JP2020151902A - 化粧シート及びこれを用いた化粧材 - Google Patents

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Abstract

【課題】濃色表現、遮熱性及び耐候性のバランスが良好な化粧シートを提供する。【解決手段】基材と、基材上に形成されたベタ印刷層と、前記ベタ印刷上に形成された少なくとも一以上の絵柄層とを有する化粧シートであって、前記基材は赤外線反射性を有する基材であり、前記ベタ印刷層は顔料及びバインダー樹脂を含み、前記顔料として、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物と、酸化鉄と、酸化チタンとを含み、前記化粧シートの前記基材とは反対側の表面からJIS Z8781−4:2013に準拠して測定したCIE(国際照明委員会)L*a*b*表色系におけるL*値の平均が40以下である、化粧シート。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧シート及びこれを用いた化粧材に関する。
床、壁、窓、扉、手すり、塀、柵、簀子等の建築物や構造物は、金属部材、樹脂部材及び木質部材等の基体(被着材)上に、意匠性を高めるために化粧シートを貼り合せてなるものが提案されている。なお、以下、基体(被着材)上に化粧シートを貼り合わせたものを「化粧材」と称する。
これら化粧シートは、高級感を付与するために黒等の濃色に調製される場合がある。化粧シートを濃色に調整するためには、通常、汎用の黒色顔料であるカーボンブラックを用いて絵柄を形成している。
しかし、カーボンブラックは赤外線を吸収するため、太陽光の照射を多く受ける場所でカーボンブラックを含む化粧材を用いた場合、化粧シートの温度が上昇することによって、化粧材の変形、被着材と化粧シートの剥離などの不具合が生じる場合がある。すなわち、カーボンブラックを用いた化粧シートは、遮熱性が不十分なものであった。
濃色系の化粧シートの遮熱性の問題を解決することを目的として、例えば特許文献1の技術が提案されている。
特許第6111559号公報
特許文献1の遮熱化粧シートは、酸化チタン等の赤外線を反射する顔料を含む着色フィルム上に、アゾメチンアゾ系顔料からなる赤外線透過性の黒色顔料によって濃色の絵柄模様層を形成してなるものである。
特許文献1で用いているアゾメチンアゾ系顔料は、可視光線帯域380〜780nmの吸収率は高く黒色であるものの赤外線帯域、特に温度上昇への寄与が高い780〜2500nmの帯域では吸収率は低く赤外線の吸収を抑制し得るため、絵柄模樣層に入射した赤外線は該絵柄模樣層を透過し、その背面に在る赤外線反射性の着色フィルム表面で反射し、再度該絵柄模樣層を透過して空中に戻される。このため、特許文献1の遮熱化粧シートの遮熱性は比較的良好である。
しかし、特許文献1の遮熱化粧シートは、遮熱性は比較的良好であるものの、耐候性が十分ではなく、経時的に色味が変化するという問題があった。
本発明は、このような状況下になされたものであり、濃色表現、遮熱性及び耐候性のバランスが良好な化粧シート、及び、これを用いた化粧材を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、以下の[1]〜[2]を提供する。
[1]基材と、基材上に形成されたベタ印刷層と、前記ベタ印刷上に形成された少なくとも一以上の絵柄層とを有する化粧シートであって、前記基材は赤外線反射性を有する基材であり、前記ベタ印刷層は顔料及びバインダー樹脂を含み、前記顔料として、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物と、酸化鉄と、酸化チタンとを含み、前記化粧シートの前記基材とは反対側の表面からJIS Z8781−4:2013に準拠して測定したCIE(国際照明委員会)L表色系におけるL値の平均が40以下である、化粧シート。
[2]被着材と上記[1]に記載の化粧シートとを有する化粧材。
本発明によれば、濃色表現、遮熱性及び耐候性のバランスが良好な化粧シート、及び、これを用いた化粧材を提供できる。
本発明の化粧シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧シートのその他の実施形態を示す断面図である。
[化粧シート]
本発明の化粧シートは、基材と、基材上に形成されたベタ印刷層と、前記ベタ印刷上に形成された少なくとも一以上の絵柄層とを有する化粧シートであって、前記基材は赤外線反射性を有する基材であり、前記ベタ印刷層は顔料及びバインダー樹脂を含み、前記顔料として、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物と、酸化鉄と、酸化チタンとを含み、前記化粧シートの前記基材とは反対側の表面からJIS Z8781−4:2013に準拠して測定したCIE(国際照明委員会)L表色系におけるL値の平均が40以下であるものである。
本明細書において、赤外線とは、波長780〜2500nmの光(いわゆる「近赤外線」)のことを言うものとする。
図1〜2は、化粧シート100の実施の形態を示す断面図である。
図1〜2の化粧シート100は、赤外線反射性を有する基材10上にベタ印刷層20を有し、ベタ印刷層21上に絵柄層31、32を有している。なお、図1の化粧シート100では絵柄層31及び絵柄層32が並列に形成され、図2の化粧シートでは絵柄層32は絵柄層31上に形成されている。
<基材>
基材は、赤外線反射性を有する基材が用いられる。赤外線反射性を有する基材としては、バインダー樹脂及び赤外線反射性を有する顔料を含むものが挙げられる。
なお、以下、「赤外線反射性を有する基材」のことを「基材」と略称する場合がある。
バインダー樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下、「ABS樹脂」とも称する。)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が好適に使用される。
これらの中で、より優れた耐候性及び耐傷性等の表面特性及びラッピング加工等の加工適性を得る観点から、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びABS樹脂が好ましく、加工適性の観点からポリオレフィン樹脂及び塩化ビニル樹脂がより好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。中でも、より優れた耐候性及び耐傷性等の表面特性を得る観点から、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体が好ましい。
また、塩化ビニル樹脂としては、重合度650〜3500のものが好ましい。塩化ビニル樹脂は可塑剤と併用することが好ましい。該可塑剤としては、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリデシルなどのトリメリット酸トリアルキル、アジピン酸とアルキレングリコールとのオリゴエステル、その末端をアルカノール変性したものやアルカン酸変性またはアルケン酸変性したもの、DUPなどの炭素数が12以上のアルキル基をもつフタル酸エステルが好適である。
赤外線反射性を有する顔料としては、白色顔料、金属顔料、マンガンとマンガン以外の少なくとも1種の金属元素を含む複合酸化物(以下、「マンガンを含む複合酸化物」と称する場合がある。)等の無機顔料等が挙げられる。これらの中でも白色顔料は赤外線の吸収が少ないため、遮熱性の観点で好適である。
白色顔料としては酸化チタン等が挙げられる。酸化チタンは、アナターゼ型、ブルッカイト型及びルチル型があるが、光触媒活性の低いルチル型であることが好ましい。
白色顔料以外の無機顔料としては、酸化鉄、酸化亜鉛等が挙げられる。
金属顔料としてはアルミニウム、銀、真鍮等が挙げられる。
マンガンを含む複合酸化物に含まれるマンガン以外の金属元素は、特に限定されず、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。マンガン以外の金属元素の具体例としては、カルシウム、バリウム等の第2族元素;イットリウム、ランタン、プラセオジム;ネオジム等の第3族元素、チタン、ジルコニウム等の第4族元素;ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等の第13族元素;アンチモン、ビスマス等の第15族元素等の金属元素が挙げられる。これらのなかでも、第2族元素、第4族元素、第15族元素が好ましく、カルシウム、チタン、及びビスマスがより好ましく、カルシウム及びチタンがさらに好ましい。
マンガンを含む複合酸化物の特に好ましい具体例としては、マンガン、カルシウム及びチタンを含む複合酸化物が挙げられる。マンガンを含む複合酸化物の構造は、特に限定されるものではないが、構造としての安定性、遮熱性及び意匠性等の観点から、ペロブスカイト構造、斜方晶構造、六方晶構造等であることが好ましく、ペロブスカイト構造であることがより好ましい。
上述したマンガンを含む複合酸化物は、例えば、国際公開番号WO2016/125907A1に記載されている。
基材中の赤外線反射性を有する顔料の含有量は、赤外線反射率を高める観点から、バインダー樹脂100質量部に対し、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。また、化粧シートの成形性の観点から、上限としては好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、よりさらに好ましくは20質量部以下である。
基材中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、赤外線反射性を有する顔料以外の顔料を含有していてもよい。
基材には、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。添加剤の配合量は特に制限はなく、要求特性等に応じて適宜設定できる。
基材に添加する紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、中でも(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合である官能基等を有する反応性基含有ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート等の分子中にエチレン性不飽和基である(メタ)アクリロイル基を有するヒンダードアミン系光安定剤;また、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の各種有機酸由来のヒンダードアミン系光安定剤;1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ルとコハク酸ジエチルとの重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサンと2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジンとの重縮合物等の重縮合物系ヒンダードアミン系光安定剤;1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン等が好ましく挙げられる。
基材中の紫外線吸収剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上であり、上限として好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
また、基材中の光安定剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、上限として好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは6質量部以下である。
基材中の紫外線吸収剤、光安定剤の含有量が上記範囲内であると、ブリードアウトしにくく、優れた添加効果が得られる。
基材は、単層構造であってもよく、同種あるいは異種の層を二以上有する複層構造であってもよい。
基材の厚さは、取り扱い性及び強度のバランスの観点から、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、40μm以上がさらに好ましい。上限としては、200μm以下が好ましく、160μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
基材は、ベタ印刷層等の化粧シートを構成する他の層との密着性の向上のため、あるいは、被着材との接着性の強化等のために、その片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン−紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、基材と他の層との層間密着性の向上、被着材との接着性の強化等のために、基材にプライマー層、裏面プライマー層を形成する等の処理を施してもよい。これらのプライマー層については、後述する。
基材は、JIS K5602:2008に準拠して測定した波長780〜2500nmの分光反射率の平均が30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましい。基材の波長780〜2500nmの分光反射率の平均の上限は特に限定されないが、通常は50%以下である。
<ベタ印刷層>
ベタ印刷層は顔料及びバインダー樹脂を含む。
ベタ印刷層は、基材上の全面に形成するいわゆる「全ベタ印刷層」である必要はない。しかしながら、基材の色味を隠蔽しやすくするとともに、化粧シートのL値の平均を40以下にしやすくするために、ベタ印刷層は、基材の全面積の90%以上を覆うことが好ましく、95%以上を覆うことがより好ましく、99%以上を覆うことがさらに好ましく、100%を覆うことがよりさらに好ましい。
<<顔料>>
ベタ印刷層は、顔料として、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物と、酸化鉄と、酸化チタンとを含む。
−アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物−
アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物は黒色の有機系顔料である。
ベタ印刷層の顔料として、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物を含まない場合、化粧シートのL値の平均を40以下として、化粧シートを濃色化することが困難となる。また、ベタ印刷層の顔料として、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物以外の黒色顔料を用いた場合、化粧シートを濃色化したとしても、遮熱性を満足しにくくなる。
なお、本明細書において「濃色」とは、濃灰色、深緑色、紺色、黒色、濃紫色、臙脂(えんじ)色、焦茶色等の、明度及び彩度が低い感じのする色のことをいう。
アゾメチンアゾ系顔料は、テトラクロロフタルイミドとアミノアニリンの反応化合物であるジアゾニウム基を有するものである。
ペリレン系顔料は、ペリレンテトラカルボン酸二無水物の六員環を構成している酸素原子2個を脱落させた構造を有する顔料であり、ペリレンブラック等が挙げられる。
アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物は、ベタ印刷層に両方とも含まれていてもよいし、何れか一方のみが含まれていてもよい。
−酸化鉄−
酸化鉄は、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物を保護して、その耐候性を向上し、ひいては化粧シートの耐候性を向上する役割を有する。なお、後述する酸化チタンも、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物の耐候性を向上することができるが、酸化鉄を用いずに酸化チタンのみを用いた場合、化粧シートのL値の平均を40以下として、化粧シートを濃色化することが困難となる。
すなわち、ベタ印刷層の酸化鉄は、化粧シートの耐候性を良好にするとともに、化粧シートを濃色化する役割を有する。また、ベタ印刷層の酸化鉄は、化粧シートを木目調の色合いにしやすい点でも好ましい。
酸化鉄としては、分子式FeOOHで表される黄色酸化鉄、分子式Feで表される赤色酸化鉄が挙げられる。また、酸化鉄としては、分子式Feで表される黒色酸化鉄も挙げられるが、黒色酸化鉄は、黄色酸化鉄及び赤色酸化鉄よりも赤外線を吸収しやすく、遮熱性の観点で不利である。このため、酸化鉄としては、黄色酸化鉄及び赤色酸化鉄が好ましく、ベタ印刷層の明度及び色相の調整の観点から、黄色酸化鉄と赤色酸化鉄とを混合して用いることが好ましい。
黄色酸化鉄と赤色酸化鉄とを混合して用いる場合、混合比は特に限定されないが、質量基準で95:5〜50:50であることが好ましく、90:10〜60:40であることがより好ましい。
−酸化チタン−
酸化チタンは、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物を保護して、その耐候性を向上し、ひいては化粧シートの耐候性を向上する役割を有する。なお、上述した酸化鉄も、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物の耐候性を向上することができるが、酸化チタンを用いずに酸化鉄のみを用いた場合、ベタ印刷層の明度が下がりすぎ、背景となるベタ印刷層と絵柄層との明度差によるコントラストが不十分となり、化粧シートの意匠性が低下してしまう。
すなわち、ベタ印刷層の酸化チタンは、化粧シートの耐候性を良好にするとともに、化粧シートの意匠性を良好にする役割を有する。
酸化チタンは、アナターゼ型、ブルッカイト型及びルチル型があるが、光触媒活性の低いルチル型であることが好ましい。
−各顔料の配合比等−
ベタ印刷層中の、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物の総量をA、酸化鉄の総量をB、酸化チタンの総量をCとした際に、下記式(1)を満たすことが好ましい。式(1)及び後述する式(2)において、「総量」は質量基準である。
3≦(B+C)/A≦13 (1)
(B+C)/Aを3以上とすることにより、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物が酸化鉄及び酸化チタンによって保護され、化粧シートの耐候性を良好にしやすくできる。また、(B+C)/Aを13以下とすることにより、化粧シートのL値の平均を40以下として、化粧シートを濃色化しやすくできる。
(B+C)/Aは4以上12以下であることがより好ましい。
なお、ベタ印刷層が、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物のうちの一方のみを含む場合には、上記の「A」は、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物の一方の総量を意味する。
また、ベタ印刷層中の、酸化鉄の総量をB、酸化チタンの総量をCとした際に、下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.1≦B/C≦6.0 (2)
B/Cを0.1以上とすることにより、化粧シートのL値の平均を40以下として、化粧シートを濃色化しやすくできる。また、B/Cを0.1以上とすることにより、化粧シートを木目調の色合いにしやすくできる。
B/Cを6.0以下とすることにより、ベタ印刷層の明度が下がりすぎ、背景となるベタ印刷層と絵柄層との明度差によるコントラストが不十分となり、化粧シートの意匠性が低下することを抑制しやすくできる。
B/Cは0.2以上5.5以下であることがより好ましく、0.2以上5.0以下であることがさらに好ましい。
−その他の顔料−
ベタ印刷層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の顔料を含有していてもよい。
なお、遮熱性を良好にする観点からは、ベタ印刷層中には、カーボンブラックを実質的に含有しないことが好ましく、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物以外の黒色顔料を実質的に含有しないことがより好ましい。後述する絵柄層も、カーボンブラックを実質的に含有しないことが好ましく、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物以外の黒色顔料を実質的に含有しないことがより好ましい。
実質的に含有しないとは、ベタ印刷層(又は絵柄層)を構成する全固形分の0.1質量%以下であることを意味し、より好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以下、よりさらに好ましくは0質量%である。
−顔料の配合量、粒子径−
ベタ印刷層中の顔料の含有量は、基材の色味を隠蔽する観点、化粧シートのL値の平均を40以下にしやすくする観点、及び、化粧シートの成形性のバランスの観点から、ベタ印刷層の全固形分の10〜80質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。
ベタ印刷層中の顔料の平均粒子径は特に限定されないが、通常の分散度合いであれば、0.03〜0.50μm程度である。
なお、本明細書において平均粒子径とは、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50として求めることができる値である。
<<バインダー樹脂>>
ベタ印刷層のバインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン−アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン−アクリル共重合体)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、1液硬化型の他、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPID)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のイソシアネート化合物等の硬化剤を伴う2液硬化型等、種々のタイプの樹脂を用いることができる。
ベタ印刷層及び後述する絵柄層は、耐候性を向上させる観点から、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤及び光安定剤としては、基材に含まれ得るものとして例示した、紫外線吸収剤、光安定剤を挙げることができる。
紫外線吸収剤及び光安定剤の含有量は、耐候性の向上の観点から、後述する表面保護層中の含有量と同じ範囲を例示することができる。
ベタ印刷層の厚みは、基材の色味を隠蔽する観点、濃色を表現する観点、化粧シートのL値の平均を40以下にしやすくする観点、及び、化粧シートの成形性のバランスの観点から、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜8μmであることがより好ましく、1.5〜5μmであることがさらに好ましい。
ベタ印刷層及び絵柄層により付与する意匠が木材の模様の場合、ベタ印刷層は木肌模様(木材の模様を構成する模様のうち、導管、秋材及び節目等の暗部以外の部分)とすることが好ましい。また、ベタ印刷層及び絵柄層により付与する意匠がトラバーチン等の石の模様の場合、ベタ印刷層は凹陥部等の暗部以外の部分とすることが好ましい。また、ベタ印刷層及び絵柄層により付与する意匠がタイル模様又はレンガ模様の場合、ベタ印刷層はタイル部分又はレンガ部分とすることが好ましい。
なお、ベタ印刷層は、単層であってもよいし、複数のベタ印刷層を積層してもよい。
<絵柄層>
絵柄層は、例えば、顔料とバインダー樹脂とを含む。
絵柄層の色及び絵柄模様(パターン)は、化粧シートに所望の意匠外観を付与するのに適切なものを適宜選択すればよい。例えば、ベタ印刷層とのコントラストにより、絵柄層が木材の導管溝のような凹部の意匠外観を表現する場合には、ベタ印刷層よりも暗い色(L値の低い色)で形成することが好ましい。更により好ましくは、絵柄層の光沢をベタ印刷層の光沢よりも低光沢とする。
絵柄層の顔料としては、遮熱性の観点から有機顔料が好ましい。
有機顔料としては、キナクリドン、イソインドリノン、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニン、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物が挙げられる。これらの中でも、耐候性の観点から、キナクリドン、イソインドリノン、ニッケルアゾ錯体及びフタロシアニンが好ましい。
キナクリドンは分子式C2012で示される化合物である。キナクリドンは結晶構造の違いにより、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49等が挙げられる。
イソインドリノンは、インドリノン骨格を有する化合物である。イソインドリノンとしては、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー173、C.I.ピグメントオレンジ61等が挙げられる。
ニッケルアゾ錯体は、電子アクセプターであるニッケルと、電子ドナーであるアゾ基との配位結合による配位化合物である。ニッケルアゾ錯体としては、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントイエロー150等が挙げられる。
フタロシアニンは、4つのフタル酸イミドが窒素原子で架橋された構造を有する環状化合物である。フタロシアニンとしては、無金属フタロシアニンであるC.I.ピグメントブルー16、金属フタロシアニンであるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等が挙げられる。
絵柄層の顔料は、濃色の色調を表現しつつ、耐候性を良好にする観点から、キナクリドン、イソインドリノン、ニッケルアゾ錯体及びフタロシアニンからなる群から選択される三種以上の化合物を含むことが好ましい。
三種以上の化合物は、所望の色に応じて適宜組み合わせることができ、例えば、(i)赤色顔料又は橙色顔料の一種と、(ii)黄色顔料又は緑色顔料の一種と、(iii)青色顔料又は紫色顔料の一種とを組み合わせることができる。
具体的な有機顔料の組み合わせとしては、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントイエロー150とC.I.ピグメントブルー15との組み合わせ、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントイエロー109とC.I.ピグメントブルー15との組み合わせ等が挙げられる。
絵柄層中の顔料の含有量は、化粧シートのL値の平均を40以下にしやすくする観点、及び、化粧シートの成形性のバランスの観点から、絵柄層の全固形の10〜80質量%であることが好ましく、12〜50質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることがさらに好ましい。
絵柄層中には無機顔料を含有してもよいが、濃色系の無機顔料は赤外線の吸収が高い傾向がある。このため、絵柄層の顔料としては有機顔料を多く用いることが好ましい。具体的には、絵柄層の顔料の全量に対する有機顔料の割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、耐候性の観点から、絵柄層の有機顔料の全量に対する、キナクリドン、イソインドリノン、ニッケルアゾ錯体及びフタロシアニンの総量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
絵柄層中の顔料の平均粒子径は特に限定されないが、通常の分散度合いであれば、0.03〜0.50μm程度である。
絵柄層のバインダー樹脂は、上述したベタ印刷層のバインダー樹脂と同様のものを使用することができる。
絵柄層は、耐候性を向上させる観点から、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいてもよい。
紫外線吸収剤及び光安定剤としては、基材に含まれ得るものとして例示した、紫外線吸収剤、光安定剤を挙げることができる。紫外線吸収剤及び光安定剤の含有量は、耐候性の向上の観点から、後述する表面保護層中の含有量と同じ範囲を例示することができる。
絵柄層の厚みは、化粧シートのL値の平均を40以下にしやすくする観点、及び、化粧シートの成形性のバランスの観点から、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜8μmであることがより好ましく、1.5〜5μmであることがさらに好ましい。絵柄層が多層の場合、各絵柄層の厚みが前記範囲であることが好ましい。
絵柄層の絵柄の種類は特に限定されないが、凹部を表現する絵柄であることが好ましい。
ベタ印刷層及び絵柄層により付与する意匠が木材の模様の場合、絵柄層は、導管、秋材及び節から選ばれる1種以上の模様を形成してなることが好ましい。導管とは、水分の通路となる円筒形の細胞であり、微小な導管が配列することにより、人の目には該配列に沿って濃色の絵柄が形成されているようにみえる。秋材とは、夏から秋にかけて形成される目幅が狭く色の濃い部分のことである。なお、春から夏にかけてつくられる目幅の大きな部分は春材と称し、春材と秋材とが交互に繰り返されることで木材の年輪が形成される。節とは、幹に取り込まれた枝の痕跡であり、円形又は楕円形に近い形状をしており、周辺組織よりも濃い色を有している。
また、ベタ印刷層及び絵柄層により付与する意匠がトラバーチン等の石の模様の場合、絵柄層は凹陥部模様とすることが好ましい。また、ベタ印刷層及び絵柄層により付与する意匠がタイル模様又はレンガ模様の場合、絵柄層は目地模様とすることが好ましい。
絵柄層は、例えば、顔料及びバインダー樹脂等を含む絵柄層形成用インキを用いた印刷により形成できる。この際、単色によって絵柄層を形成してもよいし、顔料の配合を変えた複数のインキを用いた多色印刷によって絵柄層を形成してもよい。また、絵柄層は、単層であってもよいし、複数の絵柄層が互いに重なり合うように積層してもよい。
絵柄層のうち、基材から最も離れた側に配置される絵柄層は、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物を含有しないことが好ましい。当該構成とすることにより、化粧シートの耐候性を良好にしやすくできる。
また、ベタ印刷層及び絵柄層は、基材から離れた側に配置される層ほど、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物の含有割合が少ないことが好ましい。当該構成とすることにより、化粧シートの耐候性を良好にしやすくできる。
なお、任意の層中に、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物のうちの一方のみを含む場合には、前記の「含有割合」は、層の全固形分に対する、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物の一方の含有割合を意味する。また、任意の層中に、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物の両方を含む場合には、前記の「含有割合」は、層の全固形分に対する、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物を合計した含有割合を意味する。
<接着剤層A>
化粧シートは、必要に応じて接着剤層Aを有することができる。
特に、化粧シートが後述する透明性樹脂層を有する場合、絵柄層と該透明性樹脂層との層間密着性を向上させるため、接着剤層Aを設けることは有効である。接着剤層Aを構成する接着剤としては、通常化粧シートで用いられる接着剤を制限なく用いることができる。
接着剤としては、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられ、中でも、ウレタン系接着剤が接着力の点で好ましい。なお、ウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートジオール等の各種ポリオール化合物と、上記の各種イソシアネート化合物等の硬化剤とを含む2液硬化型ウレタン樹脂を利用した接着剤が挙げられる。また、アクリル−ポリエステル−塩酢ビ系樹脂等も加熱により容易に接着性を発現し、高温での使用でも接着強度を維持し得る好適な接着剤である。
接着剤層Aの厚さは、十分な接着性が得られる観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上であり、上限として好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。
<透明性樹脂層>
化粧シートは、ベタ印刷層及び絵柄層を保護する観点、耐候性及び耐擦傷性等の表面特性の向上の観点から、絵柄層上に直接、又は他の層を介して透明性樹脂層を積層してもよい。透明性樹脂層は単層であってもよいし、2層以上から形成してもよい。
透明性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、弗素樹脂等が好ましく挙げられる。
中でも、耐候性及び耐傷性等の表面特性の向上の観点から、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂及び弗素樹脂が好ましく、特にポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、着色基材を構成し得るものとして例示した樹脂が挙げられ、中でもポリプロピレン樹脂が好ましい。
弗素樹脂としては、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリ四弗化エチレン、エチレン−4弗化エチレン共重合体、4弗化エチレン−6弗化プロピレン共重合体等が挙げられ、これらの単体又はこれらの2種以上の混合物を用いることができる。
弗素樹脂を含む透明性樹脂層は、弗素樹脂とは別に、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレ−ト、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体等のアクリル樹脂を含むことが好ましい。
また、弗素樹脂を含む透明性樹脂層を用いる場合、その他の透明性樹脂層を併用し、透明性樹脂層を多層構成とすることが好ましい。この際、その他の透明性樹脂層が装飾層側となるように配置することが好ましい。
透明性樹脂層は、必要に応じて、添加剤が配合されていてもよく、例えば、上記基材中に配合し得る添加剤として例示したものを用いることができる。各種の添加剤の中でも、紫外線吸収剤、光安定剤といった耐候剤を用いることが好ましい。
紫外線吸収剤、光安定剤としては、基材に用い得るものとして例示した、紫外線吸収剤、光安定剤を挙げることができる。これらの耐候剤の含有量は、耐候性の向上の観点から、着色基材中の含有量と同じ範囲を例示することができる。
透明性樹脂層の厚さは、装飾層の保護、耐傷性及び耐候性等の表面特性の向上の観点から、10μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。また、化粧シートの取り扱い性の観点から、上限としては、150μm以下が好ましく、120μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。また、装飾層を保護し、かつ優れた耐傷性を得る観点から、基材と同等以上の厚さとすることが好ましい。
透明性樹脂層は、透明性樹脂層と他の層との層間密着性の向上等のために、その片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。これらの物理的または化学的表面処理としては、上記の着色基材の表面処理と同じの方法が好ましく例示される。
また、透明性樹脂層と他の層との層間密着性の向上のために、透明性樹脂層の片面又は両面にプライマー層を形成する等の処理を施してもよい。このプライマー層については、後述する。
<表面保護層>
化粧シートには、主に耐傷性及び耐候性等の表面特性を付与する観点から、絵柄層上に直接、又は他の層(接着剤層A、透明性樹脂層、プライマー層)の上に表面保護層を形成してもよい。
表面保護層は、硬化性樹脂を含有する樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。
表面保護層の形成に用いられる硬化性樹脂としては、2液硬化型樹脂等の熱硬化性樹脂の他、電離放射線硬化性樹脂等が好ましく用いられ、これらの複数種を組み合わせた、例えば、電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用する、又は硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを併用する、いわゆるハイブリッドタイプであってもよい。
硬化性樹脂としては、表面保護層を構成する樹脂の架橋密度を高め、より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性とを得る観点から、電離放射線硬化性樹脂が好ましく、また、取り扱いが容易との観点から、電子線硬化性樹脂がより好ましい。
<<電離放射線硬化性樹脂>>
電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂のことであり、電離放射線硬化性官能基を有するものである。ここで、電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する官能基等が好ましく挙げられる。また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性を得る観点から、アクリロイル基を有するアクリレートモノマーが好ましい。
より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性を得る観点から、官能基数は好ましくは2以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。
かかる多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
これらの重合性オリゴマーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性を得る観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましい。
より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性を得る観点から、これらの重合性オリゴマーの官能基数は、好ましくは2以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下、よりさらに好ましくは3以下である。
これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量は、より優れた耐傷性及び耐候性等の表面特性を得る観点から、2,500以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、3,500以上が更に好ましい。また、上限としては、15,000以下が好ましく、12,500以下がより好ましく、11,000以下が更に好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
電離放射線硬化性樹脂は、上記多官能性(メタ)アクリレート等とともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを適宜併用することができる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂としては、耐傷性及び耐候性等の表面特性を向上させる観点から、重合性オリゴマーを含むものであることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂中の重合性オリゴマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%がよりさらに好ましい。
表面保護層を構成する硬化性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。表面保護層が紫外線吸収剤を含むことで、表面保護層中に紫外線吸収剤が安定して保持されるので、厳しい環境下においても、優れた耐候性が得られる。
紫外線吸収剤としては、着色基材に含まれ得る紫外線吸収剤として例示した、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
また、表面保護層を構成する硬化性樹脂組成物は、耐候性を向上させる観点から、光安定剤を含むことが好ましい。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、着色基材に用い得る光安定剤として例示したヒンダードアミン系光安定剤を用いることができ、耐候性の観点から、デカン二酸(セバシン酸)由来のヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
表面保護層において、これらの紫外線吸収剤、光安定剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、紫外線吸収剤、光安定剤は、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する反応性官能基を有するものであってもよい。表面保護層を構成する硬化性樹脂との相互作用により、ブリードアウトしにくくなるため、より多量に用いることができ、より優れた耐候性が得られる。
表面保護層中の紫外線吸収剤の含有量は、表面保護層を構成する硬化性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上がさらに好ましく、0.5質量部以上がよりさらに好ましい。また上限としては、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
表面保護層中の光安定剤の含有量は、表面保護層を構成する硬化性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、1.5質量部以上がよりさらに好ましい。また上限としては、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましく、3質量部以下がよりさらに好ましい。表面保護層中の紫外線吸収剤、光安定剤の含有量が上記範囲内であると、ブリードアウトすることなく、優れた添加効果が得られる。
表面保護層には、添加剤として、本発明の目的を損なわない範囲で、上記の紫外線吸収剤、光安定剤の他、紫外線遮蔽剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、ブロッキング防止剤、滑剤、溶剤等を添加することができる。
表面保護層の厚さは、耐傷性及び耐候性等の表面特性を向上させる観点から、2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、4μm以上がさらに好ましい。また、化粧シートを成形する際の表面保護層のクラック抑制の観点から、表面保護層の厚さは15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下がさらに好ましい。
<プライマー層>
化粧シートは、所望に応じてプライマー層を設けることができる。プライマー層は、主に層間密着性の向上効果を得るために設けられる層である。また、プライマー層が、着色基材の表面保護層側とは反対側の面に設けられる場合(このような場合のプライマー層は、「裏面プライマー層」とも称される。)は、基材と被着材との層間密着性を向上することができる。
プライマー層は、基材と装飾層との間、接着剤層Aと透明性樹脂層との間、透明性樹脂層と表面保護層との間、基材の装飾層側とは反対側の面、から選らばれる何れか1箇所以上に設けることができる。
プライマー層の形成には、バインダーに硬化剤、また紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を適宜混合した樹脂組成物が用いられる。
バインダーとしては、例えば、上記のベタ印刷層に用い得るバインダーとして例示した樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。例えば、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体とアクリルポリオール樹脂との混合物をバインダーとして用いることができる。
また、1液硬化型の他、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPID)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のイソシアネート化合物等の硬化剤を伴う2液硬化型等、種々のタイプの樹脂を用いることができる。
プライマー層は、耐候性を向上させる観点から、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤及び光安定剤としては、基材に含まれ得るものとして例示したものを挙げることができる。
プライマー層における紫外線吸収剤の含有量は、プライマー層を構成する樹脂100質量部に対し、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、また上限として好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。
また、プライマー層における光安定剤の含有量は、プライマー層を構成する樹脂100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上、よりさらに好ましくは2質量部以上であり、また上限として好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、よりさらに好ましくは8質量部以下である。
プライマー層中の紫外線吸収剤及び光安定剤の含有量が上記範囲内であると、プライマー層としての優れた性能とともに、優れた耐候性が得られる。
プライマー層の厚さは、層間密着性の向上効果、さらには各層の熱収縮の緩和効果を得る観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。また、上限としては、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。
化粧シートは、エンボス加工等で表面に凹凸が形成されたものであってもよい。
エンボス加工を行う場合、例えば、化粧シートを好ましくは80℃以上260℃以下、より好ましくは85℃以上160℃以下、さらに好ましくは100℃以上140℃以下に加熱し、化粧シートにエンボス版を押圧して、エンボス加工を行うことができる。エンボス版は、化粧シートの基材を基準として装飾層側に押し当てることが好ましい。
<L値>
本発明の化粧シートは、化粧シートの基材とは反対側の表面からJIS Z8781−4:2013に準拠して測定したCIE(国際照明委員会)L表色系におけるL値の平均が40以下であることを要する。
値の平均が40を超える場合、化粧シートが全体として濃色化されず、意匠性を良好にすることができない。L値の平均は35以下であることが好ましく、33以下であることがより好ましい。L値の平均の下限は特に限定されないが、通常25以上である。
値の平均は、16箇所の測定値の平均値を意味する。16の測定箇所は、測定サンプルの外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域に関して、縦方向及び横方向を5等分する線を引いた際の、交点の16箇所を測定の中心とすることが好ましい。例えば、測定サンプルが四角形の場合、四角形の外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域を縦方向及び横方向に5等分した点線の交点の16箇所を中心として測定を行い、その平均値でパラメータを算出することが好ましい。なお、測定サンプルが円形、楕円形、三角形、五角形等の四角形以外の形状の場合、これら形状に内接する四角形を描き、該四角形に関して、上記手法により16箇所の測定を行うことが好ましい。
<用途>
本発明の化粧シートは、例えば、床、壁、窓、扉、手すり、塀、柵、簀子等の建築物や構造物;ダッシュボード、グローブボックス、インパネアッパーケース、センターコンソール、フロアコンソール等の自動車等の車両;等の化粧シートとして用いることができ、特に、太陽光の照射による熱が問題となりやすい窓枠用の化粧シート、自動車等の車両内装の化粧シートとして好適に用いることができる。
[化粧材]
本発明の化粧材は、被着材と上記の本発明の化粧シートとを有するものであり、より具体的には、被着材の装飾を要する側の面と、化粧シートの基材側の面とを密着し、積層したものである。
<被着材>
被着材としては、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等が挙げられる。例えば、杉、檜、松、ラワン等の各種木材から成る木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質部材;鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる樹脂部材等が挙げられる。また、これらの部材は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
被着材の厚さは、用途及び材料に応じて適宜選択すればよく、0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.3mm以上5mmがより好ましく、0.5mm以上3mm以下が更に好ましい。
<接着剤層B>
被着材と化粧シートとは、優れた接着性を得るため、接着剤層Bを介して貼り合わせられることが好ましい。
接着剤層Bに用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤等の接着剤が好ましく挙げられる。この接着剤層Bを構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネート化合物等を硬化剤とする2液硬化型のポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤も適用し得る。
また、接着剤層Bには、粘着剤を用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
接着剤層Bの厚さは特に制限はないが、優れた接着性を得る観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。
<化粧材の製造方法>
化粧材は、化粧シートと被着材とを積層する工程を経て製造することができる。
本工程は、被着材と、本発明の化粧シートとを積層する工程であり、被着材の装飾を要する側の面と、化粧シートの基材側の面とを対向させて積層する。被着材と化粧シートとを積層する方法としては、例えば、接着剤層Bを介して化粧シートを板状の被着材に加圧ローラーで加圧して積層するラミネート方法等が挙げられる。
接着剤としてホットメルト接着剤(感熱接着剤)を用いる場合、接着剤を構成する樹脂の種類にもよるが、加温温度は160℃以上200℃以下が好ましく、反応性ホットメルト接着剤では100℃以上130℃以下が好ましい。また、真空成形加工の場合は加熱しながら行うことが一般的であり、80℃以上130℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上120℃以下である。
以上のようにして得られる化粧材は、例えば、床、壁、窓、扉、手すり、塀、柵、簀子等の建築物や構造物;ダッシュボード、グローブボックス、インパネアッパーケース、センターコンソール、フロアコンソール等の自動車等の車両;等の部材として用いることができ、特に、太陽光の照射による熱が問題となりやすい窓枠用化粧材等の内装又は外装用の化粧材、自動車等の車両の内装又は外装用の化粧材として好適に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
1.測定及び評価
実施例及び比較例で得られた化粧シートに関して、下記の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
各測定及び評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40〜65%とした。また、各測定及び評価の開始前に、化粧シートを前記雰囲気に10分以上晒してから測定及び評価を行った。
1−1.L
化粧シートの基材とは反対側の表面(絵柄層側の表面)からJIS Z8781−4:2013に準拠して測定したCIE(国際照明委員会)L表色系におけるL値の平均を算出した。明細書本文の記載に従い、16箇所の測定値の平均値とした。また、測定装置は、日本分光株式会社製の紫外可視近赤分光光度計「品番:V−670」を用い、下記の条件で測定した。
<測定条件>
測光モード:反射、測定範囲:10×10mm角、光源:D65光源、視野:10°視野
1−2.遮熱性
化粧シートの基材側の面に、波長780〜2500nmの分光反射率の平均が60%の白色基材を貼り合わせたサンプルを作製した。JIS K5602:2008に準拠して、サンプルの白色基材とは反対側の表面(絵柄層側の表面)から波長780〜2500nmの分光反射率を測定し、その平均値を算出した。波長780〜2500nmの分光反射率の平均値が50%以上のものを「A」、20%以上50%未満のものを「B」、20%未満のものを「C」とした。測定装置及び測定条件は、上記の1−1の測定装置及び測定条件と同じである。)
1−3.耐候性
JIS B7753:2007に準拠するサンシャインカーボンアーク灯式の耐候性試験機(サンシャインウェザーメーター S300、スガ試験機株式会社製)を用いて、JIS K5600−7−7:2008に準拠する条件下で、化粧シートの耐候性試験を8000時間実施した。耐候試験前の化粧シートのLと、耐候試験前の化粧シートのLとから算出される色差(ΔEab)が4以下のものを「A」、前記差が4超7以下のものを「B」、7超のものを「C」とした。耐候性試験の条件は下記の通りである。
<耐候性試験の条件>
放電電圧:50±2V
放電電流:60±2A
ガラス製フィルター:Aタイプ
ブラックパネル温度:63±3℃
水の噴射条件:
圧力:0.08〜0.13MPa
水量:2100+100mL/分
噴射時間:18分/120分照射
水質:pH6.8
水温:16±5℃
相対湿度:90±5%(結露時)、50±5%(照射時)
試料面放射照度:255W/m2(300〜400nmでの連続照射)
1サイクル:120分間(102分間の照射に続いて18分間の照射及び噴射)
サイクル数:4000サイクル
2.化粧シート及び化粧材の作製
[実施例1]
赤外線反射性を有する基材として白色ポリプロピレンシート(厚さ60μm。ランダムポリプロピレン樹脂100質量部に対して酸化チタンを10質量部含有。波長780〜2500nmの分光反射率の平均40%)を用意して、該シートの一方の面に、下記処方のベタ印刷層形成用インキ1をグラビアコート法により塗布、乾燥し、厚さ1.5μmのベタ印刷層(木肌模様)を形成した。
<ベタ印刷層形成用インキ1>
・バインダー樹脂(アクリルウレタン系樹脂) 74質量部
・アゾメチンアゾ系化合物(黒色顔料) 2質量部
(平均粒子径:0.2μm)
・黄色酸化鉄(FeOOH) 13質量部
(平均粒子径:0.1μm)
・赤色酸化鉄(Fe) 5質量部
(平均粒子径:0.1μm)
・酸化チタン 5質量部
(平均粒子径:0.2μm)
・希釈溶剤 適量
次いで、ベタ印刷層上に、下記処方の絵柄層形成用インキ1〜3をグラビアコート法により順次塗布、乾燥し、それぞれ厚さ平均1.0μmの絵柄層(導管溝模様)を形成し、ベタ印刷層及び絵柄層を含む木目模様を形成した。なお、絵柄層形成用インキ2及び3の赤色顔料、黄色顔料及び青色顔料の種類は、絵柄層形成用インキ1と同様である。
<絵柄層形成用インキ1>
・バインダー樹脂(アクリルウレタン系樹脂) 79質量部
・赤色顔料(キナクドリン、C.I.ピグメントレッド122) 5質量部
(平均粒子径:0.13μm)
・黄色顔料(ニッケルアゾ錯体、C.I.ピグメントイエロー150) 12質量部
(平均粒子径:0.05μm)
・青色顔料(フタロシアニン、C.I.ピグメントブルー15) 2質量部
(平均粒子径:0.04μm)
・希釈溶剤 適量
<絵柄層形成用インキ2>
・バインダー樹脂 86質量部
・赤色顔料 8質量部
・黄色顔料 6質量部
・青色顔料 6質量部
・希釈溶剤 適量
<絵柄層形成用インキ3>
・バインダー樹脂 80部
・赤色顔料 8部
・黄色顔料 5部
・青色顔料 10部
・希釈溶剤 適量
次いで、絵柄層上に、接着剤層(ポリエステル樹脂、厚さ:5μm)を形成し、該接着剤層上に、透明性樹脂層(透明ポリプロピレン樹脂、厚さ:80μm)を押出しラミネート方式で積層した。
次いで、透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化性ウレタン樹脂組成物を塗布してプライマー層(厚さ:2μm)を形成した。
次いで、プライマー層上に下記処方の表面保護層形成用インキをロールコート法で塗布し、電子線照射装置を用いて、酸素濃度:200ppm、加速電圧:175keV、照射量:5Mradの条件で電子線を照射し、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚さ3μmの表面保護層を形成し、実施例1の化粧シートを得た。
<表面保護層形成用インキ>
・3官能ウレタンアクリレートオリゴマー 100質量部
(質量平均分子量5000)
・無機フィラー 25質量部
(シリカ粒子、平均粒子径:5μm)
2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤を塗布した塗装鋼板(厚さ:0.4mm)をオーブンに入れて、150℃で1分間養生した後、直ちにロールラミネーターを用いて、前記塗装鋼板と上記の化粧シートとを貼着し、実施例1の化粧材を得た。貼着の際は、塗装鋼板の接着剤塗布面と、化粧シートの白色ポリプロピレンシート側とを対向させた。
得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
[実施例2〜8]
ベタ印刷層及び/又は絵柄層の顔料の配合比を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜8の化粧シート及び化粧材を得た。なお、実施例2、3、5、6及び8は、表面保護層形成用インキとして、紫外線吸収剤(トリアジン系紫外線吸収剤)を5質量部追加したものを用いた。
[比較例1〜5]
ベタ印刷層及び/又は絵柄層の顔料の配合比を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜5の化粧シート及び化粧材を得た。
表1の結果から、実施例1〜8の化粧シートは、L値が40以下であり濃色表現が良好であるとともに、遮熱性及び耐候性を良好にできるものであることが確認できる。
本発明の化粧シートは、遮熱性及び耐候性に優れるため、床、壁、窓、扉、手すり、塀、柵、簀子等の建築物や構造物;ダッシュボード、グローブボックス、インパネアッパーケース、センターコンソール、フロアコンソール等の自動車等の車両;等の化粧シートとして有用であり、特に、太陽光の照射による熱が問題となりやすい窓枠用の化粧シート、自動車等の車両内装の化粧シートとして極めて有用である。
10:基材
20:ベタ印刷層
31、32:絵柄層
100:化粧シート

Claims (8)

  1. 基材と、基材上に形成されたベタ印刷層と、前記ベタ印刷上に形成された少なくとも一以上の絵柄層とを有する化粧シートであって、前記基材は赤外線反射性を有する基材であり、前記ベタ印刷層は顔料及びバインダー樹脂を含み、前記顔料として、アゾメチンアゾ系化合物及び/又はペリレン系化合物と、酸化鉄と、酸化チタンとを含み、前記化粧シートの前記基材とは反対側の表面からJIS Z8781−4:2013に準拠して測定したCIE(国際照明委員会)L表色系におけるL値の平均が40以下である、化粧シート。
  2. 前記ベタ印刷層及び前記絵柄層がカーボンブラックを実質的に含有しない、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記ベタ印刷層及び前記絵柄層は、前記基材から離れた側に配置される層ほど、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物の含有割合が少ない、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記絵柄層のうち、前記基材から最も離れた側に配置される絵柄層は、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物を含有しない、請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧シート。
  5. ベタ印刷層中の、アゾメチンアゾ系化合物及びペリレン系化合物の総量をA、酸化鉄の総量をB、酸化チタンの総量をCとした際に、下記式(1)を満たす、請求項1〜4の何れか1項に記載の化粧シート。
    3≦(B+C)/A≦13 (1)
  6. 前記赤外線反射性を有する基材が酸化チタンを含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の化粧シート。
  7. 前記絵柄層は、導管、秋材及び節から選ばれる1種以上の模様を形成してなる、請求項1〜6の何れか1項に記載の化粧シート。
  8. 被着材と請求項1〜7の何れか1項に記載の化粧シートとを有する化粧材。
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