JP7004060B2 - 診断装置、システム、診断方法及びプログラム - Google Patents

診断装置、システム、診断方法及びプログラム Download PDF

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Description

(関連出願についての記載)
本発明は、日本国特許出願:特願2018-038388号(2018年3月5日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、診断装置、システム、診断方法及びプログラムに関する。
金属等の切削加工にはモータ等による回転機構を備える生産設備(生産装置)が用いられる。回転機構を備える生産設備を稼働させると、モータが回転することにより振動が発生する。
生産設備が稼働することにより生じる振動を異常検知等に利用する種々の技術が存在する。例えば、生産設備の装置の故障や生産物の異常をリアルタイムに判定する手法として、振動等のセンシングデータを利用する手法が存在する。
具体的には、生産設備による加工が正常に行われた場合の正常データや加工が正常に行えなかった場合の不具合データを収集、解析し、正常時の加工状態と異常時の加工状態を切り分けるための閾値が算出される。その後、生産設備を稼働して得られる振動データはFFT(Fast Fourier Transform)変換され、周波数領域での閾値処理等により異常検知が行われる。
特許文献1には、運用時にオンラインで計測した振動信号を履歴データとして保存し必要時に振動信号の再現を行う機能を持つ振動診断装置が開示されている。
特許文献2には、複数の機器から成るプラントの各機器から発生する音響信号を検出して各機器の異常を自動検知する異常検知装置において、各機器の音響信号がプラントの暗騒音に埋没しないようにして検知精度を向上させる、と記載されている。
特開平02-159525号公報 特開平04-258721号公報
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明者らによってなされたものである。
上述のように、生産設備を稼働することにより得られる振動データを生産設備や生産材の異常検知に利用することが行われている。
ここで、生産設備等に取り付けられた振動センサから得られる信号には数多くの情報が含まれる。具体的には、モータの軸回転により得られる振動、モータが回転することにより筐体が共振することによる振動、ドリル刃等の工具と生産材(被加工材)が接触することによる振動(加工による振動)が上記情報として例示される。さらに、環境ノイズ(例えば、他の設備が稼働することによる振動)が振動センサから得られる情報に含まれることもある。
これらの情報のうち、加工状態の判定において価値があるのは工具と生産材が接触することによる振動である。例えば、図22(a)に示す波形は、生産材の加工が正常に行われている際に得られるパワースペクトルとする。一方、図22(b)や図22(c)に示す波形は、生産材の加工が正常に行われていない異常時に得られるパワースペクトルとする。
図22(a)と図22(b)に示す波形を比較すると、ピーク周波数がFmからFm’にずれている。また、図22(a)と図22(c)に示す波形を比較すると、波形の広がり具合が異なっている。加工状態を判定するため、例えば、図22(a)~(c)に示す波形に基づき、加工が正常であると判断するための閾値が決定される。例えば、周波数ずれを判定するための閾値や周波数成分の広がりを判定するための閾値が算出される。
このように、振動センサから得られる情報のうち、加工状態の判定に真に必要となるのは加工により生じる振動の情報である。換言すれば、加工の判定に使用する波形(パワースペクトル)には、上記加工により生じる振動以外の情報が含まれていないことが望ましい。例えば、環境ノイズを含むパワースペクトルに対して判定処理(閾値処理)を施したとしても当該環境ノイズの影響により誤判定が生じる可能性がある。例えば、図22(d)に示すように、加工状態は正常であるが、環境ノイズ(薄い灰色で示す波形)が重畳してしまうと、ピーク周波数近辺の周波数成分は広がりが大きいと判定され「異常加工」と判定されかねない。
また、生産設備の経年劣化により、設備の設置時に定めた閾値は、生産設備から得られる最新のパワースペクトルに適合していない可能性がある。つまり、モータを備える生産設備では、当該モータの回転周波数は機械的な摩擦により変化する。モータの回転周波数が変化すれば、加工により生じる振動(周波数)も変化する。そのため、加工が正常であっても設置当初の生産設備から得られたパワースペクトルに基づいて決めた閾値では、「加工状態は異常」と判定され得る。
例えば、図22(e)に示すように、モータの回転周波数が△Fずれれば、加工時に発生する振動の周波数も△Fずれる。なお、図22(e)において、点線で示す波形は生産設備を設置した当初のモータの回転数(左側のピーク)と加工により生じる振動(右側のピーク)を示す。また、実線で示す波形は現在(経年劣化後)のモータの回転数(左側のピーク)と加工により生じる振動(右側のピーク)を示す。
図22(e)から明らかなとおり、生産設備の経年劣化により、加工時の振動による周波数がずれるので、当該周波数の変動を考慮して判定をしなければ正しい結果は得られない。
本発明は、生産設備による加工が正常に行われているか否かを正確に判定することに寄与する、診断装置、システム、診断方法及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
本発明乃至開示の第1の視点によれば、回転機構を備える生産設備により生じる振動を検出するセンサが出力する振動データを取得する、取得部と、前記生産設備の設置時、且つ、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを初期波形として記憶し、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを始動波形として記憶し、負荷がある状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを動作波形として記憶する、FFT(Fast Fourier Transform)部と、前記始動波形及び前記動作波形に基づき、前記生産設備による生産材の加工が正常か否かを判定する、判定部と、を備え、前記判定部は、前記生産材の加工が正常か否かを判定する際に用いる閾値を、前記初期波形及び前記始動波形に基づき補正する、診断装置が提供される。
本発明乃至開示の第2の視点によれば、回転機構を備える生産設備と、前記生産設備により生じる振動を検出するセンサと、診断装置と、を含み、前記診断装置は、前記センサが出力する振動データを取得する、取得部と、前記生産設備の設置時、且つ、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを初期波形として記憶し、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを始動波形として記憶し、負荷がある状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを動作波形として記憶する、FFT(Fast Fourier Transform)部と、前記始動波形及び前記動作波形に基づき、前記生産設備による生産材の加工が正常か否かを判定する、判定部と、を備え、前記判定部は、前記生産材の加工が正常か否かを判定する際に用いる閾値を、前記初期波形及び前記始動波形に基づき補正する、システムが提供される。
本発明乃至開示の第3の視点によれば、回転機構を備える生産設備により生じる振動を検出するセンサが出力する振動データを取得する、取得部と、前記生産設備の設置時、且つ、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを初期波形として記憶し、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを始動波形として記憶し、負荷がある状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを動作波形として記憶する、FFT(Fast Fourier Transform)部と、を備える診断装置において、前記生産材の加工が正常か否かを判定する際に用いる閾値を、前記初期波形及び前記始動波形に基づき補正し、前記補正された閾値、前記始動波形及び前記動作波形に基づき、前記生産設備による生産材の加工が正常か否かを判定する、診断方法が提供される。
本発明乃至開示の第4の視点によれば、回転機構を備える生産設備により生じる振動を検出するセンサが出力する振動データを取得する、取得部と、前記生産設備の設置時、且つ、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを初期波形として記憶し、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを始動波形として記憶し、負荷がある状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを動作波形として記憶する、FFT(Fast Fourier Transform)部と、を備える診断装置に搭載されたコンピュータに、前記生産材の加工が正常か否かを判定する際に用いる閾値を、前記初期波形及び前記始動波形に基づき補正する処理と、前記補正された閾値、前記始動波形及び前記動作波形に基づき、前記生産設備による生産材の加工が正常か否かを判定する処理と、を実行させるプログラムが提供される。
なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
本発明乃至開示の各視点によれば、生産設備による加工が正常に行われているか否かを正確に判定することに寄与する、診断装置、システム、診断方法及びプログラムが、提供される。
一実施形態の概要を説明するための図である。 第1の実施形態に係る生産システムの一例を示す図である。 初期波形の一例を示す図である。 初期動作波形の一例を示す図である。 始動波形の一例を示す図である。 動作波形の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る診断装置の状態遷移の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る診断装置が出力する表示の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る診断装置のハードウェアの一例を示す図である。 第1の実施形態に係る診断装置の処理構成の一例を示す図である。 閾値生成部の動作の一例を示すフローチャートである。 閾値生成部が生成するパワースペクトルの一例を示す図である。 閾値生成部が生成する別のパワースペクトルの一例を示す図である。 判定部の動作の一例を示すフローチャートである。 判定部における加工判定の動作の一例を示すフローチャートである。 動作波形から始動波形を減算した結果の一例を示す図である。 第2の実施形態に係る生産システムの一例を示す図である。 振動センサと音響センサの違いを説明するための図である。 第3の実施形態に係る生産システムの一例を示す図である。 初期動作波形の一例を示す図である。 動作波形の一例を示す図である。 振動センサから得られるパワースペクトルの一例を示す図である。
初めに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インターフェイスも同様である。
一実施形態に係る診断装置100は、取得部101と、FFT(Fast Fourier Transform)部102と、判定部103と、を備える(図1参照)。取得部101は、回転機構を備える生産設備により生じる振動を検出するセンサが出力する振動データを取得する。FFT部102は、生産設備の設置時、且つ、負荷がない状態で生産設備が稼働された状態で取得された振動データから計算した周波数スペクトルを初期波形として記憶する。また、FFT部102は、負荷がない状態で生産設備が稼働された状態で取得された振動データから計算した周波数スペクトルを始動波形として記憶する。さらに、FFT部102は、負荷がある状態で生産設備が稼働された状態で取得された振動データから計算した周波数スペクトルを動作波形として記憶する。判定部103は、始動波形及び動作波形に基づき、生産設備による生産材の加工が正常か否かを判定する。さらに、判定部103は、生産材の加工が正常か否かを判定する際に用いる閾値を、初期波形及び始動波形に基づき補正する。
診断装置100は、生産設備を初めて工場等に設置した際、加工を行わない状態(無負荷な状態)にて、生産設備を稼働し初期波形(例えば、図3に示す初期波形201)を生成する。また、診断装置100は、加工を実行する直前に、無負荷な状態にて生産設備を稼働し始動波形(例えば、図5に示す始動波形203)を生成する。さらに、診断装置100は、実際に加工が行われている際の波形(図6に示す動作波形204)を生成する。
診断装置100は、これらの波形を用いて生産設備による加工が正常に行われているか否かを判定する。具体的には、診断装置100は、動作波形から始動波形を減算することで、環境ノイズを排除し、環境ノイズが排除された波形に対して閾値処理等を施すことで加工が正常か否かを判定する。
また、診断装置100は、生産設備の回転機構(モータ等)が経年劣化することで閾値が変化することへの対応として、初期波形と始動波形に基づき当該閾値を補正する。具体的には、初期波形と始動波形のピーク周波数が所定値よりも大きくずれていれば、診断装置100は、回転機構に経年劣化が生じていると判断し、ピーク周波数のずれを閾値に反映(閾値に加算)する。
以上のように、診断装置100は、生産時の環境ノイズを排除しつつ、回転機構の経年劣化により生じる閾値の不適合を修正し、生産材の加工が正常か否かを判定する。その結果、診断装置100は、生産設備による加工が正常に行われているか否かを正確に判定できる。
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。なお、各実施形態において同一構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
図2は、第1の実施形態に係る生産システムの一例を示す図である。図2を参照すると、生産システムには、生産設備10と、振動センサ20と、診断装置30と、が含まれる。
生産設備10は、モータ11を回転機構として備える装置である。なお、実際の生産設備10には、モータ11や生産材12を移動するためのアクチュエータ、電源等が含まれるが図2ではそれらの図示を省略している。
モータ11は、制御装置に接続され、生産材12の加工に係る制御が行われる。例えば、図2には、モータ11に取り付けられたドリル刃により生産材12に穴空け加工する例が示されている。なお、図2に示す生産システムは例示であって、加工は「穴空け」に限定されない。生産設備10は、旋削加工やフライス加工等に対応したものであってもよい。
振動センサ20は、振動を検出するためのセンサである。例えば、振動センサ20は、生産材12を把持するクランプの横に設置される。振動センサ20は、設置場所における変位、加速度、速度等の物理量を電気信号に変換し、出力する。
なお、振動センサ20に用いるセンサはどのような種別(タイプ)でもよい。振動センサ20は、3次元座標系における少なくとも1軸方向の振動を検出できるものであればよい。振動センサ20は、診断装置30と接続される。
診断装置30は、振動センサ20からの出力(振動データ)を用いて、生産材12の加工が正常に行われているか否かを判定する。なお、以降の説明において、生産材12の加工が正常に行われているか否かの判定を「加工判定」と表記する。
初めに、図2を参照しつつ、第1の実施形態に係る生産システムの動作概略を説明する。
生産システムの動作モードには、初期モード、テストモード、通常モードの3種類が存在する。
初期モードは、生産設備10を工場等に初めて設置した際に実行されるモードである。具体的には、モータ11等の部品が経年劣化を起こしていない新品の生産設備10を工場等に初めて設置した際に初期モードが実行される。
初期モードでは、環境ノイズ等の影響を極力排した状態で新品の生産設備10を稼働する。より具体的には、生産設備10以外の工場等に存在する他の装置の稼働を止め、当該他の装置による振動が生産設備10に影響を与えない状況を作り出す。その上で、ユーザは制御装置を操作し、生産設備10に生産材12を取り付けていない状態で生産設備10を稼働(モータ11を回転)する。例えば、所定の初期回転数で所定時間(再現性を考慮し、例えば、30秒間)生産設備10を稼働させ、その後、所定の勾配で回転数を上昇させる。
初期モードにおける診断装置30は、当該稼働により生じる振動データを振動センサ20から取得し、当該取得した振動データにFFT処理を施すことで、パワースペクトル(周波数スペクトル)を生成する。診断装置30は、生成したパワースペクトルを「初期波形」として記憶、保存する。
このように、生産システムでは、環境ノイズがなく、生産材12を加工しない無負荷な状態で生産設備10を稼働させ、当該稼働により生じる振動を特徴付ける(振動の特徴を情報として有する)パワースペクトルを生成する。例えば、図3に示すようなパワースペクトルが生成され、初期波形201として保存される。
なお、本願開示にて例示する各パワースペクトルは理解の容易のため簡略化してあるが、実際には、モータ11の回転周波数の高調波等も含まれる。
次に、ユーザは制御装置を操作し、生産設備10に生産材12を取り付けた状態で生産設備10を稼働(モータ11を回転)し、実際に生産材12を加工する。
診断装置30は、当該稼働により生じる振動データを振動センサ20から取得し、当該取得した振動データにFFT処理を施すことで、パワースペクトルを生成する。診断装置30は、生成したパワースペクトルを「初期動作波形」として記憶、保存する。
このように、生産システムでは、環境ノイズがない状況で生産材12を加工し当該加工(生産設備10の稼働)により生じる振動を特徴付けるパワースペクトルを生成する。つまり、環境ノイズがない状況で、生産設備10に負荷を掛けつつ、振動を特徴付けるパワースペクトルを生成する。例えば、図4に示すようなパワースペクトルが生成され、初期動作波形202として保存される。
なお、後述するように、初期動作波形202は、加工判定の際に用いられる閾値の作成に使用される。そのため、初期モードにおける生産材12の加工は正常に行われている必要がある。換言すれば、生産材12の加工が正常に行われていない状態で取得された初期動作波形202から閾値を作成することはできない。従って、ユーザが、加工された生産材12を確認し、加工が正常に行えていないと判断した場合には、取得した初期動作波形202を破棄し、新たな初期動作波形202の取得を試みる。
次に、初期モードにおける診断装置30は、初期動作波形202を用いて加工判定に使用する閾値を生成し、保存する。なお、当該閾値の生成に関する詳細は後述する。
以上が、初期モードにおける動作概略である。
テストモードは、生産材12の加工を始める場合や加工を始めてから所定期間経過した場合等、所定のタイミングで実行されるモードである。テストモードは、生産設備10以外の装置も稼働し、様々なノイズが発生している環境下で実行される。
テストモードにおいて、ユーザは制御装置を操作して、生産設備10に生産材12を取り付けていない状態(無負荷な状態)で生産設備10を稼働する。テストモードにおいても、例えば、所定の初期回転数で所定時間、生産設備10を稼働し、その後、所定の勾配で回転数を上昇させる。
テストモードにおける診断装置30は、初期モードと同様に、振動センサ20から取得した振動データにFFT処理を施し、パワースペクトルを生成する。診断装置30は、生成したパワースペクトルを始動波形203として記憶、保存する。例えば、図5に示すようなパワースペクトルが生成され、始動波形203として保存される。
通常モードは、生産材12を実際に加工するモードである。ユーザは、生産材12を生産設備10に設置し、制御装置を操作することで生産材12の加工を行う。
通常モードにおける診断装置30は、初期モード、テストモードと同様に、振動センサ20から取得した振動データにFFT処理を施し、パワースペクトルを生成する。診断装置30は、生成したパワースペクトルを動作波形204として記憶、保存する。例えば、図6に示すような周波数スペクトルが生成され、動作波形204として保存される。
診断装置30は、先に保存した初期波形201及び始動波形203と、加工時に取得した動作波形204と、を用いて、生産材12の加工判定をリアルタイムに実施する。
以上が、生産システムにおける動作モード(初期モード、テストモード、通常モード)の概略である。
ユーザは、生産システムの状況に応じて、その動作モードを決定し、当該決定した動作モードに応じた操作を制御装置、生産設備10、診断装置30に行う。具体的には、生産設備10を工場に初めて設置した場合に、ユーザは、初期モードに関する処理を実行するように診断装置30を操作する。
初期モードにおける診断装置30の処理が終了すると、生産材12が加工できる状況が整う。但し、生産材12の加工を始める際には、診断装置30が「テストモード」に関する処理を実行する必要がある。具体的には、テストモードの処理が実行され、実際に加工を行う状況下での環境ノイズに関する情報を含む始動波形203の取得が完了すると、生産材12の加工が可能となる。
ユーザは、テストモードの実行指示を診断装置30に入力した後、通常モードの実行指示を診断装置30に入力する。
診断装置30の取り得る状態遷移をまとめると、図7のようになる。図7に示すように、初期モードは1回実行すれば十分であり、2回以上実行する必要はない。また、通常モードに先立ってテストモードにおける処理が実行され、実際に加工を始める環境下でのノイズが取得される。生産材12の加工が終了し別の生産材12を加工する場合、加工を一度停止し再開する場合、加工を開始してから長時間経過した場合等、環境ノイズが変化していると想定される場合は、テストモードにおける処理、通常モードにおける処理の順に実行される。
なお、ユーザによる診断装置30への指示入力は、診断装置30が提供するGUI(Graphical User Interface)を利用すればよい。例えば、診断装置30は、図8に示すような表示を液晶モニタ等に出力し、ユーザは、マウスやキーボード等により動作指示を入力すればよい。なお、診断装置30への動作指示の入力には種々の形態、方式(例えば、ネットワーク経由の指示入力)等が考えられ、当業者にとって明らかであるので詳細な説明を省略する。
次に、第1の実施形態に係る診断装置30のハードウェアについて説明する。
図9は、第1の実施形態に係る診断装置30のハードウェアの一例を示す図である。診断装置30は、所謂、情報処理装置(コンピュータ)により構成可能であり、図9に例示する構成を備える。例えば、診断装置30は、内部バスにより相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)31、メモリ32、入出力インターフェイス33及びインターフェイスボード34等を備える。
なお、図9に示す構成は、診断装置30のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。診断装置30は、図示しないハードウェアを含んでもよい。あるいは、診断装置30に含まれるCPU等の数も図9の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のCPUが診断装置30に含まれていてもよい。
メモリ32は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
入出力インターフェイス33は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスとなる手段である。表示装置は、例えば、液晶モニタ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。
インターフェイスボード34は、振動センサ20と接続されるインターフェイスである。インターフェイスボード34は、振動センサ20が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換後の信号をCPU31に出力する。なお、インターフェイスボード34は、振動センサ20が速度や加速度を物理量として出力する場合には、変位量(移動量)に変換してCPU31に出力する。
診断装置30の機能は、後述する処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ32に格納されたプログラムをCPU31が実行することで実現される。あるいは、処理モジュールの全部又は一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現(ハードウェアに実装)されてもよい。また、上記プログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェアにおいてソフトウェアが実行されることによって実現できればよい。
さらに、コンピュータの記憶部に、上述したコンピュータプログラムをインストールすることにより、コンピュータを診断装置30として機能させることができる。さらにまた、上述したコンピュータプログラムをコンピュータに実行させることにより、コンピュータにより生産材12の加工が正常か否かを判定する診断方法を実行することができる。
次に、第1の実施形態に係る診断装置30の処理構成(処理モジュール)について説明する。
図10は、第1の実施形態に係る診断装置30の処理構成の一例を示す図である。図10を参照すると、診断装置30は、制御部301と、データ取得部302と、FFT部303と、閾値生成部304と、判定部305と、出力部306と、波形記憶部307と、を含んで構成される。
制御部301は、診断装置30の全体を制御する手段である。例えば、ユーザは、診断装置30に取り付けられた操作デバイス(マウス、キーボード)等を操作し、生産システムの動作モードを診断装置30に入力する。制御部301は、当該入力された動作モードに応じて各処理モジュールを制御する。
データ取得部302は、回転機構を備える生産設備10により生じる振動を検出する振動センサ20が出力する振動データを取得する手段である。具体的には、データ取得部302は、デジタル信号に変換された振動センサ20の出力信号(振動データ)を取得する。データ取得部302は、取得した振動データをFFT部303に引き渡す。
FFT部303は、FFT処理を実行するのに十分な振動データを取得すると(所定時間の振動データを取得すると)、当該振動データに対してFFT処理を実行する。より具体的には、FFT部303は、取得した振動データを用いてFFT処理を実行し、パワースペクトルを計算する。
FFT部303は、FFT処理の結果を波形記憶部307に格納する。上述のように、生産システムには3つの動作モード(初期モード、テストモード、通常モード)があり、各動作モードに応じたパワースペクトルが生成される。また、初期モードでは、負荷の有無(モータ11の回転、非回転)に応じたパワースペクトルが生成される。
即ち、FFT部303は、生産設備10の設置時(初期モード時)、且つ、負荷がない状態で生産設備10が稼働された状態で取得された振動データから計算した周波数スペクトルを初期波形201として記憶する。また、FFT部303は、負荷がない状態で生産設備10が稼働された状態で取得された振動データから計算した周波数スペクトルを始動波形203として記憶する。さらに、FFT部303は、負荷がある状態で生産設備10が稼働された状態で取得された振動データから計算した周波数スペクトルを動作波形204として記憶する。さらにまた、FFT部303は、生産設備10の設置時、且つ、負荷がある状態で生産設備10を稼働することで取得された振動データから計算した周波数スペクトルを初期動作波形202として記憶する。
制御部301は、これらの動作モードや負荷の有無に応じて生成されたパワースペクトルが識別可能となるように、FFT部303に対して、生成したパワースペクトルの保存を指示する。例えば、制御部301は、動作モードが「テストモード」であれば、FFT処理の結果を始動波形203として保存するようにFFT部303に指示する。
閾値生成部304は、初期波形201と初期動作波形202に基づき、判定部305の加工判定に利用される周波数閾値を生成する手段である。つまり、閾値生成部304は、「初期モード」時に取得できる2つのパワースペクトル(初期波形201、初期動作波形202)から生産材12の加工判定に用いる閾値を生成する。制御部301は、FFT部303による初期波形201と初期動作波形202の保存が終了すると、閾値生成部304に対して閾値生成に係る指示を行う。
図11は、閾値生成部304の動作の一例を示すフローチャートである。制御部301から閾値生成に係る指示を受信した閾値生成部304は、初期動作波形202から初期波形201を減算する(初期モードの波形を減算;ステップS101)。
なお、本願開示において、波形同士(パワースペクトル同士)の減算は、対応する各周波数の振幅値の減算を示す。パワースペクトル同士の減算により、両者に共通して存在する周波数成分は打ち消され、両者の差分に係る周波数成分を持つパワースペクトル(差分波形)が新たに生成されることになる。
但し、パワースペクトル同士を減算すると、振幅が負の値となる周波数が存在し得る。この場合、閾値生成部304は、負の結果(振幅)を反転し、正の値に変換する。つまり、閾値生成部304は、初期動作波形202、初期波形201というパワースペクトルから、両者の差分に係る周波数成分を持つパワースペクトルを新たに生成する。
閾値生成部304は、上記減算処理により得られるパワースペクトルから加工判定に用いる閾値を生成する。具体的には、閾値生成部304は、ピーク周波数を特定する(ステップS102)。
次に、閾値生成部304は、特定されたピーク周波数を中心とする所定範囲を規定する値を周波数閾値として生成する(ステップS103)。
例えば、図4に示す初期動作波形202から初期波形201を減算すると、図12に示すパワースペクトル(差分波形)が得られる。図12を参照すると、ピーク周波数として、周波数F3が特定される。閾値生成部304は、周波数F3を中心周波数とする所定範囲(F3-α≦F3≦F3+α;αは正の実数)を規定する2つの周波数(F3-α、F3+α)を周波数閾値として生成する。
閾値生成が終了すると、閾値生成部304は、先に特定したピーク周波数以外のピーク周波数であって、その振幅が所定以上且つ先に特定したピーク周波数よりも所定の周波数離れている他のピーク周波数が存在するか否かを確認する(ステップS104)。
当該ピーク周波数が存在すれば(ステップS104、Yes分岐)、閾値生成部304は、ステップS103に戻り処理を継続する(次の周波数閾値を生成する)。
上記ピーク周波数が存在しなければ(ステップS104、No分岐)、閾値生成部304は、生成した周波数閾値を出力する(ステップS105)。具体的には、閾値生成部304は、生成した周波数閾値を判定部305に通知する、又は、判定部が周波数閾値を参照可能となるように保存する。
なお、本願開示において、ピーク周波数を第1ピーク周波数と表記する。また、第1ピーク周波数に対応する周波数閾値を「第1周波数閾値」と表記する。第1ビーク周波数から所定の周波数離れ、第1ピーク周波数の振幅よりも小さい振幅を持つ周波数を第2ピーク周波数と表記する。第2ピーク周波数に対応する周波数閾値を「第2周波数閾値」と表記する。他のピーク周波数と対応する周波数閾値の表記も上記と同様とする。
当該表記を用いて、閾値生成部304の動作を纏めると、以下のとおりとなる。閾値生成部304は、第1ピーク周波数を特定し、対応する第1周波数閾値を生成する。その後、閾値生成部304は、第2ピーク周波数が存在すれば、対応する第2周波数閾値を生成する。閾値生成部304は、このような処理を繰り返し、ピーク周波数に対応する周波数閾値を生成する。
図3に示す初期波形201には、モータ11の回転周波数による周波数成分(中心周波数F1)とモータ11が回転することにより生じる生産設備10の共振周波数成分(中心周波数F2)が含まれている。
図3に示す初期波形201は、生産材12を加工していない無負荷な状況にて取得された波形であるので、加工により生じる周波数成分(振動)を含まない。また、初期モードは、他の装置等の稼働が停止している状況で実行されるものであるので、大きな環境ノイズも存在しない。
一方、図4に示す初期動作波形202は、生産材12を加工している状況(負荷がある状況)にて取得された波形であるので、加工により生じる周波数成分が図3に示す波形に重畳する。図4に示す例では、中心周波数がF3である周波数成分が加工により生じる振動として現出している。
図4と図3に示す波形の差分を計算すると、生産材12の加工により生じる振動(周波数成分)が初期動作波形202から抽出されることになる(図12参照)。上述のように、初期動作波形202は、ユーザにより生産材12の加工が正常に行われていると確認された波形であるので、当該初期動作波形202から抽出されたパワースペクトルは、正常に加工が行えている周波数成分と捉えることができる。換言すれば、生産材12の加工により上記抽出されたパワースペクトルと同様なパワースペクトル(例えば、同程度の中心周波数)が得られれば当該加工は正常であると判断できる。
対して、上記抽出されたパワースペクトルから大きく外れるパワースペクトルが加工により得られたのであれば、当該加工は正常に行われていないと判断できる。例えば、ピーク周波数が大きく異なる、あるいは、パワースペクトルに現れるピークの数が異なる等の現象が認められれば、当該加工は正常に行われていないと判断できる。
閾値生成部304は、上記事実を鑑みて、初期モードにて取得した2つのパワースペクトルから加工により生じる振動を示すパワースペクトルを理想値(リファレンス)として扱い、加工判定に用いる閾値を生成する。
なお、図12では、理解の容易のため、1つのピーク(ピーク周波数)を有するパワースペクトルを例示したが、複数のピークがパワースペクトルに含まれるのが通常である。この場合、閾値生成部304は、ピークごとに周波数閾値を生成する。
例えば、図13(a)に示す波形が、初期動作波形202及び初期波形201の差分から得られたパワースペクトルであれば、所定の値よりも大きいピーク周波数の数は3である。この場合、閾値生成部304は、3つのピーク周波数に対応する周波数閾値を生成することになる(図13(b)参照)。
図10に説明を戻す。判定部305は、始動波形203及び動作波形204に基づき、生産設備10による生産材12の加工が正常か否かを判定する手段である。より具体的には、判定部305は、通常モードにおける生産材12の加工が正常に行われているか否かを判定する。また、判定部305は、生産材12の加工が正常か否かを判定する際に用いる閾値を、初期波形201及び始動波形203に基づき補正する。
図14は、判定部305の動作の一例を示すフローチャートである。初めに、判定部305は、閾値処理に使用する周波数閾値の補正が必要か否かを確認する(ステップS201)。
具体的には、判定部305は、初期波形201における第1ピーク周波数と、始動波形203における第1ピーク周波数を特定する。判定部305は、2つのピーク周波数の差分の絶対値を計算し、当該差分値の絶対値が所定の値(閾値)よりも大きい場合に、周波数閾値の補正が必要と判断する。
一方、上記差分の絶対値が閾値以下であれば、判定部305は、周波数閾値の補正は不要と判断する。
周波数閾値の補正が必要な場合(ステップS201、Yes分岐)、判定部305は、上記補正値により周波数閾値を補正する(ステップS202)。具体的には、判定部305は、始動波形の第1ピーク周波数から初期波形の第ピーク周波数を減算し、その値を周波数閾値の補正値として算出する。
その後、判定部305は、算出した補正値を周波数閾値(2つの閾値)に加算することで、周波数閾値を補正する。
なお、複数の周波数閾値が存在する場合には、判定部305は、各周波数閾値に算出した補正値を加算することで、各周波数閾値を補正する。
周波数閾値の補正が不要な場合(ステップS201、NO分岐)は、判定部305は、特段の処理を行わず、ステップS203以降の処理を実行する。
このように、判定部305は、始動波形203におけるピーク周波数と初期波形201におけるピーク周波数の差分を、周波数閾値を補正する補正値として算出する。さらに、判定部305は、当該補正値を周波数閾値に加算する。補正された周波数閾値は、判定部305による加工判定に使用される。
なお、初期波形201及び始動波形203における第1ピーク周波数は、モータ11の回転周波数に相当することを前提としている。つまり、判定部305は、モータ11の回転により生じる振動エネルギーが他の振動よりも大きいことを前提として、2つの波形の第1ピーク周波数の差分の絶対値を計算している。仮に、生産設備10の筐体が共振することにより生じる振動のエネルギーがモータ11の回転により生じる振動のエネルギーよりも大きい場合には、判定部305は、2つの波形の第2ピーク周波数に関する差分の絶対値を計算すればよい。即ち、判定部305は、2つの波形におけるモータ11の回転周波数同士の差分を計算し、周波数閾値の補正値を計算する。
図14のステップS203において、判定部305は、加工判定を実行する。判定部305の加工判定は、図15を参照しつつ説明する。
図15は、判定部305における加工判定の動作の一例を示すフローチャートである。
判定部305は、動作波形204から始動波形203を減算することで、加工判定に用いるパワースペクトルを生成する(ステップS301)。
次に、判定部305は、各周波数閾値により規定される範囲にピーク周波数が存在するか否かを確認する(ステップS302)。具体的には、判定部305は、ステップS301にて生成したパワースペクトルのピーク周波数が、周波数閾値又は補正された周波数閾値により規定される範囲に存在するか否かを確認する。
周波数閾値に対応するピーク周波数が存在しなければ(ステップS302、No分岐)、判定部305は、ステップS306に遷移する。
周波数閾値に対応するピーク周波数が存在すれば(ステップS302、Yes分岐)、判定部305は、未確認の周波数閾値が存在するか否かを確認する(ステップS303)。
未確認の周波数閾値が存在すれば(ステップS303、Yes分岐)、判定部305は、ステップS302に戻り処理を継続する。
未確認の周波数閾値が存在しなければ(ステップS303、No分岐)、判定部305は、周波数閾値により規定される範囲以外にピーク周波数が存在するか否かを確認する(ステップS304)。
例えば、図13(b)には、3つの周波数閾値が例示されているが、ステップS301にて生成したパワースペクトルに当該3つの周波数閾値に対応するピーク周波数以外のピーク周波数(振幅が所定値以上の周波数)が存在するか否かが確認される。
周波数閾値に対応していないピーク周波数が存在すれば(ステップS304、Yes分岐)、判定部305は、ステップS306に遷移する。
周波数閾値に対応していないピーク周波数が存在しなければ(ステップS304、No分岐)、判定部305は、ステップS305に遷移する。
ステップS305において、判定部305は、加工判定の結果を「正常加工」に設定する。
ステップS306において、判定部305は、加工判定の結果を「異常加工」に設定する。
このように、判定部305は、動作波形204と始動波形203の差分により得られる差分波形に基づき、生産材12の加工が正常か否かを判定する。より詳細には、判定部305は、差分波形のピーク周波数が、周波数閾値により規定される範囲に存在するか否かに基づき、生産材12の加工が正常か否かを判定する。即ち、判定部305は、周波数閾値に対応するピーク周波数が波形の差分により生成したパワースペクトルに存在するか否かを確認し、1つでも周波数閾値に対応するピーク周波数が存在しなければ「異常加工」と判定する。また、判定部305は、生成したパワースペクトルに周波数閾値にて規定されるピーク周波数以外のピークが存在する場合にも、「異常加工」と判定する。
図14に説明を戻す。判定部305は、加工判定の結果を制御部301に通知する(ステップS204)。
続いて、判定部305の動作を図面を参照しつつ、具体的に説明する。
図3に示す初期波形201のピーク周波数は、周波数F1である。図5に示す始動波形203のピーク周波数は、周波数F1’である。
判定部305が、2つのピーク周波数の差分の絶対値を計算すると、|F1’-F1|となる。当該差分は、モータ11が経年劣化することで回転周波数が変化したことに起因して生じていると考えられる。この差分が所定の値(閾値)よりも大きければ、周波数閾値の補正が必要と判断される。具体的には、β=|F1’-F1|が周波数閾値の補正値として算出される。
上述の例のとおり、閾値生成部304が生成した周波数閾値が(F3-α、F3+α)であれば、周波数閾値は、(F3-α+β、F3+α+β)に補正される。
次に、図5及び図6を参照すると、モータ11の回転による周波数成分(中心周波数F1’)、筐体の共振による周波数成分(中心周波数F2)に加え、環境ノイズと捉えることができる周波数成分(周波数F4~F7)が存在する。
図5に示す始動波形203は、生産材12を加工していない状態(無負荷状態)の周波数スペクトルであるので、生産材12を加工することにより生じる周波数成分(振動)は存在しない。対して、図6に示す動作波形204には、生産材12を加工することにより生じる周波数成分(中心周波数F3’)が存在する。
図6に示す動作波形204から図5に示す始動波形203を減算すると、両波形に共通して存在する周波数成分は打ち消されるので、動作波形204に限って存在する周波数成分が抽出されることになる。
図16は、動作波形204から始動波形203を減算した結果の一例を示す図である。図16を参照すると、生産材12を加工することにより生じる周波数成分(中心周波数F3’)が抽出され、波形の差分により得られるパワースペクトルのピーク周波数(第1ピーク周波数)は、F3’となる。
また、上述のように、補正された周波数閾値は、(F3-α+β、F3+α+β)であるので、図16に示すピーク周波数F3’が、上記2つの周波数閾値により規定される範囲に含まれれば加工は「正常」と判定され得る。
図10に説明を戻す。制御部301は、判定部305から加工判定の結果を取得すると、当該結果を出力部306に引き渡す。
出力部306は、加工判定の結果を外部に出力する。例えば、出力部306は、加工判定の結果を液晶モニタ等に表示する、又は、加工判定の結果を外部の管理センタ等に送信する。あるいは、出力部306は、加工判定の結果が「異常加工」の場合には、警報音を出力する、パトランプを点灯する等の対応を行っても良い。
以上のように、第1の実施形態に係る診断装置30は、初期モード、テストモード、通常モードのそれぞれにおいて、振動センサ20から得られる振動データに基づき周波数スペクトルを生成する。その後、診断装置30は、テストモードにて取得した始動波形203と通常モードにて取得した動作波形204の差分を計算することで、両波形に共通して重畳している環境ノイズを除去する。診断装置30は、当該環境ノイズが除去された波形を加工判定の対象とすることで、より正確な判定が実現できる。また、診断装置30は、初期モードにて取得した初期波形201とテストモードにて取得した始動波形203から、生産設備10(モータ11)に経年劣化が生じていると判断した場合には、これらの波形から生成した補正値により閾値を補正する。その結果、生産設備10が経年劣化を起こしていたとしても、診断装置30は、補正された閾値を用いて加工判定を行うことで、安定した判定が実現できる。
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
第1の実施形態では、1つの振動センサ20を用いて加工判定を行う場合を説明した。第2の実施形態では、複数の振動センサ20を用いる場合を説明する。
図17は、第2の実施形態に係る生産システムの一例を示す図である。図2と図17を比較すると、複数の振動センサ20-1~20-N(Nは正の整数、以下同じ)が含まれる点が相違する。
第2の実施形態に係る診断装置30aは、複数の振動センサ20-1~20-Nそれぞれについて、第1の実施形態にて説明した処理を実行する。具体的には、診断装置30aは、振動センサ20ごとに、初期波形201、初期動作波形202、始動波形203、動作波形204を取得する。その上で、診断装置30aは、振動センサ20ごとに、閾値生成、閾値の補正、加工判定を行う。
診断装置30aは、振動センサ20ごとの判定結果を出力してもよいし、複数の判定結果をまとめて最終的な判定結果を生成してもよい。つまり、第2の実施形態に係る出力部306は、判定部305による2以上の振動センサ20それぞれに関する判定結果に応じて、システム全体の判定結果を決定し、出力してもよい。例えば、出力部306は、複数の判定結果に含まれる「異常加工」の数に応じて警告レベルを変更する等の対応をとることができる。具体的には、出力部306は、小数の「異常加工」に係る結果が得られた場合には、低い警報レベルの出力を行い、多数の「異常加工」に係る結果が得られた場合には、高い警報レベルの出力を行う等の対応をとることができる。
なお、各振動センサ20は、モータ11の回転周波数による高調波が重ならないように配置する。例えば、振動センサ20-1により取得できる周波数スペクトルにおけるモータ11の回転周波数の第1次高調波と、振動センサ20-2により取得できるモータ11の回転周波数(基本波)と、が重ならないように2つの振動センサを所定の距離離して配置する。
例えば、モータ11の回転周波数の波長をλとし、2つの振動センサ20間の距離をλ/4とする。このように四分の一波長ずらして、各振動センサ20を配置すれば、隣接する振動センサ20にて取得できる周波数スペクトルの重畳を回避できる。
なお、上記センサ間の距離(λ/4)間隔の配置は、例示であって、複数の振動センサ20は、生産設備10が備えるモータ11の回転周波数による高調長波が重ならないように配置されるものであれば、どのような配置であってもよい。
また、第2の実施形態に係る診断装置30aのハードウェア構成や処理構成は、図9や図10と同一とすることもできるので詳細な説明は省略する。例えば、図10において、各処理モジュール(例えば、FFT部303、閾値生成部304、判定部305)が全ての振動センサ20-1~20-Nに関する処理を実行してもよいし、センサごとに各処理モジュールを用意してもよい。
以上のように、第2の実施形態に係る診断装置30aは、少なくとも2以上の振動センサ20が出力する振動データを取得する。さらに、診断装置30aは、FFT部303を用いて、少なくとも2以上の振動データそれぞれから初期波形201、始動波形203及び動作波形204を計算する。その後、診断装置30aは、少なくとも2以上の振動センサ20それぞれについて、生産設備10による生産材12の加工が正常か否かを判定する。その結果、1つの振動センサ20では捉えることのできない振動も他の振動センサ20により捉えることができ、診断装置30aは精度の高い判定結果を出力できる。
[第3の実施形態]
続いて、第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
第1及び第2の実施形態では、振動センサを用いてパワースペクトルを取得する場合を説明した。第3の実施形態では、振動センサに加え、音響センサを用いる場合を説明する。
振動センサも音響センサも「振動」を検知するという意味で同種のセンサであると言える。つまり、振動センサは、固体伝搬による振動を検出するのに対し、音響センサは空間伝搬による振動を検出する。従って、2つのセンサにおいて、同じ振動源からは同じ周波数成分が検出される。
しかし、特殊な条件が揃うと、振動源が同じであっても片方のセンサでは当該振動源の振動が検出でき、他方のセンサでは当該振動源の振動が検出できないという事態が想定できる。具体的には、生産材12を加工することで振動が起こるが、同時に、生産材12を加工することで反共振が発生することがある。
当該反共振の周波数と加工による振動の周波数が一致する(あるいは極めて近い)と、2つの振動は打ち消され振動センサでは検知できないことがある。一方、音響センサでは、生産材12を加工することにより生じる振動(音波)は検出できるが、反共振による振動は検出しない。
上記状況を図示すると、図18のようになる。図18では、生産材12を加工することで周波数が一致する(又は近い)振動と反共振が発生している。この場合、2つの振動は打ち消され、振動センサ20が出力する振動データには反映されない。対して、音響センサ21では、生産材12を加工する際の振動だけを検知できる。
第3の実施形態では、このような振動センサと音響センサが持つ性質の違いを利用し、より正確な加工判定を実施する。
図19は、第3の実施形態に係る生産システムの一例を示す図である。図2と図19を比較すると、振動センサ20に加え、音響センサ21が含まれる点が相違する。
音響センサ21は、空間伝播する音波を電気信号に変換し、診断装置30bに出力する。
なお、第3の実施形態に係る診断装置30bのハードウェア構成や処理構成は、図9や図10と同一とすることもできるので詳細な説明は省略する。
第3の実施形態係る診断装置30bは、振動センサ20、音響センサ21を独立したセンサと扱い、それぞれから初期波形201、初期動作波形202、始動波形203、動作波形204を生成する。
閾値生成部304は、振動センサ20のデータから生成された初期動作波形202aと音響センサ21のデータから生成された初期動作波形202bを比較する。その後、閾値生成部304は、初期動作波形202bには存在するが初期動作波形202aには存在しないピーク(振幅が所定の値より大きい周波数成分)が存在するか否かを確認する。
確認の結果、当該ピークが存在すれば、閾値生成部304は、当該ピーク(中心周波数を含む所定範囲)を初期動作波形202aに複製する。その後、閾値生成部304は、初期動作波形202bに限り存在するピークが複製された初期動作波形202aを用いて、第1の実施形態にて説明した方法と同様に閾値を生成する。
例えば、図20(a)に示すパワースペクトルが初期動作波形202aとして保存され、図20(b)に示すパワースペクトルが初期動作波形202bとして保存されている場合を考える。この場合、初期動作波形202bには中心周波数F21とするピーク211が存在する。閾値生成部304は、当該ピーク211を初期動作波形202bに複製し、第1の実施形態にて説明した方法で閾値を生成する。
即ち、生産材12の加工による振動と生産材12の反共振によりピーク211が打ち消され、振動センサ20では検知できない場合には、閾値生成部304は、音響センサ21にて検知したピーク211を反映した波形(パワースペクトル)を用いて閾値を生成する。
また、判定部305に関しても、上記閾値生成部304と同様の処理を実行する。具体的には、判定部305は、振動センサ20のデータから生成された動作波形204aと音響センサ21のデータから生成された動作波形204bを比較し、動作波形204bには存在するが動作波形204aには存在しないピークが存在するか否かを確認する。
確認の結果、当該ピークが存在すれば、判定部305は、当該ピーク(中心周波数を含む所定範囲)を動作波形204aに複製する。その後、判定部305は、動作波形204bに限り存在するピークが複製された動作波形204aを用いて、第1の実施形態にて説明した方法と同様に加工判定を行う。
例えば、図21(a)に示すパワースペクトルが動作波形204aとして保存され、図21(b)に示すパワースペクトルが動作波形204bとして保存されている場合を考える。この場合、動作波形204bには中心周波数F22とするピーク212が存在する。判定部305は、当該ピーク212を動作波形204aに複製し、第1の実施形態にて説明した方法で加工判定を行う。
即ち、生産材12の加工による振動と生産材12の反共振によりピーク212が打ち消され、振動センサ20では検知できない場合に、判定部305は、音響センサ21にて検知したピーク212を反映した波形(パワースペクトル)を用いて加工判定を実行する。
以上のように、第3の実施形態に係る診断装置30bは、音響センサ21から取得されたパワースペクトルに限り存在する波形(ピーク)を振動センサ20から取得されたパワースペクトルに反映し、閾値生成や加工判定を実行する。その結果、生産材12の反共振等により打ち消されてしまう振動を振動センサ20によるパワースペクトルに反映することが可能となり、診断装置30bはより正確な加工判定を行うことができる。
[変形例]
なお、第1乃至第3の実施形態にて説明した生産システムの構成及び動作は例示であって、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、振動センサ20は1軸の振動を検出可能なセンサであることを前提として説明をしたが、1つの振動センサ20が2軸、3軸の振動を検出可能であってもよい。この場合、診断装置30は、1つの振動センサ20が出力する各軸の振動データを独立した振動センサの出力として扱えばよい。つまり、第2の実施形態にて説明したように、診断装置30は、振動センサ20の軸ごとに波形の算出、閾値の生成、加工判定を行えばよい。
上記実施形態では、FFT部303が振動データからパワースペクトルに係る周波数スペクトルを計算しているが、FFT部303はパワースペクトルを計算せず、FFT分解により得られるフーリエスペクトルを計算し、各種波形としてもよい。
上記第3の実施形態では、音響センサ21を振動センサ20の補助的なセンサとして用いる例を説明したが、音響センサ21と振動センサ20を対等のセンサとして使用してもよい。つまり、音響センサを主たるセンサとして使用して波形の算出、閾値の生成、加工判定を行ってもよい。即ち、上記実施形態に係る生産システムには、振動センサ及び音響センサの少なくとも一方が含まれていればよい。
上記実施形態では、生産材12の加工状況による振動の相違は考慮していない。しかし、生産材12の加工状況により得られる波形(パワースペクトル)に顕著な違いが認められる場合には、加工状況ごとに閾値生成、加工判定を行ってもよい。例えば、生産材12に穴空け加工をする場合において、穴の深さによって正常加工時の振動が異なるのであれば、穴の深さごとにパワースペクトルを生成し、閾値を求め、加工判定を行ってもよい。即ち、診断装置30は、加工状況ごとに初期モード、テストモード、通常モードに係る処理を実行し、加工状況ごとに閾値を生成し、加工判定を行ってもよい。その結果、より正確な加工判定が実現できる。
上記実施形態では、生産材12を加工するたびに閾値補正の要否を判断する場合を説明した。しかし、生産設備10を設置してから時間があまり経過していない等、生産設備10の経年劣化が生じていないことが明らかであれば、閾値補正の要否判断や閾値補正そのものを省略することもできる。
上記実施形態では、診断装置30が加工判定に使用する閾値を生成する場合を説明したが、ユーザが初期波形201、初期動作波形202を確認し、閾値を決定してもよい。即ち、閾値を自動的に決定するのではなく手動で決定してもよい。あるいは、診断装置30が生成した閾値をユーザが修正可能とし、ユーザにより修正された閾値を用いて加工判定を行ってもよい。
上記実施形態では、周波数閾値を用いて加工判定を行う例を説明した。しかし、周波数閾値に変えて、あるいは、周波数閾値に加えて他の閾値を加工判定に用いてもよい。例えば、閾値生成部304は、周波数閾値に加え、加工により生じる振動の広がり具合を判定するための閾値を生成してもよい。例えば、閾値生成部304は、2つの波形(初期波形201、初期動作波形202)の差分により得られる差分波形の面積を閾値に用いてもよい。この場合、判定部305は、始動波形203と動作波形204の差分により得られる差分波形の面積が、閾値生成部304が生成する面積閾値(2つの閾値により定まる面積)の範囲内か否かにより加工判定を行う。
上記実施形態では、判定部305は、加工判定時のタイミングにて得られる波形に基づいて加工判定を行っているが、過去に得られた波形を加工判定に利用してもよい。例えば、判定部305は、直前の差分波形(始動波形203と動作波形204の差分)と直近の差分波形を比較し、変化の差分が小さければ「正常加工」と判定し、変化の差分が大きければ「異常加工」と判定してもよい。
上記実施形態では、閾値を用いて加工判定を行う場合を説明したが、他の方法を用いて加工判定を行ってもよい。例えば、判定部305は、正常な波形(初期動作波形202)と加工時に得られる波形(動作波形204)のパターンマッチングにより加工判定を行ってもよい。あるいは、正常時の波形、異常時の波形を大量に用意し、これらのデータを教師データとして用いて加工判定に係る学習モデルを利用してもよい。この場合、判定部305は、予め用意された学習モデルに動作波形204を入力し、当該波形の判定を行えばよい。
上記実施形態では、制御装置と診断装置30が異なる装置として説明したが、これらの装置の機能が1つの装置により実現されてもよい。即ち、制御装置に診断装置30の機能を組み込んでもよいし、診断装置30に制御装置の機能を組み込んでもよい。あるいは、制御装置と診断装置30が連携し、各動作モードにおけるモータ11の制御等を自動化してもよい。
上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、例えば各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
10 生産設備
11 モータ
12 生産材
20、20-1~20-N 振動センサ
21 音響センサ
30、30a、30b、100 診断装置
31 CPU(Central Processing Unit)
32 メモリ
33 入出力インターフェイス
34 インターフェイスボード
101 取得部
102、303 FFT部
103、305 判定部
201 初期波形
202、202a、202b 初期動作波形
203 始動波形
204、204a、204b 動作波形
211、212 ピーク
301 制御部
302 データ取得部
304 閾値生成部
306 出力部
307 波形記憶部

Claims (10)

  1. 回転機構を備える生産設備により生じる振動を検出するセンサが出力する振動データを取得する、取得部と、
    前記生産設備の設置時、且つ、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを初期波形として記憶し、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを始動波形として記憶し、負荷がある状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを動作波形として記憶する、FFT(Fast Fourier Transform)部と、
    前記始動波形及び前記動作波形に基づき、前記生産設備による生産材の加工が正常か否かを判定する、判定部と、
    を備え、
    前記判定部は、前記生産材の加工が正常か否かを判定する際に用いる閾値を、前記初期波形及び前記始動波形に基づき補正する、診断装置。
  2. 前記判定部は、
    前記動作波形と前記始動波形の差分により得られる差分波形に基づき、前記生産材の加工が正常か否かを判定する、請求項1の診断装置。
  3. 前記判定部は、
    前記差分波形のピーク周波数が、周波数閾値により規定される範囲に存在するか否かに基づき、前記生産材の加工が正常か否かを判定する、請求項2の診断装置。
  4. 前記判定部は、
    前記始動波形におけるピーク周波数と前記初期波形におけるピーク周波数の差分を、前記閾値を補正する補正値とする、請求項3の診断装置。
  5. 前記判定部は、
    前記補正値を前記周波数閾値に加算し、前記補正値が加算された周波数閾値を用いて、前記生産材の加工が正常か否かを判定する、請求項4の診断装置。
  6. 前記FFT部は、前記生産設備の設置時、且つ、負荷がある状態で前記生産設備を稼働することで取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを初期動作波形として記憶し、
    前記初期波形と前記初期動作波形に基づき、前記周波数閾値を生成する、閾値生成部をさらに備える、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の診断装置。
  7. 前記取得部は、振動センサが出力する振動データと音響センサが出力する振動データを取得し、
    前記FFT部は、前記振動センサ及び前記音響センサそれぞれに対応する前記動作波形を生成し、
    前記判定部は、前記音響センサの動作波形に存在し、且つ、前記振動センサの動作波形に存在しない波形を、前記振動センサの動作波形に反映すると共に、前記波形が反映された振動センサの動作波形を用いて、前記生産設備による生産材の加工が正常か否かを判定する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の診断装置。
  8. 回転機構を備える生産設備と、
    前記生産設備により生じる振動を検出するセンサと、
    診断装置と、
    を含み、
    前記診断装置は、
    前記センサが出力する振動データを取得する、取得部と、
    前記生産設備の設置時、且つ、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを初期波形として記憶し、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを始動波形として記憶し、負荷がある状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを動作波形として記憶する、FFT(Fast Fourier Transform)部と、
    前記始動波形及び前記動作波形に基づき、前記生産設備による生産材の加工が正常か否かを判定する、判定部と、
    を備え、
    前記判定部は、前記生産材の加工が正常か否かを判定する際に用いる閾値を、前記初期波形及び前記始動波形に基づき補正する、システム。
  9. 回転機構を備える生産設備により生じる振動を検出するセンサが出力する振動データを取得する、取得部と、
    前記生産設備の設置時、且つ、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを初期波形として記憶し、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを始動波形として記憶し、負荷がある状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを動作波形として記憶する、FFT(Fast Fourier Transform)部と、
    を備える診断装置において、
    生産材の加工が正常か否かを判定する際に用いる閾値を、前記初期波形及び前記始動波形に基づき補正し、
    前記補正された閾値、前記始動波形及び前記動作波形に基づき、前記生産設備による生産材の加工が正常か否かを判定する、診断方法。
  10. 回転機構を備える生産設備により生じる振動を検出するセンサが出力する振動データを取得する、取得部と、
    前記生産設備の設置時、且つ、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを初期波形として記憶し、負荷がない状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを始動波形として記憶し、負荷がある状態で前記生産設備が稼働された状態で取得された前記振動データから計算した周波数スペクトルを動作波形として記憶する、FFT(Fast Fourier Transform)部と、
    を備える診断装置に搭載されたコンピュータに、
    生産材の加工が正常か否かを判定する際に用いる閾値を、前記初期波形及び前記始動波形に基づき補正する処理と、
    前記補正された閾値、前記始動波形及び前記動作波形に基づき、前記生産設備による生産材の加工が正常か否かを判定する処理と、を実行させるプログラム。
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