までに約4.0%の重量損失を含む熱重量分析温度曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のエジシル酸塩は、約154℃に吸熱ピークを含む示差走査熱量測定曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のエジシル酸塩は、約25℃で約10%から約90%RHへの変化に対し、約22%の水分取込みを伴う動的水蒸気吸・脱着等温線を示す。いくつかの態様において、化合物(I)のエジシル酸塩は、以下の特性のうち少なくとも一方又は両方を示す。
(a)図4Aに実質的に示されるXRPDパターン。
(b)図4Bに実質的に示されるDSC温度曲線。
化合物(I)のヘミナパジシル酸塩
一側面において、結晶形態が図5Aに実質的に示されるXRPDパターンを示す化合物(I)のヘミナパジシル酸塩を提供する。化合物(I)のヘミナパジシル酸塩は、図5Bに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)温度曲線を示す。化合物(I)のヘミナパジシル酸塩は、図5Cに実質的に示される熱重量分析(TGA)温度曲線を示す。化合物(I)のヘミナパジシル酸塩は、図5Dに実質的に示される動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。
いくつかの態様において、化合物(I)のヘミナパジシル酸塩は、図5Aに実質的に示されるXRPDパターンのように、最大強度を有する2個以上、3個以上、4個以上、又は5個以上の2θ反射角を示すXRPDパターンを示す。当然のことであるが、相対強度は、試料調製、試料取り付け、スペクトルを得るのに使用する機器ならびに解析手順及び設定などの複数の因子に応じて増減し得る。なお、化合物(I)のヘミナパジシル酸塩を含み、本明細書に挙げたピークの位置は、2θ角度に±0.2°の誤差を含んでいる。
特定の態様において、化合物(I)のヘミナパジシル酸塩は、2θ:15.5、16.5、及び23.8°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。一態様において、化合物(I)のヘミナパジシル酸塩は、2θ:5.6、15.5、16.5、20.3、及び23.8°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。
特定の態様において、化合物(I)のヘミナパジシル酸塩は、約25℃から約125℃までに約1.5%の重量損失を含む熱重量分析温度曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のヘミナパジシル酸塩は、約180℃に吸熱ピークを含む示差走査熱量測定曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のヘミナパジシル酸塩は、約25℃で約10%から約90%RHへの変化に対し、約6.5%の水分取込みを伴う動的水蒸気吸・脱着等温線を示す。いくつかの態様において、化合物(I)のヘミナパジシル酸塩は、以下の特性のうち少なくとも一方又は両方を示す。
(a)図5Aに実質的に示されるXRPDパターン。
(b)図5Bに実質的に示されるDSC温度曲線。
化合物(I)のフマル酸塩
一側面において、結晶形態が図6Aに実質的に示されるXRPDパターンを示す化合物(I)のフマル酸塩を提供する。化合物(I)のフマル酸塩は、図6Bに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)温度曲線を示す。化合物(I)のフマル酸塩は、図6Cに実質的に示される熱重量分析(TGA)温度曲線を示す。化合物(I)のフマル酸塩は、図6Dに実質的に示される動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。
いくつかの態様において、化合物(I)のフマル酸塩は、図6Aに実質的に示されるXRPDパターンのように、最大強度を有する2個以上、3個以上、4個以上、又は5個以上の2θ反射角を示すXRPDパターンを示す。当然のことであるが、相対強度は、試料準備、試料取り付け、スペクトルを得るのに使用する機器ならびに分析手順及び設定などの複数の因子に応じて変化し得る。したがって、化合物(I)のフマル酸塩を含み、本明細書に挙げたピークの位置は、2θ角度に±0.2°の誤差を含んでいる。
特定の態様では、化合物(I)のフマル酸塩は、2θ:13.0、16.6、及び19.9°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。一態様において、化合物(I)のフマル酸塩は、2θ:8.3、13.0、16.6、19.0、及び19.9°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。
特定の態様において、化合物(I)のフマル酸塩は、約25℃から約100℃までに約0.04%の重量損失を含む熱重量分析温度曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のフマル酸塩は、約158℃に吸熱ピークを含む示差走査熱量測定曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のフマル酸塩は、約25℃で約10%から約90%RHへの変化に対し、約0.1%の水分取込みを伴う動的水蒸気吸・脱着等温線を示す。いくつかの態様において、化合物(I)のフマル酸塩は、以下の特性のうち少なくとも一方又は両方を示す。
(a)図6Aに実質的に示されるXRPDパターン。
(b)図6Bに実質的に示されるDSC温度曲線。
化合物(I)のコハク酸塩
一側面において、結晶形態が図7Aに実質的に示されるXRPDパターンを示す化合物(I)のコハク酸塩を提供する。化合物(I)のコハク酸塩は、図7Bに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)温度曲線を示す。化合物(I)のコハク酸塩は、図7Cに実質的に示される熱重量分析(TGA)温度曲線を示す。化合物(I)のコハク酸塩は、図7Dに実質的に示される動的水蒸気吸・脱着(DVS)曲線を示す。
いくつかの態様において、化合物(I)のコハク酸塩は、図7Aに実質的に示されるXRPDパターンのように、最大強度を有する2個以上、3個以上、4個以上、又は5個以上の2θ反射角を示すXRPDパターンを示す。当然のことであるが、相対強度は、試料調製、試料取り付け、スペクトルを得るのに使用する機器ならびに解析手順及び設定などの複数の因子に応じて増減し得る。なお、化合物(I)のコハク酸塩を含み、本明細書に挙げたピークの位置は、2θ角度に±0.2°の誤差を含んでいる。
特定の態様において、化合物(I)のコハク酸塩は、2θ:13.2、16.5、及び18.0°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。一態様において、化合物(I)のコハク酸塩は、2θ:8.2、13.2、16.5、18.0、及び18.6°(±0.2°)に反射角を含むXRPDパターンを示す。
特定の態様において、化合物(I)のコハク酸塩は、約25℃から約125℃までに約0.2%の重量損失を含む熱重量分析温度曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のコハク酸塩は、約142℃及び約160℃に2つの吸熱ピークを含む示差走査熱量測定曲線を示す。特定の態様において、化合物(I)のコハク酸塩は、約25℃で約10%から約90%RHへの変化に対し、約0.2%の水分取込みを伴う動的水蒸気吸・脱着等温線を示す。いくつかの態様において、化合物(I)のコハク酸塩は、以下の特性のうち少なくとも一方又は両方を示す。
(a)図7Aに実質的に示されるXRPDパターン。
(b)図7Bに実質的に示されるDSC温度曲線。
本発明の化合物は、BTK阻害活性を有し、その結果として、BTK関連疾患、すなわちアレルギー性疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、血栓塞栓症、癌、及び移植片対宿主病などのB細胞及び/又は肥満細胞が関与する疾患を予防及び/又は治療するための薬剤として有効である。本発明の化合物はまた、B細胞活性化に対して選択的な阻害作用を発揮することができ、その結果としてB細胞活性化の阻害剤として有効である。
調製
化合物(I)を合成する1つの方法は、前述のように米国特許第8,557,803号に記載されている。この参考文献は、特に化合物(I)の合成に関して、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体は、化合物(I)から調製できる。例えば、一側面において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含む組成物を製造する方法が提供され、この方法は、化合物(I)を適切な酸及び適切な単一の溶媒又は適切な複数の溶媒の混合物と混ぜ合わせて、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含む組成物を製造することを含む。
塩又は共結晶の生成に適する酸として、限定はされないが、例えば、硫酸、シュウ酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、フマル酸、及びコハク酸が挙げられる。塩又は共結晶の生成に適する溶媒として、限定はされないが、例えば、メタノール、エタノール、水、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、n-ヘプタン、アセトニトリル、アセトン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、2-プロパノール、1-プロパノール、1-ブタノール、及びそれらの任意の混合物が挙げられる。別の側面において、さらに明細書に記載の任意の方法に従って製造される本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体が提供される。
一態様において、化合物(I)のヘミ硫酸塩を含む組成物の製造方法が提供され、この方法は、(i)化合物(I)を硫酸及び適切な溶媒と混ぜ合わせて混合物を得る工程、(ii)工程(i)で得た混合物を約70℃に加熱する工程、(iii)工程(ii)で得た混合物を約0℃まで冷却する工程、及び(iv)工程(iii)で得た固形材料を採取して化合物(I)のヘミ硫酸塩を得る工程を含む。
別の態様において、化合物(I)のシュウ酸塩を含む組成物の製造方法が提供され、この方法は、(i)化合物(I)をシュウ酸及び適切な溶媒と約21℃で混ぜ合わせて混合物を得る工程、及び(ii)工程(i)で得た固形材料を採取して化合物(I)のシュウ酸塩を得る工程を含む。
別の態様において、化合物(I)のヘミエジシル酸塩を含む組成物の製造方法が提供され、この方法は、(i)化合物(I)をエタン-1,2-ジスルホン酸二水和物及び適切な溶媒と約21℃で混ぜ合わせて混合物を得る工程、及び(ii)工程(i)で得た固形材料を採取して化合物(I)のヘミエジシル酸塩を得る工程を含む。
別の態様において、化合物(I)のエジシル酸塩を含む組成物の製造方法が提供され、この方法は、(i)化合物(I)をエタン-1,2-ジスルホン酸二水和物及び適切な溶媒と21℃で混ぜ合わせて混合物を得る工程、及び(ii)工程(i)で得た固形材料を採取して化合物(I)のエジシル酸塩を得る工程を含む。
別の態様において、化合物(I)のヘミナパジシル酸塩を含む組成物の製造方法が提供され、この方法は、(i)化合物(I)をナフタレン-1,5-ジスルホン酸及び適切な溶媒と混ぜ合わせて混合物を得る工程、(ii)工程(i)で得た混合物を約50℃に加熱する工程、(iii)工程(ii)で得た混合物を約20℃まで冷却する工程、及び(iv)工程(iii)で得た固形材料を採取して化合物(I)のヘミナパジシル酸塩を得る工程を含む。
別の態様において、化合物(I)のフマル酸塩を含む組成物の製造方法が提供され、この方法は、(i)化合物(I)をフマル酸及び適切な溶媒と混ぜ合わせる工程、(ii)工程(i)で得た混合物を約50℃に加熱する工程、(iii)工程(ii)で得た混合物を約20℃まで冷却する工程、及び(iv)工程(iii)で得た固形材料を採取して化合物(I)のフマル酸塩を得る工程を含む。
別の態様において、化合物(I)のコハク酸塩を含む組成物の製造方法が提供され、この方法は、(i)化合物(I)をコハク酸及び適切な溶媒と混ぜ合わせる工程、(ii)工程(i)で得た混合物を約50℃に加熱する工程、(iii)工程(ii)で得た混合物を約20℃まで冷却する工程、及び(iv)工程(iii)で得た固形材料を採取して化合物(I)のコハク酸塩を得る工程を含む。
本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を製造する上述の方法のいくつかの態様において、この方法はさらに、得られた組成物から塩又は共結晶体を単離することを含む。塩又は共結晶体を組成物から単離するために、当技術分野で公知の任意の適切な技術又は方法を使用してもよい。例えば、上述の方法で使用する溶媒又は溶媒の混合物は、組成物から生成される塩又は共結晶を単離するように、濾過及び/又は蒸発などの公知の方法により除去されてもよい。
BTK阻害剤の組成物
いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載の化合物(I)の実質的に純粋な塩又は結晶体を含んでもよく、又は実質的に他の多形体及び/又は不純物を含まないことでもよい。いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物(I)のヘミ硫酸塩、シュウ酸塩、ヘミエジシル酸塩、エジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、フマル酸塩、又はコハク酸塩の塩又は共結晶体に関して、用語「実質的に純粋な」又は「実質的に含まない」とは、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含む組成物が、他の多形体及び/又は不純物を含む他の物質を、重量で95%未満、90%未満、80%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、又は1%未満含有することを意味する。特定の態様において、「実質的に純粋な」又は「実質的に含まない」とは、他の多形体及び/又は不純物を含む他の物質を含まない物質を指している。不純物には、化学反応の副反応物又は残留試薬、汚染物質、分解生成物、他の多形体、水、及び溶媒などが含まれてもよい。
いくつかの態様において、この組成物は、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶の多形体を含む。特定の態様において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含む組成物が提供され、この組成物中の化合物(I)の塩又は共結晶の多形体は、実質的に純粋な多形体である。本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶の多形体を含む組成物の他の態様において、この組成物中の約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、又は約99%以上の化合物(I)の塩又は共結晶は、多形体形態の本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶である。
本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶の多形体を含む組成物の他の態様において、この組成物中に存在する約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満の化合物(I)の塩又は共結晶は、化合物(I)の塩又は共結晶の他の多形体及び/又は不純物である。本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含む組成物のさらに他の態様において、これら不純物は、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の存在する質量に対して、総質量で約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満を占める。これら不純物として、例えば、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の合成時の副生成物、汚染物質、分解生成物、他の多形体、水、及び溶媒が挙げられる。
さらに他の態様において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含む組成物には、重量で約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満の化合物(I)の塩又は共結晶の非晶質体又は非結晶体が存在する。さらに他の態様において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含む組成物には、重量で約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満の化合物(I)が(その未結合の形態で)存在する。
本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体は、そのままの化学物質として投与してもよいが、典型的にはまた好ましくは、医薬組成物又は製剤の形態で化合物を投与するのがよい。したがって、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体、及び1つ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は(不活性固体の希釈剤及び充填剤を含み、無菌水溶液及び種々の有機溶媒を含む希釈剤、透過促進剤、可溶化剤及び補助剤を含む)他の成分を含む医薬組成物が提供される。この組成物は、活性剤を単独で、又は他の薬剤との組合せのうちの何れかとして、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含んでもよく、この他の薬剤としては、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は他の成分と共に混合されたオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、オリゴペプチド又はポリペプチド、薬剤、あるいはホルモンが挙げられる。担体、賦形剤、及び他の成分は、それらが製剤の他の成分に適合性があり、かつその受容者に対し有害でない限り、薬学的に許容可能であると見做すことができる。
本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体、及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物が、本明細書に提供される。医薬組成物の調製及び投与の技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Co, Easton, Pa., 1990に開示されている。本明細書に記載の医薬組成物は、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、ゲル化、乳化、カプセル化、封入、溶融紡糸、噴霧乾燥、又は凍結乾燥などの各工程である任意の従来からの方法を使用して製造できる。最適な医薬製剤は、投与経路や所望の投与量に応じて当業者によって決定できる。その製剤は、投与される薬剤の物理的状態、安定性、生体内放出速度、及び生体内排出速度に影響を及ぼすことがある。これらの医薬組成物は、治療される症状に応じて調製され、全身又は局所に投与できる。
医薬組成物は、適切に薬学的に許容可能な担体を含有するように調製でき、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の薬学的に使用される製剤への加工を容易にする賦形剤及び助剤を含んでもよい。一般には、投与方法により担体の性質を決定する。例えば、非経口投与用の製剤は、水溶性の形態で活性化合物の水溶液を含んでもよい。非経口投与に適した担体は、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、及び他の生理的に適合する溶液の中から選択してもよい。非経口投与に好ましい担体は、ハンクス液、リンゲル液、又は生理緩衝食塩水などの生理的に適合する緩衝液である。組織又は細胞の投与には、浸透させる特定の障壁に適した浸透剤を製剤中に使用する。その浸透剤は一般に当技術分野で公知である。タンパク質を含む調製の場合に、製剤は、ポリオール(例えばスクロース)及び/又は界面活性剤(例えば非イオン性界面活性剤)などの安定化材料を含んでもよい。
あるいは、非経口使用のための製剤は、適切な油性の注射用懸濁液として調製された、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の分散液又は懸濁液を含んでもよい。適切な親油性溶媒又は賦形剤としては、ゴマ油などの脂肪油、及びオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームが挙げられる。水性の注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、デキストラン、及びそれらの混合物など、懸濁液の粘度を増大させる物質を含んでもよい。場合により、懸濁液はまた、適切な安定剤又は化合物の溶解度を増大させて高濃度溶液の調製を可能にする薬剤を含んでもよい。活性剤のpHに依存する可溶化及び/又は持続放出をもたらす水性ポリマー、例えばRohm America Inc. (Piscataway, N.J.)から入手可能なEUDRAGITTMシリーズのようなメタクリルポリマーなどを、被覆材又は母材構造として使用できる。例えば水中油型及び油中水型の乳化液をまた使用して、場合により乳化剤又は分散剤(界面活性材料;界面活性剤)により安定化してもよい。懸濁液は、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカントゴム、ならびにそれらの混合物などの懸濁剤を含有できる。
本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含有するリポソームもまた、非経口投与に用いてもよい。このリポソームは一般にリン脂質物質又は他の脂質物質に由来する。リポソーム形態の組成物はまた、安定剤、保存剤、賦形剤などの他の成分を含んでもよい。好ましい脂質として、天然及び合成の両方でのリン脂質及びホスファチジルコリン(レシチン)が挙げられる。リポソームを形成する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Prescott (Ed.), Methods in Cell Biology, Vol. XIV, p. 33, Academic Press, New York (1976)を参照。
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体、あるいはそれらの組成物は、当該技術分野で周知の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は他の成分を用いて経口投与用に製剤化される。経口投与用に製剤化された調製物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、糖衣錠、トローチ剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、エリキシル剤、懸濁剤、又は散剤の形態であってもよい。例示すると、経口使用の医薬調製物は、活性化合物を固体賦形剤と混合し、場合により得られた混合物を粉砕し、かつ所望により適切な助剤を加えた後に顆粒混合物を加工して錠剤又は糖衣錠のコアとして取得できる。経口製剤は、非経口使用で記載された製剤に形態が類似した液体担体、例えば緩衝水溶液、懸濁液などを使用できる。
好ましい経口製剤として、錠剤、糖衣錠、及びゼラチンカプセルが挙げられる。これらの調製物は1つ以上の賦形剤を含んでもよく、この賦形剤として、限定はされないが、
a)微結晶セルロース、及びラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖などの希釈剤;
b)デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、及びトウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ由来のデンプンなどの結合剤;
c)メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース材料、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム及びトラガカントゴムなどのゴム、ならびにゼラチン及びコラーゲンなどのタンパク質;
d)架橋ポリビニルピロリドン、デンプン、寒天、アルギン酸、もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤又は可溶化剤、あるいは発泡性組成物;
e)シリカ、タルク、ステアリン酸、又はそのマグネシウム塩もしくはカルシウム塩、及びポリエチレングリコールなどの潤滑剤;
f)香味料及び甘味料;
g)例えば製品を識別し、又は活性化合物の量(投与量)を特徴付ける着色剤又は顔料;及び、
h)保存剤、安定剤、膨潤剤、乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節する塩、及び緩衝剤などの他の成分、が挙げられる。
例えば、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体、及び1種以上の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む錠剤が提供される。一態様において、この錠剤は、化合物(I)の非晶質体又は非結晶体を実質的に含まない。別の態様において、この錠剤は実質的に未結合の(基剤)化合物(I)を含まない。
ゼラチンカプセルは、ゼラチン製の押込嵌め(push-fit)カプセルを含み、同時にゼラチン製の軟密封カプセル及びグリセロール又はソルビトールなどの被覆剤を含む。押込嵌めカプセルは、充填剤、結合剤、潤滑剤、及び/又は安定剤などと共に混合された活性成分を含有できる。軟カプセル中では、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、又は液状ポリエチレングリコールなどの適切な流体中に、安定剤を含むか又は含まずに溶解又は懸濁できる。糖衣錠のコアは、濃縮糖溶液などの適切な被覆剤と共に提供されてもよく、そのコアは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有できる。
組成物は、好ましくは単位剤形で製剤化される。用語「単位剤形」は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投与量として適切な物理的に個別の単位を指し、各単位は、適切な医薬賦形剤と組合わせて、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含む(例えば、錠剤、カプセル、又はアンプル)。本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体は、広い投与量範囲にわたって効力があるが、一般的に薬学的な有効量で投与される。しかし当然のことながら、実際に投与する本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の量は、その治療を受ける対象の治療すべき症状、選択した投与経路、年齢、体重、及び応答性、対象の症状の重症度などを含む関連状況に照らして医師によって決定される。
本明細書に記載の錠剤又は丸剤は、長期作用の利点をもたらす剤形を提供し、又は胃の酸環境から保護するように、被覆されるか、又は別の方法で配合されてもよい。例えば、錠剤又は丸剤は、内側投与成分及び外側投与成分を含んでもよく、外側投与成分は内側投与成分全体を覆う包含形態にある。2つの成分は、胃内で崩壊し難く、内側成分を十二指腸内まで無傷で通過させ、又は放出の遅延を可能にするのに役立つ腸溶性層によって分離できる。その腸溶性層又は被覆層には種々の材料を使用でき、その材料には、複数の多形酸、及び多形酸とシェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースなどの材料との混合物が挙げられる。
例えば、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含む単位投与量が提供される。ヒト対象への本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の単位用量の例として、特定の範囲である、約0.01mg~約1000mg、又は約1mg~約200mg、又は約10mg~約200mg、又は約20mg~約160mg、又は約10mg~約100mg、又は約50mg~約175mg、又は約20mg~約150mg、又は約75mg~約100mg、又は約100mg~約200mgであってもよい。その必要のあるヒトに投与してもよい本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の個々の用量として、1mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、175mg、及び200mgの個々の用量が含まれる。本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の用量は、医療専門家によって決定され投与されてもよく、1日1回投与されてもよく、あるいは1日2回、1日3回、又は1日4回送達されてもよい。一態様において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体は、その必要のある対象に20mg、40mg、80mg、又は150mgの用量で、1日1回経口投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体は、対象に20mg、40mg、又は75mgの用量で、1日2回経口投与される。さらなる態様において、本明細書に記載のBTK阻害剤の治療有効量は、約1mg~約200mgの用量である。別の態様において、本明細書に記載のBTK阻害剤は、約10mg~約200mgの用量で投与される。別の態様において、ヒト中のBTKは、約20mg~約160mgの用量で投与される。他の態様において、BTK阻害剤は、a)約10mg~約100mg、b)約50mg~約175mg、c)約20mg~約150mg、d)約75mg~約100mg、及びe)約100mg~約200mgの用量でヒトに投与される。その必要のあるヒトに投与してもよいBTK阻害剤の個々の用量として、1mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、901mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、175mg,及び200mgの個々の用量が挙げられる。BTK阻害剤の用量は、医療専門家によって決定され投与されてもよく、1日1回投与されてもよく、あるいは1日2回、1日3回、又は1日4回送達されてもよい。一態様において、本願の方法は、式(I)~(III)のBTK阻害剤又はその組成物を、1日当たり10mg、20mg、40mg、80mg、150mg、又は200mgの用量で投与することを含む。他の態様において、本出願の方法は、式(I)~(III)のBTK阻害剤又はその組成物を、1日当たり20mg、40mg、80mg、又は150mgの用量で投与することを含む。
投与方法及び投与量
本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含む医薬組成物は、非経口手法及び経腸手法を含む任意の従来方法によって対象に投与してもよい。非経口投与様式として、組成物が胃腸管を貫通する以外の経路、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、骨髄内、筋肉内、関節内、髄腔内、及び脳室内への各注射によって投与される様式が挙げられる。経腸投与様式として、例えば、経口投与、口腔内投与、舌下投与、及び直腸投与が挙げられる。経上皮投与様式として、例えば、経粘膜投与及び経皮投与が挙げられる。経粘膜投与には、例えば、経腸投与、ならびに経鼻投与、吸入投与及び肺深部投与、膣内投与、及び頬内投与また舌下投与が含まれる。経皮投与として、例えばパッチ及びイオン泳動装置、ならびにペースト、膏薬、又は軟膏の局所適用を含む受動的又は能動的な経皮様式が挙げられる。非経口投与はまた、高圧手法、例えばPOWDERJECTTMを使用して達成してもよい。
本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体及び本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の製剤に関する薬物動態情報及び薬力学情報は、前臨床での生体外及び生体内の検討を通して収集でき、その後の臨床での試験過程中にヒトでの情報が明確になってくる。したがって、本明細書に記載の方法で使用される本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体について、治療上の有効用量は、生化学的測定及び/又は細胞ベースの測定から最初は推定できる。次に投与量は、動物モデルで処方して、BTKの発現又は活性を調節する望ましい循環血中濃度範囲を決定できる。ヒトでの検討が実施されるにつれ、様々な疾患及び症状に対する適切な投与量水準及び治療期間に関するさらなる情報が得られるようになる。
その化合物の毒性及び治療効力は、例えば、LD50(集団中50%への致死用量)及びED50(集団中50%への治療有効用量)を判定するために、細胞培養物又は実験動物中での標準的な医薬的手順によって決定できる。毒性効果と治療効果との間の量の比率が「治療指数」であり、これは典型的にはLD50/ED50比として表される。高い治療指数を示す、すなわち毒性用量が有効用量よりも実質的に高い化合物が好ましい。その細胞培養測定及びさらなる動物実験から得られたデータは、ヒトへの使用時の投与量の範囲を処方するのに使用できる。その化合物の投与量は、殆ど又は全く毒性を有さないED50を含む循環血中濃度の範囲内となることが好ましい。
当然のことであるが、投与の時機及び順序を調節する任意の効果的な投与計画が使用できる。本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体及びその医薬組成物は、有効成分がその意図した目的を達成する有効量で投与されるような阻害剤及び組成物であってもよい。いくつかの態様において、「治療有効量」とは、BTKの発現又は活性を調節するのに十分な量であり、又は適応症を患っている対象(例えばヒト)が居てその対象を治療し、適応症の現在の症状を軽減するのに十分な量であることを意味する。
ヒト対象への典型的な投与量では、活性剤はほぼ、約0.001mg/kg(体重1kg当たりのmg重量)~約1000mg/kgである。典型的には、例えば、適応症、投与経路、及び症状の重症度に応じて、活性剤の投与量単位として、約0.01mg~約1000mg、好ましくは約0.1mg~約100mgを含む。投与経路に応じて、適切な用量は、体重、体表面積、又は臓器の大きさに従って計算できる。最終的な投与計画は、薬物の作用を変化させる様々な要因、例えば化合物の比活性、疾患状態の正体及び重症度、対象の応答性、また対象の年齢、体調、体重、性別、食事、及び任意の感染の重症度などを考慮して、良好な医療行為の見地で担当医によって決定される。考慮し得るさらなる要因として、投与の時間及び頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性、ならびに治療に対する耐性/応答が挙げられる。本明細書に記載の製剤の何れかを含む治療に適切な用量のさらなる改変は、開示された用量情報及び測定結果、ならびにヒト臨床試験で観察された薬物動態データを特に考慮して、過度の実験作業はなくとも当業者によって日常的に実施されている。適切な投与量は、体液又は他の試料中の薬剤の濃度を用量への応答データと共に判定する確立された測定法の使用を通して確定できる。
投与頻度は、薬剤の薬物動態パラメーター及び投与経路に依存する。投与量及び投与法は、十分な量の活性成分を提供するように、又は所望の効果を維持するように調節される。したがって、医薬組成物は、所望の最小量の薬剤を維持するという必要性に応じて、単回用量、複数回の個別用量、連続注入量、持続放出製剤量、又はそれらの組合せにより投与できる。短時間作用型(すなわち短い半減期)の医薬組成物は、1日に1回、又は1日に2回以上(例えば1日に2回、3回、又は4回)で投与できる。長時間作用型の医薬組成物は、3~4日毎に、毎週、又は2週間毎に1回で投与してもよい。
BTK阻害剤の使用
本明細書に記載のBTK活性を選択的又は特異的に阻害する本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体及びそれらの組成物を、治療に又は予防に使用することを提供する。この方法は、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体、あるいはそれらの組成物を、その必要のある対象(例えばヒト)にBTK活性を阻害するのに十分な量で投与することを含む。この方法を使用して、その病状又は病態がBTKの発現又は活性によって媒介されている疾患を患っている又は罹っているヒト又は動物を治療する。
「治療」又は「治療すること」とは、臨床結果を含む有益な又は期待する結果を得るための取組みである。有益な又は期待する臨床結果には、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。
(i)病気から生じる1つ以上の症状を軽減すること。
(ii)疾患の程度を縮小すること、及び/又は疾患を安定化すること(例えば、疾患の悪化を遅らせること)。
(iii)疾患の拡大(例えば転移)を遅延させること。
(iv)疾患の再発及び/又は疾患の進行を遅延させること、又は緩慢にすること。
(v)疾患の症状を改善すること、及び/又は疾患の(部分的又は全体的を問わず)寛解を提供すること、及び/又は疾患を治療するのに必要な1つ以上の他の薬物の用量を減量すること。
(vi)生活の質を高めること、ならびに/もしくは
(vii)寿命を延ばすこと。
いくつかの態様において、「障害」は、限定はされないが、医学的な障害、疾患、症状、症候群などを包含する意図で使用される。本出願に開示された方法は、動物対象、好ましくは哺乳動物、より好ましくは霊長類、さらに好ましくはヒトを治療する様々な様式を包含する。治療できる哺乳動物とは、例えば、ヒト;犬や猫を含む伴侶動物(ペット);牛、馬、羊、豚、山羊を含む家畜;ラット、マウス、ウサギ、モルモット、及び非ヒト霊長類を含む実験動物;動物園にいる標本動物などである。治療されてもよい非哺乳動物には、例えば、鳥、魚、爬虫類、及び両生類が含まれる。
一態様において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体及びその組成物は、癌細胞などの造血器起源の癌細胞成長又は増殖を阻害する方法に使用できる。いくつかの態様において、癌細胞はリンパ系起源のものであり、特定の態様において、癌細胞は、Bリンパ球又はBリンパ球前駆細胞に関連するか、又はそれに由来する。別の態様において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体及びそれらの組成物は、癌を患うヒトを治療する方法に使用できる。
本出願に開示された方法を用いた治療に適する癌として、例えば、非ホジキンリンパ腫が挙げられ、中でもB細胞非ホジキンリンパ腫が特に最適であり、さらに例えば、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(リンパ節辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、及び脾性辺縁帯B細胞リンパ腫)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性浸出液リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫、濾胞性リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞性前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性白血病/ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、形質細胞腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、及びヘアリー細胞白血病が挙げられる。非ホジキンリンパ腫に加えて、本発明での癌として、膵臓内分泌腫瘍が挙げられ、例えば、インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ソマトスタチン腫、ビポーマ、膵ペプチド産生腫瘍、及びGRF産生腫瘍が挙げられる。BTKを発現する造血器起源又はその他の起源の癌細胞もまた、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体及びその組成物を投与して治療できる。
別の態様において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体及びそれらの組成物は、自己免疫疾患を治療する方法に使用できる。特定の態様において、自己免疫疾患は、炎症性腸疾患、関節炎、狼瘡、関節リウマチ、乾癬関節症、骨関節炎、スティル病、若年性関節炎、I型糖尿病、重症筋無力症、ハシモト甲状腺炎、オード甲状腺炎、バセドウ病、シソーダ硬化症、多発性硬化症、ギランバレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、小児脂肪便症、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター病、タカヤス動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労症候群、自律神経失調症、子宮内膜症、間質性膀胱炎、筋緊張症、慢性外陰痛、及び全身性エリトマトーデスである。
さらに別の態様において、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体をヒトに投与してBTK媒介障害を患うヒトを治療する方法が提供される。本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を投与して個体でのBTKを調節する方法も提供される。一つの異なる形態において、ヒトは、白血病又はリンパ腫などの癌を患っている。他の異なる形態において、ヒトは、喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、又は狼瘡などの自己免疫疾患を患っている。
本明細書に記載の化合物は、化学療法剤、抗癌剤、抗血管新生剤、抗線維化剤、免疫療法剤、治療用抗体、二重特異性抗体及び「抗体様」治療用タンパク質、抗体-薬物複合物(ADC)、放射線治療薬、抗新生物薬、細胞増殖抑制剤、腫瘍溶解性ウイルス、CRISPR(クラスター化した短鎖反復回文配列、CRISPR Cas9を含む)などの遺伝子修飾剤、亜鉛フィンガーヌクレアーゼもしくは合成ヌクレアーゼ(TALEN)、CAR(キメラ抗原受容体)T細胞免疫療法剤、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1種以上と併用又は組み合わせてもよい。これらの治療薬は、化合物、抗体、ポリペプチド、又はポリヌクレオチドの形態であってもよい。一態様において、本出願は、例えばBTKによって媒介される疾患、障害、又は症状を治療する方法などの治療での同時、個別、又は順次による使用のための組合せ製剤として、本明細書に記載の化合物と追加の治療薬とを含む製品を提供する。
1種以上の治療薬には、限定はされないが、阻害剤、アゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、調節剤、刺激剤、遮断薬剤、あるいは遺伝子、リガンド、受容体、タンパク質、因子の活性剤又は抑制剤などが含まれ、これら治療薬として、アベルソンマウス白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ1遺伝子(ABL1などのABL)、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC1/2など)、活性化CDCキナーゼ(ACK1などのACK)、アデノシンデアミナーゼ、アデノシン受容体(A2B、A2a、A3など)、アデニル酸シクラーゼ、ADPリボシルシクラーゼ-1、副腎皮質刺激ホルモン受容体(ACTH)、アエロリシン、AKT1遺伝子、Alk-5タンパク質リン酸化酵素、アルカリホスファターゼ、α1アドレナリン受容体、α2アドレナリン受容体、αケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ(KGDH)、アミノペプチダーゼN、AMP活性化タンパク質リン酸化酵素、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK1などのALK)、アンドロゲン受容体、アンジオポイエチン(リガンド-1、リガンド-2など)、アンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子、マウス胸腺腫ウイルス癌遺伝子ホモログ1(AKT)タンパク質リン酸化酵素(AKT1、AKT2、AKT3など)、アポリポタンパク質A-I(APOA1)遺伝子、アポトーシス誘導因子、アポトーシスタンパク質(1、2など)、アポトーシスシグナル調節キナーゼ(ASK1などのASK)、アルギナーゼ(I)、アルギニンデイミナーゼ、アロマターゼ、アステロイドホモログ1(ASTE1)遺伝子、血管拡張性失調症及びRad3関連(ATR)セリン/スレオニンタンパク質リン酸化酵素、オーロラタンパク質リン酸化酵素(1、2など)、Axlチロシンキナーゼ受容体、バキュロウイルスIAPリピート含有5(BIRC5)遺伝子、ベイシジン、B細胞リンパ腫2(BCL2)遺伝子、Bcl2結合成分3、Bcl2タンパク質、BCL2L11遺伝子、BCR(breakpoint cluster region=切断点集中領域)タンパク質及び遺伝子、βアドレナリン受容体、βカテニン、Bリンパ球抗原CD19、Bリンパ球抗原CD20、Bリンパ球細胞接着分子、Bリンパ球刺激リガンド、骨形成タンパク質-10リガンド、骨形成タンパク質-9リガンド調節剤、ブラキュリータンパク質、ブラジキニン受容体、B-Raf癌原遺伝子(BRAF)、Brc-Ablチロシンキナーゼ、ブロモドメイン及び外部ドメイン(BET)ブロモドメイン含有タンパク質(BRD2、BRD3、BRD4など)、カルモジュリン、カルモジュリン依存性タンパク質リン酸化酵素(CAMKIIなどCaMK)、癌精巣抗原2、癌精巣抗原NY-ESO-1、癌/精巣抗原1B(CTAG1)遺伝子、カンナビノイド受容体(CB1、CB2など)、炭酸脱水酵素、カゼインキナーゼ(CKI、CKIIなどのCK)、カスパーゼ(カスパーゼ-3、カスパーゼ-7、カスパーゼ-9など)、カスパーゼ8アポトーシス関連システインペプチダーゼCASP8-FADD様調節剤、カスパーゼ動員ドメインタンパク質-15、カテプシンG、CCR5遺伝子、CDK活性化キナーゼ(CAK)、チェックポイントキナーゼ(CHK1、CHK2など)、ケモカイン(C-C基本形)受容体(CCR2、CCR4、CCR5など)、ケモカイン(C-X-C基本形)受容体(CXCR4、CXCR1及びCXCR2など)、ケモカインCC21リガンド、コレシストキニンCCK2受容体、絨毛性ゴナドトロピン、c-Kit(チロシンタンパク質リン酸化酵素キット又はCD117)、クローディン(6、18など)、CD4、CD27、CD29、CD30、CD33、CD37、CD40、CD40リガンド受容体、CD40リガンド、CD40LG遺伝子、CD44、CD45、CD47、CD49b、CD51、CD52、CD55、CD58、CD66e、CD70遺伝子、CD74、CD79、CD79b、CD79B遺伝子、CD80、CD95、CD99、CD117、CD122、CDw123、CD134、CDw137、CD158a、CD158b1、CD158b2、CD223、CD276抗原などの分化クラスター(CD)、クラステリン(CLU)遺伝子、クラステリン、c-Met(肝細胞増殖因子受容体(HGFR))、補体C3、結合組織増殖因子、COP9シグナロソームサブユニット5、CSF-1(コロニー刺激因子1受容体)、CSF2遺伝子、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球タンパク質4)受容体、サイクリンD1、サイクリンG1、サイクリン依存性キナーゼ(CDK1、CDK1B、CDK2-9などのCDK)、シクロオキシゲナーゼ(1、2など)、CYP2B1遺伝子、システインパルミチン酸転移酵素ポーキュパイン、シトクロムP45011B2、シトクロムP45017、シトクロムP45017A1、シトクロムP4502D6、シトクロムP4503A4、シトクロムP450還元酵素、サイトカインシグナル伝達-1、サイトカインシグナル伝達-3、細胞質イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、シトシンデアミナーゼ、シトシン-メチル化酵素、細胞傷害性Tリンパ球タンパク質-4、DDR2遺伝子、δ様タンパク質リガンド(3、4など)、デオキシリボヌクレアーゼ、骨代謝関連因子Dkk-1リガンド、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ、ジペプチジルペプチダーゼIV、ジスコイジンドメイン受容体(DDR1などのDDR)、DNA結合タンパク質(HU-βなど)、DNA依存性タンパク質リン酸化酵素、DNAギラーゼ、DNAメチル転移酵素、DNAポリメラーゼ(αなど)、DNAプライマーゼ、dUTPピロホスファターゼ、L-ドーパクロム互変異性化酵素、たんぱく質様微小管4、EGFRチロシンキナーゼ受容体、エラスターゼ、伸長因子1α2、伸長因子2、エンドグリン、エンドヌクレアーゼ、エンドプラスミン、エンドシアリン、エンドスタチン、エンドセリン(ET-A、ET-Bなど)、ゼステホモログのエンハンサー2(EZH2)、エフリン(EPH)チロシンキナーゼ(Epha3、Ephb4など)、エフリンB2リガンド、上皮成長因子、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子、エピゲン、上皮細胞接着分子(EpCAM)、Erb-b2(v-erb-b2トリ赤芽球性白血病ウイルス癌ホモログ2)チロシンキナーゼ受容体、Erb-b3チロシンキナーゼ受容体、Erb-b4チロシンキナーゼ受容体、E-セレクチン、エストラジオール17βデヒドロゲナーゼ、エストロゲン受容体(α、βなど)、エストロゲン関連受容体、真核生物翻訳開始因子5A(EIF5A)遺伝子、エクスポーチン1、細胞外シグナル関連キナーゼ(1、2など)、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)、因子(Xa、VIIaなど)、ファルネソイドx受容体(FXR)、Fasリガンド、脂肪酸シンターゼ、フェリチン、FGF-2リガンド、FGF-5リガンド、線維芽細胞増殖因子(FGF1、FGF2、FGF4などのFGF)、フィブロネクチン、Fms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)、焦点接着キナーゼ(FAK2などのFAK)、葉酸加水分解酵素前立腺特異的膜抗原1(FOLH1)、葉酸受容体(αなど)、葉酸、葉酸トランスポーター1、FYNチロシンキナーゼ、塩基対性アミノ酸開裂酵素(FURIN)、β-グルクロニダーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、ガレクチン-3、グルココルチコイド、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GITR受容体、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII、グルタミナーゼ、グルタチオンS-トランスフェラーゼP、グリコーゲン合成酵素(3-βなどのGSK)、グリピカン3(GPC3)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GNRH)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)受容体、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)リガンド、成長因子受容体結合タンパク質2(GRB2)、Grp78(78kDaのグルコース調節タンパク質)カルシウム結合タンパク質、分子シャペロンgroEL2遺伝子、熱ショックタンパク質(27、70、90α、βなど)、熱ショックタンパク質遺伝子、熱安定性エンテロトキシン受容体、ヘッジホッグタンパク質、ヘパラナーゼ、肝細胞増殖因子、HERV-HLTR会合タンパク質2、ヘキソースキナーゼ、ヒスタミンH2受容体、ヒストンメチル転移酵素(DOT1L)、ヒストンデアセチラーゼ(1、2、3、6、10、11などのHDAC)、ヒストンH1、ヒストンH3、HLAクラスI抗原(A-2α)、HLAクラスII抗原、ホメオボックスタンパク質NANOG、HSPB1遺伝子、ヒト白血球抗原(HLA)、ヒトパピローマウイルス(E6、E7など)タンパク質、ヒアルロン酸、ヒアルロニダーゼ、低酸素誘導因子-1α、刷り込み母性発現転写産物(H19)遺伝子、マイトジェン活性化タンパク質リン酸化酵素キナーゼキナーゼキナーゼ1(MAP4K1)、チロシンタンパク質リン酸化酵素HCK、I-κ-Bキナーゼ(IKKbeなどのIKK)、IL-1α、IL-1β、IL-12、IL-12遺伝子、IL-15、IL-17、IL-2遺伝子、IL-2受容体αサブユニット、IL-2、IL-3受容体、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、免疫グロブリン(G、G1、G2、K、Mなど)、免疫グロブリンFc受容体、免疫グロブリンγFc受容体(I、III、IIIAなど)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO1などのIDO)、インドールアミンピロール2,3-ジオキシゲナーゼ1阻害剤、インスリン受容体、インスリン様成長因子(例えば、1、2)、インテグリンα-4/β-1、インテグリンα-4/β-7、インテグリンα-5/β-1、インテグリンα-V/β-3、インテグリンα-V/β-5、インテグリンα-V/β-6、細胞間接着分子1(ICAM-1)、インターフェロン(α、α2、β、γなど)、メラノーマ2には存在しないインターフェロン誘導タンパク質(AIM2)、I型インターフェロン受容体、インターロイキン1リガンド、インターロイキン13受容体α2、インターロイキン2リガンド、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)、インターロイキン-2、インターロイキン-29リガンド、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH1、IDH2など)、ヤヌスキナーゼ(JAK1、JAK2などのJAK)、Jun N末端キナーゼ、カリクレイン関連ペプチダーゼ3(KLK3)遺伝子、キラー細胞Ig様受容体、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)、キネシン様タンパク質KIF11、キルステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)遺伝子、キスペプチン(KiSS-1)受容体、KIT遺伝子、v-kitハーディー-ザッカーマン4ネコ肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KIT)チロシンキナーゼ、ラクトフェリン、ラノステロール-14デメチラーゼ、LDL受容体関連タンパク質-1、ロイコトリエンA4加水分解酵素、リステリオリシン、L-セレクチン、黄体形成ホルモン受容体、リアーゼ、リンパ球活性化遺伝子3タンパク質(LAG-3)、リンパ球抗原75、リンパ球機能抗原3受容体、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK)、リンホタクチン、Lyn(Lck/Yes novel)チロシンキナーゼ、リジンデメチラーゼ(KDM1、KDM2、KDM4、KDM5、KDM6、A/B/C/Dなど)、リゾホスファチジン酸-1受容体、リソソーム関連膜タンパク質ファミリー(LAMP)遺伝子、リジルオキシダーゼホモログ2、リシルオキシダーゼタンパク質(LOX)、リシルオキシダーゼ様タンパク質(LOXL2などのLOXL)、造血前駆体キナーゼ1(HPK1)、肝細胞増殖因子受容体(MET)遺伝子、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)リガンド、マクロファージ遊走阻止因子、MAGEC1遺伝子、MAGEC2遺伝子、メジャーボールトタンパク質、MAPK活性化タンパク質リン酸化酵素(MK2など)、Mas関連Gタンパク質共役型受容体、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP2、MMP9などのMMP)
、Mcl-1分化タンパク質、Mdm2 p53結合タンパク質、Mdm4タンパク質、Melan-A(MART-1)メラノーマ抗原、メラノサイトタンパク質Pmel17、メラニン細胞刺激ホルモンリガンド、メラノーマ抗原ファミリーA3(MAGEA3)遺伝子、メラノーマ関連抗原(1、2、3、6など)、銅膜アミンオキシダーゼ、メソセリン、METチロシンキナーゼ、代謝型グルタミン酸受容体1、メタロレダクターゼSTEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原1)、メタスチン、メチオニンアミノペプチダーゼ-2、メチルトランスフェラーゼ、ミトコンドリア3ケトアシルCoAチオラーゼ、マイトジェン活性化タンパク質リン酸化酵素(MAPK)、マイトジェン活性化タンパク質リン酸化酵素(MEK1、MEK2などのMEK)、mTOR(ラパマイシン(セリン/スレオニンキナーゼ)の機械論的な標的)、mTOR複合体(1、2など)、ムチン(1、5A、16など)、mutTホモログ(MTH1などのMTH)、Myc癌原遺伝子タンパク質、骨髄性細胞白血病1(MCL1)遺伝子、ミリストイル化アラニンリッチ富化タンパク質リン酸化酵素C基質(MARCKS)タンパク質、NAD ADPリボシルトランスフェラーゼ、ナトリウム利尿ペプチド受容体C、神経細胞接着分子1、ニューロキニン1(NK1)受容体、ニューロキニン受容体、ニューロピリン2、NFκB活性化タンパク質、NIMA関連キナーゼ9(NEK9)、一酸化窒素シンターゼ、NK細胞受容体、NK3受容体、NKG2AB活性化NK受容体、ノルアドレナリントランスポーター、Notch(Notch-2受容体、Notch-3受容体など)、核赤血球2関連因子2、核因子(NF)κB、ヌクレオリン、ヌクレオホスミン、ヌクレオホスミンアナプラストリンパ腫キナーゼ(NPM-ALK)、2オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ、2,5-オリゴアデニラートシンテターゼ、O-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ、オピオイド受容体(δなど)、オルニチンデカルボキシラーゼ、オロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ、オーファン核ホルモン受容体NR4A1、オステオカルシン、オステオクラスト分化因子、オステオポンチン、OX-40(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4 TNFRSF4、又はCD134)受容体、P3タンパク質、p38キナーゼ、p38MAPキナーゼ、p53腫瘍抑制タンパク質、副甲状腺ホルモンリガンド、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(α、β、γなどのPPAR)、P-糖タンパク質(1など)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)、ホスホイノシチド-3キナーゼ(α、β、γなどのPI3K)、ホスホリラーゼキナーゼ(PK)、PKN3遺伝子、胎盤増殖因子、血小板由来増殖因子(α、βなどのPDGF)、血小板由来増殖因子(PDGF、α、βなど)、多面的薬剤耐性トランスポーター、プレキシンB1、PLK1遺伝子、ポロ様キナーゼ(PLK)、ポロ様キナーゼ1、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP1、2及び3などのPARP)、メラノーマで優先的に発現する抗原(PRAME)遺伝子、プレニル結合タンパク質(PrPB)、転写促進因子PML、プロゲステロン受容体、プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1阻害剤(PD-L1)、プロサポシン(PSAP)遺伝子、プロスタノイド受容体(EP4)、前立腺特異抗原、プロスタチン酸性ホスファターゼ、プロテアソーム、プロテインE7、プロテインファルネシルトランスフェラーゼ、タンパク質リン酸化酵素(A、B、CなどのPK)、プロテインチロシンキナーゼ、プロテインチロシンホスファターゼβ、プロトオンコジーンセリン/トレオニン-タンパク質リン酸化酵素(PIM-1、PIM-2、PIM-3などのPIM)、P-セレクチン、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、プリン作動性受容体P2Xリガンドゲートイオンチャンネル7(P2X7)、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ(PYK)、5αレダクターゼ、Rafタンパク質リン酸化酵素(1、Bなど)、RAF1遺伝子、Ras遺伝子、RasGTPアーゼ、RET遺伝子、Retチロシンキナーゼ受容体、網膜芽細胞腫関連タンパク質、レチノイン酸受容体(γなど)、レチノイドX受容体、Rheb(脳内に豊富なRasホモログ)GTPアーゼ、Rho(Rasホモログ)関連タンパク質リン酸化酵素2、リボヌクレアーゼ、リボヌクレオチドレダクターゼ(M2サブユニットなど)、リボソームタンパク質S6キナーゼ、RNAポリメラーゼ(I、IIなど)、Ron(Recepteur d’Origine Nantais)チロシンキナーゼ、ROS1(ROS癌原遺伝子1、受容体チロシンキナーゼ)遺伝子、Ros1チロシンキナーゼ、Runt関連転写因子3、γセクレターゼ、S100カルシウム結合タンパク質A9、サルコ小胞体カルシウムATPアーゼ、第2ミトコンドリア由来カスパーゼ活性化因子(SMAC)タンパク質、Secreted frizzled関連タンパク質-2、セマフォリン-4D、セリンプロテアーゼ、セリン/スレオニンキナーゼ(STK)、セリン/スレオニンタンパク質リン酸化酵素(TBK1などのTBK)、シグナル伝達及びシグナル転写(STAT-1、STAT-3、STAT-5などのSTAT)、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)ファミリーメンバー7、前立腺(STEAP)遺伝子の6回膜貫通上皮抗原、SLサイトカインリガンド、平滑化(SMO)受容体、ヨウ化ナトリウム共輸送体、リン酸ナトリウム共輸送体2B、ソマトスタチン受容体(1、2、3、4、5など)、ソニックヘッジホッグタンパク質、特異的タンパク質1(Sp1)転写因子、スフィンゴミエリンシンターゼ、スフィンゴシンキナーゼ(1、2など)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体-1、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)、SRC遺伝子、Srcチロシンキナーゼ、STAT3遺伝子、ステロイドスルファターゼ、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)受容体、インターフェロン遺伝子刺激因子タンパク質、ストローマ細胞由来第1因子リガンド、SUMO(小型ユビキチン様修飾子)、超酸化ジスムターゼ、サバイビンタンパク質、シナプシン3、シンデカン-1、シヌクレインα、T細胞表面糖タンパク質CD28、タンク結合キナーゼ(TBK)、TATAボックス結合タンパク質関連因子RNAポリメラーゼIサブユニットB(TAF1B)遺伝子、T細胞CD3糖タンパク質ζ鎖、T細胞分化抗原CD6、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有-3(TIM-3)、T細胞表面糖タンパク質CD8、Tecタンパク質チロシンキナーゼ、Tekチロシンキナーゼ受容体、テロメラーゼ、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)遺伝子、テネイシン、TGFβ2リガンド、トロンボポエチン受容体、チミジンキナーゼ、チミジンホスホリラーゼ、チミジル酸シンターゼ、チモシン(α1など)、甲状腺ホルモン受容体、甲状腺刺激ホルモン受容体、組織因子、TNF関連アポトーシス誘導リガンド、TNFR1関連死滅ドメインタンパク質、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)受容体、TNFSF11遺伝子、TNFSF9遺伝子、Toll様受容体(1~13などのTLR)、トポイソメラーゼ(I、II、IIIなど)、転写因子、トランスフェラーゼ、トランスフェリン、転換増殖因子(βなどのTGF)キナーゼ、転換殖因子TGF-β受容体キナーゼ、トランスグルタミナーゼ、転座関連タンパク質、膜貫通糖タンパク質NMB、Trop-2カルシウムシグナルトランスデューサー、栄養膜糖タンパク質(TPBG)遺伝子、栄養膜糖タンパク質、トロポミオシン受容体キナーゼ(Trk)受容体(TrkA、TrkB、TrkCなど)、トリプトファン5-ヒドロキシラーゼ、チューブリン、腫瘍壊死因子(α、βなどのTNF)、腫瘍壊死因子13C受容体、腫瘍進行遺伝子座2(TPL2)、腫瘍タンパク質53(TP53)遺伝子、腫瘍抑制候補2(TUSC2)遺伝子、チロシナーゼ、チロシン水酸化酵素、チロシンキナーゼ(TK)、チロシンキナーゼ受容体、免疫グロブリン様ドメイン及びEGF様ドメイン(TIE)受容体を有するチロシンキナーゼ、チロシンタンパク質リン酸化酵素ABL1阻害剤、ユビキチン、ユビキチンカルボキシラーゼ加水分解酵素アイソザイムL5、ユビキチンチオエステラーゼ-14、ユビキチン結合酵素E2I(UBE2I、UBC9)、ウレアーゼ、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性因子、ウテログロビン、バニロイドVR1、血管細胞接着タンパク質1、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、VEGF-1受容体、VEGF-2受容体、VEGF-3受容体、VEGF-A、VEGF-B、ビメンチン、ビタミンD3受容体、癌原遺伝子チロシン-タンパク質リン酸化酵素Yes、Wee-1タンパク質リン酸化酵素、ウィルムス腫瘍抗原1、ウィルムス腫瘍タンパク質、X結合型アポトーシス抑制タンパク質、亜鉛フィンガータンパク質転写因子、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
一態様は、式(I)~(III)のBTK阻害剤を下記の1種以上の他の治療薬と組合わせてヒトに投与して、BTK媒介障害を患うヒトを治療する方法を提供する。それら他の治療薬は、アポトーシスシグナル調節キナーゼ(ASK)阻害剤、ジスコイジンドメイン受容体(DDR)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、リシルオキシダーゼ様タンパク質2(LOXL2)阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP9)阻害剤、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害剤、BET-ブロモドメイン4(BRD4)阻害剤、チェックポイント阻害剤、B細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)/リンパ腫2(BCL-2)阻害剤、及びCD20阻害剤からなる群から選択される。前述の方法の何れにおいても、式(I)~(III)のBTK阻害剤は、単位用量として、例えば本明細書に記載のように錠剤の形態で個体に投与してもよい。また前述の方法の何れにおいても、式(I)~(III)のBTK阻害剤及び1種以上の治療薬を、同時に又は順番に投与してもよい。
1種以上の治療薬の例として、限定はされないが、PCT出願公開WO2011/008709号及びWO2013/112741号に記載されているASK1阻害剤を含むASK阻害剤;抗CD47mAbs(Vx-1004)、抗ヒトCD47mAbs(CNTO-7108)、CC-90002、CC-90002-ST-001、ヒト化抗CD47抗体(Hu5F9-G4)、NI-1701、NI-1801、RCT-1938、及びTTI-621などのCD47阻害剤;アベマシクリブ、アルボシジブ(HMR-1275、フラボピリドール)、AT-7519、FLX-925、LEE001、パルボシクリブ、リボシクリブ、リゴセチブ、セリネクサー、UCN-01、及びTG-02などのCDK阻害剤;PCT出願公開WO2014/047624号、WO2013/027802号、及びWO2013/034933号、米国出願公開2011/0287011号及び2009/0142345号などに開示される化合物などのDR阻害剤;アビキシノスタット、ACY-241、AR-42、BEBT-908、ベリノスタット、CKD-581、CS-055(HBI-8000)、CUDC-907、エンチノスタット、ジビノスタット、モセチノスタット、パノビノスタット、プラシノスタット、キシノスタット(JNJ-26481585)、レスミノスタット、リコリノスタット、SHP-141、バルプロ酸(VAL-001)、ボリノスタットなどのHDAC阻害剤;BLV-0801、エパカドスタット、F-001287、GBV-1012、GBV-1028、GDC-0919、インドキシモド、NKTR-218、NLG-919系ワクチン、PF-06840003、ピラノナフトキノン誘導体(SN-35837)、レスミノスタット、SBLK-200802、及びshIDO-STなどのIDO1阻害剤;AT9283、AZD1480、バリシチニブ、BMS-911543、フェドラチニブ、フィルゴチニブ(GLPG0634)、ガルチチニブ(LY2784544)、INCB039110、レスタウルチニブ、モメロチニブ(CYT0387)、NS-018、パクリチニブ(SB1518)、ペフィシチニブ(ASP015K)、ルクソリチニブ、トファシチニブ(以前はタソシチニブ)、及びXL019などのJAK阻害剤;PCT出願公開WO2009/017833号、WO2009/035791号、及びWO2011/097513号に記載の抗体などのLOXL阻害剤;マリマスタット(BB-2516)、シペマスタット(Ro32-3555)など、及びPCT出願公開WO2012/027721号に記載のMMP9阻害剤;アントロキノノール、ビニメチニブ、コビメチニブ(GDC-0973、XL-518)、MT-144、セルメチニブ(AZD6244)、ソラフェニブ、トラメチニブ(GSK1120212)、ウプロセチブ+トラメチニブなどのMEK阻害剤;ACP-319、AEZA-129、AMG-319、AS252424、AZD8186、BAY10824391、BEZ235、ブパリシブ(BKM120)、BYL719(アルペリシブ)、CH5132799、コパンリシブ(BAY80-6946)、デュベリシブ、GDC-0941、GDC-0980、GSK2636771、GSK2269557、イデラリシブ(Zydelig(登録商標))、IPI-145、IPI-443、IPI-549、KAR4141、LY294002、LY3023414、MLN1117、OXY111A、PA799、PX-866、RG7604、リゴセルチブ、RP5090、タセリシブ、TG100115、TGR-1202、TGX221、WX-037、X-339、X-414、XL-147(SAR245408)、XL499、XL756、ワートマニン、ZSTK474など、ならびにPCT出願公開WO2005/113556号、WO2013/052699号、WO2013/116562号、WO2014/100765号、WO2014/100767号、及びWO2014/201409号に記載の化合物などのPI3K阻害剤;6-(1H-インダゾール-6-イル)-N-(4-モルホリノフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミン、BAY-61-3606、セルドラチニブ(PRT-062607)、エントスプレチニブ、ホスタマチニブ(R788)、HMPL-523、NVP-QAB205AA、R112、R343、タマチニブ(R406)など、ならびに米国特許第8,450,321号及び米国出願公開第2015/0175616号に記載の化合物などのSYK阻害剤;E-6887、IMO-4200、IMO-8400、IMO-9200、MCT-465、MEDI-9197、モトリモド、レシキモド、VTX-1463、及びVTX-763などのTLR8阻害剤;IMO-2055、IMO-2125、レフィトリモド、リテニモド、MGN-1601、及びPUL-042などのTLR9阻害剤;アファチニブ、ARQ-087、asp5878、AZD3759、AZD4547、ボスチニブ、ブリガチニブ、カボザンチニブ、セジラニブ、クレノラニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、ドビチニブ、E-6201、エルダフィチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ギルテリチニブ(ASP-2215)、FP-1039、HM61713、イコチニブ、イマチニブ、KX2-391(Src)、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ミドスタウリン、ニンテダニブ、ODM-203、オシメルチニブ(AZD-9291)、ポナチニブ、キザルチニブ、ラドチニブ、ロシレチニブ、スルファチニブ(HMPL-012)、スニチニブ、及びTH-4000などのTKIs阻害剤が挙げられる。
本明細書で使用される際に、用語「化学療法薬剤」又は「化学療法剤」(すなわち化学療法剤による治療の場合の「化学療法」)は、癌の治療に有用な任意の非タンパク質性(すなわち非ペプチド性)化合物を包含することを意味している。化学療法剤の例として、限定はされないが、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、イムプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル類;ベンゾデパ、カルボキオン、メツレデパ、及びウレデパなどのアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン類及びメチルメラミン類;アセトゲニン、特にブルラタシン及びブルラタシノン;合成類似体トポテカンを含むカンプトテシン;ブリオスタチン、カリスタチン;アドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含むCC-1065;クリプトフィシン、特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8;ドラスタチン;合成類似体KW-2189及びCBI-TMIを含むデュオカルマイシン;エレウテロビン;5-アザシチジン;パンクラチスタチン;サルコディクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、グルフォスファミド、エボフォスファミド、ベンダムスチン、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、酸化メクロレタミン塩酸物、メルファラン、ノベンビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、及びウラシルマスタードなどの窒素マスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォルムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロソ尿素類;エンジイン系抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγII及びカリケアマイシンφ1)、ジネミシンAを含むジネミシン、クロドロナートなどのビスホスホナート、エスペラマイシン、ネオカルチノスタチンクロモフォア及び関連するクロモタンパク質エネジイン抗体クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルニノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキソドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マセルマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン類、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、キエラマイシン、ロボルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デモプテリン、メトトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、及びチオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、及びフロクスリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、及びテストラクトンなどのアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、及びトリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸などの葉酸再処理剤;ラジウム-223のような放射線治療薬;トリコテセン類、特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン;パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、アブラキサン、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))、カバジタキセル、BIND-014などのタキソイド類;シスプラチン及びカルボプラチン、NC-6004ナノプラチンなどの白金類似体類;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ヘストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デホファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルメチン;エリプチニウムアセタート;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロイコボリン;ロニダミン;メイタンシン及びアンサマイトシンなどのメイタンシノイド類;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;フルオロピリミジン;フォリン酸;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;多糖-K(PSK);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トラベクテジン、トリアジコン;2,2',2“-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオペタ;クロラムブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトロキサントロン;バンクリスチン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼオローダ;イバンドロナート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DFMO);レチノイン酸などのレチノイド類;カペシタビン;NUC-1031;FOLFIRI(フルオロウラシル、ロイコボリン、及びイリノテカン);ならびに上記の何れかの薬学的に許容可能な塩、酸、又は誘導体が挙げられる。「化学療法剤」の定義にはさらに、抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)などの抗ホルモン剤、酵素アロマターゼの阻害剤、抗アンドロゲン剤、ならびに上記何れかの薬学的に許容可能な塩、酸又は誘導体が含まれ、それらは腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する。抗エストロゲン剤及びSERMの例として、例えば、タモキシフェン(NOLVADEXTMを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(FARESTON(登録商標))が含まれる。酵素アロマターゼの阻害剤は、副腎でのエストロゲンの産生を調節する。その例として、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(MEGACE(登録商標))、エキセメスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(RIVISOR(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、及びアナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))が挙げられる。抗アンドロゲン剤の例として、アパルタミド、アビラテロン、エンザルタミド、フルタミド、ガレテロン、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、ゴセレリン、ODM-201、APC-100、ODM-204が挙げられる。プロゲステロン受容体拮抗薬の例として、オナプリストンが含まれる。
抗血管新生剤として、限定はされないが、レチノイド酸及びその誘導体、2-メトキシエストラジオール、ANGIOSTATIN(登録商標)、ENDOSTATIN(登録商標)、レゴロフェニブ、ネクパラニブ、スラミン、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ-1の組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ-2の組織阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子-1、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子-2、軟骨由来阻害剤、パクリタキセル(ナブ-パクリタキセル)、血小板第4因子、硫酸プロタミン(クルペイン)、硫酸化チキン誘導体(クワイガニの殻から調製)、硫酸化多糖ペプチドグリカン複合体(sp-pg)、スタウロスポリン、1-アゼチジン-2-カルボン酸(LACA)のようなプロリン類似体を含むマトリックス代謝の調節因子、シスヒドロキシプロリン、d,I-3,4-デヒドロプロリン、チアプロリン、α、α'-ジピリジル、β-フマル酸アミノプロピオニトリル、4-プロピル-5-(4-ピリジニル)-2(3h)-オキサゾロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン-血清、メタロプロテイナーゼ-3のチキン阻害剤(ChIMP-3)、キモスタチン、β-シクロデキストリンテトラデカ硫酸、エポネマイシン、フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d-ペニシラミン、β-1-アンチコラゲナーゼ-血清、α-2-アンチプラスミン、ビサントレン、ロベンザリットジナトリウム、n-2-カルボキシフェニル-4-クロロアントロン酸二ナトリウム又は「CCA」、サリドマイド、血管新生抑制ステロイド、カルボキシアミノイミダゾール、BB-94などのメタロプロテイナーゼ阻害剤、及びタスキニモドなどのS100A9の阻害剤が挙げられる。他の抗血管新生剤として、抗体、好ましくはこれらの血管新生増殖因子に対するモノクローナル抗体:β-FGF、α-FGF、FGF-5、VEGFアイソフォーム、VEGF-C、HGF/SF、及びAng-1/Ang-2が挙げられる。
抗線維化剤として、限定はされないが、β-アミノプロピオニトリル(BAPN)などの化合物、ならびに参照により本明細書内に組み込まれる特許、すなわちリシルオキシダーゼの阻害剤及びコラーゲンの異常沈着に関する疾患及び症状の治療でのそれらの使用に関する米国特許第4,965,288号、及び種々の病理学的線維性状態の治療のためにLOXを阻害する化合物に関する米国特許第4,997,854号に開示されている化合物が挙げられる。さらなる例示的な阻害剤は、参照により本明細書内に組み込まれる特許、すなわち2-イソブチル-3-フルオロ-、クロロ-、又はブロモ-アリルアミンに関する米国特許第4,943,593号、第5,021,456号、第5,059,714号、第5,120,764号、第5,182,297号、及び2-(1-ナフチルオキシメチル)-3-フルオロアリルアミンに関する第5,252,608号、ならびに米国出願公開第2004/0248871号に記載されている。抗線維化剤の例としてはまた、リシルオキシダーゼの活性部位のカルボニル基と反応する第一級アミン、より詳細にはカルボニルとの結合後に共鳴により安定化された生成物を生成する第一級アミンが挙げられ、それら第一級アミンは、例えば、エミレンマミン、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、及びそれらの誘導体;セミカルバジド及び尿素誘導体;BAPN又は2-ニトロエチルアミンなどのアミノニトリル;2-ブロモ-エチルアミン、2-クロロエチルアミン、2-トリフルオロエチルアミン、3-ブロモプロピルアミン、及びp-ハロベンジルアミンなどの不飽和又は飽和ハロアミン;及びセレノホモシステインラクトンである。他の抗線維化剤は、細胞を透過するか又は透過しない銅キレート剤である。例示的な化合物として、リシルオキシダーゼによるリシル及びヒドロキシリシル残基の酸化的脱アミノ化から生じるアルデヒド誘導体を阻止する間接的な阻害剤が含まれる。その例としては、特にD-ペニシラミンであるチオアミン、及び2-アミノ-5-メルカプト-5-メチルヘキサン酸、D-2-アミノ-3-メチル-3-((2-アセトアミドエチル)ジチオ)ブタン酸、p-2-アミノ-3-メチル-3-((2-アミノエチル)ジチオ)ブタン酸、4-((p-1-ジメチル-2-アミノ-2-カルボキシエチル)ジチオ)ブタン硫酸ナトリウム、2-アセトアミドエチル-2-アセトアミドエタンチオールスルファナート、及び4-メルカプトブタンスルフィン酸ナトリウム三水和物などのその類似体が挙げられる。
免疫療法剤は、限定はされないが、患者の治療に適した治療用抗体を含む。治療用抗体のいくつかの例として、アバゴボマブ、ABP-980、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベバシズマブ、ビバツムマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カツマクソマブ、CC49、セツキシマブ、シタツズマブ、シクスツムマブ、クリバツズマブ、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、ダラツムマブ、デツモマブ、ジヌツクシマブ、ドロジツマブ、デュリゴツマブ、ドゥシギツマブ、エクロメキシマブ、エロツズマブ、エミベツズマブ、エンシツキマブ、エルツマキソマブ、エタラシツマブ、ファルレツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フツキシマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ、イブリツモマブ、イゴモマブ、イムガツズマブ、インダツキシマブ、イノツズマブ、インテツムマブ、イピリムマブ(YERVOY(登録商標)、MDX-010、BMS-734016、及びMDX-101)、イラツムマブ、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツムマブ、ルカツムマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ、ナプツモマブ、ナルナツマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブ、OBI-833、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、パニツムマブ、パラサツズマブ、パスドトックス、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ピンツモマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サマリズマブ、サツモマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、ソリトマブ、シムツズマブ、タカツズマブ、タピツモマブ、テナツモマブ、テプロツムマブ、チガツズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ、ウビリツキシマブ、ベルツズマブ、ボルゼツズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザルフマブ、3F8などが挙げられる。リツキシマブは、辺縁帯リンパ腫、WM、CLL、及び小リンパ球性リンパ腫を含む無痛性B細胞癌の治療に使用できる。リツキシマブと化学療法薬の併用は特に有効である。例示した治療用抗体をさらに標識化するか、又はインジウム-111、イットリウム-90(90Y-クリバツズマブ)、又はヨウ素-131などの放射性同位体粒子と組み合わせてもよい。当然のことであるが、上記の薬剤、分子、化合物、又は抗体は、さらなるメカニズム形態を有してもよく、例えば化学療法剤が抗線維化剤であってもよいという上記の形態に限定されるものでない。
さらに医薬品の製造に、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の使用を提供する。本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を、医薬品を製造する製造工程において、中間体として役立ててもよい。
本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体を含み、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は他の成分中に配合された組成物を調製し、適切な容器に入れて、適応する症状の治療について表示してもよい。したがって、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の剤形を含み、化合物の使用説明書を表示した容器などを想定した製品でもある。
いくつかの態様において、製品は、本明細書に記載の化合物(I)の塩又は共結晶体の剤形及び1つ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は他の成分を含む容器である。本明細書に記載の製品の一態様において、剤形は錠剤である。
キットもまた想定されている。例えばキットは、医薬組成物の剤形、及び病状の治療での組成物の使用説明書を含む添付文書を備えることが可能である。キット内の使用説明書は、例えば自己免疫疾患又は癌を含むBTK媒介障害の治療を目的としてもよい。特定の態様において、ラベルに表示した適用条件は、例えば、自己免疫疾患又は癌の治療を含んでいてもよい。
以下の実施例は、本出願に開示される態様の理解をさらに深めるために提供され、これら実施例が属する技術分野の当業者に周知の従来方法が理解されていることを前提としている。以下に記載される特定の材料及び条件は、本明細書に開示される態様の特定の側面を例示することを意図しており、その正当な範囲を限定解釈すべきではない。
6-アミノ-9-[(3R)-1-(2-ブチノイル)-3-ピロリジニル]-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オンの塩及び共結晶体を、以下に説明する手順を用いて、X線粉末回折パターン(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、及び熱重量分析(TGA)を含む種々の解析技術によって評価した。
X線粉末回折(XRPD):XRPDパターンを、以下の試験条件設定:45KV、40mA、Kα1=1.5406Å、2~40°の走査範囲、0.0084°又は0.0167°のステップ幅、5分の測定時間において、PANanalytical XPERT-PRO回折装置により大気条件で取得した。
示差走査熱量測定(DSC):DSC温度曲線を、50個位置の自動測定機構を備えたTA Instruments社製のQ2000 systemにより取得した。熱エネルギーと温度は、検定済のインジウムを使用して校正した。通常では、ピン穴のあるアルミニウム皿に入れた1~5mgの各試料を、25℃から300℃まで10℃/minで昇温した。乾燥窒素パージを、測定中は試料全体にわたって50mL/minで継続した。融解吸熱の開始点を、融点として記録した。
熱重量分析(TGA):TGA温度曲線を、25個位置の自動試料採取機構を備えたTA Instruments社製のQ5000 systemにより取得した。通常では、1~5mgの各試料を予め自重測定したアルミニウム皿に載せ、25℃から250℃まで10℃/minで昇温した。窒素パージを、測定中は試料全体にわたって25mL/minで継続した。
動的水蒸気吸・脱着(DVS):固形物への吸湿性を判断するのに使用されるDVSデータを、TA Instruments社製のQ5000SA systemにより取得した。チャンバーを25℃に温度制御し、乾燥窒素を10mL/minの流量で導入した。約1~5mgの試料を、半球形の金属被覆された石英るつぼ、又は使い捨てのアルミニウム皿に載せた。完全な吸着/脱着サイクルを実現するように、チャンバー内の相対湿度(RH)を10%刻みで10%から90%まで増大させ、その後10%まで戻すように制御して、25℃での段階的な等温実験を実施した。
化合物(I)の塩及び共結晶体の調製
実施例1:化合物(I)のヘミ硫酸の調製
5gの化合物(I)の未結合基剤を、約40℃で約50mLのアセトニトリル中に溶解した。540mgの硫酸を約10mLのアセトニトリルで希釈し、約2.5時間かけて化合物(I)の溶液に加えた。添加中にスラリーが生成された。その後、スラリーを約70℃に加熱し、約2時間かけて約0℃まで冷却した。混合物を濾過し、約10mLのアセトニトリルで洗浄し、約50℃のオーブン中で一晩真空下で乾燥した。5.05gの化合物(I)のヘミ硫酸塩を得た。
実施例2:化合物(I)のシュウ酸塩の調製
100mgの化合物(I)と19.8mgのシュウ酸の混合物をアセトンに溶解し、ほぼ室温で一晩撹拌した。スラリーを生成し、XRPDにより化合物(I)のシュウ酸塩であることを確認して、それを種バッチとした。10gの化合物(I)と2gのシュウ酸を約50mLのアセトン中に約20℃で溶解し、それに続き種バッチからの種結晶を添加して、目的バッチを調製した。スラリーを生成し、約50mLのn-ヘプタンを約2時間かけて添加した。この混合物を濾過し、10mLのアセトンで洗浄し、約50℃の真空下で乾燥した。10.7gの化合物(I)のシュウ酸塩を得た。
実施例3:化合物(I)のヘミエジシル酸塩の調製
100mgの化合物(I)と24.9mgのエタン-1,2-ジスルホン酸二水和物の混合物を、約1mLのアセトニトリル、テトラヒドロフラン、又はアセトン、あるいはそれらの混合物と混ぜ合わせた。混合物をほぼ室温で一晩撹拌した。スラリーを濾過し、約50℃の真空下で乾燥した。固形物をXRPDで試験して、化合物(I)のヘミエジシル酸塩の生成を確認した。
実施例4:化合物(I)のエジシル酸塩の調製
100mgの化合物(I)と49.8mgのエタン-1,2-ジスルホン酸二水和物との混合物を、約1mLのアセトニトリル、テトラヒドロフラン、又はアセトン、あるいはそれらの混合物と混ぜ合わせた。アセトニトリルを使用した際に、種生成が出現した(種生成は、この段落で述べたテトラヒドロフラン又はアセトンを使用した実験でも出現した)。この混合物を室温で一晩撹拌した。スラリーを濾過し、約50℃の真空下で乾燥した。固形物をXRPDで試験して、化合物(I)のエジシル酸塩の生成を確認した。
実施例5:化合物(I)のヘミナパジシル酸塩の調製
108.7mgの化合物(I)、43.1mg(0.5当量)のナフタレン-1,5-ジスルホン酸、及び約1.5mLのアセトニトリルの混合物を、密封した4mLの琥珀色ガラスバイアル中で約30分間超音波処理した。この試料を磁気攪拌棒により約50℃で約1時間攪拌し、その後室温まで冷却しその試料に約5日間攪拌を継続した。固形物を遠心分離により分離し、約50℃の真空下で一晩乾燥した。H NMRでは、約0.5当量のナフタレン-1,5-ジスルホン酸、及びいくらかの残留アセトニトリルが検出された。この試料を約125℃でさらに乾燥した。
実施例6:化合物(I)のフマル酸塩の調製
100.4mgの化合物(I)、26.2mg(1当量)のフマル酸、及び0.75mLの酢酸イソプロピルの混合物を、密閉した4mLの琥珀色ガラスバイアル中で約30分間超音波処理した。この試料を磁気攪拌棒により約50℃で約1時間攪拌し、その後室温まで冷却しその試料に約2週間攪拌を継続した。固形物を遠心分離により分離し、約50℃の真空下で一晩乾燥した。H NMRでは、約1当量のフマル酸を検出した。
5mLの酢酸イソプロピルと0.5mLの水の混合物中で、500mgの化合物(I)と127.7mg(1当量)のフマル酸を、約50℃で約16時間、その後室温で約2日間撹拌して、別のバッチを調製した。この試料を濾過し、5mLの酢酸イソプロピルで洗浄して約50℃の真空下で一晩乾燥した。この固形物のXRPD解析では、上述の実験での試料と同一のパターンを示した。
実施例7:化合物(I)のコハク酸塩の調製
99.5mgの化合物(I)、27.1mg(1当量)のコハク酸、及び0.75mLの酢酸イソプロピルの混合物を、密封された4mLの琥珀色ガラスバイアル中で約30分間超音波処理した。この試料を磁気攪拌棒により約50℃で約1時間攪拌し、その後室温まで冷却しその試料に約1週間攪拌を継続した。固形物を遠心分離により分離して約50℃の真空下で一晩乾燥した。H NMRでは、約1当量のコハク酸を検出した。
5mLの酢酸イソプロピル中で、500mgの化合物(I)及び129.9mg(1当量)のコハク酸を、室温で約3日間撹拌して別のバッチを調製した。この試料を濾過し、5mLの酢酸イソプロピルで洗浄して約50℃の真空下で一晩乾燥した。この固形物のXRPD解析では、上述の実験での試料と同一のパターンを示した。

Claims (18)

  1. 化合物(I)のミ硫酸塩結晶
    Figure 0007014811000004
  2. CuKα線を使用する回折装置で測定して、2θ:6.6、18.6、及び23.7°(±0.2°)にピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、請求項1に記載の化合物(I)のミ硫酸塩結晶
  3. 前記回折パターンは、2θ:7.1及び13.7°(±0.2°)にピークをさらに含む、請求項2に記載の化合物(I)のミ硫酸塩結晶
  4. 192℃に吸熱ピークを含む示差走査熱量測定曲線によりさらに特徴付けられる、請求項2又は3に記載の化合物(I)の結晶性ヘミ硫酸塩結晶
  5. 化合物(I)のュウ酸塩結晶
    Figure 0007014811000005
  6. CuKα線を使用する回折装置で測定して、2θ:7.2、18.2、及び23.3°(±0.2°)にピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、請求項5に記載の化合物(I)のュウ酸塩結晶
  7. 前記回折パターンは、2θ:13.8及び20.2°(±0.2°)にピークをさらに含む、請求項6に記載の化合物(I)のュウ酸塩結晶
  8. 171℃に吸熱ピークを含む示差走査熱量測定曲線によりさらに特徴付けられる、請求項6又は7に記載の化合物(I)のュウ酸塩結晶
  9. 請求項1~4の何れか1項に記載の化合物(I)のミ硫酸塩結晶、及び、請求項5~8の何れか1項に記載の化合物(I)のュウ酸塩結晶からなる群から選択される1種以上の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
  10. 少なくとも部分的にブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)により媒介される疾患を治療するための、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 前記疾患は、癌、血液悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、骨髄増殖性障害、骨髄異形成症候群、形質細胞新生物、固形腫瘍、炎症、線維症、自己免疫障害、アレルギー症状、過敏症、心血管疾患、神経変性疾患、腎障害、ウイルス感染、肥満症、及び自己免疫疾患から選択される、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. ブルトン型チロシンキナーゼの活性を阻害するための、請求項9に記載の医薬組成物。
  13. 請求項1~8の何れか1項に記載の結晶、又は、請求項9~12の何れか1項に記載の医薬組成物と、ラベル及び/又は使用説明書とを備えるキット。
  14. 請求項10又は11に記載の疾患又は症状を治療する薬剤を製造するための、請求項1~8の何れか1項に記載の結晶、又は、請求項9~12の何れか1項に記載の医薬組成物の使用。
  15. 化合物(I)を硫酸と接触させることを含む、請求項1~4の何れか1項に記載の化合物(I)のミ硫酸塩結晶を製造する方法。
  16. 前記接触は、
    i)化合物(I)と硫酸を適切な溶媒中で混ぜ合わせて混合物を得る工程、
    ii)工程i)で得た混合物を70℃に加熱する工程、
    iii)工程ii)で得た混合物を0℃まで冷却する工程、及び
    iv)工程iii)で得た固形材料を採取して化合物(I)のヘミ硫酸塩結晶を得る工程
    を含む、請求項15に記載の方法。
  17. 化合物(I)をシュウ酸と接触させることを含む、請求項5~8の何れか1項に記載の化合物(I)のュウ酸塩結晶を製造する方法。
  18. 前記接触は、
    i)化合物(I)とシュウ酸を適切な溶媒中に室温で溶解して混合物を得る工程、及び
    ii)工程i)で得た固形材料を採取して化合物(I)のシュウ酸塩結晶を得る工程
    を含む、請求項17に記載の方法。
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