JP7013782B2 - 水素吸蔵合金粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
したがって、従来の水素吸蔵合金粉末の製造方法は、急激な酸化による発熱の抑制と、水素吸蔵合金粉末の容易な製造とを両立するとは言い難かった。
希土類元素、Mg及びNiを含む希土類-Mg-Ni系の水素吸蔵合金を粉砕して水素吸蔵合金粉末を得る粉砕工程を具備し、かつ、以下の要素(1)又は(2)を満たす、水素吸蔵合金粉末の製造方法である。
(1)水を含む液体中で前記粉砕工程を行う、
(2)不活性ガス雰囲気下で、前記粉砕工程を行いかつ粉砕後の前記水素吸蔵合金粉末を水を含む液体に入れる。
(1)水を含む液体中で上記の粉砕工程を行う、
(2)不活性ガス雰囲気下で、上記の粉砕工程を行いかつ粉砕後の水素吸蔵合金粉末を水を含む液体に入れる。
より具体的には、希土類-Mg-Ni系の水素吸蔵合金は、希土類元素、Mg及びNiを含有する合金であれば良く、その組成比や含有し得るその他の元素は特に問わない。また、希土類元素の一部又は全部がCa、Sr、Sc、Y、Ti、Zr及びHfの少なくとも一種で置換されていても良い。希土類-Mg-Ni系の水素吸蔵合金としては、例えば、以下の一般式(1)で表されるものを選択することができる。
粉砕工程で用いる水系液体の量の上限値は特にないが、当該上限値を強いて設定するとすれば、粉砕工程のコストを考慮して、100質量部以下であるのが好ましい。
なお、本明細書において、水系液体とは、水を含みかつ液体であれば良く、水のみであっても良いし、水と他の材料との混合物であっても良いし、水に他の材料が溶解した水溶液であっても良い。他の材料としては、例えば、酢酸等の酸、KOH、NaOH等のアルカリ、Ni、Li、F、S、P等の元素を含有する化合物が挙げられる。更に、当該他の材料として、ニッケル金属水素化物電池用の負極に配合される負極用材料を選択しても良い。当該負極用材料としては、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、ポリビニルアルコール等のバインダとして用いられるポリマー、カーボン等の導電助剤等が挙げられる。これらの各材料は単独で水に混合し又は溶解させても良いし、複数を水に混合し又は溶解させても良い。
粗粉砕工程により得られる粗粉末の粒子径は、粉砕工程の作業効率を考慮して設定すれば良い。例えば、粗粉末の粒子径は細粉末の粒子径の1000倍以下であるのが好ましく、500倍以下であるのがより好ましく、100倍以下であるのが更に好ましい。細粉末の粒子径に対する粗粉末の粒子径の下限については特に問わないが、作業効率を考慮すると、粗粉末の粒子径は細粉末の粒子径の10倍以上であるのが好ましい。
以下、必要に応じて、Laの含有量の多い水素吸蔵合金をLa系水素吸蔵合金と称する。また、当該La系水素吸蔵合金を本発明の粉砕工程に用いて得られた水素吸蔵合金粉末を、La系水素吸蔵合金粉末と称する。また、当該La系水素吸蔵合金粉末を構成する水素吸蔵合金粒子をLa系水素吸蔵合金粒子と称する。
これは、水系液体中のLa系水素吸蔵合金粒子が、有機化合物系分散剤に由来するコート層によってコートされた状態となることに起因すると考えられる。
当該ポリマーとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ジアセチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン-マレイン酸共重合体、非架橋ポリアクリルアミド等が挙げられる。既述したように、これらポリマーを構成し得るモノマーもまた好ましく用いられる。又、その他の化合物としては、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチルフェノールエトキシレート等を挙げることができる。
例えばポリビニルアルコールであれば、重合度1000~5000、ケン化度90%以上のものを好ましく用いることができ、重合度2000~3000、ケン化度95%以上のものをより好ましく用いることができる。
また、有機化合物系分散剤は、水系液体中に0.001~5質量%含まれるのが好ましく、0.005~1質量%含まれるのがより好ましく、0.01~0.5質量%含まれるのがより好ましく、0.02~0.1質量%含まれるのが更に好ましい。
アルカリ処理工程として、具体的には、下記のa)工程を挙げ得る。好ましくは、当該a)工程後に下記のb)工程を行うのが良い。
a)水素吸蔵合金粉末を、アルカリ金属の水酸化物を溶解した第1アルカリ水溶液で処理する工程。
b)a)工程後、第1アルカリ水溶液から水素吸蔵合金粉末を分離し、アルカリ金属の水酸化物を溶解した第2アルカリ水溶液で処理する工程。
既述したように、本発明において粉砕の対象となる希土類-Mg-Ni系の水素吸蔵合金は、希土類元素、Mg及びNiを含むものであり、A2B7型の水素吸蔵合金、A5B19型の水素吸蔵合金及びAB3型の水素吸蔵合金を包含する。
a)工程が終了した時点における第1アルカリ水溶液には、水素吸蔵合金粉末から溶出した、La等の希土類元素が存在する。そして、当該希土類元素は、第1アルカリ水溶液と水素吸蔵合金粉末の分離時に、水素吸蔵合金粒子の表面に、希土類元素の水酸化物として付着し得る。
b)工程は、第1アルカリ水溶液から分離した水素吸蔵合金粒子の表面に付着した、希土類元素の水酸化物、例えば水酸化Laを、第2アルカリ水溶液で除去する工程であるといえる。希土類元素の水酸化物は中性条件下においては析出するものの、塩基性水溶液には溶解しやすいという性質を示す。b)工程は、この性質を利用したものである。
なお、本発明の水素吸蔵合金粉末の製造方法において、粉砕工程中又は粉砕工程後に、水素吸蔵合金粉末は水系液体に入れられる。このとき、水素吸蔵合金粉末は水系液体中で穏やかに酸化される。アルカリ処理工程は粉砕工程後に行われるため、c)工程による水素吸蔵合金粉末表面の酸化は、水系液体中での水素吸蔵合金粉末の穏やかな酸化の後に行われる。このため、c)工程を行う場合にも、水素吸蔵合金粉末の急激な酸化及び発熱は抑制される。
なお、本発明の水素吸蔵合金粉末の製造方法によって製造された水素吸蔵合金粉末を、水と水素吸蔵合金粉末との混合物の状態で本発明の負極の製造方法に用いる場合、及び、濾過等を経たとしても水の残存する状態で本発明の負極の製造方法に用いる場合には、特に、以下のような利点がある。
(粉砕生成物製造工程)
希土類-Mg-Ni系の水素吸蔵合金として、(Nd0.88La0.01Zr0.01Mg0.10)1.0(Ni0.95Al0.05)3.5で表されるA2B7型水素吸蔵合金を用いた。
熱処理した水素吸蔵合金のインゴットを、窒素雰囲気中で機械的に粉砕して、水素吸蔵合金の粗粉末を得た。この粗粉末の平均粒子径は100~1000μmであった。
水系液体として、ポリビニルアルコールを含む蒸留水を準備した。当該水系液体を入れた混合機に、固形分濃度が10質量%となるように、上記の粗粉砕工程で得られた水素吸蔵合金の粗粉末を入れて5分間混合した。この混合物を大気中でビーズミルに移し、当該ビーズミル中で10分間混合して水と水素吸蔵合金の細粉末とを含む粉砕生成物を得た。ビーズとしてはジルコニア製のものを用いた。ビーズミルから排出された水素吸蔵合金及び水は、循環用配管を経由して混合機に輸送され、再度ビーズミルに戻された。つまり、水素吸蔵合金及び水はビーズミルと混合機との間を循環し、水素吸蔵合金は繰り返しビーズミルにより粉砕された。以上の工程により得られた粉砕生成物は、水と、実施例1の水素吸蔵合金粉末と、を含む。実施例1の水素吸蔵合金粉末の平均粒子径は8μmであった。この粉砕生成物を濾別して、実施例1の水素吸蔵合金粉末と少量の水とを含む実施例1の粉砕濾過生成物を得た。当該実施例1の粉砕濾過生成物を以下のスラリー調製工程に供した。
実施例1の粉砕濾過生成物、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション(ジョンクリルPDX7341、BASF社製)、及び結着剤としてカルボキシメチルセルロース、及び水を含有する負極合材スラリーを製造した。実施例1の粉砕濾過生成物に含まれる実施例1の水素吸蔵合金粉末は、この負極合材スラリーにおける負極活物質である。
具体的には、実施例1の粉砕濾過生成物を固形分(つまり水素吸蔵合金粉末)として96.9質量部、導電助剤としてカーボンブラックを0.4質量部、アクリル系樹脂エマルションを固形分として2質量部、及びカルボキシメチルセルロース0.7質量部を混合し、この混合物を適量のイオン交換水に分散させて、負極合材スラリーを製造した。
負極用集電体として厚み10μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記負極合材スラリーを膜状に塗布した。負極合材スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、ニッケル箔をプレスし、接合物を得た。得られた接合物を乾燥機で70℃、1時間加熱乾燥して、負極活物質層が形成されたニッケル箔を得た。これをニッケル金属水素化物電池用の負極とした。
正極活物質として水酸化ニッケル粉末、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション(ジョンクリルPDX7341、BASF(株)製)、結着剤としてカルボキシメチルセルロース、導電助剤としてコバルト粉末、及び、添加剤として酸化イットリウムを含む正極合材スラリーを製造した。
具体的には、水酸化ニッケル粉末88.8質量部、アクリル系樹脂エマルションを固形分として5質量部、カルボキシメチルセルロース0.7質量部、コバルト粉末5質量部、及び酸化イットリウム0.5質量部を混合した。この混合物を適量のイオン交換水に分散させて、正極合材スラリーとした。
正極用集電体として厚み10μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記正極合材スラリーを膜状に塗布した。正極合材スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、ニッケル箔をプレスし、接合物を得た。得られた接合物を乾燥機で70℃、1時間加熱乾燥して、正極活物質層が形成されたニッケル箔を得た。これをニッケル金属水素化物電池用の正極とした。
実施例1の粉砕工程後にめっき処理を行う処理工程を具備すること以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2のニッケル金属水素化物電池を製造した。具体的には、処理工程においては、NiCo無電解めっき処理を行った。詳細を以下に示す。
硫酸ニッケル、硫酸コバルト、ジカルボン酸及び水を用いてめっき溶液を調製した。
先ず、NiSO4・6H2Oを1.5g、CoSO4・7H2Oを1.5g、ジカルボン酸を1.5gずつ計り取り、75gの蒸留水を加えた。これを90℃に加熱して溶液とし、更にこの溶液を80℃に保ちつつpH5となるようにNaOHを添加して、めっき溶液を得た。
還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを1.0g計り取り、100mlになるまで蒸留水を加えて、還元剤溶液を得た。
容積1Lのガラス製反応槽に、実施例1の粉砕濾過生成物を固形分として60g添加し、0.03gのポリビニルピロリドンを添加し、反応槽内の液量が400mlになるように蒸留水を加えて、スラリー状の水素吸蔵合金粒子分散液とした。
(粉砕生成物製造工程)
実施例1で用いたものと同じ水素吸蔵合金のインゴットを、窒素雰囲気中で機械的に粉砕し、平均粒子径が16μmの比較例1の水素吸蔵合金粉末を得た。比較例1の水素吸蔵合金粉末を大気に曝し、徐々に発熱させた。発熱が完了し、常温となった比較例1の水素吸蔵合金粉末を負極活物質として用い、実施例1と同様の方法で、比較例1のニッケル金属水素化物電池を製造した。
実施例1で用いたものと同じ水素吸蔵合金のインゴットを、窒素雰囲気中で機械的に粉砕し、平均粒子径が28μmの比較例2の水素吸蔵合金粉末を得た。比較例2の水素吸蔵合金粉末を比較例1と同様に発熱させた。発熱後の比較例2の水素吸蔵合金粉末を負極活物質として用い、実施例1と同様の方法で、比較例2のニッケル金属水素化物電池を製造した。
実施例1、比較例1及び比較例2の水素吸蔵合金粉末を、製造直後に大気暴露した。比較例1及び比較例2の水素吸蔵合金粉末については、水素吸蔵合金粉末を直接大気に晒し、実施例1の水素吸蔵合金粉末については、実施例1の粉砕生成物を大気中で濾別し、固形分つまり実施例1の水素吸蔵合金粉末を大気に晒した。
その結果、比較例1及び比較例2の水素吸蔵合金粉末は発熱したが、実施例1の水素吸蔵合金粉末は発熱しなかった。
この結果から、水と水素吸蔵合金粉末とを共存させる本発明の水素吸蔵合金粉末の製造方法によると、水素吸蔵合金粉末の発熱を抑制し得ることがわかる。また、実施例1の水素吸蔵合金粉末は製造直後であるにも拘わらず発熱しなかったため、本発明の水素吸蔵合金粉末の製造方法によると、長時間を要する酸化工程を行わなくても発熱し難い水素吸蔵合金粉末を製造できることがわかる。
レーザー回折式粒度分布測定装置により、実施例1、比較例1及び比較例2の水素吸蔵合金粉末の平均粒子径、最大粒子径、最小粒子径及びCV値を測定した。CV値は変動係数を指し、相対的なばらつきを表す。実施例1、比較例1及び比較例2の水素吸蔵合金粉末の各測定値を表1に示す。
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2のニッケル金属水素化物電池につき、以下の試験を行った。
また、実施例1、比較例1及び比較例2のニッケル金属水素化物電池の複素インピーダンス平面プロットに観察された円弧の大きさを基に、各ニッケル金属水素化物電池の純抵抗、反応抵抗、及び拡散抵抗を解析したところ、反応抵抗は実施例1では0.35Ω、比較例1では0.50Ω、比較例2では0.59Ωであった。この結果は、粒子径の小さな実施例1の水素吸蔵合金粉末は、ニッケル金属水素化物電池用の負極活物質として非常に有用であることを裏付ける。
走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて、実施例1の負極の断面を観察した。実施例1の負極の断面のSEM像を図1に示す。
X線光電子分光法を用いて、以下の条件で、実施例1、実施例2及び比較例2の水素吸蔵合金粉末を分析した。
X線源:単色AlKα線、電圧15kV、電流10mA
(粉砕生成物製造工程)
希土類-Mg-Ni系の水素吸蔵合金として、La含有量が26.0質量%、Ni含有量が63.7質量%であるA2B7型水素吸蔵合金を用いた。この水素吸蔵合金は、La、Sm、Mg、Ni及びAlを含有する。これらの元素の含有量比は、モル比で、(La+Sm+Mg):(Ni+Al)=1:3.7である。
熱処理した水素吸蔵合金のインゴットを、窒素雰囲気中で機械的に粉砕して、水素吸蔵合金の粗粉末を得た。この粗粉末の平均粒子径は500~1000μmであった。
ポリビニルアルコールを蒸留水に溶解させて水系液体とした。この水系液体と上記の粗粉砕工程で得られた水素吸蔵合金の粗粉末とを混合機に入れた。混合機中の水系液体と水素吸蔵合金の粗粉末との混合物は、水素吸蔵合金の粗粉末を固形分濃度で10質量%と、当該水素吸蔵合金の粗粉末100質量%に対して0.5質量%となるポリビニルアルコールと、を含む。細粉砕工程で用いたポリビニルアルコールは、重合度2300、ケン化度97%であった。
この混合物を大気中でビーズミルに移し、実施例1と同様に粉砕生成物を得た。以上の細粉砕工程により得られた粉砕生成物は、水と、水素吸蔵合金粉末と、を含む。当該水素吸蔵合金粉末の平均粒子径は8μmであった。この粉砕生成物を濾別して、水素吸蔵合金粉末と少量の水とを含む実施例3の粉砕濾過生成物を得た。当該粉砕濾過生成物を以下のアルカリ処理工程に供した。
〔a)工程〕
第1アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムを48質量%で含有する水酸化ナトリウム水溶液を準備した。大気中で攪拌しつつ、第1アルカリ水溶液50質量部に上記細粉砕工程後の粉砕濾過生成物を固形分で50質量部となる量加えて懸濁液とした。この懸濁液を110℃に加熱して1時間保持し、その後室温にまで冷却した。
第2アルカリ水溶液として、水酸化ナトリウムを0.4質量%で含有する水酸化ナトリウム水溶液を準備した。a)工程終了後の懸濁液を吸引濾過して、第1アルカリ水溶液から固形分すなわち水素吸蔵合金粉末を分離した。吸引濾過を継続した状態で、水素吸蔵合金粉末の上から第2アルカリ水溶液50質量部を注ぎ、水素吸蔵合金粉末を洗浄した。
b)工程の吸引濾過を維持した状態で、水素吸蔵合金粉末の上から水300質量部を注ぎ、水素吸蔵合金粉末を水洗した。
大気中にて、c)工程で得た濾過物全量に、5質量%の過酸化水素水50質量部を加えて20分間攪拌した。その後に吸引濾過を行い、水素吸蔵合金粉末の上から、水300質量部を注ぎ、水素吸蔵合金粉末を水洗した。d)工程で得た濾過物を、実施例3の水素吸蔵合金粉末とした。
実施例3の水素吸蔵合金粉末を97.8質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルションを固形分として1.5質量部、結着剤としてカルボキシメチルセルロース0.7質量部、及び適量のイオン交換水を混合して、負極合材スラリーを製造した。
負極用集電体として厚み20μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、上記負極合材スラリーを膜状に塗布し、負極合材スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、ニッケル箔をプレスして、集電体上に負極活物質層が形成された実施例3のニッケル金属水素化物電池用負極を得た。
正極活物質として水酸化ニッケル粉末を88.8質量部、導電助剤としてコバルト粉末を5質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルションを固形分として5質量部、結着剤としてカルボキシメチルセルロースを0.7質量部、正極添加剤として酸化イットリウム0.5質量部、及び適量のイオン交換水を混合して、正極合材スラリーを製造した。
正極用集電体として厚み20μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、上記正極合材スラリーを膜状に塗布した。正極合材スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、ニッケル箔をプレスし、集電体上に正極活物質層が形成された正極を得た。
細粉砕工程でポリビニルアルコールを含まない水系液体を用いたこと以外は、実施例3と同様に、実施例4の粉砕濾過生成物、水素吸蔵合金粉末、ニッケル金属水素化物電池用負極及びニッケル金属水素化物電池を製造した。
実施例3で用いたものと同じ水素吸蔵合金のインゴットを、窒素雰囲気中でハンマーミルを用いて機械的に粉砕し、平均粒子径が24μmの水素吸蔵合金粉末を得た。当該水素吸蔵合金粉末に実施例3と同様のアルカリ処理〔a)~d)工程〕を行って、実施例5の水素吸蔵合金粉末とした。実施例5の水素吸蔵合金粉末を用い、実施例3と同様に、実施例5のニッケル金属水素化物電池用負極及びニッケル金属水素化物電池を製造した。
実施例1で用いたものと同じ水素吸蔵合金のインゴットを用い、実施例4と同様の方法で、実施例6の粉砕濾過生成物、水素吸蔵合金粉末、ニッケル金属水素化物電池用負極及びニッケル金属水素化物電池を製造した。
実施例3、実施例4及び実施例6の粉砕濾過生成物、つまり、アルカリ処理工程前の実施例3、実施例4及び実施例6の水素吸蔵合金粉末を、ポリプロピレン製の容器に入れ、25℃で静置した。実施例4の水素吸蔵合金粉末については1週間が経過した時点で水素吸蔵合金粒子の凝集が生じた。これに対し、実施例3の水素吸蔵合金粉末では、2週間が経過した時点でも水素吸蔵合金粒子の凝集は生じなかった。実施例6の水素吸蔵合金粉末についてもまた、2週間が経過した時点でも水素吸蔵合金粒子の凝集は生じなかった。
凝集した実施例4の水素吸蔵合金粒子の表面には白色の微粒子が多く存在していた。X線光電子分光法(XPS)により組成分析を行ったところ、この微粒子は主としてLaの水酸化物と酸化物で構成されていることがわかった。
このため評価6においては、実質的に、実施例4の水素吸蔵合金粉末が有機化合物系分散剤を含まない水系液体中で保存されたのに対し、実施例3の水素吸蔵合金粉末は有機化合物系分散剤が添加された水系液体中で保存されたといえる。そしてその結果、実施例4の水素吸蔵合金粉末においては保存開始後1週間で凝集が生じたのに対し、実施例3の水素吸蔵合金粉末では保存開始後2週間が経過しても凝集が生じなかったといえる。
実施例3、実施例4及び実施例5のニッケル金属水素化物電池をSOC60%に調整し、25℃の温度下、1Cレートで5秒間放電させた。放電前後の電圧変化量及び放電時の電流値から、オームの法則に基づいて各ニッケル金属水素化物電池の放電抵抗値を算出した。当該放電抵抗値を25℃放電抵抗値と称する。評価7の結果を、後述する評価8~9の結果とともに表3に示す。なお、表3には実施例3、実施例4及び実施例5の水素吸蔵合金粉末の平均粒子径、並びに、実施例3及び実施例4の水素吸蔵合金粉末の最大粒子径、最小粒子径及びCVを併記した。
実施例3及び実施例4のニッケル金属水素化物電池をSOC60%に調整し、0℃の温度下、1Cレートで5秒間放電させた。放電前後の電圧変化量及び放電時の電流値から、オームの法則に基づいて各ニッケル金属水素化物電池の放電抵抗値を算出した。当該放電抵抗値を0℃放電抵抗と称する。評価8の結果を表3に示す。
実施例3のニッケル金属水素化物電池に用いた実施例3の水素吸蔵合金粉末は、有機化合物系分散剤を含む水系液体中で細粉砕工程を行うことで得られ、有機化合物系分散剤に由来するコート層を有する。一方、実施例4のニッケル金属水素化物電池に用いた実施例4の水素吸蔵合金粉末は、有機化合物系分散剤を含まない水系液体中で細粉砕工程を行うことで得られ、上記のコート層を有さない。コート層を有する水素吸蔵合金粒子を用いた実施例3のニッケル金属水素化物電池は、コート層を有さない水素吸蔵合金粒子を用いた実施例4のニッケル金属水素化物電池に比べて、0℃放電抵抗値が小さく、優れた出力特性を示し得ると考えられる。
実施例3及び実施例4のニッケル金属水素化物電池につき、電圧1.39VとなるSOC60%の状態に調整し、0℃で電圧0.8Vまで一定出力にて放電させ、このときの放電時間を測定した。得られた結果から、各ニッケル金属水素化物電池につき、1.39Vから0.8Vまでの放電時間が10秒間となる一定出力(W)を算出した。更に、実施例4のニッケル金属水素化物電池における当該一定出力値を100%とし、実施例3のニッケル金属水素化物電池における当該一定出力値の百分率を算出した。当該一定出力値の百分率を0℃出力率と称する。結果を表3に示す。
Claims (7)
- 希土類元素、Mg及びNiを含む希土類-Mg-Ni系でありかつLaを10質量%以上含む水素吸蔵合金を粉砕して水素吸蔵合金粉末を得る粉砕工程を具備し、かつ、以下の要素(1)又は(2)を満たす、水素吸蔵合金粉末の製造方法。
(1)水およびポリビニルアルコールを含む液体中で前記粉砕工程を行い、更に、濾過又は乾燥により前記水素吸蔵合金粉末を前記液体から分離する、
(2)不活性ガス雰囲気下で前記粉砕工程を行い、かつ、不活性ガス雰囲気下で粉砕後の前記水素吸蔵合金粉末を水およびポリビニルアルコールを含む液体に入れ、更に、濾過又は乾燥により前記水素吸蔵合金粉末を前記液体から分離する。 - 要素(1)を満たし、
前記水素吸蔵合金粉末における水素吸蔵合金粒子の平均粒子径は15μm以下であり、
最大粒子径は100μm以下であり、最小粒子径は0.1μm以上である、請求項1に記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法。 - 前記ポリビニルアルコールは、前記水およびポリビニルアルコールを含む液体中に0.001~5質量%含まれる、請求項1または請求項2に記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法。
- 前記ポリビニルアルコールは、前記水素吸蔵合金粉末100質量部に対し、0.005~30質量部添加される、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法。
- 前記ポリビニルアルコールは、重合度1000~5000、ケン化度90%以上である、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法。
- 請求項1~5の何れか一項に記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法を具備する、ニッケル金属水素化物電池用負極材料の製造方法。
- 請求項1~5の何れか一項に記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法を具備する、ニッケル金属水素化物電池用負極の製造方法。
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