JP7002565B2 - 光学分析装置 - Google Patents

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Description

光学分析装置に関する。特に走査型顕微鏡に関する。
光学顕微鏡の一種として、走査型顕微鏡がある。これは、照明光を試料の一部に照射して、この時に発生する信号光を検出することで試料の情報を得る観察手段である。照明光の照射位置を走査することで、試料のより広い範囲を観察し、画像や映像の形で情報を得ることができる。信号光としては、散乱光や蛍光など種々の光を含む。また、照射位置を試料の深さ方向に走査することで、試料の各種断層像を取得したり、試料内部の3次元的な像を取得したりすることが可能である。
このような走査型顕微鏡の例は、例えば特許文献1や非特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示されている多光子励起レーザ顕微鏡は、対物レンズ(励起用レンズ)側から透過照明を行い、コンデンサレンズ(受光用レンズ)側で透過検出を行うことが可能となっている。また、この多光子励起レーザ顕微鏡は、対物レンズを光軸方向に移動させる焦点位置調整ユニットとコンデンサレンズを光軸方向に移動させる焦点位置調整ユニットを含んでいる。以上のように構成された多光子励起レーザ顕微鏡では、対物レンズ及びコンデンサレンズの各々の焦点位置調整ユニットにより、各々の焦点位置の調整が行われる。特に、透過照明を行う場合には、対物レンズとコンデンサレンズの焦点位置が一致するように調整される。非特許文献1には、走査型顕微鏡の一例として、コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)顕微鏡が開示されている。CARS顕微鏡では、振動数ωのポンプ光と、振動数ω(ω>ω)のストークス光を同軸で重ね合わせて(合波)、試料上の一点に焦点を結ばせる。これにより、アンチストークス振動数(ωas=2ω-ω)を持つ信号光(CARS光)を生じる。ω-ωがラマン活性な振動の振動数に一致するときCARS光は増強される。これを利用して、化学種特異的な信号コントラストを得ることができる。2光子励起蛍光顕微鏡と同じく、CARS光は焦点の占める空間の中でのみ発生するので、おのずと3次元的な空間分解能を持つ。よって、深さ方向の分解能を持つ画像を得るために、特段の画像処理等を設ける必要は無い。
非特許文献1のCARS顕微鏡の構成においては、前記の2つのレーザビームは同軸上に合波され、励起光として共焦点レーザ走査顕微鏡に導入される。励起光は水浸対物レンズ(倍率60倍、NA=1.2)を透過して試料中に焦点を結ぶ。前方CARS光は空気を介したコンデンサレンズ(NA=0.55)で集光され、光電子増倍管で検出される。
非特許文献1では、上記のような構成によって、厚さ約17μmのポリマーフィルムの深さ方向の断層像(励起光の光軸と平行な面での断層像)を取得した例を示している。また、フィルム表面から0、6、12、16μmの深さにある断層像(光軸に垂直な面での断層像)を取得した例を示している。
特許文献2では、多色CARSにおいて、ポンプ光の発散収束状態調整機構、ストークス光の発散収束状態調整機構を備え、所望の波長帯域の強調調整を可能とした例が開示されている。
特開2015-108718 WO2016/143084
Kang, Eunah et al. Anal.Chem. 2006, 78, 8036-43
走査型顕微鏡では、励起光の照射位置を深さ方向に走査することで、試料の深さ方向の断層像を取得できる。しかし、励起光の照射位置を試料の深さ方向に移動すると、励起用レンズの焦点位置と受光用レンズの焦点位置がずれてしまう場合がある。しかし、励起光の照射位置を移動するたびに、励起用レンズの焦点位置と受光用レンズの焦点位置を一致させるための調整を行うと画像の取得に要する時間が長くなってしまう。
上記課題を解決するために、代表的な本発明の光学分析装置の一つは、励起光源と、試料に向けて励起光を集光する励起用レンズと、前記試料の位置を調整する試料ステージと、
前記励起光により前記試料から発生する前記励起光とは波長の異なる信号光を集光する受光用レンズと、受光用レンズを通過した前記信号光を集光する集光レンズと、前記信号光を検出する検出器と、を備え、
前記励起用レンズの光軸方向の移動、前記試料ステージの光軸方向の移動、前記受光用レンズの光軸方向の移動、前記集光レンズの光軸方向の移動のうち、少なくとも前記移動の2種類の移動を指定する補正係数に連動して動作するように制御する制御部を有することを特徴とする光学分析装置。
前記の構成によれば、例えば、励起光の照射位置を試料の深さ方向に移動しても、励起用レンズの焦点位置と受光用レンズの焦点位置がずれないため、励起用レンズの焦点位置と受光用レンズの焦点位置を一致させるための調整を行う必要がなく、より高速な画像取得が可能になる。そのため、例えば、スキャンをしながらCARSスペクトルの検出が可能となる。
実施例1の走査型顕微鏡の基本構成模式図 実施例1の動作手順のフローチャート 実施例1のイメージング動作の模式図 測定点とレンズ焦点の関係を示した模式図 測定点とレンズ焦点の関係を示した模式図 実施例1のGUIの模式図 単色CARS顕微鏡の実施例の模式図 2光子励起蛍光顕微鏡の実施例の模式図 透過型共焦点顕微鏡の実施例の模式図
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
以下本発明の一実施例を、図1、図2、図3、図4、図5、図6に沿って説明する。
図1は、本実施例の走査型顕微鏡100の基本的な構成例を示す模式図である。本装置は、励起光源139と励起用レンズ113、受光用レンズ115、分光検出器119、制御部134を備えている。以下、その他の各構成要素を含め、詳細に説明する。
(顕微鏡の基本構成)
制御部134は、調整機構を含む装置全体の制御を行うとともに、ユーザからの測定指示の受け付けや測定結果の表示を行うインターフェースを備える。このインターフェースの一部は表示部137上に表示されるGUIとして実装される。制御部134は記憶装置133、表示部137と論理的に接続されている。記憶装置133は制御部134の内部に備えつけられるか、制御部134と外部接続されるか、またはその両方の形態で備え付けられている。
短パルスレーザ光源101は、制御部134の指示に基づいて短パルスレーザ光を出射する。短パルスレーザ光源101はチタンサファイアレーザやファイバレーザ、マイクロチップレーザなどであり、パルス幅はナノ秒オーダー以下である。また、ピークパワーは非線形光学効果を誘起可能なキロワットオーダ以上が望ましい。波長については測定対象の吸収帯域や用いる光学部品の対応波長から選定すればよい。細胞資料などを対象とする場合には、生体組織、水の吸収帯による影響を避けるために、波長1064nmのNd:YAGレーザや、800nm付近で発振できるTi:Sapphireレーザを用いるのが好適である。
(1064nmであれば、小型のNd:YAGマイクロチップレーザを利用することができる。800nmではTi:Sapphireレーザを用いるのに好適である。また、800nmも1064nmも、水の吸収帯域による影響が小さい。)
レーザ光はパワー分岐比調整機構である1/2波長板102及び偏光ビームスプリッタ103に入射する。1/2波長板102は制御部134の指示に基づいてレーザ光の偏光方向を変化させ、偏光ビームスプリッタ103は偏光方向に基づいたパワー分岐比でレーザ光を透過成分と反射成分とに分岐する。偏光ビームスプリッタ103を透過したレーザ光は、コリメータ104によってフォトニック結晶ファイバ105の端面に集光される。フォトニック結晶ファイバはコアの周囲に蜂の巣状の中空のクラッドが形成された光ファイバであり、入射光をコアに強く閉じ込める。短パルスレーザ光を入射することによって自己位相変調や四光波混合等の非線形光学現象が誘起され、入射光より幅広い帯域を有するスーパーコンティニューム光が生成される。スーパーコンティニューム光は広帯域ストークス光として利用することが可能である。ストークス光として広帯域な光を用い、発生するCARS光を分光検出するものは多色CARS顕微鏡(もしくはマルチプレックスCARS顕微鏡)と呼ばれる。多色CARS顕微鏡は、CARS光の分光スペクトルからラマンスペクトルを推定できるため、取得できる情報が多く、測定対象のより詳細な解析に適している。これに対して、ストークス光として狭帯域な光を用いるものを本明細書では単色CARSと呼ぶ。単色CARSを採用する場合、検出器に分光性能が必要でないので、比較的簡素な構成で実現することができる。
生成されたスーパーコンティニューム光は、コリメータ106によって平行光となり、ロングパスフィルタ107によって短波長成分がカットされたのち、ポンプ光波長を反射しそれ以外の波長の光を透過するダイクロイックミラー108を透過して、ダイクロイックミラー112によって反射され、ストークス光として励起用レンズ113に入射する。一方、偏光ビームスプリッタ103を反射したレーザ光は、コリメータ109によって光ファイバ110の入射端に集光される。光ファイバ110中を伝搬して出射されたレーザ光は、コリメータ111によって平行光となり、ダイクロイックミラー108、およびダイクロイックミラー112によって反射され、ポンプ光として励起用レンズ113に入射する。
励起用レンズ113は、ダイクロイックミラー108によって同軸上に合波されたストークス光とポンプ光とを試料114に集光する、励起用レンズとして作用する。合波されたストークス光とポンプ光は励起光としてCARS光生成に寄与する。試料114では前記の励起光144により、試料114の分子種に対応する波長のCARS光が生成される。CARS光は受光用レンズ115によって開口部122へ導かれて分光検出器119にて検出される。すなわち、CARS光は受光用レンズ115を透過して平行光となり、ダイクロイックミラー124で反射して、ノッチフィルタ117及びショートパスフィルタ118によってポンプ光及びストークス光の透過成分がカットされ、集光レンズ120で集光されたのち、スリット121の開口部122を通して分光検出器119に入射する。分光検出器119はCARSスペクトルを検出する。ここで、受光用レンズ115を透過したCARS光が平行光になるよう配置することで、CARS光はノッチフィルタ117及びショートパスフィルタ118の表面に対して直交して入射するので、フィルタ表面での屈折の影響などを排除できる。
試料ステージ130は、試料114を保持して移動する機能を備える。これにより、試料114上の観察する部位(測定点)を変更できる。受光用レンズステージ132は受光用レンズ115をCARS光の光軸方向に移動できるように、励起用レンズステージ131は励起用レンズ113を励起光144の光軸方向に移動できるように、それぞれ配置されている。これら3つのステージの全てまたは一部を動かすことで、励起用レンズの焦点位置と受光用レンズの焦点位置を一致させるための調整に使うことができる。制御部134には、試料ステージ130の移動量と受光用レンズステージ132の移動量を一定の比率で連動して移動する機能を備えている。この機能は以下の構成により実現される。試料ステージ130は3軸ピエゾアクチュエータで駆動され、ピエゾコントローラ135を介して、制御部134に接続されている。受光用レンズステージ132はステッピングモータとボールねじ、またはラックピニオン機構で駆動され、モータコントローラ136を介して、制御部134に接続されている。例えば、比率Aで受光用レンズステージ132を連動する場合、制御部134上のソフトウェアが試料ステージ130をZ軸の正の向きに10μm移動させる際、まず制御部134はピエゾコントローラ135に対し、Z軸アクチュエータを現在位置から正方向に10μm移動するよう指示を送る。続いて制御部134はモータコントローラ136に対し、現在位置からZ軸の正の方向にA×10μm移動するよう指示を送る。制御部134は、ピエゾコントローラ135とモータコントローラ136の位置決め完了の信号を、両方とも受けとった時点で、一連のステージ制御が完了したと判断する。これによって、制御部134によって試料ステージ130の移動量と受光用レンズステージ132の移動量を一定の比率Aで連動して移動させることができる。
この比率を0以外の定数に設定可能で、この比率に従って連動して移動することが可能である。この比率は、あらかじめ記憶装置133内に保持された値を設定することもできる。また、この比率として、表示部137の操作画面上からユーザが入力した値を設定することもできる。また、この比率として、表示部137の操作画面上からユーザが入力した値に応じて、記憶装置133内に保持された複数の値を選択して設定することもできる。
明視野用光源129から出射した光の少なくとも一部はダイクロイックミラー124を透過して、受光用レンズ115を介して試料114を照明する。試料114を透過した光は励起用レンズ113、ダイクロイックミラー112、ミラー125、結像レンズ126を経て、2次元センサ127のセンサ面に、試料114の明視野像を結ぶ。制御部134で2次元センサ127の出力を読み取ることで、明視野像情報を得ることができる。取得した明視野像情報は表示部137の操作画面上に画像として出力される。そのほか、明視野像情報は、各種媒体(電子データや印刷物)に出力してもよい。試料ステージ130や受光用レンズステージ132、励起用レンズステージ131を動かしながら明視野像を取得することで、試料114の中のCARS顕微鏡で観察したい部位を探すことができる。
(レンズの選択)
本実施例の走査型顕微鏡100は、励起用レンズ113と受光用レンズ115を備える。
励起用レンズ113と受光用レンズ115として、顕微鏡用の各種対物レンズを含む各種光学レンズを用いることができる。また、同様の働きをもつ凹面鏡やその組合せなどを用いても良い。
対物レンズには各種のカップリング媒質を想定して設計されたレンズ、すなわち各種カップリング媒質用のレンズが存在する。ここでカップリング媒質とは、レンズの試料側表面を覆う媒質のことを指す。例えば、カップリング媒質として水を想定した水浸レンズ、同じくオイルを想定した油浸レンズ、空気を想定した空気用レンズ(非液浸レンズ)などがある。
このような各種レンズの中から、励起用レンズ113と受光用レンズ115の好ましい組合せとして、異なるカップリング媒質を想定して設計したレンズを組み合わせてよい。異なるカップリング媒質に対して設計したレンズ同士の組み合わせを用いることで、レンズ選択の自由度を高めることができる。例えば、水浸の励起用レンズ113と空気用(非液浸)の受光用レンズ115の組み合わせを用いることができる。この場合、励起光144を大きな開口数の励起用レンズ113で集光することで励起効率を高め、生成するCARS光強度を高めつつ、空気用の受光レンズ115による使い勝手の良さを両立することができる。他にも例えば、油浸の励起用レンズ113と空気用(非液浸)の受光用レンズ115の組み合わせであれば、励起用レンズ113の開口数をより大きくすることも可能なため、より大きなCARS光強度を得ることが可能になる。
励起用レンズ113と受光用レンズ115の好ましい組合せの1つは、励起用レンズ113のカップリング媒質の屈折率R1と受光用レンズ115のカップリング媒質の屈折率R2について、R1≠R2である。このような励起用レンズ113と受光用レンズ115の組合せの1つではR1>R2であり、この場合は励起用レンズ113のカップリング媒質の屈折率がより大きいために、励起用レンズ113の開口数をより大きく取ることが可能で、CARS光生成効率を高めることができる。また、このような励起用レンズ113と受光用レンズ115の別の組合せの1つではR1<R2であり、この場合は受光用レンズ115のカップリング媒質の屈折率がより大きいために、CARS光の受光効率(生成したCARS光の光量のうち、受光用レンズ115に入射する光量の割合)、および検出効率(生成したCARS光の光量のうち、開口部122を通過して分光検出器119に入射するに入射する光量の割合)を高め、ひいては検出感度を高めることができる。
励起用レンズ113と受光用レンズ115の好ましい組合せの1つでは、励起用レンズ113のカップリング媒質の開口数M1と受光用レンズ115のカップリング媒質の開口数M2について、M1≠M2である。このような励起用レンズ113と受光用レンズ115の組合せの1つではM1>M2であり、励起用レンズ113の開口数がより大きいために、CARS光生成効率を高めることができる。このとき、一般的に同じレンズ口径であれば開口数と作動距離(WD)は逆相関の関係にあるため、より長い作動距離を持つ受光用レンズ115を用いることで作業性を高めることができる。
また、このような励起用レンズ113と受光用レンズ115の別の組合せの1つではM1<M2であり、この場合は受光用レンズ115の開口数がより大きいために、CARS光の受光効率および検出感度を高めることができる。このとき、より長い作動距離を持つ励起用レンズ113を用いることで作業性を高めることができる。
励起用レンズ113について、好ましい開口数は例えば0.8以上で、さらに好ましくは開口数0.95以上である。試料114内でのストークス光とポンプ光のエネルギー密度を増加させ、CARS光生成効率を向上させるためである。好ましい開口数を持つ励起用レンズ113としては液浸レンズを使ってよい。
また、励起用レンズ113として、色収差を補正したレンズを用いてよい。色収差を補正したレンズを用いることで、励起光144の強度やビームスポット形状への色収差の影響を低減し、偏りの少ないCARS信号およびCARSスペクトルを検出することができる。
励起用レンズ113について、好ましい作動距離(WD)は大きければ大きいほど作業性が高まるので、また、深部観察を可能にするので好ましい。励起用レンズ113の作動距離は好ましくは0.1mm以上である。より好ましくは0.2mm以上であれば、一般的な厚み0.17-0.19mmのカバーガラス越しに試料を観察できる。さらに好ましくは0.5mm以上であれば試料のより深部、例えば深さ100μm以上、を観察しうる。さらに好ましくは1.5mm以上であれば試料のより深部、例えば深さ1000μm以上、を観察しうる。
励起用レンズ113として水浸レンズを用いてよい。試料として、水溶液や細胞、組織、または細胞や組織を含む培養液やゲルやハイドロゲルを想定する場合、これらの試料の屈折率は水の屈折率に近いため、励起用レンズ113として水浸レンズを採用することで、球面収差の影響を押えることができる。特に試料の深部を観察する際に信号光強度と空間分解能の点で有利となる。
また、励起用レンズ113として油浸レンズや、その他の浸液を用いるよう設計されたレンズを用いてもよい。この場合、試料の成分として、ガラスやポリマーフィルムなど水より大きな屈折率をもつ材料を含むものを観察する際に、球面収差の影響を押さえることができる。また、水浸レンズよりさらに大きな開口数を得ることも可能になるため、試料中の励起光144の集光点においてより大きな励起光パワー密度を得ることができる。
励起用レンズ113として非液浸レンズ(空気用レンズ)を用いてもよく、この場合、液浸レンズよりも開口数の面では不利であるものの、カップリング媒質としての液体(浸液)が試料や試料を覆うカバーガラス等に触れることがないため、取り扱いを容易にすることができる。
色収差を補正した励起用レンズ113として、好ましくはアクロマートレンズを用いることで色収差の影響を低減することができる。さらに好ましくはアポクロマートレンズを用いることで、色収差の影響をさらに低減できる。また、ポンプ光とストークス光を含む領域で色収差を補正したレンズを用いることで、励起光144に近赤外光を含むCARSにおいて色収差の影響を低減できる。近赤外領域を含む領域で色収差補正したレンズを用いることで、本実施例のように中心波長1064nmのポンプ光を用いたCARSにおいて、測定精度を向上することができる。なお、励起用レンズ113として、色収差を補正しないレンズを用いることで、コスト低減を図ることもできる。
受光用レンズ115には、各種レンズを用いてよく、各種の顕微鏡用対物レンズやコンデンサレンズを用いてもよい。
受光用レンズ115として、開口数の大きなレンズを用いることで、より多くのCARS光を受光し、開口部122を通して分光検出器119へと導くことができ、受光効率および検出感度を上げることができる。このような受光用レンズ115の開口数は好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.9以上、最も好ましくは1.2以上である。
受光用レンズ115について、好ましい作動距離(WD)は大きければ大きいほど作業性が高まるので、また、深部観察を可能にするので好ましい。受光用レンズ115の作動距離は好ましくは0.1mm以上である。より好ましくは0.2mm以上であれば、一般的な厚み0.17-0.19mmのカバーガラス越しに試料中で生成したCARS光を検出できる。さらに好ましくは0.5mm以上であれば試料のより深部、例えば深さ100μm以上、を観察しうる。さらに好ましくは1.5mm以上であれば試料のより深部、例えば深さ1000μm以上、を観察しうる。
このような受光用レンズ115として水浸レンズを用いることで、より大きな開口数を得ることができる。また、受光用レンズ115として油浸レンズを用いることで、さらに大きな開口数を得ることができる。また、受光用レンズ115として、その他の浸液を用いるよう設計されたレンズを用いることもできる。
また、受光用レンズ115として非液浸レンズ(空気用レンズ)を用いてもよく、この場合、液浸レンズよりも開口数の面では不利であるものの、カップリング媒質としての液体(浸液)が試料や試料を覆うカバーガラス等に触れることがないため、取り扱いを容易にすることができる。
(イメージング用の機構)
本実施例の走査型顕微鏡100は、図1中のXYZ軸方向に移動可能な3つの移動軸を持つ試料ステージ130、Z軸方向に移動可能な軸を持つ受光用レンズステージ132、Z軸方向に移動可能な軸を持つ励起用レンズステージ131を備える。制御部134は、短パルスレーザ光源101、分光検出器119、試料ステージ130、受光用レンズステージ132、励起用レンズステージ131の各部の動作を同期して制御する機能を備える。制御部134は、これらを連動することで、以下のようにCARSイメージを取得することができる。
制御部134は、試料ステージ130を移動させて「測定対象領域」を走査しながら、短パルスレーザ光源101および分光検出器119によるCARSスペクトルを検出させるよう制御する。制御部134は試料ステージ130の現在位置から、試料114中の測定点の座標を算出する。CARSイメージ中の画素の座標と、試料114中の測定点の相対座標を対応付け、検出したCARSスペクトルをCARSイメージ中の画素に対応づける。各画素に対応付けたCARSスペクトルから代表値を算出し、代表値を色や輝度に変換して画素に割り当てることで、CARSイメージを生成する。生成したCARSイメージは表示部137にて画像として出力する。
制御部134は、明視野用光源129、明視野用カメラ127で取得した明視野画像を合せて表示部137や紙面やその他の媒体へ出力することができる。出力の様式としては、明視野画像とCARSイメージを並べても、明視野画像とCARSイメージを重畳してもよい。
本実施例では、制御部134は記憶装置と入出力ポートを備えた電子回路を備え、表示部137は制御部134に接続された液晶モニタである。制御部134の内部または外部に接続された記憶装置には、制御に必要なソフトウェアと制御パラメータが電子データとして保持されている。
図6は、本実施例のGUI160の概要を示した模式図である。GUI160は表示部137上に表示される。GUI160上には、明視野画像表示領域161、CARSイメージ表示領域164、自動焦点合わせボタン165、補正用パラメータ設定用GUI166、受光用レンズ位置ボックス171、試料ステージ座標ボックス172、試料走査範囲ボックス173、ターゲット波数ボックス175が配置されている。
明視野画像表示領域161には、明視野用カメラ127で取得した明視野画像をリアルタイムに表示できる。CARSイメージ表示領域164には、明視野画像163にCARSイメージ162を重ね合わせて表示できる。試料ステージ座標ボックス172には試料ステージ130の現在位置座標を表示したり、座標を入力することで指定位置に試料ステージ130を移動するようユーザから指示したりすることができる。試料走査範囲ボックス173は、測定対象領域を指定するための情報を表示、入力することができる。例えば、試料ステージ座標ボックス172の座標を始点、試料走査範囲ボックス173の座標を終点とし、始点と終点を対角の2点とする直方体を測定対象領域として指定できる。または、試料走査範囲ボックス173には、試料ステージ座標ボックス172の座標を始点とした差異の終点までのオフセット値を入力しても良い。自動焦点合わせボタン165をユーザが押下すると、後述する図2中ステップ205の焦点合わせ動作を自動実行する。補正用パラメータ設定用GUI166上には、励起側カップリング媒質選択ボックス167、受光側カップリング媒質選択ボックス168、励起側カップリング媒質屈折率ボックス169、受光側カップリング媒質屈折率ボックス170、補正係数ボックス174がある。励起側カップリング媒質選択ボックス167、受光側カップリング媒質選択ボックス168は、それぞれ励起側カップリング媒質140、受光側カップリング媒質141の物質名を表示と入力できる。励起側カップリング媒質屈折率ボックス169、受光側カップリング媒質屈折率ボックス170には、それぞれ励起側カップリング媒質140、受光側カップリング媒質141の屈折率の設定値を表示、入力できる。これらの屈折率の設定値は、後述する図2中ステップ209で、焦点合わせ状態を維持する動作のための制御パラメータとして利用される。補正係数ボックス174は、後述する補正係数αの値を表示したり、ユーザから入力したりすることができる。受光用レンズ位置ボックス171には、受光用レンズ115または受光用レンズステージ132の少なくともZ座標を含む現在位置座標を表示することができ、また、この座標を変更することで受光用レンズ115および受光用レンズステージ132の移動をユーザから指示することができる。176 焦点合わせモード切換ボタンは、現在の焦点合わせモードを表示し、ユーザがクリックすることで焦点合わせモードを切換可能である。同モードがONのときには、焦点合わせ状態を維持するように各種ステージを連動して制御する。OFFの時には、この連動制御を無効にする。
ターゲット波数ボックス175には、焦点合わせや,補正係数αの算出,CARSイメージの表示などの目的に用いるCARS光のターゲット波数を表示と入力することができる。ターゲット波数ボックス175は前記の複数目的に応じて,GUI160上に複数個備えてもよい。
(測定点の位置調整と焦点合わせ)
図2と図3はそれぞれ、本実施例の走査型顕微鏡100で試料をイメージングする際の動作を説明したフローチャートと模式図である。
図2のフローチャートに基づきでイメージング動作の手順を説明する。フローチャートは201のSTARTから手順を開始する。まずステップ202で装置の電源を投入する。短パルスレーザ光源101や各種ステージ、分光検出器119、制御部134、視野用光源129を含む各部を起動し、動作を安定させる。次のステップ203で、試料を試料ステージ130に載せて固定する。ステップ204では試料の観察したい部位が顕微鏡の視野付近に来るように、試料位置の粗調整を行う。位置の確認は目視やGUI160上の明視野画像表示領域161に表示される顕微鏡の明視野像を参考に行う。位置の調整は、手動またはGUI160を介した各種ステージの移動、主に試料ステージ130の移動によって行う。
次のステップ205では焦点合わせを行う。その目的は、CARS光145の検出効率を上げることである。本実施例での焦点合わせの方法は、受光用レンズ115を受光用レンズステージ132によって図3中のZ軸方向(励起光144の光軸方向)に移動しながらCARS光の強度を分光検出器119で測定し、その強度が最大となるよう受光用レンズ115の位置を定めることによる。焦点合わせ後の配置では、受光用レンズ115と集光レンズ120を含む光学系によって、測定点150の像は開口部122の位置に投影される。
図3(a)は焦点合わせ前の光路を示した模式図である。図中の矢印146と矢印147はそれぞれ、励起光144とCARS光145の進行方向を表す。励起用レンズ113を透過した励起光144は、励起側カップリング媒質140中を進み、試料114の表面で屈折して一点に集光する。この点においてCARS光145が生成するため、この励起光144の集光点を測定点150と呼ぶ。なお本実施例では、励起光144は平行光となるよう配置しているので、測定点150は励起用レンズ113の焦点と一致する。図3(a)は焦点合わせ実施前の状態なので、測定点150と受光用レンズ115の焦点151とは一致していない。このとき、生成したCARS光は試料114と受光側カップリング媒質141中を進んで受光用レンズ115に入射して屈折するが、屈折した後のCARS光145は平行光にはならない。この時、分光検出器119で検出されるCARS光145の光量は最大ではない。
図3(b)は焦点合わせ完了後の光路の模式図である。分光検出器119で検出されるCARS光145の光量が最大となるように、受光用レンズ115の位置が調整されている。このとき、測定点150と受光用レンズ115の焦点位置は一致しており、受光用レンズ115を透過した後のCARS光145は平行光となる。本実施例の走査型顕微鏡100では、集光レンズ120の焦点がスリット121の開口部122の中央に一致するように配置している。このため、図3(b)のように受光用レンズ115を透過したCARS光が平行光として集光レンズ120に入射するときに、スリット121の開口部122を通過して分光検出器119に入射するCARS光の量が最大になる。
なお、他の好ましい実施例においては、焦点合わせ完了後の励起用レンズ113の焦点位置と受光用レンズ115の焦点151の位置は必ずしも一致しなくてもよい。たとえば、あえて平行光でない励起光144を励起用レンズ113に入射する場合は、励起光144の集光点である測定点150は励起用レンズ113の焦点と一致しないが、測定点150と受光用レンズの焦点151の位置が一致すればよい。このような例は、特に励起光144を構成するポンプ光またはストークス光のいずれかまたは両方に、広帯域光などの非単色光を用いた多色CARS顕微鏡において有用である。この際、各集光点の位置調整は、例えば励起用レンズ113やコリメータ106、コリメータ111などの調整によって、励起光144の発散収束状態を変更することにより実現できる。したがって、この場合の励起光144は必ずしも平行光ではなく、測定点150はポンプ光の集光点とストークス光の集光点の重なりの領域である。
また、集光レンズ120の焦点とスリット121の開口部122が一致していない配置の場合、焦点合わせ後の受光用レンズ115の焦点151位置は、測定点150と一致しなくてよい。
上記の焦点合わせにおいてCARS光145を検出する際,特定波長の光のみを検出しても良い。このために,制御部134の指示により,受光用レンズ115と分光検出器119の間にバンドパスフィルタを挿入してもよい。または,制御部134の指示によって分光検出器119の設定を変更したり,分光検出器119で得られたスペクトルから制御部134での計算処理によって特定帯域のデータのみを抽出したりしてもよい。この場合,特定物質のCARS光のみに注目することで,焦点合わせ状態をSN比よくモニタし,より精度の高い焦点合わせを実現できる。特に,測定対象の物質があらかじめ決められている場合,たとえば水溶液中の有機物を測定したい場合などには,それ以外の物質の影響によって誤った位置に焦点合わせしてしまうリスクを低減できるのでよい。この場合,測定対象の物質の指定は,物質名や,物質のCARSスペクトル中のピーク位置を指定してよく,ピーク位置は,絶対波長やラマンシフトを波長または波数として指定してよい。これらの指定は,表示部137上のGUIを用いてユーザに直接入力させても,選択肢から選択させてもよく,記憶装置133にあらかじめ保持された情報によってもよい。
上記の焦点合わせにおいてCARS光145を検出する際,スペクトルの全部または部分の帯域を分光検出器119で検出してよい。または,複数の帯域を検出しても良い。光量の最大値を求める際に用いる光量としては,検出したスペクトル中の最大値や各種平均値を用いてよい。これらの場合,測定点150に存在する物質組成の影響を平均化できるため,より安定的に焦点合わせを実施することができる。
次のステップ206では、試料位置の微調整と測定対象領域の設定を行う。図3の測定対象領域148は、以降のステップでCARSイメージを取得する対象となる、試料中の領域であり、ユーザの意志により決定される。本ステップ206では、この測定対象領域148を測定対象として指定する。具体的には、主に明視野像を確認しながら試料ステージ130を移動し、励起光144の散乱光などを頼りに測定点150の位置が、測定対象領域148の端に位置するようにする。その上で、表示部137上のGUIを用いて測定対象領域148の各軸方向の幅を指定することで、現在の測定点150の位置を起点とした測定対象領域148の範囲を設定する。制御部134は、設定された測定対象領域148の範囲情報から、測定時の走査範囲パラメータを決定し、記憶装置133に記憶する。
ステップ207では測定条件を設定する。例えば、測定時の1点あたりの露光時間や走査時の移動速度などのパラメータを設定する。設定方法としては、表示部137上のGUIからユーザに入力させてもよく、記憶装置133中の情報や、外部記憶上の電子ファイル中の情報を用いてもよい。なお、ステップ207を実施するタイミングは、装置電源ON202から、測定開始指示208の間のいつでもよい。
ステップ208では、ユーザから測定開始の指示を出す。
ステップ209では、試料114上を測定点150が走査しながら、CARS光145およびCARSスペクトルを検出する。図3(c)は、ステップ209の途中の状態を示している。測定対象領域148の中を、図中に示した測定予定点153の各点をラスタースキャンしながら、CARSスペクトルを測定する。ここでラスタースキャン (Raster scan) とは、2次元の画像を、まず測定点を1次元的にスキャン(走査)して線上の測定データを得て、次いでその直角方向にその線でスキャンして、2次元の面の点で測定データを得る方法である。図3(c)は、測定済みの点の集合149として示した各点を測定点として、CARSスペクトルを測定し終えた状態であり、この後測定点150の位置のCARSスペクトルを測定する。ステップ206で設定された走査範囲パラメータで規定される走査と測定の動作を終えると、全ての測定予定点153での測定は完了するので、次のステップに進む。
ステップ210では、測定が終了した旨をユーザに報告する。これには、例えば表示部137上のGUIを用いてよい。
ステップ211では、ユーザが前ステップの測定終了の報告を確認した上で、試料114を試料ステージ130から撤去する。
ステップ212では、装置電源をOFFする。
最後に213のENDでイメージング動作の手順のフローチャートは終了となる。
(焦点の調整)
図2のフローチャート中のステップ209中の動作について、図4、図5を用いてより詳細に説明する。
図4,図5は、ステップ209中の、測定点150と受光用レンズの焦点151の位置関係を示した模式図である。ここで説明する例では、試料114はガラス143とガラス142に挟まれている。ただし、ガラス143とガラス142が無くとも、以下で説明する現象に本質的な違いは無いため、このような試料114を測定する場合にも適用できる。励起用レンズ113を透過した励起光144は、励起側カップリング媒質140、ガラス142、試料114、ガラス143、受光側カップリング媒質141、の5層の中を進んで受光用レンズ115に到達する。前記5層の図中Z軸方向(励起光144の光軸方向)の厚みはそれぞれd、d、d、d、dであり、屈折率はそれぞれ、n、n、n、n、nである。
試料114とガラス143とガラス142は共に、試料ステージ130によって光軸方向に移動することができる。ここで、試料ステージ130によって光軸方向に移動される物体を試料ステージによる移動体159と総称する。試料ステージによる移動体159には、たとえば前述のように試料114とガラス143とガラス142からなっていてもよく、試料114だけの場合もありうる。また、より多くの屈折率の異なる材料からなっていてもよく、いずれの場合でも以下の操作を用いることができる。
励起用レンズ113は、励起用レンズステージ131によって光軸方向に移動することができる。受光用レンズ115は、受光用レンズステージ132によって光軸方向に移動することができる。
図4(a)は、焦点合わせがなされた状態を示した模式図である。励起光144の集光点である測定点150は、受光用レンズ115の焦点151と一致しており、CARS光145の分光検出器119による検出効率は最大となっている。
図4(a)では、励起光144とCARS光145をともに平行光に保つという条件で焦点合わせを行ってある。この条件下で、励起用レンズ113、試料ステージ130、受光用レンズ115を光軸方向に移動することで焦点合わせを行った場合、f、fはそれぞれ、励起用レンズ113と受光用レンズ115の焦点距離であるとき、次の関係を満たす。
+f=d/n+d/n+d/n+d/n+d/n ・・・式1
したがって、より一般的には図5(g)において、試料ステージ130、励起用レンズステージ131、受光用レンズステージ132を動かす際に、
/N+D/N=一定 ・・・式2
という関係式を満たすように制御することで、焦点合わせされた状態を維持することができる。ここで、Dは励起光144が励起側カップリング媒質140の中を通る距離であり、ここでは励起用レンズ113と試料ステージによる移動体159の距離を用いてよい。DはCARS光145が受光側カップリング媒質141の中を通る距離であり、ここでは受光用レンズ115と試料ステージによる移動体159の距離を用いてよい。Nは励起側カップリング媒質140の屈折率、Nは受光側カップリング媒質141の屈折率である。
また、焦点合わせの考え方として、受光用レンズ115の焦点151の代わりに、測定点150について、受光用レンズ115と集光レンズ120を含む光学系による測定点150の像点を、分光検出器119の前のスリット121の開口部122と一致させてもよい。ここで像点とは、測定点150から出たCARS光145を構成する複数本の光線が、光学系によって再び収束する点である。測定点150の像点が開口部122に一致するとき、CARS光145のうち分光検出器119で検出される成分の割合が極大になる。この考え方によれば、励起光144やCARS光145は必ずしも平行光でなくともよくなり、光学系の自由度が増す。
図4(b)は、ステップ209での走査において試料114を図中のZ軸方向(励起光の光軸方向)に移動した直後の状態を示した模式図である。なお、Z軸の向きは、図4中の右上に示したように、励起用レンズ113から受光用レンズ115へと向かう向きを正とし、移動量の向きもこれに従う。図4(b)は、図4(a)の状態から試料ステージ130をZ軸方向に移動量ΔΔdだけ移動しており、これに伴い試料114とガラス142、ガラス143が移動量ΔΔdだけ移動している。その結果、受光レンズの焦点151の位置は測定点150と一致していない。測定点150で生成したCARS光145は平行光になっていないので、測定点150の像点が開口部122に一致せず、分光検出器119による検出効率が落ちてしまう。そこで、ステップ209の間にステップ205と同様の焦点合わせの動作を繰り返すことで、CARS光145の検出効率をより高め、より大きな信号強度を得ることが可能になる。しかし、焦点合わせ動作の分だけ測定時間はのびることになる。さらに試料114のZ軸方向(励起光の光軸方向)への走査回数が増えれば、その分だけ焦点合わせ動作の回数が増え、全体の測定時間はさらに長くなってしまう。なお、図4の例ではnとnがおよそ等しい例をしているため、図4(a)と図4(b)で測定点150のZ軸方向の位置はほぼ一致しているように描かれているが、一般的には試料114の移動に伴い測定点150は移動する。
図4(c)では、試料ステージ130が移動量ΔΔdだけ移動したのに合せて、受光用レンズステージ132によって受光用レンズ115の位置を移動量ΔΔdだけ移動することにより、焦点合わせした状態を回復している。
このとき、ΔΔdの値は以下のように求めてよい。図4(c)に示された焦点合わせされた受光用レンズ115のZ軸方向の位置Zは、励起用レンズ113の位置を基準(Z=0)として、式3で表される。
Z=d+d+d+d+d
=d+d+d+d+n(f+f)-n(d/n)-n(d/n)-n(d/n)-n(d/n) ・・・式3
ただしf、fはそれぞれ、励起用レンズ113と受光用レンズ115の焦点距離である。このとき、試料ステージ130をZ軸方向に微小量動かした時のZの変化はZのdについての偏微分で得られる。d、d、dは定数でありdとは独立であることに注意して、
∂Z/∂d=1-n/n=(一定) ・・・式4
よって、ΔΔdとΔΔdの関係は比例関係である。その比例定数を用いて、補正係数を、
α=ΔΔd/ΔΔd ・・・式5
と定義する。補正係数αは励起側カップリング媒質140の屈折率と受光側カップリング媒質141の屈折率のみによって決まる定数となる。すなわち、式5によってαの値を定めてよい。
α=1-n/n ・・・式6
これを用いて、試料ステージ130を移動量ΔΔd移動したときに、受光用レンズ115を
ΔΔd=ΔΔd×α=ΔΔd×(1-n/n)・・・式7
の移動をすれば、焦点合わせされた状態を維持することができる。これによって、ステップ205と同様の焦点合わせ動作をステップ209の中で実施する必要は無くなり、ステップ209の所要時間を短縮し、全体の測定時間も短縮できる。
補正係数αの値を0に設定した場合は、受光用レンズ115の位置補正を行わない従来と同じ動作が可能である。この補正係数αの値を正の値(α>0)に設定してもよい。この場合n<nとなるレンズの組合せが使用できる。この補正係数αの値を負の値(α<0)に設定してもよい。この場合n>nとなるレンズの組合せが使用できる。なお、補正係数αの値を1に設定した場合は、試料114と受光用レンズ115との距離を一定に保つことができる。
前述のように、好ましい実施形態の一つでは、励起用レンズ113は水浸レンズで、受光用レンズ115は空気用レンズ(非液浸レンズ)である。このとき、励起側カップリング媒質140が水、受光側カップリング媒質141が空気であるので、試料ステージ130の移動量に対する受光レンズ115の好ましい移動量の比率は、水と空気の屈折率のみで定まる。水の屈折率を1.333、空気の屈折率を1.000とすると、前記の比率は0.2498となる。よって、試料ステージ130の移動量から受光用レンズ115の移動量を定める係数を0.2498に定めてもよい。または、温度変化や夾雑物による水や空気の屈折率の変動を4%程度考慮して、前記の係数を0.24から0.26の間の任意の定数に定めても良い。また、前記の変動を20%程度考慮して、前記の係数を0.2から0.3の間の任意の定数に定めても良い。
好ましい実施形態の一つでは、前記の例とは逆に、励起用レンズ113は空気用レンズ(非液浸レンズ)で、受光用レンズ115は水浸レンズである。このとき、励起側カップリング媒質140が空気、受光側カップリング媒質141が水であるので、試料ステージ130の移動量に対する受光レンズ115の好ましい移動量の比率は、水と空気の屈折率のみで定まる。水の屈折率を1.333、空気の屈折率を1.000とすると、前記の比率は、-0.333となる。よって、試料ステージ130の移動量から受光用レンズ115の移動量を定める係数を-0.3333に定めてもよい。または、温度変化や夾雑物による水や空気の屈折率の変動を4%程度考慮して、前記の係数を-0.32から-0.346の間の任意の定数に定めても良い。また、前記の変動を20%程度考慮して、前記の係数を-0.278から-0.4の間の任意の定数に定めても良い。
また、ほかの好ましい実施形態では、励起側カップリング媒質140と受光側カップリング媒質141は水、空気、オイル、グリセロール、シリコーンオイルなどである。表1は、あらかじめこれらの媒質の屈折率から計算した、媒質の組合せと補正係数αの補正係数αの値の表の例である。
Figure 0007002565000001
表中のAとBはそれぞれ、励起側カップリング媒質140と受光側カップリング媒質141に対応する。表1のような対応表を記憶装置133に保持しておいてよく、顕微鏡の使用時に適宜これらの値を取り出して補正係数αとして設定してよい。これによって、励起側カップリング媒質140と受光側カップリング媒質141のいずれか、または両方について、複数のレンズに対応する製品を提供できる。また、ユーザが測定目的や試料の種類に応じてレンズを切り替えて使用することも可能になる。
また、表2に示すように、媒質名と屈折率の対応表を記憶装置133に保持してもよい。なお、表中のR.I.は屈折率を表す。制御部134で、この対応表の屈折率を用いて、補正係数αを算出して用いても良く、その場合は表1のような対応表よりも行数が少なくてよいため、記憶装置133中に占める容量を節約できる。
Figure 0007002565000002
また、記憶装置133中に保持した補正係数α、屈折率、または媒質名の複数の選択肢のうち、どれを用いるかを選択する手段としては、ユーザに選択を促して選択情報の入力を受け付ける表示部137上のGUIを用いてよい。このときユーザが入力する情報としては、αの値そのもの、1つの屈折率、2つの屈折率、1つの媒質名、2つの媒質名、でよい。これらの入力値と表1の対応表や表2の対応表を用いて補正係数αを算出してよい。αの算出法として、2つの屈折率を数5のnとnに代入してαを求めてよい。なお、1つの媒質名、または1つの屈折率だけを入力する場合は、他方の媒質名または屈折率はデフォルト値を用いればよい。ユーザが入力する形態としては、数値のテキスト入力、数値のスライドバーでの指定、プルダウンメニューによる数値または物質名の選択、ラジオボタンによる数値または物質名の選択、などを用いてよい。
また、記憶装置133に保持した複数の値のうちどれを用いるかを選択する手段として、装置に備え付けられたセンサまたは電子回路が励起用レンズ113と受光用レンズ115のいずれかまたは両方の、レンズの種類や媒質の屈折率を認識し、認識結果を入力として制御部134が適切な値を選択してもよい。
物質の屈折率は一般に,考慮する光の波長によって変わるが,CARSでは以下のように複数の波長を含む光を扱う必要がある。まず、CARSの励起光144はポンプ光とストークス光という波長の異なる光からなる。多色CARSにおいては、励起光144中のストークス光成分もまた複数波長を含む広帯域光を用いる必要がある。さらには、多色CARSにおけるCARS光145も複数波長を含む広帯域光である。したがって、励起側カップリング媒質140と受光側カップリング媒質141の物質がそれぞれ同じであっても、複数波長のどの波長に着目するかで、前記のα算出時に用いるために式5に代入する2つの屈折率nとnの値は異なってくる。
例えば、多色CARSでは、励起光144は狭帯域光であるポンプ光と広帯域光であるストークス光が励起側カップリング媒質140中を透過し、広帯域光であるCARS光145が受光側カップリング媒質141中を透過する。
そこで、好ましくは、励起側カップリング媒質140のポンプ光の中心波長に対する屈折率をnとして用いる。また、受光側カップリング媒質141のターゲット波長に対する屈折率をnとして、それぞれ指定する。
を考慮する際の波長としてポンプ光の中心波長を選ぶ理由は、CARS光発生に対してポンプ光はストークス光より大きな寄与をもつためである。
なお、ターゲット波長はユーザが最も興味を持つ分子のCARS光波長に対応するように選ぶ。具体的には、ポンプ光の波長からターゲット波数ボックス175に指定されたターゲット波数分だけ高波数(短波長)側にシフトした波長とする。
αを求める際に用いる波長を以上のように選ぶことによって、ユーザの最も興味を持っている分子に対応するCARS光の検出効率を極大にできる。
屈折率を考慮する波長は,任意の適切な波長に対する屈折率を用いてよく,例えば,波長589nmに対する屈折率でもよい。短パルスレーザ光源101の波長や,ポンプ光の波長,励起光144波長や,CARS光145の波長に対する屈折率を用いれば,より精度の高い焦点合わせが実現できるので良い。CARS光145の波長の指定は,励起光144波長からの差分を波長や波数で指定してもよい。多色CARSの場合の励起光144の波長,ポンプ光の波長やCARS光145の波長の指定は,各光のスペクトルの帯域の中央値や,光強度のピーク位置を参考に設定してよい。たとえば,CARS光145の波長として,励起光144の波長からのアンチストークスラマンシフトで表現して,100cm-1~2000cm-1を用いれば指紋領域のCARSスペクトルをより感度よく測定可能であり,2000cm-1~4000cm-1を用いればO-H結合やC-H結合を多く含む,水や有機物をより感度高く測定できる。
また,例えば,前記のn1は励起光144の波長で,n5は励起光144の波長から指定波数分だけずれた波長で,それぞれ屈折率を考慮してもよく,この場合,励起光144とCARS光145の波長の違いを考慮したより高精度の焦点合わせを実現できる。
屈折率を考慮するための1つまたは複数の波長は,表示部137上のGUIを用いてユーザに直接入力させても,選択肢から選択させてもよく,記憶装置133にあらかじめ保持された情報によってもよい。前記の屈折率の選択肢からの選択は,制御部134が励起光源139や分光検出器119の種類や設定を認識し,その結果に基づいて選択してもよい。
さらには,表2の対応表中に,波長ごとの屈折率の値も含めて,記憶装置133に保持しておき,選択された媒質名と波長の組合せから,屈折率を選択し,補完して算出して,用いても良い。
ステップ209で、測定点150の試料114中での走査は、試料ステージ130を固定したままで、励起用レンズ113を励起用レンズステージ123で移動することによってもよい。このとき、式2の関係を満たすように励起用レンズステージ123と受光用レンズステージ132を制御すればよい。たとえば、図5(f)のように、励起用レンズ113のZ軸方向(励起光144の光軸方向、励起用レンズ113から受光用レンズ115へと向かう向きを正とする)の移動量をΔΔd、受光用レンズ115の移動量をΔdとすれば、一度焦点を合わせた状態を維持するためには、式5によって定まるαを用いてΔd/Δd=-n/nとなるように各ステージを制御すればよい。
また、ステップ209で、測定点150の試料114中での走査は、受光用レンズステージ132を固定したまま、試料114を試料ステージ130で、励起用レンズ113を励起用レンズステージ123で、それぞれ移動することによってもよい。このとき、式2の関係を満たすように励起用レンズステージ123と試料ステージ130を制御すればよい。たとえば、図5(e)のように、励起用レンズ113のZ軸方向(励起光144の光軸方向、励起用レンズ113から受光用レンズ115へと向かう向きを正とする)の移動量をΔd、試料114の移動量を-Δdとすれば、一度焦点を合わせた状態を維持するためには、式5によって定まるαを用いて
Δd/Δd=1+n/n ・・・式8
となるように各ステージを制御すればよい。
また、前記の例も含めて一般には、図5(g)において励起用レンズ113とガラス142の間の距離Dの変化をΔD(距離が増える方を正として)、受光用レンズ115とガラス143の間の距離Dの変化をΔDとすれば(距離が増える方を正として)、いずの場合も、
ΔD/ΔD=-N/N ・・・式9
となるように各ステージを制御すればよい。
このような各ステージを特定の比例係数に従って連動させる制御は、ステップ201装置電源ONからステップ212装置電源OFFまでの間で、有効な時期と無効な時期があるように設定される。少なくともステップ209では前記の制御は有効である。未だ焦点合わせが行われていないステップ205では、前記制御は無効に設定する。このような前記制御の有効、無効の切換は、装置が自動で行ってよいし、GUI160上のボタンやラジオボタンなどを備えることで、ユーザに切換を指示する手段を提供してもよい。
ステップ209で焦点を合わせた状態を維持するために、受光用レンズ115と集光レンズ120を含む光学系による測定点150の像点を、分光検出器119の開口部122に一致させるよう制御してもよい。この場合、受光用レンズ115を透過した後のCARS光145は必ずしも平行光でなくてよい。具体的には、受光用レンズ115と集光レンズ120を組合せレンズとして捉えて、その主点の位置、合成焦点距離、またはその両方を変化させればよい。例えば、図4(d)に示したように、集光レンズ120の位置をCARS光145の光軸方向に移動してもよい。また例えば、受光用レンズ115または集光レンズ120に複合レンズに焦点距離調整機構を備えたものを用いて、その焦点距離が前記条件を満たすように調整してもよい。集光レンズの移動は、集光レンズステージ138によって移動することができる。
図4(d)は、図4(b)の状態から集光レンズ120を移動距離Δdだけ移動することで、焦点を合わせた状態を実現した状態である。測定点150で発生して矢印147の向きに進むCARS光145は、受光用レンズ115と集光レンズ120を含む光学系によって、分光検出器119前面のスリット121の開口部122に集められている。すなわち、測定点150の像点が開口部122の位置にあり、CARS光145の検出効率は極大となっている。ここで測定点150が移動したときに、測定点150の像点を開口部122の位置に保ち、焦点を合わせた状態を維持するために最適な集光レンズ120の移動距離Δdは以下のように求めればよい。
まず、図4(a)の状態から図4(b)の状態まで、試料ステージ130をZ軸方向に移動量Δdだけ移動したとき、これに伴って測定点150と受光用レンズ115の空気換算距離aは、次の式で表されるΔaだけ変化する。
Δa=Δd(1/n-1/n) ・・・式10
受光用レンズ115による測定点150の像点と受光用レンズ115との距離をb、受光用レンズ115による測定点150の像点と集光レンズ120との距離をb’、受光用レンズ115と集光レンズ120のレンズ2枚の光学系による測定点150の像点と集光レンズ120との距離cとすると、次の式が成り立つ。
1/a+1/b=f、1/b‘+1・c=f ・・・式11
また、受光用レンズ115と集光レンズ120のレンズ2枚の光学系による測定点150の像点のZ軸方向の位置Zを、受光用レンズ115の位置を基準として表すと、
=b-b‘ ・・・式12
式11を変形して式12に代入して次の式を得る。
=fa/(a-f)-fc/(c-f)+c ・・・式13
ここで、A=a-f1、C=c-fとおけば、
={f(A+f)/A}-{f(C+f)/C}+(C+f
・・・式14
測定点150がZ軸方向に微小量動いた時、その像点の位置Zの変化はZのaについての偏微分で得られる。
∂Z/∂a
=(∂Z/∂A)・(∂A/∂a)
=-f /A+(f /C)・∂C/∂A+∂C/∂A ・・・式15
を一定に保つための条件は、式15=0なので、
{1+(f /C)}・∂C/∂A=f /A ・・・式16
∂C/∂A=(f /A)/{1+(f /C)}
={f /(a-f}・{(c-f/{(c-f+f } ・・・式17
ここで、集光レンズ120と開口部122の距離が焦点距離fに近い場合は、(c-f<<f なので、
∂C/∂A={f /(a-f}・{(c-f/f
={f /f }・{(c-f/(a-f
・・・式18
試料ステージ130の移動量Δdに対して、集光レンズ120の望ましい移動量Δcを算出するための補正係数を、β=Δd/Δdと定義する。式10と式18から、
β=Δd/Δd=Δc/Δd
=∂C/∂A・Δa/Δd
=(f /f ){(c-f/(a-f}(1/n-1/n) ・・・式19
さらに、測定点150が受光用レンズ115の焦点に近い場合(受光用レンズ115を通ったあとのCARS光145が平行光に近い場合)には、次の関係が成り立つ。
(c-f/(a-f=(f/f ・・・式20
よって式19は、
β=(f/f・(1/n-1/n) ・・・式21
したがってこのとき、試料ステージ130をZ軸方向に移動量Δdだけ移動したときに、集光レンズ120を移動量Δd=β・Δdだけ移動すれば、図4(d)のように、焦点を合わせた状態を実現でき、CARS光145の検出効率を極大にすることができる。またこのとき、集光レンズ120と開口部122の間の距離Dの変化をΔD(距離が増える方を正として)、励起用レンズ113とガラス142の間の距離Dの変化をΔD(距離が増える方を正として)とすればΔDとΔDを用いて
ΔD=β×ΔD・・・式22
となるように各ステージを制御してもよい。また、集光レンズ120と開口部122の間の距離と受光用レンズ115とガラス143の間の距離でも同様に類似した関係が成り立つ。
他の好ましい実施例として、CARS光145を分光検出器119まで導くための光学系の一部に光ファイバを用いてもよく、この場合は分光検出器119の配置の自由度が高まるメリットがある。この場合、光ファイバの入射側開口を、本実施例の走査型顕微鏡100のスリット121の開口部122と同等になるように配置すればよく、このような光学系においても焦点を合わせた状態を維持してステップ209の測定を行うことができる。
ステップ209で焦点を合わせた状態を維持するためには、前記のような、試料ステージ130と受光用レンズステージ132とを補正係数αを用いて連動する制御と、自動焦点合わせ制御を組み合わせた制御を行ってもよい。具体的には、最後に焦点合わせを実行してからのZ軸方向の累積移動量を記憶装置133に保持しておいて、累積移動量が閾値に達するまでは、補正係数αに従って受光用レンズステージ132を移動することで焦点合わせを維持する。累積移動量が閾値に達した時点で、自動焦点合わせ制御を実行する。これによって、試料ステージ130のZ軸方向への移動時に毎回焦点合わせを実行する場合に比べて測定時間を短縮することができる。
なお、ここで用いる閾値としては任意の値を設定してよいが、測定点150のサイズより十分大きい長さでよく、例えば測定点150のサイズが1μm前後の場合、好ましい閾値は約10倍の10μm、または約100倍の100μm、または約1000倍の1000μmである。この場合、それぞれ、試料中に10μmオーダー、100μmオーダー、1000μmオーダーの屈折率ムラが存在する場合に生じうる、焦点あわせのズレに対応し、このような試料に対しても、手動の焦点合わせを実行することなく測定を実行できる。
また、累積移動量と閾値を比較する際に、累積移動量の絶対値と閾値を比較してもよい。こうすることで、Z軸の正負両方の向きに試料ステージ130を移動する場合にも対応できる。また、累積移動量の確認と焦点合わせの実行タイミングは、ステップ209の走査時でもよいし、手動またはGUIを介して試料ステージ130を動作している時でもよい。
さらには、累積移動量と閾値をZ軸方向以外の移動量について設定してもよい。例えば、X軸方向、Y軸方向、またはその両方について設定した場合、試料114自体が試料ステージ130や励起光144の光軸に対して傾きを持っていた場合に、X軸方向やY軸方向への試料ステージ130移動に伴って試料114表面のZ軸方向の位置が変動してしまうことによって焦点合わせのズレが生じたとしても、そのズレが過大にならないよう制御することができる。
または、試料ステージ130をZ軸方向に移動した際に毎回、または規定回数ごとに、自動焦点合わせ制御を実行してもよい。そして、各回の自動焦点合わせ制御を開始する時点で、補正係数αを用いて受光用レンズステージ132の位置座標を算出し、この座標を自動焦点合わせ実行時の受光用レンズステージ132の初期座標として採用する。これによって、自動焦点合わせにおける受光用レンズステージ132の位置座標の初期座標と、ベストの座標との乖離の期待値を小さくできるため、自動焦点合わせの信頼性向上と所要時間短縮が期待できる。
XY軸方向のサイズが比較的大きな試料114が傾いて保持されている場合など、試料ステージ130をXY軸方向に移動した際に、これに伴って試料114が意図せずZ軸方向に移動してしまう場合がある。本実施例を応用することで、このような場合にも対応することが可能である。
ステップ203で試料を設置してから、ステップ209の開始までの間のいずれかのタイミングで、試料ステージ130を3点以上の異なる点に移動し、各点で焦点合わせを実施する。 各点での焦点合わせの設定パラメータ、ここでは受光用レンズステージ132のZ座標と試料ステージ130のXYZ座標と共に記憶装置133に保持しておく。
または、実際に焦点合わせを実施する代わりに、何からの方法で焦点合わせの参考となる値、たとえば試料114のZ座標の代表値を測定しても良い。試料114のZ座標としては、試料114の励起用レンズ113側の表面位置、試料114の受光用レンズ115側の表面位置、Z軸方向の中心位置、ガラス142やガラス143のように試料114の容器や基板にあたる物体の表面や中心位置、試料114やその容器や基板に設けられた刻印や印刷などによる位置マーカの位置、等の座標を用いてよい。これらの方法で、3点以上で取得した焦点合わせの参考値から焦点合わせの設定パラメータを算出しても良い。
制御部134上での計算により、前記各点での焦点合わせの設定パラメータやその参考値から、試料114上のほかの位置での設定パラメータを補完または推定することが可能である。例えば、前記各点での試料ステージ130のX座標、Y座標、受光用レンズステージ132のZ座標を、それぞれa、a、aとして、3つ以上の前記各点をa、a、a3次元空間上の点として表現できるので、各点を含む平面、曲面や、各点の回帰平面、曲面を求めることで、各点以外の位置での受光用レンズステージ132の望ましいZ座標を求めることができる。これを用いて、試料ステージ130をXY軸に移動する際に、自動的に受光用レンズステージ132を望ましいZ座標に移動することができる。これによって、傾いて保持された試料114を走査する際にも、焦点合わせを維持することができる。
図7は、本実施例の走査型顕微鏡600の基本的な構成例を示す模式図である。
走査型顕微鏡600は、励起用レンズ113を透過した励起光を試料114に照射するよう配置し、そこで生成された光を検出器に導くよう受光用レンズ115を配置している点は、走査型顕微鏡100と同様である。走査型顕微鏡600は、試料ステージ130を移動しながら測定することで、イメージングが可能である点も走査型顕微鏡100と同様である。
走査型顕微鏡600は、複数の狭帯域光からなる励起光644を出射する励起光源639を備える点が走査型顕微鏡100と異なっている。励起光源639は、フォトニック結晶ファイバ105から出射された広帯域光から狭帯域光を抽出するAOTF(音響光学可変フィルタ)607を備える。AOTF607は制御部134の指示により抽出する光の波長を調節可能である。また、励起光644が狭帯域光からなるために、生成されるCARS光645も狭帯域光である点と、そのためにCARS光645を検出する光検出器619は分光機能をもたない点も、走査型顕微鏡100と異なっている。このような光検出器619として、光電子増倍管やフォトダイオードを用いてよい。この構成によって、走査型顕微鏡600は単色CARS測定が可能である。単色CARSを採用する場合、検出器に分光性能が必要でないので、多色CARSに比べ簡素な検出系の構成で実現することができる。
(単色CARS用の別の狭帯域光源構成)上記では複数の狭帯域光からなる励起光644を出射する励起光源639として、広帯域光から狭帯域光の例を示したが、この代わりに狭帯域光を入力として別の波長の狭帯域光を出力するOPO(光パラメトリックオシレータ)のような光学素子を用いてもよい。この場合は、狭帯域光の光源である短パルスレーザ光源101の出力光を偏光ビームスプリッタ103で2つの光線に分割し、片方の光線をそのまま、他方の光線をOPOによって波長変換したうえで、2つの光線をダイクロイックミラー108で合波することで、2つの波長の異なる狭帯域光パルス光の光源を実現できる。
CARS光645は、光検出器619の前の有限の大きさを持つ開口部622を通過して、光検出器619の受光面に到達する。前記の開口部622とは、光検出器619の前に特段の絞りやスリットを設ける場合は、それらの開口部の1つまたは両方を指す。また、光検出器619の前に特段の絞りやスリットを設けない場合は、光検出器619の有限の大きさを持つ受光面を開口部622と考えてよい。その他の点は、実施例1の走査型顕微鏡100と同様である。
走査型顕微鏡600の焦点合わせでは、受光用レンズ115と集光レンズ120を含む光学系による測定点150の像点が開口部622の内部に位置するように、より好ましくは開口部622の中心に位置するように、受光用レンズステージ132を移動して受光用レンズ115を配置する。これによって、CARS光645のうち開口部622を通過する成分を最大にすることができる。
走査型顕微鏡600は、実施例1の走査型顕微鏡100と同様の機構によって、試料ステージ130を移動する際に焦点合わせを維持することができる。
図8は、本実施例の走査型顕微鏡700の基本的な構成例を示す模式図である。
走査型顕微鏡700は、励起用レンズ113を透過した光を試料114に照射するよう配置し、そこで生成された光を光検出器619に導くよう受光用レンズ115を配置している点は、走査型顕微鏡600と同様である。走査型顕微鏡700は、試料ステージ130を移動しながら測定することで、イメージングが可能である点も走査型顕微鏡600と同様である。
走査型顕微鏡700は、単色の励起光744を出射する励起光源739を備える点が走査型顕微鏡600と異なる。励起光源739は短パルスレーザ光源101を備える。
走査型顕微鏡700は、以下のようにして2光子励起蛍光を検出可能である。励起光744は励起用レンズ113を透過して、試料114中の測定点150に集光される。励起光744により測定点150に存在する物質が2光子励起され、2光子励起蛍光745を生成する。受光用レンズ115を透過した2光子励起蛍光745は、開口部622を通過して光検出器619に到達して検出される。なお、2光子励起蛍光745でなく、3光子励起蛍光など、その他の多光子励起蛍光や、2次高調波、3次高調波、和周波、高次和周波を検出しても良い。この場合、ノッチフィルタ117、ショートパスフィルタ118、ダイクロイックミラー124の波長特性を適切に選択すればよく、また検出系として、実施例1で用いた分光検出器119とスリット121を用いてもよい。
走査型顕微鏡700の焦点合わせは、受光用レンズ115と集光レンズ120を含む光学系による測定点150の像点が開口部622の内部に位置するように、より好ましくは開口部622の中心に位置するように、受光用レンズステージ132を移動して受光用レンズ115を配置する。これによって、2光子励起蛍光745のうち開口部622を通過する成分を最大にすることができる。
走査型顕微鏡700は、実施例2の走査型顕微鏡600と同様の機構によって、試料ステージ130を移動する際に焦点合わせを維持することができる。
図9は、本実施例の走査型顕微鏡800の基本的な構成例を示す模式図である。
走査型顕微鏡800は、励起用レンズ113を透過した光を試料114に照射するよう配置し、そこで生成された光を光検出器619に導くよう受光用レンズ115を配置している点は、走査型顕微鏡700と同様である。走査型顕微鏡800は、試料ステージ130を移動しながら測定することで、イメージングが可能である点も走査型顕微鏡700と同様である。
走査型顕微鏡800は、以下のようにして2光子励起蛍光を検出可能である。励起光744は励起用レンズ113を透過して、試料114中の測定点150に集光される。励起光744により測定点150に存在する物質が2光子励起され、2光子励起蛍光745を生成する。受光用レンズ115を透過した2光子励起蛍光745は、開口部622を通過して光検出器619に到達して検出される。
走査型顕微鏡800では、励起光源739は短パルスレーザ光源101を備えるが、レーザ光源として連続波(CW)光源を用いても良い。
走査型顕微鏡800では、2光子励起蛍光745でなく、3光子励起蛍光など、その他の多光子励起蛍光や、2次高調波、3次高調波、和周波、高次和周波を検出しても良い。この場合、ノッチフィルタ117、ショートパスフィルタ118、ダイクロイックミラー124の波長特性を適切に選択すればよく、また検出系として、実施例1で用いた分光検出器119とスリット121を用いてもよい。
走査型顕微鏡800では、2光子励起蛍光745でなく、1光子で励起される蛍光を検出してもよい。この場合、蛍光の波長は励起光744の波長より長いので、ショートパスフィルタ118、ダイクロイックミラー124の仕様を適切に変更すればよい。例えば、ショートパスフィルタ118の代わりに励起光744を透過せずに前記蛍光を透過するように、励起光744の波長より長波長のカットオフ波長を持つロングパスフィルタや、バンドパスフィルタを用いてよい。
走査型顕微鏡800の焦点合わせは、受光用レンズ115と集光レンズ120を含む光学系による測定点150の像点がピンホール821の開口部822の内部に位置するように、より好ましくは開口部822の中心に位置するように、受光用レンズステージ132を移動して受光用レンズ115を配置する。これによって、2光子励起蛍光745のうち開口部622を通過する成分を最大にすることができる。
走査型顕微鏡800は、実施例3の走査型顕微鏡700と同様の機構によって、試料ステージ130を移動する際に焦点合わせを維持することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100 走査型顕微鏡
101 短パルスレーザ光源
102 1/2波長板
103 偏光ビームスプリッタ
104 コリメータ
105 フォトニック結晶ファイバ
106 コリメータ
107 ロングパスフィルタ
108 ダイクロイックミラー
109 コリメータ
110 光ファイバ
111 コリメータ
112 ダイクロイックミラー
113 励起用レンズ
114 試料
115 受光用レンズ
117 ノッチフィルタ
118 ショートパスフィルタ
119 分光検出器
120 集光レンズ
121 スリット
122 開口部
123 励起用レンズステージ
124 ダイクロイックミラー
125 ミラー
126 結像レンズ
127 2次元センサ
128 ミラー
129 明視野用光源
130 試料ステージ
131 励起用レンズステージ
132 受光用レンズステージ
133 記憶装置
134 制御部
135 ピエゾコントローラ
136 モータコントローラ
137 表示部
138 集光レンズステージ
139 励起光源
140 励起側カップリング媒質
141 受光側カップリング媒質
142 ラス
143 ラス
144 励起光
145 CARS光
146 励起光の進行方向
147 CARS光の進行方向
148 測定対象領域
149 測定済みの点の集合
150 測定点
151 受光用レンズの焦点
152 受光用レンズの焦点から発した光の光路
153 測定予定
154 試料ステージの移動量
155 受光用レンズの移動量
156 集光レンズの移動量
157 励起用レンズの移動量
159 試料ステージによる移動体
160 GUI
161 明視野画像表示領域
162 CARSイメージ
163 明視野画像
164 CARSイメージ表示領域
165 自動焦点合わせボタン
166 補正用パラメータ設定用GUI
167 励起側カップリング媒質選択ボックス
168 受光側カップリング媒質選択ボックス
169 励起側カップリング媒質屈折率ボックス
170 受光側カップリング媒質屈折率ボックス
171 受光用レンズ位置ボックス
172 試料ステージ座標ボックス
173 試料走査範囲ボックス
174 補正係数ボックス
175 ターゲット波数ボックス
176 焦点合わせモード切換ボタン
201 イメージング動作のフローチャートの開始点
202 装置電源ON
203 試料を設置
204 試料位置の粗調整
205 焦点合わせ
206 測定対象領域の設定
207 測定条件の測定
208 測定開始指示
209 走査しながらCARS光を検出
210 測定終了を報告
211 試料を撤去
212 装置電源OFF
213 イメージング動作のフローチャートの終了点
600 走査型顕微鏡
607 AOTF
619 光検出器
622 開口部
639 励起光源
644 励起光
645 CARS光
700 走査型顕微鏡
739 励起光源
744 励起光
745 2光子励起蛍光
800 走査型顕微鏡
821 ピンホール
822 開口部

Claims (15)

  1. 励起光源と、試料に向けて励起光を集光する励起用レンズと、前記試料の位置を調整する試料ステージと、
    前記励起光により前記試料から発生する前記励起光とは波長の異なる信号光を集光する受光用レンズと、受光用レンズを通過した前記信号光を集光する集光レンズと、前記信号光を検出する検出器と、を備え、
    前記励起用レンズ、前記試料、前記受光用レンズ、前記集光レンズのうち、少なくとも2種類が、予め指定された補正係数を基に、光軸方向に移動するように制御する制御部を有し、
    光軸方向に移動する前記2種類の距離の変化量は比例関係にあり、前記補正係数は、光軸方向に移動する前記2種類の距離の変化量の比例定数であることを特徴とする光学分析装置。
  2. 請求項1において、前記試料と前記受光用レンズが、予め指定された補正係数を基に、
    光軸方向に移動するように制御する制御部を有することを特徴とする光学分析装置。
  3. 請求項1において、励起用レンズと前記受光用レンズが、予め指定された補正係数を基に、
    光軸方向に移動するように制御する制御部を有することを特徴とする光学分析装置。
  4. 請求項1において、前記励起用レンズと前記試料が、予め指定された補正係数を基に、
    光軸方向に移動するように制御する制御部を有することを特徴とする光学分析装置。
  5. 請求項1において、前記試料と前記集光レンズが、予め指定された補正係数を基に、
    光軸方向に移動するように制御する制御部を有することを特徴とする光学分析装置。
  6. 請求項1において、前記励起用レンズと前記集光レンズが、予め指定された補正係数を基に、
    光軸方向に移動するように制御する制御部を有することを特徴とする光学分析装置。
  7. 請求項1において、前記受光用レンズと前記集光レンズが、
    予め指定された補正係数を基に、光軸方向に移動するように制御する制御部を有することを特徴とする光学分析装置。
  8. 請求項1、または請求項2、または請求項3、または請求項4に記載の光学分析装置において、
    励起用レンズステージあるいは試料ステージが移動することによる励起用レンズと試料の間の光軸方向の距離の変化量ΔD1と、受光用レンズステージが移動することによる受光用レンズの光軸方向の距離の変化量ΔD5と、補正係数αとの間には、
    ΔD5=α×ΔD1
    の関係が成り立つことを特徴とする光学分析装置。
  9. 請求項1、または請求項5、または請求項6に記載の光学分析装置において、
    励起用レンズステージあるいは試料ステージが移動することによる励起用レンズと試料の間の光軸方向の距離の変化量ΔD1と、前記集光レンズの光軸方向の距離の変化量ΔD6と、補正係数βとの間には、
    ΔD6=β×ΔD1
    の関係が成り立つことを特徴とする光学分析装置。
  10. 請求項1、または請求項2、または請求項3、または請求項4、または請求項5、または請求項6に記載の光学分析装置において、
    励起用レンズステージあるいは試料ステージが移動することによる励起用レンズと試料の間の光軸方向の距離の変化量ΔD1と、受光用レンズステージが移動することによる受光用レンズの光軸方向の距離の変化量ΔD5と、補正係数αとの間には、
    ΔD5=α×ΔD1
    の関係が成り立ち、
    前記距離の変化量ΔD1と、前記集光レンズの光軸方向の距離の変化量ΔD6と、補正係数βとの間には、
    ΔD6=β×ΔD1
    の関係が成り立つことを特徴とする光学分析装置。
  11. 求項10において、
    前記励起用レンズと前記試料とを結合する第1の媒質と、前記受光用レンズと前記試料とを結合する第2の媒質とを有し、
    前記補正係数α、βは、第1の媒質と第2の媒質の屈折率を用いて求められる係数であることを特徴とする光学分析装置。
  12. 請求項11において、
    第1の媒質の屈折率をn1、第2の媒質の屈折率をn5とすると、前記補正係数αは、
    α=-n5/n1
    で演算される値であることを特徴とする光学分析装置。
  13. 請求項11において、
    第1の媒質の屈折率をn1、第2の媒質の屈折率をn5とし、
    受光レンズの焦点距離をf1、集光レンズの焦点距離をf2とすると、
    前記補正係数βは、
    β=(f1/f2)・(1/n1 - 1/n5)
    で演算される値であることを特徴とする光学分析装置。
  14. 請求項1において、
    前記検出器で検出される信号光がCARS光であって、前記試料上を測定点が走査しながら前記CARS光を検出することを特徴とする光学分析装置。
  15. 請求項1において、
    前記受光用レンズと前記検出器との間の光軸上に、共焦点光学系を構成するピンホールを備えることを特徴とする光学分析装置。
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