JP7014076B2 - 脱気ファインバブル液製造装置、脱気ファインバブル液製造方法、超音波処理装置及び超音波処理方法 - Google Patents

脱気ファインバブル液製造装置、脱気ファインバブル液製造方法、超音波処理装置及び超音波処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、脱気ファインバブル液製造装置、脱気ファインバブル液製造方法、超音波処理装置及び超音波処理方法に関する。
一般に、鋼板や鋼管といった各種の金属体の製造工程において、金属体の表面に存在する汚れやスケール等を除去するために、薬液やリンス等が保持された洗浄槽に対して金属体を浸漬することで洗浄を行う洗浄処理方法が、広く採用されている。このような洗浄処理方法を実施する洗浄処理装置としては、例えば、高圧気流噴射ノズルを利用した処理装置や、超音波を利用した超音波処理装置がある。
このような超音波を利用した超音波処理装置において、超音波伝播性の向上のために脱気を行ったり、超音波洗浄におけるキャビテーション作用を強化するためにキャビテーションの核となる微細気泡を導入したりする等といった工夫がなされてきた。例えば、脱気を行う方法として、真空ポンプを用いた脱気方法、中空糸膜を用いた脱気方法、絞りを用いた脱気方法等が提案されている。また、例えば微細気泡を導入する方法としては、高速旋回による気泡微細化方法や、気体を高圧過飽和溶解させて解放時に微細気泡を発生させる方法等が提案されている。しかしながら、上記のような脱気方法及び微細気泡発生方法は、それぞれ専用のユニットが必要であり、これらの方法を組み合わせた装置は大型化し、非常に高価なものであった。
そこで、近年、安定した微細気泡の発生と、溶存気体量の調整(すなわち、脱気)と、を一体化させた装置について、検討が行われるようになってきている。例えば、以下の特許文献1には、軸流型ポンプのケーシング内に、主羽根と、主羽根とは逆向きの副羽根と、を有し、壁面に開けた孔から真空ポンプで気泡を吸引することで脱気水を製造する装置が提案されている。
特開平10-99847号公報
しかしながら、上記特許文献1で提案されている装置では、主羽根及び副羽根が同一の回転軸に取り付けられているために、主羽根及び副羽根の回転数は同じであり、脱気レベルの制御が出来ないという問題があった。また、上記のような2種類の羽根を有する軸流型ポンプ以外に、別途真空ポンプが必要であり、装置が大掛かりなものであった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、より簡便な方法で、処理液を脱気するとともに、処理液中にファインバブルを発生させることが可能な、脱気ファインバブル液製造装置、脱気ファインバブル液製造方法、超音波処理装置及び超音波処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討を行った結果、被処理物に対して所定の処理を施す処理液が保持されている処理部に対して、処理液を循環させる循環経路を設けた上で、かかる循環経路に対し、所定の全揚程を示す2種類のポンプを設置して、2種類のポンプを同時に稼働させることに想到した。これにより、脱気され、かつ、ファインバブルを含有する処理液である脱気ファインバブル液を、より簡便に製造することが可能となる。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]被処理物に対して所定の処理を施す処理液が保持された処理部に供給される、脱気され、かつ、ファインバブルを含有する処理液である脱気ファインバブル液を製造する脱気ファインバブル液製造装置であって、前記処理部から引き抜かれた前記処理液を前記処理部へと循環させる循環経路と、前記循環経路上に設けられており、前記処理部から引き抜いた前記処理液を前記処理部へと循環させる、全揚程が15m以上である第1ポンプと、前記循環経路上において、前記第1ポンプよりも処理液の引き抜き側に設けられており、前記第1ポンプと逆向きに処理液を搬送するように稼働する、全揚程が(前記第1ポンプの全揚程-15)m以上前記第1ポンプの全揚程以下である第2ポンプと、を備え、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプの双方を稼働させて、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部を減圧状態にすることで、前記処理液を脱気するとともに前記処理液中に前記ファインバブルを発生させて前記脱気ファインバブル液とし、得られた前記脱気ファインバブル液を前記処理部へと供給する、脱気ファインバブル液製造装置。
[2]前記第1ポンプのモータの回転数と、前記第2ポンプのモータの回転数と、を互いに独立にインバータ制御することで、前記処理液の流速及び前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部の圧力を調整する調整機構を更に備える、[1]に記載の脱気ファインバブル液製造装置。
[3]前記調整機構は、前記脱気ファインバブル液の製造時における前記循環経路中の前記処理液の流速が0.05~5.00m/秒の範囲内となるように、前記第1ポンプのモータの回転数と前記第2ポンプのモータの回転数とを制御する、[2]に記載の脱気ファインバブル液製造装置。
[4]前記第1ポンプの最大吐出量をQ1[L/分]とし、前記第2ポンプの最大吐出量をQ2[L/分]としたときに、前記第1ポンプの最大吐出量と前記第2ポンプの最大吐出量との比(Q2/Q1)を、0.5以上1.0以下とする、[2]又は[3]に記載の脱気ファインバブル液製造装置。
[5]前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の容積を、前記処理部及び前記循環経路全体を含む循環系の全容積の1万分の1以上とする、[1]~[4]の何れか1つに記載の脱気ファインバブル液製造装置。
[6]前記第1ポンプの全揚程をL1[m]とし、前記第2ポンプの全揚程をL2[m]としたときに、前記第1ポンプの全揚程と前記第2ポンプの全揚程との差(L1-L2)を、5m以上10m以下とする、[1]~[5]の何れか1つに記載の脱気ファインバブル液製造装置。
[7]前記処理部へと吐出される前記処理液中において、溶存気体量が飽和溶存気体量の50%以下となるように、前記ファインバブルを発生させる、[1]~[6]の何れか1つに記載の脱気ファインバブル液製造装置。
[8]前記処理部へと吐出される前記処理液中において、平均気泡径が0.01μm~100μmである前記ファインバブルが、気泡総量10個/mL~1010個/mLの範囲で存在するように、前記ファインバブルを発生させる、[1]~[7]の何れか1つに記載の脱気ファインバブル液製造装置。
[9][1]~[8]の何れか1つに記載の脱気ファインバブル液製造装置を用いた、脱気ファインバブル液の製造方法であって、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプの双方を稼働状態とし、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部を減圧状態にする脱気及びファインバブル生成過程を含む、脱気ファインバブル液製造方法。
[10]前記脱気及びファインバブル生成過程において、前記循環経路中の前記処理液の流速を0.05~5.00m/秒の範囲内に調整する、[9]に記載の脱気ファインバブル液製造方法。
[11]前記脱気及びファインバブル生成過程と、前記第1ポンプ又は前記第2ポンプの何れか一方を停止状態とし、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプのケーシング内、並びに、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部に滞留する気体を排出する気体排出過程と、を交互に実施する、[9]又は[10]に記載の脱気ファインバブル液製造方法。
[12]前記脱気及びファインバブル生成過程の1回当たりの時間を、60~3600秒の範囲内とし、前記気体排出過程の1回当たりの時間を、1~60秒の範囲内とする、[11]に記載の脱気ファインバブル液製造方法。
[13]被処理物に対して所定の処理を施す処理液を保持しており、前記被処理物が前記処理液で満たされる処理部と、前記処理部に設けられ、前記被処理物に対して超音波を印加する超音波印加機構と、前記処理部に対して設けられる、[1]~[8]の何れか1つに記載の脱気ファインバブル液製造装置と、を備える、超音波処理装置。
[14]被処理物に対して所定の処理を施す処理液を保持しており、前記被処理物が前記処理液で満たされる処理部と、前記処理部に設けられ、前記被処理物に対して超音波を印加する超音波印加機構と、前記処理部に対して設けられる、[1]~[8]の何れか1つに記載の脱気ファインバブル液製造装置と、を少なくとも備える超音波処理装置で実施される超音波処理方法であって、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプの双方を稼働状態とし、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部を減圧状態にする脱気及びファインバブル生成過程により、前記脱気ファインバブル液を製造し、製造した前記脱気ファインバブル液を前記処理部に供給しつつ、前記被処理物に対して前記超音波印加機構から超音波を印加する、超音波処理方法。
[15]前記脱気及びファインバブル生成過程において、前記循環経路中の前記処理液の流速を0.05~5.00m/秒の範囲内に調整する、[14]に記載の超音波処理方法。
[16]前記脱気及びファインバブル生成過程と、前記第1ポンプ又は前記第2ポンプの何れか一方を停止状態とし、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプのケーシング内、並びに、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部に滞留する気体を排出する気体排出過程と、を交互に実施することで、前記脱気ファインバブル液を製造する、[14]又は[15]に記載の超音波処理方法。
[17]前記脱気及びファインバブル生成過程の1回当たりの時間を、60~3600秒の範囲内とし、前記気体排出過程の1回当たりの時間を、1~60秒の範囲内とする、[16]に記載の超音波処理方法。
以上説明したように本発明によれば、より簡便な方法で、処理液を脱気するとともに、処理液中にファインバブルを発生させることが可能となる。
本発明の実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置と、当該脱気ファインバブル液製造装置が設けられた超音波処理装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置と、当該脱気ファインバブル液製造装置が設けられた超音波処理装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置の変形例と、当該脱気ファインバブル液製造装置が設けられた超音波処理装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る脱気ファインバブル液製造方法について説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(脱気ファインバブル液製造装置及び超音波処理装置の全体構成)
図1A及び図1Bを参照しながら、本発明の実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置、及び、当該脱気ファインバブル液製造装置が設けられた超音波処理装置の全体構成について、簡単に説明する。図1A及び図1Bは、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置と、当該脱気ファインバブル液製造装置が設けられた超音波処理装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。
本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10が設けられる超音波処理装置1は、被処理物に対して所定の処理を施す処理液に加えて超音波を併用し、被処理物の表面(処理液に接している部位)に対して所定の処理を施す装置である。かかる超音波処理装置1は、鋼材等に代表される各種の金属体や、プラスチック樹脂製部材等に代表される各種の非金属体等に対して、例えば洗浄等の各種の処理を施す際に利用することができる。例えば、鋼板、鋼管、鋼線材等といった各種の金属体を被処理物とし、本実施形態に係る超音波処理装置1を用いることで、これらの金属体に対して、酸洗処理や脱脂処理、更には洗浄処理を行うことができる。
ここで、酸洗処理とは、金属体の表面に形成された酸化物スケールを除去する処理であり、脱脂処理とは、加工処理等に用いる潤滑剤や加工油等の油分を除去する処理である。これらの酸洗処理及び脱脂処理は、表面仕上げ処理(金属被覆処理、化成処理、塗装処理等)を金属体に対して施すに先だって実施される前処理である。かかる酸洗処理によって、地の金属の一部を溶解させることもある。また、表面仕上げ品質を向上させるためのエッチングによる金属体の溶解にも、かかる酸洗処理は用いられている。また、酸洗処理の前段に脱脂処理が設けられている場合もあり、脱脂処理における脱脂性能が、その後の酸洗処理のスケールの除去に影響を及ぼすこともある。更には、脱脂処理は、最終製品の仕上げ品質としての油分管理指標である濡れ性の改善にも、使用される。
更に、以下で詳述する本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10が設けられた超音波処理装置1は、上記のような製造ラインにおける洗浄工程以外にも、使用済み配管や定期的もしくは不定期に汚れ除去を必要とするタンク、装置の洗浄等に対しても用いることが可能である。
以下では、処理部の一例として、処理液の保持されている処理槽が存在し、かかる処理槽の内部に、被処理物が処理液で満たされるように設けられる場合を例に挙げて、詳細に説明を行うものとする。
本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10が設けられる超音波処理装置1は、図1Aに例示したように、処理液3が保持されている処理槽5と、超音波印加機構7と、を有している。また、本実施形態に係る超音波処理装置1は、上記の構成に加えて、更に、曲面部材9を有していることが好ましい。
上記のような超音波処理装置1に設けられる脱気ファインバブル液製造装置10は、図1Aに例示したように、処理液の循環経路11と、第1ポンプ13と、第2ポンプ15と、を有している。また、脱気ファインバブル液製造装置10は、上記の構成に加えて、更に、調整機構17を有していることが好ましい。
脱気ファインバブル液製造装置10の第1ポンプ13及び第2ポンプ15により、処理槽5中の処理液3が循環経路11へと引き抜かれる。引き抜かれた処理液3は、第1ポンプ13及び第2ポンプ15により脱気されるとともに、処理液3中にファインバブルが発生して、脱気ファインバブル液となる。かかる脱気ファインバブル液は、循環経路11を通って、処理槽5内へと供給される。
ここで、ファインバブルとは、気泡径が100μm以下である微細気泡である。かかるファインバブルのうち、気泡径がμmサイズのファインバブルを、マイクロバブルと称することがあり、気泡径がnmサイズのファインバブルを、ナノバブルと称することがある。ファインバブルは、被処理物に対する超音波の伝播効率を向上させ、超音波キャビテーションの核として処理性を向上させるものである。
また、図1Bに模式的に示したように、超音波印加機構7、曲面部材9、及び、脱気ファインバブル液製造装置10の個数及び配置については、特に限定されるものではなく、処理槽5の形状や大きさに応じて、適宜個数を調整しながら配置することが可能である。また、図中の各部材の大きさは、説明を容易とするため適宜強調されており、実際の寸法、部材間の比率を示すものではない。
(超音波処理装置1の詳細な構成について)
本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10について詳細に説明するに先立ち、かかる脱気ファインバブル液製造装置10が設けられる超音波処理装置1について、詳細に説明する。
<処理槽5について>
処理部の一例としての処理槽5には、被処理物に対して所定の処理を施すために用いられる処理液3や、被処理物そのものが収容される。これにより、処理槽5内に収容された被処理物は、処理液3で満たされた状態で存在するようになる。処理槽5に保持される処理液3の種類については、特に限定されるものではなく、被処理物に対して行う処理に応じて、公知の処理液を用いることが可能である。
ここで、本実施形態に係る処理槽5を形成するために用いられる素材は、特に限定されるものではなく、鉄、鋼、ステンレス鋼板等といった各種の金属材料であってもよいし、繊維強化プラスチック(FRP)やポリプロピレン(PP)等といった各種のプラスチック樹脂であってもよいし、耐酸レンガ等のような各種のレンガであってもよい。すなわち、本実施形態に係る超音波処理装置1を構成する処理槽5として、上記のような素材で形成された処理槽を新たに準備することも可能であるし、各種の製造ラインにおける既設の処理槽を利用することも可能である。
また、処理槽5の大きさについても特に限定されるものではなく、液面深さ1~2m程度×全長3~25m程度のような各種形状の大型処理槽であったとしても、本実施形態に係る超音波処理装置1の処理槽5として利用可能である。
<超音波印加機構7について>
超音波印加機構7は、処理槽5に収容されている処理液3や被処理物に対して、所定周波数の超音波を印加するものである。超音波印加機構7は、特に限定されるものではなく、未図示の超音波発振器に接続された超音波振動子など、公知のものを利用することが可能である。また、図1A及び図1Bでは、超音波印加機構7を処理槽5の壁面に設ける場合について図示しているが、超音波印加機構7の処理槽5への設置位置についても特に限定されるものではなく、処理槽5の壁面や底面に対して、1又は複数の超音波振動子を適宜設置すればよい。なお、処理槽5全体に均一に超音波が伝播されるような条件となれば、個々の超音波振動子の発振負荷のバランスが一様となるため、超音波振動子の個数が複数であったとしても、発生した超音波間で干渉が生じなくなる。
超音波印加機構7から出力される超音波の周波数は、例えば、20kHz~200kHzであることが好ましい。超音波の周波数が20kHz未満である場合には、被処理物の表面から発生するサイズの大きな気泡により超音波伝播が阻害され、超音波による処理性向上効果が低下する場合がある。また、超音波の周波数が200kHzを超える場合には、被処理物を処理する際の超音波の直進性が強くなりすぎて、処理の均一性が低下する場合がある。超音波印加機構7から出力される超音波の周波数は、好ましくは20kHz~150kHzであり、更に好ましくは、25kHz~100kHzである。
なお、印加する超音波の周波数は、被処理物に応じて上記範囲内で適切な値を選定することが好ましく、被処理物の種類によっては、2種類以上の周波数の超音波を印加してもよい。
また、超音波印加機構7は、ある選択した超音波の周波数を中心として所定の範囲で周波数を掃引しつつ超音波を印加することが可能な、周波数掃引機能を有していることが好ましい。このような周波数掃引機能によって、以下のような2つの更なる効果を実現することが可能となる。
液体中に存在している、ファインバブルを含む微小気泡に対して超音波を印加した場合、微小気泡に対して、Bjerknes力と呼ばれる力が作用し、微小気泡は、周波数に依存する共振気泡半径Rに応じて、超音波の腹や節の位置に引き寄せられることとなる。ここで、超音波印加機構7が有している周波数掃引機能によって、超音波の周波数が変化した場合、周波数に依存する共振気泡半径Rは、周波数の変化に応じて広がることとなる。その結果、キャビテーション発生の泡径が広がることとなり、多くの微小気泡(例えば、ファインバブル)をキャビテーション核として利用することが可能となる。これにより、超音波印加機構7が有している周波数掃引機能によって、本実施形態に係る超音波処理装置1の処理効率が更に向上することとなる。
一方、超音波の一般的な性質として、「超音波の波長が照射物体の厚みに対応する波長の1/4となったときに、超音波が照射物体を透過する」という現象が知られている。そこで、周波数を適切な範囲で掃引しながら超音波を印加することで、例えば被処理物が管状体等の中空部を有するものであった場合に、管状体内へと透過する超音波を増加させることが可能となり、本実施形態に係る超音波処理装置1の処理効率が更に向上することとなる。
ここで、照射物体表面での超音波の透過を考える場合、超音波は、照射物体に垂直入射する場合だけでなく、多重反射を繰り返しながら伝播していくため、一定の音場は形成しづらい傾向にある。その中でも、照射物体の壁面を透過する条件を生み出すために、被処理物の位置がどこに存在していたとしても、「超音波の波長が、被処理物の厚みに対応する波長の1/4となる」という条件を満たすことが可能な周波数を実現することが好ましい。このような周波数の範囲について、本発明者らが検討したところ、ある選択した超音波の周波数を中心として±0.1kHz~±10kHzの範囲で周波数を掃引しつつ超音波を印加することで、上記のような超音波の透過が実現可能であることが明らかとなった。これらの理由から、超音波印加機構7は、ある選択した超音波の周波数を中心として±0.1kHz~±10kHzの範囲で周波数を掃引しつつ超音波を印加することが可能な、周波数掃引機能を有していることが好ましい。
<曲面部材9について>
曲面部材9は、超音波印加機構7の振動面に向かって凸な曲面を有する部材であり、曲面部材9に到達した超音波を多方向へと反射させる部材である。かかる曲面部材9を処理槽5内の壁面及び底面の少なくとも何れか一方に設けることで、超音波印加機構7の振動面から発生した超音波を、処理槽5内の全体へと伝播させることが可能となる。
より詳細には、本実施形態に係る曲面部材9には、球面又は非球面の表面形状を有する凸湾曲部が少なくとも存在し、かかる凸湾曲部が、凸湾曲部以外の部分よりも、超音波印加機構7の振動面側に突出した状態となっている凸曲面を有している。また、本実施形態に係る曲面部材9は、凸湾曲部ではない部分である非凸湾曲部を有していてもよいし、凸曲面のみから構成されていてもよい。更に、本実施形態に係る曲面部材9は、中実な柱状体であってもよいし、中空な筒状体であってもよい。また、曲面部材9が中空である場合、処理槽5に装着された状態の曲面部材50の空隙には、空気等の各種気体が存在していてもよいし、処理槽5に保持されている処理液3等の各種液体が存在していてもよい。
曲面部材9が上記のような凸曲面を有することで、多方向へ超音波が反射され、偏りのない均一な超音波伝播が実現されて、超音波間の干渉を抑制することができる。ここで、曲面部材9が凹部を含む場合には、超音波が凹部で反射することで集束してしまい、処理槽5全体に効果的に超音波を反射させることができない。また、凸部を含む場合であっても、凸部が曲面ではなく平面である場合には、超音波を一方向にしか反射させることができず、処理槽5全体に効果的に超音波を反射させることができない。
上記のような形状を有する曲面部材9は、超音波を反射させる素材を用いて形成されることが好ましい。かかる素材としては、例えば、音響インピーダンス(固有音響インピーダンス)が1×10[kg・m-2・sec-1]以上2×10[kg・m-2・sec-1]以下である素材を挙げることができる。音響インピーダンスが1×10[kg・m-2・sec-1]以上2×10[kg・m-2・sec-1]以下である素材を用いることで、効率良く超音波を反射させることが可能となる。
音響インピーダンスが1×10[kg・m-2・sec-1]以上2×10[kg・m-2・sec-1]以下である素材としては、例えば、各種の金属又は金属酸化物や、非酸化物セラミックスを含む各種のセラミックス等を挙げることができる。このような素材の具体例としては、例えば、鋼(固有音響インピーダンス[kg・m-2・sec-1]:4.70×10、以下、カッコ内の数値は同様に固有音響インピーダンスの値を表す。)、鉄(3.97×10)、ステンレス鋼(SUS、3.97×10)、チタン(2.73×10)、亜鉛(3.00×10)、ニッケル(5.35×10)、アルミニウム(1.38×10)、タングステン(1.03×10)、ガラス(1.32×10)、石英ガラス(1.27×10)、グラスライニング(1.67×10)、アルミナ(酸化アルミニウム、3.84×10)、ジルコニア(酸化ジルコニウム、3.91×10)、窒化ケイ素(SiN、3.15×10)、炭化ケイ素(SiC、3.92×10)、炭化タングステン(WC、9.18×10)等がある。本実施形態に係る曲面部材9においては、処理槽5に保持される処理液3の液性や、曲面部材9に求める強度等に応じて、曲面部材9の形成に用いる素材を適宜選択すればよいが、上記のような音響インピーダンスを有する各種金属又は金属酸化物を用いることが好ましい。
<反射板について>
なお、処理槽5の処理液側の壁面及び底面には、超音波を反射させるための反射板が設けられることが好ましい。かかる反射板を設けることで、処理槽5の壁面や底面まで到達した超音波は反射板によって反射され、再び処理液3の方へと伝播していくこととなる。これにより、処理液3中に印加された超音波を効率良く利用することが可能となる。
特に、曲面部材9と、かかる曲面部材9が保持されている処理槽5の壁面又は底面と、の間に、超音波を反射させる反射板を設けることで、より効率良く超音波を利用することが可能となる。
以上、図1A及び図1Bを参照しながら、本実施形態に係る超音波処理装置1の全体的な構成について、詳細に説明した。
なお、上記説明では、処理部として設けられた処理槽5の内部に、処理液3で満たされた被処理物を設けた上で、処理槽5内に保持された処理液3を介して、被処理物に対して間接的に超音波を印加する場合を例に挙げたが、超音波印加機構7は、処理部内において処理液で満たされた被処理物に対して、直接超音波を印加してもよい。
例えば、熱交換器の内部に設けられた配管や、液体を用いる複数の設備間を接続している接続配管等のように、内部が液体で満たされた状態にある中空部材そのものを被処理物としてもよい。かかる場合、中空部材の内部に保持されている液体に対してファインバブルを発生させた上で、中空部材そのものに対して超音波が印加される。
(脱気ファインバブル液製造装置10の詳細な構成について)
続いて、図1A~図2を参照しながら、上記のような超音波処理装置1に設けられる脱気ファインバブル液製造装置10について、詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置の変形例と、当該脱気ファインバブル液製造装置が設けられた超音波処理装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。
本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10は、先だって言及したように、循環経路11と、第1ポンプ13と、第2ポンプ15と、を少なくとも有する。また、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10は、上記構成に加えて、更に、調整機構17を有することが好ましい。
循環経路11は、処理槽5に保持されている処理液3を循環させるための経路である。この循環経路11は、処理槽5に予め設けられている循環経路を利用したものであってもよいし、処理槽5に新たに設置するものであってもよい。後述する第1ポンプ13及び第2ポンプ15が稼働することで処理槽5から引き抜かれた処理液3は、第1ポンプ13及び第2ポンプ15が協働することで、脱気されるとともに、処理液3中にファインバブルが発生して、脱気ファインバブル液となる。この脱気ファインバブル液は、循環経路11を通って、処理槽5内に吐出される。
第1ポンプ13及び第2ポンプ15は、上記の循環経路11の途中に、循環経路11に対して直列に設けられている。本実施形態において、第1ポンプ13は、処理槽5から処理液3を引き抜くためのポンプである。また、第2ポンプ15は、循環経路11において、第1ポンプ13よりも処理液の引き抜き側(処理液3の流れの上流側)に設けられており、第1ポンプ13と逆向きに処理液3を搬送するように稼働する。
本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10において、脱気ファインバブル液を製造する際には、上記の第1ポンプ13及び第2ポンプ15の双方を稼働させて、第1ポンプ13と第2ポンプ15との間に位置する循環経路11の内部を減圧状態にする。ここで、以下では、この2つのポンプ13,15間に位置する循環経路11のことを、「ポンプ間領域11A」と称することとする。本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10では、このポンプ間領域11Aの内部を減圧状態とすることで、この領域内に存在する処理液3を脱気するとともに、処理液3中にファインバブルを発生させて、脱気ファインバブル液とする。
ここで、製造される脱気ファインバブル液におけるファインバブルの平均気泡径は、0.01μm~100μmであることが好ましい。ここで、平均気泡径とは、ファインバブルの直径に関する個数分布において、標本数が最大となる直径である。平均気泡径が0.01μm未満とする場合には、用いる2つのポンプ13,15が大型となり、気泡径を整えてのファインバブルの発生が困難になる場合がある。また、平均気泡径が100μmを超える場合には、ファインバブルの浮上速度が増加することで洗浄液中でのファインバブルの寿命が短くなり、処理槽5において現実的な洗浄処理が出来なくなる場合がある。また、気泡径が大きすぎる場合、超音波の伝播がファインバブルによって阻害され、超音波の持つ洗浄力向上効果が低下してしまう場合がある。
また、製造される脱気ファインバブル液におけるファインバブルの濃度(密度)は、10個/mL~1010個/mLであることが好ましい。ファインバブルの濃度が10個/mL未満である場合には、ファインバブルによる超音波伝搬性向上作用が十分得られない場合があり、また、処理に必要な超音波キャビテーションの核が少なくなってしまい、好ましくない。また、ファインバブルの濃度が1010個/mL超とする場合には、用いる2つのポンプ13,15が大型となって、ファインバブルの供給が現実的ではない場合があり、好ましくない。
また、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10では、製造される脱気ファインバブル液中において、超音波の周波数に共振する直径である周波数共振径以下の気泡径を有するファインバブルの個数の割合が脱気ファインバブル液中に存在するファインバブル全体の個数の70%以上となるように、ファインバブルを発生させることが好ましい。以下、その理由について説明する。
ファインバブルを含む各種気泡の固有振動数は、Minnaert共振周波数とも呼ばれ、以下の式11で与えられる。
Figure 0007014076000001
ここで、上記式11において、
:気泡の固有振動数(Minnaert共振周波数)
:気泡の平均半径
:周辺液体の平均圧力
γ:断熱比(空気のγ=1.4)
ρ:液体密度
である。
いま、着目する気泡の内部に空気が存在するとした場合に、気泡の周辺液体が水であり、圧力が大気圧であるとすると、気泡の固有振動数と気泡の平均半径との積fの値は、上記式11より約3kHz・mm程度となる。これより、印加される超音波の周波数が20kHzであれば、かかる超音波に共振する気泡の半径Rは、約150μmとなるため、周波数20kHzの超音波に共振する気泡の直径である周波数共振径2Rは、約300μmとなる。同様に、印加される超音波の周波数が100kHzであれば、かかる超音波に共振する気泡の半径Rは、約30μmとなるため、周波数100kHzの超音波に共振する気泡の直径である周波数共振径2Rは、約60μmとなる。
この際に、共振半径Rよりも大きな半径を有する気泡は阻害因子となる。なぜなら、ファインバブルを含む気泡が共振する際、気泡は、短時間に膨張と収縮とを繰り返し、最終的には圧壊するが、第一音波が気泡を通過する時点で気泡の大きさが周波数共振径2Rよりも大きければ、超音波は気泡表面で拡散してしまうからである。逆に、第一音波が気泡を通過する時点で気泡の大きさが周波数共振径2Rよりも小さければ、超音波は気泡表面で拡散せずに気泡中を通過することができる。
かかる観点から、脱気ファインバブル液中において、周波数共振径2R以下の気泡径を有するファインバブルの個数の割合を、脱気ファインバブル液中に存在するファインバブル全体の個数の70%以上とすることが好ましい。周波数共振径2R以下の気泡径を有するファインバブルの個数の割合を70%以上とすることで、超音波の伝播効率を更に向上させることが可能となる。また、第一音波を処理槽5の壁面/底面まで伝播させることで、処理槽5全体への超音波の拡散及び反射が繰り返され、均一な超超音波処理槽を実現することが可能となる。また、周波数共振径2R以下であった気泡も、所定の超音波照射時間を超えると膨張と収縮とを繰り返して圧壊し、キャビテーションを利用した処理に寄与することができる。
なお、周波数共振径2R以下の気泡径を有するファインバブルの個数の割合は、ファインバブル発生直後に膨張する泡が少なからず存在することを考慮して、98%以下であることが好ましい。周波数共振径2R以下の気泡径を有するファインバブルの個数の割合は、より好ましくは、80%以上98%以下である。
ここで、ファインバブルの平均気泡径や濃度(密度)は、液中パーティクルカウンターや気泡径分布計測装置等といった、公知の機器により測定することが可能である。また、脱気ファインバブル液中のファインバブルの平均気泡径や濃度(密度)の制御方法については、以下で改めて説明する。
また、本実施形態に係る超音波処理装置1において、より均一な超音波伝搬と高い洗浄性とを両立するためには、製造される脱気ファインバブル液中の溶存気体量(より詳細には、溶存酸素量)を適切な値に制御することが好ましい。このような脱気ファインバブル液中の適切な溶存気体量は、脱気ファインバブル液における溶存飽和量の1%~50%であることが好ましい。溶存気体量が溶存飽和量の1%未満である場合には、気泡をファインバブルとして発生させることが困難となる上に、超音波によるキャビテーション発生が起こらず、超音波による処理性向上能力(表面処理性向上能力)が発揮できない可能性が高まるため好ましくない。一方、溶存気体量が溶存飽和量の50%を超える場合には、溶存した気体により超音波の伝搬が阻害され、処理槽5全体への均一な超音波伝搬が阻害される可能性が高まるため、好ましくない。脱気ファインバブル液中の溶存気体量(溶存酸素量)は、好ましくは、脱気ファインバブル液における溶存飽和量の5%~40%以下である。本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10を備える超音波処理装置1を用いることで、上記のような溶存飽和量の1%~50%に相当する溶存気体量を有する脱気ファインバブル液を製造し、かかる脱気ファインバブル液をより安定して循環させることが可能となる。
ここで、脱気ファインバブル液の温度が変化すれば、脱気ファインバブル液の溶存飽和量は変化する。また、脱気ファインバブル液の温度変化に起因する、脱気ファインバブル液を構成する液体の分子運動量(例えば、水分子運動量)の違いが、伝搬性に影響する。具体的には、温度が低ければ、脱気ファインバブル液を構成する液体の分子運動量は少なく、超音波を伝搬しやすくなり、脱気ファインバブル液における溶存飽和量(溶存酸素量)も高くなる。従って、上記範囲内となるような所望の溶存気体量(溶存酸素量)を実現可能なように、脱気ファインバブル液の温度を適宜制御することが好ましい。脱気ファインバブル液の温度は、脱気ファインバブル液を用いて実施する具体的な処理内容にもよるが、例えば、20℃~85℃程度であることが好ましい。
具体的には、脱気ファインバブル液中の溶存気体量は、例えば、0.1ppm以上11.6ppm以下であることが好ましく、1.0ppm以上11.0ppm以下であることがより好ましい。そのため、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10は、製造される脱気ファインバブル液中の溶存気体量が上記のような範囲の値となるように、循環経路11内の処理液3の温度や処理液3中の溶存気体量を制御する。なお、脱気ファインバブル液の溶存気体量の制御方法については、以下で改めて説明する。
ここで、脱気ファインバブル液中の溶存気体量は、隔膜電極法及び光学式溶存酸素計といった、公知の機器によって測定することが可能である。
なお、水溶液中の溶存気体は、主に、酸素、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴンであり、水溶液の温度や成分に影響を受けるものの、酸素と窒素がその大半を占めている。また、本実施形態で着目するような各種の超音波処理に影響を与えうる溶存気体は、主に酸素である。
ポンプ間領域11Aの内部に減圧状態を確実に作り出し、上記のような脱気ファインバブル液を製造するために、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10では、第1ポンプ13の全揚程を15m以上とし、第2ポンプ15の全揚程を、(第1ポンプ13の全揚程-15)m以上第1ポンプ13の全揚程以下とする。ただし、第2ポンプ15の全揚程は、0m超過の値を有するものとする。第1ポンプ13の全揚程が15m未満である場合、又は、第2ポンプ15の全揚程が(第1ポンプ13の全揚程-15)m未満である場合には、ポンプ間領域11Aの内部において、上記のような脱気ファインバブル液を製造するための減圧状態を作り出すことができない。また、第2ポンプ15の全揚程が、第1ポンプ13の全揚程を超える場合、循環すべき処理液3の逆流又は停滞が生じるため、好ましくない。
第1ポンプ13の全揚程の上限値は、特に規定するものではないが、第1ポンプ13の全揚程が40mを超える場合には、第2ポンプも全揚程の高いものとしなければならないが、むやみに両者の全揚程を高いものとしても、脱気レベルやファインバブルの発生量はほとんど向上しないことが多い。そのため、第1ポンプ13の全揚程は、40m以下であることが好ましい。第1ポンプ13の全揚程は、より好ましくは20m以上35m以下である。また、第2ポンプ15の全揚程は、より好ましくは(第1ポンプ13の全揚程-15)m以上第1ポンプ13の全揚程未満であり、更に好ましくは(第1ポンプ13の全揚程-10)m以上(第1ポンプ13の全揚程-5)m以下である。
換言すれば、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10において、第1ポンプ13の全揚程をL1[m]とし、第2ポンプ15の全揚程をL2[m]としたときに、第1ポンプ13の全揚程と第2ポンプ15の全揚程との差(L1-L2)を、5m以上10m以下とすることが好ましい。全揚程の差(L1-L2)が上記の範囲内となることで、より好ましい状態の脱気ファインバブル液を、より確実に製造することが可能となる。
本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10において、上記のような脱気ファインバブル液をより確実に製造するために、循環経路11中(特に、ポンプ間領域11A中)の処理液3の流速を、0.05~5.00m/秒の範囲内となるように制御し、かつ、ポンプ間領域11Aの内部の圧力を、-0.25~-0.08MPaの範囲内となるように制御することが好ましい。このような処理液3の流速及び圧力は、第1ポンプ13及び第2ポンプ15の稼働状態(すなわち、各ポンプのモータの回転数)を制御することで実現することができる。このような、各ポンプにおけるモータの回転数の個別制御を実現するために、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10は、第1ポンプ13のモータの回転数と、第2ポンプ15のモータの回転数と、を互いに独立にインバータ制御することで処理液3の流速及び圧力を調整する調整機構17を更に備えることが好ましい。このような調整機構17を更に備えることで、第1ポンプ13及び第2ポンプ15のモータの回転数について、より細かな制御が可能となり、脱気ファインバブル液の製造条件をより細かに調整することが可能となる。かかる調整機構17は、例えば、本実施形態に係る超音波処理装置1の稼働状態を制御しているプロセスコンピュータ等に対して、上記のような機能を実装することで、実現することが可能である。
ここで、第1ポンプ13の最大吐出量をQ1[L/分]とし、第2ポンプ15の最大吐出量をQ2[L/分]としたときに、第1ポンプ13の最大吐出量と第2ポンプ15の最大吐出量との比(Q2/Q1)を、0.5以上1.0以下とすることが好ましい。各ポンプ13,15の最大吐出量は、例えば上記のような調整機構17を用いて、各ポンプのモータの回転数をインバータ制御することで、より簡便に実現することが可能である。最大吐出量の比(Q2/Q1)が上記の範囲内となることで、より好ましい状態の脱気ファインバブル液を、より確実に製造することが可能となる。最大吐出量の比(Q2/Q1)は、より好ましくは、0.7以上1.0以下である。
また、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10において、第1ポンプ13と第2ポンプ15との間に位置する循環経路11(すなわち、ポンプ間領域11A)の容積を、処理部(例えば、一例としての処理槽5)及び循環経路11全体を含む循環系の全容積に対して、1万分の1以上とすることが好ましい。ポンプ間領域11Aの容積が、循環系の全容積に対して1万分の1未満である場合には、ポンプ間領域11Aの容積が小さくなりすぎる結果処理液の脱気速度が低くなり、上記のような脱気ファインバブル液を十分に製造することができない可能性がある。一方、循環系の全容積に対するポンプ間領域11Aの容積の上限値については、特に規定するものではないが、ポンプ間領域11Aの容積が、循環系の全容積に対して1/500を超える場合には、循環系全体の容積に対してポンプ間領域11Aの容積が相対的に大きくなり、脱気する処理液量が多くなる分必要なポンプが大きくなって経済的に不利であることから、1/500以下とすることが好ましい。
なお、例えば図1Bに示したように、1つの処理槽5に対して複数の脱気ファインバブル液製造装置10が設置される場合には、処理部(例えば、一例としての処理槽5)及び複数の循環経路11からなる全体としての循環系の全容積に対して、各脱気ファインバブル液製造装置10におけるポンプ間領域11Aの容積が、それぞれ1万分の1以上となることが好ましい。
本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10において、脱気ファインバブル液中のファインバブルの平均気泡径及び濃度(密度)は、ポンプ間領域11Aの圧力等の制御条件を適切に制御することで、所望の範囲内の値となるように制御することが可能である。この際、第1ポンプ13の下流側(循環経路11における処理液3の流れの下流側)において、上記のような公知の機器によりファインバブルの平均気泡径や濃度(密度)を測定しながら、上記のような各制御条件を、ファインバブルの平均気泡径及び濃度(密度)が所望の範囲内の値となるまで調整すればよい。
また、脱気ファインバブル液中の溶存気体量についても、ポンプ間領域11Aの圧力、及び、各ポンプにおける1回の稼働時間(ON状態となっている時間)等の制御条件を適切に制御することで、所望の範囲内の値となるように制御することが可能である。この際、第1ポンプ13の下流側(循環経路11における処理液3の流れの下流側)において、上記のような公知の機器により溶存気体量を測定しながら、上記のような各制御条件を、溶存気体量が所望の範囲内の値となるまで調整すればよい。
なお、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10において、脱気ファインバブル液を製造する際には、上記のように、第1ポンプ13及び第2ポンプ15の双方を稼働状態とするが、脱気ファインバブル液の製造を継続していると、各ポンプのケーシング内、及び、ポンプ間領域11Aに気泡が滞留していく。気泡が滞留すると、脱気ファインバブル液の製造効率が低下する他、各ポンプにも気泡によるダメージが蓄積していくため、各ポンプのケーシング内、及び、ポンプ間領域11Aに滞留した気泡を除去することが好ましい。
ここで、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10は、互いに独立して稼働可能な2つのポンプ13,15を有している。そのため、何れか一方のポンプを稼働状態とし、かつ、もう一方のポンプを停止状態とすることで、ポンプ間領域11Aの減圧状態を解放して、各ポンプのケーシング内及びポンプ間領域11Aに滞留した気泡を容易に除去することが可能となる。この際、第1ポンプ13よりも下流側(処理液3の流れの下流側)に位置する循環経路11や、第2ポンプ15よりも上流側(処理液3の流れの上流側)に位置する循環経路11の何れかの位置に、エア抜きバルブ(図示せず。)を設けたり、図2に模式的に示したように、ポンプ間領域11Aの途中にエア抜きバルブを設けた排気経路を設けたりすることで、より簡便に滞留した気泡の除去を行うことが可能となる。
以上、図1A~図2を参照しながら、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造装置10について、詳細に説明した。
(脱気ファインバブル液製造方法について)
続いて、以上説明したような脱気ファインバブル液製造装置10を用いた脱気ファインバブル液製造方法について、図3を参照しながら簡単に説明する。図3は、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造方法について説明するための説明図である。
本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造方法では、上記のような脱気ファインバブル液製造装置10を用いた上で、第1ポンプ13及び第2ポンプ15の双方を稼働状態とし、第1ポンプ13と第2ポンプ15との間に位置する循環経路11(すなわち、ポンプ間領域11A)の内部を減圧状態にする脱気及びファインバブル生成過程を実施することで、脱気ファインバブル液を製造する。
ここで、上記の脱気及びファインバブル生成過程において、循環経路11中(特に、ポンプ間領域11A中)の処理液3の流速を、0.05~5.00m/秒の範囲内に調整し、かつ、ポンプ間領域11Aの内部の圧力を、-0.25~-0.08MPaの範囲内に調整することが好ましい。循環経路11中の処理液3の流速及びポンプ間領域11Aの内部の圧力を上記の範囲内とすることで、脱気ファインバブル液をより確実に製造することが可能となる。
また、先だって言及したように、第1ポンプ13及び第2ポンプ15の双方を稼働し続けると、第1ポンプ13及び第2ポンプ15のケーシング内、及び、ポンプ間領域11Aには、気泡が滞留していく。そこで、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造方法では、第1ポンプ13及び第2ポンプ15のケーシング内、及び、ポンプ間領域11Aに滞留した気泡を除去するために、上記の脱気及びファインバブル生成過程に加えて、第1ポンプ13又は第2ポンプ15の何れか一方を停止状態として、第1ポンプ13及び第2ポンプ15のケーシング内、並びに、第1ポンプ13と第2ポンプ15との間に位置する循環経路11(すなわち、ポンプ間領域11A)の内部に滞留する気体を排出する気体排出過程を実施することが好ましい。
具体的には、図3に模式的に示したように、脱気及びファインバブル生成過程と、気体排出過程と、を交互に実施することが好ましい。より詳細には、脱気及びファインバブル生成過程の1回当たりの時間tを、60~3600秒の範囲内とし、かつ、気体排出過程の1回当たりの時間tを、1~60秒の範囲内とすることが好ましい。このような気体排出過程を実施することで、脱気ファインバブル液製造装置10の損傷を招くことなく、脱気ファインバブル液をより確実に製造することが可能となる。脱気及びファインバブル生成過程の1回当たりの時間tは、より好ましくは120~360秒の範囲内であり、気体排出過程の1回当たりの時間tは、より好ましくは3~20秒の範囲内である。
以上、図3を参照しながら、本実施形態に係る脱気ファインバブル液製造方法について、簡単に説明した。
(超音波処理方法について)
続いて、以上説明したような脱気ファインバブル液製造装置が設けられた超音波処理装置を用いた、超音波処理方法について、簡単に説明する。
本実施形態に係る超音波処理方法は、被処理物に対して所定の処理を施す処理液3を保持しており、被処理物が処理液3で満たされる処理部と、かかる処理部に設けられ、被処理物に対して超音波を印加する超音波印加機構7と、処理部に対して設けられる、上記の脱気ファインバブル液製造装置10と、を少なくとも備える超音波処理装置1で実施される超音波処理方法である。
かかる超音波処理方法では、第1ポンプ13及び第2ポンプ15の双方を稼働状態とし、第1ポンプ13と第2ポンプ15との間に位置する循環経路11(すなわち、ポンプ間領域11A)の内部を減圧状態にする脱気及びファインバブル生成過程により、脱気ファインバブル液を製造し、製造した脱気ファインバブル液を処理部に供給しつつ、被処理物に対して超音波印加機構7から超音波を印加する。これにより、被処理物の表面(処理液に接している部位)に対して、超音波を併用した所定の処理を施すことが可能となる。
また、本実施形態に係る超音波処理方法において、脱気ファインバブル液を製造する際には、上記のような脱気及びファインバブル生成過程に加えて、上記のような気体排出過程を実施することが好ましい。
以上、本実施形態に係る超音波処理方法について、簡単に説明した。
以下では、実施例及び比較例を示しながら、本発明について具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、あくまでも本発明の一例にすぎず、本発明が以下に示す例に限定されるものではない。
以下では、処理部の一例としての、長さ20m×幅1.25m×深さ1.2mの洗浄槽に対して、本発明に係る脱気ファインバブル液製造装置を4台装着して、検証を行った。洗浄槽及び脱気ファインバブル液製造装置の循環経路全体を含む循環系の全容積は、25m(25000L)であった。各脱気ファインバブル液製造装置において、循環経路に設置する2台のポンプ(共に、セイコー化工機製MEP-0505-2P)を用いて、以下の表1-1、表1-2に示したような全揚程[m]及び最大吐出量[L/分]となるように調整した。また、2台のポンプのポンプ間間隔を変化させることで、ポンプ間領域の容積[L]を調整した。
処理液(洗浄液)としては、河川から採取した水を濾過した工業用水を用いた。かかる処理液の溶存酸素濃度を、溶存酸素計(LAQUA OM-51)を用いて測定したところ、35℃において7.8ppmであった。
本実験例において、洗浄対象物は、内径45mm×長さ3.0m×厚み9mmのSS製配管を連続的に接続した縦型熱交換器である。洗浄槽中の中央付近に、かかる洗浄対象物を浸漬した上で、洗浄槽中の水を縦型熱交換器の配管中に送液した。なお、洗浄槽には、上記脱気ファインバブル液製造装置により製造された脱気ファインバブル液が随時供給されている。脱気ファインバブル液の製造時間は90分間とした。
脱気ファインバブル液の製造開始を基準として、10台の超音波発振器から超音波(周波数28kHz、出力1200W)を印加した。超音波振動子は、洗浄槽内に均等に配置している。脱気ファインバブル液の製造時間は、90分間とし、脱気及びファインバブル生成過程と気体排出過程とを交互に実施した。脱気及びファインバブル生成過程の1回当たりの時間t、気体排出過程の1回当たりの時間tは、それぞれ表1-1及び表1-2に示した通りである。
ここで、ポンプ間領域における流速[m/分]及び圧力[MPa]のそれぞれを、この区間に設置した流速計及び圧力計を用いて測定した。また、洗浄槽に脱気ファインバブル液が供給される位置での処理液中のファインバブルの平均気泡径を、ベックマン・コールター製の精密粒度分布測定装置Multisizer4を用いて測定するとともに、処理液の溶存酸素濃度を、溶存酸素計(LAQUA OM-51)を用いて測定した。なお、以下の表1-1、表1-2において、ファインバブルの濃度は、得られた濃度[個/mL]の常用対数を示している。
超音波洗浄性能については、配管内の清浄度を測定し、洗浄性能として評価した。より詳細には、洗浄開始から1分後の処理液1Lを洗浄槽から回収して、回収した処理液の濁度を測定した。濁度計は、オプテックス株式会社製TC-3000を使用した。得られた濁度から、以下の評価基準に則して、洗浄性能を評価した。
清浄度(濁度)3000以下1500以上:A
1500未満800以上 :B
800未満500以上 :C
500未満300以上 :D
300未満1以上 :E
すなわち、評点「A」は、配管内の堆積物を回収出来たことで濁度が高くなり、洗浄性能として非常に良好であったことを意味し、評点「B」は、洗浄性能が良好であったことを意味し、評点「C」は、洗浄性能がやや良好であったことを意味し、評点「D」は、洗浄性能が許容レベルであったことを意味し、評点「E」は、洗浄性能が不良であったことを意味する。
得られた結果を、以下の表1-1、表1-2にあわせて示した。
Figure 0007014076000002
Figure 0007014076000003
上記表1-1、表1-2から明らかなように、本発明の実施例に該当する脱気ファインバブル液製造装置を用いた場合、洗浄に適した脱気ファインバブル液を製造することが可能であり、また、かかる脱気ファインバブル液を用いた超音波洗浄性能は、良好な結果を示すことがわかった。一方、本発明の比較例に該当する脱気ファインバブル液製造装置を用いた場合、洗浄に適した脱気ファインバブル液を製造することができず、かかる脱気ファインバブル液を用いた超音波洗浄性能も、良好な結果とはならなかった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 超音波処理装置
3 処理液
5 処理槽
7 超音波印加機構
9 曲面部材
10 脱気ファインバブル液製造装置
11 循環経路
11A ポンプ間領域
13 第1ポンプ
15 第2ポンプ
17 調整機構


Claims (17)

  1. 被処理物に対して所定の処理を施す処理液が保持された処理部に供給される、脱気され、かつ、ファインバブルを含有する処理液である脱気ファインバブル液を製造する脱気ファインバブル液製造装置であって、
    前記処理部から引き抜かれた前記処理液を前記処理部へと循環させる循環経路と、
    前記循環経路上に設けられており、前記処理部から前記処理液を引き抜く、全揚程が15m以上である第1ポンプと、
    前記循環経路上において、前記第1ポンプよりも処理液の引き抜き側に設けられており、前記第1ポンプと逆向きに処理液を搬送するように稼働する、全揚程が(前記第1ポンプの全揚程-15)m以上前記第1ポンプの全揚程以下である第2ポンプと、
    を備え、
    前記第1ポンプ及び前記第2ポンプの双方を稼働させて、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部を減圧状態にすることで、前記処理液を脱気するとともに前記処理液中に前記ファインバブルを発生させて前記脱気ファインバブル液とし、得られた前記脱気ファインバブル液を前記処理部へと供給する、脱気ファインバブル液製造装置。
  2. 前記第1ポンプのモータの回転数と、前記第2ポンプのモータの回転数と、を互いに独立にインバータ制御することで、前記処理液の流速及び前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部の圧力を調整する調整機構を更に備える、請求項1に記載の脱気ファインバブル液製造装置。
  3. 前記調整機構は、前記脱気ファインバブル液の製造時における前記循環経路中の前記処理液の流速が0.05~5.00m/秒の範囲内となるように、前記第1ポンプのモータの回転数と前記第2ポンプのモータの回転数とを制御する、請求項2に記載の脱気ファインバブル液製造装置。
  4. 前記第1ポンプの最大吐出量をQ1[L/分]とし、前記第2ポンプの最大吐出量をQ2[L/分]としたときに、前記第1ポンプの最大吐出量と前記第2ポンプの最大吐出量との比(Q2/Q1)を、0.5以上1.0以下とする、請求項2又は3に記載の脱気ファインバブル液製造装置。
  5. 前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の容積を、前記処理部及び前記循環経路全体を含む循環系の全容積の1万分の1以上とする、請求項1~4の何れか1項に記載の脱気ファインバブル液製造装置。
  6. 前記第1ポンプの全揚程をL1[m]とし、前記第2ポンプの全揚程をL2[m]としたときに、前記第1ポンプの全揚程と前記第2ポンプの全揚程との差(L1-L2)を、5m以上10m以下とする、請求項1~5の何れか1項に記載の脱気ファインバブル液製造装置。
  7. 前記処理部へと吐出される前記処理液中において、溶存気体量が飽和溶存気体量の50%以下となるように、前記ファインバブルを発生させる、請求項1~6の何れか1項に記載の脱気ファインバブル液製造装置。
  8. 前記処理部へと吐出される前記処理液中において、平均気泡径が0.01μm~100μmである前記ファインバブルが、気泡総量10個/mL~1010個/mLの範囲で存在するように、前記ファインバブルを発生させる、請求項1~7の何れか1項に記載の脱気ファインバブル液製造装置。
  9. 請求項1~8の何れか1項に記載の脱気ファインバブル液製造装置を用いた、脱気ファインバブル液の製造方法であって、
    前記第1ポンプ及び前記第2ポンプの双方を稼働状態とし、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部を減圧状態にする脱気及びファインバブル生成過程を含む、脱気ファインバブル液製造方法。
  10. 前記脱気及びファインバブル生成過程において、前記循環経路中の前記処理液の流速を0.05~5.00m/秒の範囲内に調整する、請求項9に記載の脱気ファインバブル液製造方法。
  11. 前記脱気及びファインバブル生成過程と、
    前記第1ポンプ又は前記第2ポンプの何れか一方を停止状態とし、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプのケーシング内、並びに、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部に滞留する気体を排出する気体排出過程と、
    を交互に実施する、請求項9又は10に記載の脱気ファインバブル液製造方法。
  12. 前記脱気及びファインバブル生成過程の1回当たりの時間を、60~3600秒の範囲内とし、
    前記気体排出過程の1回当たりの時間を、1~60秒の範囲内とする、請求項11に記載の脱気ファインバブル液製造方法。
  13. 被処理物に対して所定の処理を施す処理液を保持しており、前記被処理物が前記処理液で満たされる処理部と、
    前記処理部に設けられ、前記被処理物に対して超音波を印加する超音波印加機構と、
    前記処理部に対して設けられる、請求項1~8の何れか1項に記載の脱気ファインバブル液製造装置と、
    を備える、超音波処理装置。
  14. 被処理物に対して所定の処理を施す処理液を保持しており、前記被処理物が前記処理液で満たされる処理部と、前記処理部に設けられ、前記被処理物に対して超音波を印加する超音波印加機構と、前記処理部に対して設けられる、請求項1~8の何れか1項に記載の脱気ファインバブル液製造装置と、を少なくとも備える超音波処理装置で実施される超音波処理方法であって、
    前記第1ポンプ及び前記第2ポンプの双方を稼働状態とし、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部を減圧状態にする脱気及びファインバブル生成過程により、前記脱気ファインバブル液を製造し、
    製造した前記脱気ファインバブル液を前記処理部に供給しつつ、前記被処理物に対して前記超音波印加機構から超音波を印加する、超音波処理方法。
  15. 前記脱気及びファインバブル生成過程において、前記循環経路中の前記処理液の流速を0.05~5.00m/秒の範囲内に調整する、請求項14に記載の超音波処理方法。
  16. 前記脱気及びファインバブル生成過程と、
    前記第1ポンプ又は前記第2ポンプの何れか一方を停止状態とし、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプのケーシング内、並びに、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間に位置する前記循環経路の内部に滞留する気体を排出する気体排出過程と、を交互に実施することで、前記脱気ファインバブル液を製造する、請求項14又は15に記載の超音波処理方法。
  17. 前記脱気及びファインバブル生成過程の1回当たりの時間を、60~3600秒の範囲内とし、
    前記気体排出過程の1回当たりの時間を、1~60秒の範囲内とする、請求項16に記載の超音波処理方法。
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