JP6998334B2 - 表面応力センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面応力センサ、特に、ピエゾ抵抗カンチレバー型センサと比較して高い感度を有する膜型の表面応力センサ(MSS)と、表面応力センサの製造方法に関する。
人間の五感に相当する情報を収集するセンサ、特に、人間が化学物質を受容して感じる味覚や嗅覚のセンサに用いる技術として、例えば、特許文献1に開示されているピエゾ抵抗部材を有する表面応力センサの技術がある。
特許文献1に開示されている技術では、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)溶液である溶媒を、インクジェットスポッティング技術によって、平坦部材の上に塗布することで溶媒の層を形成して、検体を吸着する受容体(レセプター)を形成している。
ここで、平坦部材に表面応力を効率的に誘起するためには、平坦部材の表面(平坦部材の上側の面)のみに検体が吸着することが望ましいため、受容体を平坦部材の表面のみに形成することが、高いセンサ感度を維持するために重要なポイントとなっている。
このため、特許文献1に開示されている技術では、溶媒を堆積させるプロセスを、実時間における側面モニタリングによって観察し、溶媒が平坦部材の表面から溢れないことを確認している。
国際公開第2011/148774号
ところで、溶媒を平坦部材に塗布する際には、平坦部材の濡れ性が問題になる。一般に、検体が吸着することによって発生する表面応力を、カンチレバーに効率良く伝えるためには、受容体と平坦部材との密着性が高いことが必要となる。すなわち、平坦部材の表面は、高い濡れ性(親液性)を持つことが望ましい。
しかしながら、平坦部材の表面が親液性であると、溶媒が平坦部材の表面を流れやすくなるため、平坦部材に設定した所定の領域内に、溶媒を留まらせることが困難となる。そして、溶媒が平坦部材の端部からこぼれ出て平坦部材の裏面(平坦部材の下側の面)に回り込んでしまうと、平坦部材には、表面と裏面の両面から競合する力のために、表面応力がほとんど発生しなくなる。
したがって、特許文献1に記載されているように、溶媒を堆積させるプロセスを観察する作業等によって、平坦部材の表側のみに受容体が塗布されていることを担保する必要がある。しかしながら、このような手間のかかるプロセスは、量産向きではなく、また、歩留まりの点でも問題である。
本発明は、従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、受容体を形成するプロセスを制御することで、高いセンサ感度を維持することが可能な表面応力センサと、表面応力センサの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る表面応力センサは、メンブレンと、枠部材と、少なくとも一対の連結部と、可撓性抵抗と、支持基材と、受容体と、凹凸パターンを備えることを特徴としている。メンブレンは、印加された表面応力によって撓む。枠部材は、メンブレンの厚さ方向から見てメンブレンと離間し、且つメンブレンを包囲する。少なくとも一対の連結部は、メンブレンの厚さ方向から見てメンブレンを挟む位置に配置されてメンブレンと枠部材とを連結する。可撓性抵抗は、連結部のうち少なくとも一つに備えられ、連結部に起きた撓みに応じて抵抗値が変化する。支持基材は、枠部材に接続されてメンブレン及び連結部との間に空隙を設けて配置され、且つメンブレンの厚さ方向から見て、メンブレン及び連結部と重なる。受容体は、メンブレンの支持基材と対向する面と反対側の面である表面のうち、表面の中心を含む領域である受容体形成領域の上に形成され、且つ吸着した物質に応じた変形を生じる。凹凸パターンは、表面のうち受容体形成領域よりも枠部材に近い領域に設けられ、且つ受容体形成領域よりも表面の粗度が高い。
また、本発明の他の態様に係る表面応力センサの製造方法は、積層体形成工程と、第一イオン注入工程と、第二イオン注入工程と、熱処理工程と、凹凸パターン形成工程と、受容体形成工程と、除去工程と、配線層形成工程を備えることを特徴としている。積層体形成工程は、支持基材の一方の面に凹部を形成し、さらに、支持基材へ凹部を覆うように検出基材を貼り合わせることで、支持基材と検出基材との間に空隙部が設けられた積層体を形成する工程である。第一イオン注入工程は、検出基材の支持基材と対向する面と反対側の面のうち検出基材の中心を含む予め設定した領域よりも外側の選択した一部の領域に、第一のイオンを注入する工程である。第二イオン注入工程は、検出基材の第一のイオンを注入した領域よりも外側の選択した領域に第二のイオンを注入する工程である。熱処理工程は、第一のイオン及び第二のイオンを注入した積層体を熱処理することで、第一のイオンを注入した領域に可撓性抵抗領域を形成するとともに、第二のイオンを注入した領域に低抵抗領域を形成する工程である。凹凸パターン形成工程は、検出基材の支持基材と対向する面と反対側の面である表面の中心を含む予め設定した領域の周囲を取り囲む領域に、予め設定した領域よりも表面の粗度が高い凹凸パターンを形成する工程である。受容体形成工程は、凹凸パターンに囲まれた領域に、吸着した物質に応じた変形を生じる受容体を形成する工程である。除去工程は、検出基材のうち凹凸パターンを形成した領域の周囲であり、且つ低抵抗領域及び可撓性抵抗領域以外の領域を除去することで、メンブレンと、枠部材と、少なくとも一対の連結部と可撓性抵抗を形成する工程である。配線層形成工程は、可撓性抵抗と電気的に接続された配線層を形成する工程である。
ここで、「検出基材の中心を含む予め設定した領域」とは、後にメンブレンとなる領域をいう。また、「低抵抗領域及び可撓性抵抗領域」は、後に連結部となる領域をいう。
また、本発明の他の態様に係る表面応力センサの製造方法は、積層体形成工程と、第一イオン注入工程と、第二イオン注入工程と、熱処理工程と、ホール形成工程を備えることを特徴としている。これに加え、本発明の他の態様に係る表面応力センサの製造方法は、空隙部形成工程と、ホール封止工程と、凹凸パターン形成工程と、受容体形成工程と、除去工程と、配線層形成工程を備えることを特徴としている。積層体形成工程は、支持基材に犠牲層を積層し、さらに、犠牲層に検出基材を積層して積層体を形成する工程である。第一イオン注入工程は、検出基材の支持基材と対向する面と反対側の面のうち検出基材の中心を含む予め設定した領域よりも外側の選択した一部の領域に第一のイオンを注入する工程である。第二イオン注入工程は、検出基材の第一のイオンを注入した領域よりも外側の選択した領域に第二のイオンを注入する工程である。熱処理工程は、第一のイオン及び第二のイオンを注入した積層体を熱処理することで、第一のイオンを注入した領域に可撓性抵抗領域を形成するとともに、第二のイオンを注入した領域に低抵抗領域を形成する工程である。ホール形成工程は、検出基材の可撓性抵抗領域及び低抵抗領域を形成した領域と隣接する領域に、犠牲層まで貫通するホールを形成する工程である。空隙部形成工程は、ホールを介したエッチングにより、可撓性抵抗領域と支持基材との間に配置された犠牲層を除去して支持基材と検出基材との間に空隙部を設ける工程である。ホール封止工程は、検出基材の支持基材と対向する面と反対側の面に酸化膜を形成してホールを封止する工程である。凹凸パターン形成工程は、検出基材の支持基材と対向する面と反対側の面である表面の中心を含む予め設定した領域の周囲を取り囲む領域に、予め設定した領域よりも表面の粗度が高い凹凸パターンを形成する工程である。受容体形成工程は、凹凸パターンに囲まれた領域に、吸着した物質に応じた変形を生じる受容体を形成する工程である。除去工程は、検出基材のうち凹凸パターンを形成した領域の周囲であり、且つ低抵抗領域及び可撓性抵抗領域以外の領域を除去することで、メンブレンと、枠部材と、少なくとも一対の連結部と可撓性抵抗を形成する工程である。配線層形成工程は、可撓性抵抗と電気的に接続された配線層を形成する工程である。
本発明の一態様によれば、平坦部材の表面のうち、受容体形成領域の外側に、凹凸パターンによって撥液性の領域が形成されるため、溶媒がメンブレンの外側や裏面側に流れることを防止して、溶媒の層を、安定して形成することが可能となる。
これにより、受容体を形成するプロセスを簡略化することが可能となるとともに、高いセンサ感度を維持することが可能な表面応力センサと、表面応力センサの製造方法を提供することが可能となる。
本発明の第一実施形態に係る表面応力センサの構成を表す側面図である。 図1のII線矢視図である。 図2のIII‐III線断面図である。 図2のIV‐IV線断面図である。 表面応力センサの斜視図である。 図2のVI‐VI線断面図である。 図1のII線矢視図であり、凹凸パターンの配置における変形例を示す図である。 図1のII線矢視図であり、凹凸パターンの配置における変形例を示す図である。 図1のII線矢視図であり、メンブレンの形状及び凹凸パターンの配置における変形例を示す図である。 メンブレンの外周近傍に形成された凹凸パターンの変形例を拡大して示す斜視図である。 メンブレンの外周近傍に形成された凹凸パターンの変形例を拡大して示す斜視図である。 メンブレンの外周近傍に形成された凹凸パターンの変形例を拡大して示す斜視図である。 メンブレンの外周近傍に形成された凹凸パターンの変形例を拡大して示す斜視図である。 メンブレンの外周近傍に形成された凹凸パターンの変形例を拡大して示す斜視図である。 図2のVI‐VI線断面図であり、凹凸パターンの変形例を示す図である。 図2のVI‐VI線断面図であり、凹凸パターンの変形例を示す図である。 図2のVI‐VI線断面図であり、凹凸パターンの変形例を示す図である。 図2のVI‐VI線断面図であり、凹凸パターンの変形例を示す図である。 図2のVI‐VI線断面図であり、凹凸パターンの変形例を示す図である。 図2のVI‐VI線断面図であり、凹凸パターンの変形例を示す図である。 図2のVI‐VI線断面図であり、凹凸パターンの変形例を示す図である。 図2のVI‐VI線断面図であり、凹凸パターンの変形例を示す図である。 図2のVI‐VI線断面図であり、凹凸パターンの変形例を示す図である。 積層体形成工程を示す図である。 第一イオン注入工程及び第二イオン注入工程を示す図である。 配線層形成工程を示す図である。 配線層形成工程を示す図である。 配線層形成工程を示す図である。 配線層形成工程を示す図である。 配線層形成工程を示す図である。 図2のY‐Y断面図であり、凹凸パターン形成工程を示す図である。 従来の構成を備える表面応力センサの動作・作用を示す図である。 第一実施形態の表面応力センサの動作・作用を示す図である。 第一実施形態の変形例を示す図である。 第一実施形態の変形例を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る表面応力センサの構成を表す側面図である。 積層体形成工程を示す図である。 ホール形成工程を示す図である。 空隙部形成工程を示す図である。 ホール封止工程を示す図である。
図面を参照して、本発明の実施形態を以下において説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一、または類似の部分には、同一、または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、厚さの比率等は、現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚さや寸法は、以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
さらに、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質や、それらの形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1から図23を用いて、第一実施形態の構成を説明する。
図1から図5中に表す表面応力センサ1は、例えば、味覚や嗅覚を検出するセンサに用いられており、パッケージ基板2と、接続部4と、支持基材10と、検出基材20を備える。なお、図2中では、説明のために、パッケージ基板2及び接続部4の図示を省略している。
(パッケージ基板)
パッケージ基板2は、例えば、金属、ポリマー、セラミック材等を用いて形成されており、例えば、ミリメートルオーダーの厚さで形成されている。
(接続部)
接続部4は、パッケージ基板2の一方の面(図1中では、上側の面)に配置されており、例えば、接着剤や半田等を用いて形成されている。
第一実施形態では、一例として、接続部4の形状を、円形に形成した場合について説明する。
(支持基材)
支持基材10は、パッケージ基板2の一方の面に配置されており、接続部4を介して、パッケージ基板2に取り付けられている。
第一実施形態では、一例として、支持基材10の中心が、接続部4を配置する位置と重なる場合について説明する。
支持基材10の面積(図1中では、支持基材10を上下方向から見た支持基材10の面積)は、接続部4の面積よりも大きい。
支持基材10の厚さ(図1中では、支持基材10の上下方向への長さ)は、80[μm]以上に設定されている。なお、支持基材10の厚さは、80[μm]以上750[μm]以下の範囲内に設定してもよい。
支持基材10を形成する材料としては、例えば、ケイ素(Si:シリコン)、サファイア、ガリウムヒ素、ガラス、石英のうちいずれかを含む材料を用いることが可能である。
第一実施形態では、一例として、支持基材10を形成する材料として、ケイ素を用いた場合について説明する。
これにより、第一実施形態では、支持基材10の線膨張係数を、5.0×10-6/℃以下としている。
以下に、支持基材10を形成する材料として用いることが可能な材料の、線膨張係数を記載する。
ケイ素の線膨張係数は、常温以上1000℃以下の環境下で、3.9×10-6/℃以下である。
サファイアの線膨張係数は、0℃以上1000℃以下の環境下で、9.0×10-6/℃以下である。
ガリウムヒ素(GaAs)の線膨張係数は、0K以上300K以下の環境下で、6.0×10-6/℃以下である。
ガラス(フロートガラス)の線膨張係数は、0℃以上300℃以下の環境下で、8.5×10-6/℃以下~9.0×10-6/℃以下である。
石英の線膨張係数は、0℃以上300℃以下の環境下で、0.59×10-6/℃以下である。なお、石英の線膨張係数は、300℃の近辺にピークが有る。
(検出基材)
検出基材20は、支持基材10の一方の面(図1中では、上側の面)に積層されており、メンブレン22と、枠部材24と、連結部26とが一体となって形成されている。
第一実施形態では、一例として、検出基材20を形成する材料に、ケイ素を用いた場合について説明する。
また、検出基材20を形成する材料は、支持基材10の線膨張係数と、検出基材20の線膨張係数との差が、1.2×10-5/℃以下となる材料を用いる。
第一実施形態では、検出基材20を形成する材料と、支持基材10を形成する材料とを、同一の材料とした場合について説明する。
(メンブレン)
メンブレン22は、板状に形成されている。
第一実施形態では、一例として、メンブレン22を、円板状に形成した場合について説明する。
また、メンブレン22はn型半導体層である。
また、メンブレン22の一方の面(図1中では、上側の面)には、酸化膜SO(シリコン酸化膜)が形成されている。なお、酸化膜SOは、受容体に対する濡れ性が高い材料であれば、シリコン酸化膜に限定するものではない。
さらに、メンブレン22の一方の面には、凹凸パターン52が備えられている。なお、凹凸パターン52の説明は後述する。
メンブレン22の一方の面(図1中では、上側の面)には、受容体30(レセプター)が塗布されている。なお、以降の説明では、メンブレン22の一方の面を、「メンブレン22の表面」と記載する場合がある。
受容体30は、受容体形成領域の上に形成されている。
受容体形成領域は、メンブレン22の表面の中心を含む領域であり、予め設定する。なお、受容体30を塗布する面積は、広いほうが好ましいため、受容体形成領域は、広いほうが好ましい。
受容体30(レセプター)は、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)溶液(以降の説明では、「PEI溶液」と記載する場合がある)を用いて形成されており、ガスの分子が吸着することで歪みが発生する。
受容体30にガスの分子が吸着して、受容体30に歪みが発生すると、メンブレン22に表面応力が印加され、メンブレン22が撓む。したがって、メンブレン22は、受容体30にガスの分子が吸着すると、印加された表面応力によって撓む。
なお、受容体30の構成は、ガスの分子が吸着することで歪みが発生する構成に限定するものではなく、例えば、磁気によって歪みが発生する構成としてもよい。すなわち、受容体30の構成は、表面応力センサ1の検出対象に応じて、適宜変更してもよい。
(枠部材)
枠部材24は、井桁状に形成されており、メンブレン22の厚さ方向から見て、隙間を空けてメンブレン22を包囲している。
メンブレン22の厚さ方向から見た視点とは、表面応力センサ1を上方から見た視点(図1では、矢印IIの方向から見た視点)である。
メンブレン22の厚さ方向から見て、枠部材24の中心は、メンブレン22の中心と重なっている。
また、枠部材24は、接着等、各種の接合技術を用いて、支持基材10のうち、パッケージ基板2と対向する面と反対側の面(図1中では、上側の面)に接続されている。
第一実施形態では、一例として、枠部材24及び支持基材10の形状を、メンブレン22の厚さ方向から見て、支持基材10の外周面と枠部材24の外周面とが、面一である形状に形成した場合について説明する。
すなわち、枠部材24と支持基材10は、メンブレン22の厚さ方向から見て、同じ形状の四辺形である。これは、例えば、枠部材24と支持基材10とを接続した後に、枠部材24及び支持基材10に対してダイシング加工を行うことで実現する。すなわち、メンブレン22の厚さ方向から見て、枠部材24の中心は、支持基材10の中心と重なっている。
したがって、支持基材10は、メンブレン22の厚さ方向から見て、メンブレン22及び枠部材24と重なっている。
さらに、接続部4は、メンブレン22の厚さ方向から見て、メンブレン22の少なくとも一部と重なる位置に配置されている。
また、メンブレン22の厚さ方向から見て、接続部4の面積は、メンブレン22の面積よりも小さい。
また、パッケージ基板2は、支持基材10のメンブレン22と対向する面と反対側の面(図1中では、下側の面)に接続されている。
(連結部)
連結部26は、メンブレン22の厚さ方向から見て、帯状に形成されている。
また、連結部26は、メンブレン22の厚さ方向から見て、メンブレン22の中心を通過する仮想的な直線VL1及びVL2と重なる位置に配置されており、メンブレン22と枠部材24とを連結している。
第一実施形態では、一例として、メンブレン22と枠部材24とが、二対である四つの連結部26a~26dで連結されている場合について説明する。
四つの連結部26a~26dは、直線VL1と重なる位置に配置されている一対の連結部26a及び連結部26bと、直線VL1と直交する直線VL2と重なる位置に配置されている一対の連結部26c及び連結部26dを含む。
すなわち、一対の連結部26a及び連結部26bと、一対の連結部26c及び連結部26dは、メンブレン22の厚さ方向から見て、メンブレン22を挟む位置に配置されており、メンブレン22と枠部材24とを連結する。
第一実施形態では、一例として、連結部26a及び連結部26bの幅が、連結部26c及び連結部26dの幅よりも狭い場合について説明する。
メンブレン22及び四つの連結部26a~26dと、支持基材10との間には、空隙部40が設けられている。
したがって、支持基材10は、枠部材24に接続されてメンブレン22及び連結部26との間に空隙(空隙部40)を設けて配置されている。これに加え、支持基材10は、メンブレン22の厚さ方向から見て、メンブレン22及び連結部26と重なる。
なお、表面応力センサ1を溶液中で使用する場合には、空隙部40が溶液で満たされてもよい。
空隙部40は、検出基材20の加工途中においてメンブレン22が支持基材10の側へ撓む際に、メンブレン22が支持基材10に張り付くことを防ぐ空間として機能する。
四つの連結部26a~26dには、それぞれ、可撓性抵抗50a~50dが備えられている。
(可撓性抵抗)
各可撓性抵抗50は、連結部26に起きた撓みに応じて抵抗値が変化する。
第一実施形態では、一例として、可撓性抵抗50を、ピエゾ抵抗で形成した場合について説明する。
ピエゾ抵抗は、例えば、連結部26へのイオンの注入によって形成されており、メンブレン22が撓むことで連結部26に起きた撓みに応じて変化する抵抗値を有している。
また、可撓性抵抗50は、p型半導体層である。
四つの可撓性抵抗50a~50dは、例えば、図5中に示すように、互いに隣接する可撓性抵抗50(連結部26aと連結部26c及び連結部26d、連結部26bと連結部26c及び連結部26d)が接続されている。これにより、四つの可撓性抵抗50a~50dは、図5に示すフルホイートストンブリッジを形成している。
(ピエゾ抵抗)
以下、ピエゾ抵抗の詳細な構成について説明する。
ピエゾ抵抗の抵抗値(R)と、ピエゾ抵抗の抵抗値の相対抵抗変化(ΔR/R)は、以下の式(1)から(3)で与えられる。
Figure 0006998334000001
Figure 0006998334000002
Figure 0006998334000003
式(1)から式(3)において、ρはピエゾ抵抗の抵抗率、lはピエゾ抵抗の長さ、wはピエゾ抵抗の幅、tはピエゾ抵抗の厚さであり、σはピエゾ抵抗に誘起される応力、εはピエゾ抵抗に誘起される歪、πはピエゾ抵抗定数である。
また、式(1)から式(3)において、xはカンチレバーの長手方向、yはカンチレバーの横方向、zはカンチレバーの法線方向に対応する。
歪と応力の関係は、一般化されたHookeの法則から導くことが可能である。
Figure 0006998334000004
Figure 0006998334000005
Figure 0006998334000006
式(4)から式(6)において、EはカンチレバーのYoung率であり、νはカンチレバーのPoisson比である。したがって、平面応力である(すなわちσz=0)と仮定すれば、相対抵抗変化は、以下の式(7)で記述することが可能である。
Figure 0006998334000007
ここで、大きな信号を獲得し、シリコンが有する高いピエゾ係数を最大限利用するために、単結晶Si(100)を用いて形成されることで、p型半導体層を形成するピエゾ抵抗を検討する。ピエゾ抵抗係数は、以下の式(8)及び式(9)で示す関係によって決定される。
Figure 0006998334000008
Figure 0006998334000009
式(8)及び式(9)において、π11、π12及びπ44は、結晶の基本ピエゾ抵抗係数である。x方向が[110]に整列したp型Si(100)であり、y方向が[1-10]に整列したp型Si(100)である場合は、π11が、10-11Pa-1を単位として+6.6である。これに加え、π12が、10-11Pa-1を単位として-1.1であり、π44が、10-11Pa-1を単位として+138.1である。
したがって、ピエゾ抵抗係数πxは、71.8×10-11Pa-1と計算され、ピエゾ抵抗係数πyは、-66.3×10-11Pa-1と計算される。また、Eは1.70×1011Paであり、νは0.28である。そして、πx>>(1+2ν)/Eであり、πy>>-1/Eであり、πx≒-πy≒π44/2であるので、式(7)は、以下の式(10)で示すように近似することが可能である。
Figure 0006998334000010
したがって、ピエゾ抵抗の信号(すなわち、ΔR/R)は、主にσxとσyの差によって決まる。
(凹凸パターン)
凹凸パターン52は、メンブレン22の表面のうち、受容体形成領域31(図6を参照)よりも枠部材24に近い領域に設けられており、受容体形成領域31よりも、表面の粗度が高くなるように形成されている。
また、凹凸パターン52は、複数の凸部(突起、ピラー)、または、複数の凹部(孔、ホール)が連続して繰り返されたパターンで形成されている。第一実施形態では、一例として、凸部を円柱状に形成し、凹部を円形の孔で形成した場合について説明する。なお、凸部は、例えば、角柱状やピラミッド形状に形成してもよい。また、凹部は、例えば、多角形の孔や、溝で形成してもよい。
また、凹凸パターン52は、メンブレン22の表面において、受容体形成領域31よりも枠部材24に近い領域に対し、全周に亘って同心円状に配置する。
上述したように、メンブレン22の表面には酸化膜SOが形成されており、凹凸パターン52よりも内側に形成された酸化膜SOの上には、受容体30が塗布されている。
また、上述したように、受容体30の塗布面積は広いほうが好ましい。このため、凹凸パターン52は、メンブレン22の表面のうち、可能な範囲で、メンブレン22の外周に近い領域に形成されている。
図6中に表すように、凹凸パターン52の断面は、凸部、または、凹部が密に並んだ形状である。凹凸パターン52が形成する溝の深さは、メンブレン22を厚さ方向へ貫通しない程度の深さである。このように、凸部、または、凹部が密に並んだ形状で形成されるパターンの表面は、撥液性を示すことが知られており、一般的にロータス効果と呼ばれている。これは、公知であるカッシーの式によって、物理的にも説明されている現象である。
なお、図6中には、説明のために、凹凸パターン52の断面のうち、図2中に示すVI‐VI線の部分のみ断面図を図示することで、凹凸パターン52の断面を、複数の溝が形成されている構成として図示している。しかしながら、凹凸パターン52の実際の構造は、複数の凸部または凹部が間隔を空けて配置されている構造である。
そして、受容体30は、メンブレン22の中心付近に対し、インクジェットスポッティング技術等によってPEI溶液等を塗布することで形成される。
このため、メンブレン22の最表層に形成された酸化膜SOは濡れ性が高いために、メンブレン22の表面に塗布されたPEI溶液は、メンブレン22の表面に密着性良く分布する。
一方、メンブレン22の表面に塗布されたPEI溶液は、酸化膜SOが有する高い濡れ性のために、メンブレン22の外周に向かって流出しやすくなるが、凹凸パターン52のロータス効果によって流出が遮られることとなる。これにより、メンブレン22の中心付近に対し、受容体30を効率良く塗布することが可能となる。
なお、凹凸パターン52は、受容体形成領域31よりも枠部材24に近い領域に対し、全周に亘って配置する構成に限定するものではない。同様に、凹凸パターン52の配置は、同心円状に限定するものではない。また、メンブレン22の形状は円形に限定するものではない。
したがって、メンブレン22及び凹凸パターン52の構成の変形例としては、例えば、図7から図9中に表す構成がある。
すなわち、図7(a)中に表すように、凹凸パターン52が、全周に亘って配置されず、一部に切れ目がある構成としてもよく、図7(b)中に表すように、凹凸パターン52を四角形に配置してもよい。また、図7(c)中に表すように、四角形に配置した凹凸パターン52の一部に、切れ目がある構成としてもよい。
凹凸パターン52の一部に切れ目がある構成は、例えば、受容体30を形成するPEI溶液の粘度により、必ずしも全周に亘って凹凸パターン52を配置する必要がない場合に適用することが可能である。なお、凹凸パターン52の一部に切れ目がある構成では、切れ目がある部分において、隣り合う凸部または凹部の間隔が、切れ目が無い部分と比べて十分に大きいことにより、巨視的には、凹凸パターン52に切れ目があるように見える。
また、図8(a)から図8(c)中に表すように、凹凸パターン52の形状を工夫することにより、受容体30が特定の形状に形成されるようにしてもよい。
例えば、図8(a)中に表すように、凹凸パターン52を、外周がメンブレン22の外周に沿った円形状であり、メンブレン22の中心部において凹凸パターン52が形成されない十字の領域を有する形状に形成してもよい。ここで、図8(a)では、十字の端部が、四つの連結部26近傍に向かって形成された例を示している。この場合、受容体30は、凹凸パターン52が形成されない十字の領域(撥液性の低い領域)上に、例えば、十字形状に形成される。このため、可撓性抵抗50a~50dが形成された連結部26の近傍に、受容体30を選択的に形成することが可能となり、メンブレン22の撓みを効率的に可撓性抵抗50に伝えることが可能となる。これにより、塗布する受容体30の量を減らすことも可能である。
また、図8(b)中に表すように、凹凸パターン52を、外周がメンブレン22の外周に沿った円形状であり、メンブレン22の中心部において凹凸パターン52が形成されない十字の領域を有する形状に形成してもよい。ここで、図8(b)では、十字の端部が、四つの連結部26間のメンブレン22の円弧状の外周に向かって形成された例を示している。この場合、受容体30は、凹凸パターン52が形成されない十字の領域上に、例えば十字形状に形成される。図8(b)に示す凹凸パターン52を設けた場合、受容体30を、可撓性抵抗50a~50dが形成された連結部26から離れた領域へ、選択的に形成することが可能となり、表面応力センサ301の感度バラつきを低減することが可能となる。
また、図8(c)中に表すように、メンブレン22の外周近傍に設けられた円環状の外側凹凸パターン52aと、メンブレン22の中心を含む領域に設けられた円形状の内側凹凸パターン52bとで凹凸パターン52が形成されていてもよい。図8(c)の場合、受容体30は、外側凹凸パターン52aと内側凹凸パターン52bとの間の、凹凸パターンが形成されていない円環状の領域上に形成される。図8(c)に示す凹凸パターン52を設けた場合、可撓性抵抗50a~50dが形成された連結部26の近傍に、受容体30を選択的に形成することが可能となり、表面応力センサ301の検出精度を向上させることが可能となる。これに加え、検出精度のバラつきを低減させることが可能となる。
なお、凹凸パターン52は、外周がメンブレン22の外周に沿った円形状であり、メンブレン22の中心部において凹凸パターン52が形成されない領域の形状は、上述した形状に限られない。凹凸パターン52が形成されない領域の形状は、例えば、多角形状や、メンブレン22の中心から外周に向け放射状に広がる形状等、表面応力センサ301のセンサ感度を十分に維持することが可能であれば、いずれの形状としてもよい。
また、図9(a)から図9(c)中に表すように、メンブレン22の形状を四角形としてもよい。この場合で、図9(a)中に表すように、凹凸パターン52を四角形に配置してもよく、図9(b)中に表すように、四角形に配置した凹凸パターン52の一部に、切れ目がある構成としてもよい。また、図9(c)中に表すように、凹凸パターン52を、全周に亘って同心円状に配置してもよい。なお、特に図示しないが、図9(c)中に表すような凹凸パターン52の一部に、切れ目がある構成としてもよい。
凹凸パターン52の一部に切れ目がある構成を採用する場合は、図7(a)、図7(c)及び図9(b)中に示すように、切れ目の位置を、メンブレン22の中心と連結部26との間に配置しないことが好適である。この構成であれば、例えば、受容体30を形成するPEI溶液が、切れ目から外へ出た場合であっても、PEI溶液が可撓性抵抗50に接触する可能性を低減させることが可能となる。
また、図7(b)、図7(c)、図9(a)、図9(b)中に表すように、受容体30の形状を四角形としてもよい。
なお、図7から図9中には、メンブレン22の厚さ方向から見て、メンブレン22と、枠部材24と、連結部26とに囲まれた空隙部となっている領域から、検出基材20の下方に配置されている支持基材10が見えている状態を図示している。
(凹凸パターンの変化形)
図15から図23を用いて、凹凸パターンの変化形について説明する。
第一実施形態で説明した凹凸パターン52は、メンブレン22の表面が酸化膜SOに覆われており、親水性の溶媒(PEI溶液等)で形成される受容体30に対しての濡れ性が高い構成である。
しかしながら、疎水性の溶媒(例えば、テトラクロロエタンやジクロロメタン、トルエン、ヘキサン等)で受容体30を形成する場合では、例えば、シリコンの方が酸化膜SOよりも濡れ性が高い。このため、メンブレン22の表面には、シリコンが露出していることが好ましい。
また、凹凸パターン52には、凸部及び凹部のどちらを用いて形成した場合であっても、ロータス効果が発現するが、一般的に、空隙部分が多い方が発現する効果は大きい。このため、凸部を用いて凹凸パターン52を形成すると、撥液性はより強くなる。
凸部を用いた凹凸パターン52としては、例えば、図10から図14に示す構成がある。なお、以下に説明する図10から図14の構成は、メンブレン22の外周近傍に形成された円環状の領域に形成された凹凸パターン52の一部を拡大して示すものである。なお、図10から図14中、右下側(メンブレン22形成側)がメンブレン22の中心側である。
図10は、凹凸パターン52が、複数の円柱状の凸部452aと、凹部である空隙452bとで形成された場合の構成を示す斜視図である。凹凸パターン52は、例えば、複数の凸部452aのうち三つの凸部452aが、平面視で正三角形の位置関係となるように配置されて形成される。これにより、図10に示す凹凸パターン52は、何れの位置においても、均等な撥液性を発揮することが可能となる。空隙452bは、メンブレン22の外周の凹凸パターン52形成領域において、円柱状の凸部452a以外の領域をエッチングにより除去することで形成される。
図11は、凹凸パターン52が、複数の中空円柱状の凸部552aと、凹部である空隙552bとで形成された場合の構成を示す斜視図である。また、中空円柱状の凸部552aの内側にはホール552cが形成されており、ホール552cは、凹部の一部をなす。このような凸部552aの構造により、隣り合う凸部552aの間の空隙552b、または、凸部552aとホール552cという異なる凹凸形状によって、撥液性が得られる。したがって、受容体30の形成時に、受容体30となる溶液が、凸部552a間の空隙552b、または、ホール552cの一方に浸透した場合でも、他方に溶液が浸透しなければ撥液性が持続するため好ましい。
凹凸パターン52は、例えば、複数の凸部552aのうち三つの凸部552aが平面視で、正三角形の位置関係となるように配置されて形成される。図11の凹凸パターン52では、三つの凸部552aのホール552cの中心が、平面視で正三角形の位置関係となるように配置される。これにより、図11に示す凹凸パターン52は、何れの位置においても、均等な撥液性を発揮することが可能となる。空隙552b及びホール552cは、メンブレン22の外周の凹凸パターン52形成領域において、中空円柱状の凸部552a以外の領域をエッチングにより除去することで形成される。
図12は、凹凸パターン52が、複数の円柱状の凸部652a及び凸部652bと、凹部である空隙652cとで形成された場合の構成を示す斜視図である。凸部652a及び凸部652bは、平面視における円形状の面積が互いに異なり、凸部652bの平面視における面積が、凸部652aの平面視における面積よりも大きくなるように形成されている。これにより、凹凸パターン52は全体としては撥液性を保ちながらも、凸部652bの上面は親液性を示す。また、小面積の凸部652aは大面積の凸部652bよりも多く配置されており、凸部652bの周りには、複数の凸部652aが配置されている。このため、凸部652a及び凸部652bの双方を設けた凹凸パターン52は、全体として溶液の流れを抑制しながら、凹凸パターン52上に横溢した溶液を凸部652bで捕捉して、メンブレン22の裏面への溶液の回り込みをより抑制することが可能となる。このような性質は、一般的にペタル効果と呼ばれている。
さらに、溶液の吸着効果の高い凸部652bは、凹凸パターン52の領域内において、内周側(メンブレン22中心側)に近い位置に形成されている。したがって、凹凸パターン52上に溶液が横溢した場合であっても、凹凸パターン52の内周側(凸部652b)で溶液を吸着しつつ、外周側で溶液の濡れを抑制し、メンブレン22の裏面への溶液の回り込みをさらに抑制することが可能となる。
図13は、凹凸パターン52が、複数の円柱状の凸部753aと凹部である空隙753bとで形成された第一パターン形成部753と、溝で形成された第二パターン形成部754とで形成された構成を示す斜視図である。第一パターン形成部753及び第二パターン形成部754は、平面視で二重の円環状に形成されており、第二パターン形成部754が内側に形成されている。これにより、メンブレン22の中心に滴下された溶液がメンブレン22の外周に向かって流れ出ても、第二パターン形成部754によって溶液が堰き止められる効果が期待される。さらに、溶液が第二パターン形成部754の外周にまで流れた場合には、第一パターン形成部753によって溶液の流れを止めることが可能となる。第一パターン形成部753の内側に第二パターン形成部754が設けられることで、第一パターン形成部753は第二パターン形成部754から漏れ出た溶液のみを堰き止めればよい。このため、メンブレン22の裏面への溶液の回り込みをより抑制することが可能となる。
なお、図13には、第一パターン形成部753と第二パターン形成部754とを二重に形成した構成について説明したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、第一パターン形成部753と第二パターン形成部754とが三重以上に多重化されていても良く、また、第一パターン形成部753と第二パターン形成部754との配置についても、適宜調整することが可能である。
図14は、凹凸パターン52が、複数の円柱状の凸部853aと凹部である空隙853bとで形成された凹凸パターン領域853と、凹凸パターン領域853と隣接する凹部領域854とで形成された構成を示す斜視図である。凹部領域854は、凹凸パターン領域853の内側に形成されている。これにより、メンブレン22の中心に滴下された溶液が凹部領域854に入り込んだ場合には、凹部領域854が溶液で満たされ、かつ隣接する凸部853aの側面で生じる撥液効果により、溶液が外周方向に流れることが抑制される。ここで、隣接する凸部853aの側面で生じる撥液効果とは、凸部853aの側面及び凸部853a間の空隙853bで生じるロータス効果をいう。このため、メンブレン22の裏面への溶液の回り込みをより抑制することが可能である。
また、図10から図14に記載した、凸部、空隙、溝部、凹部領域等を互いに組み合わせて、他の凹凸パターン52を形成することも可能である。
例えば、図11又は図12に示す凹凸パターン52の内側に、図13で示す第二パターン形成部754や図14で示す凹部領域854が設けられていてもよい。また、図11に示す中空円柱状の凸部552aと図12に示す凸部652aと、凸部652aよりも親液性の高い凸部652bとを組み合わせた凹凸パターン52としてもよい。
また、図12において、凹凸パターン52の外周側に親液性の高い凸部652bが設けられる構成を用いてもよい。また、平面視での面積(上面の面積)の異なる凸部を3種類以上設け、凹凸パターン52の内周側から外周側に向かって徐々に上面の面積が小さくなるように、凸部を配置してもよい。
さらに、図10の凸部452a又は図14の凸部853aに代えて、平面視での面積(上面の面積)の異なる凸部を3種類以上設け、凹凸パターン52の内周側から外周側に向かって徐々に上面の面積が大きくなるように、凸部を配置してもよい。
以上のとおり、凸部を有する凹凸パターン52の構成は、受容体30の形成に用いる溶液や検出基材20の物性に応じて適宜調整されることが好ましい。また、凸部の直径、高さ、凸部同士の間隔等についても同様に、受容体30形成に用いる溶液や検出基材20の物性に応じて適宜調整されることが好ましい。
凹凸パターン52が凸部で形成されている場合、凸部の高さはメンブレン22に行うエッチングの深さによって決まるが、凸部の高さに依らず、一定のロータス効果を期待することが可能となる。
凹凸パターン52が凹部で形成されている場合も同様に、凹部の深さはメンブレン22に行うエッチングの深さによって決まるが、ロータス効果は凹部の深さに依らず、さらに、凹部がメンブレン22を貫通していても問題はない。
したがって、親水性の溶媒で受容体30を形成する構成では、図15中に表されるように、メンブレン22の表面に酸化膜SOを形成し、凹凸パターン52が、酸化膜SO及びメンブレン22を貫通する凹部で形成されている構成としてもよい。同様に、親水性の溶媒で受容体30を形成する構成では、図16中に表されるように、メンブレン22の表面に酸化膜SOを形成し、凹凸パターン52が、酸化膜SOに形成した凸部または凹部で形成されている構成としてもよい。すなわち、凹凸パターン52は、図16中に表すように、メンブレン22の表面の面上に形成してもよい。
図15及び図16中に表す構成であれば、親水性の溶媒に対して濡れ性が高く、さらに、ロータス効果によって、溶媒の流出を防止する機能を奏することが可能となる。
また、疎水性の溶媒で受容体30を形成する構成では、図17中に表されるように、メンブレン22の表面にシリコンが露出しており、凹凸パターン52が、メンブレン22を貫通する凹部で形成されている構成としてもよい。同様に、疎水性の溶媒で受容体30を形成する構成では、図18中に表されるように、メンブレン22の表面にシリコンが露出しており、凹凸パターン52が、メンブレン22を貫通しない深さでエッチングした凸部または凹部で形成されている構成としてもよい。
図17及び図18中に表す構成であれば、疎水性の溶媒に対して濡れ性が高く、さらに、ロータス効果によって、溶媒の流出を防止する機能を奏することが可能となる。
さらに、メンブレン22の表面において、受容体30が形成される領域である受容体形成領域31と、凹凸パターン52の構成を作り分けることで、ロータス効果を高めることも可能である。
すなわち、図19中に表すように、受容体形成領域31を、酸化膜SOに覆われた構成とし、凹凸パターン52を、シリコンが露出した凸部または凹部で形成した構成としてもよい。
図19中に表す構成であれば、メンブレン22に親水性の溶媒を塗布すると、受容体形成領域31は濡れ性が高いために、メンブレン22との密着性の高い受容体30を形成することが可能となる。一方、凹凸パターン52は、シリコンによる撥液性にロータス効果が加わるため、強い撥液機能を持つこととなり、溶媒の流出を防ぐ作用を向上させることが可能となる。
また、図20中に表すように、受容体形成領域31の構成を、シリコンが露出する構成とし、凹凸パターン52の構成を、酸化膜SOに覆われた構成としてもよい。なお、凹凸パターン52を形成する凸部の高さは、メンブレン22を貫通しない高さである。また、凹凸パターン52を形成する凹部の深さは、メンブレン22を貫通しない深さである。
図20中に表す構成であれば、疎水性の溶媒に対して、高い塗布機能を得ることが可能となる。
また、図21中に表すように、受容体形成領域31の構成を、酸化膜SOに覆われた構成とし、凹凸パターン52の構成を、表面にシリコンが露出し、凹部がメンブレン22を貫通した構成としてもよい。
図21中に表す構成であれば、図19中に表す構成と同様、親水性の溶媒に対して、高い塗布機能を得ることが可能となる。
また、図22中に表すように、受容体形成領域31の構成を、シリコンが露出する構成とし、凹凸パターン52の構成を、酸化膜SOに覆われ、凹凸パターン52を形成する凹部が、酸化膜SO及びメンブレン22を貫通する構成としてもよい。
図22中に表す構成であれば、図20中に表す構成と同様、疎水性の溶媒に対して、高い塗布機能を得ることが可能となる。
また、図23中に表すように、受容体形成領域31の構成を、シリコンが露出する構成とし、凹凸パターン52の構成を、酸化膜SOに覆われ、凹凸パターン52を形成する凸部または凹部が、酸化膜SOのみを貫通する構成としてもよい。すなわち、凹凸パターン52は、図23中に表すように、メンブレン22の表面の面上に形成してもよい。
図23中に表す構成であれば、図20中に表す構成と同様、疎水性の溶媒に対して、高い塗布機能を得ることが可能となる。
(表面応力センサの製造方法)
図1から図23を参照しつつ、図24から図31を用いて、表面応力センサ1の製造方法を説明する。なお、図24から図30の断面図は、図5のX-X線断面図に対応する。また、図31の断面図は、図2のY-Y断面図に対応する。
表面応力センサ1の製造方法は、積層体形成工程と、第一イオン注入工程と、第二イオン注入工程と、熱処理工程と、配線層形成工程と、酸化膜形成工程と、凹凸パターン形成工程と、除去工程と、受容体形成工程を備える。
(積層体形成工程)
積層体形成工程では、まず、図24(a)に示すように、支持基材10の材料となる第一シリコン基板60の一方の面に、リソグラフィー及びエッチング技術を用いて凹部62(トレンチ)を形成する。凹部62の深さは、例えば、7[μm]に設定する。
次に、凹部62を形成した第一シリコン基板60に対し、検出基材20の材料となる第二シリコン基板64を、接着等、各種の接合技術を用いて貼り合わせることで、図24(b)に示すように、積層体66(Cavityウェーハ)を形成する。
上記のように、積層体形成工程を行うことで、積層体66の所定の位置には、上下左右をシリコン(第一シリコン基板60、第二シリコン基板64)によって囲まれた空隙部40が形成される。
以上により、積層体形成工程では、支持基材10の一方の面に凹部62を形成し、さらに、支持基材10へ凹部62を覆うように検出基材20を貼り合わせることで、支持基材10と検出基材20との間に空隙部40が設けられた積層体66を形成する。
(第一イオン注入工程)
第一イオン注入工程では、まず、図25に示すように、第二シリコン基板64の上側の面を酸化させて第一のシリコン酸化膜68aを形成し、フォトレジストのパターン(図示せず)を用いて、可撓性抵抗領域70に対し、選択的に第一のイオンを注入する。
以上により、第一イオン注入工程では、検出基材20の支持基材10と対向する面と反対側の面のうち、検出基材20の中心を含む予め設定した領域よりも外側の選択した一部の領域(可撓性抵抗領域70)に、第一のイオンを注入する。
(第二イオン注入工程)
第二イオン注入工程では、第一イオン注入工程で用いたフォトレジストを除去し、さらに、第一イオン注入工程で用いたものとは異なるフォトレジストのパターン(図示せず)を形成し、図25中に示すように、低抵抗領域72に第二のイオンを注入する。
以上により、第二イオン注入工程では、検出基材20の第一のイオンを注入した領域(可撓性抵抗領域70)よりも外側の選択した領域に、第二のイオンを注入する。
(熱処理工程)
熱処理工程では、第二イオン注入工程で用いたフォトレジストを除去し、さらに、第一のイオン及び第二のイオンの活性化を目的として、積層体66に熱処理(アニール処理)を施す。積層体66に熱処理を施した後は、第一のシリコン酸化膜68aを除去する。
以上により、熱処理工程では、第一のイオン及び第二のイオンを注入した積層体66を熱処理することで、第一のイオンを注入した領域に可撓性抵抗領域70を形成するとともに、第二のイオンを注入した領域に低抵抗領域72を形成する。
(配線層形成工程、酸化膜形成工程)
配線層形成工程では、図26(a)に示すように、第二シリコン基板64の上側の面に対し、シリコン窒化膜74と第二のシリコン酸化膜68bとを順に積層する。そして、通常のリソグラフィー及び酸化膜エッチングにより、図26(b)に示すように、第二のシリコン酸化膜68b及びシリコン窒化膜74へ、ホール76を形成する。
次に、図27(a)に示すように、第二のシリコン酸化膜68bの上へ、Ti及びTiNで形成した積層膜78をスパッタリングによって形成し、熱処理を施す。積層膜78は、Al等の金属膜がSiへ異常拡散することを防止する役割を持つ、いわゆるバリアメタルであり、熱処理を施すことによって、ホール76の底部に存在するSiとTiの界面がシリサイド化して、低抵抗な接続を形成することが可能となる。
さらに、図27(b)に示すように、積層膜78の上へ、スパッタリングによって、Al等の金属膜80を積層する。
次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術を用いて金属膜80をパターニングすることにより、図28(a)に示すような配線層82を形成する。さらに、図28(b)に示すように、絶縁層として第三のシリコン酸化膜68cを積層する。
その後、図29(a)に示すように、可撓性抵抗領域70及び検出基材の中心を含む予め設定した領域(後にメンブレンとなる領域)であるメンブレン設定領域84以外を覆うようなフォトレジストのパターン(図示せず)を形成する。さらに、エッチング技術によって、可撓性抵抗領域70及びメンブレン設定領域84に形成されている第三のシリコン酸化膜68c及び第二のシリコン酸化膜68bを除去する。そして、メンブレン設定領域84以外を覆うようなフォトレジストのパターン(図示せず)を形成して、図29(b)に示すように、メンブレン設定領域84のシリコン窒化膜74を除去する。
その後、酸化膜形成工程として、図30(a)に示すように、第三のシリコン酸化膜68c及び可撓性抵抗領域70及びメンブレン設定領域84の上へ、第四のシリコン酸化膜68dを積層する。
酸化膜形成工程では、受容体30を形成する領域(受容体形成領域31)及び凹凸パターン52を形成する領域に、酸化膜を形成する。なお、受容体30を形成する領域(受容体形成領域31)及び凹凸パターン52を形成する領域の一方のみに、酸化膜を形成してもよい。
次に、図30(b)に示すように、可撓性抵抗50からの出力を得るためのPAD86を、通常のフォトリソグラフィー及びエッチング技術によって形成する。
以上により、配線層形成工程では、可撓性抵抗50と電気的に接続された配線層82を形成する。
(凹凸パターン形成工程、除去工程)
凹凸パターン形成工程は、除去工程と同時に行う。
除去工程では、メンブレン設定領域84の一部をエッチングにて切り取ることで、二対である四つの連結部26a~26dをパターニングする。
凹凸パターン形成工程では、凹凸パターン52を形成する。
以下、凹凸パターン形成工程の詳細を、図5及び図6を参照しつつ、図31を用いて説明する。なお、図31に示す断面図は、図2のY-Y断面図に対応する断面図である。
まず、図31(a)に示すように、メンブレン設定領域84の周囲であって、低抵抗領域72及び可撓性抵抗領域70(後に連結部26となる領域)以外の領域(以下、除去領域85とする)が露出するようなフォトレジストのパターン(図示せず)を形成する。その後、除去領域85の第四のシリコン酸化膜68dを除去する。
次に、図31(b)に示すように、除去領域85が露出するようなフォトレジスト88のパターンを形成する。このとき、凹凸パターン52を形成する領域である凹凸パターン領域87には、形成する凹凸パターン(凸部または凹部)に応じたフォトレジスト88のパターンを、同一のマスクによって同時に形成する。
続いて、ドライエッチングによって、図31(c)に示すように、除去領域85の第二シリコン基板64が貫通するまでエッチングを施す。このとき、シリコンに比べてシリコン酸化膜のドライエッチングの速度が遅いことから、凹凸パターン領域87は、第二シリコン基板64の途中までしかエッチングが進まない。
最後に、アッシング等によってフォトレジスト88を除去することで、図31(d)に示す断面構造を形成し、凹凸パターン52を形成する。
以上により、凹凸パターン形成工程及び除去工程では、除去領域85の第二シリコン基板64を除去することで、メンブレン22、枠部材24、連結部26、可撓性抵抗50を形成する。これに加え、凹凸パターン領域87に、凸部または凹部からなる凹凸パターン52を形成する。
すなわち、凹凸パターン形成工程では、検出基材20の表面のうち、表面の中心を含む予め設定した領域(受容体形成領域31)の周囲を取り囲む領域に、予め設定した領域よりも表面の粗度が高い凹凸パターン52を形成する。
(受容体形成工程)
受容体形成工程では、凹凸パターン52に囲まれた受容体形成領域31に、PEI溶液等の溶媒を塗布することで、吸着した物質に応じた変形を生じる受容体30を形成する。(動作・作用)
図1から図31を参照しつつ、図32及び図33を用いて、第一実施形態の動作と作用を説明する。
表面応力センサ1を、例えば、嗅覚センサとして用いる際には、匂い成分を含んだガスの雰囲気中に受容体30を配置し、ガスが含む匂い成分を、受容体30に吸着させる。
受容体30にガスの分子が吸着して、受容体30に歪みが発生すると、メンブレン22に表面応力が印加され、メンブレン22が撓む。
枠部材24は井桁状に形成されてメンブレン22を包囲しており、連結部26は、メンブレン22と枠部材24を両端部で連結している。このため、連結部26のうち、メンブレン22に連結している端部は自由端となっており、枠部材24に連結している端部は固定端となっている。
したがって、メンブレン22が撓むと、連結部26に、受容体30に発生した歪みに応じた撓みが起きる。そして、連結部26に起きた撓みに応じて、可撓性抵抗50が有する抵抗値が変化し、抵抗値の変化に応じた電圧または電流の変化がPAD86から出力され、コンピュータ等におけるデータ検出に用いられる。
従来の構成を備える表面応力センサ100、すなわち図32に示すように、凹凸パターンが形成されていない構成のメンブレン22に受容体30を形成する場合には、以下の問題が発生する。
すなわち、受容体30を形成する溶媒SOLがメンブレン22の表面に広がり、溶媒SOLの一部がメンブレン22の端部から流出し、場合によっては、溶媒SOLの一部がメンブレン22の裏面にまで回り込む可能性がある。
この場合、嗅覚センサとして用いる際に、裏面に付着した受容体30にガスの分子が吸着すると、表面にガスの分子が吸着して印可された表面応力とは逆方向の表面応力を誘起するため、全体の表面応力は小さくなる。したがって、可撓性抵抗50で発生する抵抗変化が小さくなり、出力される電圧または電流の変化が小さくなる。これは、センサとしての感度が落ちることを意味する。
したがって、従来の構成を備える表面応力センサ100では、メンブレン22の表面に広がった溶媒SOLの一部がメンブレン22の裏面にまで回り込むと、メンブレン22の表面と裏面のそれぞれに付着した溶媒SOLにより、受容体30が形成される。そして、メンブレン22の表面と裏面のそれぞれに形成された受容体30が、ガス分子を吸着する。このため、表面応力センサ100の感度が低下することが懸念される。
これに対し、第一実施形態の表面応力センサ1であれば、図33に示すように、メンブレン22のうち、受容体形成領域31の周囲を取り囲む領域に、凹凸パターン52がメンブレン22に対して同心円状に形成されている。そして、凹凸パターン52は、ロータス効果により撥液作用を有する。
このため、塗布された溶媒SOLがメンブレン22の端部まで広がることが抑制されており、塗布された溶媒SOLがメンブレン22の裏面まで回り込むことも抑制されている。したがって、受容体30を形成する溶媒SOLを、メンブレン22の表面へ効率的に塗布することが可能となり、表面応力センサ1の感度が劣化することはない。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(第一実施形態の効果)
第一実施形態の表面応力センサ1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)印加された表面応力によって撓むメンブレン22と、メンブレン22を包囲する枠部材24と、メンブレン22と枠部材24とを連結する連結部26と、連結部26に起きた撓みに応じて抵抗値が変化する可撓性抵抗50を備える。さらに、枠部材24に接続されてメンブレン22及び連結部26との間に空隙(空隙部40)を設けて配置され、且つメンブレン22及び連結部26と重なる支持基材10を備える。
これに加え、受容体形成領域31の上に形成され、吸着した物質に応じた変形を生じる受容体30と、メンブレン22の表面のうち受容体形成領域31よりも枠部材24に近い領域に設けられ、受容体形成領域31よりも表面の粗度が高い凹凸パターン52を備える。
このため、メンブレン22の表面のうち、受容体形成領域31の外側に、凹凸パターン52によって撥液性の領域が形成されるため、凹凸パターン52の有するロータス効果によって、受容体30を形成する溶媒が濡れ広がることを抑制することが可能となる。
これにより、溶媒がメンブレン22の外側や裏面側に流れることを防止して、溶媒の層を、安定して形成することが可能となる。
その結果、受容体30を形成するプロセスを簡略化することが可能となる。これに加え、メンブレン22の表面にのみ物質が吸着するため、精度の高い安定したセンシングが可能となり、高いセンサ感度を維持することが可能な表面応力センサ1を提供することが可能となる。
(2)凹凸パターン52が、複数の凸部または複数の凹部が連続したパターンで形成されている。
その結果、撥液性を示すロータス効果を発現させることが可能となる。
(3)凹凸パターン52が、メンブレン22の表面のうち、受容体30よりも枠部材24に近い領域の全周に亘って、隣り合う凸部同士または隣り合う凹部同士を、予め設定した距離に設定して設けられる。
その結果、撥液性を示すロータス効果を発現させることが可能となる。
(4)メンブレン22の表面のうち、受容体形成領域31及び凹凸パターン52を設けた領域のうち少なくとも一方に形成された酸化膜を備える。
その結果、親水性の溶媒、または、疎水性の溶媒のそれぞれに対して、濡れ性の高いメンブレン22を選択的に提供することが可能となり、凹凸パターン52の有するロータス効果によって、溶媒の流出を防止する機能を奏することが可能となる。
また、第一実施形態の表面応力センサの製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(5)積層体形成工程と、第一イオン注入工程と、第二イオン注入工程と、熱処理工程と、凹凸パターン形成工程と、受容体形成工程と、除去工程と、配線層形成工程と、を備える。積層体形成工程では、支持基材10の一方の面に凹部62を形成し、さらに、支持基材10へ凹部62を覆うように検出基材20を貼り合わせることで、支持基材10と検出基材20との間に空隙部40が設けられた積層体66を形成する。第一イオン注入工程では、検出基材20の支持基材10と対向する面と反対側の面のうち検出基材20の中心を含む予め設定した領域よりも外側の選択した一部の領域に、第一のイオンを注入する。第二イオン注入工程では、検出基材20の第一のイオンを注入した領域よりも外側の選択した領域に第二のイオンを注入する。熱処理工程では、第一のイオン及び第二のイオンを注入した積層体66を熱処理することで、第一のイオンを注入した領域に可撓性抵抗領域70を形成するとともに、第二のイオンを注入した領域に低抵抗領域72を形成する。凹凸パターン形成工程では、検出基材20の支持基材10と対向する面と反対側の面である表面のうち、表面の中心を含む予め設定した領域(受容体形成領域31)の周囲を取り囲む領域に、受容体形成領域31よりも表面の粗度が高い凹凸パターン52を形成する。受容体形成工程では、凹凸パターンに囲まれた領域(受容体形成領域31)に、吸着した物質に応じた変形を生じる受容体30を形成する。除去工程では、検出基材20のうち凹凸パターン52を形成した領域の周囲であって低抵抗領域72及び可撓性抵抗領域70以外の領域を除去することで、メンブレン22、枠部材24、連結部26及び可撓性抵抗50を形成する。配線層形成工程では、可撓性抵抗50と電気的に接続された配線層82を形成する。
このため、メンブレン22の表面のうち、受容体形成領域31の外側に、凹凸パターン52によって撥液性の領域が形成されるため、凹凸パターン52の有するロータス効果によって、受容体30を形成する溶媒が濡れ広がることを抑制することが可能となる。
これにより、溶媒がメンブレン22の外側や裏面側に流れることを防止して、溶媒の層を、安定して形成することが可能となる。
その結果、受容体30を形成するプロセスを簡略化することが可能となる。これに加え、メンブレン22の表面にのみ物質が吸着するため、精度の高い安定したセンシングが可能となり、高いセンサ感度を維持することが可能な、表面応力センサの製造方法を提供することが可能となる。
(6)凹凸パターン形成工程の前工程であり、且つ検出基材20の表面に酸化膜(第四のシリコン酸化膜68d)を形成する酸化膜形成工程を備える。
その結果、親水性の溶媒に対して濡れ性が高く、さらに、凹凸パターン52の有するロータス効果によって、溶媒の流出を防止する機能を奏することが可能な表面応力センサ1を製造することが可能となる。
(7)酸化膜形成工程では、受容体30を形成する領域(受容体形成領域31)及び凹凸パターン52を形成する領域のうち少なくとも一方に、酸化膜(第四のシリコン酸化膜68d)を形成する。
その結果、親水性の溶媒、または、疎水性の溶媒のそれぞれに対して、濡れ性の高いメンブレン22を選択的に提供することが可能となり、凹凸パターン52の有するロータス効果によって、溶媒の流出を防止する機能を奏することが可能となる。
(8)凹凸パターン形成工程と除去工程を、エッチング等によって同時に行う。
その結果、表面応力センサ1の製造工程を簡略化することが可能となる。
(第一実施形態の変形例)
(1)第一実施形態では、支持基材10の材料となる第一シリコン基板60の一方の面に凹部62を形成することで、メンブレン22と支持基材10との間に空隙部40を形成したが、これに限定するものではない。すなわち、検出基材20の材料となる第二シリコン基板64の支持基材10と対向する面に凹部を形成することで、メンブレン22と支持基材10との間に空隙部40を形成してもよい。
(2)第一実施形態では、二対である四つの連結部26a~26dに、それぞれ、可撓性抵抗50a~50dが備えられている構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、一対である二つの連結部26に、それぞれ、可撓性抵抗50が備えられている構成としてもよい。
(3)第一実施形態では、四つの連結部26a~26dの全てに可撓性抵抗50が備えられている構成としたが、これに限定するものではなく、少なくとも一つの連結部26に可撓性抵抗50が備えられている構成としてもよい。
(4)第一実施形態では、接続部4の面積を、メンブレン22の厚さ方向から見て、メンブレン22の面積よりも小さい値としたが、これに限定するものではなく、接続部4の面積を、メンブレン22の面積以上としてもよい。
(5)第一実施形態では、接続部4の形状を円形としたが、これに限定するものではなく、接続部4の形状を、例えば、方形としてもよい。また、接続部4を、複数形成してもよい。
(6)第一実施形態では、検出基材20を形成する材料と、支持基材10を形成する材料とを、同一の材料としたが、これに限定するものではなく、検出基材20を形成する材料と、支持基材10を形成する材料とを、異なる材料としてもよい。
この場合、検出基材20の線膨張係数と支持基材10の線膨張係数との差を、1.2×10-5/℃以下することで、パッケージ基板2の変形に応じた、検出基材20の変形量と支持基材10の変形量との差を減少させることが可能となる。これにより、メンブレン22の撓みを抑制することが可能となる。
(7)第一実施形態では、支持基材10の線膨張係数が、5.0×10-6/℃以下としたが、これに限定するものではなく、支持基材10の線膨張係数を、1.0×10-5/℃以下としてもよい。
この場合であっても、支持基材10の剛性を向上させることが可能となり、温度変化等に起因するパッケージ基板2の変形に対する、検出基材20の変形量を減少させることが可能となる。
(8)第一実施形態では、凹凸パターン52を、複数の凸部または複数の凹部が連続したパターンで形成したが、これに限定するものではない。
すなわち、例えば、図34中に表すように、受容体形成領域31の周囲を取り囲む領域にローレット加工等を施すことにより、ロータス効果を有する粗さとすることで、受容体形成領域31よりも表面の粗度を高くした凹凸パターン52を形成してもよい。
なお、図34中に表す構成であれば、図19中に表す構成と同様、メンブレン22に親水性の溶媒を塗布すると、受容体形成領域31は濡れ性が高いために、メンブレン22との密着性の高い受容体30を形成することが可能となる。一方、凹凸パターン52は、シリコンによる撥液性にロータス効果が加わるため、強い撥液機能を持つこととなり、溶媒の流出を防ぐ作用を向上させることが可能となる。
(9)第一実施形態では、凹凸パターン52が、メンブレン22の表面のうち、受容体30よりも枠部材24に近い領域の全周に亘って、隣り合う凸部同士または隣り合う凹部同士を、予め設定した距離に設定して設けたが、これに限定するものではない。
すなわち、例えば、隣り合う凸部同士または隣り合う凹部同士の距離を、0[μm]に設定することで、凹凸パターン52を、メンブレン22の表面のうち、受容体30よりも枠部材24に近い領域の全周に亘って連続する、複数本の円環状に形成してもよい。
(10)第一実施形態では、凹凸パターン52により、受容体30を形成する溶媒SOLがメンブレン22の裏面に回り込むことを抑制したが、これに限定するものではない。
すなわち、例えば、図35(a)及び図35(b)に示すように、メンブレン22の表面に厚い酸化膜SOを設け、酸化膜SOのうちメンブレン22中央部に形成された部分を除去して、溶媒SOLの広がりを防止する土手500を形成してもよい。図35(b)は、図35(a)のIX-IX断面図である。このとき、土手500となる酸化膜SOの厚さは、受容体30形成時のPEI溶液等の滴下量に応じて変更可能である。このような表面応力センサ1では、土手500を、図35(b)に示すように、内側断面が逆テーパ形状となるように形成することが好ましい。これにより、受容体30形成時にPEI溶液等がメンブレン22の外周に向けて流れることを抑制することが可能となる。
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1から図6を参照しつつ、図36を用いて、第二実施形態の構成を説明する。
第二実施形態の構成は、図36に示すように、枠部材24が、接続層90を介して、支持基材10のパッケージ基板2と対向する面と反対側の面(図22中では、上側の面)に接続されている点を除き、上述した第一実施形態と同様である。
接続層90は、二酸化ケイ素(SiO2)等を用いて形成されている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
(表面応力センサの製造方法)
図1から図33を参照しつつ、図37から図40を用いて、表面応力センサ1の製造方法を説明する。なお、図37から図40の断面図は、図5のX-X線断面図に対応する。
表面応力センサ1の製造方法は、積層体形成工程と、第一イオン注入工程と、第二イオン注入工程と、熱処理工程と、ホール形成工程と、空隙部形成工程と、ホール封止工程と、凹凸パターン形成工程と、受容体形成工程と、除去工程と、配線層形成工程を備える。
(積層体形成工程)
積層体形成工程では、まず、図37に示すように、支持基材10の材料となる第一シリコン基板60へ、シリコン酸化膜を用いて形成した犠牲層92を積層する。さらに、犠牲層92へ、検出基材20の材料となる第二シリコン基板64を積層する。なお、犠牲層92としては、シリコン酸化膜の他に、シリコン窒化膜やアルミニウム、チタン、銅、タングステン等の金属膜を用いてもよい。
以上により、積層体形成工程では、支持基材10に犠牲層92を積層し、さらに、犠牲層92に検出基材20を積層して積層体66を形成する。
(第一イオン注入工程)
第一イオン注入工程では、まず、図37に示すように、第二シリコン基板64を酸化することで、第二シリコン基板64の上側の面を酸化させて第一のシリコン酸化膜68aを形成する。
次に、第一のシリコン酸化膜68aを形成した第二シリコン基板64に対して、フォトレジストのパターン(図示せず)を形成し、可撓性抵抗領域70に対して、選択的に第一のイオンを注入する。
以上により、第一イオン注入工程では、検出基材20の支持基材10と対向する面と反対側の面のうち、検出基材20の中心を含む予め設定した領域よりも外側の選択した一部の領域(可撓性抵抗領域70)に、第一のイオンを注入する。
(第二イオン注入工程)
第二イオン注入工程では、第一イオン注入工程で用いたフォトレジストを除去し、さらに、第一イオン注入工程で用いたものとは異なるフォトレジストのパターン(図示せず)を形成し、低抵抗領域72に第二のイオンを注入する。
以上により、第二イオン注入工程では、検出基材20の第一のイオンを注入した領域(可撓性抵抗領域70)よりも外側の選択した領域に、第二のイオンを注入する。
(熱処理工程)
熱処理工程では、第二イオン注入工程で用いたフォトレジストを除去し、さらに、第一のイオン及び第二のイオンの活性化を目的として、積層体66に熱処理(アニール処理)を施す。積層体66に熱処理を施した後は、第一のシリコン酸化膜68aを除去する。
以上により、熱処理工程では、第一のイオン及び第二のイオンを注入した積層体66を熱処理することで、第一のイオンを注入した領域に可撓性抵抗領域70を形成するとともに、第二のイオンを注入した領域に低抵抗領域72を形成する。
(ホール形成工程)
ホール形成工程では、一般的なフォトリソグラフィーの技術により、第二シリコン基板64の上側の面に、ホールのパターン(図示せず)を形成する。
次に、ホールのパターンをマスクとしてドライエッチングを施し、図38に示すように、第二シリコン基板64へホール76を形成する。ホール76の直径は、例えば、0.28[μm]に設定して、犠牲層92に到達する深さに設定する。
以上により、ホール形成工程では、検出基材20の可撓性抵抗領域70及び低抵抗領域72を形成した領域と隣接する領域に、犠牲層92まで貫通するホール76を形成する。
(空隙部形成工程)
空隙部形成工程では、HFVaporを、ホール76を通して第一シリコン基板60の側に浸透させることで、犠牲層92のみを選択的にエッチングし、図39に示すように、第一シリコン基板60と第二シリコン基板64との間に、空隙部40を形成する。
ここで、HFのWetエッチングを使わない理由は、空隙部40を形成した後の乾燥時に、純水等の表面張力で空隙部40が潰れる不具合(スティクションとも呼称される)の発生を回避するためである。
以上により、空隙部形成工程では、ホール76を介したエッチングにより、可撓性抵抗領域70と支持基材10との間に配置された犠牲層92を除去して、支持基材10と検出基材20との間に空隙部40を設ける。
(ホール封止工程)
ホール封止工程では、図40に示すように、酸化膜94によってホール76を封止する。
ホール76を封止する方法としては、例えば、熱酸化処理とCVD等を組み合わせることが有効であるが、ホール76の直径が小さい場合には、CVDのみを用いることも可能である。
以上により、ホール封止工程では、検出基材20の支持基材10と対向する面と反対側の面に、酸化膜94を形成してホール76を封止する。
(配線層形成工程)
配線層形成工程は、上述した第一実施形態と同様の手順で行うため、その説明を省略する。
以上により、配線層形成工程では、可撓性抵抗50と電気的に接続された配線層82を形成する。
(凹凸パターン形成工程、除去工程)
凹凸パターン形成工程及び除去工程は、上述した第一実施形態と同様の手順で行うため、その説明を省略する。
したがって、凹凸パターン形成工程では、検出基材20の中心を含む予め設定した領域の周囲であって低抵抗領域72及び可撓性抵抗領域70以外の領域を除去する。これにより、メンブレン22、枠部材24、連結部26、可撓性抵抗50を形成するとともに、凹凸パターン52を形成する。
すなわち、凹凸パターン形成工程では、検出基材20の表面のうち、表面の中心を含む予め設定した領域(受容体形成領域31)の周囲を取り囲む領域に、予め設定した領域よりも表面の粗度が高い凹凸パターン52を形成する。
(受容体形成工程)
受容体形成工程では、凹凸パターン52に囲まれた受容体形成領域31に、PEI溶液等の溶媒を塗布することで、吸着した物質に応じた変形を生じる受容体30を形成する。(動作・作用)
第二実施形態の動作と作用は、上述した第一実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
なお、上述した第二実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第二実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(第二実施形態の効果)
第二実施形態の表面応力センサの製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)積層体形成工程と、第一イオン注入工程と、第二イオン注入工程と、熱処理工程と、ホール形成工程と、空隙部形成工程と、ホール封止工程と、凹凸パターン形成工程と、受容体形成工程と、除去工程と、配線層形成工程を備える。積層体形成工程では、支持基材10に犠牲層92を積層し、さらに、犠牲層92に検出基材20を積層して積層体66を形成する。第一イオン注入工程では、検出基材20の支持基材10と対向する面と反対側の面のうち検出基材20の中心を含む予め設定した領域よりも外側の選択した一部の領域に、第一のイオンを注入する。第二イオン注入工程では、検出基材20の第一のイオンを注入した領域よりも外側の選択した領域に第二のイオンを注入する。熱処理工程では、第一のイオン及び第二のイオンを注入した積層体66を熱処理することで、第一のイオンを注入した領域に可撓性抵抗領域70を形成するとともに、第二のイオンを注入した領域に低抵抗領域72を形成する。ホール形成工程では、検出基材20の可撓性抵抗領域70及び低抵抗領域72を形成した領域と隣接する領域に、犠牲層92まで貫通するホール76を形成する。空隙部形成工程では、ホール76を介したエッチングにより、可撓性抵抗領域70と支持基材10との間に配置された犠牲層92を除去して、支持基材10と検出基材20との間に空隙部40を設ける。ホール封止工程では、検出基材20の支持基材10と対向する面と反対側の面に酸化膜94を形成して、ホール76を封止する。凹凸パターン形成工程では、検出基材20の支持基材10と対向する面と反対側の面である表面のうち、表面の中心を含む予め設定した領域(受容体形成領域31)の周囲を取り囲む領域に、受容体形成領域31よりも表面の粗度が高い凹凸パターン52を形成する。受容体形成工程では、凹凸パターンに囲まれた領域(受容体形成領域31)に、吸着した物質に応じた変形を生じる受容体30を形成する。除去工程では、検出基材20のうち凹凸パターン52を形成した領域の周囲であり、低抵抗領域72及び可撓性抵抗領域70以外の領域を除去することで、メンブレン22、枠部材24、連結部26及び可撓性抵抗50を形成する。配線層形成工程では、可撓性抵抗50と電気的に接続された配線層82を形成する。
このため、メンブレン22の表面のうち、受容体形成領域31の外側に、凹凸パターン52によって撥液性の領域が形成されるため、凹凸パターン52の有するロータス効果によって、受容体30を形成する溶媒が濡れ広がることを抑制することが可能となる。
これにより、溶媒がメンブレン22の外側や裏面側に流れることを防止して、溶媒の層を、安定して形成することが可能となる。
その結果、受容体30を形成するプロセスを簡略化することが可能となる。これに加え、メンブレン22の表面にのみ物質が吸着するため、精度の高い安定したセンシングが可能となり、高いセンサ感度を維持することが可能な、表面応力センサの製造方法を提供することが可能となる。
1…表面応力センサ、2…パッケージ基板、4…接続部、10…支持基材、20…検出基材、22…メンブレン、24…枠部材、26…連結部、30…受容体、31…受容体形成領域、40…空隙部、50…可撓性抵抗、52…凹凸パターン、60…第一シリコン基板、62…凹部、64…第二シリコン基板、66…積層体、68…シリコン酸化膜、70…可撓性抵抗領域、72…低抵抗領域、74…シリコン窒化膜、76…ホール、78…積層膜、80…金属膜、82…配線層、84…メンブレン設定領域、85…除去領域、86…PAD、87…凹凸パターン領域、88…フォトレジスト、90…接続層、92…犠牲層、94…酸化膜、100…従来の構成を備える表面応力センサ、452a…凸部、452b…空隙、500…土手、552a…凸部、552b…空隙、552c…ホール、652a…凸部、652b…凸部、652c…空隙、753…第一パターン形成部、753a…凸部、753b…空隙、754…第二パターン形成部、853…凹凸パターン領域、853a…凸部、853b…空隙、854…凹部領域、VL1…メンブレンの中心を通過する仮想的な直線、VL2…直線VL1と直交する直線、SO…シリコン酸化膜、SOL…溶媒

Claims (10)

  1. 印加された表面応力によって撓むメンブレンと、
    前記メンブレンの厚さ方向から見て当該メンブレンと離間し、且つ前記メンブレンを包囲する枠部材と、
    前記厚さ方向から見て前記メンブレンを挟む位置に配置されて当該メンブレンと前記枠部材とを連結する少なくとも一対の連結部と、
    前記連結部のうち少なくとも一つに備えられ、当該連結部に起きた撓みに応じて抵抗値が変化する可撓性抵抗と、
    前記枠部材に接続されて前記メンブレン及び前記連結部との間に空隙を設けて配置され、且つ前記厚さ方向から見て、前記メンブレン及び前記連結部と重なる支持基材と、
    前記メンブレンの前記支持基材と対向する面と反対側の面である表面の中心を含む領域の上に形成され、且つ吸着した物質に応じた変形を生じる受容体と、
    前記表面のうち前記受容体が形成される受容体形成領域よりも前記枠部材に近い領域に設けられ、且つ前記受容体形成領域よりも表面の粗度が高い凹凸パターンと、を備える表面応力センサ。
  2. 前記凹凸パターンは、複数の凸部または複数の凹部が連続したパターンで形成されている請求項1に記載した表面応力センサ。
  3. 前記凹凸パターンは、前記表面のうち前記受容体よりも前記枠部材に近い領域の全周に亘って、隣り合う前記凸部同士または隣り合う前記凹部同士を予め設定した距離に設定して設けられる請求項2に記載した表面応力センサ。
  4. 前記表面のうち前記受容体形成領域及び前記凹凸パターンを設けた領域のうち少なくとも一方に形成された酸化膜をさらに備える請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した表面応力センサ。
  5. 前記凹凸パターンは、前記表面の面上に形成されている請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載した表面応力センサ。
  6. 支持基材の一方の面に凹部を形成し、さらに、前記支持基材へ前記凹部を覆うように検出基材を貼り合わせることで、前記支持基材と前記検出基材との間に空隙部が設けられた積層体を形成する積層体形成工程と、
    前記検出基材の前記支持基材と対向する面と反対側の面のうち検出基材の中心を含む予め設定した領域よりも外側の選択した一部の領域に、第一のイオンを注入する第一イオン注入工程と、
    前記検出基材の前記第一のイオンを注入した領域よりも外側の選択した領域に第二のイオンを注入する第二イオン注入工程と、
    前記第一のイオン及び前記第二のイオンを注入した前記積層体を熱処理することで、前記第一のイオンを注入した領域に可撓性抵抗領域を形成するとともに、前記第二のイオンを注入した領域に低抵抗領域を形成する熱処理工程と、
    前記検出基材の前記支持基材と対向する面と反対側の面である表面の中心を含む予め設定した領域の周囲を取り囲む領域に、当該予め設定した領域よりも表面の粗度が高い凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程と、
    前記凹凸パターンに囲まれた領域に、吸着した物質に応じた変形を生じる受容体を形成する受容体形成工程と、
    前記検出基材のうち前記凹凸パターンを形成した領域の周囲であり、且つ前記低抵抗領域及び前記可撓性抵抗領域以外の領域を除去することで、印加された表面応力によって撓むメンブレン、前記メンブレンの厚さ方向から見て隙間を空けてメンブレンを包囲する枠部材、前記厚さ方向から見て前記メンブレンを挟む位置に配置されてメンブレンと前記枠部材とを連結する少なくとも一対の連結部、及び前記連結部に起きた撓みに応じて抵抗値が変化する可撓性抵抗、を形成する除去工程と、
    前記可撓性抵抗と電気的に接続された配線層を形成する配線層形成工程と、を備える表面応力センサの製造方法。
  7. 支持基材に犠牲層を積層し、さらに、前記犠牲層に検出基材を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
    前記検出基材の前記支持基材と対向する面と反対側の面のうち検出基材の中心を含む予め設定した領域よりも外側の選択した一部の領域に第一のイオンを注入する第一イオン注入工程と、
    前記検出基材の前記第一のイオンを注入した領域よりも外側の選択した領域に第二のイオンを注入する第二イオン注入工程と、
    前記第一のイオン及び前記第二のイオンを注入した前記積層体を熱処理することで、前記第一のイオンを注入した領域に可撓性抵抗領域を形成するとともに、前記第二のイオンを注入した領域に低抵抗領域を形成する熱処理工程と、
    前記検出基材の前記可撓性抵抗領域及び前記低抵抗領域を形成した領域と隣接する領域に、前記犠牲層まで貫通するホールを形成するホール形成工程と、
    前記ホールを介したエッチングにより、前記可撓性抵抗領域と前記支持基材との間に配置された前記犠牲層を除去して前記支持基材と前記検出基材との間に空隙部を設ける空隙部形成工程と、
    前記検出基材の前記支持基材と対向する面と反対側の面に酸化膜を形成して前記ホールを封止するホール封止工程と、
    前記検出基材の前記支持基材と対向する面と反対側の面である表面の中心を含む予め設定した領域の周囲を取り囲む領域に、当該予め設定した領域よりも表面の粗度が高い凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程と、
    前記凹凸パターンに囲まれた領域に、吸着した物質に応じた変形を生じる受容体を形成する受容体形成工程と、
    前記検出基材のうち前記凹凸パターンを形成した領域の周囲であり、且つ前記低抵抗領域及び前記可撓性抵抗領域以外の領域を除去することで、印加された表面応力によって撓むメンブレン、前記メンブレンの厚さ方向から見て隙間を空けてメンブレンを包囲する枠部材、前記厚さ方向から見て前記メンブレンを挟む位置に配置されてメンブレンと前記枠部材とを連結する少なくとも一対の連結部、及び前記連結部に起きた撓みに応じて抵抗値が変化する可撓性抵抗、を形成する除去工程と、
    前記可撓性抵抗と電気的に接続された配線層を形成する配線層形成工程と、を備える表面応力センサの製造方法。
  8. 凹凸パターン形成工程の前工程であり、且つ前記表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程を備える請求項6または請求項7に記載した表面応力センサの製造方法。
  9. 前記酸化膜形成工程では、前記受容体を形成する領域及び前記凹凸パターンを形成する領域のうち少なくとも一方に前記酸化膜を形成する請求項8に記載した表面応力センサの製造方法。
  10. 前記凹凸パターン形成工程と前記除去工程とを、同時に行う請求項6から請求項9のうちいずれか1項に記載した表面応力センサの製造方法。
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