JP7006587B2 - 特徴量計測装置、電波環境計算装置、特徴量計測方法、電波環境計測方法、プログラム - Google Patents
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Description
また特許文献1には、離散的な複数の観測点で、計算または測定によって電波の強度を求め、これを用いて電波強度分布を求める方法が開示されている。また受信電力強度などの単一パラメータのみの観測では同一周波数における電波の混信、干渉を検出することは難しいため、特許文献1の技術は変調方式などの信号ごとに異なる特徴を持った統計パラメータを用いた観測を行い環境情報として用いる。
つまりフェージングの影響を含まない、または軽減した通信信号(電波信号)のより精度の高い特徴量を取得することができる。
[構成の説明]
以下、第1の実施形態による特徴量計測装置を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による特徴量計測装置の構成を示すブロック図である。
特徴量計測装置100は、取得部101、特徴量算出部102、類似度算出部103、フェージング検出部104、時間区間制御部105を備える。これら各機能は特徴量計測装置100が備える各機能に対応する回路によって実現されるものであってもよいし、特徴量計測装置100がプログラムを実行することにより特徴量計測装置100に備わる各機能であってもよい。
図2はフェージングが発生した場合とフェージングが発生していない場合の通信信号の振幅について、時系列の測定データを重ねて表示している。この測定データは、サンプリング速度を5×105(sample/s)、SNR(Signal to Noise Ratio)=20dB、フェージング周期が5Hzである場合の例であって、見通しの悪い環境(見通し外環境)における測定データを想定している。
図3は、異なる長さの各時間区間についての特徴量である振幅確率分布を示している。
図2の上部に、対応するA~Dの各時間区間の長さを図示する。図3はそれらA~Dの各時間区間についての振幅確率分布である。図3中Eはフェージングが無い時の振幅確率分布を示し、この場合には信号成分は振幅変動が少なく、振幅確率分布が急峻な変化を示す。なお周波数変調(FM:Frequency Modulation)や周波数偏移変調(FSK:Frequency Shift Keying)などの周波数に対する変調を用いた信号では、振幅確率分布がこうした急峻なカーブとなる可能性が高い。
類似度算出部103では式(3)などを用いて、通信信号とフェージング変動の振幅確率分布間の相関係数(類似度)を算出する。このとき、時間区間1秒の計算では相関係数が高くなり、フェージング検出部104はフェージング変動を含む(すなわち“再計算”)と判断する必要がある。一方、時間区間を0.4秒、0.1秒と短縮すると、相関係数が徐々に下がり、0.04秒の時点ではフェージング変動を含まないと判断するようフェージング検出部の動作において適切なしきい値が設定される。このしきい値の設定は、シミュレーションや実測による事前測定などを用いて、適正値が調整可能である。
またフェージング検出部104にて予め保持するフェージング特徴量の教師データは、その記憶部に格納されていても良い。また、特徴量計測装置100は、特徴量、時間区間、フェージング検出結果などを外部に出力する出力部を有しても良い。出力部は、例えば、ディスプレイ、又はプリンタ、あるいはエラーの発生を伝えるアラーム機器であり、特徴量や判別結果を表示等する。以上の構成により、特徴量計測装置100は自動的に特徴量にフェージングを含まない時間区間を選択する。
図4は第1の実施形態による特徴量計測装置の処理フローを示す図である。
次に、図4のフローチャートを参照して本実施の形態の動作について詳細に説明する。
特徴量計測装置100が通信信号の測定を開始すると、取得部101は新たにサンプリングした受信信号の時系列データ(計測データ)を取得する(ステップS101)。次に特徴量算出部102は予め設定された時間区間tnの受信信号に対して特徴量Anを算出する(ステップS102)。ここで特徴量を算出する手法に関しては、特徴量の種類に応じて一般的に用いられる手法を利用する。類似度算出部103は、電波の特徴量Anと、予め設定されたフェージング特徴量Xとの相関係数rn(類似度)を算出する(ステップS103)。
時間区間制御部105は図5で示すように時間区間をt0,…,tn-1,tnと順次短縮していく。それに伴い、フェージング環境下においては、各時間区間に対する相関係数はr0,…,rn-1,rnと順次低くなっていく。相関係数がしきい値より低くなった場合に計算を終了し、フェージング変動の特徴が含まれていないと判断する。
特徴量の計算において、時間区間tを短縮することで、フェージング変動の影響を特徴量に含めないことが可能であるが、時間区間tは短いほど良いというわけではなく、特徴量計算の精度上、必要な下限が存在する。
本発明の実施形態によれば、フェージング環境下においてもフェージングの含まれない周期を自動的に決定して観測対象である通信信号の特徴量が計測できる特徴量計測装置を提供できる。
次に第2の実施形態による特徴量計測装置について説明する。
[構成の説明]
第2の実施形態による特徴量計測装置100の構成は、第1の実施形態と同様の図1で示す構成である。一方で第2の実施形態による特徴量計測装置100は第1の実施形態による特徴量計測装置100と比較してその動作が異なる。具体的には第2の実施形態の特徴量計測装置100は、特徴量算出部102があらかじめ設定された複数の時間区間で複数の特徴量を計算することで、再計算処理を行わない点で第1の実施形態と異なっている。
図8は第2の実施形態による特徴量計測装置の処理フローを示す図である。
第2の実施形態の動作について図8のフローチャートを参照して詳細に説明する。
測定が開始されると、取得部101は新たにサンプリングした受信信号の時系列データを取得する(ステップS201)。次に、特徴量算出部102は、予め設定された時間区間群を取得し、当該時間区間群が示す複数の時間区間t0,t1,…tnに基づく特徴量A0,A1,…, Anをそれぞれ算出する(ステップS202)。次に、類似度算出部103は、複数の時間区間t0,t1,…tnに対する電波の特徴量A0,A1,…, Anと、予め設定されたフェージング特徴量Xとの相関係数(類似度)r0,r1,…rnをそれぞれ算出する(ステップS203)。フェージング検出部104は、r0,r1,…rnとあらかじめ設定されたしきい値Yとの大小関係を判別する(ステップS204)。
具体的には、フェージング検出部104は、相関係数r0,r1,…rnの何れかがしきい値Yより大きいか否かを判定し、時間区間制御部105に判別結果を通知する。時間区間制御部105は、しきい値Y以下となる相関係数が一つも存在しない場合(ステップS205-NO)、フェージング変動を含んでいると判断してアラームを出力する。一方、時間区間制御部105は、しきい値Y以下となる相関係数が少なくとも一つ存在した場合(ステップS205-YES)、時間区間制御部105がしきい値以下となった相関係数に対応する時間区間の中で最長の時間区間txを選択し、対応する特徴量Ax、相関係数rxを記録し(ステップS206)、計測を終了する。
本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、フェージング環境下においてもフェージングの含まれない周期を自動的に決定して観測対象である通信信号の特徴量が計測できる特徴量計測装置100を提供できる。また一連の処理は重くなる一方、再計算処理が必要なくなることから、電波環境によらず同じ処理で計算が終了するという利点がある。
次に第3の実施形態による特徴量計測装置について説明する。
[構成の説明]
第3の実施形態による特徴量計測装置100の構成は、第1の実施形態と同様の図1で示す構成である。一方で第3の実施形態による特徴量計測装置100は第1,第2の実施形態による特徴量計測装置100と比較してその動作が異なる。具体的には第3の実施形態の特徴量計測装置100は、類似度算出部103があらかじめ設定された複数のフェージング環境の特徴量を教師データとして格納しており、各教師データとの間で複数の相関係数(類似度)を計算することで、フェージング特性の異なる環境において、適切な教師データを選択可能にした点で異なっている。
フェージングによる電波の変動は、電波伝搬の計測に基づいて統計的にモデル化されている。直接波のような強度の高い到来波が存在しない見通し外環境の場合、受信信号の複素包絡線は複素ガウス分布となる(図9(a))。このとき受信信号の振幅rは式(5)に示すレイリー分布となる。ただし式(5)においてσ2は平均受信電力である。
ただし、vは直接波の振幅、I0(X)は0次の第一ベッセル関数である。直接波と散乱波の電力比Kをライス係数と呼ぶ。仲上-ライス分布においてK<0dB(直接波が弱い)の場合はほぼレイリー分布に従い、K=∞dB(直接波のみ)のときはフェージングが存在せず、ガウス分布に近づく。
図10は第3の実施形態による特徴量計測装置の処理フローを示す図である。
第3の実施形態の動作について図10のフローチャートを参照して詳細に説明する。
測定が開始されると、取得部101は新たにサンプリングした受信信号の時系列データを取得する(ステップS301)。次に、特徴量算出部102は、予め設定された時間区間群tnに対して特徴量Anを算出する(ステップS302)。次に、類似度算出部103は、時間区間tnに対する電波の特徴量Anと予め設定された異なるライス係数のフェージング特徴量X0,X1,…,Xkとの間の各相関係数(類似度)rn0 ,rn1,…,rnkをそれぞれ算出する(ステップS303)。
第3の実施形態によれば、第1、第2の実施形態と同様、フェージング環境下においてもフェージングの含まれない周期を自動的に決定して観測対象である通信信号の特徴量が計測できる特徴量計測装置を提供できる。また特徴量計測装置100を複数用いて電波環境計測を行った場合に、各受信位置でのフェージング環境の状況をより詳細に把握できるという利点がある。さらに、異なるフェージング環境においても、特徴量計測装置100を個別に設定する必要がないという利点を有する。
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、未知信号に適用可能な手法であれば、ダイバーシティや回路補償などの既存のフェージングによる振幅変動の軽減手段と組み合わせても良い。特徴量計測装置100に組合せ可能な手法として、空間的に複数のアンテナを配置した空間ダイバーシティなどと共用可能である。
図11で示す電波環境計算装置は、各々がインターネット210に接続された複数の特徴量計測装置100からなる特徴量計測装置群200と、インターネットを介して各特徴量計測装置100を制御する観測制御装置211と、インターネットを介して各特徴量計測装置100で観測した特徴量を取得・保持する電波観測情報データベース212と、データベースの分析を行う環境情報分析装置213と、で構成されている。各特徴量計測装置100は空間上の異なる位置座標に位置している。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
この出願は、2016年5月13日に出願された日本出願特願2016-096962を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
101 取得部
102 特徴量算出部
103 類似度算出部
104 フェージング検出部
105 時間区間制御部
200 特徴量計測装置群
210 インターネット
211 観測制御装置
212 電波観測情報データベース
213 環境情報分析装置
Claims (8)
- 受信した信号から時系列データを取得する取得手段と、
前記時系列データにおける所定の時間区間のデータに基づいて特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記時間区間のデータに基づく特徴量と、予め定めたフェージング変動が有る場合の特徴量を示す教師データとの間の類似度を算出する類似度算出手段と、
前記類似度と予め定めたしきい値との大小関係を示す比較結果を出力するフェージング検出手段と、
前記比較結果に基づいて、前記フェージング変動の特徴が前記時間区間内に含まれているかを判定し、含まれていない場合に当該時間区間における特徴量を出力する制御手段と、
を備える特徴量計測装置。 - 前記制御手段は、前記フェージング変動が前記所定の時間区間に含まれると判定した場合、前記時間区間を短縮した新たな時間区間による特徴量の再計算を前記特徴量算出手段に指示し、前記特徴量を算出する時間区間内に前記フェージング変動の特徴を含まないと判定するまで繰り返す
請求項1に記載の特徴量計測装置。 - 前記特徴量算出手段は、前記時系列データにおける複数の異なる長さの時間区間のデータに基づいて対応する複数の特徴量をそれぞれ算出し、
前記類似度算出手段は、前記複数の特徴量と前記教師データとの間の類似度をそれぞれ算出し、
前記フェージング検出手段は、前記複数の特徴量と前記教師データとの間の各類似度と予め定めたしきい値との大小関係を示す各比較結果を出力し、
前記制御手段は、前記各比較結果に基づいて、前記フェージング変動の特徴が前記時間区間内に含まれているかを判定し、含まれていない場合に当該時間区間における特徴量を出力する
請求項1に記載の特徴量計測装置。 - 前記教師データは、フェージングの振幅及び位相の統計量データの理論値又は前記フェージング変動の実測値に基づいたデータであって、異なる複数のフェージング環境のそれぞれにおける特徴量を示すデータである
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の特徴量計測装置。 - 空間上の異なる位置座標のそれぞれに配置された、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の特徴量計測装置と、
複数の前記特徴量計測装置によって算出された前記フェージング変動の特徴が含まれない前記時間区間における特徴量を取得して記憶するデータベースと、
を備える電波環境計算装置。 - 受信した信号から時系列データを取得し、
前記時系列データにおける所定の時間区間のデータに基づいて特徴量を算出し、
前記時間区間のデータに基づく特徴量と、予め定めたフェージング変動が有る場合の特徴量を示す教師データとの間の類似度を算出し、
前記類似度と予め定めたしきい値との大小関係を示す比較結果を出力し、
前記比較結果に基づいて、前記フェージング変動の特徴が前記時間区間内に含まれているかを判定し、含まれていない場合に当該時間区間における特徴量を出力する
特徴量計測方法。 - 請求項6に記載の特徴量計測方法によって算出された前記フェージング変動の特徴が含まれない前記時間区間における特徴量を取得してデータベースに記録する電波環境計測方法。
- 特徴量計測装置のコンピュータを、
受信した信号から時系列データを取得する取得手段、
前記時系列データにおける所定の時間区間のデータに基づいて特徴量を算出する特徴量算出手段、
前記時間区間のデータに基づく特徴量と、予め定めたフェージング変動が有る場合の特徴量を示す教師データとの間の類似度を算出する類似度算出手段、
前記類似度と予め定めたしきい値との大小関係を示す比較結果を出力するフェージング検出手段、
前記比較結果に基づいて、前記フェージング変動の特徴が前記時間区間内に含まれているかを判定し、含まれていない場合に当該時間区間における特徴量を出力する制御手段、として機能させるプログラム。
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