JP2022158997A - 遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Ikuko Ebisawa
哲志 吉富
Tetsushi Yoshitomi
浩志 寺尾
Hiroshi Terao
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Abstract

【課題】新規な遷移金属化合物、とりわけ種々のオレフィン重合に好適なオレフィン重合用触媒に利用することのできる新規な遷移金属化合物などを提供すること。【解決手段】例えば、下記の構造を有する遷移金属化合物による。TIFF2022158997000047.tif38157【選択図】なし

Description

本発明は新規な遷移金属化合物に関し、より詳細にはオレフィン重合用触媒として用いることのできる新規な遷移金属化合物、該化合物を含むオレフィン重合用触媒、および該触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法に関する。
エチレン重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体などのオレフィン重合体を製造するために用いる触媒として、チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒や、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒が知られている。
また、高い重合活性でオレフィン重合体を製造することのできる触媒としてジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるメタロセン系触媒が知られている。一般的に、オレフィン重合体は、軽量かつ安価であり、優れた物性と加工性をもつため、各種成形体用など種々の分野に用いられているが、近年オレフィン重合体に対する物性の要求が多様化しており、様々な物性を有するオレフィン重合体が望まれている。また、生産性の向上も望まれている。このような状況の下、高いオレフィン重合活性を有し、かつ、優れた性状を有するオレフィン重合体を製造し得るオレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法の出現が切望されている。
たとえば特許文献1、2には、下式(PI)で表される遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒が開示され、この触媒が優れた重合活性を示すことが記載されている。
Figure 2022158997000001
(式(PI)中、M、m、R1~R5、n、Xは、特許文献1,2に記載されたものをそれぞれ示す)。
また特許文献3には、下式(FI)で表される遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒が開示され、この触媒が優れた重合活性を示すことが記載されている。
Figure 2022158997000002
(式(FI)中、M、m、R1~R6、n、Xは、特許文献3に記載されたものを示す。)
特開2001-072706号公報 特開2001-181333号公報 特開平11-315109号公報
しかしながら、昨今のオレフィン重合体に期待される高性能化、および高い生産性を達成するために、より性能の良いオレフィン重合用触媒の開発が求められている。
このような従来技術に鑑み、本発明は、新規な遷移金属化合物、とりわけ種々のオレフィン重合に好適なオレフィン重合用触媒に利用することのできる新規な遷移金属化合物などを提供することを目的としている。
また本発明の一態様は、高活性で、高分子量のオレフィン重合体を製造することのできるオレフィン重合用触媒、およびこのようなオレフィン重合用触媒に利用することのできる新規な遷移金属化合物などを提供することを目的としている。
本発明者らは前記の課題、目的に鑑み検討した結果、特定の構造を有する遷移金属化合物を含有するオレフィン重合用触媒は、高い重合活性で、分子量の高いオレフィン重合体を製造できることを見出して本発明を完成させた。
本発明は、たとえば以下の[1]~[14]に関する。
[1]
下記一般式[I]で表される遷移金属化合物(A)。
Figure 2022158997000003
〔式[I]において、
Mは周期律表第3~11族の遷移金属原子を示し、
mは、1~6の整数を示し、
Zは、下記式[2]または[3]で表される構造を示し、
Figure 2022158997000004
(式[2]および[3]において、○は、一般式[I]のR1が結合している炭素原子との結合点を示し、●は、遷移金属原子Mとの結合点を示す。)
2は、窒素原子またはリン原子を示し、
3は、酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示し、
Qは、置換基Rcを有する炭素原子(-(Rc)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、
Sは、置換基Rbを有する炭素原子(-(Rb)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、
Tは、置換基Raを有する炭素原子(-(Ra)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、
a~Rg、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、Ra~Rc、R1およびR2のうちの2個以上の基は、互いに連結して環を形成していてもよく、Rd~Rg、R1およびR2のうちの2個以上の基は、互いに連結して環を形成していてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよく、
3~R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、R3~R5のうちの2個以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい。〕
[2]
前記一般式[I]のR3~R5が、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、あるいは炭素原子数6~20のアリール基である前記[1]の遷移金属化合物(A)。
[3]
前記一般式[I]のR3~R5が、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基である前記[2]の遷移金属化合物(A)。
[4]
前記一般式[I]のMが、周期律表第4または5族の遷移金属原子である、前記[1]~[3]のいずれかの遷移金属化合物(A)。
[5]
前記一般式[I]のMがチタニウム原子である前記[4]の遷移金属化合物(A)。
[6]
下記一般式[II]で表される前記[1]~[5]のいずれかの遷移金属化合物(A)。
Figure 2022158997000005
[7]
前記一般式[II]のA2が、窒素原子であり、
Qが、置換基Rcを有する炭素原子であり、
Sが、置換基Rbを有する炭素原子であり、
Tが、置換基Raを有する炭素原子である前記[6]の遷移金属化合物(A)。
[8]
前記一般式[II]のRa~Rcが、水素原子、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、あるいは炭素原子数6~10のアリール基である、前記[6]または[7]の遷移金属化合物(A)。
[9]
下記一般式[III]で表される前記[1]~[5]のいずれかの遷移金属化合物(A)。
Figure 2022158997000006
[10]
前記一般式[III]のA3が、酸素原子である前記[9]の遷移金属化合物(A)。
[11]
前記一般式[III]のRd~Rgが、水素原子、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、あるいは炭素原子数6~10のアリール基である、前記[9]または[10]の遷移金属化合物(A)。
[12]
前記[1]~[11]のいずれかの遷移金属化合物(A)と、
(B-1)有機金属化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)前記遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と
を含むオレフィン重合用触媒。
[13]
前記[12]のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法。
[14]
前記オレフィンが炭素原子数2~30のα-オレフィンを含む、前記[13]のオレフィン重合体の製造方法。
本発明によれば、高い重合活性で、分子量の高いオレフィン重合体を製造することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[遷移金属化合物]
本発明の遷移金属化合物(A)は下記一般式[I]で表されることを特徴としている。
Figure 2022158997000007
《M》
上記一般式[I]において、Mは周期律表第3~11族の遷移金属原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ましくは3~9族(3族にはランタノイドも含まれる)の金属原子であり、より好ましくは3~5族から選ばれる遷移金属原子であり、さらに好ましくは4族または5族から選ばれる遷移金属原子であり、特に好ましくは4族の遷移金属原子である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウム、イットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウムなどであり、好ましくはスカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、より好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはチタニウムである。
なお、一般式[I]においてNとMとを繋ぐ点線は、一般的にはNがMに配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
上記一般式[I]において、mは1~6の整数を示し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
《Z》
上記一般式[I]において、Zは下記式[2]または[3]で表される構造を示す。
Figure 2022158997000008
(式[2]および[3]において、○は、一般式[I]のR1が結合している炭素原子との結合点を示し、●は、遷移金属原子Mとの結合点を示す。)
上記一般式[2]において、A2は窒素原子またはリン原子を示す。
上記一般式[3]において、A3は、酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示す。
上記一般式[2]において、Qは置換基Rcを有する炭素原子(-(Rc)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、
上記一般式[2]において、Sは置換基Rbを有する炭素原子(-(Rb)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、
上記一般式[2]において、Tは置換基Raを有する炭素原子(-(Ra)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示す。
《R a ~R g 、R 1 およびR 2
上記一般式[I]において、Ra~Rg、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、Ra~Rc、R1およびR2のうちの2個以上の基は、互いに連結して環を形成してもよく、Rd~Rg、R1およびR2のうちの2個以上の基が互いに連結して環を形成していてもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記炭化水素基としては、炭素原子数1~30の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素原子数3~30の環状炭化水素基、または、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数が1~30、好ましくは1~20、さらに好ましくは1~10の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;
エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2~30、好ましくは2~20、さらに好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルキニル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20、さらに好ましくは3~12の環状飽和炭化水素基;
シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素数5~30の環状不飽和炭化水素基;
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6~30、好ましくは6~20、さらに好ましくは6~10のアリール基;
トリル基、iso-プロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基;
ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、そのような水素原子がハロゲンで置換された炭化水素基として、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;
アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;
アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;
ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;
メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;
ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基;
ケイ素含有基;
ゲルマニウム含有基;または
スズ含有基を有していてもよい。
前記ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1~30、好ましくは1~20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
前記ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基などが挙げられ、より具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル-t-ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが好ましく、特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が好ましい。前記炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
前記ゲルマニウム含有基または前記スズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムまたはスズに置換した基が挙げられる。
上記炭化水素基が有していてもよい基として挙げた基のうち、
アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などが挙げられ、
アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基などが挙げられ、
エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられ、
アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基などが挙げられ、
アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられ、
イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられ、
アミド基として具体的には、アセトアミド基、N-メチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基などが挙げられ、
イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられ、
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられ、
アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられ、
アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられ、
スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられ、
スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N-メチルスルホンアミド基、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。
上記炭化水素基としては、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基;
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基;
これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1~30、好ましくは1~20のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基もしくはアリーロキシ基などの置換基が1~5個置換した置換アリール基が好ましい。
a~Rg、R1およびR2は、前述のようにヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基になり得るが、これらの例としては、上記炭化水素基の説明にて例示したものと同様のものが挙げられる。
《R 3 ~R 5
3~R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、これらの具体例としては、上記Ra~Rg、R1およびR2の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。なお、炭化水素基にはハロゲン化炭化水素基も含まれる。R3~R5のうち2個以上の基は互いに結合して環を形成していてもよい。
3~R5としては、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、および炭素原子数6~20のアリール基が好ましく、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基がより好ましい。これら好ましい態様またはより好ましい態様におけるアルキル基およびアリール基の例としては、t-ブチル基、アダマンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビフェニル-2-イル基、o-トリル基が挙げられる。
《X》
上記一般式[I]においてXは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記炭化水素基としては、上記Ra~Rg、R1およびR2の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30のシクロアルキル基;
ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;
ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;
フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられる。
これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素基、具体的には炭素原子数1~20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。これらのうち、ハロゲン化炭化水素基としては、炭素原子数が1~10のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
前記酸素含有基としては、ヒドロキシ基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;
フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;
フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;
アセトキシ基;
カルボニル基などが挙げられる。
前記イオウ含有基としては、上記Ra~Rg、R1およびR2の説明で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;
メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;
アルキルチオ基;
アリールチオ基などが挙げられる。
前記窒素含有基として具体的には、上記Ra~Rg、R1およびR2の説明で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;
フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
前記ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
前記アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
前記リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;
トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;
メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);
ホスホン酸基;
ホスフィン酸基などが挙げられる。
前記ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられる。
前記ヘテロ環式化合物残基としては、上記Ra~Rg、R1およびR2の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。
前記ケイ素含有基として具体的には、上記Ra~Rg、R1およびR2の説明で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;
トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;
トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基;
トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
前記ゲルマニウム含有基として具体的には、上記Ra~Rg、R1およびR2の説明で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
前記スズ含有基として具体的には、上記Ra~Rg、R1およびR2の説明で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
Xとしては、これらの中でもメチル基、ベンジル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
《n》
上記一般式[I]においてnは、Mの価数を満たす数、すなわち遷移金属化合物(A)が電気的に中性となるように選択される整数であり、通常は0~5の整数、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~3の整数であり、特に好ましくは2である。nが2以上の場合には、複数存在するXは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。また複数存在するXで示される基は、互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式[I]のZが、前記式[2]で表される構造を示す遷移金属金属化合物(A)は、下記一般式[II]で表される。
Figure 2022158997000009
上記一般式[II]において、A2は窒素原子またはリン原子を示し、好ましくは窒素原子である。
上記一般式[II]において、Qは置換基Rcを有する炭素原子(-(Rc)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基Rcを有する炭素原子である。
上記一般式[II]において、Sは置換基Rbを有する炭素原子(-(Rb)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基Rbを有する炭素原子である。
上記一般式[II]において、Tは置換基Raを有する炭素原子(-(Ra)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基Raを有する炭素原子である。
前述のように、上記一般式[II]のRa~Rc、R1およびR2のうちの2個以上の基は、たがいに連結して環を形成してもよい。より具体的には、Ra~Rc、R1およびR2のうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基は、互いに連結して脂肪族環、芳香環または、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環などの環を形成してもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
上記一般式[II]のRa~Rcは、オレフィン重合活性の観点、および共重合性の観点から、水素原子、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、またはケイ素含有基であることが好ましい。
上記一般式[II]のRaは、水素原子、メチル基、フェニル基、またはケイ素含有基であることが好ましく、水素原子、メチル基、またはトリメチルシリル基であることが特に好ましい。
上記一般式[II]のRbおよびRcは、水素原子、メチル基、またはフェニル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
また、上記一般式[II]のRaおよびRbが、互いに結合してベンゼン環を形成することも好ましい。
上記一般式[II]のR1は、オレフィン重合活性の観点、および共重合性の観点から、水素原子、炭素原子数1~10の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素原子数3~10の脂環族炭化水素基、または、炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基であることが好ましく、水素原子、メチル基、またはフェニル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
上記一般式[II]のR2は、オレフィン重合活性の観点、および共重合性の観点から、炭素原子数1~10の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素原子数3~12の脂環族炭化水素基、または、炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基であることが好ましく、特に、シクロヘキシル基、シクロドデシル基、またはフェニル基であることが特に好ましい。
上記一般式[II]の遷移金属化合物(A)好ましい態様の一つとして、
2が窒素原子であり、
Qが、置換基Rcを有する炭素原子であり、
Sが、置換基Rbを有する炭素原子であり、
Tが、置換基Raを有する炭素原子である下記一般式[II-1]で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022158997000010
上記一般式[II-1]において、mは1であることが特に好ましい。
以下に、上記一般式[II]で表される遷移金属化合物(A)の具体的な例を示すが、遷移金属化合物(A)はこれらに限定されるものではない。説明の便宜上、遷移金属化合物(A)の金属Mを含むホスフィンイミド部分(α)、配位子部分(β)との2つに分ける。まず、金属Mを含むホスフィンイミド部分(α)の部分構造の具体例を表1に示す。
Figure 2022158997000011
次に、上記一般式[II]における配位子部分(β)の部分構造の具体例を表2に示す。表2中、●は、遷移金属原子Mとの結合点を示す。
Figure 2022158997000012
特に好ましい前記一般式[II]で表される遷移金属化合物(A)としては、たとえば、下式(a1)、(a2)および(a5)で表される化合物が挙げられる。
上記表に従えば、下記式で表される遷移金属化合物(a1)は、金属Mを含むホスフィンイミド部分(α)がα1、配位子部分(β)がβ1の組み合わせからなるものであり、金属部分Mがチタニウム、Xがメチル基、nが2、mが1の場合を例示し、下記式で表される遷移金属化合物(a2)は、金属Mを含むホスフィンイミド部分(α)がα1、配位子部分(β)がβ2の組み合わせからなるものであり、金属部分Mがチタニウム、Xがメチル基、nが2、mが1の場合を例示し、下記式で表される遷移金属化合物(a5)は、金属Mを含むホスフィンイミド部分(α)がα2、配位子部分(β)がβ2の組み合わせからなるものであり、金属部分Mがチタニウム、Xがメチル基、nが2、mが1の場合を例示している。
Figure 2022158997000013
前記一般式[I]のZが、前記式[3]で表される構造を示す遷移金属化合物(A)は、下記一般式[III]で表される。
Figure 2022158997000014
上記一般式[III]において、A3は、酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示し、好ましくは酸素原子または硫黄原子であり、さらに好ましくは酸素原子である。
上記一般式[III]のRd~Rgは、オレフィン重合活性の観点、および共重合性の観点から、水素原子、炭素原子数1~20の直鎖状、あるいは分岐状または環状アルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、アリール基置換アルキル基であることが好ましい。
上記一般式[III]のRdは、炭素原子数1~20の直鎖状、あるいは分岐状または環状アルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、またはアリール基置換アルキル基であることがさらに好ましく、t-ブチル基、フェニル基、またはクミル基であることが特に好ましい。
上記一般式[III]のReおよびRgは、水素原子、メチル基、またはフェニル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
上記一般式[III]のRfは、水素原子、t-ブチル基、またはクミル基であることが特に好ましい。
上記一般式[III]のR1は、オレフィン重合活性の観点、および共重合性の観点から水素原子、炭素原子数1~10の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素原子数3~10の脂環族炭化水素基、または、炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基であることが好ましく、水素原子、メチル基、またはフェニル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
上記一般式[III]のR2は、オレフィン重合活性の観点、および共重合性の観点から、炭素原子数1~20の直鎖状または分岐状の炭化水素基、炭素原子数3~20の脂環族炭化水素基、または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、特に、t-ブチル基、フェニル基、p-t-ブチルフェニル基、または、ペンタフルオロフェニル基が好ましい。
上記一般式[III]の遷移金属化合物(A)好ましい態様の一つとして、A3が酸素原子である、下記一般式[III-1]で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022158997000015
上記一般式[III-1]において、mは1であることが特に好ましい。
以下に、上記一般式[III]で表される遷移金属化合物(A)の具体的な例を示すが、遷移金属化合物(A)はこれらに限定されるものではない。説明の便宜上、遷移金属化合物(A)の金属Mを含むホスフィンイミド部分部分(α)、配位子部分(γ)との2つに分ける。金属Mを含むホスフィンイミド(α)の部分構造の具体例は、前記一般式[II]の説明で表1において例示したものと同様のものが挙げられる。
配位子部分(γ)の部分構造の具体例を表3に示す。表3中、●は、遷移金属原子Mとの結合点を示す。
Figure 2022158997000016
特に好ましい前記一般式[III]で表される遷移金属化合物(A)としては、たとえば、下式(a3)、(a4)で表される化合物が挙げられる。
上記表に従えば、下記式で表される遷移金属化合物(a3)は、金属Mを含むホスフィンイミド部分(α)がα1、配位子部分(γ)がγ1の組み合わせからなるものであり、金属部分Mがチタニウム、Xがメチル基、nが2、mが1の場合を例示し、下記式で表される遷移金属化合物(a4)は、金属Mを含むホスフィンイミド部分(α)がα1、配位子部分(γ)がγ2の組み合わせからなるものであり、金属部分Mがチタニウム、Xがメチル基、nが2、mが1の場合を例示している。
Figure 2022158997000017
(遷移金属化合物(A)の製造方法)
このような遷移金属化合物(A)は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、配位子(下式で表されるピロールイミン系配位子およびフェノキシイミン系配位子)は既報の方法で合成することが可能である(特許文献2、特許文献3)。
Figure 2022158997000018
(式中、R1、R2、およびZは、式[I]のこれらの符号と同義である。)
また、遷移金属原子Mを含有する化合物(たとえば、Cln+1M-N=PR345で表される構造を有する化合物(式中、n、M、R3、R4、およびR5は、式[I]のこれらの符号と同義である。))は既知の方法で合成することが可能である(Organometallics 2000,19,2994-3000)。
次に得られた配位子を、遷移金属原子Mを含有する化合物と反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。具体的には、配位子を溶媒に溶解させ、金属アルキル化物、金属アリール化物、金属アリールアルキル化物などの金属化合物と-78℃から室温の温度範囲で混合し、-78℃から室温の温度範囲、もしくは還流条件下で約10分間から48時間攪拌する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の極性溶媒、トルエン等の炭化水素溶媒などが好ましく使用される。
遷移金属化合物(A)の製造方法のより具体的な例として、上記式(a1)で表される化合物を製造する方法を挙げて説明すると、下記スキームで示すように、
ホスフィンイミドチタントリクロライド錯体にメチルリチウム試薬またはメチルグリニアル試薬を添加してホスフィンイミドチタントリメチル錯体を発生させる工程1と、
工程1で得られたホスフィンイミドチタントリメチル錯体に配位子成分(ピロールイミン)を添加させる工程2とを含む方法により、上記式(a1)で表される化合物を製造することができる。
Figure 2022158997000019
また、このような製造方法により得られた遷移金属化合物(A)は、単離することなく、配位子と金属化合物との反応溶液をそのままオレフィンの重合に用いることもできる。
〔オレフィン重合用触媒〕
本発明のオレフィン重合用触媒は、本発明に係る遷移金属化合物(A)を含み、好ましくは、さらに(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)を含む。
本発明のオレフィン重合用触媒は、必要に応じて、さらに(C)担体を含んでいてもよく、さらに(D)有機化合物を含んでいてもよい。
〈化合物(B)〉
《有機金属化合物(B-1)》
有機金属化合物(B-1)(以下「成分(B-1)」ともいう。)としては、例えば、一般式(B-1a)で表される有機アルミニウム化合物(B-1a)、一般式(B-1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(B-1b)、一般式(B-1c)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物(B-1c)等の、第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が挙げられる。
(B-1a):Ra mAl(ORbnpq
式(B-1a)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であり、かつm+n+p+q=3である。有機アルミニウム化合物(B-1a)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
(B-1b):M2AlRa 4
式(B-1b)中、M2はLi、NaまたはKであり、Raは炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基である。錯アルキル化物(B-1b)としては、例えば、LiAl(C254、LiAl(C7154が挙げられる。
(B-1c):Rab3
式(B-1c)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、M3はMg、ZnまたはCdである。化合物(B-1c)としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジn-ブチルマグネシウム、エチルn-ブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn-ブチル亜鉛、ジフェニル亜鉛が挙げられる。
有機金属化合物(B-1)の中では、有機アルミニウム化合物(B-1a)が好ましい。
有機金属化合物(B-1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)》
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)(以下「成分(B-2)」ともいう。)としては、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用することができる。具体的には、下記一般式[B2-1]
Figure 2022158997000020
および/または下記一般式[B2-2]
Figure 2022158997000021
(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す)で表わされる化合物、特開平2-78687号公報、特開平2-167305号公報に記載れたベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物、特開平3-103407号公報に記載されている二種類以上のアルキル基を有するアルミノキサンが挙げられる。
また、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)として、下記一般式[B2-3]で表されるような修飾メチルアルミノキサン等も挙げられる。
Figure 2022158997000022
(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数を示す。)
この修飾メチルアルミノキサンはトリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製されるものである。このような化合物は一般にMMAOと呼ばれている。このようなMMAOは、米国特許第4960878号明細書および米国特許第5041584号明細書で挙げられている方法で調製することができる。
さらに、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)として、下記一般式[B2-4]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物も挙げることができる。
Figure 2022158997000023
(式中、Rcは炭素数1から10の炭化水素基を示す。Rdは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1から10の炭化水素基を示す。)
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)としては、市販品のために入手が容易なメチルアルミノキサン、およびトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製したMMAOが好ましい。このうち、各種溶媒への溶解性および保存安定性が改良されたMMAOが特に好ましい。
《遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)》
遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)(以下「イオン性化合物(B-3)」または「成分(B-3)」ともいう。)としては、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、米国特許第5321106号明細書などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
イオン性化合物(B-3)としては、好ましくは下記一般式[B3-1]で表されるホウ素化合物が挙げられる。
Figure 2022158997000024
式中、Re+としては、H+、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
fからRiは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1から20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基から選ばれる置換基であり、好ましくは置換アリール基である。
前記一般式[B3-1]で表されるホウ素化合物の例としては、特開2012-72365号公報の[0196]~[0217]に記載されたものを挙げることができ、これらの中でも、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
イオン性化合物(B-3)は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いでもよい。
(担体(C))
前記担体(C)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体であり、触媒成分として遷移金属化合物および担体を使用したオレフィン重合において従来使用されているもの、たとえば特開2012-72365号公報の[0220]~[0235]に記載されたものを使用することができる。
(有機化合物成分(D))
前記オレフィン重合用触媒の構成成分として、必要に応じて有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩等が挙げられる。
〔オレフィン重合体の製造方法〕
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上述した本発明のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合することを特徴としている。
本発明のオレフィン重合体の製造方法においては、1種のオレフィンを重合してオレフィン単独重合体を製造してもよく、2種以上のオレフィンを共重合してオレフィン共重合体を製造してもよい。本明細書においては、重合と共重合とを特に区別することなく「重合」とも記載し、オレフィン単独重合体とオレフィン共重合体とを特に区別することなく「オレフィン重合体」とも記載する。
重合における、本発明のオレフィン重合用触媒を構成する各成分の使用法、重合器への添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、遷移金属化合物(A)、化合物(B)、担体(C)および有機化合物成分(D)を、それぞれ「成分(A)~(D)」ともいう。
(1)成分(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)成分(A)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(B)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(B)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(A)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)成分(A)と成分(B)とを成分(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記の各方法においては、任意の段階で成分(D)が添加されてもよい。
上記の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2種は予め接触されていてもよい。
成分(B)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。また、成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
本発明では、オレフィンの重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、また(共)重合に供するオレフィン(モノマー)自身を溶媒として用いることもできる。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常1×10-12~1×10-2モル、好ましくは1×10-10~1×10-3モルになるような量で用いられる。
有機金属化合物(B-1)は、有機金属化合物(B-1)と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-1)/M〕が通常0.01~100,000、好ましくは0.05~50,000となるような量で用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-2)/M〕が、通常10~500,000、好ましくは20~100,000となるような量で用いられる。
イオン化イオン性化合物(B-3)は、イオン化イオン性化合物(B-3)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3)/M〕が、通常1~10、好ましくは1~5となるような量で用いられる。
また、このようなオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常-50~+200℃、好ましくは0~170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧~100kgf/cm2-G、好ましくは常圧~50kgf/cm2-Gの条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する化合物(B)の量により調節することもできる。
<オレフィン>
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、本発明のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合させる方法である。
前記オレフィンは、好ましくは炭素原子数2~30のα-オレフィンを含む。
本発明のオレフィン重合体の製造方法の好ましい態様としては、
本発明のオレフィン重合用触媒の存在下で、炭素原子数2~30のα-オレフィンを含むオレフィンを重合または共重合(好ましくは、エチレンを単独重合)する方法、および
本発明のオレフィン重合用触媒の存在下で、エチレン、炭素原子数3~30のα-オレフィン(好ましくは、プロピレン)および非共役ポリエンを含むオレフィンを共重合する方法が挙げられる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において共重合を行う場合、各モノマーの供給量は、製造しようとするオレフィン重合体の組成に応じて適宜設定される。
前記オレフィンとしては、
炭素原子数が2~30、好ましくは2~20、より好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のα-オレフィン、たとえば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン;
炭素原子数が3~30、好ましくは3~20、より好ましくは3~10の環状オレフィン、たとえば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル-1,4:5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなどが挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記非共役ポリエンとしての例としては、
5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-プロピリデン-5-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状の非共役ジエン;
1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,7-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等の鎖状の非共役ジエン;
2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。
これらの中でも、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、5-メチレン-2-ノルボルネン、7-メチル-1,6-オクタジエン、1,4-ヘキサジエンおよびジシクロペンタジエンが好ましく、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、7-メチル-1,6-オクタジエンがより好ましい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の遷移金属化合物(A)の存在下でオレフィンの重合を行うと、ピロールイミン系配位子またはフェノキシイミン系配位子を有する従来の遷移金属化合物が使用された場合と比べて、高い活性で、分子量の高い重合体を製造することができる。
その理由は必ずしも明らかではないが、上記一般式[I]で表わされる遷移金属化合物(A)は、ホスフィンイミド基が存在することにより、化合物の構造が全体として安定化されること、および、2種類の配位子の組み合わせ(ピロールイミン系配位子/ホスフィンイミド基、またはフェノキシイミン系配位子/ホスフィンイミド基)により遷移金属原子M周辺の空間が重合体の高分子量化に好適な空間となっているためであると、本発明者らは推定している。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
遷移金属化合物は、1H-NMRスペクトル(270MHz、日本電子GSH-270または400MHz、日本電子製ECZ400S)、FD-質量(以下FD-MS)スペクトル(日本電子SX-102A)等を測定し、同定した。
エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共重合体の物性/性状は以下の方法で測定した。
〔コモノマー含有率〕
エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共重合体のコモノマー含有率は、FT-IR(日本分光製FT-IR410型赤外分光光度計)による測定または1H-NMR測定により測定した。
(FT-IR測定方法)
FT-IRは、実施例で得られた重合体を135℃に加熱し、ホットプレスにて溶解延伸後、室温下加圧冷却することで得られたフィルムを測定サンプルとして用い、検量線を利用してプロピレン構造単位含有率、エチリデンノルボルネン構造単位含有率を測定した。
検量線作成用のエチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共重合体サンプルは、下記条件の13C-NMR測定によってコモノマー含量が特定された。検量線は、これらのサンプルを用い、プロピレン構造単位含有率やエチリデンノルボルネン構造単位含有率データと直線、あるいは直線に近い曲線の関係になる特定の2種の吸収波数のピーク強度比を選択し、これらの関係をグラフにして得た。
13C-NMR測定方法)
o-ジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1{vol/vol%})を測定溶媒とし、測定温度120℃、スペクトル幅250ppm、パルス繰り返し時間5.5秒、パルス幅4.7μ秒(45°パルス)の測定条件下(100MHz、日本電子ECX400P)、または測定温度120℃、スペクトル幅250ppm、パルス繰り返し時間5.5秒、パルス幅5.0μ秒(45°パルス)の測定条件下(125MHz、ブルカー・バイオスピンAVANCEIIIcryo-500)にて13C-NMRスペクトルを測定し、常法により各種シグナルをアサインし、シグナル強度の積分値を基にしてコモノマー含量の定量を行った。
1H-NMR測定)
o-ジクロロベンゼンd4を測定溶媒とし、または測定温度120℃、スペクトル幅250ppm、パルス繰り返し時間7.0秒、パルス幅5.0μ秒(45°パルス)の測定条件下(500MHz、ブルカー・バイオスピンAVANCEIIIcryo-500)にて1H-NMR測定を行った。メチル基やエチリデン基等の各種シグナルのアサインは常法を基にして行い、シグナル強度の積算値を基にして、上記のコモノマー含有率の定量を行った。
エチレン/1-オクテン共重合体の物性/性状は以下の方法で測定した。
〔1-オクテン含有率〕
エチレン/1-オクテン共重合体の物性のコモノマー含有率は、FT-IR(日本分光製FT-IR410型赤外分光光度計)により測定した。
(FT-IR測定方法)
FT-IRは、実施例で得られた重合体を135℃に加熱し、ホットプレスにて溶解延伸後、室温下加圧冷却することで得られたフィルムを測定サンプルとして用い、検量線を利用して1-オクテン構造単位含有率を測定した。検量線作成用のエチレン/1-オクテン共重合体のサンプルは、上記条件と同条件の13C-NMR測定によってコモノマー含量が特定された。
〔重合体の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)〕
オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。Waters社製「Alliance GPC 2000」または東ソー社製「HLC-8321 GPC/HT型」ゲル浸透クロマトグラフ(高温サイズ排除クロマトグラフ)により得られる分子量分布曲線から計算したものであり、操作条件は、下記の通りである:
<使用装置および条件>
測定装置;ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(Waters社)またはゲル浸透クロマトグラフ HLC-8321 GPC/HT型(東ソー社)
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステム Empower(商標、Waters社)
カラム;TSKgel GMH6-HT×2 + TSKgel GMH6-HT×2(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o-ジクロロベンゼン〔ОDCB〕(和光純薬 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/分
注入量;400μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正 単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495から分子量2060万
<遷移金属化合物の製造>
[合成実施例1]
(i)配位子Aの合成
特許第3945559号公報に記載の合成例7の方法で、下記式で表される目的物(以下「配位子A」とも記載する。)を合成した。
Figure 2022158997000025
(ii)遷移金属化合物Aの合成
三方コックおよび磁気攪拌子を備えた300mLの三口フラスコを充分に窒素置換した後、三口フラスコにTi(N=P(t-Bu)3)Cl3(Organometallics 2000,19,2994-3000 に記載の方法で合成)370mg(1.00mmol)を入れ、トルエン30mLを加えた。フラスコをドライアイス/メタノール浴で冷却しながら、1.09Mメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液2.8mL(メチルリチウム3.05mmol)を徐々に加えた後、室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で2時間攪拌した。この溶液に対して、再びドライアイス/メタノール浴で冷却しながら、配位子A176mg(1.00mmol)のトルエン溶液40mLを、トルエン5mLで洗浄しながら30分かけて添加した。室温まで徐々に昇温した後、窒素雰囲気下室温で18時間攪拌し、スラリーを得た。減圧下で溶媒を留去して得られた固体をヘキサンで抽出した。ろ液を減圧濃縮した後、ペンタンに溶解させ-10℃にて再結晶した。析出した固体をペンタンで洗浄することにより、下記式で表される目的物(以下「遷移金属化合物A」とも記載する。)を224mg(黒黄色粉末、収率48%)得た。1H-NMR(CDCl3)の測定結果により、目的物を同定した。以下にその測定結果を示す。
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ 0.68(6H,s),1.19-1.91(37H,m),3.31-3.39(1H,m),6.15-6.17(1H,m),6.53-6.55(1H,m),7.01(1H,s),8.00(1H,s)ppm
Figure 2022158997000026
[合成実施例2]
(i)配位子Bの合成
特許第3945559号公報に記載の合成例7と同様の方法で、下記式で表される目的物(以下「配位子B」とも記載する。)を合成した。
Figure 2022158997000027
(ii)遷移金属化合物Bの合成
三方コックおよび磁気攪拌子を備えた100mLの三口フラスコを充分に窒素置換した後、三口フラスコにTi(N=P(t-Bu)3)Cl3370mg(1.00mmol)を入れ、トルエン30mLを加えた。フラスコをドライアイス/メタノール浴で冷却しながら、1.16Mメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液2.65mL(メチルリチウム3.07mmol)を徐々に加えた後、室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で2時間攪拌した。この溶液に対して、再びドライアイス/メタノール浴で冷却しながら、配位子B260mg(1.00mmol)のトルエン溶液10mLを、トルエン5mLで洗浄しながら30分かけて添加した。室温まで徐々に昇温した後、窒素雰囲気下室温で18時間攪拌し、スラリーを得た。減圧下で溶媒を留去して得られた固体を、ヘキサンで抽出した。ろ液を減圧濃縮した後、ペンタンに溶解させ-10℃にて再結晶した。析出した固体をペンタンで洗浄することにより、下記式で表される目的物(以下「遷移金属化合物B」とも記載する。)を193mg(黄色粉末、収率35%)得た。1H-NMR(CDCl3)の測定結果により、目的物を同定した。
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ 0.71(6H,s),1.35-1.78(49H,m),3.69-3.74(1H,m),6.13-6.15(1H,m),6.52-6.54(1H,m),7.00(1H,s),7.98(1H,s)ppm
Figure 2022158997000028
[合成比較例1]
遷移金属化合物aの合成
特許第3945559号公報に記載の合成例7の方法で、下記式で表される目的物(以下「遷移金属化合物a」とも記載する。)を合成した。
Figure 2022158997000029
[合成実施例3]
(i)配位子Cの合成
特開平11-315109号公報に記載の配位子合成例と同様の方法で、下記式で表される目的物(以下「配位子C」とも記載する。)を合成した。
Figure 2022158997000030
(ii)遷移金属化合物Cの合成
三方コックおよび磁気攪拌子を備えた300mLの三口フラスコを充分に窒素置換した後、三口フラスコにTi(N=P(t-Bu)3)Cl3370mg(1.00mmol)を入れ、トルエン30mLを加えた。フラスコをドライアイス/メタノール浴で冷却しながら、1.09Mメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液2.8mL(メチルリチウム3.05mmol)を徐々に加えた後、室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で2時間攪拌した。この溶液に対して、再びドライアイス/メタノール浴で冷却しながら、配位子C309mg(1.00mmol)のトルエン溶液40mLを、トルエン5mLで洗浄しながら30分かけて添加した。室温まで徐々に昇温した後、窒素雰囲気下室温で20時間攪拌し、スラリーを得た。減圧下で溶媒を留去して、得られた固体をヘキサンでセライトを用いて抽出した。ろ液を減圧濃縮して得られた固体をペンタンで洗浄することにより、下記式で表される目的物(以下「遷移金属化合物C」とも記載する。)を156mg(黄色粉末、収率26%)得た。1H-NMR(CDCl3)の測定結果により、目的物を同定した。
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ 0.42(6H,s),1.35(9H,s),1.48-1.53(36H,m),7.16-7.34(6H,m),7.59(1H,d,J=2.6Hz),8.51(1H,s)ppm
Figure 2022158997000031
[合成実施例4]
(i)配位子Dの合成
特開2004-331965号公報に記載の合成例1の方法で、下記式で表される目的物(以下「配位子D」とも記載する。)を合成した。
Figure 2022158997000032
(ii)遷移金属化合物Dの合成
三方コックおよび磁気攪拌子を備えた300mLの三口フラスコを充分に窒素置換した後、三口フラスコにTi(N=P(t-Bu)3)Cl3370mg(1.00mmol)を入れ、トルエン30mLを加えた。フラスコをドライアイス/メタノール浴で冷却しながら、1.03Mメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液3.00mL(メチルリチウム3.09mmol)を徐々に加えた後、室温まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下室温で2時間攪拌した。この溶液に対して、再びドライアイス/メタノール浴で冷却しながら、配位子D329mg(1.00mmol)のトルエン溶液30mLを、トルエン5mLで洗浄しながら30分かけて添加した。室温まで徐々に昇温した後、窒素雰囲気下室温で17時間攪拌し、スラリーを得た。減圧下で溶媒を留去して得られた固体を、ペンタンでセライトを用いて抽出した。ろ液を減圧濃縮した後、ペンタンで洗浄して黄色粉末を得た。この黄色粉末をジクロロメタンに溶解し、ヘキサンを加えて、溶媒を1/10量まで濃縮し、析出した固体をヘキサンで洗浄した。得られた固体をジクロロメタンに溶解し、ヘキサン中に滴下した後、溶媒を1/5量まで濃縮した。析出した黄色粉末をろ過にて回収し、ヘキサンで洗浄することにより、下記式で表される目的物(以下「遷移金属化合物D」とも記載する。)を116mg(黄色粉末、収率19%)得た。1H-NMR(CDCl3)の測定結果により、目的物を同定した。
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ 0.38(6H,s),1.33-1.38(36H,m),7.19-7.44(9H,m),7.58-7.61(1H,m),7.74(2H,d,J=7.3Hz),8.55(1H,s)ppm
Figure 2022158997000033
[合成比較例2]
遷移金属化合物cの合成
特開平11-315109号公報に記載の合成実施例15の方法で、下記式で表される目的物(以下「遷移金属化合物c」とも記載する。)を合成した。
Figure 2022158997000034
[合成比較例3]
遷移金属化合物dの合成
特開2004-331965号公報に記載の合成例1の方法で、下記式で表される目的物(以下「遷移金属化合物d」とも記載する。)を合成した。
Figure 2022158997000035
[合成実施例5]
(i)ホスフィンイミド化合物E-Lの合成
三方コックおよび磁気攪拌子を備えた100mLの三口フラスコを充分に窒素置換した後、三口フラスコにTris(1-adamantyl)phosphine 2055mg(4.71mmol)、トルエン50mL、トリメチルシリルアジド800mg(6.94mmol)を加え、16時間加熱還流した。室温に戻し、溶媒を減圧留去した後、ヘキサンで洗浄した。得られた固体を減圧乾燥して、下記式で表される目的物(以下「ホスフィンイミド化合物E-L」とも記載する。)を2353mg(白色粉末、収率95%)得た。1H-NMR(CDCl3)の測定結果により、目的物を同定した。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.05(9H,s),1.67-2.21(45H,m)ppm
Figure 2022158997000036
(ii)ホスフィンイミドチタントリクロライド錯体E-0の合成
三方コックおよび磁気攪拌子を備えた100mLの三口フラスコを充分に窒素置換した後、三口フラスコに先の反応で得られたホスフィンイミド化合物E-Lを2353mg(4.49mmol)、トルエン45mLを加えた。続いて1.0MのTiCl4/トルエン溶液4.5mL(TiCl44.5mmol)を徐々に加えた後、17時間加熱還流した。室温まで冷却し、この溶液に対して1.0MのTiCl4/トルエン溶液4.5mL(TiCl44.5mmol)をさらに加えた後、22時間加熱還流した。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した後、ヘキサンで洗浄した。得られた固体を三方コックおよび磁気攪拌子を備えた100mLの三口フラスコに加え、トルエン40mLを加えた。TiCl4380mg(2.00mmol)を2mLのトルエンに溶解させた溶液を加えた後、18時間加熱還流した。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した後、ヘキサンで2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥して、下記式で表される目的物(以下「錯体E-0」とも記載する。)を2502mg(黄色粉末、収率92%)得た。1H-NMR(CDCl3)の測定結果により、目的物を同定した。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ 1.76-2.67(45H,m)ppm
Figure 2022158997000037
(iii)遷移金属化合物Eの合成
100mLのシュレンクフラスコを充分に窒素置換した後、シュレンクフラスコに先の反応で得られた錯体E-0を605mg(1.0mmоl)、トルエン30mLを加えた。ドライアイス/メタノール浴で冷却しながら1.01Mのメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液3.05mL(メチルリチウム3.05mmol)を徐々に加えた後、窒素雰囲気下室温で3時間攪拌した。この溶液に対してドライアイス/メタノール浴で冷却したまま、前記配位子B 260mg(1.0mmоl)を15mLのトルエンに溶解させた溶液をトルエン10mLで洗浄しながら15分かけて添加した。室温まで徐々に昇温した後、窒素雰囲気下室温で18時間攪拌し、スラリーを得た。減圧下で溶媒を留去して得られた固体をヘキサンで抽出し、セライトろ過した。ろ液の濃縮物をヘキサンに溶解させて-35℃にて再結晶した。析出した固体をヘキサンで洗浄した後減圧乾燥して、下記式で表される目的物(以下「遷移金属化合物E」とも記載する。)を228mg(黄色粉末、収率36%)得た。1H-NMR(CDCl3)の測定結果により、目的物を同定した。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.73(6H,s),1.28-2.40(67H,m),3.74-3.80(1H,m),6.13-6.14(1H,m),6.52-6.53(1H,m),7.02(1H,s),7.98(1H,s)ppm
Figure 2022158997000038
<エチレン重合体の製造>
[重合実施例1-1]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、トルエン250mLを装入し、エチレン100L/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.5mmol、遷移金属化合物Aを0.001mmol、引き続きトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.004mmol加え重合を開始した。エチレンを100L/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で5分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む750mLのメタノールに加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン重合体を1.555g得た。得られたポリマーの物性値を表4に示す。
[重合実施例1-2]
遷移金属化合物Aの代わりに遷移金属化合物Bを0.001mmol使用したこと以外は重合実施例1-1と同様に重合を行い、エチレン重合体を1.975g得た。ポリマーの物性値を表4に示す。
[重合実施例1-3]
遷移金属化合物Aの代わりに遷移金属化合物Eを0.001mmol使用したこと以外は重合実施例1-1と同様に重合を行い、エチレン重合体を0.610g得た。ポリマーの物性値を表4に示す。
[重合比較例1-1]
遷移金属化合物Aの代わりに遷移金属化合物aを0.001mmol使用したこと以外は重合実施例1-1と同様に重合を行い、エチレン重合体が0.067g得られた。得られたポリマーの物性値を表4に示す。
Figure 2022158997000039
[重合実施例2-1]
遷移金属化合物Aの代わりに遷移金属化合物Cを0.001mmol使用したこと以外は重合実施例1-1と同様に重合を行い、エチレン重合体を0.724g得た。ポリマーの物性値を表5に示す。
[重合実施例2-2]
遷移金属化合物Cの代わりに遷移金属化合物Dを0.001mmol使用したこと以外は重合実施例2-1と同様に重合を行い、エチレン重合体を1.285g得た。ポリマーの物性値を表5に示す。
[重合比較例2-1]
遷移金属化合物Cの代わりに遷移金属化合物cを0.001mmol使用したこと以外は重合実施例2-1と同様に重合を行い、エチレン重合体を0.051g得た。ポリマーの物性値を表5に示す。
[重合比較例2-2]
遷移金属化合物Cの代わりに遷移金属化合物dを0.002mmol、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.1mmol、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.008mmol使用したこと以外は重合実施例2-1と同様に重合を行い、エチレン重合体を0.666g得た。ポリマーの物性値を表5に示す。
Figure 2022158997000040
<エチレン/1-オクテン共重合体の製造>
[重合実施例3-1]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、トルエン250mLを装入し、エチレン100L/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、1-オクテン10mL、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で1.0mmol、遷移金属化合物Aを0.002mmol、引き続きトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.008mmol加え重合を開始した。エチレンを100L/hrで連続的に供給し、常圧下、60℃で10分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1000mLのメタノールとアセトン2:1の混合溶媒に加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、120℃にて10時間減圧乾燥し、エチレン/1-オクテン共重合体を1.100g得た。得られたポリマーの物性値を表6に示す。
[重合実施例3-2]
遷移金属化合物Aの代わりに遷移金属化合物Bを0.002mmol使用したこと以外は重合実施例3-1と同様に重合を行い、エチレン/1-オクテン共重合体を0.925g得た。ポリマーの物性値を表6に示す。
[重合比較例3-1]
遷移金属化合物Aの代わりに遷移金属化合物aを0.005mmol、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.02mmol使用したこと以外は重合実施例3-1と同様に重合を行い、エチレン/1-オクテン共重合体を0.124g得た。ポリマーの物性値を表6に示す。1-オクテンの含有量はIR測定の検量線の検出限界の1.5%未満だった。
Figure 2022158997000041
<エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共重合体の製造>
[重合実施例4-1]
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブに、ヘキサン1030mL、5-エチリデン―2-ノルボルネン(以下「ENB」とも記載する。)12mLを装入し、系内の温度を95℃に昇温した後、プロピレンを0.9MPa-Gの分圧分装入した。その後、エチレンを供給することにより全圧を1.6MPa-Gとした。次に、トリイソブチルアルミニウム0.3mmol、主触媒として上記で得た遷移金属化合物Aを0.0002mmol、助触媒としてトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.0008mmolを窒素で圧入し、攪拌回転数を250rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を1.6MPa-Gに保ち、95℃で15分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を、大過剰のメタノール/アセトン混合溶液中に投入することにより、ポリマーを析出させた。ポリマーをろ過により回収し、120℃の減圧下で一晩乾燥して、エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共重合体を製造した。得られた重合体の分析結果を表7に示す。
[重合実施例4-2]
遷移金属化合物Aの代わりに遷移金属化合物Bを0.0002mmol用いた以外は重合実施例4-1と同様に重合を行った。得られた重合体の分析結果を表7に示す。
[重合実施例4-3]
遷移金属化合物Aの代わりに遷移金属化合物Eを0.0004mmol、助触媒としてトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.0016mmol用いた以外は重合実施例4-1と同様に重合を行った。得られた重合体の分析結果を表7に示す。
[重合比較例4-1]
遷移金属化合物Aの代わりに遷移金属化合物aを0.0025mmol、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.01mmol使用した以外は重合実施例4-1と同様の方法で重合を行った。得られた重合体の分析結果を表7に示す。
Figure 2022158997000042

Claims (14)

  1. 下記一般式[I]で表される遷移金属化合物(A)。
    Figure 2022158997000043
    〔式[I]において、
    Mは周期律表第3~11族の遷移金属原子を示し、
    mは、1~6の整数を示し、
    Zは、下記式[2]または[3]で表される構造を示し、
    Figure 2022158997000044
    (式[2]および[3]において、○は、一般式[I]のR1が結合している炭素原子との結合点を示し、●は、遷移金属原子Mとの結合点を示す。)
    2は、窒素原子またはリン原子を示し、
    3は、酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示し、
    Qは、置換基Rcを有する炭素原子(-(Rc)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、
    Sは、置換基Rbを有する炭素原子(-(Rb)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、
    Tは、置換基Raを有する炭素原子(-(Ra)C=)、窒素原子(-N=)、またはリン原子(-P=)を示し、
    a~Rg、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、Ra~Rc、R1およびR2のうちの2個以上の基は、互いに連結して環を形成していてもよく、Rd~Rg、R1およびR2のうちの2個以上の基は、互いに連結して環を形成していてもよく、
    nは、Mの価数を満たす数であり、
    Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよく、
    3~R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、またはリン含有基であり、R3~R5のうちの2個以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい。〕
  2. 前記一般式[I]のR3~R5が、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、あるいは炭素原子数6~20のアリール基である請求項1に記載の遷移金属化合物(A)。
  3. 前記一般式[I]のR3~R5が、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基である請求項2に記載の遷移金属化合物(A)。
  4. 前記一般式[I]のMが、周期律表第4または5族の遷移金属原子である、請求項1~3のいずれか一項に記載の遷移金属化合物(A)。
  5. 前記一般式[I]のMがチタニウム原子である請求項4に記載の遷移金属化合物(A)。
  6. 下記一般式[II]で表される請求項1~5のいずれか一項に記載の遷移金属化合物(A)。
    Figure 2022158997000045
  7. 前記一般式[II]のA2が、窒素原子であり、
    Qが、置換基Rcを有する炭素原子であり、
    Sが、置換基Rbを有する炭素原子であり、
    Tが、置換基Raを有する炭素原子である請求項6に記載の遷移金属化合物(A)。
  8. 前記一般式[II]のRa~Rcが、水素原子、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、あるいは炭素原子数6~10のアリール基である、請求項6または7に記載の遷移金属化合物(A)。
  9. 下記一般式[III]で表される請求項1~5のいずれか一項に記載の遷移金属化合物(A)。
    Figure 2022158997000046
  10. 前記一般式[III]のA3が、酸素原子である請求項9に記載の遷移金属化合物(A)。
  11. 前記一般式[III]のRd~Rgが、水素原子、炭素原子数1~20の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、あるいは炭素原子数6~10のアリール基である、請求項9または10に記載の遷移金属化合物(A)。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の遷移金属化合物(A)と、
    (B-1)有機金属化合物、
    (B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (B-3)前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
    からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と
    を含むオレフィン重合用触媒。
  13. 請求項12に記載のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法。
  14. 前記オレフィンが炭素原子数2~30のα-オレフィンを含む、請求項13に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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