第1の発明は、筐体と、前記筐体内に支持された水槽と、前記水槽に内包され有底円筒形に形成された洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動させるモータと、前記水槽内に給水する給水弁と、前記水槽内の水を前記筐体外へ排出する排水手段と、前記洗濯槽内の布量を検知する布量検知手段と、液剤を前記水槽内に供給する液剤供給装置と、前記液剤供給装置と前記排水装置の動作履歴を記憶する記憶部と、前記給水弁や前記モータなどを制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前回、前記液剤供給装置により洗剤が前記洗濯槽に投入され、かつ、前記排水手段により前記水槽内の洗濯水が排水されていない
状況で洗濯運転が停止されたことを検知した場合、排水工程と脱水工程を実行し、前記布量検知手段による布量検知を行い、検知された布量に応じて給水及び前記液剤供給装置による洗剤投入を行う構成としたものである。
これにより、洗濯運転中に電源がOFFされた場合でも、再度の洗濯運転において、追加投入した衣類も考慮した給水量や洗剤投入量を算出でき、洗濯性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
[1−1.構成]
[1−1−1.洗濯機の構成]
図1は、本発明の実施の形態1における洗濯機の外観斜視図、図2は、本発明の実施の形態1における洗濯機の縦断面図である。
図1及び図2において、洗濯機100の外郭である筐体101の内部には、有底円筒形の水槽105が複数のサスペンション(図示せず)およびダンパー163により弾性的に防振支持されている。水槽105内には、有底円筒形のドラム106(洗濯槽)が回転可能に配設される。ドラム106の内壁面には、バッフル106aが複数個設けられている。ドラム106を低速で回転させることにより、バッフル106aが衣類を引っ掛けて上方に持ち上げ、落下させるといった撹拌動作を与えることができる。ドラム106の周面には、貫通された複数の小孔(図示せず)が形成されている。水槽105の底部には、ドラム106を回転駆動させる槽回転モータ(図示せず)が配設される。水槽105の内底部には、排水口(図示せず)が形成されている。排水口は、排水路(図示せず)の一端と連通しており、排水路の他端は、筐体101の外部に配設している。また、排水路には、排水口を開閉する排水弁(図示せず)が設けられている。これにより、排水弁を開放することで、水槽105内の洗濯水は、排水口から排水路を流れ、筐体101外部へと排水される。
筐体101の前面には、衣類を出し入れするため開口された衣類投入取出口103が形成されている。筐体101の前面には、蓋体102が設けられている。蓋体102は、衣類投入取出口103を開閉自在に覆っている。蓋体102を開放することにより、衣類投入取出口103からドラム106内へ衣類を投入できる。
筐体101の水槽105よりも上部には、液剤供給装置109が設けられている。
図1に示すように、筐体101上部には、開閉可能な蓋体114aが設けられる。蓋体
114aを開けて洗剤タンク117及び柔軟剤タンク126を着脱可能に装着できる。
蓋体102上部には、運転を操作する操作部と、運転状態を表示する表示部とを備える操作表示部104が配設される。
筐体101には、槽回転モータ等を制御し、洗い、濯ぎ、脱水等の一連の工程を逐次実行するコントローラ(図示せず)が配設される。コントローラは、布量判定部(図示せず)と、液剤投入量算出部(図示せず)を有する。布量判定部は、例えば、槽回転モータを一定回転数で回転させた時のトルク電流値により、10kgまでの洗濯物を10段階程度に分類する機能を提供する。また、布量判定結果に応じて、洗濯で使用する水量を決定する。液剤投入量算出部は、布量判定部により検出した布量から、洗剤投入量及び柔軟座投入量を算出する。
洗濯機100には、記憶部(図示せず)が設けられている。記憶部は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)からなる。記憶部には、洗剤種類に関する情報を記憶する洗剤種類記憶部(図示せず)を含む、洗濯運転に関する各種設定情報が記憶される。また、記憶部には、「洗い」工程における「洗剤自動投入」動作の履歴や、「排水」動作の履歴が記憶される。
[1−1−2.液剤供給装置109の構成]
図3は、本発明の実施の形態1における洗濯機の要部の分解斜視図、図4は、本発明の実施の形態1における洗濯機の液剤供給装置の平面図、図5は、本発明の実施の形態1における洗濯機の液剤供給装置の右側面図、図6は、本発明の実施の形態1における洗濯機の液剤供給装置の左側面図、図7は、本発明の実施の形態1における洗濯機の液剤供給装置の左側断面図、図8は、本発明の実施の形態1における洗濯機の液剤供給装置の前断面図、図9は、本発明の実施の形態1における洗濯機の液剤供給装置の要部の分解斜視図、図10(a)は、本発明の実施の形態1における洗濯機の水道水を給水するときの三方弁ユニットの概略図、図10(b)は、本発明の実施の形態1における洗濯機の洗剤液を水槽に供給するときの三方弁ユニットの概略図、図10(c)は、本発明の実施の形態1における洗濯機の柔軟剤液を水槽に供給するときの三方弁ユニットの概略図、図11は、本発明の実施の形態1における洗濯機のポンプユニットの断面図、図12は、本発明の実施の形態1における洗濯機の洗剤タンクと洗剤側三方弁の要部拡大断面図、図13は、本発明の実施の形態1における洗濯機の要部の構成を示すブロック図である。
液剤供給装置109は、筐体101の水槽105よりも上部に設けられている。液剤供給装置109は、給水器110と、ポンプユニット111と、三方弁ユニット113と、洗剤タンク117及び柔軟剤タンク126が装着されるタンク収容ケース114から構成される。
(給水器110)
給水器110は、筐体101上部に設けられ、給水路110cと、第1給水弁110a(給水弁)と、第2給水弁110bから構成される。
給水路110cの一端は、給水ホース(図示せず)を介して蛇口と連通している。第1給水弁110aと第2給水弁110bの開閉を制御することで、水道水が流れる水路を制御できる。
(三方弁ユニット113)
三方弁ユニット113は、タンク収容ケース114に装着された洗剤タンク117の液
剤と柔軟剤タンク126の液剤を選択的にピストンポンプユニット112へ吐出するユニットである。
図9に示すように、三方弁ユニット113は、洗剤側三方弁113aと、柔軟剤側三方弁113bと、洗剤側コイル113dと、柔軟剤側コイル113iから構成される。
図10に示すように、洗剤液や柔軟剤液をポンプユニット111へ流すための水路124が設けられている。三方弁ユニット113により、水路124内の水の流れを制御できる。水路124は、前方で、洗剤タンク117と連通する洗剤側筒部111b、及び、柔軟剤タンク126と連通する柔軟剤側筒部111fと連通する。水路124は、第2水路182や、ピストンポンプユニット112の吸入水路112hとも連通している。
図10に示すように、洗剤側三方弁113aは、第2水路182を流れる水道水の流れと、洗剤タンク117から流れる洗剤液の流れを選択的に切り替え、いずれか一方を柔軟剤側三方弁113bへ供給するよう構成されている。
図10を用いて、洗剤側三方弁113aについて説明する。洗剤側三方弁113aは、洗剤側シリンダ113lと、洗剤側シリンダ113l内に設けられ前後に往復運動する洗剤側プランジャ113eと、洗剤側プランジャ113eの前方端部に設けられる洗剤側弁体113fと、一端が洗剤側シリンダ113lの後壁に位置し他端が洗剤側プランジャ113eの後方端部に位置する洗剤側バネ113cと、から構成される。洗剤側シリンダ113lは、前方端部に開口aが形成される。洗剤側シリンダ113lの周囲には、洗剤側コイル113dが設けられている。
図10(a)、図10(c)に示すように、洗剤側コイル113dが通電していない状態では、洗剤側プランジャ113eは、洗剤側バネ113cから前方への付勢力を受け、洗剤側弁体113fが、洗剤側筒部111bの後方端部に形成された開口部bを塞ぐよう構成されている。このため、洗剤タンク117からの洗剤液の流れは、洗剤側弁体113fにより遮られる。また、開口aは開放されているため、第2水路182内を矢印X1方向に水路124内に流入する水道水は、開口a内を通り(矢印X2)、柔軟剤側三方弁113bへと流れる(矢印X3)。
図10(b)に示すように、洗剤側コイル113dが通電すると、洗剤側コイル113dに磁界が発生する。このため、洗剤側プランジャ113eは、磁場から受ける電磁力により洗剤側バネ113cの付勢力に抗して後方に移動する。これにより、開口部bが開放される。よって、洗剤タンク117の洗剤液は、矢印X5、矢印X6のように、開口部b内を通り柔軟剤側三方弁113bへと流れる。また、開口aは、洗剤側弁体113fにより塞がれるため、第2水路182を流れる水道水の流れは、洗剤側弁体113fにより遮られる。
以上のように、洗剤側三方弁113aにより、第2水路182からの水道水の流れと、洗剤タンク117からの洗剤液の流れを切り替え、選択的に柔軟剤側三方弁113bへ供給することができる。
柔軟剤側三方弁113bは、洗剤側三方弁113aから流れる液体の流れと、柔軟剤タンク126から流れる柔軟剤液の流れを選択的に切り替え、いずれか一方をピストンポンプユニット112の吸入水路112hへ供給するよう構成されている。
柔軟剤側三方弁113bも洗剤側三方弁113aと同様、柔軟剤側シリンダ113mと、洗剤側シリンダ113l内に設けられ前後に往復運動する柔軟剤側プランジャ113j
と、柔軟剤側プランジャ113jの前方端部に設けられる柔軟剤側弁体113kと、一端が柔軟剤側シリンダ113mの後壁に位置し他端が柔軟剤側プランジャ113jの後方端部に位置する柔軟剤側バネ113hと、から構成される。柔軟剤側シリンダ113mは、洗剤側三方弁113aからの液体が流入するよう構成される。柔軟剤側シリンダ113mは、前方端部に開口部cを有する。柔軟剤側シリンダ113mの周囲には、柔軟剤側プランジャ113jを覆うように柔軟剤側コイル113iが設けられている。
図10(a)、図10(b)に示すように、柔軟剤側コイル113iが通電していない状態では、柔軟剤側プランジャ113jは柔軟剤側バネ113hの前方への付勢力を受ける。これにより、柔軟剤側筒部111fの後方端部に形成された開口部dは、柔軟剤側弁体113kにより塞がれる。このため、柔軟剤タンク126からの柔軟剤液の流れは、開口部dを塞ぐ柔軟剤側弁体113kにより遮られる。また、開口部cは開放されているため、洗剤側三方弁113aから柔軟剤側三方弁113bへ供給された洗剤液または水道水は、矢印X4や矢印X7のように、開口部cからピストンポンプユニット112の吸入水路112hへと流れる。
図10(c)に示すように、柔軟剤側コイル113iが通電すると、柔軟剤側プランジャ113jは、磁場から受ける電磁力により、柔軟剤側バネ113hの付勢力に抗して後方へ移動する。これにより、開口部dが開放される。よって、柔軟剤タンク126の柔軟剤液は、矢印X8、矢印X9のように、開口部dからピストンポンプユニット112の吸入水路112hへと流れる。また、開口部cは、柔軟剤側弁体113kにより塞がれるため、洗剤側三方弁113aからの液体の流れは柔軟剤側弁体113kにより遮られる。
以上のように、柔軟剤側弁体113kにより、洗剤側三方弁113aからの液体の流れと、柔軟剤タンク126からの柔軟剤液の流れを切り替え、選択的に吸入水路112hへ供給することができる。
上記構成とすることで、図10(a)のように、洗剤側コイル113dと柔軟剤側コイル113iを共に非通電をすると、第2水路182内の水道水が、三方弁ユニット113を経由してピストンポンプユニット112へ供給される。また、図10(b)のように、洗剤側コイル113dを通電し、柔軟剤側コイル113iを非通電とすると、洗剤タンク117の洗剤液が、三方弁ユニット113を経由してピストンポンプユニット112へ供給される。また、図10(c)のように、洗剤側コイル113dを非通電とし、柔軟剤側コイル113iを通電状態にすると、柔軟剤タンク126の柔軟剤液が、三方弁ユニット113を経由してピストンポンプユニット112へ供給される。
(ポンプユニット111)
ポンプユニット111は、洗剤タンク117内の洗剤液、又は柔軟剤タンク126内の柔軟剤液を吸引し、水槽105へ吐出するためのユニットである。ポンプユニット111は、外枠111aと、外枠111a内に設けられたピストンポンプユニット112から構成される。
図9に示すように、外枠111aは、ピストンポンプユニット112を囲い保護している。外枠111aは、給水器110とタンク収容ケース114の間に配設されている。
図9に示すように、外枠111aの外壁前面の下方には、洗剤側筒部111bが前方と後方に延伸形成される。洗剤側筒部111bの前方端部は、洗剤タンク117の下方後壁に形成された筒部123内に挿入される。洗剤側筒部111bの前方外周面には、離間した複数のパッキン111cが設けられている。図9に示すように、洗剤側筒部111bの前方には、前方向に延伸した突出リブ111eが形成される。洗剤側筒部111bの後方
端部は、図10に示すように、水路124と接続する。水路124は、ポンプユニット111の吸入水路112hと連通している。
また、図9に示すように、外枠111aの外壁前面の下方には、前方及び後方に延伸する柔軟剤側筒部111fが形成される。外枠111aよりも前方に延伸する柔軟剤側筒部111fは、柔軟剤タンク126の下方後壁に形成された筒部(図示せず)内に挿入される。柔軟剤側筒部111fの後方端部は、図10に示すように、水路124と連通接続されている。
図9、図11に示すように、ピストンポンプユニット112は、シリンダ112dと、シリンダ112d内に液剤が流入する吸入水路112hと、シリンダ112dから液剤を吐出する吐出水路112gと、シリンダ112d内に設けられ上下に往復運動可能なピストン112eと、ピストン112eを駆動させる駆動モータ112fを有する。
シリンダ112dは、中空の略円筒形状で形成されており、シリンダ112dの内部には、ピストン112eが上下に往復運動可能に配設されている。ピストン112eは、リンク112a及びカム112bを介して、駆動モータ112fと連結している。上記構成により、駆動モータ112fの回転は、リンク112a及びカム112bを介してピストン112eに伝達され、ピストン112eが上下運動する。
シリンダ112dの下部には、吸入水路112h及び吐出水路112gが連通して取り付けられている。吸入水路112h及び吐出水路112gを、ピストン112eよりも下方に配設することで、ピストン112eにより吐出された液剤が、勢いよく下方に吐出される。
吸入水路112hは、水路124の吐出口eと連通しており、柔軟剤側三方弁113bから吐出された液体が、シリンダ112d内の収容部112cへ吸引する水路である。
吸入水路112h内には、吸入側逆止弁164が設けられている。吸入側逆止弁164は、下部に凸部164aが形成されている。吸入水路112hには、吸入側逆止弁164を下方に付勢するバネ164bが配設されている。これにより、凸部164aは、吸入水路112hの内壁面112iと当接するため、吸入側逆止弁164は、上方には移動するが、吸入水路112hの内壁面112i以上、下方に移動しない構成となっている。
吐出水路112gは、シリンダ112d内の液体が吐出される水路で、図5に示すように、連結ホース129の分岐水路129aと接続されている。
吐出水路112g内には、吐出側逆止弁165が設けられている。吐出側逆止弁165は、上部に凸部165aが形成されている。吐出水路112gには、吐出側逆止弁165を上方に付勢するバネ165bが配設されている。このため、凸部165aは、吐出水路112gの内壁面112jと当接するため、吐出側逆止弁165は下方には移動するが、吐出水路112gの内壁面112j以上、上方に移動しない構成となっている。
ピストン112eが上方へ移動すると、シリンダ112dの収容部112c内が負圧となり、吸入側逆止弁164に上向きの力が加わる。負圧により吸入側逆止弁164に生じる上向きの力が、吸入側逆止弁164の重力とバネ164bの弾性力との合力よりも大きい場合、吸入側逆止弁164は上向きに移動し、凸部164aと吸入水路112hの内壁面112iとの間に隙間が生じる。これにより、三方弁ユニット113を経由した液体が、隙間から吸入水路112hを流れてシリンダ112d内に流入する。
ピストン112eが下方へ移動すると、シリンダ内の収容部112c内が正圧となり、吐出側逆止弁165に下向きの力が加わる。吐出側逆止弁165に係る重力と、ピストン112eが下方へ移動したことより吐出側逆止弁165に生じる下向きの力との合力が、吐出側逆止弁165に係る上向きのバネ165bの弾性力よりも大きい場合、吐出側逆止弁165は下方に移動する。これにより、凸部165aと吐出水路112gの内壁面112jとの間に隙間が生じるため、シリンダ内の収容部112c内の液体が隙間から吐出水路112gを流れ、吐出される。
また図5に示すように、吐出水路112gは、連結ホース129の分岐水路129aと連通接続される。連結ホース129は、タンク収容ケース114の排水口114cと水槽105とを連通するホースである。これにより、ピストン112eが下方へ移動すると、シリンダ内の収容部112c内の液剤は、吐出水路112gから連結ホース129を経由して水槽105へと吐出される。
以上のように、ピストン112eが上下運動を繰り返すことで、洗剤タンク117の洗剤液や連結ホース129の柔軟剤液をポンプユニット111内に吸引し、水槽105へ吐出することができる。
また、吸入水路112h、吐出水路112g及び分岐水路129aは、略鉛直方向に形成されている。
(タンク収容ケース114)
タンク収容ケース114は、上面が開口した収容部を有する容器である。図4に示すように、タンク収容ケース114の収容部後方には、洗剤タンク117と柔軟剤タンク126が着脱可能に取り付けられる。タンク収容ケース114の収容部前方には、洗剤ケース115が着脱可能に取り付けられる。
図3、図5に示すように、タンク収容ケースの左右側壁には、リニアホール素子136が設けられている。リニアホール素子136は、アナログ方式で構成される。
図3、図5に示すように、タンク収容ケース114の側壁下部には、下部注水口114gが形成されている。下部注水口114gは、後述する迂回水路184と連通している。
図5に示すように、タンク収容ケース114の底部には排水口114cが形成される。排水口114cは、連結ホース129の一端と接続される。連結ホース129の他端は、水槽105に揺動可能に接続される。図5に示すように、連結ホース129は、途中から分岐水路129aが鉛直方向に分岐している。分岐水路129aは、ポンプユニット111の吐出水路112gと連通している。
(洗剤タンク117、柔軟剤タンク126)
図3に示すように、洗剤タンク117及び柔軟剤タンク126は、上部に上面開口部を有する容器である。
洗剤タンク117の上部周縁には、パッキンが設けられる洗剤タンク117の上部には、上面開口部を開閉可能に覆う洗剤タンク蓋119が取り付けられる。洗剤タンク蓋119が洗剤タンク117上部に取り付けられると、パッキンが押し潰され、水密に固定できる。これにより、洗剤タンク117を横に倒してしまった場合でも、内部の洗剤液がこぼれることを防止できる。なお、パッキンは、洗剤タンク117側でなく、洗剤タンク蓋119側に設けられる構成でもよい。
洗剤タンク蓋119は、前方に開口部139が形成されている。また、洗剤タンク蓋119には、開口部139を開閉可能に覆う小窓119bが設けられる。
洗剤タンク117の後壁117a下方には、内方(前方)に延伸する筒部123が形成されている。筒部123の内周面には、逆止弁123bが取り付けられている。逆止弁123bは、ばね(図示せず)によって後方へ付勢されている。自然状態では、逆止弁123bが筒部123内周壁を押圧して隙間が生じないため、洗剤タンク117内の洗剤液が筒部123から漏れ出すことを防止している。
洗剤タンク117をタンク収容ケース114に装着すると、筒部123に液剤供給装置109の洗剤側筒部111bが挿入される。このとき、洗剤側筒部111bの突出リブ111eが逆止弁123bを前方に押すことにより、逆止弁123bと筒部123内壁との間に隙間が生じ、洗剤液が筒部123から三方弁ユニット113に吐出することができる。また、洗剤タンク117をタンク収容ケース114から引き抜いた場合、逆止弁123bがばねによって後方に付勢され、逆止弁123bと筒部123内周と間の隙間がなくなる。これにより、洗剤タンク117からタンク収容ケース114を引き抜いた場合でも、洗剤タンク117から洗剤液が漏れることを防止できる。
また、洗剤タンク117がタンク収容ケース114に装着されると、パッキン111cにより筒部123と洗剤側筒部111bとは水密に保持される。これにより、洗剤タンク117装着時、洗剤液が洗剤タンク117の筒部123からタンク収容ケース114へ漏れることがなく、所望の水量の洗剤液を吐出することができる。
洗剤タンク117の前方外壁面には、掴み部117gが形成される。掴み部117gは、洗剤タンク117の壁面と距離を置いて設けられている。使用者は、掴み部117gを掴み、洗剤タンク117を手前へ引くことで、タンク収容ケース114内から洗剤タンク117を引き抜くことができる。また、使用者は掴み部117gと洗剤タンク117の隙間に指を上から挿入することもできるし、下から挿入することもできる。また、掴み部117gと洗剤タンク117の隙間に指を上から挿入するとともに、下からも挿入することで、掴み部117gを握ることもできる。
タンク収容ケース114の収容部に挿入された洗剤タンク117を、下から掴み部117gを掴んで引き抜こうとすると、洗剤ケース115収容部の狭いスペース内に手首を入れる必要があるため手首が窮屈になる。一方、掴み部117gと洗剤タンク117の隙間に上から指を挿入することで、手首が窮屈な姿勢になることなく、洗剤タンク117を容易に引き抜くことができる。
柔軟剤タンク126も洗剤タンク117と同様の構成なので、説明は割愛する。
(洗剤ケース115)
図4に示すように、タンク収容ケース114の洗剤タンク117及び柔軟剤タンク126よりも前方には、洗剤ケース115が着脱可能に設けられている。図7のように、洗剤ケース115は、洗剤タンク117や柔軟剤タンク126と当接している。このため、洗剤ケース115を取り付けることにより、洗剤ケース115は、洗剤タンク117や柔軟剤タンク126を後方へ押し込む。洗剤タンク117は、後方へ押し込まれることにより、筒部123内に洗剤側筒部111bを確実に挿入することができ、洗剤液漏れを防止することができる。柔軟剤タンク126も同様に、洗剤ケース115により後方へ押し込まれることで、タンク収容ケース114内へ確実に装着することができ、柔軟剤漏れを防止することができる。
洗剤ケース115は、上面が開口した容器で、隔壁115aが形成されている。隔壁115aにより、洗剤ケース115の収容部は、洗剤収容部115bと柔軟剤収容部115cとに区画される。使用者は、洗剤収容部115bに粉末洗剤を、柔軟剤収容部115cに柔軟剤を手動投入する。
洗剤ケース115の底面には、排出口(図示せず)が形成されている。排出口から流れる液剤は、タンク収容ケース114、連結ホース129を経由して水槽105へ供給される。洗剤収容部115bに投入された粉末洗剤を洗い流す際は、第1給水弁110aを開ける。これにより、蛇口から給水された水道水は、第1水路181、注水路を流れ、第1上部注水口116bから洗剤収容部115bへ注水される。
柔軟剤収容部115cには、従来周知のサイフォン機構が設けられている。柔軟剤収容部115cに投入した柔軟剤液を流す際は、第2給水弁110bを開ける。これにより、水道水は、図13の矢印A3に示すように、第3水路183を流れ、第2上部注水口116cから柔軟剤収容部115cへ注水される。すると、柔軟剤収容部115c内の水位が上昇し、サイフォン機構によるサイフォン効果によって、柔軟剤収容部115cに投入された柔軟剤液を残すことなく完全に水槽105内へ流すことができる。
(注水ケース116の構成、及び、水路の構成)
図3、図4に示すように、タンク収容ケース114上部には、水道水が流れる注水ケース116が配設されている。注水ケース116の爪部116aが、タンク収容ケース114の係合部114mと係合することにより、注水ケース116とタンク収容ケース114とが固定される。
図13に示すように、注水ケース116には、第1給水弁110aと連通する注水路と、第2給水弁110bと連通する注水路と連通している。また、注水ケース116には、前方に第1上部注水口116b,第2上部注水口116cが形成される。第1上部注水口116b,第2上部注水口116cは、注水路と連通する。また、注水ケース116は、後方に第3上部注水口116dが形成されている。
図13に示すように、第1水路181は、第1給水弁110aから流入した水が、注水ケース116の注水路を流れ、第1上部注水口116bから洗剤ケース115の洗剤収容部115b内に注水される水路である。コントローラは、第1給水弁110aを開けると、水道水が、第1水路181を流れ、第1上部注水口116bから洗剤収容部115bに注水される。
図13に示すように、第1水路181は、注水ケース116よりも上流側で、第2水路182と分岐する。第2水路182は、三方弁ユニット113、ポンプユニット111を経由して連結ホース129の分岐水路129aに流入する水路である。
第2水路182では、三方弁ユニット113よりも上流側で迂回水路184が下方に分岐している。迂回水路184は、タンク収容ケース114の下部注水口114gと連通している。洗剤側三方弁113aに異物が詰まったり、洗剤側三方弁113aが経年劣化したりして、洗剤側三方弁113aの開閉部が閉じ切らず、洗剤タンク117の洗剤液が第2水路182内を逆流した場合でも、逆流した液剤が迂回水路184へと流れるので、給水栓まで逆流することを防止できる。
図13に示すように、第3水路183は、第2給水弁110bから流入した水道水が、注水ケース116の注水路を流れ、第2上部注水口116cから洗剤ケース115の柔軟剤収容部115c内に注水される水路である。コントローラが第2給水弁110bを開け
ると、水道水は、第3水路183を流れ、第2上部注水口116cから柔軟剤収容部115cに注水される。
第3水路183は、第3分岐点183aで分岐水路185と分岐している。分岐水路185は、第3上部注水口116dと連通する。第3水路183を流れる水道水の一部は、分岐水路185を流れ、図8の矢印D方向に第3上部注水口116dから傾斜面114jに向けて注水される。注水された水は、傾斜面114j上を筒部123と洗剤側筒部111bに向けて流れる。
[1―2.動作、作用]
上記構成における洗濯機において、以下に動作・作用を示す。
[1―2−1.洗濯運転動作]
本発明の実施形態1における洗濯運転の動作を説明する。
洗濯機100の洗濯運転は、衣類を洗濯水に浸しドラム106を回転することで汚れを落とす『洗い工程』、洗剤水で浸った衣類を水で濯ぐ『濯ぎ工程』、水を含んだ衣類を脱水する『脱水工程』、温風をドラム106へ供給しドラム106内の衣類を乾燥させる『乾燥工程』などがある。
使用者は洗濯を行う前に、予め、洗剤液を洗剤タンク117へ投入するとともに、柔軟剤液を柔軟剤タンク126へ投入しておく。
洗剤タンク117に洗剤液を補充する際は、蓋体114aを開け、洗剤タンク117を取り外す。次に、洗剤タンク蓋119を開け、洗剤タンク117内に洗剤液を投入する。
柔軟剤タンク126内に柔軟剤液を補充する際も同様に、蓋体114aを開け、柔軟剤タンク126を取り外す。次に、柔軟剤タンク蓋128を開け、柔軟剤タンク126内に柔軟剤液を投入する。
また、蓋体114a、洗剤タンク蓋119、及び柔軟剤タンク蓋128は、ヒンジにより上下に回動しながら開閉する構成となっている。このため、洗剤タンク蓋119、及び柔軟剤タンク蓋128が開いた状態で、蓋体114aを閉じることで、洗剤タンク蓋119と柔軟剤タンク蓋128も閉じることができる。
洗濯を行う際、使用者は、蓋体102を開け、衣類投入取出口103からドラム106内に衣類を投入する。次に、操作表示部104を操作して電源スイッチをONにするとともに、洗いや濯ぎ、脱水など、各種洗濯コースや洗濯条件を設定する。設定できる洗濯コースは、『洗いのみ』、『濯ぎのみ』、『脱水のみ』などである。
以下、『洗濯コース』における運転動作を説明する。
『洗濯コース』では、コントローラは、例えば、布量判定工程、給水工程、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程を逐次実行するよう制御する。
使用者は、予め、洗剤や柔軟剤を、液剤供給装置109を用いて自動供給するか、手動で投入するかを設定する。
洗剤や柔軟剤を液剤供給装置109で自動供給するよう設定した場合、まず、布量判定部により、布量検知を行う。布量検知では、槽回転モータを一定回転数で正転方向、反転
方向に繰り返し回転させた時のトルク電流値を測定することにより、ドラム106内の布量を検出する。次に、操作表示部104に、水位や洗剤量、柔軟剤量を表示する。そして、ポンプユニット111を駆動させ、液剤投入量算出部により算出された量の洗剤液を洗剤タンク117からドラム106内へ投入する。その後、第1給水弁110aを開け、布量に応じた水量の水道水をドラム106内に給水する給水工程を実行する。
給水工程終了後、槽回転モータを駆動させ、ドラム106を回転させることにより、ドラム106内の洗濯物を攪拌させる洗い工程を実行する。洗い工程終了後、水槽105内の水を排水し、第1濯ぎ工程を実行する。第1濯ぎ工程では、ドラム106を高速回転する中間脱水が行なわれる。中間脱水により、衣類に遠心力を与えて衣類から水分を分離する。中間脱水後、第1給水弁110aを開放させて所定量の水道水を水槽105内へ供給する。そして、ドラム106を正転方向及び反転方向に回転駆動させる濯ぎ攪拌を実行する。
第1濯ぎ工程終了後、コントローラは、水槽105内の水を排水した後、最終濯ぎ工程を実行する。最終濯ぎ工程では、ドラム106を高速回転する中間脱水を行った後、第1給水弁110aを開放させて所定量の水道水を水槽105内へ供給する。また、ポンプユニット111を駆動させ、液剤投入量算出部により算出された量の柔軟剤を柔軟剤タンク126から水槽105内へ供給する。給水及び柔軟剤液の供給完了後、コントローラは、ドラム106を正転方向及び反転方向に回転駆動させる濯ぎ攪拌を実行する。
最終濯ぎ工程が完了すると、コントローラは、水槽105内の水を排水した後、ドラム106を高速回転させる脱水工程を実行する。
ドラム106内の衣類バランスが良好の状態のまま、脱水工程が終了すると、洗濯運転が終了する。脱水工程において、ドラム106内の衣類の片寄りが大きく、アンバランスが生じた場合、ドラム106の回転を止めて、修正濯ぎ工程を実行する。修正濯ぎ工程では、再度給水を行うとともに、ポンプユニット111を駆動させて、柔軟剤タンク126内の柔軟剤をドラム106に投入する。そして、ドラム106内の衣類の偏りを改善させるため、ドラム106を正転方向及び反転方向に回転駆動させる。の修正濯ぎ工程により、ドラム106内の衣類の偏りを改善させることができるとともに、柔軟剤の効果を持続させることができる。修正濯ぎ工程の後、水槽105内の水を排水し、再度、ドラム106を高速回転させる脱水工程を実行する。
ドラム106内の衣類バランスが良好の状態で脱水工程が終了した場合、洗濯運転が終了する。脱水工程において、再度、ドラム106内の衣類の偏りが検知した場合、ドラム106内の衣類の偏りにより運転停止した旨を操作表示部104にエラー表示する。使用者がエラー状態を認識すると、ドラム106内の衣類をほぐし、操作表示部104を操作してエラー解除する。これにより、再度脱水運転が行われる。
なお、修正濯ぎ工程でドラム106内に供給する柔軟剤量は、最終濯ぎ工程でドラム106内に供給する柔軟剤量よりも少ないことが好ましい。最終濯ぎ工程で供給した柔軟剤は一部衣類に付着しているため、上記構成とすることにより、柔軟剤を節約しながら、柔軟剤の効果を維持できる。
洗剤や柔軟剤を手動で投入した場合、洗濯コースの運転を開始し、布量検知を行う。そして、コントローラは、検知された布量に応じた水位や洗剤、柔軟剤量を操作表示部104に表示する。使用者が、表示された量の洗剤や柔軟剤を、洗剤収容部115b又は柔軟剤収容部115cに投入する。その後、給水工程、洗い工程を実行し、排水した後、第1濯ぎ工程を実行する。第1濯ぎ工程終了後、排水を行い、最終濯ぎ工程を実行する。最終
濯ぎ工程では、コントローラは、第2給水弁110bを開放させ、柔軟剤を含んだ水をドラム106内に給水し、ドラム106を正転方向及び反転方向に回転駆動させ、ドラム106内の衣類を攪拌する。最終濯ぎ工程終了後、排水をして、脱水工程を実行する。
ドラム106内の衣類バランスが良好の状態のまま、脱水工程が終了すると、洗濯運転が終了する。脱水工程において、ドラム106内がアンバランス状態となると、ドラム106の回転を止めて、修正濯ぎ工程を実行する。
修正濯ぎ工程において、柔軟剤タンク126に柔軟剤が収容されていない場合は、柔軟剤を供給しないで、給水のみを行い、ドラム106を回転させて衣類を攪拌させる。柔軟剤タンク126に柔軟剤が収容されている場合は、給水を行うとともに、液剤供給装置109を用いて、柔軟剤をドラム106内に供給し、ドラム106を回転させて衣類を攪拌させる。これにより、柔軟剤タンク126内に柔軟剤が収容されている場合は、柔軟剤の効果を維持しながら、修正濯ぎ工程を実行することができる。
修正濯ぎ工程終了後、水槽105内の水を排水して、脱水を行う。
なお、修正濯ぎ時に柔軟剤を追加投入するか否かを使用者が設定する構成としてもよい。これにより、使用者のニーズに応じた洗濯運転ができ、利便性が向上する。
[1−2−2.給水方法、及び液剤供給装置を用いた液剤の供給方法]
以下、給水方法、及び水槽105への液剤の供給方法について説明する。
洗い工程ではまず、水槽105に水道水を給水する。
図10に示すように、水道水を給水する際、コントローラは、第1給水弁110aを開けるとともに、第2給水弁110bを閉じる。また、洗剤側コイル113d、柔軟剤側コイル113i、駆動モータ112fを非通電状態にする。これにより、蛇口から給水される水道水が、第1水路181を流れ、水槽105に給水される。
給水完了後、洗剤タンク117内の洗剤液を水槽105に供給する。この場合、図10(b)に示すように、コントローラは、洗剤側コイル113d、駆動モータ112fを通電状態とし、柔軟剤側コイル113iを非通電状態とする。これにより、洗剤タンク117とポンプユニット111の吸入水路112hとが連通する。逆止弁123bが後方へ移動するため、洗剤タンク117内の洗剤液は、筒部123から洗剤側筒部111b、洗剤側三方弁113a、柔軟剤側三方弁113bを経由してポンプユニット111の吸入水路112hに流入する。
また、図11に示すように、駆動モータ112fの駆動力により、ピストン112eはシリンダ112d内で上下に往復運動する。これにより、シリンダ112d内は負圧と正圧が繰り返される。ピストン112eが上方へ移動すると、シリンダ112d内が負圧になり、吸入側逆止弁164が上方へ移動し、洗剤液が吸入側逆止弁164と吸入水路112hとの隙間からシリンダ112d内の収容部112c内に流入する。ピストン112eが下方へ移動すると、シリンダ112d内が正圧になり、吐出側逆止弁165が下方へ移動する。このため、シリンダ内の収容部112c内の洗剤液は、吐出側逆止弁165と吐出水路112gの内壁面112jとの隙間から分岐水路129aへ向けて真下方向に吐出される(図7の矢印C方向)。吐出された洗剤液は、連結ホース129の分岐水路129aを流れて、水槽105へと供給される。
上記のように、ピストン112eが所定時間、上下運動を繰り返すことで、所定量の洗
剤液を水槽105へと供給できる。
ここで、第2水路182は、水槽105と連通しているが、蓋体102が開いた状態では、水槽105内は大気開放されている。このため、ピストンポンプユニット112から水槽105までの液剤の水路内で、液剤が乾燥し、固着、堆積する虞がある。
本実施の形態では、ポンプユニット111の吐出水路112gは、連結ホース129の分岐水路129aと接続されるため、注水ケース116の注水路を経由せず、水槽105に向けて真下方向に自由落下して吐出される(図7の矢印C)。これにより、吐出水路の距離が短く、水路も複雑とならないため、洗剤液の固着を抑制することができる。
洗剤液の投入完了後、図10(a)に示すように、コントローラは、洗剤側コイル113d、柔軟剤側コイル113iを非通電状態とするとともに、第1給水弁110aを所定時間開放する。これにより、第1水路181から第2水路182へ流れと流れた水は、三方弁ユニット113やポンプユニット111に流れ込む。これにより、三方弁ユニット113やポンプユニット111、連結ホース129に残留した洗剤液を洗い流すことができる。
また、給水開始時は、水の勢いが弱いため、吸入側逆止弁164及び吐出側逆止弁165が移動せず給水される水の流れが遮られる虞がある。このため、第1給水弁110aを開け始めてから所定時間(例えば20秒間)、駆動モータ112fを駆動する構成としてもよい。上記構成とすることで、ピストン112eが上下に往復運動し、シリンダ内の収容部112c内が正圧と負圧とを繰り返される状態となるので、吸入側逆止弁164及び吐出側逆止弁165が移動し、水道水をポンプユニット111に流入させることができる。このため、三方弁ユニット113やポンプユニット111、連結ホース129に残留した洗剤液を洗い流すことができる。
また、図5に示すように、ポンプユニット111の吐出水路112gは、タンク収容ケース114を経由することなく、連結ホース129を介して、水槽105と連通している。このため、ポンプユニット111から水槽105までの水路に液剤が残留、固着することを防止できる。
図10(c)に示すように、柔軟剤タンク126から柔軟剤液を供給する場合は、柔軟剤側コイル113i、駆動モータ112fを通電状態とするとともに、洗剤側コイル113dを非通電状態に制御する。柔軟剤液の供給方法は洗剤液の供給方法と同様であるため、説明を割愛する。
また、洗剤側三方弁113aの開閉部に異物がかみ込んだ場合、洗剤側三方弁113aの開閉部に隙間が生じる虞がある。第1給水弁110aが開放した状態で、停電や断水等となると、洗剤タンク117内の洗剤液が、洗剤側三方弁113a開閉部の隙間を流れ、第2水路182内を給水栓に向けて逆流する虞がある。
ここで、図12に示すように、第2水路182では、迂回水路184が下方に分岐形成されており、迂回水路184の出水口である下部注水口114gは、洗剤タンク117よりも下方に位置している。このため、洗剤タンク117から逆流した洗剤液は、迂回水路184へ流れ、タンク収容ケース114、連結ホース129を経由して水槽105へと流れる(矢印A4)。よって、洗剤タンク117内の洗剤液が給水栓にまで逆流し、給水栓が故障することを抑制できる。
また、迂回水路184を流れる水道水は、タンク収容ケース114に流入するので、給
水時にはタンク収容ケース114に固着した洗剤液を洗い流すことにも利用できる。
柔軟剤タンク126内の柔軟剤が逆流した場合も同様であるため、説明は割愛する。
[1−2−3.手動投入した洗剤、柔軟剤の水槽への供給方法]
以下、洗剤の手動投入を設定した場合において、洗剤ケース115に手動投入した粉末洗剤や柔軟剤の水槽105への供給方法について説明する。
図12に示すように、洗剤ケース115に投入した粉末洗剤を水槽105に供給する際は、第1給水弁110aを開けるとともに、第2給水弁110bを閉じる。これにより、図12の矢印A1のように、蛇口から給水される水道水は、第1水路181を流れ、第1上部注水口116bから洗剤ケース115の洗剤収容部115bに向けて注水される。洗剤収容部115b内の粉末洗剤は、排水口114cから連結ホース129を流れ、水槽105内に供給される。また、第1水路181に給水された水道水は、第1分岐点181aで第2水路182からする。第2水路182を流れる水道水は、図12の矢印A4のように、迂回水路184内を流れ、下部注水口114gからタンク収容ケース114の内底面に向けて給水される。上側から注水される水と下側から注水される水によって、粉末洗剤がタンク収容ケース114内に残留することなく、連結ホース129へ洗い流すことができる。
洗剤ケース115に投入した柔軟剤を水槽105へ供給する際は、第1給水弁110aを閉制御するとともに、第2給水弁110bを開制御する。これにより、蛇口から給水される水道水は、図12の矢印A3のように、第3水路183を流れ、第2上部注水口116cから洗剤ケース115の柔軟剤収容部115cへ向けて注水される。すると、柔軟剤収容部115c内の水位が上昇し、サイフォン機構によるサイフォン効果によって、柔軟剤収容部115cに投入された柔軟剤液を残すことなく、タンク収容ケース114へ流出させることができる。タンク収容ケース114に流出した柔軟剤液は、排水口114cから連結ホース129を流れ、水槽105内へと供給される。
[1−2−3.洗剤、柔軟剤のドラムへの供給タイミング]
液剤供給装置109を用いた洗剤液及び液剤柔軟剤の供給タイミングは、使用者が任意に設定できる構成としている。例えば、洗い工程開始から5分経過後に洗剤液をドラム106に供給したり、最終濯ぎの注水濯ぎ完了後に柔軟剤液の投入を行うなどである。これにより、多様な洗濯方法を選べ、使用者の使い勝手を向上することができる。
以下、洗剤液と柔軟剤液の供給タイミングの設定例を説明する。
例えば、洗剤収容部115bに漂白剤を入れ、洗剤タンク117に洗剤液を入れ、柔軟剤タンク126に柔軟剤液を入れる。また、洗い工程開始から使用者の設定時間後(例えば、4分後)に液剤供給装置109を用いて洗剤液をドラム106に供給し、最終濯ぎの給水時に柔軟剤液を供給するように設定する。この場合、洗い工程初期では漂白剤で予洗いを行い、途中から洗剤液による洗いを行い、最終濯ぎで柔軟処理をすることが可能である。
また、柔軟剤収容部115cに柔軟剤を入れ、柔軟剤タンク126に液体漂白剤を入れ、洗剤タンク117に洗剤液を入れる。そして、液体漂白剤の投入のタイミングを洗い工程の最初の給水時に柔軟剤タンク126からドラム106に液体漂白剤を供給し、洗い工程開始から使用者の設定時間後(例えば、4分後)に洗剤タンク117から洗剤液をドラム106に供給し、最終濯ぎ時に柔軟剤収容部115cから柔軟剤をドラム106に供給するように設定する。この場合、洗い工程初期は液体漂白剤を用いて予洗いを行い、途中
から洗剤液による洗いを行い、最終濯ぎで柔軟処理をすることが可能である。
また、使用者が誤って、洗剤タンク117に柔軟剤液を供給し、柔軟剤タンク126に洗剤液を供給した場合、洗剤タンク117内の柔軟剤液と柔軟剤タンク126内の洗剤液を入れ替える必要があり、手間となっていた。また、洗剤液と柔軟剤液が混在しないように、洗剤タンク117と柔軟剤タンク126を一度洗浄する必要があり、僅かに残る洗剤液或いは柔軟剤液を無駄にしてしまっていた。
本実施の形態では、洗剤側三方弁113aと柔軟剤側三方弁113bの開閉タイミングを、通常とは逆に設定することができる。これにより、洗剤液と柔軟剤液を逆に補充した場合でも、洗剤側三方弁113aと柔軟剤側三方弁113bの開閉タイミングを逆に設定することで、洗濯運転を実行することができ、柔軟剤液と洗剤液を入れ替える手間を省くことができる。また、洗剤タンク117や柔軟剤タンク126内に僅かに残る洗剤液或いは柔軟剤液も無駄にしないので、使用者にとって有益である。
また、液剤供給装置109は、洗剤タンク117と柔軟剤タンク126以外に、漂白剤、衣類仕上げ剤、香りの異なる柔軟剤等を収容する液体タンクを設け、漂白剤、衣類仕上げ剤、香りの異なる柔軟剤等をドラム106に自動供給できる構成としてもよい。これにより、使用者が、洗剤、柔軟剤以外に、漂白剤、衣類に香り付着させ目的の衣類仕上げ剤、香りの異なる柔軟剤などを自由に選択できるため、多様な洗濯方法を提供でき、使い勝手を向上することができる。
[1−2−4.運転途中で電源OFF後、再度電源をONした場合の運転動作]
洗濯開始後、衣類を追加投入する際、通常は、一時停止ボタンで洗濯運転を一時停止させ、衣類をドラム106に追加投入し、スタートボタンを押下して運転を再開させる。しかし、使用者が操作を誤り、電源切ボタンを押下して洗濯運転を停止する虞がある。また、停電などの理由により、洗濯運転中に洗濯機の主電源が切れ、洗濯運転を停止する虞がある。
図14は、本発明の実施の形態1における洗濯機の洗濯運転のフローチャートである。
上記状況で、洗濯機の電源をONして、再度、スタートボタンを押下して洗濯運転を再開させた場合の運転動作を、図14を用いて説明する。
洗濯機の電源ボタンがONされた場合(ステップS101:Yes)、洗濯機は、スタートボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS102)。スタートボタンが押下された場合(ステップS102:YES)、コントローラは、記憶部に記憶されている、前回運転時の「洗剤自動投入」の動作履歴と、「排水」の動作履歴を参照し、前回の洗濯運転動作において、洗剤が投入され、かつ、排水動作が1度も実行されずに電源OFFされたか否かを判定する(ステップS103)。洗剤が投入され、かつ、排水動作が1度も実行されずに電源OFFされた場合とは、洗い工程の攪拌動作中、衣類を追加したい等の理由で誤って電源切りボタンを押下した場合などが想定される。上記状況では、「洗剤自動投入」の動作履歴は“あり”、「排水」の動作履歴は“なし”となる。また、「洗い」工程の「給水」動作中において、洗剤の自動投入が完了した状況で、停電や誤操作などで洗濯機の電源がOFFとなった場合なども想定される。
前回の洗濯運転動作において、洗剤が投入され、かつ、排水動作が1度も実行されずに電源OFFされたと検出した場合(ステップS103:No)、コントローラは、布量検知を行い(ステップS104)、液剤供給装置109を用いて洗剤液をドラム106に自動投入する(ステップS105)。洗剤自動投入後、給水工程を実行した後(ステップS
106)、洗い工程を実行する(ステップS107)。給水工程とは、第1給水弁110aを開け、布量に応じた水量の水道水をドラム106内に給水する工程である。また、洗い工程とは、槽回転モータを駆動させ、ドラム106を回転させることにより、ドラム106内の洗濯物を攪拌させる工程である。洗い工程後、排水工程を実行する(ステップS108)。排水工程とは、排水弁(図示せず)を開け、水槽105内の洗濯水を排水する工程である。
ステップS108の排水工程実行後、コントローラは、濯ぎ工程を実行する(ステップS109)。濯ぎ工程は、まず、ドラム106を高速回転する中間脱水により、衣類に遠心力を与えて衣類から水分を分離する。中間脱水後、第1給水弁110aを開放させて所定量の水道水を水槽105内へ供給する。また、液剤供給装置109を用いて柔軟剤を自動投入する。ドラム106を正転方向及び反転方向に回転駆動させる濯ぎ攪拌を実行する。以上により、濯ぎ工程は終了する。
濯ぎ工程終了後、排水工程を実行して水槽105内の柔軟剤液を排水した後(S110)、脱水工程を実行して(ステップS111)、洗濯運転は終了となる。
また、ステップS103において、前回の洗濯運転で、洗剤が投入され、かつ、排水動作が1度も実行されずに電源OFFされたと検知された場合(ステップS103:Yes)、コントローラは、布量検知工程(ステップS104)、洗剤自動投入工程(ステップS105)を実行せず、給水工程(ステップS106)から運転を実行する。ステップS106の給水工程以降の運転動作については、上述の説明を重複するので、説明は割愛する。
前回の洗濯運転動作において、洗剤が投入され、かつ、排水動作が1度も実行されずに電源OFFされたと検知された場合、洗い工程の水槽105内に洗剤液が残留している状態で主電源が切れた状態となっている。この状態で洗濯機の主電源をONするとともにスタートボタンがONした場合、再度洗剤が投入されると、想定の2倍量の洗剤が投入されることとなる。このため、泡の異常発生や、すすぎ性能の低下といった課題が発生する虞がある。また、泡の異常発生に至らない状態であったとしても、洗濯機のすすぎ工程では1回量の洗剤しか想定していないため、十分なすすぎ性能が得られない虞がある。
一方、本実施の形態では、使用者の誤操作や停電等のトラブルにより、前回の洗濯運転動作で洗剤が投入され、かつ、排水動作が1度も実行されずに電源OFFされた場合、再度の洗剤投入を実行しない構成としている。これにより、2回目の洗剤の投入を防ぐことができ、洗剤過剰投入による泡の異常発生やすすぎ性能の低下を抑制できる。
なお、前回洗濯機の電源がOFFとなった際、布量に応じた必要量の水道水の給水が完了していた場合、電源ONとなった後の再度の洗濯運転における給水工程(ステップS106)はスキップされる。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態では、コントローラは、前回、液剤供給装置109により洗剤がドラム106に投入され、かつ、排水手段により水槽105内の洗濯水が排水されていない状況で洗濯運転が停止されたことを検知した場合、液剤供給装置109による洗剤投入をしないで洗い工程を実行する構成となっている。
これにより、想定以上の洗剤の投入を防ぐことができ、洗剤過剰投入による泡の異常発生やすすぎ性能の低下を抑制できる。
(実施の形態2)
図15は、本発明の実施の形態2における洗濯機の洗濯運転のフローチャートである。
本実施の形態の特徴は、前回の洗濯運転動作で、洗剤が投入され、かつ、排水動作が1度も実行されずに電源OFFされた場合の再度の洗濯運転で、「排水」動作および「脱水」動作を実行した後、布量検知を行う構成とした点である。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
図15において、洗濯機の電源ボタンがONされた場合、(ステップS201:Yes)、洗濯機は、スタートボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS202)。スタートボタンが押下された場合(ステップS202:YES)、コントローラは、記憶部に記憶されている、前回運転時の「洗剤自動投入」の動作履歴と、「排水」の動作履歴を参照し、前回の洗濯運転動作において、洗剤が投入され、かつ、排水動作が1度も実行されずに電源OFFされていないか判定する(ステップS203)。
上記状況で洗濯運転が途中終了されていないと検知された場合(ステップS203:No)、コントローラは、布量検知を行い(ステップS206)、液剤供給装置109を用いて洗剤液をドラム106に自動投入する(ステップS207)。洗剤自動投入後、給水工程を実行した後(ステップS208)、洗い工程を実行する(ステップS209)。洗い工程実行後、コントローラは、排水工程を実行した後(ステップS210)、濯ぎ工程を実行する(ステップS211)。濯ぎ工程終了後、排水工程を実行して水槽105内の柔軟剤液を排水した後(ステップS212)、脱水工程を実行し(ステップS213)、洗濯運転を終了する。
ステップS203において、前回の洗濯運転動作において、洗剤が投入され、かつ、排水動作が1度も実行されずに電源OFFされたと検知された場合(ステップS203:Yes)、コントローラは、排水工程(ステップS204)と脱水工程(ステップS205)を実行した後、再度、布量検知(ステップS206)と洗剤自動投入工程(ステップS207)を実行する。洗剤自動投入工程を実行した後は、上述のステップS208〜ステップS213を逐次実行する。
上記のように、前回の洗濯運転動作において、洗剤が投入され、かつ、排水動作が1度も実行されずに電源OFFされたと検知された場合、排水工程で水槽105内の洗濯水を排水し、脱水工程で衣類に含まれた水を取り除いた後に、布量検知を実行することで、ドラム106内に追加投入された衣類を含めた布量を検知できる。そのため、追加投入した衣類も考慮した給水量や洗剤投入量を算出でき、洗濯性能を向上させることができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1、2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1、2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1や実施の形態2では、前回の洗濯運転において、洗い工程の途中で洗濯機の電源がOFFされた場合の動作方法について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、前回の洗濯運転動作において、濯ぎ工程において、水槽105に柔軟剤液が残っている状態で洗濯機の運転停止されたことを検知すると、再度の洗濯運転において、洗剤
及び柔軟剤を水槽105に供給せず、濯ぎ攪拌から実行する構成としても良い。これにより、柔軟剤液を再投入することがないため、コストの低減に貢献できる。また、想定量以上の柔軟剤が供給されたことに伴う濯ぎ性能の低下を悪化することを抑制できる。
実施の形態1や実施の形態2では、前回の洗濯運転において、洗い工程(図14のステップS107)を実行中に洗濯機の電源がOFFされた場合(図14のステップS103、図15のステップS203)の運転動作について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、洗い工程前の給水工程(図14のステップS106)の途中で洗濯機の電源がOFFされた場合や、排水工程(図14のステップS108)の途中で洗濯機の電源がOFFされた場合も、水槽105内に洗剤水が残っているため、同様である。
実施の形態1、2では、ドラム式洗濯機について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、縦型洗濯機で構成されていてもよい。