以下、本発明の実施例を添付図面に従って説明する。図1から図3は、本実施例の主要部分を示すもので、図1は加熱調理器本体を前面側から見た斜視図、図2は同本体の外枠を除いた状態で後方側から見た斜視図、図3は図1のA-A断面図である。
図において、加熱調理器の本体1は、加熱室28の中に加熱する食品を入れ、マイクロ波やヒータの熱、過熱水蒸気を使用して食品を加熱調理する。
ドア2は、加熱室28の内部に食品を出し入れするために開閉するもので、ドア2を閉めることで加熱室28を密閉状態にし、食品を加熱する時に使用するマイクロ波の漏洩を防止し、ヒータの熱や過熱水蒸気を封じ込め、効率良く加熱することを可能とする。
取っ手9は、ドア2に取り付けられ、ドア2の開閉を容易にするもので、手で握りやすい形状になっている。
ガラス窓3は、調理中の食品の状態が確認できるようにドア2に取り付けられており、ヒータ等の発熱による高温に耐えるガラスを使用している。
入力手段71は、ドア2の前面下側の操作パネル4に設けられ、マイクロ波加熱やヒータ加熱等の加熱手段や加熱する時間等と加熱温度の入力するための操作部6と、操作部6から入力された内容や調理の進行状態を表示する表示部5とで構成されている。
外枠7は、加熱調理器の本体1の上面と左右側面を覆うキャビネットである。
水タンク42は、過熱水蒸気を作るのに必要な水を溜めておく容器であり、加熱調理器の本体1の前面下側に設けられ、本体1の前面から着脱可能な構造とすることで給水および排水が容易にできるようになっている。
後板10は、前記したキャビネットの後面を形成するものであり、上部に外部排気ダクト18が取り付けられ、食品から排出した蒸気や本体1の内部の部品を冷却した後の冷却風(廃熱)39を外部排気ダクト18の外部排気口8から排出する。
機械室20は、加熱室底面28aと本体1の底板21との間の空間部に設けられ、底板21上には食品を加熱するためのマグネトロン33、マグネトロン33に接続された導波管47、制御手段23aを実装した制御基板23、その他後述する各種部品、これらの各種部品を冷却するファン装置15等が取り付けられている。
加熱室底面28aは、略中央部が凹状に窪んでおり、その中に回転アンテナ26が設置され、マグネトロン33より放射されるマイクロ波エネルギーが導波管47、回転アンテナ26の出力軸46aが貫通する開孔部47aを通して回転アンテナ26の下面に流入し、該回転アンテナ26で拡散されて加熱室28内に放射される。回転アンテナ26の出力軸46aは回転アンテナ駆動手段46に連結されている。
ファン装置15は、底板21に取り付けた冷却モータに取り付けられた冷却ファンとで構成する。このファン装置15によって発生する冷却風39は、機械室20内の自己発熱するマグネトロン33やインバータ基板(図示無し)、重量センサ25などを冷却する。
また、加熱室28の外側と外枠7の間および熱風ケース11aと後板10の間を流れ、外枠7と後板10を冷却しながら外部排気ダクト18の外部排気口8より排出される。さらに、後述する熱風モータ13を冷却するためのダクト16aと、後述する赤外線ケース48内に収められた赤外線ユニット50を冷却するためのダクト16bが設けられ、赤外線ユニット50を冷却した冷却風39は、加熱室28内の排熱(水蒸気など)を廃棄する排気ダクト28eの反対側から排出された後、外部排気ダクト18より外に排出される。
レンジ加熱手段330はマグネトロン33とインバータ基板(図示せず)より成り、前記制御手段23aによって制御される。
加熱室28の後部には、熱風ユニット11が取り付けられ、該熱風ユニット11内には加熱室28内の空気を効率良く循環させる熱風ファン32が取り付けられ、加熱室後部壁面28bには空気の通り道となる熱風吸気孔31と熱風吹出し孔30が設けられている。
熱風ファン32は、熱風ケース11aの外側に取り付けられた熱風モータ13の駆動により回転し、熱風ヒータ14で循環する空気を加熱する。
また、熱風ユニット11は、加熱室奥壁面28bの後部側に熱風ケース11aを設け、加熱室奥壁面28bと熱風ケース11aとの間に熱風ファン32とその外周側に位置するように熱風ヒータ14を設け、熱風ケース11aの後側に熱風モータ13を取り付け、そのモータ軸を熱風ケース11aに設けた穴を通して熱風ファン32と連結している。
熱風モータ13は、加熱室28や熱風ヒータ14からの熱によって温度上昇するため、それを防ぐために、熱風モータカバー17によって囲い、略筒状に形成されてダクト16aを熱風ケース11aと後板10との間に設け、ダクト16aの上端開口部を熱風モータカバー17の下面に接続し、下端開口部をファン装置15の吹出し口に接続し、ファン装置15からの冷却風39の一部を熱風モータカバー17内に取り入れるようにしている。
加熱室28の加熱室天面28cの裏側には、ヒータよりなるグリル加熱手段12が取り付けられている。グリル加熱手段12は、マイカ板にヒータ線を巻き付けて平面状に形成し、加熱室28の天面裏側に押し付けて固定し、加熱室28の天面を加熱して加熱室28内の食品を輻射熱によって焼くものである。
また、加熱室28の加熱室天面28cの奥側には後述する赤外線ユニット50が設けられ、赤外線ユニット50を冷却するために赤外線ケース48にて覆い、略筒状に形成されてダクト16bを熱風ケース11aと後板10との間に位置し、ダクト16bの上端開口部を赤外線ケース48の側面に接続し、下端開口部を熱風モータカバー17上面と接続し、ファン装置15からの冷却風39の一部を取り入れるようにしている。
加熱室28の加熱室天面28cの左奥側にはサーミスタによって加熱室28の雰囲気の加熱室温度TH1を検出する加熱室温度センサ80を設ける。
また、加熱室底面28aには、被加熱物60cの重量を測定するための重量センサ25が設けられている。重量センサ25には、被加熱物60cを載置するためのテーブルプレート24が載せられテーブルプレート24の重さを風袋引きして被加熱物60cの重さを検出するものである。但し、この重量センサ25は、四角形状のテーブルプレート24の前側(ドア2)の左右両端(左右角部)を支持する左側は支持部25a、右側は支持部25b、そして後方辺側の中央部を支持する支持部25cからなり、何れか一カ所の支持部に被加熱物60cの重量を検出するための重量センサが設けられている。本説明では後側中央部の支持部25cに重量センサを設けた構成で説明する。
テーブルプレート24は、食品を載置するためのもので、ヒータ加熱とマイクロ波加熱の両方に使用できるように耐熱性を有し、かつ、マイクロ波の透過性が良い材料で成形されている。また、周囲に持ちやすくするフランジ部24b(立上壁24aを含む)を設けている。さらにフランジ部24b(立上壁24aを含む)を設ける事で、加熱時の被加熱物の出し入れ時に例えば飲み物をこぼした場合でも汚れはテーブルプレート24に止まり、取り外せることでテーブルプレート24の清掃を容易にしている。
図12にテーブルプレート24の詳細を示す。図12(a)にテーブルプレート24をの上から見た図を示す。図12(b)にテーブルプレート24を下から見た図を示す。テーブルプレート24の下面には、凹形状25a‐1、凹形状25b‐1、凹形状25c‐1が設けられる。
図13にテーブルプレート24の下側に設けられる加熱室底面28aを示す。加熱室底面28aは、相対的に突出してる枠部70-1と相対的に窪んでいる底部70-2で構成される。枠部70-1には、加熱室底面28aの凸形状25a‐2、凸形状25b‐2が設けられ、底部70-2に重量センサシャフト25c‐2が設けられる。
加熱室底面28aの凸形状25a‐2、凸形状25b‐2、重量センサシャフト25c‐2について、テーブルプレート24の凹形状25a‐1に加熱室底面28aの凸形状25a‐2が合わさり、凹形状25b‐1に凸形状25b‐2が合わさり、凹形状25c‐1に重量センサシャフト25c‐2が合わさる。
このようにして、テーブルプレート24に係る重量は、凹形状25a‐1と凸形状25a‐2の対、凹形状25b‐1と凸形状25b‐2の対を支点として、凹形状25c‐1と対の重量センサシャフト25c‐2を介して計測される。
ボイラー43は、熱風ユニット11の熱風ケース11aの外側面に取り付けられ、飽和水蒸気を熱風ユニット11内に臨ませ、熱風ユニット11内に噴出した飽和水蒸気は熱風ヒータ14によって加熱され過熱水蒸気となる。
ポンプ手段87は、水タンク42の水をボイラー43まで汲み上げるもので、ポンプとポンプを駆動するモータで構成される。ボイラー43への給水量の調節はモータのON/OFFの比率で決定する。
加熱手段はレンジ加熱手段330、熱風ヒータ14、熱風モータ13、グリル加熱手段12、ボイラー43などである。
次に、図4~図7を用いて加熱室28の上方に設けられた非接触で被加熱物の温度を検出する赤外線センサについて詳細を説明する。
51はモータで、モータ51の向きは、回転軸51aと加熱室奥壁面28bと並行となるように取り付けられている。そして、回転軸51aが後述する筒状のユニットケース54を回転(駆動)させることで、ユニットケース54に収めた赤外線センサ52搭載した基板53を回転させて赤外線センサ52のレンズ部52aの向きを加熱室底面28aの奥側(加熱室奥壁面28b側)から加熱室開口部28dまでの範囲を回転移動して温度を検出できるようにしている。モータ51はステッピングモータを使用し制御基板23に設けられた制御手段23aの制御によって回転軸51aを正転、逆転、また回転角度を好みに動作可能となっている。
52は赤外線センサで、赤外線検出素子(例えばサーモパイル)を複数個設けたもので、ここでは、回転軸51aの鉛直方向に一列に8素子整列した赤外線センサを使用している。そのため、加熱室底面28aの左右方向は一度に前記複数個所の温度の検出が可能であり、加熱室28の奥側(加熱室奥壁面28b側)から前側(ドア2側)にかけては、赤外線センサ52を回転させることで加熱室底面28aの全域を複数に分けて温度を検出するものである。具体的には、加熱室底面28aに載置するテーブルプレート24の全面の温度を検知する。
赤外線センサ52は、加熱室底面28aに載置されたテーブルプレート24の四辺から加熱室天面28cに垂直に伸ばした仮想線の内側の加熱室天面28cの左右方向の略中央に設けられている。
そして、赤外線センサ52の視野は、検知点aと検知点hはテーブルプレート24の前後のフランジ部24bの温度を検知する範囲に略定め、赤外線センサ52の整列した複数素子の両側のセンサはテーブルプレート24の左右のフランジ部24bの温度を検知する範囲に略定められている。こうすることで、テーブルプレート24の略中央に載置された被加熱物60cの温度を正確に検出する事が可能となる。
54は筒状のユニットケースで、最大径部に基板53を配置し赤外線センサ52のレンズ部52aを臨ませる窓部54aを設けている。また、ユニットケース54の材料にはカーボンを含ませることでユニットケース54の特性を導電材とすることで外来ノイズのユニットケース54内への侵入を防止している。
55は金属板から成るシャッタである。シャッタ55は、赤外線センサ52を使用しない時に後述する観測窓44aを閉じるものである(図7参照)。また加熱室28の温度が
ユニットケース53に伝わるのを防止するために、ユニットケース53の外周に冷却風を流せるようにユニットケース54の外周に沿って隙間を設けた風路55cを形成するようにシャッタ55を配置し、前記風路55cに冷却風39流す出入り口となる開口55aと開口55bを設けている。
56は位置決め凸部で、赤外線センサ52の検知点を基準位置(図4の検知点a)に合わせるように前記制御部がモータ51の回転を制御した時、赤外線センサ52の検知点の基準位置を補正できるように、シャッタ55によって観測窓44aを閉じた時に、位置決め凸部56が赤外線ケース48に設けられたストッパ(図示無し)に当接させた状態で回転軸51aをスリップさせることで、前記制御部の制御する基準位置と赤外線センサ52の検知する基準位置となる検知点aの位置を補正することができる。
44は加熱室28の内方向に吐出した円弧状の観測部で、回転軸51aの回転中心と筒状のユニットケース54の中心とユニットケース54の外周に沿って設けられて円弧状に曲げられたシャッタ55の円弧の中心と円弧状の観測部44の各中心位置は全て同一位置となっている。44aは観測部44に設けた観測窓で、赤外線センサ52の検出する視野範囲となる範囲を開口している。また、マイクロ波加熱時に観測窓44aからのマイクロ波漏洩を防止するために、観測窓44aの周囲外側には立上壁(バーリング)44bを2mm程度設けている。
観測部44を加熱室28の内側に突出させることで、最低限の狭い観測窓開口範囲で広範囲の温度検知が可能となる。
49は凸部であり、加熱室天面28cから赤外線ケース48と赤外線ユニット50を離すもので、加熱室天面28cとの接触を凸部49のみとすることで加熱時にグリル加熱手段12や熱風ユニット11などのヒータによって加熱された加熱室天面28cの温度が赤外線ユニット50に伝わりにくいようにしている。
制御基板23に搭載された制御手段23aの赤外線センサ52の測定要領について説明する。
赤外線センサ52は、一度の測定で8点を測定するセンサをモータ51で基準位置(図4、検知点a)から終点位置(図4、検知点h)まで赤外線センサ52を3度ずつ14回、回転移動させて計15列の測定が行われる。
そして左右方向8点×前後方向15列の120か所の温度を検出する。前記終点位置から前記基準位置までは赤外線センサ52は測定せずに直接前記基準位置に戻る。測定した温度の処理は後述する。
次に赤外線センサ52の回転移動について説明する。
被加熱物(牛乳)60cの入っている上方が開口した容器60の例としてコップを加熱室底面28aに設けられているテーブルプレート24に載置して加熱を開始した時、マグネトロン33が安定発信する1~2秒間はシャッタ55にて観測窓44aを閉じて(図7参照)マグネトロン33の発信開始時の不安定発信によるノイズが赤外線センサ52に入り込むのを防止する。
マグネトロン33の発信が安定した後に、制御手段23aはモータ51の回転軸51aを基準位置に回転するように制御する。回転軸51aが基準位置へと回転することでユニットケース54を回転し、赤外線センサ52のレンズ部52aの向きも基準位置の検知点aを検知できる位置に回転する。この時、冷却風39は赤外線センサ52のレンズ部52aを流れてセンサ窓部44aから加熱室28へと流れるので、レンズ部52aへの汚れ付着を防止している。
ユニットケース54を回転することで、被加熱物60cの温度の検出は前述した基準位置(検知点a)からテーブルプレート24の検知点b、検知点cへと進み、さらにユニットケース54が回転するとコップ(容器60)の外側の温度を高さ方向に検知し、検知点dから検知点eの温度を検知する。検知点がコップ(容器60)の開口部の頂点に達した後は、被加熱物60cの表面の温度を検知点fで検知し、次にコップ(容器60)の内側の温度を検知点gで検知し、次にテーブルプレート24の温度を検知点hの終点で検知する。
検知点a~検知点hの温度検知範囲の温度の検知は、ユニットケース54を回転する往路の片方で行い、一度終点まで温度検知を行った後、復路は途中で測定せず温度の検知をしないで、再度基準位置に戻ってから再び検知点a~検知点hと順次行う。
温度の検知数は好みに変えられ、前述した検知点a~検知点hは説明上の例であり、前記したように15列のデータを測定する。
また、温度の検知は、温度を検知している間はモータ51の回転を止めて検知し、検知した後に回転を行う。正確に温度を検知するため回転を止めて測定している。
例えば、加熱初めは、ユニットケース54の回転を止めて検知し、検知した後に一定角度で回転を行い、回転を止めて検知し、検知した後に一定角度で回転を行うことをくりかえしてマス目状に温度分布を測定する。そうすることで、等角度で一定位置の温度を測定することにより加熱室28のテーブルプレート24の全面をまんべんなく測定するものである。
このような設定で、コップ60をテーブルプレート24の奥側に載置した時は、赤外線センサ50の略下側の検知点bでコップ内の被加熱物60cの温度を検知可能となり、コップ60をテーブルプレート24の左右の一方側に載置したときは、赤外線センサ50は加熱室28の左右横方向の略中央に設けられているため、赤外線センサ50内に設けられている一列に整列した8素子の両側の赤外線センサによって被加熱物60cの温度の検出が可能である。
また、重量センサ25による重量情報と赤外線センサ52による検知した温度分布情報から重量情報が軽く温度分布の温度上昇が広範囲に認められるときは、被加熱物60cが薄くて広いものと判断できる。また、重量情報が重く温度分布の温度上昇が狭い範囲のみに認められるときは、例えば背の高いコップ(容器60)に被加熱物60cが入れられていると判断できる。
本実施例では、加熱室天面28cの奥側に赤外線ユニット50を設けたが、赤外線ユニット50の取り付ける位置は、加熱室天面28cの中央部もしくは手前側に取り付けた場合でも前述した同様の考えに基づいて設置すれば、被加熱物60cの温度を正確に検知可能である。
また、本実施例では、コップ60に入れた被加熱物60cの温度検知の方法を詳細説明したが、容器を使用しない被加熱物60cがブロック状の大きな塊の場合でも、ブロック状の被加熱物60cの側面の高さ方向と上面の温度を検知できるため、被加熱物60cの温度分布を詳細に検知することが可能となる。
次に制御手段23aの赤外線センサ52の測定した温度の処理について説明する。
初めに、赤外線センサ52を使用して被加熱物60cの温度を検出するときの課題について説明する。
赤外線センサ52は、被加熱物60cの温度が同じ場合でも放射率の違いで検出温度は異なる。また、一個の赤外線センサ52から出力されるデータは、赤外線センサ52の視野内にある被測定物の温度が略平均値として出力されるので、視野内に被測定物(被加熱物)とテーブルプレート24が有る場合、被測定物(被加熱物)とテーブルプレート24の各面積に応じた温度の平均値が出力されることになる。
前者の放射率の違いは、入力手段71にて入力できるメニューに応じて設定することで適正な補正を可能としている。
次に後者の被加熱物60cの温度検出について詳細に説明する。
赤外線センサ52は、被加熱物60cの略大きさ・外形を認識できるように、前記したように複数(例えば8素子)の赤外線センサ52を一列に配置して、この赤外線センサ52を3度ずつ14回移動させて15列の温度を測定することで、デーブルプレート24内を総数120(8×15)個の温度データを取得する。
取得した120個の温度データは図10に示す配置となる。図に示す120個のマス目一個一個をピクセルと呼ぶ。このピクセルは、赤外線センサ52の指向特性の約50%以上を有する視野角で設定している。しかし、赤外線センサ52からの出力は、視野内(視野角100%)に含まれるすべての被測定物となる以下のものが含まれる。指向特性の50%以上を有する視野角としているピクセル、該ピクセルに隣接した複数のピクセル、またテーブルプレート24以外の加熱室28の壁面も含まれる。そのため、検出した温度を補正して被加熱物60cの温度を略算出する必要がある。
補正に必要な情報は、テーブルプレート24と加熱室28の壁面の温度、被加熱物60cの認識(判定)と認識した被加熱物60cの大きさと被加熱物60cの温度である。
初めに、前述したテーブルプレート24と加熱室28の壁面の温度について説明する。加熱調理器では、テーブルプレート24は加熱室28に常に入れた状態で使用されるので、テーブルプレート24の温度を検出することで壁面の温度も同じとして認識することができる。もし、加熱室温度センサ80を使用して検出した温度と赤外線センサ52で検出したテーブルプレート24の温度との差が大きな場合は別々の温度として補正しても良い。
テーブルプレート24の温度の検出についは、テーブルプレート24のフランジ部24b(立上壁24aを含む)の温度を検出して、テーブルプレート24の温度としている。フランジ部24b(立上壁24aを含む)には被加熱物60cなどを置くことが出来ないので正確にテーブルプレート24の温度を検出する事ができる。図10に示す外周の42点のピクセルの温度がテーブルプレート24の温度を検出した場所である。
次に被加熱物60cの認識方法と認識した被加熱物60cの大きさと前記認識した被加熱物60cの温度について説明する。
被加熱物60cの認識は、前述したテーブルプレート24の温度に対して特定の温度差のあるピクセルを被加熱物60cとして判定する。但し被加熱物60cは、冷凍・冷蔵・常温など幅広い温度の可能性があるので、被加熱物60cの認識には下記の判定方法を用いる。
加熱調理器の温度は、主に台所に置かれているため加熱に使用した直後を除くと常温と同じ温度となる。
被加熱物が冷凍もしくは冷蔵の場合は、テーブルプレート24の温度に対して被加熱物60cの温度は低い温度を示す。被加熱物60cを正確に認識するために、検出した各ピクセルの最低温度がテーブルプレート24の温度より特定の温度分低い場合に被加熱物60cを認識したと判断する。そして被加熱物60cの大きさは、前記最低温度から前記テーブルプレート24の温度と前記最低温度との差に対応した事前に確認されている温度幅に含まれる温度を示すピクセルを集めたものを被加熱物60cの大きさとして認識する。そして、前記最低温度を被加熱物60cの温度として認識し、検出した被加熱物60cの温度を補正して被加熱物60cの初期温度として算出して導くものである。
被加熱物60cがテーブルプレート24の温度より高い場合は、被加熱物60cを正確に認識するために、検出した各ピクセルの最大温度がテーブルプレート24の温度より特定の温度高い場合に被加熱物60cを認識したと判断する。そして被加熱物60cの大きさは、前記最高温度から前記最高温度と前記テーブルプレート24の温度との差に対応した事前に確認されている温度幅に含まれる温度を示すピクセルを集めたものを被加熱物60cの大きさとして認識する。そして、前記最高温度を被加熱物60cの温度として認識し、検出した被加熱物60cの温度を補正して被加熱物60cの初期温度として算出して導くものである。
被加熱物60cが常温の場合は、テーブルプレート24の温度と被加熱物60cの温度は等しくなる。そのため、検出した各ピクセルの温度とテーブルプレート24の温度との間に特定の温度差が求められない場合である。具体的には、前述した被加熱物60cが冷凍もしくは冷蔵の場合を想定した特定の温度差、もしくは被加熱物60cがテーブルプレート24の温度より高い場合を想定した温度差のどちら側にも判定されない場合は、テーブルプレート24の全域を被加熱物60cと認識する。そして、被加熱物60cを加熱することで温度上昇し、この上昇が特定の温度以上に上昇した位置の温度を被加熱物60cの検出温度として再認識し、前記特定の温度が上昇したピクセルを集めたものを被加熱物60cの大きさとして再認識する。検出した被加熱物60cの温度を補正して被加熱物60cの初期温度として算出して導くものである。
次に、重量センサ25を用いて被加熱物の重量を検出する構成について説明する。
重量センサ25に載置するテーブルプレート24は横方向に長い四角形状で、そのテーブルプレート24を載置して、四角形状のテーブルプレート24を三カ所で支持している。支持箇所は、前側(ドア側)の左右両端部(左右角部)と後方辺側の中央部で支持し、前側の左右両端部に設けられた支持部25aと支持部25bは重量センサを備えない支持部であり、後側の中央部に設けた支持部25cに重量センサを備えている。
前述した支持位置は、支持部25aと支持部25b間を一辺とし、該一辺を二等分した位置から垂直線上に支持部25cが位置する関係にある。そして、前記一辺を長辺(X0)とし、該長辺を二等分した位置から支持部25cまでを短辺(Y0)とした四角形25dの中心25eと、デーブルプレート24の中心24cとが一致する位置関係としている。
以上の説明した重量センサ25とテーブルプレート24の配置関係より、テーブルプレート24の中心24cと被加熱物60cの重心とを一致する様に載置すると、支持部25aには被加熱物60cの重量の25%、支持部25bには被加熱物60cの重量の25%、支持部25cには被加熱物60cの重量の50%の荷重が掛かる。
また、被加熱物60cの重心位置を前述した中心24cから中心線24yに沿って支持部25c側に移動させると、支持部25aと支持部25bにかかる荷重は等しい関係を維持してその合計値は減少し、支持部25cにかかる荷重は増加する。さらに、被加熱物60cの重心位置を前述した中心24cから中心線24xに沿って図の左側(支持部25a側)に移動すると、支持部25cにかかる荷重は変化する事は無く、支持部25aの荷重は増加し支持部25bの荷重は減少する。但し、いずれの場合も、三カ所の支持部にかかる荷重合計は被加熱物60cの重量と同じ値を示す(テーブルプレート24の重量は風袋引きする)。
よって、例えば、被加熱物60cの重心位置(X1,Y1)と支持部25cの検出する荷重Cが判明する事で、被加熱物60cの重量Gを算出することができる。測定する重心位置の基準となる原点は四角形25dの後側左角部とする。
算出式は、G=(Y0/(Y0-Y1))×Cとなる。
次に、被加熱物60cの重心位置の検出方法について説明する。
なお、被加熱物60cの重心位置を厳密に求める事は出来ないので、被加熱物60cの中心位置を求めて重心位置とする。
この被加熱物60cの中心位置を重心位置に置き換えられる理由として、高周波加熱装置の加熱において加熱ムラを抑える加熱方法を行う事で、被加熱物60cの重心が中心に近づくためである。
具体的には、冷凍して保存した食品を上手に解凍あたためが出来るように、ご飯を冷凍する時に厚さが2~3cmで均一の厚さになるように平らな形状に整えて冷凍する事を取扱説明書で説明している。また、同じ理由により野菜の加熱(ゆでる)ムラの少ない加熱方法として、ほうれん草などは茎と葉を交互に重ねて加熱する事をすすめている。これら上手な加熱方法をとると結果として被加熱物の中心と重心が略一致状態となる。
また、テーブルプレート24の中心部には、被加熱物60cを中心部に載置が容易なように目安となる印(円)24dが設けられている。この目安の中に被加熱物60cを載置してもらうことで、中心と重心位置とが異なる場合でも求める被加熱物の重量誤差を小さく出来る。また更に誤差を少なくなるように目安の印(円)24dは、前記算出式に影響を与えない四角形25dの長辺(X0)方向に長くして短辺(Y0)方向に短い例えば楕円や四角形でも良い。
被加熱物60cの中心位置を求めるには、前述したように赤外線センサ52で検出したピクセルの集合体を被加熱物60cとして認識し、そのピクセル集合体の中心位置を算出し、前記算出式を用いて被加熱物60cの重量を算出する事が可能となる。
赤外線センサ52の認識するピクセルの大きさは、赤外線センサ52の視野角と被加熱物60cまでの距離で決まる。
赤外線センサ52の認識するエリアも前述した算出式に影響を与える方向に精度が良くなる構成を備えるようにしている。使用している赤外線センサ52は前述したように、赤外線検出素子を複数個設け、赤外線センサ52を回転させる回転軸51aの鉛直方向に一列に8素子整列したものである。この素子の数と配置は、部品メーカにより定められたもので標準部品を使用する場合変更することができない。そこで、前記算出式に影響を与える四角形25dの短辺(Y0)方向に検出精度が良くなるように赤外線センサ52を回転させる。
例えば、赤外線センサ52に設けられている一列に整列した複数の素子の向きと、赤外線センサ52を回転させる回転軸51aの鉛直方向と一致させ、モータ51の回転軸51aと加熱室奥壁面28bと並行となるように取り付けることで、加熱室底面28aの左右方向は複数の素子で一度に温度を検出し、加熱室28の奥側(加熱室奥壁面28b側)から前側(ドア2側)にかけては、赤外線センサ52を回転させることで加熱室底面28aに載置するテーブルプレート24の全面の温度を検知する。
加熱室底面28aの左右方向は、赤外線センサ52の素子と加熱室底面28aまでの距離に応じて被加熱物として認識するピクセルの長さが変化し、この長さが長くなるにつれて検出するピクセルの一辺の長さが長くなり被加熱物の温度検知の精度が悪くなる。加熱室28の奥側(加熱室奥壁面28b側)から前側(ドア2側)にかけては、赤外線センサ52の回転角度に応じて被加熱物として認識するピクセルの一辺の長さが変化し、この回転角度を小さくするとピクセルの一辺の長さが小さくなり、被加熱物の大きさとして認識する精度が良くなる。
高周波加熱調理器を制御する制御ブロックとしては、入力手段は制御手段23aにメニューを決定して加熱をスタートするキーを入力する。加熱室温度センサ90は加熱室28の温度を検出するもので、赤外線センサ52は被加熱物60cの温度と大きさを検出し、重量センサ25はテーブルプレート24に載置した被加熱物60cの載置位置と関係する荷重を検出するものである。制御手段23aは検出した被加熱物60cの大きさから中心位置を算出し、算出位置と重量センサ25の検知した荷重より被加熱物60cの重量を算出する。そして制御手段23aは、この重量からレンジ加熱手段を制御するものである。
以上説明した重量センサ25と赤外線センサ52の構成により被加熱物の重量を精度良く求めることができる。なお、テーブルプレート24を支持する位置は本実施例とは前後反対でも良い。また、支持位置をテーブルプレート24の右側の前後角部と左辺部の中央部に設け、赤外線センサ52を左右方向に回転しても良い。
次に重量センサ25が、支持部25a(前側左角部)、支持部25b(前側右角部)、支持部25c(後側中央部)の何れか二ヶ所の支持部に設けられ、赤外線センサ52が天面中央部に配置された例を示す。具体的には、支持部25aと支持部25cに重量センサを設けた構成で説明する。
上記の構成の場合、被加熱物60cの重心位置(X1,Y1)と支持部25aの検出する荷重Aと支持部25cの検出する荷重Cが判明する事で、被加熱物60cの重量Gを算出することができる。測定する重心位置の基準となる原点は四角形25dの後側左角部とする。
算出式は、G=(X0/(X0-X1))×(A+B/2)となる。
赤外線センサ52で被加熱物の中心を求めるのに、被加熱物を真上から検出できるように赤外線センサ52はテーブルプレート24の中心部に設けた目安となる印24dの上部に設けると検出精度を良くすることが可能となる。
図11は、赤外線センサと重量センサを用い加熱時間を決定して被加熱物を加熱するためのフローチャート図である。
加熱室28に被加熱物60c(例えば、ごはん)を入れた容器60をテーブルプレート24に載せてドア3を閉める。入力手段でメニューを選択する(S1)。入力手段で仕上がりを選択する(S2)入力手段でスタートを入力する(S3)。制御手段23aは選択されたメニューに応じた加熱手段の加熱出力を決定する。例えば、レンジ出力700Wのレンジ加熱手段で温める。
重量センサ25でテーブルプレート24に載置した被加熱物60cと容器60の合計の
重量Wを検出する(S4)。赤外線センサ52でテーブルプレート24に載置した被加熱物の初期温度Tを検出する(S5)。重量センサ25によって検出した重量Wと、赤外センサで検出した初期温度Tに基づいて、加熱時間を算出する(S6)。算出した加熱時間で制御手段23aはレンジ加熱を開始する(S7)。
前記した温度センサ90で蒸気の有無を検出する(S8)。被加熱物60から発生する蒸気が温度センサ90に触れることで、蒸気の発生を検出する。被加熱物60から発生する蒸気が温度センサ90に触れると、蒸気が温度センサ90に熱を伝える。温度センサ90が温度上昇を検知することで蒸気の発生を検出する。(S8)。温度センサ90で蒸気ありと検出されるとS12に進む(S9)。S12でレンジ加熱を終了する。
温度センサ90で蒸気なしと検出されるとS10に進む(S9)。経過時間を検出する(S10)。温度センサ90で加熱時間に到達してないと判断されるとS6で算出した加熱時間を優先しS12に進む。S12でレンジ加熱を終了する。
上記では、被加熱物60より蒸気が発生したことを検知して停止する例を示したが、蒸気が発生してからある程度の時間が経過してから加熱を停止することで被加熱物を適温に仕上げる制御も兼ね備えている。例えば、メニューに応じてあらかじめ定めた追加の加熱時間を蒸気検知した後に適用し、レンジ加熱を終了する。
赤外線センサ60を併用した制御の場合は、前記のように重量センサ25と赤外線センサ60により調理時間を決定し、蒸気発生のタイミングで加熱を停止することで適温に仕上げることができる。
本実施例において、上記のような重量センサ25を用いた検出によりテーブルプレート24の目安の印(円)24dの内側に被加熱物60を載置する程度であれば、支持部25c部にのみ重量センサを取付け、支持部25a、25bはテーブルプレート24を支持するものを設けるだけでも検出する重量に著しいずれはなく、被加熱物60を適温にあたためることができる。上記構成を180°回転したものも同様となる。
上記構成をテーブルプレート24の裏側に支持部25a、25b相当のものを取り付けても同様となる。
上記構成の場合、25a、25b側(手前側)に被加熱物60を載置すると中心に置いたときよりも軽く検知する方向となり、25c側(奥側)に被加熱物60を載置すると、中心に置いた時よりも重量を重く検知する方向となる。
軽く検知する場合に対しては、被加熱物60の重量により算出する調理時間を初めから長く設定することで、加熱不足を補い、重く検知した場合は重量により算出する調理時間は長く設定しているが、被加熱物60より発生した蒸気を温度センサ90により検知することで加熱を停止することで、重量センサ25が1個でも従来同等の性能を確保することができる。
上記した本実施例によれば、四角形状のテーブルプレートに載置する被加熱物の重量を検出するのに、2個以下の重量センサを用いて検出が可能となりコスト低減が可能な加熱調理器を提供できる。
次に、テーブルプレート24に係る重量を計測する代替例を説明する。
代替例では、図12及び図13に代えて、図9に示すように、テーブルプレート24に、支持部25aが凸形状として形成され、支持部25bが凸形状として形成され、支持部25cが重量センサ及び凹形状の組合せ(凹形状に重量センサが挿入される)として形成される。
支持部25aの凸形状の部分の下面と、支持部25bの凸形状の部分の下面と、重量センサの下面は、いずれも、略同じ高さの水平面に支持される。