JP5802621B2 - シリンダー錠 - Google Patents
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そのため、前記したように外筒に対して内筒を交換可能にする場合では、外筒内に、内筒と一体回転可能となる回転伝動体を残しておき、この回転伝動体と内筒とが係脱自在となるような構造を採用するのが好適となる。
回転伝動体には、前記したようにリンク機構やロック機構が接続されているものであるから、これらリンク機構やロック機構によって想定外の回転力が回転伝動体に伝わるようなことがあると、この回転伝動体が外筒内で回転してしまうことがあった。
筒内へ内筒を差し込もうとしても、内筒と回転伝動体とが旨く係合しないということが起こり、結果として、内筒の差込不良や回転不良に繋がるおそれがあった。
なお、このような問題に対し、前記特許文献1では、内筒を引き抜いた後の外筒内に弾性材製の保護具を詰めることで、対策を施すようにしていたが、保護具の着脱が面倒であると共に、保護具がコスト高を招来し、また保護具の抜けが起こった場合には、当然に内筒の差込不良や回転不良も防止できない等、種々の問題があった。
即ち、本発明に係るシリンダー錠は、外筒とこの外筒内に収容される内筒とを有し、内筒に対してキーの抜き差しで径方向に動作するタンブラーが組み込まれたシリンダー錠において、前記外筒内には、前記内筒の後端と係合して当該内筒と一体回転する回転伝動体と、前記回転伝動体を前記内筒の後端へ向けて押し付勢するバネとが設けられており、前記回転伝動体には、前記外筒内で回転する際の回転中心の長手方向に沿った一部外周面に対して前記回転中心からの径方向距離を周方向の一部で小さくするか又は大きくすることで前記回転中心まわりに非回転対称にする係止部が設けられていると共に、前記外筒の内部又は後端部には、前記内筒の引き抜きに伴って前記回転伝動体が前方押出位置に移動したときに前記係止部と出合う位置に対して当該係止部と回転方向で係合して前記回転伝動体の回転を阻止する空転防止部が設けられていることを特徴とする。
この場合、前記バックアップ体は外筒に対して回転自在に保持されており、このバックアップ体の摺動ガイド部は、前記回転伝動体との相対回転を阻止して当該回転伝動体との一体回転可能にする非回転形に形成されたものとするのがよい。
[第1実施形態]
図1乃至図3は、本発明に係るシリンダー錠1の第1実施形態を示している。このシリンダー錠1は、外筒2とこの外筒2内に収容される内筒3とを有している。図示は省略するが、内筒3の内部には複数のタンブラーが組み込まれており、施・解錠に用いる特定のキーを内筒3へ抜き差しすることで、これらタンブラーが径方向に所定の出退動作を行い、内筒3の回転、非回転が選択されるようになっている。
そして、本発明に係るシリンダー錠1では、外筒2内に、回転伝動体7と、バネ8(図3では図示略)とが設けられている。また外筒2の後端部にはバックアップ体10が設けられている。
内筒保持室12に対して内筒3が回転自在で且つ抜き差し自在な状態に挿通される。なお、内筒3には前部外周に張り出すフランジ3aが設けられており、内筒保持室12に対する内筒3の差し込み量は、このフランジ3aの当て止めによって制限される。これに対し、回転切換室13に対して前記した回転伝動体7、バネ8が収容されており、この回転切換室13の後部開口を閉鎖するようにして、前記したバックアップ体10が配置されている。
この回転伝動体7は、内筒3を外筒2から前方へ引き抜いた際には外筒2内に残るようになり、また内筒3を外筒2内へ差し込んだ際には、内筒3の後端部とこの回転伝動体7とが係合してこれら内筒3と回転伝動体7とが外筒2内で一体回転するようになっている。そのため、内筒3の後端部と回転伝動体7の前面部との両者間には、筒軸方向で嵌合離脱が自在となるような凹凸係合構造が採用されている。
出形状としたことや、凹部16を角穴形状としたことが殊更、限定されるものではない。更に、凸部15と凹部16とによる凹凸係合構造は、筒軸位置(円形中心)に配置することも限定されず、偏心位置とすることができる。
このバックアップ体10は、外筒2に対して回転自在に保持されるように円盤状に形成されている。バックアップ体10の外周部には周溝21が形成されており、ピン又はネジ等の抜止部材22を外筒2の外周面から径方向内方へ差し込んで周溝21へ係合させるようにする。これにより、バックアップ体10を外筒2から抜け止めさせ、且つ回転自在に保持させるようにしている。
前記したように回転伝動体7の後方突出部7bは長方形のブロック状に突出したものであり、この突出形状に対応するように、バックアップ体10の摺動ガイド部23は長方形の開口形状を有したものとなっている。このように、これら後方突出部7bと摺動ガイド部23とは、筒軸のまわりで非回転形を呈したものである。それ故、これら後方突出部7bと摺動ガイド部23とにより構成される嵌合構造では、回転伝動体7とバックアップ体10の相対回転を阻止して、両者が一体回転するようになる。
そして、外筒2には空転防止部9が設けられている。この空転防止部9は、外筒2の回転切換室13内に対して、内周面における周方向の一部で内周面から盛り上がる状態で設けられている。本第1実施形態では、前記ストッパ24(図3参照)から後方へ突出するようにして空転防止部9が設けられたものとしてある。
が回転しようとするときには回転方向で係合して、外筒2内で回転伝動体7を回り止め状態にする。
空転防止部9は、内筒3を外筒2の前方へ引き抜くことによって回転伝動体7が前方移動したときに、回転伝動体7と係合するようになるが、内筒3を外筒2内に差し込んで回転伝動体7が後方へ押し込められると、回転伝動体7との係合が解除されるような寸法で形成されている。
すなわち、通常の使用状態として、図1に示すように外筒2内に差し込まれた内筒3に対して施・解錠用のキーを差し込み、且つキーを回転操作することで、内筒3ではタンブラーが退入方向へ動作すると共にキーと一緒に回転することになる。そのため、内筒3の回転で回転伝動体7及びバックアップ体10も一体回転することになり、伝動孔31又は貫通口30を介してリンク機構又はロック機構の接続端5へ回転力が伝えられることになる。
なお、内筒3に対して施・解錠用のキーを抜き差しする際において、外筒2に対する内筒3の回転角は一義的に決められている。そのため、チェンジキーを内筒3へ差し込むことができる内筒3の回転角も必然と一義的なものとなっている(回転操作角のなかに1箇所しかない)。
また、このように回転伝動体7が前方へ移動しても、回転伝動体7の後方突出部7bとバックアップ体10の摺動ガイド部23とで構成される嵌合構造は、嵌合状態を解除されない。そのため、回転伝動体7とバックアップ体10との間で相対回転は生じず、外筒2内で回転伝動体7が回転しない規制状態が、バックアップ体10にも派生するようになる。
それらの結果として、リンク機構又はロック機構により、万が一、伝動孔31又は貫通口30に対して不測の回転力が伝えられるようなことが起こったとしても、回転伝動体7が回転してしまうことはない。
[第2実施形態]
図4及び図5は、本発明に係るシリンダー錠1の第2実施形態を示している。この第2実施形態のシリンダー錠1が第1実施形態(図1乃至図3)と最も異なるところは、バックアップ体10に対し、回転伝動体7の後方突出部7bを外嵌する通孔35が形成されており、この通孔35の開口内周縁と後方突出部7bの外周面との間で嵌合構造が構成されている点にある。すなわち、通孔35の開口内周縁は、回転伝動体7の前後動をガイドするための摺動ガイド部23として形成されたものである。
い)。
このことから、バックアップ体10は、外筒2に対して回転自在に取り付けることが限定されないことになり、ピン又はネジ等の抜止部材22を外筒2の外周面から径方向内方へ差し込んでバックアップ体10へ直接に圧入又は螺合させるようにしてある。これにより、第1実施形態で採用したような周溝21は不要となっている。
[第3実施形態]
図6及び図7は、本発明に係るシリンダー錠1の第3実施形態を示している。この第3実施形態のシリンダー錠1は基本的に第2実施形態(図4及び図5)と略同じであって、バックアップ体10に対し、回転伝動体7の後方突出部7bを外嵌する通孔35が形成され、この通孔35の開口内周縁が、回転伝動体7の前後動をガイドするための摺動ガイド部23となっている。
本第3実施形態が第2実施形態と異なるところは、バックアップ体10が板材によって形成されていると共に、直径方向の両側へネジ挿通部36を張り出させた菱形状(図7参照)に形成されている点にある。当然に、外筒2に対しても、ネジ挿通部36へ差し込むネジ37を螺合させるための雌ねじ部が設けられたものとしてある(図示略。なお、雌ねじ部を設けるために外筒2の後端部に採用する外形状は、後述する第4実施形態の図10を参照)。
[第4実施形態]
図8乃至図10は、本発明に係るシリンダー錠1の第4実施形態を示している。この第4実施形態のシリンダー錠1は基本的に第3実施形態(図6及び図7)と略同じである。本第4実施形態のシリンダー錠1が第3実施形態と最も異なるところは、外筒2の後端部(回転切換室13の後部開口)に取り付けられるバックアップ体10に対して空転防止部9を設けている点にある。当然に、バックアップ体10に空転防止部9を設けているので、他の実施形態において外筒2の内周面に設けていた空転防止部9(第1実施形態の図3や第2実施形態の図5など参照)は不要となっている。
これに対し、回転伝動体7の後方突出部7bには、その外周面における周方向の一部で、筒軸方向に沿った突条のように径方向外方へ突出する係止部40と、径方向への突出を伴わない非係止部41とが設けられている。これら係止部40と非係止部41とは筒軸方向で互いに隣接した位置関係にある。係止部40から見れば、この係止部40を形成している突条に対して後方突出部7bの外周面まで届く深さの欠落部を形成することで、この欠落部として非係止部41を設けたものと言える。非係止部41は、後方突出部7bの筒軸方向において、バックアップ体10の板厚よりも広い筒軸方向の開口寸法を有して形成されたものである。
プ体10(すなわち、通孔35の開口周部であり、空転防止部9である)と一致する配置とされている。
なお、係止部40は、筒軸方向の隣接位置に非係止部41が存在していることから、回転伝動体7における長手方向の一部に配置されていることが明らかである。またこの係止部40は、径方向外方へ突条のように突出したものであるから、前記した回転中心からの径方向距離を周方向の一部で大きくすることで、回転伝動体7(後方突出部7b)の外周面を回転中心まわりに非回転対称にしていることが明らかである。
[第5実施形態]
図11乃至図13は、本発明に係るシリンダー錠1の第5実施形態を示している。この第5実施形態のシリンダー錠1も、外筒2の後端部(回転切換室13の後部開口)に取り付けられるバックアップ体10に対して空転防止部9を設けたものである。当然に、バックアップ体10に空転防止部9を設けているので、他の実施形態において外筒2の内周面に設けていた空転防止部9(第1実施形態の図3や第2実施形態の図5など参照)は不要となっている。
これに対し、回転伝動体7の後方突出部7bには、その外周面における周方向の一部に、筒軸方向に延びる偏平な係止部43が設けられている。また、後方突出部7bの筒軸方向に沿った略中央位置に周溝44が形成されている。
これに対し、図12に示すように、外筒2から内筒3を引き抜くことによって回転伝動体7が前方移動したときには、回転伝動体7に設けられた周溝44がバックアップ体10
の通孔35と不一致となる。このとき、バックアップ体10の通孔35内に設けられた空転防止部9が回転伝動体7の後方突出部7bに設けられた係止部43と出合い(弦方向の直線部同士が対向し、接触又は近接平行した状態となり)、回転伝動体7が回転しようとするときには回転方向で係合して、外筒2内での回転伝動体7を回り止め状態にする。
[第6実施形態]
図14は、本発明に係るシリンダー錠1の第6実施形態を示している。この第6実施形態のシリンダー錠1は、回転伝動体7とバックアップ体10との両者間で構成される嵌合構造が、回転伝動体7側が「凹」とされ、バックアップ体10側が「凸」とされたものである。この点で、第1〜第5実施形態と大きく異なっている。
これに対し、バックアップ体10の前面には、回転伝動体7の後面凹部46に対応して四角形状に突出する摺動ガイド部23が形成されている。従って、この摺動ガイド部23が回転伝動体7の後面凹部46に内嵌されるようになっている。
ところで、本第6実施形態では、バックアップ体10が、外筒2の回転切換室13内に嵌るバックアップ本体50と、このバックアップ本体50を外筒2の後端で抜け止めする後部閉鎖材51との二部材で構成されたものとなっている。
このような第6実施形態では、バックアップ体10のうち、バックアップ本体50が後部閉鎖材51に係止することでそれ以上、後方へ移動することがない。すなわち、外筒2の後方へ向けてバックアップ体10が突出するような動作をしないので、外筒2の後方領域で、バックアップ体10と他物との接触干渉が問題となることはない。
[第7実施形態]
図15は、本発明に係るシリンダー錠1の第7実施形態を示している。この第7実施形態のシリンダー錠1も、回転伝動体7とバックアップ体10との両者間で構成される嵌合構造が、回転伝動体7側が「凹」とされ、バックアップ体10側が「凸」とされたものである。またバックアップ体10は、バックアップ本体50と後部閉鎖材51との二部材で構成されたものとなっている。
動するのを阻止する係合部53が設けられている。
この係合部53は、外筒2の回転切換室13が後方へ向けて開口する部分で、開口周部を拡径状態に凹ませるように形成されたものである。この係合部53に対して、バックアップ体10のバックアップ本体50に対して径方向外方へ張り出させて形成したフランジ部55を嵌合させている。係合部53の凹み量は、フランジ部55の肉厚と略同等としてある。従って、バックアップ本体50は、そのフランジ部55が係合部53と後部閉鎖材51とで挟持されるようになり、ガタツキを生じずに外筒2に固定されるものとなる。
従って、バックアップ体10は、外筒2の後方へ突出するような動作をせず、外筒2の後方領域で、バックアップ体10と他物との接触干渉が問題とはならないという利点は当然に得られるものである。
ところで、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、バックアップ部材10において、リンク機構又はロック機構の接続端5との接続構造は、貫通口30を採用することが限定されるものではなく、貫通口30に代えて、凸状態になる継手構造を採用してもよい。
シリンダー錠1としての用途も、何ら限定されるものではない。
2 外筒
3 内筒
3a フランジ
5 接続端
7 回転伝動体
7a 本体部
7b 後方突出部
8 バネ
9 空転防止部
10 バックアップ体
12 内筒保持室
13 回転切換室
15 凸部
16 凹部
21 周溝
22 抜止部材
23 摺動ガイド部
24 ストッパ
25 係止部
30 貫通口
31 伝動孔
35 通孔
36 ネジ挿通部
37 ネジ
40 係止部
41 非係止部
43 係止部
44 周溝
46 後面凹部
50 バックアップ本体
51 後部閉鎖材
53 係合部
Claims (4)
- 外筒とこの外筒内に収容される内筒とを有し、内筒に対してキーの抜き差しで径方向に動作するタンブラーが組み込まれたシリンダー錠において、
前記外筒内には、
前記内筒の後端と係合して当該内筒と一体回転する回転伝動体と、
前記回転伝動体を前記内筒の後端へ向けて押し付勢するバネと、
が設けられており、
前記回転伝動体には、前記外筒内で回転する際の回転中心の長手方向に沿った一部外周面に対して前記回転中心からの径方向距離を周方向の一部で小さくするか又は大きくすることで前記回転中心まわりに非回転対称にする係止部が設けられていると共に、
前記外筒の内部又は後端部には、前記内筒の引き抜きに伴って前記回転伝動体が前方押出位置に移動したときに前記係止部と出合う位置に対して当該係止部と回転方向で係合して前記回転伝動体の回転を阻止する空転防止部が設けられていることを特徴とするシリンダー錠。 - 前記外筒の後端部には前記バネを当て止めして当該バネに回転伝動体へ向けたバネ力を生起させるバックアップ体が設けられており、このバックアップ体には、前記回転伝動体と内嵌又は外嵌の嵌合構造を保持して当該回転伝動体の前後動をガイドする摺動ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のシリンダー錠。
- 前記バックアップ体は外筒に対して回転自在に保持されており、このバックアップ体の摺動ガイド部は、前記回転伝動体との相対回転を阻止して当該回転伝動体との一体回転可能にする非回転形に形成されていることを特徴とする請求項2記載のシリンダー錠。
- 前記外筒には前記バックアップ体が前方移動するのを阻止する係合部が設けられており、バックアップ体は、外筒に固定される後部閉鎖材により外筒から抜け止めされていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のシリンダー錠。
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