JP7011217B2 - 小便器 - Google Patents

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本発明は、小便器に係り、特に、吐水された洗浄水によりボウル面を洗浄する小便器に関する。
従来から、特許文献1に記載されているように、小便器において、人体検知センサの検知開始から便鉢内面の全面を湿らせる予備洗浄が行われ、予備洗浄以後、人体検知センサが非検知となるまでの放尿動作中に便鉢内から臭気が立ち上がるのを防止するように一定流量の洗浄水が吐水され、さらに、人体検知センサが非検知となった後に洗浄水が本洗浄として高流量で吐水され、本洗浄吐水が便鉢内面を洗浄し、排水トラップ内の尿水を置換するものが知られている。
特開昭63-22931号公報
藤岡 与周、苫米地 宣裕、八戸工業大学:尿流量曲線パターン分類用特徴量抽出システムの構成,計測自動制御学会東北支部第250回研究集会,資料番号250-5 (2009.6.19)
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている小便器においては、放尿動作中に一定流量の洗浄水が人体検知センサの検知終了まで継続して吐水され、排尿終了後には高流量の洗浄水が一定時間継続して吐水される。よって、使用者の排尿が比較的長くなる場合に、人体検知センサの検知終了まで吐水が継続され、洗浄水量が増加する問題が生じる。さらに、放尿中の吐水及び非検知状態となってからの吐水の合計の洗浄水量が増加するため、小便器の1回の洗浄動作で使用される合計の洗浄水量の節水化を達成することができないという課題がある。
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や課題を解決するためになされたものであり、第1吐水モード及び第2吐水モードにおいて吐水される洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる小便器を提供することを目的としている。
上述した目的を達成するために、本発明は、吐水された洗浄水によりボウル面を洗浄する小便器であって、排尿を受ける上記ボウル面を形成し、その底部に排水口を形成するボウル部と、上記ボウル部の上記排水口と連通する排水トラップと、を備えた小便器本体と、上記ボウル面に洗浄水を吐水する吐水部と、上記小便器本体を使用する使用者の有無を検知する検知センサと、上記吐水部への給水路を開閉する弁装置と、上記吐水部による洗浄水の吐水を制御する制御部と、を備え、上記制御部は、上記検知センサが検知状態となっている間のうち検知状態が終了するまでの所定期間において上記吐水部から吐水を行う第1吐水モードと、上記検知センサの検知状態が終了した後に、上記吐水部から吐水を行う第2吐水モードと、を実行し、上記制御部は、上記第1吐水モードで吐水された水量と上記第2吐水モードで吐水された水量と合計水量が所定水量に到達したときに上記第2吐水モードの実行を終了させる第1制御モードを実行する。
このように構成された本発明においては、制御部が、上記検知センサが検知状態となっている間のうち検知状態が終了するまでの所定期間において上記吐水部から吐水を行う第1吐水モードを実行させ、さらに、上記検知センサが使用者の使用を検知しなくなった後に、上記吐水部から吐水を行う第2吐水モードと、を実行させる。このような場合において、制御部は上記第1吐水モードで吐水された水量と上記第2吐水モードで吐水された水量との合計水量が所定水量に到達したときに上記第2吐水モードの実行を終了させる第1制御モードを実行する。よって、本発明によれば、検知状態が終了するまでの時間が長くなり、第1吐水モードにおける吐水水量が多くなる場合においても、第2吐水モードで吐水される水量を抑制することができ、第1吐水モード及び第2吐水モードにおいて吐水される洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる。
本発明において、好ましくは、上記制御部は、上記検知センサが検知状態となってから所定使用時間が経過する前に、検知状態の終了により上記第1吐水モードが終了する場合、上記第2吐水モードにおいて、上記排水トラップ内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量を吐水させる。
このように構成された本発明においては、上記制御部は、上記検知センサが検知状態となってから所定使用時間が経過する前に、検知状態の終了により上記第1吐水モードが終了する場合、上記第2吐水モードにおいて、上記排水トラップ内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量を吐水させる。よって、第1吐水モードが早期に終了する場合であっても、排水トラップ内の尿を吐水された洗浄水によって確実に置換することができる。
本発明において、好ましくは、上記制御部は、上記検知センサの検知状態が終了しないことにより上記第1吐水モードが継続して実行されている状態で、上記検知センサが検知状態となってからの異常判定時間が経過した場合に、上記第1吐水モードの実行を強制終了させる。
このように構成された本発明においては、制御部は、検知センサの検知状態が終了しないことにより第1吐水モードが継続して実行されている状態で、上記検知センサが検知状態となってからの異常判定時間が経過した場合に、上記第1吐水モードの実行を強制終了させる。これにより、検知センサの異常及び使用者の標準的な使用時間を超えるような異常に長い使用態様において、第1吐水モードの実行時間の上限を設定することができ、洗浄水の無駄使いを抑制し、節水化を達成することができる。
本発明において、好ましくは、上記制御部は、検知状態が終了した後に行われる上記第2吐水モードにおいて、上記排水トラップ内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量よりも少ない吐水量を吐水させる。
このように構成された本発明においては、制御部は、第1吐水モードの実行が強制終了され、検知状態が終了された後、第2吐水モードにおいて、排水トラップ内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量よりも少ない吐水量を吐水させる。よって、第1吐水モードが異常判定時間が経過するまで実行され、第1吐水モードの実行時間が長くなる場合においても、第2吐水モードで吐水される水量を抑制することができ、第1吐水モード及び第2吐水モードにおいて吐水される洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる。
本発明において、好ましくは、上記異常判定時間は、上記第1吐水モードにおいて吐水された水量が上記第2水量まで到達する時間として設定され、上記制御部は、検知状態が終了した後に行われる上記第2吐水モードの実行をキャンセルさせる。
このように構成された本発明においては、制御部は、第1吐水モードの実行が強制終了され、検知状態が終了された後、第2吐水モードの実行をキャンセルさせる。よって、第1吐水モードにおいて吐水された水量が、第2水量まで到達し、排水トラップ内の尿を確実に置換することができる。さらに、第1吐水モードが異常判定時間が経過するまで実行され、第1吐水モードの実行時間が長くなる場合においても、第2吐水モードで吐水される水量をなくすことができ、第1吐水モード及び第2吐水モードにおいて吐水される洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる。
本発明において、好ましくは、上記検知センサは、上記小便器本体への排尿も検知するドップラー式の検知センサである。
このように構成された本発明においては、検知センサは、小便器本体への排尿も検知するドップラー式の検知センサであるため、検知センサは、使用者の有無のみならず尿流を検知することができる。従って、使用者が排尿を行うタイミングをより正確に測定することができ、使用者の排尿開始に合わせて吐水を開始させ、より効率的に節水化を達成することができる。
本発明の小便器によれば、第1吐水モード及び第2吐水モードにおいて吐水される洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる。
使用者が排尿する前の状態の小便器の排水トラップ管路の一部を拡大して示し、バイオフィルムを含む有機物汚れが形成されている環境下において、非常に短時間でも尿石が発生する新たな知見を説明する図である。 使用者が排尿した後、小便器の洗浄動作が行われるまで排水トラップ管路内に尿が満たされている状態を示し、バイオフィルムを含む有機物汚れが形成されている環境下において、非常に短時間でも尿石が発生する新たな知見を説明する図である。 小便器の本洗浄動作が行われて排水トラップ管路内の尿が新たな洗浄水で置換された状態を示し、バイオフィルムを含む有機物汚れが形成されている環境下において、非常に短時間でも尿石が発生する新たな知見を説明する図である。 使用者の排尿後、図1Aに示す排水トラップ管路が比較的高い尿濃度の洗浄水でほぼ満たされている状態を示し、バイオフィルムを含む有機物汚れが形成されている環境下において、同程度の期間において、排水トラップ管路及び横引配管内の洗浄水の尿濃度の違いにより、尿石の発生量に差が生じるという新しい知見を説明する図である。 図2Aに示す排水トラップ管路について本洗浄動作が行われた後の状態を示し、バイオフィルムを含む有機物汚れが形成されている環境下において、同程度の期間において、排水トラップ管路及び横引配管内の洗浄水の尿濃度の違いにより、尿石の発生量に差が生じるという新しい知見を説明する図である。 使用者の排尿後、図1Aに示す排水トラップ管路が比較的低い尿濃度の洗浄水でほぼ満たされている状態を示し、バイオフィルムを含む有機物汚れが形成されている環境下において、同程度の期間において、排水トラップ管路及び横引配管内の洗浄水の尿濃度の違いにより、尿石の発生量に差が生じるという新しい知見を説明する図である。 図2Cに示す排水トラップ管路について本洗浄動作が行われた後の状態を示し、バイオフィルムを含む有機物汚れが形成されている環境下において、同程度の期間において、排水トラップ管路及び横引配管内の洗浄水の尿濃度の違いにより、尿石の発生量に差が生じるという新しい知見を説明する図である。 使用回数に対する有機物汚れの厚みを使用者の排尿時における排水トラップ管路内の洗浄水の尿濃度ごとに示す図である。 図1Aに示す排水トラップ管路14におけるバイオフィルムを含む有機物汚れの発生のメカニズムを示す図である。 図4Aに示す排水トラップ管路が比較的高い尿濃度の洗浄水でほぼ満たされている状態を示し、排水トラップ管路及び横引配管内の洗浄水の尿濃度の違いにより、尿石の発生のメカニズムが異なり、有機物汚れの厚みの増加に差が生じるという新しい知見を説明する図である。 図4Bに示すように排水トラップ管路内に高pH環境が生じる場合においては、リン酸マグネシウムアンモニウムを析出させる反応が支配的となることを説明する図である。 図4Cに示すような反応によりリン酸マグネシウムアンモニウムが粒子径の比較的大きな結晶性の尿石を生じさせた状態を説明する図である。 図4Aに示す排水トラップ管路が比較的低い尿濃度の洗浄水でほぼ満たされている状態を示し、排水トラップ管路及び横引配管内の洗浄水の尿濃度の違いにより、尿石の発生のメカニズムが異なり、有機物汚れの厚みの増加に差が生じるという新しい知見を説明する図である。 図4Eに示すように排水トラップ管路内のpH上昇が比較的低く抑制されている環境においては、リン酸カルシウムを析出させる反応が支配的となることを説明する図である。 図4Fに示すような反応によりリン酸カルシウムが粒子径の比較的小さな非結晶性の尿石を生じさせた状態を説明する図である。 本発明の一実施形態による小便器の斜視図である。 本発明の一実施形態による小便器の正面図である。 図6のVII-VII線に沿って見た断面図である。 本発明の一実施形態による小便器の平面図である。 本発明の一実施形態による小便器の自動洗浄ユニットの構成を示す図である。 本発明の一実施形態による小便器のスプレッダの分解斜視図である。 本発明の一実施形態による小便器のスプレッダの側面断面図である。 本発明の一実施形態による小便器において、使用者がこの小便器を使用する使用回毎のコントローラの制御動作を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における小便器における、所定使用時間Tが経過した時刻thで検知センサ44が非検知となる標準的なパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。 本発明の一実施形態における小便器における、所定使用時間Tが経過した時刻thよりも後の時点で検知センサ44が非検知となる検知時間の長いパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。 本発明の一実施形態における小便器における、所定使用時間Tが経過した時刻thよりも前の時点で検知センサ44が非検知となる検知時間の短いパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。 本発明の一実施形態における小便器における、検知センサの検知状態が終了しないまま異常判定時間が経過するような検知時間の異常に長いパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。 本発明の一実施形態の第1変形例における小便器における、検知センサの検知状態が終了しないまま異常判定時間が経過するような検知時間の異常に長いパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。 本発明の一実施形態の第2変形例における小便器における、検知センサの検知状態が終了しないまま異常判定時間が経過するような検知時間の異常に長いパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。
本発明者等は、鋭意研究することにより、バイオフィルムを含む有機物汚れが形成されている環境下において、非常に短時間でも尿石が発生するという以下の新しい知見を見出した。
従来から、以下のように尿石等の無機物汚れに着目した尿石の発生のメカニズムが知られている。このメカニズムにおいては、使用者の小便器の使用後に排尿が排水トラップ管路及び横引配管に滞留し、この滞留した尿に一般細菌が付着する。この一般細菌の代謝過程において、ウレアーゼと呼ばれる酵素が排出される。このウレアーゼ酵素によって尿中の尿素が分解され、アンモニアが発生する。アンモニアが水溶することで尿を含む液体中のpHが上昇し、アルカリ性となる。pHが8.0~8.5を超えるような比較的高い環境になると、尿中に含まれるCa及びMgの炭酸塩、リン酸塩などの溶解度が低下するため尿液中にこれらの塩が析出し、尿石として排水トラップ管路及び横引配管に付着する。このような無機物汚れの尿石の発生は、2時間以上の比較的長時間にわたって比較的緩やかに進行すると考えられてきた。
これに対し、本発明者等は、排水トラップ管路及び横引配管内に発生する汚れのうち無機物汚れと異なる有機物汚れに新たに着目し、バイオフィルムを含む有機物汚れが形成されている環境下において、数秒程度の非常に短時間でも尿石が発生するという知見を得た。
図1A乃至Cに示すように、短時間での尿石Uの発生のメカニズムは、バイオフィルムを含む有機物汚れVに着目したものであり、以下のように説明される。
有機物汚れVは、一般細菌等の細菌Xが増殖する過程で放出するEPS(細胞外多糖類:Extracellular Poly Succharide)を中心としたバイオフィルム、尿中に含まれるタンパク質などが複合して形成される。このような有機物汚れVは配管内のぬめりとして知られ、非常に粘性の高い粘液を形成する。このような有機物汚れVのバイオフィルムは、排水トラップ管路14及び横引配管3等に付着した細菌Xが細胞外に多糖類のポリマーを生成し、これに包まれることで細胞の脱離が抑えられるようになり、発達すると考えられている。
図1Aにおいては、使用者が小便器に排尿する前の状態の小便器の排水トラップ管路14の一部を拡大して示している。図1Aに示す排水トラップ管路14は、使用者が小便器1を多数回にわたり使用し続けた後の状態となっている。排水トラップ管路14は、前回の本洗浄吐水モードにより吐水された洗浄水を貯留している。以下、図1A乃至図4Gにおいては排水トラップ管路14内の状態及び反応を説明しているが、横引配管3等の排水トラップ管路14の下流側の設備配管内の状態及び反応についてもほぼ同様であり、横引配管3等にも適用される。
使用者が小便器1を使用した後、排水トラップ管路14に有機物汚れVのバイオフィルムが形成されている場合、細菌Xがこのバイオフィルムを発生且つ発達させている。バイオフィルムは、スポンジ状の内部構造体を形成しており、内部に細菌Xやアンモニア(又はアンモニウムイオンNH4 +)を保持しやすくなっている。細菌Xはウレアーゼ酵素を排出し、このウレアーゼ酵素が尿中の尿素を分解し、アンモニア(又はアンモニウムイオンNH4 +)が発生されている。よって、バイオフィルム近傍領域にはアンモニア(又はアンモニウムイオンNH4 +)が多量に存在している状態となっている。有機物汚れVの近傍の液中にアンモニアが水溶してアンモニウムイオンNH4 +を生じさせることで有機物汚れVの近傍の領域のpHが比較的高い値まで上昇する。バイオフィルムを含む有機物汚れVの近傍の高pH環境領域YのpHは、8以上、好ましくは9以上、好ましくは8~10の範囲の値となる。
図1Bにおいては、図1Aに示すような状態の排水トラップ管路14を有する小便器において、使用者が排尿し、小便器の洗浄動作が行われるまでの比較的短時間の間において、排水トラップ管路14内が尿でほぼ満たされている状態を示している。この尿が、有機物汚れVの近傍の高pH環境領域Yに触れる又は接近することにより、尿中に含まれるCa及びMgの炭酸塩、リン酸塩などが析出し、数秒程度の非常に短時間で尿石Uが発生するというメカニズムが見いだされた。
図1Cにおいては、図1Bに示すような排水トラップ管路14内が尿でほぼ満たされている状態から、小便器の洗浄動作が行われた後、排水トラップ管路14内の尿が新たな洗浄水で置換された状態を示している。排水トラップ管路14内の尿は新たな洗浄水で置換されるものの、析出した尿石Uは有機物汚れVに吸着された状態のままとなる。バイオフィルムは、スポンジ状の内部構造体を形成していることから、尿石Uも保持されやすい。このように尿石Uが付着していると、この尿石U自身にさらに細菌Xが付着しやすくなり、尿石Uの発生がより促進されることも見いだされた。このようにして、毎回の短時間の洗浄の積み重ねによって、有機物汚れV上に短時間で尿石が析出し、尿石Uが積層されることが見いだされた。
本発明者等は、このような新たな知見に基づいて、尿を含む洗浄水がバイオフィルムと接することにより比較的短時間で尿石を発生させるメカニズムの作動を抑制し、排水トラップ管路14及び横引配管3における尿石の発生を抑制する技術を発明したものである。
さらに、本発明者等は、鋭意研究することにより、バイオフィルムを含む有機物汚れが形成されている環境下において、同程度の期間において、排水トラップ管路14及び横引配管内の洗浄水の尿濃度の違いにより、尿石が発生する量に差がでるという以下の新しい知見を見出した。
図2Aにおいては、図1Aに示すような排水トラップ管路14を有する小便器において、使用者が排尿し、小便器の洗浄動作が行われるまでの比較的短時間の間において、排水トラップ管路14内が比較的高い尿濃度の洗浄水でほぼ満たされている状態を示している。この比較的高い尿濃度の洗浄水が、有機物汚れVの近傍の高pH環境領域Yに触れる又は接近することにより、数秒程度の非常に短時間で尿石Uが比較的多く発生する。
図2Bに示すように、比較的多く発生した尿石Uは、小便器の洗浄動作が行われて、排水トラップ管路14内の洗浄水が新しい洗浄水に置換された後も、有機物汚れVに吸着された状態のままとなる。
図3に示すように、使用者の排尿時に、比較的高い尿濃度の洗浄水が、排水トラップ管路14内に流入することが、小便器の使用の度に繰り返されることにより、このように発生した尿石Uが排水トラップ管路14上に多く蓄積し、有機物汚れVの厚みを比較的大きくさせる。
一方、図2Cにおいては、図1Aに示すような排水トラップ管路14を有する小便器において、使用者が排尿し、小便器の洗浄動作が行われるまでの比較的短時間の間において、排水トラップ管路14内が比較的低い尿濃度の洗浄水でほぼ満たされている状態を示している。この比較的低い尿濃度の洗浄水が、有機物汚れVの近傍の高pH環境領域Yに触れる又は接近することにより、数秒程度の非常に短時間で尿石Uが比較的少なく発生する。このように、使用者が排尿した後、小便器の洗浄動作が行われるまでの毎回の同程度の時間において、尿石Uの発生量は排水トラップ管路14内の洗浄水の尿濃度に依存する知見が見出された。よって、排水トラップ管路14内の洗浄水の尿濃度を低減できれば尿石Uの析出量を抑制することができる知見も見出された。
図2Dに示すように、比較的少なく発生した尿石Uも、小便器の洗浄動作が行われた後、有機物汚れVに吸着された状態のままとなる。
図3に示すように、使用者の排尿時に、比較的低い尿濃度の洗浄水が、排水トラップ管路14内に流入することが、小便器の使用の度に繰り返される場合には、比較的少ない尿石Uが排水トラップ管路14上に蓄積するので、有機物汚れVの厚みを抑制できる。毎回の使用者の排尿時における排水トラップ管路14内の洗浄水の尿濃度の差が、使用回数が多くなるごとに、より大きな有機物汚れVの厚みの差となる知見も見出された。
さらに、本発明者等は、鋭意研究することにより、排水トラップ管路14及び横引配管内の洗浄水の尿濃度の違いにより、尿石の発生のメカニズムが異なり、有機物汚れVの厚みの増加に差がでるという以下の知見を見出した。
図4Aにおいては、上述の図1Aに示すような、排水トラップ管路14及び横引配管3におけるバイオフィルムを含む有機物汚れVの発生のメカニズムを再び概略的に示している。図4Aにおける(a)工程に示すように、使用者の排尿が排水トラップ管路14に付着し、細菌Xが尿に付着して排水トラップ管路14上で増殖する。時間の経過及び/又は小便器1の使用回数の増加に伴い、図4Aにおける(a)工程から(b)工程に進む。
図4Aにおける(b)工程に示すように、排水トラップ管路14には有機物汚れVのバイオフィルムが形成される。次に、(b)工程から(c)工程に進む。図4Aにおける(c)工程に示すように、バイオフィルムは、内部に細菌Xやアンモニア(又はアンモニウムイオンNH4 +)を保持しやすくなっている。バイオフィルム内部の細菌Xはウレアーゼ酵素Zを排出し、このウレアーゼ酵素Zが尿中の尿素を分解し、アンモニア(又はアンモニウムイオンNH4 +)が発生することとなる。このように、使用者が小便器に排尿する前の状態において、小便器の排水トラップ管路14の一部が、図4A(c)に示すような有機物汚れVが形成されている状態となっている。
図4Bに示すように、図4A(c)に示すような有機物汚れVが形成された排水トラップ管路14に、比較的高い尿濃度の排尿及び/又は洗浄水が流入するとき、尿素が比較的多いため、ウレアーゼ酵素Zが分解する尿中の尿素が比較的多く、アンモニアが比較的多く発生する。これらのアンモニアが水溶することでアンモニウムイオンNH4 +を生じさせ、有機物汚れVの近傍の領域のpHが比較的高い値まで上昇する。
図4Cに示すように、図4Bに示すような高pH環境下においては、尿を含む液体中の無機物、例えばCa2+、Mg2+、NH4 +、PO4 3-等がアンモニアと反応して、リン酸マグネシウムアンモニウムを析出させる反応が支配的となる。リン酸マグネシウムアンモニウムはアルカリ性環境下で尿液から生成されやすい尿石成分となる。
図4Dに示すように、リン酸マグネシウムアンモニウムは粒子径の比較的大きな結晶性の尿石を生じさせる。図4Dは走査型電子顕微鏡(SEM)により得られた画像であり、表示倍率は2000倍である。この画像は、後述するように、本発明の一実施形態における小便器1の排水トラップ管路14及び横引配管3内の有機物汚れの発生を再現するような実験により得られた有機物汚れを撮影したものである。バイオフィルム中にこのような比較的粒子径の大きな尿石が混在することにより、尿石の厚み及び有機物汚れVの厚みが増大しやすくなる。このようなリン酸マグネシウムアンモニウムの尿石を主に含む有機物汚れVの厚みは、後述するリン酸カルシウムの尿石を含む有機物汚れVの厚みよりも増大されやすい。排水トラップ管路14内の洗浄水の尿濃度が高くなるほど、リン酸マグネシウムアンモニウムの析出割合が増大し、有機物汚れVの厚みが増大する。
一方、図4Eに示すように、図4A(c)に示すような有機物汚れVが形成された排水トラップ管路14に、比較的低い尿濃度の排尿及び/又は洗浄水が流入するときを説明する。このとき、尿素が比較的少ないため、ウレアーゼ酵素Zが分解する尿中の尿素が比較的少なく、アンモニアの発生が比較的少ない。よって、アンモニアが水溶して生じるアンモニウムイオンNH4 +によるpHの上昇は比較的低く抑制される。
図4Fに示すように、図4Eに示すようなpH上昇が比較的低く抑制されている環境下においては、尿を含む液体中の無機物、例えばCa2+、Mg2+、PO4 3-等が同士が反応して、リン酸カルシウムを析出させる反応が支配的となる。リン酸カルシウムは上述したリン酸マグネシウムアンモニウムが尿液から生成されやすい環境下よりも中性に近い環境下においても尿液から生成されやすい尿石成分となる。
図4Gに示すように、リン酸カルシウムは粒子径の比較的小さな非結晶性の尿石を生じさせる。図4Gは走査型電子顕微鏡(SEM)により得られた画像であり、表示倍率は2003倍である。この画像は、後述するように、本発明の一実施形態における小便器1の排水トラップ管路14及び横引配管3内の有機物汚れの発生を再現するような実験により得られた有機物汚れを撮影したものである。リン酸カルシウムの尿石は、リン酸マグネシウムアンモニウムの尿石よりも小さい。バイオフィルム中にこのような比較的粒子径の小さな尿石が混在することにより、尿石の厚み及び有機物汚れVの厚みは少しずつ増加する。粒子径の小さな尿石が主成分となる場合には、厚みの増加ペースは比較的遅くなり、厚みが増大されにくくなる。排水トラップ管路14に流入する洗浄水中の尿濃度が低くなるほど、リン酸カルシウムの析出割合が増大し、有機物汚れVの厚みは増大されにくくなる。
本発明者等は、このような新たな知見に基づいて、排水トラップ管路14に流入する洗浄水の尿濃度の増加を抑制し、排水トラップ管路14及び横引配管3に付着する尿石の厚みを抑制する技術を発明したものである。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による小便器の構造について説明する。
図5~図8に示すように、小便器1は、吐水された洗浄水によりボウル面を洗浄する小便器である。小便器1は、陶器製の小便器本体である便器本体2と、この便器本体2を洗浄するための洗浄水を自動的に便器本体2に吐水する吐水装置である自動洗浄ユニット4を備えている。
なお、本実施形態の小便器1については、便器本体2の最下部が床面Kから所定距離上方に位置し且つ便器本体2の背面がその背後の壁面Cに沿って取付けられる壁掛け式の小便器について説明するが、便器本体2が床面K上に直接配置される床置き式の小便器であってもよい。
以下、本発明の実施形態において、床面K側を下側とし、小便器1を挟んで床面Kと逆側と上側とし、壁面Cの表側と小便器1を挟んで向かい合う側を前側とし、小便器1の壁面C側を奥側とし、手前側から見て、左側を左側、右側を右側とする。
便器本体2の正面側には、排尿を受けるボウル部6が形成されており、このボウル部6よりも背面側の便器本体2の上方領域には、自動洗浄ユニット4の一部を収納するための収納室8が形成されている。また、便器本体2のボウル部6の底部には、排水口10が形成されている。排水口10には、目皿12が配置されている。便器本体2は、さらに、排水口10の下流側に、その内部に封水を形成する排水トラップである排水トラップ管路14を備えている。排水トラップ管路14は排水口10と連通している。この排水トラップ管路14の下流側には、壁面Cを貫通する流路を形成する排水ソケット15等を介して、横引配管3が接続されている。
排水トラップ管路14は、排水トラップ管路14内に封水を形成するように貯留される洗浄水の容積が、200ml以下となるような節水型トラップとして形成されている。このような節水型トラップの排水トラップ管路14は、従来の700ml程度の容積の排水トラップ管路に比べて少ない洗浄水の水量により排水トラップ管路内の洗浄水を置換することができる。節水型の排水トラップ管路14の容積は、好ましくは、40ml~200mlの範囲内であり、より好ましくは、120ml~200mlの範囲内であり、より好ましくは120mlである。このような節水型の排水トラップ管路は、使用者の排尿の尿量よりも少ない容積を有していることから、排水トラップ管路14内の洗浄水の尿濃度が高くなりやすく、この尿を希釈することが排水トラップ管路14及び横引配管3内の尿石付着の抑制に効果的となる。
なお、排水トラップ管路14は、貯留される洗浄水の容積が、200mlより大きくなるような排水トラップ、例えば従来の700ml程度の容積の排水トラップであってもよい。従来型の排水トラップ管路においても、尿を希釈して排水トラップ管路14内の洗浄水の尿濃度の増加を抑制することにより、排水トラップ管路14及び横引配管3内の尿石付着が抑制される。
排水トラップ管路14は、下向きに延びる下降管路14aと、横に延びる折返し管路14bと、上向きに延びる上昇管路14cとを備えている。下降管路14aと上昇管路14cとが共通壁14dにより隔てられている。共通壁14dの前後で排水トラップ管路が折り返すため、排水トラップ管路14が小型化され、排水トラップ管路14の容積も低減される。図7に示す中央断面において、下降管路14aの下端部の前後方向の幅14eと、上昇管路14cの下端部の前後方向の幅14fとがほぼ同じ幅に形成され、排水トラップ管路14が前後方向に小型化されている。また、図7に示す中央断面において、上昇管路14cの下端部の幅14fから上端部の幅14gまでの前後方向の幅はほぼ一定に形成され、排水トラップ管路14が前後方向に小型化されている。
図9に示すように、自動洗浄ユニット4は、水道等の給水源(図示せず)から洗浄水が供給される主給水路16aを形成する主給水管16と、この主給水管16を止水する止水栓18と、主給水管16の下流側端部に接続されて且つ主給水管16を第1の給水管20と第2の給水管22に分岐する分岐部である管継手24とを備えている。
また、管継手24によって主給水管16から分岐された一方の第1の給水管20には、その内部の給水路(第1の給水路20a)内を通過する洗浄水の流量(瞬間流量)について第1の所定の流量Q1[リットル/分]に調整する第1の流量弁26が設けられている。第1の流量弁26は、第1の給水路20a内を通過する洗浄水の流量を変更できるように形成されていてもよい。
さらに、この第1の流量弁26の下流側には、第1の給水路20aを開閉する弁装置である第1の開閉弁28が設けられている。この第1の開閉弁28の下流側の第1の給水路20aの下流側端部には、ボウル部6内に洗浄水を吐水する吐水装置の一部であるスプレッダ30(吐水部)が設けられており、このスプレッダ30の第1の吐水部32が第1の給水路20aの下流側端部と接続されている。なお、本実施形態では、第1の所定の流量Q1[リットル/分]は、好ましくは8[リットル/分]~17[リットル/分]の範囲、より好ましくは8[リットル/分]~12[リットル/分]の範囲、さらにより好ましくは9[リットル/分]に設定される。
一方、管継手24によって主給水管16から分岐された他方の第2の給水管22には、その内部の給水路(第2の給水路22a)内を通過する洗浄水の流量(瞬間流量)について、第1の所定の流量Q1[リットル/分]よりも低い第2の所定の流量Q2[リットル/分]に調整する第2の流量弁34が設けられている。第2の流量弁34は、第2の給水路22a内を通過する洗浄水の流量を変更できるように形成されていてもよい。
この第2の流量弁34の下流側には、第2の給水路22aを開閉する弁装置である第2の開閉弁36が設けられている。この第2の開閉弁36の下流側の第2の給水路22aの下流側端部には、スプレッダ30の第2の吐水部38が接続されている。なお、本実施形態では、第2の所定の流量Q2[リットル/分]は、好ましくは0.1[リットル/分]~8.0[リットル/分]の範囲に設定され、より好ましくは0.1[リットル/分]~0.6[リットル/分]の範囲に設定される。なお、第1の所定の流量Q1[リットル/分]と第2の所定の流量Q2[リットル/分]との流量差は、好ましくは1.0[リットル/分]~8.9[リットル/分]の範囲に設定される。なお、スプレッダ30への給水路を開閉する弁装置は、第1の流量弁26又は第2の流量弁34を利用して構成されていてもよい。
つぎに、第2の開閉弁36の下流側には、逆止弁40を介して、電解除菌水ユニット43が設けられており、この電解除菌水ユニット43は、電解除菌水を生成する電解槽(図示せず)を備えており、第2の吐水部38に電解除菌水を供給する電解除菌水供給部として機能するようになっている。
また、自動洗浄ユニット4は、スプレッダ30に設けられて便器本体2の正面側(手前側)に立って便器本体2を使用する使用者の有無を検知する人体検知センサとしての検知センサ44と、この検知センサ44から送信される検知信号を受信すると共に所定の制御プログラム等に基づいて第1の開閉弁28及び第2の開閉弁36のそれぞれの動作を制御する制御部であるコントローラ46を備えている。
検知センサ44は、赤外線式の人体検知センサである。検知センサ44は、便器本体2の前に立って便器本体2を使用する使用者の有無を検知する。なお、検知センサ44は、マイクロ波を使用したドップラー式のセンサであってもよい。ドップラー式の検知センサ44は、使用者の有無のみならず使用者が便器本体2へ排尿した尿流を検知することができる。ドップラー式の検知センサ44は、使用者の有無及び尿流を検知可能な他の位置に設けられていてもよい。検知センサ44が、使用者の有無のみならず尿流を検知することができるため、使用者のボウル面48への排尿の有無、及び排尿の開始及び終了のタイミングを、より正確に測定することができ、使用者の排尿開始に合わせて吐水を開始させ、より効率的に節水化を達成することができる。
コントローラ46は、CPU及びメモリ等を内蔵し、所定の制御プログラム等に基づいて他の機器の制御を行うことができる。コントローラ46は、第1の開閉弁28の開閉動作を制御することにより、第1の吐水部32からの本洗浄吐水モードの吐水の開始及び終了を制御する。コントローラ46は、第2の開閉弁36の開閉動作を制御することにより、第2の吐水部38からの尿希釈吐水モード又は除菌水の吐水の開始及び終了を制御する。
コントローラ46は、検知センサ44が検知状態となっている間のうち検知状態が終了するまでの所定期間において第2の吐水部38から吐水を行う第1吐水モードである尿希釈吐水モードと、検知センサ44の検知状態が終了した後に、第1の吐水部32から吐水を行う第2吐水モードである本洗浄吐水モードと、のそれぞれを実行させる制御プログラムを備えている。
コントローラ46は、さらに、尿希釈吐水モードで吐水された水量と本洗浄吐水モードで吐水された水量との合計水量が所定水量に到達したときに本洗浄吐水モードの実行を終了させる第1制御モードを実行させる制御プログラムを備えている。
コントローラ46は、さらに、検知センサ44が検知状態となってから所定使用時間Tが経過する前に、検知状態の終了により尿希釈吐水モードが終了する場合、本洗浄吐水モードにおいて、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量Wを吐水させる第2制御モードを実行させる制御プログラムを備えている。
コントローラ46は、さらに、検知センサ44の検知状態が終了しないことにより尿希釈吐水モードが継続して実行されている状態で、検知センサ44が検知状態となってからの異常判定時間が経過した場合に、尿希釈吐水モードの実行を強制終了させる制御プログラムを備えている。
コントローラ46は、さらに、検知状態が終了した後に行われる本洗浄吐水モードにおいて、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量よりも少ない吐水量を吐水させる第3制御モードを実行させる制御プログラムを備えている。
なお、本実施形態では、自動洗浄ユニット4の第1の給水路20a及び第2の給水路22aを別々に形成し、第1の吐水口60と第2の吐水口76とを別々に形成しているが、変形例として、1つの共通の給水路により給水し、1つの共通の吐水口により吐水するように形成してもよい。例えば、自動洗浄ユニット4は、主給水管16と、主給水管16の下流側端部に接続される第1の給水管20と、第1の給水管20内を通過する洗浄水の流量を変更できるように形成された第1の流量弁26と、この第1の流量弁26の下流側の第1の給水路20aを開閉する第1の開閉弁28とを備えている。第1の給水路20aの下流側端部に第1の吐水部32の第1の吐水口60が開口されている。自動洗浄ユニット4は、第2の給水路22aを省略しており、第1の給水路20aを介して尿希釈吐水モードの吐水を行う。さらに、第2の吐水口76は省略され、尿希釈吐水モードにおける吐水流量Q2[リットル/分]の吐水を第1の吐水口60から吐水する。このように、第1の吐水口60から尿希釈吐水モードの吐水を行ってもよい。
つぎに、図6~図8を参照して、本実施形態の小便器の便器本体におけるボウル部6の詳細について説明する。
ボウル部6の表面には排尿を受けるボウル面48が形成され、ボウル面48は、側面視で概ねJ字形の形状を形成している。ボウル面48は、便器本体2の収納室8の前面7まで延びるように形成されている。
ボウル面48は、その上部から下部まで、前面が使用者に対向するように開いた円弧形状の正面部48aを有している。ボウル面48は、スプレッダ30が設けられている上方領域において、従来のようなボウル面から前方に壁状に突出する側面部が設けられておらず、正面部48aのみから形成されている。このような正面部48aは自身の曲面の接線の垂線が便器本体2の前方に立つ使用者の立ち位置に向かうような前向きの曲面を形成している。即ち、水平断面において、正面部48aはその全ての位置にて水平方向に延びる接線に対する水平方向に延びる垂線が、ボウル面48の左側端部48bと右側端部48cとを結び水平方向に延びる線分と交差する。
ボウル面48の上部領域の正面部48aは、水平断面において、ボウル面48の左側端部48bから右側端部48cまでほぼ単一の曲率半径の円弧(曲率半径が途中で概ね変化しないような1つの円弧であり、シングルRと称される円弧)に沿って形成される。上部領域より下方の下部領域のボウル面48は、2種類の曲率半径を有する円弧の組み合わせ、又は円弧と直線との組み合わせによる複合的な曲面形状を形成している。ボウル面48の正面部48aは、ボウル面48の上端48dから下方に向けて後方に向かって傾斜して形成されている。
ボウル部6のボウル面48は、その水平断面の曲率半径が下方ほど小さくなるように形成されている。ボウル面48の上端48dから下方に向かうにつれて、水平断面の円弧の曲率半径が徐々に減少するように形成され、下方に向かうにつれて徐々にボウル面48の左右方向の幅(ボウル面48の正面視で投影される幅)が小さくなるように形成されている。なお、曲率半径の上限はほぼ無限大でもよく、すなわちボウル面48の上端48dの水平断面が直線状に形成されていてもよい。
ボウル面48は、ボウル面48の左右両側から前方側まで下降しながら延びる棚42を備えている。
つぎに、図6、図9~図11を参照して、本実施形態の小便器の自動洗浄ユニットにおけるスプレッダの詳細について説明する。
まず、図6に示すように、スプレッダ30は、ボウル面48の上方領域における左右方向の中央部に設けられており、スプレッダ30及び検知センサ44の前方側には外装カバー50が取り付けられている。なお、図11に示すスプレッダ30においては、外装カバー50を取り外した状態を示すと共に、スプレッダ30に設けられている検知センサ44等の関連部品については省略して示している。
図6及び図11に示すように、スプレッダ30は、ボウル面48に固定して取り付けられるスプレッダ本体部52と、このスプレッダ本体部52の取付穴52aに挿入して取り付けられるノズル部材54を備えている。
図11に示すように、スプレッダ本体部52の内部には、第1の給水管20の第1の給水路20a及び第2の給水管22の第2の給水路22aのそれぞれと連通する第1の通水路56及び第2の通水路58がそれぞれ形成されている。
第1の通水路56の前方側の下流側端部には、第1の吐水部32の一部である第1の吐水口60が形成されている。スプレッダ本体部52の第1の通水路56は、前後方向に延びるように形成されている上流側通水路56aと、この上流側通水路56aの下流側の前端部から下方に向かって流路が拡大するように、正面視で概ね扇形形状に形成されている下流側通水路56bを備えている。これらにより、第1の給水路20aから上流側通水路56a内に供給された洗浄水は、下流側通水路56bを通過し、第1の吐水口60からボウル面48上で左右方向に広がるように第1の所定の流量Q1[リットル/分]の洗浄水B1として吐水されるようになっている。
つぎに、図6及び図11に示すように、ノズル部材54は、スプレッダ本体部52の取付穴52aに取り付けられる取付部62を備えている。また、ノズル部材54は、取付部62の前端部に一体に設けられたノズル部64を第2の吐水部38の一部として備えている。ノズル部64は、スプレッダ本体部52の側方側から下方に向けて形成される。よって、ノズル部64は、ボウル面48の左右方向中心線Dに対して偏心した位置に配置される。よって、尿希釈吐水モードにより吐水される水流は、ボウル面48の左右方向中心線Dに対して偏心した位置から吐水される。
ノズル部材54の取付部62の内部には、スプレッダ本体部52の第2の通水路58と連通する通水路68が形成されている。ノズル部材54のノズル部64には、通水路68から延びる通水路72が形成され、さらに、ノズル部64の先端部には、第2の吐水部38として単一の円形断面形状の第2の吐水口76が形成されている。第2の給水管22の第2の給水路22aからノズル部材54の通水路68に供給された洗浄水は、第2の吐水口76から第1の所定の流量Q1[リットル/分]よりも低い第2の所定の流量Q2[リットル/分]の洗浄水B2として吐水されるようになっている。また、本洗浄吐水モードにおける第1の吐水口60からの吐水の流量Q1[リットル/分]は、尿希釈吐水モードにおける第2の吐水口76からの吐水の流量Q2[リットル/分]より大きくされている。さらに、スプレッダ30の第1の吐水口60から尿希釈吐水モードの吐水を行う場合には、第1の吐水口60を、第2の吐水口76に代えて使用することができる。
つぎに、図12~図14を参照して、本発明の一実施形態による小便器の動作(作用)について説明する。
先ず、図12及び図13を参照して、後述する所定使用時間Tが経過した時刻thで検知センサ44が非検知となる標準的なパターンの小便器の動作(作用)について説明する。
図12は、本発明の一実施形態による小便器において、使用者がこの小便器を使用する使用回毎のコントローラの制御動作を示すフローチャートであり、図13は、本発明の一実施形態における小便器における、所定使用時間Tが経過した時刻thで検知センサ44が非検知となる標準的なパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。図12において、Sは各ステップを示している。
先ず、図12に示すように、S0において、使用者が小便器1の便器本体2のボウル部6の前側に立つと、検知センサ44が使用者の使用を検知している検知状態となり(時刻t0)、その検知信号がコントローラ46に送信され、コントローラ46が使用者の存在を認識し、S1に進む。この時点では第1の開閉弁28は閉弁された状態であり、第2の開閉弁36も閉弁された状態となっている。
S1において、コントローラ46は、時刻t0から所定の待機時間が経過したか否かを判定する。コントローラ46は、時刻t0からすぐに尿希釈吐水モードを開始せず、検知開始から使用者の排尿が開始されるまでの待機時間にわたって待機する。これにより、使用者の排尿が始まる前における尿の希釈に貢献しにくい洗浄水の吐水が抑制され、尿を希釈する洗浄水が節約できる。
排尿を開始する前の時刻t0から時刻t1までの間、使用者は、ボウル部6の前に立った状態で着衣を脱いで排尿する準備を整える。使用者の排尿が開始される時刻t1は、時刻t0から平均的な大人の使用者が着衣を脱いで排尿する準備を整えると想定される平均的な服脱ぎ時間を経過した時刻として設定される。服脱ぎ時間は約8秒間と設定される。時刻t0から時刻t1までの待機時間が服脱ぎ時間に対応している。時刻t0から時刻t1までにおいては、使用者の排尿が開始されていないので排水トラップ管路14内の尿濃度はほぼ0となっている。
S1において、コントローラ46は、時刻t0から待機時間を経過していない場合には、再びS1に戻って判定を行う。これにより、使用者の排尿が始まる前における、尿の希釈に貢献しにくい洗浄水の吐水を抑制し、尿を希釈する洗浄水を節約することができる。コントローラ46は、時刻t0から待機時間を経過した場合(時刻t1となった場合)には、使用者の排尿の開始と同期できるタイミングが到来したと判断して、S2に進む。
S2において、コントローラ46は、時刻t1から、尿希釈吐水モードの実行を開始する。コントローラ46は、第2の開閉弁36を開弁させ、検知センサ44が検知状態となっている期間の一部の検知状態が終了するまでの所定期間において第2の吐水口76から吐水を行う尿希釈吐水モードを実行させる。この所定期間は、時刻t1からt3までの期間である。
図9及び図11に示すように、コントローラ46は、尿希釈吐水モードの開始により、第2の開閉弁36を開弁させ、主給水管16の主給水路16aの洗浄水を、第2の給水管22の第2の給水路22aに供給する。コントローラ46は、第1の開閉弁28を閉弁した状態のままとしている。第2の給水路22aに流れた洗浄水B2は、第2の流量弁34を通過して、第2の通水路58に流入する。そして、洗浄水B2は、スプレッダ30のノズル部材54の内部の通水路68を通過した後、第2の吐水口76から吐水される。
コントローラ46は、尿希釈吐水モードにおいては第2の開閉弁36を開弁させ第2の吐水口76から吐水を継続させている。第2の吐水口76から吐水される吐水流量[リットル/分]は一定であるので、コントローラ46は、自身の有するプログラムにより、吐水流量[リットル/分]に吐水時間[分]を乗ずることにより吐水された水量[リットル]を算定できる。
時刻t1から、使用者の排尿が開始される。コントローラ46は、時刻t1から、使用者の排尿が開始されると想定し且つ判断する。図13においては、標準的な排尿タイミングモデルによる標準的な排尿タイミングを、検知センサの使用者の検知状態、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態と比較して示している。標準的な排尿タイミングモデルは、標準的な大人の使用者が排尿しようとする場合に、統計的に想定(仮定)される、使用者の検知開始から排尿開始及び排尿終了までの時間経過を示している。標準的な排尿タイミングモデルは、統計的及び実験的に得られたデータに基づき予め定められている。標準的な排尿タイミングモデルは、想定開始時間と、想定終了時間Rとを設定する。想定開始時間は、検知センサ44が検知状態となってから使用者の排尿が開始すると想定される時間であり、時刻t0から時刻t1までの時間となる。想定終了時間Rは、検知センサ44が検知状態となってから使用者の排尿が終了すると想定される時間であり、時刻t0から時刻t2までの時間となる。想定終了時間Rは、例えば30秒である。標準的な排尿タイミングモデルは、例えば非特許文献1の図5(a)に示される健康な人の典型的な尿流曲線パターンを本技術の動作タイミングに当てはめることにより、想定開始時間と、想定終了時間とを設定してもよい。
時刻t1から時刻t2までにおいては、使用者の排尿が行われるので排水トラップ管路14内の尿濃度が上昇する。このとき、尿希釈吐水モードにおける吐水が行われているので、排水トラップ管路14内の尿濃度は、尿希釈吐水モードが行われない場合と比べて低く抑制されている。よって、排水トラップ管路14及び横引配管3等において短時間に尿石が発生することを抑制することができる。また、使用者の排尿中には、尿希釈吐水モードにおける吐水により、尿流を主にボウル面48上で、排水トラップ管路14に流入する前に希釈することができる。よって、排水トラップ管路14内の尿濃度の上昇をより確実に抑制することができる。
コントローラ46は、時刻t1から時刻t2までの、尿希釈吐水モードにおいて所定の水量A1[リットル]を吐水する。例えば、時刻t1から時刻t2までの、使用者の排尿中に吐水される水量A1[リットル]は、0.5リットルに設定される。
時刻t2においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態となってから想定終了時間Rが経過したことを認識する。コントローラ46は、時刻t2以後、時刻t2から検知状態が終了する時刻t3までの期間、尿希釈吐水モードにおいて第2の吐水口76から吐水された水量[リットル]を算定する。
図12に示すように、S3においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態となってから所定使用時間Tが経過したか否かを判定する。時刻t0から所定使用時間Tが経過した時刻thは、時刻t3と一致する(図13参照)。所定使用時間Tは、時刻t2から時刻thまでの間に尿希釈吐水モードにおいて第2の吐水口76から吐水された水量[リットル]が、所定の水量A2、例えば0.15リットルとなるように設定される。
S3において、コントローラ46は、時刻t0から所定使用時間Tを経過していない場合には、想定終了時間R経過後(時刻t2以後)における吐水が想定よりも少ない水量までしか吐水されていないと判断して、S4に進む。
なお、S3において、コントローラ46は、時刻t0から所定使用時間Tを経過した場合(時刻thとなった場合)には、想定終了時間R経過後(時刻t2以後)における吐水が想定よりも増大され且つ後述する合計吐水量を抑制する必要があると判断して、S5に進む。
S4においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態であるか否かを判定する。コントローラ46は、検知センサ44が検知状態である場合には、使用者がボウル部6に排尿を行っている可能性があると判断して、S3に戻る。コントローラ46は、検知センサ44が非検知状態となった場合には、使用者がボウル部6に排尿を終えて立ち去ったと判断して、S6に進む。
時刻t2において、使用者が排尿を終了すると想定される。時刻t2から時刻t3までの間において、使用者は、ボウル部6の前に立った状態で着衣を整えて、便器本体2の前から立ち去る準備をする。時刻t3は、時刻t2から平均的な大人の使用者が着衣を着用して立ち去る準備をすると想定される平均的な服着用時間を含むように設定される。この間も、尿希釈吐水モードによる吐水が継続している。
図13に示すように、時刻t3(時刻th)において、検知センサ44による使用者の検知状態が終了する。所定使用時間Tを経過した時刻thとなるため、コントローラ46は、S3において、S5に進む。
S5においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態であるか否かを判定する。コントローラ46は、検知センサ44が非検知状態となった場合には、使用者がボウル部6に排尿を終えて立ち去ったと判断して、S9に進む。コントローラ46は、S9に示すように、尿希釈吐水モードを終了させ吐水を停止させる。コントローラ46は、尿希釈吐水モードを終了させ、S10に進む。時刻t2から時刻t3(時刻th)までに、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量[リットル]が、例えば0.15リットルであり、当初予定した水量A2[リットル]となっている。よって、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量は、A1+A2=0.65リットルとなっている。
図9及び図11に示すように、コントローラ46は、尿希釈吐水モードの終了により、第2の開閉弁36を閉弁させ、洗浄水の第2の給水路22aへの供給を停止する。よって、ノズル部64の第2の吐水口76からの吐水が停止される。
図12に示すように、S10において、コントローラ46は、本洗浄吐水モードを実行する。
図9及び図11に示すように、コントローラ46は、本洗浄吐水モードの実行により、まず、第1の開閉弁28に制御信号を送信し、第1の開閉弁28を開弁させる。主給水管16の主給水路16aの洗浄水は、管継手24を経て第1の給水路20aのみに流れる。第1の給水路20aに流れた洗浄水B1は、第1の流量弁26を通過し、比較的高い第1の所定の流量Q1[リットル/分]で第1の吐水口60から吐水される(図6参照)。
コントローラ46は、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量に応じて、本洗浄吐水モードで吐水される水量を変更するように第1の開閉弁28を制御する第1制御モードを実行している。標準的なパターンの場合には、コントローラ46は、第1制御モードにより、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量A1+A2と、本洗浄吐水モードで吐水された水量との合計水量が所定水量(例えば1.15リットル)に到達するまで、第1の開閉弁28を一定時間開弁させる。本洗浄吐水モードで吐水される水量が第1水量Wとなると、尿希釈吐水モードの吐水水量(A1+A2)と第1水量Wとの合計水量が所定水量となり本洗浄吐水モードの実行が終了される。本洗浄吐水モードで吐水される第1水量W[リットル]は、例えば0.5リットル(500ミリリットル)であり、当初予定した基本の洗浄水量となっている。尿希釈吐水モードにおける吐水水量と本洗浄吐水モードにおける吐水水量とを所定水量とすることにより、ボウル面を確実に洗浄するとともに、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によってより確実に置換することができる。
尿希釈吐水モードで想定終了時間Rが経過した時刻t2以後に吐水された水量A2と本洗浄吐水モードで吐水された水量Wとの合計水量は第3水量Pとなっており、例えば0.65リットルである。第3水量Pは第1水量Wよりも大きい。水量A2と水量Wとの合計水量が第3水量Pを満たすことにより、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によってより確実に置換することができる。よって、排水トラップ管路14内の洗浄水の尿濃度が比較的低い状態で保たれ、尿石の発生が抑制される。
図6に示すように、第1の吐水口60から吐水された洗浄水B1は、ボウル面48に沿って左右方向に広がるように吐水され、ボウル面48を従来よりも広範囲に洗浄することができる。
ボウル面48を流下した洗浄水B1は、排水口10から排水トラップ管路14内に流入する。洗浄水B1は、この排水トラップ管路14の下流側の横引配管3に向かって流れることにより、排水トラップ管路14や横引配管3内の尿を下流側に排出させる。洗浄水B1は、比較的高い流量Q1で流れるとともに、排水トラップ管路14内の希釈された尿を新しい洗浄水で置換して、排水トラップ管路14内の洗浄水の尿濃度を比較的大きく低減することができる。コントローラ46が、時刻t4において、本洗浄吐水モードにおいて吐水される水量が第1水量Wに到達したとき、第1の開閉弁28を閉弁し、スプレッダ30による吐水動作を停止させて、本洗浄吐水モードの動作を終了させ、エンドに進む。
エンドにおいて、コントローラ46は、検知センサ44が使用者の使用を検知してから始まる各使用回ごとの制御動作を終了し、検知センサ44を待機状態とする。コントローラ46は、再び検知センサ44が使用者の使用を検知した場合にはS0から各使用回毎の制御動作を開始する。
次に、図12及び図14を参照して、所定使用時間Tが経過した時刻thよりも後の時点で検知センサ44が非検知となる検知時間の長いパターンの小便器の動作(作用)について説明する。検知時間の長いパターンの小便器の動作は、上述した標準的なパターンの小便器の動作と時刻t2までの動作がほぼ同じであるため、上述した標準的なパターンの小便器の動作と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
図14は、本発明の一実施形態における小便器における、所定使用時間Tが経過した時刻thよりも後の時点で検知センサ44が非検知となる検知時間の長いパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。
図14に示すように、時刻t2以後、検知センサ44が検知状態を継続し、尿希釈吐水モードによる吐水が継続されている。図12に示すように、S3において、コントローラ46は、時刻t0から所定使用時間Tを経過していない場合には、S4に進む。S4においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態である場合には、S3に戻る。
図14に示すように、所定使用時間Tが経過した時刻thよりも後の時点で検知センサ44が検知状態を継続し、尿希釈吐水モードによる吐水が継続されている。
図12に示すように、S3においては、コントローラ46は、時刻t0から所定使用時間Tを経過した場合(時刻thとなった場合)には、想定終了時間R経過後(時刻t2以後)における吐水が想定よりも増大され且つ合計吐水量を所定水量まで抑制する必要があると判断して、S5に進む。
S5においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態であるか否かを判定する。コントローラ46は、検知センサ44が検知状態である場合には、想定終了時間R経過後且つ所定使用時間T経過後であるので、検知センサが検知状態となってからの異常判定時間が経過していないかをチェックする必要があると判断して、S8に進む。S8においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態となってからの異常判定時間Sが経過したか否かを判定する。コントローラ46は、異常判定時間Sを経過していない場合には、検知センサ44は正常に機能しており、使用者が標準的な使用時間を超えるような長い使用態様で便器本体2を使用していると判断して、尿希釈吐水モードによる吐水を継続させるため、S3に戻る。コントローラ46は、S3から再びS5に進む。コントローラ46は、検知センサ44が非検知状態となった場合には、使用者がボウル部6に排尿を終えて立ち去ったと判断して、S9に進む。
図14に示すように、時刻t3において、検知センサ44による使用者の検知状態が終了すると、コントローラ46は、S9に示すように、尿希釈吐水モードを終了させ吐水を停止させる。コントローラ46は、尿希釈吐水モードを終了させ、S10に進む。
ここで、時刻t2から時刻t3までに、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量[リットル]が、当初予定した水量A2[リットル]よりも多い水量A2’[リットル]まで増加している。尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量も、A1+A2’まで増加している。この増加した水量Wk[リットル]は、Wk=Q2×(t3-th)によりもとめられる。Q2は、尿希釈吐水モードにおける吐水流量Q2[リットル/分]である。増加した水量Wkは、Wk=A2’-A2となっている。
図12に示すように、S10において、コントローラ46は、本洗浄吐水モードを実行する。
コントローラ46は、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量に応じて、本洗浄吐水モードで吐水される水量Wを変更するように第1の開閉弁28を制御する第1制御モードを実行している。この場合には、コントローラ46は、第1制御モードにより、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量A1+A2’と、本洗浄吐水モードで吐水された水量との合計水量が所定水量(例えば1.15リットル)に到達するまで、第1の開閉弁28を一定時間開弁させる。本洗浄吐水モードで吐水される水量が水量W1となると、尿希釈吐水モードの吐水水量(A1+A2)と水量W1との合計水量が所定水量となり本洗浄吐水モードの実行が終了される。水量W1は、W1=W-Wkによってももとめられる。本洗浄吐水モードで吐水される水量W1[リットル]は、当初予定した第1水量Wよりも減少されている。よって、尿希釈吐水モードにおける吐水水量と本洗浄吐水モードにおける吐水水量との合計水量の増大は抑制される。
コントローラ46は、検知センサ44が検知状態となってから所定使用時間Tが経過した後に、検知状態の終了により尿希釈吐水モードが終了する場合、尿希釈吐水モードで想定終了時間Rが経過した時刻t2以後に吐水された水量A2’と本洗浄吐水モードで吐水された水量W1との合計水量が第3水量Pに到達したときに本洗浄吐水モードの実行を終了させる。
次に、図12及び図15を参照して、所定使用時間Tが経過した時刻thよりも前の時点で検知センサ44が非検知となる検知時間の短いパターンの小便器の動作(作用)について説明する。検知時間の短いパターンの小便器の動作は、上述した標準的なパターンの小便器の動作と時刻t2までの動作がほぼ同じであるため、上述した標準的なパターンの小便器の動作と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
図15は、本発明の一実施形態における小便器における、所定使用時間Tが経過した時刻thよりも前の時点で検知センサ44が非検知となる検知時間の短いパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。
図12に示すように、S3においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態となってから所定使用時間Tが経過したか否かを判定する。
S3において、コントローラ46は、時刻t0から所定使用時間Tを経過していない場合には、想定終了時間R経過後(時刻t2以後)における吐水が想定よりも少ない水量までしか吐水されていないと判断して、S4に進む。
S4においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態であるか否かを判定する。コントローラ46は、検知センサ44が検知状態である場合には、使用者がボウル部6に排尿を行っている可能性があると判断して、S3に戻る。コントローラ46は、検知センサ44が非検知状態となった場合には、使用者がボウル部6に排尿を終えて立ち去ったと判断して、S6に進む。
図15に示すように、時刻t3において、使用者が、比較的早く排尿を終了させ、立ち去ると、検知センサ44が非検知状態となる。コントローラ46は、検知センサ44が非検知状態となったので、S6に進む。S6において、コントローラ46は、尿希釈吐水モードを終了させ吐水を停止させる。コントローラ46は、尿希釈吐水モードを終了させ、S7に進む。
ここで、時刻t2から時刻t3までに、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量[リットル]が、当初予定した水量A2[リットル]よりも少ないA2’’[リットル]まで減少している。
図12に示すように、S7において、コントローラ46は、本洗浄吐水モードを実行する。
コントローラ46は、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量に応じて、本洗浄吐水モードで吐水される水量を変更させ第1水量Wを吐水するように第1の開閉弁28を制御する。この場合には、コントローラ46は、第2制御モードにより、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量A1+A2’’に応じて、本洗浄吐水モードで吐水される水量を第1水量Wとするように第1の開閉弁28を一定時間開弁させる。本洗浄吐水モードで吐水される第1水量W[リットル]は、例えば0.5リットルであり、当初予定した標準の洗浄水量となっている。このように、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態となってから所定使用時間Tが経過する前に、検知状態の終了により尿希釈吐水モードが終了する場合、本洗浄吐水モードにおいて、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって置換できると想定される第1水量Wを吐水させる。尿希釈吐水モードが早期に終了する場合に、尿希釈吐水モードによる吐水を節約することができ、さらに、本洗浄吐水モードにおいて、第1水量Wを吐水させることにより、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によってより確実に置換することができる。また、水量A2’’と第1水量Wとの合計水量を第3水量Pよりも低減させることにより、洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる。
コントローラ46が、時刻t4において、本洗浄吐水モードにおいて吐水される水量が第1水量Wに到達したとき、第1の開閉弁28を閉弁し、スプレッダ30による吐水動作を停止させて、本洗浄吐水モードの動作を終了させ、エンドに進む。
次に、図12及び図16を参照して、検知センサの検知状態が終了しないまま異常判定時間が経過する検知時間の異常に長いパターンの小便器の動作(作用)について説明する。検知時間の異常に長いパターンの小便器の動作は、上述した標準的なパターンの小便器の動作と時刻t2までの動作がほぼ同じであるため、上述した標準的なパターンの小便器の動作と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
図16は、本発明の一実施形態における小便器における、検知センサの検知状態が終了しないまま異常判定時間が経過するような検知時間の異常に長いパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。
図16に示すように、時刻t2以後、検知センサ44が検知状態を継続し、尿希釈吐水モードによる吐水が継続されている。図12に示すように、S3において、コントローラ46は、時刻t0から所定使用時間Tを経過していない場合には、S4に進む。S4においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態である場合には、S3に戻る。
図16に示すように、所定使用時間Tが経過した時刻thよりも後の時点で検知センサ44が検知状態を継続し、尿希釈吐水モードによる吐水が継続されている。
図12に示すように、S3においては、コントローラ46は、時刻t0から所定使用時間Tを経過した場合(時刻thとなった場合)には、S5に進む。
S5においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態であるか否かを判定する。コントローラ46は、検知センサ44が検知状態である場合には、想定終了時間R経過後且つ所定使用時間T経過後であるので、検知センサが検知状態となってからの異常判定時間が経過していないかをチェックする必要があると判断して、S8に進む。
S8においては、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態となってからの異常判定時間Sが経過したか否かを判定する。異常判定時間Sは、例えば2分間である。
コントローラ46は、異常判定時間Sを経過する場合には、検知センサ44の異常及び使用者の標準的な使用時間を超えるような異常に長い使用態様となっていると判断して、尿希釈吐水モードによる吐水を節水化するため、S11に進む。
コントローラ46は、異常判定時間Sを経過していない場合には、検知センサ44は正常に機能しており、使用者が標準的な使用時間を超えるような長い使用態様で便器本体2を使用していると判断して、尿希釈吐水モードによる吐水を継続させるため、S3に戻る。
S8において、コントローラ46は、検知センサ44の検知状態が終了しないことにより尿希釈吐水モードが継続して実行されている状態で、検知センサ44が検知状態となってからの異常判定時間Sが経過した時刻teとなる場合に、検知状態が終了したと決定して、尿希釈吐水モードの実行を終了させる。
図16に示すように、時刻t3(te)において、コントローラ46が、検知状態が終了したと決定するので、S11に示すように(図12参照)、尿希釈吐水モードを終了させ吐水を停止させる。コントローラ46は、尿希釈吐水モードを終了させ、S12に進む。
ここで、時刻t2から時刻t3までに、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量[リットル]が、当初予定した水量A2[リットル]よりも多い水量A2’’’[リットル]まで増加している。尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量も、A1+A2’’’まで増加している。この増加した水量Wk’’[リットル]は、Wk’’=Q2×(t3-th)によりもとめられる。Q2は、尿希釈吐水モードにおける吐水流量Q2[リットル/分]である。増加した水量Wk’’は、Wk’’=A2’’’-A2となっている。
時刻t3から検知センサ44が非検知状態となる時刻t3’までの間、尿希釈吐水モードによる吐水が行われておらず且つ本洗浄吐水モードによる吐水も行われていない状態となる。
S12におけるように、時刻t3’において、検知センサ44の検知状態が終了し、検知センサ44が非検知状態となった場合には、コントローラ46は、本洗浄吐水モードを実行する。
コントローラ46は、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量に応じて、本洗浄吐水モードで吐水される水量を変更するように第1の開閉弁28を制御する。この場合には、コントローラ46は、第3制御モードにより、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量A1+A2’’’と、本洗浄吐水モードで吐水された水量との合計水量が所定水量(例えば1.15リットル)に到達するまで、第1の開閉弁28を一定時間開弁させる。本洗浄吐水モードで吐水される水量が水量W2となると、尿希釈吐水モードの吐水水量(A1+A2’’’)と水量W2との合計水量が所定水量となり本洗浄吐水モードの実行が終了される。水量W2は、W2=W-Wk’’によってももとめられる。本洗浄吐水モードで吐水される水量W2[リットル]は、当初予定した第1水量Wよりも減少されている。なお、水量W2は、W-Wk’’の値が所定の最小値を下回る場合には、所定の最小値を水量W2の値としてもよい。
このように、コントローラ46は、検知状態が終了した後に行われる第2吐水モードにおいて、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量Wよりも少ない吐水量を吐水させる。よって、尿希釈吐水モードが異常判定時間Sが経過する時刻teまで実行され、その実行時間が長くなる場合においても、本洗浄吐水モードで吐水される水量を抑制することができ、尿希釈吐水モード及び本洗浄吐水モードにおいて吐水される洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる。
また、尿希釈吐水モードで想定終了時間Rが経過した後に吐水された水量A2’’’と本洗浄吐水モードで吐水された水量W2との合計水量が第3水量P以上となるため、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって確実に置換することができる。
コントローラ46は、時刻t4において、本洗浄吐水モードにおいて吐水される水量が水量W2に到達したとき、第1の開閉弁28を閉弁し、スプレッダ30による吐水動作を停止させて、本洗浄吐水モードの動作を終了させ、エンドに進む。
次に、図12及び図17を参照して、検知センサの検知状態が終了しないまま異常判定時間が経過する検知時間の異常に長いパターンの第1変形例の小便器の動作(作用)について説明する。
図17は、本発明の一実施形態の第1変形例における小便器における、検知センサの検知状態が終了しないまま異常判定時間が経過するような検知時間の異常に長いパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。
この小便器の第1変形例においては、異常判定時間が経過した場合に、コントローラ46が、本洗浄吐水モードで吐水される水量を水量W2とするように第1の開閉弁28を一定時間開弁させていた制御に代えて、異常判定時間が経過した場合に、コントローラ46が、本洗浄吐水モードで吐水される水量を第1水量Wとするように第1の開閉弁28を一定時間開弁させる点のみが異なる。
このような動作を実現するため、第1変形例におけるコントローラ46は、本洗浄吐水モードにおいて第1水量よりも少ない吐水量を吐水させる制御プログラムに代わり、本洗浄吐水モードにおいて、第1水量を吐水させる第4制御モードを実行させる制御プログラムを備えている。
第1変形例の小便器の検知時間の異常に長いパターンの動作は、上述した検知時間の異常に長いパターンの小便器の動作と動作がほぼ同じであるため、上述した検知時間の異常に長いパターンの小便器の動作と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
S12におけるように、時刻t3’において、検知センサ44の検知状態が終了し、検知センサ44が非検知状態となった場合には、コントローラ46は、本洗浄吐水モードを実行する。
コントローラ46は、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量に応じて、本洗浄吐水モードで吐水される水量を変更するように第1の開閉弁28を制御する。この場合には、コントローラ46は、第4制御モードにより、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量A1+A2’’’に応じて、本洗浄吐水モードで吐水される水量を第1水量Wとするように第1の開閉弁28を一定時間開弁させる。第1水量Wは、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる水量である。このように、コントローラ46は、本洗浄吐水モードで吐水される水量を第1水量Wとすることにより、例えば使用者が検知されてから排尿開始までに比較的長い時間を要し、異常判定時間近くまで排尿していたような場合であっても、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によってより確実に置換することができる。排水トラップ管路14内の尿濃度を確実に低減することができる。
コントローラ46は、時刻t4において、本洗浄吐水モードにおいて吐水される水量が水量Wに到達したとき、第1の開閉弁28を閉弁し、スプレッダ30による吐水動作を停止させて、本洗浄吐水モードの動作を終了させ、エンドに進む。
次に、図12及び図18を参照して、検知センサの検知状態が終了しないまま異常判定時間が経過するような検知時間の異常に長いパターンの第2変形例の小便器の動作(作用)について説明する。
図18は、本発明の一実施形態の第2変形例における小便器における、検知センサの検知状態が終了しないまま異常判定時間が経過するような検知時間の異常に長いパターンにおいて、検知センサの使用者の検知状態、標準的な排尿タイミングモデル、尿希釈吐水モードにおける吐水状態及び本洗浄吐水モードにおける吐水状態の時間変化を示す図である。
この小便器の第2変形例においては、異常判定時間が経過した場合に、コントローラ46が、本洗浄吐水モードで吐水される水量を水量W2とするように第1の開閉弁28を一定時間開弁させていた制御に代えて、異常判定時間が経過した場合に、コントローラ46が、本洗浄吐水モードの実行をキャンセルさせるように第1の開閉弁28を閉弁させたままとする点のみが異なる。
このような動作を実現するため、第2変形例におけるコントローラ46は、本洗浄吐水モードにおいて第1水量よりも少ない吐水量を吐水させる制御プログラムに代わり、コントローラ46は、本洗浄吐水モードの実行をキャンセルさせる第5制御モードを実行させる制御プログラムを備え、コントローラ46は、異常判定時間を、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量が第2水量まで到達する時間として設定している。
第2変形例の小便器の検知時間の異常に長いパターンの動作は、上述した検知時間の異常に長いパターンの小便器の動作と動作がほぼ同じであるため、上述した検知時間の異常に長いパターンの小便器の動作と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
異常判定時間は、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量A1+A2’’’が第2水量(例えば、1.0リットル)まで到達する時間として設定されている。すなわち、尿希釈吐水モードにおいて想定終了時間Rが経過した後に吐水された水量A2’’’が第1水量Wまで到達する時間として設定されている。尿希釈吐水モードにおいて、第2水量を吐水させることにより、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって置換することができる。本洗浄吐水モードで吐水される水量をなくしたとしても、尿希釈吐水モードによる吐水により排水トラップ管路14内の尿が置換されており、尿濃度の上昇を抑制することができ、さらに尿希釈吐水モード及び本洗浄吐水モードにおいて吐水される洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる。
S12におけるように、時刻t3’において、検知センサ44の検知状態が終了し、検知センサ44が非検知状態となった場合に、コントローラ46は、本洗浄吐水モードの実行をキャンセルする。すなわち、コントローラ46は、本洗浄吐水モードにおいて0リットルを吐水する。
コントローラ46は、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量A1+A2’’’に応じて、本洗浄吐水モードで吐水される水量を0リットルに変更するように第1の開閉弁28を制御する。この場合には、コントローラ46は、第5制御モードにより、尿希釈吐水モードにおいて吐水された水量A1+A2’’’に応じて、本洗浄吐水モードでの吐水をキャンセルするように第1の開閉弁28を閉弁させたままとする。
S12において、コントローラ46は、時刻t3’において、本洗浄吐水モードを行わないので、エンドに進む。
上述した本発明の一実施形態による小便器1によれば、コントローラ46が、検知センサ44が検知状態となっている間のうち検知状態が終了するまでの所定期間において第2の吐水口76から吐水を行う第1吐水モードを実行させ、さらに、検知センサ44が使用者の使用を検知しなくなった後に、第1の吐水口60から吐水を行う第2吐水モードと、を実行させる。このような場合において、コントローラ46は、第1吐水モードで吐水された水量と第2吐水モードで吐水された水量との合計水量が所定水量に到達したときに上記第2吐水モードの実行を終了させる第1制御モードを実行する。よって、本実施形態によれば、検知状態が終了するまでの時間が長くなり、第1吐水モードにおける吐水水量が多くなる場合においても、第2吐水モードで吐水される水量を抑制することができ、第1吐水モード及び第2吐水モードにおいて吐水される洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる。
さらに、一実施形態による小便器1によれば、コントローラ46は、検知センサ44が検知状態となってから所定使用時間Tが経過する前に、検知状態の終了により第1吐水モードが終了する場合、第2吐水モードにおいて、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量を吐水させる。よって、本実施形態によれば、第1吐水モードが早期に終了する場合であっても、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって確実に置換することができる。
さらに、一実施形態による小便器1によれば、コントローラ46は、検知センサ44の検知状態が終了しないことにより第1吐水モードが継続して実行されている状態で、検知センサ44が検知状態となってからの異常判定時間Sが経過した場合に、第1吐水モードの実行を強制終了させる。これにより、検知センサ44の異常及び使用者の標準的な使用時間を超えるような異常に長い使用態様において、第1吐水モードの実行時間の上限を設定することができ、洗浄水の無駄使いを抑制し、節水化を達成することができる。
さらに、一実施形態による小便器1によれば、コントローラ46は、第1吐水モードの実行が強制終了され、検知状態が終了された後、第2吐水モードにおいて、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量を吐水させる。よって、本実施形態によれば、例えば使用者が検知されてから排尿開始までに比較的長い時間を要し、異常判定時間S近くまで排尿していたような場合であっても、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって確実に置換することができる。
さらに、一実施形態による小便器1によれば、コントローラ46は、第1吐水モードの実行が強制終了され、検知状態が終了された後、第2吐水モードにおいて、排水トラップ管路14内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量よりも少ない吐水量を吐水させる。よって、本実施形態によれば、第1吐水モードが異常判定時間Sが経過するまで実行され、第1吐水モードの実行時間が長くなる場合においても、第2吐水モードで吐水される水量を抑制することができ、第1吐水モード及び第2吐水モードにおいて吐水される洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる。
さらに、一実施形態による小便器1によれば、コントローラ46は、第1吐水モードの実行が強制終了され、検知状態が終了された後、第2吐水モードの実行をキャンセルさせる。よって、本実施形態によれば、第1吐水モードにおいて吐水された水量が、第2水量まで到達し、排水トラップ管路14内の尿を確実に置換することができる。さらに、本実施形態によれば、第1吐水モードが異常判定時間Sが経過するまで実行され、第1吐水モードの実行時間が長くなる場合においても、第2吐水モードで吐水される水量をなくすことができ、第1吐水モード及び第2吐水モードにおいて吐水される洗浄水量の合計の増加を抑制し、節水化を達成することができる。
さらに、一実施形態による小便器1によれば、検知センサ44は、小便器本体への排尿も検知するドップラー式の検知センサ44であるため、検知センサ44は、使用者の有無のみならず尿流を検知することができる。従って、本実施形態によれば、使用者が排尿を行うタイミングをより正確に測定することができ、使用者の排尿開始に合わせて吐水を開始させ、より効率的に節水化を達成することができる。
1 小便器
2 便器本体
3 横引配管
4 自動洗浄ユニット
6 ボウル部
7 前面
8 収納室
10 排水口
12 目皿
14 排水トラップ管路
14a 下降管路
14b 管路
14c 上昇管路
14d 共通壁
14e 前後方向の幅
14f 前後方向の幅
14g 上端部の幅
15 排水ソケット
16 主給水管
16a 主給水路
18 止水栓
20 第1の給水管
20a 第1の給水路
22 第2の給水管
22a 第2の給水路
24 管継手
26 第1の流量弁
28 第1の開閉弁
30 スプレッダ
32 第1の吐水部
34 第2の流量弁
36 第2の開閉弁
38 第2の吐水部
40 逆止弁
42 棚
43 電解除菌水ユニット
44 検知センサ
46 コントローラ
48 ボウル面
48a 正面部
48b 左側端部
48c 右側端部
48d 上端
50 外装カバー
52 スプレッダ本体部
52a 取付穴
54 ノズル部材
56 第1の通水路
56a 上流側通水路
56b 下流側通水路
58 第2の通水路
60 第1の吐水口
62 取付部
64 ノズル部
68 通水路
72 通水路
76 第2の吐水口
A1 水量
A2 水量
B1 洗浄水
B2 洗浄水
C 壁面
D 左右方向中心線
K 床面
P 第3水量
Q1 流量
Q2 流量
R 想定終了時間
S 異常判定時間
T 所定使用時間
t0 時刻
t1 時刻
t2 時刻
t3 時刻
t4 時刻
te 時刻
th 時刻
U 尿石
W 第1水量
W1 水量
W2 水量
Wk 水量
X 細菌
Y 環境領域
Z ウレアーゼ酵素

Claims (6)

  1. 吐水された洗浄水によりボウル面を洗浄する小便器であって、
    排尿を受ける上記ボウル面を形成し、その底部に排水口を形成するボウル部と、
    上記ボウル部の上記排水口と連通する排水トラップと、を備えた小便器本体と、
    上記ボウル面に洗浄水を吐水する吐水部と、
    上記小便器本体を使用する使用者の有無を検知する検知センサと、
    上記吐水部への給水路を開閉する弁装置と、
    上記吐水部による洗浄水の吐水を制御する制御部と、を備え、
    上記制御部は、
    上記検知センサが検知状態となっている間のうち検知状態が終了するまでの所定期間において上記吐水部から吐水を行う第1吐水モードと、
    上記検知センサの検知状態が終了した後に、上記吐水部から吐水を行う第2吐水モードと、を実行し、
    上記制御部は、上記第1吐水モードで吐水された水量と上記第2吐水モードで吐水された水量との合計水量が所定水量に到達したときに上記第2吐水モードの実行を終了させる第1制御モードを実行することを特徴とする小便器。
  2. 上記制御部は、上記検知センサが検知状態となってから所定使用時間が経過する前に、検知状態の終了により上記第1吐水モードが終了する場合、上記第2吐水モードにおいて、上記排水トラップ内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量を吐水させる、請求項1に記載の小便器。
  3. 上記制御部は、上記検知センサの検知状態が終了しないことにより上記第1吐水モードが継続して実行されている状態で、上記検知センサが検知状態となってからの異常判定時間が経過した場合に、上記第1吐水モードの実行を強制終了させる、請求項1又は2に記載の小便器。
  4. 上記制御部は、検知状態が終了した後に行われる上記第2吐水モードにおいて、上記排水トラップ内の尿を吐水された洗浄水によって置換できる第1水量よりも少ない吐水量を吐水させる、請求項3に記載の小便器。
  5. 上記異常判定時間は、上記第1吐水モードにおいて吐水された水量が第2水量まで到達する時間として設定され、
    上記制御部は、検知状態が終了した後に行われる上記第2吐水モードの実行をキャンセルさせる、請求項3に記載の小便器。
  6. 上記検知センサは、上記小便器本体への排尿も検知するドップラー式の検知センサである、請求項1乃至の何れか1項に記載の小便器。
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