JP7000740B2 - 外装用部材及びこれを用いた窓枠 - Google Patents

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Description

本発明は、外装用部材及びこれを用いた窓枠に関する。
壁、窓等の建築物の外装には、鋼板等の金属部材、樹脂部材、木質部材を被着材として、これに化粧シートを貼り合せた化粧部材(外装用部材)が提案されている。
特に、窓枠等の成形物からなる外装用部材としては、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル系樹脂を主成分としたものが多く提案されている(特許文献1、2)。
しかし、塩化ビニル系樹脂の耐熱性の上限温度は約70℃付近である。このため、塩化ビニル系樹脂を主成分とした外装用部材は、太陽熱を原因とした変形を生じる場合がある。特に、窓枠の外装用部材は太陽光の照射を受けやすいため変形を生じやすい。さらには、暗色系の外装用部材は蓄熱性が高い傾向にあるため変形を生じやすい。
上記課題を解決することを目的として、例えば特許文献3の技術が提案されている。
特開2002-3675号公報 特開2002-194160号公報 特許第4741364号公報
特許文献3は、基材上に木目調模様を有する層を備えた積層体であって、木目調模様を有する層中に赤外線反射特性を有する無機顔料を0.5~13質量%含む積層体を開示している。
特許文献3の積層体は、蓄熱性を低くして、かつ、木に類似した色彩及び木目調の模様を付与するために、赤外線反射特性を有する無機顔料を用いている。しかし、外装用部材には暗色度を高めて高級感を付与することが求められる場合があり、特許文献3の無機顔料の添加量では暗色度を十分に高めることができず、高級感を付与できない。
一方、特許文献3には、暗色を調整するためにカーボンブラックを添加することも記載されているが、カーボンブラック(炭素の粒子)は太陽光中に含まれる近赤外線吸収率が高く、吸収された近赤外線は熱に変換される。其の為、カーボンブラックを添加した場合、外装用部材の太陽光に起因する変形を抑制する効果が大幅に損なわれてしまう。
本発明は、このような状況下になされたもので、塩化ビニル系樹脂を主成分とする材料を備えた外装用部材において、十分な暗色度を有しつつ、太陽光を原因とする熱による変形を抑制した外装用部材及びこれを用いた窓枠を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、以下の[1]~[2]を提供する。
[1] 着色基材上に暗色層を有する化粧シートと、塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂被着体とを、前記化粧シートの前記暗色層を基準として前記着色基材側の表面と前記樹脂被着体とが対向するように積層してなる外装用部材であって、
前記外装用部材は、前記化粧シート側の表面のJIS Z8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L表色系のL値が35以下であるとともに、下記条件(1)を満たす、外装用部材。
<条件(1)>
熱伝導率0.028W/(m・K)以下の断熱材、波長780~2500nmの分光反射率の平均が75%以上の遮熱材、及び前記外装用部材をこの順に積層したサンプルを作製する。前記サンプル内では、前記外装用部材の前記被着体側の面が前記遮熱材側を向くように配置する。
IEC-60904-3で規定する温帯地域用のAM1.5Gの基準太陽光を照射するソーラーシミュレーター(IEC-60904-9のスペクトル合致度「A」、時間変動率「A」、放射照度の場所ムラ「A」)を用いて、前記サンプルの300mm上方から前記サンプルの前記外装用部材側の面に、1時間あたりのエネルギー積算値が4.05MJ/mとなるように前記基準太陽光を照射する。前記基準太陽光の照射開始時の前記サンプルの前記外装用部材側の表面温度は25℃とする。前記基準太陽光を照射してから90分以内の前記表面温度が常に70℃以下を示す。
[2]上記[1]に記載の外装用部材から形成されてなる窓枠。
本発明によれば、塩化ビニル系樹脂を主成分とする材料を備えた外装用部材において、十分な暗色度を有しつつ、太陽光を原因とする熱による変形を抑制することができる。
本発明の外装用部材の一実施形態を示す断面図である。 本発明の外装用部材のその他の実施形態を示す断面図である。 条件(1)の外装用部材の表面温度を測定する状態を説明する模式図の一例である。 実施例1の外装用部材から作製したサンプルに基準太陽光を照射した際の、時間ごとの外装用部材の表面温度を示すグラフである。 実施例2の外装用部材から作製したサンプルに基準太陽光を照射した際の、時間ごとの外装用部材の表面温度を示すグラフである。 実施例3の外装用部材から作製したサンプルに基準太陽光を照射した際の、時間ごとの外装用部材の表面温度を示すグラフである。 実施例4の外装用部材から作製したサンプルに基準太陽光を照射した際の、時間ごとの外装用部材の表面温度を示すグラフである。 比較例1~2の外装用部材から作製したサンプルに基準太陽光を照射した際の、時間ごとの外装用部材の表面温度を示すグラフである。
[化粧シート]
本発明の外装用部材は、着色基材上に暗色層を有する化粧シートと、塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂被着体とを、前記化粧シートの前記暗色層を基準として前記着色基材側の表面と前記樹脂被着体とが対向するように積層してなる外装用部材であって、
前記外装用部材は、前記化粧シート側の表面のJIS Z8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L表色系のL値が35以下であるとともに、下記条件(1)を満たすものである。
<条件(1)>
熱伝導率0.028W/(m・K)以下の断熱材、波長780~2500nmの分光反射率の平均が75%以上の遮熱材、及び前記外装用部材をこの順に積層したサンプルを作製する。前記サンプル内では、前記外装用部材の前記被着体側の面が前記遮熱材側を向くように配置する。
IEC-60904-3で規定する温帯地域用のAM1.5Gの基準太陽光を照射するソーラーシミュレーター(IEC-60904-9のスペクトル合致度「A」、時間変動率「A」、放射照度の場所ムラ「A」)を用いて、前記サンプルの300mm上方から前記サンプルの前記外装用部材側の面に、1時間あたりのエネルギー積算値が4.05MJ/mとなるように前記基準太陽光を照射する。前記基準太陽光の照射開始時の前記サンプルの前記外装用部材側の表面温度は25℃とする。前記基準太陽光を照射してから90分以内の前記表面温度が常に70℃以下を示す。
図1~2は、外装用部材100の実施の形態を示す断面図である。
図1~2の外装用部材100は、着色基材11上に暗色層12を有する化粧シート10と、塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂被着体20とを、化粧シート10の暗色層12を基準として着色基材11側の表面と樹脂被着体20とが対向するように積層されている。
また、図2の化粧シート10は、暗色層12上に、透明性樹脂層13及び表面保護層14を有している。
<外装用部材の物性>
<<L値>>
本発明の外装用部材は、化粧シート側の表面のJIS Z8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L表色系のL値が35以下であることを要する。
値が35を超える場合、暗色が十分ではなく、外装用部材に高級感を付与することができない。L値は32以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましい。
値の下限は特に限定されないが、L値が低すぎると、外装用部材の表面に凹凸形状を付与した際に、凹凸形状が認識しにくくなる傾向にある。このため、L値は18以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
値の測定は、外装用部材の化粧シート側の表面から行う。すなわち、外装用部材100が図1の構造の場合は暗色層12の表面で測定し、外装用部材100が図2の構造の場合は表面保護層14の表面で測定する。
なお、測定時の光入射角は5度とする(外装用部材の化粧シート側の表面に対する垂線を0度として、該垂線から5度傾けた光を入射光とする。)。
<<条件(1)>>
本発明の外装用部材は、上記条件(1)を満たすことを要する。条件(1)を満たさない場合、塩化ビニル系樹脂を含む外装用部材の太陽光を原因とする熱による変形を抑制することができない。
図3は、外装用部材(100)の表面温度を測定する状態を説明する模式図である。条件(1)の外装用部材の表面温度は、具体的には以下のように測定できる。
条件(1)の外装用部材の表面温度を測定するにあたっては、まず、熱伝導率0.028W/(m・K)以下の断熱材(200)、波長780~2500nmの分光反射率の平均が75%以上の遮熱材(300)、及び外装用部材(100)をこの順に積層したサンプル(500)を作製する。なお、サンプル(500)内では、外装用部材(100)の樹脂被着体(20)側の面が遮熱材(300)側を向くように配置する。断熱材(200)、遮熱材(300)及び外装用部材(100)は、接着剤等を介して密着してもよいが、単に重ね合わせるだけでよい。
なお、図3に示すように、遮熱材300の面積よりも外装用部材100の面積が小さい場合には、遮熱材300の表面の外装用部材100で覆われていない箇所に反射材400を設置して、遮熱材300が基準太陽光に直接晒されないようにすることが好ましい。
次いで、ソーラーシミュレーター(600)を用いて、サンプル(500)の300mm上方からサンプルの外装用部材(100)側の面に、1時間あたりのエネルギー積算値が4.05MJ/mとなるように基準太陽光を照射する。ソーラーシミュレーター(500)としては、IEC-60904-3で規定する温帯地域用のAM1.5Gの基準太陽光を照射するソーラーシミュレーター(IEC-60904-9のスペクトル合致度「A」、時間変動率「A」、放射照度の場所ムラ「A」)を用いる。また、基準太陽光の照射開始時のサンプル(500)の外装用部材(100)側の表面温度は25℃とする。
次いで、基準太陽光を照射してから90分間、サンプル(500)の外装用部材(100)側の表面温度を測定する。前記表面温度が90分間常に70℃以下を示せば、条件(1)を満たすことになる。
なお、1時間あたりのエネルギー積算値4.05MJ/mは、沖縄県南大東島の1時間辺りの年間最大照度を基準としたものである。
条件(1)では、基準太陽光を照射してから90分以内の外装用部材の表面温度が常に65℃以下を示すことが好ましい。
断熱材及び遮熱材は、外装用部材の裏面の全面を覆うために、外装用部材の面積と同一以上の面積を有するものを用いる。また、外装用部材が周囲から加熱されることを防ぐために、断熱材及び遮熱材は、ソーラーシミュレーターの有効照射エリアの全てをカバーする大きさのものを用いる。
断熱材は、熱伝導率0.028W/(m・K)以下のものを用いる。また、断熱材は、JIS A9511:2009の3種bの規格を満たす、A種押出法ポリスチレンフォーム保温板であることが好ましい。
断熱材の厚みは特に限定されず、20~100mm程度である。
遮熱材は、波長780~2500nmの分光反射率の平均が75%以上のものを用いる。遮熱材の波長780~2500nmの分光反射率の平均は、78%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
遮熱材の構成は特に限定されないが、両表面に金属膜を有する構成であることが好ましく、両表面の金属膜の間に空気を含む中間層を有する構成であることがより好ましい。遮熱材の金属膜を構成する金属は特に限定されないが、低価格であるアルミニウムを用いることが好ましい。
遮熱材の分光反射率の測定時の光入射角は5度とする(遮熱材の表面に対する垂線を0度として、該垂線から5度傾けた光を入射光とする。)。遮熱材の分光反射率は、JIS K5602:2008に準拠して測定するものとする。後述する反射材の分光反射率の測定は、遮熱材の分光反射率の測定に準じるものとする。
必要に応じて設置する反射材は、波長780~2500nmの分光反射率の平均が70%以上であることが好ましい。反射材の波長780~2500nmの分光反射率の平均は、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
反射材の構成は特に限定されないが、表面に金属膜を有する構成であることが好ましい。反射材の金属膜を構成する金属は特に限定されないが、低価格であるアルミニウムを用いることが好ましい。
また、条件(1)を測定する際は、屋外と同等条件である開放系で行うものとする。また、測定時の室温は25℃とする。
また、サンプルの表面で反射した基準太陽光が、測定環境周辺の部材で反射し、サンプルに再入射することを抑制するため、ソーラーシミュレーター600とサンプル500とを結ぶ空間の内部(図3の一点鎖線の内部)には、温度測定用の機器(例えば、熱電対、熱電対を固定するための部材)以外には何も設置しないことが好ましい。また、前記空間の前後及び左右の3cm以内の領域にも、温度測定用の機器以外には何も設置しないことが好ましい。
<<分光反射率>>
外装用部材は、条件(1)を満たしやすくするために、光入射面を化粧シート側とした際の、JIS K5602:2008に準拠して測定した波長780~2500nmの分光反射率の平均が65%以上であることが好ましく、67%以上であることがより好ましい。
<化粧シート>
化粧シートは、着色基材上に暗色層を有する構成からなる。
<<着色基材>>
着色基材は、化粧シートの基材として用いられるものを制限なく採用することができる。このような着色基材としては、バインダー樹脂及び着色剤を含むものが挙げられる。
バインダー樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下、「ABS樹脂」とも称する。)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が好適に使用される。
これらの中で、より優れた耐候性及び耐傷性等の表面特性を得る観点から、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びABS樹脂が好ましい。本発明においては、これらの樹脂を単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。中でも、より優れた耐候性及び耐傷性等の表面特性を得る観点から、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体が好ましい。
着色基材は、透明着色でも不透明着色であってもよいが、塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂被着体に太陽光が到達するのを抑制するために、不透明着色であることが好ましい。
着色基材に用いられる着色剤としては、例えば、酸化チタン等の白色顔料、鉄黒、黄鉛、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、銀、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の着色剤が挙げられる。
これらの中でも、化粧シートを貼着する樹脂被着体の表面色相がばらついている場合に、表面色相を隠蔽しやすく、かつ、太陽光の反射特性に優れる白色顔料及び金属顔料が好ましい。また、白色顔料及び金属顔料の中でも、酸化チタン及びアルミニウムは、近赤外線(波長780~2500nmの光)の反射特性に優れ、条件(1)を満たしやすくできる点で好ましい。特に、酸化チタンは、暗色層の色相を損ないにくい点で好適である。すなわち、着色基材は、白色顔料及び/又は金属顔料を含む基材であることが好ましく、酸化チタン及び/又はアルミニウムを含む基材であることがより好ましく、酸化チタンを含む基材であることがさらに好ましい。
着色基材中の着色剤の含有量は、隠蔽度を向上する観点、及び、太陽光の反射特性の観点から、着色基材を構成する樹脂100質量部に対し、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。また、外装用部材の成形性の観点から、上限としては好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、よりさらに好ましくは20質量部以下である。
着色基材には、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。添加剤の配合量は特に制限はなく、要求特性等に応じて適宜設定できる。
着色基材は、外装用部材とした場合に、暗色層と樹脂被着体との間に位置する層であるため、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤のブリードアウトによる耐候性の低下への影響は、他の層に比べて小さいものといえる。このため、着色基材中に紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含有させることは有用である。
着色基材に用いられる紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、中でも(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合である官能基等を有する反応性基含有ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく挙げられる。
着色基材中の紫外線吸収剤の含有量は、着色基材を構成する樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上であり、上限として好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。また、着色基材中の光安定剤の含有量は、着色基材を構成する樹脂100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、上限として好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは6質量部以下である。基材中の紫外線吸収剤、光安定剤の含有量が上記範囲内であると、ブリードアウトしにくく、優れた添加効果が得られる。
着色基材は、単層構造であってもよく、同種あるいは異種の層を二以上有する複層構造であってもよい。
着色基材の厚さは、取り扱い性及び強度のバランスの観点から、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、40μm以上がさらに好ましい。上限としては、200μm以下が好ましく、160μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
着色基材は、暗色層等の化粧シートを構成する他の層との密着性の向上のため、あるいは、樹脂被着体との接着性の強化等のために、その片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、着色基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、着色基材と他の層との層間密着性の向上、樹脂被着体との接着性の強化等のために、着色基材にプライマー層、裏面プライマー層を形成する等の処理を施してもよい。これらのプライマー層については、後述する。
<<暗色層>>
暗色層は着色基材上に形成される。本発明において暗色とは、CIE規定のL表色系のL値が35以下となる有彩色又は無彩色を意味し、例えば、濃灰色、深緑色、紺色、黒色、濃紫色、臙脂(えんじ)色、茶色等の低明度、低彩色の暗い感じのする色のことをいう。
暗色層は単層構成であってもよく、同種または異種の2層以上から構成されていてもよい。
暗色層は、外装用部材のL値を35以下とすることができれば、例えば、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ着色層)であってもよいし、種々の模様からなる絵柄層であってもよいし、またこれらを組み合わせたものであってもよい。
本発明の好適な実施形態として、後述するように、暗色層の着色剤として、アゾメチンアゾ系顔料、ペリレン系顔料又は国際公開WO2016/125906A1に記載されるマンガンを必須とし、これにチタン、カルシウム、及びビスマスから選択される少なくとも1種の合計2種以上の金属元素を含んでなる複合酸化物を含むことにより、暗色系でありながら、外裝用部材としての近赤外線反射特性を良好にした形態がある。かかる形態に基づく効果を得やすくするため、暗色層は少なくともベタ着色層を有することが好ましい。
暗色の着色剤としては、単独で又は2種以上を混合して、外装用部材のL値を35以下にできるものが第一条件として選択される。しかしながら、外装用部材のL値を35以下にできる着色剤であっても、例えば、暗色の着色剤としての代表例であるカーボンブラックのように、近赤外線を吸収して塩化ビニル系樹脂を含む外装用部材を変形させやすくするものがある。
このため、暗色の着色剤としては、単独で又は2種以上を混合して、条件(1)を満たすものが第二条件として選択される。すなわち、本発明における暗色の着色剤としては、近赤外線の吸收率が少なく近赤外線反射特性又は近赤外線透過特性を有するもの含むことが好ましい。
近赤外線透過特性を有する暗色の着色剤としては、アゾメチンアゾ系顔料、ペリレン系顔料が挙げられる。なお、近赤外線透過特性を有する暗色の着色剤を用いる場合、酸化チタン及び/又はアルミニウムを含む着色基材(近赤外線の反射特性に優れる着色基材)を用いることが好ましい。
一方、近赤外線反射特性を有する暗色の着色剤としては、WO2016/125906A1公報記載に記載されるマンガンを必須とし、これに少なくとも1種のマンガン以外の金属元素を含んでなる複合酸化物が挙げられる。
近赤外線反射特性又は近赤外線透過特性を有する暗色の着色剤の中でも、近赤外線の吸收率が少なく、多量に用いても条件(1)を満たしやすい、アゾメチンアゾ系顔料及びペリレン系顔料が好ましい。アゾメチンアゾ系顔料及びペリレン系顔料は、暗色化の実現と、条件(1)を満たすこととのバランスに優れている。すなわち、暗色層中には、アゾメチンアゾ系顔料及びペリレン系顔料から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
アゾメチンアゾ系顔料は、テトラクロロフタルイミドとアミノアニリンの反応化合物であるジアゾニウム基を有するものである。
ペリレン系顔料は、ペリレンテトラカルボン酸二無水物の六員環を構成している酸素原子2個を脱落させた構造を有する顔料であり、ペリレンブラック等が挙げられる。
前記特定の複合酸化物は、少なくとも2種の金属元素を含む酸化物である。複合酸化物は、少なくともマンガンを含む複合酸化物、すなわち、マンガンと、マンガン以外の少なくとも1種の金属元素を含む酸化物であることが好ましい。複合酸化物に含まれるマンガン以外の金属元素は、特に限定されるものではなく、より明度が低い落ち着いた意匠性を得る観点、遮熱性能を得る観点等から適宜選択することができる。
複合酸化物に含まれるマンガン以外の金属元素は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。複合酸化物に含まれるマンガン以外の金属元素としては、例えば、カルシウム、バリウム等の第2族元素;イットリウム、ランタン、プラセオジム;ネオジム等の第3族元素、チタン、ジルコニウム等の第4族元素;ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等の第13族元素;アンチモン、ビスマス等の第15族元素等の金属元素が挙げられる。これらのなかでも、第2族元素、第4族元素、第15族元素が好ましく、カルシウム、チタン、及びビスマスがより好ましく、カルシウム及びチタンがさらに好ましい。複合酸化物の特に好ましい具体例としては、マンガン、カルシウム及びチタンを含む複合酸化物が挙げられる。
複合酸化物の構造は、特に限定されるものではないが、構造として安定している観点、優れた遮熱性能及び意匠性を得る観点等から、ペロブスカイト構造、斜方晶構造、六方晶構造等であることが好ましく、ペロブスカイト構造であることがさらに好ましい。
着色剤の平均粒子径は、可視光領域の吸収性を高める観点から、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましい。着色剤の平均粒子径の上限は特に限定されないが、暗色層の意匠性を繊細なものとする観点からは、3.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましく、1.0μm以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において平均粒子径とは、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50として求めることができる値である。
暗色の着色剤の含有量は、暗色層を構成する全固形分の10~50質量%であることが好ましく、15~45質量%であることがより好ましく、20~40質量%であることがさらに好ましい。該着色剤は、アゾメチンアゾ系顔料及びペリレン系顔料から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
暗色の着色剤の含有量を10質量%以上とすることにより、近赤外線(波長780~2500nmの光)の反射率を高めて条件(1)を満たしやすくすることができる。また、暗色層中の着色剤の含有量を50質量%以下とすることにより、暗色層の塗膜強度の低下を抑制し、外装用部材の成形性を良好にすることができる。
暗色層中の着色剤としては、近赤外線反射特性及び近赤外線透過特性を有する暗色の着色剤以外の着色剤を含有していてもよいが、本発明の効果を発揮しやすくする観点からは、暗色層の着色剤の全量に占める近赤外線反射特性及び近赤外線透過特性を有する暗色の着色剤の割合が25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがよりさらに好ましい。
暗色層のバインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン-アクリル共重合体)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、1液硬化型の他、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPID)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のイソシアネート化合物等の硬化剤を伴う2液硬化型等、種々のタイプの樹脂を用いることができる。
暗色層は、耐候性を向上させる観点から、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいてもよい。
紫外線吸収剤、光安定剤としては、着色基材に含まれ得るものとして例示した、紫外線吸収剤、光安定剤を挙げることができる。紫外線吸収剤及び光安定剤の含有量は、耐候性の向上の観点から、後述する表面保護層中の含有量と同じ範囲を例示することができる。
暗色層の厚さは、L値を35以下にしやすくするとともに、条件(1)を満たしやすくするために、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましい。また、暗色層の上限としては、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下がさらに好ましい。
暗色層上には、後述する透明性樹脂層及び保護層の少なくともいずれかを有することが好ましい。
<<接着剤層>>
化粧シートは、必要に応じて接着剤層を有することができる。
特に、化粧シートが後述する透明性樹脂層を有する場合、暗色層と該透明性樹脂層との層間密着性を向上させるときに、接着剤層を設けることは有効である。接着剤層を構成する接着剤としては、通常化粧シートで用いられる接着剤を制限なく用いることができる。
接着剤としては、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられ、中でも、ウレタン系接着剤が接着力の点で好ましい。なお、ウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートジオール等の各種ポリオール化合物と、上記の各種イソシアネート化合物等の硬化剤とを含む2液硬化型ウレタン樹脂を利用した接着剤が挙げられる。また、アクリル-ポリエステル-塩酢ビ系樹脂等も加熱により容易に接着性を発現し、高温での使用でも接着強度を維持し得る好適な接着剤である。
接着剤層の厚さは、十分な接着性が得られる観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上であり、上限として好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。
<<透明性樹脂層>>
化粧シートは、暗色層を保護する観点、耐候性及び耐傷性等の表面特性の向上の観点から、暗色層上に直接、又は他の層を介して透明性樹脂層を積層することが好ましい。
透明性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等が好ましく挙げられる。中でも、耐候性及び耐傷性等の表面特性の向上の観点から、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、着色基材を構成し得るものとして例示した樹脂が挙げられ、中でもポリプロピレン樹脂が好ましい。
透明性樹脂層は、必要に応じて、添加剤が配合されていてもよく、例えば、上記着色基材中に配合し得る添加剤として例示したものを用いることができる。各種の添加剤の中でも、紫外線吸収剤、光安定剤といった耐候剤を用いることが好ましい。
紫外線吸収剤、光安定剤としては、着色基材に用い得るものとして例示した、紫外線吸収剤、光安定剤を挙げることができる。これらの耐候剤の含有量は、耐候性の向上の観点から、着色基材中の含有量と同じ範囲を例示することができる。
透明性樹脂層の厚さは、暗色層の保護、耐傷性及び耐候性等の表面特性の向上の観点から、10μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。また、外装用部材の取り扱い性の観点から、上限としては、150μm以下が好ましく、120μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。また、装飾層を保護し、かつ優れた耐傷性を得る観点から、基材と同等以上の厚さとすることが好ましい。
透明性樹脂層は、透明性樹脂層と他の層との層間密着性の向上等のために、その片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。これらの物理的または化学的表面処理としては、上記の着色基材の表面処理と同じの方法が好ましく例示される。
また、透明性樹脂層と他の層との層間密着性の向上のために、透明性樹脂層の片面又は両面にプライマー層を形成する等の処理を施してもよい。このプライマー層については、後述する。
<<表面保護層>>
化粧シートには、主に耐傷性及び耐候性等の表面特性を付与する観点から、暗色層上に直接、又は他の層、例えば、必要に応じて設けられる接着剤層、透明性樹脂層、又は暗色層と表面保護層との層間密着性を向上させるためのプライマー層等の上に表面保護層を設けることが好ましい。
表面保護層は、硬化性樹脂を含有する樹脂組成物の硬化物で構成される層である。
表面保護層の形成に用いられる硬化性樹脂としては、2液硬化型樹脂等の熱硬化性樹脂の他、電離放射線硬化性樹脂等が好ましく用いられ、これらの複数種を組み合わせた、例えば、電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用する、又は硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを併用する、いわゆるハイブリッドタイプであってもよい。
硬化性樹脂としては、表面保護層を構成する樹脂の架橋密度を高め、より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性とを得る観点から、電離放射線硬化性樹脂が好ましく、また、取り扱いが容易との観点から、電子線硬化性樹脂がより好ましい。
(電離放射線硬化性樹脂)
電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂のことであり、電離放射線硬化性官能基を有するものである。ここで、電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する官能基等が好ましく挙げられる。また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性を得る観点から、アクリロイル基を有するアクリレートモノマーが好ましい。
より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性を得る観点から、官能基数は好ましくは2以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。これらの多官能性(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
これらの重合性オリゴマーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性を得る観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましい。
より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性を得る観点から、これらの重合性オリゴマーの官能基数は、好ましくは2以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下、よりさらに好ましくは3以下である。
これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量は、より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性を得る観点から、2,500以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、3,500以上が更に好ましい。また、上限としては、15,000以下が好ましく、12,500以下がより好ましく、11,000以下が更に好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
電離放射線硬化性樹脂は、上記多官能性(メタ)アクリレート等とともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを適宜併用することができる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂としては、耐傷性及び耐候性等の表面特性を向上させる観点から、重合性オリゴマーを含むものであることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂中の重合性オリゴマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%がよりさらに好ましい。
表面保護層を構成する硬化性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。表面保護層が紫外線吸収剤を含むことで、表面保護層中に紫外線吸収剤が安定して保持されるので、厳しい環境下においても、優れた耐候性が得られる。
紫外線吸収剤としては、着色基材に含まれ得る紫外線吸収剤として例示した、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
また、表面保護層を構成する硬化性樹脂組成物は、耐候性を向上させる観点から、光安定剤を含むことが好ましい。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、着色基材に用い得る光安定剤として例示したヒンダードアミン系光安定剤を用いることができ、耐候性の観点から、デカン二酸(セバシン酸)由来のヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
表面保護層において、これらの紫外線吸収剤、光安定剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、紫外線吸収剤、光安定剤は、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する反応性官能基を有するものであってもよい。表面保護層を構成する硬化性樹脂との相互作用により、ブリードアウトしにくくなるため、より多量に用いることができ、より優れた耐候性が得られる。
表面保護層中の紫外線吸収剤の含有量は、表面保護層を構成する硬化性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上がさらに好ましく、0.5質量部以上がよりさらに好ましい。また上限としては、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
表面保護層中の光安定剤の含有量は、表面保護層を構成する硬化性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、1.5質量部以上がよりさらに好ましい。また上限としては、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましく、3質量部以下がよりさらに好ましい。表面保護層中の紫外線吸収剤、光安定剤の含有量が上記範囲内であると、ブリードアウトすることなく、優れた添加効果が得られる。
表面保護層には、添加剤として、本発明の目的を損なわない範囲で、上記の紫外線吸収剤、光安定剤の他、紫外線遮蔽剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、ブロッキング防止剤、滑剤、溶剤等を添加することができる。
表面保護層の厚さは、耐傷性及び耐候性等の表面特性を向上させる観点から、2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、4μm以上がさらに好ましい。また、外装用部材を成形する際の表面保護層のクラック抑制の観点から、表面保護層の厚さは15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下がさらに好ましい。
<<プライマー層>>
化粧シートは、所望に応じてプライマー層を設けることができる。プライマー層は、主に層間密着性の向上効果を得るために設けられる層である。また、プライマー層が、着色基材の表面保護層側とは反対側の面に設けられる場合(このような場合のプライマー層は、「裏面プライマー層」とも称される。)は、着色基材と樹脂被着体との層間密着性を向上することができる。
プライマー層は、着色基材と暗色層との間、接着剤層と透明性樹脂層との間、透明性樹脂層と表面保護層との間、着色基材の暗色層側とは反対側の面、から選らばれる何れか1箇所以上に設けることができる。
プライマー層の形成には、バインダーに硬化剤、また紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を適宜混合した樹脂組成物が用いられる。
バインダーとしては、例えば、上記の暗色層に用い得るバインダーとして例示した樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。例えば、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体とアクリルポリオール樹脂との混合物をバインダーとして用いることができる。
また、1液硬化型の他、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPID)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のイソシアネート化合物等の硬化剤を伴う2液硬化型等、種々のタイプの樹脂を用いることができる。
プライマー層は、耐候性を向上させる観点から、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤及び光安定剤としては、着色基材に含まれ得るものとして例示したものを挙げることができる。
プライマー層における紫外線吸収剤の含有量は、プライマー層を構成する樹脂100質量部に対し、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、また上限として好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。
また、プライマー層における光安定剤の含有量は、プライマー層を構成する樹脂100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上、よりさらに好ましくは2質量部以上であり、また上限として好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、よりさらに好ましくは8質量部以下である。
プライマー層中の紫外線吸収剤及び光安定剤の含有量が上記範囲内であると、プライマー層としての優れた性能とともに、優れた耐候性が得られる。
プライマー層の厚さは、層間密着性の向上効果、さらには各層の熱収縮の緩和効果を得る観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。また、上限としては、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。
化粧シートは、エンボス加工等で表面に凹凸が形成されたものであってもよい。
エンボス加工を行う場合、例えば、化粧シートを好ましくは80℃以上260℃以下、より好ましくは85℃以上160℃以下、さらに好ましくは100℃以上140℃以下に加熱し、化粧シートにエンボス版を押圧して、エンボス加工を行うことができる。エンボス版を押圧する箇所は、化粧シートの着色基材を基準として暗色層側とすることが好ましい。
<樹脂被着体>
樹脂被着体は塩化ビニル系樹脂を主成分とするものである。ここで、主成分とは、樹脂被着体を構成する全樹脂分の50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
樹脂被着体が塩化ビニル系樹脂を主成分として含み、かつ、暗色系の外装用部材は、通常であれば、太陽光の照射を長時間受けた際に変形しやすい。しかし、本発明の外装用部材は、条件(1)を満たすことにより、太陽光の照射を長時間受けた際の変形を抑制できる。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル樹脂(塩化ビニルの単独重合体)の他、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の共重合体を構成するモノマー成分として塩化ビニル(クロロエチレン)を有する共重合体が挙げられる。但し、共重合体の場合、共重合体を構成するモノマー成分として塩化ビニルの割合が50mol%以上のものを塩化ビニル系樹脂と言うものとする。
樹脂被着体を構成する塩化ビニル系以外の樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。
樹脂被着体の厚さは、用途及び材料に応じて適宜選択すればよく、0.1mm以上30mm以下が好ましく、0.3mm以上20mmがより好ましく、0.5mm以上10mm以下がさらに好ましい。
<接着剤層>
樹脂被着体と化粧シートとは、優れた接着性を得るため、接着剤層を介して貼り合わせられることが好ましい。
接着剤層に用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤等の接着剤が好ましく挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネート化合物等を硬化剤とする2液硬化型のポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤も適用し得る。
また、接着剤層には、粘着剤を用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、優れた接着性を得る観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。
<外装用部材の製造方法>
外装用部材は、化粧シートと樹脂被着体とを積層する工程を経て製造することができる。
本工程は、樹脂被着体と、化粧シートとを積層する工程であり、樹脂被着体の装飾を要する側の面と、化粧シートの暗色層を基準として着色基材側の面とを対向させて積層する。樹脂被着体と化粧シートとを積層する方法としては、例えば、接着剤層を介して化粧シートを板状の樹脂被着体に加圧ローラーで加圧して積層するラミネート方法等が挙げられる。
接着剤としてホットメルト接着剤(感熱接着剤)を用いる場合、接着剤を構成する樹脂の種類にもよるが、加温温度は160℃以上200℃以下が好ましく、反応性ホットメルト接着剤では100℃以上130℃以下が好ましい。また、真空成形加工の場合は加熱しながら行うことが一般的であり、80℃以上130℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上120℃以下である。
以上のようにして得られる外装用部材は、壁、窓、扉、手すり等の建築物の外装用の部材として用いることができ、特に、太陽光の照射による熱が問題となりやすい窓枠用の外装用部材として好適に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
1.測定及び評価
1-1.表面温度
熱伝導率0.028W/(m・K)以下の断熱材(JIS A9511:2009の3種bの規格を満たす、A種押出法ポリスチレンフォーム保温板。株式会社カネカの商品名「カネライトフォーム スーパーE-III」。厚み25mm)を、縦20cm、横20cmの大きさに切断した。次いで、波長780~2500nmの分光反射率の平均が80%の遮熱材(プレイリーホームズ株式会社の商品名「アストロフォイル」。両表面のアルミニウム膜の間に空気を含む中間層を有する構成からなる遮熱材)を、縦22cm、横22cmの大きさに切断した。次いで、実施例及び比較例で作製した外装用部材を縦9cm、横4cmに切断した。
切断した断熱材、遮熱材及び外装用部材をこの順に重ね、さらに、図3に示すように、遮熱材の外装用部材側の面のうち外装用部材で覆われていない箇所を、波長780~2500nmの分光反射率の平均が87.8%の反射材(アルミテープ。古藤工業株式会社社製の商品名Monf)で覆い、測定用のサンプルを作製した。サンプル内では、外装用部材の被着体側の面が遮熱材側を向くように配置した。また、サンプルを面方向から観察した際に、断熱材及び遮熱材の中心に外装用部材が位置するように、外装用部材を配置した。なお、外装用部材の表面には、温度測定用のリード線直結形の熱電対(株式会社佐藤商事の商品名「TPK-01」)を設置した。なお、熱電対の先端が外装用部材の表面に密着するようにするため、熱電対の先端の上から、縦2cm×横1cmのポリイミドテープ(アズワン社製、品番:KS-200055-3、厚み0.055mm)を押し当て、該テープの上下の短辺をアルミテープ(古藤工業株式会社の商品名「monfアルミテープ」)で固定した。
次いで、IEC-60904-3で規定する温帯地域用のAM1.5Gの基準太陽光を照射するソーラーシミュレーター(株式会社三永電機製作所の商品名「XES-155S1」。IEC-60904-9のスペクトル合致度「A」、時間変動率「A」、放射照度の場所ムラ「A」)を用いて、サンプルの300mm上方からサンプルの外装用部材側の面に、1時間あたりのエネルギー積算値が4.05MJ/mとなるように基準太陽光を照射し、外装用部材の表面温度を90分間測定した。温度の測定間隔は5秒とした。基準太陽光の照射開始時のサンプルの外装用部材側の表面温度は25℃とした。
なお、上記の測定は開放系で行い、測定時の室温は25℃とした。また、サンプルの表面で反射した基準太陽光が、測定環境周辺の部材で反射し、サンプルに再入射することを抑制するため、ソーラーシミュレーターとサンプルとを結ぶ空間の内部、及び、該空間の前後及び左右の3cm以内の領域には、上記の熱電対、ポリイミドフィルム及びアルミテープ以外には何も設置しなかった。
基準太陽光の照射直後からの外装用部材の表面温度の測定結果を図4~図8に示す。図4が実施例1、図5が実施例2、図6が実施例3、図7が実施例4である。図8は比較例1、2であり、30分経過した後に常に75~85℃付近を示しているデータが比較例1、もう一方が比較例2である。また、基準太陽光を照射してから90分以内の表面温度が常に70℃以下を示したものを「A」、70℃を一度でも上回ったものを「C」として、表1に記載した。
1-2.L値の測定
コニカミノルタホールディングス株式会社の分光測色計(商品名:CM-3500d)を用い、JIS Z8781-4:2013に準拠して、実施例及び比較例の外装用部材のCIE(国際照明委員会)L表色系のL値を測定した。結果を表1に示す。
値の測定は、外装用部材の化粧シート側の表面から行った。また、測定時の光入射角は5度として、光源はD65光源を用いた。
1-3.波長780~2500nm(近赤外線)の分光反射率の平均
コニカミノルタホールディングス株式会社の分光測色計(商品名:CM-3500d)を用い、JIS K5602:2008に準拠して、実施例及び比較例の外装用部材の波長780~2500nm(近赤外線)の分光反射率を測定し(測定波長の間隔は1nm)、分光反射率の平均を算出した。
分光反射率の測定は、外装用部材の化粧シート側の表面から行った。また、測定時の光入射角は5度として、光源はD65光源を用いた。
1-4.変形
上記「1-1」の試験終了後の外装用部材の変形の状態を目視で評価した。その結果、変形していなかったものを「A」、変形していたものを「C」とした。
参考例1]
着色基材として白色ポリプロピレンシート(厚さ:60μm、ランダムポリプロピレン樹脂100質量部に対して酸化チタンを10質量部含有)を用意して、該シートの一方の面に、プライマー剤(アクリルウレタン樹脂系)を用いてグラビアコート法により裏面プライマー層(厚さ:2μm)を設けた。
次いで、該裏面プライマー層を設けた面とは反対側の面に、下記処方の暗色層形成用インキ1をグラビアコート法により塗布、乾燥し、厚さ4μmの暗色層を形成した。
<暗色層形成用インキ1>
・バインダー樹脂(アクリルウレタン系樹脂) 15質量部
・着色剤(アゾメチンアゾ系顔料) 5質量部
(平均粒子径:0.2μm、黒色顔料)
・溶剤 80質量部
(メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤)
次いで、暗色層上に、接着剤層(ポリエステル樹脂、厚さ:5μm)を形成し、該接着剤層上に、透明性樹脂層(透明ポリプロピレン樹脂、厚さ:80μm)を押出しラミネート方式で積層した。
次いで、透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化性ウレタン樹脂組成物を塗布してプライマー層(厚さ:2μm)を形成した。
次いで、プライマー層上に下記処方の表面保護層形成用インキをロールコート法で塗布し、電子線照射装置を用いて、酸素濃度:200ppm、加速電圧:175keV、照射量:5Mradの条件で電子線を照射し、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚さ3μmの表面保護層を形成し、化粧シートを得た。
<表面保護層形成用インキ>
・2官能ウレタンアクリレートオリゴマー 80質量部
(質量平均分子量:1500、ガラス転移温度:-55℃)
・6官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー 20質量部
(質量平均分子量:1500、ガラス転移温度:200℃以上
・無機フィラー 14質量部
(シリカ粒子、平均粒子径:11μm)
次いで、化粧シートの裏面プライマー層側の面と、厚み2mmの塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂被着体(ユニサンデー社製の白色塩化ビニル板、品番「EB232-5」、塩化ビニル樹脂の割合:50質量%以上)とを、接着剤層(酢酸ビニル系水性エマルジョン接着剤、厚さ:7μm)を介して貼り合わせ、参考例1の外装用部材を得た。
参考例2]
参考例1の着色剤をペリレン系顔料(ペリレンブラック、黒色顔料)に変更した以外は、実施例1と同様にして、参考例2の外装用部材を得た。
[実施例]
参考例1の5質量部の着色剤を、アゾメチンアゾ系顔料(平均粒子径0.2μm)と、金属元素としてマンガン、カルシウム及びチタンを含む複合酸化物(石原産業株式会社製、品番:MPT-370、黒色顔料、平均一次粒子径0.8μm)との混合物5質量部に変更し、アゾメチンアゾ系顔料と複合酸化物との質量比を1:0.46とした以外は、実施例1と同様にして、実施例の外装用部材を得た。
[実施例]
参考例1の5質量部の着色剤を、アゾメチンアゾ系顔料(平均粒子径0.2μm)と、酸化鉄(Fe、茶色顔料)と、銅フタロシアニンブルー(青色顔料)との混合物5質量部に変更し、アゾメチンアゾ系顔料、酸化鉄及び銅フタロシアニンブルーとの質量比を1:1.16:1.16とした以外は、参考例1と同様にして、実施例の外装用部材を得た。
[比較例1]
暗色層形成用インキ1を下記処方の暗色層形成用インキ2に変更した以外は、参考例1と同様にして、比較例1の外装用部材を得た。
<暗色層形成用インキ2>
・バインダー樹脂(アクリルウレタン系樹脂) 22質量部
・着色剤(カーボンブラック) 8質量部
・溶剤 70質量部
(メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤)
[比較例2]
暗色層形成用インキ1を下記処方の暗色層形成用インキ3に変更した以外は、参考例1と同様にして、比較例2の外装用部材を得た。
<暗色層形成用インキ3>
・バインダー樹脂(アクリルウレタン系樹脂) 24質量部
・着色剤 9質量部
(金属元素としてマンガン、カルシウム及びチタンを含む複合酸化物)
石原産業株式会社製、品番:MPT-370、黒色顔料)
・溶剤 67質量部
(メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤)
Figure 0007000740000001
表1の結果から、実施例の外装用部材は、塩化ビニル系樹脂を主成分とする材料を備えた外装用部材のLを低くしつつ、太陽光を原因とする熱による変形を抑制できることが確認できる。
本発明の外装用部材は、十分な暗色度を有しつつ、太陽光を原因とする熱による変形を抑制できるため、壁、窓、扉、手すり、塀、柵、簀子等の外装用部材として有用であり、特に、太陽光の照射が過度になりやすい窓枠用の部材として極めて有用である。
10:化粧シート
11:着色基材
12:暗色層
13:透明性樹脂層
14:表面保護層
20:樹脂被着体
100:外装用部材
200:断熱材A
300:断熱材B
400:反射材
500:サンプル
600:ソーラーシミュレーター

Claims (7)

  1. 着色基材上に暗色層を有する化粧シートと、塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂被着体とを、前記化粧シートの前記暗色層を基準として前記着色基材側の表面と前記樹脂被着体とが対向するように積層してなる外装用部材であって、
    前記暗色層が、着色剤として、(A)アゾメチンアゾ系顔料及びペリレン系顔料から選ばれる少なくとも一種、及び、(B)下記(a)または(b)、を含み、
    (a)マンガン及びマンガン以外の少なくとも1種の金属元素を含む複合酸化物、
    (b)銅フタロシアニンブルー及び酸化鉄の混合物、
    前記外装用部材は、前記化粧シート側の表面のJIS Z8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L表色系のL値が35以下であるとともに、下記条件(1)を満たす、外装用部材。
    <条件(1)>
    熱伝導率0.028W/(m・K)以下の断熱材、波長780~2500nmの分光反射率の平均が75%以上の遮熱材、及び前記外装用部材をこの順に積層したサンプルを作製する。前記サンプル内では、前記外装用部材の前記被着体側の面が前記遮熱材側を向くように配置する。
    IEC-60904-3で規定する温帯地域用のAM1.5Gの基準太陽光を照射するソーラーシミュレーター(IEC-60904-9のスペクトル合致度「A」、時間変動率「A」、放射照度の場所ムラ「A」)を用いて、前記サンプルの300mm上方から前記サンプルの前記外装用部材側の面に、1時間あたりのエネルギー積算値が4.05MJ/mとなるように前記基準太陽光を照射する。前記基準太陽光の照射開始時の前記サンプルの前記外装用部材側の表面温度は25℃とする。前記基準太陽光を照射してから90分以内の前記表面温度が常に70℃以下を示す。
  2. 光入射面を前記化粧シート側とした際の、JIS K5602:2008に準拠して測定した前記外装用部材の波長780~2500nmの分光反射率の平均が65%以上である請求項1に記載の外装用部材。
  3. 前記暗色層中に前記アゾメチンアゾ系顔料及び前記ペリレン系顔料から選ばれる少なくとも一種を10~50質量%含む請求項1又は2に記載の外装用部材。
  4. 前記暗色層を2層以上有する請求項1~のいずれか1項に記載の外装用部材。
  5. 前記着色基材が白色基材である請求項1~のいずれか1項に記載の外装用部材。
  6. 前記化粧シートが前記暗色層上に透明性樹脂層及び保護層の少なくともいずれかを有する請求項1~のいずれか1項に記載の外装用部材。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の外装用部材から形成されてなる窓枠。
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