以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
[1.実施形態におけるシート製造装置の全体構成]
図1は、本実施形態のシート製造装置100の全体構成を示す模式図である。図1を参照して、シート製造装置100は、供給部10(本発明の原料セット部に相当する)、解繊部200、再生部250、シート収容部96、シート排出部97、及びシート製造装置100の全体的な作動を制御する制御装置110を備えている。
シート製造装置100は、使用済みの廃棄紙等の繊維を含む原料を、新しいシートに再生する再生処理を実行する。シート製造装置100は、複種の種別のシートを製造してユーザーに販売する。ここで、解繊化された原料に様々な添加物を混合することにより、用途に合わせて、シートの結合強度や白色度を向上させたり、色、香り、難燃等の機能を付加したりすることができる。また、シート製造装置100により、密度や厚さ、サイズ、形状をコントロールして成型することで、多様な種別のシートを製造して販売することができる。シートとしては、A4やA3の印刷用紙、掃除用シート(床掃除用シート等)、油汚れ用シート、トイレ掃除用シート等のシート状の製品の他に、紙皿形状等の成型したシートの製造が可能である。
ここで、床掃除用シートは、例えば厚さ1mm、白色、密度は印刷用紙よりも低く、エンボス加工により同心円状の凹凸が形成されている。油汚れ用シートは、厚さ3mm、白色、密度は印刷用紙よりも低く、油をたくさん吸収することができる。トイレ掃除用シートは、青色である点以外は、床掃除用シートと同じ仕様であり、ユーザーが床掃除用シートと間違えないように、異なる色にしている。紙皿は、ローラーではなく型プレスにより成型され、白色、厚さ1mmで、密度が高い。
解繊部200は、粗砕部12、解繊部20、及び選別部40等により構成されている。再生部250は、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、堆積部60、第2ウェブ形成部70、搬送部79、シート形成部80、切断部90等により構成されている。解繊部200と再生部250とにより、本発明のシート製造部が構成される。
シート製造装置100は、原料に対する加湿、及び/または原料が移動する空間を加湿する目的で、加湿部202、204、206、208、210、212を備える。これら加湿部202、204、206、208、210、212の具体的な構成は任意であり、スチーム式、気化式、温風気化式、超音波式等が挙げられる。
本実施形態では、加湿部202、204、206、208を、気化式または温風気化式の加湿器で構成する。すなわち、加湿部202、204、206、208は、水を浸潤させるフィルター(図示略)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を供給する。
また、本実施形態では、加湿部210及び加湿部212を、超音波式加湿器で構成する。すなわち、加湿部210、212は、水を霧化する振動部(図示略)を有し、振動部により発生するミストを供給する。
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。シート製造装置100がシートを製造する原料は繊維を含むものであればよく、例えば、紙、パルプ、パルプシート、不織布を含む布、或いは織物等が挙げられる。本実施形態ではシート製造装置100が廃棄紙を原料とする構成を例示する。本実施形態では、ユーザーが供給部10に廃棄紙を重ねてセットし、供給部10から粗砕部12に廃棄紙を送り出す構成となっている。なお、原料として、一度も印刷あるいは使用されていない新品の紙を使用してもよい。
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を粗砕刃14によって裁断(粗砕)して、粗砕片にする。粗砕刃14は、大気中(空気中)等の気中で原料を裁断する。粗砕部12は、例えば、原料を挟んで裁断する一対の粗砕刃14と、粗砕刃14を回転させる駆動部とを備え、いわゆるシュレッダーと同様の構成とすることができる。粗砕片の形状や大きさは任意であり、解繊部20における解繊処理に適していればよい。例えば、粗砕部12は、原料を、1~数cm四方またはそれ以下のサイズの紙片に裁断する。
粗砕部12は、粗砕刃14により裁断されて落下する粗砕片を受けるシュート(ホッパー)9を有する。シュート9は、例えば、粗砕片が流れる方向(進行する方向)において、徐々に幅が狭くなるテーパー形状を有する。そのため、シュート9は、多くの粗砕片を受けとめることができる。シュート9には、解繊部20に連通する管2が連結され、管2は粗砕刃14によって裁断された原料(粗砕片)を、解繊部20に搬送させるための搬送路を形成する。粗砕片はシュート9により集められ、管2を通って解繊部20に移送(搬送)される。
粗砕部12が有するシュート9、或いはシュート9の近傍には、加湿部202により加湿空気が供給される。これにより、粗砕刃14により裁断された粗砕物が、静電気によってシュート9や管2の内面に吸着する現象を抑制できる。また、粗砕刃14が裁断した粗砕物は、加湿された(高湿度の)空気とともに解繊部20に移送されるので、解繊部20の内部における解繊物の付着を抑制する効果も期待できる。また、加湿部202は、粗砕刃14に加湿空気を供給して、供給部10が供給する原料を除電する構成としてもよい。また、加湿部202とともにイオナイザーを用いて除電してもよい。
解繊部20は、粗砕部12で裁断された粗砕物を解繊する。より具体的には、解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料(粗砕片)を解繊処理し、解繊物を生成する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料(被解繊物)を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂(複数の繊維同士を結着させるための樹脂)粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止剤、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも(string)状や平ひも(ribbon)状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態(独立した状態)で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態(いわゆる「ダマ」を形成している状態)で存在してもよい。
解繊部20は、乾式で解繊を行う。ここで、液体中ではなく、大気中(空気中)等の気中において、解繊等の処理を行うことを乾式と称する。本実施形態では、解繊部20がインペラーミルを用いる構成とする。具体的には、解繊部20は、高速回転するローター(図示略)、及び、ローターの外周に位置するライナー(図示略)を備える。粗砕部12で裁断された粗砕片は、解繊部20のローターとライナーとの間に挟まれて解繊される。解繊部20は、ローターの回転により気流を発生させる。この気流により、解繊部20は、原料である粗砕片を管2から吸引し、解繊物を排出口24へと搬送できる。解繊物は排出口24から管3に送り出され、管3を介して選別部40に移送される。
このように、解繊部20で生成される解繊物は、解繊部20が発生する気流により解繊部20から選別部40に搬送される。さらに、本実施形態では、シート製造装置100が気流発生装置である解繊部ブロアー26を備え、解繊部ブロアー26が発生する気流により解繊物が選別部40に搬送される。解繊部ブロアー26は管3に取り付けられ、解繊部20から解繊物とともに空気を吸引し、選別部40に送風する。
選別部40は、管3から解繊部20により解繊された解繊物が気流とともに流入する導入口42を有する。選別部40は、導入口42に導入する解繊物を、繊維の長さによって選別する。詳細には、選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物のうち、予め定められたサイズ以下の解繊物を第1選別物とし、第1選別物より大きい解繊物を第2選別物として、選別する。第1選別物は繊維または粒子等を含み、第2選別物は、例えば、大きい繊維、未解繊片(十分に解繊されていない粗砕片)、解繊された繊維が凝集し、或いは絡まったダマ等を含む。
本実施形態で、選別部40は、ドラム部(篩部)41と、ドラム部41を収容するハウジング部(覆い部)43と、を有する。
ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部41は、網の目開き(開口)の大きさより小さい第1選別物と、網の目開きより大きい第2選別物とを選別する。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いることができる。
導入口42に導入された解繊物は気流とともにドラム部41の内部に送り込まれ、ドラム部41の回転によって第1選別物がドラム部41の網の目から下方に落下する。ドラム部41の網の目を通過できない第2選別物は、導入口42からドラム部41に流入する気流により流されて排出口44に導かれ、管8に送り出される。
管8は、ドラム部41の内部と管2とを連結する。管8を通って流される第2選別物は、粗砕部12により裁断された粗砕片とともに管2を流れ、解繊部20の導入口22に導かれる。これにより、第2選別物は解繊部20に戻されて、解繊処理される。
また、ドラム部41により選別される第1選別物は、ドラム部41の網の目を通って空気中に分散し、ドラム部41の下方に位置する第1ウェブ形成部45のメッシュベルト46に向けて降下する。
第1ウェブ形成部45(分離部)は、メッシュベルト46(分離ベルト)と、ローラー47と、吸引部(サクション機構)48と、を含む。メッシュベルト46は無端形状のベルトであって、3つのローラー47に懸架され、ローラー47の動きにより、図中矢印で示す方向に搬送される。メッシュベルト46の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。選別部40から降下する第1選別物のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト46の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト46に堆積し、メッシュベルト46とともに矢印方向に搬送される。メッシュベルト46から落下する微粒子は、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色剤や添加剤など)を含み、シート製造装置100がシート(図1ではシートSを例示)の製造に使用しない除去物である。
メッシュベルト46は、シートSを製造する通常動作中には、一定の速度V1で移動する。ここで、通常動作中とは、後述するシート製造装置100の始動制御、及び、停止制御の実行中を除く動作中であり、より詳細には、シート製造装置100が望ましい品質のシートを製造している間を指す。
従って、解繊部20で解繊処理された解繊物は、選別部40で第1選別物と第2選別物とに選別され、第2選別物が解繊部20に戻される。また、第1選別物から、第1ウェブ形成部45によって除去物が除かれる。第1選別物から除去物を除いた残りは、シートSの製造に適した材料であり、この材料はメッシュベルト46に堆積して第1ウェブW1を形成する。
吸引部48は、メッシュベルト46の下方から空気を吸引する。吸引部48は、管23を介して集塵部27に連結される。集塵部27はフィルター式或いはサイクロン式の集塵装置であり、微粒子を気流から分離する。集塵部27の下流には捕集ブロアー28(分離吸引部)が設置され、捕集ブロアー28は、集塵部27から空気を吸引する。また、捕集ブロアー28が排出する空気は管29を経てシート製造装置100の外に排出される。
この構成では、捕集ブロアー28により、集塵部27を通じて吸引部48から空気が吸引される。吸引部48では、メッシュベルト46の網の目を通過する微粒子が、空気と共に吸引され、管23を通って集塵部27に送られる。集塵部27は、メッシュベルト46を通過した微粒子を気流から分離して蓄積する。
従って、メッシュベルト46の上には第1選別物から除去物を除去した繊維が堆積して第1ウェブW1が形成される。捕集ブロアー28が吸引を行うことで、メッシュベルト46上における第1ウェブW1の形成が促進され、かつ、除去物が速やかに除去される。
ドラム部41を含む空間には、加湿部204により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、選別部40の内部で第1選別物を加湿する。これにより、静電力による第1選別物のメッシュベルト46への付着を弱め、第1選別物をメッシュベルト46から剥離し易くすることができる。さらに、静電力により第1選別物が回転体49やハウジング部43の内壁に付着することを抑制できる。また、吸引部48によって除去物を効率よく吸引できる。
なお、シート製造装置100において、第1解繊物と第2解繊物とを選別し、分離する構成は、ドラム部41を備える選別部40に限定されない。例えば、解繊部20で解繊処理された解繊物を、分級機によって分級する構成を採用してもよい。分級機としては、例えば、サイクロン分級機、エルボージェット分級機、エディクラシファイヤーを用いることができる。これらの分級機を用いれば、第1選別物と第2選別物とを選別し、分離することが可能である。さらに、上記の分級機により、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色剤や添加剤など)を含む除去物を、分離して除去する構成を実現できる。例えば、第1選別物に含まれる微粒子を、分級機によって、第1選別物から除去する構成としてもよい。この場合、第2選別物は、例えば解繊部20に戻され、除去物は集塵部27により集塵され、除去物を除く第1選別物が管54に送られる構成とすることができる。
メッシュベルト46の搬送経路において、選別部40の下流側には、加湿部210によって、ミストを含む空気が供給される。加湿部210が生成する水の微粒子であるミストは、第1ウェブW1に向けて降下し、第1ウェブW1に水分を供給する。これにより、第1ウェブW1が含む水分量が調整され、静電気によるメッシュベルト46への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100は、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1を分断する回転体49を備える。第1ウェブW1は、メッシュベルト46がローラー47により折り返す位置で、メッシュベルト46から剥離して、回転体49により分断される。
第1ウェブW1は繊維が堆積してウェブ形状となった柔らかい材料であり、回転体49は、第1ウェブW1の繊維をほぐして、後述する混合部50で樹脂を混合しやすい状態に加工する。
回転体49の構成は任意であるが、本実施形態では、板状の羽根を有し回転する回転羽形状とすることができる。回転体49は、メッシュベルト46から剥離する第1ウェブW1と羽根とが接触する位置に配置される。回転体49の回転(例えば図中矢印Rで示す方向への回転)により、メッシュベルト46から剥離して搬送される第1ウェブW1に羽根が衝突して分断し、細分体Pを生成する。
なお、回転体49は、回転体49の羽根がメッシュベルト46に衝突しない位置に設置されることが好ましい。例えば、回転体49の羽根の先端とメッシュベルト46との間隔を、0.05mm以上0.5mm以下とすることができ、この場合、回転体49によって、メッシュベルト46に損傷を与えることなく第1ウェブW1を効率よく分断できる。
回転体49によって分断された細分体Pは、管7の内部を下降して、管7の内部を流れる気流によって混合部50へ移送(搬送)される。
また、回転体49を含む空間には、加湿部206により加湿空気が供給される。これにより、管7の内部や、回転体49の羽根に対し、静電気により繊維が吸着する現象を抑制できる。また、管7を通って、湿度の高い空気が混合部50に供給されるので、混合部50においても静電気による影響を抑制できる。
混合部50は、樹脂を含む添加物を供給する添加物供給部52、管7に連通し、細分体Pを含む気流が流れる管54、及び、混合ブロアー56(移送ブロアー)を備える。
細分体Pは、上述のように選別部40を通過した第1選別物から除去物を除去した繊維である。混合部50は、細分体Pを構成する繊維に、樹脂を含む添加物を混合する。
混合部50では、混合ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、細分体Pと添加物とを混合させながら、搬送する。また、細分体Pは、管7及び管54の内部を流れる過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
添加物供給部52(樹脂収容部)は、添加物を蓄積する添加物カートリッジ(図示略)に接続され、添加物カートリッジ内部の添加物を管54に供給する。添加物カートリッジは、添加物供給部52に着脱可能な構成であってもよい。また、添加物カートリッジに添加物を補充する構成を備えてもよい。添加物供給部52は、添加物カートリッジ内部の微粉または微粒子からなる添加物をいったん貯留する。添加物供給部52は、いったん貯留した添加物を管54に送る排出部52a(樹脂供給部)を有する。排出部52aは、添加物供給部52に貯留された添加物を管54に送出するフィーダー(図示略)、及び、フィーダーと管54とを接続する管路を開閉するシャッター(図示略)を備える。このシャッターを閉じると、排出部52aと管54とを連結する管路或いは開口が閉鎖され、添加物供給部52から管54への添加物の供給が絶たれる。
排出部52aのフィーダーが動作していない状態では、排出部52aから管54に添加物が供給されないが、管54内に負圧が発生した場合等には、排出部52aのフィーダーが停止していても添加物が管54に流れる可能性がある。排出部52aを閉じることにより、このような添加物の流れを確実に遮断できる。
添加物供給部52が供給する添加物は、複数の繊維を結着させるための樹脂を含む。添加物に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であり、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレートである。或いは、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などである。これらの樹脂は、単独または適宜混合して用いてもよい。すなわち、添加物は、単一の物質を含んでもよいし、混合物であってもよく、それぞれ単一または複数の物質で構成される、複数種類の粒子を含んでもよい。また、添加物は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。
添加物に含まれる樹脂は、加熱により溶融して複数の繊維同士を結着させる。従って、樹脂を繊維と混合させた状態で、樹脂が溶融する温度まで加熱されていない状態では、繊維同士は結着されない。
また、添加物供給部52が供給する添加物は、繊維を結着させる樹脂の他、製造されるシートの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や樹脂の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤を含んでもよい。また、着色剤を含まない添加物は、無色、或いは無色と見なせる程度に薄い色であってもよいし、白色であってもよい。
混合ブロアー56が発生する気流により、管7を降下する細分体P、及び、添加物供給部52により供給される添加物は、管54の内部に吸引され、混合ブロアー56内部を通過する。混合ブロアー56が発生する気流及び/または混合ブロアー56が有する羽根等の回転部の作用により、細分体Pを構成した繊維と添加物とが混合され、この混合物(第1選別物と添加物との混合物)は管54を通って堆積部60に移送される。
なお、第1選別物と添加物とを混合させる機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよく、これらの機構を混合ブロアー56の前または後に設置してもよい。
堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物(繊維)をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。さらに、堆積部60は、添加物供給部52から供給される添加物の樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす。これにより、堆積部60は、第2ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
堆積部60は、ドラム部61(ドラム)と、ドラム部61を収容するハウジング部(覆い部)63と、を有する。ドラム部61は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部61は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部61は、網の目開き(開口)のより小さい繊維や粒子を通過させ、ドラム部61から下降させる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
ドラム部61の下方には第2ウェブ形成部70が配置される。第2ウェブ形成部70(ウェブ形成部)は、堆積部60を通過した通過物を堆積して、第2ウェブW2(堆積物)を形成する。第2ウェブ形成部70は、例えば、メッシュベルト72(ベルト)と、ローラー74と、サクション機構76と、を有する。
メッシュベルト72は無端形状のベルトであって、複数のローラー74に懸架され、ローラー74の動きにより、図中矢印で示す方向に搬送される。メッシュベルト72は、例えば、金属製、樹脂製、布製、あるいは不織布等である。メッシュベルト72の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。ドラム部61から降下する繊維や粒子のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト72の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト72に堆積し、メッシュベルト72とともに矢印方向に搬送される。また、メッシュベルト72の移動速度は、制御装置110(図1)により制御できる。メッシュベルト72は、シートSを製造する通常動作中には、一定の速度V2で移動する。通常動作中とは、上述した通りである。
メッシュベルト72の網の目は微細であり、ドラム部61から降下する繊維や粒子の大半を通過させないサイズとすることができる。
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方(堆積部60側とは反対側)に設けられる。サクション機構76は、サクションブロアー77を備え、サクションブロアー77の吸引力によって、サクション機構76に下方に向く気流(堆積部60からメッシュベルト72に向く気流)を発生させることができる。
サクション機構76によって、堆積部60により空気中に分散された混合物をメッシュベルト72上に吸引する。これにより、メッシュベルト72上における第2ウェブW2の形成を促進し、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
サクションブロアー77(堆積吸引部)は、サクション機構76から吸引した空気を、図示しない捕集フィルターを通じて、シート製造装置100の外に排出してもよい。或いは、サクションブロアー77が吸引した空気を集塵部27に送り込み、サクション機構76が吸引した空気に含まれる除去物を捕集してもよい。
ドラム部61を含む空間には、加湿部208により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、堆積部60の内部を加湿することができ、静電力によるハウジング部63への繊維や粒子の付着を抑え、繊維や粒子をメッシュベルト72に速やかに降下させ、好ましい形状の第2ウェブW2を形成させることができる。
以上のように、堆積部60および第2ウェブ形成部70(ウェブ形成工程)を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態の第2ウェブW2が形成される。メッシュベルト72に堆積された第2ウェブW2は、シート形成部80へと搬送される。
メッシュベルト72の搬送経路において、堆積部60の下流側には、加湿部212によって、ミストを含む空気が供給される。これにより、加湿部212が生成するミストが第2ウェブW2に供給され、第2ウェブW2が含む水分量が調整される。これにより、静電気によるメッシュベルト72への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100は、メッシュベルト72上の第2ウェブW2を、シート形成部80に搬送する搬送部79が設けられる。搬送部79は、例えば、メッシュベルト79aと、ローラー79bと、サクション機構79cと、を有する。
サクション機構79cは、ブロアー(図示略)を備え、ブロアーの吸引力によってメッシュベルト79aに上向きの気流を発生させる。この気流は第2ウェブW2を吸引し、第2ウェブW2は、メッシュベルト72から離れてメッシュベルト79aに吸着される。メッシュベルト79aは、張架ローラー79bの自転により移動し、第2ウェブW2をシート形成部80に搬送する。メッシュベルト72の移動速度と、メッシュベルト79aの移動速度とは、例えば、同じである。
このように、搬送部79は、メッシュベルト72に形成された第2ウェブW2を、メッシュベルト72から剥がして搬送する。
シート形成部80は、メッシュベルト72に堆積し搬送部79により搬送された第2ウェブW2を、加圧加熱してシートSを成形する。シート形成部80では、第2ウェブW2が含む解繊物の繊維、および添加物に対して熱を加えることにより、混合物中の複数の繊維を、互いに添加物(樹脂)を介して結着させる。
シート形成部80は、第2ウェブW2を加圧する加圧部82、及び、加圧部82により加圧された第2ウェブW2を加熱する加熱部84を備える。
加圧部82は、一対のカレンダーローラー85で構成され、第2ウェブW2を所定のニップ圧で挟んで加圧する。第2ウェブW2は、加圧されることによりその厚さが小さくなり、第2ウェブW2の密度が高められる。加圧部82は、加圧部駆動モーター(図示しない)を備え、一対のカレンダーローラー85の一方は、加圧部駆動モーターにより駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。カレンダーローラー85は、加圧部駆動モーターの駆動力により回転して、加圧により高密度になった第2ウェブW2を、加熱部84に向けて搬送する。
加熱部84は、例えば、加熱ローラー(ヒーターローラー)、熱プレス成形機、ホットプレート、温風ブロアー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器を用いて構成できる。本実施形態では、加熱部84は、一対の加熱ローラー86を備える。加熱ローラー86は、内部または外部に設置されるヒーターによって、予め設定された温度に加温される。加熱ローラー86は、カレンダーローラー85によって加圧された第2ウェブW2を挟んで熱を与え、シートSを形成する。
このように、堆積部60で形成された第2ウェブW2は、シート形成部80で加圧および加熱されて、シートSとなる。
加熱部84は、加熱部駆動モーター(図示しない)を備える。一対の加熱ローラー86の一方は、加熱部駆動モーターにより駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。加熱ローラー86は、加熱部駆動モーターの駆動力により回転して、加熱したシートSを、切断部90に向けて搬送する。
なお、加圧部82が備えるカレンダーローラー85の数、及び、加熱部84が備える加熱ローラー86の数は、特に限定されない。
切断部90(カッター部)は、シート形成部80によって成形されたシートSを切断する。本実施形態では、切断部90は、図中符号Fで示すシートSの搬送方向と交差する方向にシートSを切断する第1切断部92と、搬送方向Fに平行な方向にシートSを切断する第2切断部94と、を有する。第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過したシートSを切断する。
以上により、所定のサイズの単票のシートSが成形される。切断された単票のシートSは、シート収容部96に収容される。シート収容部96は、製造された複数種別のシートを、種別毎に分けて収容するために、複数のトレイ或いはスタッカー(図1には、トレイ96a~96dを例示)を備えている。シート排出部97は、シート収容部96に収容された複数種別のシートのうちのいずれかを選択して、排出トレイ97aに排出する。ユーザーは、排出トレイ97aからシートを取り出して使用する。
制御装置110は、タッチパネルを形成する表示パネル116及びタッチセンサー117を備え、表示パネル116及びタッチセンサー117を介して行われるユーザーの操作に応じて、シート製造装置100の作動を制御する。
上記構成において、加湿部202、204、206、208を1台の気化式加湿器で構成してもよい。この場合、1台の加湿器が生成する加湿空気が、粗砕部12、ハウジング部43、管7、及びハウジング部63に分岐して供給される構成とすればよい。この構成は、加湿空気を供給するダクト(図示略)を分岐して設置することにより、容易に実現できる。また、2台、或いは3台の気化式加湿器によって加湿部202、204、206、208を構成することも勿論可能である。
また、上記構成において、加湿部210、212を1台の超音波式加湿器で構成してもよいし、2台の超音波式加湿器で構成してもよい。例えば、1台の加湿器が生成するミストを含む空気が、加湿部210、及び加湿部212に分岐して供給される構成とすることができる。
また、上述したシート製造装置100が備えるブロアーは、解繊部ブロアー26、捕集ブロアー28、混合ブロアー56、サクションブロアー77、及び、中間ブロアーに限定されない。例えば、上述した各ブロアーを補助する送風機をダクトに設けることも、勿論可能である。
[2.制御装置の構成]
図2は、シート製造装置100の制御系の説明図である。シート製造装置100に備えられた制御装置110は、供給部10、解繊部200、再生部250、シート収容部96、及びシート排出部97の作動を制御して複数種別のシートを製造し、ユーザーに販売する。
制御装置110は、詳細は後述するが、メインプロセッサー、メモリー、各種インターフェイス回路等により構成されている。制御装置110は、メモリーに記憶されたシート製造装置100の制御用プログラムを、メインプロセッサーで実行することにより、種別選択部150、制御部151、及び収容数量認識部152として機能する。また、制御装置110は、認証部153、ポイント出力部154、ポイント受付部155、及び利用履歴記録部156として機能する。
種別選択部150は、ユーザーによる選択操作に応じて、シート排出部97により排出するシートの種別を選択する。制御部151は、シート製造装置100の全体的な作動を制御する。収容数量認識部152は、シート製造装置100によるシートの製造数量及びシート排出部97によるシートの排出数量に基づいて、シート収容部96内のシートの数量(残数量)を種別毎に認識する。なお、シート収容部96に設けられたセンサー(図示しない)により、シート収容部96内のシートの数量を種別毎に認識してもよい。
認証部153は、ユーザーによる認証操作に応じてユーザーの認証を行う。ポイント出力部154は、供給部10に廃棄紙をセットして、廃棄紙の再生処理を指示したユーザーに対して、シートを購入する際に対価として利用可能なポイントを出力(付与)する。ポイント受付部155は、ユーザーがシートを購入する際のポイントによる支払いを受け付ける。利用履歴記録部156は、ユーザーによる廃棄紙のセット及びシートの購入の履歴を示すデータを、記憶部(後述する管理サーバー500のユーザー管理DB503)に記録する。制御装置110には、ユーザーに対する各種操作メニュー等を表示する表示パネル116と、ユーザーによる表示パネル116のタッチ操作を検出するタッチセンサー117とが設けられている。
次に、図3は、制御装置の構成を示すブロック図である。図3を参照して、制御装置110は、メインプロセッサー111、ROM(Read Only Memory)112、及びRAM(Random Access Memory)113を備える。メインプロセッサー111は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置であり、ROM112が記憶する基本制御プログラムを実行することにより、シート製造装置100の各部を制御する。メインプロセッサー111は、ROM112、RAM113等の周辺回路や他のIP(Intellectual Property)コアを含むシステムチップとして構成されてもよい。
ROM112は、メインプロセッサー111が実行するプログラムを不揮発的に記憶する。RAM113は、メインプロセッサー111が使用するワークエリアを形成して、メインプロセッサー111が実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶する。
不揮発性記憶部120はメインプロセッサー111が実行するプログラムや、メインプロセッサー111が処理するデータを記憶する。不揮発性記憶部120は、例えば、設定データ121、及び、表示データ122を記憶する。設定データ121は、シート製造装置100の動作を設定するデータを含む。例えば、設定データ121は、シート製造装置100が備える各種センサーの特性や、各種センサーの検出値に基づきメインプロセッサー111が異常を検出する処理で使用される閾値等のデータを含む。表示データ122は、メインプロセッサー111が表示パネル116に表示させる画面のデータである。表示データ122は、固定的な画像データであってもよいし、メインプロセッサー111が生成或いは取得するデータを表示する画面表示を設定するデータであってもよい。
表示パネル116は、液晶ディスプレイ等の表示用のパネルであり、例えば、シート製造装置100の正面に設置される。表示パネル116は、メインプロセッサー111の制御に従って、シート製造装置100の動作状態、各種設定値、警告表示、利用ガイダンス等を表示する。
タッチセンサー117は、ユーザーによるタッチ(接触)操作や押圧操作を検出する。タッチセンサー117は、例えば、透明電極を有する圧力感知式あるいは静電容量式のセンサーで構成され、表示パネル116の表示面に重ねて配置される。タッチセンサー117は、操作を検出した場合、操作位置や操作位置の数を含む操作データをメインプロセッサー111に出力する。メインプロセッサー111は、タッチセンサー117の出力により、表示パネル116に対する操作を検出し、操作位置を取得する。メインプロセッサー111は、タッチセンサー117により検出した操作位置と、表示パネル116に表示中の表示データ122とに基づき、GUI(Graphical User Interface)操作を実現する。
制御装置110はセンサーI/F(Interface)114を介して、シート製造装置100の各部に設置されたセンサー140に接続される。センサーI/F114は、センサー140が出力する検出値を取得してメインプロセッサー111に入力するインターフェイスである。センサーI/F114は、センサーが出力するアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D(Analogue/Digital)コンバーターを備えてもよい。また、センサーI/F114は、各センサー140に駆動電流を供給してもよい。また、センサーI/F114は、各のセンサー140の出力値を、メインプロセッサー111が指定するサンプリング周波数に従って取得し、メインプロセッサー111に出力する回路を備えてもよい。
制御装置110は、駆動部I/F(Interface)115を介して、シート製造装置100が備える各駆動部141に接続される。シート製造装置100が備える駆動部141は、モーター、ポンプ、ヒーター等である。制御装置110は、通信ネットワークNを介して通信を行うための通信I/F135を備え、管理サーバー500等との間で通信を行う。
さらに、制御装置110は、ユーザーが所持するIDカードからユーザーIDを読み込むカードリーダー130を備えている。また、制御装置110は、シート製造装置100に投入された廃棄紙(繊維を含む原料の例)の枚数をカウントする投入紙カウンター131を備えている。また、制御装置110は、シート製造装置100により製造されたシートの数(枚数、個数)を、種別毎にカウントする再生紙カウンター132を備えている。また、制御装置110は、シート排出部97によりシート収容部96から排出されたシートの数を、種別毎にカウントする排出紙カウンター133を備えている。
制御装置110は、カードリーダー130を用いてユーザーの認証を行い、投入紙カウンター131を用いて廃棄紙の投入枚数を認識し、再生紙カウンター132を用いて、各種別のシートの再生枚数(製造枚数)を認識する。また、制御装置110は、排出紙カウンター133を用いて、各種別のシートの排出数(販売数)を認識する。
制御装置110は、シート製造装置100が利用された際に、利用したユーザーのユーザーIDと、シート製造装置100の利用情報とを対応付けた利用情報データを生成する。そして、制御装置110は、利用情報データを管理サーバー500に送信する。
管理サーバー500は、CPU、メモリー、各種インターフェイス回路等により構成されたコンピューターシステムである。管理サーバー500は、メモリーに記憶された管理サーバー500用の制御プログラムをCPUにより実行することによって、ユーザーID設定部501、及び利用情報取得部502として機能する。
ユーザーID設定部は、制御装置110からユーザーIDの発行を要求するデータを受信したときに、ユーザーIDを設定(発行)する処理を行う。利用情報取得部502は、制御装置110から送信される利用情報データを、通信ネットワークNを介した通信により取得する。そして、利用情報取得部502は、利用情報に基づいて、各ユーザーのユーザーIDとシート製造装置100の利用状況とを対応付けたデータを、ユーザー管理DB503に記憶する。
ここで、図4は、管理サーバー500で管理される各ユーザーの管理データD1の説明図である。図4を参照して、ユーザー管理DB503には、登録された特定ユーザーのユーザーID(A,B,…)と、シート製造装置100の利用状況、残ポイント、及びデータの更新日時とを対応付けた管理データD1が記憶されている。
図4の例では、ユーザーIDごとに、廃棄紙の累積セット枚数(廃棄紙の投入実績)、各種別のシートの累積購入枚数(シートの購入実績)、残ポイント、及びデータの更新日時が対応付けて記憶されている。
[3.シート製造装置の動作]
図5は、シート製造装置100の動作を示すフローチャートである。以下、図5に示したフローチャートに従って、シート製造装置100による廃棄紙の再生及び再生したシートの販売の処理について説明する。
図5のステップS1~S4及びステップS20は、認証部153による処理である。認証部153は、ステップS1で、シート製造装置100の利用方法を表示すると共に、ユーザーの認証を求める利用ガイダンス画面を、表示パネル116に表示する。
続くステップS2でユーザーによる認証操作を受け付けたときに、認証部153は、ステップS2に処理を進める。本実施形態における認証操作は、ユーザーによるカードリーダー130へのIDカードの挿入である。
ステップS3で、認証部153は、カードリーダー130により読み取られたユーザーIDを示すデータを管理サーバー500に送信して、このユーザーIDがユーザー管理DB503に既に記憶されているか否かを問い合わせる。そして、管理サーバー500から、送信されたユーザーIDがユーザー管理DB503に記憶されている旨の応答があったときに、認証部153は、ユーザーが特定ユーザー(登録ユーザー)であると認証する(認証成功)。一方、管理サーバー500から、送信されたユーザーIDがユーザー管理DB503に記憶されていない旨の応答があったときには、特定ユーザーであるとの認証を行わない(認証失敗)。
続くステップS4で、認証部153は、認証に成功したときはステップS5に処理を進める。一方、ユーザーの認証に失敗したときには、認証部153は、ステップS20に処理を進め、管理サーバー500に新規ユーザー登録を依頼するデータを送信する。管理サーバー500は、新たなユーザーIDを設定すると共に、新たなユーザーID用の記憶領域をユーザー管理DB503に確保する。これにより、新規ユーザーが特定ユーザーとして登録され、シート製造装置100の利用が可能となる。
制御部151は、設定されたユーザーIDが記録されたIDカードを作成して、図示しないカード排出部から排出し(IDカードの発行処理)、ステップS5に処理を進める。なお、IDカードの発行処理は、シート製造装置100とは別の装置で行ってもよい。また、ユーザーがIDカードを所持しておらず、利用ガイダンス画面で「IDカードをもっていない」の選択操作を選択した場合にも、ステップS20と同様の処理を行って、IDカードを発行する。
続くステップS5~S8は、制御部151による処理である。制御部151は、ステップS5で、表示パネル116に、シート製造装置100の利用メニューを選択するための利用メニュー選択画面を表示する。ユーザーは、利用メニュー選択画面を確認して、表示パネル116のタッチ操作をすることにより、「廃棄紙の再生」、「シートの購入」等のメニューを選択する。
ステップS6で、制御部151は、「廃棄紙の再生」が選択されたか否かを判断する。そして、制御部151は、「廃棄紙の再生」が選択されたときは、図6のステップS30に処理を進め、「廃棄紙の再生」が選択されなかったときには、ステップS7に処理を進める。
ステップS7で、制御部151は、「シートの購入」が選択されたか否かを判断する。そして、制御部151は、「シートの購入」が選択されたときは、図7のステップS40に処理を進め、「シートの購入」が選択されなかったときには、ステップS8に処理を進める。
ステップS8で、制御部151は、利用の終了操作がなされたか否かを判断する。そして、制御部151は、利用の終了操作がなされたときはステップS1に処理を進める。
[4.廃棄紙の再生処理]
図6は、供給部10にセットされた廃棄紙を処理して、シートを製造(再生)する処理のフローチャートである。図6のステップS30~S32は、ポイント出力部154による処理である。ポイント出力部154は、ステップS30で、供給部にセットされた廃棄紙の枚数を投入紙カウンター131により検出する。なお、廃棄紙の枚数ではなく重量を検出し、廃棄紙の投入量を重量で管理するようにしてもよい。
続くステップS31で、ポイント出力部154は、投入された廃棄紙の枚数をポイント値に換算する。後述するように、ユーザーは、このポイントを使用して、後述するようにシートを購入することができる。
次のステップS32で、ポイント出力部154は、ステップS31で換算したポイント値(獲得ポイント値)とユーザーIDとを含む獲得ポイントデータを、管理サーバー500に送信する(本発明のポイントの出力に相当する)。管理サーバー500において、利用情報取得部502は、獲得ポイントデータを受信したときに、獲得ポイントデータに含まれるユーザーIDを参照しする。そして、利用情報取得部502は、ユーザー管理DB503に記憶された対応する管理データのポイント値を、獲得ポイントデータから認識した獲得ポイント値分増加させて更新する。
続くステップS33は収容数量認識部152による処理である。収容数量認識部152は、再生紙カウンター132によりカウントされた各種別のシートの再生数量と、排出紙カウンター133によりカウントされた各種別のシートの排出数量とを取得する。そして、再生数量と排出数量とに基づいて、シート収容部96に収容された種別毎のシートの数量(残数量)を認識する。
続くステップS34~S35は、制御部151による処理である。制御部151は、ステップS34で、シート収容部96における各種別のシートの残数が、種別毎に設定された所定量以上となるように、製造するシートの種別を決定する。例えば、制御部151は、所定量に対する不足分が最も多い種別を、今回製造するシートの種別として決定する。
これにより、シート収容部96に収容されている各種別のシートの残数量が所定量以上に維持されるように、シートが再生される。そのため、ユーザーがシートを購入する際に、シートが不足して再生するシートの種別の切り替えが必要になることを防止することができる。そして、ユーザーがシートを購入する際に、解繊部200及び再生部250における種別の切替え処理に時間を要して、ユーザーの購入待ち時間が長くなることを回避することができる。
次のステップS35で、制御部151は、ステップS35で決定した種別のシートの製造を開始する。続くステップS36は、利用履歴記録部156による処理である。利用履歴記録部156は、ユーザーIDと廃棄紙のセット枚数を含む利用情報データを、管理サーバー500に送信して、図5のステップS5に処理を進める。利用情報データを受信した管理サーバー500は、利用情報データから認識したユーザーIDに対応する管理データD1の累積セット枚数を、利用情報データから認識した廃棄紙のセット枚数分増加させて、更新する。
[5.シートの販売処理]
図7は、シートの選択から排出までの販売処理のフローチャートである。また、図8は、シートの購入画面の説明図である。図8のシートの購入画面Pdには、シートの種別を選択するための種別選択ボタン160、購入枚数・個数を入力するためのテンキー161、及び選択の決定を指示するための決定キー162が表示される。さらに、購入画面Pdには、選択された種別のシートの合計金額を表示する金額表示部163が表示される。
図7のステップS40~S41は種別選択部150による処理である。種別選択部150は、ステップS40で、図8に示したシートの購入画面Pdを表示パネル116に表示する。ユーザーは、購入画面Pdを視認し、種別選択ボタン160のタッチ操作により、購入を希望するシートの種別を選択する。
図8の購入画面Pdでは、ユーザーは、「A4印刷用紙 白: 5円」、「A4印刷用紙 青: 5円」、「A3印刷用紙 白: 10円」、「A3印刷用紙 青: 10円」という、四つの種別の印刷用紙の選択が可能である。さらに、ユーザーは、「床掃除用シート: 5円」、「油汚れ用シート: 10円」、「トイレ掃除用シート: 5円」、及び「紙皿: 10円」という四つの種別のシートの選択が可能である。また、ユーザーは、テンキー161をタッチ操作して購入するシートの数量を指定し、決定キー162をタッチ操作して購入内容を確定する。種別選択部150は、シートの購入内容に応じた購入金額を金額表示部163に表示する。
続くステップS41で、種別選択部150は、ユーザーによりシートの種別と数量が選択されたか否かを判断し、シートの種別と数量が選択されたときにステップS42に処理を進める。
ステップS42~S44、及びステップ50は、ポイント受付部155による処理である。ポイント受付部155は、ステップS42で、購入金額の案内画面とポイント利用の有無の選択画面を表示パネル116に表示する。ユーザーは、購入金額の案内画面により、シートを購入するための代金を確認して、ポイントを利用するか否かを選択する。
続くステップS43で、ポイント受付部155は、ユーザーによりポイント利用が選択されたか否かを判断する。そして、ポイント受付部155は、ポイント利用が選択されたときはステップ44に処理を進める。
ステップS44で、ポイント受付部155は、管理サーバー500にアクセスして、ポイント利用の処理を依頼し、ステップS45に処理を進める。具体的には、ポイント受付部155は、ユーザーIDと請求するポイント値を含むポイント請求データを管理サーバー500に送信する。また、管理サーバー500は、ポイント請求データから認識したユーザーIDに対応付けられた管理データD1のポイント値を、請求するポイント分減算する処理を行って、記憶されたポイント値を更新する。
一方、ユーザーがポイント利用を選択しなかった場合(現金払いを選択した場合)には、ポイント受付部155は、ステップS43からステップS50に処理を進める。そして、ポイント受付部155は、購入金額分の入金を促す画面を表示パネル116に出力し、ユーザーによる入金を確認したときに、ステップS45に処理を進める。
ステップ45は、制御部151による処理である。制御部151は、種別選択部150により選択された種別のシートを、種別選択部150により選択された数量分だけ、シート排出部97によりシート収容部96から排出トレイ97aに排出する。
以上説明したように、本実施形態のシート製造装置100は、使用済みの廃棄紙等の繊維を含む原料を新しいシートSに再生する再生処理を実行することにより、複数種別のシートSを製造してユーザーに販売する。製造された複数種別のシートSは、種別ごとにシート収容部96に予め収容される。そして、ユーザーによる選択操作に応じて、種別選択部150がシートSの種別を選択したときに、制御部151は、選択された種別のシートSを、シート排出部97によりシート収容部96から排出する。この場合、ユーザーがシートSの種別を選択してからシートSの製造が開始されるのではなく、既に製造済みのシートSが排出される。そのため、ユーザーが選択した種別のシートSを速やかに提供することができる。
シート製造装置100は、ユーザーに販売する複数種別のシートSを、全て同じ原料から製造する。また、シート収容部96内の各種別のシートSの数量(残数量)が所定量以上となるように、シート製造装置100により複数種別のシートSが製造される。そのため、特定の種別のシートSの不足が生じることを防止することができる。
また、ユーザーは、供給部10に原料(廃棄紙等)をセットすることによって得たポイントを利用して、シートSを取得することができる。そのため、ユーザーに対して供給部10に原料(廃棄紙等)をセットする誘因を与えて、原料の再生の促進を図ることができる。
また、ユーザーによる原料のセットとシートSの取得の履歴に応じて、例えば、所定ポイントにより取得可能なシートSの数量を変更する等のポイントの利用条件の変更を行って、ユーザーによるシート製造装置100の利用の促進を図ることができる。
[6.他の実施形態]
上記実施形態では、ポイント出力部154、及びポイント受付部は、ユーザーが利用するポイントを、管理サーバー500に備えられたユーザー管理DB503に保持して管理した。他の構成として、シート製造装置100に設けられた記憶部(例えば、制御装置110が備えた不揮発性記憶部120、図3参照)に保持して管理する構成としてもよい。或いは、金券の提供、データの読み書きが可能な利用カードへのポイントデータの書込み等により、ポイントを出力し、金券或いは利用カードによりポイントの利用を受け付ける構成としてもよい。
上記実施形態では、図8に示したように、各種別のシートの価格は固定されていたが、ユーザーの利用実績に応じて、シートの価格を変更する、ポイントと現金の換算レートを変更するようにしてもよい。ここで、ユーザーの利用実績は、管理サーバー500のユーザー管理DB503に記録された管理データD1の廃棄紙の累積投入枚数(再生実績)、及び各種別のシートの累積購入枚数(購入実績)実績から把握できる。例えば、廃棄紙の累積投入枚数が多いほど、或いはシートの累積購入数が多いほど、シートの価格を下げてもよい。或いは、1ポイントに相当する現金を増加させる換算レートの変更を行ってもよい。ここで、ポイントと現金の換算レートは、本発明のポイントの利用条件に相当する。
上記実施形態において、認証部153は、IDカードに記録されたユーザーIDを用いてユーザーの認証を行ったが、他の認証操作として、ID番号とパスワードの入力、指紋や虹彩による生体認証等を採用してもよい。
また、図1に示したシート製造装置100の制御装置110の制御部151の少なくとも一部は、ハードウェアで実現してもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの協働により実現される構成としてもよく、独立したハードウェア資源を配置する構成に限定されない。また、制御部151が実行するプログラムは、不揮発性記憶部120の他の記憶装置(図示略)に記憶されてもよい。また、外部の装置に記憶されたプログラムを、通信部を介して取得して、実行する構成としてもよい。
また、上記実施形態のシート製造装置100は、原料を気中で解繊することにより材料を得て、この材料と樹脂とを用いてシートSを製造する乾式のシート製造装置100として説明した。本発明の適用対象はこれに限定されず、水等の溶媒中に繊維を含む原料を溶解または浮遊させ、この原料をシートに加工する、いわゆる湿式のシート製造装置にも適用できる。また、気中で解繊された繊維を含む材料をドラムの表面に静電気等により吸着させ、ドラムに吸着された原料をシートに加工する静電方式のシート製造装置にも適用できる。
また、上記実施形態では、シート製造部200が解繊部200と再生部250を一体に備えた構成を示したが、解繊部200と再生部250の分離が可能な分離型の構成としてもよい。この構成として、解繊された原料を投入する場合には、解繊部200は不要となる。