以下、本発明における調整方法の一実施形態について図面を参照して説明する。本発明における調整方法が適用される画像形成装置は、インクジェットプリンター、レーザープリンター、複写機、ファクシミリ又はこれら機能を兼ね備えた複合機等の用紙に画像を形成する電子機器に適用可能である。尚、前記用紙は、一般的な印刷用紙に限らず、透明フィルム等の印刷可能な記録媒体であってもよい。以下の実施形態では、本発明の調整方法が適用される画像形成装置の一例として、モノクロ印刷を行うインクジェットプリンターを用いて説明する。しかし、当該画像形成装置は、カラー印刷を行うインクジェットプリンターであってもよい。
<第一実施形態>
図1は、インクジェットプリンター1の側面断面図である。図1に示すように、インクジェットプリンター1は、用紙カセット11、ピックアップローラー12、レジストローラー対13、投光部15、撮像部14、検出部16、吸着ローラー17、搬送ベルト23、印字部21、排出ローラー対24及び排出トレイ26を備えている。
用紙カセット11には印刷前の用紙Pが積載して収納される。用紙Pはここからピックアップローラー12の駆動により1枚ずつ取り出されて第一搬送路31へ送り出される。レジストローラー対13は、第一搬送路31を通過した用紙Pを第二搬送路32へ搬送する。
投光部15は、第二搬送路32を介して撮像部14に対向する位置に配置され、撮像部14に向けて光を照射する。投光部15は、例えばLED(Light Emitting Diode)等によって構成される。
撮像部14は、用紙Pの搬送方向Yにおける印字部21よりも上流側に配置され、第二搬送路32を搬送される用紙Pの外形を表す外形画像を撮像する。用紙Pの外形には、用紙Pの搬送方向Yの先端及び後端と、用紙Pの搬送方向Yに直交する方向(以降、幅方向X)の両側端と、が含まれる。また、用紙Pにパンチ穴が設けられている場合、当該パンチ穴の外縁も用紙Pの外形に含まれる。撮像部14は、例えば、CIS(Contact Image Sensor)等の画像センサーによって構成される。撮像部14は、投光部15が照射した光が第二搬送路32を搬送された用紙Pに照射された場合に輝度差が大きく生じた箇所を用紙Pの外形として撮像する。
検出部16は、用紙Pの搬送方向Yにおける印字部21と撮像部14との間に配置され、当該配置された位置(所定位置)に第二搬送路32を搬送される用紙Pの先端が到達したことを検出する。検出部16は、例えば、反射型の光センサーによって構成され、第二搬送路32に向けて光を照射し、第二搬送路32を搬送された用紙Pによって反射された光を受光したときに、用紙Pの先端が到達したことを検出する。
第二搬送路32を通過した用紙Pは、吸着ローラー17と搬送ベルト23のニップ部を介して印字部21に対向する位置へ搬送される。吸着ローラー17は、搬送ベルト23に当接するように配置され、用紙Pを搬送ベルト23へ圧接して吸着させる。搬送ベルト23は、例えば静電吸着によって用紙Pを吸着して固定し、用紙Pを印字部21に対向する位置へ搬送する。搬送ベルト23には、例えば誘電体樹脂製のシートが用いられ、当該シートの両端部を互いに重ねて接合した無端形状のベルトや、継ぎ目を有しないベルトが用いられる。搬送ベルト23は、搬送方向Yにおける上流側の従動ローラー18と、下流側の駆動ローラー20と、テンションローラー19、22と、に掛け渡されている。駆動ローラー20が、図1の紙面上で時計回りに回転すると、従動ローラー18が連動して回り、搬送ベルト23が時計回りに回転する。これにより、吸着ローラー17と搬送ベルト23のニップ部を通過した用紙Pが搬送方向Yに搬送され、印字部21に対向する位置へ搬送される。テンションローラー19、22は、駆動ローラー20と従動ローラー18の間で搬送ベルト23がたるまないように力を与えるローラーである。
印字部21は、インクジェットプリンター1の筐体に配置され、搬送ベルト23によって搬送された用紙Pに向かって黒色のインク滴を吐出することによって、用紙Pに画像を形成する。印字部21によるインクの吐出方法としては、例えばピエゾ素子を用いてインク滴を押し出すピエゾ方式や、発熱体によって気泡を発生させ、その圧力でインク滴を吐出するサーマルインクジェット方式等が挙げられる。
印字部21によって画像が形成された用紙Pは、排出搬送路33を通り、排出ローラー対24によって排出トレイ26に排出される。尚、インクジェットプリンター1は、更に、搬送ベルト23の表面に付着したインクを除去するためのクリーニング装置等を備えていてもよい。
図2は、インクジェットプリンター1の電気的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、インクジェットプリンター1は、上記のピックアップローラー12、撮像部14、投光部15、検出部16、駆動ローラー20及び印字部21と制御部40と操作部50と通信部60と記憶部70とを備えている。
制御部40は、例えば、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリーと、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、これらの周辺回路等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。制御部40は、入力された指示信号等に応じて所定の制御プログラムに基づいた処理を実行し、各部への指示信号の出力、データ転送等を行ってインクジェットプリンター1を統括的に制御する。
制御部40は、不揮発性メモリー等に記憶された制御プログラムを実行することによって、生成部41、印刷部42及び調整部43として動作する。生成部41、印刷部42及び調整部43の詳細については、後述する。
操作部50は、ユーザーが操作画面やエラーメッセージ等を視認することができる表示パネルや、種々の操作命令を入力するための操作ボタン等を備える。操作部50は、図1において図示していないが、インクジェットプリンター1の本体上面等に配設される。
通信部60は、外部装置とのデータ送受信を行うための各種通信インターフェース回路を備える。例えば、通信部60は、外部のコンピュータから印刷指示信号と共に画像データを受信すると、当該受信した印刷指示信号及び画像データを制御部40に出力する。これに応じて、制御部40は、各部に制御信号を出力し、画像データが表す画像を用紙Pに形成する処理を行う。
記憶部70は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置によって構成され、制御部40による制御の下、各種データを記憶する。例えば、記憶部70には、通信部60から制御部40に入力された画像データ等が記憶される。
また、記憶部70には、画像の形成に関わる設定値が予め記憶されている。図3は、用紙P、撮像部14及び印字部21の位置関係を示す図である。図3では、紙面の下から上へ向かう方向を搬送方向Yとしている。また、搬送方向Yに直交する幅方向Xにおいて、紙面の左へ向かう方向を左方向又は-X方向とし、紙面の右へ向かう方向を右方向又は+X方向としている。
記憶部70には、図3に示すように、幅方向Xにおける印字部21の左方向の側端(一側端)から中央までの離間距離であるセンター距離CHの設定値が予め記憶されている。記憶部70には、幅方向Xにおける印字部21に対する撮像部14の相対位置を表す設定値として、印字部21の左方向の側端(以降、左側端)と撮像部14の左側端との離間距離である相対距離MGの設定値が予め記憶されている。その他、記憶部70には、搬送方向Yにおける検出部16と印字部21との離間距離LH(図1)の設定値や、検出部16から印字部21まで用紙Pを離間距離LHだけ搬送するのに要する搬送時間TT(不図示)の設定値等が予め記憶されている。
<制御部40の詳細>
次に、生成部41、印刷部42及び調整部43の詳細について説明する。以降、左方向及び右方向とは、図3における左方向及び右方向を示すものとする。図4は、生成部41による印刷画像PDの生成処理の説明図である。
生成部41は、記憶部70に予め記憶されている相対距離MGの設定値MG0(不図示)に基づき、図4のセクション(A)に示すように、用紙Pに形成する対象画像TDの左側端と撮像部14が撮像した外形画像RDの左側端とが一致するように、対象画像TDに外形画像RDを重畳し、対象画像TDにおける外形画像RDで覆われない領域を余白領域に変更した印刷画像PDを生成する。
具体的には、図3に示すように、撮像部14による幅方向Xの撮像範囲は、印字部21による幅方向Xの画像形成範囲よりも相対距離MGだけ右方向にずれている。このため、生成部41は、撮像部14から制御部40に入力された外形画像RDを、記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGだけ左方向に移動させて、対象画像TDに重畳する。これにより、生成部41は、図4のセクション(A)に示すように、対象画像TDの左側端と外形画像RDの左側端とが一致するように、対象画像TDに外形画像RDを重畳して、印刷画像PDを生成する。
しかし、撮像部14が、設計公差や組立公差等によって、予め定められた配置位置から右方向にずれた位置に配置されている場合がある。これにより、印字部21に対する撮像部14の相対位置を表す相対距離MGが、記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも長くなっている場合がある。
この場合、撮像部14は、撮像部14が予め定められた配置位置に正しく配置されている場合よりも、左方向の位置に用紙Pの外形が存在するものとして、左方向にずれた外形画像RDを出力する。このため、図4のセクション(B)に示すように、生成部41は、当該左方向にずれた外形画像RDを、上述のように、記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGだけ左方向に移動させて対象画像TDに重畳し、印刷画像PDを生成する。その結果、対象画像TDにおける、右方向の側端(以降、右側端)から左方向に所定の長さを有する領域が余白領域に変換された印刷画像PDが生成される。
これとは反対に、撮像部14が、設計公差や組立公差等によって、予め定められた配置位置から左方向にずれた位置に配置されている場合がある。これにより、印字部21に対する撮像部14の相対位置を表す相対距離MGが、記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも短くなっている場合がある。
この場合、撮像部14は、撮像部14が予め定められた配置位置に正しく配置されている場合よりも、右方向の位置に用紙Pの外形が存在するものとして、右方向にずれた外形画像RDを出力する。このため、図4のセクション(C)に示すように、生成部41は、当該右方向にずれた外形画像RDを、上述のように、記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGだけ左方向に移動させて対象画像TDに重畳し、印刷画像PDを生成する。その結果、対象画像TDにおける、左側端から右方向に所定の長さを有する領域が余白領域に変換された印刷画像PDが生成される。
図5は、印刷部42による印刷画像PDにおける幅方向Xの中央と用紙Pにおける幅方向Xの中央とを一致させて印刷画像PDを用紙Pに形成する処理の説明図である。印刷部42は、記憶部70に予め記憶されている相対距離MGの設定値MG0に基づき、図5のセクション(A)に示すように、印刷画像PDにおける幅方向Xの中央と用紙Pにおける幅方向Xの中央とが一致するように、印字部21によって印刷画像PDを用紙Pに形成させる印刷処理を実行する。
具体的には、図3に示すように、印刷部42は、撮像部14による幅方向Xの撮像範囲の左側端と外形画像RDが表す用紙Pの外形の左側端との離間距離である左側端距離ST、当該範囲の左側端と外形画像RDが表す用紙Pの外形の右側端との離間距離である右側端距離ED及び記憶部70に記憶されている相対距離MGの設定値MG0を用いた下記式(1)によって、印字部21による幅方向Xの画像形成範囲の左側端から外形画像RDの幅方向Xにおける中央までの距離である用紙センター距離CPを算出する。
CP = ST + (ED-ST)/2 + MG0 ・・・(1)
印刷部42は、記憶部70に予め記憶されているセンター距離CHの設定値から当該算出した用紙センター距離CPを減算した結果が正の値を示す場合、用紙Pにおける幅方向Xの中央が、印字部21の幅方向Xの中央よりも左方向に存在すると判断する。この場合、印刷部42は、印刷画像PDに対応するインク滴の吐出位置を当該減算結果に応じた距離だけ左方向にずらして、用紙Pに印刷画像PDを形成する。
これとは反対に、印刷部42は、記憶部70に予め記憶されているセンター距離CHの設定値から前記算出した用紙センター距離CPを減算した結果が負の値を示す場合、用紙Pにおける幅方向Xの中央が、印字部21の幅方向Xの中央よりも右方向に存在すると判断する。この場合、印刷部42は、印刷画像PDに対応するインク滴の吐出位置を当該減算結果の絶対値に応じた距離だけ右方向にずらして、用紙Pに印刷画像PDを形成する。
これらにより、印刷部42は、図5のセクション(A)に示すように、印刷画像PDにおける幅方向Xの中央と用紙Pにおける幅方向Xの中央とが一致するように、印字部21によって印刷画像PDを用紙Pに形成させる印刷処理を実行する。
しかし、印字部21が、設計公差や組立公差等によって、予め定められた配置位置から左方向にずれた位置に配置されている場合がある。これにより、印字部21に対する撮像部14の相対位置を表す相対距離MGが、記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも長くなっている場合がある。
この場合、印刷部42は、上述のように、記憶部70に記憶されている相対距離MGの設定値MG0及びセンター距離CHの設定値を用いて、用紙Pにおける幅方向Xの中央が、実際よりも右方向に存在する印字部21の幅方向Xの中央からどれだけずれているかを判断する。このため、印刷部42は、例えば用紙Pにおける幅方向Xの中央が実際の印字部21の幅方向Xの中央よりも大きく右方向にずれていたとしても、用紙Pにおける幅方向Xの中央が少しだけ右方向にずれていると判断する。
この場合、印刷部42は、印刷画像PDにおける幅方向Xの中央と用紙Pにおける幅方向Xの中央とを一致させるために、印字部21による画像の形成位置を右方向に大きくずらす必要があるにも関わらず、右方向に少しだけずらすことになる。その結果、図5のセクション(B)に示すように、印刷画像PDにおける幅方向Xの中央が、用紙Pにおける幅方向Xの中央よりも左方向にずれた位置となるように、印刷画像PDが用紙Pに形成される。
これとは反対に、印字部21が、設計公差や組立公差等によって、予め定められた配置位置から右方向にずれた位置に配置されている場合がある。これにより、印字部21に対する撮像部14の相対位置を表す相対距離MGが、記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す距離よりも短くなっている場合がある。
この場合、印刷部42は、上述のように、記憶部70に記憶されている相対距離MGの設定値MG0とセンター距離CHの設定値とを用いて、用紙Pにおける幅方向Xの中央が、実際よりも左方向に存在する印字部21の幅方向Xの中央からどれだけずれているかを判断する。このため、印刷部42は、例えば用紙Pにおける幅方向Xの中央が実際の印字部21の幅方向Xの中央よりも大きく左方向にずれていたとしても、用紙Pにおける幅方向Xの中央が少しだけ左方向にずれていると判断する。
この場合、印刷部42は、印刷画像PDにおける幅方向Xの中央と用紙Pにおける幅方向Xの中央とを一致させるために、印字部21による画像の形成位置を左方向に大きくずらす必要があるにも関わらず、左方向に少しだけずらすことになる。その結果、図5のセクション(C)に示すように、印刷画像PDにおける幅方向Xの中央が、用紙Pにおける幅方向Xの中央よりも右方向にずれた位置となるように、印刷画像PDが用紙Pに形成される。
尚、生成部41は、検出部16が用紙Pの先端の到達を検出した時点から、記憶部70に予め記憶されている前記搬送時間TTの設定値が表す時間が経過した印刷時点になると、上述のようにして、幅方向Xに延びる所定ライン(例えば、3ライン)ずつ対象画像TDに外形画像RDを重畳し、所定ライン分の印刷画像PDを順次生成する。例えば、当該所定ラインは、印字部21による画像形成領域の搬送方向Yの長さに応じて予め定められ、記憶部70等に予め記憶されている。
図6は、印刷画像PDの先端と用紙Pの先端とを一致させて印刷画像PDを用紙Pに形成する処理の説明図である。これに合わせて、印刷部42は、生成部41による印刷画像PDの生成が開始されると印刷処理を開始する。印刷部42は、当該印刷処理において、生成部41によって生成された所定ライン分の印刷画像PDを、上述のようにして、印字部21に順次用紙Pに形成させる。これにより、生成部41及び印刷部42は、図6のセクション(A)に示すように、印刷画像PDの先端と用紙Pの先端とが一致するようにして、印刷画像PDを用紙Pに形成する。
しかし、印字部21が、設計公差や組立公差等によって、予め定められた配置位置よりも、搬送方向Yにおける下流側に配置されている場合がある。これにより、搬送方向Yにおける検出部16と印字部21の離間距離LH(図1)が、記憶部70に記憶されている離間距離LHの設定値が表す距離よりも長くなっている場合がある。これに合わせて、検出部16から印字部21まで用紙Pを離間距離LHだけ搬送するのに要する搬送時間TTが、記憶部70に記憶されている搬送時間TTの設定値が表す時間よりも長くなっている場合がある。
この場合、生成部41は、検出部16が用紙Pの先端の到達を検出した時点から、記憶部70に予め記憶されている搬送時間TTの設定値が表す時間が経過した時点になると、印字部21に用紙Pの先端が到達していないにも関わらず、印刷時点になったと判断し、印刷画像PDの形成を開始する。これにより、印刷部42は、当該印刷時点になると印刷処理を開始し、生成部41によって順次生成される所定ライン分の印刷画像PDを用紙Pに形成する。その結果、図6のセクション(B)に示すように、印刷画像PDの先端から一部の領域が用紙Pに形成されなくなる。
これとは反対に、印字部21が、設計公差や組立公差等によって、予め定められた配置位置よりも、搬送方向Yにおける上流側に配置されている場合がある。これにより、搬送方向Yにおける検出部16と印字部21との離間距離LH(図1)が、記憶部70に記憶されている離間距離LHの設定値が表す距離よりも短くなっている場合がある。これに合わせて、検出部16から印字部21まで用紙Pを離間距離LHだけ搬送するのに要する搬送時間TTが、記憶部70に記憶されている搬送時間TTの設定値が表す時間よりも短くなっている場合がある。
この場合、生成部41は、用紙Pの先端が印字部21を通過した後であるにも関わらず、検出部16が用紙Pの先端の到達を検出した時点から、記憶部70に記憶されている搬送時間TTの設定値が表す時間が経過した時点で、印刷時点になったと判断し、印刷画像PDの形成を開始する。これにより、印刷部42は、当該印刷時点になると印刷処理を開始し、生成部41によって順次生成される所定ライン分の印刷画像PDを用紙Pに形成する。その結果、図6のセクション(C)に示すように、用紙Pの先端から一部の領域には、余白領域が存在するようになる。
調整部43は、図4乃至図6のセクション(B)及び(C)を用いて上述したように、撮像部14又は印字部21が予め定められた配置位置とは異なる位置に配置されていることによって、用紙Pの不適切な位置に印刷画像PDが形成されることを解消するための調整処理を行う。
調整処理とは、後述する試験処理を行い、その結果、印刷画像PDが形成された用紙Pに基づき、記憶部70に予め記憶されている、相対距離MG、搬送方向Yにおける検出部16と印字部21との離間距離LH及び検出部16から印字部21まで用紙Pを離間距離LHだけ搬送するのに要する搬送時間TTの設定値を、ユーザーに調整させる処理である。
図7は、調整処理の流れを示すフローチャートである。操作部50又は通信部60から調整処理を開始する指示信号が制御部40に入力されると、調整部43は、調整処理を開始する。調整部43は、調整処理を開始すると、図7に示すように、先ず、試験処理を開始する(ステップS1)。
具体的には、調整部43は、ステップS1において、記憶部70に予め記憶されている第一調整画像D1(調整画像)を取得し、一枚の用紙Pの搬送を開始する。
図8は、第一調整画像D1の一例を示す図である。図8に示すように、第一調整画像D1には、自身の左側端から幅方向Xに所定の第一距離L1だけ離間した位置を搬送方向Yに延びる直線によって表すオフセット画像D1aと、自身の幅方向Xの中央を搬送方向Yに延びる直線によって表す中央画像D1bと、自身の先端から所定の第三距離L3だけ搬送方向Yの反対方向に離間した位置を幅方向Xに延びる直線によって表す先端画像Dyと、が含まれている。尚、第一距離L1及び第三距離L3は、記憶部70等に予め記憶されている。第三距離L3は、用紙Pが所定の第一時間T1(不図示)で搬送される距離に定められている。
また、第一調整画像D1には、オフセット画像D1aが表す直線に直交する複数の直線を表すオフセット目盛画像M1aと、オフセット画像D1aが表す直線及びオフセット目盛画像M1aが表す複数の直線と交差する直線を表すオフセット判断画像J1aと、が含まれる。また、第一調整画像D1には、オフセット目盛画像M1aが表す複数の直線の其々に対応付けられた調整値を表すオフセット調整値画像A1aが含まれる。
また、第一調整画像D1には、中央画像D1bが表す直線に直交する複数の直線を表す中央目盛画像M1bと、中央画像D1bが表す直線及び中央目盛画像M1bが表す複数の直線と交差する直線を表す中央判断画像J1bと、が含まれる。また、第一調整画像D1には、中央目盛画像M1bが表す複数の直線の其々に対応付けられた調整値を表す中央調整値画像A1bが含まれる。
また、第一調整画像D1には、先端画像Dyが表す直線に直交する複数の直線を表す先端目盛画像Myと、先端画像Dyが表す直線及び先端目盛画像Myが表す複数の直線と交差する直線を表す先端判断画像Jyと、が含まれる。また、第一調整画像D1には、先端目盛画像Myが表す複数の直線の其々に対応付けられた調整値を表す先端調整値画像Ayが含まれる。
図7に参照を戻す。そして、ステップS1の後、調整部43は、検出部16が用紙Pの先端の到達を検出するまで待機する(ステップS2;NO)。調整部43は、検出部16が用紙Pの先端の到達を検出すると(ステップS2;YES)、当該検出後、記憶部70に記憶されている搬送時間TTの設定値が表す時間が経過するまで待機する(ステップS3;NO)。
当該搬送時間TTの設定値が表す時間が経過した印刷時点になると(ステップS3;YES)、調整部43は、用紙Pの先端が印字部21に到達したと判断し、生成部41に印刷画像PDを生成させる処理を開始させる。ただし、試験処理において、調整部43は、印刷時点から所定の第一時間T1が経過するまでの間(ステップS4;NO)、生成部41によって、外形画像RDを第一調整画像D1に重畳させずに、第一調整画像D1における所定ライン分の領域を余白領域に変換した画像を、当該所定ライン分の印刷画像PDとして順次生成させる(ステップS5)。
一方、印刷時点から第一時間T1が経過すると(ステップS4;YES)、生成部41によって、幅方向Xに延びる所定ラインずつ第一調整画像D1に外形画像RDを重畳して、所定ライン分の印刷画像PDを順次生成させる(ステップS6)。ただし、調整部43は、ステップS6において、生成部41によって、記憶部70に予め記憶されている相対距離MGの設定値MG0に基づき、第一調整画像D1の左側端と外形画像RDの左側端とが一致するように第一調整画像D1に外形画像RDを重畳させた後、当該外形画像RDを右方向に更に所定の第一距離L1だけずらさせてから、印刷画像PDを生成させる。
そして、ステップS5及びステップS6において、生成部41による印刷画像PDの生成が開始されると、調整部43は、印刷部42に印刷処理を開始させる(ステップS7)。印刷部42は、ステップS7の印刷処理において、生成部41によって生成された所定ライン分の印刷画像PDを、印字部21に順次用紙Pに形成させる。印刷部42は、印字部21によって最終の所定ライン分の印刷画像PDが用紙Pに形成されると、印刷処理を終了する。
調整部43は、印刷処理が終了するまでの間(ステップS8;NO)、ステップS4以降の処理を繰り返させ、印刷処理が終了すると(ステップS8;YES)、試験処理を終了する(ステップS9)。
調整部43は、試験処理を終了すると、印刷処理によって印刷画像PDが形成された用紙Pに基づき、調整案内画面(不図示)を操作部50が備える表示パネルに表示する(ステップS10)。調整案内画面とは、記憶部70に予め記憶されている前記相対距離MG、前記離間距離LH及び前記搬送時間TTの設定値の調整を行うことをユーザーに案内し、当該調整をユーザーに行わせるための操作画面である。
調整案内画面には、例えば、記憶部70に予め記憶されている前記相対距離MG、前記離間距離LH及び前記搬送時間TTの設定値の調整を行うことをユーザーに案内するメッセージ、及び、当該各設定値の編集欄が含まれる。調整部43は、調整案内画面を表示パネルに表示するとき、当該各設定値の編集欄に、記憶部70に予め記憶されている当該各設定値を入力する。その後、当該編集欄では、ユーザーによる操作部50の操作によって、当該編集欄に入力されている各設定値が編集される。調整部43は、当該編集欄で編集された各設定値によって、記憶部70に記憶されている各設定値を更新する。
図9は、第一調整画像D1を用いて行う試験処理の説明図である。検出部16及び印字部21が用紙Pの搬送方向Yにおいて予め定められた配置位置に存在し、記憶部70に記憶されている前記離間距離LH及び前記搬送時間TTが正しい場合に、試験処理が行われたとする。この場合、印刷時点において用紙Pの先端が印字部21に到達し、印刷時点から第一時間T1が経過するまでの間に用紙Pが第三距離L3だけ搬送される。
この間に、ステップS5が行われることによって、図9のセクション(A)に示すように、第一調整画像D1の先端から搬送方向Yとは反対方向に第三距離L3だけ離間した位置までの領域が、所定ライン分ずつ余白領域に変換される。尚、説明の便宜上、図9のセクション(A)において、外形画像RDは少しずらして図示している。
そして、ステップS7が行われることによって、図9のセクション(B)に示すように、用紙Pの先端に搬送方向Yの長さが第三距離L3である余白領域が存在し、用紙Pの先端から搬送方向Yの反対方向に第三距離L3だけ離間した位置には先端画像Dyが形成される。つまり、用紙Pの先端に存在する余白領域の搬送方向Yの長さLTと第三距離L3との差分は0となる。
その後、ステップS6が行われることによって、図9のセクション(A)に示すように、記憶部70に予め記憶されている相対距離MGの設定値MG0に基づき、第一調整画像D1の左側端と外形画像RDの左側端とを一致させ、更に外形画像RDを右方向に第一距離L1ずらして第一調整画像D1に外形画像RDを重畳した場合に、第一調整画像D1における外形画像RDで覆われない領域が余白領域に変更された印刷画像PDが生成される。
そして、ステップS7が行われることによって、図9のセクション(B)に示すように、用紙Pの左側端には幅方向Xの長さが第一距離L1の余白領域が存在し、用紙Pの幅方向Xの中央には中央画像D1bが形成され、用紙Pの左側端から右方向に第一距離L1離間した位置にはオフセット画像D1aが形成される。つまり、用紙Pの左側端に存在する余白領域の幅方向Xの長さと第一距離L1との差分は0となる。また、用紙Pに形成された中央画像D1bが表す第一調整画像D1の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離は0となる。
一方、図4のセクション(B)及び(C)を用いて上述したように、撮像部14が予め定められた配置位置とは異なる位置に配置されていた場合に、試験処理を行ったとする。この場合、上述の試験処理が行われると、ステップS6において、記憶部70に予め記憶されている誤った相対距離MGの設定値MG0に基づき、第一調整画像D1に外形画像RDが重畳され、第一調整画像D1の左側端から右方向に第一距離L1とは異なる距離離間した位置までの領域が余白領域に変更された印刷画像PDが形成され、ステップS7の印刷処理が行われる。その結果、例えば図9のセクション(C)に示すように、用紙Pの左側端には幅方向Xの長さが第一距離L1とは異なる余白領域が存在するようになり、当該余白領域の幅方向Xの長さLSと第一距離L1との差分dsが0ではなくなる。
また、図5のセクション(B)及び(C)を用いて上述したように、印字部21が予め定められた配置位置とは異なる位置に存在し、記憶部70に予め記憶されている相対距離MGの設定値MG0が誤っている場合に、試験処理が行われるとする。この場合、ステップS7の印刷処理において、誤った相対距離MGの設定値MG0に基づき、印刷画像PDにおける幅方向Xの中央と用紙Pにおける幅方向Xの中央とが一致するようにして印刷画像が用紙Pに形成される。その結果、例えば図9のセクション(C)に示すように、用紙Pに形成された中央画像D1bが表す第一調整画像D1の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離dcが0ではなくなる。
また、図6のセクション(B)及び(C)を用いて上述したように、検出部16又は印字部21が用紙Pの搬送方向において予め定められた配置位置とは異なる位置に存在し、記憶部70に記憶されている前記搬送時間TTが誤っているとする。この場合、上述の試験処理が行われると、印刷時点において、用紙Pの先端の位置は印字部21とは異なる位置に存在する。したがって、印刷時点から第一時間T1が経過するまでの間に用紙Pが第三距離L3搬送されると、用紙Pの先端から搬送方向Yの反対方向に第三距離L3だけ離間した位置は、印字部21とは異なる位置に存在することになる。
このため、ステップS5及びステップS7によって、例えば図9のセクション(C)に示すように、第一調整画像D1の先端から搬送方向Yの反対方向に第三距離L3とは異なる距離だけ離間した位置までの領域が、所定ライン分ずつ余白領域に変換され、用紙Pの先端に搬送方向Yの長さが第三距離L3とは異なる余白領域が存在するようになる。つまり、用紙Pの先端に存在する余白領域の搬送方向Yの長さLTと第三距離L3との差分dtは0ではなくなる。
ユーザーは、ステップS10において表示パネルに調整案内画面が表示されると、用紙Pの左側端に存在する余白領域の幅方向Xの長さLSと第一距離L1との差分ds、用紙Pに形成された中央画像D1bが表す第一調整画像D1の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離dc、及び用紙Pの先端に存在する余白領域の搬送方向Yの長さLTと第三距離L3との差分dtが0であるか否かを判断する。
ユーザーは、前記差分ds、前記離間距離dc及び前記差分dtが全て0であれば、用紙Pに対する画像の形成位置にずれがないと判断し、操作部50を用いて調整処理の終了指示を入力する(S11;NO)。この場合、調整部43は、調整処理を終了する。一方、ユーザーは、前記差分ds、前記離間距離dc及び前記差分dtの少なくとも一つが0ではないと判断した場合、用紙Pに対する画像の形成位置にずれがあると判断する(ステップS11;YES)。この場合、ユーザーは、操作部50を用いて、前記差分ds、前記離間距離dc及び前記差分dtが全て0となるように、記憶部70に記憶されている前記相対距離MG、前記離間距離LH及び前記搬送時間TTの設定値を調整する(ステップS12)。
以下、ステップS11及びS12における各設定値の調整方法の詳細について説明する。先ず、試験処理後の用紙Pの左側端に存在する余白領域の幅方向Xの長さLSと第一距離L1との差分dsに基づく、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値の調整方法について説明する。
<差分dsに基づく調整方法>
図10は、試験処理後の用紙Pの左側端に存在する余白領域の幅方向Xの長さLSと第一距離L1との差分dsに基づく調整方法の説明図である。図8及び図10のセクション(A)に示すように、オフセット画像D1aが表す直線とオフセット判断画像J1aが表す直線とオフセット目盛画像M1aに含まれる複数の直線のうち、オフセット調整値画像A1aが表す調整値「0.0」に対応付けられた直線は、第一基準点P1aで交差するように配置されている。つまり、当該三個の直線は、試験処理後の用紙Pの左側端に、幅方向Xの長さが第一距離L1の余白領域が形成され、当該余白領域の幅方向Xの長さLSと第一距離L1との差分dsが0である場合に、当該余白領域の右側端が第一基準点P1a上に位置するように配置されている。
オフセット調整値画像A1aが表す調整値は、オフセット目盛画像M1aに含まれる複数の直線のうち、当該調整値が対応づけられた直線と試験処理後の用紙Pの左側端に存在する余白領域の右側端が交差している場合に、当該余白領域の幅方向Xの長さと第一距離L1との差分dsを0にするための前記相対距離MGの調整値を示している。
したがって、ユーザーは、ステップS11において、試験処理後の用紙Pの左側端に存在する余白領域の右側端が、第一基準点P1a上に位置する場合には、前記差分dsが0と判断する。
一方、例えば、図4のセクション(B)を用いて上述したように、撮像部14が予め定められた配置位置よりも右方向にずれて配置され、相対距離MGが記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも長くなっている場合に、試験処理が行われたとする。この場合、ステップS6において、左方向にずれた外形画像RDを第一調整画像D1に重畳して生成された印刷画像PDが、ステップS7において用紙Pに形成される。これにより、試験処理後の用紙Pの左側端には、幅方向Xの長さが第一距離L1よりも短い余白領域が存在するようになる。その結果、例えば、図10のセクション(B)に示すように、当該余白領域の右側端が、オフセット目盛画像M1aに含まれる複数の直線のうち、第一基準点P1aを含む直線よりも第一調整画像D1の後端側に存在する直線とオフセット判断画像J1aが表す直線との交差点Z1aにおいて交差する。
この場合、ユーザーは、ステップS11において、当該余白領域の右側端が第一基準点P1a上に位置しないので、前記差分dsが0ではないと判断する。そして、ステップS12において、ユーザーは、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値MG0の編集欄において、当該編集欄に入力されている設定値MG0に、交差点Z1aを含む直線に対応付けられている調整値を加算する。
尚、オフセット目盛画像M1aに含まれる複数の直線のうち、第一基準点P1aを含む直線よりも第一調整画像D1の後端に近い直線には、第一調整画像D1の後端に近い程、大きい正の調整値が対応付けられている。つまり、撮像部14が予め定められた配置位置よりも右方向に大きくずれて配置され、相対距離MGが記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも大幅に長くなっていることで、余白領域の右側端が第一基準点P1aよりも大きく左方向にずれる程、設定値MG0を大きく増大させる調整を適切に行えるように、調整値が定められている。
一方、例えば、図4のセクション(C)を用いて上述したように、撮像部14が予め定められた配置位置よりも左方向にずれて配置され、相対距離MGが、記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも短くなっている場合に、試験処理が行われたとする。この場合、ステップS6において、右方向にずれた外形画像RDを第一調整画像D1に重畳して生成された印刷画像PDが、ステップS7において用紙Pに形成される。これにより、試験処理後の用紙Pの左側端には、幅方向Xの長さが第一距離L1よりも長い余白領域が存在するようになる。その結果、当該余白領域の右側端は、オフセット目盛画像M1aに含まれる複数の直線のうち、第一基準点P1aを含む直線よりも、第一調整画像D1の先端側に存在する直線(例えば、図10のセクション(B)に示す調整値「-0.3」が対応付けられた直線)とオフセット判断画像J1aが表す直線との交差点において交差する。
この場合、ユーザーは、ステップS11において、当該余白領域の右側端が第一基準点P1a上に位置しないので、前記差分dsが0ではないと判断する。そして、ステップS12において、ユーザーは、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値MG0の編集欄において、当該編集欄に入力されている設定値MG0に、当該交差点を含む直線に対応付けられている調整値(例えば、「-0.3」)を加算する。
尚、オフセット目盛画像M1aに含まれる複数の直線のうち、第一基準点P1aを含む直線よりも第一調整画像D1の先端に近い直線には、第一調整画像D1の先端に近い程、絶対値が大きい負の調整値が対応付けられている。つまり、撮像部14が予め定められた配置位置よりも左方向に大きくずれて配置され、相対距離MGが記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも大幅に短くなっていることで、余白領域の右側端が第一基準点P1aよりも大きく右方向にずれる程、相対距離MGの設定値MG0を大きく減少させる調整が行えるように、調整値が定められている。
<離間距離dcに基づく調整方法>
次に、試験処理後の用紙Pに形成された中央画像D1bが表す第一調整画像D1の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離dcに基づく、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値の調整方法について説明する。
図11は、試験処理後の用紙Pに形成された中央画像D1bが表す第一調整画像D1の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離dcに基づく調整方法の説明図である。図8及び図11のセクション(A)に示すように、中央画像D1bが表す直線と中央判断画像J1bが表す直線とオフセット目盛画像M1bに含まれる複数の直線のうち、中央調整値画像B1bが表す調整値「0.0」に対応付けられた直線は、中央基準点P1bで交差するように配置されている。つまり、当該三個の直線は、試験処理後の用紙Pに形成された中央画像D1bが表す第一調整画像D1の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離dcが0である場合に、図11のセクション(A)に示すように、当該用紙Pを幅方向Xの中央で二つ折り(山折り)にしたときに、折り目が中央基準点P1b上に位置するように配置されている。
中央調整値画像A1bが表す調整値は、中央目盛画像M1bに含まれる複数の直線のうち、当該調整値が対応づけられた直線と試験処理後の用紙Pを幅方向Xの中央で二つ折り(山折り)にしたときの折り目が交差している場合に、中央画像D1bが表す第一調整画像D1の幅方向Xの中央と当該折り目が表す試験処理後の用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離dcを0にするための前記相対距離MGの調整値を示している。
したがって、ユーザーは、ステップS11において、試験処理後の用紙Pを幅方向Xの中央で二つ折り(山折り)にしたときの折り目が、中央基準点P1b上に位置する場合には、前記離間距離dcが0と判断する。
一方、例えば、図5のセクション(C)を用いて上述したように、印字部21が予め定められた配置位置よりも右方向にずれて配置され、相対距離MGが記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも短くなっている場合に、試験処理が行われたとする。この場合、ステップS7において、ステップS6で生成された印刷画像PDの幅方向Xの中央が、用紙Pの幅方向Xの中央よりも右方向にずれた位置となるように、印刷画像PDが用紙Pに形成される。これにより、試験処理後の用紙Pを幅方向Xの中央で二つ折り(山折り)にしたときの折り目が、図11のセクション(B)に示すように、中央基準点P1bを含む直線よりも、第一調整画像D1の先端側に存在する直線と中央判断画像J1bが表す直線との交差点Z1bにおいて交差する。
この場合、ユーザーは、ステップS11において、試験処理後の用紙Pを幅方向Xの中央で二つ折り(山折り)にしたときの折り目が、中央基準点P1b上に位置しないので前記離間距離dcが0ではないと判断する。そして、ステップS12において、ユーザーは、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値MG0の編集欄において、当該編集欄に入力されている設定値MG0に、交差点Z1bを含む直線に対応付けられている調整値を加算する。
尚、中央目盛画像M1bに含まれる複数の直線のうち、中央基準点P1bを含む直線よりも第一調整画像D1の先端に近い直線には、第一調整画像D1の先端に近い程、大きい絶対値の負の調整値が対応付けられている。つまり、印字部21が予め定められた配置位置よりも右方向に大きくずれて配置され、相対距離MGが記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも大幅に短くなっていることで、前記折り目が中央基準点P1bよりも大きく左方向にずれる程、設定値MG0を大きく減少させる調整を適切に行えるように、調整値が定められている。
一方、例えば、図5のセクション(C)を用いて上述したように、印字部21が予め定められた配置位置よりも左方向にずれて配置され、相対距離MGが記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも長くなっている場合に、試験処理が行われたとする。この場合、ステップS7において、ステップS6で生成された印刷画像PDの幅方向Xの中央が、用紙Pの幅方向Xの中央よりも左方向にずれた位置となるように、印刷画像PDが用紙Pに形成される。これにより、試験処理後の用紙Pを幅方向Xの中央で二つ折り(山折り)にしたときの折り目が、中央基準点P1bを含む直線よりも、第一調整画像D1の後端側に存在する直線(例えば、図11のセクション(B)に示す、調整値「0.1」が対応付けられた直線)と中央判断画像J1bが表す直線との交差点において交差する。
この場合、ユーザーは、ステップS11において、試験処理後の用紙Pを幅方向Xの中央で二つ折り(山折り)にしたときの折り目が、中央基準点P1b上に位置しないので前記離間距離dcが0ではないと判断する。そして、ステップS12において、ユーザーは、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値MG0の編集欄において、当該編集欄に入力されている設定値MG0に、当該交差点を含む直線に対応付けられている調整値(例えば、「0.1」)を加算する。
尚、中央目盛画像M1bに含まれる複数の直線のうち、中央基準点P1bを含む直線よりも第一調整画像D1の後端に近い直線には、第一調整画像D1の後端に近い程、大きい正の調整値が対応付けられている。つまり、印字部21が予め定められた配置位置よりも左方向に大きくずれて配置され、相対距離MGが記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも大幅に長くなっていることで、前記折り目が中央基準点P1bよりも大きく右方向にずれる程、設定値MG0を大きく増大させる調整を適切に行えるように、調整値が定められている。
<差分dtに基づく調整方法>
次に、用紙Pの先端に存在する余白領域の搬送方向Yの長さLTと第三距離L3との差分dtに基づく、記憶部70に記憶されている前記離間距離LH及び前記搬送時間TTの設定値の調整方法について説明する。
図12は、試験処理後の用紙Pの先端に存在する余白領域の搬送方向Yの長さに基づく調整方法の説明図である。図8及び図12のセクション(A)に示すように、先端画像Dyが表す直線と先端判断画像Jyが表す直線と先端目盛画像Myに含まれる複数の直線のうち、先端調整値画像Ayが表す調整値「0」に対応付けられた直線は、先端基準点Pyで交差するように配置されている。つまり、当該三個の直線は、試験処理後の用紙Pの先端に、搬送方向Yの長さが第三距離L3の余白領域が形成され、当該余白領域の搬送方向Yの長さLTと第三距離L3との差分dtが0である場合に、当該余白領域の後端が先端基準点Py上に位置するように配置されている。
先端調整値画像Ayが表す調整値は、先端目盛画像Myに含まれる複数の直線のうち、当該調整値が対応づけられた直線と試験処理後の用紙Pの先端に存在する余白領域の後端が交差している場合に、当該余白領域の搬送方向Yの長さと第三距離L3との差分dtを0にするための前記離間距離LHの調整値を示している。
したがって、ユーザーは、ステップS11において、試験処理後の用紙Pの先端に存在する余白領域の後端が、先端基準点Py上に位置する場合には、前記差分dtが0と判断する。
一方、例えば、図6のセクション(C)を用いて上述したように、印字部21が予め定められた配置位置よりも搬送方向Yにおける上流側に配置され、離間距離LHが記憶部70に記憶されている設定値が表す離間距離LHよりも短くなっている場合がある。これに合わせて、検出部16から印字部21まで用紙Pを離間距離LHだけ搬送するのに要する搬送時間TTが、記憶部70に記憶されている搬送時間TTの設定値が表す時間よりも短くなっている場合がある。この場合に、試験処理が行われると、用紙Pの先端が印字部21を通過した後に、ステップS7の印刷処理が開始され、試験処理後の用紙Pの先端には搬送方向Yの長さが第三距離L3よりも長い余白領域が存在するようになる。その結果、例えば、図12のセクション(B)に示すように、当該余白領域の後端が、先端目盛画像Myに含まれる複数の直線のうち、先端基準点Pyを含む直線よりも右方向に存在する直線と先端判断画像Jyが表す直線との交差点Zyにおいて交差する。
この場合、ユーザーは、ステップS11において、当該余白領域の後端が先端基準点Py上に位置しないので、前記差分dtが0ではないと判断する。そして、ステップS12において、ユーザーは、前記離間距離LHの設定値の編集欄において、当該編集欄に入力されている設定値に、交差点Zyを含む直線に対応付けられている調整値を減算する。また、調整部43は、当該調整値を減算した後の前記離間距離LHの設定値を用紙Pの所定の搬送速度で除算した結果を、前記搬送時間TTの設定値の編集欄に入力する。これにより、調整部43は、離間距離LHの設定値の調整に合わせて、前記搬送時間TTの設定値を自動的に調整する。尚、これに限らず、ユーザーが操作部50を用いて、離間距離LHの設定値を用紙Pの所定の搬送速度で除算した結果を、搬送時間TTの設定値の編集欄に入力するようにしてもよい。
尚、先端目盛画像Myに含まれる複数の直線のうち、先端基準点Pyを含む直線よりも第一調整画像D1の右側端に近い直線には、第一調整画像D1の右側端に近い程、大きい正の調整値が対応付けられている。つまり、印字部21が予め定められた配置位置よりも搬送方向Yにおける上流側に大きくずれて配置され、離間距離LHが記憶部70に記憶されている設定値が表す離間距離LHよりも大幅に短くなっていることで、余白領域の後端が先端基準点Pyよりも大きく搬送方向Yの反対方向にずれる程、離間距離LHの設定値を大きく減少させる調整を適切に行えるように、調整値が定められている。
一方、例えば、図6のセクション(B)を用いて上述したように、印字部21が予め定められた配置位置よりも搬送方向Yにおける下流側にずれて配置され、離間距離LHが記憶部70に記憶されている設定値が表す離間距離LHよりも長くなっている場合がある。これに合わせて、検出部16から印字部21まで用紙Pを離間距離LHだけ搬送するのに要する搬送時間TTが、記憶部70に記憶されている搬送時間TTの設定値が表す時間よりも長くなっている場合がある。この場合に、試験処理が行われると、用紙Pの先端が印字部21に到達する前に、ステップS7の印刷処理が開始され、試験処理後の用紙Pの先端には搬送方向Yの長さが第三距離L3よりも短い余白領域が存在するようになる。その結果、当該余白領域の後端が、先端目盛画像Myに含まれる複数の直線のうち、先端基準点Pyを含む直線よりも第一調整画像D1の左方向に存在する直線と先端判断画像Jyが表す直線との交差点において交差する。
この場合、ユーザーは、ステップS11において、当該余白領域の後端が、先端基準点Py上に位置しないので前記差分dtが0ではないと判断する。そして、ステップS12において、ユーザーは、前記離間距離LHの設定値の編集欄において、当該編集欄に入力されている設定値に、当該交差点を含む直線に対応付けられている調整値(例えば、「-0.5」)を減算する。また、調整部43は、当該調整値を減算した後の前記離間距離LHの設定値を用紙Pの所定の搬送速度で除算した結果を、前記搬送時間TTの設定値の編集欄に入力する。これにより、調整部43は、離間距離LHの設定値の調整に合わせて、前記搬送時間TTの設定値を自動的に調整する。尚、これに限らず、ユーザーが操作部50を用いて、離間距離LHの設定値を用紙Pの所定の搬送速度で除算した結果を、搬送時間TTの設定値の編集欄に入力するようにしてもよい。
尚、先端目盛画像Myに含まれる複数の直線のうち、先端基準点Pyを含む直線よりも第一調整画像D1の左側端に近い直線には、第一調整画像D1の左側端に近い程、絶対値が大きい負の調整値が対応付けられている。つまり、印字部21が予め定められた配置位置よりも搬送方向Yにおける下流側に大きくずれて配置され、離間距離LHが記憶部70に記憶されている設定値が表す離間距離LHよりも大幅に長くなっていることで、余白領域の後端が先端基準点Pyよりも大きく搬送方向Yにずれる程、離間距離LHの設定値を大きく増大させる調整を適切に行えるように、調整値が定められている。
このように、第一実施形態の構成によれば、印字部21及び撮像部14が予め定められた配置位置に存在しない場合であっても、調整処理を行うことによって、印字部21及び撮像部14が予め定められた配置位置に存在するときと同様、前記差分ds、前記離間距離dc、及び前記差分dtが0となるように、記憶部70に記憶されている前記相対距離MG、前記離間距離LH及び前記搬送時間TTの設定値を調整することができる。これにより、印字部21及び撮像部14が予め定められた配置位置に存在するときと同様、印刷画像PDを用紙Pの適切な位置に形成できるようになる。
<第二実施形態>
次に、本発明における調整方法の第二実施形態について説明する。尚、以下の説明では、第一実施形態と同一の構成要素については、第一実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
第二実施形態では、調整部43が、図7のステップS6において、生成部41によって、記憶部70に予め記憶されている相対距離MGの設定値MG0に基づき、第一調整画像D1に替えて、記憶部70に予め記憶されている後述の第二調整画像D2(調整画像)の左側端と外形画像RDの左側端とが一致するように、第二調整画像D2に外形画像RDを重畳させることで印刷画像PDを生成させ、更に、当該印刷画像PDの両側端から幅方向Xに第二距離L2離間した位置までの領域を余白領域に変更させる点が、第一実施形態とは異なっている。
また、第二実施形態では、調整部43が、図7のステップS11及びS12において、試験処理後の用紙Pの両側端に存在する余白領域の幅方向Xの長さと第二距離L2との差分及び用紙Pに形成された中央画像D2bが表す第二調整画像D2の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離が0になるように、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値を調整する点が異なっている。
図13は、第二調整画像D2の一例を示す図である。具体的には、図13に示すように、第二調整画像D2には、自身の両側端から幅方向Xに所定の第二距離L2だけ離間した位置を搬送方向Yに延びる直線によって表すオフセット画像D2a、D2cが含まれている。また、第二調整画像D2には、第一調整画像D1の中央画像D1bと同様、自身の幅方向Xの中央を搬送方向Yに延びる直線によって表す中央画像D2bが含まれている。また、第二調整画像D2には、第一調整画像D1の先端画像Dyと同様の先端画像Dyが含まれている。尚、第二距離L2は、記憶部70等に予め記憶されている。
また、第二調整画像D2には、オフセット画像D2a、D2cが表す直線に直交する複数の直線を表すオフセット目盛画像M2a、M2cと、オフセット画像D2a、D2cが表す直線及びオフセット目盛画像M2a、M2cが表す複数の直線と交差する直線を表すオフセット判断画像J2a、J2cと、が含まれる。また、第二調整画像D2には、オフセット目盛画像M2a、M2cが表す複数の直線の其々に対応付けられた調整値を表すオフセット調整値画像A2a、A2cが含まれる。
また、第二調整画像D2には、第一調整画像D1の中央目盛画像M1b、中央判断画像J1b及び中央調整値画像A1bと同様、中央画像D2bが表す直線に直交する複数の直線を表す中央目盛画像M2bと、中央画像D2bが表す直線及び中央目盛画像M2bが表す複数の直線と交差する直線を表す中央判断画像J2bと、中央目盛画像M2bが表す複数の直線の其々に対応付けられた調整値を表す中央調整値画像A2bと、が含まれる。また、第二調整画像D2には、第一調整画像D1と同様の、先端目盛画像My、先端判断画像Jy及び先端調整値画像Ayが含まれる。
以下、第二調整画像D2を用いて行う試験処理について説明する。図14は、第二調整画像D2を用いて行う試験処理の説明図である。検出部16及び印字部21が用紙Pの搬送方向Yにおいて予め定められた配置位置に存在し、記憶部70に記憶されている前記離間距離LH及び前記搬送時間TTが正しい場合に、試験処理が行われたとする。この場合、印刷時点において用紙Pの先端が印字部21に到達し、印刷時点から第一時間T1が経過するまでの間に用紙Pが第三距離L3だけ搬送される。この間、ステップS5が行われることによって、図14のセクション(A)に示すように、第二調整画像D2の先端から搬送方向Yとは反対方向に第三距離L3だけ離間した位置までの領域が、所定ライン分ずつ余白領域に変換される。そして、ステップS7が行われることによって、図14のセクション(B)に示すように、用紙Pの先端に搬送方向Yの長さが第三距離L3である余白領域が存在し、用紙Pの先端から搬送方向Yの反対方向に第三距離L3だけ離間した位置には先端画像Dyが形成される。つまり、用紙Pの先端に存在する余白領域の搬送方向Yの長さLTと第三距離L3との差分は0となる。
その後、ステップS6が行われることによって、図14のセクション(A)に示すように、記憶部70に予め記憶されている相対距離MGの設定値MG0に基づき、第二調整画像D2の左側端と外形画像RDの左側端とを一致させて第二調整画像D2に外形画像RDを重畳した場合に、第二調整画像D2における外形画像RDで覆われない領域が余白領域に変更された印刷画像PDが生成される。更に、当該印刷画像PDにおける両側端から幅方向Xに第二距離L2だけ離間した位置までの領域が余白領域に変更される。そして、ステップS7が行われることによって、図14のセクション(B)に示すように、用紙Pの両側端には幅方向Xの長さが第二距離L2の余白領域が存在し、用紙Pの幅方向Xの中央には中央画像D2bが形成され、用紙Pの両側端から第二距離L2だけ離間した位置にはオフセット画像D2a、D2cが形成される。つまり、用紙Pの両側端に存在する余白領域の幅方向Xの長さと第二距離L2との差分は0となる。また、用紙Pに形成された中央画像D2bが表す第二調整画像D2の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離は0となる。
一方、図4のセクション(B)及び(C)を用いて上述したように、撮像部14が予め定められた配置位置とは異なる位置に配置されていた場合に、試験処理を行ったとする。この場合、上述の試験処理が行われると、ステップS6において、記憶部70に予め記憶されている誤った相対距離MGの設定値MG0に基づき、第二調整画像D2に外形画像RDが重畳され、第二調整画像D2の両側端から幅方向Xに第二距離L2とは異なる距離離間した位置までの領域が余白領域に変更された印刷画像PDが形成され、ステップS7の印刷処理が行われる。その結果、例えば図14のセクション(C)に示すように、用紙Pの両側端には幅方向Xの長さが第二距離L2とは異なる余白領域が存在するようになり、当該余白領域の幅方向Xの長さLSa、LScと第二距離L2との差分dsa、dscが0ではなくなる。
また、図5のセクション(B)及び(C)を用いて上述したように、印字部21が予め定められた配置位置とは異なる位置に存在し、記憶部70に予め記憶されている相対距離MGの設定値MG0が誤っている場合に、試験処理が行われるとする。この場合、ステップS7の印刷処理において、誤った相対距離MGの設定値MG0に基づき、印刷画像PDにおける幅方向Xの中央と用紙Pにおける幅方向Xの中央とが一致するようにして印刷画像が用紙Pに形成される。その結果、例えば図14のセクション(C)に示すように、用紙Pに形成された中央画像D2bが表す第二調整画像D2の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離dcが0ではなくなる。
また、図6のセクション(B)及び(C)を用いて上述したように、検出部16又は印字部21が用紙Pの搬送方向において予め定められた配置位置とは異なる位置に存在し、記憶部70に記憶されている前記搬送時間TTが誤っているとする。この場合、上述の試験処理が行われると、印刷時点において、用紙Pの先端の位置は印字部21とは異なる位置に存在する。したがって、印刷時点から第一時間T1が経過するまでの間に用紙Pが第三距離L3だけ搬送されると、用紙Pの先端から搬送方向Yの反対方向に第三距離L3だけ離間した位置は、印字部21とは異なる位置に存在することになる。このため、ステップS5及びステップS7によって、例えば図14のセクション(C)に示すように、第二調整画像D2の先端から搬送方向Yの反対方向に第三距離L3とは異なる距離だけ離間した位置までの領域が所定ライン分ずつ余白領域に変換され、用紙Pの先端に搬送方向Yの長さが第三距離L3とは異なる余白領域が存在するようになる。つまり、用紙Pの先端に存在する余白領域の搬送方向Yの長さLTと第三距離L3との差分dtは0ではなくなる。
以下、ステップS11及びS12における記憶部70に記憶されている前記相対距離MG、離間距離LH及び搬送時間TTの設定値の調整方法の詳細について説明する。尚、試験処理後の用紙Pに形成された中央画像D2bが表す第二調整画像D2の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離dcが0になるように、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値MG0を調整する方法は、第一実施形態で説明した、用紙Pに形成された第一調整画像D1の中央画像D1bが表す第一調整画像D1の幅方向Xの中央と用紙Pの幅方向Xの中央との離間距離dcが0になるように、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値MG0を調整する方法と同様であるので、説明を省略する。また、第二調整画像D2の先端画像Dyを用いて、離間距離LH及び搬送時間TTの設定値を調整する方法も、第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
<差分dsa、dscに基づく調整方法>
以下では、試験処理後の用紙Pの両側端に存在する余白領域の幅方向Xの長さLSa、LScと第二距離L2との差分dsa、dscに基づく、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値MG0の調整方法について説明する。
図15は、試験処理後の用紙Pの両側端に存在する余白領域の幅方向Xの長さLSa、LScと第二距離L2との差分dsa、dscに基づく調整方法の説明図である。図13及び図15のセクション(A)に示すように、第二調整画像D2の左側端には、自身の左側端から幅方向Xに第二距離L2だけ離間した位置を搬送方向Yに延びる直線によって表すオフセット画像D2aと、オフセット画像D2aが表す直線に直交する複数の直線を表すオフセット目盛画像M2aと、オフセット画像D2aが表す直線及びオフセット目盛画像M2aが表す複数の直線と交差する直線を表すオフセット判断画像J2aと、オフセット目盛画像M2aが表す複数の直線の其々に対応付けられた調整値を表すオフセット調整値画像A2aが含まれる。
同様に、図13及び図15のセクション(C)に示すように、第二調整画像D2の右側端には、自身の右側端から幅方向Xに第二距離L2だけ離間した位置を搬送方向Yに延びる直線によって表すオフセット画像D2cと、オフセット画像D2cが表す直線に直交する複数の直線を表すオフセット目盛画像M2cと、オフセット画像D2cが表す直線及びオフセット目盛画像M2cが表す複数の直線と交差する直線を表すオフセット判断画像J2cと、オフセット目盛画像M2cが表す複数の直線の其々に対応付けられた調整値を表すオフセット調整値画像A2cが含まれる。
オフセット画像D2aが表す直線とオフセット判断画像J2aが表す直線とオフセット目盛画像M2aに含まれる複数の直線のうち、オフセット調整値画像A2aが表す調整値「39」に対応付けられた直線は、第二基準点P2aで交差するように配置されている。つまり、当該三個の直線は、試験処理後の用紙Pの左側端に、幅方向Xの長さが第二距離L2の余白領域が形成され、当該余白領域の幅方向Xの長さLSaと第二距離L2との差分dsaが0である場合に、当該余白領域の右側端が第二基準点P2a上に位置するように配置されている。
オフセット調整値画像A2aが表す調整値は、オフセット目盛画像M2aに含まれる複数の直線のうち、当該調整値が対応づけられた直線と試験処理後の用紙Pの左側端に存在する余白領域の右側端が交差している場合に、当該余白領域の幅方向Xの長さと第二距離L2との差分dsaを0にするための前記相対距離MGの調整値を示している。
オフセット画像D2cが表す直線とオフセット判断画像J2cが表す直線とオフセット目盛画像M2cに含まれる複数の直線のうち、オフセット調整値画像A2cが表す調整値「39」に対応付けられた直線は、第三基準点P2cで交差するように配置されている。つまり、当該三個の直線は、試験処理後の用紙Pの右側端に、幅方向Xの長さが第二距離L2の余白領域が形成され、当該余白領域の幅方向Xの長さLScと第二距離L2との差分dscが0である場合に、当該余白領域の左側端が第三基準点P2c上に位置するように配置されている。
オフセット調整値画像A2cが表す調整値は、オフセット目盛画像M2cに含まれる複数の直線のうち、当該調整値が対応づけられた直線と試験処理後の用紙Pの右側端に存在する余白領域の左側端が交差している場合に、当該余白領域の幅方向Xの長さと第二距離L2との差分dscを0にするための前記相対距離MGの調整値を示している。
したがって、ユーザーは、ステップS11において、試験処理後の用紙Pの左側端に存在する余白領域の右側端が、第二基準点P2a上に位置する場合には、前記差分dsaが0と判断する。また、ユーザーは、試験処理後の用紙Pの右側端に存在する余白領域の左側端が、第三基準点P2c上に位置する場合には、前記差分dscが0と判断する。
一方、例えば、図4のセクション(C)を用いて上述したように、撮像部14が予め定められた配置位置よりも左方向にずれて配置され、相対距離MGが記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも短くなっている場合に、試験処理が行われたとする。この場合、ステップS6において、右方向にずれた外形画像RDを第二調整画像D2に重畳して生成された印刷画像PDが、ステップS7において用紙Pに形成される。その結果、試験処理後の用紙Pの左側端には、幅方向Xの長さが第二距離L2よりも長い余白領域が存在し、試験処理後の用紙Pの右側端には、幅方向Xの長さが第二距離L2よりも短い余白領域が存在するようになる。
その結果、例えば、図15のセクション(B)に示すように、用紙Pの左側端に存在する余白領域の右側端が、オフセット目盛画像M2aに含まれる複数の直線のうち、第二基準点P2aを含む直線よりも第二調整画像D2の先端側に存在する直線とオフセット判断画像J2aが表す直線との交差点Z2aにおいて交差する。一方、図15のセクション(D)に示すように、用紙Pの右側端に存在する余白領域の左側端が、オフセット目盛画像M2cに含まれる複数の直線のうち、第三基準点P2cを含む直線よりも第二調整画像D2の後端側に存在する直線とオフセット判断画像J2cが表す直線との交差点Z2cにおいて交差する。
この場合、ユーザーは、ステップS11において、用紙Pの左側端に存在する余白領域の右側端が、第二基準点P2a上に位置しないので前記差分dsaが0ではないと判断する。また、ユーザーは、用紙Pの右側端に存在する余白領域の左側端が、第三基準点P2c上に位置しないので前記差分dscが0ではないと判断する。
そして、ステップS12において、ユーザーは、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値MG0の編集欄において、交差点Z2aを含む直線に対応付けられている調整値ADa(不図示)と、交差点Z2cを含む直線に対応付けられている調整値ADc(不図示)と、を用いた下記式(2)によって算出した調整値ADを、当該編集欄に入力されている設定値MG0に加算する。
AD = (ADa-ADc)/2 ・・・(2)
一方、例えば、図4のセクション(B)を用いて上述したように、撮像部14が予め定められた配置位置よりも右方向にずれて配置され、相対距離MGが記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGよりも長くなっている場合に、試験処理が行われたとする。この場合、ステップS6において、左方向にずれた外形画像RDを第二調整画像D2に重畳して生成された印刷画像PDが、ステップS7において用紙Pに形成される。その結果、試験処理後の用紙Pの左側端には、幅方向Xの長さが第二距離L2よりも短い余白領域が存在し、試験処理後の用紙Pの右側端には、幅方向Xの長さが第二距離L2よりも長い余白領域が存在するようになる。
その結果、用紙Pの左側端に存在する余白領域の右側端が、オフセット目盛画像M2aに含まれる複数の直線のうち、第二基準点P2aを含む直線よりも第二調整画像D2の後端側に存在する直線とオフセット判断画像J2aが表す直線との交差点において交差する。一方、用紙Pの右側端に存在する余白領域の左側端が、オフセット目盛画像M2cに含まれる複数の直線のうち、第三基準点P2cを含む直線よりも第二調整画像D2の先端側に存在する直線とオフセット判断画像J2cが表す直線との交差点において交差する。
この場合、ユーザーは、ステップS11において、用紙Pの左側端に存在する余白領域の右側端が、第二基準点P2a上に位置しないので前記差分dsaが0ではないと判断する。また、ユーザーは、用紙Pの右側端に存在する余白領域の左側端が、第三基準点P2c上に位置しないので前記差分dscが0ではないと判断する。
そして、ステップS12において、ユーザーは、記憶部70に記憶されている前記相対距離MGの設定値MG0の編集欄において、オフセット目盛画像M2aに含まれる複数の直線のうち、用紙Pの左側端に存在する余白領域の右側端とオフセット判断画像J2aが表す直線との交差点を含む直線に対応付けられている調整値ADa(不図示)と、オフセット目盛画像M2cに含まれる複数の直線のうち、用紙Pの右側端に存在する余白領域の左側端とオフセット判断画像J2cが表す直線との交差点を含む直線に対応付けられている調整値ADc(不図示)と、を用いた式(2)によって算出した調整値ADを、当該編集欄に入力されている設定値MG0に加算する。
尚、オフセット目盛画像M2aに含まれる複数の直線には、第二調整画像D2の後端に近い程、大きい正の調整値ADaが対応付けられ、これと同様に、オフセット目盛画像M2cに含まれる複数の直線にも、第二調整画像D2の後端に近い程、大きい正の調整値ADbが対応付けられている。また、式(2)を用いて、調整値ADaと調整値ADcの差分を二分の一にした値が前記相対距離MGの設定値MG0に加算される。
つまり、撮像部14が予め定められた配置位置からずれて配置され、相対距離MGが記憶部70に記憶されている設定値MG0が表す相対距離MGとは異なっていることで、印刷画像PDの生成のために第二調整画像D2に外形画像RDを重畳するときに、外形画像RDの幅方向Xの中央が第二調整画像D2の幅方向Xの中央からずれる量を、用紙Pの両側端の余白領域の幅方向Xのずれ量の差分から把握して、設定値MG0を適切に増減させる調整が行えるように調整値が定められている。
尚、上記第一乃び第二実施形態は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を上記実施形態に限定する趣旨ではない。例えば、以下に示す変形実施形態であってもよい。
(1)第一調整画像D1及び第二調整画像D2に、少なくとも先端画像Dy、先端判断画像Jy、先端目盛画像My及び先端調整値画像Ayを含めるようにし、その他の画像を含まないようにしてもよい。これに合わせて、ステップS10において表示される調整案内画面を、前記離間距離LH及び前記搬送時間TTの設定値の調整を行うことをユーザーに案内し、当該調整をユーザーに行わせるための操作画面として構成してもよい。そして、ステップS11及びステップS12において、ユーザーが、前記差分dtが0となるように前記離間距離LH及び前記搬送時間TTの設定値を編集する操作だけを行えるようにしてもよい。
又は、図7に示すステップS4及びステップS5を省略し、検出部16が用紙Pの先端の到達を検出した時点から搬送時間TTの設定値が表す時間が経過すると、ステップS6を行うようにしてもよい。これに合わせて、第一調整画像D1及び第二調整画像D2に、先端画像Dy、先端判断画像Jy、先端目盛画像My及び先端調整値画像Ayが含まれないようにしてもよい。そして、ステップS10において表示される調整案内画面を、前記相対距離MGの設定値の調整を行うことをユーザーに案内し、当該調整をユーザーに行わせるための操作画面として構成してもよい。そして、ステップS11及びステップS12において、前記差分dtが0となるように前記離間距離LH及び前記搬送時間TTの設定値を編集する操作を行えないようにしてもよい。
(2)第二調整画像D2にオフセット画像D2a、D2cが含まれないようにしてもよい。これに合わせて、第二調整画像D2に、オフセット目盛画像M2a、M2c、オフセット判断画像J2a、J2c、及びオフセット調整値画像A2a、A2cが含まれないようにしてもよい。この場合、ユーザーは、ステップS11において定規等を用いて用紙Pの両側端に存在する余白領域の幅方向Xの長さLSa、LScを測定し、当該測定した長さLSa、LScと第二距離L2との差分dsa、dscが0か否かを判断するようにしてもよい。
(3)第一調整画像D1にオフセット画像D1aが含まれないようにしてもよい。これに合わせて、第一調整画像D1に、オフセット目盛画像M1a、オフセット判断画像J1a及びオフセット調整値画像A1aが含まれないようにしてもよい。この場合、ユーザーは、ステップS11において定規等を用いて用紙Pの左側端に存在する余白領域の幅方向Xの長さLSを測定し、当該測定した長さLSと第一距離L1との差分dsが0か否かを判断するようにしてもよい。