JP7011300B2 - HMBCa含有顆粒の製造方法、及びサプリメント - Google Patents

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Description

本発明は、HMBCaを含有する顆粒の製造方法に関する。
β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(以下、「HMB」と略す)は、筋肉の増強作用や減少抑制作用が報告されている(例えば、特許文献1)。そして、そのカルシウム塩であるβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸カルシウム(以下、「HMBCa」と略す)を含有するサプリメントが、ボディビルダー等に利用されている。こうしたHMBCaのサプリメントは、ドリンクタイプや、粉末タイプ、錠剤タイプ、カプセルタイプが販売されている。
特開2016-026181号公報
HMBCaのサプリメントにあって、ドリンクタイプは嵩張るという欠点がある。また、錠剤タイプやカプセルタイプは、吸収に時間がかかるという欠点がある。粉末タイプは、嵩張らず、水に溶かして摂取すれば短時間で吸収可能であるが、HMBCaは比重が軽いため、粉末タイプは水と混ぜて摂取する際にダマになりやすく、水に溶かし難いという問題がある。また、粉末タイプは流動性が低いため、小分け包装には不向きである。
本発明は係る現状に鑑みて為されたものであり、水に溶かしやすく、小分け包装にも適したHMBCa含有顆粒の製造方法、及びサプリメントの提供を目的とする。
発明者は、HMBCaのサプリメントの上記欠点を解消するために、流動層造粒法によるHMBCaの顆粒の製造を試みた。しかしながら、比重の軽いHMBCaは、流動層の中で他の材料よりも高く飛散して、流動層の内壁に付着してしまい、一般的な流動層造粒装置では造粒困難であった。そして、発明者は、これらの問題を解決すべく、試行錯誤を重ねた末に、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、HMBCa(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸カルシウム)の粉末とデキストリンの粉末とを含む原料を、結合液とともに攪拌して造粒する攪拌・造粒工程と、攪拌・造粒工程で得られた造粒物を、所定粒径以下の粉粒体に整粒する整粒工程と、前記粉粒体を含む原料を流動層造粒法によって造粒して、HMBCaを含有する顆粒を得る流動層造粒工程とを含むHMBCa含有顆粒の製造方法である。
かかる製造方法では、攪拌・造粒工程の時点で、HMBCaの粒子がデキストリンの粒子に結合するため、流動層造粒工程の原料となる粉粒体は、HMBCaの粒子単体よりも比重が重くなっている。このため、本発明に係る流動層造粒工程では、一般的な流動層造粒装置を用いて、当該粉粒体を常法によって容易に造粒して、HMBCa含有顆粒を得ることができる。発明者の研究によれば、本発明の製造方法によって製造されるHMBCa含有顆粒は、高い水溶性を有している。かかるHMBCa含有顆粒では、HMBCaの粒子がデキストリンの粒子と結合しており、かつ、多孔質の顆粒を構成しているため、水に攪拌した際に、HMBCaの粒子がダマを形成せずに、速やかに溶解すると考えられる。このように、本発明の製造方法によって得られるHMBCa含有顆粒は、水に溶けやすいものであり、また、粉末に比べて流動性に優れた顆粒であるため、小分け包装に適している。したがって、かかるHMBCa含有顆粒を単独で、又は、その他の材料と混合してサプリメントにすれば、従来品に比べて有用性の高いHMBCaのサプリメントを実現できる。また、本発明の製造方法は、一般的な流動層造粒装置で実行可能であり、特殊な装置は不要であるため、製造コストも抑えられる。
また、本発明の別の態様は、HMBCaの粒子とシクロデキストリンの粒子が結合した多孔質の顆粒を含有するサプリメントである。上述のように、かかるサプリメントは、水に容易に溶けるため、簡便に摂取可能であり、また、顆粒タイプであるから小分け包装にも適している。また、発明者の研究によれば、かかるサプリメントは、クエン酸の粉末や顆粒と混合した状態で長期保存が可能となる。
以上のように、本発明の製造方法によれば、水に溶かしやすく、小分け包装にも適したHMBCa含有顆粒を製造できる。また、本発明のサプリメントは、既存のHMBCaのサプリメントに比べて、簡便に摂取可能で、小分け包装にも適しており、さらには、クエン酸の粉末や顆粒と混合した状態で長期保存できるという利点がある。
上述のように、本発明のHMBCa含有顆粒の製造方法は、HMBCaの粉末とデキストリンの粉末とを含む原料を、結合液とともに攪拌して造粒する攪拌・造粒工程と、攪拌・造粒工程で得られた造粒物を、所定粒径以下の粉粒体に整粒する整粒工程と、前記粉粒体を含む原料を流動層造粒法によって造粒して、HMBCaを含有する顆粒を得る流動層造粒工程とを含むことを特徴とする。
攪拌・造粒工程は、攪拌造粒法によって行うことができる。すなわち、攪拌・造粒工程は、原料の粉末を混合する混合工程と、原料に結合液を加えて造粒する造粒工程と、造粒工程で得られた造粒物から結合液を揮発させる乾燥工程とを含むことが提案される。混合工程及び造粒工程は、一般的な攪拌造粒装置を用いて行うことができる。また、乾燥工程は、乾燥装置を用いてもよいし、自然乾燥させてもよい。また、乾燥工程では、造粒物を適宜圧縮することができる。
攪拌・造粒工程においては、HMBCaの粉末に対する、デキストリンの粉末の混合比率が過度に少ないと、HMBCaの粉末がデキストリンの粉末に十分結合しない。発明者の研究によれば、かかる観点では、攪拌・造粒工程の原料において、HMBCaの粉末に対する、デキストリンの粉末の比率は、重量比で40%以上とすることが望ましく、また、42%以上とすることがより望ましく、44%以上とすることが特に望ましい。 一方で、攪拌・造粒工程の原料において、デキストリンの粉末の比率が過度に大きいと、摂取すべきHMBCaの含有率が少なくなってしまう。このため、かかる観点では、攪拌・造粒工程の原料において、HMBCaの粉末に対する、デキストリンの粉末の比率は、重量比で50%以下とすることが望ましく、また、48%以下とすることがより望ましく、47%以下とすることが特に望ましい。また、攪拌・造粒工程の原料には、造粒を損なわない範囲内で、HMBCaの粉末とデキストリンの粉末以外の材料を含めることが可能である。
攪拌・造粒工程の原料において、HMBCaの粉末は、粒径が1.3mm以下であることが望ましく、1.0mm以下であることがより望ましく、0.8mm以下であることが特に望ましい。HMBCaの粉末の粒径が大きくなると、水に溶け切るのに時間を要するためである。
攪拌・造粒工程の原料において、デキストリンの粉末の種類は特には限定されないが、水溶性の高いものが望ましい。好適なデキストリンの種類としては、難消化性デキストリン、シクロデキストリン、マルトデキストリン等が挙げられる。また、複数種類のデキストリンの混合粉末を原料に用いてもよい。特に、デキストリンの粉末は、シクロデキストリンを含有することが望ましい。発明者の研究によれば、攪拌・造粒工程の原料にシクロデキストリンの粉末を用いた場合には、得られるHMBCa含有顆粒顆粒がより安定なものとなる。これは、シクロデキストリンの包接作用によるものと考えられる。具体的には、攪拌・造粒工程の原料にシクロデキストリンを用いなかった場合には、製造されるHMBCa含有顆粒をクエン酸の粉末や顆粒と混合した状態で保存すると、比較的短期間で両者が反応して飴状に溶け、褐変してしまうのに対し、原料にシクロデキストリンを用いた場合には、製造されるHMBCa含有顆粒を、クエン酸の粉末や顆粒と混合した状態でも安定に長期保存可能となる。
攪拌・造粒工程で用いる結合液は、少なくとも水を含有することが望ましい。デキストリンの粒子の表面を水で濡らすことで、デキストリンの粒子の表面に、HMBCaの粒子を強固に結合させることが可能となるためである。
また、攪拌・造粒工程で用いる結合液は、水とエタノールを含むことが望ましい。結合液を原料全体に行き渡らせるには、結合液を一定量以上添加する必要があるが、水の添加量が多いとデキストリンの粉末が溶出しやすくなるため、水単独では結合液の適切な添加量を設定し難いためである。結合液として水とエタノールを用いる場合、エタノール水溶液として原料粉末へ同時に加えることが望ましい。また、結合液として水とエタノールを用いる場合、水の比率は結合液全量に対して体積比で5~20%であることが望ましく、10~15%であることがより望ましい。また、エタノールの比率は結合液全量に対して体積比で80~95%であることが望ましく、85~90%であることがより望ましい。また、攪拌・造粒工程で加える結合液の液量は、混合した原料の粉末に対して、重量比で15~30%であることが望ましく、20~25%であることがより望ましく、20~23%であることが特に望ましい。
整粒工程では、攪拌・造粒工程で得られた造粒物を、流動層造粒工程の原料に適した所定粒径以下の粉粒体(以下、「予備粉粒体」とも言う。)に整粒する。かかる整粒工程は、例えば、攪拌・造粒工程で得られた造粒物を、整粒機を用いて粉砕し、篩過することで行うことができる。かかる整粒工程では、予備粉粒体の粒径を2mm以下とすることが望ましい。粉粒体の粒径が2mmより大きいと、当該粉粒体を流動層造粒工程によって造粒して得られるHMBCa含有顆粒の粒径が過大となり、水に溶かし切るのに時間を要するためである。なお、予備粉粒体は微粉であってもかまわないが、粒径が小さくなるほど、流動層造粒工程での造粒に時間を要するため、比較的粒径の大きいものが望ましい。
流動層造粒工程では、一般的な流動層造粒装置を用いて、常法により予備粉粒体を造粒することができる。結合剤は特に限定されないが、コーンスターチやα化デンプン等のデンプン、プルラン、マルチトールなどが好適に用いられる。流動層造粒工程では、予備粉粒体のみを原料としてもよいし、予備粉粒体以外の粉粒体を原料に混合してもよい。流動層造粒工程では、粒径が0.5mm~1.5mmのHMBCa含有顆粒を得ることが望ましい。粒径0.5mm未満であると小分け包装が行い難くなり、粒径が1.5mmより大きいと、溶かし切るまでの時間が長くなるためである。
流動層造粒工程で得られるHMBCa含有顆粒は、HMBCaの粒子とデキストリンの粒子が結合した多孔質の顆粒であり、水に容易に溶かして摂取することができる。したがって、流動層造粒工程で得られたHMBCa含有顆粒は、そのまま、サプリメントとして用いることができる。ただし、HMBCaとデキストリンのみからなる顆粒は、味・臭いがきついため、甘味料や香料等の添加物と混合したものをサプリメントとすることが提案される。上述のように、添加物は、流動層造粒工程の段階で原料に混合するようにしてもよい。ただし、予備粉粒体と反応しやすい添加物(クエン酸等)は、流動層造粒工程の後で、HMBCa含有顆粒と混合することが望ましい。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例の構成に限定されるものでなく、本発明の趣旨を変更しない限りで適宜変更可能である。
[実施例1]
<混合工程>
原料として、HMBCaの粉末(平均粒径60μm(D50)、最大粒径350μm)56重量部と、デキストリン粉末(セルデックスTB-50、日本食品加工製:シクロデキストリン含有率40~45%)44重量部とを、攪拌造粒機で混合した。
<造粒工程>
混合工程で混合した原料に、結合液として87%(v/v)エタノール水溶液25重量部を数回に分けて加えて、攪拌造粒機で攪拌し、原料の粉末を造粒した。かかる造粒工程で得られる造粒物は、粒径2~3mmの柔らかい顆粒であった。
<乾燥工程>
造粒工程で得られた造粒物を、紙を敷いた穴あきトレイに充填し、上から軽く押さえ付けて圧縮した。その後、トレイに充填した状態で造粒物を自然乾燥させて、結合液を揮発させた。かかる乾燥工程により、造粒物は、顆粒が相互に結合してなる薄板状の塊となった。
<整粒工程>
乾燥工程で得られた薄板状の造粒物を整粒機で粉砕し、14メッシュのスクリーンで篩過して、粒径1mm以下の予備粉粒体を得た。かかる整粒工程で得られる予備粉粒体は、粒径1mm以下の顆粒と、微粉の混合物であった。
<流動層造粒工程>
整粒工程で得られた予備粉粒体を、流動層造粒機を用いて、常法により造粒し、実施例1のHMBCa含有顆粒を得た。なお、かかる流動層造粒工程では、結合剤として、α化デンプン(ワキシーD6、日本食品加工製)を、原料(予備粉粒体)の重量に対して2%使用した。
[実施例2]
以下の配合の粉粒体を混合する後末混合工程を行って、実施例2のHMBCa含有顆粒を得た。
・実施例1のHMBCa含有顆粒:55重量部
・N-アセチルグルコサミン:3重量部(Bio-NAG、ビーエイチエヌ製)
・無水クエン酸:38重量部(磐田化学製)
・微粒二酸化ケイ素:2重量部(カープレックスFPS-500、DSLジャパン製)
・香料:2重量部(グレープフルーツミクロンH-81210、高砂香料工業製)
・ショ糖脂肪酸エステル:0.5重量部(三菱化学フーズ製)
・ビタミンB1:0.02重量部(金剛薬品製)
[実施例3]
流動層造粒工程の原料を、以下の配合に替える他は、実施例1と同様にして、実施例3のHMBCa含有顆粒を製造した。
・予備粉粒体(実施例1と同じもの)
・クレアチン:2重量部(小林香料製)
・アステルパーム:4重量部(味の素製)
・グレープフルーツパウダー:5重量部(焼津水産化学工業製)
[実施例4]
以下の配合の粉粒体を混合する後末混合工程を行って、実施例4のHMBCa含有顆粒を得た。
・実施例3のHMBCa含有顆粒:57重量部
・メチルサリフォニルメタン:0.06重量部(東洋発酵製)
・無水クエン酸:38重量部(磐田化学製)
・微粒二酸化ケイ素:2重量部(カープレックスFPS-500、DSLジャパン製)
・香料:2重量部(グレープフルーツミクロンH-81210、高砂香料工業製)
・ショ糖脂肪酸エステル:0.5重量部(三菱化学フーズ製)
・必須アミノ酸:0.06重量部(BCAA121、プロテインケミカル製)
・ビタミンB1:0.02重量部(金剛薬品製)
[実施例5]
原料のデキストリン粉末を、マルトデキストリンTK-16(松谷化学)に変更する以外は、実施例1と同様にして、実施例5のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例6]
原料とするHMBCa含有顆粒を、実施例1から実施例5のものに変更する以外は、実施例2と同様にして、実施例6のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例7]
原料のデキストリン粉末を、マルトデキストリンTK-16(松谷化学)に変更する以外は、実施例3と同様にして、実施例7のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例8]
原料とするHMBCa含有顆粒を、実施例3から実施例7のものに変更する以外は、実施例4と同様にして、実施例8のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例9]
原料のデキストリン粉末を、パインファイバー(松谷化学)に変更する以外は、実施例1と同様にして、実施例9のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例10]
原料とするHMBCa含有顆粒を、実施例1から実施例9のものに変更する以外は、実施例2と同様にして、実施例10のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例11]
原料のデキストリン粉末を、パインファイバー(松谷化学)に変更する以外は、実施例3と同様にして、実施例11のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例12]
原料とするHMBCa含有顆粒を、実施例3から実施例11のものに変更する以外は、実施例4と同様にして、実施例12のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例13]
原料のデキストリン粉末を、ファイバーソル2AG(松谷化学)に変更する以外は、実施例1と同様にして、実施例13のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例14]
原料とするHMBCa含有顆粒を、実施例1から実施例13のものに変更する以外は、実施例2と同様にして、実施例14のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例15]
原料のデキストリン粉末を、ファイバーソル2AG(松谷化学)に変更する以外は、実施例3と同様にして、実施例15のHMBCa含有顆粒を製造した。
[実施例16]
原料とするHMBCa含有顆粒を、実施例3から実施例15のものに変更する以外は、実施例4と同様にして、実施例16のHMBCa含有顆粒を製造した。
[比較例1]
実施例1で攪拌・造粒工程の原料として用いたHMBCaの粉末を、攪拌造粒機で、結合液(50%エタノール水溶液)とともに攪拌して造粒した。得られた造粒物を、実施例1の乾燥工程と同様にして乾燥させ、その後、実施例1の整粒工程と同様にして、粒径1mm以下の比較例1の粉粒体を得た。
[比較例2]
原料を予備粉粒体からHMBCaの粉末に替える他は、実施例1の流動層造粒工程と同様にして、HMBCaの粉末の造粒を試みた。その結果、HMBCaの粉末が流動層の内壁に付着してしまい、造粒できなかった。このように、HMBCaの粉末だけでは、流動層造粒法による造粒は困難であった。
[比較例3]
原料を以下の配合の混合粉末に替える他は、実施例1の流動層造粒工程と同様にして、HMBCa含有顆粒の製造を試みた。
・HMBCaの粉末:56重量部
・デキストリンの粉末(セルデックスTB-50):44重量部
その結果、HMBCaの粉末が流動層の内壁に付着してしまい、HMBCaを殆ど含有しない、デキストリンの造粒物が得られた。このように、HMBCaの粉末とデキストリンの粉末を直接原料とした場合は、流動層造粒法による造粒は困難であった。
[比較例4]
原料のデキストリン粉末を、乳糖の粉末に替える他は、実施例1と同様にして、HMBCaの粉末の造粒を試みた。その結果、攪拌・造粒工程の段階で原料が溶出してしまい、造粒することができなかった。
<水溶性試験1>
上記実施例1~16のHMBCa含有顆粒の各3gを常温の水100mlに投入し、匙で攪拌して目視確認した。その結果、いずれの試料も10秒未満で全量が完全に溶解した。なお、各実施例のHMBCa含有顆粒の最大粒径は、いずれも1.5mm程度であった。このように、実施例1~16のHMBCa含有顆粒は、水に容易に溶かすことができることが確認された。
<水溶性試験2>
上記実施例1~16の攪拌・造粒工程で原料として使用したHMBCaの粉末3gを常温の水100mlに投入し、匙で1分間攪拌して目視確認した。その結果、HMBCaの粉末がダマとなって溶けきらずに、水面上に浮いていた。このように、原料として用いたHMBCaの粉末は、ダマができやすく、水に溶け難いものであった。
<水溶性試験3>
比較例1の粉粒体3gを常温の水100mlに投入し、匙で1分間攪拌して目視確認した。その結果、粉粒体は水に溶けきらずに沈殿が認められた。このように、HMBCaの粉末を単独で造粒しても、水に溶けやすい顆粒を製造することはできなかった。
<加速試験1>
上記実施例1~16のHMBCa含有顆粒の各3gを、水不透過性、酸素不透過性のシートからなるスティック包装容器に密封した。なお、いずれの実施例も、流動性の高い顆粒状であるため、スティック包装容器に容易に小分け包装可能であった。そして、スティック包装容器に密封した各実施例のHMBCa含有顆粒を、温度40℃、湿度75%の条件下で保存し、16週間経過後に、スティック包装容器を開封して、試料の状態を目視確認した。その結果、実施例1~5,7,9.11.13,15の試料については、褐変や溶解は確認されず、密封前からの状態変化は認められなかった。一方、実施例6,8,10,12,14,16については、飴状の溶解や褐変が認められた。ここで、実施例2,4,6,8,10,12,14,16は、流動層造粒工程後に、後末混合工程で他の材料と混合したHMBCa含有顆粒である。また、実施例1~4は、シクロデキストリンを含むデキストリン粉末を原料に用いたHMBCa含有顆粒である。この結果から、後末混合工程を行ったHMBCa含有顆粒は、不安定で、長期保存が不向きな場合があり、また、後末混合工程を行ったHMBCa含有顆粒であっても、シクロデキストリンを含むHMBCa含有顆粒は、長期保存可能であることが示唆された。
<加速試験2>
実施例1,3,5,7,9,11,13,15のHMBCa含有顆粒57重量部に対して、無水クエン酸粉末38重量部を夫々混合した8種類の試料各3gを、加速試験1と同様にスティック包装容器に密封して保存し、16週間経過後にスティック包装容器を開封して、試料の状態を目視確認した。その結果、シクロデキストリンを含む実施例1及び実施例3のHMBCa含有顆粒と無水クエン酸の混合試料は、褐変や溶解は確認されず、密封前からの状態変化は認められなかった。一方、シクロデキストリンを含まない実施例5,7,9,11,13,15のHMBCa含有顆粒と無水クエン酸の混合試料は、飴状に溶解しており、褐変も認められた。この結果から、原料にシクロデキストリンの粉末を用いていないHMBCa含有顆粒は、クエン酸と混合した状態での長期保存が不向きであり、原料にシクロデキストリンの粉末を用いたHMBCa含有顆粒は、クエン酸と混合した状態での長期保存が可能であることが示唆された。

Claims (3)

  1. HMBCa(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸カルシウム)の粉末とデキストリンの粉末とを含む原料を、結合液とともに攪拌して造粒する攪拌・造粒工程と、
    攪拌・造粒工程で得られた造粒物を、所定粒径以下の粉粒体に整粒する整粒工程と、
    前記粉粒体を含む原料を流動層造粒法によって造粒して、HMBCaを含有する顆粒を得る流動層造粒工程と
    を含むHMBCa含有顆粒の製造方法。
  2. 前記結合液は、水とエタノールを含むことを特徴とする請求項1に記載のHMBCa含有顆粒の製造方法。
  3. 前記デキストリンの粉末は、シクロデキストリンを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のHMBCa含有顆粒の製造方法。
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