JP2018043207A - 金属イオン吸着剤 - Google Patents

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紘揮 三國
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聡美 根本
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馨 今野
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Nobuyuki Ogawa
信之 小川
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Abstract

【課題】金属イオンの吸着能に優れる金属イオン吸着剤を提供する。【解決手段】Si及びAlの元素モル比Si/Alが0.3〜3.0であり、27Al−NMRスペクトルが3ppm近辺にピークを有し、29Si−NMRスペクトルが−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有し、Na含有率が2.5質量%以下であるアルミニウムケイ酸塩を含む金属イオン吸着剤。【選択図】なし

Description

本発明は金属イオン吸着剤に関する。
近年、飲料水中に含まれる遊離残留塩素等の有害物質を除去することが望まれている。また、水道配管として鉛含有材が使われている例が未だ多く、重金属イオンの除去性能にも優れる浄水器が要望されている。
重金属を除去するための活性炭成型体として、例えば、繊維状活性炭、重金属吸着性能を有する粒径0.1μm〜90μmの微粒子無機化合物及びバインダーからなる混合物を成型させた活性炭成型体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この活性炭成型体では、微粒子無機化合物として、アルミノケイ酸系ゼオライトが用いられている。
また、溶剤製造工程廃棄物、合成ゴム製造工程廃棄物等の産業廃棄物、各種研究施設からの廃棄物、医療廃棄物、更には家庭ゴミなどに含まれる重金属化合物の除去に関して、気相及び液相で重金属を除去できる重金属吸着剤として、例えば、活性炭、ゼオライト、ケイソウ土、天然砂及びセラミックスからなる群から選ばれる1種以上の多孔質物質に、キレート形成基含有化合物を結合させた重金属吸着剤が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−334543号公報 特開2000−342962号公報
特許文献1には、鉛以外の重金属の除去性能についての記載はなく、特許文献1の技術を金属イオン吸着剤に適用した場合に、金属イオン吸着能が十分ではない場合がある。また、特許文献2に記載の重金属吸着剤では、重金属を吸着するものの、吸着能について更なる向上が望まれている。
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、金属イオンの吸着能に優れる金属イオン吸着剤を提供することを課題とする。
上記課題を提供するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> Si及びAlの元素モル比Si/Alが0.3〜3.0であり、
27Al−NMRスペクトルにおいて3ppm近辺にピークを有し、
29Si−NMRスペクトルにおいて−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有し、
Na含有率が2.5質量%以下である、アルミニウムケイ酸塩を含む金属イオン吸着剤。
<2> 前記アルミニウムケイ酸塩の29Si−NMRスペクトルにおける−78ppm近辺のピークAと、−85ppm近辺のピークBとの面積比率(ピークB/ピークA)が、0.4〜9.0である<1>に記載の金属イオン吸着剤。
<3> 前記アルミニウムケイ酸塩のBET比表面積が、200m/g以上である<1>又は<2>に記載の金属イオン吸着剤。
<4> 前記アルミニウムケイ酸塩は、X線源としてCuKα線を用いた粉末X線回折スペクトルにおいて2θ=26°近辺にピークを有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の金属イオン吸着剤。
本発明によれば、金属イオンの吸着能に優れる金属イオン吸着剤を提供することができる。
実施例1に係るアルミニウムケイ酸塩の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例1に係るアルミニウムケイ酸塩の27Al−NMRスペクトルである。 実施例1に係るアルミニウムケイ酸塩の29Si−NMRスペクトルである。 実施例における各試料の粉末X線回折スペクトルである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本実施形態の金属イオン吸着剤は、Si及びAlの元素モル比Si/Alが0.3〜3.0であり、27Al−NMRスペクトルにおいて3ppm近辺にピークを有し、29Si−NMRスペクトルにおいて−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有し、Na含有率が2.5質量%以下である、アルミニウムケイ酸塩を含む。
以下、金属イオン吸着剤の成分について詳細に説明する。
<アルミニウムケイ酸塩>
本実施形態に係るアルミニウムケイ酸塩は、Si及びAlの元素モル比Si/Alが0.3〜3.0であり、27Al−NMRスペクトルにおいて3ppm近辺にピークを有し、29Si−NMRスペクトルにおいて−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有し、Na含有率が2.5質量%以下である(以下、「特定アルミニウムケイ酸塩」ともいう)。
特定アルミニウムケイ酸塩は、金属イオンの吸着能に優れる。特定アルミニウムケイ酸塩は、アルミニウムとケイ素とを含む酸化物塩であれば、必要に応じて、他の金属元素を含んでいてもよい。アルミニウムケイ酸塩としては、例えば、アロフェン、カオリン、ゼオライト、サポナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト及びイモゴライトが挙げられる。
特定アルミニウムケイ酸塩は、Si及びAlの元素モル比Si/Alが0.3〜3.0であり、金属イオンの吸着能が向上する観点から、0.35〜2.8であることが好ましく、0.4〜2.6であることがより好ましい。元素モル比Si/Alが0.3未満の場合には、特定アルミニウムケイ酸塩の吸着能の向上に寄与しないAlの量が過剰になりやすい。また、元素モル比Si/Alが3.0を超えると、特定アルミニウムケイ酸塩の吸着能の向上に寄与しないSiの量が過剰になりやすい。
Si及びAlの元素モル比Si/Alは、ICP発光分光装置(例えば、株式会社日立製作所のICP発光分光装置「P−4010」)を用いて、常法により測定できる。
特定アルミニウムケイ酸塩は、27Al−NMRスペクトルにおいて、3ppm近辺にピークを有する。27Al−NMR測定装置としては、例えば、ブルカー・バイオスピン株式会社のAV400WB型を用いることができる。具体的な測定条件は以下の通りである。
共鳴周波数:104MHz
測定方法:MAS(シングルパルス)
MAS回転数:10kHz
測定領域:52kHz
データポイント数:4096
resolution(測定領域/データポイント数):12.7Hz
パルス幅:3.0μsec
遅延時間:2秒
化学シフト値基準:α−アルミナを3.94ppm
window関数:指数関数
Line Broadening係数:10Hz
図2に、特定アルミニウムケイ酸塩の一例として、後述の実施例1に係る特定アルミニウムケイ酸塩の27Al−NMRスペクトルを示す。
図2に示すように、特定アルミニウムケイ酸塩は、27Al−NMRスペクトルにおいて、3ppm近辺にピークを有する。3ppm近辺のピークは、6配位のAlに由来するピークであると推定される。さらに、特定アルミニウムケイ酸塩は、55ppm付近にピークを有していてもよい。55ppm付近のピークは、4配位のAlに由来するピークであると推定される。
特定アルミニウムケイ酸塩は、27Al−NMRスペクトルにおいて、3ppm近辺のピークに対する、55pm付近のピークの面積比率が、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。
特定アルミニウムケイ酸塩は、29Si−NMRスペクトルにおいて、−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有する。29Si−NMR測定装置としては、例えば、ブルカー・バイオスピン株式会社のAV400WB型を用いることができる。具体的な測定条件は以下の通りである。
共鳴周波数:79.5MHz
測定方法:MAS(シングルパルス)
MAS回転数:6kHz
測定領域:24kHz
データポイント数:2048
resolution(測定領域/データポイント数):5.8Hz
パルス幅:4.7μsec
遅延時間:600秒
化学シフト値基準:TMSP−d(3−(トリメチルシリル)(2,2,3,3−)プロピオン酸ナトリウム)を1.52ppm
window関数:指数関数
Line Broadening係数:50Hz
図3に、特定アルミニウムケイ酸塩の一例として、後述の実施例1に係る特定アルミニウムケイ酸塩の29Si−NMRスペクトルを示す。
図3に示すように、特定アルミニウムケイ酸塩は、29Si−NMRスペクトルにおいて、−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有する。−78ppm近辺に現れるピークAは、イモゴライト、アロフェン類等の結晶構造のアルミニウムケイ酸塩に由来し、また、HO−Si−(OAl)という構造に起因すると考えられる。−85ppm近辺に現れるピークBは、粘土構造のアルミニウムケイ酸塩又は非晶質構造のアルミニウムケイ酸塩と考えられる。したがって、−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有する特定アルミニウムケイ酸塩は、結晶構造のアルミニウムケイ酸塩と、粘土構造又は非晶質構造のアルミニウムケイ酸塩との混合物又は複合体であると推定される。
特定アルミニウムケイ酸塩は、金属イオンの吸着能が向上する観点から、29Si−NMRスペクトルにおける−78ppm近辺のピークAと、−85ppm近辺のピークBとの面積比率(ピークB/ピークA)が、0.4〜9.0であることが好ましく、1.5〜9.0であることがより好ましく、2.0〜9.0であることが更に好ましく、2.0〜7.0であることが極めて好ましく、2.0〜5.0であることが特に好ましく、2.0〜4.0であることが最も好ましい。
29Si−NMRスペクトルにおける上記のピークの面積比率(ピークB/ピークA)を求める際には、まず29Si−NMRスペクトルにおいてベースラインを引く。図3では、−55ppmと−140ppmとを結んだ直線をベースラインとする。
次に、−78ppm近辺に現れるピークAと−85ppm近辺のピークBとの谷に当たる化学シフト値(図3では、−81ppm付近)で29Si−NMRスペクトルの曲線を区切る。
−78ppm近辺のピークAの面積は、図3においては、化学シフト軸と直交し−81ppmを通る直線と、上記のベースラインと、29Si−NMRスペクトルの曲線と、に囲まれた領域の面積であり、−85ppm近辺のピークBの面積は、化学シフト軸と直交し−81ppmを通る直線と、上記のベースラインと、29Si−NMRスペクトルの曲線と、に囲まれた領域の面積である。
なお、上記の各ピークの面積は、NMR測定装置に組み込まれた解析ソフトにより求めてもよい。
図1に、特定アルミニウムケイ酸塩の透過型電子顕微鏡(TEM)写真の一例を示す。図1に示す特定アルミニウムケイ酸塩は、後述の実施例1の特定アルミニウムケイ酸塩である。
図1に示されるように、特定アルミニウムケイ酸塩は、透過型電子顕微鏡(TEM)において100,000倍で観察したときに、長さ50nm以上の管状物が存在していないことが好ましい。
特定アルミニウムケイ酸塩の透過型電子顕微鏡(TEM)の観察は、100kVの加速電圧で行う。また観察試料としては、後述する特定アルミニウムケイ酸塩の製造方法における脱塩工程前の加熱後の溶液をTEM観察の試料作製用の支持体上に滴下し、次いで乾燥して薄膜としたものを用いる。なお、TEM画像のコントラストが充分に得られない場合には、コントラストが充分に得られるように熱処理後の溶液を適宜希釈したものを用いて観察試料を調製する。
特定アルミニウムケイ酸塩は、粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=26°近辺にピークを有することが好ましい。2θ=26°近辺のピークは、特定アルミニウムケイ酸塩に由来するピークと推定される。粉末X線回折は、X線源としてCuKα線を用いて行う。粉末X線回折装置としては、例えば、株式会社リガクのGeigerflex RAD−2Xを用いることができる。
具体的な粉末X線回折スペクトルの測定条件は以下の通りである。
発散スリット:1°
散乱スリット:1°
受光スリット:0.30mm
X線出力:40kV、40mA
さらに、特定アルミニウムケイ酸塩は、2θ=18.8°、20.3°、27.8°、40.6°及び53.3°近辺にピークを有してもよい。2θ=18.8°、20.3°、27.8°、40.6°及び53.3°近辺のピークは、副生物である水酸化アルミニウムに由来するピークと推定される。なお、後述の特定アルミニウムケイ酸塩の製造方法において、熱処理時の加熱温度を250℃以下とすることで水酸化アルミニウムの析出を抑えることができる。また、遠心分離等による脱塩処理時のpHを調整することによって、水酸化アルミニウムの含有量を調整することができる。
特定アルミニウムケイ酸塩は、金属イオンの吸着能が向上する観点から、BET比表面積が200m/g以上であることが好ましく、250m/g以上であることがより好ましく、280m/g以上であることが更に好ましい。また、BET比表面積の上限値は特に制限はなく、特定アルミニウムケイ酸塩中のSiとAlの一部がSi−O−Alという形で結合し、それが金属イオンの吸着能の向上に寄与しているという観点からは、BET比表面積は1500m/g以下であることが好ましく、1200m/g以下であることがより好ましく、1000m/g以下であることが更に好ましい。
特定アルミニウムケイ酸塩のBET比表面積は、JIS Z 8830(2013年)に準じて、77Kでの窒素吸着能から測定する。評価装置としては、例えば、QUANTACHROME社のAUTOSORB−1を用いることができる。BET比表面積の測定を行う際には、試料表面及び構造中に吸着している水分がガス吸着能に影響を及ぼすと考えられることから、まず、加熱による水分除去の前処理を行う。
前処理では、0.05gの測定試料を投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却する。この前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満として測定する。
特定アルミニウムケイ酸塩のNa含有率は2.5質量%以下である。特定アルミニウムケイ酸塩のNa含有率が2.5質量%以下であると、特定アルミニウムケイ酸塩の金属イオンの吸着能が向上する。特定アルミニウムケイ酸塩のNa含有率は、金属イオンの吸着能がより向上する観点から、2.3質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましい。
特定アルミニウムケイ酸塩のNa含有率は、常法の走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法により測定できる。具体的には、エネルギー分散型X線分析装置付きの走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)により切片化した試料の断面を観察し、特定アルミニウムケイ酸塩中のNa元素をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)により測定する。エネルギー分散型X線分析装置付きの走査型電子顕微鏡としては、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズの走査型電子顕微鏡「S−4800型」に株式会社堀場製作所のエネルギー分散型X線分析装置「EMAX ENERGY EX−350」を設置した分析装置を用いることができる。この分析装置を用いたときは、加速電圧15kVの条件で測定を行うことができる。
特定アルミニウムケイ酸塩は、合成してもよく、市販品を購入して用いてもよい。特定アルミニウムケイ酸塩を合成する場合、特定アルミニウムケイ酸塩の製造方法は、ケイ酸イオンを含む溶液及びアルミニウムイオンを含む溶液を混合して反応生成物を得る反応工程と、反応生成物を、水性媒体中、熱処理する熱処理工程と、を有し、必要に応じてその他の工程を有することができる。得られる特定アルミニウムケイ酸塩の収率、構造体形成等の観点から、少なくとも熱処理する工程の後で、脱塩を行う脱塩工程を有することが好ましい。
特定アルミニウムケイ酸塩の好ましい製造方法の一例としては、(a)ケイ酸イオンを含む溶液及びアルミニウムイオンを含む溶液を混合して反応生成物を得る工程と、(b)水性媒体中、熱処理する工程(合成工程)と、(c)上記工程(b)で熱処理して得られたものを、脱塩する工程(脱塩工程)と、(d)上記工程(c)で脱塩されたものをイオン交換する工程(イオン交換工程)と、を有し、必要に応じてその他の工程を有する方法である。また、洗浄工程は、必要に応じて上記工程(d)の前又は後に、追加してもよい。以下、この好ましい製造方法に従って、特定アルミニウムケイ酸塩の製造方法を説明する。
(a)反応生成物を得る工程
反応生成物を得る工程では、ケイ酸イオンを含む溶液と、アルミニウムイオンを含む溶液とを混合して、反応生成物であるアルミニウムケイ酸塩及び共存イオンを含む混合溶液を得る。ここで共存イオンとは、ナトリウムイオン、塩化物イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
(a−1)ケイ酸イオン及びアルミニウムイオン
アルミニウムケイ酸塩を合成する際、原料には、ケイ酸イオン及びアルミニウムイオンが必要となる。ケイ酸イオンを含む溶液(以下、「ケイ酸溶液」ともいう)を構成するケイ酸源としては、溶媒和した際にケイ酸イオンが生じるものであれば特に制限されない。
ケイ酸源としては、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、水ガラス、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アルミニウムイオンを含む溶液(以下、「アルミニウム溶液」ともいう)を構成するアルミニウム源は、溶媒和した際にアルミニウムイオンが生じるものであれば特に制限されない。アルミニウム源としては、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミニウムsec−ブトキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
溶媒としては、原料であるケイ酸源及びアルミニウム源と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができる。具体的には、水、エタノール等を使用することができる。熱処理時における溶液中の共存イオンの低減、及び、取扱いの容易さから、水を用いることが好ましい。
(a−2)混合比及び溶液の濃度
原料であるケイ酸源及びアルミニウム源をそれぞれ溶媒に溶解させて原料溶液(ケイ酸溶液及びアルミニウム溶液)を調製した後、原料溶液を互いに混合して混合溶液を得る。混合溶液中のSi及びAlの元素モル比Si/Alは、得られるアルミニウムケイ酸塩におけるSi及びAlの元素モル比Si/Alに合わせて、0.3〜3.0となるように調整し、好ましくは0.35〜2.8となるように調整し、より好ましくは0.4〜2.6となるように調整する。元素モル比Si/Alを0.3〜3.0とすることで、所望の特定アルミニウムケイ酸塩が合成され易くなる。
また、原料溶液の混合の際には、アルミニウム溶液に対してケイ酸溶液を徐々に加えることが好ましい。このようにすることで、所望の特定アルミニウムケイ酸塩の形成阻害要因となりうる、ケイ酸の重合を抑えることができる。
ケイ酸溶液のケイ素原子濃度は、特に制限はなく、1mmol/L〜3000mmol/Lが好ましい。
ケイ酸溶液のケイ素原子濃度が1mmol/L以上であると、生産性が向上し、効率よく特定アルミニウムケイ酸塩を製造できる傾向にある。またケイ素原子濃度が3000mmol/L以下であると、ケイ素原子濃度に応じて生産性がより向上する。
アルミニウム溶液のアルミニウム原子濃度は、特に制限はなく、100mmol/L〜2000mmol/Lが好ましい。
アルミニウム溶液のアルミニウム原子濃度が100mmol/L以上であると、生産性が向上し、効率よく特定アルミニウムケイ酸塩を製造できる傾向にある。またアルミニウム原子濃度が2000mmol/L以下であると、アルミニウム原子濃度に応じて生産性がより向上する。
(b)合成工程
合成工程では、水性媒体中、熱処理を行う。特定アルミニウムケイ酸塩を含む溶液(分散液)を、熱処理することで、規則的な構造を有する所望の特定アルミニウムケイ酸塩を形成することができる。
合成工程において特定アルミニウムケイ酸塩を得る場合の条件としては、例えば、ケイ原子濃度が1mmol/L以上且つアルミニウム原子濃度が100mmol/L以上とすることができる。中でも金属イオンの吸着能の観点から、ケイ原子濃度が1mmol/L以上3000mmol/L以下且つアルミニウム原子濃度が100mmol/L以上2000mmol/L以下であることが好ましく、ケイ原子濃度が10mmol/L以上2500mmol/L以下且つアルミニウム原子濃度が150mmol/L以上1500mmol/L以下であることがより好ましい。
ケイ原子濃度を1mmol/L以上且つアルミニウム原子濃度を100mmol/L以上とすることで、特定アルミニウムケイ酸塩を効率よく製造することができ、更に特定アルミニウムケイ酸塩の生産性も向上する。
また、ケイ原子濃度及びアルミニウム原子濃度は、ICP発光分光装置(例えば、株式会社日立製作所の「P−4010」)を用いて、定法により測定される。
ケイ原子濃度及びアルミニウム原子濃度が所定の濃度となるように調整する際には、溶媒を加えてもよい。溶媒としては、原料と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができる。溶媒としては、具体的には、水、エタノール等を使用することができ、熱処理時における溶液中の共存イオンの低減、及び取扱いの容易さから、水を用いることが好ましく、純水を用いることがより好ましい。
熱処理を行うことで、所望の構造を有する特定アルミニウムケイ酸塩を得ることができる。熱処理の温度は特に制限されない。所望の特定アルミニウムケイ酸塩を効率よく得る観点から、80℃〜250℃であることが好ましい。熱処理の温度が250℃以下であると、ベーマイト(水酸化アルミニウム)が析出することを抑制する傾向にある。また熱処理の温度が80℃以上であると、所望の特定アルミニウムケイ酸塩の合成速度が向上し、より効率よく所望の特定アルミニウムケイ酸塩を製造できる傾向にある。
熱処理の時間は特に制限されない。所望の構造を有する特定アルミニウムケイ酸塩をより効率的に得る観点から、96時間(4日)以内であることが好ましい。
(c)脱塩工程
合成工程において熱処理して得られたものは、脱塩工程において脱塩される。これにより金属イオンの吸着能に優れる金属イオン吸着剤を得ることができる。これは、例えば、以下のように考えることができる。すなわち、合成工程において熱処理して得られたものは、特定アルミニウムケイ酸塩の吸着サイトが共存イオンで塞がれている場合があり、期待する程の金属イオンの吸着能は得られない場合がある。そのため、合成工程で得られた特定アルミニウムケイ酸塩から共存イオンの少なくとも一部を除去する脱塩工程において、脱塩することで、金属イオンの吸着能に優れる金属イオン吸着剤が得られると考える。
脱塩工程で、脱塩する方法は、ケイ酸源及びアルミニウム源に由来するケイ酸イオン以外のアニオン(塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン等)及びアルミニウムイオン以外のカチオン(ナトリウムイオン等)の少なくとも一部を除去(脱塩)できればよく、特に制限されるものではない。脱塩工程としては、遠心分離を用いる方法、透析膜を用いる方法、加圧ろ過を用いる方法等が挙げられる。
また、必要に応じて除去したいカチオン(ナトリウムイオン等)に対して、後述の(d)イオン交換工程の前又後に、洗浄工程を追加してもよい。洗浄工程において、別種のカチオンを含む試薬(硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等)を添加して行ってもよい。
脱塩工程は、共存イオンの濃度が所定の濃度以下になるように行うことが好ましい。ここで共存イオンの濃度としては、例えば、脱塩工程で得られたものを、濃度が60g/Lとなるように純水に分散させた場合、500mmol/L以下とすることができる。このような共存イオン濃度とするには、具体的には例えば脱塩工程で得られたものを、濃度が60g/Lとなるように純水に分散させた場合に、その分散液の電気伝導率が4.0S/m以下となるように行うことが好ましく、1.0mS/m〜3.0S/mとなるように行うことがより好ましく、1.0mS/m〜2.0S/mとなるように行うことがより好ましい。
分散液の電気伝導率が4.0S/m以下であると、より優れた金属イオン吸着能を有する特定アルミニウムケイ酸塩を得られやすくなる傾向がある。
脱塩工程を、遠心分離を用いて行う場合、例えば以下のようにして行うことができる。熱処理後に得られた生成物に溶媒を添加して混合溶液を得る。混合溶液にアルカリ等を加えてpHを5〜10に調整する。pHを調整した溶液を遠心分離した後、上澄み溶液を排出してゲル状沈殿物として固体分離する。次いで固体分離されたものを溶媒に再分散させる。その際、分散液の容積を、遠心分離前の容積に戻すことが好ましい。再分散させた分散液を同様にして遠心分離して脱塩及び固体分離する操作を繰り返すことで、共存イオンの濃度を所定の濃度以下にすることができる。
脱塩工程においてはpHを例えば5〜10に調整することが好ましく、8〜10であることがより好ましい。pH調整に用いるアルカリは特に制限されない。pHの調整に用いるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム及びアンモニアが好ましい。
また遠心分離の条件は、製造規模又は使用する容器等に応じて適宜選択される。例えば、室温(25℃)下、1200G以上で1分間〜30分間とすることができる。遠心分離の条件としては、具体的には例えば、遠心分離装置として株式会社トミー精工のSuprema23及び同社のスタンダードロータNA−16を用いる場合、室温(25℃)下、3000min−1(回転/分)(1450G)以上で5分間〜10分間とすることができる。
脱塩工程における溶媒としては、熱処理後の生成物と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができ、溶媒としては、具体的には、水、エタノール等を使用することができる。溶媒としては、共存イオンの低減、及び、取扱いの容易さから、水を用いることが好ましく、純水を用いることより好ましい。なお、繰り返し複数回の脱塩を行う際は、pH調整を省略することが好ましい。
脱塩工程における脱塩の処理回数は、共存イオンの残存量によって設定すればよい。脱塩の処理回数としては、1〜6回が好ましく、1〜3回程度がより好ましい。1〜3回程度の脱塩を行うことで、特定アルミニウムケイ酸塩における共存イオンの残存量が充分に低減される傾向にある。
脱塩工程後の分散液については、残存する共存イオンの中でも、特に特定アルミニウムケイ酸塩の吸着能に影響を与える塩化物イオン及びナトリウムイオンの濃度が低減されていることが好ましい。すなわち、脱塩工程における脱塩後の特定アルミニウムケイ酸塩は、特定アルミニウムケイ酸塩を水に分散させて濃度400mg/Lの水分散液を調製したとき、水分散液において塩化物イオン濃度100mg/L以下及びナトリウムイオン濃度100mg/L以下となることが好ましい。塩化物イオン濃度100mg/L以下且つナトリウムイオン濃度100mg/L以下であると、特定アルミニウムケイ酸塩の吸着能を更に向上させることができる。塩化物イオン濃度は、50mg/L以下がより好ましく、10mg/L以下が更に好ましい。ナトリウムイオン濃度は、50mg/L以下がより好ましく、10mg/L以下が更に好ましい。塩化物イオン濃度及びナトリウムイオン濃度は、脱塩工程の処理回数又はpH調整に使用するアルカリの種類により調整することができる。
なお、塩化物イオン濃度及びナトリウムイオン濃度は、イオンクロマトグラフィー(例えば、日本ダイオネクス株式会社のDX−320及びDX−100)により通常の条件で測定される。
なお、ここで述べる「脱塩工程後の分散液」とは、脱塩工程を終了した後に溶媒を加えて、脱塩工程を行う前の容積に容積を戻した分散液を意味する。用いる溶媒は、原料と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができ、具体的には、水、エタノール等を使用することができるが、特定アルミニウムケイ酸塩における共存イオンの残存量の低減、及び、取扱いの容易さから、水を用いることが好ましく、純水を用いることがより好ましい。
(d)イオン交換工程
イオン交換工程では、脱塩工程で得られた特定アルミニウムケイ酸塩に対してイオン交換を行い、アルミニウムイオン以外のカチオン(ナトリウムイオン等)の少なくとも一部を除去する。イオン交換工程を行うことで、特定アルミニウムケイ酸塩に含まれるナトリウムイオン等の含有率を低減することができる。
イオン交換する方法は、除去したいカチオン(ナトリウムイオン等)の少なくとも一部が除去できればよく、特に制限されるものではない。イオン交換する方法としては、ナトリウムイオン等のカチオン対して、別種のカチオンを含む試薬(硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等)を添加して、イオン交換する方法が挙げられる。
特定アルミニウムケイ酸塩のBET比表面積は、脱塩工程において、溶媒量の調整により、調整することができる。
<金属イオン吸着剤>
本実施形態の金属イオン吸着剤は、特定アルミニウムケイ酸塩を含む。より具体的な使用方法としては、通液性を有するハニカム形状基材又は多孔質基材に金属イオン吸着剤をコーティングしてフィルタとして使用すること、粒状又は球状基材の表面に金属イオン吸着剤をコーティングしてこの基材を容器中に充填して使用すること、金属イオン吸着剤そのものを使用すること等が挙げられる。なお、基材としては、特に限定はなく、金属、セラミック、合成樹脂硬化物、木材等の天然素材などを用いることができる。
金属イオンの具体例としては、ニッケルイオン、銅イオン、マンガンイオン、コバルトイオン等が挙げられる。本実施形態の金属イオン吸着剤はこれらの金属イオンを効果的に吸着する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
<特定アルミニウムケイ酸塩の作製>
Al濃度:1mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液(640kg)に、Si濃度:2mol/Lの水ガラス(珪酸ソーダ3号、NaO・3SiO・mHO)(160kg)を加え、30分間攪拌した。次に、この溶液を乾燥器に入れ、98℃で5時間加熱した。
加熱後溶液に、濃度:25%の水酸化ナトリウム水溶液(285kg)を添加し、pH9に調整した。pHの調整を行うことにより溶液中のアルミニウムケイ酸塩を凝集させ、加圧ろ過により圧搾した。その後、加水を行って、リスラリー化して、ろ液を得た。得られたろ液を、株式会社堀場製作所のpHメータ(F−55)及び電気伝導率セル(9382−10D)を用いて、常温(25℃)で電気伝導率を測定したところ、0.3S/mであった。
上記の脱塩処理後のアルミニウムケイ酸塩溶液に対して、硝酸アンモニウムを7.6kg(アルミニウムケイ酸塩の固形分を1質量部としたとき、0.1質量部)添加し、30分攪拌してイオン交換を行った。攪拌後の溶液について、上記と同様の加圧ろ過により圧搾した。その後、加水を行って、リスラリー化して、ろ液を得た。得られたろ液の電気伝導率は0.3S/mであった。
イオン交換後に加圧ろ過し、得られたケーキ状の特定アルミニウムケイ酸塩を、スプレードライにより乾燥して粉末状にした。この粉末状の特定アルミニウムケイ酸塩を試料Aとした。
<BET比表面積>
試料AのBET比表面積を、窒素吸着能に基づいて測定した。評価装置には、窒素吸着測定装置(QUANTACHROME社のAUTOSORB−1)を用いた。これらの測定を行う際には、後述する試料の前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満とした。
前処理として、0.05gの試料Aを投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した。減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却した。なお、上記の前処理は自動制御で行った。試料AのBET比表面積は363m/gであった。
<粉末X線回折>
粉末X線回折は、株式会社リガクのGeigerflex RAD−2X(商品名)を用い、X線源として波長0.15418nmのCuKα線を用いて行なった。図4に、試料Aの粉末X線回折のスペクトルを示す。2θ=26°近辺、そして40°近辺にブロードなピークが観測された。
27Al−NMR>
27Al−NMRスペクトルの測定装置として、核磁気共鳴分光装置(ブルカー・バイオスピン株式会社のAV400WB型)を用い、下記条件で測定を行った。
共鳴周波数:104MHz
測定方法:MAS(シングルパルス)
MAS回転数:10kHz
測定領域:52kHz
データポイント数:4096
resolution(測定領域/データポイント数):12.7Hz
パルス幅:3.0μsec
遅延時間:2秒
化学シフト値基準:α−アルミナを3.94ppm
window関数:指数関数
Line Broadening係数:10Hz
図2に試料Aの27Al−NMRのスペクトルを示す。図2に示されるように、3ppm近辺にピークを有していた。また55ppm近辺に若干のピークが見られた。3ppm近辺のピークに対する、55ppm付近のピークの面積比率は、15%であった。
29Si−NMR>
29Si−NMRスペクトル測定装置としては、核磁気共鳴分光装置(ブルカー・バイオスピン株式会社のAV400WB型)を用い、下記条件で測定を行った。
共鳴周波数:79.5MHz
測定方法:MAS(シングルパルス)
MAS回転数:6kHz
測定領域:24kHz
データポイント数:2048
resolution(測定領域/データポイント数):5.8Hz
パルス幅:4.7μsec
遅延時間:600秒
化学シフト値基準:TMSP−d(3−(トリメチルシリル)(2,2,3,3−)プロピオン酸ナトリウム)を1.52ppm
window関数:指数関数
Line Broadening係数:50Hz
図3に試料Aの29Si−NMRのスペクトルを示す。図3に示されるように、−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有していた。−78ppm及び−85ppm近辺のピークの面積を上記方法により測定した。その結果、−78ppmのピークAの面積を1.0としたとき、−85ppmのピークBの面積比率(ピークB/ピークA)は2.6であった。
<元素モル比Si/Al>
常法のICP発光分光分析(株式会社日立製作所のICP発光分光装置「P−4010」)から求めたSi及びAlの元素モル比Si/Alは、0.5であった。
<透過型電子顕微鏡(TEM)観察>
図1に、試料Aを100,000倍で観察したときの透過型電子顕微鏡(TEM)の写真を示す。なお、TEM観察は、透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズのH−7100FA型)を用いて、100kVの加速電圧で行なった。また、TEM観察用の試料Aのサンプルは以下のようにして調製した。すなわち、最終の脱塩処理工程前の、加熱後の溶液(アルミニウムケイ酸塩濃度47g/L)を純水で10倍に希釈し、超音波照射処理を5分間行ったものをTEM観察の試料作製用の支持体上に滴下し、次いで自然乾燥して薄膜とすることで調製した。
図1に示されるように、試料Aでは長さ50nm以上の管状物が存在していない。
<Na含有率>
常法の走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(株式会社日立ハイテクノロジーズのS−4800型)から求めた試料AのNa含有率は0.4質量%だった。
[実施例2]
<特定アルミニウムケイ酸塩の作製>
Al濃度:1mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液(400kg)に、Si濃度:2mol/Lの水ガラス(珪酸ソーダ3号、NaO・3SiO・mHO)(400kg)を加え、30分間攪拌した。次に、この溶液を乾燥器に入れ、98℃で5時間加熱した。
加熱後の溶液に、濃度:25%の水酸化ナトリウム水溶液(125kg)を添加し、pHを9に調整した。pHの調整を行うことにより溶液中のアルミニウムケイ酸塩を凝集させ、加圧ろ過により圧搾した。その後、加水を行って、リスラリー化して、ろ液を得た。得られたろ液の電気伝導率は、株式会社堀場製作所のpHメータ(F−55)及び電気伝導率セル(9382−10D)を用いて、常温(25℃)で電気伝導率を測定したところ、0.3S/mであった。
上記の脱塩処理後のアルミニウムケイ酸塩溶液に対して、硝酸アンモニウムを8.6kg(アルミニウムケイ酸塩の固形分を1質量部としたとき、0.1質量部)添加し、30分攪拌してイオン交換を行った。攪拌後の溶液について、上記と同様の加圧ろ過により圧搾した。その後、加水を行って、リスラリー化して、ろ液を得た。得られたろ液の電気伝導率は0.2S/mであった。
イオン交換後に加圧ろ過し、得られたケーキ状の特定アルミニウムケイ酸塩をスプレードライにより乾燥して、粉末状にした。この粉末状の特定アルミニウムケイ酸塩を試料Bとした。
<BET比表面積>
実施例1と同様の方法で、BET比表面積を、窒素吸着能から測定した。試料BのBET比表面積は373m/gであった。
<粉末X線回折>
実施例1と同様の方法で、試料Bの粉末X線回折を行った。図4に、試料Bの粉末X線回折のスペクトルを示す。2θ=26°近辺にブロードなピークを有していた。
27Al−NMR>
実施例1と同様の条件で27Al−NMRのスペクトルを測定した。試料Bの27Al−NMRのスペクトルは、実施例1と同等なスペクトルを示した。3ppm近辺にピークを有し、また55ppm近辺に若干のピークが見られた。3ppm近辺のピークに対する、55ppm近辺のピークの面積比率は、15%であった。
29Si−NMR>
実施例1と同様の条件で29Si−NMRのスペクトルを測定した。試料Bの29Si−NMRのスペクトルは、実施例1と同等なスペクトルを示し、−78ppm及び−85ppm近辺にピークを有した。−78ppm及び−85ppm近辺のピークの面積を上記方法により測定した。その結果、−78ppm近辺のピークAの面積を1.0としたとき、−85ppm近辺のピークBの面積比率(ピークB/ピークA)は2.6であった。
<元素モル比Si/Al>
常法のICP発光分分析(株式会社日立製作所のICP発光分光装置「P−4010」)から求めたSi及びAlの元素モル比Si/Alは、2.0であった。
<透過型電子顕微鏡(TEM)写真観察>
試料Bを実施例1と同様の方法により100,000倍で観察したときの透過型電子顕微鏡(TEM)にて確認した結果、試料Bでは長さ50nm以上の管状物が存在していないことを確認した。
<Na含有率>
常法の走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(株式会社日立ハイテクノロジーズのS−4800型)から求めた試料BのNa含有率は1.9質量%であった。
[比較例1]
<特定アルミニウムケイ酸塩の作製>
Al濃度が1mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液(640kg)に、Si濃度が2mol/Lの水ガラス(珪酸ソーダ3号、NaO・3SiO・mHO)(160kg)を加え、30分間攪拌した。次に、この溶液を乾燥器に入れ、98℃で5時間加熱した。
加熱後溶液に、濃度が25%の水酸化ナトリウム水溶液(282kg)を添加し、pH9に調整した。pHの調整を行うことにより溶液中のアルミニウムケイ酸塩を凝集させ、加圧ろ過により圧搾した。その後、加水を行って、リスラリー化して、ろ液を得た。得られたろ液の電気伝導率は、株式会社堀場製作所のpHメータ(F−55)及び電気伝導率セル(9382−10D)を用いて、常温(25℃)で電気伝導率を測定したところ、0.2S/mであった。
加圧ろ過し、得られたケーキ状のアルミニウムケイ酸塩を、スプレードライにより乾燥して粉末状にした。この粉末状のアルミニウムケイ酸塩を試料Cとした。
<BET比表面積>
試料CのBET比表面積を、窒素吸着能に基づいて測定した。評価装置には、窒素吸着測定装置(QUANTACHROME社のAUTOSORB−1)を用いた。これらの測定を行う際には、後述する試料の前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満とした。
前処理として、0.05gの試料Cを投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した。減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却した。なお、上記の前処理は自動制御で行った。試料CのBET比表面積は199m/gであった。
<粉末X線回折>
粉末X線回折は、株式会社リガクのGeigerflex RAD−2X(商品名)を用い、X線源として波長0.15418nmのCuKα線を用いて行なった。図4に、試料Cの粉末X線回折のスペクトルを示す。2θ=26°近辺、そして40°近辺にブロードなピークが観測された。
実施例1と同様の条件で29Si−NMRのスペクトルを測定した。試料Cの29Si−NMRのスペクトルは、実施例1と同等なスペクトルを示し、−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有していた。−78ppm及び−85ppm近辺のピークの面積を上記方法により測定した。その結果、−78ppmのピークAの面積を1.0としたとき、−85ppmのピークBの面積比率(ピークB/ピークA)は2.6であった。
<元素モル比Si/Al>
常法のICP発光分光分析(株式会社日立製作所のICP発光分光装置「P−4010」)から求めたSi及びAlの元素モル比Si/Alは、0.5であった。
<透過型電子顕微鏡(TEM)写真観察>
試料Cを実施例1と同様の方法により100,000倍で観察したときの透過型電子顕微鏡(TEM)にて確認した結果、試料Cでは長さ50nm以上の管状物が存在していないことを確認した。
<Na含有率>
常法の走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(株式会社日立ハイテクノロジーズのS−4800型)から求めた試料CのNa含有率は4.2質量%だった。
<金属イオン吸着能>
試薬としてMn(BF、Co(BF、Cu(BF、Ni(BFを、溶媒として炭酸ジエチルを用いて、200ppmの金属イオン濃度調製溶液(Mn、Co、Cu及びNi)をそれぞれ調製した。各金属イオン濃度調製溶液10gに対して、試料A〜試料Cをそれぞれ0.1g添加した。48時間静置後の上澄みの金属イオン濃度(質量基準)を常法のICP発光分光分析(株式会社日立製作所のICP発光分光装置「P−4010」)から求めた結果を表1に示す。表1から、試料A及びBは、試料Cと比較して、Mn、Co、Cu及びNiのそれぞれの金属イオン濃度が減少した。このことから、試料Cと比較して、試料A及び試料Bは金属イオン吸着能が高いことが分かる。

Claims (4)

  1. Si及びAlの元素モル比Si/Alが0.3〜3.0であり、
    27Al−NMRスペクトルにおいて3ppm近辺にピークを有し、
    29Si−NMRスペクトルにおいて−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有し、
    Na含有率が2.5質量%以下である、アルミニウムケイ酸塩を含む金属イオン吸着剤。
  2. 前記アルミニウムケイ酸塩の29Si−NMRスペクトルにおける−78ppm近辺のピークAと、−85ppm近辺のピークBとの面積比率(ピークB/ピークA)が、0.4〜9.0である請求項1に記載の金属イオン吸着剤。
  3. 前記アルミニウムケイ酸塩のBET比表面積が、200m/g以上である請求項1又は請求項2に記載の金属イオン吸着剤。
  4. 前記アルミニウムケイ酸塩は、X線源としてCuKα線を用いた粉末X線回折スペクトルにおいて2θ=26°近辺にピークを有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属イオン吸着剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112495339A (zh) * 2020-10-13 2021-03-16 核工业北京化工冶金研究院 一种改性沸石吸附锰离子的方法

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