JP6997887B2 - 遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒、およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒、およびオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は新規な遷移金属化合物に関し、より詳細にはオレフィン重合用触媒として用いることのできる新規な遷移金属化合物、該化合物を含むオレフィン重合用触媒、および該触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法に関する。
従来、エチレン・α-オレフィン共重合体などのオレフィン重合体を製造するための触媒として、メタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物などの共触媒とからなる触媒が知られている。
様々なタイプのメタロセン化合物等の遷移金属化合物が盛んに開発されており、たとえば特許文献1には、下記一般式で表される遷移金属化合物(A):
Figure 0006997887000001
(式中、MはTi等の周期律表4族の遷移金属を表し、Lは周期律表15族の元素が配位原子となる1価のアニオン性配位子を表し、Xはハロゲン等を表し、mは1~3の整数を表し、R1~R5は、水素、ハロゲン又は炭素原子数1~20のアルキル基等を表す。)ならびに有機アルミニウムオキシ化合物および有機ホウ素化合物から選ばれる1種以上の活性化剤(B)からなる重合触媒の存在下、エチレンおよび/または炭素原子数3~20のα-オレフィンと少なくとも1種類の環状オレフィン化合物との共重合を行う環状オレフィン系共重合体の製造方法が記載され、遷移金属化合物(A)の具体例としては、CpTi(t-Bu2C=N)Cl2、およびCp*Ti(2,6-iPr2PhO)Cl2が挙げられている。(Cpはシクロペンタジエニル基を、Cp*はη5-ペンタメチルシクロペンタジエニル基を表す。)。
また非特許文献1には、下式で表される遷移金属化合物およびメチルアルミノキサン(MAO)の存在下で、エチレンとノルボルネン等との共重合が行われたことが記載されている。
Figure 0006997887000002
特開2007-63409号公報
Macromolecules 2011, 44, 1986-1998
しかしながら、メタロセン化合物として非特許文献1に記載された遷移金属化合物をオレフィン重合用触媒に用いた場合、触媒活性、共重合性、重合体の高分子量化などの点でさらなる改善の余地があることがわかった。
このような従来技術に鑑み本発明は、新規な遷移金属化合物、とりわけオレフィン重合用触媒に利用することのできる新規な遷移金属化合物などを提供することを目的としている。
また本発明の一態様は、高活性で、高分子量のオレフィン重合体を製造することのできるオレフィン重合用触媒、およびこのようなオレフィン重合用触媒に利用することのできる新規な遷移金属化合物などを提供することを目的としている。
さらに本発明の一態様は、高い共重合性でα-オレフィン/環状オレフィン共重合体を製造することのできるオレフィン重合用触媒、およびこのようなオレフィン重合用触媒に利用することのできる新規な遷移金属化合物などを提供することを目的としている。
本発明は以下の[1]~[12]に関する。
[1]
下記一般式[A-1]で表される遷移金属化合物。
Figure 0006997887000003
〔式[A-1]において、
Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子であり、
nは1~4の整数であり、
Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基であり、
1~R5およびR8はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、R1~R5のうち隣接する基同士は互いに結合して環を形成していてもよく、
6およびR7はそれぞれ独立にハロゲン原子またはハロゲン含有基である。〕
[2]
前記一般式[A-1]において、Mはチタン原子である前記[1]の遷移金属化合物。
[3]
前記一般式[A-1]において、R1は炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R2~R5は水素原子である前記[2]の遷移金属化合物。
[4]
前記一般式[A-1]において、R6およびR7はそれぞれ独立にハロゲン含有基である前記[3]の遷移金属化合物。
[5]
下記一般式[A-2]で表される遷移金属化合物。
Figure 0006997887000004
〔式[A-2]において、
Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子であり、
nは1~4の整数であり、
Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基であり、
11~R20はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、これらのうち隣接する基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。〕
[6]
前記一般式[A-2]において、Mはチタン原子である前記[5]の遷移金属化合物。
[7]
前記一般式[A-2]において、R11~R17は水素原子である前記[6]の遷移金属化合物。
[8]
前記一般式[A-2]において、R18およびR19はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の炭化水素基である前記[7]の遷移金属化合物。
[9]
(A)前記[1]~[8]のいずれかの遷移金属化合物と、
(B)(B-1)有機金属化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)前記遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と
を含むオレフィン重合用触媒。
[10]
前記[9]のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法。
[11]
前記オレフィンが、
(Z-1)炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン、および
(Z-2)下記一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]または一般式[Z-IV]で表される環状オレフィン
を含む前記[10]のオレフィン重合体の製造方法。
Figure 0006997887000005
〔式[Z-I]中、uは0または1であり、
vは0または正の整数であり、
wは0または1であり、
61~R78ならびにRa1およびRb1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R75~R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
Figure 0006997887000006
〔式[Z-II]中、xおよびdは0または1以上の整数であり、
yおよびzは0、1または2であり、
81~R99は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕
Figure 0006997887000007
〔式[Z-III]中、R100およびR101は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基であり、fは1≦f≦18である。〕
Figure 0006997887000008
〔一般式[Z-IV]中、xは0または1以上の整数であり、
111~R118は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、
121~R124は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。〕
[12]
前記α-オレフィン(Z-1)がエチレンであり、前記環状オレフィン(Z-2)がテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンである前記[11]のオレフィン重合体の製造方法。
本発明により、新規な遷移金属化合物が提供される。
本発明の遷移金属化合物は、とりわけオレフィン重合用触媒に利用することができる。
また本発明の一態様によれば、高活性で、高分子量のオレフィン重合体を製造することのできるオレフィン重合用触媒、およびこのようなオレフィン重合用触媒に利用することのできる新規な遷移金属化合物などを提供することができる。
さらに本発明の一態様によれば、高い共重合性でα-オレフィン/環状オレフィン共重合体を製造することのできるオレフィン重合用触媒、およびこのようなオレフィン重合用触媒に利用することのできる新規な遷移金属化合物などを提供することができる。
以下、本発明に係る遷移金属化合物等をさらに詳細に説明する。
〔遷移金属化合物〕
本発明の遷移金属化合物(以下「遷移金属化合物(A)」ともいう。)は、下記一般式[A-1]または[A-2]で表される。
Figure 0006997887000009
[遷移金属化合物(A-1)]
まず、式[A-1]で表される遷移金属化合物(以下「遷移金属化合物(A-1)」ともいう。)について説明する。
《M》
式[A-1]において、Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子を示し、好ましくはチタン原子、またはジルコニウム原子を示し、さらに好ましくはチタン原子を示す。
《R 1 ~R 5 およびR 8
式[A-1]において、R1~R5およびR8はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、R1~R5のうち隣接する基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
前記ハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1~20、好ましくは1~10の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル、アリル(allyl)、イソプロペニルなどの炭素原子数が2~20、好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルケニル基;
エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2~20、好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルキニル基;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3~20、好ましくは3~10の環状飽和炭化水素基;
シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5~20の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6~20、好ましくは6~10のアリール基;ならびに
トリル、iso-プロピルフェニル、t-ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ-t-ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基が挙げられる。
また、前記炭化水素基は、水素原子が他の炭化水素基で置換されたものであってもよく、たとえば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
1~R5のうち隣接する基同士が互いに結合して形成された環を有するシクロペンタジエニル部の例としては、以下の環構造が挙げられ、該環構造はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 0006997887000010
前記ハロゲン含有基の例としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1~20、好ましくは1~10のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
前記ケイ素含有基の例としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、および炭化水素置換シロキシ基が挙げられる。このうち炭化水素置換シリル基として具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル-t-ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。
前記酸素含有基の例としては、アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基、およびフリル基が挙げられる。
酸素含有基のうち、アルコキシ基の好ましい例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、およびtert-ブトキシが挙げられ、
アリーロキシ基の好ましい例としては、フェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、および2,4,6-トリメチルフェノキシが挙げられ、
エステル基の好ましい例としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、およびp-クロロフェノキシカルボニルが挙げられ、
アシル基の好ましい例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、およびp-メトキシベンゾイル基が挙げられる。
前記イオウ素含有基の例としては、メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチオシアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、およびスルフェニル基が挙げられる。
イオウ含有基のうち、チオエステル基の好ましい例としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルが挙げられ、
アルキルチオ基の好ましい例としては、メチルチオ、エチルチオが挙げられ、
アリールチオ基の好ましい例としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオが挙げられ、
スルホンエステル基の好ましい例としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルが挙げられ、
スルホンアミド基の好ましい例としては、フェニルスルホンアミド、N-メチルスルホンアミド、N-メチル-p-トルエンスルホンアミドが挙げられる。
前記窒素含有基の例としては、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ピロリジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、およびアミノ基がアンモニウム塩となったものが挙げられる。
窒素含有基のうち、アミノ基の好ましい例としては、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、およびジフェニルアミノが挙げられ、
イミノ基の好ましい例としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、およびフェニルイミノが挙げられ、
アミド基の好ましい例としては、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、およびN-メチルベンズアミドが挙げられ、
イミド基の好ましい例としては、アセトイミド、およびベンズイミドが挙げられる。
前記リン含有基の例としては、ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、およびホスファト基が挙げられる。
1としては、特に、
メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数1~20、好ましくは1~10の直鎖状または分岐状のアルキル基;
フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6~20、好ましくは6~10のアリール基;
これらのアリール基の1つ以上の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはアリーロキシ基などで置換された置換アリール基などの炭素原子数1~20の炭化水素基が好ましい。
2~R5としては、特に、水素原子が好ましい。
《R 6 およびR 7
式[A-1]において、R6およびR7はそれぞれ独立にハロゲン原子またはハロゲン含有基であり、好ましくはハロゲン含有基である。前記ハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。前記ハロゲン含有基としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル、ノナフルオロ-tert-ブチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1~20、好ましくは1~10のハロゲン化炭化水素基が挙げられ、より好ましくはトリフルオロメチル基である。
《n》
式[A-1]において、nは1~4の整数であり、Mの価数およびXの種類に応じて、遷移金属化合物(A-1)全体として電気的に中性になるように選択される。
《X》
式[A-1]において、Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基である。
これらのハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、およびリン含有基の具体的な態様は、上述したR1~R5およびR8としてのハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、およびリン含有基の具体的な態様と同様である。
前記ホウ素含有基の例としては、ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基、ならびにアルキル基置換ホウ素、アリール基置換ホウ素、ハロゲン化ホウ素、およびアルキル基置換ハロゲン化ホウ素等の基が挙げられる。
アルキル基置換ホウ素の例としては、(Et)2B-、(iPr)2B-、(iBu)2B-、(Et)3B、(iPr)3B、または(iBu)3Bで表される基が挙げられ、
アリール基置換ホウ素の例としては、(C65)2B-、(C65)3B、(C65)3B、または(3,5-(CF3)263)3Bで表される基が挙げられ、
ハロゲン化ホウ素の例としては、BCl2-、またはBCl3で表される基が挙げられ、
アルキル基置換ハロゲン化ホウ素の例としては、(Et)BCl-、(iBu)BCl-、(C65)2BClで表される基が挙げられる。このうち三置換のホウ素については、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
前記アルミニウム含有基の例としては、アルキル基置換アルミニウム、アリール基置換アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、アルキル基置換ハロゲン化アルミニウム等の基が挙げられる。
アルキル基置換アルミニウムの例としては、(Et)2Al-、(iPr)2Al-、(iBu)2Al-、(Et)3Al、(iPr)3Al、または(iBu)3Alで表される基が挙げられ、
アリール基置換アルミニウムの例としては、(C65)2Al-で表される基が挙げられ、
ハロゲン化アルミニウムの例としては、AlCl2-、またはAlCl3で表される基が挙げられ、
アルキル基置換ハロゲン化アルミニウムの例としては、(Et)AlCl-、(iBu)AlCl-で表される基が挙げられる。このうち三置換のアルミニウムについては、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
前記ジエン系二価誘導体基の例としては、1,3-ブタジエニル基、イソプレニル(2-メチル-1,3-ブタジエニル)基、ピペリレニル(1,3-ペンタジエニル)基、2,4-ヘキサジエニル基、1,4-ジフェニル-1,3-ペンタジエニル基、シクロペンタジエニル基など、メタロシクロペンテン基が挙げられる。
またXは、Xの具体例として挙げた基同士が互いに結合した構造であって、Mと共に環を形成していてもよい。たとえば、Xは、2つのアルキル基が結合した構造のアルキレン基であって、このアルキレン基がMと共に環を形成していてもよい。
遷移金属化合物(A-1)の具体例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006997887000011
遷移金属化合物(A-1)の存在下でオレフィンを重合すると、高活性で、高分子量のオレフィン重合体を製造することができる。その理由としては、必ずしも定かではないが、ピラゾラト配位子に存在する電子吸引性のハロゲン原子またはハロゲン含有基によって、中心金属のカチオン性が高まり、結果、中心金属により強くオレフィンが配位することで重合が進行し易くなるからであると推測される。
[遷移金属化合物(A-2)]
次に、式[A-2]で表される遷移金属化合物(以下「遷移金属化合物(A-2)」ともいう。)について説明する。
《M》
式[A-2]において、Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子を示し、好ましくはチタン原子、またはジルコニウム原子を示し、さらに好ましくはチタン原子を示す。
《R 11 ~R 20
式[A-2]において、R11~R20はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、これらのうち隣接する基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
11~R20の具体的態様としては、式[A-1]におけるR1~R5およびR8の具体的態様として例示したものが挙げられる。
11~R20のうち隣接する基同士が互いに結合して形成された環を有するインデニル部の例としては、以下の環構造が挙げられ、該環構造はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 0006997887000012
11~R17としては、特に、水素原子が好ましい。
18およびR19としては、特に、炭素原子数1~20の炭化水素基が好ましい。
《n》
式[A-2]において、nは1~4の整数であり、Mの価数およびXの種類に応じて、遷移金属化合物(A-2)全体として電気的に中性になるように選択される。
《X》
式[A-2]において、Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基である。
Xの具体的態様としては、式[A-1]におけるXの具体的態様として例示したものが挙げられる。
遷移金属化合物(A-2)の具体例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006997887000013
遷移金属化合物(A-2)の存在下でα-オレフィンと環状オレフィンとを重合すると、高い共重合性でα-オレフィン/環状オレフィン共重合体を製造することができる(すなわち、共重合体中に環状オレフィン由来の構造単位が多く含まれる。)。その理由としては、必ずしも定かではないが、インデニル配位子の平面性が関与していると考えられ、重合反応を継続できるように助触媒とのイオンセパレーションを保つ程度の適度な立体的効果を発揮しながら、配位挿入する環状オレフィンに対しては立体的な障壁が低いことから、より環状オレフィンが効率よく重合できると推測される。
〔遷移金属化合物の製造方法〕
本発明の遷移金属化合物(A)は公知の方法を組み合わせることによって製造可能であり、代表的な合成経路の一例を以下に示すが、特に製造方法が限定されるわけではない。製造方法としては、たとえば、
下記一般式[a-1]で表されるピラゾラト化合物(a-1)とアルキルリチウム(a-2)とを反応させて下記一般式[a-3]で表されるピラゾラト化合物のアニオン体(a-3)を製造する工程(1-1)、および
前記アニオン体(a-3)と下記一般式[a-4]で表される化合物(a-4)とを反応させて前記一般式[A-1]または[A-2]で表される遷移金属化合物(A)を製造する工程(1-2)を含む製造方法が挙げられる。
Figure 0006997887000014
〔式[a-1]、式[a-3]および式[a-4]中、R1~R8、M、Xおよびnは、それぞれ式[A-1]中のR1~R8、M、Xおよびnと同義である。〕
まず、各種シクロペンタジエン化合物は公知の方法によって製造可能であり、特に製造方法が限定されるわけではない。例えば、特開2000-136195号公報、特開2009-24019号公報、特許第3674509号、WО1998/015510号公報、WО2000/049029号公報、「J.Оrganomet.Chem. 1999,577,211.」、「J.Organomet.Chem. 2003,677,133.」、「Оrganometallics 1988,7,1828.」、「Оrganometallics 1996,15,4857.」、「Оrganometallics 1997,16,2503.」、「Organometallics 2004,23,4693.」、「J.Am.Chem.Soc. 2004,126,2089.」、「Macromol.Chem.Phys. 2004,205,2275.」、「Оrg.Lett. 2008,10,2545.」、「Chem.Rev. 1992,92,965.」、「Science 2012,338,504.」「Organometallics2006,25,3824.」などに記載された製造方法が挙げられる。
各種シクロペンタジエン化合物から化合物(a-4)に誘導する方法は公知であり、特に製造方法が限定されるわけではない。公知の製造方法として、例えば「Organometallics2006,25,631.」、「Macromolecules2000,33,2796.」、「J.Organomet.Chem.1995,489,195.」、「J.Am.Chem.Soc.1996,118,1906.」、「Organometallics2006,25,3824.」などに記載された製造方法が挙げられる。
ピラゾラト化合物(a-1)は公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、「J.Org.Chem.1985,50,4736.」、「Inorg.Chem.2012,51,150.」、特開2012-121875号公報に記載された製造方法が挙げられる。
ピラゾラト化合物のアニオン体(a-3)は公知の方法によって製造可能であり、特に製造方法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば前記ピラゾラト化合物の製造方法として挙げたものに加え、「Adv.Synth.Catal.2005,347,463.」「Organometallics,1997,16,2709.」、「Organometallics,2000,19,2707.」「Inorg.Chem.2009,48,5011.」などに記載された製造方法が挙げられる。
本発明の遷移金属化合物(A)は、一般式[a-4]で表される化合物(a-4)とピラゾラト化合物のアニオン体(a-3)を用いて公知の方法によって製造可能である。ただし、この際に所望の前記遷移金属化合物(A)の構造に対応するように、ピラゾラト化合物のアニオン体(a-3)および化合物(a-4)を特定の組み合わせで選択する。両者を反応させるには、公知の製造方法を参考にすることができ、そのような製造方法として、前記ピラゾラト化合物のアニオン体の製造方法に加え、例えば「Macromolecules,2011,44,1986.」などに記載された製造方法が挙げられる。
〔オレフィン重合用触媒〕
本発明のオレフィン重合用触媒は、(A)上述した本発明に係る遷移金属化合物と、(B)(B-1)有機金属化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むことを特徴としている。
本発明のオレフィン重合用触媒は、必要に応じて、さらに(C)担体を含んでいてもよく、さらに(D)有機化合物を含んでいてもよい。
〈化合物(B)〉
《有機金属化合物(B-1》
有機金属化合物(B-1)(以下「成分(B-1)」ともいう。)としては、例えば、一般式(B-1a)で表される有機アルミニウム化合物(B-1a)、一般式(B-1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(B-1b)、一般式(B-1c)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物(B-1c)等の、第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が挙げられる。
(B-1a):RamAl(ORb)npq
式(B-1a)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であり、かつm+n+p+q=3である。有機アルミニウム化合物(B-1a)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
(B-1b):M2AlRa4
式(B-1b)中、M2はLi、NaまたはKであり、Raは炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基である。錯アルキル化物(B-1b)としては、例えば、LiAl(C254、LiAl(C7154が挙げられる。
(B-1c):RaRbM3
式(B-1c)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、M3はMg、ZnまたはCdである。化合物(B-1c)としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジn-ブチルマグネシウム、エチルn-ブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn-ブチル亜鉛、ジフェニル亜鉛が挙げられる。
有機金属化合物(B-1)の中では、有機アルミニウム化合物(B-1a)が好ましい。
有機金属化合物(B-1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)》
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)(以下「成分(B-2)」ともいう。)としては、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用することができる。具体的には、下記一般式[B2-1]
Figure 0006997887000015
および/または下記一般式[B2-2]
Figure 0006997887000016
(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す)で表わされる化合物、特開平2-78687号公報、特開平2-167305号公報に記載れたベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物、特開平3-103407号公報に記載されている二種類以上のアルキル基を有するアルミノキサンが挙げられる。
また、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)として、下記一般式[B2-3]で表されるような修飾メチルアルミノキサン等も挙げられる。
Figure 0006997887000017
(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数を示す。)
この修飾メチルアルミノキサンはトリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製されるものである。このような化合物は一般にMMAOと呼ばれている。このようなMMAOは、米国特許第4960878号明細書および米国特許第5041584号明細書で挙げられている方法で調製することができる。
さらに、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)として、下記一般式[B2-4]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物も挙げることができる。
Figure 0006997887000018
(式中、Rcは炭素数1から10の炭化水素基を示す。Rdは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1から10の炭化水素基を示す。)
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)としては、市販品のために入手が容易なメチルアルミノキサン、およびトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製したMMAOが好ましい。このうち、各種溶媒への溶解性および保存安定性が改良されたMMAOが特に好ましい。
《遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)》
遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)(以下「イオン性化合物(B-3)」または「成分(B-3)」ともいう。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。ただし、前述の(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物は含まない。
イオン性化合物(B-3)としては、好ましくは下記一般式[B3-1]で表されるホウ素化合物が挙げられる。
Figure 0006997887000019
式中、Re+としては、H+、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。RfからRiは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1から20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基から選ばれる置換基であり、好ましくは置換アリール基である。
前記一般式[B3-1]で表されるホウ素化合物の例としては、国際公開第2015/122414号の[0133]~[0144]に記載されたものを挙げることができる。
イオン性化合物(B-3)は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いでもよい。
(担体(C))
前記担体(C)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体であり、触媒成分として遷移金属錯体および担体を使用したオレフィン重合において従来使用されているもの、たとえば特開2011-122146号公報の[0110]~[0122]に記載されたものを使用することができる。
(有機化合物成分(D))
前記オレフィン重合用触媒の構成成分として、必要に応じて有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩等が挙げられる。
〔オレフィン重合体の製造方法〕
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上述した本発明のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合することを特徴としている。
本発明のオレフィン重合体の製造方法においては、1種のオレフィンを重合してオレフィン単独重合体を製造してもよく、2種以上のオレフィンを共重合してオレフィン共重合体を製造してもよい。本明細書においては、重合と共重合とを特に区別することなく「重合」とも記載し、オレフィン単独重合体とオレフィン共重合体とを特に区別することなく「オレフィン重合体」とも記載する。
重合における、本発明のオレフィン重合用触媒を構成する各成分の使用法、重合器への添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、遷移金属錯体(A)、化合物(B)、担体(C)および有機化合物成分(D)を、それぞれ「成分(A)~(D)」ともいう。(1)成分(A)を単独で重合器に添加する方法。(2)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。(3)成分(A)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(B)とを任意の順序で重合器に添加する方法。(4)成分(B)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(A)とを任意の順序で重合器に添加する方法。(5)成分(A)と成分(B)とを成分(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記の各方法においては、任意の段階で成分(D)が添加されてもよい。
上記の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2種は予め接触されていてもよい。
成分(B)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。また、成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
オレフィンの重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-12~10-2モル、好ましくは10-10~10-3モルになるような量で用いられる。
有機金属化合物(B-1)は、有機金属化合物(B-1)と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-1)/M〕が通常0.01~50,000、好ましくは0.05~10,000となるような量で用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属(M)とのモル比〔(B-2)/M〕が、通常10~5,000、好ましくは20~2,000となるような量で用いられる。
イオン化イオン性化合物(B-3)は、イオン化イオン性化合物(B-3)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3)/M〕が、通常1から10,000、好ましくは1から5,000となるような量で用いられる。
担体(C)を用いる場合は、遷移金属化合物(A)と担体(C)との重量比〔(A)/(C)〕が好ましくは0.0001~1、より好ましくは0.0005~0.5、さらに好ましくは0.001~0.1となるような量で用いられる。
本発明の製造方法において、前記重合工程における重合温度は、通常-50~+200℃、好ましくは0~180℃であり;重合圧力は、通常常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法において行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。
得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させるか、化合物(B)の使用量により調節することができる。水素を添加する場合、その量は生成するオレフィン重合体1kgあたり0.001から5,000NL程度が適当である。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において重合反応に供されるオレフィンの例としては、直鎖状または分岐状のα-オレフィン、および環状オレフィンが挙げられる。
(Z-1)炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン
前記直鎖状または分岐状のα-オレフィンとしては、炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン(Z-1)が挙げられる。
α-オレフィン(Z-1)の炭素原子数は、好ましくは2~20である。
α-オレフィン(Z-1)の具体例としてはエチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、および1-エイコセンが挙げられる。
(Z-2)一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]または一般式[Z-IV]で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン
前記環状オレフィンとしては、下記一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]または一般式[Z-IV]で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン(Z-2)が挙げられる。
Figure 0006997887000020
〔式[Z-I]中、uは0または1であり、
vは0または正の整数であり、
wは0または1であり、
61~R78ならびにRa1およびRb1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R75~R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
Figure 0006997887000021
〔式[Z-II]中、xおよびdは0または1以上の整数であり、
yおよびzは0、1または2であり、
81~R99は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕
Figure 0006997887000022
〔式[Z-III]中、R100およびR101は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基であり、fは1≦f≦18である。〕
Figure 0006997887000023
〔一般式[Z-IV]中、xは0または1以上の整数であり、
111~R118は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、
121~R124は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。〕
以下、一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]、および一般式[Z-IV]について詳説する。
《一般式[Z-I]》
式[Z-I]中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1である。なおwが1の場合には、wを用いて表される環は6員環となり、wが0の場合には、この環は5員環となる。
61~R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシルなどの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20のシクロアルキル基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5~30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6~30、好ましくは6~20のアリール基;トリル、iso-プロピルフェニル、t-ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ-t-ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、モノトリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1~30、好ましくは1~20のハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、特に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3~30、好ましくは3~20のシクロアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1~30、好ましくは1~20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1~5個置換した置換アリール基などが好ましい。
さらに上記一般式[Z-I]において、R75とR76とが、R77とR78とが、R75とR77とが、R76とR78とが、R75とR78とが、またはR76とR77とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の基を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環としては、具体的に以下のようなものが挙げられる。
Figure 0006997887000024
なお、上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、上記一般式(I)においてそれぞれR75(R76)またはR77(R78)が結合している炭素原子を表す。
また、R75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2~20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデンなどが挙げられる。
《一般式[Z-II]》
式[Z-II]中、xおよびdは0または正の整数であり、yおよびzは0、1または2である。
また、R81~R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基である。
ハロゲン原子、炭化水素基としてはとしては、上記式[Z-I]中のハロゲン原子、炭化水素基と同じものを例示できる。
ここで、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接または炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R89とR93とが、または、R90とR91とが互いに共同して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
さらに、y=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。具体的には、y=z=0のとき、R95とR92とにより形成される以下のような芳香族環が挙げられる。
Figure 0006997887000025
ここで、lは上記一般式[Z-II]におけるdと同じである。
《一般式[Z-III]》
式[Z-III]中、R100とR101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基であり、またfは1≦f≦18である。
炭素原子数1~5の炭化水素基としては好ましくはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはシクロアルキル基を挙げることができる。これらの具体例は上記式[Z-I]のR61~R78の具体例と同様である。
《一般式[Z-IV]》
一般式[Z-IV]において、xは0または1以上の整数である。
111~R118およびR121~R124は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
ハロゲン原子、炭化水素基としてはとしては、上記式[Z-I]中のハロゲン原子、炭化水素基と同じものを例示できる。
また、R121~R124の隣接する2つの基は互いに結合して単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。これらのうち、R121とR122が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 0006997887000026
Figure 0006997887000027
また、R122とR123が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 0006997887000028
Figure 0006997887000029
また、R121とR122、R123とR124が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 0006997887000030
これらの芳香族環上にハロゲン原子、アルキル基、およびアリール基から選ばれる置換基が置換された環状オレフィンも例として挙げられる。
上記一般式[Z-I]、[Z-II]、[Z-III]または[Z-IV]で表される環状オレフィンの具体例としては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンなどの特開2011-122146号公報の[0176]~[0207]に例示された化合物が挙げられる。
これらの一般式[Z-I]、[Z-II]、[Z-III]または[Z-IV]で表される環状オレフィン(Z-2)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において重合反応に供されるオレフィンの例としては、さらに、共役/非共役ポリエン、ビニルシクロヘキサンが挙げられる。
前記共役/非共役ポリエンとしては、炭素原子数が4~30、好ましくは4~20であり、2つ以上の二重結合を有する環状または鎖状の炭化水素が挙げられる。その具体例としては、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエンブタジエン、イソプレン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの特開2011-122146号公報の[0211]に例示された化合物が挙げられる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法においては、上述したオレフィンと共に、オレフィン以外の重合性化合物を重合してもよく、このような重合性化合物の例としては、極性基および重合性不飽和結合を有する化合物、芳香族ビニル化合物、および官能基含有スチレン誘導体が挙げられる。
極性基および重合性不飽和結合を有する化合物の具体例としては、特開2011-122146号公報の[0208]~[0211]に極性基を有する不飽和炭化水素として例示された化合物が挙げられる。
芳香族ビニル化合物および官能基含有スチレン誘導体の具体例としては、特開2011-122146号公報の[0211]に例示された化合物が挙げられる。
本発明の製造方法の好ましい態様としては、前記α-オレフィン(Z-1)と前記環状オレフィン(Z-2)とを共重合する態様が挙げられる。この態様においては、前記α-オレフィン(Z-1)としてはエチレンが好ましく、前記環状オレフィン(Z-2)としてはテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンが好ましい。
前記α-オレフィン(Z-1)と、前記環状オレフィン(Z-2)とを共重合する場合は、α-オレフィン(Z-1)の圧力と環状オレフィン(Z-2)の濃度を任意に設定することができ、特に限定されるものではない。α-オレフィン(Z-1)の圧力は前記重合圧力が好ましく、環状オレフィン(Z-2)の濃度は0.001~100M、好ましくは0.01~10Mであり、より好ましくは0.1~1Mである。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
〔遷移金属化合物の構造〕
遷移金属化合物の構造は、1H-NMRスペクトル(270MHz、日本電子GSH-270)により決定した。
〔重合体の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)〕
オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。Waters社製「Alliance GPC 2000」ゲル浸透クロマトグラフ(高温サイズ排除クロマトグラフ)により得られる分子量分布曲線から計算したものであり、操作条件は、下記の通りである:
<使用装置および条件>
測定装置;ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(Waters社)
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステム Empower(商標、Waters社)
カラム;TSKgel GMH6-HT×2 + TSKgel GMH6-HT×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o-ジクロロベンゼン〔=ОDCB〕(和光純薬 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/min
注入量;400μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正 単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495から分子量2060万
〔重合体のコモノマー(環状オレフィン)含量〕
特開2011-122146号公報の[0216]~[0219]の記載に従い、13C-NMRスペクトルにより重合体のコモノマー(環状オレフィン)含量を求めた。
〔重合体のTg〕
以下の条件でDSC測定を行い、重合体のTgを求めた。
装置:エスアイアイナノテクノロジー社 DSC6220
測定条件:300℃で5分間ホールドした試料を0℃まで急冷し、その後昇温速度20℃/分で250℃まで昇温する過程においてTgを求めた。
〔チタン化合物の製造〕
[参考例A1]
充分に乾燥、窒素置換した30mLの反応器に3,5-ビス(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール0.96g(4.7mmol)、n-ヘキサン5mL、トルエン5mLを仕込み撹拌した。この溶液へ、n-ブチルリチウム溶液2.9mL(ヘキサン溶液、1.64M、4.7mmol)を0℃で加えた後、室温で4時間撹拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた乾固物をn-ヘキサン5mLで洗浄、回収し、減圧乾燥することにより、無色固体0.80gを得た。
別の充分に乾燥、窒素置換した30mLの反応器にtert-ブチルシクロペンタジエニルトリクロロチタン0.29g(1.0mmol)とジエチルエーテル5mLを仕込み撹拌した。この溶液へ、先に得られた無色固体0.21g(1.0mmol)とジエチルエーテル5mLにより調製した溶液を-78℃で加え、室温で24時間撹拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた油状物にジクロロメタンを加え懸濁液を調製し、不溶物をメンブレンシリンジフィルターで除去した。得られた溶液を減圧下濃縮した後、n-ヘキサンを加え、-30℃にて静置することにより得た黄橙色結晶を回収、減圧乾燥することにより、下記式(1)で示されるチタン化合物(1)を38mg(収率8%)得た。1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.33(1H,s,CH),6.84(2H,t,J=2.8Hz,Cp-H),6.69(2H,t,J=2.8Hz,Cp-H),1.30(9H,s,C(CH33)ppm
Figure 0006997887000031
〔式中、tBuはtert-ブチル基である。〕
[実施例A2]
充分に乾燥、窒素置換した30mLの反応器に(インデニル)チタニウム(IV)トリクロリド0.27g(1.0mmol)とジエチルエーテル8mLを仕込み撹拌した。この溶液へ、Inorg.Chem.2009,48,5011.記載の方法によって合成した3,5-ジイソプロピルイラゾラトリチウム0.16g(1.0mmol)とジエチルエーテル2mLにより調製した溶液を-78℃で加え、室温で17時間撹拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた乾固物にジクロロメタンを加え懸濁液を調製し、不溶物をセライトろ過により除去した。得られた溶液を減圧下濃縮した後、n-ヘキサンを加えることにより得た暗赤色結晶を回収、減圧乾燥することにより、下記式(2)で示されるチタン化合物(2)を67mg(収率17%)得た。
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.48-7.42(2H,m,Ar-H),7.19-7.10(5H,m,Ar-H),6.44(1H,s,CH),2.84(2H,sept,J=6.9Hz,Me2CH),1.25(12H,d,J=6.9Hz,CH3)ppm
Figure 0006997887000032
〔オレフィン重合体の製造〕
[参考例B1]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、シクロヘキサン/ヘキサン(9/1)混合溶液250mLとテトラシクロドデセン10g(0.250mol/L相当)を装入し、エチレン50リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で0.75mmol、引き続き、参考例A1で得られたチタン化合物(1)を0.0015mmol加え重合を開始した。エチレンを50リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で10分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのアセトン/メタノール(3/1)混合溶媒中に加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体が得られた。エチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値等を表1に示す。
[実施例B2]
チタン化合物(1)を実施例A2で得られたチタン化合物(2)0.0030mmolに、メチルアルミノキサンの量をアルミニウム原子換算で1.50mmolに変更したこと以外は参考例B1と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体を得た。エチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値等を表1に示す。
[比較例B1]
チタン化合物(1)をMacromolcules 2011, 44, 1986-1998に記載の方法により合成した下記式(3)で表されるチタン化合物(3)0.0015mmolに変更したこと以外は参考例B1と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体を得た。エチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値等を表1に示す。
Figure 0006997887000033
〔式中、tBuはtert-ブチル基であり、iPrはイソプロピル基である。〕
Figure 0006997887000034

Claims (7)

  1. 下記一般式[A-2]で表される遷移金属化合物。
    Figure 0006997887000035
    〔式[A-2]において、
    Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子であり、
    nは1~4の整数であり、
    Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基であり、
    11 17 および20はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、 18 およびR 19 はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R 11 ~R 20 のうち隣接する基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。〕
  2. 前記一般式[A-2]において、Mはチタン原子である請求項1に記載の遷移金属化合物。
  3. 前記一般式[A-2]において、R11~R17は水素原子である請求項2に記載の遷移金属化合物。
  4. (A)請求項1~のいずれか一項に記載の遷移金属化合物と、
    (B)(B-1)有機金属化合物、
    (B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
    からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と
    を含むオレフィン重合用触媒。
  5. 請求項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法。
  6. 前記オレフィンが、
    (Z-1)炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン、および
    (Z-2)下記一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]または一般式[Z-IV]
    で表される環状オレフィン
    を含む請求項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
    Figure 0006997887000036
    〔式[Z-I]中、uは0または1であり、
    vは0または正の整数であり、
    wは0または1であり、
    61~R78ならびにRa1およびRb1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R75~R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
    Figure 0006997887000037
    〔式[Z-II]中、xおよびdは0または1以上の整数であり、
    yおよびzは0、1または2であり、
    81~R99は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕
    Figure 0006997887000038
    〔式[Z-III]中、R100およびR101は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基であり、fは1≦f≦18である。〕
    Figure 0006997887000039
    〔一般式[Z-IV]中、xは0または1以上の整数であり、
    111~R118は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、
    121~R124は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。
  7. 前記α-オレフィン(Z-1)がエチレンであり、前記環状オレフィン(Z-2)がテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンである請求項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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