(本開示に至った経緯)
「発明が解決しようとする課題」で説明したように、透明スクリーンの透明状態と光拡散状態との表示状態の切り替えは、交流電力の供給の有無により行われる。しかし、電力供給の有無を切り替えた時に、過渡的に大電流が発生することで、透明スクリーンの許容電流値を超えた電流が流れることがある。これにより、透明スクリーンの表示に異常が発生する。
この動作異常を解決する方法として、受動回路で構成されたLPF(Low Pass Filter)を介して透明スクリーンに電力を供給することが検討されている。しかし、このような方法では、電源(例えば、商用電源)の周波数以上の周波数成分に対して減衰特性が急峻なLPFを用いる必要があり、受動回路で実現可能なLPFでは、十分に急峻な減衰特性を実現することが難しい。また、透明状態と光拡散状態との切り替え時に必要な電源の周波数成分も減衰してしまい、透明スクリーンの透明状態と光拡散状態との表示の切り替えに支障をきたす恐れがある。さらに、透明スクリーンにおいて受動回路を設置するスペースが必要となる。
そこで、本願発明者らは、透明スクリーンに受動回路などの構成を追加することなく、透明スクリーンへの電力供給の有無の切り替え時に、過渡的に大電流が発生することを抑制することができる透明スクリーンシステムについて、鋭意検討を行った。そして、透明スクリーンへの電力供給の有無を制御する制御部(例えば、制御ボックス)が備えるSSR(ソリッドステート・リレー)に、ゼロクロス機能を有するSSRを用いることで、上記の断線等の異常を解決することを見出した。
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態及び変形例を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略又は簡略化する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するものであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
また、「略**」との記載は実質的に**と認められるものを含む意図であり、例えば「略直交」を例に挙げて説明すると、完全な直交はもとより、実質的に直交と認められるものを含む意図である。
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る透明スクリーンシステム、及び、映像投影システムについて、図1~図7を参照しながら説明する。
[1-1.映像投影システムの構成]
まず、本実施の形態に係る映像投影システム10の構成について、図1~図3を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る映像投影システム10の構成を示す概略図である。図2は、本実施の形態に係る映像投影システム10の機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る映像投影システム10は、店舗のショーウィンドウなどに用いられる。詳細は後述するが、店舗外にいる歩行者hに店舗内の商品等を見せる場合には、透明スクリーン30を透明状態(非光拡散状態)とし、店舗外にいる歩行者hに広告などを表示する場合には、透明スクリーン30を光拡散状態とする。これにより、透明スクリーン30には、投影装置11から投影された映像が表示される。なお、図1では、透明スクリーン30が透明状態である例を示している。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る映像投影システム10は、投影装置11と、複数の照明器具12と映像再生装置13と、透明スクリーンシステム20とを備える。また、透明スクリーンシステム20は、透明スクリーン30と制御部40とを備える。
投影装置11は、投影する映像を透明スクリーン30に向けて投影する装置である。投影装置11は、制御部40と接続されており、制御部40の制御により投影光を出射する。透明スクリーン30上に投影される映像の解像度は、投影装置11の解像度に依存する。そのため、解像度の高い投影装置11を使用することで、投影される映像の解像度を高めることができる。投影装置11は、例えば、プロジェクタなどである。
照明器具12は、例えば、商品を照らすための照明光を出射する。照明器具12は、制御部40と接続されており、制御部40の制御により照明光を出射する。なお、映像投影システム10が備える照明器具12の数は、特に限定されない。照明器具12は、例えば、ダウンライト又はスポットライトなどである。
映像再生装置13は、投影装置11と接続されており、投影装置11が投影する映像を投影装置11に出力する装置である。また、映像再生装置13は、制御部40とも接続されている。
映像再生装置13は、記憶媒体(例えば、ブルーレイディスクなど)に記憶されているデータ(コンテンツ)を再生し透明スクリーン30に表示させる場合、例えば、映像データを投影装置11に出力し、当該映像データと合わせて記憶されている音声信号(例えば、1kHzの信号)を制御部40に出力してもよい。映像再生装置13は、映像データを投影装置11へ出力している期間、制御部40に音声信号を出力する。また、映像再生装置13は、映像データを投影装置11へ出力していない(例えば、空白のブランク画像を投影装置11に出力している)期間、制御部40に音声信号を出力しない。
なお、映像再生装置13は、再生対象となる映像を複数種類記憶しており、ユーザから指示された映像を出力してもよい。再生対象となる映像は特に限定されないが、例えば、店舗内の商品の説明又はコマーシャルなどであってもよい。なお、映像とは、静止画及び動画を含む。また、映像とは、文字及び数字などを含む。
透明スクリーン30は、投影装置11から投影された投影光を拡散させて映像を表示するスクリーンである。図1に示すように、本実施の形態では、透明スクリーン30は、通路側(例えば、歩行者hがいる側)の面(以降、表示面とも記載する)に映像を表示する。つまり、透明スクリーン30は、透明スクリーン30に対して投影装置11とは反対側に向けて映像を表示する。
透明スクリーン30は、例えば、液晶素子からなる透明パネル31と、透明パネル31を挟み、透明パネル31を保護する2枚の保護板(図示しない)とを有する。保護板は、透光性を有しており、例えば、ソーダ石灰ガラスなどのガラス、又は、アクリル基板などの樹脂などにより構成される。なお、透明スクリーン30は、透明パネル31のみから構成されてもよい。
透明パネル31は、光拡散状態、及び、透明状態の2つの表示状態を有する。当該2つの表示状態は、制御部40から供給される交流電力により切り替えられる。具体的には、2つの表示状態は、制御部40から供給される交流電力の有無により、切り替えられる。
ここで、透明スクリーン30が有する透明パネル31の構成について、図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態に係る透明パネル31の構成を示す図である。図3は、透明スクリーン30を表示面に対して垂直に切断した切断面を示している。図3の(a)は、透明パネル31に電圧が印加されている状態、つまり透明状態を示す図である。図3の(b)は、透明パネル31に電圧が印加されていない状態、つまり光拡散状態を示す図である。
まず、透明パネル31の構成について、図3の(a)を参照しながら説明する。
図3の(a)に示すように、透明パネル31は、一対の基板32と、当該一対の基板32の相対する面に設けられた透明電極膜33と、透明電極膜33の内側に設けられた液晶層34とを有する。
基板32は、透光性を有する材料により構成される。基板32は、例えば、PET(Polyethlene Terephthalate)フィルムである。なお、基板32は、ガラス基板又はアクリル基板であってもよい。透明電極膜33は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)のような金属酸化物などの透明な電極材料により構成される。透明電極膜33は、制御部40と電気的に接続されている。具体的には、交流電力を透明パネル31に供給するための導電性テープ(例えば、Cu箔テープ)と、透明電極膜33とが導電性ペースト(例えば、銀ペースト)で接合される。導電性ペーストを介して透明電極膜33と導電性テープとが接合されている部分及びその周辺を、電極部とも記載する。電極部は、透明スクリーン30において、映像の表示には使用されない部分である。
液晶層34は、特殊ポリマ34aと特殊ポリマ34a内にある空間であるカプセル34bと、カプセル34bに封入された拡散液晶分子34cから構成される。特殊ポリマ34aは、透明性を有することが望ましい。なお、図示していないが、本実施の形態に係る透明パネル31は、透明電極膜33間の厚みを一定にするスペーサ、及び、液晶層34間を密閉するためのシール剤等を有していてもよい。
次に、透明パネル31が有する光拡散状態、及び、透明状態の2つの表示状態について説明する。
図3の(a)に示すように、透明パネル31は、透明電極膜33間に電圧印加が行われる(図中の制御部40がオンになる)と拡散液晶分子34cの長辺方向が一対の基板32に略直交となる方向に配列し、投影光11aを拡散させずに通過させる。つまり、透明パネル31は、電圧印加を行うと投影光11aを拡散させずに透過させる透明状態となる。この状態では、歩行者hは、投影装置11の投影光11aが見えるだけで透明パネル31の表示面上に映像を視認することはできない。なお、図3の(a)では、説明のため投影光11aを図示しているが、透明パネル31が透明状態である場合、投影光11aは出射されていなくてもよい。例えば、制御部40が投影装置11を制御し、投影光11aの出射を停止させてもよい。なお、図3の(a)に示すように、本実施の形態では、商用電源50から透明パネル31に交流電圧が供給される。透明パネル31に供給される交流電圧は当該透明パネル31の特性により適宜決定されればよいが、例えば、100Vである。
また、図3の(b)に示すように、透明パネル31は、透明電極膜33間に電圧印加が行われない(図中の制御部40がオフになる)と、特殊ポリマ34aの作用により拡散液晶分子34cの配列が不規則な状態となり、投影光11aを拡散させる。つまり、透明パネル31は、電圧印加が行われないと投影光11aを拡散させる光拡散状態となる。これにより、投影光11aが拡散されるので、歩行者hは、透明パネル31の表示面上に映像を視認することができる。なお、図3の(b)では、商用電源50から透明パネル31に交流電圧が供給されない例を示しているが、これに限定されず、透明状態において印加される電圧(例えば、100V)より低い電圧が印加されてもよい。透明パネル31は、液晶層34に印加される電圧を変化させることで、透明パネル31の拡散度合い(又は、透明度合い)を調整することができる。
なお、光拡散状態とは、透明パネル31の表示面からみて、映像が視認できる程度の光拡散度合いであればよい。また、透明状態とは、光拡散状態に比べ拡散度合いが低い状態であればよい。また、光拡散状態と透明状態とは、透過率は略等しく拡散度合いが異なる状態である。
上記のように、本実施の形態に係る透明パネル31は、制御部40から電力が供給されている(例えば、所定値以上の電圧が印加される)ときは透明状態となり、制御部40から電力が供給されていない(例えば、所定値より低い電圧が印加される)ときは光拡散状態となる。なお、透明パネル31は、電圧が供給されているときに光拡散状態となり、電圧が供給されていないときに透明状態となるパネルであってもよい。
なお、透明パネル31は、電力供給により光拡散状態と透明状態とが切り替わるパネルである例について説明したが、これに限定されない。透明パネル31は、電力供給により透過率が変化するパネルであってもよい。透明パネル31は、例えば、電力供給により第一の透過率から第一の透過率とは異なる第二の透過率に切り替わるパネルであってもよい。
図3を再び参照して、制御部40は、各構成要素を制御する制御装置であり、透明パネル31への電力の供給の有無により、透明パネル31の表示状態を制御する。具体的には、制御部40は、100Vの交流電力を透明パネル31に供給することで透明パネル31を透明状態に制御し、当該電力供給を停止することで透明パネル31を光拡散状態に制御する。
また、制御部40は、投影装置11が投影光11aを出射しているときに、照明器具12を消灯させる、又は、投影装置11が投影していないときより照明器具12を暗くする制御を行ってもよい。投影装置11が投影光11aを出射しているときに照明器具12が照明光を照射すると、その照明光は透明パネル31にも照射される。これにより、透明パネル31に表示される映像のコントラストが低下してしまうことがあるためである。なお、照明器具12が複数ある場合、制御部40は、複数の照明器具12の少なくとも1つに対して上記の制御を行えばよい。
ここで、制御部40の構成について、さらに図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態に係る透明スクリーンシステム20の機能構成を示すブロック図である。なお、図4では、透明スクリーン30への電力供給を制御するための構成要素を図示しているが、制御部40は、これ以外の構成要素を備えていてもよい。例えば、照明器具12の点灯状態を制御する光源制御部などを備えていてもよい。つまり、図4に示す構成要素を備えていれば、制御部40の態様は特に限定されない。
図4に示すように、制御部40は、透明スクリーン30と商用電源50との間に配置され、商用電源50からの交流電力を透明スクリーン30に供給する及び供給を停止する制御を行う。制御部40は、スイッチ41とゼロクロス機能付きSSR(ソリッドステート・リレー)42とを備える。本実施の形態では、制御部40の備えるSSRが、ゼロクロス機能を有している点に特徴を有する。なお、以降では、ゼロクロス機能付きSSR42を第一のSSR42とも記載する。また、商用電源50は、交流電源の一例である。
スイッチ41は、第一のSSR42と接続されており、透明パネル31へ電力を供給する及び供給を停止するための信号(制御信号)を第一のSSR42に出力する。すなわち、スイッチ41は、透明パネル31への電力の供給及び供給の停止を切り替えるための信号(交流出力制御用の信号)を出力する。具体的には、スイッチ41は、第一のSSR42が備える発光素子(図5に示す発光素子42a)が光を発する所定の電圧レベルの信号(以降では、オン信号とも記載する)を出力する。本実施の形態では、スイッチ41が出力する信号は、直流である場合について説明するが、交流であってもよい。また、スイッチ41は、例えば、映像再生装置13から入力される音声信号をトリガ信号として、上記の信号を第一のSSR42に出力してもよい。
上記のように、スイッチ41は、例えば、制御部40の外部から入力されたトリガ信号の形態を変換して透明パネル31に出力する。なお、トリガ信号はこれに限定されず、店員などのユーザから取得してもよい。
スイッチ41は、例えば、汎用プロセッサ及びメモリにより実現される。この場合、メモリに格納されたソフトウェアプログラムがプロセッサにより実行されたときに、プロセッサはスイッチ41として機能する。また、スイッチ41は、専用の1以上の電子回路として実現されてもよい。
第一のSSR42は、半導体スイッチ素子を使用したリレーであり、スイッチ41の制御により透明パネル31と商用電源50との導通及び非導通を切り替える。例えば、スイッチ41がオン信号を出力した場合に、第一のSSR42の内部回路(図5を参照)の開閉素子がオンすることで、透明パネル31へ電力を供給する。また、スイッチ41がオン信号の出力を停止した場合に、第一のSSR42の内部回路の開閉素子をオフすることで、透明パネル31への電力の供給を停止する。
第一のSSR42は、導通及び非導通の切り替えの際に、交流電圧のゼロボルト(ゼロクロス)の通過を検出するゼロクロス回路を有する。ゼロクロス回路を用いることで、電圧がゼロ地点を検出した瞬間に導通及び非導通を切り替える動作(言い換えると、スイッチング動作)を行うことができる。すなわち、第一のSSR42は、ゼロクロス機能を有する。なお、ゼロボルトとは、完全にゼロボルトはもとより、実質的にゼロボルトと認められるものを含む意図である。ゼロボルトとは、例えば、透明パネル31に供給される交流電力の最大電圧の5%以下の電圧を含む。
図5は、本実施の形態に係る第一のSSR42の構成を示す概略図である。
図5に示すように、第一のSSR42は、発光素子42a、フォトトライアック42b、ゼロクロス回路42c、トリガ回路42d、及び、トライアック42eを備える。なお、トライアック42eは、開閉素子の一例である。
入力端子IN1及びIN2には、交流出力制御用の入力信号が印加される。具体的には、入力端子IN1及びIN2は、スイッチ41に接続される。また、出力端子OUT1及びOUT2には、商用電源50及び透明スクリーン30(具体的には、透明パネル31)が接続される。
発光素子42aは、入力端子IN1及びIN2に入力信号が印加されると、商用電源50から透明パネル31に電力を供給するための光を発する。具体的には、トライアック42eをオンするための光を発する。発光素子42aは、例えば、発光ダイオードなどにより実現される。
フォトトライアック42bは、発光素子42aが発する光を受光すると非導通から導通に切り替わる。本実施の形態では、第一のSSR42は、ゼロクロス回路42cを備えているので、フォトトライアック42bは、商用電源50の交流電圧がゼロクロス点の近傍にないときは非導通のままであり、ゼロクロス点の近傍であるときに導通する。
フォトトライアック42bが導通することで、トリガ回路42dからトライアック42eにトライアック42eをオンするための信号が出力される。トライアック42eがオンされることで、商用電源50から透明パネル31に電力が供給される。
なお、発光素子42aとフォトトライアック42bとで、フォトトライアックカプラを構成する。フォトトライアックカプラは、スイッチ41からの入力信号に応じてトライアック42eを起動する。
ゼロクロス回路42cは、交流電圧がゼロ位相付近で動作を開始させるための回路である。本実施の形態では、ゼロクロス回路42cは、フォトトライアック42bが交流電圧のゼロクロス点の近傍で導通及び非導通が切り替わるように制御する。なお、ゼロクロス回路42cは、フォトトライアックカプラに内蔵されていてもよい。
トリガ回路42dは、トライアック42eのゲート端子にゲート信号をトリガ信号として出力する回路である。トリガ回路42dは、フォトトライアック42bが導通することで信号が入力されると、トリガ信号を出力する。また、トリガ回路42dは、フォトトライアック42bが非導通となることで信号の入力が停止されると、トリガ信号の出力を停止する。入力端子IN1及びIN2に加わる入力信号がオフすれば、ゼロクロス回路42cにより商用電源50の交流電圧がゼロクロス点の近傍でフォトトライアック42bが非導通となる。これに伴いトライアック42eも非導通となって、商用電源50から透明パネル31への電力の供給が停止される。
なお、第一のSSR42の構成は、図5の構成に限定されない。例えば、第一のSSR42は、出力端子OUT1及びOUT2側にトライアック42eの誤点弧を防止するスナバ回路などを備えていてもよいし、その他の回路を備えていてもよい。
上記のように、本実施の形態に係る制御部40は、入力された制御信号に基づいて、商用電源50と透明パネル31との導通及び非導通を交流電力のゼロボルトで切り替える第一のSSR42を備える。第一のSSR42は、ゼロクロス機能を有するので、商用電源50からの交流電力のゼロクロスのタイミングで、導通と非導通とを切り替えることができる。なお、第一のSSR42は、ゼロクロス機能付きのSSRであれば特に限定されないが、例えば、オムロン株式会社から入手可能なゼロクロス機能付きのSSR(例えば、形式G3F-202SN AC100/110など)を使用することができる。
なお、映像投影システム10を構成する各構成要素のうち、ゼロクロス機能付きのSSRを備えているのは、制御部40のみである。
[1-2.透明スクリーンの動作など]
続いて、透明スクリーン30の動作について、図6A~図7を参照しながら説明する。
まずは、透明パネル31に電力の供給を開始する動作について、図6A及び図7を参照しながら説明する。
図6Aは、本実施の形態に係る制御部40が透明パネル31への電力供給を開始する動作を示すフローチャートである。図7は、本実施の形態に係る制御部40の入出力波形を示す図である。
図6Aに示すように、まず、第一のSSR42が商用電源50と接続される(S10)。これにより、第一のSSR42と商用電源50とが電気的に接続される。制御部40が備える電源接続端子(図示しないが、例えば差込プラグ)が商用電源50と接続されたコンセントに差し込まれることで、第一のSSR42と商用電源50とが接続される。なお、この時点では、第一のSSR42と透明パネル31とは、導通していない。
図7の(a)は、商用電源50から第一のSSR42に入力される交流電圧波形を示している。横軸は時間を示しており、縦軸は電圧を示している。ステップS10において第一のSSR42と商用電源50とが接続されることで、図7の(a)に示す交流電圧が第一のSSR42に入力される。
図6Aを再び参照して、スイッチ41がオンされる(S11でYes)と、第一のSSR42は、すぐに透明パネル31に電力の供給を開始せず、商用電源50から入力される交流電圧がゼロボルトであるか否かの検出を行う(S12)。具体的には、第一のSSR42が有するゼロクロス回路により、交流電圧がゼロボルトであるか否かの検出が行われる。なお、スイッチ41がオンされるとは、スイッチ41がオン信号を第一のSSR42に出力することを意味する。
そして、ゼロクロス回路によりゼロボルトであることが検出された場合(S12でYes)、第一のSSR42が有する開閉素子がオンすることで、透明パネル31への電力供給が開始される(S13)。
図7の(b)は、スイッチ41のオン・オフを示す図である。図7の(c)は、第一のSSR42から透明パネル31に出力される電圧波形を示す図である。図7の(d)は、透明パネル31の表示状態を示す図である。
図7の(b)では、時間t1においてスイッチ41がオンされた場合を示している。図7の(a)に示すように、時間t1において、商用電源50から入力される電圧はゼロクロスではない。そのため、ゼロクロス回路は、ゼロクロスを検出しない(図6Aに示すS12でNo)ので、図7の(c)に示すように、第一のSSR42から透明パネル31には電力が供給されない。よって、図7の(d)に示すように、時間t1において透明パネル31は光拡散状態のままである。図7の(b)に示す「スイッチON」とは、スイッチ41が第一のSSR42にオンする電圧(例えば、DC5V)を出力することを示しており、「スイッチOFF」とは、スイッチ41が第一のSSR42にオフする電圧(例えば、0V)を出力することを示す。
図7の(a)に示すように、時間t2となったときに商用電源50からの電圧がゼロボルトとなる。ゼロクロス回路は、時間t2において、ゼロクロスを検出する(図6Aに示すS12でYes)。これにより、第一のSSR42の開閉素子がオンされるので、図7の(c)に示すように、第一のSSR42から透明パネル31へ電力の供給が開始される。よって、図7の(d)に示すように、透明パネル31の表示状態が透明状態から光拡散状態に切り替わる。
図6Aを再び参照して、スイッチ41がオンされていない(S11でNo)ときは、第一のSSR42は、透明パネル31に電力の供給を行わない。
上記のように、スイッチ41から透明パネル31の表示状態を切り替える信号を取得し、当該信号を取得してから商用電源50のゼロクロスを検知し、ゼロクロスを検知した場合に、透明パネル31の表示状態の切り替えを行う。具体的には、制御部40は、ゼロクロスを検知した場合に、透明パネル31に交流電力の供給を開始する。
続いて、透明パネル31への電力の供給を停止する場合について、図6B及び図7を参照しながら説明する。
図6Bは、本実施の形態に係る制御部40が透明パネル31への電力供給を停止する動作を示すフローチャートである。図6Bでは、図6Aにおいて電力供給が開始された後のフローチャートを示している。つまり、第一のSSR42から透明パネル31に商用電力の供給が行われている状態である(S20)。
電力供給がされている状態でスイッチ41がオフされる(S21でYes)と、第一のSSR42は、すぐに透明パネル31への電力の供給を停止せず、商用電源50から入力される交流電圧がゼロボルトであるか否かの検出を行う(S22)。具体的には、第一のSSR42が有するゼロクロス回路により、交流電圧がゼロボルトであるか否かの検出が行われる。なお、スイッチ41がオフされるとは、スイッチ41がオン信号の出力を停止することを意味する。
そして、ゼロクロス回路によりゼロボルトであることが検出された場合(S22でYes)、第一のSSR42が有する開閉素子がオフすることで、透明パネル31への電力供給が停止される(S23)。
図7の(b)では、時間t3においてスイッチ41がオフされた場合を示している。例えば、映像再生装置13からの音声信号の入力が停止することにより、スイッチ41がオフされる。図7の(b)に示すように、時間t3において、商用電源50から入力される電圧はゼロクロスではない。そのため、ゼロクロス回路は、ゼロクロスを検出しない(図6Bに示すS22でNo)ので、図7の(c)に示すように、第一のSSR42から透明パネル31には電力が供給される。よって、図7の(d)に示すように、時間t3において透明パネル31は透明状態のままである。
図7の(a)に示すように、時間t4となったときに商用電源50からの電圧がゼロボルトとなる。ゼロクロス回路は、時間t4において、ゼロクロスを検出する(図6Bに示すS22でYes)。これにより、第一のSSR42の開閉素子がオフされるので、図7の(c)に示すように、第一のSSR42から透明パネル31への電力の供給が停止される。よって、図7の(d)に示すように、時間t4において、透明パネル31の表示状態が透明状態から光拡散状態に切り替わる。
図6Bを再び参照して、スイッチ41がオンされていない(S21でNo)ときは、第一のSSR42は、透明パネル31への電力の供給を継続する。
[1-3.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る透明スクリーンシステム20は、商用電源50から供給される交流電力により、光拡散状態と透明状態とが切り替わる、又は、第一の透過率と第二の透過率とが切り替わる透明パネル31を有する透明スクリーン30と、商用電源50と透明パネル31との導通及び非導通を切り替える制御部40とを備える。制御部40は、制御信号を出力するスイッチ41と、スイッチ41が出力する制御信号に基づいて、商用電源50と透明パネル31との導通及び非導通を切り替える第一のSSR42とを有する。そして、第一のSSR42は、交流電力のゼロボルトで導通及び非導通を切り替えるゼロクロス機能を有する。
これにより、スイッチ41がオンされたタイミング(例えば、図7に示す時間t1)に関わらず、商用電源50からの交流電圧がゼロボルトのときに第一のSSR42から透明パネル31に電力の供給を開始することができる。つまり、商用電源50と透明パネル31とを非導通から導通に切り替えた瞬間に、透明パネル31に流入する突入電流(すなわち、定常電流値を超えた大きな電流)の発生を抑制することができる。例えば、透明パネル31の許容電流値を超える突入電流が発生することを抑制することができる。
突入電流の発生を抑制することで、透明パネル31に突入電流が流れることで電極部が過熱されて基板32(例えば、PETフィルム)が変形することにより電極部周囲の透明電極膜33が断線し、動作異常が発生することを抑制することができる。
また、例えば、電極部等に突入電流が繰り返し流れて電極部等で異常放電が発生することにより透明電極膜33等が断線し、動作異常が発生することがある。上記のように、突入電流の発生を抑制することで、異常放電により動作異常が発生することを抑制することができる。
よって、本実施の形態に係る透明スクリーンシステム20は、透明スクリーン30が表示状態を切り替える際の動作異常の発生を抑制することができる。つまり、本実施の形態によれば、突入電流の発生を抑制することで、動作異常の発生が抑制され、長期間、安定的に動作することができる透明スクリーン30を提供することができる。
上記のように、SSRにゼロクロス機能付きのSSR(例えば、第一のSSR42)を使用するだけで、透明スクリーン30に追加の構成を設けることなく、透明スクリーン30の動作異常の発生を抑制することができる。なお、ここでの動作異常とは、透明状態と光拡散状態とが正常に切り替わることができない異常を意味する。例えば、透明スクリーン30が拡散液晶分子34cを有する場合、突入電流により透明電極膜33等が断線して、当該拡散液晶分子34cの制御を行えなくなることで、透明スクリーン30の表示状態の切り替えが正常に行えなくなる異常である。
また、図7の(d)に示すように、透明パネル31は、動作モードとして、第一のSSR42から電力が供給されているときの透明状態と、第一のSSR42から電力が供給されていないときの光拡散状態とを有する。すなわち、透明パネル31は、電力が供給されていないときも動作モードを有する。そのため、透明パネル31は、第一のSSR42を介して商用電源50との導通及び非導通が切り替えられる頻度が高い。つまり、透明パネル31に突入電流が流入する頻度が高い。よって、上記のようにゼロクロス機能を有する第一のSSR42により導通及び非導通が切り替えられることで、高頻度で導通及び非導通を切り替えて使用する透明スクリーンシステム20において、突入電流により透明パネル31に動作異常が発生することを抑制することができる。
また、以上のように本実施の形態に係る映像投影システム10は、上記の透明スクリーンシステム20と、透明スクリーン30に投影光11aを投影する投影装置11とを備える。
これにより、透明スクリーン30の動作異常の発生が抑制された映像投影システム10を実現することができる。
(実施の形態2)
以下、本実施の形態に係る透明スクリーンシステム、及び、映像投影システムについて、図8~図12を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
[2-1.映像投影システムの構成]
まず、本実施の形態に係る映像投影システム110の構成について、図8~図10Bを参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係る映像投影システム110の構成を示す概略図である。
図8に示すように、本実施の形態に係る映像投影システム110は、実施の形態1から透明スクリーンシステム120の構成、及び、制御部140の制御対象が異なる。具体的には、透明スクリーン130は、透明パネル31に加えて調光パネル61を備えている。また、制御部140は、透明パネル31に加えて調光パネル61への電力の供給の制御を行う。
図8に示すように、透明スクリーン130は、投影装置11から投影された投影光11aを拡散させて映像を表示するスクリーンである。本実施の形態では、透明スクリーン130は、液晶素子からなる透明パネル31と、調光パネル61とを有する。
調光パネル61は、透明パネル31に対して投影装置11と反対側に配置され、主に投影装置11と反対側(例えば、通路側)から入射する外光により透明パネル31が表示する映像のコントラストが低下することを抑制するパネルである。
調光パネル61は、透明状態と、透明状態より透過率が低い状態(以降、透過率低減状態)の2つの表示状態を有する。当該2つの表示状態は、制御部140から供給される交流電力値により切り替えられる。具体的には、交流電力の電圧値により切り替えられる。なお、電圧値とは、交流電力の電圧の最大値であってもよいし、実効値であってもよい。
調光パネル61は、入射した光を吸収する機能を有しており、透過率低減状態は、透明状態より光を多く吸収する状態である。例えば、調光パネル61は、透明パネル31が映像を表示しており、かつ外光が入射しているときに、透過率低減状態に制御される。これにより、透明スクリーン130に入射した外光は、調光パネル61の透過率に応じて吸収された後に透明パネル31へ入射するので、透明パネル31で反射され通路側に出射される外光を低減することができる。つまり、外部から透明スクリーン130に入射する外光により、透明スクリーン130に表示される映像の表示品位の低下を抑制することができる。
なお、外光とは、投影装置11からの投影光11a以外に透明スクリーン130に入射する光のことである。例えば、外光は、太陽光及び照明光などである。また、透明状態における透過率は、第三の透過率の一例で有り、透過率低減状態における透過率は、第四の透過率の一例である。
図9は、本実施の形態に係る調光パネル61の構成を示す図である。図9は、透明スクリーン130を表示面に対して垂直に切断した切断面のうち、調光パネル61の断面図のみを示している。図9の(a)は、調光パネル61に電圧が印加されている状態、つまり透明状態を示す図である。図9の(b)は、調光パネル61に電圧が印加されていない状態、つまり透過率低減状態を示す図である。
まず、調光パネル61の構成について、図9の(a)を参照しながら説明する。
図9の(a)に示すように、調光パネル61は、一対の基板62と、当該一対の基板62の相対する面に設けられた透明電極膜63と、透明電極膜63の内側に設けられた着色液晶層64とを有する。
基板62は、透光性を有する材料により形成される。基板62は、例えば、PET(Polyethlene Terephthalate)フィルムである。なお、基板62は、ガラス基板又はアクリル基板であってもよい。透明電極膜63は、例えば、ITOのような金属酸化物などの透明な電極材料などである。透明電極膜63は、制御部140と電気的に接続されている。着色液晶層64は、特殊ポリマ64aと特殊ポリマ64a内にある空間であるカプセル64bと、カプセル64bに封入されている着色液晶分子64cとを有する。特殊ポリマ64aは、透明性を有することが望ましい。なお、図示していないが、本実施の形態の調光パネル61は、透明電極膜63間の厚みを一定にするスペーサや透明電極膜63間を密閉するためのシール剤等を有していてもよい。
本実施の形態では、調光パネル61は、電圧印加により透明状態と透過率低減状態とを変化でき、かつ光を拡散する機能が少ない着色液晶分子64cを有している。なお、光を拡散する機能が少ないとは、透明パネル31と比較して少ない、又は、透明パネル31の透明状態と同程度であることを意味する。
次に、調光パネル61が有する透明状態、及び、透過率低減状態の2つの表示状態について説明する。
図9の(a)に示すように、調光パネル61は、透明電極膜63間に電圧印加が行われる(図中の制御部140がオンになる)と着色液晶分子64cの長辺方向が一対の基板62に略直交となる方向に配列し、投影光11aを吸収せずに通過させる。つまり、調光パネル61は、制御部140により電力が供給されると、投影光11aを吸収せずに透過させる透明状態となる。なお、図9の(a)では、説明のため投影光11aを図示しているが、透明パネル31が透明状態である場合、投影光11aは出射されていなくてもよい。例えば、制御部140が投影装置11を制御し、投影光11aの出射を停止させてもよい。なお、図9の(a)に示すように、本実施の形態では、商用電源50から調光パネル61に交流電圧が供給される。調光パネル61に供給される交流電圧は当該調光パネル61の特性により適宜決定されればよいが、例えば、50Vである。
また、図9の(b)に示すように、調光パネル61は、透明電極膜63間に電圧印加が行われないと、特殊ポリマ64aの作用により着色液晶分子64cの配列が不規則な状態となり、投影光11aを吸収する。つまり、調光パネル61は、制御部140により電力の供給が停止される(図中の制御部140がオフになる)と、投影光11aを吸収する透過率低減状態となる。これにより、投影光11aが吸収される。
なお、図9の(b)では、商用電源50から調光パネル61に交流電圧が供給されない例を示しているが、これに限定されず、透明状態において印加される電圧(例えば、50V)より低い電圧が印加されてもよい。調光パネル61は、着色液晶層64に印加される電圧を変化させることで、調光パネル61の透過率を調整することができる。調光パネル61に供給される交流電圧は当該調光パネル61の特性により適宜決定されればよいが、例えば、0~40Vである。
上記では、図9を用いて投影光11aに対する透明状態と透過率低減状態との説明を行ったが、外光に対しても同様である。調光パネル61は、制御部140により電力が供給されると外光を吸収せずに透過させる透明状態となる。例えば、透明パネル31が透明状態であるときに、調光パネル61が透明状態であると、歩行者hは、店舗外から店内の様子を視認しやすくなる。調光パネル61は、制御部140により電力の供給が停止されると外光を吸収する透過率低減状態となる。例えば、調光パネル61は、透明パネル31が光拡散状態であるときに透過率低減状態であると、外光が透明パネル31に入射する前に外光を吸収することができる。これにより、外光のうち透明パネル31で反射して歩行者h側に出射される光を低減することができるので、歩行者hは、外光が透明スクリーン130に入射しているときでもコントラストが高い映像を視認することができる。
図8を再び参照して、制御部140は、各構成要素を制御する制御装置であり、透明パネル31及び調光パネル61への電力の供給を制御することにより、透明パネル31及び調光パネル61の表示状態を制御する。具体的には、制御部140は、100Vの交流電力を透明パネル31に供給することで透明パネル31を透明状態に制御し、当該電力供給を停止することで透明パネル31を光拡散状態に制御する。また、制御部140は、50Vの交流電力を調光パネル61に供給することで調光パネル61を透明状態に制御し、当該電力供給を停止することで調光パネル61を透過率低減状態に制御する。
ここで、制御部140の構成について、さらに図10A及び図10Bを参照しながら説明する。
図10Aは、本実施の形態に係る透明スクリーンシステム120の機能構成を示すブロック図である。
図10Aに示すように、制御部140は、透明スクリーン130と商用電源50との間に配置され、商用電源50からの電力を透明スクリーン130に供給する及び供給を停止する制御を行う。制御部140は、1つのスイッチ141と3つのゼロクロス機能付きSSR142~144と、2つの変圧器145及び146と、インバータ147とを備える。本実施の形態では、制御部140の備える3つのSSRそれぞれが、ゼロクロス機能を有している点に特徴を有する。なお、以降では、ゼロクロス機能付きSSR142~144をそれぞれ、第一のSSR142、第二のSSR143、及び第三のSSR144とも記載する。
スイッチ141は、第一のSSR142、第二のSSR143及び第三のSSR144と接続され、それぞれに制御信号を出力する。スイッチ141は、第一のSSR142が透明パネル31へ電力を供給する及び供給を停止するための信号を第一のSSR142に出力する。また、スイッチ141は、第二のSSR143及び第三のSSR144が調光パネル61へ電力を供給する及び供給を停止するための信号を第二のSSR143及び第三のSSR144に出力する。例えば、スイッチ141は、第一のSSR142、第二のSSR143及び第三のSSR144にオン信号を出力する。
第一のSSR142は、商用電源50からの電力の透明パネル31への供給及び供給の停止を切り替えるスイッチである。すなわち、第一のSSR142は、透明パネル31と商用電源50との導通及び非導通を切り替えるスイッチである。
第二のSSR143及び第三のSSR144は、商用電源50からの電力の調光パネル61への供給及び供給の停止を切り替えるスイッチである。すなわち、第二のSSR143及び第三のSSR144は、調光パネル61と商用電源50との導通及び非導通を切り替えるスイッチである。
なお、第一のSSR142、第二のSSR143及び第三のSSR144は、性能が同一のSSRであってもよいし、異なるSSRであってもよい。なお、本実施の形態に係る第一のSSR142~第三のSSR144の構成は、実施の形態1の図5と同様であり、説明を省略する。
変圧器145は、商用電源50と第二のSSR143との間に接続され、商用電源50から出力された交流電力を入力とし、変圧した交流電圧を第二のSSR143に出力する。具体的には、変圧器145は、商用電源50の交流電圧を、調光パネル61が透明状態となるために必要な電圧まで降圧して、第二のSSR143に出力する。例えば、100Vの交流電圧を50Vの交流電圧に降圧する。なお、調光パネル61が、商用電源50の交流電圧により透明状態となる場合には、変圧器145は設けられなくてもよい。なお、変圧器145は、第一の変圧器の一例である。
変圧器146は、第三のSSR144と調光パネル61との間に接続され、第三のSSR144から出力された交流電力を入力とし、変圧した交流電圧を調光パネル61に出力する。具体的には、変圧器146は、第三のSSR144の出力電圧を、調光パネル61が透過率低減状態となるために必要な電圧まで降圧する。変圧器146は、例えば、第三のSSR144から出力された電圧を、0Vより大きく40V以下の範囲内の電圧に降圧する。なお、変圧器146は、第二の変圧器の一例である。また、調光パネル61の透過率低減状態のときに印加される電圧が0Vである場合、第三のSSR144、変圧器146、及び、インバータ147は設けられなくてもよい。この場合については、後述する図14において説明する。
インバータ147は、スイッチ141と第三のSSR144との間に接続され、スイッチ141から入力された信号(例えば、オンの電圧レベルの信号)を、他の信号(例えば、オフの電圧レベルの信号)に変えて第三のSSR144に出力する。インバータ147は、スイッチ141からの制御信号を入力とし、当該制御信号を論理反転させた信号を、調光パネル61に出力する。つまり、インバータ147により、スイッチ141から第二のSSR143、及び、第三のSSR144に同一の信号が出力されたときに、第二のSSR143及び第三のSSR144のうちの一方のみが導通される。インバータ147は、第二のSSR143と第三のSSR144とを排他的に導通及び非導通させるために設けられる。インバータ147は、例えば、MOSFETと抵抗器とで構成されてもよい。なお、第三のSSR144が設けられていない場合、インバータ147は設けられなくてもよい。
また、図10Aでは、商用電源50と第二のSSR143と間に変圧器145が接続されている例について示しているが、これに限定されない。変圧器145は、例えば、第一のSSR142と透明パネル31との間、及び、第二のSSR143と調光パネル61との間の少なくとも一方に変圧器145が接続されていてもよい。例えば、図10Bでは、本実施の形態に係る透明スクリーンシステムの機能構成の他の例として、第二のSSR143と調光パネル61との間の変圧器145が接続されている制御部140aを備える透明スクリーンシステム120aを示している。すなわち、変圧器145は、第二のSSR143から出力された交流電力を入力とし、変圧した交流電力を調光パネル61に出力する。
[2-2.透明スクリーンの動作など]
続いて、透明スクリーン130の動作について、図11A~図12を参照しながら説明する。
まずは、第二のSSR143を介して調光パネル61に電力の供給を開始する場合について、図11A及び図12を参照しながら説明する。なお、透明パネル31への電力の供給については実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
図11Aは、本実施の形態に係る調光パネル61が透過率低減状態から透明状態へ切り替わる動作を示すフローチャートである。図12、本実施の形態に係る制御部140の入出力波形を示す図である。
図11Aに示すように、第一のSSR142、第二のSSR143及び第三のSSR144が商用電源50と接続される(S110)。これにより、第一のSSR142、第二のSSR143及び第三のSSR144と商用電源50とが電気的に接続される。なお、この時点では、スイッチ141からオン信号は出力されていない。そのため、例えば、インバータ147により、第三のSSR144には、オン信号が入力される。つまり、調光パネル61は、透過率低減状態である。以下では、調光パネル61が透過率低減状態から透明状態に切り替わる場合について説明する。
図12の(a)は、商用電源50から出力される交流電圧波形を示している。横軸は時間を示しており、縦軸は電圧を示している。本実施の形態では、変圧器145が設けられているので、商用電源50からの電圧は変圧器145により降圧され、第二のSSR143及び第三のSSR144に供給される。
まず、スイッチ141がオンされたときの動作を示す。なお、スイッチ141がオンされるとは、透明スクリーン130を透明状態とする、つまり透明スクリーン130に映像を表示しないときである。スイッチ141がオンされると、透明パネル31及び調光パネル61が透明状態となる。
図11Aを再び参照して、スイッチ141がオンされる(S111でYes)と、第二のSSR143にはオンする信号が入力され、第三のSSR144にはインバータ147によりオンする信号が入力されない。第二のSSR143は、すぐに調光パネル61に電力を供給せず、商用電源50から入力される交流電圧がゼロボルトであるか否かの検出を行う(S112)。具体的には、第二のSSR143が有するゼロクロス回路(以降では、第二のゼロクロス回路とも記載する)により、交流電圧がゼロボルトであるか否かの検出が行われる。また、上記と同様に、第三のSSR144において、すぐに調光パネル61への電力供給が停止されない。
そして、第二のゼロクロス回路によりゼロボルトであることが検出された場合、第二のSSR143が有する開閉素子がオンすることで、調光パネル61への電力供給が開始される(S113)。そして、変圧器145を介して第二のSSR143に入力された交流電圧が調光パネル61に出力される。また、第三のSSR144も同様に、第三のSSR144が有するゼロクロス回路(以降では、第三のゼロクロス回路とも記載する)により、ゼロクロスで開閉素子がオフされる。第二のSSR143の開閉素子がオンするタイミングと、第三のSSR144がオフするタイミングは、略等しい(例えば、図12に示す時間t6)。
図12の(b)は、スイッチ141のオン・オフを示す図である。図12の(c)は、第二のSSR143から調光パネル61に出力される電圧波形を示す図である。図12の(d)は、第三のSSR144から変圧器146を介して調光パネル61に出力される電圧波形を示す図である。図12の(e)は、調光パネル61の表示状態を示す図である。
図12の(b)では、時間t5においてスイッチ141がオンされた場合を示している。図12の(a)に示すように、時間t5において、商用電源50から第二のSSR143に入力される電圧はゼロクロスではない。そのため、第二のゼロクロス回路は、ゼロクロスを検出しない(図11Aに示すS112でNo)ので、図12の(c)に示すように、第二のSSR143から調光パネル61には電力が供給されない。また、図12の(d)に示すように、第三のSSR144から調光パネル61への電力の供給は継続される。
図12の(a)に示すように、時間t6となったときに商用電源50からの電圧がゼロボルトとなる。第二及び第三のゼロクロス回路は、時間t6において、ゼロクロスを検出する(図11Aに示すS112でYes)。これにより、第二のSSR143の開閉素子がオンされるので、図12の(c)に示すように、第二のSSR143から調光パネル61へ電力の供給が開始される。第二のSSR143の開閉素子がオンされるのと略同時に、第三のSSR144の開閉素子がオフされるので、図12の(d)に示すように、第三のSSR144から調光パネル61への電力の供給が停止される。よって、図12の(e)に示すように、スイッチ141が操作された時間t5より遅い時間t6において、調光パネル61の表示状態が透過率低減状態から透明状態に切り替わる。なお、投影装置11からの投影光11aは、時間t5と略同時に停止されてもよい。すなわち、映像投影システム110は、透明スクリーン130に映像を表示する状態から、透明スクリーン130を透明とする状態に切り替わる。
なお、ステップS111でNoであった場合、調光パネル61と商用電源50とは、第三のSSR144を介して導通したままである。
上記のように、スイッチ141がオンされ、スイッチ141からオン信号が出力された場合、第二のSSR143を介して調光パネル61と商用電源50とが商用電源50の交流電圧におけるゼロクロスで導通開始される。
続いて、スイッチ141がオフされたときの動作について説明する。なお、スイッチ141がオフされるとは、透明スクリーン130に映像を表示させるときである。スイッチ141がオフされると、透明パネル31は光拡散状態に、及び、調光パネル61は透過率低減状態に切り替わる。また、投影装置11から透明スクリーン130に向けて投影光11aが出射される。なお、以下では、スイッチ141がオンされた状態からオフされた状態に切り替えられた場合について、説明する。
図11Bは、本実施の形態に係る調光パネル61が透明状態から透過率低減状態に切り替わる動作を示すフローチャートである。図11Bでは、図11Aにおいて第二のSSR143において電力供給が開始された後のフローチャートを示している。つまり、第二のSSR143から調光パネル61に電力の供給が行われている状態である(S120)。
第二のSSR143を介して電力供給がされている状態でスイッチ141がオフされる(S121でYes)と、第二のSSR143にはオン信号の入力が停止され、第三のSSR144にはインバータ147を介してオン信号が入力される。第二のSSR143は、すぐに調光パネル61への電力の供給を停止せず、商用電源50から入力される交流電圧がゼロボルトであるか否かの検出を行う(S122)。具体的には、第二のゼロクロス回路により、交流電圧がゼロボルトであるか否かの検出が行われる。なお、上記と同様に、第三のSSR144において、すぐに調光パネル61への電力供給が開始されない。
そして、第二のゼロクロス回路によりゼロボルトであることが検出された場合、第二のSSR143が有する開閉素子がオフされることで、調光パネル61への電力供給が停止される。また、第三のSSR144も同様に、第三のゼロクロス回路によりゼロクロスで開閉素子がオンされることで、調光パネル61への電力供給が開始される。つまり、第三のSSR144を介して、調光パネル61と商用電源50とが導通され、電力供給が開始される(S123)。すなわち、調光パネル61に電力を供給するSSRが、第二のSSR143から第三のSSR144に切り替わる。第二のSSR143の開閉素子がオフするタイミングと、第三のSSR144がオンするタイミングは、略等しい(例えば、図12に示す時間t8)。
図12の(b)では、時間t7においてスイッチ141がオフされた場合を示している。図12の(a)に示すように、時間t7において、商用電源50から第二のSSR143及び第三のSSR144に入力される電圧はゼロクロスではない。そのため、第二のSSR143が有する第二のゼロクロス回路は、ゼロクロスを検出しない(図11Bに示すS122でNo)ので、図12の(c)に示すように、第二のSSR143から調光パネル61には電力の供給が継続されている。また、図12の(d)に示すように、第三のSSR144から調光パネル61への電力供給は開始されていない。
図12の(a)に示すように、時間t8となったときに商用電源50からの電圧がゼロボルトとなる。第二及び第三のゼロクロス回路は、時間t8において、ゼロクロスを検出する(図11Bに示すS122でYes)。これにより、第二のSSR143の開閉素子がオフされるので、図12の(c)に示すように、第二のSSR143から調光パネル61へ電力の供給が停止される。また、第二のSSR143の開閉素子がオフされるのと略同時に、第三のSSR144の開閉素子がオンされるので、図12の(d)に示すように、第三のSSR144から調光パネル61への電力の供給が開始される。よって、図12の(e)に示すように、スイッチ141が操作された時間t7より所定の時間経過した時間t8において、調光パネル61の表示状態が透明状態から透過率低減状態に切り替わる。なお、投影装置11からの投影光11aは、時間t7と略同時に開始されてもよい。すなわち、映像投影システム110は、透明スクリーン130を透明とする状態から透明スクリーン130に映像を表示する状態に切り替わる。
なお、ステップS121でNoであった場合、調光パネル61と商用電源50とは、第二のSSR143を介して導通したままである。
上記のように、スイッチ141からオン信号が停止された場合、第三のSSR144を介して調光パネル61と商用電源50とが、商用電源50の交流電圧におけるゼロクロスで導通開始される。
なお、図7の(a)及び図12の(a)に示す商用電源50の波形は、同一のものである。つまり、透明パネル31が光拡散状態から透明状態に切り替わるタイミングと、調光パネル61が透過率低減状態から透明状態に切り替わるタイミングは、略同一である。また、透明パネル31が透明状態から光拡散状態に切り替わるタイミングと、調光パネル61が透明状態から透過率低減状態に切り替わるタイミングは、略同一である。
[2-3.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る透明スクリーンシステム120において、透明スクリーン130は、さらに、透明パネル31と対向して配置され、交流電力の電圧値により第三の透過率と第四の透過率とが切り替わる調光パネル61を有する。そして、制御部140は、さらに、スイッチ141が出力する制御信号に基づいて、商用電源50と調光パネル61との導通及び非導通を切り替える第二のSSR143を有し、第二のSSR143は、ゼロクロス機能を有する。
これにより、スイッチ41がオンされたタイミング(例えば、図12に示す時間t5)に関わらず、商用電源50からの交流電圧がゼロボルトのときに第二のSSR143を介して調光パネル61に電力の供給を開始することができる。つまり、調光パネル61に電力を供給するSSRを第三のSSR144から第二のSSR143に切り替えたときに、調光パネル61に流入する突入電流を抑制することができる。また、第二のSSR143と調光パネル61との間、及び第三のSSR144と調光パネル61との間の少なくとも一方に変圧器が接続されている場合には、一方のSSRを導通から非道通に切り替えたときに当該SSRに接続されている変圧器に発生する逆起電力が透明パネル31側に流れることを抑制することができる。よって、透明スクリーンシステム20は、透明スクリーン130の動作異常の発生を抑制することができる。具体的には、透明パネル31及び調光パネル61が表示状態を切り替える際の動作異常の発生を抑制することができる。
また、透明スクリーンシステム120は、さらに、第一のSSR142から出力された交流電力を入力とし変圧した交流電力を透明パネル31に出力する、又は、第二のSSR143から出力された交流電力を入力とし変圧した交流電力を調光パネル61に出力する変圧器145を備える。
これにより、例えば、第二のSSR143と調光パネル61との間に変圧器145が接続されている場合に、第二のSSR143を導通から非導通に切り替えたときに変圧器145に逆起電力が発生する場合があるが、第二のSSR143がゼロクロス機能を有しているので、当該逆起電力が透明パネル31側に流入することを抑制することができる。つまり、変圧器145により発生する逆起電力により、透明スクリーン130に動作異常が発生することを抑制することができる。また、変圧器145を備えることで、透明パネル31及び調光パネル61の少なくとも一方に、商用電源50とは異なる電圧を供給することができる。つまり、透明パネル31及び調光パネル61により適した電圧を供給することができる。
また、制御部140は、さらに、第二のSSR143と並列に接続され、スイッチ141が出力する制御信号に基づいて、商用電源50と調光パネル61との導通及び非導通を切り替える第三のSSR144と、第三のSSR144と調光パネル61との間に接続される変圧器146とを備える。第三のSSR144は、ゼロクロス機能を有する。そして、第二のSSR143及び第三のSSR144は、スイッチ141が出力する制御信号に基づいて排他的に導通及び非導通となる。
これにより、例えば、第二のSSR143がオンされる(言い換えると、第三のSSRがオフされる)ことで調光パネル61に商用電源50のからの電圧を供給することができ、第三のSSR144がオンされる(言い換えると、第二のSSRがオフされる)ことで調光パネル61に変圧器146により変圧された電圧を供給することができる。つまり、0Vとは異なる2つの電圧を調光パネル61に供給する場合であっても、本実施の形態に係る透明スクリーンシステム120は、調光パネル61に流入する突入電流を抑制することができる。
また、スイッチ41からの制御信号を入力とし当該制御信号を論理反転させた信号を、第二のSSR143及び第三のSSR144の一方に出力するインバータを備える。
これにより、スイッチ41は、同一の制御信号を出力するだけで、第二のSSR143と第三のSSR144とを排他的に導通及び非導通とすることができる。
(実施の形態2の変形例1)
以下、本変形例に係る透明スクリーンシステムについて、図13を参照しながら説明する。なお、本変形例では、実施の形態2との相違点を中心に説明する。
図13は、本変形例に係る透明スクリーンシステム220の機能構成を示すブロック図である。
図13に示すように、本変形例に係る透明スクリーンシステム220は、透明スクリーン130と、制御部240とを備える。なお、本変形例では、制御部240が1つのゼロクロス機能付きSSR42(以降では、第一のSSR42とも記載する)で透明パネル31及び調光パネル61への電圧の供給を行う点が、実施の形態2とは異なる。
透明パネル31と調光パネル61とが同一の電圧で制御可能である場合、図13に示すように、1つの第一のSSR42で透明パネル31及び調光パネル61の双方の制御が可能となる。例えば、透明パネル31を透明状態とする電圧と調光パネル61を透明状態とする電圧が略同一(例えば、100V)であり、かつ透明パネル31を光拡散状態とする電圧と調光パネル61を透過率低減状態とする電圧が略同一(例えば、0V)である場合に、適用可能である。これにより、制御部240の構成を簡略化することができる。
以上のように、本実施の形態に係る透明スクリーンシステム220において、透明スクリーン130は、さらに、透明パネル31と対向して配置され、商用電源50からの交流電力の電圧値により第三の透過率と第四の透過率とが切り替わる調光パネル61を備える。そして、第一のSSR42は、スイッチ41が出力する制御信号に基づいて、さらに、商用電源50と調光パネル61との導通及び非導通を切り替える。
これにより、1つのSSR(第一のSSR42)で、透明パネル31及び調光パネル61の2つのパネルへの電力供給を制御することができる。つまり、制御部240が第一のSSR42を有する簡易な構成で、透明パネル31及び調光パネル61の2つのパネルへの突入電流が抑制された透明スクリーンシステム220を実現することができる。よって、本変形例に係る透明スクリーンシステム220は、簡易な構成で、透明スクリーン130の動作異常の発生を抑制することができる。
(実施の形態2の変形例2)
以下、本変形例に係る透明スクリーンシステムについて、図14を参照しながら説明する。なお、実施の形態2との相違点を中心に説明する。
図14は、本変形例に係る透明スクリーンシステム320の機能構成を示すブロック図である。
図14に示すように、本変形例に係る透明スクリーンシステム320は、透明スクリーン130と、制御部340とを備える。本変形例では、調光パネル61と商用電源50との導通及び非導通を1つのゼロクロス機能SSR143(以降、第二のSSR143とも記載する)で切り替えている点が実施の形態2とは異なる。
透明パネル31及び調光パネル61の表示状態を制御する2つの電圧のうち、一方の電圧が0Vである場合、図14に示すように、透明パネル31及び調光パネル61のそれぞれに一対一にSSRが接続される。例えば、透明パネル31を透明状態とする電圧と調光パネル61を透明状態とする電圧が異なり(例えば、100Vと50V)であり、かつ透明パネル31を光拡散状態とする電圧と調光パネル61を透過率低減状態とする電圧が略同一(例えば、0V)である場合に、適用可能である。
図14に示すように、第二のSSR143には、変圧器145を介して商用電源50からの電力が入力される。つまり、ゼロクロス機能付きSSR142(以降では、第一のSSR142とも記載する)と第二のSSR143とには、異なる電圧が入力される。スイッチ341によりオン信号が出力されると、透明パネル31と調光パネル61とには、異なる電圧が供給される。なお、スイッチ341がオン信号の出力を停止した場合、透明パネル31及び調光パネル61には、電圧が供給されない。
なお、変圧器145が接続される位置は、図14に示す位置に限定されず、例えば、第一のSSR142と透明パネル31との間、及び、第二のSSR143と調光パネル61との間の少なくとも一方であってもよい。
これにより、透明パネル31及び調光パネル61に供給する電圧が異なる場合であっても、第一のSSR142及び第二のSSR143をオンさせたときに、突入電流が発生することを抑制することができる。よって、本変形例に係る透明スクリーンシステム320は、透明スクリーン130の動作異常の発生を抑制することができる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の態様及び変形例に係る透明スクリーンシステム、及び映像投影システムについて、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
その他、実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、制御部は、スイッチを有する例について説明したが、これに限定されない。制御部は、透明スクリーンシステムの外部からオン信号を取得する場合、スイッチを有していなくてもよい。
また、上記実施の形態では、透明スクリーンと制御部とが別体である例について説明したが、これに限定されない。制御部は、例えば、透明スクリーンに組み込まれていてもよい。
また、上記実施の形態では、映像投影システムの使用例としてショーウィンドウについて説明したが、これに限定されない。映像投影システムは、建物などの入り口の周辺、オフィス、鉄道などの駅のホーム、又は、コンベンションセンターなど、様々な用途に使用できる。
また、上記実施の形態では、制御部と、投影装置、照明器具、及び、映像再生装置とは有線により接続されている例を示したが、これに限定されない。制御部と、投影装置、照明器具、及び、映像再生装置とは、無線により接続されていてもよい。この場合、各装置は、無線通信機能を有する。
また、上記実施の形態では、透明スクリーンシステムが備える透明パネルは1枚である例について説明したが、透明スクリーンシステムが備える透明パネルの数は特に限定されない。映像を表示する範囲が広い場合、複数の透明パネル31を並べて(繋げて)使用してもよい。その場合、複数の透明パネル31それぞれに制御部40が設けられてもよいし、1つの制御部40が設けられていてもよい。複数の透明パネル31のそれぞれに制御部40が設けられている場合、制御部40のそれぞれは、ゼロクロス機能付きのSSRを有していてもよい。
また、上記実施の形態では、ゼロクロス機能付きSSRが商用電源に接続される例について説明したが、これに限定されない。ゼロクロス機能付きSSRは、商用電源以外の交流電源(例えば、交流発電機など)に接続されていてもよい。
また、上記実施の形態では、透明パネルは、液晶素子である例について説明したが、これに限定されない。透明パネルは、電圧印加により拡散度合いが変化するパネルであればよい。
また、上記実施の形態では、調光パネルは、電圧印加により透明状態と透過率低減状態とが切り替わる着色液晶分子を有する例について説明したが、これに限定されない。調光パネルは、電圧印加により透明状態と透明状態より透過率が低い透過率低減状態とが変化するパネルであればよい。
また、上記実施の形態では、スイッチは、映像再生装置からの音声信号をトリガとして、ゼロクロス機能付きSSRの制御を開始する例について説明したが、トリガは音声信号に限定されない。例えば、透明スクリーンシステムは、ユーザからの指示を受け付ける取得部を備えており、スイッチは当該取得部を介して取得した指示をトリガとして、ゼロクロス機能付きSSRを制御してもよい。また、透明スクリーンシステムが人感センサ(図示しない)を備えており、スイッチは、当該人感センサが透明スクリーンの通路側(透明スクリーンに対して、投影装置とは反対側)に歩行者hを検知した場合に、歩行者hを検知したことをトリガとしてゼロクロス機能付きSSRを制御してもよい。また、スイッチがタイマ(図示しない)を有しており、所定の時間が経過したら、映像を投影すると判定し、当該判定をトリガとしてゼロクロス機能付きSSRを制御してもよい。
また、上記実施の形態2では、商用電源と透明パネルとの導通及び非導通を切り替えるSSR(例えば、第一のSSR)、並びに、商用電源と調光パネルとの導通及び非導通を切り替えるSSR(例えば、第二のSSR及び第三のSSR)の両方が、ゼロクロス機能を有している例について説明したが、これに限定されない。上記2つのSSRのうちの少なくとも1つがゼロクロス機能付きのSSRであればよい。