JP7007921B2 - バリア紙カップ - Google Patents
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Description
しかし、バリア紙カップで底部の脚部に成形上絞りシワが多数発生する場合に脚部のシワ部分が加熱・圧着時に胴部に強い圧力をかけるので、胴部のバリア樹脂にピンホールが発生し易くなる。
ブランクを筒状に成型した胴部と、ブランクの外周に沿って一連に所定の幅を折って形成した脚部を有し該脚部で支持された上面をカップ底面とする底部とを備え、前記ブランクが原紙を基材としバリア樹脂を積層したシートからなっており、前記胴部の内周面に底部の脚部を融着してなるバリア紙カップであって、
胴部のブランクのバリア樹脂には延伸バリアフィルムを使用し、底部のブランクのバリア樹脂には無延伸バリアフィルムを使用してなり、
前記胴部の内周面に底部の脚部を融着するために、前記胴部のブランクで胴部の内周面となる胴部最内層のポリエチレンと、前記底部のブランクで底部の脚部の外側面となって前記胴部最内層のポリエチレンと融着する前記底部最内層のポリエチレンとが設けられており、
前記胴部最内層のポリエチレンの融点が前記底部最内層のポリエチレンの融点よりも低く設定されていることを特徴とする。
請求項2の発明では、
胴部最内層のPE層のMFRが、底部最内層のPE層のMFRよりも大きく設定されていることを特徴とする。
なお、この明細書で「ブランク」とは、紙カップの胴部を形成する略扇面形状に打ち抜かれた胴紙と紙カップの底部を形成する円形などの所定形状に打ち抜かれた底紙をいう。
そこで、胴部には強度のある延伸バリアフィルムを用い、底部側には無延伸バリアフィルムを用いて前記脚部の内面側ラミネートが変形しやすくなることで、接着時に胴部に対する圧力を低減して、胴部の延伸バリアフィルムに対してピンホールの発生を防ぐことができる。
また、底部の無延伸バリアフィルムは延伸バリアフィルムに比して強度が弱いが、底部最内層のPE層の融点を胴部最内層のPE層の融点より高くすることで底部最内層のPE層よりも先に胴部最内層のPE層を溶融させ、加熱圧着による底部の無延伸バリアフィルムにピンホールが発生しない温度条件にて、胴部と底部とを容易に接着させることができる。
更に、胴部最内層のPE層のMFRを底部最内層のPE層のMFRより大きくしたので、胴部と底部の加熱圧着加工時に胴部最内層のPE層が流動しやすくなり、胴部と底部の脚部との接着部分の前記底部の脚部の絞りシワに起因する隙間を埋めることができる。
紙カップの底部の絞り成型については、一例として特開2013-82109号などがある。
図示例ではバリア紙カップ1の上面は開放されているが、任意構成の蓋部で閉止されるものでもよい(図示せず)。
胴部のブランク10は、図2の場合、略扇面形状からなって、胴部のカップ成型時における外面側から内面側に向かって、PE層(胴部最外層)11、原紙層12、中間のPE層13、延伸バリアフィルム層14、PE層(胴部最内層)15が積層されている(図4(a)参照)。 従って、底部5の脚部3には胴部最内層のPE層15が面しており、胴部下方に設定された接着対応箇所で底部5の脚部3との接着される(図5参照)。
延伸バリアフィルムとしては、一例として蒸着二軸延伸PET、二軸延伸EVOHなどの延伸フィルムを用いることができる。
底部のブランク20は、本実施例の場合、図3(a)に示すように略円形状で、図4(b)に示すように、底部のカップ成型時における内面側から外面側に向かって、PE層(底部最内層)21、無延伸バリアフィルム層22、中間のPE層23、原紙層24、PE層(底部最外層)25が積層されている。
従って、底部5は、胴部2の最内層のPE層15に脚部3の最内層のPE層21が面しており、後述のように、胴部2の接着対向個所で接着される。
これにより胴部2の延伸バリアフィルム層14は、従来の底部に延伸バリアフィルム層が用いられた構造に比して、圧着時の圧力が低減しピンホールの発生が抑えられる。
なお胴部2の下端は脚部3の内面側に折り返してからツールを用いて圧着している(図5(b)参照)。
これにより胴部2と底部5の融着時に、底部の最内層のPE層21よりも先に胴部の最内層のPE層15を溶融させ、胴部2の内壁面に底部5の脚部3外側面を接着させる。
これにより底紙の絞りシワの圧着による胴部2や底部5のバリア樹脂のピンホールの発生を防ぐことができる。
以下に前記構成に基づいた胴部ブランク10、底部ブランク20の構造の実験例を示す。
なお、本実施例で、PE層はポリエチレン層、LLDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、LDPEは低密度ポリエチレン、EVOHはエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、ADは接着層、PETはポリエチレンテレフタレートである。
胴部2のブランク10 厚さ340μm
(以下、各層の括弧内数字は厚みであり、単位はμmである)
胴部最内層のPE層15:LLDPE(30)/LDPE(20)
延伸バリアフィルム層14:EVOH(15)
PE層13:LDPE(20)
原紙12:一般紙265g/m2
胴部最外層のPE層11:LLDPE(15)
底部最内層のPE層21:LDPE(22)
無延伸バリアフィルム22:LLDPE(18)/AD(5)/EVOH(8)/AD(5)/LLDPE(18)からなる。合計(54)。
PE層23:LDPE(15)
原紙24:一般紙200g/m2
底部の最外層のPE層25:LDPE(15)
胴部2のブランク10 厚さ350μm
胴部最内層のPE層15:LLDPE(40)/LDPE(15)
延伸バリアフィルム層14:PET(12)/EVOH(12)合計(24)
PE層13:LDPE(15)
ここで、PETとEVOHの2枚を貼り合せてバリアフィルムとする場合は、どちらかが無延伸フィルムでも良い。本実施例ではPET/EVOHはドライラミネートされているものを用いた。
原紙12:一般紙265g/m2
胴部最外層のPE層11:PE(15)
前記実験例1、2における胴部2の最内層となるPE層15は、融点:102℃、MFR:15g/10minであり、底部5の最内層となるPE層21は、融点:108℃、MFR:7g/10minとした。
上記実験例1、2によるカップ成型後における胴部2と底部のピンホールはいずれも発見できず効果が確認できた。
上記各実施例では底部の脚部に絞りシワを有する場合について説明したが、この発明では脚部に絞りシワが無い場合においても同用の効果を奏することができる。
この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更することができる。
2 胴部
3 脚部
4 上面
5 底部
10 胴部のブランク
11 PE層(胴部最外層)
12 原紙
13 PE層
14 延伸バリアフィルム層
15 胴部最内層のPE層
20 底部のブランク
21 PE層(底部最外層)
22 無延伸バリアフィルム層
23 PE層
24 原紙層
25 底部最内層のPE層
31 胴部の接着位置(直接加熱個所)
32 脚部の接着位置(間接加熱個所)
F1 直接加熱
F2 間接加熱
L 絞りシワ
Claims (2)
- ブランクを筒状に成型した胴部と、ブランクの外周に沿って一連に所定の幅を折って形成した脚部を有し該脚部で支持された上面をカップ底面とする底部とを備え、前記ブランクが原紙を基材としバリア樹脂を積層したシートからなっており、前記胴部の内周面に底部の脚部を融着してなるバリア紙カップであって、
前記胴部のブランクのバリア樹脂には延伸バリアフィルムを使用し、前記底部のブランクのバリア樹脂には無延伸バリアフィルムを使用してなり、
前記胴部の内周面に底部の脚部を融着するために、前記胴部のブランクで胴部の内周面となる胴部最内層のポリエチレンと、前記底部のブランクで底部の脚部の外側面となって前記胴部最内層のポリエチレンと融着する前記底部最内層のポリエチレンとが設けられており、
前記胴部最内層のポリエチレンの融点が前記底部最内層のポリエチレンの融点よりも低く設定されていることを特徴とするバリア紙カップ。 - 胴部最内層のポリエチレンのメルトフローレートが、底部最内層のポリエチレンのメルトフローレートよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載のバリア紙カップ。
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JP2014213929A (ja) | 2013-04-30 | 2014-11-17 | 凸版印刷株式会社 | 紙カップ |
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