以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
(実施の形態)
以下、図1から図18を用いて、本実施の形態の洗濯機について、項目毎に分けて個別に、説明する。
[1−1.構成]
[1−1−1.洗濯機の構成]
まず、本実施の形態の洗濯機の構成について、図1および図2を参照しながら、説明する。
図1は、本発明の実施の形態における洗濯機の斜視図である。図2は、同実施の形態における洗濯機の縦断面を示す図である。
図1および図2に示すように、本実施の形態の洗濯機は、筐体101と、筐体101の内部に設けられる、有底円筒形の水槽105などを有する。筐体101は、洗濯機100の外郭を構成する。水槽105は、複数のサスペンション(図示せず)およびダンパー163により、弾性的に、筐体101内に防振支持される。水槽105内には、有底円筒形のドラム106(洗濯槽)が回転可能に配設される。ドラム106は、内壁面に、複数個のバッフル106aを備える。バッフル106aは、ドラム106の低速回転時において、衣類を引っ掛けて上方に持ち上げ、落下させるなどの撹拌動作を、衣類に与える。また、ドラム106は、周面に形成される、複数の貫通された小孔(図示せず)を有する。水槽105は、底部に配設される、槽回転モータ(図示せず)を有する。槽回転モータは、ドラム106を回転駆動させる。
筐体101は、前面に形成される、衣類を出し入れするため開口された衣類投入取出口103を備える。また、筐体101は、前面に、蓋体102が設けられる。蓋体102は、衣類投入取出口103を開閉自在に覆う。つまり、蓋体102の開放により、使用者は、衣類投入取出口103からドラム106内へ衣類を投入できる。
筐体101は、さらに、液剤自動投入装置109を備える。液剤自動投入装置109は、水槽105よりも上部に設けられる。なお、液剤自動投入装置109の構成については、[1−1−2.液剤自動投入装置の構成]で詳述する。
また、筐体101は、上部に、開閉可能な蓋体114aを有する。蓋体114aの開放により、洗剤タンク117(タンク)および柔軟剤タンク126(タンク)が、開口114b内に着脱可能に装着される。
蓋体102は、上部に、操作表示部104が配設される。操作表示部104は、運転を操作する操作部と、運転状態を表示する表示部と、を備える。
筐体101は、さらに、コントローラ(図示せず)を備える。コントローラは、槽回転モータなどを制御し、洗い、濯ぎ、脱水などの一連のステップを逐次、制御しながら実行する。コントローラは、布量判定部(図示せず)と、液剤投入量算出部(図示せず)などを備える。布量判定部は、例えば槽回転モータを一定回転数で回転させた時のトルク電流値を検出する。これに基づいて、布量判定部は、例えば10kgまでの洗濯物を10段階程度に分類して判定する。また、コントローラは、布量判定部の判定結果に基づいて、洗濯で使用する水量を決定する。液剤投入量算出部は、布量判定部により検出した布量から、洗剤投入量および柔軟剤投入量を算出する。
洗濯機100は、さらに、記憶部(図示せず)を備える。記憶部は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などから構成される。記憶部は、洗剤の種類に関する情報を記憶する洗剤種類記憶部(図示せず)を含む、洗濯運転に関する各種設定情報などを記憶する。
以上のように、本実施の形態の洗濯機は構成される。
[1−1−2.液剤自動投入装置109の構成]
つぎに、液剤自動投入装置109の構成について、図3から図11を参照しながら、説明する。
図3は、同実施の形態における洗濯機の液剤自動投入装置の平面図である。図4は、同液剤自動投入装置の右側面図である。図5は、同液剤自動投入装置の左側面図である。図6は、同液剤自動投入装置の左側断面図である。図7は、同液剤自動投入装置の分解斜視図である。図8Aは、同洗濯機の水道水を給水するときの三方弁ユニットの概略図である。図8Bは、同洗濯機の洗剤液を供給するときの三方弁ユニットの概略図である。図8Cは、同洗濯機の柔軟剤液を供給するときの三方弁ユニットの概略図である、図9は、同洗濯機のポンプユニットの断面図である。図10は、同洗濯機の洗剤タンクの要部断面図である。図11は、同洗濯機の液剤自動投入装置の概略構成図である。
液剤自動投入装置109は、上述したように、筐体101の水槽105よりも上部に設けられる。液剤自動投入装置109は、以下で個別に詳述する、給水器110、ポンプユニット111、三方弁ユニット113、洗剤タンク117および柔軟剤タンク126が装着されるタンク収容ケース114などを含む。なお、以降、洗剤タンク117および柔軟剤タンク126を区別せずに表現する場合、単に「タンク」と表記する。また、以降、洗剤液および柔軟剤液を区別せずに表現する場合、単に「液剤」と表記する。
(給水器110)
給水器110は、筐体101上部に設けられ、給水路110c、第1の給水弁110a、第2の給水弁110bなどを含む。なお、以降、第1の給水弁110aおよび第2の給水弁110bを区別せずに表現する場合、単に「給水弁」と表記する。
給水路110cは、一端が給水ホース(図示せず)を介して、水道配管などの蛇口と連通される。第1の給水弁110aと第2の給水弁110bの開閉を制御することにより、水道水が流れる水路が選択される。なお、水道水の水路については、後述する(水路の構成)で説明する。
(三方弁ユニット113)
三方弁ユニット113は、タンク収容ケース114に装着された、洗剤タンク117の液剤と、柔軟剤タンク126の液剤とを、選択的に、ピストンポンプユニット112(図9参照)へ吐出するユニットを構成する。
図7に示すように、三方弁ユニット113は、洗剤側三方弁113aと、柔軟剤側三方弁113bと、洗剤側コイル113dと、柔軟剤側コイル113iなどなどを含む。洗剤側コイル113dは、洗剤側三方弁113aを駆動する。柔軟剤側コイル113iは、柔軟剤側三方弁113bを駆動する。
図8Aに示すように、三方弁ユニット113には、洗剤液や柔軟剤液をポンプユニット111へ流すための、水路124が設けられる。三方弁ユニット113により、水路124の水の流れが制御される。水路124は、前方で、洗剤側筒部111bおよび柔軟剤側筒部111fと連通する。さらに、水路124は、第2の水路182(水路)および、ピストンポンプユニット112の吸入水路112hと、連通する。
洗剤側三方弁113aは、図11に示すように、第2の水路182を流れる水道水の流れと、洗剤タンク117から流れる洗剤液の流れを、選択的に切り替える。これにより、水道水または洗剤液のいずれか一方が、柔軟剤側三方弁113bへ供給される。
つぎに、図8Aから図8Cを用いて、洗剤側三方弁113aの具体的な動作について、説明する。
洗剤側三方弁113aは、洗剤側シリンダ113lと、洗剤側プランジャ113eと、洗剤側弁体113fと、洗剤側バネ113cなどを含む。洗剤側プランジャ113eは、洗剤側シリンダ113l内に設けられ、前後に往復動作する。洗剤側弁体113fは、洗剤側プランジャ113eの前方端部に設けられる。洗剤側バネ113cは、一端が洗剤側シリンダ113lの後壁に位置し、他端が洗剤側プランジャ113eの後方端部に位置するように配設される。洗剤側シリンダ113lは、前方端部に開口部aを有する。洗剤側シリンダ113lの周囲には、洗剤側プランジャ113eを覆うように洗剤側コイル113dが設けられる。
まず、図8Aおよび図8Cに示すように、洗剤側コイル113dに通電していない状態において、洗剤側プランジャ113eは、洗剤側バネ113cから前方への付勢力を受ける。これにより、付勢された洗剤側弁体113fは、洗剤側筒部111bの後方端部に形成された開口部bを塞ぐ。そのため、洗剤タンク117からの洗剤液の流れが、洗剤側弁体113fにより遮られる。このとき、洗剤側シリンダ113lの開口部aが開放される。そのため、第2の水路182内から、矢印X1方向に、水道水が水路124内に流入する。流入した水道水は、洗剤側シリンダ113lの開口部a内を通り(矢印X2)、柔軟剤側三方弁113bへと流れる(矢印X3)。
つぎに、図8Bに示すように、洗剤側コイル113dに通電すると、洗剤側コイル113dに磁界が発生する。そのため、洗剤側プランジャ113eは、磁場から受ける電磁力により、洗剤側バネ113cの付勢力に抗して、後方に移動する。これにより、洗剤側筒部111bの開口部bが開放される。その結果、洗剤タンク117の洗剤液は、矢印X5、矢印X6のように、開口部b内を通り、柔軟剤側三方弁113bへと流れる。このとき、洗剤側シリンダ113lの開口部aは、洗剤側弁体113fにより塞がれる。そのため、第2の水路182を流れる水道水の流れが、洗剤側弁体113fにより遮られる。
以上のように、洗剤側三方弁113aの動作により、第2の水路182からの水道水の流れと、洗剤タンク117からの洗剤液の流れとが、切り替えられる。これにより、水道水または洗剤液のいずれか一方が、選択的に柔軟剤側三方弁113bへ供給される。
また、柔軟剤側三方弁113bは、洗剤側三方弁113aの動作と同様に、洗剤側三方弁113aから流れる液体の流れと、柔軟剤タンク126から流れる柔軟剤液の流れとを、選択的に切り替える。これにより、水道水または柔軟剤のいずれか一方が、ピストンポンプユニット112の吸入水路112hへ供給されるように構成される。
具体的には、柔軟剤側三方弁113bは、洗剤側三方弁113aと同様に、柔軟剤側シリンダ113mと、柔軟剤側プランジャ113jと、柔軟剤側弁体113kと、柔軟剤側バネ113hなどを含む。柔軟剤側プランジャ113jは、洗剤側シリンダ113l内に設けられ、前後に往復動作する。柔軟剤側弁体113kは、柔軟剤側プランジャ113jの前方端部に設けられる。柔軟剤側バネ113hは、一端が柔軟剤側シリンダ113mの後壁に位置し、他端が柔軟剤側プランジャ113jの後方端部に位置するように配設される。柔軟剤側シリンダ113mは、洗剤側三方弁113aからの液体が流入するように構成される。柔軟剤側シリンダ113mは、前方端部に開口部cを有する。柔軟剤側シリンダ113mの周囲には、柔軟剤側プランジャ113jを覆うように柔軟剤側コイル113iが設けられる。
まず、図8Aおよび図8Bに示すように、柔軟剤側コイル113iに通電していない状態において、柔軟剤側プランジャ113jは、柔軟剤側バネ113hの前方への付勢力を受ける。これにより、付勢された柔軟剤側弁体113kは、柔軟剤側筒部111fの後方端部に形成された開口部dを塞ぐ。そのため、柔軟剤タンク126からの柔軟剤液の流れが、柔軟剤側筒部111fの開口部dを塞ぐ柔軟剤側弁体113kにより遮られる。このとき、柔軟剤側プランジャ113jの開口部cが、開放される。そのため、洗剤側三方弁113aから柔軟剤側三方弁113bへ供給された洗剤液または水道水は、矢印X4や矢印X7のように、開口部cからピストンポンプユニット112の吸入水路112hへと流れる。
つぎに、図8Cに示すように、柔軟剤側コイル113iに通電すると、柔軟剤側コイル113iに磁界が発生する。そのため、柔軟剤側プランジャ113jは、磁場から受ける電磁力により、柔軟剤側バネ113hの付勢力に抗して、後方へ移動する。これにより、柔軟剤側筒部111fの開口部dが開放される。その結果、柔軟剤タンク126の柔軟剤液は、矢印X8、矢印X9のように、開口部dからピストンポンプユニット112の吸入水路112hへと流れる。このとき、柔軟剤側プランジャ113jの開口部cは、柔軟剤側弁体113kにより塞がれる。そのため、洗剤側三方弁113aからの液体の流れが、柔軟剤側弁体113kにより遮られる。
以上のように、柔軟剤側三方弁113bの動作により、洗剤側三方弁113aからの液体の流れと、柔軟剤タンク126からの柔軟剤液の流れとが、切り替えられる。これにより、液体または柔軟剤液のいずれか一方が、選択的に吸入水路112hへ供給される。
つまり、上記構成により、図8Aに示すように、洗剤側コイル113dと柔軟剤側コイル113iを共に非通電にすると、第2の水路182内の水道水が、三方弁ユニット113を経由して、ピストンポンプユニット112へ供給される。また、図8Bに示すように、洗剤側コイル113dに通電し、柔軟剤側コイル113iを非通電にすると、洗剤タンク117の洗剤液が、三方弁ユニット113を経由して、ピストンポンプユニット112へ供給される。さらに、図8Cに示すように、洗剤側コイル113dを非通電とし、柔軟剤側コイル113iを通電状態にすると、柔軟剤タンク126の柔軟剤液が、三方弁ユニット113を経由して、ピストンポンプユニット112へ供給される。
(ポンプユニット111)
ポンプユニット111は、図7に示すように、洗剤タンク117内の洗剤液、または柔軟剤タンク126内の柔軟剤液を吸引し、水槽105へ吐出するためのユニットを構成する。
ポンプユニット111は、外枠111aと、外枠111a内に設けられたピストンポンプユニット112などを含む。
外枠111aは、例えばポリプロピレンなどの樹脂で形成され、ピストンポンプユニット112を囲って、保護する。外枠111aは、図5に示すように、給水器110とタンク収容ケース114の間に配設される。
図7および図10に示すように、外枠111aは、外壁前面の下方に、前方および後方に延伸して形成される、洗剤側筒部111bを備える。洗剤側筒部111bの前方端部は、洗剤タンク117の下方後壁に形成された筒部123内に挿入される。洗剤側筒部111bの前方外周面には、離間した複数のパッキン111cが設けられる。また、洗剤側筒部111bの前方には、前方向に延伸して形成される突出リブ111eを備える。洗剤側筒部111bの後方端部は、図8Aに示すように、水路124と連通接続される。水路124は、ポンプユニット111の吸入水路112hと連通する。
また、図7に示すように、外枠111aは、外壁前面の下方に、前方および後方に延伸して形成される、柔軟剤側筒部111fを備える。柔軟剤側筒部111fは、前方端部が、柔軟剤タンク126の下方後壁に形成された筒部(図示せず)内に挿入される。柔軟剤側筒部111fの後方端部は、図8Aなどに示すように、水路124と連通接続される。
また、図7および図9に示すように、ピストンポンプユニット112は、シリンダ112dと、シリンダ112d内に液剤が流入する吸入水路112hと、シリンダ112dから液剤を吐出する吐出水路112g、および駆動モータ112fなどを含む。駆動モータ112fは、シリンダ112d内に設けられる、上下に往復動作可能なピストン112eを駆動する。
つまり、シリンダ112dは、中空の略円筒形状(円筒形状を含む)で形成される。シリンダ112dは、内部に、上下に往復動作可能なピストン112eが配設される。ピストン112eは、リンク112aおよびカム112bを介して、駆動モータ112fと連結される。上記構成により、駆動モータ112fの回転が、リンク112aおよびカム112bを介してピストン112eに伝達され、ピストン112eが上下に往復動作する。
また、シリンダ112dは、下部に、吸入水路112hおよび吐出水路112gが連通して取り付けられる。吸入水路112hおよび吐出水路112gは、ピストン112eよりも下方に配設される。これにより、ピストン112eにより吐出された液剤を、勢いよく下方に吐出させることができる。
吸入水路112hは、図8Aに示すように、水路124の吐出口eと連通し、柔軟剤側三方弁113bから吐出された液体を、シリンダ112d内の収容部112cへ吸引する水路を構成する。
吸入水路112hは、図9に示すように、内部に、吸入側逆止弁164が設けられる。吸入側逆止弁164は、下部に形成される凸部164aを有する。さらに、吸入水路112hには、吸入側逆止弁164を下方に付勢するバネ164bが配設される。バネ164bの付勢により、凸部164aは、吸入水路112hの内壁面112iの段差部と当接する。これにより、吸入側逆止弁164は、上方には移動するが、吸入水路112hの内壁面112iの当接位置以上、シリンダ112dの下方には、移動しないように構成される。
一方、吐出水路112gは、シリンダ112d内の液体を吐出する水路を構成する。吐出水路112gは、図5に示すように、連結ホース129の分岐水路129aと接続される。
吐出水路112gは、内部に、吐出側逆止弁165が設けられる。吐出側逆止弁165は、上部に形成される凸部165aを有する。さらに、吐出水路112gには、吐出側逆止弁165を上方に付勢するバネ165bが配設される。バネ165bの付勢により、凸部165aが、吐出水路112gの内壁面112jの段差部と当接する。これにより、吐出側逆止弁165は、下方には移動するが、吐出水路112gの内壁面112jの当接位置以上、シリンダ112dの上方には、移動しないように構成される。
そして、ピストン112eが上方へ移動すると、シリンダ112dの収容部112c内が負圧となるため、吸入側逆止弁164に上向きの力が加わる。このとき、上向きの力が、吸入側逆止弁164の重力(自重)と、バネ164bの弾性力との合力よりも大きい場合、吸入側逆止弁164は上向きに移動する。これにより、吸入側逆止弁164の凸部164aと吸入水路112hの内壁面112iとの間に、隙間が生じる。その結果、三方弁ユニット113を経由した液体が、隙間を介して、吸入水路112hを流れ、シリンダ112d内に流入する。
一方、ピストン112eが下方へ移動すると、シリンダ112dの収容部112c内が正圧となるため、吐出側逆止弁165に下向きの力が加わる。吐出側逆止弁165の重力(自重)と、吐出側逆止弁165に加わる下向きの力との合力が、吐出側逆止弁165を上向きに付勢するバネ165bの弾性力よりも大きい場合、吐出側逆止弁165は下方に移動する。これにより、吐出側逆止弁165の凸部165aと吐出水路112gの内壁面112jとの間に、隙間が生じる。その結果、シリンダ112dの収容部112c内の液体が、隙間を介して、吐出水路112gを流れ、分岐水路129aに吐出される。
なお、図5に示すように、吐出水路112gは、連結ホース129の分岐水路129aと連通接続されている。連結ホース129は、タンク収容ケース114の排水口114cと水槽105とを連通するホースである。これにより、ピストン112eが下方へ移動すると、シリンダ112dの収容部112c内の液剤が、吐出水路112gに連通される連結ホース129の分岐水路129aを経由して、水槽105内へと吐出される。
以上のように、ピストンポンプユニット112のピストン112eは、上下動作を繰り返す。これにより、図11に示すように、洗剤タンク117の洗剤液や柔軟剤タンク126の柔軟剤液がポンプユニット111内に吸引され、水槽105へ吐出される。
このとき、本実施の形態では、上記吸入水路112h、吐出水路112gおよび分岐水路129aは、液剤などが自由落下するように、略鉛直方向(鉛直方向を含む)に配置される。
(タンク収容ケース114)
タンク収容ケース114は、図3に示すように、上面が開口した収容部を有する容器を構成する。タンク収容ケース114の収容部の後方側には、着脱可能に取り付けられる洗剤タンク117と柔軟剤タンク126を備える。タンク収容ケース114の収容部の前方側には、着脱可能に取り付けられる洗剤ケース115を備える。
また、図10に示すように、タンク収容ケース114は、下方後壁に形成された挿入孔114dを有する。挿入孔114dには、ポンプユニット111の洗剤側筒部111bが挿入される。
図3および図4に示すように、タンク収容ケース114の上部には、水道水が流れる注水水路116が配設される。注水水路116は、図11に示す、タンク収容ケース114上部の左右側壁に形成された、第1の上部注水口114eおよび第2の上部注水口114fと連通する。注水水路116を流れる水道水は、第1の上部注水口114eから洗剤ケース115の洗剤収容部115bへ注水される。また、注水水路116を流れる水道水は、第2の上部注水口114fから洗剤ケース115の柔軟剤収容部115cへ注水される。
さらに、図5に示すように、タンク収容ケース114は、左右側壁に配設されるリニアホール素子136を備える。リニアホール素子136は、例えばアナログ方式の素子などで構成される。
図4に示すように、タンク収容ケース114は、側壁下部に、下部注水口114gが配設される。下部注水口114gは、後述する迂回水路184と連通する。
図6に示すように、タンク収容ケース114は、底部に形成される排水口114cを有する。排水口114cには、連結ホース129の一端が接続される。連結ホース129の他端は、水槽105に揺動可能に接続される。連結ホース129は、途中から鉛直方向に分岐される分岐水路129aが接続される。分岐水路129aは、上述したように、ポンプユニット111の吐出水路112gと連通する。
(洗剤タンク117、柔軟剤タンク126)
洗剤タンク117および柔軟剤タンク126は、図10に示すように、上部に上面開口部118を有する容器を構成する。
洗剤タンク117は、上部周縁に形成される、第1のリブ117dおよび第2のリブ117eを備える。第1のリブ117dおよび第2のリブ117eは、外周方向に延伸して形成される。第1のリブ117dと第2のリブ117eとの間には、パッキン117fが設けられる。
洗剤タンク117は、上部に、上面開口部118を開閉可能に覆う洗剤タンク蓋119が取り付けられる。洗剤タンク蓋119が洗剤タンク117上部に取り付けられると、パッキン117fが押し潰され、洗剤タンク117が水密に固定される。これにより、例えば洗剤タンク117を横向きに倒した場合でも、内部の洗剤液が、洗剤タンク117から漏れることが防止される。なお、パッキン117fは、洗剤タンク117側でなく、洗剤タンク蓋119側に設ける構成としてもよく、同様の効果が得られる。
また、図10に示すように、洗剤タンク117は、後壁117a下方に、後方に延伸して形成される筒部123を備える。筒部123内には、貫通孔123aが形成される。筒部123は、内周面に、逆止弁123bが取り付けられる。逆止弁123bは、洗剤タンク117の内側(図10の前方向)へは回動するが、洗剤タンク117外側(図10の後方側)へは回動しないように構成される。
上記構成により、洗剤タンク117をタンク収容ケース114に装着すると、洗剤タンク117の筒部123に、ポンプユニット111の洗剤側筒部111bが挿入される。このとき、洗剤側筒部111bの突出リブ111eが、逆止弁123bを押し広げる。これにより、洗剤タンク117内の洗剤液が、貫通孔123aを通って三方弁ユニット113へと流れる。
一方、タンク収容ケース114から洗剤タンク117を引き抜くと、逆止弁123bが、図10に示す後方へ回動する。そのため、逆止弁123bにより、筒部123の貫通孔123aが閉じた状態となる。これにより、洗剤タンク117からの洗剤液の漏れが防止される。
また、図12に示すように、洗剤タンク117は、前方外壁面に形成される、掴み部117gを備える。掴み部117gは、洗剤タンク117の壁面と距離を置いて設けられる。これにより、使用者は、掴み部117gを掴むことが可能となる。そして、使用者が掴み部117gを掴んで、洗剤タンク117を手前へ引くことにより、タンク収容ケース114内から洗剤タンク117を引き抜くことができる。この場合、使用者は、例えば指を、掴み部117gと洗剤タンク117の隙間に上から挿入しても、下から挿入して掴んでもよい。また、親指を、掴み部117gと洗剤タンク117の隙間に上から挿入するとともに、残りの2本または3本の指を下からも挿入することにより、掴み部117gを握ってもよい。
このとき、タンク収容ケース114の収容部に挿入された洗剤タンク117を、下から掴み部117gを掴んで引き抜く場合、洗剤ケース115の収容部の狭いスペース内に手首を入れる必要があるため、手首が窮屈になる。そこで、掴み部117gと洗剤タンク117の隙間に上から指を挿入する。これにより、手首の姿勢が窮屈にならず、容易に洗剤タンク117を引き抜くことができる。
なお、柔軟剤タンク126は、洗剤タンク117と同様に構成されるので、説明は割愛する。
(メッシュ部材122)
メッシュ部材122は、図10に示すように、洗剤タンク117内に着脱可能に設けられる。メッシュ部材122は、例えばポリプロピレンなどの樹脂で構成される。メッシュ部材122は、表裏に貫通する、網目状に形成される貫通孔122aを有する。メッシュ部材122は、洗剤タンク117内の洗剤液をろ過する。これにより、異物や固着した洗剤液が、洗剤側筒部111b内で詰まることを抑制できる。
メッシュ部材122は、図10に示すように、長手方向の上端および下端122dの両端部が折れ曲がって形成され、上端近傍の背面に係合爪122eを備える。係合爪122eは、係合リブ122bと、凸部122cなどを含む。係合リブ122bは、メッシュ部材122の背面方向に延伸するように形成される。凸部122cは、係合リブ122bの先端部分に凸状に形成される。
一方、図10に示すように、洗剤タンク117は、底面120に形成される、引掛部121を備える。引掛部121は、立設部121aと、延設部121bなどを含む。立設部121aは、洗剤タンク117の底面120から略垂直(垂直を含む)に立設して形成される。延設部121bは、立設部121aの先端から洗剤タンク117の後方側へ延設して形成される。引掛部121は、メッシュ部材122の下端122dと係合される。また、洗剤タンク117は、後壁117aに形成され、洗剤タンク117の内側へ突出する突出部117bを備える。突出部117bは、メッシュ部材122の係合爪122eの凸部122cと係合される。
このとき、メッシュ部材122は、洗剤タンク117内に、以下の点を考慮して、斜め方向に係合して固定される。
つまり、一般に、洗剤液は粘度が高い。そのため、メッシュ部材122を洗剤タンク117に水平方向に設置すると、液剤がメッシュ部材122の貫通孔122aを通らない場合が発生する。これにより、洗剤タンク117のメッシュ部材122よりも下方に、洗剤液の存在しない空気溜まりができる虞がある。そこで、メッシュ部材122を、洗剤タンク117内に斜めに設置する。これにより、洗剤液は、重力に従って、メッシュ部材122の表面を下方へ向かって流れながら貫通孔122aを通過する。そのため、洗剤タンク117のメッシュ部材122よりも下方に空気溜まりができることが抑制される。
なお、メッシュ部材122は、以下の方法により、洗剤タンク117内に取り付けられる。
まず、洗剤タンク117の延設部121bと底面120との間に、メッシュ部材122の下端122dを挿入する。その状態で、メッシュ部材122を、図10に示す矢印C方向に押し込む。このとき、図10中の2点鎖線で示すように、メッシュ部材122の凸部122cが矢印D方向に撓むとともに、洗剤タンク117の後壁117aが矢印E方向に撓む。撓んだ凸部122cは、突出部117bの下方に入り込む。これにより、係合爪122eの凸部122cと、洗剤タンク117の突出部117bとが係合される。その結果、メッシュ部材122が洗剤タンク117内で、斜め方向に固定保持される。
一方、メッシュ部材122は、以下の方法により、洗剤タンク117から取り外すことができる。
具体的には、メッシュ部材122を、図10に示す矢印C方向へ押し、後壁117aを、図10に示す矢印E方向へ撓ませる。これにより、係合爪122eと突出部117bとの係合が外れる。その結果、メッシュ部材122を、洗剤タンク117から、容易に引き抜くことができる。
(洗剤ケース115)
洗剤ケース115は、図3に示すように、タンク収容ケース114の洗剤タンク117および柔軟剤タンク126よりも前方側に、着脱可能に設けられる。
洗剤ケース115は、洗剤タンク117や柔軟剤タンク126と当接して配置される。そのため、洗剤ケース115をタンク収容ケース114に取り付けると、洗剤ケース115は、洗剤タンク117や柔軟剤タンク126を後方へ押し込む。洗剤タンク117が後方へ押し込まれると、図10に示すように、洗剤側筒部111bが、ポンプユニット111の外枠111aに設けられた筒部123内に挿入される。これにより、洗剤タンク117からの洗剤液などの漏れが、確実に防止される。
柔軟剤タンク126も、同様に、洗剤ケース115により後方へ押し込まれることにより、タンク収容ケース114内へ確実に装着される。これにより、柔軟剤タンク126からの柔軟剤液の漏れが、確実に防止される。
また、洗剤ケース115は、図3に示すように、上面が開口した容器を構成し、隔壁115aが形成される。隔壁115aは、洗剤ケース115の収容部を、洗剤収容部115bと柔軟剤収容部115cとに区画する。これにより、使用者は、洗剤収容部115bに粉末洗剤を、柔軟剤収容部115cに柔軟剤を、手動で投入することができる。
洗剤ケース115は、底面に形成される、排出口(図示せず)を備える。排出口から流れる液剤は、タンク収容ケース114、連結ホース129を経由して、水槽105へ供給される。
なお、洗剤収容部115bに投入された粉末洗剤を洗い流す場合、コントローラは、図11に示す第1の給水弁110aを開ける。これにより、蛇口から給水された水道水は、図11の矢印A1に示すように、第1の水路181、注水水路116を流れる。そして、水道水は、第1の上部注水口114eから、洗剤ケース115の洗剤収容部115bへ注水される。
一方、柔軟剤収容部115cは、従来周知のサイフォン機構を、さらに備える。そのため、柔軟剤収容部115cに投入した柔軟剤液を流す場合、コントローラは、図11に示す第2の給水弁110bを開ける。これにより、水道水は、図11の矢印A3に示すように、第3の水路183を流れる。そして、水道水は、第2の上部注水口114fから、洗剤ケース115の柔軟剤収容部115cへ注水される。注水により、柔軟剤収容部115c内の水位が上昇する。これにより、サイフォン機構によるサイフォン効果によって、柔軟剤収容部115cに投入された柔軟剤液は、柔軟剤収容部115c内に残ることなく、完全に水槽105内へ流される。
(水路の構成)
図11に示すように、第1の水路181は、まず、第1の給水弁110aから流入した水が、給水路110cおよび注水水路116を流れる。そして、第1の上部注水口114eから洗剤ケース115の洗剤収容部115b内に注水される水路を構成する。第1の水路181は、注水水路116よりも上流側で、第2の水路182と分岐される。
第2の水路182は、三方弁ユニット113、ポンプユニット111を経由して、連結ホース129の分岐水路129aに流入する水路を構成する。第2の水路182は、三方弁ユニット113よりも上流側で、迂回水路184が鉛直の下方に向かうように、分岐される。迂回水路184は、タンク収容ケース114の下部注水口114gと連通する。
なお、一般的に、異物の詰まりや、経時変化により、洗剤側三方弁113aの開閉部が閉じ切らない場合が発生する。この場合、洗剤タンク117の洗剤液が第2の水路182内を逆流する虞がある。しかし、本実施の形態の水路構成の場合、第2の水路182内を逆流した液剤は、迂回水路184へと流れる。そのため、液剤が給水栓まで逆流することを、確実に防止できる。
また、第3の水路183は、まず、第2の給水弁110bから流入した水道水が、給水路110cおよび注水水路116を流れる。そして、第2の上部注水口114fから洗剤ケース115の柔軟剤収容部115c内に注水される水路を構成する。
以上のように、各水路は構成される。
[1−1−3.残量検知部の構成]
以下、本実施の形態の洗濯機の液剤の残量検知部の構成について、図12から図16を用いて、説明する。
図12は、同実施の形態における洗濯機の洗剤タンクの分解斜視図である。図13は、同洗濯機のフロート部が取り付けられた洗剤タンク蓋の下面斜視図である。図14Aは、同洗濯機の残量検知部を示す概略側断面図である。図14Bは、同洗濯機のフロート部が取り付けられた洗剤タンク蓋の下面の概略図である。図15は、同洗濯機の洗剤タンク内に洗剤液が満たされた状態での残量検知部の構成を示す洗剤タンクの概略側面図である。図16は、リニアホール素子の検知磁力と出力電圧との関係を示す図である。
液剤自動投入装置109は、第1残量検知部130と、第2残量検知部(図示せず)などを備える。第1残量検知部130は、洗剤タンク117内の液体洗剤量を検知する。第2残量検知部は、柔軟剤タンク126内の液体洗剤量を検知する。なお、以降、第1残量検知部130および第2残量検知部を区別せずに表現する場合、単に「残量検知部」と表記する。
第1残量検知部130は、以下で説明する、フロート部130aと、リニアホール素子136などから構成される。なお、第2残量検知部も、第1残量検知部130と同様に構成されるので、説明は割愛する。
(フロート部130a)
図6および図13に示すように、フロート部130aの一端は、洗剤タンク蓋119の下面に回動可能に設けられる。
図12に示すように、フロート部130aは、リンク133、リンク133の上端に設けられた回動軸131、リンク133の下端に設けられたマグネットボックス135などを含む。回動軸131は、洗剤タンク蓋119の下面に、回動可能に配設される(図13参照)。
マグネットボックス135は、内部が中空で、カバー135aとともに、密閉された容器を構成する。マグネットボックス135は、内部に、マグネット134(磁性体)が配設される。マグネット134は、マグネットボックス135とカバー135aにより、密封状態で内包される。これにより、マグネット134への洗剤液の浸入および付着が防止される。さらに、マグネットボックス135は、内部に形成される、マグネット134を保持する保持リブ135cを備える。
なお、マグネットボックス135は、内部が中空な構造であるため、洗剤液中において、マグネットボックス135自体が浮力を受ける。そのため、フロート部130aは、通常、洗剤タンク117内の洗剤液の液面に浮遊する。このとき、フロート部130aの回動軸131は、洗剤液の水位変化に応じて、図14Aおよび図15の矢印Hで示すように、上下方向に回動する。
また、マグネットボックス135は、下方に、図13に示す支持部135bを備える。一方、洗剤タンク117は、底面に形成されるマグネットストッパー137を備える。この構成により、洗剤タンク117内の洗剤液の水位が下がると、フロート部130aが下方へ回動し、支持部135bとマグネットストッパー137とが当接する。これにより、フロート部130aのマグネットストッパー137よりも下方への回動が防止される。
また、図13、図14A、図14Bおよび図15に示すように、洗剤タンク蓋119は、下面に、隔壁リブ119aを備える。隔壁リブ119aは、フロート部130aの回動軸131の周囲に設けられる。これにより、回動軸131への洗剤液の浸入を防いで、回動軸131の固着などの不具合の発生を防止できる。
(リニアホール素子136)
図4および図5に示すように、リニアホール素子136は、タンク収容ケース114の左右側壁の外面の下部側に、それぞれ設けられる。リニアホール素子136は、検知した磁束密度に応じた電圧を出力する。なお、リニアホール素子136は、磁力センサの例示である。
一般に、リニアホール素子136は、図16に示す特性を備える。なお、図16の横軸はリニアホール素子136が検出した磁力、縦軸はリニアホール素子136の出力電圧値である。
リニアホール素子136は、検知する磁力が0(ゼロ)Wb/m2に近い場合、最大電圧値Vdd(V)の半分に相当する(1/2)Vdd(V)の電圧を出力する。なお、磁力が0(ゼロ)Wb/m2に近い場合とは、磁性体の磁力がリニアホール素子136で検知できない程度、磁性体とリニアホール素子136とが離れている状態を意味する。
上記状態から、リニアホール素子136に、磁性がN極である磁性体が近づくと、リニアホール素子136は、N極の磁力を強く検出する。そのため、リニアホール素子136の出力電圧は、(1/2)Vddよりも大きくなる。これにより、検出するN極の磁力が強くなるにしたがって、出力電圧は、図16の矢印J方向に向かって増加する。
一方、リニアホール素子136に、磁性がS極である磁性体が近づくと、リニアホール素子136は、S極の磁力を強く検出する。そのため、リニアホール素子136の出力電圧は、(1/2)Vddより小さくなる。これにより、検出するS極の磁力が強くなるにしたがって、出力電圧は、図16の矢印I方向に向かって減少する。
つまり、リニアホール素子136の出力電圧は、N極の磁性体の場合、マグネットボックス135との距離が近づく程大きく、マグネットボックス135との距離が遠ざかる程小さくなる。一方、S極の磁性体の場合、距離と出力電圧との関係は、逆になる。
また、上述したように、リニアホール素子136は、タンク収容ケース114の側壁外面の下部側に設けられる。そのため、洗剤タンク117内の洗剤液の水位が低下すると、リニアホール素子136とマグネットボックス135との距離が近づく。これにより、リニアホール素子136の出力電圧が変化し、洗剤タンク117内の洗剤液の水位が検出される。
なお、リニアホール素子136を洗剤タンク117の底面の外側に配設すると、洗剤が洗剤タンク117の内底面に溜まるため、リニアホール素子136で洗剤タンク117内の洗剤液の減少を検知できない。しかしながら、上述したように、リニアホール素子136をタンク収容ケース114の側壁の外側に設けることにより、洗剤が側壁の内面に沿って流れ落ちるため、洗剤液の減少を、確実に検知できる。
(マグネットストッパー137)
図14Aおよび図15に示すように、洗剤タンク117の内底面には、上述のマグネットストッパー137が設けられる。マグネットストッパー137は、洗剤残量が不足していると判断される洗剤水量で、マグネットボックス135の支持部135bと当接するように構成される。
上記構成により、洗剤タンク117内の洗剤液が不足していると判断される所定の洗剤水量から液面が、さらに低下した場合でも、マグネットボックス135は、さらに下方に回動しない。そのため、リニアホール素子136の出力電圧は変化せず、設定される出力電圧値である(1/2)Vdd近傍の電圧を出力する。
[1―2.動作、作用]
上記のように構成される洗濯機の動作および作用について、以下に説明する。
[1―2−1.洗濯運転動作]
本実施の形態における洗濯機の洗濯運転の動作について、説明する。
通常、洗濯機100の洗濯運転には、洗いステップ、濯ぎステップ、脱水ステップ、および乾燥ステップなどがある。洗いステップは、衣類を洗剤水に浸し、ドラム106を回転することで汚れを落とす。濯ぎステップは、洗剤水で浸った衣類を水で濯ぐ。脱水ステップは、水を含んだ衣類を脱水する。乾燥ステップは、温風をドラム106へ供給し、ドラム106内の衣類を乾燥させる。
まず、使用者は、洗濯機の洗濯運転の動作を開始する前に、予め、洗剤液を洗剤タンク117へ投入し、柔軟剤液を柔軟剤タンク126へ投入する。
具体的には、洗剤タンク117に洗剤液を補充する場合、使用者は、蓋体114aを開け、タンク収容ケース114から洗剤タンク117を取り外す。そして、使用者は、洗剤タンク蓋119を開け、洗剤タンク117内に洗剤液を投入し、タンク収容ケース114に戻す。なお、タンク収容ケース114から洗剤タンク117を取り外さずに、洗剤タンク117内に洗剤液を、直接、投入してもよい。
同様に、柔軟剤タンク126内に柔軟剤液を補充する場合、使用者は、蓋体114aを開け、タンク収容ケース114から柔軟剤タンク126を取り外す。そして、使用者は、柔軟剤タンク蓋128を開け、柔軟剤タンク126内に柔軟剤液を投入し、タンク収容ケース114に戻す。なお、タンク収容ケース114から柔軟剤タンク126を取り外さずに、柔軟剤タンク126内に柔軟剤液を、直接、投入してもよい。
なお、本実施の形態における洗濯機の蓋体114a、洗剤タンク蓋119、および柔軟剤タンク蓋128は、例えばヒンジ機構により、上下に回動しながら開閉するように構成される。そのため、洗剤タンク蓋119、および柔軟剤タンク蓋128が開いた状態で閉じる場合、蓋体114aを閉じることにより、洗剤タンク蓋119と柔軟剤タンク蓋128も、同時に閉じることができる。
つぎに、洗濯を開始する際、使用者は、蓋体102を開け、衣類投入取出口103からドラム106内に衣類を投入する。
つぎに、使用者は、操作表示部104を操作して電源スイッチをONにするとともに、洗いや濯ぎ、脱水など、各種洗濯コースや洗濯条件を設定する。このとき、設定できる洗濯コースは、例えば、『洗いのみ』、『濯ぎのみ』、『脱水のみ』などである。
以下、『洗濯コース』における運転動作について、説明する。
『洗濯コース』において、コントローラは、布量判定ステップ、給水ステップ、洗いステップ、濯ぎステップ、脱水ステップを、逐次、実行するように制御する。
まず、布量判定ステップにおいて、コントローラは、槽回転モータを一定の回転数で、正転方向、反転方向に繰り返し回転させた時のトルク電流値を、布量判定部で測定する。布量判定部は、測定したトルク電流値から、ドラム106内の布量を検出する。
つぎに、コントローラは、ポンプユニット111を駆動して、液剤投入量算出部により算出された量の洗剤液を、洗剤タンク117からドラム106内へ、自動で、投入する。
つぎに、コントローラは、第1の給水弁110aを開け、検出した布量に応じた水量の水道水を、ドラム106内に給水する給水ステップを実行する。
給水ステップ終了後、コントローラは、槽回転モータを駆動して、ドラム106を回転させる。これにより、ドラム106内の洗濯物を攪拌させる洗いステップが実行される。
洗いステップ終了後、コントローラは、脱水ステップを実行し、その後、濯ぎステップを実行する。
なお、濯ぎステップにおいて、コントローラは、第1の給水弁110aを開け、所定量の水道水を水槽105内へ供給する。その後、コントローラは、ポンプユニット111を駆動して、液剤投入量算出部により算出された量の柔軟剤液を、柔軟剤タンク126から水槽105内へ、自動で、供給する。
つぎに、洗剤液や柔軟剤液の供給後、コントローラは、さらに水道水を水路に給水し、洗剤タンク117および柔軟剤タンク126や水路内に残留する洗剤や柔軟剤液を洗い流す。これにより、洗剤タンク117および柔軟剤タンク126や水路内の洗剤液や柔軟剤液の固着などが、防止される。
そして、濯ぎステップが終了すると、コントローラは、脱水ステップを実行する。これにより、一連の洗濯コースが完了する。
[1−2−2.給水方法、および液剤の供給方法]
以下、図6から図11を用いて、給水方法、および水槽105への液剤の供給方法について、具体的に、説明する。
まず、洗いステップでは、水槽105に水道水を給水する。
水道水を給水する際、コントローラは、第1の給水弁110aを開制御し、同時に、第2の給水弁110bを閉制御する。また、コントローラは、洗剤側コイル113d、柔軟剤側コイル113i、駆動モータ112fを非通電状態にする。これにより、水道配管などの蛇口から給水される水道水が、図11に示す第1の水路181を流れ、タンク収容ケース114、連結ホース129などを介して、水槽105に給水される。
給水完了後、コントローラは、洗剤タンク117内の洗剤液を水槽105に供給する。この場合、コントローラは、洗剤側コイル113d、駆動モータ112fを通電状態とし、柔軟剤側コイル113iを非通電状態とする。これにより、洗剤タンク117と、ポンプユニット111の吸入水路112hとが、連通する。このとき、図10に示すように、洗剤タンク117の筒部123内の逆止弁123bは、後方へ回動している。そのため、洗剤タンク117内の洗剤液は、筒部123の貫通孔123a内を矢印F、矢印G方向に流れる。そして、洗剤液は、図11に示すように、洗剤側三方弁113a、柔軟剤側三方弁113bを経由して、ポンプユニット111の吸入水路112hに流入する。
つぎに、コントローラは、ピストンポンプユニット112の駆動モータ112fを駆動して、ピストン112eを、シリンダ112d内で上下に往復動作させる。これにより、シリンダ112d内は、負圧と正圧の状態が繰り返される。
このとき、ピストン112eが上方へ移動すると、シリンダ112d内が負圧になる。これにより、吸入側逆止弁164が上方へ移動し、洗剤液が、吸入側逆止弁164と吸入水路112hとの隙間からシリンダ112d内の収容部112c(図9参照)内に流入する。一方、ピストン112eが下方へ移動すると、シリンダ112d内が正圧になる。これにより、吐出側逆止弁165が下方へ移動する。そのため、シリンダ内の収容部112c内の洗剤液は、図6の矢印Bで示すように、吐出側逆止弁165と吐出水路112gの内壁面112jとの隙間から分岐水路129aへ向けて、真下方向に吐出される。吐出された洗剤液は、鉛直方向に配設された、連結ホース129の分岐水路129aを流れて、水槽105へと供給される(図6参照)。
上記のように、ピストン112eが所定時間、上下動作を繰り返すことにより、所定量の洗剤液が水槽105へ供給される。
ここで、第2の水路182は、水槽105と連通している。通常、蓋体102が開いた状態では、水槽105内は大気開放されている。そのため、ピストンポンプユニット112から水槽105までの液剤が通流する水路内で、液剤が乾燥し、固着、堆積する虞がある。
そこで、本実施の形態の洗濯機は、ピストンポンプユニット112の吐出水路112gを、連結ホース129の分岐水路129aに接続している。そのため、洗剤液は、タンク収容ケース114の注水水路116を経由せず、水槽105に向けて真下方向に、自由落下しながら吐出される(図6の矢印B参照)。これにより、吐出水路112gの距離を短くするとともに、水路も複雑とならない。そのため、水路内における洗剤液の固着を、より効果的に抑制できる。
つぎに、洗剤液の投入完了後、コントローラは、洗剤側コイル113d、柔軟剤側コイル113iを非通電状態とする。同時に、コントローラは、第1の給水弁110aを、所定時間(例えば10秒間)、開放する。これにより、三方弁ユニット113やポンプユニット111に、水道水が供給される。そのため、水道水により、連結ホース129内に残留した洗剤液を洗い流すことができる。
なお、一般的に、給水開始時においては、水の勢いが弱い。そのため、ピストンポンプユニット112の吸入側逆止弁164および吐出側逆止弁165が、十分に移動せず、給水される水の流れが遮られる虞がある。そこで、本実施の形態においては、洗剤液の投入完了後、第1の給水弁110aを開け始めてから、所定時間(例えば20秒間)、ピストンポンプユニット112の駆動モータ112fを駆動する構成としてもよい。このとき、ピストンポンプユニット112の駆動モータ112fを間欠的に駆動する構成としてもよい。上記構成により、ピストンポンプユニット112のピストン112eが上下に往復動作し、シリンダ内の収容部112c内は、正圧と負圧とが繰り返される状態となる。これにより、吸入側逆止弁164および吐出側逆止弁165が十分に移動し、水道水を勢いよくポンプユニット111内に流入させることができる。その結果、三方弁ユニット113、ポンプユニット111、連結ホース129などに残留した洗剤液を、より確実に洗い流すことができる。
また、本実施の形態の洗濯機は、ポンプユニット111の吐出水路112gは、タンク収容ケース114を経由することなく、連結ホース129を介して、水槽105と連通している。そのため、ポンプユニット111から水槽105までの水路に、液剤が残留、固着することを防止できる。
一方、柔軟剤タンク126から柔軟剤液を供給する場合、コントローラは、柔軟剤側コイル113i、駆動モータ112fを通電状態とするとともに、洗剤側コイル113dを非通電状態に制御する。なお、柔軟剤液の供給方法は、洗剤液の供給方法と同様であるため、説明は割愛する。
ここで、通常、洗剤側三方弁113aの開閉部に異物を噛み込んだ場合、洗剤側三方弁113aの開閉部に隙間が生じる虞がある。このとき、第1の給水弁110aを開放した状態で、例えば停電や断水などが起こると、洗剤タンク117内の洗剤液が、洗剤側三方弁113aの開閉部の隙間から流れ、第2の水路182内を給水栓に向けて逆流する虞がある。
そこで、本実施の形態の洗濯機の第2の水路182は、下方に向けて分岐する迂回水路184を設けている。そして、迂回水路184の出水口である下部注水口114gを、洗剤タンク117よりも下方に配置している。これにより、上述の洗剤タンク117から洗剤側三方弁113aを介して、逆流した洗剤液は、図11の矢印A4で示す迂回水路184へ流れ、タンク収容ケース114、連結ホース129を経由して、水槽105へと流れる。その結果、洗剤液の給水栓までの逆流が防止される。そのため、逆流により発生する給水栓の故障が、未然に抑制できる。この場合、迂回水路184を流れる水道水は、タンク収容ケース114に流入する。そのため、給水時において、タンク収容ケース114に固着した洗剤液を洗い流すことにも利用することができる。
なお、柔軟剤タンク126内の柔軟剤が逆流した場合も、洗剤液の場合と同様であるので、説明は割愛する。
[1−2−3.手動投入した洗剤、柔軟剤の水槽への供給方法]
図3および図11を用いて、使用者が、洗剤の手動投入を設定した場合における、粉末洗剤や柔軟剤の水槽105への供給方法について、説明する。これは、使用者が液剤自動投入装置109を設定しない場合に対応する。
まず、コントローラは、洗剤ケース115に投入した粉末洗剤を水槽105に供給する際、第1の給水弁110aを開制御し、同時に、第2の給水弁110bを閉制御する。このとき、蛇口から給水される水道水は、図11の矢印A1で示すように、第1の水路181を流れ、第1の上部注水口114eから洗剤ケース115の洗剤収容部115bに向けて注水される。これにより、洗剤収容部115b内の粉末洗剤は、注水された水道水とともに、排水口114cから連結ホース129を流れ、水槽105内に供給される。
また、蛇口から給水された水道水は、図11の矢印A2および矢印A4に示すように、第2の水路182から迂回水路184内を流れて、下部注水口114gからタンク収容ケース114の内底面に向けて給水される。これにより、タンク収容ケース114には、上側から注水される水と、下側から注水される水が、供給される。その結果、洗剤収容部115b内に投入された粉末洗剤は、タンク収容ケース114内に残留することなく、連結ホース129へ洗い流される。
一方、洗剤ケース115の柔軟剤収容部115cに投入した柔軟剤を水槽105へ供給する場合、コントローラは、第1の給水弁110aを閉制御し、同時に、第2の給水弁110bを開制御する。これにより、蛇口から給水される水道水は、図11の矢印A3で示すように、第3の水路183を流れ、第2の上部注水口114fから洗剤ケース115の柔軟剤収容部115cへ向けて注水される。これにより、柔軟剤収容部115c内の水位が上昇する。そして、サイフォン機構によるサイフォン効果によって、投入された柔軟剤液は、柔軟剤収容部115cに残溜することなく、タンク収容ケース114へ流出する。タンク収容ケース114に流出した柔軟剤液は、排水口114cから連結ホース129を流れ、水槽105内へと供給される。
[1−2−4.洗剤タンク、または柔軟剤タンク内の液剤残量の検出方法]
以下、洗剤タンク117内の洗剤液量の残量検出方法について、図17を用いて、説明する。なお、柔軟剤タンク126内の柔軟剤液量の残量検出方法も同様であるため、説明は割愛する。
図17は、同実施の形態における洗濯機の洗剤投入回数とリニアホール素子の出力電圧の関係を示す図である。なお、図17の横軸は洗剤液を水槽105に投入した回数、縦軸はリニアホール素子136の出力電圧である。また、図17の実線aはN極の磁性体がリニアホール素子136に近づいた際の出力電圧の変化、破線bはS極の磁性体がリニアホール素子136に近づいた際の出力電圧の変化を示す。
以下では、リニアホール素子136の出力電圧の上限値を5V、下限値を0Vとし、磁束密度がほぼ0(ゼロ)Wb/m2の場合のリニアホール素子136の出力電圧が2.5Vとなる設定を例に、説明する。なお、リニアホール素子136の上限値は、例えば10Vでもよく、検知精度に支障がなければ、任意に設定すればよい。
まず、洗剤タンク117が洗剤液で満たされている状態では、図15に示すように、リニアホール素子136とマグネット134との距離が大きく離れている。そのため、マグネット134からの磁力線がリニアホール素子136に到達しない。これにより、リニアホール素子136は、図17のK区間で示すように、磁束密度がほぼ0(ゼロ)Wb/m2の場合に相当する、2.5Vの電圧を出力する。
その後、洗濯動作に伴って、洗剤タンク117から洗剤液が、水槽105内へ繰り返し投入される。これにより、洗剤タンク117内の洗剤液量が減少し、洗剤液の水位が低下する。
洗剤液の水位が低下すると、洗剤液面上に浮遊するマグネットボックス135も下方へ回動する。そのため、マグネットボックス135内のマグネット134(磁性体)が、リニアホール素子136に近づく。これにより、リニアホール素子136が検出する磁力線の量(磁束密度)が、増加する。
このとき、リニアホール素子136がマグネット134からN極の磁性を受けている場合、図17の実線aに示すように、洗剤タンク117の洗剤液の減少にしたがって、リニアホール素子136の出力電圧が上昇する。さらに、洗剤液の投入を続けると、マグネットボックス135は、マグネットストッパー137と当接する。これにより、リニアホール素子136の出力電圧は、所定値(例えば、4.0V)に収束する。
一方、リニアホール素子136がマグネット134からS極の磁性を受けている場合、図17の破線bに示すように、洗剤タンク117の洗剤液の減少にしたがって、リニアホール素子136の出力電圧が低下する。さらに、洗剤液の投入を続けると、マグネットボックス135は、マグネットストッパー137と当接する。これにより、リニアホール素子136の出力電圧は、所定値(例えば、1.0V)に収束する。
以上のように、洗剤液の残量が所定値以下となると、リニアホール素子136の出力電圧は、所定値に収束する。そのため、洗剤タンク117内の洗剤液の残量の不足状況を把握する場合、リニアホール素子136の、洗剤投入後の出力電圧と、過去に洗剤が投入された後の出力電圧との差分を算出することが好ましい。つまり、差分が所定値以下の場合、コントローラは、洗剤液の残量が不足していると判定する。
以上のように、洗剤タンク117内の洗剤液量の残量が検出される。
以下、洗剤タンク内の洗剤液量の残量不足の判定方法に、図18を用いて、説明する。
図18は、同実施の形態における洗濯機の洗剤液の残量不足の判定方法のフローチャートである。
ここで、記憶部は、少なくとも、第0記憶部、第1記憶部、第2記憶部、および第3記憶部を有する。具体的には、第0記憶部は、洗剤投入後のリニアホール素子136の出力電圧を記憶する。第1記憶部は、前回の洗剤投入後のリニアホール素子136の出力電圧を記憶する。第2記憶部は、前々回の洗剤投入後のリニアホール素子136の出力電圧を記憶する。第3記憶部は、3回前の洗剤投入後のリニアホール素子136の出力電圧を記憶する。
以後、第0記憶部に格納された値をY、第1記憶部に格納された値を(Y−1)、第2記憶部に格納された値を(Y−2)、第3記憶部に格納された値を(Y−3)として、説明する。また、洗剤投入後のYと(Y−3)との差分の電圧値が、0.1V未満である連続回数をCNTとして、説明する。
図18に示すように、洗濯機の洗濯動作を開始すると、コントローラは、まず、洗いステップに必要な量の洗剤液が、洗剤タンク117から投入されたか否かを判定する(ステップS0)。洗剤液が投入されていると判定した場合(ステップS0のYes)、コントローラは、リニアホール素子136の出力電圧を第0記憶部に格納する(ステップS1)。
つぎに、コントローラは、リニアホール素子136の出力電圧が、第1所定値(例えば、2.0V)以上で、かつ、第2所定値(例えば、3.0V)以内であるか否か判定する(ステップS2)。リニアホール素子136の出力電圧が第1所定値以上、かつ第2所定値以内の場合(ステップS2のYes)、洗剤タンク117に洗剤液が満たされている状況に相当する。そこで、コントローラは、洗剤液の残量の検出動作を実行せず、第2記憶部に格納された(Y−2)を第3記憶部に、第1記憶部に格納された(Y−1)の値を第2記憶部に、第0記憶部に格納された値Yを第1記憶部に格納する(ステップS8)。そして、コントローラは、洗剤液の残量の判定を終了する。
一方、リニアホール素子136の出力電圧が、第1所定値未満である場合、または、第2所定値より大きい場合(ステップS2のNo)、コントローラは、Yと3回前の洗剤投入後のリニアホール素子136の出力電圧(Y−3)との差分(Y−(Y−3))の絶対値を演算し、その値が0.1V以上か否かを判定する(ステップS3)。
このとき、差分(Y−(Y−3))の絶対値が0.1V以上の場合(ステップS3のNo)、コントローラは、フロート部130aが下方へ回動しているため洗剤残量は不足していないと判断する。そして、コントローラは、CNTをリセットして、CNT=0とする(ステップS5)。その後、第2記憶部に格納された(Y−2)を第3記憶部に、第1記憶部に格納された(Y−1)の値を第2記憶部に、第0記憶部に格納された値Yを第1記憶部に格納する(ステップS8)。そして、コントローラは、洗剤液の残量の判定を終了する。
一方、差分(Y−(Y−3))の絶対値が0.1V未満の場合(ステップS3のYes)、コントローラは、洗剤タンク117内の洗剤液の水位が低下していると判断する。そして、コントローラは、CNTを、+1インクリメントする(ステップS4)。
つぎに、コントローラは、CNTが3以上であるか否かを判定する(ステップS6)。このとき、CNTが3未満の場合(ステップS6のNo)、コントローラは、第2記憶部に格納された(Y−2)を第3記憶部に、第1記憶部に格納された(Y−1)の値を第2記憶部に、第0記憶部に格納された値Yを第1記憶部に格納する(ステップS8)。そして、コントローラは、洗剤液の残量の判定を終了する。
一方、CNTが3以上の場合(ステップS6のYes)、コントローラは、洗剤タンク117内の洗剤残量が所定値未満であると判断する。そして、コントローラは、操作表示部104に、洗剤残量が所定値未満であるとの旨の表示し、使用者に通知をする(ステップS7)。その後、コントローラは、第2記憶部に格納された(Y−2)を第3記憶部に、第1記憶部に格納された(Y−1)の値を第2記憶部に、第0記憶部に格納された値Yを第1記憶部に格納する(ステップS8)。そして、コントローラは、洗剤液の残量の判定動作を終了する。
以上により、洗剤液の残量不足の判定動作が実行される。
ここで、洗剤タンク117が洗剤液で十分に満たされている状況においては、リニアホール素子136とマグネット134(磁性体)との距離は、大きく離れている。そのため、洗剤タンク117に、さらに洗剤を投入しても、リニアホール素子136の出力電圧は、約2.5Vのままで変化しない(図17のK区間に相当)。この場合、洗剤タンク117内に洗剤液が満たされている状態にも関わらず、差分(Y−(Y−3))の絶対値は0.1V未満となる。つまり、コントローラは、洗剤液の残量が不足していると誤検知する虞がある。そこで、本実施の形態では、図18に示すように、リニアホール素子136の出力電圧Yが、第1所定値以上、かつ、第2所定値以内の場合(ステップS2のYes)、コントローラは、洗剤液の残量検出の動作を行わないように構成している。これにより、上記状況における、洗剤液の残量が不足しているとの誤検知を防止できる。
また、リニアホール素子136が受けるマグネット134の磁性がS極の場合、リニアホール素子136の出力電圧は、図17の破線bで示すような波形となる。そのため、例えばリニアホール素子136が受ける磁性がS極で、Y=1.0V、(Y−3)=1.2Vの場合、差分(Y―(Y−3))の値が―0.2Vとなるので、判定値である0.1Vよりも小さい値となる。そのため、コントローラは、洗剤タンク117内に洗剤が満たされているにも関わらず、洗剤液の残量が不足していると誤検知する虞がある。
そこで、上記誤検知を防止するために、図18のステップS3では、差分(Y―(Y−3))の絶対値と、0.1Vとを比較する構成としている。これにより、マグネット134の極性による誤検知を防止できる。
また、マグネット134の磁性の方向性を考慮して、マグネットボックス135を生産する必要がなくなる。そのため、マグネットボックス135の生産に要する工数と、確認検査などに要する工数を低減できる。これにより、マグネットボックス135の製造コストを抑制できる。
以上のように、洗剤液の残量の不足を検出できる。
以下に、(N−1)回の洗剤の投入が繰り返された後における、洗剤液の残量不足の検出方法について、具体例を用いて、説明する。
(N回目の洗剤投入)
まず、N回目の洗剤投入後のリニアホール素子136の出力電圧Yは、約4.0Vとする。また、第3記憶部に格納されている値(Y−3)は、約3.8Vとする。
このとき、差分(Y−(Y−3))の絶対値は、0.2Vとなる。つまり、差分の絶対値は、ステップ3における判定値0.1Vよりも大きい(図18のステップS3のNoに相当)。そのため、図18のステップS5において、CNTが0にリセットされる。そして、ステップS8において、コントローラは、第2記憶部の値(Y−2)を第3記憶部へ、第1記憶部の値(Y−1)を第2記憶部へ、第0記憶部の値Yを第1記憶部へ格納する。
((N+1)回目の洗剤投入)
つぎに、(N+1)回目の洗剤投入後のリニアホール素子136の出力電圧が約4.02V、第3記憶部に格納されている値(Y−3)が3.94Vとする。
このとき、差分(Y−(Y−3))の絶対値は0.08Vとなる。つまり、差分の絶対値は、ステップ3における判定値0.1V未満となる(図18のステップS3のYesに相当)。そのため、ステップS4において、CNTを、+1インクリメントする(CNT=1)。その後、コントローラは、ステップS6において、CNTが3以上であるか否かを判定する。
今回、CNTは1であるので、コントローラは、洗剤液の残量が不足していないと判断する。そして、コントローラは、ステップS8において、第2記憶部の値(Y−2)を第3記憶部へ、第1記憶部の値(Y−1)を第2記憶部へ、第0記憶部の値Yを第1記憶部へ格納する。
上記値を各記憶部に記憶した状態で、コントローラは、次回の洗剤タンク117からの洗剤液の供給まで、待機する。
((N+2)回目の洗剤投入)
つぎに、(N+1)回目の洗剤投入後のリニアホール素子136の出力電圧が約4.03V、第3記憶部に格納されている値(Y−3)が約3.95Vとする。
このとき、差分(Y−(Y−3))の絶対値は0.08Vである。つまり、差分の絶対値は、ステップ3における判定値0.1V未満である。そのため、ステップS4において、CNTは、さらに+1インクリメントされて、2となる。
この場合も、CNTは2で、判定値である3未満である。そのため、コントローラは、洗剤液の残量が不足していないと判断する。そして、コントローラは、ステップS8において、第2記憶部の値(Y−2)を第3記憶部へ、第1記憶部の値(Y−1)を第2記憶部へ、第0記憶部の値Yを第1記憶部へ格納する。
上記値を各記憶部に記憶した状態で、コントローラは、次回の洗剤タンク117からの洗剤液の供給まで、待機する。
((N+3)回目の洗剤投入)
つぎに、(N+2)回目の洗剤投入後のリニアホール素子136の出力電圧が約4.05V、第3記憶部に格納されている値(Y−3)が約3.99Vとする。
このとき、差分(Y−(Y−3))の絶対値は0.06Vである。つまり、差分の絶対値は、ステップ3における判定値0.1V未満である。そのため、ステップS4において、CNTは、さらに+1インクリメントされて、3となる。
このとき、コントローラは、CNTが3であるので、洗剤タンク117内の液剤量が所定量未満になったと判断する。そして、コントローラは、操作表示部104に、洗剤液の残量不足メッセージを表示し、使用者に知らせる。
使用者は、残量不足メッセージを確認すると、タンク収容ケース114の収容部から洗剤タンク117を取り出し、洗剤タンク117内の洗剤液を補充する。これにより、洗剤タンク117の洗剤液の水位が上昇し、フロート部130aが上方に回動する。この状態で、洗剤タンク117をタンク収容ケース114の収容部に、再度装着する。このとき、マグネット134とリニアホール素子136との距離が離れるため、リニアホール素子136の出力電圧は2.5Vに近づく。これにより、コントローラは、洗剤タンク117内に洗剤液が補充されたと判定する。そして、操作表示部104の洗剤液の残量不足メッセージを取り消す。
以上のように、本実施の形態では、まず、洗剤液投入後のリニアホール素子136の出力電圧と、洗剤液を所定回前(例えば、3回前)に投入した際のリニアホール素子136の出力電圧との差分を算出する。
算出した差分の絶対値が、複数回(例えば、3回)連続して所定値(例えば、0.1V)未満の場合、コントローラは、洗剤タンク117内の洗剤液が所定量未満になったと判断する。
つまり、過去のリニアホール素子136の出力電圧との差分の絶対値に基づいて、コントローラは、洗剤残量を判定する。これにより、リニアホール素子136の配置や機器の寸法など、洗濯機の構造上のばらつきによる洗剤液の残量不足の判定の誤検知を誘引する可能性を低減できる。
また、図13、図14Aおよび図14Bに示すように、洗剤タンク蓋119の下面に、フロート部130aの回動軸131の周囲を囲むように隔壁リブ119aを形成している。そのため、図15に示すように、洗剤タンク蓋119近傍まで、洗剤タンク117内に洗剤液が満たされた場合でも、隔壁リブ119aで囲まれた領域の内側には空気だまりが存在する。そのため、隔壁リブ119a内には、洗剤液が流入しない。これにより、フロート部130aの回動軸131に、洗剤液が付着することを防止できる。さらに、洗剤タンク117から洗剤タンク蓋119を取り外した状態で洗剤タンク蓋119を傾斜させて置いた場合でも、洗剤タンク蓋119の下面に付着した液剤は、隔壁リブ119aにより、回動軸131まで流れないように遮られる。これにより、洗剤液の固着による回動軸131の回動動作不良の発生が防止される。その結果、洗剤液の残量の測定精度の低下が抑制され、長期にわたって安定して、高い測定精度を維持できる。
また、洗剤タンク117の内底面に、洗剤液の残量が不足していると判断される洗剤水量で、マグネットボックス135と当接するマグネットストッパー137を配設している。そのため、洗剤液の残量が不足した状態で、さらに液剤が吐出された場合でも、フロート部130aのさらなる下方への回動が防止される。これにより、洗剤液の残量が不足した状態において、リニアホール素子136の出力電圧は変化しない。その結果、リニアホール素子136が、洗剤液の残量が不足していないと誤検知することを防止できる。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態の洗濯機は、ポンプユニット111から吐出された液体が、シリンダ112dから鉛直下向きに配置された吐出水路112gを真下方向に流れ、水槽105へ供給されるように構成される。これにより、ポンプユニット111から水槽105までの水路内での液剤の残留、固着を抑制できる。また、吐出水路112gは、多量の水が流れる連結ホース129と合流するように接続される。そのため、水槽105までの水路に洗剤が残留することを抑制できる。さらに、洗剤液の投入後、第1の給水弁110aを開いて給水する。これにより、ポンプユニット111および第1の水路181内への洗剤の残留を抑制できる。
また、シリンダ112dの下部に、吸入水路112hおよび吐出水路112gを設けている。そして、吸入水路112hおよび吐出水路112gには、それぞれ、吸入側逆止弁164と吐出側逆止弁165が配設されている。そのため、洗剤液の吐出後も、シリンダ112d内に洗剤液が残る。これにより、シリンダ112d内での液剤の乾燥が抑制される。その結果、シリンダ112d内での液剤の固着を抑制できる。
また、洗剤タンク117内の洗剤液を水槽105内に供給した後、所定時間、給水弁を開放して水道水を供給するように構成される。これにより、吐出水路112gに残留した洗剤液を、水道水で洗い流すことができる。
また、洗剤タンク117内の洗剤液を水槽105内に供給した後、給水弁を開放してから所定時間、ポンプユニット111を駆動するように構成される。これにより、給水開始直後の水流が弱い状態でも、ピストンポンプユニット112の駆動力により、水の勢いを強めることができる。そのため、吸入側逆止弁164および吐出側逆止弁165の回動により、ポンプユニット111から水槽105までの水路内に残留する洗剤液を、容易に洗い流すことができる。
なお、本実施の形態では、ドラム式の洗濯機を例に説明したが、これに限られない。例えば、縦型の洗濯機でも同様の作用、効果を奏する。
また、本実施の形態では、Yと(Y−3)との差分の絶対値と、所定値とを比較して、洗剤液の残量の不足状態を判定する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、Yと(Y−1)の差分の絶対値と、所定値とを、比較する構成としてもよい。さらに、例えば4回前の洗剤投入後のリニアホール素子136の出力電圧を(Y−4)とし、Yと(Y−4)の差分の絶対値と、所定値とを比較する構成としてもよい。これらの構成でも、同様の作用、効果が得られる。
以上で説明したように、本発明の洗濯機は、筐体と、筐体内に支持される水槽と、水槽内に回転可能に配設される洗濯槽と、水槽よりも上部に設けられ収容部を有するタンク収容ケースを備える。さらに、洗濯機は、タンク収容ケースの収容部内に配設され液剤を収容するタンクと、タンク内の液剤を吸引および吐出するポンプユニットを有し、タンク内の液剤を洗濯槽内へ自動供給する液剤自動投入装置と、タンク収容ケースと水槽とを連通する連結ホースと、ポンプユニットの吐出水路と連結ホースとを連通する分岐水路と、を備え、連結ホースの一部および分岐水路を含む経路は、ポンプユニットの吐出水路と水槽とを連通接続し、略鉛直方向に構成される。これにより、ポンプユニットから吐出された液剤が、水槽へ供給されるまでの水路に、付着して固着することを抑制できる。また、ポンプユニットから吐出された液剤は、大量の水が流れる連結ホースと合流する。そのため、水槽へ流れるまでの水路内に、液剤が固着することを抑制できる。
また、本発明の洗濯機は、筐体に設けられ、水道水の給水を制御する給水弁と、ポンプユニットと給水弁とを連通する水路を備える。そして、給水弁は、タンク内の液剤を水槽内に供給した後、所定時間、開放するように構成してもよい。これにより、タンク内の液剤を水槽に投入するたびに、液剤の供給水路内を洗い流すことができる。その結果、供給水路内への液剤の固着を、より確実に抑制できる。
また、本発明の洗濯機は、ポンプユニットを、タンク内の液剤を水槽内に供給した後、給水弁を開放してから所定時間、駆動するように構成してもよい。これにより、給水開始時のように、水圧が低い場合でも、ピストンポンプの駆動力で水圧を上げることができる。その結果、水路内に残留した液剤を、容易に洗い流すことができる。
また、本発明の洗濯機は、給水弁を、タンク内の液剤を水槽内に供給した後、所定時間、間欠的に開閉するように構成してもよい。これにより、水路内に残留した液剤を、より確実に洗い流すことができる。