JP7010274B2 - アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物を含む有害物質吸着剤、アルミニウム水和物、アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物の製造方法、及び有害物質の除去方法 - Google Patents
アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物を含む有害物質吸着剤、アルミニウム水和物、アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物の製造方法、及び有害物質の除去方法 Download PDFInfo
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Description
更に、新規化合物である、管電圧40kV、管電流50mAにてCu-Kαを線源として用いた粉末X線回折パターンにおいて、回折角度2θにおける8.5°±0.5°、28°±0.5°、49°±0.5°及び65°±0.5°にピークを有するアルミニウム水和物を含む特定の有害物質吸着剤を用いた場合に、フッ素等の有害物質に対する吸着性能が特に優れていることを見出し、本発明を完成した。
[1]アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物を含む、有害物質吸着剤。
[2]有害物質がフッ素又はその化合物である、[1]に記載の有害物質吸着剤。
[3]有害物質がホウ素又はその化合物である、[1]に記載の有害物質吸着剤。
[4]前記アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物において、アルミニウムに対するケイ素のモル比(Si/Al)が0~0.6である、[1]~[3]のいずれかに記載の有害物質吸着剤。
[5]前記アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物において、アルミニウムに対するケイ素のモル比(Si/Al)が0.3以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の有害物質吸着剤。
[6]前記アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物において、アルミニウムに対するケイ素のモル比(Si/Al)が0.1以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の有害物質吸着剤。
[7]前記アルミニウム水和物が、管電圧40kV、管電流50mAにてCu-Kαを線源として用いた粉末X線回折パターンにおいて、回折角度2θにおける8.5°±0.5°、28°±0.5°、49°±0.5°及び65°±0.5°にピークを有する、[5]又は[6]に記載の有害物質吸着剤。
[8]管電圧40kV、管電流50mAにてCu-Kαを線源として用いた粉末X線回折パターンにおいて、回折角度2θにおける8.5°±0.5°、28°±0.5°、49°±0.5°及び65°±0.5°にピークを有するアルミニウム水和物。
[9]アルミニウムに対してケイ素のモル比(Si/Al)が0.1以下のケイ素を含有する、[8]に記載のアルミニウム水和物。
[10]アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物の製造方法であって、アルミニウムに対するケイ素のモル比(Si/Al)が0.6以下である、アルミニウムを含む溶液又はアルミニウムとケイ素とを含む溶液を10~50℃の範囲の温度下にて、pH5~9の範囲で中和する工程を含む、製造方法。
[11]前記中和工程で得られた固形物の懸濁液を加熱処理する工程を含む、[10]に記載のアルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物の製造方法。
[12]前記モル比(Si/Al)が0.3以下である、[10]又は[11]に記載のアルミニウム水和物の製造方法。
[13]有害物質が存在する水又は土壌に、アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物を含む吸着剤を混合し、有害物質を吸着させ、次いで、吸着剤を分離する、有害物質の除去方法。
[14]有害物質の存在下、アルミニウムを含む溶液を、又は、アルミニウムとケイ素とを含む溶液を、中和して、有害物質とアルミニウム水和物又はアルミニウムケイ酸塩を共沈殿させ、次いで、得られた共沈殿物を固液分離する、有害物質の除去方法。
<有害物質>
有害物質としては、水や土壌等に含まれる有害物質を対象物質に挙げることができ、具体的には、前記の土壌汚染対策法の特定有害物質であるカドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シアン化合物、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、鉛及びその化合物、砒素及びその化合物、フッ素及びその化合物、ホウ素及びその化合物が挙げられ、特に、フッ素及びその化合物及び/又はホウ素及びその化合物を対象物質とするのが好ましい。
有害物質吸着剤は、アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物を含み、使用場面に応じて、石膏等の固化材、pH調整剤、その他の吸着剤等を含んでいてもよい。また、適当な大きさに成形・造粒してもよく、基材の上に担持してもよい。
アルミニウムケイ酸塩は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び水素(H)を構成元素とし、多数のSi-O-Al結合で組み立てられた水和ケイ酸アルミニウムである。アルミニウムケイ酸塩は、結晶質のものであってもよいが、粉末X線回折パターンにおいてピークを有しない非晶質のものか又はブロードなピークを有する低結晶質のものが好ましい。アルミニウムに対してケイ素のモル比(Si/Al)が0.01~1.2(0.01以上1.2以下)が好ましく、0.01~0.6(0.01以上0.6以下)がより好ましく、0.01~0.3(0.01以上0.3以下)が更に好ましく、0.01~0.1(0.01以上0.1以下)が最も好ましい。
Si/Alが0の場合、ケイ素が含まれないためにアルミニウム水和物といい、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び水素(H)を構成元素とし、多数のAl-O-Al結合で組み立てられた水酸化アルミニウム、水和アルミニウム等である。アルミニウム水和物は、結晶質のものであってもよいが、粉末X線回折パターンにおいてピークを有しない非晶質のものか又はブロードなピークを有する低結晶質のものが好ましい。また、Si/Alが0~0.3(0以上0.3以下)の場合、ケイ素の含有量が少ないためアルミニウム水和物という場合があり、Si/Alが0~0.1(0以上0.1以下)がより好ましく、0~0.05(0以上0.05以下)が更に好ましく、0~0.01(0以上0.01以下)が最も好ましい。このようなアルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物の粒径は、0.1~100μmが好ましく、より好ましくは1~50μmである。
アルミニウムケイ酸塩は、通常、ケイ素源及びアルミニウム源となる原料として、無機ケイ素化合物及び無機アルミニウム化合物を用い、これらの水溶液を混合撹拌し、pH調整して固形物(アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物)を得る。この固形物を必要に応じて加熱処理、固液分離し、脱塩処理(洗浄)、乾燥してもよい。固液分離は、加圧ろ過法、真空ろ過法、遠心分離法等の通常の方法で行うことができる。
本発明のアルミニウム水和物は、アルミニウムのほかにケイ素を含有してもよく、アルミニウムに対してケイ素の含有量はモル比(Si/Al)で表して0~0.3(0以上0.3以下)となる範囲のものであり、0~0.2(0以上0.2以下)となる範囲が好ましく、0~0.1(0以上0.1以下)となる範囲がより好ましく、0~0.05(0以上0.05以下)となる範囲が更に好ましく、0~0.01(0以上0.01以下)となる範囲が最も好ましい。
前記アルミニウム水和物は、例えば、前記の方法に沿って、無機ケイ素化合物と無機アルミニウム化合物溶液をSi/Alモル比が0~0.3となるように10~50℃の範囲の温度下にて混合し、酸又はアルカリを添加してpH5~9の範囲で中和して、製造することができる。アルミニウム源は、塩化アルミニウムがより好ましい。溶液中のケイ素化合物の濃度は0~1000mmol/Lが好ましく、0~500mmol/Lがより好ましい。アルミニウム化合物の溶液の濃度は1~1000mmol/Lが好ましく、1~500mmol/Lがより好ましい。得られた化合物は、必要に応じて洗浄し、乾燥してもよい。乾燥温度は、乾燥によりベーマイト(AlO(OH))、イモゴライト構造等の結晶構造が違うものが生成しない温度が好ましく、具体的には90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、70℃以下が更に好ましい。
有害物質吸着剤は、水中に含有される有害物質の除去や、土壌中に含有される有害物質の溶出防止に有用な吸着剤として用いることができる。具体的には、有害物質が存在する水又は土壌に、アルミニウムケイ酸塩又はアルミニウム水和物を含む吸着剤を混合し、有害物質を吸着させ、次いで、吸着剤を分離する。
フッ素の吸着試験においては、フッ化物イオン濃度が1000mg/Lの標準溶液を10mg/Lに希釈し、1Nの硫酸及び1Nの水酸化ナトリウム水溶液にて、pHが5、7、9となるように調整した。この調整した溶液200mLに対し、実施例で得た各化合物を0.04g添加し、マグネティックスターラーにて撹拌しながら、液固比5000にて吸着試験を行った。上記の各化合物を添加後pHが変動するため、常にpHが5、7、9となるように硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH調整を行った。2時間撹拌を行った後、0.45μmのフィルターを用いて吸引ろ過により固液分離した。回収したろ液には、クエン酸を添加し、フッ化物イオン電極によりフッ素イオン濃度を測定した。
ホウ素イオン濃度が10mg/Lとなるようにホウ酸を溶解させた後、1Nの硫酸及び1Nの水酸化ナトリウム水溶液にて、pHが5、7、9となるように調整した。この調整したホウ酸水溶液40mLと試料0.4gを容積50mLの遠沈管に入れ、回転撹拌装置により撹拌しながら、液固比100での吸着試験を行った。各試料添加後はpHが変動するため、常にpHが5、7、9となるように硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH調整を行った。2時間の吸着試験を行った後、0.45μmのフィルターを用いて加圧ろ過により、固液分離した。回収したろ液については、ICP発光分光分析によりホウ素濃度を測定した。
0.45mol/L塩化アルミニウム水溶液100mLに、合成するSi/Alモル比をxとしたとき0.45mol/Lのオルトケイ酸ナトリウム水溶液100xmLを添加し室温にて混合後、30分撹拌を行った。撹拌後、1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを7に調整した後、さらに1時間撹拌を行った。このようにして生成された懸濁液を遠心分離にて脱塩処理を行った。脱塩処理は遠心分離機を用い、回転速度3000rpm、時間10分の条件にて回収した固形分に純水を加え解砕した後、再度遠心分離機を用いて固形分を回収し、純水を添加し解砕する操作を、電気伝導度が0.4S/m以下になるまで行った。電気伝導度が0.4S/m以下になったところで二つに等量に分けた。一つはポリプロピレン製の容器に移し98℃で2日間加熱した後、溶液をトレイに移し60℃で乾燥させ、もう一つは加熱せずにもう一度遠心分離を行い、固形分をトレイに移し60 ℃にて乾燥させた。乾燥後の試料については、乳鉢にて粉砕し、フッ素・ホウ素吸着試験用の試料とした。
本実施例では、Si/Alモル比が0.0とSi/Alモル比が0.4の試料について、アルミニウム源として塩化アルミニウム・硝酸アルミ二ウム・硫酸アルミニウムを用いて合成を行い、Si/Alモル比が0.4の試料については、Si/Alモル比が0.0同様にpH7に調整してから加熱したものと、pH7に調整し洗浄後にpH4に下げて加熱したものとの2タイプにわけて合成を行い、計9試料をホウ素吸着試験用の試料とした。なおSi/Alモル比0.4の試料におけるケイ素源としては、オルトケイ酸ナトリウムを用いた。
また、Si/Alモル比0.4の試料において、pH7での加熱品では、塩化アルミニウムと硝酸アルミニウムを用いた場合にて、ホウ素の吸着量はほとんど同じ値を示していた。硫酸アルミニウムを用いた場合は、pH7においてホウ素の吸着量は減少した。陰イオン種にかかわらずpH9でホウ素の吸着量は多くなるが、Si/Alモル比0.0の試料と比べるとpH5においてホウ素吸着量が多い。
一方Si/Alモル比が0.4でpH4での加熱品においては、硝酸アルミニウムを用いた場合、ホウ素吸着量はpHによらずほぼ同じ値を示していた。塩化アルミニウムではpH5>pH7>pH9とpH5で最も吸着量が多く、硫酸アルミニウムではpH9>pH5>pH7とpH9で最も吸着量が多かった。pH9におけるホウ素吸着量としては、今回の試験において硫酸アルミニウムを用いpH4にて加熱した試料が最も多かった。Si/Alモル比0.4において、pH4にて加熱する合成は、希薄溶液でのイモゴライト合成と同じ条件であり、加熱時のpH4とpH7との吸着傾向の違いは、イモゴライトに近い構造が形成されているか否かに関わっている可能性がある。また、合成イモゴライトにおけるホウ素吸着量が高いことからも、非晶質アルミニウムケイ酸塩におけるホウ素の吸着においては、イモゴライト構造が関与している可能性が高いことが示唆される。
・Si/Alモル比0.0においては、陰イオン種によらず、各pHでのホウ素の吸着量はほぼ同じ値を示しており、pH9>pH7>pH5とpH9で最も高い値を示していた。
・Si/Alモル比0.4においては、硝酸アルミニウムを用いた合成品においては、各pHでのホウ素の吸着量はほぼ同じ値を示していたが、pH7での加熱品よりpH4での加熱品にてホウ素吸着量が多いことが示された。
・Si/Alモル比0.4において、塩化アルミニウムではpH5でのホウ素吸着量が最も多く、硫酸アルミニウムではpH9でのホウ素吸着量が最も多いことが示された。
・ホウ素の吸着においては、イモゴライトの構造が関与している可能性が示唆された。
ホウ素処理時のpHの影響について検討を行うため以下の実験を行った。Si/Alモル比が0.4の実験にて、ホウ素濃度が200mg/Lとなるように0.2mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液にホウ酸を溶解させた250mLの水溶液と、水ガラスを希釈した0.08mol/Lのケイ酸水溶液250mLを調整した。硫酸アルミニウム水溶液にケイ酸水溶液を一気に加えホウ素濃度が100mg/Lとなった溶液を撹拌後、スラリー状になったところで、100mLずつ5試料を調整した。各100mLの硫酸アルミニウム水溶液をマグネティックスターラーで撹拌しながら、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、それぞれのpHが5、6、7、8、9となるように調整した。pH調整後すぐ(0h)及び調整後1h、2h、4h、6h、24h撹拌させた後に、懸濁液を10mL採取し、採取後すぐに遠心分離機を用い、3000rpm、時間10分の条件にて遠心分離を行った。遠心分離後の上澄み溶液をさらに0.2μmのフィルターを用いてろ過し固液分離を行った。分離回収したろ液については、ICP発光分光分析によりホウ素濃度の測定を行った。
ホウ素吸着時のpHの影響に関しては、Si/Alモル比によらず、pHが5から9へと上昇するに伴い、吸着量は増加していた。このことは、非晶質アルミニウムケイ酸塩を吸着剤として用いた吸着試験においてもpH9>pH7>pH5とpH9でホウ素の吸着量が最も多く、共沈法によるホウ素回収でも、従来の研究と同じ傾向を示していることが明らかとなった。
また撹拌時間によるホウ素吸着量の傾向を検討したところ、pH9での吸着においては、撹拌時間0~4時間まではほぼ同じ吸着量であるのに対し、撹拌時間6時間及び24時間にては吸着量が減少する傾向にあった。このことから共沈法におけるホウ素の回収においては、硫酸アルミニウム水溶液とケイ酸水溶液を混合した時点で、ホウ素の回収は終了しており、短時間の反応でホウ素を回収できることが明らかとなった。
ホウ素処理時のSi/Alモル比の影響について検討を行うため、以下の実験を行った。
Si/Alモル比が0.0の実験においては、ホウ素濃度が100mg/Lとなるように0.2mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液にホウ酸を溶解させた100mLの水溶液を調製した。その懸濁液に1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液をpH9となるように添加し、所定時間(0h、1h、2h、4h、6h、24h)撹拌後に懸濁液を採取、遠心分離及びフィルターにより固液分離を行い、ろ液中のホウ素濃度の測定を行った。
Si/Alモル比が0.4の実験においては、ホウ素濃度が200mg/Lとなるように0.2mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液にホウ酸を溶解させた250mLの水溶液と、水ガラスを希釈した0.08mol/Lのケイ酸水溶液250mLを調製した。硫酸アルミニウム水溶液にケイ酸水溶液を一気に加えホウ素濃度が100mg/Lとなった溶液を撹拌後、スラリー状になったところで100mLを分取した。その後の操作は、Si/Alモル比0.0と同様に行い、ろ液中のホウ素濃度の測定を行った。
Si/Alモル比が1.0の実験においては、ホウ素濃度が200mg/Lとなるように0.1mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液にホウ酸を溶解させた250mLの水溶液と、水ガラスを希釈した0.1mol/Lのケイ酸水溶液250mLを調製した。硫酸アルミニウム水溶液にケイ酸水溶液を一気に加えホウ素濃度が100mg/Lとなった溶液を撹拌後、スラリー状になったところで100mLを分取した。その後の操作は、Si/Alモル比0.0と同様に行い、ろ液中のホウ素濃度の測定を行った。
異なるホウ素濃度におけるホウ素回収率の違いについて検討を行うため、以下の実験を行った。ホウ素の濃度の影響を検討する実験では、Si/Alモル比は0.0とし、pHは9の条件にて行った。ホウ素濃度がそれぞれ10、20、100mg/Lとなるように0.2mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液にホウ酸を溶解させた100mLの水溶液を3試料調製した。各100mLの硫酸アルミニウム水溶液をマグネティックスターラーで撹拌しながら、それぞれの溶液にpHが9となるように1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加した。pH調整後すぐ(0h)及び調整後1h、2h、4h、6h、24h撹拌させた後、懸濁液を10mL採取し、採取後すぐに遠心分離機を用い、3000rpm、時間10分の条件にて遠心分離を行った。遠心分離後の上澄み溶液を更に0.2μmのフィルターを用いてろ過し固液分離を行った。分離回収したろ液については、ICP発光分光分析によりホウ素濃度の測定を行った。
また初期濃度10mg/Lでのホウ素吸着量は0.46mg/gであり、以前の結果である硫酸アルミニウムのみからなりかつ加熱合成を行っていない乾燥試料においてのホウ素の吸着量は0.80mg/gであることから、一度乾燥した吸着剤によるホウ素回収と比較し、ホウ素濃度10mg/L程度における共沈法でのホウ素回収は約6割程度の性能を有することがわかった。このことは、吸着剤の合成を行わなくてもホウ素回収をダイレクトに行える可能性を示したこととなる。
・ホウ素吸着時のpHの影響に関しては、Si/Alモル比によらず、pHが5から9へと上昇するに伴い、吸着量は増加する。
・共沈法におけるホウ素の回収において、硫酸アルミニウム水溶液とケイ酸水溶液を混合した時点で、ホウ素の回収は終了しており、短時間の反応でホウ素回収が可能である。
・共沈法におけるホウ素の回収においては、硫酸アルミニウム水溶液のみを用い、かつpH9にて回収することが最も効率的である。
・共沈法におけるホウ素の回収において、初期ホウ素濃度による回収率は、大きな差がないことが示された。
塩化アルミニウム六水和物試薬(関東化学株式会社製)を純水に溶解させて調製した450mmol/Lの塩化アルミニウム水溶液100mLに、25℃の条件にて、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を連続的に添加し、pHを7に調整した。このようにして生成させたものを1時間撹拌させた後、遠心分離にて1回脱塩処理を行った。脱塩処理は遠心分離機を用いて、回転速度3000rpm、時間10分で行った。回収した固形分に純水を加え100mLにし撹拌した後、再度遠心分離機を用いて、固形分を回収した。この遠心分離の操作を再度行った後、回収した固形分を60℃で一晩乾燥し、化合物1を得た。化合物1のSi/Alモル比は0であった。
450mmol/Lのオルトケイ酸ナトリウム水溶液10mLと、塩化アルミニウム六水和物試薬(関東化学株式会社製)を純水に溶解させて調製した450mmol/Lの塩化アルミニウム水溶液100mLを25℃の条件にて混合した後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を連続的に添加し、pHを7に調整した。このようにして生成させたものを遠心分離にて1回脱塩処理を行った。脱塩処理は遠心分離機を用いて、回転速度3000rpm、時間10分で行った。回収した固形分に純水を加え撹拌した後、再度遠心分離機を用いて、固形分を回収した。この遠心分離の操作を再度行った後、回収した固形分を60℃で一晩乾燥し、化合物2を得た。化合物2のSi/Alモル比は0.1であった。
450mmol/Lのオルトケイ酸ナトリウム水溶液20mLと、塩化アルミニウム六水和物試薬(関東化学株式会社製)を純水に溶解させて調製した450mmol/Lの塩化アルミニウム水溶液100mLを25℃の条件にて混合した後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を連続的に添加し、pHを7に調整した。このようにして生成させたものを遠心分離にて1回脱塩処理を行った。脱塩処理は遠心分離機を用いて、回転速度3000rpm、時間10分で行った。回収した固形分に純水を加え撹拌した後、再度遠心分離機を用いて、固形分を回収した。この遠心分離の操作を再度行った後、回収した固形分を60℃で一晩乾燥し、化合物3を得た。化合物3のSi/Alモル比は0.2であった。
実施例18において遠心分離による脱塩処理を行った後、固形分に純水を加え100mLにし撹拌した後、98℃で16時間加熱し、冷却後遠心分離により回収した固形分を60℃で一晩乾燥を行い、化合物4を得た。化合物4のSi/Alモル比は0.1であった。
実施例19において遠心分離による脱塩処理を行った後、固形分に純水を加え100mLにし撹拌した後、98℃で16時間加熱し、冷却後遠心分離により回収した固形分を60℃で一晩乾燥を行い、化合物5を得た。化合物5のSi/Alモル比は0.2であった。
X線回折計(RIGAKU RINT2500(株式会社リガク製))を用いて、各実施例及び比較例で得られた本発明化合物の粉末X線回折分析法のパターンを以下の条件で測定し、その結果を図4に示した。
X線源:Cu-Kα
管電圧40kV
管電流50mA
走査速度:2°/分
一方、化合物4ではシュードベーマイトのピークを有する化合物が生成し、化合物5ではベーマイトのピークを有する化合物が生成していた。
フッ素の吸着試験においては、フッ化物イオン濃度が1000mg/Lの標準溶液を10mg/Lに希釈し、1Nの硫酸及び1Nの水酸化ナトリウム水溶液にて、pHが5、7、9となるように調整した。この調整した溶液200mLに対し、実施例及び比較例で得た各化合物を0.04g添加し、マグネティックスターラーにて撹拌しながら、液固比5000にて吸着試験を行った。上記の各化合物を添加後pHが変動するため、常にpHが5、7、9となるように硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH調整を行った。2時間撹拌を行った後、0.45μmのフィルターを用いて吸引ろ過により固液分離した。回収したろ液には、クエン酸を添加し、フッ化物イオン電極によりフッ素イオン濃度を測定した。
pH7での吸着量は、化合物3では21mg/g、化合物4では23mg/g、化合物5では17mg/gであった。
Claims (12)
- アルミニウム水和物を含む、有害物質吸着剤であって、
前記アルミニウム水和物が、管電圧40kV、管電流50mAにてCu-Kαを線源として用いた粉末X線回折パターンにおいて、回折角度2θにおける8.5°±0.5°、28°±0.5°、49°±0.5°及び65°±0.5°にピークを有する、有害物質吸着剤。 - 有害物質がフッ素又はその化合物である、請求項1に記載の有害物質吸着剤。
- 有害物質がホウ素又はその化合物である、請求項1に記載の有害物質吸着剤。
- 前記アルミニウム水和物において、アルミニウムに対するケイ素のモル比(Si/Al)が0~0.6である、請求項1~3のいずれか一項に記載の有害物質吸着剤。
- 前記アルミニウム水和物において、アルミニウムに対するケイ素のモル比(Si/Al)が0.3以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の有害物質吸着剤。
- 前記アルミニウム水和物において、アルミニウムに対するケイ素のモル比(Si/Al)が0.1以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の有害物質吸着剤。
- 管電圧40kV、管電流50mAにてCu-Kαを線源として用いた粉末X線回折パターンにおいて、回折角度2θにおける8.5°±0.5°、28°±0.5°、49°±0.5°及び65°±0.5°にピークを有するアルミニウム水和物。
- アルミニウムに対してケイ素のモル比(Si/Al)が0.1以下のケイ素を含有する、請求項7に記載のアルミニウム水和物。
- 請求項7に記載のアルミニウム水和物の製造方法であって、
アルミニウムに対するケイ素のモル比(Si/Al)が0.6以下である、アルミニウムを含む溶液又はアルミニウムとケイ素とを含む溶液を10~50℃の範囲の温度下にて、pH5~9の範囲で中和する工程を含む、製造方法。 - 前記中和工程で得られた固形物の懸濁液を加熱処理する工程を含む、請求項9に記載のアルミニウム水和物の製造方法。
- 前記モル比(Si/Al)が0.3以下である、請求項9又は10に記載のアルミニウム水和物の製造方法。
- 有害物質が存在する水又は土壌に、請求項1~6のいずれか一項に記載の有害物質吸着剤を混合し、有害物質を吸着させ、次いで、有害物質吸着剤を分離する、有害物質の除去方法。
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