JP7003955B2 - ノイズフィルタ - Google Patents

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Description

本明細書が開示する技術は、ノイズフィルタに関する。
導電線に重畳する電磁ノイズを抑えるために、ノイズフィルタの開発が進められている。この種のノイズフィルタの多くは、電磁ノイズを導電線からGNDにバイパスさせるためのコンデンサを備えている。しかしながら、コンデンサには等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)と称される寄生インダクタンスが存在しており、さらに、そのコンデンサが接続する配線にも寄生インダクタンスが存在している。このため、このようなノイズフィルタは、これら寄生インダクタンスの影響により、高周波帯域の電磁ノイズに対して良好なフィルタ性能を発揮できないことが知られている。
特許文献1及び特許文献2は、導電線に直列接続させた一対のインダクタの磁気結合を利用するノイズフィルタを開示する。特許文献1に開示されるノイズフィルタでは、一対のインダクタの間に生じる相互インダクタンスによってコンデンサの等価直列インダクタンスを減じることにより、フィルタ性能を向上させている。
米国特許第6,937,115号明細書 特開2016-31965号公報
特許文献1及び特許文献2の技術では、磁気結合する一対のインダクタを導電線に形成するために、ループ状の導体パターンを有する導電線が用いられている。しかしながら、このようなループ状の導体パターンに対して外部磁界が鎖交すると、導体パターンに発生する誘導電流によってフィルタ性能が悪化してしまう。
本願明細書は、コンデンサの等価直列インダクタンスとコンデンサが接続される配線の寄生インダクタンスを抑えるノイズフィルタであって、外部磁界の影響が抑えられたノイズフィルタを提供することを目的とする。
本明細書が開示するノイズフィルタの一実施形態は、第1導電線と第2導電線を備えることができる。前記第1導電線は、入力ポートと出力ポートの間を延びており、前記入力ポートと分岐部の間を延びている入力側導電線と、前記出力ポートと前記分岐部の間を延びている出力側導電線と、を有することができる。前記第2導電線は、前記第1導電線の前記分岐部に接続されているとともにコンデンサが介挿されている。前記入力側導電線は、第1入力ループ線と、第2入力ループ線と、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線を接続する第1入力側接続線と、を有することができる。前記出力側導電線は、第1出力ループ線と、第2出力ループ線と、前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線を接続する第1出力側接続線と、を有することができる。前記第1入力側接続線は、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線が8の字状となるように両者を接続することができる。前記第1出力側接続線は、前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線が8の字状となるように両者を接続することができる。このノイズフィルタでは、前記入力側導電線に形成されている2つの入力ループ線と前記出力側導電線に形成されている2つの出力ループ線が磁気結合し、これらの間に生じる相互インダクタンスによって前記コンデンサの等価直列インダクタンスと前記コンデンサが接続される前記第2導電線の寄生インダクタンスを抑えることができる。このため、このノイズフィルタは、高周波帯域のノイズに対して良好なフィルタ性能を発揮することができる。さらに、このノイズフィルタでは、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線が8の字状に接続されていることから、外部磁界が鎖交したときに前記第1入力ループ線に発生する誘導電流と前記第2入力ループ線に発生する誘導電流が逆位相の関係となる。このため、前記第1入力ループ線に発生する誘導電流と前記第2入力ループ線に発生する誘導電流が相殺されるので、外部磁界の影響が抑えられる。同様に、このノイズフィルタでは、前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線が8の字状に接続されていることから、外部磁界が鎖交したときに前記第1出力ループ線に発生する誘導電流と前記第2出力ループ線に発生する誘導電流が逆位相の関係となる。このため、前記第1出力ループ線に発生する誘導電流と前記第2出力ループ線に発生する誘導電流が相殺されるので、外部磁界の影響が抑えられる。このように、このノイズフィルタは、外部磁界に抗してフィルタ性能が安定するという特徴を有することができる。
上記ノイズフィルタの一実施形態では、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線が、第1面の面内に配設されていてもよい。この場合、前記第1入力側接続線は、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線を接続する一対の接続線が少なくとも2つの面を利用してねじれの位置となるように構成されている。また、前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線が、前記第1面とは異なる第2面の面内に配設されていてもよい。この場合、前記第1出力側接続線は、前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線を接続する一対の接続線が少なくとも2つの面を利用してねじれの位置となるように構成されている。このような構成の前記第1入力側接続線が採用されることにより、前記第1面の面内に配設された前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線が8の字状に接続され得る。同様に、このような構成の前記第1出力側接続線が採用されることにより、前記第2面の面内に配設された前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線が8の字状に接続され得る。
上記ノイズフィルタの一実施形態では、前記第1入力側接続線の前記一対の接続線は、前記第1面と前記第2面を利用してねじれの位置となるように構成されていてもよい。さらに、前記第1出力側接続線の前記一対の接続線は、前記第1面と前記第2面を利用してねじれの位置となるように構成されていてもよい。このノイズフィルタは、前記第1面と前記第2面の2つの面のみで構成されており、コンパクトな形態という特徴を有することができる。
上記ノイズフィルタの一実施形態では、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線が、回路基板の一方の主面に配設されていてもよい。さらに、前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線が、前記回路基板の他方の主面に配設されていてもよい。このノイズフィルタは、前記回路基板の表裏面に構成されており、コンパクトな形態という特徴を有することができる。
上記ノイズフィルタの一実施形態では、前記第1入力ループ線と前記第1出力ループ線が対向して配置されていてもよい。この場合、前記第1入力ループ線と前記第1出力ループ線が対向する方向から見たときに、前記第1入力ループ線のループ内領域の少なくとも一部と前記第1出力ループ線のループ内領域の少なくとも一部が重複する位置関係であり、前記第1入力ループ線と前記第1出力ループ線の各々の前記入力ポートから前記出力ポートに向けてのループ方向が一致していてもよい。さらに、上記ノイズフィルタの一実施形態では、前記第2入力ループ線と前記第2出力ループ線が対向して配置されていてもよい。この場合、前記第2入力ループ線と前記第2出力ループ線が対向する方向から見たときに、前記第2入力ループ線のループ内領域の少なくとも一部と前記第2出力ループ線のループ内領域の少なくとも一部が重複する位置関係であり、前記第2入力ループ線と前記第2出力ループ線の各々の前記入力ポートから前記出力ポートに向けてのループ方向が一致していてもよい。このノイズフィルタでは、前記第1入力ループ線と前記第1出力ループ線が良好に磁気結合し、前記第2入力ループ線と前記第2出力ループ線が良好に磁気結合することができる。
上記ノイズフィルタの一実施形態は、前記第1入力ループ線の前記ループ内領域の少なくとも一部と前記第1出力ループ線の前記ループ内領域の少なくとも一部を貫通して延びている第1磁性体部と、前記第2入力ループ線の前記ループ内領域の少なくとも一部と前記第2出力ループ線の前記ループ内領域の少なくとも一部を貫通して延びている第2磁性体部と、をさらに備えていてもよい。このノイズフィルタでは、前記第1磁性体部によって前記第1入力ループ線と前記第1出力ループ線の磁気結合が強められ、前記第2磁性体部によって前記第2入力ループ線と前記第2出力ループ線の磁気結合が強められる。これにより、ループ線の各々の面積を小さくしても十分な相互インダクタンスを得ることができる。したがって、このノイズフィルタは、コンパクトな形態という特徴を有することができる。
上記ノイズフィルタの一実施形態では、前記入力ポートと前記出力ポートと前記コンデンサが、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線と前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線が設けられている回路基板とは異なる回路基板に設けられていてもよい。例えば、1つの回路基板に全ての構成要素を搭載すると、その回路基板の面積が増加してしまう。このノイズフィルタでは、少なくとも2つの回路基板に構成要素を分けて搭載することにより、個々の回路基板の面積を小さくすることができる。
上記ノイズフィルタの一実施形態では、前記入力側導電線が、第3入力ループ線と、第4入力ループ線と、前記第1入力ループ線と前記第3入力ループ線を接続する第2入力側接続線と、前記第3入力ループ線と前記第4入力ループ線を接続する第3入力側接続線と、をさらに有していてもよい。この場合、前記第2入力側接続線は、前記第1入力ループ線と前記第3入力ループ線が8の字状となるように両者を接続している。前記第3入力側接続線は、前記第3入力ループ線と前記第4入力ループ線が8の字状となるように両者を接続している。前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線は、第1方向に沿って隣り合って配置されている。前記第1入力ループ線と前記第3入力ループ線は、前記第1方向に直交する第2方向に沿って隣り合って配置されている。前記第3入力ループ線と前記第4入力ループ線は、前記第1方向に沿って隣り合って配置されている。前記第2入力ループ線と前記第4入力ループ線は、前記第2方向に沿って隣り合って配置されている。このような位置関係で複数の入力ループ線が配置されていると、外部磁界の磁界源の位置の影響が抑えられる。上記ノイズフィルタの一実施形態ではさらに、前記出力側導電線が、第3出力ループ線と、第4出力ループ線と、前記第1出力ループ線と前記第3出力ループ線を接続する第2出力側接続線と、前記第3出力ループ線と前記第4出力ループ線を接続する第3出力側接続線と、をさらに有していてもよい。この場合、前記第2出力側接続線は、前記第1出力ループ線と前記第3出力ループ線が8の字状となるように両者を接続しており、前記第3出力側接続線は、前記第3出力ループ線と前記第4出力ループ線が8の字状となるように両者を接続している。前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線は、第3方向に沿って隣り合って配置されている。前記第1出力ループ線と前記第3出力ループ線は、前記第3方向に直交する第4方向に沿って隣り合って配置されている。前記第3出力ループ線と前記第4出力ループ線は、前記第3方向に沿って隣り合って配置されている。前記第2出力ループ線と前記第4出力ループ線は、前記第4方向に沿って隣り合って配置されている。このような位置関係で複数の出力ループ線が配置されていると、外部磁界の磁界源の位置の影響が抑えられる。なお、前記第1方向と前記第3方向が同一方向であってもよく、前記第2方向と前記第4方向が同一方向であってもよい。
本明細書が開示するノイズフィルタの他の一実施形態は、第1導電線と第2導電線を備えることができる。第1導電線は、入力ポートと出力ポートの間を延びており、前記入力ポートと分岐部の間を延びている入力側導電線と、前記出力ポートと前記分岐部の間を延びている出力側導電線と、を有することができる。第2導電線は、前記第1導電線の前記分岐部に接続されているとともにコンデンサが介挿されている。前記入力側導電線と前記出力側導電線の少なくとも一方は、第1ループ線と、第2ループ線と、前記第1ループ線と前記第2ループ線を接続する第1接続線と、を有することができる。前記第1接続線は、前記第1ループ線と前記第2ループ線が8の字状となるように両者を接続している。このノイズフィルタでは、前記第1ループ線と前記第2ループ線が8の字状に接続されていることから、外部磁界が鎖交したときに前記第1ループ線に発生する誘導電流と前記第2ループ線に発生する誘導電流が逆位相の関係となる。このため、前記第1ループ線に発生する誘導電流と前記第2ループ線に発生する誘導電流が相殺されるので、外部磁界の影響が抑えられる。このように、このノイズフィルタは、外部磁界に抗してフィルタ性能が安定するという特徴を有することができる。
上記ノイズフィルタの他の一実施形態では、前記入力側導電線と前記出力側導電線の少なくとも一方が、第3ループ線と、第4ループ線と、前記第1ループ線と前記第3ループ線を接続する第2接続線と、前記第3ループ線と前記第4ループ線を接続する第3接続線と、をさらに有していてもよい。この場合、前記第2接続導電線は、前記第1ループ線と前記第3ループ線が8の字状となるように両者を接続している。前記第3接続線は、前記第3ループ線と前記第4ループ線が8の字状となるように両者を接続している。前記第1ループ線と前記第2ループ線は、第1方向に沿って隣り合って配置されている。前記第1ループ線と前記第3ループ線は、前記第1方向に直交する第2方向に沿って隣り合って配置されている。前記第3ループ線と前記第4ループ線は、前記第1方向に沿って隣り合って配置されている。前記第2ループ線と前記第4ループ線は、前記第2方向に沿って隣り合って配置されている。このような位置関係で複数のループ線が配置されていると、外部磁界の磁界源の位置の影響が抑えられる。このノイズフィルタは、外部磁界の磁界源の位置に対する高いロバスト性を有することができる。
LCL構成のT型のノイズフィルタの回路図である。 LCL構成のT型のノイズフィルタのノイズ伝達特性を説明する等価回路図である。 LCL構成のT型のノイズフィルタのノイズ伝達特性を説明する等価回路図である。 比較例のノイズフィルタの構成を示す図である。 外部磁界の影響により図4の比較例のノイズフィルタに誘導電流が流れた様子を示す図である。 本実施形態のノイズフィルタの構成を示す図である。 外部磁界の影響により図6の本実施形態のノイズフィルタに誘導電流が流れた様子を示す図である。 本実施形態の第1変形例のノイズフィルタの構成を示す図である。 本実施形態の第2変形例のノイズフィルタの構成を示す図である。 本実施形態の第3変形例のノイズフィルタの構成を示す図である。 外部磁界の影響により図10の本実施形態の第3変形例のノイズフィルタに誘導電流が流れた様子を示す図である。 図11の本実施形態の第3変形例のノイズフィルタの技術を拡張したノイズフィルタの構成を示す図である。
(ノイズフィルタのノイズ伝達特性)
本願明細書が開示するノイズフィルタの具体的な実施形態を説明する前に、図1~3を参照し、LCL構成のT型のノイズフィルタ1のノイズ伝達特性について説明する。
図1に示されるように、ノイズフィルタ1は、入力ポートIN1と出力ポートOUT1の間を延びている第1導電線11を備えている。第1導電線11は、入力ポートIN1と分岐部11Cの間を延びている入力側導電線11Aと、出力ポートOUT1と分岐部11Cの間を延びている出力側導電線11Bと、を有している。第1導電線11には一対のインダクタL1,L2が直列接続されており、入力側インダクタL1が入力側導電線11Aに設けられており、出力側インダクタL2が出力側導電線11Bに設けられている。入力側インダクタL1のインダクタンスがLであり、出力側インダクタL2のインダクタンスがLである。なお、これらインダクタL1,L2は、第1導電線11にレイアウトされたループ線で構成されている。ノイズフィルタ1はさらに、一端が第1導電線11の分岐部11Cに接続されているとともに他端が基準導電線に接続されている第2導電線12を備えている。第2導電線12には、コンデンサC1が介挿されている。インダクタL3のインダクタンスLは、コンデンサC1の等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)とコンデンサC1が接続する第2導電線12の寄生インダクタンスの和である。
図1のノイズフィルタ1にノイズ発生源と負荷を接続した等価回路を図2に示す。Zは、ノイズ源の内部インピーダンスであり、Zは負荷回路のインピーダンスである。このノイズフィルタ1では、入力側インダクタL1と出力側インダクタL2が磁気結合しており、インダクタL1,L2のそれぞれを流れる電流I,Iが図中の向きに流れるとすると、これらインダクタL1,L2の間に正の相互インダクタンスMが生じている。ノイズ電圧をVnoiseとすると、負荷回路に加わるノイズ電圧Vは、以下の式で表される。
Figure 0007003955000001
L1:入力側インダクタL1のインピーダンス(jω(L1+M))
L2:出力側インダクタL2のインピーダンス(jω(L2+M))
L3:コンデンサC1の等価直列インダクタとコンデンサC1が接続される第2導電線12の寄生インダクタの和からなるインピーダンス(jω(L3-M))
:コンデンサC1のインピーダンス(1/jωC)
ω:角周波数(2πf)
上記数式1に示されるように、負荷回路に加わるノイズ電圧Vを低減するためには、分子のZL3+Zを低減することが重要である。
電圧Vの振幅は絶対値で表されるので、上記数式1の絶対値をとり、その分子をVnumとすると、以下の数式で表すことができる。
Figure 0007003955000002
上記数式2によれば、{ω(L-M)-1/ωC}が0となるように相互インダクタンスMを設定すると、フィルタ性能が最大化することが分かる。しかしながら、そのような条件は、ある特定の周波数のみで実現される。このため、幅広い周波数のノイズを低減するためのノイズフィルタは、そのような条件で設定されない。
ここで、入力側インダクタL1と出力側インダクタL2の間に生じる相互インダクタンスMは、結合係数kを用いて以下の数式で表すことができる。
Figure 0007003955000003
結合係数kは磁気結合の度合いを示す値であり、本明細書が開示する構造では、0≦k≦1の値をとる。上記数式2及び上記数式3に示されるように、インダクタンスLと相互インダクタンスMが一致するように、k、L1、L2の値を調整すれば、上記数式1の分子にはコンデンサC1のインピーダンスと負荷回路のインピーダンスの積のみが残る。角周波数ωは周波数の増加とともに大きくなることから、インダクタンスLと相互インダクタンスMを一致させれば、高周波帯域の電磁ノイズに対するフィルタ性能が向上する。
即ち、図3に示されるように、入力側インダクタL1と出力側インダクタL2を磁気結合させることにより、入力側インダクタL1と出力側インダクタL2の間に生じる相互インダクタンスMによってインダクタンスLを減じさせれば、高周波帯域の電磁ノイズに対するフィルタ性能を向上させることができる。本明細書が開示するノイズフィルタは、この現象を利用して、高周波帯域の電磁ノイズに対するフィルタ性能を改善するという特徴を有している。
(比較例のノイズフィルタ10)
図4及び図5に、図1~図3の技術が適用されたノイズフィルタの一例を示す。図4及び図5に示されるノイズフィルタ10は、この種のノイズフィルタで生じる課題について説明するための比較例である。なお、説明を簡単化するために、図1~3のノイズフィルタ1と実質的に共通する機能を有する構成要素については共通の符号を付し、説明を省略することがある。
図4に示されるように、ノイズフィルタ10は、入力ポートIN1と出力ポートOUT1の間を延びている第1導電線11を備えている。第1導電線11には入力ループ線L1と出力ループ線L2が直列接続されており、入力ループ線L1が入力側導電線11Aに設けられており、出力ループ線L2が出力側導電線11Bに設けられている。なお、入力ループ線L1が図1~3の入力側インダクタL1に相当し、出力ループ線L2が図1~3の出力側インダクタL2に相当する。
入力ループ線L1が配設されている面と出力ループ線L2が配設されている面が異なっており、入力ループ線L1と出力ループ線L2がz軸方向に沿って対向する位置関係で配置されている。これにより、入力ループ線L1と出力ループ線L2が磁気結合し、これらの間に相互インダクタンスが生じている。入力ループ線L1が配設されている面と出力ループ線L2が配設されている面の間には導体ビア21,22が設けられており、これらの導体ビア21,22を介して第1導電線11が入力ポートIN1と出力ポートOUT1の間を連続して延びることができる。
ノイズフィルタ10はさらに、一端が第1導電線11の分岐部11Cに接続されているとともに他端が基準ポートGNDに接続されている第2導電線12を備えている。第2導電線12には、コンデンサC1が介挿されている。
第2導電線12には、コンデンサC1の等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)とコンデンサC1が接続する第2導電線12の寄生インダクタンスが存在している。しかしながら、これら等価直列インダクタンスと寄生インダクタンスは、図1~図3を用いて説明したように、入力ループ線L1と出力ループ線L2の磁気結合で生じる相互インダクタンスによって減じられている。これにより、ノイズフィルタ10では、高周波帯域の電磁ノイズに対するフィルタ性能が向上している。
ところで、このようなノイズフィルタ10は、電気機器に搭載されて用いられる。そのような環境下には、電気機器が動作したときに流れる電流によって磁界が生じている。本願明細書では、このような環境下に生じている磁界を外部磁界という。このような外部磁界によって、入力ループ線L1と出力ループ線L2を鎖交する磁束が存在している。
図5に、入力ループ線L1と出力ループ線L2を鎖交する磁束(紙面上側から紙面下側向き)が増加したときに、入力ループ線L1と出力ループ線L2の各々の流れる誘導電流を破線矢印で示す。これらの誘導電流はいずれも、第1導電線11を同じ向きに流れる電流であり、この例では出力ポートOUT1から入力ポートIN1への向きに流れる電流である。このような誘導電流は、新たなノイズ発生要因となり、フィルタ性能を悪化させてしまう。このため、フィルタ性能の悪化を抑えるためには、外部磁界による誘導電流の発生量を抑えることが必要である。以下、このような外部磁界による誘導電流に対策したノイズフィルタについて説明する。
(本実施形態のノイズフィルタ100)
図6及び図7に、本実施形態のノイズフィルタ100を示す。なお、説明を簡単化するために、図1~3のノイズフィルタ1と実質的に共通する機能を有する構成要素については共通の符号を付し、その説明を省略することがある。
図6に示されるように、ノイズフィルタ100は、入力ポートIN1と出力ポートOUT1の間を延びている第1導電線11を備えている。第1導電線11には、入力ループ線L1と出力ループ線L2が直列接続されている。入力ループ線L1は、第1入力ループ線LIN1と第2入力ループ線LIN2を有しており、第1導電線11のうちの入力ポートIN1と分岐部11Cの間を延びている入力側導電線11Aに設けられている。第1入力ループ線LIN1と第2入力ループ線LIN2は、y方向に沿って隣り合って配置されている。出力ループ線L2は、第1出力ループ線LOUT1と第2出力ループ線LOUT2を有しており、第1導電線11のうちの出力ポートOUT1と分岐部11Cの間を延びている出力側導電線11Bに設けられている。第1出力ループ線LOUT1と第2出力ループ線LOUT2は、y方向に沿って隣り合って配置されている。なお、第1入力ループ線LIN1と第2入力ループ線LIN2の組からなる入力ループ線L1が図1~3の入力側インダクタL1に相当し、第1出力ループ線LOUT1と第2出力ループ線LOUT2の組からなる出力ループ線L2が図1~3の出力側インダクタL2に相当する。
入力ループ線L1は、xy平面に平行な第1面S1の面内に配設されている。出力ループ線L2は、xy平面に平行な第2面S2の面内に配設されている。第1面S1と第2面S2は、平行に延びた異なる面である。第1面S1と第2面S2は、例えば回路基板の表面と裏面である。または、第1面S1と第2面S2は、例えば積層する2枚の回路基板の各々の表面である。このように、入力ループ線L1が配設されている第1面S1と出力ループ線L2が配設されている第2面S2が異なっている。入力ループ線L1が配設されている第1面S1と出力ループ線L2が配設されている第2面の間には導体ビア21,22が設けられており、これらの導体ビア21,22を介して第1導電線11が入力ポートIN1と出力ポートOUT1の間を連続して延びることができる。
第1導電線11のうちの入力側導電線11Aはさらに、第1入力ループ線LIN1と第2入力ループ線LIN2を接続する第1入力側接続線CLIN1を有している。第1入力側接続線CLIN1は、第1入力ループ線LIN1と第2入力ループ線LIN2が8の字状となるように両者を接続している。具体的には、図6に示されるように、第1入力側接続線CLIN1の一対の接続線は、第1面S1と第2面S2を利用してねじれの位置となるように構成されている。即ち、第1入力側接続線CLIN1の一対の接続線が交差するのを避けるために、第1入力側接続線CLIN1の一対の接続線のうちの一方の接続線が導体ビア及び第2面S2上の配線を介して一対の接続線のうちの他方の接続線を迂回するように構成されている。
第1導電線11のうちの出力側導電線11Bはさらに、第1出力ループ線LOUT1と第2出力ループ線LOUT2を接続する第1出力側接続線CLOUT1を有している。第1出力側接続線CLOUT1は、第1出力ループ線LOUT1と第2出力ループ線LOUT2が8の字状となるように両者を接続している。具体的には、図6に示されるように、第1出力側接続線CLOUT1の一対の接続線は、第1面S1と第2面S2を利用してねじれの位置となるように構成されている。即ち、第1出力側接続線CLOUT1の一対の接続線が交差するのを避けるために、第1出力側接続線CLOUT1の一対の接続線のうちの一方の接続線が導体ビア及び第1面S1上の配線を介して一対の接続線のうちの他方の接続線を迂回するように構成されている。
ノイズフィルタ100では、第1入力ループ線LIN1と第1出力ループ線LOUT1がz軸方向に沿って対向して配置されており、第2入力ループ線LIN2と第2出力ループ線LOUT2がz軸方向に沿って対向して配置されている。より具体的には、z軸方向に沿って見たときに、第1入力ループ線LIN1と第1出力ループ線LOUT1が同一形状であり、第1入力ループ線LIN1と第1出力ループ線LOUT1が重複するように配置されている。同様に、z軸方向に沿って見たときに、第2入力ループ線LIN2と第2出力ループ線LOUT2が同一形状であり、第2入力ループ線LIN2と第2出力ループ線LOUT2が重複するように配置されている。
第1入力ループ線LIN1と第1出力ループ線LOUT1は、入力ポートIN1から出力ポートOUT1に向けてのループ方向が同一方向(この例では、時計回りの方向)である。また、第2入力ループ線LIN2と第2出力ループ線LOUT2は、入力ポートIN1から出力ポートOUT1に向けてのループ方向が同一方向(この例では、反時計回りの方向)である。したがって、入力ポートIN1から出力ポートOUT1に向けてノイズ電流が流れると、第1入力ループ線LIN1と第1出力ループ線LOUT1の各々のループ内領域をz軸下向きに磁束が発生し、第1入力ループ線LIN1と第1出力ループ線LOUT1が良好に磁気結合することができる。同様に、入力ポートIN1から出力ポートOUT1に向けてノイズ電流が流れると、第2入力ループ線LIN2と第2出力ループ線LOUT2の各々のループ内領域をz軸上向きに磁束が発生し、第2入力ループ線LIN2と第2出力ループ線LOUT2が良好に磁気結合することができる。これにより、入力ループ線L1と出力ループ線L2が良好に磁気結合し、これらの間に相互インダクタンスが生じている。
ノイズフィルタ100はさらに、一端が第1導電線11の分岐部11Cに接続されているとともに他端が基準ポートGNDに接続されている第2導電線12を備えている。第2導電線12には、コンデンサC1が介挿されている。
第2導電線12には、コンデンサC1の等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)とコンデンサC1が接続する第2導電線12の寄生インダクタンスが存在している。しかしながら、これらコンデンサC1の等価直列インダクタンスと第2導電線12の寄生インダクタンスの和は、入力ループ線L1と出力ループ線L2の磁気結合で生じる相互インダクタンスによって減じられる。これにより、ノイズフィルタ100では、高周波帯域の電磁ノイズに対するフィルタ性能が向上している。
図7に、入力ループ線L1と出力ループ線L2に加わる外部磁界が変化したときに、入力ループ線L1と出力ループ線L2に流れる誘導電流の様子を示す。この例では、入力ループ線L1と出力ループ線L2を鎖交する磁束(紙面上側から紙面下側向き)が増加したときに、入力ループ線L1と出力ループ線L2の各々の流れる誘導電流を破線矢印で示す。
入力ループ線L1では、第1入力ループ線LIN1と第2入力ループ線LIN2が8の字状に接続されていることから、第1入力ループ線LIN1に発生する誘導電流と第2入力ループ線LIN2に発生する誘導電流が逆位相の関係となる。このため、第1入力ループ線LIN1に発生する誘導電流と第2入力ループ線LIN2に発生する誘導電流が相殺されるので、入力ループ線L1においては、外部磁界の影響が抑えられている。
同様に、出力ループ線L2では、第1出力ループ線LOUT1と第2出力ループ線LOUT2が8の字状に接続されていることから、第1出力ループ線LOUT1に発生する誘導電流と第2出力ループ線LOUT2に発生する誘導電流が逆位相の関係となる。このため、第1出力ループ線LOUT1に発生する誘導電流と第2出力ループ線LOUT2に発生する誘導電流が相殺されるので、出力ループ線L2においては、外部磁界の影響が抑えられている。
このように、このノイズフィルタ100では、入力ループ線L1と出力ループ線L2のいずれにおいても、外部磁界の影響が抑えられている。したがって、ノイズフィルタ100は、外部磁界に抗してフィルタ性能が安定するという特徴を有することができる。
(第1変形例のノイズフィルタ101)
図8に示すノイズフィルタ101は、図6及び図7で説明したノイズフィルタ100の変形例である。このため、図6及び図7のノイズフィルタ100と実質的に共通する機能を有する構成要素については共通の符号を付し、その説明を省略する。
ノイズフィルタ101は、図6及び図7で説明したノイズフィルタ100が回路基板30の表面と裏面に設けられていることを特徴としている。回路基板30の表面S1には、入力ポートIN1、出力ポートOUT1、基準ポートGND、入力ループ線L1、コンデンサC1等が配設されている。回路基板30の裏面S2には、出力ループ線L2が配設されている。ノイズフィルタ101はさらに、U字状磁性体コア42と、I字状磁性体コア44と、を有していることを特徴としている。U字状磁性体コア42は、平板部42aと、その平板部42aの両端の各々から突出するように構成された2つの第1磁性体部42bと第2磁性体部42cを有している。
回路基板30には、2つの貫通孔52,54が形成されている。第1貫通孔52は、第1入力ループ線LIN1のループ内領域と第1出力ループ線LOUT1(回路基板30の裏面S2に配設されており、図示省略)のループ内領域を連通するように回路基板30を貫通して形成されている。第2貫通孔54は、第2入力ループ線LIN2のループ内領域と第2出力ループ線LOUT2(回路基板30の裏面S2に配設されており、図示省略)のループ内領域を連通するように回路基板30を貫通して形成されている。
U字状磁性体コア42の第1磁性体部42bは、第1貫通孔52内に配置され、その頂面がI字状磁性体コア44に接触又は所定のギャップを置いて近接するように配置される。U字状磁性体コア42の第2磁性体部42cは、第2貫通孔54内に配置され、その頂面がI字状磁性体コア44に接触又は所定のギャップを置いて近接するように配置される。このように、U字状磁性体コア42とI字状磁性体コア44は、環状の磁性体コアとして構成されている。なお、U字状磁性体コア42の第1磁性体部42bと第2磁性体部42cの各々の頂面とI字状磁性体コア44の間のギャップ幅を調整することにより、入力ループ線L1と出力ループ線L2(回路基板30の裏面S2に配設されており、図示省略)の間の相互インダクタンスを調整することができる。
このようなU字状磁性体コア42とI字状磁性体コア44が設けられていると、入力ループ線L1と出力ループ線L2(回路基板30の裏面S2に配設されており、図示省略)の磁気結合を強めることができる。これにより、ループ線L1,L2の各々のループ面積を小さくしても十分な相互インダクタンスを得ることができる。したがって、このノイズフィルタ101は、コンパクトな形態という特徴を有することができる。
(第2変形例のノイズフィルタ102)
図9に示すノイズフィルタ102は、図6及び図7で説明したノイズフィルタ100の変形例である。このため、図6及び図7のノイズフィルタ100と実質的に共通する機能を有する構成要素については共通の符号を付し、その説明を省略する。
ノイズフィルタ102は、第1回路基板31と第2回路基板32を用いて構成されていることを特徴としている。第1回路基板31には、入力ポートIN1と、出力ポートOUT1と、基準ポートGNDと、コンデンサC1と、第1導電線11の一部と、第2導電線12と、が設けられている。第2回路基板32には、入力ループ線L1と、第1入力側接続線CLIN1と、出力ループ線L2(第2回路基板32の裏面S2に配設されており、図示省略)と、第1出力側接続線CLOUT1(第2回路基板32の裏面S2に配設されており、図示省略)と、が設けられている。第1回路基板31と第2回路基板32の間には複数の導体ピンが設けられており、これら導体ピンを介して第1回路基板31と第2回路基板32が電気的に接続されている。
例えば、ノイズフィルタ102を構成する全ての構成要素を1つの回路基板に搭載すると、その回路基板の面積が増加してしまう。一方、図9に示すノイズフィルタ102では、少なくとも2つの回路基板31,32に構成要素を分けて搭載することにより、個々の回路基板31,32の面積を小さくすることができる。これにより、電気機器に搭載するときに、回路基板31,32の各々の搭載位置に関する設計自由度が向上する。
(第3変形例のノイズフィルタ103)
図10に示すノイズフィルタ103は、図6及び図7で説明したノイズフィルタ100の変形例である。このため、図6及び図7のノイズフィルタ100と実質的に共通する機能を有する構成要素については共通の符号を付し、その説明を省略する。
ノイズフィルタ103の入力ループ線L1はさらに、第3入力ループ線LIN3と、第4入力ループ線LIN4と、を有していることを特徴としている。第1入力ループ線LIN1と第3入力ループ線LIN3の間には第2入力側接続線CLIN2が設けられている。第2入力側接続線CLIN2は、第1入力ループ線LIN1と第3入力ループ線LIN3が8の字状となるように両者を接続している。また、第3入力ループ線LIN3と第4入力ループ線LIN4の間には第3入力側接続線CLIN3が設けられている。第3入力側接続線CLIN3は、第3入力ループ線LIN3と第4入力ループ線LIN4が8の字状となるように両者を接続している。第2入力側接続線CLIN2と第3入力側接続線CLIN3の各々の一対の接続線は、第1入力側接続線CLIN1の一対の接続線と同様に、第1面S1と第2面S2を利用してねじれの位置となるように構成されている。
ノイズフィルタ103の出力ループ線L2はさらに、第3出力ループ線LOUT3と、第4出力ループ線LOUT4と、を有していることを特徴としている。第1出力ループ線LOUT1と第3出力ループ線LOUT3の間には第2出力側接続線CLOUT2が設けられている。第2出力側接続線CLOUT2は、第1出力ループ線LOUT1と第3出力ループ線LOUT3が8の字状となるように両者を接続している。また、第3出力ループ線LOUT3と第4出力ループ線LOUT4の間には第3出力側接続線CLOUT3が設けられている。第3出力側接続線CLOUT3は、第3出力ループ線LOUT3と第4出力ループ線LOUT4が8の字状となるように両者を接続している。第2出力側接続線CLOUT2と第3出力側接続線CLOUT3の各々の一対の接続線は、第1出力側接続線CLOUT1の一対の接続線と同様に、第1面S1と第2面S2を利用してねじれの位置となるように構成されている。
ノイズフィルタ103では、第3入力ループ線LIN3と第3出力ループ線LOUT3がz軸方向に沿って対向して配置されており、第4入力ループ線LIN4と第4出力ループ線LOUT4がz軸方向に沿って対向して配置されている。このため、入力ポートIN1から出力ポートOUT1に向けてノイズ電流が流れると、第3入力ループ線LIN3と第3出力ループ線LOUT3の各々のループ内領域をz軸下向きに磁束が発生し、第3入力ループ線LIN3と第3出力ループ線LOUT3が良好に磁気結合することができる。同様に、入力ポートIN1から出力ポートOUT1に向けてノイズ電流が流れると、第4入力ループ線LIN4と第4出力ループ線LOUT4の各々のループ内領域をz軸上向きに磁束が発生し、第4入力ループ線LIN4と第4出力ループ線LOUT4が良好に磁気結合することができる。これにより、入力ループ線L1と出力ループ線L2が良好に磁気結合し、これらの間に相互インダクタンスが生じている。
また、ノイズフィルタ103の入力ループ線LN1では、第1入力ループ線LIN1と第2入力ループ線LIN2がy軸方向に沿って隣り合って配置されており、第1入力ループ線LIN1と第3入力ループ線LIN3がx軸方向に沿って隣り合って配置されており、第3入力ループ線LIN3と第4入力ループ線LIN4がy軸方向に沿って隣り合って配置されており、第2入力ループ線LIN2と第4入力ループ線LIN4がx軸方向に沿って隣り合って配置されている。
同様に、ノイズフィルタ103の出力ループ線LN2では、第1出力ループ線LOUT1と第2出力ループ線LOUT2がy軸方向に沿って隣り合って配置されており、第1出力ループ線LOUT1と第3出力ループ線LOUT3がx軸方向に沿って隣り合って配置されており、第3出力ループ線LOUT3と第4出力ループ線LOUT4がy軸方向に沿って隣り合って配置されており、第2出力ループ線LOUT2と第4出力ループ線LOUT4がx軸方向に沿って隣り合って配置されている。
図11に、入力ループ線L1と出力ループ線L2に加わる外部磁界が変化したときに、入力ループ線L1と出力ループ線L2に流れる誘導電流の様子を示す。この例では、入力ループ線L1と出力ループ線L2を鎖交する磁束(紙面上側から紙面下側向き)が増加したときに、入力ループ線L1と出力ループ線L2の各々の流れる誘導電流を破線矢印で示す。なお、この例では、外部磁界の磁界源62が、複数のループ線を間に置いて第1導電線11とは反対側である図中の位置にある例である。即ち、磁界源62は、第2,第4入力ループ線LIN2,LIN4及び第2,第4出力ループ線LOUT2,LOUT4に相対的に近く、第1,第3入力ループ線LIN1,LIN3及び第1,第3出力ループ線LOUT1,LOUT3に相対的に遠い位置にある。
ノイズフィルタ103の入力ループ線LN1では、外部磁界によって発生する誘導電流については、第1入力ループ線LIN1と第4入力ループ線LIN4に同位相の誘導電流が流れ、第2入力ループ線LIN2と第3入力ループ線LIN3に同位相の誘導電流が流れる。また、第1入力ループ線LIN1と第4入力ループ線LIN4に流れる誘導電流と第2入力ループ線LIN2と第3入力ループ線LIN3に流れる誘導電流は逆位相である。さらに、磁界源62に近いほど誘導電流が大きくなることから、第2入力ループ線LIN2と第4入力ループ線LIN4に流れる誘導電流は、第1入力ループ線LIN1と第3入力ループ線LIN3に流れる誘導電流よりも大きい。
例えば、図6及び図7に示すノイズフィルタ100のように、入力ループ線LN1が第1入力ループ線LIN1と第2入力ループ線LIN2のみで構成されている場合、第1入力ループ線LIN1と第2入力ループ線LIN2の各々を流れる誘導電流の大きさが磁界源62の位置に依存して相違することから、誘導電流を良好に相殺することができないことがある。一方、図10及び図11に示すノイズフィルタ103の入力ループ線LN1では、磁界源62の位置に依存して強弱となる誘導電流が、逆位相の関係にある誘導電流の各々で発生することができる。この例では、第1入力ループ線LIN1と第3入力ループ線LIN3には逆位相であって相対的に弱い誘導電流が流れ、第2入力ループ線LIN2と第4入力ループ線LIN4には逆位相であって相対的に強い誘導電流が流れる。これにより、ノイズフィルタ103の入力ループ線LN1の全体では、磁界源62の位置の影響を受けずに、誘導電流を良好に相殺することができる。
なお、ノイズフィルタ103の出力ループ線LN2も同様であり、磁界源62の位置の影響を受けずに、誘導電流を良好に相殺することができる。したがって、ノイズフィルタ103は、外部磁界の磁界源62の位置に対する高いロバスト性を有することができる。
外部磁界の磁界源62の位置に対するロバスト性をさらに向上させるには、図12に示すように、さらに多くのループ線をマトリクス状にレイアウトすればよい。即ち、外部磁界に応じて流れる誘導電流が隣り合うループ線の間で逆位相の関係となるように、複数のループ線をマトリクス状にレイアウトすればよい。なお、図12の例では、図示明瞭化のために、各接続線の導体ビアについては省略している。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
100:ノイズフィルタ、 11:第1導電線、 11A:入力側導電線、 11B:出力側導電線、 11C:分岐部、 12:第2導電線、 C1:コンデンサ、 CLIN1:第1入力側接続線、 CLOUT1:第1出力側接続線、 GND:基準ポート、 IN1:入力ポート、 OUT1:出力ポート、 LN1:入力ループ線、 LN2:出力ループ線、 LIN1:第1入力ループ線、 LIN2:第2入力ループ線、 LOUT1:第1出力ループ線、 LOUT2:第2出力ループ線、 S1:第1面、 S2:第2面

Claims (7)

  1. 入力ポートと出力ポートの間を延びている第1導電線であって、前記入力ポートと分岐部の間を延びている入力側導電線と、前記出力ポートと前記分岐部の間を延びている出力側導電線と、を有する第1導電線と、
    前記第1導電線の前記分岐部に接続されているとともにコンデンサが介挿されている第2導電線と、を備えており、
    前記入力側導電線は、第1入力ループ線と、第2入力ループ線と、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線を接続する第1入力側接続線と、を有しており、
    前記出力側導電線は、第1出力ループ線と、第2出力ループ線と、前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線を接続する第1出力側接続線と、を有しており、
    前記第1入力側接続線は、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線が8の字状となるように両者を接続しており、
    前記第1出力側接続線は、前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線が8の字状となるように両者を接続しており、
    前記第1入力ループ線と前記第1出力ループ線が対向して配置されており、
    前記第1入力ループ線と前記第1出力ループ線が対向する方向から見たときに、前記第1入力ループ線のループ内領域の少なくとも一部と前記第1出力ループ線のループ内領域の少なくとも一部が重複する位置関係であり、前記第1入力ループ線と前記第1出力ループ線の各々の前記入力ポートから前記出力ポートに向けてのループ方向が一致しており、
    前記第2入力ループ線と前記第2出力ループ線が対向して配置されており、
    前記第2入力ループ線と前記第2出力ループ線が対向する方向から見たときに、前記第2入力ループ線のループ内領域の少なくとも一部と前記第2出力ループ線のループ内領域の少なくとも一部が重複する位置関係であり、前記第2入力ループ線と前記第2出力ループ線の各々の前記入力ポートから前記出力ポートに向けてのループ方向が一致している、ノイズフィルタ。
  2. 前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線が、第1面の面内に配設されており、
    前記第1入力側接続線は、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線を接続する一対の接続線が少なくとも2つの面を利用してねじれの位置となるように構成されており、
    前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線が、前記第1面とは異なる第2面の面内に配設されており、
    前記第1出力側接続線は、前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線を接続する一対の接続線が少なくとも2つの面を利用してねじれの位置となるように構成されている、請求項1に記載のノイズフィルタ。
  3. 前記第1入力側接続線の前記一対の接続線は、前記第1面と前記第2面を利用してねじれの位置となるように構成されており、
    前記第1出力側接続線の前記一対の接続線は、前記第1面と前記第2面を利用してねじれの位置となるように構成されている、請求項2に記載のノイズフィルタ。
  4. 前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線が、回路基板の一方の主面に配設されており、
    前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線が、前記回路基板の他方の主面に配設されている、請求項2又は3に記載のノイズフィルタ。
  5. 前記第1入力ループ線の前記ループ内領域の少なくとも一部と前記第1出力ループ線の前記ループ内領域の少なくとも一部を貫通して延びている第1磁性体部と、
    前記第2入力ループ線の前記ループ内領域の少なくとも一部と前記第2出力ループ線の前記ループ内領域の少なくとも一部を貫通して延びている第2磁性体部と、をさらに備えている、請求項1~4のいずれか一項に記載のノイズフィルタ。
  6. 前記入力ポートと前記出力ポートと前記コンデンサが、前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線と前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線が設けられている回路基板とは異なる回路基板に設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載のノイズフィルタ。
  7. 前記入力側導電線は、第3入力ループ線と、第4入力ループ線と、前記第1入力ループ線と前記第3入力ループ線を接続する第2入力側接続線と、前記第3入力ループ線と前記第4入力ループ線を接続する第3入力側接続線と、をさらに有しており、
    前記第2入力側接続線は、前記第1入力ループ線と前記第3入力ループ線が8の字状となるように両者を接続しており、
    前記第3入力側接続線は、前記第3入力ループ線と前記第4入力ループ線が8の字状となるように両者を接続しており、
    前記第1入力ループ線と前記第2入力ループ線は、第1方向に沿って隣り合って配置されており、
    前記第1入力ループ線と前記第3入力ループ線は、前記第1方向に直交する第2方向に沿って隣り合って配置されており、
    前記第3入力ループ線と前記第4入力ループ線は、前記第1方向に沿って隣り合って配置されており、
    前記第2入力ループ線と前記第4入力ループ線は、前記第2方向に沿って隣り合って配置されており、
    前記出力側導電線は、第3出力ループ線と、第4出力ループ線と、前記第1出力ループ線と前記第3出力ループ線を接続する第2出力側接続線と、前記第3出力ループ線と前記第4出力ループ線を接続する第3出力側接続線と、をさらに有しており、
    前記第2出力側接続線は、前記第1出力ループ線と前記第3出力ループ線が8の字状となるように両者を接続しており、
    前記第3出力側接続線は、前記第3出力ループ線と前記第4出力ループ線が8の字状となるように両者を接続しており、
    前記第1出力ループ線と前記第2出力ループ線は、第3方向に沿って隣り合って配置されており、
    前記第1出力ループ線と前記第3出力ループ線は、前記第3方向に直交する第4方向に沿って隣り合って配置されており、
    前記第3出力ループ線と前記第4出力ループ線は、前記第3方向に沿って隣り合って配置されており、
    前記第2出力ループ線と前記第4出力ループ線は、前記第4方向に沿って隣り合って配置されており、
    前記第3入力ループ線と前記第3出力ループ線が対向して配置されており、
    前記第3入力ループ線と前記第3出力ループ線が対向する方向から見たときに、前記第3入力ループ線のループ内領域の少なくとも一部と前記第3出力ループ線のループ内領域の少なくとも一部が重複する位置関係であり、前記第3入力ループ線と前記第3出力ループ線の各々の前記入力ポートから前記出力ポートに向けてのループ方向が一致しており、
    前記第4入力ループ線と前記第4出力ループ線が対向して配置されており、
    前記第4入力ループ線と前記第4出力ループ線が対向する方向から見たときに、前記第4入力ループ線のループ内領域の少なくとも一部と前記第4出力ループ線のループ内領域の少なくとも一部が重複する位置関係であり、前記第4入力ループ線と前記第4出力ループ線の各々の前記入力ポートから前記出力ポートに向けてのループ方向が一致している、請求項1~6のいずれか一項に記載のノイズフィルタ。

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