JP6996078B2 - 着色樹脂組成物、カラーフィルタ及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
これまで、カラーフィルタ形成用材料として、顔料を用いた着色樹脂組成物が主に使用されているが、高輝度及び高コントラストとするために、例えば、非特許文献1では顔料粒子の粒径をその呈色波長の1/2以下にまで微分散する方法が開示されている。
一方で、染料を使用した着色樹脂組成物は顔料を使用したものと比較し、輝度において有利であるが、製膜の際のプロセスである露光や加熱下での耐久性が劣る傾向にある。また、加熱製膜の際、染料が樹脂中へ拡散しやすいため、隣接する着色パターンに色が移る移染現象が起こりやすく、輝度や色純度が低下する恐れがあるとして指摘されている。また、製膜後のカラーフィルタから、それに隣接する液晶中へ染料が溶出し、液晶の電圧保持率を下げてしまうという問題も指摘されている。
本発明者らの検討によると、特許文献1に記載のトリアリールメタン系化合物を用いた場合、電圧保持率や隣接着色パターンへの移染防止が不十分であることが見出された。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、色純度が高く、カラーディスプレイの製造過程で要求される耐熱性や耐光性、長期信頼性に必要な電圧保持率を満足し、隣接着色パターンへの移染のない着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
即ち本発明は以下を要旨とする。
前記(A)色材が、下記一般式(I)で表されるトリアリールメタン系化合物を含有することを特徴とする、着色樹脂組成物。
[Am-]は、m価のアニオンを表す。nは1~4の整数を表す。
R1~R5は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
Xはl価の連結基を表す。
lは2以上の整数を表し、l=m×nの関係を満たす。)
[3] 前記R3及びR4の少なくともいずれか一方が下記一般式(II)で表される基である、[1]又は[2]に記載の着色樹脂組成物。
[5] 前記[Am-]が、置換基を有していてもよい1価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオンである、[4]に記載の着色樹脂組成物。
[6] さらに(D)重合性モノマーを含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
[7] さらに(E)光重合開始成分及び/又は(E’)熱重合開始成分を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
[8] 前記(A)色材が、さらに顔料を含有する、[1]~[7]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有する、カラーフィルタ。
[10] [9]に記載のカラーフィルタを有する、画像表示装置。
[Am-]は、m価のアニオンを表す。nは1~4の整数を表す。
R1~R5は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
Xはl価の連結基を表す。
lは2以上の整数を表し、l=m×nの関係を満たす。)
[13] 前記R3及びR4の少なくともいずれか一方が下記一般式(II)で表される基である、[11]又は[12]に記載のトリアリールメタン系化合物。
[14] 前記[Am-]が、置換基を有していてもよいm価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオンである、[11]~[13]のいずれかに記載のトリアリールメタン系化合物。
[15] 前記[Am-]が、置換基を有していてもよい1価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオンである、[15]に記載のトリアリールメタン系化合物。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及びメタクリルのうち少なくとも一方」、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一方」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一方」を意味するものとする。
更に、「芳香族環」とは、「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を意味するものとする。
また、「C.I.ピグメントグリーン」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)所収の色材名称を意味する。
(一般式(I)で表される化合物)
本発明の着色樹脂組成物に含まれる(A)色材は、下記一般式(I)で表されるトリアリールメタン系化合物を含有する。
R1~R5は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
Xはl価の連結基を表す。
lは2以上の整数を表し、l=m×nの関係を満たす。
R1~R5は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
R1~R5におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。その炭素数は1以上が好ましく、2以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、6以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで耐熱性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで移染が改善する傾向がある。
また、置換基を有するアルキル基の具体例としては、フェネチル基、2-エトキシエチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基等が挙げられる。
また、芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
また、置換基を有するアルキル基の具体例としては、フェネチル基、2-エトキシエチル基等が挙げられる。
また、芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
該環の炭素数(ただし、αとβと結合したC原子、α及びβを含む)は30以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましく、また5以上であることが好ましく、7以上であることがより好ましい。前記上限値以下とすることで、耐熱性が向上する傾向があり、また、前記下限値以上とすることで、溶媒への溶解度が向上する傾向がある。
フッ素原子、塩素原子、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数1~8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2~9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2~9のアルキルスルファモイル基、炭素数2~9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1~4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1~8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1~8のアルキルチオ基。
中でも、好ましくは炭素数1~8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2~8のアルキルカルボキシル基、スルファモイル基、炭素数2~9のアルキルスルファモイル基、及びフッ素原子である。
フッ素原子、塩素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数1~8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2~9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2~9のアルキルスルファモイル基、炭素数2~9のアルキルカルボニル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1~4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1~8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1~8のアルキルチオ基。
中でも、好ましくは炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2~8のアルキルカルボキシル基、スルファモイル基、炭素数2~9のアルキルスルファモイル基、及びフッ素原子である。
フッ素原子、塩素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数1~8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2~9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2~9のアルキルスルファモイル基、炭素数2~9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1~4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1~8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1~8のアルキルチオ基。
中でも、好ましくは炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2~8のアルキルカルボキシル基、スルファモイル基、炭素数2~9のアルキルスルファモイル基、及びフッ素原子である。
前記一般式(I)において、Xはl価の連結基を表す。
連結基としては、1価トリアリールメタンカチオンをl個連結できるものであれば特に限定されないが、例えば、脂肪族基、芳香族基、脂肪族基と芳香族基を連結した基が挙げられる。また、これらの基に含まれるメチレン基(-CH2-)は、-O-、-CO-、-COO-、-CONH-、-NH-、-SO2-、-SO2NH-、-S-からなる群から選ばれる少なくとも1つで中断されていてもよい。
また、該Xの炭素数は特に限定されないが、2以上が好ましく、4以上がより好ましく、6以上がさらに好ましく、また、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましく、12以下がよりさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶解度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで移染が改善する傾向がある。
前記一般式(I)において、lは2以上の整数を表し、l=m×nの関係を満たす。
lは通常2以上であり、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。前記上限値以下とすることで合成が容易である傾向がある。
式(I)において、[Am-]は、m価のアニオンを表す。
(C6H5)4B-、(C6F5)4B-等のホウ素アニオン;
CH3COO-、C2H5COO-、C6H5COO-等のカルボン酸アニオン;
SO4 2-、HSO4 -等の硫酸アニオン;
HPO4 2-、PO4 3-等のリン酸アニオン;
スルホン酸アニオン等が挙げられる。
スルホン酸アニオンとしては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、カンファースルホン酸など置換基を有していてもよい脂肪族スルホン酸アニオン;
ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸など置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸アニオン;
acid blue 80(C.I.61585)、acid green 25(C.I.61570)、acid blue 45(C.I.63010)、acid blue 43(C.I.63000)、acid blue 25(C.I.62055)、acid blue 40(C.I.65125)等のスルホナト基を有するアントラキノン系色素のアニオン;
direct blue 86(C.I.74810)、direct blue 199 (C.I.14190)等のスルホナト基を有するフタロシアニン系色素のアニオン;
acid blue 74(C.I.73015)等のスルホナト基を有するインジゴ系色素のアニオン;
ハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン、ハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
また、ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の数は特に限定されないが、27以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、通常3以上である。前記下限値以上とすることでアニオンの電荷が分散されて、アニオンが安定化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで適度な溶解性を有し、カチオンとの立体反発の影響が小さくなり、カチオンとより強い相互作用が可能となる傾向がある。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は特に限定されないが、30以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、通常4以上であり、好ましくは6以上である。前記上限値以下とすることでカチオンとの立体障害を抑えてアニオンを安定化できる傾向がある。
芳香族炭化水素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
ハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン、又はハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオンが有していてもよい置換基の数は特に限定されないが、立体障害抑制の観点から、1つ~3つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
これらの中でも、アニオン安定化の観点から、前記置換基はアニオンの末端にあることが好ましく、特に下記式(A-1)で表されるアニオン、又は下記式(A-2)で表されるアニオンであることが好ましい。
R3aは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を表す。
R4aはハロゲノアルキル基を表す。
X1~X3は各々独立に、直接結合、-(CH2)-、-NH-、-O-及び-S-からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又はこれらが2以上結合した基を表す。
R7aは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を表す。
R8a及びR9aは各々独立に、ハロゲノアルキル基を表す。
X4~X6は各々独立に、直接結合、-(CH2)-、-NH-、-O-及び-S-からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又はこれらが2以上結合した基を表す。
R1a、R2a、R5a、及びR6aは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
これらのうち、アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。その炭素数は溶媒への溶解性の観点から、8以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、溶媒への溶解性の観点から、2以上であることが好ましい。
具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、2-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、3-メチルブチル基等が挙げられる。これらの中で形成される塩の結晶性と溶解性のバランスの観点から、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、前述の置換基群W1のものが挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの芳香族環基の中でも製造容易性の観点からは、芳香族炭化水素環基であることが好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、前記置換基群W2のものが挙げられる。
R1aとR2aは同じであっても異なっていてもよい。例えば、R1a及びR2aが、各々独立に置換基を有していてもよいアルキル基であってもよく、R1a及びR2aが、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族環基であってもよく、R1aが置換基を有していてもよいアルキル基であり、かつ、R2aが置換基を有していてもよい芳香族環基であってもよい。
R5aとR6aは同じであっても異なっていてもよい。例えば、R5a及びR6aが、各々独立に置換基を有していてもよいアルキル基であってもよく、R5a及びR6aが、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族環基であってもよく、R5aが置換基を有していてもよいアルキル基であり、かつ、R6aが置換基を有していてもよい芳香族環基であってもよい。
R3aは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を表す。
これらのうち、アルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基、環状のアルキレン基、又はこれらを結合した基が挙げられる。その炭素数は電荷の偏りを抑制するとの観点から、8以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、通常1以上である。
具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。これらの中で電荷の偏りを抑制するとの観点から、メチレン基が好ましい。
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、前記置換基群W1のものが挙げられる。
2価の芳香族炭化水素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの2価の芳香族環基の中でも電荷の偏り抑制との観点からは、2価の芳香族炭化水素環基であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、前記置換基群W2のものが挙げられる。
R4a、R8a、及びR9aは各々独立に、ハロゲノアルキル基を表す。
ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の種類は特に限定されないが、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であることが好ましく、フッ素又は塩素であることがより好ましく、フッ素であることがさらに好ましい。ハロゲン原子の種類を上記のものとすることで、アニオンの電荷がより非局在化して、色材の耐熱性を向上できる傾向がある。
また、ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の数は特に限定されないが、27以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、通常3以上である。前記下限値以上とすることでアニオンの電荷が分散されて、アニオンが安定化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで適度な溶解性を有し、カチオンとの立体反発の影響が小さくなり、カチオンとより強い相互作用が可能となる傾向がある。
ハロゲノアルキル基の炭素数は特に限定されないが、12以下が好ましく、6以下がより好ましく、通常1以上である。前記下限値以上とすることでアニオンの電荷が分散されて、アニオンが安定化する傾向があり、前記上限値以下とすることでカチオンとの立体反発の影響が小さくなり、カチオンとより強い相互作用が可能となる傾向がある。
具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、1,1,1-トリフルオロエチル基などが挙げられ、電荷の偏り抑制との観点からトリフルオロメチル基であることが好ましい。
X1~X6は各々独立に、直接結合、-(CH2)-、-NH-、-O-及び-S-からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又はこれらが2以上結合した基を表す。
つまり、X1~X6は各々独立に、上記群から選ばれる2価の基を2種以上結合したものでもよく、また1種を2個以上結合したものでもよい。結合する場合の個数は、通常2個以上、また通常15個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは10個以下である。
これらの中でも、合成容易性の観点から、-(CH2)-又は-NH-であることが好ましく、-NH-であることがより好ましい。
前記式(I)において、nは1~4の整数を表す。nは、l=m×nの関係を満たすものであれば特に限定されない。例えば、lが2、mが2であればnは1となり、lが2、mが1であればnは2となる。
前記一般式(I)で表されるトリアリールメタン系化合物において、トリアリールメタンカチオンの分子量は、1000以上であることが好ましく、1200以上であることがより好ましく、また、4000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましい。前記下限値以上とすることで移染が改善する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで合成がしやすい傾向がある。
前記式(I)で表される化合物のカチオン部分としては、例えば以下に挙げられるものを用いることができる。
前記式(I)で表される化合物は、例えば「総説合成染料」(堀口博著、三共出版、1968年)、「理論製造 染料化学」(細田豊著、技報堂、1957年)、国際公開第2009/107734号パンフレット、国際公開第2015/080217号パンフレットに記載の方法に準じて合成することができるが、この方法に限られない。
本発明の着色樹脂組成物における(A)色材は、式(I)で表されるトリアリール系メタン系化合物を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
着色樹脂組成物における(A)色材の含有割合は特に限定されないが、全固形分中0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上がよりさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましく、15質量%以上が最も好ましく、また、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで着色力が確保され易くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで所望の濃度の色度が得られ易く、また、膜質が良くなる傾向がある。
本発明の着色樹脂組成物における(A)色材は、前記一般式(I)で表されるトリアリールメタン系化合物以外に、その他の色材を含有していてもよい。その他の色材としては、その他の染料や顔料が挙げられる。
その含有割合は特に限定されないが、全固形分中、好ましくは70質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。また、(A)色材に対する含有割合は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。上記範囲内とすることで、着色樹脂組成物中における吸収波形および輝度に大きな影響を与えることなく、得られる画素の色調、耐熱性、耐光性がより良好になり易い点で好ましい。
その他の染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料、シアニン系染料、トリアリールメタン系染料、ジピロメテン系染料、キサンテン系染料等が好ましく挙げられる。
更に、シアニン系染料としては、例えば、国際公開第2011/162217号パンフレットに記載のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
特に青色画素を形成する際には、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、ジピロメテン系染料、シアニン系染料、フタロシアニン系染料が好ましく、耐久性の観点から、キサンテン染料又はジピロメテン染料がより好ましく、キサンテン系染料がさらに好ましい。
本発明の着色樹脂組成物中には、その他の染料が1種だけ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
顔料としては、例えばカラーフィルタの画素等を形成する場合には、青色、紫色等各種の色の顔料を使用することができる。また、その化学構造としては、例えばフタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。この他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。
このため、本発明の着色樹脂組成物が青色顔料を含む場合、青色顔料の全含有量に対して、80質量%以上、特に90質量%以上、とりわけ95~100質量%が、C.I.ピグメントブルー15:6であることが好ましい。
これらの中でも、紫色のジオキサジン顔料が好ましく、該ジオキサジン顔料として、C.I.ピグメントバイオレット19、23などが好ましく挙げられ、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
特に、青色の銅フタロシアニン顔料についても同様に、好ましくは平均一次粒径が40nm以下であり、より好ましくは35nm以下、更に好ましくは20~30nmである。
なお、ここで、顔料の平均一次粒径は以下の方法により測定・算出された値とすることができる。
得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し、平均粒径を求める。
本発明の着色樹脂組成物に含有される(B)溶剤は、着色樹脂組成物に含まれる各成分を溶解または分散させ、粘度を調節する機能を有する。
(B)溶剤としては、着色樹脂組成物を構成する各成分を溶解または分散させることができるものであればよく、沸点が100~200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120~170℃の沸点をもつものである。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-モノt-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのような1価または多価アルコール類;
n-ペンタン、n-オクタン、ジイソブチレン、n-ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトンのような鎖状または環状エステル類;
3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、例えば任意成分として前述のその他の顔料を含む場合には、塗布性、表面張力などのバランスがよく、着色樹脂組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、溶剤としてさらにグリコールアルキルエーテルアセテート類を混合して使用することがより好ましい。尚、顔料を含む着色樹脂組成物中では、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、顔料を凝集させる傾向があり、着色樹脂組成物の粘度を上げる等、保存安定性を低下させる場合がある。このため、グリコールモノアルキルエーテル類の使用量は過度に多くない方が好ましく、(B)溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、インクジェット法によるカラーフィルタ製造に供してもよいが、インクジェット法によるカラーフィルタ製造においては、ノズルから発せられるインクは数~数十pLと非常に微小であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには溶剤の沸点は高い方が好ましく、具体的には、(B)溶剤が沸点180℃以上の溶剤を含むことが好ましい。特に、沸点が200℃以上、とりわけ沸点が220℃以上の溶剤を含有することが好ましい。また、沸点180℃以上である高沸点溶剤は、(B)溶剤中50質量%以上であることが好ましい。このような高沸点溶剤の割合が50質量%未満である場合には、インク液滴からの溶剤の蒸発防止効果が十分に発揮されないおそれがある。
本発明の着色樹脂組成物において(C)バインダー樹脂は、前述の溶剤に可溶で、十分な硬化度の硬化膜を形成できるようなものであれば何ら限定されないが、アルカリ現像してパターンを形成するとの観点からは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。例えば、特開平7-207211号公報、特開平8-259876号公報、特開平10-300922号公報、特開平11-140144号公報、特開平11-174224号公報、特開2000-56118号公報、特開2003-233179号公報などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C-1)~(C-5)の樹脂などが挙げられる。
(C-2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C-2)(以下、「樹脂(C-2)」と称す場合がある。)
(C-3):前記樹脂(C-2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C-3)」と称す場合がある。)
(C-4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C-4)」と称す場合がある。)
(C-5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C-5)と称す場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(C-1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
(C-1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
樹脂(C-1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5~90モル%と、他のラジカル重合性単量体10~95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10~100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10~100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
R96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5~6であることが好ましい。
中でも、式(IV)で表される構造としては、特に下記構造式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)で表されるものが好ましい。
前記式(IV)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-tert-ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5~90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10~95モル%と、からなるものが好ましく、前者20~80モル%と、後者80~20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30~70モル%と、後者70~30モル%とからなるものが特に好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10~100モル%に付加させるが、好ましくは30~100モル%、より好ましくは50~100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10~100モル%に付加させるが、好ましくは20~90モル%、より好ましくは30~80モル%に付加させる。
尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8-297366号公報や特開2001-89533号公報に記載されている。
また、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0~5.0が好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は(D)重合性モノマーを含有することが好ましい。(D)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)であることが好ましい。
エチレン性化合物は、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述する光重合開始成分の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。尚、本発明における(D)重合性モノマーは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも包含する。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、単一物であってもよく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、必要に応じて(D)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1~100mg-KOH/gであり、特に好ましくは5~80mg-KOH/gである。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
また、(D)重合性モノマーの前述の(A)色材100質量部に対する比率は、通常1質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは50質量部以上、さらに好ましくは100質量部以上、よりさらに好ましくは150質量部以上、特に好ましくは200質量部以上であり、また、通常500質量部以下、好ましくは400質量部以下、より好ましくは300質量部以下である。
上記範囲内であると、光硬化が適度であり、現像時の密着不良が置き難く、また現像後の断面が逆テーパー形状になり難く、更に溶解性低下による剥離現象・抜け不良が置き難いため好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(E)光重合開始成分及び(E’)熱重合開始成分のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(C)成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、(D)成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始成分及び熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始成分のうち少なくとも一方を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始成分としての(E)成分とは、光重合開始剤(以下、任意に「(E1)成分」とも称する)に重合加速剤(以下、任意に「(E2)成分」とも称する)、増感色素(以下、任意に「(E3)成分」とも称する)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
本発明における(E)光重合開始成分は、通常、(E1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(E2)重合加速剤及び(E3)増感色素等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
これら光重合開始剤の中では、α-アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
また、オキシムエステル系誘導体類としては、2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1-オクタノン、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシム及び下記式(V)で表される化合物等が挙げられる。
R102は、炭素数2~20のアルカノイル基、炭素数3~25のアルケノイル基、炭素数4~8のシクロアルカノイル基、炭素数7~20のアリーロイル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、炭素数7~20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2~20のヘテロアリール基、炭素数3~20のヘテロアリーロイル基または炭素数2~20のアルキルアミノカルボニル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。
Zは、置換基を有していてもよい芳香族環基を示す。)
なお、前記式(V)で表される化合物の中でも、Xが置換基を有していてもよいカルバゾール環である化合物が好ましく、具体的には下記式(VI)で表される化合物などが挙げられ、中でも下記式(VII)で表される化合物が特に好ましい。
R102aは、炭素数2~4のアルカノイル基を示し、Xaは、窒素原子が1~4のアルキル基で置換されていてもよい3,6-カルバゾリル基を示す。Zaは、アルキル基で置換されていてもよいフェニル基またはモルホリノ基で置換されていてもよいナフチル基を示す。
必要に応じて用いられる(E2)重合加速剤としては、例えば、N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N-ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(E3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4-221958号公報、特開平4-219756号公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3-239703号公報、特開平5-289335号公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3-239703号公報、特開平5-289335号公報等に記載の3-ケトクマリン系色素;特開平6-19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47-2528号公報、特開昭54-155292号公報、特公昭45-37377号公報、特開昭48-84183号公報、特開昭52-112681号公報、特開昭58-15503号公報、特開昭60-88005号公報、特開昭59-56403号公報、特開平2-69号公報、特開昭57-168088号公報、特開平5-107761号公報、特開平5-210240号公報、特開平4-288818号公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
(E3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい(E’)熱重合開始成分の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の熱重合開始成分を用いることができる。
これらの熱重合開始成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、前記各成分の外に、界面活性剤、有機カルボン酸及び有機カルボン酸無水物のうち少なくとも一方、熱硬化性化合物、可塑剤、熱重合防止剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等を含有していてもよい。これら任意成分としては、例えば特開2007-113000号公報記載の各種化合物を使用することができる。また、顔料を含有する場合には、分散剤や分散助剤を含有してもよい。
本発明の着色樹脂組成物が、顔料を含む場合、更に分散剤を含有することが好ましい。
本発明における分散剤は、顔料が分散し、安定を保つことができれば特に種類を問わない。
例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、ブロック共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。これら分散剤の中で、ブロック共重合体、ポリウレタン、カチオン性櫛型グラフトポリマーが好ましい。特にブロック共重合体が好ましく、この中でも親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
係るアクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、4級アンモニウム塩基及びアミノ基のうち少なくとも一方を有する単位構造を有し、顔料吸着機能を持つ部位である。
このようなブロック共重合体としては、例えば、特開2009-025813号公報に記載のものが挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物が、顔料を含有する場合、分散剤の全固形分中の含有割合は、顔料の総含有量100質量部に対して2~1000質量部、特に5~500質量部、とりわけ10~250質量部の範囲内となるように用いることが好ましい。
上記範囲内とすることで、式(I)で表されるトリアリールメタン系化合物の耐熱性に影響を及ぼすことなく、良好な顔料分散性を確保することができ、また顔料の分散安定性がより良好となる点で好ましい。
本発明の着色樹脂組成物には、分散助剤を含有していてもよい。ここでいう分散助剤は、顔料誘導体であってもよく、顔料誘導体としては、例えば特開2001-220520号公報、特開2001-271004号公報、特開2002-179976号公報、特開2007-113000号公報、及び特開2007-186681号公報等に記載の各種化合物等を使用することができる。
本発明において、着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、前記一般式(I)で表されるトリアリールメタン系化合物を含有する(A)色材及び(C)バインダー樹脂を、(B)溶剤及び必要に応じて用いられる任意成分と共に混合することで調製できる。
また、顔料を含む場合の調製方法としては、顔料を含む溶剤中、分散剤及び必要に応じて添加する分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液を調製する。該顔料分散液に、(C)バインダー樹脂、必要に応じて、(D)重合性モノマー、(E)光重合開始成分及び熱重合開始成分のうち少なくとも一方、などを添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
一方で、顔料を含まない場合、例えば色材として染料のみを用いる場合の調製方法としては、分散剤や分散助剤を必要とせず、また煩雑な顔料の分散工程が不要であるため、着色樹脂組成物を安価に製造することができる。
移染評価方法は特に限定されないが、後述の実施例に記載のように、本発明の着色樹脂組成物とは異なる色相のベタの硬化膜を有する基板を準備し、本発明の着色樹脂組成物を該ベタ膜上に塗布し、マスクを介して露光・現像・硬化を行い、矩形又はドット状のホールを有するパターンを形成し、該ホール及びそのエッジ部を含む透過像を取得し、その明暗プロファイルを解析することにより評価することができる。この場合、現像や光学顕微鏡の解像度の点から、径が30~40μm程度のホールとすることが望ましい。また、明暗プロファイルの解析はライン解析でもよいか、ノイズを抑制するとの観点からはホール及びそのエッジを含む面を対象とした面解析が望ましい。
また、その他の方法としては、大塚電子の顕微分光装置「高繊細CF基板光学測定装置 LCF-100MA-SE」等の、十分ビームが絞られ集光が良好な光学系を用いて評価する方法や、当該顕微分光装置との相関曲線を求めた上で上述の明暗プロファイル解析を行う方法などが挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解或いは分散された状態である。このような着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタの画素としての応用、及びそれらを用いた画像表示装置について説明する。画像表示装置としては、具体的には液晶表示装置(パネル)及び有機EL表示装置が挙げられる。
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィー法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
画素を形成する際に使用される基板としては、透明で適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、各種ガラスなどが挙げられる。
着色樹脂組成物を基板に塗布する際には、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
上記範囲内であると、パターン現像や液晶セル化工程でのギャップ調整が容易であり、また所望の色発現がし易い点で好ましい。
露光の際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190~450nmの範囲にある放射線が好ましい。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ-エタノールアミン、ジ-エタノールアミン、トリ-エタノールアミン、モノ-メチルアミン、ジ-メチルアミン、トリ-メチルアミン、モノ-エチルアミン、ジ-エチルアミン、トリ-エチルアミン、モノ-イソプロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、モノ-イソプロパノールアミン、ジ-イソプロパノールアミン、トリ-イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5~300秒が好ましい。
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
本発明のカラーフィルタを有する有機EL表示装置を作成する場合、例えば図7に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
<染料の合成>
(合成例1:染料Aの合成)
1H-NMR(400MHz,CDCl3):7.18-7.23(m, 4H), 6.71-6.75(m, 2H), 6.62-6.66(m, 4H), 3.15(t, J=6.8Hz,4H),1.63-1.71(m, 4H), 1.47-1.53(m, 4H)
化合物7(2.72mmol)に水(17mL)を加え、塩化シアヌル(0.5g、2.72mmol)をアセトン(2mL)に懸濁させた溶液をpH=4~6で0~5℃を保持しながら加えて、さらに1.5時間撹拌した。次いで室温にてpH=6~7で、アニリン(0.25g、2.72mmol)と塩酸(0.28mL)の混合物を水(1mL)に溶解した液を添加し、さらに0.5時間撹拌した。その後、アニリン(1.0g、10.88mmol)と塩酸(1.12mL)の混合物を水(2mL)に溶解した液を加えて、外温70℃でpH=8~9として8時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却後、濾過して化合物8(1.22g、収率76%)を得た。
質量分析(MALDI-MS)により、2価である目的カチオン部の1/2の分子イオン、1価である目的アニオン部の分子イオンを確認し、上記式で表される色素であると同定した。
化合物3の替わりにN,N’-ジフェニルエチレンジアミンを用いた以外は染料Aの合成と同様にして染料Bを合成した。
国際公開第2012/144520号パンフレットに記載の手法で下記化合物9を合成し、化合物9と化合物8から前述と同様の手法にて比較染料1を合成した。
特開2015-127407号公報に記載の手法で下記化合物10を合成し、化合物10と化合物8から前述と同様の手法にて比較染料2を合成した。
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)145質量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10質量部、グリシジルメタクリレート85.2質量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA-513M)66質量部を滴下し、および2.2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル8.47質量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2質量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7質量部およびハイドロキノン0.12質量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2質量部、トリエチルアミン0.7質量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂AのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、固形分換算で酸価80mg-KOH/gであった。この樹脂溶液に固形分が44質量%になるようPGMEAを加えて、樹脂Aとして用いた。
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400質量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
室温まで冷却し、重量平均分子量(Mw)8000、酸価101mg-KOH/gの重合体溶液(固形分濃度40質量%、PGMEA溶液)を得た。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(水酸基価51mgKOH/g)1000質量部に、無水コハク酸49質量部、トリエチルアミン2.5重量部、およびハイドロキノン0.25重量部の存在下に100℃で5時間反応させ、下記に示すジペンタエリスリトールペンタアクリレートの無水コハク酸変性物とジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを25:25:50(質量比)で含有する光重合性モノマーAを得、さらにPGMEAを添加して固形分濃度を50質量%とした。
国際公開第2009/131189号パンフレット記載の方法で3-(2-アセトキシイミノ-1,5-ジオキソ-5-メトキシペンチル)-9-エチル-6-(o-トルオイル)-9H-カルバゾールを合成した。
前述の染料A、B、比較染料1、2、並びに合成例5で得られた樹脂Aを下記表1に記載された組成となるように他の成分と混合して、着色樹脂組成物を調製した。
混合に際しては、各成分が十分に混合するまで1時間以上攪拌し、最後に5μmの駒型フィルターによって濾過し、異物を取り除いた。
実施例1、2の着色樹脂組成物には染料A、Bを用い、比較例1、2の着色樹脂組成物には比較染料1、2を用いた。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
F559:パーフルオロアルキル基含有オリゴマー(DIC社製)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)73.48質量部、赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド(P.R.)254を13.89質量部、分散剤としてDISPERBYK-LPN6919(固形分濃度60%、ビックケミー社製)5.26質量部及び分散樹脂A(固形分濃度40%のPGMEA溶液)7.37質量部を混合し、攪拌機で3時間攪拌して固形分濃度が20質量%のミルベースを調製した。
このミルベースを600重量部の0.5mmφのジルコニアビーズを用いビーズミル装置にて周速10m/s、滞留時間4時間で分散処理を行い赤色顔料分散液を得た。
上述の方法で得た赤色顔料分散液に、合成例5で得られた樹脂Aを下記表3に記載された組成となるように他の成分と混合して、赤色着色樹脂組成物を調製した。
混合に際しては、各成分が十分に混合するまで30分間撹拌し、次いで10分間超音波分散し、最後に5μmの駒型フィルターによって濾過し、異物を取り除いた。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
F559:パーフルオロアルキル基含有オリゴマー(DIC社製)
5cm角に切断したガラス基板上に、上記<青色着色樹脂組成物の調製>にて調製した各着色樹脂組成物をスピンコート法により、230℃30分の焼成後の色度がsx=0.140、sy=0.12となるように塗布した。次に、減圧乾燥させた後、ホットプレート上にて80℃で3分間プリベークした。その後、60mJ/cm2の露光量にて全面露光した後に、クリーンオーブンにて230℃で30分間焼成した。
5cm角に切断したガラス基板上に、上記<青色着色樹脂組成物の調製>にて調製した各着色樹脂組成物をスピンコート法により、230℃30分の焼成後の膜厚が2μm前後になるように塗布をし、減圧乾燥させた後、ホットプレート上にて80℃で3分間プリベークした。その後、60mJ/cm2の露光量にて全面露光し、クリーンオーブンにて230℃で30分間焼成した。得られた膜の分光透過率を分光光度計U-3310(日立製作所製)にて測定し、色度と輝度を算出した。偏光板を介して、ウエザオメータCi4000(アトラス社製)にセットし、擬似太陽光を20時間照射した。照射前後の色差(ΔE*ab)を耐光性として評価し、その結果を表3に纏めた。
5cm角に切断したガラス基板上を1分間UV/O3処理し、上記<赤色着色樹脂組成物の調製>にて調製した赤色着色樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥させた後ホットプレート上にて80℃で3分間プリベークし、その後、60mJ/cm2の露光量にて全面露光した後に、クリーンオーブンにて230℃で30分間焼成し、赤色硬化層を設けた。
前記<移染評価用のパターンを有するサンプルの作製方法>にて作成した移染評価用のパターンを有するサンプルを用いて、以下の手順にて移染計測を実施した。
まず、デジタルCCDカメラ付きの透過顕微鏡(ニコンLSI検査顕微鏡 エクリプスL200D、カメラは3CDdigital MEGA pixels ADP-240)を用いて、図1のようにホールとそれを囲む青色パターンを含む視野の透過像を撮影した。
移染判定は、プロットプロファイルにおいて、最大明度に対応する水平線と、最大明度の半値における接線とを結んで作図した台形状図形と、プロットプロファイルとの近似性に基づいて判定した。その結果を表3に示した。
ITO(インジウム-酸化錫合金)電極を全面に蒸着したガラス基板(EHC製、50mm×50mm、板厚1.1mm)に実施例1、2、比較例1、2の各着色樹脂組成物を2μm程度の膜厚になるようにスピンコート法で塗布し、減圧乾燥させた後、ホットプレート上にて80℃で3分間プリベークした。その後、60mJ/cm2の露光量にて全面露光し、電極となる端の部分をアセトンで拭き取り、クリーンオーブンにて230℃で30分間焼成し基板Aを得た。
10 透明支持基板
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
A 赤色層
B 青色パターン
C 移染解析領域
BB 移染ゾーン
Claims (15)
- (A)色材、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含有する着色樹脂組成物であって、
前記(A)色材が、下記一般式(I)で表されるトリアリールメタン系化合物を含有することを特徴とする、着色樹脂組成物。
[Am-]は、置換基を有していてもよい、m価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン;置換基を有していてもよい、m価のハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオン;及び(C6F5)4B-;から選ばれる少なくとも一種を表す。nは1~4の整数を表す。
R1~R5は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
Xは脂肪族基を表し、脂肪族基に含まれるメチレン基(-CH 2 -)は、-O-、-CO-、-COO-、-CONH-、-NH-、-SO 2 -、-SO 2 NH-、-S-からなる群から選ばれる少なくとも1つで中断されていてもよい。
lは2~4の整数を表し、l=m×nの関係を満たす。) - (A)色材、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含有し、
前記(A)色材が、下記一般式(I)
[A m- ]は、置換基を有していてもよい、m価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン;置換基を有していてもよい、m価のハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオン;及び(C 6 F 5 ) 4 B - ;から選ばれる少なくとも一種を表す。nは1~4の整数を表す。
R 1 ~R 5 は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
Xはl価の連結基を表す。
lは2~4の整数を表し、l=m×nの関係を満たす。)
で表されるトリアリールメタン系化合物を含有する着色樹脂組成物であって、
前記R3及びR4の少なくともいずれか一方が下記一般式(II)で表される基である、着色樹脂組成物。
- 前記Xの炭素数が18以下である、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
- 前記[Am-]が、置換基を有していてもよいm価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
- 前記[Am-]が、置換基を有していてもよい1価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオンである、請求項4に記載の着色樹脂組成物。
- さらに(D)重合性モノマーを含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
- さらに(E)光重合開始成分及び/又は(E’)熱重合開始成分を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
- 前記(A)色材が、さらに顔料を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有する、カラーフィルタ。
- 請求項9に記載のカラーフィルタを有する、画像表示装置。
- 下記一般式(I)で表されるトリアリールメタン系化合物。
[Am-]は、置換基を有していてもよい、m価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン;置換基を有していてもよい、m価のハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオン;及び(C6F5)4B-;から選ばれる少なくとも一種を表す。nは1~4の整数を表す。
R1~R5は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
Xは脂肪族基を表し、脂肪族基に含まれるメチレン基(-CH 2 -)は、-O-、-CO-、-COO-、-CONH-、-NH-、-SO 2 -、-SO 2 NH-、-S-からなる群から選ばれる少なくとも1つで中断されていてもよい。
lは2~4の整数を表し、l=m×nの関係を満たす。) - 下記一般式(I)
[A m- ]は、置換基を有していてもよい、m価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン;置換基を有していてもよい、m価のハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオン;及び(C 6 F 5 ) 4 B - ;から選ばれる少なくとも一種を表す。nは1~4の整数を表す。
R 1 ~R 5 は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
Xはl価の連結基を表す。
lは2~4の整数を表し、l=m×nの関係を満たす。)
で表されるトリアリールメタン系化合物であって、
前記R3及びR4の少なくともいずれか一方が下記一般式(II)で表される基である、トリアリールメタン系化合物。
- 前記Xの炭素数が18以下である、請求項11又は12に記載のトリアリールメタン系化合物。
- 前記[Am-]が、置換基を有していてもよいm価のハロゲノアルキルスルホニルイミド
アニオンである、請求項11~13のいずれか一項に記載のトリアリールメタン系化合物。 - 前記[Am-]が、置換基を有していてもよい1価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオンである、請求項14に記載のトリアリールメタン系化合物。
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