JP7001220B2 - 剥離シート - Google Patents

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Description

本発明は、剥離シートに関する。
一般に、剥離シートは、例えば、紙、プラスチックフィルム、又はポリエチレンラミネート紙などの基材と、基材上に設けられた剥離層とを有する。剥離層は、反応性化合物を含む剥離剤組成物を基材上に塗布して硬化させることにより形成される。
剥離シートは、例えば、粘着シート等が有する粘着剤層の保護用シート、樹脂シート作製用工程フィルム、セラミックグリーンシート成膜用工程フィルム、及び合成皮革製造用工程フィルム等として幅広く用いられている。
剥離層を形成するための剥離剤組成物としては、シリコーン樹脂、シロキサン、又はシリコーンオイル等のシリコーン化合物を含むシリコーン系剥離剤組成物が広く用いられている。
しかし、シリコーン化合物は、剥離層との接触面、例えば、粘着シートの粘着剤層表面に移行することがある。また、移行後、徐々に気化することもある。
そのため、シリコーン系剥離剤組成物から形成された剥離層を有する剥離シートを電子材料用途で用いると、シリコーン化合物が電子部品に移行し、電子部品の腐食や誤作動の原因となることがある。
そこで、シリコーン系剥離剤組成物を用いることなく、剥離層を形成する検討が行われている。例えば、特許文献1には、ポリオレフィン、1分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート、及びポリオレフィンポリオールを少なくとも含有する剥離剤組成物から形成された剥離層を有する剥離シートについて記載されている。
特開2011-52207号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている剥離シートのように、非シリコーン系の剥離剤組成物で形成された剥離層は、剥離力が大きくなりやすい。また、非シリコーン系の剥離剤組成物で形成された剥離層は、剥離力を小さくできたとしても、硬化性及び基材との密着性が確保し難い。
本発明は、非シリコーン系の剥離剤組成物で形成され、剥離力が小さく、しかも、硬化性及び基材との密着性に優れる剥離層を有する剥離シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、架橋性官能基を有するポリオレフィンを主剤として含み、かつ、メラミン化合物及び特定のシラン化合物を含む剥離剤組成物から形成された剥離層を有する剥離シートが、上記の課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]に関する。
[1]基材及び剥離層を有する剥離シートであって、前記剥離層が、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)を主剤として含み、かつ、メラミン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含む剥離剤組成物から形成された層であり、シラン化合物(C)は、1以上のアルコキシ基が同一のケイ素原子に結合したアルコキシ基含有ケイ素基(C)及び有機官能基(C)から選択される2以上の官能基を有し、該2以上の官能基のうちの少なくとも1つはアルコキシ基含有ケイ素基(C)である化合物である、剥離シート。
[2]シラン化合物(C)が、シランカップリング剤(C1)及びビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)から選択される1種以上である、上記[1]に記載の剥離シート。
[3]架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)の含有量に対するメラミン化合物(B)の含有量の質量比(B/A)が、0.10以下である、上記[1]又は[2]に記載の剥離シート。
[4]粘着剤層から剥離する際の剥離力が、200mN/20mm以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の剥離シート。
[5]架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)の含有量に対するシラン化合物(C)の含有量の質量比(C/A)が、0.02以上である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の剥離シート。
[6]メラミン化合物(B)の含有量に対するシラン化合物(C)の含有量の質量比(C/B)が、0.3~3.4である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の剥離シート。
[7]ポリオレフィン(A)が有する架橋性官能基が、水酸基である、上記[1]~[6]のいずれかに記載の剥離シート。
本発明によれば、非シリコーン系の剥離剤組成物で形成され、剥離力が小さく、しかも、硬化性及び基材との密着性に優れる剥離層を有する剥離シートを提供することが可能となる。
本発明の一態様の剥離シートの概略断面図である。
本明細書において、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値である。
また、本明細書において、「有効成分」とは、剥離剤組成物に含まれる成分のうち、希釈溶媒を除いた成分を指す。
[剥離シートの構成]
本発明の剥離シートは、基材と、該基材上に設けた剥離層とを有する。
図1は、本発明の一態様の剥離シートを示す概略断面図である。剥離シート1は、基材10及び剥離層11を有する。剥離層11は、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)を主剤として含み、かつ、メラミン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含む剥離剤組成物から形成される。
ここで、シラン化合物(C)は、1以上のアルコキシ基が同一のケイ素原子に結合したアルコキシ基含有ケイ素基(C)及び有機官能基(C)から選択される2以上の官能基を有し、該2以上の官能基のうちの少なくとも1つはアルコキシ基含有ケイ素基(C)である化合物である。
なお、図1では、剥離層11が基材10に直接積層されているが、基材10と剥離層11との間には、図示しない易接着層及び帯電防止層等の他の層が設けられていてもよい。
以下、本発明の剥離シートを構成する剥離層と基材とについて説明する。
なお、以降の説明では、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)、メラミン化合物(B)、及びシラン化合物(C)を、それぞれ、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)ともいう。
[剥離層]
本発明の剥離シートが有する剥離層は、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)を主剤として含み、かつ、メラミン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含む剥離剤組成物から形成することができる。
以下、剥離層の形成材料である剥離剤組成物について説明する。
なお、以降の記載において、「剥離剤組成物中の有効成分の全量に対する各成分の含有量」は、「当該剥離剤組成物から形成された剥離層中の各成分の含有量」とみなすこともできる。
<剥離剤組成物>
剥離剤組成物は、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)を主剤として含み、かつ、メラミン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含む。なお、以降の説明では、「架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)」を「ポリオレフィン(A)」と略記することもある。
本発明者らは、非シリコーン系の剥離剤組成物について、当該剥離剤組成物から形成した剥離層の剥離力を小さくすることができ、しかも剥離層の硬化性及び基材との密着性を優れたものとするための処方について検討を行った。
まず、当該検討の過程において、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)とメラミン化合物(B)とを含む剥離剤組成物により形成される剥離層について、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)に対するメラミン化合物(B)の量を減らすことで、剥離力が小さくなる傾向がある一方で、硬化性及び基材との密着性が悪化する傾向があることを本発明者らは知見した。
そこで、本発明者らはさらに検討を重ねた結果、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)を主剤として含み、かつ、メラミン化合物(B)及び特定のシラン化合物(C)を含む剥離剤組成物により形成される剥離層は、剥離力が小さく、しかも硬化性及び基材との密着性が良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで、本発明の一態様において、剥離剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の成分(A)、(B)、及び(C)以外の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の一態様において、剥離剤組成物中における成分(A)、(B)、及び(C)の合計含有量は、剥離剤組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
また、剥離剤組成物は、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)を主剤として含む。
本明細書において、「主剤」とは、剥離剤組成物の中で含有量(質量比)が最も大きい成分を意味し、好ましくは剥離剤組成物の全量(100質量%)基準で50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上を占める成分を意味している。
なお、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)は、成分(A)、(B)、及び(C)の合計含有量基準(100質量%基準)に対して、60質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることがより好ましく、75質量%以上を占めることが更に好ましい。
本発明の一態様において、剥離層の剥離力をより小さくする観点、並びに、剥離層の硬化性及び基材との密着性をより優れたものとする観点から、剥離剤組成物中における架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)の含有量は、剥離剤組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは60~98質量%、より好ましくは70~95質量%、更に好ましくは75~93質量%である。
本発明の一態様において、剥離層の剥離力をより小さくする観点、並びに、剥離層の硬化性及び基材との密着性をより優れたものとする観点から、剥離剤組成物中におけるメラミン化合物(B)の含有量は、剥離剤組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは1~10質量%、より好ましくは2~7質量%、更に好ましくは3~7質量%、より更に好ましくは3~5質量%である。
本発明の一態様において、剥離層の剥離力をより小さくする観点、並びに、剥離層の硬化性及び基材との密着性をより優れたものとする観点、並びに、シラン化合物(C)の添加量を抑えながらも本発明の効果を最大限に発揮させる観点から、シラン化合物(C)の含有量は、剥離剤組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは1.0~20質量%、より好ましくは2.0~15質量%、更に好ましくは2.5~15質量%、より更に好ましくは2.5~10質量%、更になお好ましくは5.0~7.5質量%である。
本発明の一態様において、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)とメラミン化合物(B)との含有比率(B/A)は、質量比で、好ましくは0.10以下であり、より好ましくは0.02~0.10、更に好ましくは0.03~0.08、より更に好ましくは0.04~0.07である。
本発明の一態様において、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)とシラン化合物(C)との含有比率(C/A)は、質量比で、好ましくは0.02以上であり、より好ましくは0.02~0.24、更に好ましくは0.02~0.22、より更に好ましくは0.02~0.20である。
本発明の一態様において、メラミン化合物(B)とシラン化合物(C)との含有比率(C/B)は、質量比で、好ましくは0.3~3.4、より好ましくは0.4~3.2、更に好ましくは0.5~3.0である。
以下、剥離剤組成物に含まれる各成分について説明する。
(架橋性官能基を有するポリオレフィン(A))
架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)は、1つ以上の架橋性官能基を有するポリオレフィンであれば、特に限定されない。
本明細書において、「架橋性官能基」とは、架橋剤としてのメラミン化合物(B)と反応する官能基を意味する。
ポリオレフィン(A)が有する架橋性官能基は、メラミン化合物(B)との関係で選択される。
ポリオレフィン(A)が有する架橋性官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、チオール基、及びビニル基等が挙げられる。
これらの中でも、メラミン化合物(B)との反応性をより良好なものとする観点から、架橋性官能基は、水酸基であることが好ましい。
また、ポリオレフィン(A)は、架橋性官能基を2つ以上有することが好ましい。ポリオレフィン(A)が架橋性官能基を2つ以上有する場合、これらの官能基は互いに同一であっても異なっていてもよいが、互いに同一であることが好ましい。
ポリオレフィン(A)を構成するポリオレフィン骨格としては、例えば、エチレン、プロピレン、及び4-メチルペンテン等のα-オレフィン、並びに、イソプレン及びブタジエン等の共役ジエンから選択される1種又は2種以上を重合した重合体又は共重合体が挙げられる。
ポリオレフィン骨格は、これらの中から選択される1種のみを有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
また、ポリオレフィン骨格が、2種以上の構成単位からなる共重合体を有する場合、共重合形態は、特に限定されず、ブロック共重合、ランダム共重合、及びグラフト共重合のいずれであってもよい。
また、ポリオレフィン(A)を構成するポリオレフィン骨格は、部分水添又は完全水添された水素添加物であってもよい。
ここで、ポリオレフィン(A)を構成するポリオレフィン骨格は、好ましくは、イソプレン又はブタジエンの重合体であり、より好ましくイソプレンの重合体である。また、これらの重合体は、部分水添又は完全水添された水素添加物であってもよく、完全水添された水素添加物であることが好ましい。
ポリオレフィン(A)が有する架橋性官能基の位置は、架橋性官能基がメラミン化合物(B)と反応し得る位置であれば、特に限定されない。
ここで、本発明の一態様において、架橋点間の距離を長くして、剥離性により優れた剥離層を形成する観点から、ポリオレフィン骨格を構成する分子鎖の少なくとも一方の末端に架橋性官能基を有することが好ましく、ポリオレフィン骨格を構成する分子鎖の両末端に架橋性官能基を有することがより好ましく、ポリオレフィン骨格を構成する主鎖の両末端のみに架橋性官能基を有することが更に好ましい。
なお、ポリオレフィン(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオレフィン(A)の数平均分子量(M)は、好ましくは1,000~30,000、より好ましくは1,000~20,000、更に好ましくは1,000~10,000である。
(メラミン化合物(B))
メラミン化合物(B)は、ポリオレフィン(A)が有する架橋性官能基のと架橋反応が可能な化合物であれば特に限定されない。
メラミン化合物(B)は、好ましくは、メチロール化メラミン樹脂、イミノメチロール化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、エチル化メラミン樹脂、プロピル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、ヘキシル化メラミン樹脂、及びオクチル化メラミン樹脂からなる群より選ばれる1種以上である。
これらの中でもメチロール化メラミン樹脂、イミノメチロール化メラミン樹脂、及びメチル化メラミン樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、メチル化メラミン樹脂が更に好ましい
(酸触媒)
本発明の一態様において、剥離剤組成物は、さらに酸触媒を含んでいてもよい。酸触媒を用いることで、ポリオレフィン(A)とメラミン化合物(B)との架橋反応性を向上させて、剥離層の硬化性及び基材との密着性をより良好なものとできる。
酸触媒としては、特に制限はないが、例えばp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びアルキルリン酸エステル等の有機系の酸触媒が好適である。
上記酸触媒は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸触媒の使用量は、ポリオレフィン(A)100質量部に対し、好ましくは0.1~15質量部、より好ましくは0.5~10質量部、さらに好ましくは1~5質量部である。
(シラン化合物(C))
シラン化合物(C)は、1以上のアルコキシ基が同一のケイ素原子に結合したアルコキシ基含有ケイ素基(C)及び有機官能基(C)から選択される2以上の官能基を有し、該2以上の官能基のうちの少なくとも1つはアルコキシ基含有ケイ素基(C)である化合物である。
シラン化合物(C)が2以上のアルコキシ基含有ケイ素基(C)を有する場合、該2以上のアルコキシ基含有ケイ素基(C)は同一であっても異なっていてもよく、シラン化合物(C)が2以上の有機官能基(C)を有する場合、該2以上の有機官能基(C)は同一であっても異なっていてもよい。
なお、有機官能基(C)は、アルコキシ基含有ケイ素基(C)とは異なる官能基であり、具体的には、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、ビニル基、イソシアネート基、ウレイド基、及び(メタ)アクリル基等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル基」とは、「アクリル基」と「メタクリル基」の双方を指す。
本発明の一態様において、シラン化合物(C)は、アルコキシ基含有ケイ素基(C)を分子の一方の末端に有し、有機官能基(C)を分子の他方の末端に有する化合物であることが好ましい。
また、本発明の一態様において、シラン化合物(C)は、アルコキシ基含有ケイ素基(C)を分子の両末端に有する化合物であることが好ましい。この場合、2つのアルコキシ基含有ケイ素基(C)は、同一であっても異なっていてもよい。
ここで、本発明の一態様において、シラン化合物(C)は、シランカップリング剤(C1)及びビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)から選択される1種以上であることが好ましい。
すなわち、本発明の一態様において、シラン化合物(C)は、シランカップリング剤(C1)から選択される1種以上であってもよく、ビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)から選択される1種以上であってもよく、又は、シランカップリング剤(C1)1種以上とビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)1種以上との組み合わせであってもよい。
剥離剤組成物がシラン化合物(C)を含むことによって、剥離層の剥離力に対する影響を抑えつつも、硬化性及び基材との密着性が改善される効果が奏される。ポリオレフィン(A)及びメラミン化合物(B)を含む剥離剤組成物から形成される剥離層においては、ポリオレフィン(A)に対するメラミン化合物(B)の配合量を少なくすることで、剥離力を小さくすることができる。その一方で、硬化性及び基材との密着性が十分に確保できないことがある。そこで、剥離剤組成物中にシラン化合物(C)を配合することによって、剥離層の軽剥離性を維持しながらも、硬化性及び基材との密着性が改善される効果が奏される。
以下、シランカップリング剤(C1)及びビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)について、詳細に説明する。
(シランカップリング剤(C1))
シランカップリング剤(C1)は、アルコキシ基含有ケイ素基(C)を分子の一方の末端に有し、当該アルコキシ基含有ケイ素基(C)とは反応性の異なる有機官能基(C)を分子の他方の末端に有する化合物である。
シランカップリング剤(C1)は、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)、メラミン化合物(B)、またはこれらの反応物と反応し得る。
アルコキシ基含有ケイ素基(C)としては、例えば、ジメチルメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、ジエチルエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、及びトリエトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジエチルメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基等が挙げられる。
当該アルコキシ基含有ケイ素基とは反応性の異なる有機官能基(C)としては、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、ビニル基、イソシアネート基、ウレイド基、及び(メタ)アクリル基等が挙げられる。
本発明の一態様で用いられるシランカップリング剤(C1)は、具体的には、例えば下記一般式(1)で表される。
Figure 0007001220000001
上記一般式(1)中、R、R、及びRは、ケイ素原子と直接結合する官能基である。
、R、及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。
但し、R、R、及びRのうち、少なくとも1つはアルコキシ基であり、2つ以上がアルコキシ基であることが好ましく、すべてがアルコキシ基であることがより好ましい。
、R、及びRとして選択され得るアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3であり、更に好ましくは1~2である。具体的には、メチル基又はエチル基が好ましい。
また、R、R、及びRとして選択され得るアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3であり、更に好ましくは1~2である。具体的には、メトキシ基又はエトキシ基が好ましい。
なお、アルキル基及びアルコキシ基を構成するアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
上記一般式(1)中、Rは、炭素数1~20の1価の炭化水素基であり、好ましくはアルキレン基又はアリーレン基である。Rは、炭素数1~20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数3~8のアルキレン基であることが更に好ましい。
なお、アルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
上記一般式(1)中、Xは、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、ビニル基、イソシアネート基、ウレイド基、及び(メタ)アクリル基等の官能基である。なお、Xがビニル基である場合、XはRを介さずにケイ素原子に直接結合してもよい。
又は、上記一般式(1)中、Xは、下記一般式(2)で表される官能基を表す。

Figure 0007001220000002
上記一般式(2)中、X12は、酸素原子又はNH等を表す。
上記一般式(2)中、nは、1~3の整数である。
上記一般式(2)中、X11は、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、ビニル基、イソシアネート基、ウレイド基、及び(メタ)アクリル基等の官能基を表す。
なお、上記一般式(2)中、「*」は上記一般式(1)のRとの結合位置を意味している。
シランカップリング剤(C1)の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びオクテニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル系シランカップリング剤;メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリル系シランカップリング剤、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル系シランカップリング剤、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノ系シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等のウレイド系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤が挙げられる。
なお、シランカップリング剤(C1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
(ビス(アルコキシシリル)アルカン(C2))
ビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)は、アルコキシ基含有ケイ素基(C)を2つ有し、かつ当該2つのアルコキシ基含有ケイ素基がアルキレン基を介して連結され、2つのアルコキシ基含有ケイ素基(C)をそれぞれ分子の両末端に有する化合物である。
本発明の一態様で用いられるビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)は、具体的には、例えば下記一般式(3)で表される。
Figure 0007001220000003
上記一般式(3)中、R、R、R、R、R10、及びR11は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。
但し、R、R、及びRの少なくともいずれか1つは、アルコキシ基であり、好ましくは2個以上がアルコキシ基であり、より好ましくはすべてがアルコキシ基である。
また、R、R10、及びR11の少なくともいずれか1つは、アルコキシ基であり、好ましくは2個以上がアルコキシ基であり、より好ましくはすべてがアルコキシ基である。
、R、R、R、R10、R11として選択され得るアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3であり、更に好ましくは1~2である。具体的には、メチル基又はエチル基が好ましい。
また、R、R、R、R、R10、R11として選択され得るアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3であり、更に好ましくは1~2である。具体的には、メトキシ基又はエトキシ基が好ましい。
なお、アルキル基及びアルコキシ基を構成するアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
上記一般式(3)中、Rは、炭素数1~20のアルキレン基である。Rは、炭素数1~10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数4~10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数6~10のアルキレン基であることが更に好ましい。
なお、アルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
ビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)を具体的に例示すると、1,4-ビス(トリメトキシシリル)ブタン、1,4-ビス(メチルジメトキシシリル)ブタン、1,4-ビス(ジメチルメトキシシリル)ブタン、1,4-ビス(トリエトキシシリル)ブタン、1,4-ビス(メチルジエトキシシリル)ブタン、1,4-ビス(ジメチルエトキシシリル)ブタン、1,5-ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、1,5-ビス(メチルジメトキシシリル)ペンタン、1,5-ビス(ジメチルメトキシシリル)ペンタン、1,5-ビス(トリエトキシシリル)ペンタン、1,5-ビス(メチルジエトキシシリル)ペンタン、1,5-ビス(ジメチルエトキシシリル)ペンタン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,6-ビス(メチルジメトキシシリル)ヘキサン、1,6-ビス(ジメチルメトキシシリル)ヘキサン、1,6-ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,6-ビス(メチルジエトキシシリル)ヘキサン、1,5-ビス(ジメチルエトキシシリル)ヘキサン、1,7-ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、1,7-ビス(メチルジメトキシシリル)ヘプタン、1,7-ビス(ジメチルメトキシシリル)ヘプタン、1,7-ビス(トリエトキシシリル)ヘプタン、1,7-ビス(メチルジエトキシシリル)ヘプタン、1,7-ビス(ジメチルエトキシシリル)ヘプタン、1,8-ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,8-ビス(メチルジメトキシシリル)オクタン、1,8-ビス(ジメチルメトキシシリル)オクタン、1,8-ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,8-ビス(メチルジエトキシシリル)オクタン、1,8-ビス(ジメチルエトキシシリル)オクタン、1,9-ビス(トリメトキシシリル)ノナン、1,9-ビス(メチルジメトキシシリル)ノナン、1,9-ビス(ジメチルメトキシシリル)ノナン、1,9-ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,9-ビス(メチルジエトキシシリル)ノナン、1,9-ビス(ジメチルエトキシシリル)ノナン、1,10-ビス(トリメトキシシリル)デカン、1,10-ビス(メチルジメトキシシリル)デカン、1,10-ビス(ジメチルメトキシシリル)デカン、1,10-ビス(トリエトキシシリル)デカン、1,10-ビス(メチルジエトキシシリル)デカン、1,10-ビス(ジメチルエトキシシリル)デカン、1,18-ビス(トリメトキシシリル)オクタデカン、1,18-ビス(メチルジメトキシシリル)オクタデカン、1,18-ビス(ジメチルメトキシシリル)オクタデカン、1,18-ビス(トリエトキシシリル)オクタデカン、1,18-ビス(メチルジエトキシシリル)オクタデカン、1,18-ビス(ジメチルエトキシシリル)オクタデカン、2-メチル-1,4-ビス(トリメトキシシリル)ブタン、2-メチル-1,4-ビス(メチルジメトキシシリル)ブタン、2-メチル-1,4-ビス(ジメチルメトキシシリル)ブタン、2-メチル-1,4-ビス(トリエトキシシリル)ブタン、2-メチル-1,4-ビス(メチルジエトキシシリル)ブタン、2-メチル-1,4-ビス(ジメチルエトキシシリル)ブタン等が挙げられる。
これらのなかでも特に、ビス(アルコキシシリル)ヘキサン、ビス(アルコキシシリル)ヘプタン、ビス(アルコキシシリル)オクタン、ビス(アルコキシシリル)ノナン、ビス(アルコキシシリル)デカンが好ましい。
なお、ビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
(その他の添加剤)
本発明の一態様において、剥離剤組成物は、必要に応じて、上述の成分(A)、(B)、及び(C)、並びに酸触媒以外の添加剤を含んでいてもよい。
このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、光開始剤、及び光安定剤等の各種添加剤が挙げられる。
(シリコーン化合物)
本発明の一態様において、剥離剤組成物は、シリコーン化合物を実質的に含有しないことが好ましい。
シリコーン化合物を含む剥離剤組成物から形成された剥離層を有する剥離シートを電子材料用途で用いると、シリコーン化合物が電子部品に移行し、電子部品の腐食や誤作動の原因となることがあるからである。
本発明の一態様において、剥離剤組成物中のシリコーン化合物の含有量としては、剥離剤組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更に好ましくは0.01質量%未満である。
つまり、本発明の一態様において、「シリコーン化合物を実質的に含有しない」とは、剥離剤組成物中のシリコーン化合物の含有量が上記範囲にあることを意味している。
(希釈溶媒)
本発明の一態様において、基材への塗布性を向上させる観点から、剥離剤組成物は、上述した各種有効成分に希釈溶媒を加えて、溶液の形態としてもよい。
希釈溶媒は、上述の成分(A)、(B)、及び(C)の溶解性が良好である有機溶剤の中から選択される。
このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、n-ブタノール、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、希釈溶媒として使用する有機溶剤は、上述の成分(A)、(B)、及び(C)の合成時に使用された有機溶剤をそのまま用いてもよいし、剥離剤組成物を均一に塗布できるように、上述の成分(A)、(B)、及び(C)の合成時に使用された有機溶剤及び/又はそれ以外の1種以上の有機溶剤を加えてもよい。
希釈溶媒の量は、剥離剤組成物が塗布時に適度な粘度を有する量となるように適宜選定すればよい。
具体的には、剥離剤組成物の溶液に含まれる有効成分(固形分)濃度は、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.2~10質量%、さらに好ましくは0.5~5質量%の範囲となるように調製される。
<剥離層の厚さ>
剥離層の厚さは、特に制限はないが、通常25~1000nmであればよく、好ましくは50~500nmである。剥離層の厚みが25nm以上であれば、所望の軽剥離性を得やすい。また、剥離層の厚みが1000nm以下であれば、剥離剤組成物の塗布膜の硬化性を良好にすることができる。
剥離層の厚さは、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定される。
[基材]
本発明の剥離シートに用いる基材としては、例えば、上質紙、クレーコート紙、キャストコート紙、クラフト紙等の紙類、これらの紙類にポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、合成紙等の紙材シート、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;アセテート樹脂;ポリスチレン樹脂;塩化ビニル樹脂等の合成樹脂のシート等が挙げられる。
基材は、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。
基材の厚さは、特に制限はないが、通常10~300μmであればよく、好ましくは20~200μmである。基材の厚さが10~300μmであれば、例えば、剥離シートを用いた粘着シート等に、印刷、裁断、貼付等の加工を施すのに適したコシや強度を与えることができる。
また、基材として合成樹脂を用いる場合、基材の剥離層を設ける表面には、基材と剥離層との密着性を向上させるために、所望により酸化法や凹凸化法等の方法により表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えば、コロナ放電表面処理、クロム酸表面処理(湿式)、火炎表面処理、熱風表面処理、オゾン・紫外線照射表面処理等が挙げられる。また、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は、基材の種類に応じて適宜選定されるが、一般には、コロナ放電表面処理法が効果及び操作性の観点から、好ましく用いられる。また、プライマー処理を施すこともできる。
本発明の剥離シートは、基材と剥離層との間に、易接着層、帯電防止層等の他の層が設けられていてもよい。剥離シートが易接着層を備えることにより、剥離シートからの剥離層の脱落を効果的に防止することができる。
易接着層は、通常、基材における剥離層側の面上に易接着コート剤を塗布して形成される。易接着コート剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート含有樹脂およびこれらの共重合体、および天然ゴムや合成ゴムを主成分とするコート剤等が挙げられる。
これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、異なる2種を組み合わせて使用してもよい。なお、基材表面に対する易接着コート剤の塗布性、および基材と易接着層との密着性を向上させるため、基材における易接着コート剤を塗布する面に対して、化学処理、放電処理等の表面処理を行ってもよい。
易接着層の厚さは、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。また、当該厚さは、5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。当該厚さが50nm以上であることで、易接着層の効果を良好に得ることができる。また、当該厚さが5μm以下であることで、易接着層の基材とは反対側の面の滑り性が良好なものとなり、易接着層上に剥離剤組成物を塗布する作業性が良好になる。
[剥離シートの物性]
<剥離力>
剥離シートが、粘着シート等の粘着剤層を備える粘着体に使用される場合、本発明の一態様において、剥離剤組成物から形成される剥離層の粘着剤層に対する剥離力は、好ましくは500mN/20mm以下、より好ましくは400mN/20mm以下、更に好ましくは300mN/20mm以上、より更に好ましくは200mN/20mm以下、更になお好ましくは150mN/20mm以下である。なお、剥離層の粘着剤層に対する剥離力は、通常、100mN/20mm以上である。
剥離力は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
[剥離シートの用途]
本発明の剥離シートは、粘着シート等の各種粘着体の保護シートとして使用可能であり、例えば、基材と、基材の一面に設けられる粘着剤層とを備える粘着シートの粘着剤層側の面に貼付して使用される。また、各種樹脂シート、セラミックグリーンシート、合成皮革、各種複合材料等を作製するときの工程フィルムとしても使用可能である。工程フィルムとして使用する場合には、剥離シートの剥離層側の面に樹脂、セラミックスラリー等を流延、塗布等して形成した各種のシート材料を剥離シートから剥離する工程にて使用する。また、本発明の剥離シートは、剥離層が非シリコーン系剥離剤組成物により形成されていることから、電子機器用として用いることが特に好ましい。例えば、リレー、各種スイッチ、コネクタ、モーター、ハードディスク等の電子部品の製造工程において、電子部品の組立て時の仮止めや部品の内容表示等の粘着シート用の剥離シートとして好適に用いることができる。
[剥離シートの製造方法]
本発明の剥離シートは、例えば、基材の少なくとも一方の面上に、剥離剤組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を加熱乾燥処理して硬化させることにより製造することができる。
剥離剤組成物は、上述したように、希釈溶媒により希釈された溶液の形態であってもよい。
加熱処理温度は、100~170℃が好ましく、130~160℃がより好ましい。また、加熱処理時間は、特に制限ないが、30秒~5分間が好ましく、30秒~3分間がより好ましい。
剥離剤組成物の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ゲートロールコート法、ダイコート法等が挙げられる。
剥離剤組成物の塗布厚さは、得られる剥離層の厚みが、上述の範囲となるように調整される。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、「質量%」は、剥離剤組成物全量に対する有効成分(固形分)換算での質量%を意味している。
[物性値]
以下の実施例及び比較例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
<剥離層の厚さ>
剥離層の厚さは、分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社製、商品名:分光エリプソメトリー 2000U)を用いて測定した。
[実施例及び比較例]
実施例1-1~実施例7及び比較例1~3の剥離シートを、以下の手順で作製した。
<実施例1-1>
架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)は、主鎖の両末端にのみ水酸基を有するポリイソプレンの水素添加物(出光興産株式会社製、商品名:エポール(登録商標)、臭素価:5g/100g、固形分濃度:100質量%、数平均分子量:2,500)とした。
メラミン化合物(B)は、メチル化メラミン樹脂(日立化成ポリマー株式会社製、商品名:テスファイン(登録商標)200、希釈溶剤:イソブタノール/トルエン=1/1、固形分濃度80質量%)とした。
シラン化合物(C)としてシランカップリング剤(C1)を用いた。シランカップリング剤(C1)は、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン(信越化学工業製、KBM-4803)とした。
酸触媒は、p-トルエンスルホン酸とした。
架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)、メラミン化合物(B)、シラン化合物(C)、及び酸触媒を表1に記載の割合で配合し、剥離剤組成物を得た。
p-トルエンスルホン酸は、メタノールとイソプロピルアルコールとの混合溶媒(質量比41.2:9.4)を用いて固形分濃度50質量%に希釈した溶液として添加した。
得られた剥離剤組成物は、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒(質量比6:4)を用いて固形分濃度を1.5質量%に希釈し、溶液の形態として、剥離剤組成物の塗布液とした。
得られた剥離剤組成物の塗布液を、マイヤーバーを用いて、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製、製品名:ダイアホイルT-100)の片面に塗布し、塗膜を形成した。
次いで、当該塗膜を、150℃で1分間乾燥させることで硬化させ(以下、この加熱乾燥処理を「硬化処理」ともいう)、厚さ200nmの剥離層を形成し、剥離シートを得た。
<実施例1-2、実施例1-3、実施例1-4、及び実施例1-5>
実施例1-1のポリオレフィン(A)及びシランカップリング剤(C1)(8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン)の含有量を、表1のように変更したこと以外は、実施例1-1と同様の方法で剥離シートを作製した。
<実施例2-1>
シラン化合物(C)として、シランカップリング剤(C1)に代えて、ビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)を用いたこと以外は、実施例1-1と同様の方法で剥離シートを作製した。
ビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)は、1,8-ビス(トリメトキシシリル)オクタン(信越化学工業株式会社製、KBM-3086)とした。
<実施例2-2、実施例2-3、実施例2-4、及び実施例2-5>
実施例2-1のポリオレフィン(A)及びビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)(1,8-ビス(トリメトキシシリル)オクタン)の含有量を、表1のように変更したこと以外は、実施例2-1と同様の方法で剥離シートを作製した。
<実施例3-1>
シラン化合物(C)として、シランカップリング剤(C1)を用いた。そして、シランカップリング剤(C1)を3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-403)に変更したこと以外は、実施例1-1と同様の方法で剥離シートを作製した。
<実施例3-2、実施例3-3、実施例3-4、及び実施例3-5>
実施例3-1のポリオレフィン(A)及びシランカップリング剤(C1)(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)の含有量を、表1のように変更したこと以外は、実施例3-1と同様の方法で剥離シートを作製した。
<実施例4-1>
ポリオレフィン(A)及びメラミン化合物(B)の含有量を表1のようの変更したこと以外は、実施例2-2と同様の方法で剥離シートを作製した。
<実施例4-2>
ポリオレフィン(A)及びメラミン化合物(B)の含有量を表1のようの変更したこと以外は、実施例2-3と同様の方法で剥離シートを作製した。
<実施例5>
シラン化合物(C)として、シランカップリング剤(C1)を用いた。そして、シランカップリング剤(C1)をN-2-(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-6803)に変更したこと以外は、実施例1-2と同様の方法で剥離シートを作製した。
<実施例6>
シラン化合物(C)として、シランカップリング剤(C1)を用いた。そして、シランカップリング剤(C1)を3-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE-903)に変更したこと以外は、実施例1-2と同様の方法で剥離シートを作製した。
<実施例7>
シラン化合物(C)として、シランカップリング剤(C1)を用いた。そして、シランカップリング剤(C1)を3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-803)に変更したこと以外は、実施例1-2と同様の方法で剥離シートを作製した。
<比較例1~3>
シラン化合物(C)を添加することなく、ポリオレフィン(A)及びメラミン化合物(B)の含有量を表1のように変更し、実施例1-1と同様の方法で剥離シートを作製した。
[測定及び評価]
実施例1-1~実施例7及び比較例1~3の剥離シートについて、以下の測定及び評価を実施した。
<剥離力の測定>
実施例1-1~実施例7及び比較例1~3の剥離シートの剥離層上に、幅20mmの粘着テープ(日東電工株式会社製、品番:No.31B)を、5kgローラーを用いて貼付し、粘着シートを作製した。
貼付完了から30分後に、粘着シートを万能引張試験機(株式会社島津製作所製、商品名:オートグラフAGS-20NX)に固定し、JIS K6854:1999に準拠して、180°方向に引張速度0.3m/分の速度で粘着シートから剥離層を剥離させ、剥離シートの剥離力(mN/20mm)を測定した。
<硬化性評価>
実施例1-1~実施例7及び比較例1~3の剥離シートの剥離層の硬化性を評価した。
具体的には、前記硬化処理の直後、剥離層の表面をX方向に5回指で擦った後、当該X方向と垂直なY方向に5回指で擦り、当該X方向と当該Y方向の交差部におけるスミア(曇り)とラブオフ(脱落)状態を目視で確認した。
評価基準は以下のとおりとした。
・○:脱落なし
・△:曇りあり
・×:脱落あり
結果を表1に示す。
Figure 0007001220000004
表1より、以下のことがわかる。
まず、比較例1より、シランカップリング剤(C)を含まない剥離剤組成物から形成された剥離層は、メラミン化合物(B)の添加量を減らすことで剥離力を小さくできるものの、剥離層の硬化性は確保できないことがわかる。
また、比較例2及び3より、シランカップリング剤(C)を含まない剥離剤組成物から形成された剥離層は、メラミン化合物(B)の添加量を増やすことで剥離層の硬化性は確保できるものの、剥離力を小さくすることはできないことがわかる。
これらに対し、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)を主剤として含み、かつ、メラミン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含む剥離剤組成物から形成された剥離層を有する実施例1-1~実施例7の剥離シートは、剥離層の剥離力が小さく、剥離層の硬化性にも優れることがわかる。
特に、実施例4-1及び4-2より、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)を主剤として含み、かつ、メラミン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含む剥離剤組成物から形成された剥離層を有する剥離シートは、メラミン化合物(B)の添加量を3質量%まで低下させた場合にも、剥離層の硬化性を確保することができ、しかも剥離層の剥離力をさらに小さくできることがわかる。
1 剥離シート
10 基材
11 剥離層

Claims (7)

  1. 基材及び剥離層を有する剥離シートであって、
    前記剥離層が、架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)を主剤として含み、かつ、メラミン化合物(B)及びシラン化合物(C)を含む剥離剤組成物から形成された層であり、
    シラン化合物(C)は、1以上のアルコキシ基が同一のケイ素原子に結合したアルコキシ基含有ケイ素基(C)及び有機官能基(C)から選択される2以上の官能基を有し、該2以上の官能基のうちの少なくとも1つはアルコキシ基含有ケイ素基(C)である化合物である、剥離シート。
  2. シラン化合物(C)が、シランカップリング剤(C1)及びビス(アルコキシシリル)アルカン(C2)から選択される1種以上である、請求項1に記載の剥離シート。
  3. 架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)とメラミン化合物(B)との含有比率(B/A)が、質量比で0.10以下である、請求項1又は2に記載の剥離シート。
  4. 粘着剤層から剥離する際の剥離力が、200mN/20mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の剥離シート。
  5. 架橋性官能基を有するポリオレフィン(A)とシラン化合物(C)との含有比率(C/A)が、質量比で0.02以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の剥離シート。
  6. メラミン化合物(B)とシラン化合物(C)との含有比率(C/B)が、質量比で0.3~3.4である、請求項1~5のいずれか一項に記載の剥離シート。
  7. ポリオレフィン(A)が有する架橋性官能基が、水酸基である、請求項1~6のいずれか一項に記載の剥離シート。
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