JP6997887B2 - 遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒、およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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[1]
下記一般式[A-1]で表される遷移金属化合物。
Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子であり、
nは1~4の整数であり、
Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基であり、
R1~R5およびR8はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、R1~R5のうち隣接する基同士は互いに結合して環を形成していてもよく、
R6およびR7はそれぞれ独立にハロゲン原子またはハロゲン含有基である。〕
前記一般式[A-1]において、Mはチタン原子である前記[1]の遷移金属化合物。
前記一般式[A-1]において、R1は炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R2~R5は水素原子である前記[2]の遷移金属化合物。
前記一般式[A-1]において、R6およびR7はそれぞれ独立にハロゲン含有基である前記[3]の遷移金属化合物。
下記一般式[A-2]で表される遷移金属化合物。
Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子であり、
nは1~4の整数であり、
Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基であり、
R11~R20はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、これらのうち隣接する基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。〕
前記一般式[A-2]において、Mはチタン原子である前記[5]の遷移金属化合物。
前記一般式[A-2]において、R11~R17は水素原子である前記[6]の遷移金属化合物。
前記一般式[A-2]において、R18およびR19はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の炭化水素基である前記[7]の遷移金属化合物。
(A)前記[1]~[8]のいずれかの遷移金属化合物と、
(B)(B-1)有機金属化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)前記遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と
を含むオレフィン重合用触媒。
前記[9]のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法。
前記オレフィンが、
(Z-1)炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン、および
(Z-2)下記一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]または一般式[Z-IV]で表される環状オレフィン
を含む前記[10]のオレフィン重合体の製造方法。
vは0または正の整数であり、
wは0または1であり、
R61~R78ならびにRa1およびRb1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R75~R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
yおよびzは0、1または2であり、
R81~R99は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕
R111~R118は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、
R121~R124は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。〕
前記α-オレフィン(Z-1)がエチレンであり、前記環状オレフィン(Z-2)がテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンである前記[11]のオレフィン重合体の製造方法。
本発明の遷移金属化合物は、とりわけオレフィン重合用触媒に利用することができる。
また本発明の一態様によれば、高活性で、高分子量のオレフィン重合体を製造することのできるオレフィン重合用触媒、およびこのようなオレフィン重合用触媒に利用することのできる新規な遷移金属化合物などを提供することができる。
〔遷移金属化合物〕
本発明の遷移金属化合物(以下「遷移金属化合物(A)」ともいう。)は、下記一般式[A-1]または[A-2]で表される。
式[A-1]において、Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子を示し、好ましくはチタン原子、またはジルコニウム原子を示し、さらに好ましくはチタン原子を示す。
式[A-1]において、R1~R5およびR8はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、R1~R5のうち隣接する基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
前記炭化水素基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1~20、好ましくは1~10の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル、アリル(allyl)、イソプロペニルなどの炭素原子数が2~20、好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルケニル基;
エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2~20、好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルキニル基;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3~20、好ましくは3~10の環状飽和炭化水素基;
シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5~20の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6~20、好ましくは6~10のアリール基;ならびに
トリル、iso-プロピルフェニル、t-ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ-t-ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基が挙げられる。
R1~R5のうち隣接する基同士が互いに結合して形成された環を有するシクロペンタジエニル部の例としては、以下の環構造が挙げられ、該環構造はさらに置換基を有していてもよい。
アリーロキシ基の好ましい例としては、フェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、および2,4,6-トリメチルフェノキシが挙げられ、
エステル基の好ましい例としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、およびp-クロロフェノキシカルボニルが挙げられ、
アシル基の好ましい例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、およびp-メトキシベンゾイル基が挙げられる。
アルキルチオ基の好ましい例としては、メチルチオ、エチルチオが挙げられ、
アリールチオ基の好ましい例としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオが挙げられ、
スルホンエステル基の好ましい例としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルが挙げられ、
スルホンアミド基の好ましい例としては、フェニルスルホンアミド、N-メチルスルホンアミド、N-メチル-p-トルエンスルホンアミドが挙げられる。
イミノ基の好ましい例としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、およびフェニルイミノが挙げられ、
アミド基の好ましい例としては、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、およびN-メチルベンズアミドが挙げられ、
イミド基の好ましい例としては、アセトイミド、およびベンズイミドが挙げられる。
R1としては、特に、
メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数1~20、好ましくは1~10の直鎖状または分岐状のアルキル基;
フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6~20、好ましくは6~10のアリール基;
これらのアリール基の1つ以上の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはアリーロキシ基などで置換された置換アリール基などの炭素原子数1~20の炭化水素基が好ましい。
R2~R5としては、特に、水素原子が好ましい。
式[A-1]において、R6およびR7はそれぞれ独立にハロゲン原子またはハロゲン含有基であり、好ましくはハロゲン含有基である。前記ハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。前記ハロゲン含有基としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル、ノナフルオロ-tert-ブチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1~20、好ましくは1~10のハロゲン化炭化水素基が挙げられ、より好ましくはトリフルオロメチル基である。
式[A-1]において、nは1~4の整数であり、Mの価数およびXの種類に応じて、遷移金属化合物(A-1)全体として電気的に中性になるように選択される。
式[A-1]において、Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基である。
アリール基置換ホウ素の例としては、(C6H5)2B-、(C6H5)3B、(C6F5)3B、または(3,5-(CF3)2C6H3)3Bで表される基が挙げられ、
ハロゲン化ホウ素の例としては、BCl2-、またはBCl3で表される基が挙げられ、
アルキル基置換ハロゲン化ホウ素の例としては、(Et)BCl-、(iBu)BCl-、(C6H5)2BClで表される基が挙げられる。このうち三置換のホウ素については、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
アリール基置換アルミニウムの例としては、(C6H5)2Al-で表される基が挙げられ、
ハロゲン化アルミニウムの例としては、AlCl2-、またはAlCl3で表される基が挙げられ、
アルキル基置換ハロゲン化アルミニウムの例としては、(Et)AlCl-、(iBu)AlCl-で表される基が挙げられる。このうち三置換のアルミニウムについては、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
遷移金属化合物(A-1)の具体例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
次に、式[A-2]で表される遷移金属化合物(以下「遷移金属化合物(A-2)」ともいう。)について説明する。
式[A-2]において、Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子を示し、好ましくはチタン原子、またはジルコニウム原子を示し、さらに好ましくはチタン原子を示す。
式[A-2]において、R11~R20はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、これらのうち隣接する基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
R11~R20のうち隣接する基同士が互いに結合して形成された環を有するインデニル部の例としては、以下の環構造が挙げられ、該環構造はさらに置換基を有していてもよい。
式[A-2]において、nは1~4の整数であり、Mの価数およびXの種類に応じて、遷移金属化合物(A-2)全体として電気的に中性になるように選択される。
式[A-2]において、Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基である。
遷移金属化合物(A-2)の具体例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
本発明の遷移金属化合物(A)は公知の方法を組み合わせることによって製造可能であり、代表的な合成経路の一例を以下に示すが、特に製造方法が限定されるわけではない。製造方法としては、たとえば、
下記一般式[a-1]で表されるピラゾラト化合物(a-1)とアルキルリチウム(a-2)とを反応させて下記一般式[a-3]で表されるピラゾラト化合物のアニオン体(a-3)を製造する工程(1-1)、および
前記アニオン体(a-3)と下記一般式[a-4]で表される化合物(a-4)とを反応させて前記一般式[A-1]または[A-2]で表される遷移金属化合物(A)を製造する工程(1-2)を含む製造方法が挙げられる。
本発明のオレフィン重合用触媒は、(A)上述した本発明に係る遷移金属化合物と、(B)(B-1)有機金属化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むことを特徴としている。
本発明のオレフィン重合用触媒は、必要に応じて、さらに(C)担体を含んでいてもよく、さらに(D)有機化合物を含んでいてもよい。
《有機金属化合物(B-1》
有機金属化合物(B-1)(以下「成分(B-1)」ともいう。)としては、例えば、一般式(B-1a)で表される有機アルミニウム化合物(B-1a)、一般式(B-1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(B-1b)、一般式(B-1c)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物(B-1c)等の、第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が挙げられる。
式(B-1a)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であり、かつm+n+p+q=3である。有機アルミニウム化合物(B-1a)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
式(B-1b)中、M2はLi、NaまたはKであり、Raは炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基である。錯アルキル化物(B-1b)としては、例えば、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4が挙げられる。
式(B-1c)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、M3はMg、ZnまたはCdである。化合物(B-1c)としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジn-ブチルマグネシウム、エチルn-ブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn-ブチル亜鉛、ジフェニル亜鉛が挙げられる。
有機金属化合物(B-1)の中では、有機アルミニウム化合物(B-1a)が好ましい。
有機金属化合物(B-1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)(以下「成分(B-2)」ともいう。)としては、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用することができる。具体的には、下記一般式[B2-1]
遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)(以下「イオン性化合物(B-3)」または「成分(B-3)」ともいう。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。ただし、前述の(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物は含まない。
イオン性化合物(B-3)は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いでもよい。
前記担体(C)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体であり、触媒成分として遷移金属錯体および担体を使用したオレフィン重合において従来使用されているもの、たとえば特開2011-122146号公報の[0110]~[0122]に記載されたものを使用することができる。
前記オレフィン重合用触媒の構成成分として、必要に応じて有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩等が挙げられる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上述した本発明のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合することを特徴としている。
上記の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2種は予め接触されていてもよい。
成分(B)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。また、成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において重合反応に供されるオレフィンの例としては、直鎖状または分岐状のα-オレフィン、および環状オレフィンが挙げられる。
前記直鎖状または分岐状のα-オレフィンとしては、炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン(Z-1)が挙げられる。
α-オレフィン(Z-1)の具体例としてはエチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、および1-エイコセンが挙げられる。
前記環状オレフィンとしては、下記一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]または一般式[Z-IV]で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン(Z-2)が挙げられる。
vは0または正の整数であり、
wは0または1であり、
R61~R78ならびにRa1およびRb1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R75~R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
yおよびzは0、1または2であり、
R81~R99は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕
R111~R118は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、
R121~R124は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。〕
以下、一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]、および一般式[Z-IV]について詳説する。
式[Z-I]中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1である。なおwが1の場合には、wを用いて表される環は6員環となり、wが0の場合には、この環は5員環となる。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
式[Z-II]中、xおよびdは0または正の整数であり、yおよびzは0、1または2である。
ハロゲン原子、炭化水素基としてはとしては、上記式[Z-I]中のハロゲン原子、炭化水素基と同じものを例示できる。
式[Z-III]中、R100とR101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基であり、またfは1≦f≦18である。
一般式[Z-IV]において、xは0または1以上の整数である。
R111~R118およびR121~R124は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
また、R121~R124の隣接する2つの基は互いに結合して単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。これらのうち、R121とR122が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において重合反応に供されるオレフィンの例としては、さらに、共役/非共役ポリエン、ビニルシクロヘキサンが挙げられる。
本発明の製造方法の好ましい態様としては、前記α-オレフィン(Z-1)と前記環状オレフィン(Z-2)とを共重合する態様が挙げられる。この態様においては、前記α-オレフィン(Z-1)としてはエチレンが好ましく、前記環状オレフィン(Z-2)としてはテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンが好ましい。
[測定方法]
〔遷移金属化合物の構造〕
遷移金属化合物の構造は、1H-NMRスペクトル(270MHz、日本電子GSH-270)により決定した。
オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。Waters社製「Alliance GPC 2000」ゲル浸透クロマトグラフ(高温サイズ排除クロマトグラフ)により得られる分子量分布曲線から計算したものであり、操作条件は、下記の通りである:
測定装置;ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(Waters社)
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステム Empower(商標、Waters社)
カラム;TSKgel GMH6-HT×2 + TSKgel GMH6-HT×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o-ジクロロベンゼン〔=ОDCB〕(和光純薬 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/min
注入量;400μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正 単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495から分子量2060万
特開2011-122146号公報の[0216]~[0219]の記載に従い、13C-NMRスペクトルにより重合体のコモノマー(環状オレフィン)含量を求めた。
以下の条件でDSC測定を行い、重合体のTgを求めた。
装置:エスアイアイナノテクノロジー社 DSC6220
測定条件:300℃で5分間ホールドした試料を0℃まで急冷し、その後昇温速度20℃/分で250℃まで昇温する過程においてTgを求めた。
[参考例A1]
充分に乾燥、窒素置換した30mLの反応器に3,5-ビス(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール0.96g(4.7mmol)、n-ヘキサン5mL、トルエン5mLを仕込み撹拌した。この溶液へ、n-ブチルリチウム溶液2.9mL(ヘキサン溶液、1.64M、4.7mmol)を0℃で加えた後、室温で4時間撹拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた乾固物をn-ヘキサン5mLで洗浄、回収し、減圧乾燥することにより、無色固体0.80gを得た。
充分に乾燥、窒素置換した30mLの反応器に(インデニル)チタニウム(IV)トリクロリド0.27g(1.0mmol)とジエチルエーテル8mLを仕込み撹拌した。この溶液へ、Inorg.Chem.2009,48,5011.記載の方法によって合成した3,5-ジイソプロピルイラゾラトリチウム0.16g(1.0mmol)とジエチルエーテル2mLにより調製した溶液を-78℃で加え、室温で17時間撹拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた乾固物にジクロロメタンを加え懸濁液を調製し、不溶物をセライトろ過により除去した。得られた溶液を減圧下濃縮した後、n-ヘキサンを加えることにより得た暗赤色結晶を回収、減圧乾燥することにより、下記式(2)で示されるチタン化合物(2)を67mg(収率17%)得た。
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.48-7.42(2H,m,Ar-H),7.19-7.10(5H,m,Ar-H),6.44(1H,s,CH),2.84(2H,sept,J=6.9Hz,Me2CH),1.25(12H,d,J=6.9Hz,CH3)ppm
[参考例B1]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、シクロヘキサン/ヘキサン(9/1)混合溶液250mLとテトラシクロドデセン10g(0.250mol/L相当)を装入し、エチレン50リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で0.75mmol、引き続き、参考例A1で得られたチタン化合物(1)を0.0015mmol加え重合を開始した。エチレンを50リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で10分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのアセトン/メタノール(3/1)混合溶媒中に加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体が得られた。エチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値等を表1に示す。
チタン化合物(1)を実施例A2で得られたチタン化合物(2)0.0030mmolに、メチルアルミノキサンの量をアルミニウム原子換算で1.50mmolに変更したこと以外は参考例B1と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体を得た。エチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値等を表1に示す。
チタン化合物(1)をMacromolcules 2011, 44, 1986-1998に記載の方法により合成した下記式(3)で表されるチタン化合物(3)0.0015mmolに変更したこと以外は参考例B1と同様の操作を行い、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体を得た。エチレン・テトラシクロドデセン共重合体の物性値等を表1に示す。
Claims (7)
- 下記一般式[A-2]で表される遷移金属化合物。
Mはチタン原子、ジルコニウム原子、またはハフニウム原子であり、
nは1~4の整数であり、
Xはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、またはジエン系二価誘導体基であり、
R11~R 17 およびR20はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、R 18 およびR 19 はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R 11 ~R 20 のうち隣接する基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。〕 - 前記一般式[A-2]において、Mはチタン原子である請求項1に記載の遷移金属化合物。
- 前記一般式[A-2]において、R11~R17は水素原子である請求項2に記載の遷移金属化合物。
- (A)請求項1~3のいずれか一項に記載の遷移金属化合物と、
(B)(B-1)有機金属化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と
を含むオレフィン重合用触媒。 - 請求項4に記載のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法。
- 前記オレフィンが、
(Z-1)炭素原子数2~30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン、および
(Z-2)下記一般式[Z-I]、一般式[Z-II]、一般式[Z-III]または一般式[Z-IV]
で表される環状オレフィン
を含む請求項5に記載のオレフィン重合体の製造方法。
vは0または正の整数であり、
wは0または1であり、
R61~R78ならびにRa1およびRb1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R75~R78は、互いに結合して単環または、多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
yおよびzは0、1または2であり、
R81~R99は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕
R111~R118は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、
R121~R124は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。
〕 - 前記α-オレフィン(Z-1)がエチレンであり、前記環状オレフィン(Z-2)がテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンである請求項6に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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