JP6998068B2 - 骨再生または骨形成促進用ペプチド及びその用途 - Google Patents

骨再生または骨形成促進用ペプチド及びその用途 Download PDF

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Description

本願は、骨再生及び骨形成を促進できる技術である。
世界的な高齢化傾向により2050年ごろには60才以上の人口が全体の21.8%に達すると見込まれ、これに伴って老化、代謝性疾患などを原因とする骨格系疾患は持続的に増加すると考えられる。
このような老年層及び骨粗しょう症患者で骨折が発生する場合、傷部位の癒合率が非常に低くなり、特に70才以上高齢者の骨粗しょう症患者の場合、骨折が発生すると生活の質の低下などによる非常に高い死亡率を示すものと知られている。
従って、骨折を効果的かつ迅速に克服する医療技術は、重大な社会的懸案である。骨組織は、感染、外傷、疾患などで損傷を受けると自然に治る速度が非常に遅く、老化が進むほどその速度はさらに減少し、回復期間中患者の苦痛が非常に大きいことから組織再生を誘導して、速くかつ正確な機能回復及び治癒誘導が他の疾患よりも重要である。
韓国内だけで年間骨再生誘導治療が必要な患者は200万人に達し、これと関連する健康保険及び医療費支出も1兆ウォンを越えるだけでなく、骨組織損失による社会経済的損失はこれよりはるかに大きいと予想される。
従って、骨組織の再生を効果的に誘導できる骨移植材の開発は、保健医療的側面及び社会経済的側面においても大変重要な価値を有する(Dimitriou et al.,BMC Medicine 2011,9:66)。
効果的な骨組織再生のためには、骨伝導(Osteoconductive)物質、骨由来(Osteogenic)物質、及び骨誘導(Osteoinductive)物質が必要である。
骨伝導物質としては、一定の機械的強度を有するヒドロキシリン酸カルシウムなどの骨と類似の環境を提供できる物質が用いられて、これと共に骨由来の骨形成細胞集団及び骨誘導性バイオ活性因子が共に用いられる。
WO2009-093240は、骨再生用エリスロポエチン及びフィブロネクチン組成物を開示する。また、現在の骨誘導性バイオ活性因子として最も広く用いられるものが、BMP-2、4及び7タンパク質が挙げられる。特に、BMP-2は、2002年FDA承認を得て頚椎癒合、腰椎癒合、及び歯槽骨再生のための目的で用いられている。しかし、次のような多くの副作用が問題点と指摘されている。例えば、炎症性副作用で偽関節、骨吸収による骨形成抑制(かえって骨密度をより悪化させる)、傷治療遅延、痛みを誘発して、これはBMP-2投与患者の85%に現れる代表的な副作用である。また、異所性骨化症は、筋肉の石灰化、射出副作用、気道閉鎖(頚椎手術患者、死亡)は、取り返しのつかない致命的な副作用である。それと共に、射出副作用の場合、全体患者の1.5%水準で発病している。また、5mg以上用いる場合、24ヶ月内に希少がんを含む約20種余りの癌が発病すると知られていて、集団の5%頻度で発病する。また、歯科分野では痛みに対する副作用が激しく現れると知られている。
従って、BMP-2は、その副作用の深刻性からそれ以上の応用に限界があると判断される。その結果、安全性及び有効性が確保されたBMP-2副作用克服またはこれ代わることができる技術は、社会的経済的波紋が非常に大きいと展望されている。しかし、BMP-2ほどの効果的でかつ強力な薬物候補は現在まで開発されていない。
本願は、副作用がなく効果的に骨形成及び骨再生を促進できる技術を提供しようとする。
一様態において本願は、下記の化学式IVのペプチドを含む骨再生または骨形成促進用ペプチドまたはこれを含む組成物または薬学組成物を提供する。
[化学式IV]
[X121-15-[X-X-X-X-X-[X-X-X-X-X10-X11
前記[X-X-X-X-Xにおいて、
前記Xは、任意のアミノ酸であり、
前記X、X及びXは、L、V、I、E、G及びAのいずれかのアミノ酸であり、各々同じかまたは異なり、前記X、XまたはXのうち一つ以上は、欠如してもよく、
前記Xは、KまたはRのアミノ酸であり、
前記mは、1乃至5の整数であり、二つ以上含む場合、各ペプチドのアミノ酸配列は、同じかまたは異なり、
前記[X-X-X-X-X10-X11において、
前記[X-X-X-X-X10-X11]は、欠如してもよく、または
前記Xは、F、Y及びWのいずれかのアミノ酸であり、
前記Xは、KまたはRのアミノ酸であり、
前記Xは、A、M及びIのいずれかのアミノ酸であり、
前記Xは、L、M及びGのいずれかのアミノ酸であり、
前記X10は、任意のアミノ酸であり、
前記X11は、C、S及びTのいずれかのアミノ酸であり、
前記X及びXまたは前記X10及びX11のうち一つ以上は欠如してもよく、
前記nは、1または2であり、
前記X12は、F、KまたはRであり、
前記アミノ酸は、D-またはL-型の天然または非天然アミノ酸またはその誘導体である。
一実現例においてXの任意のアミノ酸は、S、T、C、P、NまたはQである。
別の実現例において前記X-X-Xは、AAA、EEE、LVG、LVA、LVL、LVV、LLA、LLL、またはLLVである。
別の実現例において前記[X-X-X-X-X]のペプチドは、下記のいずれかである:QLVVK(配列番号1)、QEEEK(配列番号2)、QAAAK(配列番号3)、NLVVK(配列番号4)、SLVVK(配列番号5)、QVVVK(配列番号70)、QIVVK(配列番号71)、QAVVK(配列番号72)、QLLVK(配列番号73)、QLIVK(配列番号74)、QLAVK(配列番号75)、QLVLK(配列番号76)、QLVIK(配列番号77)、QLVAK配列番号78)、またはQLVVR(配列番号79)。
別の実現例において前記[X-X-X-X-X10-X11]のペプチドは、下記のいずれかである:FRALPC(配列番号6)、FREEPC(配列番号7)、FRVVPC(配列番号8)、FEALPC(配列番号9)、YRALPC(配列番号10)、WRALPC(配列番号11)、FRALP(配列番号12)、FRAL(配列番号13)、FRPC(配列番号14)またはFR。
本願に係るペプチドは、二つ以上が結合されてもよい。
一実現例においてペプチドは、配列番号15乃至33、37乃至69のいずれで表される。
一実現例において前記本願のペプチドのN末端に5個の乃至20個のKまたはRをさらに含むことができる。
別の様態において、前記化学式IVにおいてXは、極性のQ、N、S、T、PまたはCであり、前記X、X及びXは、各々同じかまたは異なる疏水性のL、V、I、またはAであり、前記Xは、正荷電されたKまたはRであり、前記[X-X-X-X-X10-X11]において、X及びXまたは前記X10及びX11のうち一つ以上は、欠如してもよく、FRALPC(配列番号6)、FREEPC(配列番号7)、FRVVPC(配列番号8)、FEALPC(配列番号9)、YRALPC(配列番号10)、WRALPC(配列番号11)、FRALP(配列番号12)、FRAL(配列番号13)、またはFRPC(配列番号14)、またはFRであり、前記X12は、正荷電されたKまたはRであり、前記m及びnは、各々1または2であり、mまたはnが2の場合、各ペプチドのアミノ酸配列は、同じかまたは異なり、前記アミノ酸は、D-またはL-型の天然または非天然アミノ酸であり得る。
一実現例において前記X-X-Xは、LVV、AAA、LVA、LVL、LLA、LLL、またはLLVであり得る。
別の実現例において前記[X-X-X-X-X]のペプチドは、下記のいずれかである:QLVVK(配列番号1)、QAAAK(配列番号3)、NLVVK(配列番号4)、またはSLVVK(配列番号5)、QVVVK(配列番号70)、QIVVK(配列番号71)、QAVVK(配列番号72)、QLLVK(配列番号73)、QLIVK(配列番号74)、QLAVK(配列番号75)、QLVLK(配列番号76)、QLVIK(配列番号77)、QLVAK(配列番号78)、またはQLVVR(配列番号79)。
一実現例において前記ペプチドは、配列番号17、19、20、21、24、25、26、27、30、31、32、33、37、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48、50、51、52、または54である。
一実現例において前記ペプチドのN末端に5個の乃至20個のKまたはRをさらに含むことができる。
別の様態において本願は、配列番号15乃至69のいずれで表されるアミノ酸配列のペプチドまたはこれを含む骨再生または骨形成促進用組成物また薬学組成物を提供する。
本願に開示されたペプチドのNまたはC-末端は、非反応性基で置き換えられることができる。
本願に係るペプチド、これを含む組成物または薬学組成物は、骨消失によって骨密度の増加が必要な疾患の治療または予防に用いられて、前記疾患は骨折、歯槽骨再生、関節成形術、脊椎癒合または骨嚢胞を含むが、これに制限されない。
別の様態において本願は、本願に開示されたペプチドまたはこれを含む組成物または薬学組成物を骨形成または骨形成促進に必要な対象体に有効な量で投与する段階を含む、骨再生または骨形成促進方法を提供する。
別の様態において本願は、本願に開示されたペプチドの骨形成または骨形成促進用用途を提供して、骨消失によって骨密度の増加が必要な疾患の治療または予防に用いられて、前記疾患は、骨折、歯槽骨再生、関節成形術、脊椎癒合または骨嚢胞を含むが、これに制限されない。
本願に係るペプチドまたはこれを含む組成物は、異種骨及び同種骨において骨再生及び骨形成能を有して、発生過程にいて骨形成も促進する。また、異所性骨化症を示すことがない。従って、本願に係るペプチドを含む組成物は、骨再生及び骨形成能が必要な種々の疾患の治療に適用されることができる。さらに本願に係るペプチドは、BMP-2に代わるか少量のBMP-2と共に用いて安全性を確保することができる。
本願に係る効果をまとめると、これに制限されないが、BMP-2と類似またはより速い骨回復速度を示す。従って、BMP-2技術に代わることができ、BMP-2よりも低コストで、従来の骨代替材(bone substitutes)または骨移植材と共に用いられることができて、従来技術の単独使用よりも高い回復水準を期待できるようにする新しい有効成分である。また、従来の他の骨誘導性骨伝導性代替材などと比較して最も簡単な構造式により合成、保管、安定性などで長所があって骨組織に対する吸着または付着性があるペプチドなので、外科的手術に用いるのはもちろん、様々な局所投与など様々な臨床投与方法が可能である。
図1は、アウスを利用した異種骨骨再生実験において本願に係るペプチド処理による形成された硬組織(hard tissue)形成の定量的分析結果である。H&E染色を介して硬組織特異的高密度染色部位の面積を測定して分析した。対照群は、食塩水で処理して、比較群としてBMP-2、及び本願に係るペプチドとrhBMP-2を混合して用いた。 図2は、アウスを利用した異種骨骨再生実験にいて再生された組織の骨化組織に対する免疫組織化学染色結果である。免疫染色は、硬組織の生物学的石灰化時期に特異的に発現するマーカーであるOsteocalcinに対する抗体染色である。 図3は、アウスを利用した異種骨骨再生実験において再生された硬組織内の血管形成を血液細胞及び血管のマーカーであるCD31に対する抗体を利用した免疫組織化学染色結果である。この結果は、血管の形成により形成された組織が活性を維持するかについての評価のために調べられた。 図4は、ラットを利用した頭蓋骨欠損モデルを利用した骨再生能分析実験において損傷した頭蓋骨に対する処理後3週及び5週目に撮影した3次元レンダリングイメージ結果である。対照群は、食塩水で処理し、比較群としてBMP-2、及び本願に係るペプチドとBMP-2を混合して用いた。 図5は、ラットを利用した頭蓋骨欠損モデルを利用した骨再生能分析実験において新生骨組織の体積(bone volume)を定量的に測定した結果である。 図6は、ラットを利用した頭蓋骨欠損モデルを利用した骨再生能分析実験において新生骨組織内の種々の骨形成因子またはマーカーに対する発現を定量的に分析した結果である。 図7は、異所性骨化症に対する副作用を調べるための分析結果である。アウスの左側大腿筋には、BMP-2を移植して、右側大腿筋には、本願のペプチドを移植して、4週後uCT分析後筋組織の石灰化を3次元レンダリングイメージで分析した結果である。 図8は、発生過程において骨形成促進分析実験をmicro-CTで分析した結果である。 図9は、発生過程において骨形成促進分析実験をWSS(Whole Skeletal Staining)分析結果である。 図10は、発生過程において骨形成促進分析実験を各実験群別胚芽のhindlimbを分離した後、H&E染色した後組織学的骨組織形成を分析した結果である。 図11は、発生過程において骨形成促進分析実験を各実験群別胚芽のhindlimbを分離した後、Alcian blue染色結果である。 図12は、骨形成促進に重大な生物学的機序である細胞の疏水性表面に対する表面付着分析結果であって、ペプチド濃度に応じた変化を分析した結果である。付着した細胞の定量的分析は、表面に付着している細胞のDNAを定量化することによって調べた。 図13は、骨形成促進に重大な生物学的機序である細胞の疏水性表面に対する表面付着分析結果であって、時間に応じたペプチドの細胞付着促進効果を分析した結果である。 図14は、骨のような硬度が高く堅い構造物支持体上において細胞の付着形態に関する一連の変化を調べた結果である。支持体は、歯科用インプラント材料として用いられるチタニウムを用いた。 図15は、骨のような硬度が高く堅い構造物支持体上において細胞が占める付着面積を共焦点顕微鏡分析で測定することによってペプチドの付着促進に対する効果を示した結果である。支持体は、様々な強度と表面特性を有する整形外科用チタニウムを用いた。 図16は、骨のような硬度が高く堅い構造物支持体上において細胞が占める付着面積を実測定することによってペプチドの付着促進に対する定量的分析を示した結果である。 図17は、骨のような硬度が高く堅い構造物支持体上において細胞の表面付着分布(distribution)様子変化を調べた結果である。この結果は、高い硬度支持体としてジルコニア(Zirconia)を用いた結果である。 図18は、図面に示した様々な分析結果を基に本願のペプチドが骨再生を誘導する作用機序を図式化したものである。 図19は、本願に係るペプチド(横軸表示)細胞付着を促進する様々なペプチドの骨形成促進効果を実験したもので、妊娠したアウスに注入した時胎仔の骨形成を促進する能力があることを示す結果であり、横軸は配列番号を示す。
一様態において本願は下記の化学式Iで表される骨再生及び/または骨形成能を有するペプチドに関するものである。
[化学式I]
[X-X-X-X-X
前記化学式Iにおいて
前記Xは、任意のアミノ酸または極性の非荷電されたアミノ酸であり、
前記X、X及びXは、L、V、I、E、G及びAのいずれかのアミノ酸であり、各々同じかまたは異なり、前記X、XまたはXのうち一つ以上は欠如してもよく、
前記Xは、正荷電されたアミノ酸であり、
前記mは、1乃至5の整数であり、二つ以上含む場合、各ペプチドのアミノ酸配列は、同じかまたは異なり、前記アミノ酸は、D-またはL-型の天然または非天然アミノ酸またはその誘導体である。
本願に用いられた用語アミノ酸は、20個の天然で発見されるアミノ酸及び非天然アミノ酸、生体内で翻訳後に変形されるアミノ酸、例えばホスホセリン及びホスホスレオニン;及び2-アミノアジピン酸、ヒドロキシリジン、ノルバリン、ノルロイシンといったその他貴重アミノ酸;生体内安定性向上のために変形されたものを含み、鏡像異性体であるD-及びL-形態を全て含むものである。
本願において正荷電アミノ酸、負荷電されたアミノ酸、極性の非荷電されたアミノ酸及び非極性の脂肪族アミノ酸は、当業界に公示されており、当業者なら適切なものを選択することができるはずである。
一実現例において、正荷電されたアミノ酸は、KまたはRである。
別の実現例において、負荷電されたアミノ酸は、DまたはEである。
さらに別の実現例において、極性の非荷電されたアミノ酸は、S、T、C、P、NまたはQである。
さらに別の実現例において、非極性の脂肪族アミノ酸は、G、A、L、V、MまたはIである。
本願で用いられた用語天然及び非天然において、前者は、細胞、組織または生体内で発見される形態の化合物を称し、後者は、このような化合物に様々な目的のために人為的変形が加えられたものを意味する。
本願で用いられた用語ペプチドまたはポリペプチドは、互いに交換的に用いられて、アミノ酸の単位体が共有結合で結合された分子を称する。これは天然(native)アミノ酸またはその分解産物、合成ペプチド、組換え方式で製造されたペプチド、ペプチド修飾体(典型的に合成ペプチド)、及びペプトイド及びセミペプトイドのようなペプチド類似体とまたは生体内安定性向上のために修飾されたものを含む。このような修飾はこれに制限されないが、N-末端修飾、C-末端修飾、CH-NH、CH-S、CH-S=O、CH-CHのようなペプチド結合修飾、バックボーン修飾、側鎖修飾を含む。ペプチド修飾体化合物を製造する方法は、技術分野に公示されたもので、例えばQuantitative Drug Design,C.A.Ramsden Gd.,Choplin Pergamon Press(1992)に記載された内容を参照することができる。
本願に係る化学式Iの化合物は第1領域として表面間の結合に関与するだけでなく配列の個数を多様に適用することにより、本願に開示された様々な目的に用いられることができる。第1領域は、疏水性特性を有することによって表面の分子間疏水性結合、または、細胞との疏水性結合に関与して、ペプチドの2次構造に影響を与えることができる核心領域として後述する他の機能領域の分子特性を良好に維持させる。
本願に係るペプチドにおいて、第1領域は5個のアミノ酸で構成されて、このような単位体が一つ以上含まれてもよく、二つ以上含む場合、各単位体は異なっても同じであってもよい。単位体の個数は、ペプチドの製造、保管、伝達または後述する本願に係るペプチドの効能と用途のために多様な機能化(Functionalization)を誘導できるが、この過程において単位体は、様々な場合の数に変形されることができる。例えば1乃至10個、1乃至9個、1乃至8個、1乃至7個、1乃至6個、1乃至5個、1乃至4個、1乃至3個、1乃至2つ、または、1個を含む。
化学式IにおいてXは任意のアミノ酸であり、一実現例においては極性の非荷電されたアミノ酸、または、別の実現例においてはS、T、C、P、NまたはQである。
化学式IにおいてX、X及びXは、各々L、V、I、E、G及びA中一つであり、各残基は同じまたは異なってもよく、前記X、XまたはXのうち一つ以上は欠如してもよく、X-X-X配列は、たとえばAAA、EEE、LVG、LVA、LVL、LVV、LLA、LLL、またはLLVなどであり得るが、これに制限しない。別の実現例において前記化学式IはX-LVV-X、X-AAA-XまたはX-EEE-Xであり得る。
一実現例において化学式Iの配列は、QLVVK(配列番号1)、QEEEK(配列番号2)、QAAAK(配列番号3)、NLVVK(配列番号4)、SLVVK(配列番号5)、QVVVK(配列番号70)、QIVVK(配列番号71)、QAVVK(配列番号72)、QLLVK(配列番号73)、QLIVK(配列番号74)、QLAVK(配列番号75)、QLVLK(配列番号76)、QLVIK(配列番号77)、QLVAK(配列番号78)、またはQLVVR(配列番号79)で表されるが、これに制限されない。
他の側面で本願は下記の化学式IIの化合物、または、前記化学式Iの化合物に一つ以上の下記の化学式IIの化合物をさらに含むペプチドに関する。
[化学式II]
[X-X-X-X-X10-X11
前記化学式IIにおいて
は、F、Y及びWのいずれかのアミノ酸であり、
は、KまたはRのアミノ酸であり、
は、A、M及びIのいずれかのアミノ酸であり、
は、L、M及びGのいずれかのアミノ酸であり、
10は、任意のアミノ酸であり、
11は、C、S及びTのいずれかのアミノ酸であり、
前記X及びXまたは前記X10及びX11のうち一つ以上は欠如してもよく、
前記nは、1または2であり、前記アミノ酸は、D-またはL-型の天然または非天然アミノ酸またはその誘導体である。
前記化学式IIの化合物は、前記化学式Iの化合物のアミノ末端(N-末端)またはカルボキシ末端(C-末端)、またはN-末端及びC-末端の全体に結合されてもよい。
本願によると、前記化学式IIの化合物は、第2領域として、ペプチド単一分子で存在する場合、第1領域と共にα-ヘリックス構造を容易に作ることができる特性を有する配列で用意に解離することができる親水性特性を付与する。
化学式Iの第1領域と化学式IIの第2領域は、各々一つ以上含まれてもよく、その配列も様々である。例えば、化学式I及びIIのペプチドが、各々一つ以上ずつ結合されて、化学式I-IIのペプチド、化学式I-化学式I-化学式II-化学式IIの構造を有するかまたはたとえば化学式I及びIIのペプチドが、各々一つずつ順次結合されて、これが再び結合されて、化学式I-化学式II-化学式I-化学式IIのような構造を含むことができるか、または、化学式I-化学式II-化学式I、または、化学式II-化学式I-化学式IIのような構造を含むことができる。前記構造で化学式I及びIIの順序は変わってもよい。
本願の一実現例において前記化学式IIのペプチドは、FRALPC(配列番号6)、FREEPC(配列番号7)、FRVVPC(配列番号8)、FEALPC(配列番号9)、YRALPC(配列番号10)、WRALPC(配列番号11)、FRALP(配列番号12)、FRAL(配列番号13)、またはFRPC(配列番号14)またはFRで表される。
他の側面に本願の化学式Iのペプチド、または、化学式IとIIを共に含むペプチドは、化学式IIIのX12 1-15で表される第3領域をそのNまたはC末端にさらに含むことができ、前記X12は正または負荷電された任意のアミノ酸である。
一実現例において前記化学式IIIにおいて正荷電されたアミノ酸は、KまたはR、またはF、KまたはRである。
別の実現例において前記化学式IIIにおいて前記負荷電されたアミノ酸は、DまたはEである。
さらに別の実現例において、本願は、下記の化学式IVで表される化学式III-I-IIが結合された下記の化学式のペプチドまたはこれを含む骨再生または骨形成促進用組成物に関する。
[化学式IV]
[X121-15-[X-X-X-X-X-[X-X-X-X-X10-X11
前記化学式IVに含まれた各残基に対する説明は、先に記述したのを参照することができる。
または、前記化学式IVにおいて、
前記[X-X-X-X-Xにおいて、
前記Xは、任意のアミノ酸であり、
前記X、X及びXは、L、V、I、E、G及びAのいずれかのアミノ酸であり、各々同じかまたは異なり、前記X、XまたはXのうち一つ以上は欠如してもよく、
前記Xは、KまたはRのアミノ酸であり、
前記mは1乃至5の整数であり、二つ以上含む場合、各ペプチドのアミノ酸配列は同じかまたは異なり、
前記[X-X-X-X-X10-X11において、
前記[X-X-X-X-X10-X11は欠如してもよく、または
前記Xは、F、Y及びWのいずれかのアミノ酸であり、
前記Xは、KまたはRのアミノ酸であり、
前記Xは、A、M及びIのいずれかのアミノ酸であり、
前記Xは、L、M及びGのいずれかのアミノ酸であり、
前記X10は、任意のアミノ酸であり、
前記X11は、C、S及びTのいずれかのアミノ酸であり、
前記X及びXまたは前記X10及びX11のうち一つ以上は、欠如してもよく、
前記nは、1または2であり、
前記X12は、正荷電されたKまたはRであり、前記アミノ酸はD-またはL-型の天然または非天然アミノ酸またはその誘導体である。
一実現例において前記化学式IVのポリペプチドは、二つ以上の分子が結合されたものであってもよく、たとえば二つの分子がN-C方向に結合されたものであってもよい。
別の実現例において前記化学式IVでXの任意のアミノ酸は、極性のS、T、C、P、NまたはQであってもよく、前記X-X-Xは、AAA、EEE、LVG、LVA、LVL、LVV、LLA、LLL、またはLLVであってもよく、前記[X-X-X-X-X]のペプチドは、QLVVK(配列番号1)、QEEEK(配列番号2)、QAAAK(配列番号3)、NLVVK(配列番号4)、SLVVK(配列番号5)、QVVVK(配列番号70)、QIVVK(配列番号71)、QAVVK(配列番号72)、QLLVK(配列番号73)、QLIVK(配列番号74)、QLAVK(配列番号75)、QLVLK(配列番号76)、QLVIK(配列番号77)、QLVAK(配列番号78)、またはQLVVR(配列番号79)であってもよく、前記[X-X-X-X-X10-X11]のペプチドFRALPC(配列番号6)、FREEPC(配列番号7)、FRVVPC(配列番号8)、FEALPC(配列番号9)、YRALPC(配列番号10)、WRALPC(配列番号11)、FRALP(配列番号12)、FRAL(配列番号13)、FRPC(配列番号14)またはFRであってもよい。
さらに別の実現例において前記条件を満たすペプチドは、配列番号15乃至33、または、37乃至69のいずれかのアミノ酸配列であり得る。
さらに別の実現例において、化学式IVのペプチドで前記Xは、極性のQ、N、S、T、PまたはCであり、前記X、X及びXは、各々同じかまたは異なる疏水性のL、V、I、または、Aであり、前記Xは、正荷電されたKまたはRであり、前記[X-X-X-X-X10-X11]であり、X及びXまたは前記X10及びX11のうち一つ以上は欠如してもよく、FRALPC(配列番号6)、FREEPC(配列番号7)、FRVVPC(配列番号8)、FEALPC(配列番号9)、YRALPC(配列番号10)、WRALPC(配列番号11)、FRALP(配列番号12)、FRAL(配列番号13)、またはFRPC(配列番号14)、またはFRであり、前記X12は、正荷電されたKまたはRであり、前記m及びnは、各々1または2であり、mまたはnが2の場合、各ペプチドのアミノ酸配列は、同じかまたは異なり、前記アミノ酸はD-またはL-型の天然または非天然アミノ酸である。
この場合、前記X-X-Xは、LVV、AAA、LVA、LVL、LLA、LLL、またはLLVであり得る。
さらにこの場合、前記[X-X-X-X-X]は、QLVVK(配列番号1)、QAAAK(配列番号3)、NLVVK(配列番号4)、SLVVK(配列番号5)、QVVVK(配列番号70)、QIVVK(配列番号71)、QAVVK(配列番号72)、QLLVK(配列番号73)、QLIVK(配列番号74)、QLAVK(配列番号75)、QLVLK(配列番号76)、QLVIK(配列番号77)、QLVAK(配列番号78)、またはQLVVR(配列番号79)であり得る。
一実現例において前記条件を満たすペプチド配列は、配列番号17、19、20、21、24、25、26、27、30、31、32、33、37、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48、50、51、52または54のアミノ酸配列を有する。
さらに別の様態において本願は、配列番号15乃至69のいずれかで表される細胞骨再生または骨形成促進能を有するペプチドまたはこれを含む骨形成または骨再生促進用組成物に関する。
本願に開示されたペプチドは、本願で合成された様々な変異を有する配列及び実験結果に基づいて下記の事項を考慮して、可能な変異を導入して生成された配列でその効果も本願実施例に記載されたように、本願で開示されたものから予測可能であり、これらも本願の範囲に含まれる。
しかし、本願に係るペプチドは、前記のような配列で限定されず、これの生物学的均等物(biologically equivalents)を含む。生物学的均等物とは、本願に開示されたアミノ酸配列に追加的な修飾を加えたが、本願に係るポリペプチドと実質的に同じ活性を有するものである。
このような修飾は、例えばアミノ酸配列残基の欠失、挿入及び/または置換を含む。このようなアミノ酸変異は、アミノ酸の側鎖置換体の相対的類似性、例えば、疏水性、親水性、電荷、大きさなどに基づいてなる。アミノ酸の側鎖置換体の大きさ、形及びの種類に対する分析によって、アルギニン、リジンとヒスチジンは共に正電荷を帯びた残基であり;アラニン、グリシンとセリンは、類似する大きさを有して;フェニルアラニン、トリプトファンとチロシンは、類似する形を有する。よって、これらを考慮すると、アルギニン、リジンとヒスチジン;アラニン、グリシンとセリン;そしてフェニルアラニン、トリプトファンとチロシンは、生物学的に機能均等物と言える。
一実現例においては本願に係るポリペプチドに保存的アミノ酸置換が起きたものを含む。保存的アミノ酸置換(Conservativeamino acid Substitution)とは、特定ポリペプチドが有する活性を実質的に影響を及ぼすか減少させない置換を意味し、たとえば一つ以上のアミノ酸残基で保存的置換が起きる。
保存的アミノ酸置換は、当業界に既知のものであり、たとえばBlosum(BLOcksSUbstitution Matrix)に基づいた表1に記載されたとおりであり、Creighton(1984) Proteins.W.H.Freeman andCompany(EdS);及びHenikoff,S.;Henikoff,J.G.(1992)。Amino Acid Substitution MaTricesfrom Protein Blocks”。PNAS 89(22):10915-10919.doi:10.1073/pnas.89.22.10915;WO2009012175 A1等に記載されたものを参照することができる。
Figure 0006998068000001

従って、本願は配列番号1乃至69で表される配列及び前記配列に保存的置換が起きたものを含む。
また、アミノ酸変異を導入するに当たり、アミノ酸の疏水性インデックス(Hydropathic index)が考慮されてもよい。各アミノ酸は、疏水性と電荷により疏水性インデックスが付与されている:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);スレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタメート(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパルテート(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);及びアルギニン(-4.5)。
前記のような疏水性インデックスは、特にタンパク質の相互的な生物学的機能(interactivebiological function)を付与するに当たり重要である。類似する疏水性インデックスを有するアミノ酸で置き換えて類似する生物学的活性を保有できることは、公示された事実である。疏水性インデックスを参照して変異を導入させる場合、好ましくは±2以内、より好ましくは±1以内、さらに好ましくは±0.5以内の疏水性インデックス差を示すアミノ酸間の置換が有利である。
また、類似する親水性数値(hydrophilicityvalue)を有するアミノ酸の間の置換が、均等な生物学的活性を有するタンパク質を招くことも良く知られている。
例えば、米国特許第4,554,101号に開示された通り、次の親水性値が各アミノ酸残基に付与されている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパルテート(+3.0±1);グルタメート(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)。
また、本願に係るペプチドの活性を全体的に変更させないアミノ酸置換は、当該分野に公示されている(H.Neurath,R.L.Hil,The Proteins,AcademicPress,New York,1979)。例えば最も通常的に起きる置換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、ASp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu及びAsp/Gly間の置換が挙げられる。
従って、上述したような生物学的均等活性を有する変異を考慮すると、本願に開示されたアミノ酸配列またはこれをコードする核酸分子は、本願に開示されたのと実質的同一性を有するものも含まれる。実質的同一性は、本願に開示された配列と任意の別の配列を最大限対応するようにアラインして、当業界で通常的に利用されるアルゴリズムを利用してアラインされた配列を分析した場合に、少なくとも61%の相同性、より好ましくは70%の相同性、さらに好ましくは80%の相同性、最も好ましくは90%の相同性を示す配列を意味する。配列比較のためのアライメント法は、当業界に公示なされている.例えば、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.(1981)2:482;Needleman and Wunsch,J.Mol.Bio.(1970)48:443;Pearson and Lipman,Methods in Mol.Biol.(1988)24:307-31;Higgins and Sharp,Gene(1988)73:237-44;Higgins and Sharp、CABIOS(1989)5:151-3;Corpet et al.,Nuc.Acids Res.(1988)16:10881-90;Huang et al.,Comp.Appl.Biosci.(1992)8:155-65及びPearson et al.,Meth.Mol.Biol.(1994)24:307-31に開示なされている。NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al.,J.Mol.Biol.(1990)215:403-10)は、NBCIなどで接近可能で、blast、blastp、blasm、blastx、tblastn及びtblastxのような配列分析プログラムと連動されて利用することができる。BLSATはwww.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTで接続可能で、このプログラムを利用した配列相同性比較方法は、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/blast_help.htmlで確認することができる。
一実現例において、上述した本願に係るペプチドは、NまたはC-末端、特にC-末端が化学非反応性基、たとえばNH2等のような基で置き換えられて安全性を高めることができる。
別の側面で本願は、さらに上述した本願に係るポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む組換えベクター及び前記組換えベクターが導入された細胞に関し、前記ベクター及び細胞は、当業界に公示されており、当業者なら適切なものを選択することができるはずである。
本願に係るペプチドまたはこれを含む組成物は、異種骨及び同種骨において骨再生及び骨形成能を有して、発生過程において骨形成も促進する。また、異所性骨化症を示さない。
従って、本願に係る化学式I、II、またはIVのペプチドまたはこれを含む組成物は、骨再生または骨形成、または、骨再生または骨形成促進、または、骨再生または骨形成が必要な様々な疾患の治療に適用されることができる。
本願において“骨再生”とは、消失した骨組織の治癒で骨形成促進を含むものである。本願において促進とは、これに制限しないが、骨組織、骨細胞または骨マトリックスなどの量を増加させるかまたは量が増加する時間を短縮させるものであり、骨折の治療効果などから確認することができる。
このような側面から、骨再生または骨形成は、相互交換的に用いられることができる。
骨は堅い環境が提供されると、自ら回復が可能な組織と知られている。従って骨再生が必要な部位に骨と類似する環境を提供すると、回復される特殊な組織である。堅い環境、即ち骨が良好に成長できる環境的特性を技術的用語で骨伝導性(osteoconductive)といい、加工された骨片、堅いポリマーなどの製品が開発されて環境を提供する媒介体(移植材)として用いられてきた。
しかし、外部から注入した骨伝導性物質が完全な骨回復のための刺激する水準には至らずいまだ生体内で発生する骨伝導性特徴、それに反応する生物学的機序などについては分からないことが多いと考えられている。骨伝導と共に骨組織から直接由来した(osteogenic)物質も技術的限界を大きく克服する水準ではなく、骨誘導(osteoinductive)物質として用いられるのはBMP-2、4、7であるが、これらも多くの限界を有している。
本願に係るペプチドは、本理論に制限しないが、生体内で骨伝導性を大きく強化させて、その結果mが骨誘導性成長因子の発現も促進させることができると判断される。例えば、細胞の付着を促進して、骨の伝導性を高めて、その結果、骨誘導性成長因子の発現も促進させることができると判断されて、骨再生のための様々な機序を促進させると判断される。
一般に骨伝導性は、骨の物理化学的性質を模倣して支持体の役割をする場合が多く、そのもの自体で有効成分を有することではない。これに対して、本願のペプチドは、そのもの自体で有効成分になることができて、多くの側面から骨伝導性を強化させるが、支持体として作用する骨伝導性物質自体ではないと言える。本願によると、結果的に従来の骨誘導性成分がない状態で伝導性物質と混合したにも拘らず再生が増加して、これは結果的に伝導性を強化したものである。
本願に係るペプチドは、骨消失の迅速な回復をもたらすことができる側面から、BMP-2に代わることができる。本願に係るペプチドは、速度及び骨量で、BMP-2に匹敵するかさらに優れた骨再生結果を示す。
従って、別の様態において本願に係るペプチドを含む骨再生及び/または骨形成促進用薬学組成物または骨再生または骨形成促進が必要な疾患治療または予防用薬学組成物を提供する。
本願で“治療”とは、本発明の組成物を哺乳動物に投与して骨再生または骨形成の促進が必要な疾患または疾病の発展を遅延抑制、軽減または除去することを意味する。
本願で“予防”とは、本発明の組成物を哺乳動物に投与して骨再生または骨形成の促進が必要な疾患または疾病の発生を抑制することを意味する。
本願に係るペプチドは、低い骨密度によって骨折の危険が常にあって骨密度の増加が必要な様々な疾患に用いられることができる。
本願において骨再生及び骨形成促進が必要な疾患は、これに制限しないが、骨折、歯槽骨再生、関節成形術、脊椎癒合、及び骨嚢胞/骨腫瘍を含み、このような疾患により骨の自然回復が難しく、骨移植のような外科的手術が必要な様々な疾患の治療または予防に用いられることができる。
追加的に本願に係るペプチドまたは組成物が用いられることができる疾患は、これに制限しないが、閉鎖型、開放型及び不癒合型骨折;閉鎖及び開放骨折減少時最大骨密度を向上による予防的治療;整形外科または整形外科手術で骨治癒促進;非セメント整形外科手術及び歯科インプラント後骨成長の刺激;閉経前女性の最大骨密度上昇;成長欠乏の治療;癌のような骨溶解性骨疾患の治療;歯周疾患及び欠陥治療及びその他歯復旧過程;骨延長術の間骨形成増加;老化と関連する骨粗しょう症、閉経期後骨粗しょう症、グルココルチコイド誘導骨粗しょう症または閉塞性骨粗しょう症などを含む。
当業者なら当業界に公示された様々な方法を用いて症状または疾患の遅延、抑制、軽減または除去を判断することができるはずである。
本発明のペプチドまたは薬学組成物は、先天的、外傷または外科的切除(例えば、癌治療)または整形外科手術後の骨再生の促進のために用いられることができる。
また本発明のペプチドは、従来の任意の骨代用材(bone substitutes)とも混用されて用いることができ、骨代用材単独使用よりも高い回復水準を期待することができる。
別の実現例において本願に係るペプチドは、BMP-2に代えてまたはBMP-2と共に用いられて、BMP-2が用いられる様々な疾患の治療または予防に用いられることができる。
本願に係る組成物は、薬学組成物の形態で提供されることができる。
本願において薬学組成物は、有効成分として本願に係るペプチドに薬学的または生理学的に許容可能な担体を1種以上含んで製造することができる。
本願において用いられた用語“担体”とは、用いられる投与量及び濃度に曝される細胞または哺乳動物に無毒性である薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または、安定化剤を意味する。このような担体の例としては、食塩水、リンゲル液、緩衝食塩水、ホスフェート、シートレート及び他の有機酸のような緩衝液、アスコルビン酸をはじめとする酸化防止剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン、アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン、単糖類、二糖類及びグルコース、マンノースまたはデキストリンをはじめとするその他非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内または局所に適用)することができ、特に非経口投与が好ましい。投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物型炭水化物、キレート剤、例えばEDTA、糖アルコール、例えばマンニトールまたはソルビトール、塩形成カウンターイオン、例えばナトリウム、及び(または)非イオン界界面活性剤、例えばツイン、ポリエチレングリコール(PEG)及びプルロニック(PLURONICS)が挙げられる。
必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または精製で製剤化することができ、標的器官特異的に作用することができるように標的器官特異的抗体またはその他リガンドを前記担体と結合させて用いることができる。さらには当技術分野の適正な方法でまたはレミントンの文献(Remington’s PharmaceuticalScience(最近版)、Mack Publishing Company,Easton PA)に開示されている方法を利用して各疾患によりまたは成分により好ましく剤形化することができる。
本願の組成物は、特に非経口投与するか、具体的方法は投与経路及び時間により変わることができて、当業者によって適宜選択されることができる。
非経口投与のための製剤には滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁溶剤、油剤、凍結乾燥製剤、坐剤などが含まれる。
非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが用いられることができる。坐剤の基剤としては、ウィテプソール(witepsol)、マークロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリナム、グリセロール、ゼラチンなどが用いられることができる。
本発明に係る組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において、“薬学的または治療的に有効な量”とは、医学的治療に適用可能な合理的な収益/危険の割合で疾患を治療するのに十分な量を意味して、有効容量の水準は、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療の期間、同時用いられる薬物を含む要素及びその他の医学分野によく知られている要素によって決定されることができる。本発明の組成物は、個別治療剤で投与するか、他の治療剤と併用して投与されることができ、従来の治療剤とは順次的または同時に投与することができて、単一または多重投与することができる。前記の要素を全て考慮して副作用なしに最小の量で最大の効果を得ることができる量を投与することが重要であって、これは当業者によって容易に決定されることができる。
具体的に、本発明に係る組成物の有効量は患者の年齢、性別、体重によって異なり、通常体重1kg当たり0.01μg乃至100mg、好ましくは0.01μg乃至10mgを毎日または隔一投与するか、1日1乃至3回に分けて投与することができる。しかし、投与経路、肥満の重症度、性別、体重、年齢などにより増減することがあるため、前記投与量がどのような方法でも本発明の範囲を限定するものではない。
本願の組成物は、本願に係るペプチド以外にさらに同じまたは類似する機能を示す有効成分を1種以上または有効成分の溶解性及び/または吸水性を維持/増加させる化合物をさらに含有することができる。
また、本願の組成物は、疾患の治療のために単独で、または手術、薬物治療及び生物学的反応調節剤を用いる方法と併用して用いることができる。
本願のペプチドは、さらにこの薬学的に活性な塩の形態で投与されることができる。適切な薬学的に活性な塩とは、酸付加塩及びアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩を含む。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウムまたはカルシウム塩が得られることができる。
本願に係るペプチドの薬学的に許容可能な塩は、毒性を示す副作用なしに親ペプチド(parentpeptide)の生物活性を有する。このような塩は、例えば(a)、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などのような無機酸で形成された酸付加塩;及び酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハンク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などのような有機酸で形成された塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビズマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなどのような多価金属カチオンから形成された塩基付加塩;またはN,N’-ジベンジルエチレンジアミンまたはエチレンジアミンから形成された有機カチオンから形成された塩基付加塩;または(C)亜鉛タンニン塩のような(a)と(b)の組合せ物などが挙げられる。
別の様態において本願はさらに、本願に係るペプチドまたはこれを含む組成物を利用した骨再生または骨形成促進方法を提供する。
さらに別の様態において本願はさらに、本願に係る薬学組成物またはペプチドを骨形成または骨再生が必要な対象体に有効な量で投与する段階を含む骨再生または骨形成方法、またはこれの促進が必要な疾患の治療方法を提供する。
本方法に含まれる具体的疾患の種類、ペプチド、投与量、及び投与方法は先に述べたものを参照することができる。
本願に係る薬学組成物または方法が用いられる対象体は、たとえば、犬、牛、馬、霊長類及びのヒトを含む哺乳類を含むが、これに制限されない。
以下、本発明の理解を助けるために実施例を提示する。しかし下記の実施例は本発明をより理解し易くするために提供されるだけであって、本発明が下記の実施例に限定されない。
実施例1.本願に係るペプチドの製造
本願に用いられたペプチドは、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(9-fluorenylmethyloxycarbonyl)(Fmoc)法により合成されたもので、注文作製した(ルジェンSci、韓国;ペプトロン、韓国)。ペプチド効果の再現性の検証のために二つの会社から各々3回(ルジェン)、そして2回(ペプトロン)のペプチド合成を行って、各合成物に対して独立した実験により分析を行って、合成回数毎に同様の結果が得られた。
実施例2.骨再生の主な機序である細胞付着に及ぼすペプチドの効果
本願に係るペプチド(配列番号17)の異種骨モデルにおいて骨再生能力促進能をテストするために次のような実験を行った。
表2の各条件に該当する成分を有する移植材を用いて、次のような4グループの下記のとおり免疫欠乏アウスのなどに移植して、移植後3週及び6週にかけて新しく形成された硬組織を分析した。用いられた容量は次のとおりである:Geistlich Bio-Oss:100mg;hDPSC(humandental pulp stem cell):5×10Cells;本願に係るペプチド:10μg;及びBMP-2(BD Science):2μg(Kevin et al.,Adv Drug Deliv Rev.2012;64:1277-1291)。
Figure 0006998068000002
動物実験は6週齢の雄の免疫欠乏アウス(immunocompromised mice,NIH-bg-nu/nu-xid,Harlan Sprague Dawley,Indianapolis,IN,USA)を麻酔させた後、背中の部位を切開して皮下に前記各組成物を0.5%フィブリンゲル(fibrin gel)と共に挿入して縫合した。ペプチドとBMP-2は、食塩水溶液に希釈して用いて、対照群は同じ体積の食塩水溶液を用いた。手術前後マウスの体重に有意な変化は現れず、飼料の消費にも有意差を示さなかった。手術前後の実験動物の飼育と管理は、ソウル大学実験動物センターの基準に従った。
前記の通り各組成物移植後3週及び6週目のアウスを犠牲して移植部位を分離して4%para-formaldehyde溶液に固定させた。引き続き10%EDTA溶液で脱灰(decalcification)後、組織をパラフィンに包埋(embedding)させた後、切片を得てH&E染色及び免疫染色を実施した。免疫染色は、硬組織マーカーであるOsteocalcin検出で確認したしその他にも血管分析のためにCD31に対する抗体を利用した。新しく形成された硬組織の定量的分析はH&E染色から既に紹介された方法(Lee et al.,Biomaterials 2011;32:9696-9706)に従った。
本願に係るペプチド処理による硬組織形成水準の増加の結果は、図1に記載されている。図1によると、3週目各条件別硬組織形成を分析した結果、ペプチド処理による硬組織形成量が顕著に増加していることを確認することができた。陽性対照群として用いられたBMP-2処理群の場合、陰性対照群に比べて硬組織再生が増加していたが、本願のペプチド処理群においてより著しい組織再建が観察された。一方、混合処理群(ペプチド+BMP-2)においては、ペプチド単独処理には及ばないが、BMP-2単独処理群に比べては約1.8倍増加することが明らかになった。異種骨移植モデルにおいては、ペプチド単独処理だけで最も速い速度の硬組織発達を観察することができた。6週目硬組織形成を分析した結果、依然としてペプチド単独によって最も高い水準の硬組織発達が観察されて、混合処理群の場合、僅かな差はあるがペプチド単独処理群水準の硬組織発達が進行されたことを確認することができた。BMP-2処理群の場合、硬組織発達が陰性対照群に比べて明確な増加を示すが、ペプチド単独または混合処理群に比べて水準が低いと調べられた。
本願に係るペプチド処理による硬組織の組織学的分析及び観察結果は、図2に記載されている。図2によると、再生した組織の骨化組織を組織学的に検証するために、osteocalcin(OC、骨石灰化のマーカー)を免疫組織化学染色法で調べた結果、成熟した自然な骨から発見されるosteocyteの形態の組織発達と石灰化された組織の分布様子を明確に確認することができた。また、骨誘導因子BMP-2処理による組織再生と比較した際にも本願に係るペプチドよって再生した硬組織の特徴に差がないことを確認することができた。
本願に係るペプチド処理による血管形成結果は、図3に記載されている。図3によると、異種骨再生モデルによって新しく形成された硬組織内には血管形成または血液供給も良好に発達していることを確認した。異種骨移植分野において、血液の円滑な供給は、組織再生全般に大きい影響を及ぼすと知られていて、臨床においては、移植後硬組織再生の成功を決定する主な要因でもある。血液細胞及び血管のマーカーであるCD31に対する免疫組織化学染色法で調べた結果、硬組織再生水準(図1)に比例して血管形成も良好に発達していることを確認することができた。特に、陽性対照群(BMP-2)と比較して本願に係るペプチドが含まれたグループにおいて、優れた血管形成結果を示した。
以上の結果から、本願に係るペプチドは、異種骨移植モデルにおいて骨再生に優れた効果を示すことが分かり、従って様々な異種骨移植分野に応用することができ、BMP-2の短所を克服または補完して迅速な骨再生に効果的に用いられることができると見込まれている。
実施例3.頭蓋骨欠損モデルにおいて骨再生促進能分析
頭蓋骨欠損モデルにおいて本願に係るペプチドの骨再生能力を測定するために、次のように実験を行った。
まず、表3の各条件に該当する成分を有する移植材を用いて、動物モデルは実験用ラット(白鼠)を用いた。ホルモン変化に応じた誤差結果を避けるために、8週齢雄のラットを用いた。実験動物飼育条件は、ソウル大学実験動物研究所において関連指針を守って行った。表3の条件に該当する移植材を準備した後、外科的にラットの頭蓋骨に一定大きさの破損を誘導した。移植後3週及び5週目に新しく形成された骨組織を調べた。骨再生有効成分であるペプチドとMP-2は、食塩水溶液に希釈して用いて、対照群は同じ体積の食塩水溶液を用いた。用いられた容量は、次のとおりである:ACS(absorbable collagen sponge)(Kevin et al.,Adv Drug Deliv Rev.2012;64:1277-1291):8mmdiameter;本願に係るペプチド:100μg/ACS disc;rhBMP-2:2μg/ACS disc。
Figure 0006998068000003
動物実験は、実験用ラット(白鼠、Rat)を麻酔させた後、頭蓋骨破損モデルを作った。頭頂の部分の皮膚を切開した後、頭蓋骨全体部位を露出させて手術を進めた。ダイヤモンド穿孔ドリル(diamond-coatedtrephine drill bit)を利用して8mm径の組織を除去した。頭蓋骨損傷(defect)後、予め準備されたACSを破損部位に移植して迅速に切開部位を縫合した。損傷した組織の大きさは、8mm径の大きさで、これはラットでは傷部位があまり回復しない水準の深刻な損傷(critical defect)に該当する。深刻と定義された損傷は、薬の有効性を評価するのに優秀なモデルと知られている。手術中脳脊髄硬膜(dura mater)損傷が発生しないように注意して手術を進めて、脳脊髄硬膜損傷は、目視または過多出血などに基づいて判断することができる。手術前後ラットの体重に有意な変化は示されず、飼料の消費にも有意差を示さなかった。
分析は、micro-CT法を用いて、手術後各3週及び5週目にラット(Rat)を犠牲にした後、頭蓋骨を摘出した。引き続き食塩水で簡単に洗浄後、分離して4%para-formaldehyde溶液に固定させて、以後micro-CT分析を実施した。新しく形成された再生骨の定量的分析は、損傷部位内において観察される石灰化組織の体積を測定して骨再生の程度を評価した。
本願に係るペプチド処理による骨再生効果に対する結果は、図4及び5に記載されている。図4及び図5は、各々損傷した頭蓋骨部位に対する3次元レンダリングイメージ及び新生骨組織の体積を示す。これによると、頭蓋骨欠損モデルにおいて本願に係るペプチドによって欠損部位の骨再生が有意に増加することが明らかになった。前駆細胞の骨細胞分化誘導能を示すBMP-2処理グループと比較した時、これに匹敵する効果を示している。さらに、BMP-2とペプチドを混合した場合にも、相加効果(additive effect)を示すことが確認された。このような結果は、本願に係るペプチド単独または従来の骨再生を促進できる有効物質と共に用いて骨再生をさらに促進する可能性があることを示す。
骨再生効果に対する分子マーカーの発現を調べた結果は、図6に記載されている。この結果は、3週と5週に新しく形成された組織を摘出した後、RNAを分離して、再びcDNA合成により各遺伝子に対するquantitative realtime PCRを行った結果である。遺伝子発現の場合、略3週目においてより高い水準が検出された。大体BMP-2、本願のペプチド、混合のグループにおいて対照群よりも高い水準の骨形成関連遺伝子発現が検出された。一方、造骨細胞の最終分化段階であるosteocyteの形成は、骨組織の完全な成熟を判断する大変重要な基準になるが、Dmp1(dentin matrixprotein1)は、osteocyteの主なマーカーである。興味深いことに、このマーカーは本願のペプチド処理グループだけで有意な増加を示しているが、これは本願に係るペプチドがより優れた骨の質を決定することができる結果と解釈される。
実施例4.異所性骨化症(ectopic bone formationまたはheterotrophic ossification)不在分析
異所性骨化症に対する効果を分析するために下記のとおり実験を行った。
まず、本願に係るペプチドまたはBMP-2をACSに吸着させて移植材を準備した。ACSは5mm径のディスクを用いて、ペプチドまたはBMP-2は共に食塩水に溶かして用いた。BMP-2は、2μgの量を用いて、ペプチドはBMP-2の300倍水準である600μgを実験に用いた。
動物実験のために、生後6週齢の雄アウスの左大腿部の筋肉にBMP-2を含む移植材を挿入して、右大腿部には本願に係るペプチドを含む移植材を挿入した。体内挿入は、吸入麻酔後、大腿部の表皮と筋膜を順に切開した後、準備された移植材を挿入した。手術前後及び犠牲直前体重及び飼料消費量で有意な変化は示されなかった。手術後8週経過後、動物を安楽死させた後、micro-CT分析により筋肉の石灰化(異所性骨化症)を観察した。実験動物は、全10匹を用いた。
結果は図7に記載されている。これによると、大腿筋肉に注入した各有効成分による異所性骨化症を比較分析した結果、BMP-2を挿入した左足の場合、すべての個体(n=10)において明確な異所性骨化症が示されたのに対して、本願に係るペプチドが移植された右大腿部においては、すべての個体で異所性骨化症所見が見られなかった。このような結果は、本願のペプチドによる骨再生効果が、BMP-2に比較できるほどの効果を示し、さらに安全性面で異所性骨化症症状が現れないため、BMP-2より安全な有効成分として活用できることを示す結果である。
実施例5.発生過程において骨形成促進分析
発生過程における骨形成促進能は下記のように分析した。
これのためにE14.5日胚芽を妊娠した母マウス(C57BL/6、10週齢、Orientbio,Korea)に10mg/kgの本願に係るペプチドを腹腔に注射して、二日後(E16.5)妊娠したマウスを犠牲にして胚芽を分離した後、骨形成能を分析した。
E14.5時期から胚芽は完成した骨形成速度を示す主なステージに該当する。骨形成能は、micro-CT分析、全骨格染色(whole skeletal staining,WSS)及びその他の組織染色で分析した。具体的に、胚芽を4%para-formaldehyde水溶液で固定後、手術後micro-CT分析を実施して、その後組織をパラフィンに固定した後、組織学的分析を実施した。組織染色は、H&E染色とalcian blue染色を各々実施した。またwhole skeletal stainingもエタノール固定後、石灰化組織は、aiizarine red、そして軟骨は、alcian blueで染色して全体的な石灰化程度を分析した。
結果は図8乃至図11に記載されている。
図8は、micro-CT分析結果で、これによると、胚芽状態の骨組織は、多くの部分において未成熟段階で発達している状態である。従って、胚芽発生過程の単位体積当たり骨密度は、依然として微弱な状態であり、micro-CT分析でも周辺の軟組織との密度差が大きく区分されない特性がある。このような特性を考慮して、胚芽段階の分析は、骨形成に肯定的な影響を与えることができる薬物(新薬または医療機器の有効成分)を評価するのに重要な評価モデルとなって来た。ペプチド処理後、胚芽段階において形成された骨組織をmicro-CTで分析した結果、骨組織の密度が著しく増加していただけでなく、その結果、骨格構造の明確な発達様子を観察することができた。一方、対照群の場合、硬組織と周辺軟組織との間の境界が不明瞭で、この結果は、まだ骨の成熟が初期状態であることを示す結果である。
図9は、WSS(Whole Skeletal Staining)分析結果で、E14.5日胚芽全体骨組織をalizarine red染色及びalcian blue染色を実施した結果、micro-CT分析結果に示された様子と類似する結果を確認することができた。本願に係るペプチド処理群において、より明確な石灰化組織を示すAlizarine red染色がより発達していることを確認することができた。これは、骨石灰化水準が、本願に係るペプチドによって明確に増加して、骨形成能が促進されていることを示す結果である。
図10及び図11は、各実験群別胚芽のhindlimbを分離した後、パラフィン固定後、H&E染色(図10)及びAlcian blue染色(図11)により、石灰化組織及び軟骨を各々染色して石灰化及び骨形成特徴を調べた結果である。WSS分析で、石灰化された組織の明確な発達が本願に係るペプチドによって示されることを確認したが、組織学的分析でもこれに対する根拠はより確実に示されている。すなわち、骨組織が見える組織学的形態が、本願に係るペプチド処理グループでより明確な様子を示していて、長さの成長面でも種々の骨組織部位において増加していることを確認することができた。また、骨形成の完成段階に現れるsecondary ossification centerが形成されることを確認することができた。一方、H&E染色で軟骨組織の組織学的特徴も本願に係るペプチドによってより著しい差を示しているが、これは軟骨の成長も増加することを示唆する結果である。胚芽発達過程において、骨組織の分化は、軟骨の成熟が先行した後、再び軟骨が骨組織に分化する過程を経る。従て、軟骨の成熟度が増加するほど骨形成に肯定的な影響を及ぼすと知られている。このような結果をより具体的に分析するために、軟骨組織染色のためのalcian blue染色を行った結果、軟骨細胞の細胞外基質部位の染色がより強く現れて、軟骨の成長または発達が進行されるにつれ現れる組織学的特性(軟骨成長に応じた部位別形態、軟骨細胞の形など)が本願に係るペプチド処理群においてより著しく現れる。
実施例6.骨再生に必須の機序である細胞付着促進
骨再生において重要な生理学的機序中一つが、まさに骨伝導性(osteoconductive)である。細胞の付着を高める技術は、骨伝導性を高めることによって現れる一つの結果でもある。特に骨移植は、このような側面から見ると、骨伝導性に関する総合技術とも言える。
本願のペプチドを介した細胞付着性の増加は、図12乃至図17に示した。図12は、疏水性表面に対する細胞の付着効率性を調べた。疏水性表面は、一般に細胞の付着や付着に対する反応性が顕著に低いが、このような表面環境は、種々の移植材料に現れる特徴である。図12に示された結果のように、ヒトの骨組織再生に直接的に関与すると知られている間葉系幹細胞の場合、ペプチドを添加する場合、効果的な付着が誘導された。最小1μM以上では、相当な水準の付着が観察される。一方、10μM濃度のペプチドが添加される場合、時間に応じた付着の様子を光学顕微鏡で観察した結果、対照群の場合、240分が過ぎても多くの細胞が付着できずにいる状態で維持されるが、ペプチド処理群の場合、5分から50%以上の細胞が表面を認識して付着が発生することを観察することができる。このような結果は、生体内細胞の結合が誘導され難い種々の移植材料に、例えばハロゲン(halogens)による表面処理された素材のような生体組織または細胞の接近を容易にすることができる素材として用いられて、移植材と組織との間の相互作用をより促進する目的で用いられることができる。
図14は、人体に移植される最も代表的な素材中一つであるチタニウム表面における細胞付着を観察した結果である。この場合、細胞付着の形態を観察するために、rhodaminephalloidinとDAPI染色を実施した。また、観察は共焦点顕微鏡により分析した。この時用いた細胞株は、チタニウム材質に比較的よく反応する造骨細胞を用いたが、形態学的様子は、ペプチド処理群においてより明確な差を示しているが、細胞の突起(protrusion)現象は、初期から非常に明らかに現れる。造骨細胞のチタニウム表面における付着は、本願のペプチドが存在する場合、約60分前後に完全な成熟に到達するのに対して対照群の場合、60分以上経過しても依然としてラウンドの形を維持していて、細胞内アクチン染色の場合cortical actindlが依然として高い水準で観察されている。このような結果から、本願のペプチドに細胞が露出される場合、より短い時間に広い面積の細胞分布が期待できるが、これを分析した結果を図15と図16に示した。図15は、成分に少しずつ差を有する整形外科用チタニウム表面について、造骨前駆細胞の付着様子を観察した結果であるが、ペプチド処理群と対照群との間には、明確な差異点を見ることができて、すなわちペプチド処理群の場合、細胞の広くて躍動的な分布様子を見ることができるだけでなく、占める表面面積も広いということを確認することができる。実際の各細胞当たり占める面積を測定してbox plotで表した結果を図16に示した。対照群の場合、500-1,000μm水準の面積を示したのに対して、本願に係るペプチド処理群の場合、1,500-3,000μm水準の面積を占めることを確認することができた。すなわち、平均的に約3倍に達する水準の面積変化が示された。この結果は。少なくともチタニウムのような移植材において細胞が占める面積が3倍以上であることと共に相当な水準の癒合率差につながった。先に記述された異種骨移植と頭蓋骨再生モデルにおいて本願のペプチドによって骨形成がより増加した結果は、まさにこのような理由で説明することができる。移植材料表面に造骨細胞または骨分化能を有する細胞の表面付着様子をより巨視的観点で観察するために、径10mm大きさのジルコニア(Zirconia)表面に細胞を対照群とペプチド処理群に分けて72時間培養後、細胞分化と分布を確認するために、ALP(alkaline phosphotase,bone marker enzyme)で染色して観察した。その結果は図17に示した。対照群の場合、間葉系幹細胞(hMSC)だけでなく骨髄由来未分化幹細胞(ST-2)共に似たような傾向性を示すが、これは全体的な分布よりは一程領域に密集して分化した細胞が現れた結果である。一方、本願に係るペプチド処理群の場合、移植材の多くの領域に斑なく分散していることが観察された。これは、初期付着機序が活性化することによって細胞と移植材との相互作用に大きく影響を及ぼすとの事実を意味する。また、これは、外部で適用された移植材に限定される機序ではない。なぜなら、つまり先に記述した骨伝導性をより増幅するための方法として製作された移植材は開発されてきたが、事実上骨組織はそのもの自体で完ぺきな骨伝導性を有する構造体であるため、本願に係るペプチドが生体骨組織に直接結合/接着する以上外部素材にだけ限定せず、骨組織の骨再生または治療にも活用されることができる。
実施例7.本願に係る種々のペプチドの骨再生能分析
先に記述した通り、骨のような堅い構造体または細胞の付着が難しい表面において、本願のペプチドは付着を促進することによって再生のための核心機序を発生させる。特に、骨組織が有する高い硬度の表面において付着を増大させることによって骨細胞の分化も促進されることができた(図18図式参考)。従って、今回は現在まで本願で開発してきた様々な接着性ペプチドを未分化幹細胞と共に混合して、骨伝導性を有するチタニウムの表面において培養した後、骨細胞の分化能を測定して図19にその結果を示した。具体的に径10mmの歯科用チタニウムディスクでトリプシンで処理された2×10細胞/mlをペプチド(10μM)と共に混合して6時間培養した後、造骨細胞分化培地に交換して48時間培養後、チタニウムディスクだけ回収して、細胞を溶解した後、ALP活性を測定した。結果から見られるように、細胞の付着を引き起こす全てのペプチドにおいて対照群(C)に比べて高い水準のALP活性が測定された。特に、N-末端に正電荷を帯びる15個のアルギニン残基を含む配列番号41[(R)15-QLVVKFRALPC]の場合、最も高いALP活性を示した。

Claims (4)

  1. 配列番号16、17、18、20、21、22、24、25、30、37、41、43、47、51、55、58、62及び67からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる少なくとも1つのポリペプチドを含む、骨再生または骨形成促進用の組成物。
  2. 骨消失によって骨密度の増加が必要な疾患の治療または予防に用いられ、前記疾患は、骨折、歯槽骨再生、関節成形術、脊椎癒合または骨嚢胞を含むものである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物は、薬学組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 骨消失によって骨密度の増加が必要な疾患の治療または予防に用いられ、前記疾患は、骨折、歯槽骨再生、関節成形術、脊椎癒合または骨嚢胞を含むものである、請求項に記載の組成物。
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