JP7008291B1 - マスクの洗浄方法、洗浄液、洗浄装置、及び有機デバイスの製造方法 - Google Patents

マスクの洗浄方法、洗浄液、洗浄装置、及び有機デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極を形成する方法に使用したマスクを再利用するために、導電性材料が付着したマスクを洗浄する方法を提供する【解決手段】マスク50を洗浄する洗浄方法であって、マスクに洗浄液70を接触させることによってマスク50を洗浄する洗浄工程を備える。洗浄液70は、ヨウ化カリウム及びヨウ素を含む。洗浄液70の温度は、25℃未満である。【選択図】図9

Description

本開示の実施形態は、マスクの洗浄方法、洗浄液、洗浄装置、及び有機デバイスの製造方法に関する。
近年、スマートフォンやタブレットPC等の電子デバイスにおいて、高精細な表示装置が、市場から求められている。表示装置は、例えば、400ppi以上または800ppi以上等の素子密度を有する。
応答性の良さと、または/およびコントラストの高さと、を有するため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の素子を形成する方法として、素子を構成する材料を蒸着により基板に付着させる方法が知られている。例えば、まず、素子に対応するパターンで陽極が形成されている基板を準備する。続いて、マスクの貫通孔を介して有機材料を陽極の上に付着させ、陽極の上に有機層を形成する。続いて、有機層の上に陰極を形成する。マスクに付着した有機材料は、洗浄装置によって除去される。洗浄されたマスクは再利用される。
特開2006-100263号公報
陰極などの電極を形成する方法として、マスクの貫通孔を介して導電性材料を有機層に付着させる方法が考えられる。マスクを再利用するためには、導電性材料が付着したマスクを洗浄する方法の確立が求められる。
本開示の一実施形態による、マスクを洗浄する洗浄方法は、
前記マスクに洗浄液を接触させることによって前記マスクを洗浄する洗浄工程を備え、
前記洗浄液は、ヨウ化カリウム及びヨウ素を含み、
前記洗浄液の温度は、25℃未満である。
本開示の一実施形態によれば、導電性材料が付着したマスクを洗浄できる。
本開示の一実施形態による有機デバイスの一例を示す断面図である。 マスク装置を備えた蒸着装置の一例を示す図である。 マスク装置の一例を示す平面図である。 マスクの一例を示す平面図である。 マスクの一例を示す平面図である。 マスクの断面構造の一例を示す図である。 金属材料が付着したマスクの一例を示す断面図である。 洗浄工程においてマスクに生じる欠陥の一例を示す断面図である。 洗浄装置の一例を示す図である。 マスクの一例を示す平面図である。 例1~例26の洗浄方法の評価結果を示す図である。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」や「基材」や「板」や「シート」や「フィルム」などのある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待してもよい程度の範囲を含めて解釈する。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられてもよい。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「~」という記号によって表現される数値範囲は、「~」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34~38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
本明細書の一実施形態においては、マスクが、有機EL表示装置を製造する際に電極を基板上に形成するために用いられる例について説明する。ただし、マスクの用途が特に限定されることはなく、種々の用途に用いられるマスクに対し、本実施形態を適用することができる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置の電極を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。また、液晶表示装置の電極などの、有機EL表示装置以外の表示装置の電極を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。また、圧力センサの電極などの、表示装置以外の有機デバイスの電極を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。
本開示の第1の態様は、マスクを洗浄する洗浄方法であって、
前記マスクに洗浄液を接触させることによって前記マスクを洗浄する洗浄工程を備え、
前記洗浄液は、ヨウ化カリウム及びヨウ素を含み、
前記洗浄液の温度は、25℃未満である、洗浄方法である。
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様による洗浄方法において、
前記洗浄工程は、洗浄槽に収容されている前記洗浄液に前記マスクを浸すディップ工程を備えていてもよい。
本開示の第3の態様は、上述した第2の態様による洗浄方法において、
前記洗浄工程は、前記洗浄液に超音波を付与する超音波工程を備えてもよい。
本開示の第4の態様は、上述した第3の態様による洗浄方法において、
前記超音波の周波数は、100kHz以上であってもよい。
本開示の第5の態様は、上述した第4の態様による洗浄方法において、
前記超音波の周波数は、1MHz以下であってもよい。
本開示の第6の態様は、上述した第1の態様から上述した第5の態様のそれぞれによる洗浄方法において、
前記洗浄液における前記ヨウ素の濃度は、20g/L以下であってもよい。
本開示の第7の態様は、上述した第1の態様から上述した第6の態様のそれぞれによる洗浄方法において、
前記洗浄液のpHは、5.00以下であってもよい。
本開示の第8の態様は、上述した第1の態様から上述した第7の態様のそれぞれによる洗浄方法において、
前記マスクは、ニッケルを含む鉄合金を含んでいてもよい。
本開示の第9の態様は、上述した第1の態様から上述した第8の態様のそれぞれによる洗浄方法において、
前記マスクの厚みは、100μm以下であってもよい。
本開示の第10の態様は、上述した第1の態様から上述した第9の態様のそれぞれによる洗浄方法において、
前記洗浄工程は、前記マスクに付着している金属材料を除去してもよい。
本開示の第11の態様は、上述した第10の態様による洗浄方法において、
前記金属材料は、マグネシウム銀を含んでいてもよい。
本開示の第12の態様は、マスクを洗浄するために用いられる洗浄液であって、
ヨウ化カリウム及びヨウ素を含む、洗浄液である。
本開示の第13の態様は、マスクを洗浄する洗浄装置であって、
洗浄液を収容する少なくとも1つの洗浄槽を備え、
前記洗浄液は、ヨウ化カリウム及びヨウ素を含む、洗浄装置である。
本開示の第14の態様は、上述した第13の態様による洗浄装置において、
前記少なくとも1つの洗浄槽は、前記洗浄液を収容する第1の洗浄槽と、前記洗浄液を収容する第2の洗浄槽と、を含み、
前記洗浄装置は、前記第1の洗浄槽から前記第2の洗浄槽へ前記マスクを搬送する搬送機構を備えていてもよい。
本開示の第15の態様は、有機デバイスの製造方法であって、
基板上の第1電極上の有機層上に、2以上のマスクを順に用いて蒸着法によって第2電極を形成する第2電極形成工程と、
第12の態様に記載の洗浄液を前記マスクに接触させることによって前記マスクを洗浄する洗浄工程と、備える、製造方法である。
本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
まず、マスクを用いることにより形成される電極を備える有機デバイス100について説明する。図1は、有機デバイス100の一例を示す断面図である。
有機デバイス100は、基板110と、基板110の面内方向に沿って並ぶ複数の素子115と、を含む。素子115は、例えば画素である。基板110は、2以上の種類の素子115を含んでいてもよい。例えば、基板110は、第1素子115A及び第2素子115Bを含んでいてもよい。図示はしないが、基板110は、第3素子を含んでいてもよい。第1素子115A、第2素子115B及び第3素子は、例えば、赤色画素、青色画素及び緑色画素である。
素子115は、第1電極120と、第1電極120上に位置する有機層130と、有機層130上に位置する第2電極140と、を有していてもよい。
有機デバイス100は、平面視において隣り合う2つの第1電極120の間に位置する絶縁層160を備えていてもよい。絶縁層160は、例えばポリイミドを含んでいる。絶縁層160は、第1電極120の端部に重なっていてもよい。
有機デバイス100は、アクティブ・マトリクス型であってもよい。例えば、図示はしないが、有機デバイス100は、複数の素子115のそれぞれに電気的に接続されているスイッチを備えていてもよい。スイッチは、例えばトランジスタである。スイッチは、対応する素子115に対する電圧又は電流のON/OFFを制御することができる。
基板110は、絶縁性を有する板状の部材であってもよい。基板110は、好ましくは、光を透過させる透明性を有する。基板110の材料としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のないリジッド材、あるいは、樹脂フィルム、光学用樹脂板、薄ガラス等の可撓性を有するフレキシブル材等を用いることができる。また、基材は、樹脂フィルムの片面または両面にバリア層を有する積層体であってもよい。
素子115は、第1電極120と第2電極140との間に電圧が印加されることにより、又は、第1電極120と第2電極140との間に電流が流れることにより、何らかの機能を実現するよう構成されている。例えば、素子115が、有機EL表示装置の画素である場合、素子115は、映像を構成する光を放出することができる。
第1電極120は、導電性を有する材料を含む。例えば、第1電極120は、金属、導電性を有する金属酸化物や、その他の導電性を有する無機材料などを含む。第1電極120は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの、透明性及び導電性を有する金属酸化物を含んでいてもよい。
有機層130は、有機材料を含む。有機層130に通電されると、有機層130は、何らかの機能を発揮することができる。通電とは、有機層130に電圧が印加されること、又は有機層130に電流が流れることを意味する。有機層130としては、通電により光を放出する発光層、通電により光の透過率や屈折率が変化する層などを用いることができる。有機層130は、有機半導体材料を含んでいてもよい。
図1に示すように、有機層130は、第1有機層130A及び第2有機層130Bを含んでいてもよい。第1有機層130Aは、第1素子115Aに含まれる。第2有機層130Bは、第2素子115Bに含まれる。図示はしないが、有機層130は、第3素子に含まれる第3有機層を含んでいてもよい。第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層は、例えば、赤色発光層、青色発光層及び緑色発光層である。
第1電極120と第2電極140との間に電圧を印加すると、両者の間に位置する有機層130が駆動される。有機層130が発光層である場合、有機層130から光が放出され、光が第2電極140側又は第1電極120側から外部へ取り出される。
有機層130は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層などを更に含んでいてもよい。
第2電極140は、金属などの、導電性を有する材料を含む。第2電極140は、マスクを用いる蒸着法によって有機層130の上に形成される。第2電極140を構成する材料としては、白金、金、銀、銅、鉄、錫、クロム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロム、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、炭素等を用いることができる。これらの材料は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を用いる場合には、各材料からなる層を積層してもよい。また、2種類以上の材料を含む合金を用いてもよい。例えば、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金を用いることができる。MgAgのことを、マグネシウム銀とも称する。マグネシウム銀は、第2電極140の材料として好ましく用いられる。アルカリ金属類およびアルカリ土類金属類の合金等を用いてもよい。例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等を用いてもよい。
マグネシウム銀における銀の重量比率は、例えば、5%以上でもよく、50%以上でもよく、90%以上でもよい。銀の重量比率は、例えば、95%以下でもよく、97%以下でもよく、99%以下でもよい。銀の重量比率の範囲は、5%、50%及び90%からなる第1グループ、及び/又は、95%、97%及び99%からなる第2グループによって定められてもよい。銀の重量比率の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。銀の重量比率の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。銀の重量比率の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5%以上99%以下でもよく、5%以上97%以下でもよく、5%以上95%以下でもよく、5%以上90%以下でもよく、5%以上50%以下でもよく、50%以上99%以下でもよく、50%以上97%以下でもよく、50%以上95%以下でもよく、50%以上90%以下でもよく、90%以上99%以下でもよく、90%以上97%以下でもよく、90%以上95%以下でもよく、95%以上99%以下でもよく、95%以上97%以下でもよく、97%以上99%以下でもよい。
図1に示すように、第2電極140は、第1層140A及び第2層140Bを含んでいてもよい。第1層140Aは、第1のマスクを用いる蒸着工程によって形成される層である。第2層140Bは、第2のマスクを用いる蒸着工程によって形成される層である。このように、本実施の形態においては、2以上のマスクを用いて第2電極140を形成してもよい。これにより、平面視における第2電極140のパターンの自由度が高くなる。例えば、有機デバイス100は、平面視において第2電極140が存在しない領域を含むことができる。第2電極140が存在しない領域は、第2電極140が存在する領域に比べて高い透過率を有することができる。
図1に示すように、第1層140Aの端部と第2層140Bの端部とが部分的に重なっていてもよい。これにより、第1層140Aと第2層140Bとを電気的に接続できる。
図示はしないが、第2電極140は、第3層などのその他の層を含んでいてもよい。第3層などのその他の層は、第1層140A及び第2層140Bに電気的に接続されていてもよい。
以下の説明において、第2電極140の構成のうち、第1層140A、第2層140B、第3層などに共通する構成を説明する場合には、「第2電極140」という用語及び符号を用いる。
第2電極140の厚みは、例えば、5nm以上でもよく、20nm以上でもよく、50nm以上でもよく、100nm以上でもよい。第1層140Aの厚みは、例えば、200nm以下でもよく、500nm以下でもよく、1μm以下でもよく、100μm以下でもよい。第2電極140の厚みの範囲は、5nm、20nm、50nm及び100nmからなる第1グループ、及び/又は、200nm、500nm、1μm及び100μmからなる第2グループによって定められてもよい。第2電極140の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第2電極140の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2電極140の厚みの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5nm以上100μm以下でもよく、5nm以上1μm以下でもよく、5nm以上500nm以下でもよく、5nm以上200nm以下でもよく、5nm以上100nm以下でもよく、5nm以上50nm以下でもよく、5nm以上20nm以下でもよく、20nm以上100μm以下でもよく、20nm以上1μm以下でもよく、20nm以上500nm以下でもよく、20nm以上200nm以下でもよく、20nm以上100nm以下でもよく、20nm以上50nm以下でもよく、50nm以上100μm以下でもよく、50nm以上1μm以下でもよく、50nm以上500nm以下でもよく、50nm以上200nm以下でもよく、50nm以上100nm以下でもよく、100nm以上100μm以下でもよく、100nm以上1μm以下でもよく、100nm以上500nm以下でもよく、100nm以上200nm以下でもよく、200nm以上100μm以下でもよく、200nm以上1μm以下でもよく、200nm以上500nm以下でもよく、500nm以上100μm以下でもよく、500nm以上1μm以下でもよく、1μm以上100μm以下でもよい。
次に、第2電極140を蒸着法によって形成する方法について説明する。図2は、蒸着装置10を示す図である。蒸着装置10は、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する。
図2に示すように、蒸着装置10は、その内部に、蒸着源6、ヒータ8、及びマスク装置40を備えていてもよい。また、蒸着装置10は、蒸着装置10の内部を真空雰囲気にするための排気手段を更に備えていてもよい。蒸着源6は、例えばるつぼであり、金属材料などの蒸着材料7を収容する。ヒータ8は、蒸着源6を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料7を蒸発させる。マスク装置40は、るつぼ6と対向するよう配置されている。
図2に示すように、マスク装置40は、少なくとも1つのマスク50と、マスク50を支持するフレーム41と、を備えていてもよい。フレーム41は、開口42を含んでいてもよい。マスク50は、平面視において開口42を横切るようにフレーム41に固定されていてもよい。また、フレーム41は、マスク50が撓むことを抑制するように、マスク50をその面方向に引っ張った状態で支持していてもよい。
マスク装置40は、図2に示すように、蒸着材料7を付着させる対象物である基板110にマスク50が対面するよう、蒸着装置10内に配置されている。マスク50は、蒸着源6から飛来した蒸着材料7を通過させる複数の貫通孔53を含む。以下の説明において、マスク50の面のうち、基板110の側に位置する面を第1面51aと称し、第1面51aの反対側に位置する面を第2面51bと称する。
蒸着装置10は、図2に示すように、基板110の第2面112側に配置されている冷却板4を備えていてもよい。冷却板4は、冷却板4の内部に冷媒を循環させるための流路を有していてもよい。冷却板4は、蒸着工程の際に基板110の温度が上昇することを抑制することができる。
蒸着装置10は、図2に示すように、基板110の第2面112側に配置されている磁石5を備えていてもよい。磁石5は、冷却板4の面のうちマスク装置40とは反対の側の面に配置されていてもよい。磁石5は、磁力によってマスク装置40のマスク50を基板110側に引き寄せることができる。これにより、マスク50と基板110との間の隙間を低減したり、隙間をなくしたりすることができる。このことにより、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することができる。本願において、シャドーとは、マスク50と基板110との間の隙間に蒸着材料7が入り込み、これによって第2電極140の厚みが不均一になる現象のことである。
図3は、マスク装置40の一例を示す平面図である。マスク50の形状は、長さ方向及び長さ方向に直交する幅方向を有する矩形であってもよい。長さ方向におけるマスク50の寸法は、幅方向におけるマスク50の寸法よりも小さい。以下の説明において、長さ方向をマスク第1方向とも称し、幅方向をマスク第2方向とも称する。マスク50は、第1端501、第2端502、第3端503及び第4端504を含んでもよい。第1端501及び第2端502は、マスク第1方向D1におけるマスク50の端である。第1端501及び第2端502は、マスク第2方向D2に延びる部分を含んでいてもよい。第3端503及び第4端504は、マスク第2方向D2におけるマスク50の端である。第3端503及び第4端504は、マスク第1方向D1に延びる部分を含んでもよい。
マスク装置40は、マスク第2方向D2に並ぶ複数のマスク50を備えていてもよい。マスク50は、マスク第1方向D1の両端部において、例えば溶接によってフレーム41に固定されていてもよい。マスク50の両端部は、マスク第1方向D1においてマスク50に張力が加えられた状態で、フレーム41に固定されてもよい。マスク50がフレーム41に固定された後、フレーム41は、マスク第1方向D1においてマスク50に張力を加えてもよい。
図3において、符号Lは、マスク第1方向D1におけるマスク50の寸法を、すなわちマスク50の長さを表す。長さLは、例えば、150mm以上でもよく、300mm以上でもよく、600mm以上でもよい。長さLは、例えば、1000mm以下でもよく、1700mm以下でもよく、2500mm以下でもよい。長さLの範囲は、150mm、300mm及び600mmからなる第1グループ、及び/又は、1000mm、1700mm及び2500mmからなる第2グループによって定められてもよい。長さLの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。長さLの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。長さLの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、150mm以上2500mm以下でもよく、150mm以上1700mm以下でもよく、150mm以上1000mm以下でもよく、150mm以上600mm以下でもよく、150mm以上300mm以下でもよく、300mm以上2500mm以下でもよく、300mm以上1700mm以下でもよく、300mm以上1000mm以下でもよく、300mm以上600mm以下でもよく、600mm以上2500mm以下でもよく、600mm以上1700mm以下でもよく、600mm以上1000mm以下でもよく、1000mm以上2500mm以下でもよく、1000mm以上1700mm以下でもよく、1700mm以上2500mm以下でもよい。
図3において、符号Wは、マスク第2方向D2におけるマスク50の寸法を、すなわちマスク50の幅を表す。幅Wは、長さLよりも小さい。幅Wに対する長さLの比率であるL/Wは、例えば、2以上でもよく、5以上でもよく、10以上でもよい。L/Wは、例えば、20以下でもよく、50以下でもよく、100以下でもよい。L/Wの範囲は、2、5及び10からなる第1グループ、及び/又は、20、50及び100からなる第2グループによって定められてもよい。L/Wの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。L/Wの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。L/Wの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、2以上100以下でもよく、2以上50以下でもよく、2以上20以下でもよく、2以上10以下でもよく、2以上5以下でもよく、5以上100以下でもよく、5以上50以下でもよく、5以上20以下でもよく、5以上10以下でもよく、10以上100以下でもよく、10以上50以下でもよく、10以上20以下でもよく、20以上100以下でもよく、20以上50以下でもよく、50以上100以下でもよい。
後述するように洗浄液に超音波を付与しながらマスク50を洗浄する場合、マスク50に固有振動の波が生じることがある。長さLが幅Wよりも大きいので、固有振動の波は、長さLの方向に、すなわちマスク第1方向D1に生じやすい。固有振動の波の方向が特定されやすいので、キャビテーションによるマスク50へのダメージと固有振動とが相関を有する場合に、対策を施しやすい。
フレーム41は、矩形の輪郭を有していてもよい。例えば、フレーム41は、マスク第1方向D1に延びる一対の第1辺領域411と、マスク第2方向D2に延びる一対の第2辺領域412と、を含んでもよい。マスク第1方向D1におけるマスク50の端部が第2辺領域412に固定されていてもよい。第2辺領域412は、第1辺領域411よりも長くてもよい。フレーム41の開口42は、一対の第1辺領域411及び一対の第2辺領域412によって囲まれていてもよい。
図4は、マスク50の一例を示す平面図である。図3及び図4に示すように、マスク50は、第1端部50a、第2端部50b、セル54及び周囲領域55を含んでもよい。セル54は、マスク50の面方向に沿って規則的に配置された一群の貫通孔53を含む。マスク50を用いて有機EL表示装置などの表示装置を作製する場合、1つのセル54は、1つの有機EL表示装置の表示領域に対応する。周囲領域55は、セル54を囲む領域である。第1端部50aは、第1端501からセル54まで広がる領域である。第2端部50bは、第2端502からセル54まで広がる領域である。第1端部50a及び第2端部50bは、第2辺領域412に固定されている。
図3及び図4に示すように、マスク50は、マスク第1方向D1に並ぶ2以上のセル54を含んでもよい。この場合、第1端部50aは、最も第1端501に近接するセル54と第1端501との間の領域であり、第2端部50bは、最も第2端502に近接するセル54と第2端502との間の領域である。
次に、マスク50の貫通孔53について詳細に説明する。図5は、上述の第2電極140の第1層140Aを形成する際に用いられる第1のマスク50の一例を示す平面図である。図6は、図5の線IV-IVに沿った第1のマスク50の断面図である。以下の説明において、第1のマスク50のことを単にマスク50とも称する。マスク50は、マスク50の面方向に並ぶ複数の貫通孔53を含んでもよい。貫通孔53は、第1面51aから第2面51bへ金属板51を貫通している。複数の貫通孔53は、異なる2方向に沿って並んでいてもよい。
貫通孔53は、金属板51の第1面51a側に位置する第1凹部531と、第2面51b側に位置し、第1凹部531に接続されている第2凹部532と、を含んでもよい。平面視において、第2凹部532の寸法r2は、第1凹部531の寸法r1よりも大きくてもよい。第1凹部531は、金属板51を第1面51a側からエッチングなどで加工することによって形成されてもよい。第2凹部532は、金属板51を第2面51b側からエッチングなどで加工することによって形成されてもよい。
第1凹部531と第2凹部532とは、周状の接続部533において接続されている。接続部533は、マスク50の平面視において貫通孔53の開口面積が最小になる貫通部534を画成していてもよい。
貫通孔53が並ぶ方向における貫通部534の寸法rは、例えば、10μm以上でもよく、50μm以上でもよく、100μm以上でもよい。貫通部534の寸法rは、例えば、500μm以下でもよく、1mm以下でもよく、5mm以下でもよい。貫通部534の寸法rの範囲は、10μm、50μm及び100μmからなる第1グループ、及び/又は、500μm、1mm及び5mmからなる第2グループによって定められてもよい。貫通部534の寸法rの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。貫通部534の寸法rの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。貫通部534の寸法rの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、10μm以上5mm以下でもよく、10μm以上1mm以下でもよく、10μm以上500μm以下でもよく、10μm以上100μm以下でもよく、10μm以上50μm以下でもよく、50μm以上5mm以下でもよく、50μm以上1mm以下でもよく、50μm以上500μm以下でもよく、50μm以上100μm以下でもよく、100μm以上5mm以下でもよく、100μm以上1mm以下でもよく、100μm以上500μm以下でもよく、500μm以上5mm以下でもよく、500μm以上1mm以下でもよく、1mm以上5mm以下でもよい。
貫通部534の寸法rは、貫通孔53を透過する光によって画定される。例えば、マスク50の法線方向に沿って平行光をマスク50の第1面51a又は第2面51bの一方に入射させ、貫通孔53を透過させて第1面51a又は第2面51bの他方から出射させる。そして、出射した光がマスク50の面方向において占める領域の寸法を、貫通部534の寸法rとして採用する。
マスク50の厚みTは、例えば、5μm以上でもよく、10μm以上でもよく、15μm以上でもよく、20μm以上でもよい。マスク50の厚みTは、例えば、25μm以下でもよく、30μm以下でもよく、50μm以下でもよく、100μm以下でもよい。マスク50の厚みTの範囲は、5μm、10μm、15μm及び20μmからなる第1グループ、及び/又は、25μm、30μm、50μm及び100μmからなる第2グループによって定められてもよい。マスク50の厚みTの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。マスク50の厚みTの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。マスク50の厚みTの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5μm以上100μm以下でもよく、5μm以上50μm以下でもよく、5μm以上30μm以下でもよく、5μm以上25μm以下でもよく、5μm以上20μm以下でもよく、5μm以上15μm以下でもよく、5μm以上10μm以下でもよく、10μm以上100μm以下でもよく、10μm以上50μm以下でもよく、10μm以上30μm以下でもよく、10μm以上25μm以下でもよく、10μm以上20μm以下でもよく、10μm以上15μm以下でもよく、15μm以上100μm以下でもよく、15μm以上50μm以下でもよく、15μm以上30μm以下でもよく、15μm以上25μm以下でもよく、15μm以上20μm以下でもよく、20μm以上100μm以下でもよく、20μm以上50μm以下でもよく、20μm以上30μm以下でもよく、20μm以上25μm以下でもよく、25μm以上100μm以下でもよく、25μm以上50μm以下でもよく、25μm以上30μm以下でもよく、30μm以上100μm以下でもよく、30μm以上50μm以下でもよく、50μm以上100μm以下でもよい。
マスク50の厚みTを測定する方法としては、接触式の測定方法を採用することができる。接触式の測定方法としては、ボールブッシュガイド式のプランジャーを備える、ハイデンハイン社製の長さゲージHEIDENHAIN-METROの「MT1271」を用いることができる。
なお、マスク50の貫通孔53の断面形状は、図6に示す形状には限られない。また、マスク50の貫通孔53の形成方法は、エッチングに限られることはなく、様々な方法を採用可能である。例えば、貫通孔53が生じるようにめっきを行うことによってマスク50を形成してもよい。
マスク50を構成する材料としては、例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、マスク50の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いることができる。ニッケル若しくはニッケル及びコバルトを含む鉄合金としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、40質量%以上且つ43質量%以下のニッケルを含む42アロイ、38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系めっき合金などを用いることができる。このような鉄合金を用いることにより、マスク50の熱膨張係数を低くすることができる。例えば、基板110としてガラス基板が用いられる場合に、マスク50の熱膨張係数を、ガラス基板と同等の低い値にすることができる。これにより、蒸着工程の際、基板110に形成される蒸着層の寸法精度や位置精度がマスク50と基板110との間の熱膨張係数の差に起因して低下することを抑制することができる。
有機デバイス100の製造方法においては、第1のマスク50に加えて、第2のマスクが用いられてもよい。第2のマスクは、例えば、上述の第2電極140の第2層140Bを形成する際に用いられる。第2のマスクは、第1のマスク50と同様に、第2のマスクの面方向に並ぶ複数の貫通孔を含んでいてもよい。第2のマスクの貫通孔は、第2層140Bが第1層140Aに部分的に重なるように構成されている。
次に、本実施の形態が解決しようとする課題を説明する。
マスク50を用いた蒸着用によって基板110上に層を形成する工程においては、蒸着材料がマスク50に付着して堆積する。堆積量が多くなると、蒸着工程の間に堆積物がマスク50から剥がれることが考えられる。また、堆積量が多くなると、堆積物に起因する貫通孔の形状の変化が無視できなくなると考えられる。従って、複数回の蒸着工程においてマスク50を繰り返し利用する場合、マスク50を洗浄して堆積物を除去することが好ましい。
従来、マスクを用いた蒸着方法は、有機層130を形成するために用いられてきた。有機層130は、マスクの貫通孔を介して有機材料を第1電極120上に付着させることによって形成される。有機材料が付着したマスクを洗浄する洗浄液として、有機溶剤が用いられている。
マスク50を用いた蒸着方法によって第2電極140を形成する場合、導電性材料が付着したマスク50を洗浄する方法の確立が求められる。図7は、導電性材料を含む蒸着材料7が付着したマスク50の一例を示す図である。
導電性材料を除去するための洗浄液として、酸を用いることが考えられる。しかしながら、酸を用いる場合、マスク50の金属板51が溶解してしまうことが考えられる。また、環境上の問題が生じてしまうことも考えられる。
導電性材料を除去するための洗浄液として、マスク50の金属板51が溶解しない程度の弱酸性を示すヨウ素及びヨウ素化合物を含む水溶液を用いることが考えられる。
しかしながら、本件発明者らが研究を行ったところ、ヨウ素及びヨウ素化合物を含む水溶液を用いる場合は、マスク50に穴などの欠陥が生じる可能性があることが判明した。図8は、洗浄工程においてマスク50に生じる欠陥56の一例を示す断面図である。欠陥56が貫通孔53の壁面に達すると、貫通部534の寸法rが変化することがある。例えば図8に示すように、欠陥56が生じている貫通孔53の寸法rが、その他の貫通孔53の寸法rよりも大きくなることが考えられる。欠陥56が生じているマスク50を利用して第2電極140を形成すると、第2電極140の形状、寸法などの精度が低下してしまう。
本実施の形態の洗浄方法によれば、このような課題を解決できる。以下、洗浄方法について説明する。洗浄方法は、マスク50に洗浄液を接触させることによってマスク50を洗浄する洗浄工程を備える。図9は、洗浄方法を実施するための洗浄装置60の一例を示す図である。
洗浄装置60は、洗浄液70を直接的に又は間接的に収容する洗浄槽61を備える。マスク50を洗浄液70に浸すディップ工程を実施することにより、マスク50を洗浄できる。洗浄液70は、直接的に洗浄槽61に収容されていてもよく、間接的に洗浄槽61に収容されていてもよい。マスク50は、フレーム41に固定された状態で洗浄液70に浸されてもよい。すなわち、ディップ工程は、フレーム41及びマスク50を含むマスク装置40を洗浄液70に浸してもよい。
「直接的」とは、洗浄液70が洗浄槽61の壁面に接していることを意味する。
「間接的」とは、洗浄液70が洗浄槽61の壁面に接していないことを意味する。間接的な収容の例は、洗浄液70を収容している容器を洗浄槽61の内側に配置するという形態である。この形態によれば、洗浄槽61の壁面が洗浄液70によって汚染されることを抑制できる。洗浄槽61には、水などの液体が収容されていてもよい。
容器を構成する材料としては、ガラス、樹脂、金属などを用いることができる。ガラスとしては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英、琺瑯などを用いることができる。樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂などを用いることができる。ABSとは、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの共重合合成樹脂である。フッ素樹脂としては、PTFE、ETFEなどを用いることができる。PTFEとは、テトラフルオロエチレンの重合体である。ETFEとは、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体である。
洗浄液70について説明する。洗浄液70は、ヨウ化カリウム及びヨウ素を含む。ヨウ化カリウムは、例えば、下記の式(1)に示す化学平衡の状態にある。ヨウ素は、例えば、下記の式(2)に示す化学平衡の状態にある。
Figure 0007008291000002
洗浄液70は、導電性材料を溶解することによって、導電性材料をマスク50から除去してもよい。洗浄液70によって導電性材料を除去する際に生じる化学反応について説明する。ここでは、導電性材料がマグネシウム及び銀を含む場合について説明する。
下記の式(3)、(4)は、マグネシウムが洗浄液70に溶解する際に生じると考えられる化学反応の一例である。
Figure 0007008291000003
下記の式(5)、(6)又は式(5)、(7)は、銀が洗浄液70に溶解する際に生じると考えられる化学反応の一例である。
Figure 0007008291000004
上述の式(1)~(7)以外の化学反応が洗浄液70において生じていてもよい。
洗浄液70の温度は、例えば、10℃以上でもよく、15℃以上でもよく、18℃以上でもよく、20℃以上でもよい。洗浄液70の温度は、例えば、25℃未満でもよく、23℃以下でもよい。洗浄液70の温度の範囲は、10℃、15℃、18℃及び20℃からなる第1グループ、及び/又は、25℃及び23℃からなる第2グループによって定められてもよい。洗浄液70の温度の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。洗浄液70の温度の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。洗浄液70の温度の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、10℃以上23℃以下でもよく、10℃以上25℃未満でもよく、10℃以上20℃以下でもよく、10℃以上18℃以下でもよく、10℃以上15℃以下でもよく、15℃以上23℃以下でもよく、15℃以上25℃未満でもよく、15℃以上20℃以下でもよく、15℃以上18℃以下でもよく、18℃以上23℃以下でもよく、18℃以上25℃未満でもよく、18℃以上20℃以下でもよく、20℃以上23℃以下でもよく、20℃以上25℃未満でもよく、23℃以上25℃未満でもよい。
温度が高いほど、導電性材料が洗浄液70に溶解しやすくなる。温度が低いほど、洗浄工程においてマスク50に欠陥が生じることを抑制できる。
図9に示すように、洗浄装置60は、温度制御装置63を備えていてもよい。温度制御装置63は、洗浄槽61に収容されている洗浄液70の温度を制御する。温度制御装置63は、洗浄液70の温度が上述の範囲内になるよう、洗浄液70の温度を制御できる。温度制御装置63は、洗浄液70の温度を上述の範囲外に制御する機能又は能力を有していてもよい。例えば、温度制御装置63は、洗浄液70の温度を10℃以上30℃以下や15℃以上30℃以下に制御する機能又は能力を有していてもよい。
洗浄液70におけるヨウ素の濃度は、例えば、5g/L以上でもよく、6g/L以上でもよく、8g/L以上でもよい。ヨウ素の濃度は、例えば、10g/L以下でもよく、15g/L以下でもよく、20g/L以下でもよい。ヨウ素の濃度の範囲は、5g/L、6g/L及び8g/Lからなる第1グループ、及び/又は、10g/L、15g/L及び20g/Lからなる第2グループによって定められてもよい。ヨウ素の濃度の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。ヨウ素の濃度の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。ヨウ素の濃度の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5g/L以上20g/L以下でもよく、5g/L以上15g/L以下でもよく、5g/L以上10g/L以下でもよく、5g/L以上8g/L以下でもよく、5g/L以上6g/L以下でもよく、6g/L以上20g/L以下でもよく、6g/L以上15g/L以下でもよく、6g/L以上10g/L以下でもよく、6g/L以上8g/L以下でもよく、8g/L以上20g/L以下でもよく、8g/L以上15g/L以下でもよく、8g/L以上10g/L以下でもよく、10g/L以上20g/L以下でもよく、10g/L以上15g/L以下でもよく、15g/L以上20g/L以下でもよい。
ヨウ素の濃度は、例えば、ヨウ化カリウム又はヨウ素の固体、又は水を洗浄液70に追加することによって調整できる。
ヨウ素の濃度は、洗浄液70中に存在するヨウ素が全てヨウ素分子I2の形態にあると仮定した場合の数値である。ヨウ素の濃度を測定する方法としては、酸化還元滴定を用いることができる。
洗浄液70のpHは、例えば、4.00以上でもよく、4.10以上でもよく、4.25以上でもよい。洗浄液70のpHは、例えば、4.50以下でもよく、4.80以下でもよく、5.00以下でもよい。洗浄液70のpHの範囲は、4.00、4.10及び4.25からなる第1グループ、及び/又は、4.50、4.80及び5.00からなる第2グループによって定められてもよい。洗浄液70のpHの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。洗浄液70のpHの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。洗浄液70のpHの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、4.00以上5.00以下でもよく、4.00以上4.80以下でもよく、4.00以上4.50以下でもよく、4.00以上4.25以下でもよく、4.00以上4.10以下でもよく、4.10以上5.00以下でもよく、4.10以上4.80以下でもよく、4.10以上4.50以下でもよく、4.10以上4.25以下でもよく、4.25以上5.00以下でもよく、4.25以上4.80以下でもよく、4.25以上4.50以下でもよく、4.50以上5.00以下でもよく、4.50以上4.80以下でもよく、4.80以上5.00以下でもよい。
ヨウ素のpHを測定する方法としては、アズワン pH計 AS600を用いることができる。pH計を校正するためのpH標準液としては、pH4.01、pH6.86、pH9.18を用いることができる。
洗浄液70を用いる洗浄処理の時間は、例えば、1分間以上でもよく、5分間以上でもよく、10分間以上でもよい。洗浄工程の時間は、例えば、20分間以下でもよく、40分間以下でもよく、60分間以下でもよい。洗浄工程の時間の範囲は、1分間、5分間及び10分間からなる第1グループ、及び/又は、20分間、40分間及び60分間からなる第2グループによって定められてもよい。洗浄工程の時間の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。洗浄工程の時間の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。洗浄工程の時間の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、1分間以上60分間以下でもよく、1分間以上40分間以下でもよく、1分間以上20分間以下でもよく、1分間以上10分間以下でもよく、1分間以上5分間以下でもよく、5分間以上60分間以下でもよく、5分間以上40分間以下でもよく、5分間以上20分間以下でもよく、5分間以上10分間以下でもよく、10分間以上60分間以下でもよく、10分間以上40分間以下でもよく、10分間以上20分間以下でもよく、20分間以上60分間以下でもよく、20分間以上40分間以下でもよく、40分間以上60分間以下でもよい。
洗浄装置60は、2以上の洗浄槽61を備えていてもよい。図9に示す例において、洗浄装置60は、第1の洗浄槽61、第2の洗浄槽61及び第3の洗浄槽61を備えている。この場合、洗浄装置60は、洗浄槽61の間でマスク50を搬送する搬送機構を備えていてもよい。図9に示す例において、搬送機構は、矢印A1で示すように、マスク50を第1の洗浄槽61の洗浄液70に浸す。続いて、処理時間が経過した後、搬送機構はマスク50を第1の洗浄槽61の洗浄液70から引き上げる。続いて、搬送機構は、矢印B1で示すように、マスク50を第1の洗浄槽61から第2の洗浄槽61へ搬送する。続いて、搬送機構は、矢印A2で示すように、マスク50を第2の洗浄槽61の洗浄液70に浸す。続いて、処理時間が経過した後、搬送機構はマスク50を第2の洗浄槽61の洗浄液70から引き上げる。続いて、搬送機構は、矢印B2で示すように、マスク50を第2の洗浄槽61から第3の洗浄槽61へ搬送する。続いて、搬送機構は、矢印A3で示すように、マスク50を第3の洗浄槽61の洗浄液70に浸す。続いて、処理時間が経過した後、搬送機構はマスク50を第3の洗浄槽61の洗浄液70から引き上げる。
洗浄装置60が2以上の洗浄槽61を備えることにより、各洗浄槽61における処理時間を一定に維持しながら、マスク50が受ける洗浄処理の合計時間を調整することができる。洗浄装置60が2以上の洗浄槽61を備える場合、上述の洗浄処理の時間の数値範囲は、複数の洗浄槽61においてマスク50が受ける洗浄処理の合計時間に対して適用される。
洗浄工程は、洗浄液70に超音波を付与する超音波工程を備えていてもよい。この場合、洗浄装置60は、超音波制御装置62を備えていてもよい。超音波制御装置62は、洗浄液70に付与する超音波の周波数、出力などを制御する。超音波制御装置62は、例えば超音波振動子を含む。超音波振動子は、例えば圧電セラミックスを含む。
超音波振動子は、洗浄液70に接するように洗浄槽61の内側に配置されていてもよい。この場合、超音波振動子は、洗浄槽61に固定されていない、いわゆる投げ込み式のものであってもよい。若しくは、超音波振動子は、洗浄槽61に固定されていてもよい。
超音波振動子は、洗浄槽61の壁面に固定されていてもよい。例えば、超音波振動子は、洗浄槽61の外側において洗浄槽61の底面に設置されていてもよい。
超音波の周波数は、例えば、50kHz以上でもよく、75kHz以上でもよく、100kHz以上でもよい。超音波の周波数は、例えば、200kHz以下でもよく、500kHz以下でもよく、1MHz以下でもよい。超音波の周波数の範囲は、50kHz、75kHz及び100kHzからなる第1グループ、及び/又は、200kHz、500kHz及び1MHzからなる第2グループによって定められてもよい。超音波の周波数の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。超音波の周波数の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。超音波の周波数の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、50kHz以上1MHz以下でもよく、50kHz以上500kHz以下でもよく、50kHz以上200kHz以下でもよく、50kHz以上100kHz以下でもよく、50kHz以上75kHz以下でもよく、75kHz以上1MHz以下でもよく、75kHz以上500kHz以下でもよく、75kHz以上200kHz以下でもよく、75kHz以上100kHz以下でもよく、100kHz以上1MHz以下でもよく、100kHz以上500kHz以下でもよく、100kHz以上200kHz以下でもよく、200kHz以上1MHz以下でもよく、200kHz以上500kHz以下でもよく、500kHz以上1MHz以下でもよい。
超音波の出力密度は、例えば、0.005W/cm以上でもよく、0.01W/cm以上でもよく、0.027W/cm以上でもよい。超音波の出力密度は、例えば、0.054W/cm以下でもよく、0.081W/cm以下でもよく、0.085W/cm以下でもよく、0.1W/cm以下でもよい。超音波の出力密度の範囲は、0.005W/cm、0.01W/cm及び0.027W/cmからなる第1グループ、及び/又は、0.054W/cm、0.081W/cm、0.085W/cm及び0.1W/cmからなる第2グループによって定められてもよい。超音波の出力密度の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。超音波の出力密度の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。超音波の出力密度の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.005W/cm以上0.1W/cm以下でもよく、0.005W/cm以上0.085W/cm以下でもよく、0.005W/cm以上0.081W/cm以下でもよく、0.005W/cm以上0.054W/cm以下でもよく、0.005W/cm以上0.027W/cm以下でもよく、0.005W/cm以上0.01W/cm以下でもよく、0.01W/cm以上0.1W/cm以下でもよく、0.01W/cm以上0.085W/cm以下でもよく、0.01W/cm以上0.081W/cm以下でもよく、0.01W/cm以上0.054W/cm以下でもよく、0.01W/cm以上0.027W/cm以下でもよく、0.027W/cm以上0.1W/cm以下でもよく、0.027W/cm以上0.085W/cm以下でもよく、0.027W/cm以上0.081W/cm以下でもよく、0.027W/cm以上0.054W/cm以下でもよく、0.054W/cm以上0.1W/cm以下でもよく、0.054W/cm以上0.081W/cm以下でもよく、0.054W/cm以上0.085W/cm以下でもよく、0.081W/cm以上0.1W/cm以下でもよく、0.085W/cm以上0.1W/cm以下でもよい。
超音波の出力密度は、超音波制御装置62において設定される超音波の出力を、超音波振動子の面積で割ることによって算出される。
図9に示すように、洗浄装置60は、処理液76が収容された洗浄槽61を備えていてもよい。処理液76は、例えば水である。マスク50を処理液76に浸すことにより、マスク50に付着している洗浄液70を除去できる。図9に示すように、洗浄装置60は、マスク50を乾燥させる乾燥装置77を備えていてもよい。
洗浄工程は、ディップ工程の前に実施される予備処理工程を備えてもよい。予備処理工程は、例えば、マスク50に付着している蒸着材料にレーザを照射するレーザ照射工程を含んでもよい。洗浄工程は、レーザ照射工程を含まなくてもよい。レーザ照射工程が実施されない場合であっても、溶解を利用して導電性材料をマスク50から除去することにより、マスク50を適切に洗浄できる。
次に、有機デバイス100を製造する方法の一例について説明する。
まず、第1電極120が形成されている基板110を準備する。第1電極120は、例えば、第1電極120を構成する導電層をスパッタリング法などによって基板110に形成した後、フォトリソグラフィー法などによって導電層をパターニングすることによって形成される。隣り合う2つの第1電極120の間に位置する絶縁層160が基板110に形成されていてもよい。
続いて、第1有機層130A、第2有機層130Bなどを含む有機層130を第1電極120上に形成する。第1有機層130Aは、例えば、第1有機層130Aに対応する貫通孔を有するマスクを用いる蒸着法によって形成されてもよい。例えば、マスクを介して第1有機層130Aに対応する第1電極120上に有機材料などを蒸着させることにより、第1有機層130Aを形成することができる。第2有機層130Bも、第2有機層130Bに対応する貫通孔を有するマスクを用いる蒸着法によって形成されてもよい。
続いて、有機層130上に第2電極140を形成する第2電極形成工程を実施する。例えば、第1のマスク50を用いる蒸着法によって第2電極140の第1層140Aを形成する工程を実施する。例えば、第1のマスク50を介して金属材料などの導電性材料などを有機層130などの上に蒸着させることにより、第1層140Aを形成することができる。続いて、第2のマスク50を用いる蒸着法によって第2電極140の第2層140Bを形成する工程を実施してもよい。例えば、第2マスク50を介して金属材料などの導電性材料などを有機層130などの上に蒸着させることにより、第2層140Bを形成することができる。このようにして、図1に示すように、第1層140A及び第2層140Bを含む第2電極140を形成することができる。これによって、図1に示す有機デバイス100を得ることができる。
続いて、上述の洗浄液70を用いる洗浄方法によって第1のマスク50、第2のマスク50などのマスク50を洗浄する洗浄工程を実施してもよい。これにより、マスク50に付着した導電性材料を除去できる。また、洗浄の際にマスク50に穴などの欠陥が生じることを抑制できる。このため、マスク50を再利用できる。
上述した一実施形態を様々に変更できる。以下、必要に応じて図面を参照しながら、その他の実施形態について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した一実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の一実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いる。重複する説明は省略する。また、上述した一実施形態において得られる作用効果がその他の実施形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略する場合もある。
図10は、第2電極140を形成する際に用いられるマスク50の一例を示す平面図である。複数の貫通孔53は、第1の方向に沿って並んでいてもよい。各貫通孔53は、第1の方向に直交する方向に延びていてもよい。
洗浄液は、ヨウ化カリウム、ヨウ素及び有機化合物を含んでいてもよい。有機化合物は、1つ以上のカルボキシ基を含む。有機化合物は、カルボン酸、アミノ酸、ニトロカルボン酸などの有機酸を含んでいてもよい。有機化合物は、有機酸の塩を含んでいてもよい。有機酸の塩は、イオン結合を含んでいてもよい。イオン結合は、カルボキシ基において生じていてもよい。有機酸の塩の例は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などである。アンモニウム塩は、「-COONH」の構造を含む。ナトリウム塩は、「-COONa」の構造を含む。カリウム塩は、「-COOK」の構造を含む。
有機酸が2つのカルボキシ基を含む場合、1つのカルボキシ基においてイオン結合が生じていてもよく、2つのカルボキシ基においてイオン結合が生じていてもよく、イオン結合が生じていなくてもよい。2つのカルボキシ基において生じるイオン結合は、同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、有機酸の塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のうちの1種を含んでいてもよく、2種を含んでいてもよい。
有機酸が3つのカルボキシ基を含む場合、1つのカルボキシ基においてイオン結合が生じていてもよく、2つのカルボキシ基においてイオン結合が生じていてもよく、3つのカルボキシ基においてイオン結合が生じていてもよく、イオン結合が生じていなくてもよい。3つ以上のカルボキシ基において生じるイオン結合は、同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、有機酸の塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のうちの1種を含んでいてもよく、2種を含んでいてもよく、3種を含んでいてもよい。
洗浄液が有機化合物又は有機酸の塩を含むことにより、洗浄の際にマスク50に穴などの欠陥が生じることを抑制できる。理由の1つとして、洗浄の際にマスク50の表面又はその周辺に存在する有機化合物又は有機酸の塩が、保護材として機能することが考えられる。しかしながら、欠陥を抑制できることの理由は、上記の理由には限られない。
洗浄液における有機化合物又は有機酸の塩の濃度は、例えば、1.0g/L以上でもよく、3.0g/L以上でもよく、10g/L以上でもよい。有機化合物又は有機酸の塩の濃度は、例えば、50g/L以下でもよく、150g/L以下でもよく、450g/L以下でもよい。有機化合物又は有機酸の塩の濃度の範囲は、1.0g/L、3.0g/L及び10g/Lからなる第1グループ、及び/又は、50g/L、150g/L及び450g/Lからなる第2グループによって定められてもよい。有機化合物又は有機酸の塩の濃度の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。有機化合物又は有機酸の塩の濃度の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。有機化合物又は有機酸の塩の濃度の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、1.0g/L以上450g/L以下でもよく、1.0g/L以上150g/L以下でもよく、1.0g/L以上50g/L以下でもよく、1.0g/L以上10g/L以下でもよく、1.0g/L以上3.0g/L以下でもよく、3.0g/L以上450g/L以下でもよく、3.0g/L以上150g/L以下でもよく、3.0g/L以上50g/L以下でもよく、3.0g/L以上10g/L以下でもよく、10g/L以上450g/L以下でもよく、10g/L以上150g/L以下でもよく、10g/L以上50g/L以下でもよく、50g/L以上450g/L以下でもよく、50g/L以上150g/L以下でもよく、150g/L以上450g/L以下でもよい。
カルボン酸、アミノ酸、ニトロカルボン酸などの有機酸の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、ピルビン酸、オキサロ酢酸、アミノ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リシン、ヒスチジン、グルタミン、アラニン、スレオニン、プロリン、メチオニン、グリシン、グリシルグリシン、グリシルグリシルグリシン、アラニン、グリシルアラニン、アミノカプロン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、リジン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、シスチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、サイロキシン、O-ホスホセリン、β-アラニン、サルコシン、オルニチン、シトルリン、クレアチン、γ-アミノ酪酸、オパイン、トリメチルグリシン、テアニン、トリコロミン酸、カイニン酸、ドウモイ酸、イボテン酸、アクロメリン酸、ニトロ酢酸、o-ニトロソ安息香酸、m-ニトロソ安息香酸、p-ニトロソ安息香酸、o-ニトロ安息香酸、m-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、2,4-ジニトロ安息香酸、2,4,6‐トリニトロ安息香酸、3-ニトロフタル酸、5-ニトロイソフタル酸、ニトロテレフタル酸、3-ニトロフタル酸無水物などである。
アミノ酸は、α-アミノ酸であってもよい。グリシン以外のα-アミノ酸は、L体のみを含んでいてもよく、D体のみを含んでいてもよく、L体及びD体を含んでいてもよい。
次に、本開示の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本開示の実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
例1
36重量%のニッケルを含む鉄合金からなる金属板を準備した。金属板の厚みは26μmであった。続いて、金属板を切断することによって、評価1及び評価2を実施するための2つのサンプルを作製した。評価1及び評価2のための2つのサンプルのことを、第1サンプル及び第2サンプルとも称する。平面視におけるサンプルの形状は、70mmの長辺及び20mmの短辺を備える長方形であった。
ヨウ化カリウム及びヨウ素を含む洗浄液を準備した。洗浄液の材料を下記に示す。
・ヨウ化カリウムを含む剥離剤 450g
・純水 1000ml
・関東化学社製のヨウ素 20g
剥離剤としては、奥野製薬工業社製のトップリップISG-Sを用いた。準備工程においては、まず、トップリップISG-Sに純水を加えて水溶液を作製した。続いて、水溶液にヨウ素を加えることによって、洗浄液を作製した。
ヨウ化カリウムと純水とを混合すると吸熱反応が生じるので、水溶液の温度が低下する。低温の状態で水溶液にヨウ素を加えると、ヨウ素が水溶液に溶けにくい。この点を考慮し、水溶液の温度が元の純水の温度に戻った後、水溶液にヨウ素を加えた。
剥離剤におけるヨウ化カリウムの濃度は90重量%であった。洗浄液におけるヨウ素の濃度は20g/Lであった。洗浄液のpHは4.32であった。
洗浄液が収容された洗浄槽61を準備した。洗浄液の容積は50mlであった。洗浄液の温度は35℃であった。続いて、サンプルを洗浄液70に60分間にわたって浸した。
洗浄液から取り出したサンプルの表面を、流水で5分すすぎ、エアーガンにて水滴を除去した後、評価1を実施した。評価1においては、サンプルの表面を、光学顕微鏡を用いて観察した。第1サンプルの表面及び第2サンプルの表面に、10μmの寸法を超える穴が観察された。観察条件は下記のとおりである。
倍率:50倍
観察範囲:150.0μm(縦)×180.0μm(横)
10μmの寸法を超える穴の数及び寸法を測定した。結果を図11の「評価1」の列に示す。図11の「評価1」の「判定」の列において、「NG」は、第1サンプルの表面又は第2サンプルの表面に、10μmの寸法を超える穴が観察されたことを表す。「OK」は、第1サンプルの表面及び第2サンプルの表面に、10μmの寸法を超える穴が観察されなかったことを表す。「評価1」の「個数」の列は、10μmの寸法を超える穴の数を表す。「評価1」の「寸法」の列は、平面視における穴の最大寸法を表す。「個数」及び「寸法」の列の上の段は、第1サンプルの評価結果を表す。「個数」及び「寸法」の列の下の段は、第2サンプルの評価結果を表す。例1の第1サンプルにおいて、10μmの寸法を超える穴の数は5であり、5個の穴のうち最大の穴は、平面視において90μmの寸法を有していた。例1の第2サンプルにおいて、10μmの寸法を超える穴の数は3であり、3個の穴のうち最大の穴は、平面視において70μmの寸法を有していた。
評価1に加えて、評価2を実施した。評価2においては、洗浄液から取り出したサンプルの表面を、評価1の場合と同一の条件で、光学顕微鏡を用いて観察した。結果を図11の「評価2」の列に示す。「評価2」の列において、「OK」は、第1サンプルの表面及び端面並びに第2サンプルの表面及び端面にクラックが観察されなかったことを表す。「NG」は、第1サンプルの表面及び端面並びに第2サンプルの表面及び端面にクラックが観察されたことを表す。
例2~6
洗浄液の温度を変更して、例1の場合と同様に、評価1及び評価2を実施した。結果を図11に示す。
洗浄液の温度が25℃未満である場合、具体的には23℃以下である場合、穴は観察されなかった。一方、洗浄液の温度が25℃以上である場合、穴が観察された。温度を下げることで、洗浄速度が低減されるために、穴の発生が抑制されたと考えられる。
例4~例6に関しては、第3サンプル及び第4サンプルを用いて、評価3を実施した。評価3においては、洗浄方法における洗浄特性を評価した。
具体的には、まず、例1の場合と同様に、36重量%のニッケルを含む鉄合金からなる金属板を準備した。金属板の厚みは26μmであった。続いて、金属板を切断することによって、サンプルを作製した。平面視におけるサンプルの形状は、70mmの長辺及び20mmの短辺を備える長方形であった。続いて、蒸着法によってマグネシウム銀の膜をサンプル上に形成した。
上述の第3サンプルは、マグネシウム銀の膜が形成されたサンプルを意味する。マグネシウム銀の膜の厚みは500nmであった。マグネシウム銀におけるマグネシウムと銀の膜厚の比率は、9:1であった。マグネシウムと銀の膜厚の比率は、蒸着時の水晶振動子によって検出される。
上述の第4サンプルは、第3サンプルの場合とは異なる比率を有するマグネシウム銀の膜が形成されたサンプルを意味する。マグネシウム銀の膜の厚みは500nmであった。マグネシウム銀におけるマグネシウムと銀の膜厚の比率は、1:9であった。マグネシウムと銀の膜厚の比率は、蒸着時の水晶振動子によって検出される。
続いて、例4~例6の洗浄方法によって第3サンプル及び第4サンプルをそれぞれ10分間にわたって洗浄した。その後、洗浄液から取り出した第3サンプル及び第4サンプルの表面を、流水で5分すすぎ、エアーガンにて水滴を除去した後、光学顕微鏡を用いて観察した。光学顕微鏡を用いることによって観察される画像を目視することにより、例4~例5においては、第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が除去されていることを確認した。マグネシウム銀の膜の残渣は確認されなかった。図11の「評価3」の列において、「OK」は、光学顕微鏡を用いることによって観察される画像を目視した結果、第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が除去されており、マグネシウム銀の膜の残渣が確認されなかったことを表す。
例6においては、洗浄時間が10分間の場合、第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が完全には除去されなかった。洗浄時間が30分間の場合、第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が除去され、マグネシウム銀の膜の残渣は確認されなかった。
例7
例4の場合と同様に、評価1及び評価2を実施した。具体的には、例4の場合と同一の洗浄液が収容された洗浄槽61を準備した。続いて、超音波振動子を用いて、1MHzの周波数及び50Wの出力を有する超音波を洗浄液に付与した。超音波振動子の面積は370×250mmであった。超音波の出力密度は0.054W/cmであった。続いて、例4の場合と同一の条件で、サンプルを洗浄液に浸した。
洗浄液から取り出したサンプルの表面を、例1の場合と同一の条件で、光学顕微鏡を用いて観察した。サンプルの表面に、10μmの寸法を超える穴は観察されなかった。高周波にすることで、キャビテーションによるサンプルへのダメージが低減されるために、穴の発生が抑制されたと考えられる。
また、例4の場合と同様に、評価3を実施した。具体的には、例7の洗浄方法によって第3サンプル及び第4サンプルをそれぞれ10分間にわたって洗浄した。洗浄液から取り出した第3サンプル及び第4サンプルの表面を、例4の場合と同一の条件で観察した。第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が除去されていることを確認した。マグネシウム銀の膜の残渣は確認されなかった。
例8~13
超音波の周波数又は出力を変更して、例4の場合と同様に、評価1及び評価2を実施した。結果を図11に示す。図11の「評価2」の列に示すように、例10、11においは、サンプルにクラックが観察された。クラックは、超音波に基づいて生じたと考えられる。例8、9、13の洗浄方法においては、評価1、2のいずれもOKであった。高周波、低出力にすることで、キャビテーションによるサンプルへのダメージが低減されるために、穴の発生が抑制されたと考えられる。
また、例4の場合と同様に、評価3を実施した。具体的には、例8、9、13の洗浄方法によって第3サンプル及び第4サンプルをそれぞれ10分間にわたって洗浄した。洗浄液から取り出した第3サンプル及び第4サンプルの表面を、例4の場合と同一の条件で観察した。第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が除去されていることを確認した。マグネシウム銀の膜の残渣は確認されなかった。
例7~例11から分かるように、洗浄液に付与される超音波の周波数は、50kHz以上であることが好ましく、100kHz以上であることがより好ましい。例9、12、13から分かるように、洗浄液に付与される超音波の出力密度は、0.1W/cm以下であることが好ましく、0.085W/cm以下であることがより好ましい。
例14~18
洗浄液のヨウ素の濃度及び剥離剤の濃度の少なくとも一方を変更して、例9の場合と同様に、評価1及び評価2を実施した。結果を図11に示す。例15~18の洗浄方法においては、評価1、2のいずれもOKであった。例9、14、15から分かるように、洗浄液のヨウ素の濃度は、40g/L未満であることが好ましく、20g/L以下であることがより好ましい。例14~18から分かるように、洗浄液のヨウ素の濃度は、10g/L以下であってもよく、8g/L以下であってもよく、6g/L以下であってもよい。洗浄液の剥離剤の濃度は、300g/L以下であってもよい。洗浄液の剥離剤やヨウ素濃度を下げることで、洗浄効率が低減されるために、穴の発生が抑制されたと考えられる。例13~18から分かるように、洗浄液のpHが4.0以上の場合、評価2はOKであった。洗浄液のpHが4.24の場合、評価1がNGであり、洗浄液のpHが4.25以上の場合、評価1もOKであった。洗浄液のpHは、4.0以上であることが好ましく、4.25以上であることがより好ましい。
また、例4の場合と同様に、評価3を実施した。具体的には、例15~18の洗浄方法によって第3サンプル及び第4サンプルをそれぞれ10分間にわたって洗浄した。洗浄液から取り出した第3サンプル及び第4サンプルの表面を、例4の場合と同一の条件で観察した。第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が除去されていることを確認した。マグネシウム銀の膜の残渣は確認されなかった。
例19
剥離剤としてヨウ化カリウム450gを用いたこと以外は、例9の場合と同様に、評価1及び評価2を実施した。結果を図11に示す。例9、14~19から分かるように、洗浄液のpHは、5.00以下であることが好ましい。
例20~23
洗浄液の温度を変更して、例9の場合と同様に、評価1及び評価2を実施した。図11に示すように、例20~23においては、穴及びクラックは観察されなかった。例20~23においては、洗浄液の温度が例9の場合に比べて低いので、穴、クラックなどの欠陥が生じにくい。従って、例20~23の評価結果は妥当と考える。
例7~11の評価結果から分かるように、超音波の周波数が高いほど、穴、クラックなどの欠陥が生じにくい。従って、図11には示されていないが、例20~23のように洗浄液の温度を10℃以上20℃以下に設定し、超音波の周波数を200kHz以上1000kHz以下に設定した場合、穴及びクラックは観察されないと予想される。
洗浄液に超音波を付与すると、洗浄の能力は高くなるが、穴、クラックなどの欠陥は生じやすくなる。従って、図11には示されていないが、例23のように洗浄液の温度を10℃に設定し、超音波を洗浄液に付与しない場合、穴及びクラックは観察されないと予想される。
また、例9の場合と同様に、評価3を実施した。結果を図11に示す。
例24
洗浄液の温度を18℃に変更して、例1の場合と同様に、評価1~3を実施した。結果を図11に示す。
例25
洗浄液のヨウ素の濃度を10g/Lに変更して、例24の場合と同様に、評価1~3を実施した。結果を図11に示す。評価3に関して、洗浄時間が10分間の場合、第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が完全には除去されなかった。洗浄時間が30分間の場合、第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が除去され、マグネシウム銀の膜の残渣は確認されなかった。
洗浄液の温度が18℃の場合、10g/L以上20g/L以下のヨウ素の濃度の範囲において、例24及び例25と同様の結果が生じることが予想される。
例26
洗浄液のヨウ素の濃度を10g/Lに変更して、例6の場合と同様に、評価1~3を実施した。結果を図11に示す。評価3に関して、洗浄時間が10分間の場合、第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が完全には除去されなかった。洗浄時間が30分間の場合、第3サンプル及び第4サンプルからマグネシウム銀の膜が除去され、マグネシウム銀の膜の残渣は確認されなかった。
洗浄液の温度が15℃の場合、10g/L以上20g/L以下のヨウ素の濃度の範囲において、例6及び例26と同様の結果が生じることが予想される。
4 冷却板
5 磁石
6 蒸着源
7 蒸着材料
8 ヒータ
10 蒸着装置
40 マスク装置
41 フレーム
42 開口
50 マスク
51 金属板
51a 第1面
51b 第2面
53 貫通孔
56 欠陥
60 洗浄装置
61 洗浄槽
62 超音波制御装置
63 温度制御装置
70 洗浄液
76 処理液
77 乾燥装置
100 有機デバイス
110 基板
111 第1面
112 第2面
115A 第1素子
115B 第2素子
120 第1電極
130 有機層
130A 第1有機層
130B 第2有機層
140 第2電極
140A 第1層
140B 第2層
145 電極重なり領域
160 絶縁層

Claims (14)

  1. マスクを洗浄する洗浄方法であって、
    前記マスクに洗浄液を接触させることによって前記マスクを洗浄する洗浄工程を備え、
    前記洗浄液は、ヨウ化カリウム及びヨウ素を含み、
    前記洗浄液の温度は、25℃未満であり、
    前記洗浄液における前記ヨウ素の濃度は、20g/L以下である、洗浄方法。
  2. 前記洗浄工程は、洗浄槽に収容されている前記洗浄液に前記マスクを浸すディップ工程を備える、請求項1に記載の洗浄方法。
  3. 前記洗浄工程は、前記洗浄液に超音波を付与する超音波工程を備える、請求項2に記載の洗浄方法。
  4. 前記超音波の周波数は、100kHz以上である、請求項3に記載の洗浄方法。
  5. 前記超音波の周波数は、1MHz以下である、請求項4に記載の洗浄方法。
  6. 前記洗浄液のpHは、5.00以下である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の洗浄方法。
  7. 前記マスクは、ニッケルを含む鉄合金を含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の洗浄方法。
  8. 前記マスクの厚みは、100μm以下である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の洗浄方法。
  9. 前記洗浄工程は、前記マスクに付着している金属材料を除去する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の洗浄方法。
  10. 前記金属材料は、マグネシウム銀を含む、請求項に記載の洗浄方法。
  11. マスクを洗浄するために用いられる洗浄液であって、
    ヨウ化カリウム及びヨウ素を含み、
    前記洗浄液における前記ヨウ素の濃度は、20g/L以下である、洗浄液。
  12. マスクを洗浄する洗浄装置であって、
    洗浄液を収容する少なくとも1つの洗浄槽を備え、
    前記洗浄液は、ヨウ化カリウム及びヨウ素を含み、
    前記洗浄液における前記ヨウ素の濃度は、20g/L以下である、洗浄装置。
  13. 前記少なくとも1つの洗浄槽は、前記洗浄液を収容する第1の洗浄槽と、前記洗浄液を収容する第2の洗浄槽と、を含み、
    前記洗浄装置は、前記第1の洗浄槽から前記第2の洗浄槽へ前記マスクを搬送する搬送機構を備える、請求項12に記載の洗浄装置。
  14. 有機デバイスの製造方法であって、
    基板上の第1電極上の有機層上に、2以上のマスクを順に用いて蒸着法によって第2電極を形成する第2電極形成工程と、
    ヨウ化カリウム及びヨウ素を含む洗浄液を前記マスクに接触させることによって前記マスクを洗浄する洗浄工程と、備え
    前記第2電極形成工程は、第1の前記マスクを用いる蒸着法によって、前記第2電極の第1層を形成する工程と、第2の前記マスクを用いる蒸着法によって、前記第1層に部分的に重なる前記第2電極の第2層を形成する工程と、を含む、製造方法。
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