JP7006134B2 - 成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示されている技術では、所望の形状に成形する前の、平面形状に形成された金属基材に対し、グラビア印刷やシルク印刷を用いて、任意の絵柄を施す。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、鋭角な形状や複雑な形状の成形品に対して付与した絵柄に発生する損傷や柄伸びを抑制することが可能な、成形品の製造方法と、成形品を提供することを目的とする。
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(成形品)
図1を参照して、成形品1の構成について説明する。
成形品1は、図1及び図2中に表すように、金属基材2と、絵柄印刷層4を備える。
金属基材2は、例えば、鋼板やアルミ板等の金属材料を用いて、トレイ形状等、X軸及びY軸の平面形状に対してZ軸を加えた立体形状、すなわち、三次元形状に形成されている。
また、金属基材2は、平板部6と、側壁部8を備える。
平板部6は、四辺形(正方形)の平板状に形成されている。
また、平板部6には、複数の空隙部Vが形成されている。
各空隙部Vは、例えば、レーザーカット等の抜き加工を用いて形成されており、成形品1に要求されるデザイン等に応じて、形状・数・位置が設定されている。
以上により、第一実施形態では、一例として、金属基材2が、平板部6及び側壁部8を有するトレイ形状であり、また、平板部6に複数の空隙部Vを有する三次元形状に形成されている場合について説明する。
平板部6と側壁部8が連続する位置には、例えば、切削加工を用いて、平板部6の外縁部に沿った面取り部Bが形成されている。
絵柄印刷層4は、金属基材2に積層されており、予め設定した絵柄が印刷されている。
絵柄としては、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等、成形品1を用いる箇所に適した絵柄を選択することが可能である。
また、絵柄印刷層4は、例えば、ポリエステルやアクリルを主成分とした塗料を用いて形成した下地層に、転写法を用いて絵柄を転写することで形成する。
袋体10は、三次元形状に形成した金属基材2を収容可能な大きさの袋状に形成されており、フィルム基材層12と、転写印刷層14を備える。
第一実施形態では、一例として、袋体10の形状を、箱状や円筒状等、底面と側面を有する形状とした場合について説明する。
フィルム基材層12は、例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いて形成されており、袋体10の外面を形成する。
フィルム基材層12の厚さは、例えば、12[μm]以上50[μm]以下の範囲内に設定する。
また、転写印刷層14には、下地層に転写する予め設定した絵柄が、例えば、ニトロセルロース樹脂を主成分としたインキを用いて形成されている。
したがって、袋体10の内面には、下地層に転写する予め設定した絵柄に対応する転写柄が転写可能に印刷されている。
袋体10を用いて、絵柄印刷層4に絵柄を形成する方法については、後述する。
以下、図1から図3を参照しつつ、図4を用いて、第一実施形態の成形品1を製造する方法(以降の説明では、「成形品製造方法」と記載する場合がある)を説明する。
成形品製造方法は、金属基材2と、絵柄印刷層4を備える成形品1の製造方法であり、金属基材成形工程と、絵柄印刷層形成工程と、剥離工程を備える。
金属基材成形工程は、金属基材2を予め設定した三次元形状(トレイ形状等)に成形する工程であり、折り曲げ加工、絞り加工、抜き加工を用いて、金属基材2を三次元形状に成形する。
絵柄印刷層形成工程では、まず、図4中に表すように、平板部6を鉛直方向の下方へ向けた状態で、袋体10の中に金属基材2を収容する。
なお、第一実施形態では、一例として、袋体10を宙吊りにした状態で、袋体10の中に金属基材2を収容する場合について説明する。これに加え、第一実施形態では、一例として、宙吊りにした袋体10の中において、平板部6の上面6uを袋体10の内面のうち、底面と面接触させた状態で、袋体10の中に金属基材2を収容する場合について説明する。
そして、真空ポンプによって袋体10の中に存在する空気を抜き、袋体10の中を真空にすることで袋体10の内部を負圧として、袋体10の内面(側面)を金属基材2に面接触させる。
ここで、第一実施形態では、宙吊りにした袋体10の中において、平板部6の上面6uを袋体10の内面(底面)と面接触させた状態で、袋体10の中に金属基材2を収容している。
これにより、袋体10の中に存在する空気を抜いて袋体10の中を真空にすることで袋体10の内部を負圧として、袋体10に皺が形成されないように、袋体10の内面を金属基材2に面接触させる。
これにより、袋体10の内面に印刷されている転写柄を金属基材2の全面(下地層)に転写(熱転写)して、絵柄印刷層4を金属基材2に積層させる。
また、袋体10の内面に印刷されている転写柄を金属基材2の全面に転写することが可能となるため、平板部6のうち、空隙部Vによって形成される内壁面6inに対しても、転写柄を転写することが可能となる。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
第一実施形態の成形品1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)予め設定した三次元形状に成形された金属基材2と、金属基材2に積層され、且つ予め設定した絵柄が印刷された絵柄印刷層4を備える。そして、絵柄印刷層4は、絵柄に対応する転写柄が転写可能に内面へ印刷された袋体10の中に収容した金属基材2に内面を面接触させることで、転写柄を金属基材2の全面に転写させて金属基材2に積層されている。
その結果、袋体10の中で金属基材2の全面に転写柄を転写することで、鋭角な形状や複雑な形状を有する成形品1に付与した絵柄に発生する損傷や柄伸びを抑制することが可能な、成形品1を提供することが可能となる。
その結果、成形品1の三次元形状を、鋭角な形状や複雑な形状とすることが可能となる。
(3)三次元形状は、抜き加工を用いて金属基材2に成形されている。
その結果、成形品1の三次元形状を、鋭角な形状や複雑な形状とすることが可能となる。
また、第一実施形態の成形品の製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
その結果、袋体10の中で金属基材2の全面に転写柄を転写することで、鋭角な形状や複雑な形状を有する成形品1に付与した絵柄に発生する損傷や柄伸びを抑制することが可能な、成形品の製造方法を提供することが可能となる。
その結果、成形品1の三次元形状を、鋭角な形状や複雑な形状とすることが可能となる。
(6)金属基材成形工程では、抜き加工を用いて、金属基材2を三次元形状に成形する。
その結果、成形品1の三次元形状を、鋭角な形状や複雑な形状とすることが可能となる。
(1)第一実施形態では、袋体10の形状を、箱状や円筒状等、底面と側面を有する形状としたが、袋体10の形状は、これに限定するものではなく、例えば、封筒のように、方形に形成した二枚の平板を、三つの辺同士を接合させた形状としてもよい。
この場合、絵柄印刷層形成工程において、例えば、図5中に表すように、作業台等の水平な面に袋体10を載せる。そして、平板部6の上面6uを鉛直方向の下方へ向けた状態で、袋体10の中に金属基材2を収容する。
次に、袋体10の内面を金属基材2に面接触させた状態で、例えば、温度を200[℃]に設定したオーブンを用いて、5分間以上30分間以下の範囲内で加熱した後に冷却させる。これにより、袋体10の内面に印刷されている転写柄を金属基材2の全面(下地層)に転写(熱転写)して、絵柄印刷層4を金属基材2に積層させる。
(実施例1)
実施例1の成形品は、以下の手順で形成した。
・袋体
フィルム基材層:厚さが25[μm]の二軸延伸ポリエステルフィルムを用いて形成。
転写印刷層:フィルム基材層に、ニトロセルロース樹脂を主成分としたインキを用いて杉調の木目柄である絵柄として形成。
さらに、フィルム基材層に転写印刷層を積層したシートを完全な袋状にするために、転写印刷層が袋体の内面となるように、シートの端部同士を接続した接続部分をウェルダー加工により処理する。
材料:厚さが2[mm]のアルミ板
三次元形状:折り曲げ加工を用いて四辺を折り曲げて側壁部を形成し、一辺の長さが50[cm]である正方形の平板部を形成。さらに、平板部には、抜き加工(レーザーカット)を用いて、任意の形状にデザインした空隙部を形成。
・絵柄印刷層
ポリエステル塗料を粉体塗装することで、厚さが50[μm]の下地層を形成する。
次に、袋体に皺が入らないように、金属基材を収容した袋体の内部を真空にして、袋体の内面を金属基材に面接触させた状態で、温度を200[℃]に設定したオーブンを用いて15分間加熱した後に、40[℃]まで冷却させる。その後、金属基材から袋体を剥離させることで、杉調の木目柄を表現したインキを下地層に転写する。
以上により、実施例1では、木目柄を有する成形品を製造した。
実施例2の成形品は、以下の手順で形成した。
・袋体
フィルム基材層:厚さが25[μm]の二軸延伸ポリエステルフィルムを用いて形成。
転写印刷層:フィルム基材層に、ニトロセルロース樹脂を主成分としたインキを用いて大理石調の石目柄である絵柄として形成。
さらに、フィルム基材層に転写印刷層を積層したシートを完全な袋状にするために、巾が1[m]のシートを中心でベンダー加工する。これに加え、長さが2[m]の金属基材が入るようにカットする。そして、転写印刷層が袋体の内面となるように、シートの端部同士を接続した接続部分をウェルダー加工により処理する。
材料:厚さが1.5[mm]の溶融亜鉛メッキ処理を施した鋼板
三次元形状:折り曲げ加工を用いて、角面が直角になるように四辺を折り曲げて側壁部を形成し、一辺の長さが2[m]である正方形の平板部を形成。
・絵柄印刷層
ポリエステル塗料を粉体塗装することで、厚さが50[μm]の下地層を形成する。
次に、袋体に皺が入らないように、金属基材を収容した袋体の内部を真空にして、袋体の内面を金属基材に面接触させた状態で、温度を200[℃]に設定したオーブンを用いて20分間加熱した後に、40[℃]まで冷却させる。その後、金属基材から袋体を剥離させることで、大理石調の石目柄を表現したインキを下地層に転写する。
以上により、実施例2では、大理石調の石目柄を有する成形品を製造した。
実施例3の成形品は、以下の手順で形成した。
・袋体
フィルム基材層:厚さが50[μm]の二軸延伸ポリエステルフィルムを用いて形成。
転写印刷層:フィルム基材層に、ニトロセルロース樹脂を主成分としたインキを用いてメイプル調の木目柄である絵柄として形成。
さらに、フィルム基材層に転写印刷層を積層したシートを完全な袋状にするために、巾が50[cm]のシートを中心でベンダー加工する。これに加え、長さが4[m]の金属基材が入るようにカットする。そして、転写印刷層が袋体の内面となるように、シートの端部同士を接続した接続部分をウェルダー加工により処理する。
材料:厚さが2[mm]のアルミ板
三次元形状:アルミ押し出し法を用いて、長さが4[m]のルーバー形状に形成。
・絵柄印刷層
ポリエステル塗料を粉体塗装することで、厚さが50[μm]の下地層を形成する。
次に、袋体に皺が入らないように、金属基材を収容した袋体の内部を真空にして、袋体の内面を金属基材に面接触させた状態で、温度を200[℃]に設定したオーブンを用いて15分間加熱した後に、40[℃]まで冷却させる。その後、金属基材から袋体を剥離させることで、メイプル調の木目柄を表現したインキを下地層に転写する。
さらに、実施例3では、成形品を外装用途に使用する場合を考慮して、メイプル調の木目柄を表現したインキを下地層に転写させた後に、外装用途で実績のあるフッソ塗料をスプレー塗装により表面に吹き付け、耐候性能を向上させた仕様とした。
実施例1から3の成形品に対し、密着性、耐候性、耐傷性に対する性能評価を行った。評価結果は表1中に表す。
密着性の評価は、碁盤目を1[mm]に設定した碁盤目TC密着試験により評価する耐熱試験(80[℃])及び耐湿試験(40[℃]、90[%])と、ボルトナット試験(80[℃]~20[℃]の温度変化を10回繰り返す)により行った。
(耐候性)
耐候性の評価は、密着性の評価を行う前に、「メタルウェザーメーター」と、「サンシャインウェザーメーター」を用いて行った。
耐傷性の評価は、スチールウール試験、コイン引っかき試験、ホフマンスクラッチ試験、鉛筆硬度試験のそれぞれにより行った。
(評価結果)
表1中に表されるように、実施例1から3の成形品は、剥離性、耐候性、耐傷性が良好であることが確認された。
Claims (3)
- 金属基材と、前記金属基材に積層し、且つ予め設定した絵柄が印刷された絵柄印刷層と、を備える成形品の製造方法であって、
前記金属基材を予め設定した三次元形状に成形する金属基材成形工程と、前記金属基材成形工程で前記三次元形状に成形した前記金属基材に前記絵柄印刷層を積層させる絵柄印刷層形成工程と、を備え、
前記絵柄印刷層形成工程では、前記絵柄に対応する転写柄が転写可能に内面へ印刷された袋体を宙吊りにした状態で前記袋体の中に前記金属基材を収容し、さらに、前記袋体の内部を負圧として前記内面を前記金属基材に面接触させることで前記転写柄を金属基材の全面に転写して前記絵柄印刷層を積層させることを特徴とする成形品の製造方法。 - 前記金属基材成形工程では、折り曲げ加工及び絞り加工のうち少なくとも一方を用いて、前記金属基材を前記三次元形状に成形することを特徴とする請求項1に記載した成形品の製造方法。
- 前記金属基材成形工程では、抜き加工を用いて、前記金属基材を前記三次元形状に成形することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した成形品の製造方法。
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