JP6995328B2 - 地盤注入工法並びに注入材 - Google Patents
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Description
非アルカリ性シリカグラウトとしては、水ガラスのアルカリを酸で除去した酸性~中性を呈する水ガラスグラウト(シリカゾルグラウト)と水ガラスをイオン交換処理して脱アルカリした活性シリカをさらに増粒したコロイダルシリカ、コロイダルシリカと水ガラスと酸を混合した複合シリカからなる非アルカリ性シリカや金属シリカをあげることができる。また非アルカリ性シリカ溶液とセメントやスラグと炭酸塩(重曹、炭酸ソーダ)を加えることによって、得られた懸濁性グラウトをあげることができる。本工法に用いる注入材としては、溶液型注入材としては有機系水ガラスや中~酸性領域のシリカグラウトやシリカコロイドと水ガラスの複合シリカグラウト(非アルカリ性シリカグラウト)が望ましい。また懸濁型グラウトとしてはセメント系、セメント・ベントナイト系、スラグ系グラウトや上記非アルカリ性シリカを用いた懸濁型グラウトが望ましい。
非アルカリ性シリカグラウトのpHとゲル化時間とシリカ濃度の関係を図1、2に示す。図2より非アルカリ性シリカはゲル化時間が10,000分までの長いゲル化時間が可能で、かつ図2より注入液が地下水で希釈されてもゲル化し、固結性を保つことがわかる。また図2よりpHが中性に近い地盤に注入されると、非アルカリ性シリカはゲル化時間の長い酸性シリカグラウトでも中性方向にpHが移行してゲル化時間が短縮してゲル化することが判る(図3、図4)。
動によって所定の注入量に相当する固結体を形成する。この例ではゲルタイムが205分の注入液がセメントベントナイトの影響でほぼ10分に短縮している。
が可能になる。(図10~図12)
なぜならば、非アルカリ領域のシリカグラウトによるサンドゲルの強度はシリカ濃度でほとんど決まるからである。
2)所定のシリカ濃度を用いてpH或いは添加剤に対応したゲル化時間(GT0)を有するシリカグラウト配合液を調整する。
3)その配合液を用いて現場土と混合して土中ゲル化時間(GTS0)を測定する。
4)想定する注入孔間隔、注入方式、1注入ステージ長より単位ステージの固結土量を設定する。なお、表1の受持土量は実際は円柱であるが、便宜上角柱として計算した。(表1(a))
5)単位ステージの固結土量から所定注入量を算出し、浸透可能限界内の注入速度から単位ステージ当たりの注入時間(H)を設定する。(表1(a))
6)地盤状況に応じて、
GT0>H≧GTS0又はGT0>GT S0≧H
となる注入液のゲルタイム(GT0)とシリカ濃度からなる配合処方を設定する(表1(b))。
以上の条件を満たすように、注入孔間隔、注入方式(点注入、柱状注入、多ステージ同時注入又は選択注入、二重管ロッド瞬結・緩結複合注入)、単位ステージ長、毎分吐出量を設定する。
ただしGT0=10000分~10分、GT0>H≧GT S0
以上より本発明は複雑な土層からなる地盤条件下で地表面や粗い土層に逸脱しにくい地盤改良を可能にするが、さらに注入孔間隔を広くとっても所定注入領域外に注入液が逸脱することなく所定の注入量に相当する固結体を形成することが可能になる。
注入孔間隔:1m~3m(表1(a))
土中ゲル化時間(GTS0)=10~3000分(図4)
注入速度(毎分吐出量)=1~30l/min(表1(a))
但し、注入速度は限界浸透注入速度内とする。(図7)
1ステージ当たりの注入量=132l~10,800l(表1(a))
1ステージ当たりの注入時間(H)=4.4分~10,800分(表1(a))
β=H/GTS0=10800/10~4.4/3000=1080~0.001、好ましくは1080~1
以上は点注入を含む場合であり、多点同時注入、或いは多ステージ同時注入の場合は表1の1ステージ注入量を同時ステージの数だけ分割されるから、分割した単位ステージの注入時間Hは小さくなる。従って、βも小さくなる。
なお、柱状浸透に限定すると、
1ステージ当たりの注入量132l~10,800l(表1(a))
注入速度10l~30l/min(表7(a))
1ステージ当たりの注入時間4.4分~1080分(表1(a))
土中ゲル化時間(GTS0)=10~3000分(図4)
β=H/GT0=1080/10 ~ 4.4/3000=108~0.001、好ましくは、β=108~1。
以上において、H≧GS0(図25)の場合が注入液が注入対象外へ逸脱しにくいと考えれば、H=GTS0とし、H=H/GTS0の最小値は1となることから、好ましくは点注入を含めた場合はβ=1080~1、柱状注入に限定した場合は、β=108~1となる。
また以上より本発明者は本地盤改良工法に以下の注入材を適用すれば上記(0002)並びに(0006)に記載した課題を解決することが判った。
当りの注入時間をHとすると、
注入孔間隔 1m~3m 土中ゲル化時間(GTS0)=10~3000分
注入速度(毎分吐出量)=1~30l/min
但し、注入速度は限界浸透注入速度内とする。
1ステージ長:0.33~3.0m
1ステージ当たりの注入量=132l~10,800l
1ステージ当たりの注入時間(H)=4.4分~10,800分
の注入条件下で、以下のA並びにBを満たすゲルタイム(GT0)を呈することを特徴とする注入材。
(A)GT0>H≧GTS0又はGT0>GTS0≧H
(B)β=H/GTS0=1080~0.001、好ましくは1080~1
本発明の地盤注入工法は耐久性がすぐれた、上記注入材のゲル化に到る挙動(0012)~(0019)を適合せしめることによって、長いゲル化時間で広範囲に土粒子間浸透して、かつ広範囲に浸透して、しかも所定注入領域外や地表面に逸脱しにくい特性を発揮することが可能になる。本注入工法に用いる注入システムの例を図10~図24並びに(0023)の図面で説明する。
。この場合、表1の点注入に相当する。
シールグラウトは削孔を保護し、かつ他の注入管から或いは他の注入ステージからの注入液の侵入を防ぐ役をすると共に注入時の孔壁の保持に効果がある。シールグラウトは以下のいずれかの材料を用いて一軸強度で1MN/m2以下、さらに好ましくは0.5MN/m2以下の低強度であることが好ましい。
2)高分子ポリマーを有効成分とするグラウト。
3)粘土を有効成分とする懸濁型グラウト。
4)セメント・ベントナイトを有効成分とする懸濁型グラウト。
カルシウムアルミネートを主成分とする懸濁型地盤固結材とは、水和反応によって固結する能力を有するもので、セメントの急結材として通常使用されるカルシウムアルミネート(12CaO・7Al2O3、CaO・2Al2O3、3CaO・Al2O3等、あるいはさらにこれらとハロゲン元素が固溶したカルシウムハロアルミネート、例えば、11CaO・7Al2O3・CaF等)を主成分とする懸濁型地盤固結材を意味し、さらに、このようなカルシウムアルミネートに石膏、硫酸ナトリウムなどの無機硫酸塩を混合あるいは溶融して得られたものも含むものとする。またカルシウムアルミネートとスラグを主
成分としても良い。固結剤はpHがほぼ10.8以下で強度も比較的低強度で割裂を生じやすい。
(1)組成 表2
(2)配合例 表3
(3)ゲルタイム 図25
(4)圧縮強度 図26
本発明に用いるシールグラウトとしての高分子ポリマーは削孔壁を安定にすると共に注入液が注入されるとその注入圧で溶解するが削孔壁に一部浸入して孔壁の安定を保ちながら注入液の地盤への浸透を可能にする効果がある。表4は水溶性高分子ポリマーの例である。
ポリマーやシリカ化合物の濃度は、得られる注入材が2~40mPa・s、好ましくは2~20mPa・sの粘度を呈するような量でもって定める。高分子ポリマーの量は具体的には注入材配合液中、0.1~5重量%の範囲内であることが好ましい。
塩酸 HCl 35% 試薬1級
塩化アルミニウム AlCl3 ・6H2 O 試薬1級
塩化マグネシウム MgCl2 ・6H2 O 試薬1級
塩化カリウム KCl 試薬1級
3号水ガラス 旭電化工業(株)製
さらにまた本発明はICTによる地盤改良システムを用いて所定の注入領域に所定の注入が行われ、所定の効果が得られる地盤改良管理システムが可能になる。(図11、図12、図27)データとしては地盤データ、薬液データ、注入データ、環境データ等があり、具体例図27(b)A群等がある。
クして指示することができる。
入速度、注入量の実際を通してセンサーの追加や制御プログラムの変更に対応することもできる。
1…地盤
2…削孔
3…シールグラウト
4…注入外管
5…注入内管
6…外管吐出口2
7…表面吐出部 7’…スリット
8…長尺弾性被腹膜
9…固着材、加締金具
10…内管パッカ
11,11A,11B…注入液送液管路
11'…注入液送液管路逆止弁
12…内管吐出口
13…内管注入部
14…長尺弾性被覆膜内
15…外管吐出口1逆止弁
16…外管吐出口1
17…外管吐出口逆止弁(伸縮性スリーブ)
18…袋パッカ
19…袋パッカ内外管吐出口
20…袋パッカ内逆止弁
21…パッカ流体流路
22…パッカ流体吐出口
23…シールグラウト割裂
24…透水性被覆膜又は高分子フィルム
25…透水性空間保持材
Claims (14)
- 地盤注入材を地盤の削孔内に設置した注入管の吐出口から注入して地盤改良する地盤注入工法において、前記地盤注入材は、pHは1~10であって、シリカコロイド又は水ガラスのいずれか1種又は複数種を反応剤として、酸或いは塩のいずれか1種或いは複数種を有効成分とし、かつシリカ濃度は0.4~40wt%、シリカのモル比は2.0~100、ゲル化時間は瞬結から10000分の配合から選定したシリカ注入液であって、該シリカ注入液のゲル化時間を(GT0)、該シリカ注入液と現場土を混合したゲル化時間を土中ゲル化時間(GTS0)として1ステージ当たりの注入時間を(H)とすると、1080≧β=H/GTS0>100とし、地盤状況、注入孔間隔、ステージ長、並びに単位ステージ当りの注入量に応じて、GT0>H≧GTS0又はGT0>GTS0≧Hとなるように、該シリカ注入液のゲル化時間(GT0)とシリカ濃度からなる配合処方を用い、施工条件を以下の範囲で設定するものとし、該シリカ注入液の配合処方は以下の手順を行うことにより、注入範囲外への逸脱を低減することを特徴とする地盤注入工法。
(施工条件)
(1)注入速度は限界浸透注入速度内とする。
(2)注入孔間隔又は固結径L=1~3m
(3)毎分注入速度q=1~30L/min ただし、限界浸透注入速度内とする。
(4)1ステージ長:0.33m~3.0m
(5)1ステージ当たりの注入時間(H) 4.4~10000分
(6)気中ゲル化時間(GT0) 10分~10000分
(7)気中pH(PH0) 1~10
(8)シリカ濃度 0.4~40%(重量%)
(9)土中ゲル化時間 (GTS0) 10分~3000分
(10)1080≧β=H/GTS0>100
ここで限界浸透注入速度内とは、割裂注入領域の限界よりも小さい浸透注入速度をいう。
(シリカ注入液の配合処方の手順)
(1)地盤注入の対象となる土を用いて注入対象地盤の密度で要求される固結土の強度が得られるシリカ濃度を設定する。
(2)要求される固結土の強度が得られるシリカ濃度を用いて、pH或いは添加剤に対応したゲル化時間(GT0)を有するシリカ注入液を調整する。
(3)その配合液を注入対象地盤の現場土と混合して、土中ゲル化時間(GTS0)を測定する。
(4)設定した注入孔間隔、注入方式、1注入ステージ長より単位ステージの固結対象土量を設定する。
(5)単位ステージの固結対象土量から注入量を設定し、浸透可能限界内の注入速度から単位ステージ当たりの注入時間(H)を設定する。
(6)地盤状況、注入孔間隔、ステージ長、並びに単位ステージ当りの注入量に応じて、GT0>H≧GTS0又はGT0>GTS0≧H となる該シリカ注入液のゲル化時間(GT0)とシリカ濃度からなる配合処方を設定する。 - 請求項1に記載の地盤注入工法であって、前記注入管は、削孔内に充填したシールグラウト内に固定される注入外管と該注入外管に挿入して上下に摺動する一本又は複数本の注入液送液管路を有する注入内管からなり、前記シリカ注入液は、前記シールグラウトを破って地盤に注入することを特徴とする地盤注入工法。
- 請求項1または2に記載の地盤注入工法において、前記シリカ注入液は、以下の条件を満たす柱状浸透注入によって注入することを特徴とする地盤注入工法。
(1)1ステージ当たりの注入量132l~10,800l
(2)注入速度10l~30l/min
(3)1ステージ当たりの注入時間4.4分~1080分
(4)土中ゲル化時間(GTSO)=10~3000分
(5)1080≧β=H/GTS0>100 - 請求項1または2に記載の地盤注入工法おいて、前記シリカ注入液は、以下のいずれか又は複数の注入方式によって、地盤に注入することを特徴とする地盤注入工法。
(1)点注入
(2)多点注入
(3)柱状注入
(4)袋パッカ注入
(5)多点同時注入
(6)多ステージ同時注入
(7)多ステージ選択注入 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の地盤注入工法において、前記シリカ注入液を注入するのに先立って、懸濁型グラウト或いは瞬結型グラウトを注入することを特徴とする地盤注入工法。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の地盤注入工法において、前記シリカ注入液は、一次注入材を注入した後、二次注入材として注入することを特徴とする地盤注入工法。
- 請求項2に記載の地盤注入工法において、前記注入外管は、削孔内に充填されたシールグラウト内に設置され、前記シールグラウトは以下のいずれかのグラウトであることを特徴とする地盤注入工法。
(1)カルシウムアルミネートを有効成分とする懸濁型グラウト。
(2)高分子増粘剤を有効成分とするグラウト。
(3)粘土を有効成分とする懸濁型グラウト。
(4)セメント・ベントナイトを有効成分とする懸濁型グラウト。 - 請求項2に記載の地盤注入工法において、前記注入外管の吐出口は、弾性逆止弁又は透水性被覆膜又は水溶性高分子フィルム又は縦方向に亀裂を生ずるフィルムで覆われていることを特徴とする地盤注入工法。
- 請求項1に記載の地盤注入工法において、前記シリカ注入液は、二重管ロッドを用いて瞬結型グラウトによる一次注入を行って後、浸透性グラウトの二次注入として注入することを特徴とする地盤注入工法。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の地盤注入工法の注入管理方法において、以下のいずれか又は複数のデータを現場集中管理装置又は情報管理センターサーバーにデータを蓄積し、施工現場からのデータを既存のデータと共に解析し、その結果を直接又はインターネットで施工現場にフィードバックするものとし、或いは解析の結果、目的とする注入が行われていないと判断した場合、注入の補正を施工現場に指示して確実な施工を行わせしめ、又はその情報を現場の集中管理装置に送信して、或いは注入の自動化を行うものとし、その情報過程をデータ情報センター又はクラウドで管理し、リアルタイム又は必要な任意の時点で開示できるようにしたことを特徴とする地盤注入工法の注入管理方法。
(1)注入地盤データ並びに削孔データ
(2)注入装置データ
(3)計測装置と計測データ
(4)注入液のデータ
(5)注入工法のデータ
(6)注入計画データ
(7)注入前後の試験データ
(8)注入データ
(9)追加注入データ
(10)環境データ
(11)注入効果の確認データ
ただし、上記において、薬液注入とはシリカ注入液或いはシリカを含有する懸濁型注入液の注入をいう。 - 請求項1~9のいずれか一項に記載の地盤注入工法の注入管理方法において、注入圧力、注入速度、注入量、浸透状況に関するデータを三次元的に画面表示で可視化して所定の注入領域における注入状況をリアルタイムで、或いは注入結果を把握し、注入圧力および/または流量の少なくとも一つの設定範囲を満たしていない部分を見出した場合は、その部分に再注入することを特徴とする地盤注入工法の注入管理方法。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の地盤注入工法であって、削孔に充填したシールグラウト中に設けた注入管の管壁に袋パッカを形成する袋体を間隔をあけて複数個取り付け、かつ、前記袋体の内部ならびに上下に隣接する前記袋体間に開口する吐出口を備えた注入管装置を地盤中に設けられた削孔中に挿入し、次いで前記袋体の内部に開口する吐出口から前記袋体中に硬化性懸濁液を充填し、膨らませて袋パッカを形成するとともに、前記上下に隣接する前記袋体間に開口する吐出口から前記シリカ注入液を注入して前記シールグラウトを破って前記地盤を固結することを特徴とする地盤注入工法。
- 請求項12に記載の地盤注入工法であって、前記袋パッカ中への固結材の充填は削孔内におけるシールグラウトの充填後、或いは前記シールグラウトの充填工程の途中で行うことを特徴とする地盤注入工法。
- 請求項1に記載の地盤注入工法であって、吐出口を有する注入管を複数本、前記削孔に充填したシールグラウト中に設け、それぞれの注入管からの注入を集中管理装置で制御して同時に又は選択的に地盤に注入することを特徴とする地盤注入工法。
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