この種のドロア装置は、筐体内で引出部をスライドさせる際に、引出部の引出ガイドレールが筐体の筐体ガイドローラ上を移動し、かつ引出部の引出ガイドローラが筐体の筐体ガイドレールの下面に当接して回転しながら移動することにより、筐体に対して引出部が円滑に引き出せるように構成されている。
以下、図1~図6を参照して、この発明を電子レジスタに適用した一実施形態について説明する。
この電子レジスタは、図1に示すように、ドロア装置1を備えている。このドロア装置1は、筐体2と引出部5とを備え、この筐体2の内部に引出部5が引出可能に収納されるように構成されている。この筐体2は、上部にレジスタ本体(図示せず)が設けられるものであり、合成樹脂のケース本体3と金属製のカバーケース4とを備えている。
ケース本体3は、図1に示すように、上部が開放されたほぼ箱形状に形成されている。すなわち、このケース本体3は、底部3aと前枠部3bと背面部3cと両側の側面部3dとを備えている。前枠部3bと背面部3cとは、外形が同じ大きさのほぼ長方形状に形成されており、前枠部3bには、引出部5が挿入する開口部3eが設けられている。両側の側面部3dは、その高さが前枠部3bと背面部3cとの高さよりも低く形成されている。
カバーケース4は、図1に示すように、上面カバー部4aと両側の側面カバー部4bとを備えている。上面カバー部4aは、ケース本体3の上面部と同じ大きさの四角形状に形成されて、ケース本体3の上面部に配置されるように構成されている。両側の側面カバー部4bは、ケース本体3の前枠部3bと背面部3cとの高さと同じ高さの長方形状に形成されて、ケース本体3の両側の側面部3dを覆って配置されるように構成されている。
引出部5は、図1に示すように、金銭を収納するものであり、上部が開放されたほぼ箱形状に形成されている。この引出部5は、引出方向の長さ(奥行き)がケース本体3の引出方向の長さよりも短く形成され、引出方向と直交する幅方向の長さがケース本体3の前枠部3bの開口部3eにおける幅方向の長さとほぼ同じ長さで形成されている。
また、この引出部5は、図1に示すように、前面部5aの外形がケース本体3の前枠部3bの外形とほぼ同じ大きさで、前枠部3bの開口部3eの形状よりも大きく形成されている。これにより、引出部5は、ケース本体3の前枠部3bにおける開口部3eから筐体2内に挿入され、前面部5aが前枠部3bに当接して引出部5の後部がケース本体3の背面部3cから離れた状態で、筐体2内に収納されるように構成されている。
この引出部5の内部には、図1に示すように、硬貨収納部6と紙幣収納部7とが設けられている。硬貨収納部6は、硬貨を種類ごとに収納するものであり、引出部5の前部側に設けられ、その内部が金種ごとに複数に仕切られている。紙幣収納部7は、紙幣を種類ごとに収納するものであり、引出部5の後部側に設けられ、その内部が金種ごとに複数に仕切られている。この紙幣収納部7には、複数に仕切られた各内部に紙幣を押える押え部7aがそれぞれ設けられている。
また、この引出部5の後端部には、図1に示すように、一対のローラ取付部8が後方に向けて突出して設けられている。すなわち、一対のローラ取付部8は、引出部5の後端部の両側部にそれぞれ設けられている。この場合にも、引出部5は、筐体2内に収納された際に、一対のローラ取付部8がケース本体3の背面部3cに当接することなく、筐体2内に収納されるように構成されている。また、この引出部5の前面部5aには、筐体2内に収納された引出部5を施錠する施錠部10が設けられている。
また、筐体2内における後部には、図1に示すように、筐体2内に収納された引出部5をロックするロック装置11が設けられている。このロック装置11は、引出部5の後端部に設けられた係合ピン(図示せず)をロックするロック部11aと、このロック部11aによるロックを解除するロック解除部11bと、ロック部11aによるロックが解除された引出部5を筐体2の内部から外部に向けて押し出すコイルばね11cと、を備えている。
これにより、ロック装置11は、図1に示すように、筐体2内に引出部5が収納された際に、引出部5によってコイルばね11cが圧縮された状態で、引出部5の係合ピン(図示せず)をロック部11aでロックするように構成されている。また、このロック装置11は、レジスタ本体(図示せず)のキー操作によってロック解除部11bがロック部11aによる引出部5の係合ピンのロックを解除した際に、コイルばね11cのばね力によって引出部5を筐体2内から押し出すように構成されている。
ところで、このドロア装置1は、図1に示すように、筐体2に対して引出部5を円滑にスライドさせるためのガイド機構12を備えている。このガイド機構12は、筐体2内の両側部に設けられた筐体ガイドレール13および筐体ローラ14と、引出部5の両側部に設けられた引出ガイドレール15および引出ローラ16と、を備えている。
筐体ガイドレール13は、図1に示すように、ケース本体3の左右両側に位置する各側面部3dの内面それぞれに前部側から後部側に亘って設けられている。筐体ローラ14は、ケース本体3の左右両側の各側面部3dにおける各内面の前側部、つまり前枠部3bの左右両側に位置する後部にそれぞれ取り付けられている。引出ガイドレール15は、引出部5の左右両側の各外面にそれぞれ前部から後部のローラ取付部8に亘って設けられている。引出ローラ16は、引出部5の後端部の各ローラ取付部8にそれぞれ取り付けられている。
これにより、ガイド機構12は、図1に示すように、筐体2に対して引出部5を引出操作する際に、引出部5の引出ガイドレール15がケース本体3の筐体ローラ14上を移動すると共に、引出部5の引出ローラ16がケース本体3の筐体ガイドレール13の下面に当接して回転しながら移動することにより、筐体2に対して引出部5が円滑に引き出せるように構成されている。
この場合、筐体ローラ14と引出ローラ16とのうち、少なくとも引出ローラ16は、図2および図3に示すように、ローラ本体17とねじ部材18とを備えている。ローラ本体17は、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの合成樹脂によって形成されている。このローラ本体17は、円筒状のローラ部20と、このローラ部20と同心円状に設けられた円筒部21と、を備えている。
この場合、ローラ部20は、図2~図5に示すように、内径が円筒部21の外径よりも十分に大きく形成されている。このローラ部20の軸方向の一端部(図4(b)では左端部)には、図4(b)および図5(b)に示すように、側壁20aが設けられている。これにより、円筒部21は、軸方向の一端部側(図4(b)では左端部側)がローラ部20の側壁20aに一体に形成されている。
この円筒部21の内周面には、図3および図5に示すように、複数の抜止め突起22が設けられている。これら複数の抜止め突起22は、図5(a)~図5(c)に示すように、円筒部21の内周面における同一円周上の複数箇所、例えば120度の角度間隔で3箇所にそれぞれ半球状に突出して設けられている。
この場合、ローラ部20の内周面と円筒部21の外周面との間には、図2~図5に示すように、複数のくり抜き部23が複数の仕切リブ24によって設けられている。複数のくり抜き部23は、複数の抜止め突起22に対応して設けられ、円筒部21の径方向への弾性変形を可能にするように構成されている。複数の仕切リブ24は、ローラ部20の内周面と円筒部21の外周面とを連結して円筒部21の径方向への弾性変形を規制するように構成されている。
すなわち、これら複数の仕切リブ24は、図2~図5に示すように、複数の抜止め突起22間のほぼ中間部にそれぞれ位置して、120度の角度間隔で3箇所に設けられている。また、これら複数の仕切リブ24の放射方向の各中間部には、仕切リブ24の弾性変形を規制する変形規制部24aが設けられている。この変形規制部24aは、ほぼ円柱状に形成され、その外径が仕切リブ24の肉厚よりも大きく形成されている。
これにより、円筒部21は、図2~図5に示すように、複数の抜止め突起22が複数のくり抜き部23の各中間部に対応して設けられていることにより、複数のくり抜き部23に対応する箇所が径方向に弾性変形するように構成されている。また、この円筒部21は、複数の仕切リブ24が複数の抜止め突起22の間に位置して設けられていることにより、円筒部21の径方向への弾性変形が規制されるように構成されている。
また、この円筒部21は、図4(b)および図5(b)に示すように、軸方向の両端部がローラ部20の軸方向の両端部よりも軸方向に突出して設けられている。このため、ローラ本体17は、ケース本体3の筐体ガイドレール13の下面に当接して回転移動する際に、ケース本体3の側面部3dに円筒部21の端面のみが接触することにより、接触面積を小さくして摩擦抵抗を最小限に軽減するように構成されている。
一方、ねじ部材18は、図2~図4および図6に示すように、頭部25とねじ部26とを備え、これらがステンレスなどの金属によって一体に形成されている。頭部25は、ローラ本体17の円筒部21内に回転自在に挿入するものであり、外径が円筒部21の内径と同じか、それよりも僅かに小さい大きさで、かつねじ部26の外径よりも大きく形成されている。
この頭部25は、図2~図4および図6に示すように、その軸方向の長さが円筒部21の軸方向の長さと同じ長さに形成されている。この場合、ねじ部26は、頭部25の一端部(図6(b)では左端部)に頭部25と同一軸上に設けられ、軸方向の長さが頭部25の軸方向の長さとほぼ同じか、それよりも長く形成されている。
また、頭部25の外周面には、図2~図4に示すように、頭部25が円筒部21内に挿入された際に、円筒部21の内周面に設けられた複数の抜止め突起22が回転移動可能に係合する係合溝部27が環状に設けられている。すなわち、この係合溝部27は、半円弧状の環状溝であり、複数の抜止め突起22が係合した状態で係合溝部27に沿って摺動することにより、頭部25が円筒部21内で相対的に回転するように構成されている。
また、この頭部25は、図4(b)に示すように、複数の抜止め突起22が係合溝部27に係合した際に、頭部25におけるねじ部26と反対側の外端面25aが円筒部21内から外部に突出することなく円筒部21内に配置され、ねじ部26側の内端面25bが円筒部21内から外部に突出して配置されるように構成されている。この場合、頭部25の内端面25bには、図4(c)および図5(c)に示すように、多数の凹凸部が放射状に形成された滑止め部28が設けられている。
また、頭部25の外端面25aにおける外周縁には、図2~図4および図6に示すように、傾斜面29が設けられている。この傾斜面29は、頭部25を円筒部21内に挿入し易くすると共に、頭部25の外端面25aの外周部が円筒部21内の複数の抜止め突起22に当接した際に、複数の抜止め突起22を乗り越え易くするためのものである。
すなわち、頭部25は、図4(b)に示すように、外端面から係合溝部27までの長さが、頭部25の傾斜面29によって短く形成されている。このため、頭部25は、傾斜面29の外周面が複数の抜止め突起22を乗り越える際に、速やかにかつ円滑に乗り越えるように構成されている。
これにより、ねじ部材18は、図2~図4に示すように、頭部25の傾斜面29側がローラ部20の側壁20a側に位置する円筒部21の端部から円筒部21内に挿入され、この挿入された頭部25の傾斜面29の外周部が円筒部21内の複数の抜止め突起22を乗り越えて、頭部25の係合溝部27に複数の抜止め突起22が係合するように構成されている。
すなわち、このねじ部材18は、図2~図4に示すように、頭部25の傾斜面29の外周部が円筒部21内の複数の抜止め突起22を乗り越える際に、頭部25の傾斜面29によって円筒部21を円滑に径方向に押し広げるように弾性変形させて、頭部25の係合溝部27に複数の抜止め突起22を係合させることにより、ローラ本体17に回転可能に取り付けられてローラ本体17と一体化されるように構成されている。
このため、引出ローラ16は、図1に示すように、ねじ部材18のねじ部26が引出部5の後端部に設けられたローラ取付部8の取付孔8aに挿入されてナット30によって締め付けられることにより、引出部5のローラ取付部8に取り付けられるように構成されている。この場合、引出ローラ16は、ねじ部材18のねじ部26が引出部5のローラ取付部8の取付孔8aに挿入されてナット30によって締め付けられた際に、頭部25の内端面25bの滑止め部28が引出部5のローラ取付部8に押し付けられるように構成されている。
これにより、引出ローラ16は、図1~図4に示すように、頭部25の滑止め部28が引出部5のローラ取付部8に押し付けられることにより、ねじ部材18がローラ取付部8に対して回転することなく固定され、この状態でローラ本体17がねじ部材18の頭部25を中心に回転するように構成されている。
この場合、引出ローラ16は、図1~図4に示すように、頭部25の滑止め部28が引出部5のローラ取付部8に押し付けられた際に、頭部25の内端面25bが円筒部21内から突出することにより、円筒部21の端面がローラ取付部8に接触することなく配置されるように構成されている。
また、この引出ローラ16は、図1~図4に示すように、頭部25の滑止め部28が引出部5のローラ取付部8に押し付けられた際に、頭部25の外端面25aが円筒部21内から外部に突出することなく、円筒部21内に配置されるように構成されている。なお、筐体ローラ14は、引出ローラ16と同じ構造であることが望ましいが、異なる構造、例えば強度の高い構造のものであっても良い。
次に、このようなドロア装置1の作用について説明する。
まず、引出部5に引出ローラ16を取り付ける場合には、予め、ローラ本体17とねじ部材18を一体化する。このときには、ねじ部材18の頭部25の傾斜面29側をローラ部20の側壁20a側に位置する円筒部21の端部側から円筒部21内に挿入する。このときには、頭部25の傾斜面29によって頭部25が円筒部21内に円滑に挿入する。
そして、挿入された頭部25の傾斜面29の外周面を円筒部21の内周面に設けられた複数の抜止め突起22に押し当てて乗り越えさせる。このときには、複数の抜止め突起22がローラ部20と円筒部21との間に複数の仕切リブ24によって設けられた複数のくり抜き部23にそれぞれ対応して設けられているので、頭部25の傾斜面29によって円筒部21が円滑に径方向に押し広げられるように弾性変形する。
すなわち、頭部25の傾斜面29の外周面が円筒部21内の複数の抜止め突起22に押し当てられると、頭部25の傾斜面29の外周面によってくり抜き部23に対応する箇所の円筒部21が径方向に押し広げられるように弾性変形する。このため、頭部25の傾斜面29の外周面が複数の抜止め突起22を乗り越えて、複数の抜止め突起22が頭部25の係合溝部27に係合する。
このときには、頭部25の外端面から係合溝部27までの長さが、頭部25の傾斜面29によって短く形成されているので、頭部25の傾斜面29の外周面が複数の抜止め突起22を速やかにかつ円滑に乗り越える。また、このときには、複数の仕切リブ24によって円筒部21の径方向への弾性変形が規制されているので、頭部25の係合溝部27に対する複数の抜止め突起22の係合強度が確保される。これにより、ねじ部材18がローラ本体17に回転可能な状態で取り付けられてローラ本体17と一体化される。
この状態では、複数の抜止め突起22が円筒部21の内周面における同一円周上に設けられ、頭部25の係合溝部27が頭部25の外周面に環状に設けられていることにより、頭部25の係合溝部27に係合した複数の抜止め突起22が頭部25の係合溝部27に沿って回転方向に移動可能な状態になる。また、この状態では、頭部25の傾斜面29側の外端面25aが円筒部21内から外部に突出することなく円筒部21内に配置され、ねじ部26側の内端面25bが円筒部21内から外部に突出して配置される。
そして、ローラ本体17とねじ部材18とが一体化された引出ローラ16を引出部5に取り付ける場合には、ねじ部材18のねじ部26を引出部5の後端部に設けられたローラ取付部8の取付孔8aに挿入させてナット30によって締め付ける。これにより、引出ローラ16が引出部5のローラ取付部8に取り付けられる。
このときには、ねじ部材18の頭部25の内端面25bに設けられた滑止め部28が引出部5のローラ取付部8に押し付けられる。このため、引出ローラ16は、ねじ部材18がローラ取付部8に対して回転することなく固定される。また、このときには、ねじ部材18の頭部25の内端面25bが円筒部21内から突出していることにより、ローラ部20の軸方向の端部よりも突出した円筒部21の軸方向の端面がローラ取付部8に接触することなく配置される。
このように引出ローラ16が引出部5のローラ取付部8に取り付けられた際には、ローラ本体17がねじ部材18の頭部25を中心に円滑に回転する状態になる。同様に、筐体ローラ14を筐体2のケース本体3における各側面部3dの内面の前側部にそれぞれ取り付ける。この場合には、予め、引出部5の左右両側の各外面に引出ガイドレール15が一体に形成されている。また、筐体2のケース本体3における左右両側の側面部3dの各内面にも、筐体ガイドレール13が一体に形成されている。
そして、引出部5を筐体2内に挿入する場合には、引出部5の後端部に設けられたローラ取付部8をケース本体3の前枠部3bの開口部3eからケース本体3内に挿入させる。このときには、引出部5の引出ガイドレール15をケース本体3の側面部3dに取り付けられた筐体ローラ14上に配置させると共に、引出部5のローラ取付部8に取り付けられた引出ローラ16のローラ本体17をケース本体3の筐体ガイドレール13の下面に当接させて配置させる。
この状態で、引出部5を筐体2内に押し込むと、引出部5が筐体2内に収納される。このときには、引出部5の引出ガイドレール15がケース本体3の側面部3dに取り付けられた筐体ローラ14上を移動すると共に、引出部5のローラ取付部8に取り付けられた引出ローラ16のローラ本体17がケース本体3の筐体ガイドレール13の下面に当接して回転しながら移動する。このため、引出部5が円滑に移動して筐体2内に収納される。
この場合、引出ローラ16のローラ本体17がケース本体3の筐体ガイドレール13の下面に当接して回転しながら移動する際には、ねじ部材18の頭部25の内端面25bが円筒部21内から突出し、円筒部21の軸方向の端面がローラ取付部8に接触することなく配置されていることにより、ローラ本体17がねじ部材18の頭部25を中心に円滑に回転する。
また、このときには、頭部25の外端面25aが円筒部21内から外部に突出することなく円筒部21内に配置されているので、頭部25の外端面25aがケース本体3の側面部3dに接触することなく、ローラ本体17が筐体ガイドレール13の下面に当接して円滑に回転しながら移動する。この場合、円筒部21は、軸方向の端部がローラ部20の軸方向の端部よりも突出しているので、ローラ本体17がケース本体3の側面部3dに接触しても、接触面積を小さくして摩擦抵抗を最小限に抑えることができる。
このように、このドロア装置1の引出ローラ16によれば、内面に抜止め突起22が設けられた弾性可能な円筒部21が同心円状に設けられたローラ本体17と、円筒部21に回転自在に挿入する頭部25の外周面に抜止め突起22が回転移動可能に係合する係合溝部27が設けられたねじ部材18と、を備えていることにより、高い寸法精度を必要とせず、ローラ本体17とねじ部材18との一体化を図ることができ、低コスト化を図ることができる。
また、このドロア装置1の引出ローラ16によれば、内面に抜止め突起22が設けられた弾性可能な円筒部21が同心円状に設けられたローラ本体17と、頭部25の内端面25bにねじ部26が同一軸上に設けられたねじ部材18と、を備え、このねじ部材18は、頭部25が円筒部21に回転自在に挿入した際に、頭部25の外周面に設けられた係合溝部27に抜止め突起22が回転移動可能に係合することにより、高い寸法精度を必要とせず、ローラ本体17とねじ部材18との一体化を図ることができ、低コスト化を図ることができる。
すなわち、このドロア装置1の引出ローラ16では、ねじ部材18の頭部25をローラ本体17の円筒部21に挿入させて、頭部25の係合溝部27に円筒部21内の抜止め突起22を係合させる際に、円筒部21を弾性変形させることができるので、頭部25の係合溝部27に円筒部21内の抜止め突起22を容易にかつ確実に係合させることができ、これにより高い寸法精度を必要とせず、ローラ本体17とねじ部材18との一体化を図ることができる。
この場合、このドロア装置1の引出ローラ16では、抜止め突起22が円筒部21の内面における同一円周上の複数箇所に半球状に突出して設けられており、係合溝部27は頭部25の外周面に設けられて抜止め突起22が回転移動可能に係合する半円弧状の環状溝であることにより、頭部25の係合溝部27に円筒部21内の抜止め突起22が係合した際に、複数の抜止め突起22を係合溝部27に沿って回転移動させることができる。
また、このドロア装置1の引出ローラ16では、ローラ本体17と円筒部21との間に複数のくり抜き部23が複数の仕切リブ24によって設けられていることより、ねじ部材18の頭部25をローラ本体17の円筒部21に挿入させて、頭部25の係合溝部27に円筒部21内の抜止め突起22を係合させる際に、複数のくり抜き部23によって円筒部21を容易にかつ良好に弾性変形させることができる。
すなわち、複数の抜止め突起22は、複数のくり抜き部23に対して設けられていることにより、ねじ部材18の頭部25がローラ本体17の円筒部21に挿入されて円筒部21内の抜止め突起22に押し当てられて乗り越える際に、抜止め突起22が位置する箇所の円筒部21を径方向に押し広げるように確実にかつ良好に弾性変形させることができる。
この場合、複数の仕切リブ24は、ローラ部20の内周面と円筒部21の外周面とを連結して円筒部21の径方向への弾性変形を規制することにより、ねじ部材18の頭部25が円筒部21内の抜止め突起22を乗り越えて、抜止め突起22が係合溝部27に係合した際に、円筒部21の径方向への弾性変形が仕切リブ24によって規制されるので、頭部25の係合溝部27に対する複数の抜止め突起22の係合強度を確保することができ、これによりねじ部材18とローラ本体17とを確実に一体化することができる。
すなわち、複数の仕切リブ24は、複数の抜止め突起22間のほぼ中間部にそれぞれ位置して設けられ、これら複数の仕切リブ24の放射方向の各中間部に仕切リブ24の変形を規制する変形規制部24aが設けられていることにより、この変形規制部24aによって仕切リブ24の弾性変形を規制することができるので、頭部25の係合溝部27に対する複数の抜止め突起22の係合強度を確実に高めることができる。
また、このドロア装置1の引出ローラ16では、円筒部21における軸方向の両端部がローラ部20における軸方向の両端部よりも軸方向に突出していることにより、引出ローラ16を引出部5のローラ取付部8に取り付けて引出部5を筐体2内でスライドさせる際に、ローラ部20の軸方向の端面が筐体2の内側面に接触するのを防ぐことができると共に、円筒部21の軸方向の端部が筐体2の内側面に接触しても、接触面積を小さくして、摩擦抵抗を軽減させることができる。
また、このドロア装置1の引出ローラ16では、ねじ部材18の頭部25が、ねじ部26側の内端面25bを円筒部21の内部から外部に突出させて配置されていることにより、ねじ部26を引出部5のローラ取付部8に取り付けた際に、頭部25の内端面25bをローラ取付部8に押し当てることができ、これにより円筒部21の端部がローラ取付部8に接触することがないので、ねじ部材18の頭部25を中心にローラ本体17を円滑にかつ良好に回転させることができる。
この場合、ねじ部材18のねじ部26側に位置する頭部25の内端面25bには、滑止め部28が設けられていることにより、ねじ部26を引出部5のローラ取付部8に取り付けた際に、頭部25の滑止め部28をローラ取付部8に押し当てて確実に固定することができるので、スプリングワッシャや菊ワッシャなどのワッシャを用いずに、引出ローラ16を引出部5のローラ取付部8に確実にかつ強固に取り付けることができる。
また、このドロア装置1の引出ローラ16では、ねじ部材18の頭部25が、ねじ部26と反対側の外端面25aを円筒部21の内部から外部に突出させることなく、円筒部21内に配置されていることにより、引出ローラ16を引出部5のローラ取付部8に取り付けて引出部5を筐体2内でスライドさせる際に、頭部25の外端面25aが筐体2の内側面に接触することがないので、引出部5を筐体2内で円滑にかつ良好にスライドさせることができる。
さらに、このドロア装置1の引出ローラ16では、ねじ部材18の頭部25における外端面25aの周縁部に傾斜面29が設けられていることにより、ねじ部材18の頭部25をローラ本体17の円筒部21に挿入させる際に、傾斜面29によって頭部25を円筒部21に容易にかつ円滑に挿入させることができると共に、頭部25が円筒部21内の抜止め突起22に押し当てられて乗り越える際に、傾斜面29によって円筒部21内の抜止め突起22を容易にかつ良好に乗り越えさせることができる。
すなわち、このドロア装置1の引出ローラ16では、ねじ部材18の頭部25における外端面25aの周縁部に傾斜面29が設けられているので、頭部25の外端面から係合溝部27までの長さを頭部25の傾斜面29によって短く形成することができ、このため頭部25の傾斜面29の外周面が複数の抜止め突起22を速やかにかつ円滑に乗り越えることができる。
なお、上述した実施形態では、ローラ本体17の円筒部21における軸方向の両端部をローラ部20における軸方向の両端部よりも軸方向に突出させた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、ローラ本体17のローラ部20における軸方向の両端部を円筒部21における軸方向の両端部よりも軸方向に突出させても良い。このように構成しても、ローラ部20の軸方向の端面が筐体2の内側面に接触しても、その接触面積を軽減させて、摩擦抵抗を軽減させることができる。
また、上述した実施形態では、ローラ本体17の円筒部21の内面に抜止め突起22を設け、ねじ部材18の頭部25の外周面に係合溝部27を設けた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、ローラ本体17の円筒部21の内面に係合溝部27を設け、ねじ部材18の頭部25の外周面に抜止め突起22を設けた構造であっても良い。
さらに、上述した実施形態では、電子レジスタのドロア装置1に適用した場合について述べたが、この発明は、必ずしも電子レジスタのドロア装置1である必要はなく、例えば引出部5を備えた家具などにも適用することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、内面に抜止め部が設けられた弾性可能な円筒部が設けられたローラ本体と、前記円筒部に回転自在に挿入する頭部の外周面に前記抜止め部が回転移動可能に係合する係合部が設けられたねじ部材と、を備えていることを特徴とするローラである。
請求項2に記載の発明は、内面に抜止め部が設けられた弾性可能な円筒部が設けられたローラ本体と、頭部の一端部にねじ部が同一軸上に設けられたねじ部材と、を備え、前記ねじ部材は、前記頭部が前記円筒部に回転自在に挿入した際に、前記頭部の外周面に設けられた係合部に前記抜止め部が回転移動可能に係合することを特徴とするローラである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のローラにおいて、前記抜止め部は、前記円筒部の内面における同一円周上の複数箇所に半球状に突出して設けられており、前記係合部は、前記頭部の外周面に設けられて前記抜止め部が回転移動可能に係合する半円弧状の環状溝であることを特徴とするローラである。
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載のローラにおいて、前記ローラ本体と前記円筒部との間には、前記円筒部を径方向に弾性変形させるための複数のくり抜き部が、複数の仕切リブによって設けられていることを特徴とするローラである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のローラにおいて、前記複数の抜止め部は、前記複数のくり抜き部に対応して設けられており、前記複数の仕切リブは、前記複数の抜止め部の間に位置して設けられ、前記円筒部の径方向への弾性変形を規制することを特徴とするローラである。
請求項6に記載の発明は、請求項1~請求項5のいずれかに記載のローラにおいて、前記ローラ本体における軸方向の両端部と前記円筒部における軸方向の両端部とのいずれか一方は、軸方向に突出していることを特徴とするローラである。
請求項7に記載の発明は、請求項2~請求項6のいずれかに記載のローラにおいて、前記ねじ部材の前記頭部は、前記ねじ部が設けられた前記一端部が前記円筒部の内部から外部に突出し、前記ねじ部と反対側の他端部が前記円筒部の内部から外部に突出することなく、前記円筒部内に配置されていることを特徴とするローラである。
請求項8に記載の発明は、請求項1~請求項7のいずれかに記載のローラにおいて、前記ねじ部材の前記頭部における前記他端部の周縁部には、傾斜面が設けられていることを特徴とするローラである。
請求項9に記載の発明は、請求項1~請求項8のいずれかに記載されたローラを備えていることを特徴とするドロア装置である。