JP6903460B2 - 有機金属錯体溶液の製造方法、およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
このため、有機金属錯体を溶液反応プロセスにおいて触媒、基質(反応物)、添加剤等として用いる場合に、溶媒として極性の低いものしか使用できないなどの制限があると、溶液中の有機金属錯体濃度を高めることができず、これらの用途において所望の機能が十分に発揮されないことがあった。
本発明は、以下の[1]〜[4]に関する。
有機金属錯体溶液の製造方法であって、
有機金属錯体と、アルキルアルミニウム化合物と、20℃における比誘電率が10以下の低極性溶媒とを接触させる接触工程を有し、
前記接触工程において、前記有機金属錯体は、金属原子換算で、前記有機金属錯体溶液1L当たり1.0×10-4mol以上となる量で用いられ、前記アルキルアルミニウム化合物は、アルミニウム原子換算で、前記有機金属錯体中の金属原子とのモル比(アルミニウム原子/金属原子)で1〜500となる量で用いられる有機金属錯体溶液の製造方法。
前記有機金属錯体が、金属原子にハロゲン原子または炭化水素基が結合した化学構造を含む有機金属錯体である前記[1]に記載の有機金属錯体溶液の製造方法。
前記有機金属錯体がオレフィン重合触媒用の遷移金属錯体である前記[1]または[2]の有機金属錯体溶液の製造方法。
前記[3]の製造方法によって有機金属錯体溶液を調製する溶液調製工程、および
前記有機金属錯体溶液を用いてオレフィンを重合する重合工程
を含むオレフィン重合体の製造方法。
本発明の有機金属錯体溶液の製造方法は、有機金属錯体と、アルキルアルミニウム化合物と、低極性溶媒とを接触させる接触工程を有することを特徴としている。
前記有機金属錯体としては、特に制限はなく、たとえばオレフィン重合用触媒に用いられる遷移金属錯体が挙げられる。
オレフィン重合用触媒に用いられる遷移金属錯体としては、たとえば以下の遷移金属錯体(1)〜(9)が挙げられる。
遷移金属錯体(1)は、下記一般式[A1]で表される化合物である。
式[A1]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、隣接する基が互いに結合して環を形成していてもよい。
式[A1]において、Yは、二つの配位子を結合する二価の基であり、具体的には、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、好ましくは、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、または二価のケイ素含有基である。
メチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレンなどのアルキレン基;
イソプロピリデン、ジエチルメチレン、ジプロピルメチレン、ジイソプロピルメチレン、ジブチルメチレン、メチルエチルメチレン、メチルブチルメチレン、メチル−t−ブチルメチレン、ジヘキシルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、ジトリルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレン、1−メチルエチレン、1,2−ジメチルエチレンおよび1−エチル−2−メチルエチレンなどの置換アルキレン基;ならびに
シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデンおよびジヒドロインダニリデンなどのシクロアルキリデン基ならびにエチリデン、プロピリデンおよびブチリデンなどのアルキリデン基
が挙げられる。
シリレン;ならびに
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、ジブチルシリレン、メチルブチルシリレン、メチル−t−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジトリルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレンおよびシクロヘプタメチレンシリレンなどのアルキルシリレン基
が挙げられ、特に好ましくは、ジメチルシリレン基およびジブチルシリレン基などのジアルキルシリレン基が挙げられる。
式[A1]において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
式[A1]において、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、好ましくはハロゲン原子または炭化水素基である。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、特に好ましくは塩素が挙げられる。
前記遷移金属錯体(1)の具体例としては、特開2013−224408号公報の[0077]に列挙された化合物が挙げられる。
遷移金属錯体(2)は、下記一般式[A2]で表される化合物である。
式[A2]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよい。
R1〜R6、およびR11〜R16は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または炭化水素基であり、より好ましくは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。
式[A2]において、Yは、二つの配位子を結合する二価の基であり、具体的には、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、好ましくは、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、または二価のケイ素含有基である。
これらの基としては、上述した式[A1]においてYとして挙げた二価の基が挙げられる。
式[A2]において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
式[A2]において、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、好ましくはハロゲン原子または炭化水素基である。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、特に好ましくは塩素が挙げられる。
前記遷移金属錯体(2)の具体例としては、特開2013−224408号公報の[0071]に列挙された化合物が挙げられる。
遷移金属錯体(3)は、下記一般式[A3]で表される化合物である。
式[A3]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1からR4までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R5からR12までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R13とR14とは互いに結合して環を形成していてもよい。
R6、R7、R10およびR11は、好ましくは水素原子、炭化水素基、酸素原子含有炭化水素基または窒素原子含有炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基である。R6とR7が互いに結合して環を形成し、かつR10とR11が互いに結合して環を形成していてもよい。以上のようなフルオレニル基部分の構造としては、例えば、下式で表されるものが挙げられる。
式[A3]において、Yは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子であり、好ましくは炭素原子である。
式[A3]において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfである。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組み合わせで選ばれる。
Qにおける炭化水素基としては、R1からR14における炭化水素基と同様の基が挙げられ、好ましくは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基である。
Qにおけるアニオン配位子としては、例えば、メトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基;ジメチルアミド、ジイソプロピルアミド、メチルアニリド、ジフェニルアミド等のアミド基が挙げられる。
jは1〜4の整数であり、好ましくは2である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
遷移金属錯体(4)は、下記一般式[A4]で表される化合物である。
式[A4]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1からR16までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
R2は、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素数1〜20の炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。
一般式[A4]において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されない。R9、R12、R13およびR16は、好ましくは水素原子である。
式[A4]において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
Qにおけるハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、上述した式[A3]におけるハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子として例示したものが挙げられる。
前記遷移金属錯体(4)の具体例としては、国際公開第2006/68308号の第11〜15頁に列挙された化合物、国際公開第2014/50816号の[0075]−[0086]に列挙された化合物、特開2008/045008号の[0072]−[0084]に列挙された化合物が挙げられる。
遷移金属錯体(5)は、特表2000−516228号公報に記載された、下記一般式[A5]に相当する金属錯体である。
Tは、jが1又は2であるとき、Cp環そしてRBに共有結合しているヘテロ原子であり、さらにjが0のとき、TはF、Cl、Br又はIであり;jが1のとき、TはO又はS、又はN又はPであり、そしてRBはTへの二重結合を有し;jが2のとき、TはN又はPであり、さらに
RBは、それぞれの場合独立して、水素であるか、又はヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルビルオキシである1−80個の非水素原子を有する基であり、各RBは任意にそれぞれの場合独立して1−20個の非水素原子を有するヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビルシリル)アミノ、ヒドロカルビルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ヒドロカルビル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル又はヒドロカルビルシリルヒドロカルビル又は1−20個の非水素原子を有する非干渉基である1個以上の基により置換されていてもよく;そして
RA、RC及びRDのそれぞれは、水素であるか、又はヒドロカルビル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル、ヒドロカルビルシリルヒドロカルビルである1−80個の非水素原子を有する基であり、RA、RC及びRDのそれぞれは、任意にそれぞれの場合独立して1−20個の非水素原子を有するヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビルシリル)アミノ、ヒドロカルビルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ヒドロカルビル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル又はヒドロカルビルシリルヒドロカルビルであるか、又は1−20個の非水素原子を有する非干渉基である1個以上の基により置換されていてもよく;又は任意に、RA、RB、RC及びRDの2個以上は、互いに共有結合してそれぞれのR基について1−80個の非水素原子を有する1個以上の縮合環又は環系を形成し、1個以上の縮合環又は環系は、置換されていないか、又はそれぞれの場合独立して1−20個の非水素原子を有するヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビルシリル)アミノ、ヒドロカルビルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ヒドロカルビル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル又はヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、又は1−20個の非水素原子を有する非干渉基である1個以上の基により置換されており;
Zはσ結合を介してCp及びMの両者に結合している2価の基であり、Zは硼素であるか又は元素の周期律表の14族の一員であり、さらに窒素、燐、硫黄又は酸素からなり;
Xは、環状の非局在化π結合リガンド基であるリガンドの群を除く、60個以内の原子を有するアニオン性又はジアニオン性リガンド基であり;
X'は、それぞれの場合独立して20個以内の原子を有する中性のルイス塩基配位結合性化合物であり;
pは0、1又は2であり、そしてXがアニオン性リガンドであるときMの形式酸化状態より2少なく;Xがジアニオン性リガンドであるとき、pは1であり;そして
qは0、1又は2である。)
前記遷移金属錯体(5)の具体例としては、特表2000−516228号公報の35〜99頁に列挙された化合物が挙げられる。
遷移金属錯体(6)は、特表2002−522551号公報に記載された、下記一般式[A6]に相当するアンサビス(μ−置換)周期律表4族金属及びアルミニウム化合物である。
Mは周期律表4族金属であり、
Jは窒素又は燐であり、
Zは2価の橋かけ結合基であり、
R´は不活性の1価のリガンドであり、
rは1又は2であり、
Xはそれぞれの場合独立してμ−橋かけ結合リガンド基を形成できるルイス塩基性リガンド基であり、所望により2個のX基は一緒に結合してもよく、そして
A´はそれぞれの場合独立して水素を除いて50個以内の原子のアルミニウム含有ルイス酸化合物であり、該化合物はμ−橋かけ結合基により金属錯体との付加物を形成し、所望により2個のA´基は一緒に結合しそれにより単一の2官能性ルイス酸含有化合物を形成してもよい。)
前記遷移金属錯体(6)の具体例としては、特表2002−522551号公報の[0025]〜[0027]に列挙された化合物が挙げられる。
遷移金属錯体(7)は、特表2003−501433号公報に記載された、下記一般式[A7-1]、[A7-2]または[A7-3]に相当する金属錯体である。
Zはホウ素、又は元素周期律表の14族の1員をもち、且つ窒素、リン、硫黄又は酸素をもつ2価の基である;
Xは水素を算入せずに60以下の原子をもつアニオン性リガンド基であり、所望により2個のX基はいっしょになって2価のアニオン性リガンド基を形成している;
X'はそれぞれの場合独立に20以下の原子をもつ中性ルイス塩基リガンドである;
pは0〜5の数であって、Mの形式酸化状態より2少ない;
qは0、1又は2である;
Eはケイ素又は炭素である;
RA はそれぞれの場合独立に水素又はRB である;
RB はBRC 2 であるか、又はヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、BRC 2 −置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルバジイルアミノ、又はヒドロカルビルオキシ基であり、各RB は水素を算入せずに1〜18の原子をもち、そして所望により2個のRB 基は共有結合して1以上の縮合環を形成していてもよい;
RC はそれぞれの場合独立にヒドロカルビル、ハロゲン置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ジヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルバジイルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリル、ヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、又はRD である;
RD はそれぞれの場合独立にジヒドロカルビルアミノ又はヒドロカルビルオキシ基で水素を算入せずに1〜20の原子をもち、そして所望により単一のホウ素上の2個のRD 基はいっしょになってホウ素に結合した両原子価をもつヒドロカルバジイルアミノ−、ヒドロカルバジイルオキシ−、ヒドロカルバジイルジアミノ−、又はヒドロカルバジイルオキシ−基を形成している;
但し少なくとも1の場合においてRA はBRC 2 、BRC 2 −置換ヒドロカルビル基、及びそれらが合体した誘導体から選ばれると共に、少なくとも1のRCはRD である;
RF はそれぞれの場合独立に水素、又はシリル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ及びそれらの組合せから選ばれる基であって、該RF は30以下の炭素又はケイ素原子をもっている;そして xは1〜8であるか、又は所望により(RF 2 E)x が−T'Z'−又は−(T'Z')2 −であり、ここでT'はそれぞれの場合独立にホウ素又はアルミニウムであり、そしてZ'はそれぞれの場合独立に
R1 はそれぞれの場合独立に水素、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、又はトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル基であり、該R1 基は炭素を算入せずに20以下の原子をもち、そして2個のこれらR1 基は所望によりいっしょになって環構造を形成していてもよい;そして
R5 はR1 又はN(R1 )2 である。)
前記遷移金属錯体(7)の具体例としては、特表2003−501433号公報の[0030]に列挙された化合物が挙げられる。
遷移金属錯体(8)は、下記一般式[A8]で表される化合物である。
式[A8]中、Mは周期表第4、5族の遷移金属原子を示し、好ましくは4族の遷移金属原子である。具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、より好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはチタンまたはジルコニウムである。
式[A8]においてNとMとを繋ぐ点線は、一般的にはNがMに配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
式[A8]において、mは1〜4の整数、好ましくは2〜4の整数、さらに好ましくは2を示す。
式[A8]において、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
炭化水素基としては、上述した式[A3]におけるR1〜R14として例示した炭化水素基が挙げられ、特に、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基もしくはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基
が好ましい。
イオウ含有基としては、メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基などが挙げられ、より具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。炭化水素置換シロキシ基としては、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムまたはスズに置換した基が挙げられる。
式[A8]において、R6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素数1〜4の炭化水素基、炭素数4以上の脂肪族炭化水素基、アリール基置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン原子から選ばれる。これらのうち、オレフィン重合触媒活性の観点、高分子量のオレフィン系重合体を与えるという観点および重合時の水素耐性の観点から、炭素原子数4以上の脂肪族炭化水素基、アリール基置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、より好ましくはt−ブチル基などの分岐型炭化水素基;ベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基(クミル基)、1−メチル−1,1−ジフェニルエチル基、1,1,1−トリフェニルメチル基(トリチル基)などのアリール置換アルキル基;1位に炭化水素基を有するシクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデシル基などの炭素数6〜15の脂環族または複式環構造を有する脂環族炭化水素基が挙げられる。
式[A8]において、nは、Mの価数を満たす数である。
式[A8]において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
ハロゲン原子および炭化水素基等の各基としては、上記R1〜R5の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。これらのうち、好ましくはハロゲン原子や炭化水素基である。
遷移金属錯体(9)は、下記一般式[A9]で表される化合物である。
式[A9]中、Mは周期表第4〜11族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムなどであり、好ましくは4〜7、10族の金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケルであり、より好ましくはチタン、ニッケルである。
式[A9]においてNとMとを繋ぐ点線は、一般的にはNがMに配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
式[A9]において、mは、1〜4の整数を示し、好ましくは2である。
式[A9]において、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基としては、上述した式[A8]におけるR1〜R5として例示したものが挙げられる。
式[A9]において、R6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素数1〜4の炭化水素基、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール基置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン原子から選ばれる。
メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状(2級)のアルキル基;
シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基
が好ましく、R6としては、フェニル、ベンジル、ナフチルなどの芳香族基、およびこれらの水素原子が置換された3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニルなどが特に好ましい。
式[A9]において、nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。
式[A9]において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
前記遷移金属錯体(9)の具体例としては、特開2011−231291号公報の[0079]〜[0088]に列挙された化合物が挙げられる。
前記低極性溶媒は、20℃における比誘電率が10以下、好ましくは5以下の溶媒である。
前記低極性溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、およびトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルキルアルミニウム化合物は下式で表される。
AlRa mQ(3-m)
(式中、Raはアルキル基またはシクロアルキル基を示し、
QはRbで表される炭化水素基、式ORbで表される基、水素原子またはハロゲン原子を示し、
0<m≦3である。)
式中、Raはアルキル基またはシクロアルキル基を示し、Raの例としては、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基などのn-アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基などの分岐状アルキル基;
シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基;
が挙げられる。
Rbで表される炭化水素基の例としては、Raとして例示したアルキル基およびシクロアルキル基が挙げられ、さらにフェニル基、(4-メチルフェニル)基などの炭素数1〜15の炭化水素基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素などが挙げられる。
アルキルアルミニウム化合物の例としては、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムなどのトリ-n-アルキルアルミニウム、
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリ-2-メチルブチルアルミニウム、トリ-3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ-2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐状アルキルアルミニウム、
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、
ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド、
一般式Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド、
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド、
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、
エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドおよびその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム
などを例示することができる。
接触工程では、上記の各成分を接触させて有機金属錯体溶液が製造される。上記の各成分を接触させる方法としては、たとえば、
(1)有機金属錯体と、アルキルアルミニウム化合物と、低極性溶媒とを同時に容器に添加してこれらを接触させる方法、
(2)有機金属錯体と低極性溶媒とを接触させて有機金属錯体の懸濁液を調製し、次いで前記懸濁液とアルキルアルミニウム化合物とを接触させる方法、
(3)アルキルアルミニウム化合物と低極性溶媒とを接触させてアルキルアルミニウム化合物の溶液を調製し、次いで前記溶液と有機金属錯体とを接触させる方法
が挙げられる。
接触工程において有機金属錯体は、有機金属錯体中の金属原子に換算して、有機金属錯体溶液1L当たり1.0×10-4mol以上、好ましくは5.0×10-4〜1.0mol、さらに好ましくは1.0×10-3〜1.0×10-1molとなる量で用いられる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上述した本発明の有機金属錯体溶液の製造方法によって、有機金属錯体としてオレフィン重合用の遷移金属錯体を含む有機金属錯体溶液を調製する溶液調製工程、および前記有機金属錯体溶液を用いてオレフィンを重合する重合工程を含むことを特徴としている。
(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物、から選ばれる少なくとも1種の化合物、
(C)担体、
(D)有機化合物成分、または
不活性炭化水素媒体
などを添加した上で、遷移金属錯体(A)の存在下でオレフィンを重合してもよい。
次に、これら化合物(B)等について説明する。
《有機金属化合物(B−1)》
有機金属化合物(B−1)(以下「成分(B−1)」ともいう。)の例としては、下記のような周期律表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1から15、好ましくは1から4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物、
(B−1b)一般式 M2AlRa 4
(式中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素数1から15、好ましくは1から4の炭化水素基を示す。)
で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(たとえば、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4)、および
(B−1c)一般式 RaRbM3
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1から15、好ましくは1から4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである。)
で表される周期律表第2族または第12族金属のジアルキル化合物
が挙げられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)(以下「成分(B−2)」ともいう。)としては、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用することができる。具体的には、下記一般式[B2-1]
で表わされる化合物、特開平2-78687号公報、特開平2-167305号公報に記載れたベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物、特開平3-103407号公報に記載されている二種類以上のアルキル基を有するアルミノキサンが挙げられる。
遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)(以下「イオン性化合物(B−3)」または「成分(B−3)」ともいう。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。ただし、前述の(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は含まない。
イオン性化合物(B−3)は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いでもよい。
前記担体(C)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体であり、触媒成分として遷移金属錯体および担体を使用したオレフィン重合において従来使用されているもの、たとえば特許文献1(国際公開2015/122414号)の[0149]〜[0155]に記載されたものを使用することができる。
前記オレフィン重合用触媒の構成成分として、必要に応じて有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩等が挙げられる。
オレフィン重合の際には、各成分の使用法、添加順序は、任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、遷移金属錯体(A)、化合物(B)、担体(C)および有機化合物成分(D)を、それぞれ「成分(A)〜(D)」ともいう。なお本発明においては、遷移金属錯体(A)は、通常、前記溶液調製工程で調製された溶液の形態で添加される。
(1)成分(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)成分(A)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(B)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(B)を成分(C)に担持した触媒成分と、成分(A)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)成分(A)と成分(B)とを成分(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
成分(B)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。また、成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分においては、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
重合に供される前記オレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素数3から20の直鎖状または分岐状のα−オレフィンが挙げられる。これらのα−オレフィンは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
重合工程においてオレフィン重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。また、前記オレフィン重合用触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに設定することができる。
成分(B−1)は、成分(B−1)と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が通常1〜50,000、好ましくは10〜20,000、特に好ましくは50〜10,000となるような量で用いることができる。
[合成例1]
[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジクロリドを、国際公開第2015/122414号の合成例11に従い合成した。
合成例1に従い合成した[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジクロリドに、特開平7−53618の実施例86に従いメチルリチウムを反応させ、[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジメチルを合成した。
[参考例1]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジクロリド(以下「遷移金属錯体a」ともいう。)7.0mg及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン3.68mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液0.92mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジクロリド(遷移金属錯体a)の濃度がハフニウム原子量換算で2mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(15.9mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン2.09mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液2.09mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、遷移金属錯体aの濃度がハフニウム原子量換算で5mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(24.4mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン0.80mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液3.21mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を60分継続すると、遷移金属錯体aの濃度がハフニウム原子量換算で8mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(14.0mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン2.76mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液0.92mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、遷移金属錯体aの濃度がハフニウム原子量換算で5mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(13.7mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン3.24mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液0.36mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、遷移金属錯体aの濃度がハフニウム原子量換算で5mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(5.3mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン6.90mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、25℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液0.07mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、25℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、遷移金属錯体aの濃度がハフニウム原子量換算で1mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例1で製造された遷移金属錯体a(7.0mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン9.21mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始した。その後25℃に維持したまま撹拌を60分継続しても内容物は黄色の懸濁液のままであり、固体成分は完全に溶解しなかった。
[実施例7]
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例2で製造された[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジメチル(以下「遷移金属錯体b」ともいう。)15.9mg及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン2.21mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液2.21mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチル-フルオレニル)]ハフニウムジメチル(遷移金属錯体b)の濃度がハフニウム原子量換算で5mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例2で製造された遷移金属錯体b(15.1mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン3.78mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始して2℃まで冷却した。内容物が均一な懸濁液となったのを確認したのち、2℃に維持された1mmol/mlのトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液0.42mlを挿入した。トリイソブチルアルミニウム挿入後から徐々に懸濁液中の固体成分が溶解し、2℃に維持したまま撹拌を10分継続すると、遷移金属錯体bの濃度がハフニウム原子量換算で5mmol/lの黄色の均一な溶液が得られた。
充分に窒素置換した内容積25mlのガラス製2口フラスコに、合成例2で製造された遷移金属錯体b(6.1mg)及び活性アルミナにより不純物を除去したn−ヘキサン8.48mlを25℃で装入し、次いで撹拌を開始した。その後25℃に維持したまま撹拌を60分継続しても内容物は黄色の懸濁液のままであり、固体成分は完全に溶解しなかった。
〔エチレン/プロピレン/ENB共重合体の製造〕
[参考例9]
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘキサン1030ml、エチリデンノルボルネン(ENB)12mlを装入し、系内の温度を92℃に昇温した後、プロピレンを分圧で0.45MPa分装入し、エチレンを供給することにより全圧を1.6MPa−Gとした。次に、ここへトリイソブチルアルミニウム0.30mmol、参考例1で得られたトリイソブチルアルミニウムと接触させた遷移金属錯体Aの均一溶液0.075ml(この溶液は、遷移金属錯体aを0.00015mmol含む。)およびトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.0015mmolを窒素で圧入し、攪拌回転数を250rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を1.6MPa−Gに保ち、95℃で15分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を、大過剰のメタノール/アセトン混合溶液中に投入することにより、ポリマーを析出させた。ポリマーをろ過により回収し、120℃の減圧下で一晩乾燥した。
その結果、エチレン/プロピレン/ENB共重合体9.84gが得られた。遷移金属錯体a中のハフニウム原子1mmol当たりのマイレージは65.6kgであった。
Claims (4)
- 有機金属錯体溶液の製造方法であって、
有機金属錯体と、アルキルアルミニウム化合物と、20℃における比誘電率が10以下の低極性溶媒とを接触させる接触工程を有し、
前記接触工程において、前記有機金属錯体は、金属原子換算で、前記有機金属錯体溶液1L当たり5mmol以上となる量で用いられ、前記アルキルアルミニウム化合物は、アルミニウム原子換算で、前記有機金属錯体中の金属原子とのモル比(アルミニウム原子/金属原子)で1〜500となる量で用いられる有機金属錯体溶液の製造方法。 - 前記有機金属錯体が、金属原子にハロゲン原子または炭化水素基が結合した化学構造を含む有機金属錯体である請求項1に記載の有機金属錯体溶液の製造方法。
- 前記有機金属錯体がオレフィン重合触媒用の遷移金属錯体である請求項1または2に記載の有機金属錯体溶液の製造方法。
- 請求項3に記載の製造方法によって有機金属錯体溶液を調製する溶液調製工程、および
前記有機金属錯体溶液を用いてオレフィンを重合する重合工程
を含むオレフィン重合体の製造方法。
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