JP7013218B2 - 有機el素子、有機el素子の製造方法、有機el装置 - Google Patents

有機el素子、有機el素子の製造方法、有機el装置 Download PDF

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本発明は、有機EL素子及びその製造方法に関する。特に、下部電極層と、発光層を含む複数の機能層を液相材料の塗布を用いて形成した有機EL素子と、その製造方法に関する。
有機EL素子は、EL発光能をもつ有機分子で発光層を形成した素子であり、自発光のため視野角が広く、耐衝撃性に優れるなど、ディスプレイ素子として優れた特徴を有しているため、盛んに研究、開発が進められている。有機EL素子には、積層膜の上方に光を取り出すトップエミッション型と、基板を通して光を取り出すボトムエミッション型がある。
その製造方法として、真空蒸着法、インクジェット法、印刷法、ディスペンス法などが広く研究されている。中でも、インクジェット法やディスペンス法などの塗布技術は、真空蒸着法に比べて装置が小型化でき、材料利用効率も優れるため、量産に適した技術であると期待されている。一般に、有機EL素子を製造するには、電極、発光層、中間層などの多数の層を積層する必要があるが、量産性を高めるには、なるべく多くの層を液相塗布技術により製造するのが望ましいといえる。
例えば、特許文献1には、発光層の他に、電極や正孔輸送層などを塗布で形成する方法が提案されている。
基板側の下部電極や発光層を含む複数の機能層を液相塗布技術で形成する場合は、まず基板上にバンクで囲まれた領域を形成する。そして、例えばインクジェットを用いて、バンクで囲まれた領域に下部電極や機能層の材料を含んだ液を順に塗布し、必要に応じて乾燥や焼成を行う。ここでバンクとは、付与された液が所定領域外に流出しないように所定領域を囲むように形成された仕切り壁であり、典型的には表示装置の画素に対応して設けられた隔壁である。
特開平11-329741号公報
バンクで囲まれた領域に、下部電極材料を含む液や、発光層を含む複数の機能層の材料を含む液を付与すると、バンクとそれぞれの液の親和性の違いにより、バンク側面への材料の付着の仕方に差異が生じ得る。その結果、形成された各層の平坦性や厚みの均一性が不十分になる場合がある。
そこで、バンクを単一の材料で形成するのではなく、バンクの部分毎に材料を変え、それぞれの液との親和性を調整することが考えられる。
ところで、層の材料を含む液の溶媒は水系と有機系の2種類に大別されるが、一般的に、水系より有機系の溶媒の表面張力が小さいため、有機系の溶媒の方が接触する部材との親和性が高いことが知られている。
例えば、有機系溶媒を用いた液で下層を形成し、その上に水系溶媒を用いた液で別材料の層を形成する場合に、バンクの下部には有機系溶媒との親和性が高い材料を用い、バンクの上部には水系溶媒との親和性が高い材料を用いるとする。この場合、有機系溶媒を用いた下層を形成するための液は、水系溶媒との親和性を高めたバンクの上部とも親和性が高いことになる。このため、バンクの上部に下層を形成するための液が付着すると、そのまま乾燥して、下層の材料がバンクの上部に残渣として残ってしまう場合がある。
また、少なくとも3層以上の層を液相の材料を用いて形成するためには、2層以上で水系あるいは有機系のうち同一系統の溶媒を用いる必要性がある。ある層を形成するための液と、その層に対応するバンク部分の材料との親和性が高くなるように材料選択をしたとしても、その層よりも上の層に対応する部分のバンク材料とも親和性が高いとすれば、材料の残渣がバンクの上部に残る可能性がある。
もし、電極材料あるいは機能材料を形成するための液が、バンクの上部に付着したままになってしまうと、想定外の残渣となって素子特性に影響を与え、発光輝度や効率、あるいは発光寿命を低下させてしまうという問題が生じ得る。
そこで、有機EL素子に含まれる下部電極や複数の機能層を液相材料の塗布により形成する場合に、下層の材料がバンクの上部に残滓として付着するのを抑制し得る技術が求められていた。
本発明の一態様は、基体の上に、順に第一バンク部、第二バンク部、第三バンク部、第四バンク部が積層されたバンクを形成するバンク形成工程と、前記バンクで囲まれた領域に、下部電極の材料を含む水系インクを付与する工程と、前記バンクで囲まれた領域に、第一機能層の材料を含む第一の有機溶媒系インクを付与する工程と、前記バンクで囲まれた領域に、第二機能層の材料を含む第二の有機溶媒系インクを付与する工程と、前記バンク及び前記バンクで囲まれた領域に、上部電極の材料を真空成膜法で付与する工程と、を順に行うが、前記バンク形成工程は、前記第一バンク部が、前記第二バンク部と前記第三バンク部と前記第四バンク部のいずれよりも前記水系インクとの親和性が高く、前記第二バンク部および前記第三バンク部が疎水性で、前記第二バンク部は前記第三バンク部よりも前記第一の有機溶媒系インクとの親和性が高く、前記第四バンク部は、疎水性かつ撥油性であるバンクを形成する工程であ前記第一機能層は、発光層で、前記第二機能層は、正孔注入層である、ことを特徴とする有機EL素子の製造方法である。
また、本発明の別の一態様は、基体の上に、順に第一バンク部、第二バンク部、第三バンク部、第四バンク部が積層されたバンクと、前記バンクで囲まれた領域に、前記基体の側から順に下部電極、第一機能層、第二機能層、上部電極が順に配置され、前記第一バンク部は、前記第二バンク部と前記第三バンク部と前記第四バンク部のいずれよりも水系溶媒との親和性が高く、前記第二バンク部および前記第三バンク部は疎水性で、前記第二バンク部は前記第三バンク部よりも有機系溶媒との親和性が高く、前記第四バンク部は、疎水性かつ撥油性である、有機EL素子を複数有し、複数の前記有機EL素子の各々の上部電極どうしが電気的に接続されている、ことを特徴とする有機EL装置である。
本発明によれば、有機EL素子に含まれる下部電極や複数の機能層を液相材料の塗布により形成する場合に、下層の材料がバンクの上部に残滓として付着するのを抑制し得る。このため、意図せず付着した残渣による素子特性への影響を抑制することができる。
第一の実施形態である有機EL素子の構造を示した模式的な断面図。 (a)第一の実施形態の有機EL装置の全体の斜視図。(b)有機EL素子を駆動する画素回路の例。 (a)~(e)第一の実施形態の有機EL素子の製造工程を説明するための模式図。 (a)~(d)第一の実施形態の有機EL素子の製造工程を説明するための模式図。 発光層用の有機溶媒系インクを付与した状態を示す模式的な断面図。 第三の実施形態である有機EL素子の構造を示した模式的な断面図。 (a)第四の実施形態の第五バンク部の構造を示した模式的な断面図。(b)第四の実施形態で下部電極用の水系インクを付与した状態を示す模式的な断面図。 (a)第四の実施形態で正孔注入層用の水系インクを付与した状態を示す模式的な断面図。(b)第四の実施形態で正孔注入層が形成された状態を示す模式的な断面図。
[第一の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第一の実施形態である有機EL素子と複数の有機EL素子を有する有機EL装置、および、その製造方法について説明する。
(有機EL装置の構造)
図2(a)に本発明にかかる有機EL装置の一例として、表示装置20の全体の斜視図を示す。
図2(a)に示すように、基体1の上に、有機EL素子100R、100G、100Bが複数含まれ、マトリクス状に配置されている。表示装置の場合、各有機EL素子は画素として機能する。ここでいう画素は、発光状態を制御することのできる最小単位を意味している。
各有機EL素子の発光状態は、有機EL素子ごとに設けられた画素回路によって制御される。画素回路の例を図2(b)に示す。画素回路は、制御信号を伝送する制御線11と、データ信号を伝送するデータ線12と、電源電圧が供給される電源線17と、2つのトランジスタ13、14と、容量16とを備えている。有機EL装置の不図示の端子を介して入力され、制御信号が制御線11、データ信号がデータ線12へと送られる。トランジスタ13は、データ信号に応じた電圧を容量16に保持するためのスイッチングトランジスタである。トランジスタ14は、有機EL素子の下部電極5と電気的に接続されており、容量16に保持された電圧に応じた電流を、有機EL素子100に供給する駆動用トランジスタである。
第1有機EL素子100R、第2有機EL素子100G、第3有機EL素子100Bが互いに異なる色の発光を示す場合、多色表示が可能となる。その場合、例えば、第1~第3の有機EL素子それぞれの発する色が、赤、緑、青、あるいは、黄、シアン、白であるとよい。
(有機EL素子の構造)
図1は、本発明の実施形態である有機EL素子の構造を示した模式的な断面図である。本実施形態は、トップエミッション型の有機EL素子であり、基体側から順に光反射性の下部電極、発光層を含む複数の機能層、光透過性の上部電極が積層された構造を有する素子である。
図1において、100は有機EL素子、1は基体、2は絶縁層、3はプラグ、4はバンク、5は下部電極、6は接続電極、7は駆動用トランジスタであるTFT、8は第一機能層である発光層、9は第二機能層である正孔注入層、10は上部透明電極である。41は第一バンク部、42は第二バンク部、43は第三バンク部、44は第四バンク部であり、バンク4はこれら各部が積層して構成されている。
尚、本実施形態の有機EL素子100を、ディスプレイパネルの画素や面光源のエレメント(以下の説明では、これらをまとめて画素と呼ぶ)として用いる場合には、複数の有機EL素子100を1次元あるいは2次元に配列して用いる。その場合には、配列に応じてバンク4をストライプ状や格子状のパターンにすることで、画素どうしを隔てる壁として機能させることができる。また、画素を複数有する場合に、各画素の上部透明電極10を連結させて一体の膜にして電気的に接続すれば、共通電極として用いることができる。
有機EL素子100には、水分や衝撃等の外部要因から保護するために、不図示の封止構造が設けられる。ガラス等の透湿性の低い材料を、UV硬化性樹脂やガラスフリット等の接着剤で接着した封止構造を用いることができる。また、SiNやSiO等の透湿性の低い無機膜や、樹脂膜と透湿性の低い無機膜との積層膜等で有機EL素子100を覆う封止構造を用いることもできる。本実施形態はトップエミッション型なので、ガラスやSiN等の光透過率の高い材料が好適に用いられる。
基体1は、有機EL素子100の基体であり、ガラス等の無機材料や、樹脂等の有機材料が用いられる。典型的には板状の部材であるが、基体として機能し得るものであれば形態が限られるわけではなく、たとえば変形可能なフィルムであってもよい。
絶縁層2は、基体1上に設けられた絶縁層で、典型的にはSiOなどの無機絶縁材料が用いられる。図1では、図示の便宜のため単層として示しているが、複数の層を積層してもよく、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を用いても良い。
絶縁層2は、TFT7と接続電極6の一部を覆い、上面が平坦化された絶縁層である。配線層や薄膜トランジスタ等は、図1のように基体1と絶縁層の間に設けるほか、複数の絶縁層どうしの間や、絶縁層の上に設けても良い。絶縁層は、配線層や薄膜トランジスタを電気的に絶縁する、あるいは上層のために平坦な下地を提供する、あるいは基体1の成分や水分が上層に侵入するのをブロックする、等の種々の目的で設けることができる。絶縁層2を設けた領域内の中央部には金属よりなるプラグ3が形成されており、プラグ3を囲むように絶縁層2上にはバンク4が形成されている。
金属よりなるプラグ3は、絶縁層2の中央部に設けられた導電層で、典型的にはW、Al、Ti、Mo、Taまたはこれらの合金材料が用いられる。プラグ3は、接続電極6と下部電極5とを電気的に接続するとともに、下部電極5を形成する際には下地として作用する。
TFT7は、画素を駆動するために下部電極5に電圧を印加するための薄膜トランジスタであり、接続電極6とプラグ3を介して、下部電極5と電気的に接続している。
バンク4は、基体側から順に、第一バンク部41、第二バンク部42、第三バンク部43、第四バンク部44が積層された壁で、下部電極5、発光層8、正孔注入層9を囲んでいる。バンク4は、発光領域すなわち画素を電気的に分離する構造体であると同時に、後述するように液相材料を塗布する際に画素間で材料が混合するのを防止する隔壁として機能する。
第一バンク部41は、第二バンク部42と第三バンク部43と第四バンク部44のいずれよりも水系溶媒との親和性が高い材料で形成されている。例えば、SiOをはじめとする無機酸化物が好適に用いられる。また、第二バンク部42および第三バンク部43は疎水性で、第二バンク部42は第三バンク部43よりも有機系溶媒との親和性が高い材料で形成されている。第二バンク部42は、例えばポリイミド、アクリル等の樹脂で形成され、第三バンク部43は、例えばフッ素含有ポリイミド等のフッ素含有樹脂で形成される。また、第四バンク部44は、疎水性かつ撥油性の材料が用いられ、例えばフッ素樹脂、パリレン等で形成されている。尚、本明細書において、ある液に対してA材料よりもB材料の親和性が高い、あるいは低い、というように相対比較を表現した時には、接触角の差が10度以上ある場合を指すこととし、接触角の差が10度未満の時には親和性は同等と扱うこととする。
下部電極5は、有機EL素子の片極で、Ag、Au、Cu、Al、Ni等の導電性微粒子を水系溶媒に分散したインクをバンクで囲まれた領域に塗布し、その後高温に焼成することで形成されている。下部電極5は、典型的には電子注入層として機能するとともに、発光層8で発する光のうち基体1側に向かう光を反射して光取り出し効率を向上させるためのミラーとして機能する。尚、本実施形態では、下部電極5には、その下部に配置されたプラグ3を介して電圧が印加される構成となっているが、プラグ3を用いずに電圧を印加する構成も可能である。例えば、下部電極5と接続電極6とを直接接続する構成としてもよい。
発光層8は、EL発光能を有する材料であれば何でも良く、所望の発光色に応じた蛍光性有機化合物若しくは燐光性有機化合物材料を含む。また発光層8には、ゲスト材料、ホスト材料などの複数の材料が含まれていてもよい。発光材料としては、高分子材料、中分子材料または低分子材料などが挙げられ、塗布型として用いられ得る発光材料であれば特に限定されない。例えば、ポリフルオレン、ポリフルオレンの共重合体、ポリフェニレンビニレンなどの高分子材料、オリゴフルオレンなどの中分子材料が挙げられる。また、フルオレン系、ピレン系、フルオランテン系、アントラセン系などの縮合多環化合物、イリジウムを含む金属錯体などの低分子材料も挙げられる。
発光層8は、好適には下記の高分子系材料を、トルエン、キシレン等の有機系溶媒に溶解させた有機溶媒系インクを塗布乾燥させて形成する。好適な高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体などがあげられる。
正孔注入層9は、発光層8に正孔を注入するための層で、正孔注入性を有する材料であれば何でも良く、塗布型の有機EL素子に広く用いられるPEDOT:PSSが利用できるが、特にこれに限定されるものではない。例えば、下記の高分子系材料をトルエン、キシレン等で溶解させた材料を塗布乾燥させても形成することができる。高分子系材料として、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体などがあげられる。
上部透明電極10は、有機EL素子の片極で、たとえば金属酸化物等の光透過性を備えた導電材料が用いられる。上部透明電極10は、正孔を供給するとともに光取り出し窓として機能する。上部透明電極10は、図示外の領域で、駆動回路と接続されている。上部透明電極は、例えばスパッタのような真空成膜によりITO膜を形成する方法により設けることができる。
尚、本実施形態では、上部透明電極10と下部電極5との間に、機能層として発光層8と正孔注入層9を設けたが、機能層の層構成はこの例に限られるものではない。例えば、正孔注入層を設けずに発光層のみの単層としてもよいし、正孔注入層/正孔輸送層/発光層の3層構造や、正孔注入層/発光層/電子輸送層の3層構造や、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層の4層構造でもよい。また、機能層は、上部透明電極から下部電極に向けて積層順序が逆であってもよい。尚、機能層のうち発光層以外の層を単に中間層と呼び、これらを形成する工程を中間層材料付与工程と呼ぶ場合もある。中間層として、電子や正孔の注入や輸送とは異なる機能を担う層を設けてもよい。かかる機能層に上部透明電極と下部電極から電圧を印加すると、陽極から正孔が、陰極から電子が機能層に注入され、注入された正孔と電子が発光層において再結合する際に光を放射する。
(製造方法)
次に、本実施形態の有機EL素子100の製造方法について、図3(a)~図3(e)、および図4(a)~図4(d)を参照して説明する。
まず、図3(a)に示すように、基体1を準備する。
次に、図3(b)に示す構造を形成する。すなわち、基体1上に接続電極6とTFT7を設け、その上に絶縁層2を形成する。そして、絶縁層2の中央部にスルーホールをあけて金属材料を充填し、プラグ3を形成する。さらに、CMP等の平坦化処理を行い、絶縁層2およびプラグ3の上面を平坦化させる。
次に、図3(c)に示すように、第一絶縁層241、第二絶縁層242、第三絶縁層243、第四絶縁層244を順次形成して積層する。
第一絶縁層241は、バンク4の第一バンク部41を作成するために設けられた層である。同様に、第二絶縁層242は第二バンク部42を、第三絶縁層243は第三バンク部43を、第四絶縁層244は第四バンク部44を作成するために設けられた層である。
第一絶縁層241は、第二絶縁層242、第三絶縁層243、第四絶縁層244のいずれよりも水系インクとの親和性が高い材料により形成される。例えば、SiOをはじめとする無機酸化物が好適に用いられる。
第二絶縁層242および第三絶縁層243は、疎水性の材料が用いられる。ただし、第二絶縁層242には、第三絶縁層243の材料よりも有機溶媒系インクとの親和性が高い材料が用いられる。第二絶縁層242は、例えばポリイミド、アクリル等の樹脂で形成され、第三絶縁層243は、例えばフッ素含有ポリイミドで形成される。第三絶縁層243は、例えばフッ素系材料とポリイミドが適宜の比率で混合されるように蒸着条件を制御可能な蒸着装置を用いて形成することができる。
第四絶縁層244には、疎水性かつ撥油性の材料が用いられ、例えばフッ素樹脂、パリレン等で形成される。
次に、図3(d)に示すように開口部を有するマスク25を例えばフォトリソグラフィーを用いて第四絶縁層244の上に配置する。そして、例えばリアクティブイオンエッチング26により、第一絶縁層241、第二絶縁層242、第三絶縁層243、第四絶縁層244をエッチングして開口を形成する。
開口部を形成した後にマスク25を除去することにより、図3(e)に示すように、第一バンク部41、第二バンク部42、第三バンク部43、第四バンク部44よりなるバンク4が形成される。その際、リアクティブイオンエッチングの条件や、マスク25を除去する条件を適宜選択することにより、絶縁層2やプラグ3を侵食することなく第一絶縁層~第四絶縁層をパターニングしてバンク4を形成することができる。パターニング後、材料の残渣を除去するために、UVオゾン処理やOプラズマ処理を行っても良い。
次に、図4(a)に示すように、塗布装置30を用いて、バンク4で囲まれた領域に下部電極の材料を含んだ液31を塗布する(下部電極材料付与工程)。塗布装置30としては、インクジェット装置が好適に用いられるが、ディスペンサ等の他の液相塗布装置を用いても良い。液31には、Ag、Au、Cu、Al、Ni等の導電性微粒子を水系溶媒に分散したインクを用いる。
先に述べたように、第一バンク部41は、第二バンク部42、第三バンク部43、第四バンク部44のいずれよりも水系インクとの親和性が高い材料により形成されている。このため、液31が第一バンク部41の高さで貯留できる量であれば、液滴が着弾した時に勢いで波面がバンクの斜面を駆け上がっても、重力により液面は第一バンク部41の高さに落ち着く。したがって、乾燥させても導電性微粒子が、第二バンク部42、第三バンク部43、第四バンク部44の側面に残渣として付着することはない。そこで、バンク開口底面のプラグ3と絶縁層2の露出面を覆うのに十分で、かつ第一バンク部41で貯留可能な量の液31を付与する。
必要に応じた数の液滴を付与した後、乾燥させ、100℃~200℃の適宜の温度で焼成し、図4(b)に示すように下部電極5を形成する。
次に、図4(c)に示すように、塗布装置32を用いて、バンク4で囲まれた領域に、液33を付与し、機能層である発光層8や正孔注入層9を順次形成してゆく。もちろん、形成する層ごとに、含まれる材料や溶媒が異なる液33を用いる。各層を形成するのに、同じ塗布装置32を用いてもよいし、例えば層ごとに異なるインクジェットヘッドを用いてもよい。
第一機能層として発光層8を形成するには、所望の発光色に応じた蛍光性有機化合物若しくは燐光性有機化合物をトルエン、キシレン等の有機系溶媒に溶解させた第一の有機溶媒系インクを、塗布し乾燥させる(発光材料付与工程)。また、発光層用の有機溶媒系インクには、ゲスト材料、ホスト材料などの複数の材料が含まれていてもよい。インクに含まれる発光材料としては、高分子材料、中分子材料または低分子材料などが挙げられ、塗布型に用いられ得る発光材料であれば特に限定されない。例えば、ポリフルオレン、ポリフルオレンの共重合体、ポリフェニレンビニレンなどの高分子材料、オリゴフルオレンなどの中分子材料が挙げられる。また、フルオレン系、ピレン系、フルオランテン系、アントラセン系などの縮合多環化合物、イリジウムを含む金属錯体などの低分子材料も挙げられる。発光層8は、好適には、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体などの高分子系材料を含み得る。赤色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料として赤色燐光発光イリジウム金属錯体を、ホスト材料としてポリフルオレンを含有する赤色発光層塗布液を用いる。また、緑色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料としてフルオランテン系の縮合多環化合物を、ホスト材料としてのポリフルオレンを含有する緑色発光層塗布液を用いる。また、青色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料としてピレン系の縮合多環化合物を、ホスト材料としてのオリゴフルオレンを含有する青色発光層塗布液を用いる。
発光層用の有機溶媒系インクを塗布する際には、第一バンク部41の側面はすでに下部電極5で覆われているため、インクは第二バンク部42、第三バンク部43、第四バンク部44に接触する可能性がある。先に述べたように、第二バンク部42および第三バンク部43は疎水性で、第二バンク部42は第三バンク部43よりも有機系溶媒との親和性が高い材料で形成されている。また、第四バンク部44は、疎水性かつ撥油性の材料で形成されている。このため、付与される発光層用の有機溶媒系インクが第二バンク部42の高さで貯留できる量であれば、液滴が着弾した時に勢いで波面がバンクの斜面を駆け上がっても、重力により液面は第二バンク部42の高さに落ち着く。したがって、乾燥させても発光層用の材料が、第三バンク部43と第四バンク部44の側面に残渣として付着することはない。
そこで、下部電極5を覆うのに十分で、かつ第二バンク部42で貯留可能な量の有機溶媒系インクを付与する。必要に応じた数の液滴を付与した後、乾燥させ発光層8を形成する。
第二機能層として正孔注入層9を形成するには、第二の有機溶媒系インクとして、例えば、正孔注入材料のPEDOT/PSS液を付与する(正孔注入層形成工程)。PEDOT/PSS液は好適に利用できるが、正孔注入層用のインクは特にこれに限定されるわけではなく、例えば、下記の高分子系材料をトルエン、キシレン等の有機溶媒で溶解させた液を塗布乾燥させても形成することができる。高分子系材料として、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体などがあげられる。
正孔注入層用の有機溶媒系インクを塗布する際には、第一バンク部41の側面はすでに下部電極5で、第二バンク部42の側面は発光層8で覆われているため、インクは、第三バンク部43、第四バンク部44に接触する可能性がある。先に述べたように、第三バンク部43は疎水性で、第四バンク部44は疎水性かつ撥油性の材料で形成されている。このため、付与される正孔注入層用の有機溶媒系インクが第三バンク部43の高さで貯留できる量であれば、液滴が着弾した時に勢いで波面がバンクの斜面を駆け上がっても、重力により液面は第三バンク部43の高さに落ち着く。したがって、乾燥させても正孔注入層用の材料が、第四バンク部44の側面に残渣として付着することはない。
そこで、発光層8を覆うのに十分で、かつ第三バンク部43で貯留可能な量の有機溶媒系インクを付与する。必要に応じた数の液滴を付与した後、乾燥させ正孔注入層9を形成する。
こうして機能層の形成が完了したら、例えばスパッタ成膜により機能層およびバンク4を覆うように透明導電膜で被覆し、図4(d)に示すように、上部透明電極10を形成する(上部透明電極形成工程)。上部透明電極10は、真空成膜法で形成されるため、第四バンク部44が疎水性かつ撥油性の材料であっても、問題なく成膜することが可能である。
以上により、図1に示した有機EL素子100を簡易に製造することができる。
本実施形態によれば、バンクを多層構造にして層毎にバンクの材料を変え、下部電極や各機能層を形成するのに用いる液と、それを貯留するバンク部分の材料の親和性が高くなるように配置している。すなわち、下部電極あるいはある機能層を形成するための液を貯留するためのバンク部分は、その液に対しては親和性が高いが、貯留する高さよりも上のバンク部分は、その液に対しては親和性が小さくなっている。このため、下部電極用の水系インクに含まれる材料や、各機能層用の有機溶媒系インクに含有される材料が、当該層よりも上のバンク部分に残渣として付着することを抑制することができる。このため、上方のバンク層に付着した想定外の残渣による素子特性への影響、すなわち発光輝度や効率、あるいは発光寿命の低下という問題を抑制できる。本実施形態によれば、特性が安定したトップエミッション型有機EL素子を、容易に製造することが出来る。
[第二の実施形態]
本発明の第二の実施形態であるトップエミッション型有機EL素子は、基本的には第一の実施形態と同様に、図1の構造を有している。ただし、第二の実施形態では、バンク4の第三バンク部43内のフッ素含有量を、場所によって変化させている。下側つまり基体側から、上側つまり第四バンク部側に向かうにつれて、フッ素含有量が増大するようにしている。図3(c)の製造工程で、第三絶縁層243を蒸着で形成する際に、フッ素系材料のポリイミドに対する比率が徐々に増大するように蒸着条件を制御することにより、フッ素含有量が上側に行くほど大きい第三バンク部43を形成することができる。
本実施形態によれば、発光層8を形成する際に、図5に示すように発光層用の有機溶媒系インク800を第二バンク部42で貯留できる高さ以上に付与したとしても、第三バンク部43は上側ほど親和性が低い。そのため、液面は中央部Aでは凸に盛上り、周辺部Bでは第三バンクの上側ほど接触角が大きくなる。本実施形態では、インクの液面が低下してゆく際に、第三バンクとの接触部でインク液面を下側に押さえつける力が働きやすくなるため、インクが第三バンク部の側面に残留しにくくなる。このため、発光層材料の残渣が、第三バンクより上に残りにくくなる。
[第三の実施形態]
第一の実施形態および第二の実施形態では、上部透明電極10と下部電極5との間に、機能層として発光層8と正孔注入層9を設けた。これに対して、第三の実施形態は、図6に示すように、基体側から順に、第一機能層として発光層8、第二機能層として正孔輸送層111、第三機能層として正孔注入層9、の3層を備えた構造とした。下部電極5は水系インクを用いて、発光層8および正孔輸送層111は有機系溶媒のインクを用いて、正孔注入層9は水系溶媒のインクを用いて、塗布法で形成する。
本実施形態のバンク4は、基体側から順に、第一バンク部41、第二バンク部42、第三バンク部43、第五バンク部45、第四バンク部44が積層された5層構造とした。第一バンク部41、第二バンク部42、第三バンク部43、第四バンク部44は、第一の実施形態と同様の材料であり、第三バンク部43と第四バンク部44の間に挿入した第五バンク部45は、親水撥油材料で形成する。第五バンク部45は、例えば、三菱マテリアルトレーディングから販売されているエフロンテイアA0110を用いることが出来る。かかる材料で形成された第五バンク部45は、有機溶媒系インクとの親和性が低い一方で、水系インクに対しては接触時間が経過するとともに徐々に親和性が高くなっていく特性がある。
したがって、下部電極5の材料を水系インクで塗布する時点では、第五バンク部45は未だ水系インクに対する親和性が高くないため、材料が付着することはない。次に、発光層8および正孔輸送層111の材料を有機溶媒系インクを用いて塗布する際には、第五バンク部45は撥油性であるため、材料が付着することはない。そして、正孔注入層9の材料を水系溶媒のインクを用いて塗布する際には、貯留状態にある間に第五バンク部45との親和性が高まり均一に濡れるため、正孔注入層9が形成できる。
以上のように、本実施形態では、2種の水系インクと2種の有機溶媒系インクを用いてトップエミッション型有機EL素子を作成するが、形成する層よりも上のバンク部分に残渣が付着することを抑制することができる。特に、多層の機能層を有するトップエミッション型有機EL素子を作成するために、2種以上の水系インクを用いる場合に、本実施形態のように、接触時間が経過するとともに徐々に親和性が高くなっていくバンクを上側に配置するのが好適である。
[第四の実施形態]
第四の実施形態は、第三の実施形態と同様に、図6に示すように、機能層は、上から順に正孔注入層9、正孔輸送層111、発光層8の3層を備えた構造とした。下部電極5は水系インクを用いて、発光層8および正孔輸送層111は有機系溶媒のインクを用いて、正孔注入層9は水系溶媒のインクを用いて、塗布法で形成する。
本実施形態のバンク4は、基体側から順に、第一バンク部41、第二バンク部42、第三バンク部43、第五バンク部45、第四バンク部44が積層された5層構造とした。第一バンク部41、第二バンク部42、第三バンク部43、第四バンク部44は、第一の実施形態と同様の材料である。第三バンク部43と第四バンク部44の間に挿入した第五バンク部45は、基本的には親水撥油特性を有するが、水系インクに対しては接触時間が経過するとともに徐々に親和性が高くなっていく特性とする。第三の実施形態では、第五バンク部45を単一の材料で形成したのに対し、第四の実施形態では2種の材料を交互に積層し、一方の材料層が他方の材料層よりも突出した構造とする。
図7(a)は、本実施形態の第五バンク部45の構造を説明するために、バンク4の片側の一部を模式的に示した断面図である。図示のように、第五バンク部45は、水系インクおよび有機溶媒系インクの両方に対して親和性が低い疎水撥油層452と、水系インクおよび有機溶媒系インクに対して親和性が高い親水親油層451とが交互に積層した構造を有している。疎水撥油層452は、親水親油層451よりも、インクに対する接触角が10度以上大きい材料で形成されている。例えば、疎水撥油層452はフッ素樹脂で、親水親油層451はアクリルで形成する。
インクが付与される側の面、すなわち図中左側の斜面では、親水親油層451は疎水撥油層452よりもC方向に後退している。すなわち、疎水撥油層452の凸部PRはその側面、上面、下面が露出しており、親水親油層451は凹部COの奥で側面が露出している。例えば、一層の厚みが20nm~30nmの疎水撥油層452および親水親油層451を合計で4層~10層交互に積層し、親水親油層451が凹部COにおいてC方向に数10nm後退している構造が好適である。
かかる構造を形成するには、図3(c)に示したのと同様に、あらかじめ親水親油層451と疎水撥油層452を形成するための層を交互に積層しておき、図3(d)に示すように積層体をエッチングして開口を形成する。その際、エッチングレートの違いを利用して凸部PRと凹部COが形成されるようにする。あるいは、開口形成時には凸部PRと凹部COを形成しなくても、その後に窒素含有雰囲気中でプラズマ処理を行うことによりアクリルをエッチングして後退させ、凹部COを形成してもよい。アクリル表面は、窒素プラズマでエッチング可能であると同時に、親水親油化処理することが可能である。
尚、後述する下部電極用のインクを塗布した後の加熱焼成時に水素窒素含有雰囲気中でのプラズマ処理を行ってもよい。その場合には、下部電極表面の導電性微粒子表面の酸化層を水素プラズマにより還元でき、下部電極の電気抵抗を下げることができる利点もある。
バンク形成後、第三の実施形態と同様に、下部電極5を水系インクを用いて、発光層8および正孔輸送層111を有機系溶媒のインクを用いて、正孔注入層9を水系溶媒のインクを用いて、塗布法で形成する。
まず、下部電極5の材料を水系インクで付与する際には、図4(a)と同様にバンク開口底面のプラグ3と絶縁層2の露出面を覆うのに十分で、かつ第一バンク部41で貯留可能な量の液31を付与する。液滴が着弾した時には、勢いで波面がバンクの斜面を駆け上がることも起き得るが、液31は、第一バンク部41で貯留可能な液量である。このため、図7(b)に示すように、斜面を駆け上がった液31は、重力により直ちに斜面に沿ってD方向に移動しようとはするが、C方向に押され続けられることはない。よって、液31は、第五バンク部45の凸部PRの疎水撥油層452には接するが、凹部COには浸入せず、親水親油層451に接することはない。
本実施形態においても、第二バンク部42、第三バンク部43、第四バンク部44と同様に、第五バンク部45に、下部電極5の材料が残渣として付着することはない。また、発光層8および正孔輸送層111の材料を有機系溶媒のインクを用いて塗布する際も、同様に液が凹部COには浸入しないため、第五バンク部45に材料が残渣として付着することはない。
次に、本実施形態では、正孔注入層9の材料を水系のインクを用いて塗布する。図8(a)に示すように、塗布直後には液33は第五バンク部45の凹部COには入り込んでいないが、F方向の力を受け続けることにより徐々に凹部CO内をC方向に進む。そして、液33の先端が親水親油層451に接すると、親和性が高いため液33は第五バンク部45の側面全体に濡れ広がる。そのまま液33を乾燥させると、図8(b)に示すように、凹部CO内まで正孔注入材料が入り込んだ正孔注入層9が形成される。
以上のように、本実施形態では、2種の水系インクと2種の有機溶媒系インクを用いてトップエミッション型有機EL素子を作成するが、形成する層よりも上のバンク部分に残渣が付着することを抑制することができる。特に、多層の機能層を有するトップエミッション型有機EL素子を作成するために、2種以上の水系インクを用いる場合に、接触時間が経過するとともに徐々に親和性が高くなっていくバンクを上側に配置するのが好適である。
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、上述した第一~第四の実施形態に限られるものではなく、適宜変更したり、組み合わせたりすることが可能である。
例えば、上部電極と下部電極の間には、電子や正孔の注入や輸送と異なる機能の層を、液層材料の塗布により、さらに設けてもよい。
また、有機EL素子は、積層膜の上方に光を取り出すトップエミッション型に限らず、基体を通して光を取り出すボトムエミッション型であってもよい。その場合には、例えば、下部電極は透明な導電体の微粒子を含んだ水系インクを塗布して形成し、上部電極は光反射性の金属を真空成膜で形成してもよい。また、下部電極の下にプラグや接続電極を配置せず、光路を遮らない位置で下部電極とTFTを電気的に接続するのがよい。ボトムエミッション型であっても、本発明を実施すれば、インクを用いて形成する層よりも上のバンク部分に残渣が付着することを抑制することができる。
1・・・基体/2・・・絶縁層/3・・・プラグ/4・・・バンク/5・・・下部電極/6・・・接続電極/7・・・TFT/8・・・発光層/9・・・正孔注入層/10・・・上部透明電極/30・・・塗布装置/31・・・下部電極の材料を含んだ液/32・・・塗布装置/33・・・機能層の材料を含んだ液/41・・・第一バンク部/42・・・第二バンク部/43・・・第三バンク部/44・・・第四バンク部/45・・・第五バンク部/241・・・第一絶縁層/242・・・第二絶縁層/243・・・第三絶縁層/244・・・第四絶縁層/451・・・親水親油層/452・・・疎水撥油層/800・・・発光層用の有機溶媒系インク/A・・・液面の中央部/B・・・液面の周辺部/CO・・・凹部/PR・・・凸部

Claims (15)

  1. 基体の上に、順に第一バンク部、第二バンク部、第三バンク部、第四バンク部が積層されたバンクを形成するバンク形成工程と、
    前記バンクで囲まれた領域に、下部電極の材料を含む水系インクを付与する工程と、
    前記バンクで囲まれた領域に、第一機能層の材料を含む第一の有機溶媒系インクを付与する工程と、
    前記バンクで囲まれた領域に、第二機能層の材料を含む第二の有機溶媒系インクを付与する工程と、
    前記バンク及び前記バンクで囲まれた領域に、上部電極の材料を真空成膜法で付与する工程と、を順に行うが、
    前記バンク形成工程は、
    前記第一バンク部が、前記第二バンク部と前記第三バンク部と前記第四バンク部のいずれよりも前記水系インクとの親和性が高く、
    前記第二バンク部および前記第三バンク部が疎水性で、
    前記第二バンク部は前記第三バンク部よりも前記第一の有機溶媒系インクとの親和性が高く、
    前記第四バンク部は、疎水性かつ撥油性であるバンクを形成する工程であ
    前記第一機能層は、発光層で、
    前記第二機能層は、正孔注入層である、
    ことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 基体の上に、順に第一バンク部、第二バンク部、第三バンク部、第四バンク部が積層されたバンクを形成するバンク形成工程と、
    前記バンクで囲まれた領域に、下部電極の材料を含む水系インクを付与する工程と、
    前記バンクで囲まれた領域に、第一機能層の材料を含む第一の有機溶媒系インクを付与する工程と、
    前記バンクで囲まれた領域に、第二機能層の材料を含む第二の有機溶媒系インクを付与する工程と、
    前記バンク及び前記バンクで囲まれた領域に、上部電極の材料を真空成膜法で付与する工程と、を順に行うが、
    前記バンク形成工程は、
    前記第一バンク部が、前記第二バンク部と前記第三バンク部と前記第四バンク部のいずれよりも前記水系インクとの親和性が高く、
    前記第二バンク部および前記第三バンク部が疎水性で、
    前記第二バンク部は前記第三バンク部よりも前記第一の有機溶媒系インクとの親和性が高く、
    前記第四バンク部は、疎水性かつ撥油性であるバンクを形成する工程であり、
    前記バンク形成工程は、前記第三バンク部と前記第四バンク部の間に、有機系溶媒との親和性が低く、水系溶媒と接触すると親和性が時間の経過と共に増大する第五バンク部を形成する工程を含み、
    第二機能層の材料を含む第二の有機溶媒系インクを付与する前記工程と、上部電極の材料を真空成膜法で付与する前記工程の間に、第三機能層の材料を含む水系インクを付与する工程を行う、
    ことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  3. 基体の上に、順に第一バンク部、第二バンク部、第三バンク部、第四バンク部が積層されたバンクを形成するバンク形成工程と、
    前記バンクで囲まれた領域に、下部電極の材料を含む水系インクを付与する工程と、
    前記バンクで囲まれた領域に、第一機能層の材料を含む第一の有機溶媒系インクを付与する工程と、
    前記バンクで囲まれた領域に、第二機能層の材料を含む第二の有機溶媒系インクを付与する工程と、
    前記バンク及び前記バンクで囲まれた領域に、上部電極の材料を真空成膜法で付与する工程と、を順に行うが、
    前記バンク形成工程は、
    前記第一バンク部が、前記第二バンク部と前記第三バンク部と前記第四バンク部のいずれよりも前記水系インクとの親和性が高く、
    前記第二バンク部および前記第三バンク部が疎水性で、
    前記第二バンク部は前記第三バンク部よりも前記第一の有機溶媒系インクとの親和性が高く、
    前記第四バンク部は、疎水性かつ撥油性であるバンクを形成する工程であり、
    前記バンク形成工程は、水系溶媒および有機系溶媒との親和性が高い親水親油層と水系溶媒および有機系溶媒との親和性が低い疎水撥油層とが交互に積層され、前記疎水撥油層が前記親水親油層よりも突出した第五バンク部を、前記第三バンク部と前記第四バンク部の間に形成する工程を含み、
    第二機能層の材料を含む第二の有機溶媒系インクを付与する前記工程と、上部電極の材料を真空成膜法で付与する前記工程の間に、第三機能層の材料を含む水系インクを付与する工程を行う、
    ことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  4. 前記バンク形成工程において、
    前記第一バンク部は無機材料で形成され、
    前記第二バンク部は樹脂材料で形成され、
    前記第三バンク部はフッ素含有樹脂で形成され、
    前記第四バンク部は前記第三バンク部よりもフッ素含有量が大きいフッ素含有樹脂で形成される、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記バンク形成工程において、
    前記第三バンク部は、前記基体に近い部分よりも前記第四バンクに近い部分においてフッ素の含有量が大きくなるように形成される、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  6. 前記第一機能層は、発光層で、
    前記第二機能層は、正孔注入層である、
    ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  7. 前記第一機能層は、発光層で、
    前記第二機能層は、正孔輸送層で、
    前記第三機能層は、正孔注入層である、
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 基体の上に、順に第一バンク部、第二バンク部、第三バンク部、第四バンク部が積層されたバンクと、
    前記バンクで囲まれた領域に、前記基体の側から順に下部電極、第一機能層、第二機能層、上部電極が順に配置され、
    前記第一バンク部は、前記第二バンク部と前記第三バンク部と前記第四バンク部のいずれよりも水系溶媒との親和性が高く、
    前記第二バンク部および前記第三バンク部は疎水性で、
    前記第二バンク部は前記第三バンク部よりも有機系溶媒との親和性が高く、
    前記第四バンク部は、疎水性かつ撥油性である有機EL素子を複数有し、
    複数の前記有機EL素子の各々の上部電極どうしが電気的に接続されている、
    ことを特徴とする有機EL装置
  9. 基体の上に、順に第一バンク部、第二バンク部、第三バンク部、第四バンク部が積層されたバンクと、
    前記バンクで囲まれた領域に、前記基体の側から順に下部電極、第一機能層、第二機能層、上部電極が順に配置され、
    前記第一バンク部は、前記第二バンク部と前記第三バンク部と前記第四バンク部のいずれよりも水系溶媒との親和性が高く、
    前記第二バンク部および前記第三バンク部は疎水性で、
    前記第二バンク部は前記第三バンク部よりも有機系溶媒との親和性が高く、
    前記第四バンク部は、疎水性かつ撥油性であり、
    前記バンクは、前記第三バンク部と前記第四バンク部の間に、有機系溶媒との親和性が低く、水系溶媒と接触すると親和性が時間の経過と共に増大する第五バンク部を含み、
    前記第二機能層と前記上部電極の間に、第三機能層を有する、
    ことを特徴とする有機EL素子。
  10. 基体の上に、順に第一バンク部、第二バンク部、第三バンク部、第四バンク部が積層されたバンクと、
    前記バンクで囲まれた領域に、前記基体の側から順に下部電極、第一機能層、第二機能層、上部電極が順に配置され、
    前記第一バンク部は、前記第二バンク部と前記第三バンク部と前記第四バンク部のいずれよりも水系溶媒との親和性が高く、
    前記第二バンク部および前記第三バンク部は疎水性で、
    前記第二バンク部は前記第三バンク部よりも有機系溶媒との親和性が高く、
    前記第四バンク部は、疎水性かつ撥油性であり、
    前記バンクは、前記第三バンク部と前記第四バンク部の間に、水系溶媒および有機系溶媒との親和性が高い親水親油層と水系溶媒および有機系溶媒との親和性が低い疎水撥油層とが交互に積層され、前記疎水撥油層が前記親水親油層よりも突出した第五バンク部を含み、
    前記第二機能層と前記上部電極の間に、第三機能層を有する、
    ことを特徴とする有機EL素子。
  11. 前記第一機能層は、発光層で、
    前記第二機能層は、正孔注入層である、
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の有機EL素子。
  12. 前記第一機能層は、発光層で、
    前記第二機能層は、正孔輸送層で、
    前記第三機能層は、正孔注入層である、
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の有機EL素子。
  13. 請求項乃至12のいずれか1項に記載の有機EL素子を複数有し、各有機EL素子の上部電極どうしが電気的に接続されている、
    ことを特徴とする有機EL装置。
  14. 前記第一機能層は、発光層で、
    前記第二機能層は、正孔注入層である、
    ことを特徴とする請求項8に記載の有機EL装置。
  15. 複数の前記有機EL素子は、互いに異なる発光色を発する有機EL素子を含む、
    ことを特徴とする請求項8、13、14のいずれか1項に記載の有機EL装置。
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