JP7011437B2 - 塗料組成物 - Google Patents
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Description
本発明の第1態様に係る塗料組成物は、(a)ポリカーボネートポリオールと、(b)硬化剤と、を含有し、前記(b)硬化剤が下記一般式(I)で示されるトリイソシアネート化合物を含み、更に、前記(a)ポリカーボネートポリオール10質量部に対して、(c)水酸基含有アクリル樹脂を40質量部以上90質量部以下含有し、前記(c)水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基を有するアクリル系単量体に由来する構造単位を含む重合体、又は、水酸基を有するアクリル系単量体に由来する構造単位と、カルボキシル基若しくはエステル基を有するアクリル系単量体及びビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する構造単位と、を含む共重合体である。
本発明の一実施形態に係る塗料組成物は、(a)ポリカーボネートポリオール及び(b)硬化剤を含有する。さらに、(b)硬化剤は、下記一般式(I)で示されるトリイソシアネート化合物(以下、「トリイソシアネート化合物(I)」と称する)を含む。
[(a)ポリカーボネートポリオール]
((a)ポリカーボネートポリオールの構造)
本実施形態の塗料組成物に含まれる(a)ポリカーボネートポリオールは、下記一般式(II)で示される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(II)」と称する)と末端に水酸基とを有するものである。
繰り返し単位(II)中のY2は、炭素数2~20の2価の脂肪族炭化水素基である。
Y2の炭素数は、2~15であることが好ましく、2~10であることがより好ましく3~8であることがさらに好ましい。
本実施形態の塗料組成物に含まれる(a)ポリカーボネートポリオールにおいて、繰り返し単位(II)のモル総量(x)に対する、Y2が炭素数3~8の2価の脂肪族炭化水素基である繰り返し単位(II)のモル量(y)の割合(y/x)は、20モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、60モル%以上であることがさらに好ましい。
y/xが、上記下限値以上であることにより、塗料組成物から得られる塗膜の傷回復性がより良好となる。
一方、y/xの上限値については、特別な限定はなく、例えば、100モル%以下であってもよい。
本実施形態の塗料組成物に含まれる(a)ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は500以上5000以下であることが好ましく、900以上3000以下であることがより好ましく、1000以上2000以下であることがさらに好ましい。数平均分子量が上記下限値以上であることで、塗膜の傷回復性がより良好となる。また、数平均分子量が上記上限値以下であることで、硬化時のイソシアネートとの反応がより早くなり、乾燥時間をより短縮できる。さらに、塗膜形成初期における耐傷付き性がより良好となる。
(a)ポリカーボネートポリオールは、特に限定されないが、例えば、2官能ジオール化合物と、炭酸エステルとを原料に用い、「Polymer Reviews 第9巻、第9~20頁」(参考文献1)に記載されるエステル交換反応により合成することができる。
(トリイソシアネート化合物(I))
○トリイソシアネート化合物(I)の構造
本実施形態の塗料組成物に含まれる(b)硬化剤は、トリイソシアネート化合物(I)を含む。
一般式(I)中、複数あるY1は、それぞれ独立に、単結合、又は、エステル基及びエーテル基からなる群より選択される1種以上を含んでもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基である。複数あるY1は、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基等の直鎖状アルキレン基;2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等の分岐鎖状アルキレン基;シクロプロピレン基、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロへキシレン、シクロペプチレン、シクロオクチレン、シクロノニレン、シクロデシレン等の環状アルキレン(シクロアルキレン)基等が挙げられる。
-(CH2)n1-Y3-(CH2)n2- ・・・(I-1)
中でも、n1及びn2はそれぞれ独立して、0~20の整数であることが好ましく、0~4がより好ましく、0~2がさらに好ましい。n1及びn2の組み合わせとしては、例えば、n1=0、n2=2の組み合わせ、n1=2、n2=2の組み合わせが好ましい。
R1は、水素原子、又は、炭素数1~12の1価の炭化水素基である。R1における炭化水素基としては、特に限定されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。中でも、R1としては、水素原子が好ましい。
本実施形態において、イソシアネート成分に含まれるトリイソシアネート化合物は、例えば、アミノ酸誘導体、エーテルアミン及びアルキルトリアミン等のアミンをイソシアネート化して得ることができる。
本実施形態の塗料組成物は(b)硬化剤として、上記トリイソシアネート化合物(I)の他に、更に、他の硬化剤を含有してもよい。
(1)1,4-テトラメチレンジイソシアネート(以下、「TMDI」と称する場合がある)、ペンタメチレンジイソシアネート(以下、「PDI」と称する場合がある)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と称する場合がある)、2,2,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソイシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート(以下、「MPDI」と称する場合がある)、リジンジイソシアネート(以下、「LDI」と称する場合がある)等の鎖式脂肪族ジイソシアネート
前記割合が上記範囲内にあることにより、本実施形態の塗料組成物から得られる塗膜の傷回復性をより向上させることができる。
本実施形態の塗料組成物は、更に、(c)水酸基含有アクリル樹脂を含有してもよい。
(c)水酸基含有アクリル樹脂は、塗料組成物の主剤として用いることができ、表面硬度、耐水性、耐候性、耐熱性等を付与することができる成分である。(c)水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基を有するアクリル系単量体に由来する構造単位を必須とした重合体であればよく、重合体を構成する構造単位の種類については特に限定はない。
(c)水酸基含有アクリル樹脂は、例えば、カルボキシル基又はエステル基を有するアクリル系単量体、ビニル系単量体等に由来する構造単位をさらに含んだ共重合体であってもよい。
水酸基を有するアクリル系単量体として具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、又は、これらのε-カプロラクトン付加物等が挙げられる。これらの単量体は、1種のみ、又は、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系単量体として具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、又は、これらの無水物等の不飽和カルボン酸類等が挙げられる。これらの単量体は、1種のみ、又は、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
エステル基を有するアクリル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、1種のみ、又は、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
ビニル系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド系モノマー;スチレン等が挙げられる。これらの単量体は、1種のみ、又は、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
(c)水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、特に限定されないが、50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、70mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがより好ましい。
水酸基価が上記下限値以上であることで、塗料組成物から得られる塗膜の塗膜硬度や塗膜強度をより向上させることができる。さらに、塗膜形成初期における耐傷付き性がより良好なものとすることができる。
また、上記上限値以下であることで、塗料組成物から得られる塗膜の架橋密度が適切な範囲に調整され、傷回復性がより良好なものとすることができる。
(c)水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、500以上10000以下であることが好ましく、1500以上8000以下であることがより好ましく、2000以上6000以下であることがさらに好ましい。
(c)水酸基含アクリル樹脂の数平均分子量が上記下限値以上であることで、塗料組成物から得られる塗膜の傷回復性をより良好にすることができる。また、(c)水酸基含アクリル樹脂の数平均分子量が上記上限値以上であることで、塗料組成物の粘度が適切な範囲に調整され、塗装外観をより良好とすることができる。また、塗膜形成初期における耐傷付き性をより良好にすることができる。
(c)水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温度は、特に限定されないが、-20℃以上60℃以下であることが好ましく、0℃以上40℃以下であることがより好ましい。
(c)水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温度が上記下限値以上であることで、塗料組成物から得られる塗膜の表面硬度がより高くなり、塗膜形成初期における耐傷付き性をより良好にすることができる。また、(c)水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温度が上記上限値以下であることで、塗料組成物から得られる塗膜の硬度が適切な範囲に調整され、傷回復性をより良好にすることができる。
本実施形態の塗料組成物において、(c)水酸基含有アクリル樹脂を含有する場合、上記(a)ポリカーボネートポリオール10質量部に対して、(c)水酸基含有アクリル樹脂を0質量部より多く200質量部以下含有することが好ましく、5質量部以上150質量部以下含有することがより好ましく、10質量部以上100質量部以下含有することがさらに好ましい。(a)ポリカーボネートポリオール10重量部に対する(b)水酸基含有アクリル樹脂の含有量が上記上限値以下であることにより、塗料組成物から得られる塗膜の傷回復性をより優れたものとすることができる。
水酸基含有アクリル樹脂は、例えば、上記水酸基を有するアクリル系単量体、並びに、必要に応じて、上記その他のアクリル系単量体及び上記ビニル系単量体から、適宜単量体を選択して、ラジカル重合開始剤及び連鎖移動剤等により重合させることによって得られる。
本実施形態の塗料組成物は、塗装時の作業性を調整するために、必要に応じて、更に、(d)不活性有機溶剤を含有してもよい。
本実施形態の塗料組成物は、上記(a)ポリカーボネートポリオール、上記(b)硬化剤、上記(c)水酸基含有アクリル樹脂、及び、上記(d)不活性有機溶剤の他に、各種用途に応じて、更に、(e)その他添加剤を含有してもよい。
本実施形態の塗料組成物は、(a)ポリカーボネートポリオール及び(b)硬化剤、並びに、必要に応じて、(c)水酸基含有アクリル樹脂、(d)不活性有機溶剤及び(e)その他添加剤を均一に混合することで製造することができる。又は、予め、(b)硬化剤以外を混合しておき、塗布直前に(b)硬化剤を添加し、均一に混合することで製造してもよい。
[OH/NCO]
本実施形態の塗料組成物において、(a)ポリカーボネートポリオール由来の水酸基と(c)水酸基含有アクリル樹脂由来の水酸基との合計と、(b)硬化剤由来のイソシアネート基とのモル比(OH/NCO)は、1/2以上1/0.5以下であることが好ましく、1/1.3以上1/0.7以下であることがより好ましく、1/1.2以上1/0.8以下であることがさらに好ましい。
モル比が上記下限値以上であることで、硬化速度をより速くすることができ、また得られる塗膜の柔軟性がより優れたものとなる。一方、モル比が上記上限値以下であることで、塗膜物性をより良好なものとすることができる。
本実施形態の塗料組成物は、以下に示す塗装方法により、塗膜を形成させることができる。塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、スプレー、ロール、はけ等で基材に塗布する方法等が挙げられる。
本実施形態の塗料組成物は、耐傷付き性、傷回復性及び耐酸性に優れるため、自動車外装用クリア塗料、自動車内装用塗料として好適に使用される。また、家電製品、OA製品、皮革(合成皮革を含む)の表面処理等に好ましく用いることができる。
<物性1>水酸基価
ポリカーボネートポリオール及び水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、JIS K1557-1に準じて測定した。
ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、「GPC」と称する場合がある)測定により、ポリスチレン基準の数平均分子量で求めた。
装置:東ソー社製「HLC-8120GPC」(商品名)
カラム:東ソー社製「TSKgel SuperH1000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH2000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH3000」(商品名)×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
核磁気共鳴装置(Bruker社製、商品名:Biospin Avance600)を用いた、13C-NMRの測定によって、構成するジオール成分の構造を特定し、水酸基に隣接していた炭素元素数の比率より計算して求めた。
NCO含有率[質量%]は、合成例で製造したトリイソシアネートのイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
実施例及び製造例で得られた塗膜について、23℃の恒温室にて24時間置いた後、ペンドラム硬度の評価に供した。ペンドラム硬度は、BYK-Gardner社製ペンドラム式硬度計(ケーニッヒ振り子使用)にて測定した。
実施例及び製造例で得られた塗膜について、まず、初期光沢(グロス)(G0)を測定した。次いで、塗面上(初期光沢(グロス)(G0)を測定した箇所)に、インダストリーコーワ社製の4行真鍮ブラシを用いて、柄に対して並行に、加重:600g、ストローク速度:30cm/秒、ストローク幅:5cmで20往復して傷を付けた。傷を付けた直後に、傷の付いた部分をスガ試験機株式会社製、変角光沢計にて60度角度の光沢(グロス)(G1)を測定した。次いで、下記式(A)を用いて、光沢保持率[%]を算出した。
光沢保持率[%]=(G1/G0)×100 ・・・(A)
なお、上記算出された光沢保持率から、その値が高い程、耐傷付き性に優れると評価した。
次いで、上記「評価1」の耐傷付き性評価にて使用したサンプルを、23℃の恒温室にて24時間放置した。次いで、上記「評価1」で測定した傷を付けた部分の光沢(グロス)(G2)を測定した。次いで、下記式(B)を用いて、傷回復率[%]を算出した。
傷回復率[%]={(G2-G1)/G0}×100 ・・・(B)
実施例及び製造例で得られた塗膜について、JIS K5600-6-1に従い、点滴法により外観変化を観察した。酸は0.1N硫酸を用い、12時間後の外観を観察した。
外観変化の無い場合を〇、わずかに液痕が有る場合を△、明らかに液痕が認められる場合を×とした。
撹拌機、温度計、ガス導入管を取り付けた4ツ口フラスコ内に4-アミノメチル-1,8-オクタメチレンジアミン(以下、「トリアミン」と称する場合がある)1060gをメタノール1500gに溶かし、これに35%濃塩酸1800mLを冷却しながら徐々に滴下した。次いで、減圧下にてメタノール及び水を除去して濃縮し、60℃/5mmHgにて24時間乾燥して、白色固体のトリアミン塩酸塩を得た。得られたトリアミン塩酸塩650gを微粉末としてo-ジクロルベンゼン5000gに懸濁させ、かきまぜながら反応液を昇温した。次いで、反応液が100℃に達した時点でホスゲンを200g/Hrの速度にて吹込みはじめ、さらに昇温を続けた。次いで、反応液が180℃に達したら、そのまま温度を保持し、12時間ホスゲンを吹込み続けた。次いで、減圧下にて溶存ホスゲン及び溶媒を留去した。次いで、真空蒸留することにより、沸点161~163℃/1.2mmHgの無色透明なNTI 420gを得た。NTIのNCO含有率は、50質量%であった。
撹拌機、温度計、ガス導入管を取り付けた4ツ口フラスコ内にエタノールアミン122.2g、o-ジクロロベンゼン100mL、及び、トルエン420mLを入れ、氷冷化塩化水素ガスを導入し、エタノールアミンを塩酸塩に転換した。次いで、リジン塩酸塩182.5gを添加し、反応液を加熱して80℃まで昇温し、エタノールアミン塩酸塩を溶解させ、塩化水素ガスを導入してリジン二塩酸塩とした。次いで、塩化水素ガスを20~30mL/分で通過させ、反応液を加熱して116℃まで昇温し、水が留出しなくなるまでこの温度を維持した。次いで、生成した反応混合物をメタノール及びエタノールの混合液中で再結晶して、リジンβ-アミノエチルエステル三塩酸塩165gを得た。このリジンβ-アミノエチルエステル三塩酸塩100gを微粉末としてo-ジクロロベンゼン1200mLに懸濁させ、かきまぜながら反応液を昇温した。次いで、反応液が120℃に達した時点でホスゲンを0.4モル/時間の速度にて吹込みはじめ、10時間保持した。次いで、反応液を150℃まで昇温し、反応液中のリジンβ-アミノエチルエステル三塩酸塩をほとんど溶解させた。次いで、冷却後ろ過し、減圧下にて溶存ホスゲン及び溶媒を留去した。次いで、真空蒸留することにより、沸点155~157℃/0.022mmHgの無色透明なLTI 80.4gを得た。LTIのNCO含有率は、47.1質量%であった。
撹拌機、温度計、ガス導入管を取り付けた4ツ口フラスコ内にグルタミン酸塩酸塩275g、エタノールアミン塩酸塩800g、及び、トルエン150mLを入れ、塩化水素ガスを吹き込みながら、水が共沸しなくなるまで110℃にて24時間加熱還流した。次いで、生成した反応混合物をメタノール及びエタノールの混合液中で再結晶して、ビス(2-アミノエチル)グルタメート三塩酸塩270gを得た。このビス(2-アミノエチル)グルタメート三塩酸塩85gをo-ジクロロベンゼン680gに懸濁させ、かきまぜながら反応液を昇温した。次いで、反応液が135℃に達した時点でホスゲンを0.8モル/時間の速度にて吹込みはじめ、温度をそのまま保持し、13時間ホスゲンを吹込み続けた。次いで、反応生成物をろ過後、減圧濃縮した。さらに、薄膜蒸発缶で精製することにより、GTI 54gを得た。GTIのNCO含有率は、39.8質量%であった。
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコに1,6-ヘキサンジオール(1,6-HDO)236g(2mol)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-CHMD)288g(2mol)、及び、エチレンカーボネート352g(4mol)を仕込んだ。次いで、70℃で撹拌溶解した後、触媒としてチタンテトラブトキシド0.05gを加えた。次いで、この混合液を175℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温150℃、真空度1.0~1.5kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、20時間反応させた。次いで、精留塔を単蒸留装置に取り替え、165℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温150~160℃、真空度を0.5kPaまで落として、フラスコ内に残ったジオールとエチレンカーボネートとを除去した。次いで、オイルバスの設定を190℃に上げ、フラスコの内温180~185℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに10時間反応させた。この反応により、常温で粘調な液体としてポリカーボネートポリオール(以下、「PC-1」と称する場合がある)を得た。得られたPC-1は、数平均分子量が1000(ポリスチレン換算)であった。PC-1の組成[モル%]は1,6-HDL:1,4-CHMD=45:55であった。また、PC-1において、繰り返し単位(II)のモル総量(x)に対する、Y2が炭素数3~8の2価の脂肪族炭化水素基である繰り返し単位(II)のモル量(y)の割合(y/x)は、100モル%であった。水酸基価が130mgKOH/g、1分子中の平均水酸基価数が2.5であった。
(1)塗料組成物1の製造
ポリカーボネートポリオールとして旭化成(株)社製デュラノール(登録商標)T5652(以下、「T5652」と称する場合がある)を300g、レベリング剤BYK-331(BYKケミカル社製)2g、ジブチル錫ジラウレート(Air Product社製)1.2g、並びに、キシレン及び酢酸ブチルの混合溶媒(キシレン:酢酸ブチル=70:30)を添加して撹拌混合し、固形分50質量%の塗料主剤を得た。これに硬化剤としてNTIをNCO/OH(モル比)=1/1となるように添加し、混合して塗料組成物1を得た。
(1)で得られた塗料組成物1を、乾燥後の塗膜厚さが30μmとなるように、ガラス板上に均一に塗布し、室温にて15分乾燥した。次いで、140℃のオーブンにて60分間乾燥した後、オーブンより取り出して塗膜1を得た。得られた塗膜1について、上記試験方法を用いて、ペンドラム硬度の測定、耐傷付き性、傷回復率及び耐酸性の評価を実施した。結果を以下の表1に示す。
(1)塗料組成物2の製造
水酸基含有アクリル樹脂として、Nuplex社製Setalux1152(溶媒:キシレン及びメトキシピロピルアセテートの混合溶液、固形分61重量%、固形分換算水酸基価139mgKOH/g、水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量3000)(以下、「Setalux1152」と称する場合がある)を295g、ポリカーボネートポリオールとしてT5652を20g、レベリング剤BYK-331(BYKケミカル社製)2.06g、ジブチル錫ジラウレート(Air Product社製)1.2g、及び、キシレン及び酢酸ブチルの混合溶媒(キシレン:酢酸ブチル=70:30)を添加して撹拌混合し、固形分50質量%の塗料主剤を得た(溶剤を除く主剤中のポリカーボネートポリオールの割合は10%)。これに硬化剤としてNTIをNCO/OH(モル比)=1/1となるように添加し、混合して塗料組成物2を得た。
(1)で得られた塗料組成物2を用いて、実施例1の(2)と同様の方法により、塗膜2を得た。得られた塗膜2について、上記試験方法を用いて、ペンドラム硬度の測定、耐傷付き性、傷回復率及び耐酸性の評価を実施した。結果を以下の表1に示す。
(1)塗料組成物3~7の製造
以下の表1に記載の(a)ポリカーボネートポリオール、(b)硬化剤、及び、(c)水酸基含有アクリル樹脂の種類及び含有量とした以外は、実施例2の(1)と同様の方法を用いて、塗料組成物3~7を得た。
(1)で得られた塗料組成物3~7を用いて、実施例1の(2)と同様の方法により、塗膜3~7を得た。得られた塗膜3~7について、上記試験方法を用いて、ペンドラム硬度の測定、耐傷付き性、傷回復率及び耐酸性の評価を実施した。結果を以下の表1に示す。
(1)塗料組成物8の製造
T5652の添加量を60g、Setalux1152の添加量を230gとした以外は、実施例2の(1)と同様の方法を用いて、塗料組成物8を得た。
(1)で得られた塗料組成物8を用いて、実施例1の(2)と同様の方法により、塗膜8を得た。得られた塗膜8について、上記試験方法を用いて、ペンドラム硬度の測定、耐傷付き性、傷回復率及び耐酸性の評価を実施した。結果を以下の表1に示す。
(1)塗料組成物9の製造
Setalux1152の替わりに、Setalux1184(溶媒:キシレン及びメトキシピロピルアセテートの混合溶液、固形分52重量%、固形分換算水酸基価66mgKOH/g、水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量3000)を用い、Setalux1184の添加量を346gとした以外は、実施例2の(1)と同様の方法を用いて、塗料組成物9を得た。
(1)で得られた塗料組成物9を用いて、実施例1の(2)と同様の方法により、塗膜9を得た。得られた塗膜9について、上記試験方法を用いて、ペンドラム硬度の測定、耐傷付き性、傷回復率及び耐酸性の評価を実施した。結果を以下の表1に示す。
(1)塗料組成物10の製造
ポリカーボネートポリオール配合しなかったこと以外は、実施例2の(1)と同様の方法を用いて、塗料組成物10を得た。
(1)で得られた塗料組成物10を用いて、実施例1の(2)と同様の方法により、塗膜10を得た。得られた塗膜10について、上記試験方法を用いて、ペンドラム硬度の測定、耐傷付き性、傷回復率及び耐酸性の評価を実施した。結果を以下の表2に示す。
(1)塗料組成物11の製造
TTIの替わりに、旭化成株式会社製デュラネートTPA-100(ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート型ポリイソシアネート)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様の方法を用いて、塗料組成物11を得た。
(1)で得られた塗料組成物11を用いて、実施例1の(2)と同様の方法により、塗膜11を得た。得られた塗膜11について、上記試験方法を用いて、ペンドラム硬度の測定、耐傷付き性、傷回復率及び耐酸性の評価を実施した。結果を以下の表2に示す。
(1)塗料組成物12の製造
TTIの替わりに、旭化成株式会社製デュラネートTPA-100を用いた以外は、実施例2の(1)と同様の方法を用いて、塗料組成物12を得た。
(1)で得られた塗料組成物12を用いて、実施例1の(2)と同様の方法により、塗膜12を得た。得られた塗膜12について、上記試験方法を用いて、ペンドラム硬度の測定、耐傷付き性、傷回復率及び耐酸性の評価を実施した。結果を以下の表2に示す。
さらに、(c)水酸基含有アクリル樹脂を含有する塗料組成物である実施例2~9は、(c)水酸基含有アクリル樹脂を含有しない実施例1と比較して、ベンドラム硬度(75以上)が高く、耐傷付き性(光沢保持率が85%以上)がより優れていた。
また、(a)ポリカーボネートポリオール、及び、(b)硬化剤として、TPA-100(イソシアヌレート型ポリイソシアネート)を含有する比較例2では、耐酸性(○)が優れていたが、耐傷付き性(光沢保持率が70%)及び傷回復性(傷回復率が5%)が劣っていた。
また、(a)ポリカーボネートポリオール、(b)硬化剤として、TPA-100(イソシアヌレート型ポリイソシアネート)、及び、(c)水酸基含有アクリル樹脂を含有する塗料組成物である比較例3では、耐酸性(○)及び耐傷付き性(光沢保持率が95%)が優れていたが、傷回復性(傷回復率が5%)が劣っていた。
Claims (5)
- (a)ポリカーボネートポリオールと、(b)硬化剤と、を含有し、
前記(b)硬化剤が下記一般式(I)で示されるトリイソシアネート化合物を含み、
更に、前記(a)ポリカーボネートポリオール10質量部に対して、(c)水酸基含有アクリル樹脂を40質量部以上90質量部以下含有し、
前記(c)水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基を有するアクリル系単量体に由来する構造単位を含む重合体、又は、水酸基を有するアクリル系単量体に由来する構造単位と、カルボキシル基若しくはエステル基を有するアクリル系単量体及びビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する構造単位と、を含む共重合体である塗料組成物。
- 前記一般式(II)で示される繰り返し単位のモル総量に対する、Y2が炭素数3~8の2価の脂肪族炭化水素基である前記一般式(II)で示される繰り返し単位のモル量の割合が、20モル%以上である請求項2に記載の塗料組成物。
- 前記(a)ポリカーボネートポリオール由来の水酸基と前記(c)水酸基含有アクリル樹脂由来の水酸基との合計と、前記(b)硬化剤由来のイソシアネート基とのモル比(OH/NCO)が、1/2以上1/0.5以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
- 更に、塗料組成物の総質量に対して、(d)不活性有機溶剤を1質量%以上90質量%以下含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
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