以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
<実施形態>
本実施形態は、前記した課題以外に、後記する<洗濯機の主な特徴>の章で説明するような課題が従来の洗濯機にあったため、その課題を解決することが考慮された洗濯機を提供することを意図している。
なお、本実施形態に係る洗濯機1は、以下のような構成上の特徴を有している。
(1)洗濯機1は、使用者の立ち位置に近い場所である筐体11の前方上部に、洗濯処理液投入装置30を搭載している(図4及び図5参照)。
(2)洗濯機1は、乾燥ユニット71から遠い場所である筐体の前方上部に、洗濯処理液投入装置を搭載している(図4参照)。
(3)洗濯機1は、操作パネル14よりも使用者の立ち位置に近い場所に洗濯処理液投入装置30を搭載している(図4参照)。
(4)洗濯機1は、外槽22よりも前方(外側)に洗濯処理液投入装置30を搭載している(図4参照)。
(5)洗濯機1は、第1投入部31(手動投入部)よりも使用者の立ち位置に近い場所に洗濯処理液投入装置30を搭載している(図4参照)。
(6)洗濯機1は、洗濯処理液投入装置30の第2投入部32(自動投入部)を前から後に向けて開く構造になっている(図12参照)。
<洗濯機の外部構成>
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態に係る洗濯機1の外部構成について説明する。図1は、本実施形態に係る洗濯機1の外部構成を示す斜視図である。図2は、洗濯機1の構成を示す正面図である。図3は、斜め上前方から見た洗濯機1の構成を示す構成図である。
ここでは、洗濯機1が洗濯対象物(布類)の乾燥機能を有する洗濯乾燥機であるものとして説明する。ただし、洗濯機1は、乾燥機能を有していないものであってもよい。また、ここでは、洗濯機1が筺体の内部に縦型の水槽が配置された縦型洗濯機であるものとして説明する。ただし、洗濯機1は、ドラム型洗濯機であってもよい。
また、後記する第1投入部31(投入口)は、使用者が手動で洗濯処理液を後記する水槽21(洗濯兼脱水槽)に投入する手動投入部であるものとして説明する。また、後記する第2投入部32(投入口)は、洗濯処理液を後記する洗濯処理液投入装置30に投入する自動投入部であるものとして説明する。ただし、後記する第2投入部32は、必ずしも洗濯処理液投入装置30に投入する自動投入部でなくてもよい。
図1に示すように、洗濯機1は、筐体11の上面に、それぞれ開閉自在な上面カバー12と、外フタ13と、タンク収納フタ15とを備えている。また、本実施形態では、洗濯機1は、筐体11の前面に、取り外し可能な前面パネル16を備えている。上面カバー12は、筐体11の後方上面に配置されている。外フタ13は、筐体11の中央上面に配置されている。タンク収納フタ15は、筐体11の前方上面に配置されている。外フタ13の上面には、洗濯機1を操作するための操作パネル14が設けられている。
図2と図3は、それぞれ、外フタ13とタンク収納フタ15を開けた状態を示している。図2は、正面から見たから見た洗濯機1の構成を示しており、図3は、斜め上前方から見た洗濯機1の構成を示している。
図2及び図3に示すように、洗濯機1は、外フタ13を開けると、筐体11の内部に開口部11aが設けられている。その開口部11aの内部には、洗濯対象物(布類)が投入される洗濯兼脱水槽として機能する水槽21が配置されている。また、図3に示すように、水槽21の周囲には、1回分の洗濯処理液を水槽21(洗濯兼脱水槽)に投入する際に用いられる第1投入部31が配置されている。第1投入部31は、使用者が手動で液状の洗剤や柔軟剤(仕上剤)等の洗濯処理液を水槽21(洗濯兼脱水槽)に投入するための手動投入部として機能する。図示例では、第1投入部31(手動投入部)は、筐体11の左前方上部で、かつ、水槽21(洗濯兼脱水槽)の外側の場所に配置されている。
また、洗濯機1は、タンク収納フタ15を開けると、筐体11の内部に、洗濯処理液投入装置30のタンク42が配置されている。洗濯処理液投入装置30は、タンク42に収容された洗濯処理液を計量して適量の洗濯処理液を水槽21(洗濯兼脱水槽)に自動で投入する装置である。洗濯処理液投入装置30は、複数回分の洗濯処理液を収容するタンク42と、洗濯処理液を搬送する搬送ポンプ46(図4及び図5参照)と、を備えている。搬送ポンプ46(図4及び図5参照)は、タンク42に収容された洗濯処理液を計量してタンク42の内部から1回分の洗濯処理液を外部に搬送する搬送手段として機能する。
タンク42は、筐体11の前方上部で、かつ、第1投入部31(手動投入部)よりも前方の場所に配置されている。図示例では、洗剤用と柔軟剤(仕上剤)用との2つのタンク42a,42bが配置されている。これにより、洗濯機1は、洗剤用と柔軟剤(仕上剤)とを水槽21に自動投入することができる。タンク42には、洗濯処理液をタンク42に収容する際に用いられる第2投入部32が設けられている。第2投入部32は、洗濯処理液投入装置30で洗濯処理液を水槽21(洗濯兼脱水槽)に自動で投入するための自動投入部として機能する。第2投入部32は、投入口フタ43aで封止されている。例えば、タンク42aには、洗剤投入用の第2投入部32aが設けられ、投入口フタ43aで封止されている。また、タンク42bには、柔軟剤投入用の第2投入部32bが設けられ、投入口フタ43aで封止されている。
第2投入部32は、洗濯処理液投入装置30のタンク42に収容される洗濯処理液を投入するための投入部(自動投入部)である。なお、前記した通り、タンク42は、筐体11の前方上部で、かつ、第1投入部31(手動投入部)よりも前方の場所に配置されている。したがって、第2投入部32(自動投入部)も、タンク42と同様に、筐体11の前方上部で、かつ、第1投入部31(手動投入部)よりも前方の場所に配置されている。
<洗濯機の内部構成>
以下、図4及び図5を参照して、洗濯機1の内部構成について説明する。図4は、洗濯機1の内部構成を示す模式図である。図5は、洗濯機1の前面パネルを取り外した状態を示す斜視図である。
図4に示すように、洗濯機1は、筐体11の内部に、外槽22を備えており、さらにその内部に水槽21(洗濯兼脱水槽)を備えている。
外槽22は、上面部に設けられた外槽カバー22aと、外槽カバー22aに設けられた開口部を封止するフタ部材22bと、底部に他の部位よりも落とし込むようにして設けられた落とし込み部22cと、を有している。
水槽21(洗濯兼脱水槽)は、上面が開放された有底の円筒形状を呈している。水槽21は、円筒の胴体部分を構成する胴板21aと、水槽21の底部で回転する回転翼21bと、水槽21のバランスを維持するバランスリング21cと、を有している。胴板21aには、通水及び通風のための、複数の貫通孔21aaが形成されている。バランスリング21cは、内部に流体が封止された流体バランサとなっている。
洗濯機1は、水槽21及び回転翼21bを回転駆動するための駆動装置23と、駆動装置23の動作を検出するための回転検出装置24及びモータ電流検出装置25と、を備えている。駆動装置23は、水槽21及び回転翼21bを回転させるモータ23aと、水槽21及び回転翼21bの回転モード(攪拌,脱水)を規定するクラッチ機構23bと、回転翼21bに連結された回転軸23cと、を有している。回転軸23cは、上面視において水槽21の中心に配置されている。
また、洗濯機1は、筐体11の後方上部に、水槽21に水を供給するための給水手段である給水ユニット20と、空気を加熱して乾燥風を得るための乾燥ユニット71(ヒータ)と、乾燥風を循環させるためのファン72、送風ダクト73、及び乾燥ダクト81と、備えている。
送風ダクト73は、ファン72と吹出ノズル74との間に配置されており、その途中部分に乾燥ユニット71(ヒータ)が配置されている。送風ダクト73は、蛇腹管73aで吹出ノズル74に接続されている。吹出ノズル74は、ファン72によって送られ乾燥ユニット71で加熱された乾燥風を、外槽22の内部に吹き出す。乾燥ダクト81は、外槽22とファン72との間に配置されている。乾燥ダクト81は、蛇腹管81aで外槽22の落とし込み部22cと接続されており,内部に除湿機構を有している。
係る構成において、洗濯機1は、例えば、洗濯工程時やすすぎ工程時に、水槽21(洗濯兼脱水槽)が水で浸されるように、給水ユニット20(給水手段)から外槽22に水を供給する。また、洗濯機1は、例えば、乾燥工程時に、ファン72を回転させて空気を送風ダクト73に送り、乾燥ユニット71で空気を加熱して乾燥風を得て、乾燥風を外槽22及び水槽21の内部を通過させる。これにより、洗濯機1は、水槽21の内部に収容された洗濯対象物(布類)を乾燥させる。そして、洗濯機1は、外槽22及び水槽21の内部を通過した空気をファン72で乾燥ダクト81から送風ダクト73に送り込み、同様の動作を繰り返す。
また、図4に示すように、洗濯機1は、注水ホース51aと、投入ホース54aと、洗浄ホース61aと、を備えている。注水ホース51aは、給水ユニット20から外槽22に水を流すホースである。投入ホース54aは、第1投入部31(手動投入部)から外槽22に水を流すホースである。洗浄ホース61aは、水槽21や外槽22等の洗浄時に、給水ユニット20から外槽22に水を流すホースである。注水ホース51aは、後記する第1給水経路51(図6参照)の一部分を構成している。投入ホース54aは、後記する投入経路54(図6参照)の一部分を構成している。洗浄ホース61aは、後記する第1洗浄経路61(図6参照)の一部分を構成している。
また、洗濯機1は、水を排出する排出経路63と、排出経路63を開閉する排水弁65と、を備えている。
また、洗濯機1は、筐体11の前方上部にタンク42を収容するケース41を備えている。タンク42は、上下方向に移動させることによって、ケース41に対して、取り外し及び取り付けが自在な構造になっている。なお、ケース41は、洗剤と柔軟剤を水槽21に自動投入することができるように、好ましくは、少なくとも洗剤用と柔軟剤用の2つ以上のタンク42を収容する構造になっているとよい。
図5に示すように、ケース41は、正面視形状が横長な矩形状で、かつ、側面視形状が縦長な矩形状を呈している。したがって、ケース41は、全体形状が奥行き方向に薄い略直方体の形状を呈している。ケース41は、前面パネル16(図4参照)の内壁面に沿って上下方向に延在するように配置されている。ケース41の下方には、搬送ポンプ46が配置されている。
ケース41及びタンク42のいずれか一方又は双方は、好ましくは、水槽21との間にタンク42に収容された洗濯処理液の振動を抑制する抑制手段として機能する制振部材45(図4参照)を有しているとよい。これにより、洗濯機1は、駆動装置23等から伝播する振動によって、タンク42に収容された洗濯処理液が揺れて飛び跳ねることを抑制することができる。
なお、ケース41は、筐体11の前方上部に取り付けられており、前面パネル16の内壁面と筐体11との間で挟み込まれるように配置されている。そのため、洗濯機1は、仮に制振部材45(図4参照)がなかったとしても、タンク42に収容された洗濯処理液の揺れを抑制することができる。しかしながら、洗濯機1は、制振部材45(図4参照)を設けることにより、さらに効率よくタンク42に収容された洗濯処理液の揺れを抑制することができる。
係る構成において、洗濯処理液投入装置30の第2投入部32及びタンク42は、水槽21の中心(例えば、回転軸23c(図4参照)で連結している部位)よりも前方に配置されている。また、乾燥ユニット71(ヒータ)は、第2投入部32及びタンク42から離間するように、水槽21の中心よりも後方に配置されている。
外槽22には、空圧チャンバ28aが設けられており、その上側には、外槽22に溜められた洗濯水の水位を検出する水位センサ28を備えている。送風ダクト73には、乾燥運転中に水槽21内に向けて吹き出される風の温度を検出する温度センサ26aを備えている。外槽22の落とし込み部22cには、洗濯水の温度や、乾燥運転中に乾燥ダクト81に吸い込まれる空気の温度を検出する温度センサ26bを備えている。落とし込み部22cと排水弁65の間には、洗濯水の温度や、乾燥運転中に排出経路63から機外に排出される冷却水の温度を検出する温度センサ26cを備えている。外槽22の側面上部には、外槽22の振動による振動加速度を検知する加速度センサ27を備えている。なお、水位センサ28、温度センサ26a、26b、26c、加速度センサ27で検出された信号は、制御装置100に送信される。
水質センサ35(電導度検出手段)は、洗濯前の水道水や洗濯(洗い、すすぎ、脱水)時に洗濯液の電導度を検出するものであり、外槽22の底壁部22dの外周縁部に配置される。また、この水質センサ35は、合成樹脂製のベース、一対の電極36A、36Bを備えて構成されており、水質センサ35の溝部が、外槽22の径方向S(法線方向)に延びるように配置される。
外槽22の周壁部22eから水質センサ35の溝部を通って外槽22の底壁部22dに至る面は、ほぼ連続した面となるように構成されている。例えば、洗濯運転時の脱水工程において、水槽21の貫通孔21aaから外槽22に排出されたすすぎ水の一部は、外槽22の周壁部22eを沿って流れ落ち、水質センサ35の溝部、外槽22の底壁部22dを流れるようになっている。
<配管経路の構成>
以下、図6を参照して、洗濯機1の配管経路の構成について説明する。図6は、洗濯機1の配管経路を示す模式図である。
図6に示すように、洗濯機1は、洗濯対象物(布類)の洗濯時に使用する配管経路として、第1給水経路51と、第2給水経路52と、搬送経路53と、投入経路54と、を備えている。
第1給水経路51は、給水ユニット20と第1投入部31とを結び、給水ユニット20から第1投入部31に水を供給する。
第2給水経路52は、第1給水経路51の途中部分と搬送経路53とを結び、第1給水経路51を介して給水ユニット20から搬送経路53に水を供給する。
搬送経路53は、タンク42と第1投入部31とを結び、タンク42から搬送ポンプ46を介して排出された洗濯処理液を搬送する。
投入経路54は、第1投入部31と水槽21(外槽22)とを結び、第1投入部31から水槽21に洗濯処理液及び水を投入する。
第2給水経路52と搬送経路53の接続箇所には、切替弁64が配置されている。切替弁64は、流体の流れを切り替える切替手段である。切替弁64(切替手段)は、タンク42から搬送経路53に洗濯処理液を流す方向と第2給水経路52から搬送経路53に水を流す方向とのいずれか一方に選択的に切り替える。
また、搬送経路53の経路上には、搬送ポンプ46と、流体の逆流を防止する逆止弁47a,47bとが配置されている。逆止弁47a,47bは、それぞれ、搬送ポンプ46の上流側(タンク42側)と下流側(第1投入部31側)とに配置されている。
また、洗濯機1は、水槽21や外槽22、ケース41等の洗浄時に使用する配管経路として、第1洗浄経路61と、第2洗浄経路62と、排出経路63と、を備えている。
第1洗浄経路61は、給水ユニット20と第1投入部31とを結び、給水ユニット20から第1投入部31に洗浄用の水を供給する。
第2洗浄経路62は、第1洗浄経路61の途中部分とケース41とを結び、第1洗浄経路61を介して給水ユニット20からケース41に洗浄用の水を供給する。
排出経路63は、ケース41と排水口66とを結び、ケース41から排水する。
排出経路63は、ケース41と乾燥ダクト81とを接続する排水管63aと、乾燥ダクト81と外槽22とを接続する排水管63bと、外槽22に設けられた排水弁65と排水口66とを接続する排水管63cと、で構成されている。
外槽22には排水弁65が設けられている。洗濯機1は、排水弁65を開放することにより、排水管63cを経由して洗濯処理液及び水を排水口66から外部に排出する。
このような洗濯機1は、自動投入を行う場合に(すなわち、洗濯処理液投入装置30で洗濯処理液を水槽21に投入する場合に)、タンク42に収容された洗濯処理液を、搬送経路53を通ってタンク42から第1投入部31に搬送する。そして、洗濯機1は、搬送した洗濯処理液を、投入経路54を通って第1投入部31から水槽21に投入することができる。そのため、洗濯機1は、手動投入時及び自動投入時に拘わらず洗濯処理液が第1投入部31を通過するため、第1投入部31に水を通過させることにより、洗剤投入時に使用する水量を低減することができる。
洗濯機1は、タンク42に収容された洗濯処理液を、搬送経路53を通ってタンク42から第1投入部31に搬送する。その際、搬送経路53には、一部の洗濯処理液が残留するが、第2給水経路52より給水された水で、搬送経路53に残留した洗濯処理液を第1投入部31へ搬送することができる。
また、洗濯機1は、第2給水経路52が第1給水経路51の途中部分に接続されている。そのため、洗濯機1は、仮に、搬送経路53が塞がってしまい、意図しない圧力が搬送経路53に加わる現象が発生した場合であっても、搬送経路53に加わる圧力を、第1給水経路51を介して外部(水槽21側)に逃がすことができる。したがって、洗濯機1は、仮にこのような現象が発生した場合であっても、搬送経路53に加わる圧力を低減することができる。これにより、洗濯機1は、搬送経路53の性能を比較的長く維持することができる。
また、洗濯機1は、第1洗浄経路61に沿って給水ユニット20から第1投入部31に洗浄用の水を流すことによって、第1投入部31を洗浄することができる。
また、洗濯機1は、第2洗浄経路62に沿って給水ユニット20からケース41に洗浄用の水を流すことによって、ケース41を洗浄することができる。特に、ケース41の底部には、例えばタンク42の下部に嵌合するノズル41a(図10参照)が設けられているが、そのノズル41a(図10参照)を洗浄することができる。
また、洗濯機1は、第1洗浄経路61に供給された洗浄用の水を投入経路54に沿って水槽21に排出するとともに、第2洗浄経路62に供給された洗浄用の水を排水管63aに沿って(乾燥ダクト81を経由して)水槽21に排出することができる。そのため、洗濯機1は、水槽21や外槽22を洗浄することができる。
<タンクの構成>
以下、図7乃至図10を参照して、タンク42の構成について説明する。図7乃至図9は、それぞれ、タンク42の外部構成を示す斜視図である。図10は、タンク42の内部構成を示す断面図である。
図7乃至図9に示すように、タンク42は、上面カバー43と、取っ手部44と、を有している。図7は、投入口フタ43aを閉じた状態を示している。図8は、投入口フタ43aを開いた状態を示している。図9は、上面カバー43を取り外した状態を示している。
上面カバー43は、タンク42の上面を覆うカバー部材である。
取っ手部44は、使用者によって把持される部材である。
第2投入部32は、上面カバー43に設けられており、投入口フタ43aで封止されている。投入口フタ43aは、前から後への縦方向に開閉可能に構成されている。
上面カバー43の上面は、後方から前方に向かって下がるように傾斜した傾斜面として形成されている。このような上面カバー43は、仮に上面が水平面として形成されている場合に比べて、投入口フタ43aの長さを開閉方向に長くすることができる。また、このような上面カバー43は、投入口フタ43aを開いたときに、投入口フタ43aを上方に大きく突出させることができる。そのため、このような上面カバー43は、投入口フタ43aの開閉操作の操作性を向上させて、投入口フタ43aを容易に開閉することができる。
前記した通り、タンク42は、上下方向に移動させることによって、ケース41(図5参照)に対して、取り外し及び取り付けが自在な構造になっている。タンク42は、使用者が取っ手部44を把持して上方向に引っ張ることにより、ケース41から容易に取り外すことができる。図9に示すように、上面カバー43は、タンク42から取り外すことができる。
使用者は、ケース41からタンク42を取り外すことができるとともに、タンク42から上面カバー43を取り外すことができるため、ケース41や上面カバー43を手で容易に洗浄することができる。
図10に示すように、タンク42の下部には、排出口49(貫通孔)が設けられている。排出口49は、ケース41に設けられたノズル41aに嵌合する構造になっている。これにより、タンク42は、洗濯処理液を搬送経路53(図6参照)に確実に送り出すことができる。タンク42の内部には、排出口49に向かって下がるように傾斜した底面部が設けられている。また、排出口49の上には、目が細かな網状のタンクメッシュ48が設けられている。これにより、洗濯機1は、仮にタンク42の内部に異物が混入した場合があったとしても、異物が搬送経路53(図6参照)に流入することを防止することができる。
<第2投入部(自動投入部)への洗濯処理液の投入動作>
本実施形態に係る洗濯機1は、以下に説明するように、第2投入部32(自動投入部、投入口)に洗濯処理液を投入し易い構造になっている。ここでは、まず、図11Aを参照して比較例に係る洗濯機101で第2投入部32(自動投入部)に洗濯処理液を投入する場合の例を説明する。その後に、図11Bを参照して本実施形態に係る洗濯機1で第2投入部32(自動投入部)に洗濯処理液を投入する場合の例を説明する。図11Aは、比較例に係る洗濯機101での洗濯処理液の投入状態を示す説明図である。図11Bは、本実施形態に係る洗濯機1での洗濯処理液の投入状態を示す説明図である。
なお、図11Aに示す比較例に係る洗濯機101は、従来の洗濯機と同様に、給水ユニット20(給水手段)と第1投入部31(手動投入部)との間に第2投入部32(自動投入部)が配置された装置である。
図11Aに示すように、比較例に係る洗濯機101では、第2投入部32(自動投入部)が第1投入部31(手動投入部)の後方に配置されている。このような比較例に係る洗濯機101は、使用者が洗濯処理液を第2投入部32に投入する際に、筐体11が洗濯処理液の詰め替え容器91の胴体部(又は底部)に突き当たる。そのため、比較例に係る洗濯機101は、詰め替え容器91の放出口を第2投入部32の上方の比較的高い位置に配置させ、その状態で洗濯処理液を第2投入部32に投入する必要がある。このような比較例に係る洗濯機101は、比較的高い位置から第2投入部32に洗濯処理液が投入されるため、洗濯処理液を第2投入部32に上手に投入することができずにこぼしてしまう可能性がある。その結果、比較例に係る洗濯機101は、洗濯処理液で第2投入部32の周囲を汚してしまう可能性がある。
これに対して、図11Bに示すように、本実施形態に係る洗濯機1では、第2投入部32(自動投入部)が第1投入部31(手動投入部)の前方に配置されている。このような本実施形態に係る洗濯機1は、使用者が洗濯処理液を第2投入部32に投入する際に、筐体11が洗濯処理液の詰め替え容器91の胴体部(又は底部)に突き当たることがない。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、詰め替え容器91の放出口を第2投入部32に添えて洗濯処理液を第2投入部32に投入することができる。このような本実施形態に係る洗濯機1は、比較的低い位置から第2投入部32に洗濯処理液が投入されるため、洗濯処理液を零すことなく第2投入部32に上手に投入することができる。その結果、本実施形態に係る洗濯機1は、洗濯処理液で第2投入部32の周囲を汚してしまうことを抑制することができる。
<投入口フタ(第1フタ)とタンク収納フタ(第2フタ)の配置関係>
以下、図12を参照して、投入口フタ43aとタンク収納フタ15の配置関係について説明する。図12は、投入口フタ43a(第1フタ)とタンク収納フタ15(第2フタ)の配置関係を示す説明図である。
図12に示すように、洗濯機1は、筐体11の前方上部に、投入口フタ43aと、タンク収納フタ15と、を備えている。投入口フタ43aは、第2投入部32を封止する第1フタである。タンク収納フタ15は、投入口フタ43aよりも大型で、かつ、投入口フタ43aの上を覆う第2フタである。投入口フタ43a(第1フタ)及びタンク収納フタ15(第2フタ)は、それぞれ、前から後への縦方向に開閉可能に構成されている(図2及び図3参照)。
図12に示すように、タンク収納フタ15(第2フタ)は、閉鎖時に、投入口フタ43a(第1フタ)に当接する位置に配置されている。このようなタンク収納フタ15は、閉鎖時に、仮に投入口フタ43aが開いていたとしても、投入口フタ43aに当接して投入口フタ43aを自動的に閉じることができる。つまり、洗濯機1は、仮に使用者が投入口フタ43aを閉じ忘れることがあったとしても、使用者がタンク収納フタ15を閉じるだけで、投入口フタ43aを自動的に閉じることができる。
<制御について>
図13は、水質センサ35の機能図である。一対の電極36A,36Bは、コイル38aと接続され、共振回路38を形成する。コイル38aは、コイル39aと磁気結合されており、コイル39aは、発振回路39と接続されている。これら、一対の電極36A,36B、コイル38a、コイル39a、発振回路39で水質センサ35を形成している。発振回路39は、電極間の電導度に相当する信号を制御装置100のマイクロコンピュータ(以下、マイコンと記す)110に送信しており、構成部品であるコンデンサの静電容量により特性が変わり、読み取りやすくなる水質の抵抗値領域が変化する。
図14は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の制御装置100の構成を説明する機能ブロック図である。制御装置100は、マイコン110を中心に構成される。マイコン110は、運転パターンデータベース111と、工程制御部112と、回転速度算出部113と、衣類重量算出部114と、電導度測定部115と、洗剤量・洗い時間決定部116と、洗剤状態判定部117と、発泡判定部118と、洗濯処理液投入判定部119と、を備える。
マイコン110は、操作スイッチ14から入力された運転コースにあった運転パターンを運転パターンデータベース111から呼び出し、洗濯および乾燥を開始する機能を有する。工程制御部112は、運転パターンデータベース111から呼び出された運転パターンに基づき、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程の各工程を運転制御する機能を有する。
各工程では、工程制御部112は、給水ユニット20、排水弁65、切替弁64を制御する機能を有する。また、工程制御部112は、モータ駆動回路121を介して駆動装置23のモータ23aを駆動制御し、クラッチ駆動回路122を介してクラッチ機構23bを切り替え、ヒータスイッチ123のON/OFFを制御することによりヒータ71の通電を制御し、ファン駆動回路124を介してファン72を制御し、循環ポンプ駆動回路125を介して循環ポンプ17を駆動制御し、搬送ポンプ駆動回路126を介して搬送ポンプ46を駆動制御する機能を有する。
回転速度算出部113は、モータ23aの回転を検出する回転検出装置24からの検出値に基づき、モータ23aの回転速度を算出する機能を有する。
衣類重量算出部114は、回転速度算出部113で算出された回転速度と、モータ電流検出装置25の検出値に基づいて、水槽21内の衣類の重量を算出する機能を有する。衣類の重量が増加することにより水槽21を回転させるための負荷が大きくなり、モータ23aに流れるモータ電流が多く必要になることから、モータ23aのモータ電流と回転速度により衣類の重量を算出することができる。
電導度測定部115は、水質センサ35からの検出値を用いて水道水、洗濯液の電導度を測定する機能を有する。
洗剤量・洗い時間決定部116は、電導度測定部115が測定した電導度等に基づいて、洗剤量および衣類の洗い時間を決定する機能を有するものであり、詳細は後述する。
洗剤状態判定部117は、電導度測定部115が測定した電導度等に基づいて、洗剤の状態を判定する機能を有するものであり、詳細は後述する。
発泡判定部118は、電導度測定部115と洗剤状態判定部117が判定した洗濯液の状態により洗い時間や水量、モータ回転数を決定する機能を有するものであり、詳細は後述する。
洗濯処理液投入判定部119は、操作スイッチ14から入力された洗濯処理液投入の設定ON/OFFの運転パターンを運転パターンデータベース111から呼び出し、洗剤量・洗い時間決定部116が決定した洗剤量に基づいて、搬送ポンプ駆動回路126で搬送ポンプ46を制御する機能を有する。
次に、図15を参照して、本実施形態に係る洗濯乾燥機の運転工程について説明する。図15は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の洗濯運転(洗い~すすぎ~脱水)の運転工程を説明する工程図である。
ステップS1では、工程制御部112は、運転工程のコースの選択、および洗濯処理液投入の設定(ON/OFF)の入力を受け付ける(コース選択)。ここで、使用者は水槽21内に洗濯する洗濯物を投入する。使用者が操作スイッチ14を操作することにより、工程制御部112は、回転翼21bを回転させ、マイコン110の衣類重量算出部114は、注水前の衣類について布量を算出する。
ステップS2では、工程制御部112は、給水ユニット20に接続されているホース内に空気が含まれていることがあり、圧縮された空気を水道水とともに、外槽22内に排出する。
ステップS3では、洗剤量・洗い時間決定部116は、衣類の布量および水道水の水温および水の硬度に基づいて、投入すべき洗剤量と、洗濯完了までの所要時間を操作パネル14に表示する。なお、水道水の水温および水の硬度は、前回すすぎ運転したときに検出(ステップS30)し、洗剤量・洗い時間決定部116に記憶してあり、それを用いる。水道水の水温や水の硬度は、日々急激に変化することはなく緩やかにしか変化しないため、前回の洗濯時に測定した水道水の水温と水の硬度を使用して洗剤量を判定することが可能である。なお、洗濯乾燥機を設置して最初の運転時には、洗濯性能が悪くならない初期値(例えば水温15℃、硬度120ppm)を用いる。
また、ステップS1において洗濯処理液投入の設定がONだった場合に限り、ステップS3では、洗剤量・洗い時間決定部116が決定した洗剤量に基づいて、搬送ポンプ駆動回路126で搬送ポンプ46を制御し、配送経路53を通過させ、第1投入部31へと、洗濯処理液を供給する。
ステップS4では、まず、工程制御部112は、給水ユニット20を開弁して、第1投入部31および外槽22に洗剤と水を供給し、所定の水位に到達したら、給水ユニット20を閉弁する。また、第1投入部31への給水時には、第1給水経路51と第2給水経路52へ分岐されているため、搬送経路53に残留した洗濯処理液を第1投入部31へ搬送することができる。
ステップS5では、供給された洗剤を含む水の温度を温度センサ26b(または、温度センサ26c)により測定し、洗剤と水を均一化させる混合工程を実施した後に、電導度を水質センサ35により測定する。
ここで、図16を用いて、ステップS4の外槽への給水、ステップS5の水温、電導度測定における洗剤状態判定部117について更に説明する。
図16は、水道水の水温と電導度による洗剤溶かし動作時間を決定するフローチャートである。
ステップS51で、給水された洗剤を含む水の温度(水温)を温度センサ26b(または、温度センサ26c)により測定し、ステップS52では、洗剤状態判定部117は、洗剤の種類が液体洗剤か粉末洗剤かを判定する(洗剤状態判定)。なお、この洗剤状態判定については、図17を用いて後述する。測定した水温が閾値t1より高い場合は(ステップS53でYes)、ステップS54に進み、閾値t1以下の場合は(ステップS53でNo)、ステップS55に進む。ここで、洗剤の溶け具合は約10℃前後で大きく変化することが実験的に判明したため、本実施形態では、バラツキも考慮して10℃より少し高い13℃を閾値t1として設定した。
ステップS54で液体洗剤と判定した場合は(Yes)、洗剤溶かし時間T0(ステップS56)とする。液体洗剤と判定しなかった場合は(ステップS54でNo)、洗剤溶かし時間T1(ステップS57)とする。ステップS55で液体洗剤と判定した場合は(Yes)、洗剤溶かし時間T2(ステップS58)とし、液体洗剤と判定しなかった場合は(ステップS55でNo)、洗剤溶かし時間T3(ステップS59)とする。
液体洗剤と粉末洗剤の水への溶解性を考慮した場合、洗剤溶かし時間T0より洗剤溶かし時間T1を、または、洗剤溶かし時間T2より洗剤溶かし時間T3を長くしたほうがよく、また、水温が低いほうが洗剤は水に溶けにくくなるため、洗剤溶かし時間T0より洗剤溶かし時間T2を、または、洗剤溶かし時間T1より洗剤溶かし時間T3を長くしたほうがよい。
また、ステップS1で、洗濯処理液投入の設定がONの場合は、外槽22に投入される洗剤は液体洗剤となるため、ステップS56、およびステップS58でのモータ23aの回転数(循環ポンプ17の動作)を抑制し、消費エネルギーを低減させることができる。
さらに、ステップS1で、洗濯処理液投入の設定がONの場合は、ステップS54、およびステップS55での判定は(Yes)となり、洗剤溶かし時間は、洗剤溶かし時間T0、および
洗剤溶かし時間T2となるが、ユーザの誤操作で、第1投入部31に粉末洗剤を投入してしまった場合は、ステップS54、およびステップS55での判定は(No)となり、洗剤溶かし時間を、洗剤溶かし時間T1、および洗剤溶かし時間T3と判定することもできる。
本実施形態によれば、洗剤の種類や水温に応じた洗剤溶かし時間を設定することができ、液体洗浄を使用した場合や水温が高い場合には洗剤溶かしを短くすることにより、全体の運転時間を短縮することが可能となる。
次に、ステップS52の洗剤状態判定における電導度測定部115、および洗剤状態判定部117、発泡判定部118について、図17を用いて説明する。
図17は、電導度により洗剤種類を判定し、その結果より発泡しやすさを推定し洗い時間や水量、モータ回転数を切り替えるフローチャートである。
ステップS520の混合工程において、工程制御部112は、モータ駆動回路121を介してモータ23aを制御し、水槽21、および回転翼21bを回転させることで、外槽22、および水槽21内に給水された洗剤と水に水流を発生させ、洗剤と水の均一化を行うことができる。
ステップS520では、粉末洗剤の場合は、洗剤と水が均一化しづらいために、モータ23aの回転数を高く制御する必要があるが、液体洗剤の場合は、洗剤と水が均一化しやすいために、モータ23aの回転数を低く抑えることができる。また、本実施形態では、ステップS520において水槽21、および回転翼21bの回転による均一化手段を実施しているが、水槽21を固定して回転翼21bを回転させる手段や循環ポンプ17による均一化手段などで混合工程を実施しても良い。
また、ステップS520は、洗濯工程を通して最も高濃度での、洗剤と水を攪拌する工程であるため、モータ23aの回転数を抑制することで、発泡のリスクを抑えることができる。
本実施形態においては、ステップS1において、洗濯処理液投入の設定がONの場合は、外槽22に投入される洗剤は液体洗剤となるため、ステップS520でのモータ23aの回転数を抑制して制御可能となる。
ステップS521において、電導度測定部115は、均一化した水の電導度を水質センサ35により計測する。なお、電導度を計測するときは、計測精度を高めるため、給水ユニット20による外槽22への給水、循環ポンプ17による循環、水槽21、および回転翼21bの回転は、停止され、かつ外槽22、および水槽21内の水流が収まっていること、高濃度洗浄液が発泡していないことが望ましい。
そのため、ステップS520での、モータ23aの回転数を低く抑えることで、外槽22内に発生する水流が弱くなることから、モータ23aの回転が停止するまでの時間や、外槽22内の水流が収まるまでの時間を短縮することができ、短時間に、電導度の計測制度を高めることができる。
図20は、ステップS520での。モータ23aの回転数による電導度のバラツキを測定した結果である。高速回転の場合の電導度の最大/最小の検知バラツキに対して、低速回転で制御することで、電導度の最大/最小の検知バラツキを抑制することができる。
ステップS522において、電導度が閾値EC1より小さい場合は(Yes)、ステップS524に進み、液体洗剤(濃縮)と判定し、それに合わせて水質センサ35の特性を切り替える。電導度が閾値EC1以上で(ステップS522でNo)、閾値EC2より小さい場合は(ステップS523でYes)、ステップS525に進み、液体洗剤(すすぎ2回)と判定する。電導度が閾値EC2以上の場合は(ステップS523でNo)、ステップS526に進み、粉末洗剤と判定し、それぞれを洗い時間や水量、モータ回転数を変更し洗い方を切り替える。例えば、粉末洗剤は発泡しやすい傾向にあるため、液体洗剤(濃縮)の場合と比べて、洗い時間を短くしたり、水量を多くし洗剤濃度を薄めたり、モータの回転数を下げて泡を作りにくくすることで、発泡を抑え、洗浄性能の低下やすすぎが不十分になることを防ぐことができる。液体洗剤(濃縮)は発泡しにくい傾向にあるため、粉末洗剤の場合と比べて、洗い時間を長くしたり、水量を少なくし洗剤濃度を高めたり、モータの回転数を上げることで、発泡のリスクが低いまま洗浄性能を向上させることができる。液体洗剤は電導度が粉末洗剤、液体洗剤(濃縮)の中間にある傾向にあるため、洗い方も中間にすることで、適切な洗浄方法になる。よって、発泡そのものではなく、洗剤種類を検知することにより、最適な洗い方に変更できるため、発泡検知用のセンサを設置する必要がなくなる。なお、液体洗剤が濃縮タイプかどうかを区別せず、液体洗剤の種類に寄らず同じ洗浄方法としても良い。
また、図示していないが、発泡判定部118は、ステップS524、ステップS525、ステップS526において洗剤種類だけでなく、水温、水硬度、風呂水の使用状況など発泡しやすさに係わる要素を検知することで発泡判定部118の精度を高めることができる。
すすぎ運転が1回でもよい濃縮タイプの液体洗剤は、すすぎ運転が2回の液体洗剤と比較して、電導度が小さくなっているため、発泡判定部118での判定結果より、すすぎ回数を変更しても良い。
図15のステップS6では、工程制御部112は、ステップS5で決定した洗剤溶かし時間だけモータ23aを駆動して水槽21、および回転翼21bを回転させ、発生した水流を利用して洗剤を溶かして高濃度の洗剤溶液を生成する。なお、高濃度の洗剤溶液の生成方法としては、水槽21と回転翼21bの両方を回転させた方法に限らず、回転翼21bだけを回転させたり、循環ポンプ17の逆回転を利用した方法などであっても良い。
ステップS7では、電導度測定部115は、生成された洗剤溶液の電導度を水質センサ35により測定し、洗剤状態判定部117により、判定した洗剤種類の見直しをするとともに、実際に投入された洗剤の濃度を判定する。生成された洗剤溶液は、一定の水量に洗剤を溶かしているため、洗剤の濃度変化を電導度の変化量として検出できる。洗剤の投入量が多い場合は(洗剤の濃度が高い)、洗剤の投入量が少ない場合(洗剤の濃度が低い)と比較して、電導度が大きくなる。このため、発泡判定部118により、すすぎ運転を1回と判定していた場合でも、洗剤の投入量が多い場合にはすすぎ運転を2回に変更することが可能である。なお、このステップS7においては、電導度の計測精度を高めるため、洗剤溶かしのため回転していた水槽21や回転翼21bをいったん停止させた後、次のステップS8で再び回転を開始させている。したがって、このステップS7をスキップすれば、全体の運転時間を更に短縮することも可能である。
ステップS8では、工程制御部112は、水槽21、および回転翼21bを回転させながら、給水ユニット20から、後の本洗い工程(S13からS19)における水量よりも少ない水量(水位)まで給水する。また、第1投入部31への給水も同時に行うため、第1給水経路51と第2給水経路52へ分岐された水で、搬送経路53の洗浄も同時に可能である。
ステップS9では、後の本洗い工程(S13からS19)における水量よりも少ない水量の状態で、すなわち高濃度の洗剤溶液で、衣類を洗う。以下、本洗い工程よりも低水位の状態で、駆動装置23により回転翼21bを回転させながら、高濃度の洗剤溶液を衣類に浸透させる運転を、高濃度洗浄と呼ぶ。なお、本実施形態における高濃度洗浄工程は、給水はせずに一定の水位の状態で運転しているが、給水しながら運転しても良い。ただし、ステップS6の洗剤溶かし動作のように、所定の水位になる前に別工程で(非連続で)行うものについては、高濃度洗浄工程には含まれない。
また、本実施形態では、液体洗剤および液体洗剤(濃縮)の場合、粉末洗剤の場合と比べて高い回転数で、モータ(回転翼21b)を回転しながら高濃度の洗浄を行う。これにより、発泡しやすい高濃度洗浄時において、粉末洗剤を用いた場合の発泡を抑制しつつ、液体洗剤を用いた場合に洗浄力をより高めることが可能となる。
さらに、本実施形態では、従来は30秒程度だった高濃度洗浄工程の運転時間を、2分30秒程度に長く設定している。このように、高濃度洗浄工程の運転時間を長くすることで、食べ物の油汚れを効果的に落とすことが可能となる。一方で、全体の洗濯時間を短くする「時短」のニーズも考慮する必要がある。そこで、高濃度洗浄工程の運転時間を長くする一方、本洗い工程の運転時間を短くするのが望ましい。
図18は、本洗い工程に対する高濃度洗浄工程の運転時間の割合を変化させた場合に、洗浄性能(洗浄比)がどうなるかを試験した結果を示すグラフである。この図18によれば、本洗い工程の運転時間に対する高濃度洗浄工程の運転時間(高濃度洗浄の割合)を15%以上にすることで、従来(高濃度洗浄の割合=4%)より洗浄比を高めることができる。さらに高濃度洗浄の割合を20%以上にすれば、洗浄比の大幅向上が期待できる。また、本洗いの割合が小さ過ぎると、逆に洗浄比が悪化するので、高濃度洗浄の割合は35%以下にするのが良い。
なお、本実施形態では、投入された洗剤の種類を判別する判別手段(外槽22内の液体の電気伝導度を検出する電導度検出手段)によって、粉末洗剤を判定した場合に、液体洗剤を判定した場合と比べて、高濃度洗浄工程における回転翼21bの回転速度を低くしている。このため、発泡しやすい粉末洗剤の場合でも、発泡を抑制しながら高濃度洗浄工程の運転時間を長くでき、油汚れを効果的に落とすことが可能である。
次に、循環ポンプ17が設けられていない洗濯機の場合について説明する。循環ポンプ17が無い場合、特に低水位の状態のときに、洗濯物に対して上方から高濃度の洗剤溶液を散布するのが難しくなる。このため、洗濯物の上部と下部とで含水に差が生じてしまい、洗濯物の動きが遅く、洗いムラになる可能性がある。そこで、本実施形態では、水槽21内の中央部及び端部(内壁付近)に、洗濯水を早めに散布することで、中央部で積み重なった洗濯物と端部に張り付いた洗濯物の動きを良くし、水位が低くても洗濯物の含水の差を抑制した。具体的な構造について、以下説明する。
図19は、注水ホース51aから水槽21内に降り注ぐ洗濯水の様子である。図に示すように、洗濯水は、水槽21の中央部(Wa)、端部(Wb)、端部と中央部の間である中間部(Wc)に、略直線上に散布する。これにより端部だけではなく中央部まで、給水段階で洗濯槽全体に散水が可能になり、衣類全体に含水しやすくなり、洗浄時に布動きが良くなり洗いムラを抑えることができる。
ステップS10では、まず、衣類重量算出部114は、水を含んだ状態の衣類の重量を算出する。そして、ステップS1で算出した水を含まない衣類の重量とステップS10で算出した水を含んだ状態の衣類の重量から、衣類の布質(吸水性)を判断する。判別された衣類の布質に従って以下の工程が制御される。
ステップS11で洗濯工程前の水温を取得し、水温が高い場合は洗剤の化学的作用が向上し、洗浄力が向上するため、洗い時間を短縮できる。洗い工程前に水温を測定することで、たとえば、風呂の残り湯を利用した洗濯時においても正確な水温が検知でき、洗い時間を変更することが可能である。
測定した水温が高い場合や水の硬度が低い場合、ステップS18やステップS19をスキップすることで洗い時間を短縮することが可能である。
このように、洗い工程時の発泡しやすさを、水質センサ35を用いて洗濯液の電導度を測定し、発泡判定部118が制御することで、洗い時間を制御(短縮または延長)することが可能になる。洗剤量・洗い時間決定部116は、汚れ度合いにより洗い時間(短縮または延長時間)を決定するテーブルをあらかじめ記憶している。なお、ステップS1で算出した布量により複数の閾値を設定してもよい。
本洗いが終了すると、ステップS20で衣類のアンバランス状態を監視し、脱水に移行するか否かを判断する。
ステップS21では、工程制御部112は、排水弁65を開弁し、外槽22内の洗い水を排水する。排水が終了した後、ステップS22では、工程制御部112は、水槽21を回転させて衣類に含まれる水(洗い水)を脱水する。
工程制御部112は、排水弁65を閉弁、給水ユニット20を開弁して、水槽21にすすぎ水を供給する。そして、水槽21を回転させつつ、水槽21内の衣類にすすぎ水を散布する(ステップS23)。
工程制御部112は、水槽21を回転させつつ、給水ユニット20を閉弁して、衣類からすすぎ水を脱水する(ステップS24)
工程制御部112は、水槽21を回転させつつ、給水ユニット20を開弁して、水槽21内の衣類にすすぎ水を散布する(ステップS25)。
工程制御部112は、給水ユニット20を閉弁して、水槽21を停止させて、排水弁65を開弁し、外槽22内のすすぎ水を排水する(ステップS26)。排水終了後、工程制御部112は、水槽21を回転させて衣類に含まれる水(すすぎ水)を脱水する(ステップS27)。
ステップS23、およびステップS25の回転シャワーすすぎの実行は、発泡判定部118により決定され、すすぎ回数を1回と決定した場合は、工程制御部112にステップS23からステップS27をスキップする指令を送信することで、すすぎ運転を1回とすることが可能である。
脱水が正常に終了した場合は外槽22内には水が無い状態であり、水質センサ35を動作させて水無しの電導度を測定する(ステップS28)。ここで測定した電導度は初期値として電導度測定部115に記憶され、水質センサ35の故障判断や、電極部への汚れ付着などによる経年変化を補正することに利用する。
工程制御部112は、排水弁65を閉弁、給水ユニット20を開弁して、水硬度を検知する水位まで外槽22にすすぎ水を供給する(ステップS29)
電導度測定部115は、水質センサ35、温度センサ26b(または、温度センサ26c)を動作させて、すすぎ水の水温と電導度を測定して水の硬度を算出する(ステップS30)。ここで測定した水温と水の硬度は洗剤量・洗い時間決定部116に記憶され、次回の洗剤量、洗い時間の決定に利用する。
また、ステップS1において洗濯処理液投入の設定がONだった場合に限り、ステップS30のすすぎ水の水温と電導度を測定して水の硬度を算出した後に、洗剤量・洗い時間決定部116が決定した仕上剤量に基づいて、搬送ポンプ駆動回路126で搬送ポンプ46を制御し、搬送経路53を通過させ、第1投入部31へと、洗濯処理液を供給する。
工程制御部112は、設定水位まで給水し(ステップS31)、外槽22にすすぎ水を溜めた状態で回転翼21b(または、水槽21)を回転させて衣類を撹拌しながら、給水ユニット20を開弁して、水槽21に仕上剤を投入する(ステップS32)。また、同時に第1投入部31への給水も同時に行うため、第1給水経路51と第2給水経路52へ分岐されており、搬送経路53に残留した洗濯処理液を第1投入部31へ搬送することができる。
このステップS33からステップS35(すすぎ2工程)時において、水質センサ35を動作させてすすぎ水の電導度変化量を検出することで、洗濯物のすすぎ度合いを検知することが可能になる。ちなみに、本実施形態における水質センサ35は、外槽22の下部(底部)に設けられているので、すすぎ工程時には、水質センサ35が水没している状態であり、すすぎ水の電導度を測定することができる。
このように、すすぎ工程時に水質センサ35を用いてすすぎ水の電導度を測定することで、すすぎ時間を制御(短縮または延長)することが可能になる。すすぎ水の電導度変化量からすすぎ時間(短縮または延長時間)を決定するテーブルをあらかじめ記憶している。また、すすぎ水の電導度変化量は、ステップS30で計測した水道水の電導度と比較して判断してもよい。
なお、すすぎ水の電導度変化量は、すすぎ時間を短縮・延長する以外にすすぎ回数を増減することにも利用できる。従って、洗剤状態判定部117によりすすぎ運転が1回でもよい濃縮タイプの液体洗剤と判定され、発泡判定部118により、すすぎ運転が1回と決定された場合でも、すすぎが不十分と判定されたときは、追加のすすぎ運転を実行することが可能である。
なお、すすぎ工程時に水質センサ35を動作させるタイミングとしては、ステップS33からステップS35時に限定されるものではなく、ステップS23やステップS25時に動作させて、すすぎ時間を制御(短縮または延長)してもよい。
ステップS23、またはステップS25は、ステップS10で判別された衣類の布質によってすすぎ時間を制御(短縮または延長)してもよい。
溜めすすぎが終了すると、衣類のアンバランス状態を監視し、最終脱水に移行するか否かを判断する(ステップS36)。
工程制御部112は、排水弁65を開弁し、外槽22内のすすぎ水を排水する(ステップS37)。ステップS37では、脱水時の起動を安定させるため、ある一定量のすすぎ水が残った状態でステップS38(脱水工程)に移行する場合もある。
工程制御部112は、水槽21を高速で回転させて衣類に含まれる水を脱水する(ステップS38)。このステップS38(脱水工程)時において、水質センサ35を用いて衣類から脱水される水を測定することで、洗濯物に含まれている水分量を判定することが可能になる。脱水工程時に水槽21が回転することにより、洗濯物に含まれる水分が洗濯物から分離され、水槽21の貫通孔21aaから外槽22の周壁部22eの内面に向けて排出される。周壁部22eに排出された水は、重力の作用によって周壁部22eの内面を流れ落ち、水質センサ35の溝部に流れ込む。これにより、水質センサ35は、脱水時の水の電導度を検出することができる。
すなわち、脱水時の水質センサ35では、水質センサ35の溝部に水が流れ込むことにより、通り抜ける水の量に応じて検出値(電導度)が変化する。例えば、洗濯物がバスタオルなど吸水性の高いものの場合には、排出される水の量も多くなり、検出値(電導度)は高くなる。一方、例えば、洗濯物がワイシャツなど吸水性の低いものの場合には、排出される水の量は少なくなり、検出値(電導度)は低くなる。
このように、脱水工程時に水質センサ35を用いて測定した衣類から脱水される水の電導度を測定することで、脱水時間を制御(短縮または延長)することが可能になる。洗剤量・洗い時間決定部116は、脱水時間(短縮または延長時間)を決定するテーブルをあらかじめ記憶している。なお、ステップS1で算出した布量により複数の閾値を設定してもよい。
なお、脱水工程時に水質センサ35を動作させるタイミングとしては、ステップS38時に限定されるものではなく、他の脱水工程ステップS22、ステップS24、ステップS27時に動作させて、脱水時間を制御(短縮または延長)してもよい。
<クリーニング制御について>
前記の通り、ステップS1において洗濯処理液投入の設定がONだった場合、図6に示す配管経路内には洗濯処理液が残留するが、ステップS4、ステップS8、およびステップS31の給水動作に合わせて洗濯運転のたびに洗浄し、配管経路内の詰まりを予防することができる。
しかしながら、長期的に洗濯機1を動作させない場合や複数の洗濯処理液が混ざった場合など、配管経路内に洗濯処理液が残留し、配管詰まりとなる可能性は完全には拭えない。
そのため、配管詰まりを解消する手段として、ユーザ操作でタンク42にお湯を投入し、そのお湯を、搬送経路53に供給することで、配管詰まりを解消するためのクリーニング制御を要している。
図21は、クリーニング制御の動作を示した動作図である。基本構成としては、給水ユニット20と、切替弁64と、搬送ポンプ46の動作で構成されている。
ステップS601では、まず、給水ユニット20からの給水で、搬送経路53の配管詰まり原因の解消を図っている。この給水ユニット20からの給水は、水道圧が加わるので、水の勢いによって一定程度の配管洗浄効果が期待できる。なお、この給水時に搬送ポンプ46を回転させておくと、搬送ポンプ46の機構部をムラなく洗い流せるが、給水時に搬送ポンプ46を回転させなくても良い。
ステップS602では、切替弁62を開状態(タンク42と搬送経路53とが接続された状態)とし、ユーザ操作でタンク42内に投入されたお湯を、搬送ポンプ46により搬送経路53に供給する。このとき、タンク42から供給されたお湯は、給水ユニット20からの給水が通過しない領域である、タンク42と切替弁62との間の部分を通過するので、この部分の詰まりを抑制できる。
ステップS603では、切替弁62を閉状態(タンク42と搬送経路53との接続を遮断した状態)とし、搬送ポンプ46により供給されたお湯で、搬送経路53内に残留し、配管詰まりの原因となる洗濯処理液の残留物を、つけおきして膨潤させる。洗濯処理液の残留物は、膨潤することで搬送経路53内の壁面からはがれやすくなる。なお、このときのお湯は、少なくとも切替弁64及び搬送ポンプ46が浸かる水位まで溜まっているので、切替弁64や搬送ポンプ46の機構部における残留物も剥がれ易くなっている。また、ステップS603のつけおき工程では、給水ユニット20と、切替弁64と、搬送ポンプ46とを動作させないことで、消費電力量を抑えることができる。
ステップS604では、ステップS603で膨潤させ、搬送経路53の壁面からはがれやすくなった洗濯処理液の残留物を、給水ユニット20からの給水で洗い流している。
ステップS602からステップS604の動作を数回繰り返し行うことで、搬送経路53内の残留物は徐々に除去されていく。ただし、ステップS602からステップS604の動作は、繰り返し実施しなくてもよい。
ステップS605は、仕上げとしてタンク42のお湯を供給し、最後にステップS606で給水ユニット20からの給水で搬送経路53を仕上げの洗浄を行い、クリーニング制御を終了する。
ステップS603のつけおき時間は、洗濯処理液の残留物を膨潤させるために、30分以上設けることが望ましい。なお、ステップS602からステップS604の動作を繰り返す場合には、ステップ603の合計つけおき時間が30分以上あれば、一定の効果が期待できる。
また、ステップS601からステップS606まですべてを実施すると、つけおき時間を確保するために30分以上となり、ユーザの使い勝手として悪化してしまう。
そのため、クリーニング制御としては、ステップS601からステップS606を実施するつけおきありのクリーニング動作とステップS602からステップS604をスキップしたつけおき無しのクリーニング動作を選択可能とすることで、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
図22は、クリーニング制御実施までのユーザ操作を示すフローチャートである。
ステップS701では、ユーザが操作パネル14の操作でクリーニング制御選択モードに突入する。
ステップS702では、図21のステップS602からステップS604のつけおき工程を実施するかしないかを操作パネル14で選択し、クリーニング制御をスタートする。
ステップS703は、図21のステップS602からステップS604を実施しないクリーニング動作を、ステップS704は、図21のステップS601からステップS606を全て実施するクリーニング動作となり、各ステップの動作が完了することで、クリーニング動作を終了する。
<洗濯機(構造)の主な特徴>
本実施形態は、従来の洗濯機に以下のような課題があったため、その課題を解決することが考慮された洗濯機1を提供することを意図している。
(1)従来の洗濯機は、手動投入部と洗濯処理液投入装置とのそれぞれに、水槽(洗濯兼脱水槽)と接続されるホースを備えていた。つまり、従来の洗濯機は、手動投入部と水槽(洗濯兼脱水槽)とを接続する第1系統のホースと、洗濯処理液投入装置と水槽(洗濯兼脱水槽)とを接続する第2系統のホースとの、複数本のホースを備えていた。このような従来の洗濯機は、ホースの本数が多いため、ホースの抜けやホースの破れによる水漏れのリスクが比較的高い、という課題があった。
これに対し、図6に示すように、本実施形態に係る洗濯機1は、タンク42に収容された洗濯処理液を、搬送経路53を通ってタンク42から第1投入部31に搬送し、投入経路54を通って第1投入部31から水槽21に投入する。
このような本実施形態に係る洗濯機1は、洗濯処理液投入装置30と水槽21とを接続するホースを削除することができる。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、従来の洗濯機と比べて、削除されたホースの分だけホースの抜けやホースの破れによる水漏れのリスクを低減することができる。その結果、本実施形態に係る洗濯機1は、水漏れのリスクを従来の洗濯機の1/2に低減することができ、その分だけ信頼性を向上させることができる。
(2)従来の洗濯機は、洗剤投入時に、手動投入部と洗濯処理液投入装置との双方にそれぞれ個別に水を供給する必要があるため、洗剤投入時に使用する水量が比較的多い、という課題があった。
これに対し、図6に示すように、本実施形態に係る洗濯機1は、洗濯処理液投入装置30に供給された水が第1投入部31に供給されるため、洗剤投入時に使用する水量を低減することができる。その結果、本実施形態に係る洗濯機1は、洗剤投入時に使用する水量を、例えば従来の洗濯機の1/2程度に低減することができ、その分だけ使用コストを低減することができる。
(3)従来の洗濯機は、筐体の後方上部に給水手段が配置されており、その前方に手動投入部が配置されている。そして、給水手段と手動投入部との間で、かつ、水槽(洗濯兼脱水槽)の側方の場所に、洗濯処理液投入装置のタンクと投入部(自動投入部)が配置されていた。したがって、従来の洗濯機は、使用者が立っている位置から離れた場所に洗濯処理液投入装置の投入部(自動投入部)が配置されている。そのため、従来の洗濯機は、使用者が自動投入部に洗濯処理液を投入する際に、洗濯処理液を投入し難く、使い勝手が悪い、という課題があった。
これに対し、図5に示すように、本実施形態に係る洗濯機1は、使用者が立っている位置に近い場所に第2投入部32(自動投入部)が配置されている。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、第2投入部32(自動投入部)に洗濯処理液を容易に投入することができる。このような本実施形態に係る洗濯機1は、使い勝手を向上させることができる。
(4)従来の洗濯機では、洗濯処理液投入装置の自動投入部が手動投入部の後方に配置されている。そのため、従来の洗濯機は、使用者が洗濯処理液の詰め替え容器を持って自動投入部に洗濯処理液を投入する際に、筺体が詰め替え容器の胴体部(又は底部)に突き当たる。そのため、従来の洗濯機は、詰め替え容器の放出口を自動投入部の上方の比較的高い位置に配置させ、その状態で洗濯処理液を自動投入部に投入する必要がある。このような従来の洗濯機は、比較的高い位置から自動投入部に洗濯処理液が投入されるため、洗濯処理液を自動投入部に上手に投入することができずにこぼしてしまう可能性がある、という課題があった。
これに対し、図11Bに示すように、本実施形態に係る洗濯機1では、第2投入部32(自動投入部)が第1投入部31(手動投入部)の前方に配置されている。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、使用者が洗濯処理液の詰め替え容器91を持って第2投入部32(自動投入部)に洗濯処理液を投入する際に、筐体11が詰め替え容器91の胴体部(又は底部)に突き当たることがない。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、詰め替え容器91の放出口を第2投入部32に添えて洗濯処理液を第2投入部32に投入することができる。このような本実施形態に係る洗濯機1は、比較的低い位置から第2投入部32に洗濯処理液が投入されるため、洗濯処理液を零すことなく第2投入部32に上手に投入することができる。その結果、本実施形態に係る洗濯機1は、洗濯処理液で第2投入部32の周囲を汚してしまうことを抑制することができる。
(5)従来の洗濯機は、使用者が自動投入部に洗濯処理液を投入する際に、操作パネルに洗濯処理液をこぼしてしまい、ボタン及びタッチパネルの誤作動を引き起こしてしまうことがある、という課題があった。
これに対し、本実施形態に係る洗濯機1は、前記(4)項で説明した通り、洗濯処理液を零すことなく第2投入部32(自動投入部)に上手に投入することができる。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、操作パネル14(図1参照)に洗濯処理液をこぼしてしまうことで、ボタン及びタッチパネルの誤作動を引き起こしてしまうことを抑制することができる。
(6)洗濯処理液投入装置の自動投入部には、手動投入部よりも大量の洗濯処理液が投入される。それにも拘わらず、従来の洗濯機では、自動投入部が手動投入部よりも後方に設けられている。そのため、従来の洗濯機(特に、縦型洗濯機)は、洗濯処理液投入装置の使い勝手が悪い、という課題があった。
これに対し、図5に示すように、本実施形態に係る洗濯機1は、比較的大量の洗濯処理液が投入される第2投入部32(自動投入部)が第1投入部31(手動投入部)よりも前方に設けられている。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、洗濯処理液投入装置30の使い勝手を向上させることができる。
(7)従来の洗濯機は、乾燥機能を有する場合に、例えば、筐体の後方上部に乾燥ユニットが配置されていた。この構成の従来の洗濯機は、洗濯処理液投入装置のタンクと乾燥ユニットとの距離が比較的近いため、乾燥ユニットからの熱によってタンクに収容された洗濯処理液がゲル化してしまうことがある、という課題があった。
これに対し、図4に示すように、本実施形態に係る洗濯機1は、筐体11の後方上部に乾燥ユニット71が配置され、筐体11の前方上部に洗濯処理液投入装置30が配置されている。つまり、本実施形態に係る洗濯機1は、筐体11の上部の中で最も乾燥ユニット71から遠い場所に洗濯処理液投入装置30が配置されている。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、乾燥ユニット71からの熱によってタンク42に収容された洗濯処理液がゲル化することを抑制することができる。
(8)一般に洗濯機は、横幅を小さくすることが望まれている。しかしながら、従来の洗濯機は、水槽の側方の場所に洗濯処理液投入装置が搭載されるため、衣類投入部(水槽の開口部)の大きさを小さくする必要がある。これによって、従来の洗濯機(特に、縦型洗濯機)は、衣類の投入のし易さを低下させてしまう、という課題があった。
これに対し、図5に示すように、本実施形態に係る洗濯機1は、水槽21の前方の場所に洗濯処理液投入装置30が搭載される。そのため、衣類投入部(水槽21の開口部)の大きさを小さくする必要がない。したがって、本実施形態に係る洗濯機1は、衣類の投入のし易さを向上させることができる。
(9)従来の洗濯機は、水槽(洗濯兼脱水槽)の側方の場所に、前後方向に延在するように洗濯処理液投入装置のタンクが配置されており、タンクを取り外すことができない構造になっていた。そのため、従来の洗濯機は、タンク等を洗浄することができない、という課題があった。
これに対し、図7乃至図9に示すように、本実施形態に係る洗濯機1は、洗濯処理液投入装置30のタンク42を取り外すことができるため、タンク42等を洗浄することができる。
(10)従来の洗濯機は、自動投入部を封止するフタを備えている。そのフタは、左右のいずれか一方に開く構造になっている。このような従来の洗濯機は、フタの開く方向が使用者の利き手とは逆の方向になっている場合に、フタを開け難い、という課題があった。
これに対し、図7及び図8に示すように、本実施形態に係る洗濯機1は、投入口フタ43a(第1フタ)が前から後への縦方向に開閉可能に構成されている。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、利き手によらずに投入口フタ43a(第1フタ)を開けることができる。これにより、本実施形態に係る洗濯機1は、利き手によらずに洗濯処理液を第2投入部32(自動投入部)に容易に投入(補充)することができる。
(11)従来の洗濯機は、使用者が自動投入部を封止するフタを閉じ忘れた状態で洗濯を行った場合に、洗濯処理液投入装置のタンクから洗濯処理液が漏れてしまうことがある、という課題があった。
これに対し、図12に示すように、本実施形態に係る洗濯機1は、仮に使用者が投入口フタ43a(第1フタ)の閉鎖をし忘れた状態で洗濯を行った場合であっても、タンク収納フタ15(第2フタ)を閉鎖することによって、投入口フタ43aを自動的に閉鎖することができる。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、このような場合であっても、洗濯処理液投入装置30のタンク42から洗濯処理液が漏れることを抑制することができる。
(12)従来の洗濯機は、洗濯処理液投入装置のタンクに収容された洗濯処理液を空気で加圧して水槽に送り出す際に、洗濯処理液が通過する配管経路上で水が通過しない部位が存在する。従来の洗濯機は、水が通過しない部位を洗浄し難い、という課題があった。
これに対し、図6に示すように、本実施形態に係る洗濯機1は、洗濯処理液投入装置30のタンク42に収容された洗濯処理液が搬送経路53に送り出されるが、その搬送経路53上のいずれの部位にも水が通過する。そのため、本実施形態に係る洗濯機1は、搬送経路53を確実に洗浄することができる。
以上の通り、本実施形態に係る洗濯機1によれば、洗濯処理液を投入し易くして、使い勝手を向上させることができる。
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、タンク42は、好ましくは、ケース41に強固に係合するように、爪状の係合手段等を有しているとよい。
また、例えば、前記した実施形態では、ケース41に制振部材45が設けられている。しかしながら、制振部材45は、タンク42及びケース41のいずれか一方又は双方に設けるようにしてもよい。
また、例えば、投入口フタ43a(第1フタ)は、前から後にスライド移動して開閉する構造にしてもよい。
<制御の主な特徴>
本実施形態に係る洗濯機1では、ステップS1において、洗濯処理液投入の設定がONの場合は、外槽22に投入される洗剤は液体洗剤となるため、ステップS520でのモータ23aの回転数を抑制して制御可能となる。これにより、外槽22内に発生する水流が弱くなることから、ステップS521でモータ23aの回転が停止するまでの時間や、外槽22内の水流が収まるまでの時間を短縮することができ、短時間に、電導度の計測制度を高めることができる。
また、洗剤を含んだ水の電導度を測定することにより、洗剤の種類を液体洗剤か粉末洗剤か判定し(S522、S523参照)、液体洗剤でないと判定した場合には(S54でNo、または、S55でNo)、洗剤溶かし時間を液体洗剤より長く設定する。これにより液体洗剤より洗剤溶かし動作は長く動作することになり、粉末洗剤の溶け残りを防止して、前洗い工程時に満遍なく高濃度の洗剤溶液を行き渡らせることができ、洗浄性能を向上させることができる。
また、液体洗剤であると判定した場合には(S54でYes、または、S55でYes)、洗剤溶かし時間を短く設定し、洗剤溶かし動作の時間を短縮するとともに、循環ポンプ17(または水槽21、または回転翼21b)の駆動時間を短縮したり、回転数を抑制して消費エネルギを低減させることができる。
また、本実施形態では、洗剤を含んだ水の温度を測定することにより、水温に応じて洗剤溶かし動作の時間を変更するようになっている。(S56、S57、S58、S59参照)。即ち、水温が閾値t1よりも高く洗剤が溶けやすい場合の洗剤溶かし時間は、液体洗剤なら洗剤溶かし時間T0(S56)、粉末洗剤なら洗剤溶かし時間をT1(S57)と設定する。水温が閾値t1以下で洗剤が溶けにくい場合の洗剤溶かし時間は、液体洗剤なら洗剤溶かし時間T2(S58)、粉末洗剤なら洗剤溶かし時間T3(S59)と設定する。このように洗剤溶かし時間は、液体洗剤より粉末洗剤を長く(T1>T0、T3>T2)設定し、水温が高い場合は短く(T0<T2、T1<T3)設定することで、洗剤溶かし動作の時間を短縮するとともに、循環ポンプ17(または洗濯兼脱水槽8、または回転翼8a)の駆動時間を短縮したり、回転数を抑制して消費エネルギを低減されることができる。
また、洗剤を含んだ水の電導度が閾値EC1より低い場合(例えば、すすぎ運転が1回でもよい濃縮タイプの液体洗剤の場合)(S522でYes)、すすぎ運転の回数を1回とし(S524参照)、電導度が閾値EC1以上の場合(例えば、すすぎ運転が2回の液体洗剤の場合)(S522でNo)、すすぎ運転の回数を2回とする(S525、S526参照)ようになっている。このように電導度に基づいて、洗剤の状態(洗剤の種類)を判定し、適切なすすぎ運転の回数とすることができるので、洗濯運転の時間を短縮するとともに、すすぎ工程時のモータ23a等の動作時間を短縮したり、回転数を抑制して消費エネルギを低減させ、使用する水の量を低減させることができる。
ここで、洗剤を含んだ水の電導度測定は、洗剤溶かし動作(S6)の前に行い、洗剤の種類により洗剤溶かし動作の時間を設定するのが望ましい。洗剤溶かし動作(S6)のために給水される水は一定の量であり、本洗い工程(S13からS19)の水量と比較して少ないため洗剤濃度が高くなっており、洗剤の種類(濃縮タイプの液体洗剤、液体洗剤、粉末洗剤)を判定できる程度に電導度の差が得られる。この判定結果により洗剤溶かし動作(S6)を実行し、その後にもう一度、電導度を測定(S7)することで、洗剤種類の判定結果が間違っていないか見直すことができ、また、投入された洗剤の量(洗剤の濃度)も電導度の差として測定することができるので、洗剤状態の判別性を好適にすることができる。
また、洗剤状態判定部117は、前回の洗濯運転時にステップS30で測定した電導度(硬度)と、ステップS5で測定した水温に基づいて、電導度の閾値EC1および閾値EC2を補正する。即ち、水温が高い場合や、水の電導度(硬度)が高い場合には、閾値EC1および閾値EC2を大きく設定するようになっている。
このように、電導度の閾値を水温や水の電導度(硬度)で補正することができるので、好適に洗剤状態を判定することができる。
本実施形態では、洗濯液の電導度に基づいてすすぎ運転の回数を変更するものとして説明したが、例えば、すすぎ運転時に使用する水量を変更する構成であってもよい。具体的には、電導度が高いほど、すすぎ運転で使用する水量を増加させる制御をする構成であってもよい。即ち、投入された洗剤が多い場合(洗剤の濃度が高い)、すすぎ運転時に洗剤が必要以上に発泡する可能性があり、使用する水量を増加させることにより、洗剤の発泡を低減させることができる。また、洗濯液の電導度に基づいて、前洗い工程や、本洗い工程の運転時間や使用する水量を変更する構成であってもよい。
以上、本実施形態に係る洗濯機として、洗濯兼脱水槽の回転軸が略鉛直方向の縦型式洗濯乾燥機を用いて説明したが、これに限られるものではなく、回転ドラム(洗濯兼脱水槽)の回転軸が略水平方向のドラム式洗濯乾燥機であってもよく、乾燥機能を有しない縦型式洗濯機、ドラム式洗濯機であってもよい。
また、水質センサ35(電導度検出手段)は、本実施形態の構成に限られるものではなく、洗剤液の電導度を検知できる構成であればよい。例えば発振回路39のコンデンサの静電容量を変更し、特性を切り替えると説明したが、コンデンサでなく、抵抗やコイルであってもよい。
<クリーニングコースの主な特徴>
本実施形態に係る洗濯機1によれば、搬送経路53の内壁にこびり付いた洗濯処理液の残留物を取りのぞくことが可能となり、配管詰まりやニオイの発生の原因を抑制することができる。 また、搬送経路53に洗濯処理液が残っている状態で、別の洗濯処理液を投入した際の配管詰まりのリスクを抑制することができる。さらには、つけおき工程を実施するクリーニング制御とつけおき工程を実施しないクリーニング制御をどちらか選択可能とすることで、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
以上、本実施形態に係る洗濯機として、洗濯兼脱水槽の回転軸が略鉛直方向の縦型式洗濯乾燥機を用いて説明したが、これに限られるものではなく、回転ドラム(洗濯兼脱水槽)の回転軸が略水平方向のドラム式洗濯乾燥機であってもよく、乾燥機能を有しない縦型式洗濯機、ドラム式洗濯機であってもよい。