JP7011990B2 - 水性被覆材 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な水性被覆材に関するものである。
従来、床材、屋根材、不燃ボード、トンネル内装板、打ち放し面等に使用されているモルタル、コンクリート等のセメント質基材は、水(雨水等)の影響等によって経時的に劣化するおそれがある。このような劣化を防止する方法として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の表面保護材を基材に塗付する方法が知られている(例えば、特許文献1等)。このような方法では、基材表面に塗膜を形成し表面を保護するため、基材劣化の進行を防止することはできるが、基材との付着性が不十分な場合や、塗膜の剥離が懸念される場合もあった。
一方、水ガラスなどの珪酸塩をセメント質基材に塗付する方法も知られている(例えば、特許文献2等)。このような方法では、基材中に珪酸塩が浸透し、遊離カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の多価金属イオンと反応して不溶性のゲルを生成して硬化(珪酸塩の硬化体を形成)するため、基材と一体化し、剥離等の問題が生じ難く、さらには耐候性、耐水性、耐酸性等を高めることが知られている。しかし、基材の透水防止性(シール性)に劣る場合があり、上述のような樹脂を含む表面保護材を塗付することが必要となる場合があった。
特開2002-12818号公報 特開平8-109081号公報
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、モルタル、コンクリート等のセメント質基材との付着性に優れ、透水防止性を有する均一な被膜を形成することができる水性被覆材を得ることを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、少なくとも、特定のカチオン性合成樹脂エマルション(A)、及び特定のノニオン性合成樹脂エマルション(B)を含む水性被覆材に想到し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の水性被覆材は、下記の特徴を有するものである。
1. 少なくとも、カチオン性合成樹脂エマルション(A)、及びノニオン性合成樹脂エマルション(B)を含み、前記カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径が100nm未満であり、前記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の平均粒子径は、前記カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする水性被覆材。2.前記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の平均粒子径が100nm以上500nm以下であることを特徴とする1.に記載の水性被覆材。3.前記カチオン性合成樹脂エマルション(A)と前記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の固形分重量比が、95:5~5:95であることを特徴とする1.または2.に記載の水性被覆材。4.セメント質基材に、水性被覆材を塗装する被膜形成方法であって、前記水性被覆材が、少なくとも、カチオン性合成樹脂エマルション(A)、及びノニオン性合成樹脂エマルション(B)を含み、前記カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径が100nm未満であり、前記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の平均粒子径は、前記カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする被膜形成方法。
本発明の水性被覆材によれば、モルタル、コンクリート等のセメント質基材と付着性に優れ、透水防止性を有する均一な被膜を形成することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明は、モルタル、コンクリート等のセメント質基材に適用される水性被覆材に関するものであり、上記基材との付着性に優れ、基材の表面を改質して基材の透水防止性に優れた被膜を形成するものである。このような水性被覆材は、少なくとも、カチオン性合成樹脂エマルション(A)、及びノニオン性合成樹脂エマルション(B)を混合して得られるものであり、カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径が100nm未満であり、ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の平均粒子径が、カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする。これにより、上記効果を十分に発揮することができる。
その作用機構は、以下に限定されるものではないが、平均粒子径が100nm未満のカチオン性合成樹脂エマルション粒子は、その一部がコンクリート等のセメント質基材表面に存在する孔に含浸され、基材との付着性に優れた被膜を形成する。一方、カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径よりも大きいノニオン性合成樹脂エマルション(B)は、主に、基材表面に被膜を形成するが、この際、カチオン性合成樹脂エマルション(A)と併用することにより、ノニオン性合成樹脂エマルション粒子の粒子間にカチオン性合成樹脂エマルション粒子が充填されるため、緻密な被膜を形成することが可能となり、基材の透水防止性を高めることができると考えられる。
本発明のカチオン性合成樹脂エマルション(A)は、カチオン性基を含有する合成樹脂エマルションであれば特に限定されず使用することができる。本発明では、カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径が100nm未満(好ましくは5nm以上95nm以下、より好ましくは10nm以上90nm以下)であることを特徴とする。なお、平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
カチオン性合成樹脂エマルション(A)としては、カチオン性基を付与された合成樹脂エマルションであれば特に限定されず使用することができる。合成樹脂エマルションにカチオン性を付与する方法としては、例えば、
・合成樹脂エマルションの製造時にカチオン性基含有モノマーを共重合する方法、
・合成樹脂エマルションを得た後、カチオン性界面活性剤によってエマルション粒子表面電荷をカチオン性に変性する方法、
・カチオン性界面活性剤の存在下に合成樹脂エマルションを得る方法、
等が挙げられる。このような合成樹脂エマルションとしては、例えば、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、合成ゴム樹脂エマルション、あるいはこれらの混合・複合樹脂エマルションが挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
本発明では特に、カチオン性基含有アクリル樹脂エマルションを含むことが好ましい。このようなカチオン性基含有アクリル樹脂エマルションとしては、例えば、
・(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカチオン性基含有モノマーを含むモノマー群を共重合したもの、
・(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む重合性モノマー群を共重合してアクリル樹脂エマルションを得た後、これをカチオン性界面活性剤によって変性したもの、
・カチオン性界面活性剤の存在下に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む重合性モノマー群を共重合することにより得られるもの、
等が使用できる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。なお、本発明では、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを合わせて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと表記する。
また、カチオン性基含有モノマーとしては、例えば、
N-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-(2-ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、等のアミノ基含有モノマー;
ビニルピリジン等のピリジン系モノマー等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
本発明では、必要に応じて、上記以外のその他の重合性モノマーを使用することもできる。このようなその他の重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等のカルボキシル基含有モノマー;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;
スチレン、2-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族モノマー;
アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;
アクロレイン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等のカルボニル基含有モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;
その他、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、クロロプレン等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。本発明では、その他の重合性モノマーとして、アルコキシシリル基含有モノマーを含むことが好ましい。これにより基材との付着性を高めることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリアルキルアンモニウム塩、ステアリルトリアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、アルキルアミン酢酸塩、アルケニルアミン酢酸塩、アルケニルアミン塩などのアミン塩、ラウリルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、或は、ラウリルアミンアセテート等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。本発明では特に、次式で表される第4級アンモニウム塩を使用することが好ましい。
[NR] (式1)
(Rは、H、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、尿素含有アルキル基、又はアミド結合含有アルキル基を表す。)
これらのカチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルメタクリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
また、上記カチオン性界面活性剤と、ノニオン性界面活性剤を混合して使用することもできる。このようなノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
カチオン性合成樹脂エマルション(A)のガラス転移温度は、特に限定されないが、好ましくは-50℃以上50℃以下(より好ましくは-40℃以上40℃以下)である。なお、ガラス転移温度はFoxの計算式により求められる値である。また、カチオン性合成樹脂エマルション(A)のpHは、好ましくは1~7(より好ましくは2~6)である。
本発明のノニオン性合成樹脂エマルション(B)は、ノニオン性基を含有する合成樹脂エマルションであれば特に限定されず使用することができる。本発明では、ノニオン性合成樹脂エマルション(B)は、上記カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径よりも大きい(好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上200nm以下)であることを特徴とする。
ノニオン性合成樹脂エマルション(B)としては、ノニオン性基を付与された合成樹脂エマルションであれば特に限定されず使用することができる。合成樹脂エマルションにノニオン性を付与する方法としては、例えば、
・ノニオン性界面活性剤の存在下に合成樹脂エマルションを得る方法、
等が挙げられる。このような合成樹脂エマルションとしては、例えば、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、合成ゴム樹脂エマルション、あるいはこれらの混合・複合樹脂エマルションが挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
本発明では特に、ノニオン性合成樹脂エマルション(B)として、
・ノニオン性界面活性剤の存在下に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む重合性モノマー群を共重合することにより得られるもの、
等が使用できる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及びその他の重合性モノマーとしては、カチオン性合成樹脂エマルション(A)と同様のものが挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
また、本発明のノニオン性合成樹脂エマルション(B)は、反応性官能基を有する架橋反応型合成樹脂エマルションであることが好ましい。架橋反応型合成樹脂エマルションは、少なくとも1種の反応性官能基を有し、被膜形成時または塗膜形成後において、該反応性官能基と反応可能な官能基との反応によって架橋構造を形成するものである。該反応性官能基と反応可能な官能基は、ノニオン性合成樹脂エマルション(B)中に含まれていてもよいし、別途混合する架橋剤中に含まれていてもよい。
このような反応性官能基の組合せとしては、例えば、カルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジノ基、エポキシ基とヒドラジノ基、エポキシ基とアミノ基、アルコキシル基どうし等があげられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
本発明では、アルコキシシリル基含有モノマーを含むことが好ましい。これにより基材との付着性を高めることができる。一方、カルボキシル基含有モノマーは、モノマー群において2重量%以下(好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.8重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下)の範囲内で使用することが望ましく、モノマー群においてかかるカルボキシル基含有モノマーを含まない態様も好適である。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。本発明では、ノニオン性面活性剤として、1分子中に少なくとも1個のノニオン性基及び重合性不飽和基を含有する反応性ノニオン性乳化剤を使用することが好適である。ノニオン性界面活性剤のHLB(親水親油バランス)は、好ましくは10~20(より好ましくは10.5~19.5、さらに好ましくは11~19)の範囲内である。
また、上記ノニオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤を混合して使用することもできるが、使用する界面活性剤全量に対して、アニオン性界面活性剤は、好ましくは10重量%以下(より好ましくは5重量%以下)とする。なお、本発明のノニオン性合成樹脂エマルション(B)は、カチオン性基含有モノマー、カチオン性界面活性剤を含まないものである。
ノニオン性合成樹脂エマルション(B)のガラス転移温度は、特に限定されないが、好ましくは-20℃以上50℃以下(より好ましくは-10℃以上40℃以下)である。なお、ガラス転移温度はFoxの計算式により求められる値である。また、ノニオン性合成樹脂エマルション(B)のpHは、好ましくは1~7(より好ましくは1.5~6.5)である。
本発明の水性被覆材において、上記カチオン性合成樹脂エマルション(A)と上記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の混合比率は、基材の種類、及び基材の表面状態、及び目的・性能等により適宜設定すればよいが、上記カチオン性合成樹脂エマルション(A)と上記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の固形分重量比が、好ましくは95:5~5:95(より好ましくは93:7~7:93、さらに好ましくは90:10~10:90)である。このような範囲の場合、本発明の効果を十分に発揮することができる。特に、上記カチオン性合成樹脂エマルション(A)と上記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の固形分重量比が、好ましくは50:50~5:95(より好ましくは40:60~7:93、さらに好ましくは30:70~10:90)の場合、セメント質基材との付着性、透水防止性の効果に加え、耐摩耗性等が高まり粉塵の発生等を抑制することもできる。
本発明の無機質組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、必要に応じ、公知の添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、難燃剤、着色顔料、体質顔料、繊維、撥水剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
本発明の水性被覆材は、セメント質基材に塗装することができる。特に、建築物、土木構築物等の躯体の保護・美装に好適である。本発明の水性被覆材は、セメント質基材に施されるものであり、好ましくは基材に直接塗装することにより被膜を形成するものである。また、何らかの表面処理材を用いて表面処理(シーラー処理、フィラー処理、サーフェーサ処理、パテ処理等)を施したセメント質基材上にも塗装することも可能である。
被膜形成方法としては、特に限定されず、基材に対し、スプレー塗り、ローラー塗り、コテ塗り、刷毛塗り等の方法で塗装すればよく、1回のみの塗装でも、複数回の塗装でもよい。
本発明水性被覆材を塗装する際の塗付け量は、適宜設定すればよいが、好ましくは0.01~1kg/m(より好ましくは0.03~0.8kg/m)である。塗装時には水等で希釈することによって、被覆材の粘性を適宜調製することもできる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
原料としては以下のものを使用した。
(A)カチオン性合成樹脂エマルション
(A1)カチオン性界面活性剤(アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)及びノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の存在下で、メタクリル酸メチル、アクリル酸2エチルヘキシル、スチレン、及びγ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランを乳化重合することにより固形分:30重量%、平均粒子径:50nm、ガラス転移温度:0℃、pH=3.2のカチオン性基含有アクリル樹脂エマルション(A1)を得た。
(A2)カチオン性界面活性剤(アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)及びノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の存在下で、メタクリル酸メチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、及びγ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランを乳化重合することにより固形分:30重量%、平均粒子径:80nm、ガラス転移温度:5℃、pH=3.5のカチオン性基含有アクリル樹脂エマルション(A2)を得た。
(A3)カチオン性界面活性剤(アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)及びノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の存在下で、メタクリル酸メチル、アクリル酸2エチルヘキシル、スチレン、及びγ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランを乳化重合することにより固形分:30重量%、平均粒子径:120nm、ガラス転移温度:0℃、pH=3.2のカチオン性基含有アクリル樹脂エマルション(A3)を得た。
(B)ノニオン性合成樹脂エマルション
(B1)ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、HLB=17.5)の存在下で、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、及びγ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランを乳化重合することにより固形分:45重量%、平均粒子径:175nm、ガラス転移温度:25℃、pH=4.3のノニオン性基含有アクリル樹脂エマルション(B1)を得た。
(B2)ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB=17.9)の存在下で、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、及びγ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランを乳化重合することにより固形分:45重量%、平均粒子径:110nm、ガラス転移温度:25℃、pH=4.3のノニオン性基含有アクリル樹脂エマルション(B2)を得た。
(水性被覆材1)
表1に示す配合に従い、(A)カチオン性合成樹脂エマルション、(B)ノニオン性合成樹脂エマルション、添加剤(造膜助剤、湿潤剤、消泡剤等)、及び水を常法により混合・攪拌することによって水性被覆材1を得た。
(水性被覆材2~12)
表1に示す配合に従い、水性被覆材1と同様にして水性被覆材2~12を得た。
<試験体>
セメント質基材(スレート板:L100×W100×T3mm)に水性被覆材1を塗付け量0.15kg/mで刷毛塗りし、常温(23℃)で7日間養生したものを試験体1Aとした。
また、基材として、標準モルタル:L70×W70×T20mmを用いた以外は上記試験体1Aと同様にして試験体1Bを作製した。
水性被覆材2~12についても同様にして、それぞれ試験体2A~12A、試験体2B~12Bを作製した。
(実施例1~8、比較例1~4)
<付着性評価>
試験体1A~12Aについて、JIS K 5600-5-6に準じ、クロスカット法にて密着性を評価した。基準を以下に示す。
◎:欠損部面積が5%以内
○:欠損部面積が10%以内
△:欠損部面積が10~35%
×:欠損部面積が35%以上
<透水防止性評価>
試験体1B~12Bに1mlの水をスポットして、その部分を時計皿で覆い、24時間放置後までの状態を評価した。基準を以下に示す。
◎:24時間後でも水量減少せず(24時間後でもスポット有り、スポット部濡れ色なし)
○:24時間後でもスポット有り、スポット部やや濡れ色あり
△:24時間後にスポット消失
×:3時間後にスポット消失
<耐摩耗性(表面強度)評価>
試験体1A~12Aについて、JIS K5600 5.9耐摩耗性(摩耗輪法)に準じ、テーバー式試験機、摩耗輪CS-17、荷重1000gで500回転後の摩耗減量を観測した。未処理のスレート板の摩耗減量と比較し、評価した。基準を以下に示す。
◎:未処理品より良好、ほぼ摩耗せず
○:未処理品より良好、やや摩耗あり
△:未処理品よりやや良好、摩耗あり
×:未処理品と同等、またはそれ以下
Figure 0007011990000001

Claims (4)

  1. 少なくとも、カチオン性合成樹脂エマルション(A)、及びノニオン性合成樹脂エマルション(B)を含み、前記カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径が100nm未満であり、前記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の平均粒子径は、前記カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする水性被覆材。
  2. 前記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の平均粒子径が100nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の水性被覆材。
  3. 前記カチオン性合成樹脂エマルション(A)と前記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の固形分重量比が、95:5~5:95であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水性被覆材。
  4. セメント質基材に、水性被覆材を塗装する被膜形成方法であって、前記水性被覆材が、少なくとも、カチオン性合成樹脂エマルション(A)、及びノニオン性合成樹脂エマルション(B)を含み、前記カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径が100nm未満であり、前記ノニオン性合成樹脂エマルション(B)の平均粒子径は、前記カチオン性合成樹脂エマルション(A)の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする被膜形成方法。
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