JP2003293883A - 複数のポンプを直列に接続して構成した液体圧送装置 - Google Patents

複数のポンプを直列に接続して構成した液体圧送装置

Info

Publication number
JP2003293883A
JP2003293883A JP2002095720A JP2002095720A JP2003293883A JP 2003293883 A JP2003293883 A JP 2003293883A JP 2002095720 A JP2002095720 A JP 2002095720A JP 2002095720 A JP2002095720 A JP 2002095720A JP 2003293883 A JP2003293883 A JP 2003293883A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pump
liquid
fuel
pumps
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002095720A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihide Ogawa
義英 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2002095720A priority Critical patent/JP2003293883A/ja
Publication of JP2003293883A publication Critical patent/JP2003293883A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な方法により液体を安定して圧送する。 【解決手段】 2つのポンプを直列に接続して液体を圧
送する。上流側のポンプは下流側のポンプよりも、所定
の揚程に於ける吐出量を大きな規格のポンプとする。ポ
ンプを直列に接続して用いる場合、上流側のポンプの吐
出量よりも下流側のポンプが多量の液体を吐出しようと
すると、2つのポンプ間で気泡が混入して液体を効率よ
く圧送することが困難となる。これに対して、上流側に
吐出量の多いポンプを組み合わせれば、上流側のポンプ
は下流側のポンプが吐出する以上の液体を圧送しようと
するので、2つのポンプ間で気泡が混入することがな
く、安定して液体を圧送することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液体を所定圧力
に加圧して所定流量で圧送する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】液体を所定圧力に加圧して、所定流量で
圧送しなければならない状況にしばしば遭遇する。例え
ば内燃機関では、燃料ポンプを用いて燃料タンクから燃
料を汲み上げ、所定流量で所定圧力まで加圧して内燃機
関に供給してやる必要がある。また、各種の機械類にお
いては、運転中に摺動面の潤滑状態を保つために、所定
流量の潤滑油を、オイルポンプを用いて所定圧力で潤滑
面に圧送する必要がある場合も少なくない。
【0003】また近年では、こうした液体を圧送すべき
流量および供給圧力が次第に増加する傾向にある。例え
ば内燃機関では、出力が次第に増加する傾向にあり、こ
れに伴って単位時間あたりの燃料消費量、すなわち燃料
ポンプから圧送すべき燃料流量が増加する傾向にある。
また、燃料の供給圧力を増加させれば、内燃機関の始動
性を改善可能なことが知られており、この意味から燃料
の供給圧力を増加させようと言う要請も存在している。
更に、機関出力が増加すれば、それに伴って摺動面の潤
滑状態を保つために、潤滑油をより高い圧力で多量に供
給しなければならない場合も増加する。
【0004】こうした液体の圧送流量や圧送圧力を増加
させたいという要請に対応するためには、ポンプを大型
化する代わりに、複数のポンプを直列に接続して用いる
ことが効果的である。複数のポンプを直列に接続して用
いれば、ポンプを大型化するよりも、圧送流量および圧
送圧力を簡便に増加させることが可能であり、しかも大
型のポンプを用いた場合よりも高いポンプの効率が得ら
れる場合が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、複数のポンプ
を直列に接続して用いた場合、これらポンプ同士の相性
によって、設計的に予測される吐出性能が得られない場
合があるという問題があった。もちろん、相性の良いポ
ンプを選別して組み合わせれば設計通りの吐出性能を得
ることができるが、いちいちポンプを選別していたので
は、たいへんな労力が必要になる。
【0006】この発明は従来技術における上述した課題
を解決するためになされたものであり、各種液体を所定
の圧力と流量で、簡便に且つ確実に圧送可能な技術の提
供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第
1の液体圧送装置は次の構成を採用した。すなわち、液
体を吐出するポンプを複数組み合わせて構成された液体
圧送装置において、液体を吸入して圧送する第1のポン
プと、前記第1のポンプの吐出口に接続されて、該吐出
口から圧送されてきた液体を更に加圧して吐出する第2
のポンプとを備え、前記第1のポンプは、少なくとも所
定の揚程においては、前記第2のポンプよりも吐出量の
大きな規格のポンプであることを特徴とする。
【0008】また、上記の液体圧送装置に対応する本発
明の第1の液体圧送方法は、液体を吐出するポンプを複
数組み合わせて用いることにより該液体を圧送する液体
圧送方法において、少なくとも所定の揚程においては吐
出量が異なった規格のポンプを組合せ、吐出量が大きな
規格の第1のポンプから吐出量が小さな規格の第2のポ
ンプに液体を圧送し、該圧送された液体を該第2のポン
プで更に加圧して吐出することを特徴とする。
【0009】更に、こうした液体圧送装置の仕様は、設
計作業によって決定されることに着目すれば、本発明は
液体圧送装置の設計方法として把握することもできる。
すなわち、上記の液体圧送装置に対応する本発明の設計
方法は、液体を吐出するポンプを複数組み合わせて構成
された液体圧送装置の設計方法において、少なくとも所
定の揚程においては吐出量が異なった規格のポンプを複
数種類選択し、前記所定の揚程における吐出量の大きな
規格のポンプの下流側に吐出量の小さな規格のポンプを
配置して、前記選択した複数種類のポンプを直列に接続
することを特徴とする。
【0010】こうした液体圧送装置および液体圧送方
法、あるいはこうした設計方法に基づく液体圧送装置に
おいては、第1のポンプの下流側に第2のポンプが直列
に接続する。ここで、第2のポンプには、少なくとも所
定の揚程において前記第1のポンプよりも吐出量の大き
な規格のポンプを使用する。次いで、これら第1のポン
プと第2のポンプとを、前記所定の揚程の近傍の条件で
運転することにより液体を圧送する。
【0011】こうすれば、第1のポンプは、第2のポン
プが吸入する以上の流量の液体を圧送しようとする。こ
のため、例え、ポンプの製造ばらつきに起因して吐出量
がばらついた場合でも、第1のポンプと第2のポンプの
との間に負圧が発生して、ポンプに気泡が混入すること
がない。一般に、ポンプは気泡が混入すると効果的に液
体を圧送することが困難になる傾向があるが、ポンプに
気泡が混入するおそれがないので、所定圧力および所定
流量の液体を常に安定して圧送することが可能となる。
【0012】こうした液体圧送装置において使用される
第1のポンプは、該ポンプの全ての揚程範囲において前
記第2のポンプよりも吐出量の大きな規格のポンプとす
ることができる。
【0013】こうした第1のポンプを第2のポンプと組
み合わせて用いれば、広い揚程範囲において、所定圧力
および所定流量の液体を安定して圧送することが可能と
なるので好ましい。
【0014】また、かかる液体圧送装置において用いら
れる第1のポンプと前記第2のポンプとは、前記所定の
揚程の近傍において、揚程の変化に対する吐出量の変化
割合が略同一なポンプとしても良い。
【0015】詳細には後述するが、揚程の変化に対する
吐出量の変化割合が略同一であれば、吐出量のばらつい
たポンプを組み合わせて用いた場合でも、これらポンプ
が互いに補い合って、全体としての揚程の変化を小さな
値に抑制することができるので好適である。
【0016】あるいは、上記の液体圧送装置において
は、前記第1のポンプおよび前記第2のポンプの少なく
とも一方は、揚程一定の条件下で吐出量を変更可能とし
ても良い。
【0017】こうすれば、いずれかのポンプの吐出量を
変更することによって、前記所定の揚程において、第1
のポンプの吐出量が第2のポンプの吐出量よりも大きな
値とすることができるので、所定圧力および所定流量の
液体を安定して圧送することが可能となる。
【0018】前述した課題の少なくとも一部を解決する
ために、本発明の第2の液体圧送装置は次の構成を採用
した。すなわち、液体を吐出するポンプを複数組み合わ
せて構成された液体圧送装置において、液体を吸入して
圧送する第1のポンプと、前記第1のポンプの吐出口に
接続されて、該吐出口から圧送されてきた液体を更に加
圧して吐出する第2のポンプと、前記第1のポンプおよ
び前記第2のポンプを起動するポンプ起動手段とを備
え、前記ポンプ起動手段は、前記第2のポンプを前記第
1のポンプに遅れて起動する手段であることを特徴とす
る。
【0019】また、上記の液体圧送装置に対応する本発
明の第2の液体圧送方法は、液体を吐出するポンプを複
数組み合わせて用いることにより該液体を圧送する液体
圧送方法において、第1のポンプから圧送した液体を第
2のポンプで更に加圧して圧送するに際して、該第2の
ポンプを該第1のポンプに遅れて起動させることを特徴
とする。
【0020】こうした本発明の第2の液体圧送装置およ
び液体圧送方法においては、第1のポンプと該第1の下
流側に接続された第2のポンプとを用いて液体を圧送す
るに際して、該第2のポンプを該第1のポンプに遅れて
起動させる。
【0021】液体の圧送を開始するに際して、下流側の
第2のポンプが上流側の第1のポンプより先に起動する
と、上流側のポンプが停止しているにもかかわらず下流
側のポンプが液体を吸入しようとするので、2つのポン
プの間に負圧が発生して、気泡が混入することがある。
こうして気泡が混入すると、効果的に液体を圧送するこ
とができず、従って速やかに圧送を開始することができ
なくなる。これに対して、上述した液体圧送装置および
液体圧送方法においては、第2のポンプに遅れて第1の
ポンプを起動するために、2つのポンプ間で気泡が混入
することがなく、速やかに液体の圧送を開始することが
可能となる。
【0022】上述した各種の液体圧送装置においては、
前記第1のポンプおよび前記第2のポンプとして、いわ
ゆる回転型のポンプを用いることとしてもよい。
【0023】回転型のポンプは、大きな圧力変動や大き
な流量変動を伴うことなく、所定圧力で所定流量の液体
を連続して圧送することができるので、こうしたポンプ
を直列に組み合わせて用いれば、液体を安定して且つ効
果的に圧送することが可能となる。
【0024】特に、こうした回転型のポンプを用いる場
合、第1のポンプと第2のポンプとは、前記羽根車に設
けられた羽根の枚数あるいは該羽根車の回転速度の少な
くとも一方が異なるポンプとしてもよい。
【0025】回転型のポンプは、羽根車に設けられた羽
根の枚数や羽根車の回転速度によって決まる周波数の騒
音を発生させる。従って、第1のポンプおよび第2のポ
ンプが、羽根の枚数および羽根車の回転速度が一致して
いると、2つのポンプが発する騒音の周波数が一致して
しまい、大きな騒音を発生させる。これに対して、第1
のポンプと第2のポンプとで、羽根の枚数あるいは羽根
車の回転速度の少なくとも一方を異ならせておけば、騒
音の周波数は一致せず、従って大きな騒音を発生させる
ことを効果的に回避することが可能となるので好まし
い。
【0026】
【発明の実施の形態】以下では、本発明の作用・効果を
より明確に説明するために、次のような順序に従って、
本発明の実施例を説明する。 A.第1実施例: A−1.装置構成: (1)エンジンの構成: (2)燃料供給装置の構成: A−2.第1実施例の燃料供給装置の動作: B.第2実施例:
【0027】A.第1実施例: A−1.装置構成:図1は、エンジン20に、第1実施
例の液体圧送装置としての燃料供給装置10を適用した
様子を概念的に示した説明図である。図1では、エンジ
ン20は燃焼室内に燃料を直接噴射する方式の、いわゆ
る筒内噴射式内燃機関であるものとして説明するが、も
ちろんこれに限られず、燃料を吸気ポートに噴射する方
式の、いわゆるポート噴射式内燃機関に適用することも
可能である。以下では、先ずエンジン20の構成につい
て概要を説明した後、かかるエンジン20に適用された
第1実施例の燃料供給装置10について説明する。
【0028】(1)エンジンの構成:内燃機関は、燃焼
室内で燃料および空気の混合気を燃焼させ、そのときに
発生する燃焼熱を機械的仕事に変換して動力として取り
出すことを動作原理としている。図1で中央に「#
1」,「#2」,「#3」,「#4」と表示されている
円は、それぞれ燃焼室を模式的に示したものである。各
燃焼室には、吸入空気を取り入れるための吸気通路20
0と、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁202と、
噴射した燃料に点火するための図示しない点火プラグ
と、燃焼室内で発生した燃焼ガスを排出するための排気
通路204などが接続されている。また、吸気通路20
0内には、吸入する空気量を調整するためのスロットル
バルブ206が設けられている。エンジン20の出力を
増やしたいときは、電動アクチュエータ208を駆動し
てスロットルバルブ206を開いてやる。こうすれば、
燃焼室内に吸入する空気量が増加して多量の燃料を燃焼
させることが可能となるので、より多くの動力を出力す
ることができる。逆にエンジン20の出力を減らしたい
ときには、スロットルバルブ206を閉じてやる。こう
すれば、吸入する空気量が減少するので燃焼可能な燃料
量も減り、出力する動力を減少させることができる。
【0029】後述するように筒内噴射式内燃機関は、吸
気が圧縮された高圧の燃焼室内に、充分に霧化された状
態で燃料を噴射してやることが望ましい。このため、エ
ンジン20には高圧ポンプ210が設けられており、高
圧ポンプ210で8MPa〜13MPa程度に燃料を加
圧してから噴射する。本実施例では高圧ポンプ210
は、エンジン20によって駆動されるプランジャ式のポ
ンプを使用しているが、充分な圧力を発生させることが
可能であれば異なる方式のポンプを用いることができ
る。また、駆動方式もエンジン20によって駆動される
ものに限らず、例えば電動式のポンプを用いることとし
てもよい。
【0030】高圧ポンプ210で加圧された燃料は、デ
リバリパイプ212を介して各燃料噴射弁202に供給
される。デリバリパイプ212には燃圧センサ214が
設けられており、燃料噴射弁202に供給されている燃
料の圧力を検出することが可能となっている。また、デ
リバリパイプ212にはリリーフ弁216が設けられて
おり、デリバリパイプ212内の圧力が所定値を越えた
場合は、リリーフ弁216が開弁してデリバリパイプ2
12内の燃料を逃がすことによって、パイプ内圧力が異
常に高くなることを防止している。リリーフ弁216か
ら放出された燃料は、リターン通路218を介して燃料
タンク112に戻される。
【0031】エンジン20は、エンジン制御用コンピュ
ータ(以下、ECU)220によって制御されている。
ECU220は、CPUを中心としてROM、RAMな
どがバスで相互に接続された周知のマイクロコンピュー
タである。ECU220は、燃圧センサ214によっ
て、デリバリパイプ212内の燃圧が所定値に達したこ
とを検出すると、燃料噴射弁202に駆動信号を出力し
て燃料を噴射する。また、ECU220は、電動アクチ
ュエータ208に対しても駆動信号を出力することによ
って、スロットルバルブ206の開閉を制御している。
【0032】前述したように、エンジン20は燃料を燃
焼室内に直接噴射しているので、高圧ポンプ210を用
いて燃料を高い圧力に昇圧してから噴射する必要があ
る。以下では、図2を参照しながら、この理由を簡単に
説明する。
【0033】図2は、任意の燃焼室の中心でエンジン2
0の断面を取って、燃焼室の構造を概念的に示した説明
図である。エンジン20の燃焼室は、シリンダブロック
240内に設けられた円筒形のシリンダ241と、シリ
ンダ241内を上下に摺動するピストン242と、シリ
ンダブロックの上部に設けられたシリンダヘッド230
などによって形成されている。シリンダヘッド230に
は、吸入空気が流入する吸気バルブ232と、排気ガス
が流出する排気バルブ234と、燃料噴射弁202と、
点火プラグ236などが設けられている。
【0034】エンジン20は、次のようにして動作す
る。先ず、吸気バルブ232が開いてピストン242が
降下し始めると、燃焼室内に吸入空気が吸い込まれ、ピ
ストン242が下がりきると吸気バルブ232が閉じ
る。ピストンが最も下がりきった位置は、特に、下死点
と呼ばれる。吸気バルブ232は、図示しないカム機構
によって駆動されている。こうして吸入空気を吸い込ん
だら、今度はピストン242が上昇して、吸い込んだ空
気を圧縮していく。筒内噴射式の内燃機関は、ピストン
242が上昇する途中で燃料を噴射する。エンジン20
のクランクシャフトの先端には、クランクの回転角度を
検出するためのクランク角度センサ222が設けられて
おり(図1参照)、ECU220はクランク角度センサ
222の出力からピストン242の位置を検出して、適
切なタイミングで燃料を噴射する。図2(a)は、こう
して吸入した空気の圧縮途中に燃料を噴射している様子
を、概念的に示した説明図である。図中の符番238
は、噴射された燃料噴霧を模式的に示したものである。
【0035】燃料の噴射後もピストン242は上昇して
いき、ほぼ上がりきった付近で、点火プラグ236で火
花を飛ばして燃料と空気の混合気に点火する。ピストン
242が最も上がりきった位置は、特に上死点と呼ばれ
る。図2(b)は、点火プラグ236で混合気に点火し
ている様子を概念的に示す説明図である。ピストン24
2の上面は、噴射した燃料噴霧を点火プラグ236付近
に導くためのガイドとなるような特殊な形状となってい
る。このガイドによって、燃料噴霧を点火プラグ236
付近に導いているために、混合気に確実に点火すること
が可能となっている。燃料と空気の混合気はピストン2
42によって圧縮されているので、点火プラグ236で
点火してやると爆発的に燃焼し、その結果、燃焼室内の
圧力が急激に上昇してピストン242を下方に押し下げ
る。エンジン20は、この力をクランク機構によって回
転力に変換して、動力として取り出している。こうして
動力を出力しながらピストン242が下死点の位置まで
下がりきると、今度は排気バルブ234が開き、次いで
ピストン242が上昇して燃焼によって生じた排気ガス
を排出する。ピストン242が上死点まで上昇して全て
の排気ガスを排出したら、排気バルブ234を閉じ、吸
気バルブ232を開いて、再び空気を吸入する。
【0036】このように、筒内噴射式のエンジン20
は、ピストン242が上昇して圧縮された空気中に燃料
を噴射することになるので、空気の圧力に打ち勝って燃
料を噴射するために、燃料を加圧して噴射する必要があ
る。また、燃料噴射後、ピストン242が上がりきった
ら直ちに点火することになる。燃料を良好に燃焼させる
ためには、燃料と空気とが適度に混合している必要があ
るが、筒内噴射式のエンジン20は、燃料を噴射してか
ら点火するまでに燃料と空気とを混合させるための時間
が短いので、これを補うために、できるだけ燃料を細か
い噴霧状にして噴射してやることが望ましい。このよう
に燃料をできるだけ細かい噴霧状に微粒化して噴射する
ためにも、筒内噴射式のエンジン20では、燃料を高い
圧力まで加圧して噴射している。
【0037】エンジン20の出力増大に伴って、燃料の
供給圧力および供給量を増加させる必要が生じる。エン
ジン20には、燃料を高い圧力に加圧するために高圧ポ
ンプ210が設けられているが、多量の燃料を高圧に加
圧しようとする場合、高圧ポンプ210単体で燃料を加
圧するよりは、ある程度加圧した燃料を高圧ポンプ21
0に供給することが望ましい。そこで、第1実施例の燃
料供給装置10においては、燃料タンク内の燃料を安定
して加圧して高圧ポンプ210に供給するために、図1
に示すように、2つの燃料ポンプを直列に接続して使用
する。こうして複数の燃料ポンプを直列に接続して用い
ると、大型の燃料ポンプを用いた場合よりも高いポンプ
効率を得ることできる。
【0038】(2)燃料供給装置の構成:再び、図1を
参照しながら、第1実施例の燃料供給装置10の構成に
ついて説明する。第1実施例の燃料供給装置10は、燃
料タンク112から燃料を汲み上げる上流側燃料ポンプ
100と、上流側燃料ポンプ100に直列に接続された
下流側燃料ポンプ102と、下流側燃料ポンプ102か
ら吐出された燃料をエンジン20に設けられた高圧ポン
プ210に供給する燃料供給通路104などから構成さ
れている。また、燃料供給通路104には、燃料フィル
タ106や圧力調整弁108なども設けられている。下
流側燃料ポンプ102から吐出された燃料は、燃料フィ
ルタ106を通過する際に異物が除去されてエンジン2
0に供給される。また、燃料供給通路104内の圧力が
所定値を越えて高くなった場合には、圧力調整弁108
が開弁して一部の燃料を逃がすことにより、燃料供給通
路内の圧力が異常の上昇することを防止している。圧力
調整弁108を通過した燃料はリリーフ通路110を通
って燃料タンク112に戻される。
【0039】図3(a)は、上流側燃料ポンプ100の
一部断面を取って燃料ポンプの大まかな構造を示した説
明図である。下流側燃料ポンプ102も同様の構造とな
っている。図示するように、上流側燃料ポンプ100
は、ポンプカバー120とポンプケース122との間に
インペラ124が挟まれたような様な構造となってい
る。インペラ124は、シャフト126を介して電動モ
ータ128に接続されており、端子136を介して電力
を供給する、モータによってインペラ124が回転する
ようになっている。
【0040】図3(b)は、図3(a)中にP−Pと示
した位置で取った上流側燃料ポンプ100の断面図であ
る。図3(a)に示すように、インペラ124は円板の
周囲に小さな羽根124が複数設けられた形状をしてい
る。インペラ124とポンプケース122の内周面との
間には、僅かな隙間が設けられている。図中に矢印で示
すように、インペラ124が時計方向に回転すると、燃
料吸入口130から燃料が吸い込まれる。インペラ12
4の羽根とポンプケース122の内周面との隙間は、イ
ンペラ124の回転方向に次第に小さくなるように形成
されているので、吸い込まれた燃料は、インペラ124
によって運ばれる間に加圧されて燃料吐出口132から
吐出される。このように、吸い込んだ燃料はインペラ1
24に運ばれている間に加圧されるので、燃料吐出口1
32は燃料吸入口130から、ある程度の移動距離が確
保できるような位置に設けられている。図3(a)で
は、あたかも燃料吸入口130と燃料吐出口132と
が、反対側の位置に設けられているかのように表示され
ているが、図3(b)中にQ−Qと示した位置での断面
を取って表示したものである。
【0041】A−2.第1実施例の燃料供給装置の動
作:上述したように複数のポンプを直列に接続して用い
る場合は、吐出量の一致したポンプを組合せて使用する
のが一般的である。ポンプの吐出量が一致していれば、
燃料の吐出効率は最も高くなる。しかし、ポンプの製造
ばらつきなどの影響で、吐出量が不一致となる場合が起
こり得るため、設計上予定された吐出性能(吐出圧力、
吐出量、吐出効率など)が得られない場合が発生する。
予定した吐出性能が得られなければ、エンジン20に所
定量の燃料を所定圧力で供給することができなくなっ
て、エンジン20を適切に運転することが困難になるこ
とも起こり得る。
【0042】そこで、第1実施例の燃料供給装置10で
は、吐出量の多いポンプを上流側に、吐出量の少ないポ
ンプを下流側に組み合わせて使用する。こうすれば、吐
出量の一致したポンプを組み合わせた場合よりも安定し
た吐出性能を得ることが可能となる。以下では、第1実
施例の燃料供給装置10によって、こうした効果が得ら
れる理由を説明するが、その準備として、先ず始めに、
複数の燃料ポンプを直列に接続することで、燃料の供給
圧力や供給量を効率よく増加させることが可能となる理
由を説明する。その後、かかる説明を踏まえて、吐出量
の大きな燃料ポンプを上流側に、そして吐出量の小さな
燃料ポンプを下流側に組み合わせて用いることで、安定
した吐出性能を得ることができる理由について説明す
る。
【0043】図4は、燃料ポンプの吐出特性を概念的に
表した説明図である。燃料ポンプなどの、いわゆる回転
型ポンプの吐出特性は、図示されているように、揚程に
対するポンプ吐出量によって表わすことができる。ここ
で揚程とは、ポンプによる液体の加圧量のことである。
従って、ポンプの上流側と下流側とには揚程に相当する
圧力差が加わっていることになる。通常、回転型ポンプ
は、揚程が大きくなるほど吐出量が減少する特性を示
す。また、揚程が大きくなるほど、すなわちポンプ前後
に加わる圧力差が大きくなるほど、ポンプのインペラと
ポンプケース内面との隙間からの漏れ量が多くなって
(図3参照)、ポンプの吐出効率が低下する特性を示
す。
【0044】今、揚程Pa 、流量Qa (図4中の供給条
件A)でエンジン20に供給している燃料を、揚程Pb
、流量Qb (図4中の供給条件B)に増加させる必要
が生じた場合を考える。前述したように、燃料ポンプ
は、揚程(加圧量)を増加させるに従って吐出量が減少
する特性を示すから、揚程(加圧量)および吐出量を同
時に増加させるためには、現在の燃料ポンプAを大型の
燃料ポンプBに変更するか、あるいは複数の燃料ポンプ
Aを組み合わせて用いることが必要になる。
【0045】図5には、採り得る方法を概念的に示して
いる。図5(a)は、現在の燃料ポンプAを、図4中に
破線で示すような供給条件Bを満足する大型の燃料ポン
プBに変更した場合を示している。図5(b)は、2つ
の燃料ポンプAを直列に接続して、それぞれの燃料ポン
プAで、必要な揚程(加圧量)Pb の半分ずつ加圧して
いる場合を示している。それぞれの燃料ポンプAでの揚
程(加圧量)はPb の半分で良いので吐出量を増加さ
せ、結局、供給条件Bで燃料を供給することが可能とな
る。図5(c)は、2つの燃料ポンプAを並列に接続し
て、それぞれの燃料ポンプAで、目標とする吐出量Qb
の半分ずつ吐出している場合を示している。それぞれの
燃料ポンプAでの吐出量は必要な吐出量Qb の半分でよ
いので、揚程(加圧量)をPb に増加させて、2つのポ
ンプを併せて供給条件Bで燃料を供給することが可能と
なる。
【0046】一般に、回転型のポンプは揚程(加圧量)
が大きくなるほど、ポンプの吐出効率が低下する。これ
は、インペラに加わる圧力差が大きくなってポンプ内部
での漏れ量が増加するためである。ポンプ内部での漏れ
量を少なくするためにポンプ内周面とインペラとの隙間
を狭くすれば、今度はインペラを回転させるための摩擦
抵抗が増加してしまうので、ポンプの吐出効率が低下し
てしまう。このようなポンプの特性を考慮すれば、図5
(b)に示した方法は、それぞれのポンプの揚程(加圧
量)を小さくすることができるので、他の2つの方法を
用いた場合よりも、効率よく燃料を供給可能なことが理
解できる。
【0047】以上の説明においては、2つのポンプの性
能が全く同じであるものとした。しかし、部品の製造誤
差などの影響で、個々のポンプの性能にはばらつきが存
在しており、現実には、2つのポンプ性能が厳密に一致
することは稀である。そして、2つのポンプの性能差が
許容値以上に大きくなると、以下の理由から、効率よく
燃料を供給することが困難となる。
【0048】ここでは、直列に接続した2つの燃料ポン
プの中の下流側ポンプの方が、上流側ポンプよりも吐出
量が多いものとする。図6(a)は、このような2つの
ポンプについて、揚程(加圧量)に対する吐出量の特性
を示した説明図である。また、図6(b)は、こうした
2つのポンプを直列に接続して燃料を圧送する様子を概
念的に示している。今、揚程Pb で燃料を圧送しようと
しているから、それぞれのポンプでは揚程Pb /2で燃
料を圧送すれば良い。そこで、揚程Pb /2での上流側
ポンプおよび下流側ポンプの吐出量を、それぞれQu ,
Qd とする。ここでは、上流側ポンプより下流側ポンプ
の方が吐出量が大きいものとしているから、Qu<Qd
である。
【0049】ところが、図6(b)に示すように、下流
側ポンプは上流側ポンプを介して燃料を汲み上げている
から、流量Qd で燃料を吐出しようとしても、上流側ポ
ンプが汲み上げた以上の流量で燃料を吐出することはで
きない。従って、下流側ポンプの吐出量はQd からQb
に減少する。この結果、下流側ポンプの運転条件は、揚
程Pb /2,吐出量Qd の条件(図6(a)中に示した
条件Do )から、揚程Pd ,吐出量Qb の条件(図6
(a)中に示した条件Dr )に変化する。
【0050】また、上流側ポンプについては、下流側を
吐出量の大きなポンプで吸引しているために、元々との
吐出量Qu から、下流側ポンプと同じ吐出量Qb まで増
加する。この結果、上流側ポンプの運転条件は、揚程P
b /2,吐出量Qu (図6(a)中で示した条件Uo )
から、揚程Pu ,吐出量Qb の条件(図6(a)中に示
した条件Ur )に変化する。
【0051】結局、上流側ポンプおよび下流側ポンプを
組み合わせたポンプ全体としてみれば、揚程Pu +Pd
,吐出量Qb で燃料を圧送することになる。ところ
が、この様な運転状態では、下流側ポンプは上流側ポン
プから吐出されてくる以上の燃料を常に吸入しようとし
ており、下流側ポンプにとっては、上流側ポンプは燃料
の流入抵抗となっている。従って、2つのポンプの吐出
量差が大きくなるに連れて、2つのポンプの間で負圧が
発生し、気泡が発生したり、あるいは配管中から空気が
混入し易くなる。図6(b)では、負圧が発生して気泡
が混入し易くなる部分に斜線を付して表示している。こ
うして燃料中に気泡が混入すると燃料ポンプが空回りし
てしまい、効率が大きく低下して当初の吐出性能が発揮
できなくなってしまう。また、燃料ポンプの運転開始時
においては、下流側ポンプの上流に流入抵抗が存在して
いると、下流側ポンプが速やかに燃料を吸い込むことが
できずに、エンジン20に供給する燃料圧力がなかなか
上昇しないという問題を引き起こす。このように、複数
のポンプを直列に接続する場合は、下流側ポンプの吐出
量が上流側ポンプの吐出量よりも、許容値以上に大きく
なると、これらポンプ全体としての吐出性能が大きく低
下してしまう。このため、ポンプの製造ばらつきをでき
るだけ小さくしたり、あるいはポンプを選別して組み合
わせるといった対策が必要になる場合も生じる。
【0052】こうした現象を踏まえて、第1実施例の燃
料供給装置10では、上流側燃料ポンプ100は、下流
側燃料ポンプ102よりも、同一の揚程(加圧量)での
吐出量の大きなポンプが用いられている。具体的には、
上流側燃料ポンプ100の吐出量は、下流側燃料ポンプ
102の吐出量よりも、数%程度(代表的には3%〜7
%程度、より好ましくは5%程度)大きな値に設定され
ている。こうすることで、燃料ポンプの製造ばらつきの
影響を受けることなく、常に安定して燃料を供給するこ
とが可能となっている。以下では、図7を参照すること
により、この理由について説明する。
【0053】図7(a)は、同一揚程(加圧量)での吐
出量が大きなポンプを上流側に設け、吐出量の小さなポ
ンプを下流側に組み合わせたときの、揚程(加圧量)に
対する吐出量の特性を示した説明図である。また、図7
(b)は、こうした2つのポンプを直列に接続して燃料
を圧送する様子を概念的に示している。燃料の加圧量P
b の半分の揚程での、上流側ポンプの吐出量および下流
側ポンプの吐出量をそれぞれQu ,Qd とする。ここで
は、下流側ポンプより上流側ポンプの方が吐出量が大き
いとしているから、Qu>Qd となる。
【0054】ところが、図7(b)に示すように、2つ
のポンプは直列に接続されているから、燃料の吐出量は
いずれのポンプも同じ値となる。すなわち、上流側ポン
プの吐出量は元々の吐出量Qu から吐出量Qb に減少
し、下流側ポンプの吐出量は元々の吐出量Qd から吐出
量Qb に増加する。この結果、上流側ポンプの運転条件
は、揚程Pb /2,吐出量Qu (図7(a)中で示した
条件Uo )から、揚程Pu ,吐出量Qb の条件(図6
(a)中に示した条件Ur )に変化する。同様に、下流
側ポンプの運転条件は、揚程Pb /2,吐出量Qd (図
7(a)中で示した条件Do )から、揚程Pd ,吐出量
Qb の条件(図7(a)中に示した条件Dr)に変化す
る。結局、上流側ポンプおよび下流側ポンプを組み合わ
せたポンプ全体としてみれば、揚程Pu +Pd ,吐出量
Qb で燃料を圧送することになる。
【0055】この様に、第1実施例の燃料供給装置10
では、上流側燃料ポンプ100の吐出量が下流側燃料ポ
ンプ102の吐出量よりも大きくなっているので、上流
側燃料ポンプ100は、下流側燃料ポンプ102が吐出
する以上の燃料を圧送しようとする。このため、下流側
燃料ポンプ102は、上流側燃料ポンプ100に対する
抵抗として作用するものの、通路間で負圧が発生して気
泡が混入するおそれがない。このためポンプ全体として
みれば、揚程Pu +Pd で吐出量Qb の燃料を安定して
供給することが可能となる。もちろん、製造ばらつきの
影響で、これら燃料ポンプの吐出量にもばらつきが生じ
るが、上流側燃料ポンプ100の吐出量が下流側燃料ポ
ンプ102の吐出量よりも大きな値に設定されているの
で、下流側ポンプの吐出量が上流側ポンプの吐出量より
許容値を超えて多くなることはなく、常に安定して燃料
を吐出することが可能となる。
【0056】また、第1実施例の燃料供給装置10で
は、2つの燃料ポンプは、吐出特性の傾き、すなわち揚
程に対する吐出量の変化割合がほぼ同じポンプが使用さ
れている。このため、2つのポンプを直列に接続したと
きに、上流側燃料ポンプでの揚程の変化量と、下流側燃
料ポンプでの揚程の変化量がほぼ同じ値となり、互いに
打ち消し合って、全体として揚程の変化量を小さくする
ことが可能となっている。
【0057】更に、第1実施例の燃料供給装置10で
は、騒音を抑制する観点から、上流側燃料ポンプ100
と下流側燃料ポンプ102とで、ポンプのインペラ12
4に設けられた羽根134の枚数、あるいはポンプ回転
速度のいずれかが互いに異なった燃料ポンプを組み合わ
せて使用している。これは次の理由による。運転中の燃
料ポンプは、通常、インペラの羽根の枚数と回転速度と
によって決まる周波数の騒音を発生している。従って、
2つの燃料ポンプの羽根の枚数および回転速度が一致し
ていると、騒音の周波数が重複して大きな騒音を発生さ
せることになる。図8中に示した実線は、2つの燃料ポ
ンプが発する騒音の周波数が一致して、ノイズレベルが
大きくなっている様子を概念的に示した説明図である。
これに対して、インペラの羽根の枚数あるいは回転速度
の少なくともいずれかを異ならせておけば、図8中に破
線で示すように、2つのポンプが発する騒音の周波数が
ずれるので、大きな騒音が発生することを回避すること
が可能となる。
【0058】尚、以上の説明では、上流側燃料ポンプ
は、全ての揚程(加圧量)において、下流側燃料ポンプ
よりも吐出量が多いものとした。もっとも、燃料ポンプ
としては全ての揚程で使用されるわけではない。従っ
て、図9に示すように、上流側燃料ポンプは、燃料ポン
プとして使用する領域において、下流側燃料ポンプより
も吐出量が大きなポンプを用いることができることはも
ちろんである。
【0059】B.第2実施例:上述した第1実施例の燃
料供給装置10では、エンジン20の始動スイッチを入
れると、上流側燃料ポンプと下流側燃料ポンプとが同時
に運転を開始し、エンジン20が停止するまで同じ回転
速度で運転されるものとして説明した。これに対して、
2つの燃料ポンプで運転開始時期をずらせたり、ポンプ
の回転速度を調整可能としても良い。以下では、こうし
た第2実施例の燃料供給装置50について説明する。
【0060】図10は、第2実施例の燃料供給装置50
を、エンジン20に適用した様子を概念的に示した説明
図である。前述した第1実施例の燃料供給装置10に対
して、第2実施例の燃料供給装置50は、上流側燃料ポ
ンプ152および下流側燃料ポンプ154の始動時期や
ポンプ回転速度が、ECU220によって制御可能とな
っている点が大きく異なっている。すなわち、第2実施
例の燃料供給装置50では、エンジン20の始動スイッ
チが押されると、ECU220から初めに上流側燃料ポ
ンプ152に運転開始信号が出力され、次いで下流側燃
料ポンプ154に運転開始信号が出力されて、それぞれ
の燃料ポンプが起動される。上流側燃料ポンプ152に
運転開始信号が出力されてから、下流側燃料ポンプ15
4に運転開始信号が出力されるまでの時間は、約50μ
s〜100μs程度に設定されている。
【0061】燃料供給装置の起動時に、上流側燃料ポン
プ152および下流側燃料ポンプ154に同時に電力を
供給しても、配線や各種部品のばらつきの影響で、下流
側のポンプの方が先に起動する場合がある。上流側燃料
ポンプ152より先に下流側燃料ポンプ154の方が起
動すると、上流側のポンプが抵抗になって2つのポンプ
間に気泡が発生する。こうして発生した気泡が下流側燃
料ポンプ154に吸い込まれるとポンプが空回りして、
エンジン20に速やかに燃料を供給することができなく
なってしまう。これに対して、第2実施例の燃料供給装
置50では、上流側燃料ポンプ152の運転を開始した
後に下流側燃料ポンプ154を起動するので、2つのポ
ンプ間に気泡が発生することが無く、燃料供給装置50
の起動後、速やかに燃料をエンジンの供給することが可
能である。
【0062】また、こうして運転を開始した後は、それ
ぞれの燃料ポンプは、ECU220から予め設定された
回転速度で運転される。それぞれに設定されている回転
速度は、上流側燃料ポンプ152の吐出量が下流側燃料
ポンプ154の吐出量よりも、数%程度多くなるような
回転速度に設定されている。このように、上流側の燃料
ポンプの吐出量が下流側の燃料ポンプの吐出量よりも多
めとなるように、調整しておくことができるので、ポン
プ間に気泡を発生させることなく、常に効率よくエンジ
ン20に燃料を供給することが可能となっている。
【0063】尚、以上の説明においては、上流側燃料ポ
ンプ152および下流側燃料ポンプ154は、ECU2
20からの信号によって起動開始時期が制御されている
ものとしたが、これに限定されるものではなく、上流側
燃料ポンプ152を下流側燃料ポンプ154よりも早め
に起動することができれば、他の方法を用いることもで
きる。例えば、2つの燃料ポンプに同時に電力を供給す
るものとして、下流側燃料ポンプ154と電源との間に
コンデンサを設けたり、あるいは下流側燃料ポンプ15
4への配線を上流側燃料ポンプ152に比べて十分に長
くしてもよい。こうすれば、下流側燃料ポンプ154に
供給される電圧の立ち上がりが遅くなるので、常に上流
側燃料ポンプ152を早めに起動させることが可能とな
る。
【0064】また、上述した説明においては、2つの燃
料ポンプはECU220から予め設定された回転速度で
運転されるものとして説明したが、もちろん、他の方法
を適用することも可能である。例えば、下流側の燃料ポ
ンプと電源との間に可変抵抗を設けることとしても良
い。こうして抵抗を設ければ、下流側燃料ポンプ154
に供給される電力を上流側燃料ポンプ152に供給され
る電力よりも小さな値とすることができるので、上流側
のポンプの吐出量を下流側のポンプの吐出量よりも多く
することができる。更に、可変抵抗の抵抗値を適切な値
に調整しておくことにより、上流側燃料ポンプ152の
吐出量を下流側燃料ポンプ154の吐出量よりも適切な
量だけ多くすることができる。その結果、エンジン20
に燃料を安定して供給することが可能となるので好まし
い。
【0065】以上、各種の実施例について説明してきた
が、本発明は上記すべての実施例に限られるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実
施することができる。
【0066】例えば、上述した各種実施例では、エンジ
ン20は筒内噴射式のエンジンであるものとして説明し
たが、これに限らず、例えばポート噴射式のエンジンに
も好適に適用することが可能である。
【0067】また、上述した各種実施例では、圧送流体
が燃料である場合について説明したが、これに限らず、
例えば潤滑油など、高圧で多量の液体を圧送する必要が
ある場合には、他の液体に対しても同様に適用すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の燃料供給装置を適用した筒内噴射
式内燃機関の構成概要を示す説明図である。
【図2】筒内噴射式内燃機関においては、燃料を高圧に
加圧した状態で噴射する必要がある理由を示す説明図で
ある。
【図3】燃料ポンプの構造を概念的に示した説明図であ
る。
【図4】燃料ポンプの揚程に対する吐出量の関係を概念
的に示した説明図である。
【図5】揚程と吐出量とを同時に増加させるために取り
得る各種実施例を概念的に示した説明図である。
【図6】2つのポンプを直列に接続した場合に、下流側
のポンプの吐出量が上流側のポンプの吐出量よりも多い
場合に、燃料を安定して吐出することができない理由に
ついて示した説明図である。
【図7】2つのポンプを直列に接続した場合に、上流側
のポンプの吐出量が下流側のポンプの吐出量よりも多い
場合に、燃料を安定して吐出することができる理由につ
いて示した説明図である。
【図8】燃料ポンプの仕様を変更することで、単一周波
数におけるノイズレベルが低下する理由について説明す
る説明図である。
【図9】上流側燃料ポンプの吐出量が、揚程範囲の一部
領域において、下流側燃料ポンプの吐出量よりも多くな
る様に設定されている様子を概念的に示した説明図であ
る。
【図10】第2実施例の燃料供給装置を適用した筒内噴
射式内燃機関の構成概要を示す説明図である。
【符号の説明】
10…燃料供給装置 20…エンジン 50…燃料供給装置 100…上流側燃料ポンプ 102…下流側燃料ポンプ 104…燃料供給通路 106…燃料フィルタ 108…圧力調整弁 110…リリーフ通路 112…燃料タンク 120…ポンプカバー 122…ポンプケース 124…インペラ 126…シャフト 128…電動モータ 130…燃料吸入口 132…燃料吐出口 134…羽根 152…上流側燃料ポンプ 154…下流側燃料ポンプ 200…吸気通路 202…燃料噴射弁 204…排気通路 206…スロットルバルブ 208…電動アクチュエータ 210…高圧ポンプ 212…デリバリパイプ 214…燃圧センサ 216…リリーフ弁 218…リターン通路 220…ECU 222…クランク角度センサ 230…シリンダヘッド 232…吸気バルブ 234…排気バルブ 236…点火プラグ 240…シリンダブロック 241…シリンダ 242…ピストン
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F04D 13/12 F04D 13/12 Z 13/14 13/14 15/00 15/00 D 29/66 29/66 B Fターム(参考) 3H020 AA04 AA08 BA01 BA02 BA06 BA11 BA26 DA04 DA21 3H045 AA01 AA15 AA24 AA35 BA03 CA11 DA01 DA32 DA47 EA26 EA34 EA42 3H071 AA07 BB00 BB11 CC11 CC17 CC32 CC33 CC34 CC37 DD31

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出するポンプを複数組み合わせ
    て構成された液体圧送装置において、 液体を吸入して圧送する第1のポンプと、 前記第1のポンプの吐出口に接続されて、該吐出口から
    圧送されてきた液体を更に加圧して吐出する第2のポン
    プとを備え、 前記第1のポンプは、少なくとも所定の揚程において
    は、前記第2のポンプよりも吐出量の大きな規格のポン
    プであることを特徴とする液体圧送装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液体圧送装置において、 前記第1のポンプは、該ポンプの全ての揚程範囲におい
    て前記第2のポンプよりも吐出量の大きな規格のポンプ
    であることを特徴とする液体圧送装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の液体圧送装置において、 前記第1のポンプと前記第2のポンプとは、前記所定の
    揚程の近傍において、揚程の変化に対する吐出量の変化
    割合が略同一であることを特徴とする液体圧送装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の液体圧送装置であって、 前記第1のポンプおよび前記第2のポンプの少なくとも
    一方には、揚程一定の条件下で吐出量を変更する吐出量
    変更手段を備えることを特徴とする液体圧送装置。
  5. 【請求項5】 液体を吐出するポンプを複数組み合わせ
    て構成された液体圧送装置において、 液体を吸入して圧送する第1のポンプと、 前記第1のポンプの吐出口に接続されて、該吐出口から
    圧送されてきた液体を更に加圧して吐出する第2のポン
    プと、 前記第1のポンプおよび前記第2のポンプを起動するポ
    ンプ起動手段とを備え、 前記ポンプ起動手段は、前記第2のポンプを前記第1の
    ポンプに遅れて起動する手段であることを特徴とする液
    体圧送装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の液体圧送装置において、 前記第1のポンプおよび前記第2のポンプは、複数の羽
    根を有する羽根車をポンプ室内で回転させることによっ
    て液体を圧送するポンプであることを特徴とする液体圧
    送装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の液体圧送装置であって、 前記第1のポンプと前記第2のポンプとは、前記羽根車
    に設けられた羽根の枚数あるいは該羽根車の回転速度の
    少なくとも一方が異なるポンプであることを特徴とする
    液体圧送装置。
  8. 【請求項8】 液体を吐出するポンプを複数組み合わせ
    て用いることにより該液体を圧送する液体圧送方法にお
    いて、 少なくとも所定の揚程においては吐出量が異なった規格
    のポンプを組合せ、吐出量が大きな規格の第1のポンプ
    から吐出量が小さな規格の第2のポンプに液体を圧送
    し、該圧送された液体を該第2のポンプで更に加圧して
    吐出することを特徴とする液体圧送方法。
  9. 【請求項9】 液体を吐出するポンプを複数組み合わせ
    て用いることにより該液体を圧送する液体圧送方法にお
    いて、 第1のポンプから圧送した液体を第2のポンプで更に加
    圧して圧送するに際して、該第2のポンプを該第1のポ
    ンプに遅れて起動させることを特徴とする液体圧送方
    法。
  10. 【請求項10】 液体を吐出するポンプを複数組み合わ
    せて構成された液体圧送装置の設計方法において、 少なくとも所定の揚程においては吐出量が異なった規格
    のポンプを複数種類選択し、 前記所定の揚程における吐出量の大きな規格のポンプの
    下流側に吐出量の小さな規格のポンプを配置して、前記
    選択した複数種類のポンプを直列に接続することを特徴
    とする液体圧送装置の設計方法。
JP2002095720A 2002-03-29 2002-03-29 複数のポンプを直列に接続して構成した液体圧送装置 Pending JP2003293883A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002095720A JP2003293883A (ja) 2002-03-29 2002-03-29 複数のポンプを直列に接続して構成した液体圧送装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002095720A JP2003293883A (ja) 2002-03-29 2002-03-29 複数のポンプを直列に接続して構成した液体圧送装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003293883A true JP2003293883A (ja) 2003-10-15

Family

ID=29239076

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002095720A Pending JP2003293883A (ja) 2002-03-29 2002-03-29 複数のポンプを直列に接続して構成した液体圧送装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003293883A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100639892B1 (ko) 2005-08-31 2006-11-01 르노삼성자동차 주식회사 차량용 엘피엘아이 연료시스템
US7392794B2 (en) 2006-03-23 2008-07-01 Denso Corporation Fluid apparatus having pumps and method for controlling the same
US8683981B2 (en) 2010-10-26 2014-04-01 Mitsubishi Electric Corporation Fuel supply system
JP2016000986A (ja) * 2014-06-12 2016-01-07 アイシン精機株式会社 冷却システム
WO2016112462A1 (en) * 2015-01-14 2016-07-21 Westport Power Inc. Pump system for delivering liquefied gaseous fluid
US9915251B2 (en) 2015-03-26 2018-03-13 Caterpillar Inc. Fuel system having serially arranged in-tank pumps
JP2019127876A (ja) * 2018-01-24 2019-08-01 株式会社川本製作所 水中ポンプ装置
JP2020014989A (ja) * 2018-07-24 2020-01-30 日本製鉄株式会社 脱気ファインバブル液製造装置、脱気ファインバブル液製造方法、超音波処理装置及び超音波処理方法
WO2022137900A1 (ja) * 2020-12-22 2022-06-30 株式会社デンソー 冷却システム

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS53116501A (en) * 1977-03-23 1978-10-12 Hitachi Ltd Pump starting method at power plant
WO1996037694A1 (en) * 1995-05-26 1996-11-28 Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha Fuel injection control apparatus for cylinder injection type internal combustion engines

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS53116501A (en) * 1977-03-23 1978-10-12 Hitachi Ltd Pump starting method at power plant
WO1996037694A1 (en) * 1995-05-26 1996-11-28 Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha Fuel injection control apparatus for cylinder injection type internal combustion engines

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100639892B1 (ko) 2005-08-31 2006-11-01 르노삼성자동차 주식회사 차량용 엘피엘아이 연료시스템
US7392794B2 (en) 2006-03-23 2008-07-01 Denso Corporation Fluid apparatus having pumps and method for controlling the same
US8683981B2 (en) 2010-10-26 2014-04-01 Mitsubishi Electric Corporation Fuel supply system
JP2016000986A (ja) * 2014-06-12 2016-01-07 アイシン精機株式会社 冷却システム
WO2016112462A1 (en) * 2015-01-14 2016-07-21 Westport Power Inc. Pump system for delivering liquefied gaseous fluid
US9915251B2 (en) 2015-03-26 2018-03-13 Caterpillar Inc. Fuel system having serially arranged in-tank pumps
JP2019127876A (ja) * 2018-01-24 2019-08-01 株式会社川本製作所 水中ポンプ装置
JP2020014989A (ja) * 2018-07-24 2020-01-30 日本製鉄株式会社 脱気ファインバブル液製造装置、脱気ファインバブル液製造方法、超音波処理装置及び超音波処理方法
JP7014076B2 (ja) 2018-07-24 2022-02-01 日本製鉄株式会社 脱気ファインバブル液製造装置、脱気ファインバブル液製造方法、超音波処理装置及び超音波処理方法
WO2022137900A1 (ja) * 2020-12-22 2022-06-30 株式会社デンソー 冷却システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2010780B1 (en) Fuel supply system for an internal combustion engine
JP2008215321A (ja) 内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置
US8256398B2 (en) Fuel supply apparatus and fuel supply method of an internal combustion engine
KR20050044358A (ko) 인젝션 펌프, 및 인젝션 펌프를 구비한 디젤 엔진용dme 연료 공급 장치
JP3615260B2 (ja) ディーゼル機関の燃料供給装置
JP5202123B2 (ja) 内燃機関の燃料供給制御装置
JP4508130B2 (ja) 燃料噴射装置
JP2003293883A (ja) 複数のポンプを直列に接続して構成した液体圧送装置
JP2008175208A (ja) ターボ機械における燃料噴射装置
JP2006132472A (ja) コモンレール式燃料噴射装置および制御対象装置制御システム
JP4196869B2 (ja) 燃料噴射装置
JP2002242793A (ja) 燃料供給装置を備えた内燃機関の制御装置
JP2006017059A (ja) エンジンの燃料供給装置
JP5733113B2 (ja) 内燃機関の燃料供給装置
JP2003247469A (ja) 燃圧を切り換え可能な燃料供給装置
JP5018374B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射システム
JPH07293381A (ja) 内燃機関用燃料供給装置及び燃料供給方法
JP4544024B2 (ja) 多気筒エンジンの燃料供給装置
JP2003328847A (ja) 内燃機関の異常箇所検出装置
KR100244947B1 (ko) 디젤 엔진에서의 연료 공급 장치
JP3296012B2 (ja) 燃料噴射制御装置
JP7435871B1 (ja) エンジン制御装置及びエンジン制御方法
JP2001342873A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP5470363B2 (ja) 内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置
JP2594037Y2 (ja) 内燃機関の燃料供給装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070301

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070306

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070703