JP6903460B2 - 有機金属錯体溶液の製造方法、およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

有機金属錯体溶液の製造方法、およびオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機金属錯体溶液の製造方法、およびオレフィン重合体の製造方法に関する。
有機金属錯体は、化学反応における触媒などとして幅広く利用されている。たとえば、特許文献1および2には、ヘプタン、トルエン等の溶媒中で、有機金属錯体である[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチルフルオレニル)]ハフニウムジクロリド(0.05〜0.3μmol/L程度)およびトリイソブチルアルミニウム等の存在下でエチレンの共重合が行われたことが記載されている。
有機金属錯体は、極性の低い溶媒には難溶であることが多い。
このため、有機金属錯体を溶液反応プロセスにおいて触媒、基質(反応物)、添加剤等として用いる場合に、溶媒として極性の低いものしか使用できないなどの制限があると、溶液中の有機金属錯体濃度を高めることができず、これらの用途において所望の機能が十分に発揮されないことがあった。
国際公開第2015/122414号 国際公開第2015/122415号
上述した従来技術における問題点に鑑み、本発明は、溶媒として極性の低いものを用いる場合において、高濃度の有機金属錯体溶液を製造する方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、鋭意研究した結果、溶媒として極性の低いものを使用する場合であっても、アルキルアルミニウム化合物を添加することにより、有機金属錯体を溶解させることができ、以って高濃度の有機金属錯体溶液を製造できることを見い出し、この知見に基づき本発明を完成させた。
本発明は、以下の[1]〜[4]に関する。
[1]
有機金属錯体溶液の製造方法であって、
有機金属錯体と、アルキルアルミニウム化合物と、20℃における比誘電率が10以下の低極性溶媒とを接触させる接触工程を有し、
前記接触工程において、前記有機金属錯体は、金属原子換算で、前記有機金属錯体溶液1L当たり1.0×10-4mol以上となる量で用いられ、前記アルキルアルミニウム化合物は、アルミニウム原子換算で、前記有機金属錯体中の金属原子とのモル比(アルミニウム原子/金属原子)で1〜500となる量で用いられる有機金属錯体溶液の製造方法。
[2]
前記有機金属錯体が、金属原子にハロゲン原子または炭化水素基が結合した化学構造を含む有機金属錯体である前記[1]に記載の有機金属錯体溶液の製造方法。
[3]
前記有機金属錯体がオレフィン重合触媒用の遷移金属錯体である前記[1]または[2]の有機金属錯体溶液の製造方法。
[4]
前記[3]の製造方法によって有機金属錯体溶液を調製する溶液調製工程、および
前記有機金属錯体溶液を用いてオレフィンを重合する重合工程
を含むオレフィン重合体の製造方法。
本発明の製造方法によれば、溶媒として極性の低いものを用いる場合において、高濃度の有機金属錯体溶液を製造することができる。
[有機金属錯体溶液の製造方法]
本発明の有機金属錯体溶液の製造方法は、有機金属錯体と、アルキルアルミニウム化合物と、低極性溶媒とを接触させる接触工程を有することを特徴としている。
<有機金属錯体>
前記有機金属錯体としては、特に制限はなく、たとえばオレフィン重合用触媒に用いられる遷移金属錯体が挙げられる。
オレフィン重合用触媒に用いられる遷移金属錯体としては、たとえば以下の遷移金属錯体(1)〜(9)が挙げられる。
(遷移金属錯体(1))
遷移金属錯体(1)は、下記一般式[A1]で表される化合物である。
Figure 0006903460
〈R 1 〜R 8
式[A1]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、隣接する基が互いに結合して環を形成していてもよい。
炭化水素基としては、たとえば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基およびアリールアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ノニル基、ドデシル基およびエイコシル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基およびアダマンチル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばビニル基、プロペニル基およびシクロヘキセニル基などが挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、α−またはβ−ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ベンジルフェニル基、ピレニル基、アセナフチル基、フェナレニル基、アセアントリレニル基、テトラヒドロナフチル基、インダニル基およびビフェニリル基が挙げられる。アリールアルキル基としては、たとえばベンジル基、フェニルエチル基およびフェニルプロピル基が挙げられる。
〈Y〉
式[A1]において、Yは、二つの配位子を結合する二価の基であり、具体的には、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、好ましくは、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、または二価のケイ素含有基である。
二価の炭化水素基としては、アルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基が挙げられ、その具体例としては、
メチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレンなどのアルキレン基;
イソプロピリデン、ジエチルメチレン、ジプロピルメチレン、ジイソプロピルメチレン、ジブチルメチレン、メチルエチルメチレン、メチルブチルメチレン、メチル−t−ブチルメチレン、ジヘキシルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、ジトリルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレン、1−メチルエチレン、1,2−ジメチルエチレンおよび1−エチル−2−メチルエチレンなどの置換アルキレン基;ならびに
シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデンおよびジヒドロインダニリデンなどのシクロアルキリデン基ならびにエチリデン、プロピリデンおよびブチリデンなどのアルキリデン基
が挙げられる。
二価のケイ素含有基としては、
シリレン;ならびに
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、ジブチルシリレン、メチルブチルシリレン、メチル−t−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジトリルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレンおよびシクロヘプタメチレンシリレンなどのアルキルシリレン基
が挙げられ、特に好ましくは、ジメチルシリレン基およびジブチルシリレン基などのジアルキルシリレン基が挙げられる。
〈M〉
式[A1]において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
〈X〉
式[A1]において、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、好ましくはハロゲン原子または炭化水素基である。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、特に好ましくは塩素が挙げられる。
前記遷移金属錯体(1)の具体例としては、特開2013−224408号公報の[0077]に列挙された化合物が挙げられる。
(遷移金属錯体(2))
遷移金属錯体(2)は、下記一般式[A2]で表される化合物である。
Figure 0006903460
〈R 1 〜R 6 、およびR 11 〜R 16
式[A2]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよい。
炭化水素基としては、上述した式[A1]においてR1〜R8として挙げた炭化水素基が挙げられる。
1〜R6、およびR11〜R16は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または炭化水素基であり、より好ましくは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。
〈Y〉
式[A2]において、Yは、二つの配位子を結合する二価の基であり、具体的には、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、好ましくは、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、または二価のケイ素含有基である。
これらの基としては、上述した式[A1]においてYとして挙げた二価の基が挙げられる。
〈M〉
式[A2]において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
〈X〉
式[A2]において、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、好ましくはハロゲン原子または炭化水素基である。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、特に好ましくは塩素が挙げられる。
前記遷移金属錯体(2)の具体例としては、特開2013−224408号公報の[0071]に列挙された化合物が挙げられる。
(遷移金属錯体(3))
遷移金属錯体(3)は、下記一般式[A3]で表される化合物である。
Figure 0006903460
〈R 1 からR 14
式[A3]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1からR4までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R5からR12までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R13とR14とは互いに結合して環を形成していてもよい。
1からR14における炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
1からR14におけるヘテロ原子含有炭化水素基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フリル基などの酸素原子含有炭化水素基;N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基等のアミノ基、ピリル基などの窒素原子含有炭化水素基;チエニル基などの硫黄原子含有炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子含有炭化水素基の炭素数は、通常1〜20、好ましくは2〜18、より好ましくは2〜15である。ただし、ヘテロ原子含有炭化水素基からはケイ素含有基を除く。
1からR14におけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式−SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1からR14までの置換基のうち、任意の2つの置換基、例えば隣接した2つの置換基(例:R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R9とR10、R10とR11、R11とR12、R13とR14)は互いに結合して環を形成していてもよい。前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環、ヘテロ環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環;ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
5、R8、R9およびR12は、好ましくは水素原子である。
6、R7、R10およびR11は、好ましくは水素原子、炭化水素基、酸素原子含有炭化水素基または窒素原子含有炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基である。R6とR7が互いに結合して環を形成し、かつR10とR11が互いに結合して環を形成していてもよい。以上のようなフルオレニル基部分の構造としては、例えば、下式で表されるものが挙げられる。
Figure 0006903460
13およびR14は、好ましくは炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、さらに好ましくはアリール基または置換アリール基(ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基を有するアリール基)である。
〈Y〉
式[A3]において、Yは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子であり、好ましくは炭素原子である。
〈M、Q、j〉
式[A3]において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfである。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組み合わせで選ばれる。
Qにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
Qにおける炭化水素基としては、R1からR14における炭化水素基と同様の基が挙げられ、好ましくは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基である。
Qにおけるアニオン配位子としては、例えば、メトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基;ジメチルアミド、ジイソプロピルアミド、メチルアニリド、ジフェニルアミド等のアミド基が挙げられる。
Qにおける孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテルが挙げられる。
Qは、少なくとも1つがハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましい。
jは1〜4の整数であり、好ましくは2である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
前記遷移金属錯体(3)の具体例としては、国際公開第2004/87775号の第29〜43頁に列挙された化合物、国際公開第2006/25540号の第9〜37頁に列挙された化合物、国際公開第2015/122414号の[0117]に列挙された化合物、国際公開第2015/122415号の[0143]に列挙された化合物が挙げられる。
(遷移金属錯体(4))
遷移金属錯体(4)は、下記一般式[A4]で表される化合物である。
Figure 0006903460
〈R 1 からR 16
式[A4]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1からR16までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
1からR16における炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基およびケイ素含有基としては、上述した式[A3]におけるR1〜R14として例示した炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基およびケイ素含有基が挙げられる。
1からR16までの置換基のうち、隣接した2つの置換基(例:R1とR2、R2とR3、R4とR6、R4とR7、R5とR6、R5とR7、R6とR8、R7とR8、R9とR10、R10とR11、R11とR12、R13とR14、R14とR15、R15とR16)が互いに結合して環を形成していてもよく、R4およびR5が互いに結合して環を形成していてもよく、R6およびR7が互いに結合して環を形成していてもよく、R1およびR8が互いに結合して環を形成していてもよく、R3およびR4が互いに結合して環を形成していてもよく、R3およびR5が互いに結合して環を形成していてもよい。前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環、ヘテロ環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環;ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
1およびR3は、水素原子であることが好ましい。
2は、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素数1〜20の炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。
2としては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基が例示でき、より好ましくはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基等の遊離原子価を有する炭素が3級炭素である置換基であり、特に好ましくは1−アダマンチル基、tert−ブチル基である。
4は、前記遷移金属錯体(4)を下記一般式[A4']で表した場合に、水素原子であることが好ましい形態の一つである。
Figure 0006903460
この場合、前記遷移金属錯体(4)は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、一般式[A4']で表される遷移金属錯体の全ての鏡像異性体、例えば一般式[A4'']で表される遷移金属錯体を包含する。
Figure 0006903460
式[A4']および[A4'']の表記において、MQj部分が紙面手前に、架橋部が紙面奥側に存在するものとする。すなわち、これらの遷移金属錯体では、シクロペンタジエン環のα位(架橋部位が置換した炭素原子を基準とする)に、中心金属側に向いた水素原子(R4)が存在する。
一方、上述した一般式[A4]においては、MQj部分および架橋部が紙面手前に存在するのか、紙面奥側に存在するかは特定されていない。すなわち一般式[A4]で表される遷移金属化合物(A4)は、特定の構造の遷移金属化合物とその鏡像異性体とを包含している。
4、R5、R6およびR7から選ばれる少なくとも1つは、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、R4、R5が水素原子または炭化水素基であることがより好ましく、R5が直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であることがさらに好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがとりわけ好ましい。また、また、合成上の観点からはR4、R5が共にアルキル基であることも好ましい形態の一つであり、炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましい。また同様に合成上の観点からは、R6およびR7は水素原子であることも好ましい。R5およびR7が互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。
8は、炭化水素基であることが好ましく、メチル基等のアルキル基であることが特に好ましい。
一般式[A4]において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されない。R9、R12、R13およびR16は、好ましくは水素原子である。
10、R11、R14およびR15は、好ましくは水素原子、炭化水素基、酸素原子含有炭化水素基または窒素原子含有炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基であり、たとえば、2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル基、3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル基, 2,7-ジフェニル-3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル基である。
10とR11が互いに結合して環を形成し、かつR14とR15が互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基が挙げられる。
〈M、Q、j〉
式[A4]において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。
Qにおけるハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、上述した式[A3]におけるハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子として例示したものが挙げられる。
jは1〜4の整数であり、好ましくは2である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
前記遷移金属錯体(4)の具体例としては、国際公開第2006/68308号の第11〜15頁に列挙された化合物、国際公開第2014/50816号の[0075]−[0086]に列挙された化合物、特開2008/045008号の[0072]−[0084]に列挙された化合物が挙げられる。
(遷移金属錯体(5))
遷移金属錯体(5)は、特表2000−516228号公報に記載された、下記一般式[A5]に相当する金属錯体である。
Figure 0006903460
(式中、Mは、元素の周期律表の3−13族の1、ランタニド又はアクチニドからの金属であり、それは+2、+3又は+4形式酸化状態にあり、そして5個の置換基、即ちRA、(RBj−T(但し、jは0、1又は2である)、RC、RD及びZ(但し、RA、RB、RC及びRDはR基である)を有する環状の非局在化π−結合リガンド基である1個のシクロペンタジエニル(Cp)基にπ結合しており、さらに
Tは、jが1又は2であるとき、Cp環そしてRBに共有結合しているヘテロ原子であり、さらにjが0のとき、TはF、Cl、Br又はIであり;jが1のとき、TはO又はS、又はN又はPであり、そしてRBはTへの二重結合を有し;jが2のとき、TはN又はPであり、さらに
Bは、それぞれの場合独立して、水素であるか、又はヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルビルオキシである1−80個の非水素原子を有する基であり、各RBは任意にそれぞれの場合独立して1−20個の非水素原子を有するヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビルシリル)アミノ、ヒドロカルビルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ヒドロカルビル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル又はヒドロカルビルシリルヒドロカルビル又は1−20個の非水素原子を有する非干渉基である1個以上の基により置換されていてもよく;そして
A、RC及びRDのそれぞれは、水素であるか、又はヒドロカルビル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル、ヒドロカルビルシリルヒドロカルビルである1−80個の非水素原子を有する基であり、RA、RC及びRDのそれぞれは、任意にそれぞれの場合独立して1−20個の非水素原子を有するヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビルシリル)アミノ、ヒドロカルビルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ヒドロカルビル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル又はヒドロカルビルシリルヒドロカルビルであるか、又は1−20個の非水素原子を有する非干渉基である1個以上の基により置換されていてもよく;又は任意に、RA、RB、RC及びRDの2個以上は、互いに共有結合してそれぞれのR基について1−80個の非水素原子を有する1個以上の縮合環又は環系を形成し、1個以上の縮合環又は環系は、置換されていないか、又はそれぞれの場合独立して1−20個の非水素原子を有するヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビルシリル)アミノ、ヒドロカルビルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ヒドロカルビル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル又はヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、又は1−20個の非水素原子を有する非干渉基である1個以上の基により置換されており;
Zはσ結合を介してCp及びMの両者に結合している2価の基であり、Zは硼素であるか又は元素の周期律表の14族の一員であり、さらに窒素、燐、硫黄又は酸素からなり;
Xは、環状の非局在化π結合リガンド基であるリガンドの群を除く、60個以内の原子を有するアニオン性又はジアニオン性リガンド基であり;
X'は、それぞれの場合独立して20個以内の原子を有する中性のルイス塩基配位結合性化合物であり;
pは0、1又は2であり、そしてXがアニオン性リガンドであるときMの形式酸化状態より2少なく;Xがジアニオン性リガンドであるとき、pは1であり;そして
qは0、1又は2である。)
前記遷移金属錯体(5)の具体例としては、特表2000−516228号公報の35〜99頁に列挙された化合物が挙げられる。
(遷移金属錯体(6))
遷移金属錯体(6)は、特表2002−522551号公報に記載された、下記一般式[A6]に相当するアンサビス(μ−置換)周期律表4族金属及びアルミニウム化合物である。
Figure 0006903460
(式中、L´はπ−結合した基であり、
Mは周期律表4族金属であり、
Jは窒素又は燐であり、
Zは2価の橋かけ結合基であり、
R´は不活性の1価のリガンドであり、
rは1又は2であり、
Xはそれぞれの場合独立してμ−橋かけ結合リガンド基を形成できるルイス塩基性リガンド基であり、所望により2個のX基は一緒に結合してもよく、そして
A´はそれぞれの場合独立して水素を除いて50個以内の原子のアルミニウム含有ルイス酸化合物であり、該化合物はμ−橋かけ結合基により金属錯体との付加物を形成し、所望により2個のA´基は一緒に結合しそれにより単一の2官能性ルイス酸含有化合物を形成してもよい。)
前記遷移金属錯体(6)の具体例としては、特表2002−522551号公報の[0025]〜[0027]に列挙された化合物が挙げられる。
(遷移金属錯体(7))
遷移金属錯体(7)は、特表2003−501433号公報に記載された、下記一般式[A7-1]、[A7-2]または[A7-3]に相当する金属錯体である。
Figure 0006903460
(式中、Mは元素周期律表の3〜13族ランタニド又はアクチニドの1つから選ばれる金属である;
Zはホウ素、又は元素周期律表の14族の1員をもち、且つ窒素、リン、硫黄又は酸素をもつ2価の基である;
Xは水素を算入せずに60以下の原子をもつアニオン性リガンド基であり、所望により2個のX基はいっしょになって2価のアニオン性リガンド基を形成している;
X'はそれぞれの場合独立に20以下の原子をもつ中性ルイス塩基リガンドである;
pは0〜5の数であって、Mの形式酸化状態より2少ない;
qは0、1又は2である;
Eはケイ素又は炭素である;
A はそれぞれの場合独立に水素又はRB である;
B はBRC 2 であるか、又はヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、BRC 2 −置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルバジイルアミノ、又はヒドロカルビルオキシ基であり、各RB は水素を算入せずに1〜18の原子をもち、そして所望により2個のRB 基は共有結合して1以上の縮合環を形成していてもよい;
C はそれぞれの場合独立にヒドロカルビル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ジヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルバジイルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル、ヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、又はRD である;
D はそれぞれの場合独立にジヒドロカルビルアミノ又はヒドロカルビルオキシ基で水素を算入せずに1〜20の原子をもち、そして所望により単一のホウ素上の2個のRD 基はいっしょになってホウ素に結合した両原子価をもつヒドロカルバジイルアミノ−、ヒドロカルバジイルオキシ−、ヒドロカルバジイルジアミノ−、又はヒドロカルバジイルオキシ−基を形成している;
但し少なくとも1の場合においてRA はBRC 2 、BRC 2 −置換ヒドロカルビル基、及びそれらが合体した誘導体から選ばれると共に、少なくとも1のRCはRD である;
F はそれぞれの場合独立に水素、又はシリル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ及びそれらの組合せから選ばれる基であって、該RF は30以下の炭素又はケイ素原子をもっている;そして xは1〜8であるか、又は所望により(RF 2 E)x が−T'Z'−又は−(T'Z')2 −であり、ここでT'はそれぞれの場合独立にホウ素又はアルミニウムであり、そしてZ'はそれぞれの場合独立に
Figure 0006903460
であり;
1 はそれぞれの場合独立に水素、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、又はトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル基であり、該R1 基は炭素を算入せずに20以下の原子をもち、そして2個のこれらR1 基は所望によりいっしょになって環構造を形成していてもよい;そして
5 はR1 又はN(R12 である。)
前記遷移金属錯体(7)の具体例としては、特表2003−501433号公報の[0030]に列挙された化合物が挙げられる。
(遷移金属錯体(8))
遷移金属錯体(8)は、下記一般式[A8]で表される化合物である。
Figure 0006903460
〈M〉
式[A8]中、Mは周期表第4、5族の遷移金属原子を示し、好ましくは4族の遷移金属原子である。具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、より好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはチタンまたはジルコニウムである。
式[A8]においてNとMとを繋ぐ点線は、一般的にはNがMに配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
〈m〉
式[A8]において、mは1〜4の整数、好ましくは2〜4の整数、さらに好ましくは2を示す。
〈R 1 〜R 5
式[A8]において、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、上述した式[A3]におけるR1〜R14として例示した炭化水素基が挙げられ、特に、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基もしくはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基
が好ましい。
1としては、オレフィン重合触媒活性の観点および高分子量のオレフィン系重合体を与えるという観点から、炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状の炭化水素基、炭素原子数3〜20の脂環族炭化水素基、または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基から選ばれる基が好ましい。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
酸素含有基としては、アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などが挙げられる。
窒素含有基としては、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられる。
ホウ素含有基としては、ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などが挙げられる。
イオウ含有基としては、メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などが挙げられる。
リン含有基としては、ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基などが挙げられ、より具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。炭化水素置換シロキシ基としては、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムまたはスズに置換した基が挙げられる。
〈R 6
式[A8]において、R6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素数1〜4の炭化水素基、炭素数4以上の脂肪族炭化水素基、アリール基置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン原子から選ばれる。これらのうち、オレフィン重合触媒活性の観点、高分子量のオレフィン系重合体を与えるという観点および重合時の水素耐性の観点から、炭素原子数4以上の脂肪族炭化水素基、アリール基置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、より好ましくはt−ブチル基などの分岐型炭化水素基;ベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基(クミル基)、1−メチル−1,1−ジフェニルエチル基、1,1,1−トリフェニルメチル基(トリチル基)などのアリール置換アルキル基;1位に炭化水素基を有するシクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデシル基などの炭素数6〜15の脂環族または複式環構造を有する脂環族炭化水素基が挙げられる。
〈n〉
式[A8]において、nは、Mの価数を満たす数である。
〈X〉
式[A8]において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
ハロゲン原子および炭化水素基等の各基としては、上記R1〜R5の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。これらのうち、好ましくはハロゲン原子や炭化水素基である。
(遷移金属錯体(9))
遷移金属錯体(9)は、下記一般式[A9]で表される化合物である。
Figure 0006903460
〈M〉
式[A9]中、Mは周期表第4〜11族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムなどであり、好ましくは4〜7、10族の金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケルであり、より好ましくはチタン、ニッケルである。
式[A9]においてNとMとを繋ぐ点線は、一般的にはNがMに配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
〈m〉
式[A9]において、mは、1〜4の整数を示し、好ましくは2である。
〈R 1 〜R 5
式[A9]において、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基としては、上述した式[A8]におけるR1〜R5として例示したものが挙げられる。
1の好ましい態様は、芳香性を示す基であり、さらに好ましくは下記一般式[A9-1]で表わされるアリール基または置換基を有していてもよいピロールである。
Figure 0006903460
一般式[A9-1]において、R1A〜R1Eは互いに同一でも異なっていても、また互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基である。炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基としては、上述した式[A9]におけるR1〜R5として例示したものが挙げられる。
〈R 6
式[A9]において、R6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素数1〜4の炭化水素基、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール基置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン原子から選ばれる。
6としては、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状(2級)のアルキル基;
シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基
が好ましく、R6としては、フェニル、ベンジル、ナフチルなどの芳香族基、およびこれらの水素原子が置換された3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニルなどが特に好ましい。
〈n〉
式[A9]において、nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。
〈X〉
式[A9]において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
ハロゲン原子および炭化水素基等の各基としては、上記R1〜R5の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。
前記遷移金属錯体(9)の具体例としては、特開2011−231291号公報の[0079]〜[0088]に列挙された化合物が挙げられる。
前記遷移金属錯体は、上述した遷移金属錯体(1)〜(9)に限られるものではなく、これら以外にも、たとえば特開2008−163140号の[0007]、国際公開第2010/50256号の[0030]〜[0051]、特開2010−150246号の[0016]、国際公開第2013/184579号の[0133]、特表2013−534934号公報の[0006]、特表2009−534517号公報の[0001]、特表2001−516776号公報の[0009]〜[0017]に記載された遷移金属錯体を例示することができる。
前記有機金属錯体は、好ましくは金属原子にハロゲン原子または炭化水素基が結合した化学構造を含んでいる。これらのハロゲン原子または炭化水素基と、アルキルアルミニウム化合物とが作用し合うことにより、前記有機金属錯体の溶解性が高まるものと推測される。
<低極性溶媒>
前記低極性溶媒は、20℃における比誘電率が10以下、好ましくは5以下の溶媒である。
前記低極性溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、およびトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<アルキルアルミニウム化合物>
前記アルキルアルミニウム化合物は下式で表される。
AlRa m(3-m)
(式中、Raはアルキル基またはシクロアルキル基を示し、
QはRbで表される炭化水素基、式ORbで表される基、水素原子またはハロゲン原子を示し、
0<m≦3である。)
式中、Raはアルキル基またはシクロアルキル基を示し、Raの例としては、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基などのn-アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基などの分岐状アルキル基;
シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基;
が挙げられる。
QはRbで表される炭化水素基、式ORbで表される基、水素原子またはハロゲン原子を示す。
bで表される炭化水素基の例としては、Raとして例示したアルキル基およびシクロアルキル基が挙げられ、さらにフェニル基、(4-メチルフェニル)基などの炭素数1〜15の炭化水素基が挙げられる。
ORbで表される基の例としては、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基などのアリーロキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素などが挙げられる。
mは0<m≦3を満たす数であり、好ましくは1以上、さらに好ましくは2以上、特に好ましくは3である。
アルキルアルミニウム化合物の例としては、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムなどのトリ-n-アルキルアルミニウム、
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリ-2-メチルブチルアルミニウム、トリ-3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ-2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐状アルキルアルミニウム、
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、
ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド、
一般式Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド、
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド、
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、
エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドおよびその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム
などを例示することができる。
〔接触工程〕
接触工程では、上記の各成分を接触させて有機金属錯体溶液が製造される。上記の各成分を接触させる方法としては、たとえば、
(1)有機金属錯体と、アルキルアルミニウム化合物と、低極性溶媒とを同時に容器に添加してこれらを接触させる方法、
(2)有機金属錯体と低極性溶媒とを接触させて有機金属錯体の懸濁液を調製し、次いで前記懸濁液とアルキルアルミニウム化合物とを接触させる方法、
(3)アルキルアルミニウム化合物と低極性溶媒とを接触させてアルキルアルミニウム化合物の溶液を調製し、次いで前記溶液と有機金属錯体とを接触させる方法
が挙げられる。
前記(2)の方法においては、アルキルアルミニウム化合物は低極性溶媒を含む溶液として供給されてもよく、この溶液中の低極性溶媒は、前記懸濁液(有機金属錯体の懸濁液)中の低極性溶媒と同じであっても異なっていてもよい。
前記(3)の方法においては、有機金属錯体は低極性溶媒を含む懸濁液として供給されてもよく、この懸濁液中の低極性溶媒は、前記溶液(アルキルアルミニウム化合物の溶液)中の低極性溶媒と同じであっても異なっていてもよい。
有機金属錯体の溶解速度を高める観点からは、接触させた各成分は、好ましくは撹拌される。
接触工程において有機金属錯体は、有機金属錯体中の金属原子に換算して、有機金属錯体溶液1L当たり1.0×10-4mol以上、好ましくは5.0×10-4〜1.0mol、さらに好ましくは1.0×10-3〜1.0×10-1molとなる量で用いられる。
接触工程においてアルキルアルミニウム化合物は、アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウム原子に換算して、前記有機金属錯体中の金属原子とのモル比(アルミニウム原子/金属原子)で1〜500、好ましくは5〜200、さらに好ましくは10〜100となる量で用いられる。
接触工程を行う際の温度は、低極性溶媒の沸点よりも低い温度であり、有機金属錯体を分解させることなく安定に取り扱うという観点からは、通常−20〜100℃、好ましくは0〜80℃である。 この接触工程を含む本発明の製造方法により、低極性溶媒を使用するにもかかわらず、高濃度の有機金属錯体溶液、たとえば有機金属錯体の金属原子に換算して1.0×10-4mol/L以上、好ましくは5.0×10-4〜1.0mol/L、さらに好ましくは1.0×10-3〜1.0×10-1mol/Lの有機金属錯体溶液が調製される。
[オレフィン重合体の製造方法]
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上述した本発明の有機金属錯体溶液の製造方法によって、有機金属錯体としてオレフィン重合用の遷移金属錯体を含む有機金属錯体溶液を調製する溶液調製工程、および前記有機金属錯体溶液を用いてオレフィンを重合する重合工程を含むことを特徴としている。
重合工程では、前記有機金属錯体溶液をそのまま使用し、この溶液に含まれる遷移金属錯体(以下「遷移金属錯体(A)」ともいう。)の存在下でオレフィンを重合してもよく、あるいは前記有機金属錯体溶液にさらに、
(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物、から選ばれる少なくとも1種の化合物、
(C)担体、
(D)有機化合物成分、または
不活性炭化水素媒体
などを添加した上で、遷移金属錯体(A)の存在下でオレフィンを重合してもよい。
次に、これら化合物(B)等について説明する。
(化合物(B))
《有機金属化合物(B−1)》
有機金属化合物(B−1)(以下「成分(B−1)」ともいう。)の例としては、下記のような周期律表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(B−1a)一般式 Ra mAl(ORb)npq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1から15、好ましくは1から4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物、
(B−1b)一般式 M2AlRa 4
(式中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素数1から15、好ましくは1から4の炭化水素基を示す。)
で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(たとえば、LiAl(C25)4、LiAl(C715)4)、および
(B−1c)一般式 Rab3
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1から15、好ましくは1から4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである。)
で表される周期律表第2族または第12族金属のジアルキル化合物
が挙げられる。
前記有機アルミニウム化合物(B−1a)としては、たとえば前記溶液調製工程(有機金属錯体溶液の製造方法)で使用されるアルキルアルミニウム化合物、特許文献1(国際公開2015/122414号)の[0121]〜[0122]に記載されたものが挙げられる。
《有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)》
有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)(以下「成分(B−2)」ともいう。)としては、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用することができる。具体的には、下記一般式[B2-1]
Figure 0006903460
および/または下記一般式[B2-2]
Figure 0006903460
(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す)
で表わされる化合物、特開平2-78687号公報、特開平2-167305号公報に記載れたベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物、特開平3-103407号公報に記載されている二種類以上のアルキル基を有するアルミノキサンが挙げられる。
また、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)として、下記一般式[B2-3]で表されるような修飾メチルアルミノキサン等も挙げられる。
Figure 0006903460
(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数を示す。)
この修飾メチルアルミノキサンはトリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製されるものである。このような化合物は一般にMMAOと呼ばれている。このようなMMAOは、米国特許第4960878号明細書および米国特許第5041584号明細書で挙げられている方法で調製することができる。
さらに、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)として、下記一般式[B2-4]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物も挙げることができる。
Figure 0006903460
(式中、Rcは炭素数1から10の炭化水素基を示す。Rdは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1から10の炭化水素基を示す。)
有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)としては、市販品のために入手が容易なメチルアルミノキサン、およびトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製したMMAOが好ましい。このうち、各種溶媒への溶解性および保存安定性が改良されたMMAOが特に好ましい。
《遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)》
遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)(以下「イオン性化合物(B−3)」または「成分(B−3)」ともいう。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。ただし、前述の(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は含まない。
イオン性化合物(B−3)としては、好ましくは下記一般式[B3-1]で表されるホウ素化合物が挙げられる。
Figure 0006903460
式中、Re+としては、H+、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。RfからRiは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1から20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基から選ばれる置換基であり、好ましくは置換アリール基である。
前記一般式[B3-1]で表されるホウ素化合物の例としては、特許文献1(2015/122414号)の[0133]〜[0144]に記載されたものを挙げることができる。
イオン性化合物(B−3)は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いでもよい。
(担体(C))
前記担体(C)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体であり、触媒成分として遷移金属錯体および担体を使用したオレフィン重合において従来使用されているもの、たとえば特許文献1(国際公開2015/122414号)の[0149]〜[0155]に記載されたものを使用することができる。
(有機化合物成分(D))
前記オレフィン重合用触媒の構成成分として、必要に応じて有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩等が挙げられる。
〔各成分の使用法および添加順序〕
オレフィン重合の際には、各成分の使用法、添加順序は、任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、遷移金属錯体(A)、化合物(B)、担体(C)および有機化合物成分(D)を、それぞれ「成分(A)〜(D)」ともいう。なお本発明においては、遷移金属錯体(A)は、通常、前記溶液調製工程で調製された溶液の形態で添加される。
(1)成分(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)成分(A)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(B)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(B)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(A)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)成分(A)と成分(B)とを成分(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記の各方法においては、任意の順序で有機化合物成分(D)が添加されてもよい。
成分(B)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。また、成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分においては、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
〔重合工程〕
重合に供される前記オレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素数3から20の直鎖状または分岐状のα−オレフィンが挙げられる。これらのα−オレフィンは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、極性基含有モノマー、芳香族ビニル化合物、および環状オレフィンから選択される少なくとも1種のモノマーを反応系に共存させて重合を進めてもよい。したがって、たとえばエチレンおよびプロピレンと共に環状オレフィンである5-エチリデン-2-ノルボルネンを用いてもよい。これらのモノマーの量は、α−オレフィン100質量部に対して、たとえば20質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
極性基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸などのα,β-不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩等の金属塩類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのα,β-不飽和カルボン酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和グリシジル類などを例示することができる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼン、α-メチルスチレン、アリルベンゼンなどを例示することができる。
環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセンなどの炭素数3から30、好ましくは3から20の環状オレフィン類を例示することができる。
重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体の例としては、上述した保存工程(本発明の保存方法)で使用される溶媒の具体例として挙げたものが挙げられる。
この不活性炭化水素媒体としては、溶液調製工程で使用された溶媒をそのまま使用してもよく、新たな不活性炭化水素媒体を追加してもよい。追加される不活性炭化水素媒体は、溶液調製工程で使用された溶媒と同一であってもよく、異なっていてもよい
重合工程においてオレフィン重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。また、前記オレフィン重合用触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに設定することができる。
成分(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-10〜10-2モル、好ましくは10-8〜10-3モルとなるような量で用いられる。
成分(B−1)は、成分(B−1)と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が通常1〜50,000、好ましくは10〜20,000、特に好ましくは50〜10,000となるような量で用いることができる。
成分(B−2)は、成分(B−2)中のアルミニウム原子と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が通常10〜5,000、好ましくは20〜2,000となるような量で用いることができる。
成分(B−3)は、成分(B−3)と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−3)/M〕が通常1〜1000、好ましくは1〜200となるような量で用いることができる。
成分(C)を用いる場合は、成分(A)と成分(C)との重量比〔(A)/(C)〕が好ましくは0.0001〜1、より好ましくは0.0005〜0.5、さらに好ましくは0.001〜0.1となるような量で用いることができる。
重合工程におけるオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜180℃であり;重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または成分(B)の使用量により調節することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジクロリドを、国際公開第2015/122414号の合成例11に従い合成した。
[合成例2]
合成例1に従い合成した[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジクロリドに、特開平7−53618の実施例86に従いメチルリチウムを反応させ、[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジメチルを合成した。
〔[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジクロリドのn−ヘキサン溶液の製造〕
参考例1]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジクロリド(以下「遷移金属錯体a」ともいう。)7.0mg及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン3.68mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液0.92mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジクロリド(遷移金属錯体a)の濃度がハフニウム原子量換算で2mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
[実施例2]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(15.9mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン2.09mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液2.09mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、遷移金属錯体aの濃度がハフニウム原子量換算で5mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
[実施例3]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(24.4mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン0.80mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液3.21mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を60分継続すると、遷移金属錯体aの濃度がハフニウム原子量換算で8mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
[実施例4]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(14.0mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン2.76mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液0.92mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、遷移金属錯体aの濃度がハフニウム原子量換算で5mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
[実施例5]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(13.7mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン3.24mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液0.36mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、遷移金属錯体aの濃度がハフニウム原子量換算で5mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
参考例6]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(5.3mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン6.90mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、25℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液0.07mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、25℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、遷移金属錯体aの濃度がハフニウム原子量換算で1mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
[比較例1]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(7.0mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン9.21mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始した。その後25℃に維持したまま撹拌を60分継続しても内容物は黄色の懸濁液のままであり、固体成分は完全に溶解しなかった。
〔[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジメチルのn−ヘキサン溶液の製造〕
[実施例7]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例2で製造された[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジメチル(以下「遷移金属錯体b」ともいう。)15.9mg及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン2.21mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液2.21mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジメチル(遷移金属錯体b)の濃度がハフニウム原子量換算で5mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
[実施例8]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例2で製造された遷移金属錯体b(15.1mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン3.78mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液0.42mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、遷移金属錯体bの濃度がハフニウム原子量換算で5mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
[比較例2]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例2で製造された遷移金属錯体b(6.1mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン8.48mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始した。その後25℃に維持したまま撹拌を60分継続しても内容物は黄色の懸濁液のままであり、固体成分は完全に溶解しなかった。
Figure 0006903460
〔触媒活性の評価〕
〔エチレン/プロピレン/ENB共重合体の製造〕
参考例9]
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘキサン1030ml、エチリデンノルボルネン(ENB)12mlを装入し、系内の温度を92℃に昇温した後、プロピレンを分圧で0.45MPa分装入し、エチレンを供給することにより全圧を1.6MPa−Gとした。次に、ここへトリイソブチルアルミニウム0.30mmol、参考例1で得られたトリイソブチルアルミニウムと接触させた遷移金属錯体Aの均一溶液0.075ml(この溶液は、遷移金属錯体aを0.00015mmol含む。)およびトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.0015mmolを窒素で圧入し、攪拌回転数を250rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を1.6MPa−Gに保ち、95℃で15分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を、大過剰のメタノール/アセトン混合溶液中に投入することにより、ポリマーを析出させた。ポリマーをろ過により回収し、120℃の減圧下で一晩乾燥した。
その結果、エチレン/プロピレン/ENB共重合体9.84gが得られた。遷移金属錯体a中のハフニウム原子1mmol当たりのマイレージは65.6kgであった。

Claims (4)

  1. 有機金属錯体溶液の製造方法であって、
    有機金属錯体と、アルキルアルミニウム化合物と、20℃における比誘電率が10以下の低極性溶媒とを接触させる接触工程を有し、
    前記接触工程において、前記有機金属錯体は、金属原子換算で、前記有機金属錯体溶液1L当たり5mmol以上となる量で用いられ、前記アルキルアルミニウム化合物は、アルミニウム原子換算で、前記有機金属錯体中の金属原子とのモル比(アルミニウム原子/金属原子)で1〜500となる量で用いられる有機金属錯体溶液の製造方法。
  2. 前記有機金属錯体が、金属原子にハロゲン原子または炭化水素基が結合した化学構造を含む有機金属錯体である請求項1に記載の有機金属錯体溶液の製造方法。
  3. 前記有機金属錯体がオレフィン重合触媒用の遷移金属錯体である請求項1または2に記載の有機金属錯体溶液の製造方法。
  4. 請求項3に記載の製造方法によって有機金属錯体溶液を調製する溶液調製工程、および
    前記有機金属錯体溶液を用いてオレフィンを重合する重合工程
    を含むオレフィン重合体の製造方法。
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