JP6997517B2 - 発泡体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発泡体及びその製造方法に関する。
近年、電子レンジの普及、コンビニエンスストアの増加に伴い、電子レンジ用容器の需要が伸びている。該容器には断熱性、耐熱性、耐油性が求められる。プロピレン系樹脂が好ましい素材の一つであるが、結晶性樹脂であるため、結晶融点を境に融点以上では溶融粘度が極めて低くなり、発泡した気泡を保持できず、破泡し易いという問題がある。
このような問題に対して、高溶融張力が有効とされ、分岐構造を持たせたり、電子線架橋を行ったり、超高分子量成分を添加するなどして、溶融張力を高くする方策が採られてきた。特許文献1には、分岐構造を持つ高溶融張力ポリプロピレンと低溶融張力ポリプロピレンとのブレンドが開示され、発泡特性と生産性とのバランスに優れ、なおかつ熱成形性にも優れる発泡成形体を提供し得るとされている。特許文献2には、高溶融張力ポリプロピレンと有機過酸化物存在下に処理されたポリプロピレンとのブレンドにおいて、発泡特性と熱成形性の両者に優れることが開示されている。
特開2005-336419号公報 特開2006-265318号公報
しかしながら、これらの方策は、プロピレン系樹脂のリサイクル性や生産性が低くなるため、コストが高くなる傾向がある。また、発泡倍率を高くするほど、コルゲートマークなどの抑制が困難となり、発泡特性が十分に満足しない。特許文献1では3倍程度、特許文献2では2倍程度である。特に押出発泡成形では発泡倍率3倍を超える発泡体の成形は、発泡特性を維持することが困難であると考えられていた。
この結果、発泡倍率が3倍を超える発泡体を製造しようとすると、破泡が起こり、目的とする発泡倍率には到達せず、破泡により気泡が複数連なった発泡体となることがある。このような発泡体は、電子レンジ用容器などの加熱に供される容器には不適となる。
本発明の目的は、各種用途に適した発泡体を提供することにある。
本発明によれば、以下の態様が提供される。
[1]プロピレン系樹脂組成物の発泡倍率3.5倍以上、6倍以下の発泡体であり、前記発泡体の側面を切断した試験片に対する浸漬試験において、前記側面からの着色最大距離が2mm以下であるポリプロピレン系発泡体。
[2]前記プロピレン系樹脂組成物は、下記(a-i)~(a-iii)に規定する要件を満たす[1]に記載のポリプロピレン系発泡体:
(a-i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)での分子量(M)が50万以上~200万未満の成分の比率が15.0質量%以下であり、
(a-ii)GPCでの分子量(M)が200万以上の成分の比率が0.1質量%以上10質量%以下であり、
(a-iii)MFRが3~20g/10分である。
[3] 前記プロピレン系樹脂組成物は、下記要件を満たす[1]に記載のポリプロピレン系発泡体:
角周波数が10rad/sのときの貯蔵弾性率G’(10)と角周波数が1rad/sのときの貯蔵弾性率G’(1)との比G’(10)/G’(1)と、角周波数が0.1rad/sのときの貯蔵弾性率G’(0.1)と角周波数が0.01rad/sのときの貯蔵弾性率G’(0.01)との比G’(0.1)/G’(0.01)との関係が、式(1)を満たす;
G’(10)/G’(1)-G’(0.1)/G’(0.01)>-1.5・・・(1)。
[4] 前記プロピレン系樹脂組成物が、さらに、下記要件(iv)を満たす、[2]又は[3]のポリプロピレン系発泡体:
(iv)180℃、10S-1における歪硬化の傾きが、0.085以上0.6以下である。
[5] さらに、下記要件(v)を満たす、[2]~[4]のポリプロピレン系発泡体:
(v)230℃における溶融張力(MT)が、15.0mN以下である。
[6] さらに、下記要件(vi)を満たす、[2]~[5]のポリプロピレン系発泡体:
(vi)180℃、10S-1における歪硬化の傾き(X)と、230℃における溶融張力(MT)(Y)が下記式を満たす;
(X)≧0.01×(Y)。
[7] 前記プロピレン系樹脂組成物は、下記プロピレン系樹脂(A)の2~50質量%とプロピレン系樹脂(B)の50~98質量%(樹脂(A)と(B)の合計は100質量%)からなるプロピレン系樹脂(X)を含む[1]~[6]のポリプロピレン系発泡体:
成分(A1):135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が7~20dL/g超のプロピレン単独重合体成分又はプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2~8のα-オレフィン(ただしプロピレンを除く)との共重合体
成分(A2):135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が0.5~3.0dL/gのプロピレン単独重合体成分又はプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2~8のα-オレフィン(ただしプロピレンを除く)との共重合体
プロピレン系重合体(B):230℃におけるメルトフローレートが5g/10分以上30g/10分以下、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.1以下。
[8] シート形状を有する[1]~[7]のポリプロピレン系発泡体。
[9] 前記プロピレン系樹脂組成物を押出発泡成形することを特徴とする[1]~[8]のポリプロピレン系発泡体の製造方法。
本発明によれば、3.5倍以上の高発泡倍率で発泡特性に優れるポリプロピレン系発泡体を提供できる。
歪硬化の傾きを説明するグラフである。 押出発泡成形機の一例の概略図である。 成分(A)と成分(B)のそれぞれのGPC曲線。 成分(A)と成分(B)混練後のGPC曲線。 貯蔵弾性率の比G’(10)/G’(1)と比G’(0.1)/G’(0.01)との関係を示すグラフ。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
発泡樹脂における気泡成長過程は、(1)気泡核生成、(2)気泡成長、(3)破泡、(4)破泡安定化の4つの過程を経る。高発泡倍率の成形品を得る場合、十分な気泡成長を促し、破泡を抑制することが鍵となる。本発明者らは、発泡倍率向上に必要な樹脂特性について鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
(イ)樹脂組成物の溶融張力は、低いと気泡を維持できず破泡しやすくなり、高すぎると気泡の成長が阻害され、高発泡倍率が得られない。
(ロ)気泡壁が伸張変形する際、粘度が上昇する歪硬化性が現れるが、この歪硬化性が高いほど気泡壁の破断が抑制され、発泡倍率の低下を防ぐことができる。
(ハ)歪硬化性を高めるには高分子量成分が必要であるが、その指標の一つに動的粘弾性測定から得られる角周波数(X)における貯蔵弾性率G’(X)がある。角周波数が0.1rad/sのときの貯蔵弾性率G’(0.1)と角周波数が0.01rad/sのときの貯蔵弾性率G’(0.01)との比G’(0.1)/G’(0.01)が小さいほど歪硬化性が上昇し、発泡倍率が向上する傾向にある。一方、角周波数が10rad/sのときの貯蔵弾性率G’(10)と角周波数が1rad/sのときの貯蔵弾性率G’(1)との比G’(10)/G’(1)が大きいほど気泡壁の延伸特性が良化し、伸張変形時の気泡壁の破断が抑制される。
本発明では、上記特性を満足するプロピレン系樹脂組成物を提供するため、分子量200万以上の超高分子量成分をある程度維持しつつ、分子量50万以上200万未満の成分量を減らすことが肝要であることを見出した。
本発明では樹脂構造の観点及び溶融物性の観点からプロピレン系樹脂組成物に含まれるプロピレン系樹脂(以下、プロピレン系樹脂(X)という)が規定される。
すなわち、本発明の一実施形態では、樹脂構造として下記(i)~(iii)に規定する要件を満たすプロピレン系樹脂(X)が用いられる。
(i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)での分子量(M)が50万以上~200万未満の成分の比率が15.0質量%以下であり、
(ii)GPCでの分子量(M)が200万以上の成分の比率が0.1質量%以上10質量%以下であり、
(iii)MFRが3~20g/10分である。
上記要件(i)における成分(以下、成分(i)という)は、13.5質量%以下であることが好ましく、12.0質量%以下であることがより好ましい。成分(i)の量が15.0質量%を超えると、気泡壁の延伸特性が悪化し、目的とする発泡倍率を達成することが困難となる。成分(i)の量の下限は特に設定されないが、0質量%にすることは、現在の技術では困難である。現状では、1質量%以上の成分(i)が含まれる。
上記要件(ii)における成分(以下、成分(ii)という)は、0.2質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。成分(ii)の量が0.1質量%未満では、十分な溶融張力が得られず、破泡しやすくなる。成分(ii)の量が10質量%を超えると、溶融張力が高くなりすぎ、気泡の成長が抑制され、目的とする発泡倍率を達成することが困難となる。
上記要件(iii)におけるMFR(メルトフローレート)は、JIS-K7210に準拠し、測定温度230℃、荷重2.16kgにて測定した値である。MFRが3g/10分未満では、気泡壁の延伸特性が悪化し、目的とする発泡倍率を達成することが困難となる。一方、MFRが20g/10分を超えると、十分な溶融張力が得られず、破泡しやすくなる。
本実施形態に係るプロピレン系樹脂組成物は、さらに、下記要件(iv)を満たすことが好ましい。
(iv)180℃、10S-1における歪硬化の傾きが、0.085以上0.6以下である。
歪硬化の傾きは、破泡を抑制する効果を示し、歪速度=10/sの場合の伸長粘度ηE(ε)と、動的粘弾性測定より得られた3η*(ε)を用いて、λn(ε)を式(I)のように求める。
λn(ε)=ηE(ε)/3η*(ε)・・・(I)
ここで、εは歪量を表す。
式(I)で求めたλn(ε)を、横軸にε、縦軸にLogλn(ε)を用いてプロットする。
図1はLogλn(ε)のプロットの一例である。このグラフ上で、εが2以上におけるLogλn(ε)を直線で近似し、近似直線の傾きを歪硬化の傾きと定義する。
本実施形態に係るプロピレン系樹脂は、さらに、下記要件(v)を満たすことが好ましい。
(v)230℃における溶融張力(MT)が、15.0mN以下である。
溶融張力(MT)は、13.5mN以下であることが好ましく、12.0mN以下であることがより好ましい。また、溶融張力(MT)は2.0mN以上であることが好ましい。溶融張力(MT)が15.0mN以下であれば、気泡壁の延伸特性が良化し、伸張変形時の気泡壁の破断が抑制される。
本実施形態に係るプロピレン系樹脂組成物は、下記要件(vi)を満たすことが好ましい。
(vi)180℃、10S-1における歪硬化の傾き(X)と、230℃における溶融張力(MT)(Y)が下記式を満たす;
(X)≧0.01×(Y)。
また、本発明の別の実施形態では、溶融物性として下記要件を満たすプロピレン系樹脂(X)を用いる。
角周波数が10rad/sのときの貯蔵弾性率G’(10)と角周波数が1rad/sのときの貯蔵弾性率G’(1)との比G’(10)/G’(1)と、角周波数が0.1rad/sのときの貯蔵弾性率G’(0.1)と角周波数が0.01rad/sのときの貯蔵弾性率G’(0.01)との比G’(0.1)/G’(0.01)との関係が、式(1)を満たす;
G’(10)/G’(1)-G’(0.1)/G’(0.01)>-1.5・・・(1)。
上記式(1)の関係を満たすことで、歪硬化性の上昇と延伸特性の良化のバランスに優れ、高発泡で連泡率の低い発泡体を得ることができる。
一方、コルゲートマークの抑制に必要な樹脂特性としては、以下の2点がある。
(ニ)押出発泡成形では、ダイ出口での樹脂の膨張(スウェル)が小さくなることでコルゲートマークの発生が抑制される。
(ホ)スウェルには緩和時間成分量が寄与しており、貯蔵弾性率G’(10)とG’(0.1)との比G’(10)/G’(0.1)が大きいほどスウェルが減少しコルゲートマークの発生が抑制される。
「スウェル比」とは、190℃の溶融樹脂をキャピラリーからせん断速度195/sで押し出した際に、キャピラリーの断面積をS1、キャピラリーから押し出された溶融樹脂の断面積をS2したとき、S2/S1で表される。このスウェル比が6以下であれば、押出発泡成形の際のコルゲートマークの発生が効果的に抑制できる。
このようなプロピレン系樹脂(X)を得るには、分子量分布の広いプロピレン系樹脂(A)を、高分子量成分を分解したプロピレン系樹脂(B)で希釈することで得られる。
[プロピレン系樹脂(A)]
プロピレン系樹脂(A)は、GPC測定における分子量(M)が200万以上の超高分子量成分を含むプロピレン系樹脂であり、多段重合により製造することができる。
プロピレン系樹脂(A)は、全重合体中、成分(A1)を5~80質量%、成分(A2)を20~95質量量%含む。
成分(A1):135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が7~20dL/gのプロピレン単独重合体成分又はプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2~8のα-オレフィン(ただしプロピレンは除く)との共重合体
成分(A2):135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が0.5~3.0dL/gのプロピレン単独重合体成分又はプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2~8のα-オレフィン(ただしプロピレンは除く)との共重合体
成分(A1)の極限粘度[η]は、7.5~18dL/gであることが好ましく、8~15dL/gであることがより好ましい。
共重合体成分を構成する炭素数2~8のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン以外のエチレン、1-ブテン等が挙げられる。このうち、好ましくは、エチレンである。
プロピレン系樹脂(A)は、例えば下記(a)及び(b)、又は下記(a)、(b)及び(c)からなるオレフィン重合用触媒を用い、2段階以上の重合工程で、プロピレンを重合又はプロピレンと炭素数2~8のα-オレフィンとを共重合させて製造することができる。
(a)四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元して得られる三塩化チタンをエーテル化合物及び電子受容体で処理して得られる固体触媒成分
(b)有機アルミニウム化合物
(c)環状エステル化合物
固体触媒成分(a)において、四塩化チタンを還元する有機アルミニウム化合物としては、例えば、(イ)アルキルアルミニウムジハライド、具体的には、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、及びn-プロピルアルミニウムジクロライド、(ロ)アルキルアルミニウムセスキハライド、具体的には、エチルアルミニウムセスキクロライド、(ハ)ジアルキルアルミニウムハライド、具体的には、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ-n-プロピルアルミニウムクロライド、及びジエチルアルミニウムブロマイド、(ニ)トリアルキルアルミニウム、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、及びトリイソブチルアルミニウム、(ホ)ジアルキルアルミニウムハイドライド、具体的には、ジエチルアルミニウムハイドライド等を挙げることができる。ここで、「アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の低級アルキルである。また、「ハライド」は、クロライド又はブロマイドであり、クロライドが好適である。
三塩化チタンを得るための、有機アルミニウム化合物による還元反応は、-60~60℃、好ましくは-30~30℃の温度範囲で行うことができる。上記温度範囲未満の場合には、還元反応に長時間が必要であり、また、上記温度超過の場合には、部分的に過還元が生じることがある。還元反応は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びデカン等の不活性炭化水素溶媒中で行うのが好ましい。
さらに、四塩化チタンの有機アルミニウム化合物による還元反応によって得られた三塩化チタンに対し、さらにエーテル処理及び電子受容体処理を施すことが好ましい。
三塩化チタンのエーテル処理で好ましく用いられるエーテル化合物としては、ジエチルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジネオペンチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル、ジ-n-オクチルエーテル、ジ-2-エチルヘキシルエーテル、メチル-n-ブチルエーテル及びエチル-イソブチルエーテル等の各炭化水素残基が炭素数2~8の鎖状炭化水素であるエーテル化合物が挙げられ、これらの中でも特にジ-n-ブチルエーテルを用いることが好適である。
三塩化チタンの処理で用いられる電子受容体としては、周期律表第III族~第IV族及び第VIII族の元素のハロゲン化合物が好ましく、具体的には、四塩化チタン、四塩化ケイ素、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、五塩化アンチモン、三塩化ガリウム、三塩化鉄、二塩化テルル、四塩化スズ、三塩化リン、五塩化リン、四塩化バナジウム及び四塩化ジルコニウム等を挙げることができる。固体触媒成分(a)を調製する際に、三塩化チタンのエーテル化合物及び電子受容体による処理は、両処理剤の混合物を用いて行ってもよく、また、一方による処理後に、他方による処理を行ってもよい。これらのうちでは、後者が好ましく、エーテル処理後に電子受容体処理を行うことがさらに好ましい。
エーテル化合物及び電子受容体による処理の前に、三塩化チタンを炭化水素で洗浄することが一般に望ましい。前記三塩化チタンのエーテル処理は、該三塩化チタンと前記エーテル化合物を接触させることによって行われる。また、エーテル化合物による三塩化チタンの処理は、希釈剤の存在下で両者を接触させることによって行うのが有利である。このような希釈剤には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼン及びトルエン等の不活性炭化水素化合物を使用することが好適である。エーテル処理における処理温度は、0~100℃であることが好ましい。処理時間については特に制限されないが、通常20分~5時間の範囲で行われる。
エーテル化合物の使用量は、三塩化チタン1モル当たり、一般に0.05~3.0モル、好ましくは0.5~1.5モルの範囲である。エーテル化合物の使用量が上記範囲未満の場合は、生成重合体の立体規則性を十分に向上させることができなくなるので好ましくない。また、上記範囲超過の場合は、生成重合体の立体規則性を十分向上させることができるが、収率が低下してしまうので好ましくない。尚、有機アルミニウム化合物やエーテル化合物で処理した三塩化チタンは、厳密に言えば、三塩化チタンを主成分とする組成物である。
本発明では、このような固体触媒成分(a)として、Solvay型三塩化チタンを好適に用いることができる。
有機アルミニウム化合物(b)としては、上記と同様の化合物が挙げられる。
環状エステル化合物(c)としては、例えば、γ-ラクトン、δ-ラクトン、ε-ラクトン等が挙げられる。このうち、好ましくは、ε-ラクトンである。
オレフィン重合用触媒は、上記(a)~(c)成分を混合することにより調製できる。
2段階以上の重合工程のうち、1段階目に、水素不存在下で、プロピレンを重合又はプロピレンと炭素数2~8のα-オレフィンとを共重合させることが好ましい。
このような水素不存在下でプロピレンの重合又はプロピレンとα-オレフィンとの共重合を行うことにより、超高分子量成分を含む成分(A1)を製造することができる。また、成分(A2)は、2段階目以降に製造することが好ましい。
尚、「水素不存在下」とは、実質的に水素不存在下という意味であり、水素が全く存在しない場合だけではなく、水素が極微量存在する場合(例えば、10molppm程度)も含まれる。要は、135℃テトラリン中で測定した、1段階目のプロピレン系重合体又はプロピレン系共重合体の極限粘度が7dL/g未満にならない程度に、水素を含む場合でも「水素不存在下」の意味に含まれる。
成分(A1)の製造条件としては、水素不存在下で、原料モノマーを重合温度として、好ましくは20~80℃、より好ましくは40~70℃、重合圧力として、一般に常圧~1.47MPa、好ましくは0.39~1.18MPaの条件下でスラリー重合して製造することが好ましい。
また、成分(A2)の製造条件としては、上記オレフィン重合用触媒を使用すること以外は特に制限されないが、原料モノマーを、重合温度として、好ましくは20~80℃、より好ましくは60~70℃、重合圧力として、一般に常圧~1.47MPa、好ましくは0.19~1.18MPa、分子量調節剤としての水素が存在する条件下で重合して製造することが好ましい。
上記の条件下、反応時間等を適宜調整することにより、1段目の重合工程で、135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が7dL/g以上のプロピレン単独重合体成分、又はプロピレンと炭素数2~8のα-オレフィンとの共重合体成分を、全重合体中に5~80質量%生成させ、2段目の重合工程で、135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が0.5~3.0dL/gのプロピレン単独重合体成分、又はプロピレンと炭素数2~8のα-オレフィンとの共重合体成分を、全重合体中に20~95質量%生成させることが好ましい。
本重合を行う前に、予備重合を行ってもよい。予備重合を行うと、パウダーモルフォロジーを良好に維持できる。予備重合は、一般的に、重合温度として、好ましくは0~80℃、より好ましくは10~60℃、重合量として、固体触媒成分1g当たり、好ましくは0.001~100g、より好ましくは0.1~10gのプロピレンを重合又はプロピレンと炭素数2~8のα-オレフィンを共重合させることが好ましい。
プロピレン系樹脂(A)の構造は特に制限はなく、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、共重合体として、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ランダムブロックポリプロピレン等が挙げられる。中でも、ホモポリプロピレンが好ましい。
プロピレン系樹脂(A)として、市販品を使用することもできる。
プロピレン系樹脂(B)
プロピレン系樹脂(B)は、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が5g/10分以上30g/10分以下、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.1以下のものである。
230℃におけるMFRは、5g/10分以上であることが好ましく、6g/10分以上であることがより好ましい。また、MFRは25g/10分以下であることが好ましく、22g/10分以下であることがより好ましい。
プロピレン系樹脂(B)の構造は特に制限はなく、プロピレン系樹脂(A)と同様に、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ランダムブロックポリプロピレン等が挙げられる。中でも、ホモポリプロピレンが好ましい。
プロピレン系樹脂(B)は、高分子量成分を含むプロピレン系樹脂(原料樹脂という)を有機過酸化物存在下に溶融混練して得られる。
溶融混練を行うにあたり、原料樹脂と有機過酸化物を混合するが、その混合方法は特に制限されない。例えば、ブレンダ、ミキサー等の混合機を用いて機械的に混合する方法、有機過酸化物を適当な溶剤に溶解して原料樹脂に付着させ、溶剤を乾燥することによって混合する方法等がある。
融混練温度は、原料樹脂の溶融温度以上でかつ有機過酸化物の分解温度以上の温度が採用される。しかし、あまり加熱温度が高いとポリマーの熱劣化を招く。一般に溶融温度は、170~300℃、特に180~250℃の範囲内に設定することが好ましい。
有機過酸化物は公知のものが一般に使用される。代表的な有機過酸化物としては、メチルエチルパーオキサイド、メチルイソブチルパーオキサイド等のパーオキサイド;イソブチリルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、その他のハイドロパーオキサイド;2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3-ビス-(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド;1,1-ジ-t-ブチルパーオキシ-シクロヘキサン、その他のパーオキシケタール;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル;t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、その他のパーカーボネート等を挙げられる。
有機過酸化物の使用量は、得られるプロピレン樹脂(B)のメルトフローレートの設定値等によって異なり一概に決定されないが、原料樹脂100質量部に対して0.001~4.0質量部、好ましくは0.005~2.0質量部が一般的である。
溶融混練に用いる原料樹脂は特に制限はなく、一般に市販されているホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ランダムブロックポリプロピレン等を使用できる。スラリー重合法、気相重合法で得られるものでよい。重合法は一段で重合してもよくまた多段であってもよい。上記プロピレン系樹脂(A)を用いることもできる。
有機過酸化物により、原料樹脂中の高分子量成分が分解されてプロピレン系樹脂(B)が得られる。有機過酸化物による分解が進むに従い、MFRが高くなる。MFRを高くするほど、高分子量側の成分が減少し、GPC曲線におけるピークは狭く、且つ高くなる。
プロピレン系樹脂(A)とプロピレン系樹脂(B)とを混練して本発明に係るプロピレン系樹脂(X)を得ることができる。配合量はプロピレン系樹脂(A)とプロピレン系樹脂(B)との合計100質量%において、プロピレン系樹脂(A)を2~50質量%、プロピレン系樹脂(B)を50~98質量%の範囲である。
高分子量成分を含むプロピレン系樹脂(A)を高分子量成分を除去したプロピレン系樹脂(B)で希釈することにより、高分子量側の成分量、特に分子量50万~200万の成分量が減少する。それにより上記樹脂構造もしくは溶融物性を満足する樹脂が得られる。
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂(X)を含むものである。さらに、プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂(X)以外に無機充填剤(C)を含むことができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、他のオレフィン系樹脂、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)を添加することもできる。
(C)無機充填剤
(C)成分の無機充填剤(以下、(C)成分)は必要に応じて添加される。
無機充填剤としては、例えばタルク、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中ではシート外観、機械的物性をバランス良く向上できるタルクが好ましい。
(C)成分の充填量は、シート外観等に影響を及ぼさない限り特に制限はないが、0~20質量%である。充填量が20質量%以下であれば、機械的物性の向上に対してシート外観の悪化が抑制できる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物はその効果を損なわない範囲で他の成分を含むことができる。本発明のプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、中和剤、難燃剤、結晶核剤等の添加剤を含むことができる。
発泡体の製造方法
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、各成分をドライブレンドや押出機内での溶融混練等の通常の方法で混合して製造できる。本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、各成分を混合した後、押出発泡成形により発泡シート、パイプ等の各種発泡体に成形することができる。成形方法としては、環状ダイ成形、T型ダイ成形等の一般的な成形方法を用いることができる。
発泡体は、断熱性及び容器外観に優れているので好ましい。平均セル径は発泡剤の種類や添加量、発泡倍率等により調整できる。本発明のプロピレン系樹脂組成物を発泡成形したものは、容易にこれらの条件を満たす。
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、3.5倍以上の発泡倍率の発泡体の成形に特に優れている。本明細書において、発泡倍率とは、(樹脂組成物の密度)/(発泡体の密度)を表す。発泡倍率は10倍以下であることが好ましく、6倍以下が好ましい。
発泡体の発泡倍率は、発泡剤の添加量等により変更することが可能であるが、樹脂構造や溶融物性により、十分に発泡しなかったり、破泡により目的の発泡倍率に到達しないことがある。本発明に係るプロピレン系樹脂組成物では、目的とする発泡倍率を有する破法体を得ることができる。
本発明の発泡体からなる成形品は通常の発泡成形により製造できる。例えば発泡シートは、上記したようなプロピレン系樹脂組成物と発泡剤とを押出機内で溶融混練した後、この溶融混練物を押出機先端に取り付けた、環状のリップを有する環状ダイスを用い、このダイスのリップより押出発泡して円筒状の発泡体を得、次いでこの円筒状発泡体を切り開いてシート状とする等して容易に製造される。
図2は、発泡体の成形が可能な押出発泡成形機の一例を示す概略図である。図2に示すように、押出発泡成形機100は、樹脂原料が投入されるホッパー110と、樹脂原料を溶融混練する押出機としてのシリンダ120と、シリンダ120に発泡ガス等の発泡剤を導入する発泡剤導入路130と、冷却用のマンドレル150と、円筒状の発泡体140をカットする切断部材160と、切断されたシートを巻き取る巻き取りローラ170を備えている。シリンダ120は略円筒状に形成され、シリンダ120の内径よりも小さい径をもつ略円柱状のスクリュ121を有している。スクリュ121は、その外周面にらせん状の羽122を有しており、スクリュ121の軸を中心として回転可能に支持されている。シリンダ120の内部でスクリュ121が回転することにより、シリンダ120内の樹脂原料が溶融混練される。発泡剤導入路130は、シリンダ120の内部につながる流路であり、例えば、発泡ガスが導入される。シリンダ120の先端には図示していない環状ダイス(丸ダイ)が取り付けられており、シリンダ120内で発泡ガスと混練された樹脂原料が丸ダイから発泡しつつ押し出されることで、円筒状の発泡体140が形成される。マンドレル150で冷却された後、カッター等の切断部材160で切断され、シート状にして巻き取りローラ170にて巻き取られる。
発泡体を得るにあたり、発泡剤としては、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤等を用いることができる。無機発泡剤としては、二酸化炭素、空気、窒素等が挙げられる。揮発性発泡剤としては、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ブタンとi-ブタンとの混合物、ペンタン、ヘキサン等の鎖状脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の環状脂肪族炭化水素等が挙げられる。さらに、分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。これらの発泡剤は適宜混合して用いることができる。特に、二酸化炭素が好ましく使用される。
発泡体を得るに当たって、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を添加することもできる。
本発明の発泡体は、発泡成形したもの(特に発泡シート)をさらに熱成形して所望の形状とすることができる。熱成形の方法としては、一般的な真空成形法や圧空成形法が用いられる。これらの成形法により得られる熱成形体は、食品用容器、電子材料用トレー等に用いることができる。
本発明の発泡体は、特に破泡が少なく、連泡率が低い発泡体である。連泡率は、浸漬試験における着色最大距離から把握することができる。浸漬試験における着色最大距離とは、発泡成形体からサンプルを切り出して染色液に浸し、3分後取り出して付着した染色液をふき取ったとき、切断面から内部に染色液がしみ込んだ距離を表す。本発明の発泡体では、この着色最大距離が2mm以下である。これは、電子レンジ用容器として使用する際に、連泡率が低くなれば、容器外部から水等の進入が少なくなり、加熱時に水の沸騰に伴う容器の破損が抑制できるためである。
したがって、プロピレン系樹脂組成物の発泡倍率3.5倍以上、6倍以下の発泡体であり、前記発泡体の側面を切断した試験片に対する浸漬試験において、前記側面からの着色最大距離が2mm以下であるプロピレン系発泡体が、本発明の一形態となる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、各例で得られた樹脂、成形体の各種特性の測定、評価は下記の通り行った。
(1)溶融張力(MT)(単位:mN)
以下の装置及び条件で測定した。
装置:東洋精機社製キャピログラフ1C(商品名)
温度:230℃
オリフィス:L=8mm、D=2.095mm
押出速度:15mm/min
引取速度:15m/min
(2)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルバーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により、下記の装置及び条件で測定したポリプロピレン換算のMw及びMnより算出した。
GPC測定装置
カラム:TOSOGMHHR-H(S)HT
検出器:Waters製液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS150C(商品名)
測定条件
溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン
温度:145℃
(3)メルトフローレート(MFR)(単位:g/10分)
JIS-K7210に準拠し、測定温度230℃、荷重2.16kgf(21.2N)にて測定した。
(4)貯蔵弾性率G’
以下の装置及び条件で測定した。
装置:Anton Paar社製、Physica MCR(商品名)
温度:200℃
歪み:10%
周波数:0.01~100rad/sec
(5)伸長粘度
以下の装置及び条件で測定した。
装置:Anton Paar社製、Physica MCR(商品名)
温度:180℃
歪速度:10/sec
(6)発泡倍率
成形品の質量を、水没法により求めた体積で除することにより密度を求め、未発泡品の密度で除することにより、発泡倍率として算出した。
(7)浸漬試験
発泡成形体からサンプルを切り出して染色液に浸し、3分後取り出して付着した染色液をふき取ったとき、切断面から内部に染色液がしみ込んだ距離の最大値を着色最大距離とする。
染色液:純正化学社製 メチルレッドエタノール溶液(1g/L)
評価基準は以下の通りである。
○:着色最大距離が全切断面で2mm以下
△:着色最大距離が一部の箇所で2mmを超える
×:着色最大距離が多くの箇所で2mmを超える
(8)押出発泡成形
下記条件により発泡シートを成形した。
成形機:東芝機械社製二軸押出機 TEM-41SS(商品名)
ダイ部形状:丸ダイ
ダイ部寸法:65mm
押出量:40kg/h
スクリュ回転数:100rpm
シリンダー設定温度:210℃
ダイ部設定温度:180℃
発泡剤:永和化成工業社製 EE205(商品名) 0.5部
炭酸ガス量280g/hで発泡倍率を測定した。
実施例、比較例において使用したプロピレン系樹脂(A)、(B)は以下の通りである。
[プロピレン系樹脂(A)((A)成分)]
(PP-1)
国際公開第2005/097842号の実施例6に記載された製造方法に準じた製造方法で得られた樹脂を[PP-1]とする。
成分(A1):極限粘度[η]=15dL/g、成分量=14質量%
成分(A2):極限粘度[η]=1.3dL/g、成分量=86質量%、
全MFR=2g/10分
(市販品)
プライムポリマー社製:商品名「VP103W」(略称:VP103)
成分(A1):極限粘度[η]=8dL/g、成分量=20質量%
成分(A2):極限粘度[η]=2dL/g、成分量=80質量%、
全MFR=3g/10分
[プロピレン系樹脂(B)((B)成分)]
元原料
・プライムポリマー社製:商品名「E-100GPL」
(MFR=0.9g/10分、略称:E100GPL)
・プライムポリマー社製:商品名「E-100GV」
(MFR=0.5g/10分、略称:E100GV)
・プライムポリマー社製:商品名「F-704NP」
(MFR=7g/10分、略称:F704NP)
・プライムポリマー社製:商品名「F763」
(MFR=3g/10分、略称:F763)
・PP-2
国際公開第2005/097842号の実施例1に記載された製造方法に準じた製造方法で得られた樹脂を[PP-2]とする。(MFR=4g/10分)
製造例
製造例:E100GPL(22)の製造
E-100GPL:100質量部に対し、有機過酸化物としてAD-11(商品名、化薬アクゾ社製)1.4質量部を加え、撹拌を十分に行った。これを、プラコー65mm単軸押出機(プラコー製)を用い、シリンダー温度230℃、押出量40kg/hで溶融混練した。得られたE100GPL(22)のMFRは22g/10分であった。
他のサンプルも、元原料種及び有機過酸化物の添加量を調整して、製造例と同様の方法で、所定のMFRを有する(B)成分を得た。
表1に、(B)成分の元原料とその樹脂種別、使用する(B)成分の表示、MFR及びMw/Mnを示す。なお、表示に()があるものは、高分子量成分を分解した樹脂(デグラ品)であり、括弧内の数値はMFR値(概算)を示し、実際の数値とは異なる場合がある。
Figure 0006997517000001
例1
表2に示す(B)成分を用いて、(A)成分のVP103と(B)成分を25:75の質量比で混練し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物のGPCでの分子量(M)が50万以上~200万未満の成分(i)の比率、200万以上の成分(ii)の比率、MFR、貯蔵弾性率、歪硬化の傾き、MT、SRを表2に示す。また、得られた樹脂組成物に図2に示す装置で発泡剤として二酸化炭素を200g/hおよび280g/hで混練し発泡体を得た。得られた発泡体の発泡倍率及び浸漬試験の結果を表2に合わせて示す。
Figure 0006997517000002
例2
(A)成分と(B)成分の種類及び使用比率を表3に示すように変更した以外は例1同様にして樹脂組成物の調製、各物性の測定、発泡体の製造を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006997517000003
例3
(A)成分と(B)成分以外にタルクを表4に示す配合比で添加して、例1と同様にして樹脂組成物を調製した。例1と同様に各物性の測定、発泡体の製造を行った。結果を表4に示す。
使用したタルクは、タルクにポリプロピレンを高充填したタルクマスターバッチ(三福工業株式会社製、商品名「MFR-TP20」(タルク:80%、PP=20%))を使用した。
Figure 0006997517000004
図5に上記例1~3のデータに基づく、貯蔵弾性率の比G’(10)/G’(1)と比G’(0.1)/G’(0.01)との関係を示すグラフを示す。発泡倍率が3.5倍以上、浸漬試験結果が○のものを○、それ以外を×として表示した。
本発明により得られた発泡体及びその熱成形品は、断熱性、耐熱性、耐油性に優れ、食品容器、特に電子レンジ用容器(トレイ、丼、カップ等)として好適である
100 押出発泡成形機
110 ホッパー
120 シリンダ
130 発泡剤導入路
140 発泡体
150 マンドレル
160 切断部材
170 巻き取りローラ

Claims (8)

  1. プロピレン系樹脂組成物の発泡倍率3.5倍以上、6倍以下の発泡体であり、前記発泡体の側面を切断した試験片に対する浸漬試験において、前記側面からの着色最大距離が2mm以下であるポリプロピレン系発泡体であって、
    前記プロピレン系樹脂組成物は、下記プロピレン系樹脂(A)の2~50質量%とプロピレン系樹脂(B)の50~98質量%(樹脂(A)と(B)の合計は100質量%)からなるプロピレン系樹脂(X)を含むポリプロピレン系発泡体:
    プロピレン系樹脂(A):全重合体中、成分(A1)を5~80質量%、成分(A2)を20~95質量%含む;
    ・成分(A1):135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が7~20dL/gのプロピレン単独重合体成分又はプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2~8のα-オレフィン(ただしプロピレンを除く)との共重合体成分、
    ・成分(A2):135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が0.5~3.0dL/gのプロピレン単独重合体成分又はプロピレンと少なくとも1種以上の炭素数2~8のα-オレフィン(ただしプロピレンを除く)との共重合体成分、
    プロピレン系樹脂(B):230℃におけるメルトフローレートが5g/10分以上30g/10分以下、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.1以下。
  2. 記プロピレン系樹脂組成物は、下記(i)~(iii)に規定する要件を満たす請求項1に記載のポリプロピレン系発泡体:
    (i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)での分子量(M)が50万以上~200万未満の成分の比率が15.0質量%以下であり、
    (ii)GPCでの分子量(M)が200万以上の成分の比率が0.1質量%以上10質量%以下であり、
    (iii)MFRが3~20g/10分である。
  3. 記プロピレン系樹脂組成物は、下記要件を満たす請求項1に記載のポリプロピレン系発泡体:
    角周波数が10rad/sのときの貯蔵弾性率G’(10)と角周波数が1rad/sのときの貯蔵弾性率G’(1)との比G’(10)/G’(1)と、角周波数が0.1rad/sのときの貯蔵弾性率G’(0.1)と角周波数が0.01rad/sのときの貯蔵弾性率G’(0.01)との比G’(0.1)/G’(0.01)との関係が、式(1)を満たす;
    G’(10)/G’(1)-G’(0.1)/G’(0.01)>-1.5・・・(1)。
  4. 前記プロピレン系樹脂組成物は、さらに、下記要件(iv)を満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリプロピレン系発泡体:
    (iv)180℃、10S-1における歪硬化の傾きが、0.085以上0.6以下である。
  5. 前記プロピレン系樹脂組成物は、さらに、下記要件(v)を満たす、請求項1~のいずれか一項に記載のポリプロピレン系発泡体:
    (v)230℃における溶融張力(MT)が、15.0mN以下である。
  6. 前記プロピレン系樹脂組成物は、さらに、下記要件(vi)を満たす、請求項1~のいずれか一項に記載のポリプロピレン系発泡体:
    (vi)180℃、10S-1における歪硬化の傾きを(X)、230℃における溶融張力(MT)を(Y)としたとき、(X)≧0.01×(Y)を満たす。
  7. シート形状を有する請求項1~のいずれか一項に記載のポリプロピレン系発泡体。
  8. 前記プロピレン系樹脂組成物を押出発泡成形することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のポリプロピレン系発泡体の製造方法。
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