JP7014526B2 - 研磨パッド用研磨層の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性ポリウレタンの繊維の不織布からなる研磨層を含む研磨パッド用研磨層に関する。
半導体回路の高性能化には、トランジスタや抵抗等の機能を有する素子や配線回路の微細化や配線の積層化による、高密度化が要求される。このような素子や配線の高密度化により、素子の高集積化が可能になり、高速応答性に優れた半導体回路を実現することができる。
半導体回路の素子や配線を高密度化するための微細な回路パターンは、レジストマスクを介して半導体ウェハ上に露光することにより、微細な回路パターンを高い精度で転写するフォトリソグラフィ工程により形成される。
半導体回路の高性能化のための回路パターンの微細化が進めば進むほどフォトリソグラフィ工程で用いられる投影レンズの焦点深度は浅くなる。そのために、半導体ウェハ表面の凹凸を投影レンズの焦点深度以内に収めることが求められる。そして、半導体ウェハ表面の凹凸を投影レンズの焦点深度以内に収めるために、半導体ウェハ表面に高い平坦度が求められる。
半導体ウェハ表面に高い平坦度を与える研磨技術として化学的機械的研磨(CMP)が広く用いられている。CMPは、回転する研磨パッドの表面にスラリーを滴下しながら、その表面に回転する被研磨基材を当てて研磨する方法である。被研磨基材である半導体ウェハの表面を化学的機械的研磨することにより、凹凸の高低差がナノメートルオーダーのレベルに制御された平坦面が形成される。半導体ウェハの表面の凹凸をナノメートルオーダーのレベルに制御することにより、素子の高集積化や回路の高密度化や積層化を高精度に実現できる。また、CMPは半導体ウェハの表面の研磨のみならず、層間絶縁膜,PTEOS膜,BPSG膜,シャロー・トレンチ分離,プラグ及び埋め込み金属配線等の形成等の工程における研磨にも用いられている。なお、PTEOS膜とは、テトラエチルオルソシリケートをターゲットとしてオゾン等の酸化剤を用いてプラズマCVDで成膜された酸化ケイ素膜である。また、BPSG膜とは、ボロン、リン等をドープした酸化ケイ素膜である。
CMPに用いられる研磨パッドの研磨層としては、例えば、下記特許文献1に開示されたような、2液硬化型ポリウレタンを注型発泡成形することにより得られたポリウレタン発泡体を適当な厚みに研削またはスライスすることにより製造されるポリウレタン発泡体からなる研磨層や、下記特許文献2に開示されたような、高分子弾性体を含浸付与させた不織布からなる構造体を研削またはスライスすることにより製造される不織布構造体からなる研磨層が知られている。
ポリウレタン発泡体からなる研磨層は、不織布構造体からなる研磨パッドに比べて、剛性が高い。そのためにポリウレタン発泡体からなる研磨層は、研磨レート及び平坦化性が高いという長所を有する。また、ポリウレタン発泡体は独立気泡構造を有するために、スラリーや研磨屑が内部の奥深くにまで侵入しにくく、使用後の研磨パッドの洗浄が比較的容易であるという長所を有する。さらに、ポリウレタン発泡体からなる研磨層はポリウレタンの表面硬度が高いために、耐摩耗性に優れ、寿命が長いという長所を有する。しかしながら、ポリウレタン発泡体からなる研磨パッドは、剛性が高いために被研磨面に対する追随性が低く、また、スラリーの砥粒の凝集体に力を掛けやすくなるためにスクラッチを発生させやすいという欠点があった。また、被研磨面を連続して長い時間研磨した場合、研磨屑やスラリー中の砥粒の凝集体が独立気泡に溜まることにより、スクラッチを発生させやすくなるという欠点もあった。このように、ポリウレタン発泡体からなる研磨パッドは、高剛性,独立気泡,及び高硬度という性質による長所と短所とを有する。
一方、不織布構造体からなる研磨層は、剛性が低くしなやかであるために、被研磨面の形状に対する追随性に優れるとともにスクラッチを発生させにくいという長所を有する。また、スラリーの保持性にも優れている。しかしながら、その剛性の低さのために被研磨面に対する研磨レートや平坦化性がポリウレタン発泡体からなる研磨層に比べて低いという問題があった。
また、下記特許文献3は、熱可塑性ポリウレタンを加熱溶融させて紡糸ノズルの吐出口から吐出させ、その吐出口を挟んで両側に配置された気体噴出口より加熱気体を噴出させて吐出された溶融された熱可塑性ポリウレタンを細化させて繊維化して得られるメルトブローン不織布を、切削,スライス,打ち抜きなどの処理により所望の寸法や形状に加工することにより形成される研磨層を開示する。
特許文献3に開示されたようなメルトブローン不織布を含む研磨層は、不織布を形成する繊維間の空隙に由来する連通孔を有し、連通孔により研磨屑やスラリーの砥粒の凝集体が速やかに排出されるために、被研磨面にスクラッチが発生しにくい。また、メルトブローン不織布を含む研磨層であるために、熱プレスすることにより繊維密度を調整したり、繊維の繊度を調整したりすることなどにより剛性のレベルを幅広く制御することができる。また、従来のポリウレタン発泡体の形成に用いられた2液硬化型ポリウレタンではなく、高い硬度の得られる熱可塑性ポリウレタンを用いるために、平坦化性も向上する。2液硬化型ポリウレタンは、2液の化学反応により形成されるために反応を完全に進行させることが難しく、熱可塑性ポリウレタンのように充分に高い硬度が得られにくい。このように、特許文献3に開示されたメルトブローン不織布を含む研磨層は多くの利点を有する。
特開2000-178374号公報 特開2008-207323号公報 特開2013-141716号公報
メルトブローン不織布を含む研磨層に求められる硬度や弾性率等の機械的特性や、スラリーの保持性の目安になる親水性は、熱可塑性ポリウレタンの重合原料である単量体の構造により影響を受ける。例えば、親水性に優れた単量体を多く配合した場合にはスラリーの保持性が向上する。また、リジッドな骨格を有する単量体を多く用いた場合には、硬度や弾性率が高くなる傾向がある。
研磨層に求められる特性は上述のように多様であり、メルトブローン不織布を含む研磨層の製造においては、目的とする用途に合わせて各特性を満たすような熱可塑性ポリウレタンが探索される。しかしながら、せっかく所定の要求特性を満たすような熱可塑性ポリウレタンを特定しても、メルトブローン不織布を製造しようとした場合に、溶融状態の繊維が伸びにくかったり、ノズルで滞留したりして、繊維径(繊維断面積)が大きくばらつくことによる不均質なメルトブローン不織布が得られたり、紡糸する際に、断糸が発生してメルトブローン不織布が形成できないことがあったために、研磨パッド用の研磨層に求められる均質性の高いメルトブローン不織布を製造することが難しかった。メルトブローン不織布を形成する繊維径のばらつきによる研磨層の各領域における不均質は、均質な研磨を阻害する原因になると考えられている。
本発明は、上述したような課題を解決した、メルトブローン不織布を含む研磨層を安定的に製造することが可能なメルトブローン不織布を含む研磨パッド用研磨層の製造方法、また、このような製造方法により得られる研磨層及び研磨パッドを提供することを目的とする。
本発明の一局面は、研磨パッド用研磨層の製造方法であって、吹付気流温度220~300℃の範囲の条件のメルトブローン法により、溶融紡糸された熱可塑性ポリウレタンの繊維同士を互いに接合し、冷却させることにより形成されるウェブ状のメルトブローン不織布を製造する工程(但し、前記繊維同士を固着させる湿熱処理を含まない)と、メルトブローン不織布を所定の形状に整えて研磨層に仕上げる工程とを備え、熱可塑性ポリウレタンは、数平均分子量が450~1000(但し、1000は除く)である高分子ポリオール単位を含み、チャンバー温度230℃,押出速度5mm/分,キャピラリーサイズ1mmφx10mm,引取速度50m/分の条件によるキャピラリーレオメータを用いたメルトテンション測定において、30秒間以上連続引取可能である研磨パッド用研磨層の製造方法である。このような製造方法によれば、研磨パッドの研磨層として好ましく用いられる、メルトブローン不織布を含む研磨層を安定的に製造することができる。
また、熱可塑性ポリウレタンは、数平均分子量が450~1000(但し、1000は除く)である高分子ポリオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤とを重合した熱可塑性ポリウレタンであることが、研磨層に求められる機械的特性や親水性の要求を満たしながら、上述のようなメルトテンション測定において、30秒間以上引取可能である熱可塑性ポリウレタンが得られやすい点から好ましい。
また、熱可塑性ポリウレタンは、厚さ1.0mmのシートにおいて、波長450nmの可視光透過率が15%以上であることが、上述のようなメルトテンション測定において、30秒間以上引取可能である熱可塑性ポリウレタンがより得られやすい点から好ましい。熱可塑性ポリウレタンは、ハードセグメント中にエラストマー弾性を発現させるためのソフトセグメントが分散したドメイン構造を有するが、上述のように厚さ1.0mmのシートにおいて、波長450nmの可視光透過率が15%以上である場合には、ソフトセグメントの粒径が小さいために、溶融状態で曳糸するときにソフトセグメントが疑似的な異物のようになって切れやすくなることが抑制され、充分に伸びやすくなる点から好ましい。
また、本発明の他の一局面は、熱可塑性ポリウレタンの繊維からなるメルトブローン不織布を含む研磨パッド用研磨層であって、メルトブローン不織布は、繊維同士を互いに接合し、冷却されることにより形成されたウェブ状のメルトブローン不織布(但し、前記繊維同士は湿熱処理によって固着されていない)であり、熱可塑性ポリウレタンは、数平均分子量が450~1000(但し、1000は除く)である高分子ポリオール単位を含み、チャンバー温度230℃,押出速度5mm/分,キャピラリーサイズ1mmφx10mm,引取速度50m/分の条件によるキャピラリーレオメータを用いたメルトテンション測定において、30秒間以上連続引取可能である溶融特性を有する研磨パッド用研磨層である。このような研磨パッド用研磨層は、生産性がよく、また、幅広い範囲の特性に調整可能な研磨層が得られる。熱可塑性ポリウレタンとしては、数平均分子量が450~1000(但し、1000は除く)である高分子ポリオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との溶融重合物である熱可塑性ポリウレタンが、研磨層に求められる機械的特性や親水性の要求を満たすとともに、上述のようなメルトテンション測定において、30秒間以上引取可能である点から好ましい。
また、熱可塑性ポリウレタンは、JIS-D硬度が60~85であることが、研磨レート及び平坦化性に優れ、スクラッチが発生しにくい点から好ましい。
また、熱可塑性ポリウレタンは、純水に対する接触角が50~75度であることが、スラリーの保持性が適度であるためにスクラッチが発生しにくい点から好ましい。
また、熱可塑性ポリウレタンは、80℃における貯蔵弾性率が50~300MPaであることが、研磨レート及び平坦化性に優れ、スクラッチが発生しにくい点から好ましい。
また、本発明の他の一局面は、上述したいずれかの研磨層を備える研磨パッドである。研磨パッドとしては、研磨層のみからなる研磨パッドであっても、研磨層にクッション層を積層してなるような研磨パッドであってもよい。
本発明によれば、メルトブローン不織布を含む研磨層を安定的に製造することができ、また、幅広い範囲の特性に調整可能な研磨層が得られる。
図1は、本発明に係る一実施形態の基材の化学的機械的研磨方法を説明する模式図である。
本発明に係る研磨パッド用研磨層の製造方法の一実施形態を詳しく説明する。
本実施形態の研磨パッド用研磨層の製造方法は、吹付気流温度220~300℃の範囲の条件のメルトブローン法により、熱可塑性ポリウレタンの繊維からなるメルトブローン不織布を製造する工程と、メルトブローン不織布を所定の形状に整えて研磨層に仕上げる工程とを備え、熱可塑性ポリウレタンは、数平均分子量が450~1000(但し、1000は除く)である高分子ポリオール単位を含み、チャンバー温度230℃,押出速度5mm/分,キャピラリーサイズ1mmφx10mm,引取速度50m/分の条件によるキャピラリーレオメータを用いたメルトテンション測定において、30秒間以上引取可能なものである。
はじめに、チャンバー温度230℃,押出速度5mm/分,キャピラリーサイズ1mmφx10mm,引取速度50m/分の条件によるキャピラリーレオメータを用いたメルトテンション測定において、30秒間以上引取可能である熱可塑性ポリウレタンについて詳しく説明する。
キャピラリーレオメータを用いたメルトテンション測定とは、キャピラリーレオメータに備えられた内径9.55mm, 有効長250mmの円筒状のチャンバーの底部に1mmφx10mmのキャピラリーをセットし、230℃に加熱したチャンバー内に熱可塑性ポリウレタンを所定量充填し、熱可塑性ポリウレタンを溶融させた状態で押出速度5mm/分のピストンで熱可塑性ポリウレタンをキャピラリーからストランドを押出し、引取速度50m/分でメルトテンション測定装置により引き取ったときに発生する応力の測定である。キャピラリーレオメータの具体例としては、例えば(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1D等が挙げられる。
熱可塑性ポリウレタンは、上述のようなメルトテンション測定において、30秒間以上連続して引取可能である熱可塑性ポリウレタンである。なお、本実施形態における30秒間以上連続して引取可能であるとは、メルトテンションを10回測定したうちの8回以上が30秒間以上連続して引き取り可能であることを意味する。
上述のようなメルトテンション測定において、30秒間以上連続して引取可能である熱可塑性ポリウレタンを用いることにより、メルトブローン法による不織布の製造において安定して製造でき、また、繊維径が安定した均質な研磨層を製造するために用いられるメルトブローン不織布が得られる。
次に、上述のような熱可塑性ポリウレタンを用いて、メルトブローン法によりメルトブローン不織布を製造する工程について詳しく説明する。
メルトブローン法は、溶融紡糸工程を備える不織布の製造方法である。具体的には、加熱溶融させた熱可塑性ポリウレタンを、紡糸ノズルの複数の吐出口を備えた加熱されたダイから吐出させ、吐出される熱可塑性ポリウレタンの溶融繊維に、吐出口を挟んで両側に配置された気体噴出口より加熱気体を吹付けて、溶融繊維を細化させる。そして、細化された溶融繊維を移動するネットコンベア上に吹き当て、ネットコンベア上で気流と分離して堆積させる。このようにして、軟化した状態の熱可塑性ポリウレタンの繊維の堆積物は、繊維同士が互いに接合し、冷却されることによりウェブ状のメルトブローン不織布が得られる。なお、冷却前に加圧ローラーを用いて堆積物を加圧したり、冷却後に加熱加圧ローラーを用いて加熱加圧したりすることにより接合力を高めるとともに、繊維密度や空隙率を調整することにより、メルトブローン不織布の剛性を調整してもよい。また、得られたメルトブローン不織布の空隙率を調整するために、必要に応じて熱プレスしてもよい。
メルトブローン法による不織布の製造においては、ダイの温度は、220~300℃、さらには230~280℃であることが、熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度が適切となる点から好ましい。また、溶融繊維に吹付ける加熱気体の温度としては、吹付気流温度は220~300℃の範囲であり、さらには、230~280℃の範囲であることが、紡糸された熱可塑性ポリウレタンを断糸させずに伸ばすことができる点から好ましい。
メルトブローン不織布を形成する繊維の平均断面積としては、10~15000μm、さらには20~10000μm、とくには100~9500μm、ことには300~6500μmであることが好ましい。メルトブローン不織布を形成する繊維の平均断面積が小さすぎる場合には研磨層が柔らかくなりすぎて研磨レートが低下し、大きすぎる場合には研磨層の剛性が高くなりすぎて平坦化性が低下する傾向がある。繊維の平均断面積は、例えば500倍の倍率で研磨層の断面を走査型顕微鏡(SEM)で撮影し、得られたSEM写真から満遍なく選んだ50本の繊維の断面積を測定し、その平均値を算出することにより得られる。
また、メルトブローン不織布は、繊維の平均断面積のばらつきが小さいことが均質な研磨層が得られる点から好ましい。具体的には、メルトブローン不織布の断面のSEM写真を万遍なく撮影し、そのうちの万遍なく取得した50個の断面積の標準偏差を、50個の断面積の平均で除した値に100を掛けた値が、何れも40%の範囲内、さらには、30%の範囲内であることが、均質な研磨層が得られているといえる点から好ましい。
このようにして得られたメルトブローン不織布は、打ち抜きなどの処理により所望の寸法に切り出したり、必要に応じて、切削やスライスにより所望の厚みに整えたりすることにより研磨層に仕上げられる。また、その後に、さらに、研磨層の研磨面となる面に、スラリーを研磨面に均一に行き渡らせたり、研磨屑の排出性を向上させたりすることを目的として、研削加工処理やレーザー加工処理により同心円状,らせん状,格子状等の溝や穴等を形成してもよい。
このようにして、熱可塑性ポリウレタンの繊維からなるメルトブローン不織布を含む研磨パッド用研磨層が製造される。研磨層の厚みは特に限定されないが、例えば、0.3~5mm程度であることが研磨性能の安定性や生産性の点から好ましい。また、研磨層はそのまま研磨パッドとして用いても、研磨層の研磨面の反対面に0.5~5mm程度のクッション層を積層して研磨パッドとして用いてもよい。
クッション層としては、例えば、ポリウレタンを含浸した不織布(例えば、ニッタ・ハース(株)製の「Suba400」);天然ゴム,ニトリルゴム,ポリブタジエンゴム,シリコーンゴム等のゴム基材; ポリエステル系熱可塑性エラストマー,ポリアミド系熱可塑性エラストマー,フッ素系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーの基材; 発泡プラスチックの基材; ポリウレタンの基材等が用いられうる。これらの中では、クッション層としての柔軟性の点からポリウレタンの基材が特に好ましい。このようなクッション層は研磨パッドの研磨面の反対面に両面テープ等で接着される。
また、本実施形態の研磨層の製造に用いられる熱可塑性ポリウレタンは、JIS-D硬度が50~90、さらには60~88、とくには60~85であることが好ましい。熱可塑性ポリウレタンのJIS-D硬度が低すぎる場合には研磨層が柔らかくなりすぎて研磨レートが低下する傾向がある。また、JIS-D硬度が高すぎる場合には、被研磨面にスクラッチが発生しやすくなる傾向がある。
また、熱可塑性ポリウレタンの純水に対する接触角は50~90度、さらには50~85度、とくには50~75度であることが好ましい。接触角が低すぎる場合には研磨層の親水性が高くなりすぎて研磨レート及び平坦化性が低下する傾向があり、高すぎる場合には研磨層の親水性が低くなり、被研磨面にスクラッチが発生しやすくなる傾向がある。
また、熱可塑性ポリウレタンの80℃における貯蔵弾性率は30~600MPa、さらには40~400MPa、とくには50~300MPaであることが好ましい。熱可塑性ポリウレタンの80℃のおける貯蔵弾性率が低すぎる場合には研磨層が柔らかくなり、研磨レートおよび平坦化性が低下する傾向がある。また、熱可塑性ポリウレタンの80℃のおける貯蔵弾性率が高すぎる場合には、得られる研磨層が硬くなり、被研磨面にスクラッチが発生しやすくなる傾向がある。
熱可塑性ポリウレタンの製造方法は、例えば、高分子ジオール,有機ジイソシアネート及び鎖伸長剤を所定の比率で溶融混合し、実質的に溶剤の不存在下で溶融重合させる方法や、公知のウレタン化反応を利用したプレポリマー法またはワンショット法が用いられる。これらの中では、生産効率の点から溶融重合により製造する方法が特に好ましく用いられる。溶融重合は、高分子ジオール,有機ジイソシアネート及び鎖伸長剤、及び必要に応じて配合される添加剤を所定の比率で配合し、多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合する方法である。
以下、熱可塑性ポリウレタンの重合の原料となる、高分子ジオール、有機ジイソシアネート及び鎖伸長剤について詳しく説明する。
高分子ジオールの具体例としては、例えば、ポリエーテルジオール,ポリエステルジオール,ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。これらの高分子ジオールは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ポリエーテルジオールを含むことが好ましい。
また、高分子ジオールの数平均分子量としては1000未満であって、450以上、さらには500以上、とくには550以上であることが好ましい。高分子ジオールの数平均分子量が1000以上である場合には、上述したメルトテンション測定において30秒間以上引取可能である熱可塑性ポリウレタンが得られにくくなる傾向がある。また、高分子ジオールの数平均分子量が450未満の場合には、得られる研磨層の剛性が低下し、研磨レートと平坦化性が低下する傾向がある。なお、高分子ジオールの数平均分子量はJIS K 1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出できる。
ポリエーテルジオールの具体例としては、例えば、ポリテトラメチレングリコール(PTMG),ポリエチレングリコール(PEG),ポリプロピレングリコール,ポリ(メチルテトラメチレングリコール),グリセリンベースポリアルキレンエーテルグリコールなどが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステルジオールの具体例としては、例えば、ジカルボン酸,そのエステルまたは無水物などのエステル形成性誘導体と、低分子ジオールとを直接エステル化反応またはエステル交換反応させることにより得られるものが挙げられる。
ポリエステルジオールの原料となるジカルボン酸の具体例としては、例えば、シュウ酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,ドデカンジカルボン酸,2-メチルコハク酸,2-メチルアジピン酸,3-メチルアジピン酸,3-メチルペンタン二酸,2-メチルオクタン二酸,3,8-ジメチルデカン二酸,3,7-ジメチルデカン二酸等の炭素数2~12の脂肪族ジカルボン酸;トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14~48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)またはこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)等の脂肪族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸,イソフタル酸,オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ダイマー酸又は水添ダイマー酸の市販品としては、例えば、ユニケマ社製商品名「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」等が挙げられる。
ポリエステルジオールの原料となる低分子ジオールの具体例としては、例えば、エチレングリコール,1,3-プロパンジオール,1,2-プロパンジオール,2-メチル-1,3-プロパンジオール,1,4-ブタンジオール,ネオペンチルグリコール,1,5-ペンタンジオール,3-メチル-1,5-ペンタンジオール,1,6-ヘキサンジオール,1,7-ヘプタンジオール,1,8-オクタンジオール,2-メチル-1,8-オクタンジオール,1,9-ノナンジオール,1,10-デカンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール,シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、炭素数6~12、さらには炭素数8~10、とくには2-メチル-1,8-オクタンジオールや1,9-ノナンジオールのような炭素数9のジオールが重合後の結晶バランスの点から好ましい。
また、ポリカーボネートジオールの具体例としては、例えば、低分子ジオールと、ジアルキルカーボネート,アルキレンカーボネート,ジアリールカーボネート等のカーボネート化合物との反応により得られるものが挙げられる。低分子ジオールとしては、ポリエステルジオールの原料である低分子ジオールと同様のものが用いられうる。また、ジアルキルカーボネートの具体例としては、例えば、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート等が挙げられる。また、アルキレンカーボネートの具体例としては、例えば、エチレンカーボネート等が挙げられる。また、ジアリールカーボネートの具体例としては、例えば、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。
上述したような高分子ジオールの中では、特に、数平均分子量が450~1000(但し、1000は除く)の範囲のPTMGまたはPEGを用いることがとくに好ましい。数平均分子量が450~1000(但し、1000は除く)の範囲のPTMGまたはPEGを高分子ジオールとして用いた場合には、メルトテンション測定において30秒間以上引取可能である熱可塑性ポリウレタンであって、親水性が適度な範囲であることにより被研磨面のスクラッチを低減しやすい研磨層が得られやすくなる。
有機ジイソシアネートの具体例としては、例えば、エチレンジイソシアネート,テトラメチレンジイソシアネート,ペンタメチレンジイソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネート,2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート,2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート,ドデカメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,イソプロピリデンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート),シクロヘキシルメタンジイソシアネート,メチルシクロヘキサンジイソシアネート,4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート,リジンジイソシアネート,2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート,ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート,ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート,2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート,シクロヘキシレンジイソシアネート,メチルシクロヘキシレンジイソシアネート,ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロへキセン等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネート;2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート,4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI),2,4-トリレンジイソシアネート,2,6-トリレンジイソシアネート,m-フェニレンジイソシアネート,p-フェニレンジイソシアネート,m-キシリレンジイソシアネート,p-キシリレンジイソシアネート,1,5-ナフチレンジイソシアネート,4,4’-ジイソシアナトビフェニル,3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル,3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン,クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート,テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、MDIを含むことが得られる研磨層の耐摩耗性が高くなる点から好ましい。
鎖伸長剤としては、熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から使用されている鎖伸長剤等であれば特に限定なく用いられるが、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物が好ましい。このような鎖伸長剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール,ジエチレングリコール,1,2-プロパンジオール,1,3-プロパンジオール,2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール,1,2-ブタンジオール,1,3-ブタンジオール,2,3-ブタンジオール,1,4-ブタンジオール(BD),1,5-ペンタンジオール,ネオペンチルグリコール,1,6-ヘキサンジオール(HD),3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD),1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン,1,4-シクロヘキサンジオール,1,4-シクロヘキサンジメタノール等のシクロヘキサンジメタノール,ビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレート,1,9-ノナンジオール,m-キシリレングリコール,p-キシリレングリコール等のジオール類;エチレンジアミン,トリメチレンジアミン,テトラメチレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン,ヘプタメチレンジアミン,オクタメチレンジアミン,ノナメチレンジアミン,デカメチレンジアミン,ウンデカメチレンジアミン,ドデカメチレンジアミン,2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン,2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン,3-メチルペンタメチレンジアミン,1,2-シクロヘキサンジアミン,1,3-シクロヘキサンジアミン,1,4-シクロヘキサンジアミン,1,2-ジアミノプロパン,ヒドラジン,キシリレンジアミン,イソホロンジアミン,ピペラジン,o-フェニレンジアミン,m-フェニレンジアミン,p-フェニレンジアミン,トリレンジアミン,キシレンジアミン,アジピン酸ジヒドラジド,イソフタル酸ジヒドラジド,4,4’-ジアミノジフェニルメタン,4,4’-ジアミノジフェニルエーテル,4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル,4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル,1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン,1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン,1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン,3,4’-ジアミノジフェニルエーテル,4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン,3,4-ジアミノジフェニルスルフォン,3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン,4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン),3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル,4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド,2,6-ジアミノトルエン,2,4-ジアミノクロロベンゼン,1,2-ジアミノアントラキノン,1,4-ジアミノアントラキノン,3,3’-ジアミノベンゾフェノン,3,4-ジアミノベンゾフェノン,4,4’-ジアミノベンゾフェノン,4,4’-ジアミノビベンジル,2,2’-ジアミノ-1,1’-ビナフタレン,1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン,1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン,1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン等の1,n-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン(nは3~10),1,2-ビス[2-(4-アミノフェノキシ)エトキシ]エタン,9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン,4,4’-ジアミノベンズアニリド等のジアミン類などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
鎖伸長剤の中では、1,4-ブタンジオール(BD)を50モル%以上含む鎖伸長剤であることが、メルトテンション測定において30秒間以上引取可能である熱可塑性ポリウレタンが得られやすい点から好ましい。
高分子ジオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との配合比率は、要求特性に応じて適宜調整される。具体的には、例えば、高分子ジオール及び鎖伸長剤に含まれる活性水素原子1モルに対して、有機ジイソシアネートに含まれるイソシアネート基が0.95~1.3モル、さらには0.96~1.10モル、特には0.97~1.05モルとなるような比率で配合することが好ましい。有機ジイソシアネートに含まれるイソシアネート基の比率が低すぎる場合には、得られる研磨層の機械的強度及び耐摩耗性が低下することにより、研磨パッドの寿命が短くなる傾向がある。一方、有機ジイソシアネートに含まれるイソシアネート基の比率が高すぎる場合には、熱可塑性ポリウレタンの生産性及び保存安定性が低下する傾向がある。
熱可塑性ポリウレタン中のイソシアネート基由来の窒素原子の含有率は、5.0~8.0質量%、さらには5.3~7.7質量%、特には5.5~7.5質量%の範囲であることがJIS-D硬度が適度になる点から好ましい。
熱可塑性ポリウレタンは、架橋剤,充填剤,架橋促進剤,架橋助剤,軟化剤,粘着付与剤,老化防止剤,発泡剤,加工助剤,密着性付与剤,無機充填剤,有機フィラー,結晶核剤,耐熱安定剤,耐候安定剤,帯電防止剤,着色剤,滑剤,難燃剤,難燃助剤(酸化アンチモンなど),ブルーミング防止剤,離型剤,増粘剤、酸化防止剤,導電剤などの添加剤を必要に応じて含有してもよい。熱可塑性ポリウレタン中の添加剤の含有割合としては、50質量%以下、さらには20質量%以下、特には5質量%以下であることが好ましい。
熱可塑性ポリウレタンは、例えば、高分子ジオール,有機ジイソシアネート及び鎖伸長剤、及び必要に応じて配合される添加剤を所定の比率で配合し、多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合し、得られた溶融状態の熱可塑性ポリウレタンのストランドを水冷することにより冷却した後、ペレット化することにより、溶融紡糸に供し易いような形態に調製される。
熱可塑性ポリウレタンは、厚さ1.0mmのシートにおいて、波長450nmの可視光透過性を有すること、具体的には、波長450nmの可視光透過率が3%以上、さらには4%以上、とくには5%以上、ことには15%以上であることが、ソフトセグメントの粒径が小さいために、溶融状態で曳糸するときにソフトセグメントが疑似的な異物のようになって切れにくく、充分に伸びやすくなる点から好ましい。なお、上限は特に限定されないが、50%以下、さらには45%以下、とくには40%以下程度であることが好ましい。
また、熱可塑性ポリウレタンの固有粘度〔η〕としては、0.5~1.5dl/g、さらには0.7~1.2dl/gであることが好ましい。熱可塑性ポリウレタンの固有粘度〔η〕が低すぎる場合には、溶融紡糸性が低下するとともに細化が困難となる傾向がある。また、熱可塑性ポリウレタンの固有粘度〔η〕が高すぎる場合には、溶融粘度が高くなることにより繊維径がばらついて不均質な研磨層が得られやすくなる傾向がある。なお、固有粘度はJIS Z 8803に基づき、ウベローデ粘度計を用いて測定される。
以上、本実施形態のメルトブローン不織布を含む研磨層の製造に好ましく用いられる熱可塑性ポリウレタンについて説明した。
次に、上述したような研磨層を含む研磨パッドを用いたCMPについて図1を参照しながら説明する。図1は本実施形態の研磨層1にクッション層2を両面粘着テープで接着して形成された研磨パッド10を用いたケミカルメカニカル研磨方法の実施の様子を示す説明図である。
研磨パッド10を用いたCMPにおいては、例えば、図1に示すような円形の回転定盤11と、スラリー供給ノズル12と、キャリア13と、パッドコンディショナー14とを備えたCMP装置20が用いられる。回転定盤11の表面に、研磨パッド10が両面テープや面ファスナーによりその貼付けられている。また、キャリア13は被研磨基材15を支持している。
CMP装置20においては、回転定盤11は図略のモータにより矢印に示す方向に回転する。また、キャリア13は、回転定盤11の面内において、図略のモータにより例えば矢印に示す方向に回転する。パッドコンディショナー14も回転定盤11の面内において、図略のモータにより例えば矢印に示す方向に回転する。
はじめに、回転定盤11に固定されて回転する研磨パッド10の表面に蒸留水を流しながら研磨パッド10の表面に、回転する、例えば、ダイアモンド粒子をニッケル電着等により担体表面に固定したCMP用のパッドコンディショナー14を押し当てて、研磨パッド10の表面のコンディショニングを行う。コンディショニングにより、研磨パッド表面を被研磨面の研磨に好適な表面粗さに調整する。次に、回転する研磨パッド10の表面にスラリー供給ノズル12からスラリー16が供給される。スラリー16は、例えば、水やオイル等の液状媒体; シリカ,アルミナ,酸化セリウム,酸化ジルコニウム,炭化ケイ素等の研磨剤; 塩基,酸,界面活性剤,酸化剤,還元剤,キレート剤等を含有している。また化学的機械的研磨を行うに際し、必要に応じ、スラリーと共に、潤滑油、冷却剤などを併用してもよい。そして、スラリー16が満遍なく行き渡った研磨パッド10に、キャリア13に固定されて回転する被研磨基材15を押し当てる。そして、所定の平坦度が得られるまで、研磨処理が続けられる。研磨時に作用させる押し付け力や回転定盤11とキャリア13との相対運動の速度を調整することにより、仕上がり品質が影響を受ける。
研磨条件は特に限定されないが、効率的に研磨を行うためには、定盤と基板それぞれの回転速度は300rpm以下の低回転が好ましく、基板にかける圧力は、研磨後に傷が発生しないようにするという見地から、150kPa以下とすることが好ましい。研磨している間、研磨パッドには、スラリーをポンプ等で連続的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常にスラリーで覆われていることが好ましい。
そして、研磨終了後の被研磨基材を流水でよく洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて被研磨基材に付着した水滴を払い落として乾燥させることが好ましい。このように、被研磨面をスラリーで研磨することによって、被研磨面全面にわたって平滑な面を得ることができる。
このような本実施形態のCMPは、各種半導体装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の製造プロセスにおける研磨に用いられうる。研磨対象の例としては、例えば、半導体ウェハ;所定の配線を有する配線板に形成された酸化ケイ素膜,ガラス膜,窒化ケイ素膜等の無機絶縁膜;ポリシリコン,アルミニウム,銅,チタン,窒化チタン,タングステン,タンタル、窒化タンタル等を主として含有する膜;フォトマスク,レンズ,プリズム等の光学ガラス;スズドープ酸化インジウム(ITO)等の無機導電膜;ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路,光スイッチング素子,光導波路,光ファイバーの端面,シンチレータ等の光学用単結晶;固体レーザー単結晶;青色レーザーLED用サファイヤ基板;炭化ケイ素,リン化ガリウム,ヒ化ガリウム等の半導体単結晶;磁気ディスク用ガラス基板;磁気ヘッド等;メタクリル樹脂,ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂などが挙げられる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例の内容に何ら限定されるものではない。
はじめに、本実施例における熱可塑性ポリウレタンの特性及び得られた研磨パッドの評価方法をまとめて説明する。
〈メルトテンションの測定〉
キャピラリーレオメータ((株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1D)を用いて熱可塑性ポリウレタンのメルトテンションを測定した。具体的には、温度230℃に設定された内径9.55mm, 有効長250mmの円筒状のチャンバーの底部に1mmφx10mmのキャピラリーをセットし、熱可塑性ポリウレタンのペレットをチャンバー内に所定量供給し、5分間予熱した後、押出速度5mm/分、キャピラリーサイズ1mmφx10mm、引取速度50m/分の条件でメルトテンションを10回測定した。そして、10回の測定中に30秒間以上引き取ることができた回数を求めた。
〈JIS-D硬度〉
熱可塑性ポリウレタンのペレットを熱プレスして成形することにより、厚さ1.0mmのシートを作成した。そして、得られたシートを5枚重ねて、JIS K 7311に準じて、JIS-D硬度を測定した。
〈波長450nmの可視光透過率〉
熱可塑性ポリウレタンのペレットを熱プレスして成形することにより、厚さ1.0mmのシートを作成した。そして、得られたシートから縦4cm×横4cmの試験片を切り抜き、波長450nmの可視光の透過率を(株)島津製作所製の紫外可視分光光度計(UV-2450)を用いて測定した。
〈純水に対する接触角〉
熱可塑性ポリウレタンのペレットを熱プレスして厚さ300μmのシートを作製した。そして得られたシートを20℃、65%RHの条件下に3日間放置した後、協和界面科学(株)製DropMaster500を用いて純水に対する接触角を測定した。
〈80℃における貯蔵弾性率〉
熱可塑性ポリウレタンのペレットを熱プレスして成形することにより厚さ400μm±100μmのシートを作製した。そして、縦4cm×横0.5cmの試験片を切り抜いた。そして試験片の厚さをマイクロメーターで測定し、動的粘弾性装置(DVEレオスペクトラー、((株))レオロジー社製)を用いて、周波数11Hz、昇温速度3℃/分での条件で80℃における動的粘弾性率を測定し、貯蔵弾性率を算出した。
〈平均断面積及び断面積のばらつき割合〉
500倍の倍率で研磨層の断面を走査型顕微鏡(SEM)で撮影し、得られたSEM写真から満遍なく選んだ50本の繊維の断面積を測定し、その平均値を算出することによりメルトブローン不織布を形成する繊維の平均断面積を求めた。また、50個の断面積の標準偏差を、50個の断面積の平均で除した値を求め、その値に100を掛けた値を断面積のばらつき割合とした。
〈研磨性能の評価〉
研磨パッドの研磨レート及び研磨の不均一性を次のような方法により評価した。研磨パッドをCMP研磨装置((株)エム・エー・ティ製の「MAT-BC15」)に設置した。そして、ダイヤモンドドレッサー((株)アライドマテリアル製の#100-被覆率80%、直径19cm、質量1kg))を用い、蒸留水を150mL/分の割合で流しながら、ドレッサー回転数140rpm、プラテン回転数100rpmで研磨パッドのコンディショニングを1時間行った。
次に、プラテン回転数100rpm、ヘッド回転数99rpm、研磨圧力27.6kPaの条件で、スラリーを120mL/分の割合で供給しながら膜厚1000nmのPTEOS膜を表面に有する直径4インチのシリコンウェハを60秒間研磨した。そして、上述したのと同様のコンディショニング条件で30秒間コンディショニングした。なお、スラリーとしては、キャボットマイクロエレクトロニクス社製「SS-25」100質量部に対して水100質量部を混合して調製したものを用いた。その後、シリコンウェハを交換して同様に研磨およびコンディショニングを繰り返し、計10枚のウェハを研磨した。
そして、10枚目に研磨したシリコンウェハについて、研磨前および研磨後のPTEOS膜の膜厚をウェハ面内で各49点測定し、研磨レートを算出した。また、49点の研磨レートの平均値を求めた。さらに、研磨の不均一性は下式(1)により算出した。不均一性の値が小さいほど、シリコンウェハ面内でPTEOS膜が均一に研磨されていることを示す。
不均一性(%)=(σ/R)×100 ・・・(1)
(式(1)中、σは49点の研磨レートの標準偏差、Rは49点の研磨レートの平均値を表す。)
さらに、10枚目に研磨したシリコンウェハについて、(株)キーエンス製のカラーレーザー顕微鏡「VK-X200」を使用し、倍率500倍で観察してスクラッチの有無を確認した。
[実施例1]
(熱可塑性ポリウレタンの重合)
数平均分子量850のポリテトラメチレングリコール(PTMG850)、1,4-ブタンジオール(BD)、及び4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をPTMG850:BD:MDIの質量比が36.4:14.0:49.6になるように混合した。そしてこのように調製された混合液を同軸で回転する2軸押出機に定量ポンプで連続的に供給して、熱可塑性ポリウレタンを連続溶融重合した。そして、2軸押出機から連続的に吐出された熱可塑性ポリウレタンのストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでペレット化し、70℃で20時間除湿乾燥することにより、固有粘度0.85dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-1のペレットを得た。そして、得られた熱可塑性ポリウレタンのメルトテンション,JIS-D硬度、450nmの可視光透過率,純水に対する接触角、及び80℃における貯蔵弾性率を測定した。
(メルトブローン法による熱可塑性ポリウレタン不織布の作成)
熱可塑性ポリウレタンPU-1を原料とし、1列に配列された直径0.4mmのノズルの両側に加熱空気の噴射用スリットを有する溶融ブロー紡糸装置を用い、ダイ温度250℃で溶融した熱可塑性ポリウレタンをノズル当たり毎分1.0gの割合で吐出させ、250℃に加熱した空気をスリットから1m幅当たり6.0Nm3/分噴射することにより熱可塑性ポリウレタンを細化した。細化された熱可塑性ポリウレタンをノズル下方15cmに設置した50メッシュの金網からなるコンベアを0.6m/分の速度で移動させながら捕集することにより、繊維の平均繊維断面積2830μm、厚み2.0mmの熱可塑性ポリウレタン不織布Aを得た。
(研磨パッドの作製)
熱可塑性ポリウレタン不織布Aの表面を研削して厚さ1.5mm、直径38mmの円形のシートに仕上げた。そして、厚さ1.5mmのシートの一面に、幅1.0mm、深さ0.8mmの溝を6.5mm間隔で同心円状に形成することにより直径38cmの円形状の研磨層からなる研磨パッドを作製した。そして、上述した方法に従って研磨パッドを評価した。
以上の結果を表1にまとめて示す。
Figure 0007014526000001
[実施例2]
PTMG850、BD,3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)及びMDIをPTMG850:BD:MPD:MDIの質量比が8.9:16.0:9.0:66.1になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.73dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-2のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-2を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Bを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Bを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
PTMG850、分子量600のポリエチレングリコール(PEG600)、BD、MPD及びMDIをPTMG850:PEG600:BD:MPD:MDIの質量比が21.4:15.1:5.2:9.2:49.1になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.82dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-3のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-3を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Cを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Cを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
PTMG850、MPD、1,6-ヘキサンジオール(HD)、及びMDIをPTMG850:MPD:HD:MDIの質量比が4.6:9.1:21.1:65.2になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.84dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-4のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-4を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Dを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Dを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
「メルトブローン法による熱可塑性ポリウレタン不織布の作製」において、ダイ温度250℃で溶融した熱可塑性ポリウレタンをノズル当たり毎分1.0gの割合で吐出させ、250℃に加熱した空気をスリットから1m幅当たり6.0Nm3/分噴射した代わりに、ダイ温度260℃で溶融した熱可塑性ポリウレタンをノズル当たり毎分1.0gの割合で吐出させ、260℃に加熱した空気をスリットから1m幅当たり6.0Nm3/分噴射した条件に変更した以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Eを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Eを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
PTMG850、BD、及びMDIをPTMG850:BD:MDIの質量比が57.5:6.8:35.8になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.91dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-5のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-5を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Fを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Fを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例7]
PTMG850、MPD、BD、及びMDIをPTMG850:MPD:BD:MDIの質量比が0.4:10.1:18.1:71.4になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.79dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-7のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-7を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Gを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Gを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例8]
PEG600、BD、及びMDIをPEG600:BD:MDIの質量比が60.5:3.8:35.8になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.80dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-8のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-8を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Hを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Hを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例9]
PTMG850、MPD、HD、及びMDIをPTMG850:MPD:HD:MDIの質量比が1.5:6.3:25.2:67.0になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.84dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-9のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-9を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Iを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Iを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例10]
「メルトブローン法による熱可塑性ポリウレタン不織布の作製」において、ダイ温度250℃で溶融した熱可塑性ポリウレタンをノズル当たり毎分1.0gの割合で吐出させ、250℃に加熱した空気をスリットから1m幅当たり6.0Nm3/分噴射した代わりに、ダイ温度280℃で溶融した熱可塑性ポリウレタンをノズル当たり毎分0.5gの割合で吐出させ、290℃に加熱した空気をスリットから1m幅当たり6.0Nm3/分噴射した条件に変更した以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Jを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Jを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例11]
「メルトブローン法による熱可塑性ポリウレタン不織布の作製」において、ダイ温度250℃で溶融した熱可塑性ポリウレタンをノズル当たり毎分1.0gの割合で吐出させ、250℃に加熱した空気をスリットから1m幅当たり6.0Nm3/分噴射した代わりに、ダイ温度240℃で溶融した熱可塑性ポリウレタンをノズル当たり毎分1.0gの割合で吐出させ、250℃に加熱した空気をスリットから1m幅当たり4.0Nm3/分噴射した条件に変更した以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Kを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Kを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例12]
数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール(PTMG650)、BD、及びMDIをPTMG650:BD:MDIの質量比が31.4:14.9:53.7になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.80dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-10のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-10を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Lを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Lを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
参考例1
数平均分子量1300のポリテトラメチレングリコール(PTMG1300)、BD、及びMDIをPTMG1300:BD:MDIの質量比が29.1:17.3:53.7になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.81dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-11のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-11を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Mを作製した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタン不織布Mを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール(PTMG2000)、MPD、BD、及びMDIをPTMG2000:MPD:BD:MDIの質量比が32.0:4.3:13.2:50.5になるように混合した。このときBDとMPDのモル比は80/20である。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.87dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-12のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-12を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Nの作製を試みた。しかしながら「メルトブローン法による熱可塑性ポリウレタン不織布の作製」において、エアーを吹付けても、繊維が伸びずに切れたり、伸びたとしても太い繊維しか得られなかったりして、不織布を形成することができなかった。結果を表2に示す。
Figure 0007014526000002
[比較例2]
実施例1で重合された熱可塑性ポリウレタンのペレットをシリンダー径65mmの単軸押出成形機に仕込み、シリンダー温度225~235℃、ダイス温度235℃の条件でT-ダイから押出し、冷却することにより、厚さ2mmの熱可塑性ポリウレタンシートを成形した。そして、熱可塑性ポリウレタン不織布Aの代わりに、熱可塑性ポリウレタンシートを用いた以外は、実施例1と同様にして直径38cmの円形状の研磨パッドを得、評価した。結果を表2に示す。
[比較例3]
数平均分子量1500のポリテトラメチレングリコール(PTMG1500)、BD、及びMDIをPTMG1500:BD:MDIの質量比が28.8:17.6:53.7になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.84dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-13のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-13を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Oを作製を試みた。しかしながら「メルトブローン法による熱可塑性ポリウレタン不織布の作製」において、エアーを吹付けても、繊維が伸びずに切れたり、伸びたとしても太い繊維しか得られなかったりして、不織布を形成することができなかった。結果を表2に示す。
[比較例4]
数平均分子量1800のポリテトラメチレングリコール(PTMG1800)、BD、及びMDIをPTMG1800:BD:MDIの質量比が28.5:17.9:53.6になるように混合した。このように調製された混合液を、実施例1で用いた混合液に代えて用いた以外は同様にして、固有粘度0.83dl/gの熱可塑性ポリウレタンPU-14のペレットを製造し、評価した。また、熱可塑性ポリウレタンPU-1の代わりに、熱可塑性ポリウレタンPU-14を用いた以外は実施例1と同様して熱可塑性ポリウレタン不織布Pを作製を試みた。しかしながら「メルトブローン法による熱可塑性ポリウレタン不織布の作製」において、エアーを吹付けても、繊維が伸びずに切れたり、伸びたとしても太い繊維しか得られなかったりして、不織布を形成することができなかった。
表1に示すように、実施例1~実施例12及び参考例1のメルトテンション測定において30秒間以上連続引取可能であった熱可塑性ポリウレタンを用いた場合には、安定的に不織布を製造することができた。一方、比較例1、比較例3及び比較例4のように、30秒間以上連続引取が不可能であった熱可塑性ポリウレタンを用いた場合には、エアーを吹付けても、繊維が伸びずに切れたり、伸びたとしても太い繊維しか得られなかったりして、不織布を形成することができなかった。
各種半導体装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の製造プロセスにおける研磨に好ましく用いられうる。
1 研磨層
2 クッション層
10 研磨パッド
11 回転定盤
12 スラリー供給ノズル
13 キャリア
14 パッドコンディショナー
15 被研磨基材
16 スラリー
20 CMP装置

Claims (2)

  1. 研磨パッド用研磨層の製造方法であって、
    吹付気流温度220~300℃の範囲の条件のメルトブローン法により、溶融紡糸された熱可塑性ポリウレタンの繊維同士を互いに接合し、冷却させることにより形成されるウェブ状のメルトブローン不織布を製造する工程(但し、前記繊維同士を固着させる湿熱処理を含まない)と、
    前記メルトブローン不織布を所定の形状に整えて研磨層に仕上げる工程と、を備え、
    前記熱可塑性ポリウレタンは、
    数平均分子量が450~1000(但し、1000は除く)である高分子ポリオール単位を含み、
    チャンバー温度230℃,押出速度5mm/分,キャピラリーサイズ1mmφx10mm,引取速度50m/分の条件によるキャピラリーレオメータを用いたメルトテンション測定において、30秒間以上連続引取可能である、ことを特徴とする研磨パッド用研磨層の製造方法。
  2. 前記熱可塑性ポリウレタンは、厚さ1.0mmのシートにおいて、波長450nmの可視光透過率が15%以上である請求項1に記載の研磨パッド用研磨層の製造方法。
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